獣人世界大戦⑳〜Prime's Promice
「皆サン、いよいよ戦いも大詰めデスヨ」
グリモア猟兵、陽・緋蜂(機甲武装的虎尸人小娘・f39902)が語るは、獣人戦線における大戦がいよいよ終盤──『第三戦線』に至ったという事実。其は、此度の戦を起こした『始祖人狼』をはじめ、強大なる敵との決戦が始まったことを意味する。そして。
「それと、シベリアの奥地──これまで予知でもよく見えなかった場所についても、予知ができるようになりマシタ」
其処は『はじまりの場所』と称されることを除き詳細の一切が不明であった領域。これより緋蜂が語るは、この地の予知であるという。
「皆サンも予想していたかもしれマセンが、あそこに居るのは『はじまりの猟兵』デス」
かつて獣人戦線の獣人達にユーベルコードを齎し、以て超大国群の侵略に抗う術を齎した存在。そして『六番目の猟兵』たる猟兵達にとっては、先達と言うべき存在。
「あちらもどうやら皆サンのコトを待ってたみたいで、皆サンに情報を伝えたがってるみたいなんデスガ……色々面倒なコトになってるんデスヨネ」
一体どういうことかといえば。
「まず、『はじまりの猟兵』自身もオブリビオンになってしまっているという点デス。このせいで、あちらの意志に関係なく嘘の情報を教えてしまう可能性があるようなんデス」
曰く、かの猟兵が確実に真実を語れるのは、完膚なきまでに倒された後の僅かな間のみ。つまり、そこまで衰弱させる必要があるということだ。
「なので、あのヒトと戦えば良い──かと言えばそうでもないんデス」
状況を更に混沌とさせるもう一つの要素があると緋蜂は語る。それは何か。
「あのヒト、周りを濃い闇に包まれているんデスガ、皆があのヒトの処に行くと、この闇から怪物が溢れ出てきて皆サンに襲いかかってくるんデス」
その怪物は、その場にいる猟兵達の『真の姿』を更に歪めたような禍々しき姿。装備や技能含めた戦闘能力を継承した上で、オリジナルたる猟兵を上回る力を発揮するという恐るべき敵である。ユーベルコードは使わないのと、確実に先手を取ってくるわけではないのが救いか。
「これはどうやら『はじまりの猟兵』サンにも想定外らしくて、あのヒトも何とか闇を鎮めようとするようデス」
つまり『はじまりの猟兵』と協力して、闇から現れる怪物を撃破する。これが此度の任務目的である。
「この闇は『はじまりの猟兵』サンのエネルギー源でもあるみたいで、怪物を全滅させるとあのヒトも存在を保てなくなって消えちゃいマス。それでも、消える直前で情報は話せるみたいデスガ」
なので本来の目的を一応果たすことはできる。伝える情報はかの猟兵任せとなってしまうが、致し方なしか。
「説明はこんな処デスカネ。それジャ、転送開始デス」
語り終えるや否や、緋蜂はその手の袖からグリモアの光帯びたる珠を放り上げ。その輝きを以て、猟兵達をはじまりの地へと導いてゆく。
●
「……来てくれましたね、『六番目の猟兵』!」
シベリア奥地、昼なお暗き森の中。
蟠る闇の前へと転移を果たした猟兵達は、その只中に佇む人型の姿を認める。
顔こそ鹿めいた仮面に覆われて見えぬが、その装いと声音からするとどうやら若い女性のようだ。彼女こそが『はじまりの猟兵』、獣人戦線にユーベルコードを齎したる者。
「待っていました、ずっと、待っていました……!」
余程長い時を此処で待っていたのか、感極まったような声で其を表現する『はじまりの猟兵』。だが。
「……!? こ、これは……わ、わたしの闇が……!?」
其処で起こる事態。彼女を包む闇が突如、渦巻くが如き流動を開始。それが彼女の意志でないことは、彼女の反応からも明らかだ。
そして、闇の中から複数の異形の人型が姿を現す。それはその場に在る猟兵達によく似た、だが決定的に異なる姿。悪意に歪み、敵意に澱んだ──闇の姿と言うべき存在。各々に得物を構え、猟兵達への敵意を隠そうともせぬ存在を見て『はじまりの猟兵』は事態を悟り、そして告げた。
「──皆さん、一緒にあの闇を倒しましょう! あれを倒してしまえば、わたしは消えてしまうでしょうけれど……その直前に、皆さんへ真実の一部をお伝えすることができる筈です!」
得物たるライフルを構え、戦意を示す『はじまりの猟兵』。それが目的を果たす手段であるならば、此処は彼女の意志に応えるべきなのだろう。
『はじまりの猟兵』と『六番目の猟兵』。時を超えた共闘の、始まりである。
五条新一郎
己の闇と向き合いて。
五条です。
獣人世界大戦も終盤戦。
此度お送りしますは、かの『はじまりの猟兵』との予期せぬ共闘。
自身の姿模した強大なる闇を乗り越えて、先達の知る真実に迫ると致しましょう。
●このシナリオについて
このシナリオの難易度は「やや難」です。
●目的
闇より現れる怪物の撃破。
ボスとして設定されている『はじまりの猟兵』は本シナリオでは敵とはなりません。
●戦場
獣人戦線、『はじまりの場所』。
シベリア奥地の深い森の奥。全体的に薄暗い上に『はじまりの猟兵』を包んでいた闇が蟠ってますが、視界には問題ありません。
●プレイングについて
OP公開と共にプレイング受付を開始します。
「はじまりの猟兵」と共闘する/自身の「闇の真の姿」を描写し、それに打ち勝つ。
プレイングに、PC様各々方の「真の姿の内容」について記述くださいませ。
●味方戦力
『はじまりの猟兵』
武器はライフル。
戦闘能力自体は猟兵達に及びませんが、あらゆる戦闘技能に秀でる他、勝利や生存の為なら姑息で卑怯な手段も厭わぬ「戦場の戦い方」で戦います。
ユーベルコードはプレイングで指定頂いた最大一種を使用します(PC様の使用ユーベルコードと属性が違ってもOKです。
それでは、皆様の光輝くプレイングお待ちしております。
第1章 ボス戦
『はじまりの猟兵』
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POW : ストライク・イェーガー
レベルm半径内の対象全員を、装備した【ライフル】で自動的に攻撃し続ける。装備部位を他の目的に使うと解除。
SPD : プログラムド・ジェノサイド
【予め脳にプログラムしていた連続攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ : キューソネコカミ
【ライフル】が命中した敵を一定確率で即死させる。即死率は、負傷や射程等で自身が不利な状況にある程上昇する。
イラスト:hoi
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
此方こそ宜しくお願い致しますぅ。
「闇の真の姿」は『神話風衣装を纏い、大幅に発育が進んだ姿』を基本に、色遣いが黒主体、各『祭器』も黒色に染まっている様ですねぇ。
『FAS』で飛行、『FLS』で|各『祭器』《未装備含》を展開しまして。
【繙壅】を発動、『敵対祭器無効』の『膜』を付与しますねぇ。
私の複製ならばほぼ全ての『装備』が『祭器』相当、敵方が同様の能力を使っても『力量差に関わらずお互いが相手の攻撃を完封出来る状態』故、千日手になりますぅ。
そして、はじまりの猟兵さんを庇いつつ【キューソネコカミ】を要請、『祭器』で無い彼女の攻撃は効きますので、『即死』成立まで抑え込みましょう。
「承知致しましたぁ、此方こそ宜しくお願い致しますねぇ」
『はじまりの猟兵』の申し出に応え、夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)はその背にオーラの翼を広げて宙へと浮き上がる。周囲にも得物たる祭器群が数十個、思念制御のもとに浮き上がる。
見据える闇の中からも、同じく背にオーラの翼を広げた人影が現れ出る。その顔立ちはるこると同一ながら、纏うは古代神話を思わせるシンプルな衣、何よりもるこるよりも格段に肉感の増した体型を有する姿は、彼女の埒外としての深化を想起するに充分なもの。
「あれが私の複製ですかぁ……厄介ですねぇ」
更に己と同様の祭器群――黒く禍々しき意匠へと歪められた其が展開されるのを前に、るこるは眉根を寄せる。彼方のみが真の姿を示している以上、力は確実に彼方の方が上、ただ撃ち合うだけでは間違いなく不利だ。ならばどうするか。
「大いなる豊饒の女神、あなたの使徒に『苞鞘の加護』をお与え下さいませ」
此方のみが行使出来得る切り札――ユーベルコードをおいて他になし。奉ずる女神への祈りが励起する其を以て、るこるの身は乳白色を帯びた光の膜に覆われる。
其処へ闇のるこるが祭器群での攻撃を開始。無数の熱線や砲弾、爆弾に重力弾、魔力矢に飛翔斬撃等々、普段の彼女自身が行使する攻撃が次々とるこる目掛け降り注ぎ。巻き起こる爆炎の中にるこるの姿が呑み込まれてゆく。
「……っ!」
思わず飛び退いて距離を取ろうとした『はじまりの猟兵』だが、その直前に己の周囲を囲んできたものを見て踏み止まる。其は鏡や御札といったるこるの祭器の一部、それらがバリアや結界を展開して『はじまりの猟兵』への防御を為したのだ。
余波程度ならば力で上回っている敵の攻撃なれどこのバリアを抜くには至らぬ。故に彼女は無傷。だが、当のるこる自身は――
「効きませんよぉ」
「―――!」
何と、爆風の退いた後に現れたるこるの身には火傷や切り傷の一つとて無し。全くの無傷。今のるこるが纏う光の膜には、祭器での攻撃に対する絶対的な耐性が備わっている。如何に実力が上回って居れど、元がるこるであるならばその攻撃手段はほぼ全てが祭器によるもの。即ちこの一手で敵の攻め手は完封したも同然だ。
よもや其処までのユーベルコードの使い手がいるとは。驚愕を隠せない様子の『はじまりの猟兵』。すぐさま、驚いてばかりもおれぬと得物たるライフルを構え直すが。
「そして、『はじまりの猟兵』さんにも手出しはさせません」
その目前、彼女に対する盾となるかのようにるこるが滞空する。浴びせられる砲撃斬撃の悉くはるこるの身に傷一つつけられず、また『はじまりの猟兵』が余波を被ることもない。
「此方も反撃させて貰いますよぉ」
反撃とばかり、るこるも祭器群での攻撃を開始。防御祭器のバリアや結界、障壁群に防がれるものの、その防御範囲には隙がある。即ち、狙撃を通す隙が。
「さあ、今ですよぉ。一撃で撃ち抜いてしまってくださいませぇ」
「は、はい! いきます……!」
るこるの呼びかけに応じ『はじまりの猟兵』はライフルを構える。狙うは闇るこるの額。一点に狙いを絞り、意識を集中し――引鉄を引く。
放たれるはユーベルコード帯びたる弾丸、其は狙い違わず闇るこるの額を撃ち抜き――
「――おやぁ?」
然しるこるは首を傾げる。確かに闇るこるの急所には入ったが、敵はよろめきつつも未だ生きている様子。祭器による砲撃も未だ収まる様子が無い。
「……やっぱり、これだけ有利な状況だと一撃でとはいきませんね」
その理由は、バツの悪そうな顔をする『はじまりの猟兵』の語る通り。彼女が行使したユーベルコード『キューソネコカミ』は、己が不利な程に即死攻撃の成功率が上がるという代物。状況的に絶対不壊の防壁と化したるこるに護られた状態は、寧ろ有利とすら言える為に最低限の即死率しか得られていないらしい。
「ですが、この状況でしたら何度でも再試行が可能な筈ですぅ」
だがその反面、一度失敗しても再挑戦が可能という利点はある。るこるの護りを受けながらならば、何度でも其が叶うはずだ。
「そ、それもそうですね……! では!」
納得した『はじまりの猟兵』、再度ライフルを構えて闇るこるへ狙いを定める。最終的に敵を仕留めるまでに要した試行回数は十回を優に超えたらしいが、それでも仕留めることには成功である。
大成功
🔵🔵🔵
アリス・フェアリィハート
アドリブ連携歓迎
【SPD】
※はじまりの猟兵の使用UC
POW:ストライク・イェーガー
※自身の闇の真の姿
「背には
闇色の六枚の翼
闇の髪色
髪に彼岸花が咲き
手に魂等をも貫く矛
闇の雷や焔等操る闇姫」
『はじまりの猟兵さん…お逢いしたばかりですけど…ご共闘を…!』
翼で飛翔
【空中機動】等
【空中戦】も行い
立体的に立回り
敵の攻撃等
【第六感】【心眼】【残像】
【結界術】【オーラ防御】で
防御・回避行動や
はじまりの猟兵さんを
防護し
はじまりの猟兵さんに
援護して貰い
ヴォーパルソードを手に
【ハートのA】も展開
【破魔】を込めた
【誘導弾】の【一斉発射】で
牽制しつつ
接近
射程に入ったら
UCを放ち
『戦いが終わったら…色々教えて下さいね…』
怪物を一体仕留めたものの、渦巻く闇の勢いは未だ衰えることなく。其処へ、次なる猟兵が姿を現した。
「『はじまりの猟兵』さん……!」
呼びかける声に応えて『はじまりの猟兵』が振り向いた其処には、見目小さく幼き少女猟兵、アリス・フェアリィハート(不思議の国の天司神姫アリス・f01939)の姿。表情には緊張の色が見て取れど、『はじまりの猟兵』を見つめる視線に惑いは無く。
「お逢いしたばかりですけど……ご共闘を……!」
「勿論です! わたしと一緒に、あの怪物を打ち倒しましょう!」
申し出るアリスに、快諾と言わんばかりの答えを返し『はじまりの猟兵』は形を得てゆく闇を見据える。漆黒の雷や炎が渦巻く只中、闇の如き漆黒の髪を有する以外はアリスと寸分違わぬ少女の姿が其処に現れた。
なれど背に広げる翼もまた闇の色、髪に咲くは彼岸花。手には魂すら貫かんばかりの禍々しき矛を携えたその姿は、まさしく闇に堕ちたる天使の幼姫、と称するが相応しい。
「ありがとうございます……! では……いきます……!」
闇より現れた己の似姿が『はじまりの猟兵』へ視線を向けていることを察し、アリスは自らの背の翼を以て飛翔。己へ敵の狙いを引き付けんとばかり、何発もの魔力の矢を撃ち込みにかかる。
対する闇アリスもまた、背の闇翼を以て飛翔。魔力矢をオーラの障壁で防ぎ止めると、そのまま上空のアリス目掛けて矛を振るい斬りつけにかかる。
「速い……! ですが、やられはしません……!」
薙ぎ払われたアリスの姿は残像。側面へと逃れていたアリスが再度魔力矢を放って牽制すれば、闇アリスも再びオーラの障壁を纏い防ぎ躱し。今度は彼方が何発もの魔力矢を放ち、アリス目掛けて攻撃をかけた。
「あう……っ!」
防御結界を展開するアリスだが、立て続けに突き刺さる魔力矢の全ては防ぎきれず。結界を撃ち抜いた魔力矢が、アリスの肩を掠め抉った。やはり単純な力量比較では、闇アリスの方に分があるか。
バランスを崩したアリスに追撃せんとばかり、矛を構えて斬りかかる闇アリス。迫る速度は稲妻じみて、現状のアリスに躱す術はなく――
「それ以上はやらせません……!」
地上より声、次いで立て続けに撃ち放たれてくるライフル弾。其が二人のアリスの間を駆け抜け、闇アリスの飛翔を止めさせた。
其を為したは無論『はじまりの猟兵』。ユーベルコードの力を注いだ、ライフルの限界を超えた連射を以て弾幕を展開しているのだ。
「ありがとうございます……!」
そんな彼女に礼を述べ、アリスは得物たる蒼き剣を構える。周囲にはハートを象った宝石群が浮遊し広がって、アリスの魔力を高めてゆく。
高めた魔力を剣先に集中し、振り抜けば。結界でライフル弾を防ぎ止める闇アリス目掛け、先までよりも密度の増した魔力の矢が一斉に撃ち放たれる。其は上下左右複数方向より闇アリスを襲い、結界を解いての回避行動という選択肢彼女より奪い去る。
なれば好機。掲げた剣、その刃に蒼き光焔を纏わせながら、アリスは飛翔し己の闇姿との距離を詰める。光焔は見る間にその激しさを増し、刃を包み立ち昇る。
「受けて下さい――ヴォーパルの剣閃……!!」
そして間合いを詰め切ると共に振るえば。纏われた光焔と共に放たれたる剣閃が斬撃となって、結界を、そして其を以て身を守らんとした闇アリスを斬り裂き、飲み込み、焼き尽くしていった。
闇アリスの消滅を確認し、地上へ降りたアリス。駆け寄る『はじまりの猟兵』の様子は、先程までより消耗しているようにも見えた。あの闇もまた彼女の一部と考えれば、其を滅ぼすごとに彼女も衰弱していくのかもしれない――
「戦いが終わったら……色々教えて下さいね……?」
そんな予感は、一旦思考から追い払い。その後への期待を寄せるように、アリスは乞うてみせた。
大成功
🔵🔵🔵
結城・有栖
両腕、両足さえも魔獣のように変化したあの姿…。
あれが私の真の姿ってことです?
「より禍々しくって感じダネ。
しかも、似てるのは姿だけじゃなさそうダヨ」
性質も同じですか…なら、それを利用しましょう。
まずはUCでオオカミさんと同調して加速。
相手が反応できない速度で動きつつ、攻撃も【野生の勘で見切り】、回避か、風で受け流します。
そして、こちらも想像暗器(モーラット型投げ枕)を【念動力】で射出。
私の性質を継承してるのなら、可愛いものも好きですよね?
一瞬でも隙が出来たのなら、そこを狙い、破壊の風を放って【追撃】です。
はじまりの猟兵さんは敵の動きが止まった隙に、プログラムド・ジェノサイドで攻撃してください。
次いで闇の中から現れ出たのは、獣の如き四肢を有する少女の姿持つ怪物。闇銀の毛皮は炎の如く揺らめき、爪は異様なる形に曲がり歪む。向ける視線の帯びたる悪意と相まって、まさに魔獣と呼ぶに相応しき様相。
「あれが、私の真の姿ってことです?」
『より禍々しく、って感じダネ』
そんな、己とは似て非なる姿を目の当たりとした結城・有栖(狼の旅人・f34711)は、戸惑い混じりの呟きを漏らす。なれど彼女本来の真の姿と繋がるものではない、と、彼女の内なるオウガ『オオカミさん』は応える。
「あれはあくまで、あなたの本質を歪め写し取っただけの紛い物に過ぎません、が――」
更に補足するように、並び立つ『はじまりの猟兵』もまた有栖に応える。だが、紛い物といえど。
「………っ!」
直後、闇有栖を中心に風が渦巻く。有栖がキャバリアやユーベルコードを介して行使する風の力を、かの敵は単独で行使し得るということか。
『似てるのは姿だけじゃなさそう、と思ったらホントだったネ』
「性質も同じ、というわけですね……」
懸念の的中に唸るオオカミさんと、其が意味する事実を理解し頷く有栖。どうやら内面の性質に関しても、有栖のそれを忠実に写し取っているらしい、と。
(――なら、それを利用できそうですね)
だが、それならば其処にこそ攻略の糸口が存在する。己そのものであればこそ。有栖、心中で頷けば。
「――ひとつ、お願いしても良いでしょうか」
「はい、なんでしょう?」
並び立つ『はじまりの猟兵』へと伝えるはひとつの策。見出した糸口からの勝利の術。
「――わかりました、やってみます」
其を妥当と理解したか、頷く『はじまりの猟兵』。有栖は「ありがとうございます」と礼を述べ。
「それでは――行きますよ、オオカミさん」
『あいよー!』
内なるオウガへ呼びかけるが早いか、その身は風のオーラを纏い弾丸じみて空へと飛び上がる。ユーベルコードを以てオオカミさんと同調、風による加速と飛翔を可能としたものだ。
対するように、闇有栖もまた風を纏って飛翔。ユーベルコードを介していないが故か、その速度は有栖に及ぶものではないが。
「……っ! 反応してきますか!」
『あっちの勘も大したものダネ!』
速度差を活かして撹乱し、反応速度を超えた攻撃を繰り出さんとした有栖だが。鉈を振るって斬りかかる動きを、振り抜かれた鉤爪で制される。感じた嫌な予感に従わず深く踏み込んでいれば、そのまま引き裂かれていた処だ。
更にその攻撃へ伴う衝撃波が有栖の身へと襲い掛かる。距離を取りつつ風のオーラで受け流しにかかるものの、全ては流しきれず着衣や皮膚が浅く裂かれ血が滲む。やはりその力の差、速度差を補って余りある程か。
「流石に強いですね……ですが」
ならばやはり、先に構えた策を行使すべきか。距離を取った処を追撃せんと迫る闇有栖へ向け、有栖が放ったものは――モーラット。
もとい、モーラットを模した抱き枕だ。放物線を描いて頭上を舞うそれを、思わず目で追う闇有栖――
「――今です!」
その時である。『はじまりの猟兵』の声が響くが早いか、その声の源より闇有栖へ向け、無数の火線が走り抜ける。二丁のライフルを駆使した一点集中猛射撃――予め脳内に仕込んだ|ユーベルコード《プログラムド・ジェノサイド》である。
回避も叶わず、その身に次々と弾丸を叩き込まれ、身体を震わせる闇有栖。其を見据え、策が成ったと有栖は頷く。
「やはり。私の嗜好も写し取っていたようですね」
有栖は可愛いものが大好きである。今のように、突如戦場に可愛いものが現れたら、思わず目で追ってしまう程に。敵が己の性質を写し取った存在ならば、その嗜好も写し取っている筈――そう考えての策は、見事に的中した。
『さぁテ、破壊の風に耐えきれるカナ?』
「この状態からなら、耐えきることはできないはずです」
全身を撃ち抜かれ黒き血を流す闇有栖へ向け、有栖の全身から風のオーラが浴びせかけられる。其は渦巻く破壊の嵐となって、闇有栖の肉体を粉々に砕き散らし、闇へと還していった。
大成功
🔵🔵🔵
紫・藍
あやー、藍ちゃんくんの真の姿は銀河が渦巻き藍色の宇宙を思わせる感じなのでっすがー。
出てきたのは闇一色に塗りたくられた人型でっすかー。
シルエットにこそ面影はありまっすが、顔も闇一色で笑顔もないのでっす!
所でこの闇ちゃんくん、どうやって戦うのでっしょうか?
藍ちゃんくん、技能もUCも戦闘向きというわけでは……あやー!?
藍ゼン・シュテルンがあったのでっす!
キャバリアなのでっすよー!
こちらも何やらダークに!?
覚えのない装備まで!?
そのままですと武器、付いてないでっすものねー!
超巨大ロックギターで殴ってきたのでっす!
ロッカー仕様に換装されてるのでっしてー!
こうなったら始まりのおねえさんのジェノサイドが頼りなのでっす!
藍ちゃんくんがタゲ取りして引き付けに引き付けて避けられないようにしまっすので!
その間にやっちゃってくださいなのでっす!
藍ちゃんくんにも本家藍ゼン・シュテルンがありますれば!
出力は向こうの方が上でっしょうが、時間を稼いでみせますので!
音波攻撃とかしてきたらこちらでチューニングして相殺です!
「あやー、藍ちゃんくんを模した怪物、こうなりましたかー」
続いて戦場へと到着した紫・藍(変革を歌い、終焉に笑え、愚か姫・f01052)は、闇の中より現れた怪物の姿を見て、不思議そうに首を傾げた。
「何か、おかしいことでも?」
「この怪物、藍ちゃんくんの真の姿を模して出て来ると聞いていましたのでっすが――」
藍の様子に疑問を浮かべた『はじまりの猟兵』が問うに答える藍。曰く、彼の真の姿は彼自身が認識する限り『銀河が渦巻き藍色の宇宙を思わせる感じ』とのことなのだが。
今、二人の前に立つ怪物の姿は、闇一色に塗りたくられた人型。これでは銀河というよりブラックホールである。とはいえ、シルエット自体は藍の面影が見えなくもないが、最大の問題は。
「闇ちゃんくん、顔も闇一色で笑顔もないのでっす!」
いくら禍々しく歪めたとはいえ、笑顔が見えないのでは藍ドルの名折れではないか。己の強みが理解されていないことに違和感を覚えた藍であったとか。
「そ、そういうものなのですか……」
応える『はじまりの猟兵』の声音は戸惑い気味。彼女には戦闘以外の要素に強みを置くという発想自体が無かったようで、藍のその在り方には驚きと戸惑いがあったようだ。
「……と、そうなのでっす!」
其処で藍、何かに気付いて闇の己――闇ちゃんくんを見据える。何かといえば。
「この闇ちゃんくん、どうやって戦うのでっしょうかー?」
藍という猟兵は、技能もユーベルコードも歌や踊りといった自己表現を主目的としたものを多く修得している。その一方で、直接戦闘に向いた技能には乏しい。藍ドルとしての強みを捨てた闇の己に、如何な戦いができるというのか――
「……あやー!? そうでっしたー!? それがあったのでっす!」
その答えは、闇ちゃんくんの背後から現れた。藍自身を模した意匠のキャバリア――藍ゼン・シュテルン。闇によって形作られた其は、オリジナルに比して暗く、刺々しく――ひと言で言えばダークな意匠を全身に纏い、何より。
「でもどのみち武装は――あやー!? それは何なのでっすかー!?」
本来武器の類は一切装備されていない筈の藍ゼン・シュテルンだが、見れば藍自身も知らない装備が色々装着されている。闇の真の姿となるにあたって、武装が追加されたのだろうか。
そうこうしているうちに、闇の藍ゼン・シュテルンに闇ちゃんくんが搭乗し。動き出した闇のキャバリアが、藍と『はじまりの猟兵』目掛け襲ってきた!
「あややー!?」
「きゃー!? こ、これってまさかギターですかー!?」
振り下ろされた巨大な物体が、咄嗟の回避機動を取った二人がコンマ二秒前までいた場所へ振り下ろされ其処の地面を爆ぜ飛ばす。『はじまりの猟兵』が目にした通り、それはギター。それも、藍ゼン・シュテルンをして一抱えほどはあろうかというほどの、超巨大ロックギターである。
「どうやらロッカー仕様に換装されてるようでっしてー!」
そう見れば藍にも一先ずの納得がいく。ギターを振り回し不条理を殴り壊すロッカースタイル、それが闇ちゃんくんの選んだスタイルなのだろうと。
「こうなったら藍ちゃんくんも本家藍ゼン・シュテルンで勝負なのでっす!」
いずれにせよ、キャバリアが相手ならばキャバリアで対抗せねば。呼びかけると同時、何処からともなく飛来した藍ゼン・シュテルンに乗り込みにいく。
「はじまりのおねえさん!」
「わ、わたしですか!?」
その直前、『はじまりの猟兵』へと呼びかける。この局面にあって、己の見出した策を。其は、藍にとっては少なからぬ危険を伴う策ではあるが。
「……わかりました! ですが、無理はしすぎないでくださいね……!」
彼の覚悟の程を理解した『はじまりの猟兵』が了承の応えを返すと共に、藍は動く。
『闇ちゃんくん!』
呼びかけると共に藍ゼン・シュテルンがステップを踏み始める。パフォーマンスを以て、かの敵の意識を引き付けにかかる。
『――藍ちゃんくんだけを! 見てください! なのでっすよー!!』
一語ごとに決めポーズを取りながら、闇ちゃんくんへとアピール。其を受けて立たんとばかり、闇の藍ゼン・シュテルンがロックギターを掻き鳴らせば。周囲の木々や地面を抉り飛ばさんばかりの破壊音波となって本家藍ゼン・シュテルンに迫る!
『音の攻撃でっしたらー! 相殺なのでっす!』
だが藍も対抗せんとばかり声を張り上げる。瞬時にチューニングされたその声音は、ギターの音色と同一の波長となって互いにぶつかり合い、打ち消しあった。
『~~~♪』
尚も掻き鳴らされ続けるギター、声を張り上げてからそのまま歌いだした藍の歌声。其々の音色がぶつかり合い打ち消し合い、その場に均衡を生む。
だが、実際には、徐々にだが藍の方が押され始めている。やはり出力は彼方の方が上回っているが故に、真っ向からのぶつかり合いではどうしても押され気味になってしまうのだ。
(大丈夫なのでっす。まだ、抑えてみせるのでっすよ)
なれども藍に焦りは無い。パフォーマンスと共に放ったユーベルコードで敵の意識を己へ惹きつけ、そのまま均衡状態に持ち込んだ理由は明白。以て時間を稼ぎ『彼女』が自由に動ける時間を稼ぐため――そう。
「――今です、いきます……!」
音の応酬が途切れた、その一瞬に。両手に其々ライフルを構えた『はじまりの猟兵』が、その引鉄を引く。己の脳髄に刻み込んだ、超連続攻撃の引鉄を。
以て放たれる、瀑布が如きライフルの猛連射。本来の性能を明らかに超越した其が、闇の藍ゼン・シュテルンの胸部装甲を打ち砕き。中の闇ちゃんくんへも弾丸を叩き込み、これを一気に仕留めてみせた。
大成功
🔵🔵🔵
エミリィ・ジゼル
闇の姿:イルカやシャチの着ぐるみのかじできない
なんということでしょう…わたくしの姿ながらサメ以外の着ぐるみ。しかも海洋性哺乳類の着ぐるみをまとっているなど…
奴らは遊び半分でサメを弄んで殺す邪悪な存在…
そんな輩を野放しになどしておけません。
行きましょう、はじまりちゃん。あの怪物を滅ぼすのです!
はじまりちゃんはUC起動まで足止めをお願いします。
その間にわたくしはUCを発動します
相手は見た目は違えど海の仲間枠。特攻属性が効きます。
つまり、このUCが「刺さる」のです。
ここは海ではないので艦隊としての効果は望めません。
ですが上空に出現させた153隻の艦隊で潰せば大抵の奴は死にます
消えな、偽物のわたくし!
「……なんということでしょう……!」
「……ま、まさかあんな格好で出て来るなんて……」
闇の中から現れたその存在を前にして、エミリィ・ジゼル(かじできないさん・f01678)は愕然としていた。
それが着ぐるみを着た己自身であることに対しショックを受けているのか、と『はじまりの猟兵』は考えたが。エミリィにとって、それは予想の範疇だったので問題ではない。問題は。
「わたくしの姿をしていながら、サメ以外……よりにもよって、シャチだかイルカだかの着ぐるみを纏っているなど……!!」
そう、サメを愛しサメの着ぐるみを纏いサメイドを名乗りすらするサメ魔術師であるエミリィの姿を写し取っていながら、|海洋性哺乳類《シャチやイルカ》に見える着ぐるみを着ていることが、彼女にとっては衝撃的であったのだ。
「そ、そこが問題なんですか?」
「大問題です! サメ愛好家としては由々しき事態です!」
何故そこまで、と戸惑い気味な『はじまりの猟兵』へエミリィは力説する。シャチやイルカといった海洋性哺乳類は、海の生態系においてサメと同等あるいはそれ以上の地位に在る捕食者であるが、それだけではなく。
「奴らは時に、遊び半分でサメを弄び殺すことすらある、邪悪な存在なのです!!」
拳を握り、かの生物達に対する憤りを語るエミリィ。そんな輩の姿を纏う己の偽物を捨て置くなど、決して赦すわけにはいかぬとの語りに『はじまりの猟兵』も圧倒されつつも納得した様子。
「行きましょう、はじまりちゃん! あの怪物を滅ぼすのです!」
「は、はい! やりましょう!」
突然のあだ名呼びに戸惑いつつも『はじまりの猟兵』は得物たる二丁のライフルを構え――エミリィは一歩下がった。
「では、ユーベルコードの準備が済むまで足止めをお願いします」
「え!? わ、わかりました!?」
てっきりエミリィが前に出るものだと思っていたらしい『はじまりの猟兵』、再び戸惑う。だがエミリィのユーベルコードは戦場の性質上一発勝負。ならば、好機を見出す時間を作るは己の役割――そう判ずれば、構えたライフルを発砲するに躊躇いは無し。
「って、なんだか凄い動きで飛び回るんですけどぉぉ!?」
「ええい、乗り物すら海洋性哺乳類とは! 益々わたくしの風上にもおけませんね!」
ユーベルコードを発動して片方のライフルにて弾幕を張り、もう一方で狙い定めた射撃を行うことで牽制を試みる『はじまりの猟兵』。だが闇エミリィは何やらシャチともイルカともつかぬ生き物に跨って空を飛び、巧みに弾幕を潜り抜けて迫り来る。乗り物さえサメではないことにエミリィは更に憤るが、まだその怒りをぶつける時ではない。
引き撃ちという姑息な戦術に徹する『はじまりの猟兵』と共に、迫る闇エミリィから距離を取り、逃げ回ること暫し。ついに二人を追い詰めたと、チェーンソー構え突撃する闇エミリィを前に――エミリィは仕掛ける。
「――かじできない艦隊、落下!!」
叫ぶが早いか、二人の前方の空間、元より闇で暗い一帯が更に暗くなる。そして、次の瞬間。
大気を裂く重い音と共に降り落ちてくる巨大な物体。ひとつひとつが何百人もの人を乗せられそうな物体群が次々に地面へ落着、その巨大質量で以て戦場一帯の地面を局地地震めいて激しく震わせた。無論、闇エミリィをその鋼鉄の瀑布に呑み込みながら。
「……こ、これは……?」
射撃を止め、目の前に突如現れた『それ』が形作る巨山を前に、唖然とする『はじまりの猟兵』。見れば、それは船――軍艦のようであるが。
「かじできない艦隊、海洋生物に対する特攻を持つ艦隊です」
よくわかったようなぜんぜんわからんような答えを返すエミリィ。彼女のユーベルコードによって呼び寄せられた其はまさしく、総勢153隻の大艦隊であった――地上にあっては只の鉄塊に等しいが。
「ここは海ではないので艦隊としての効果は望めませんが、そもそもこんなもので潰されれば大抵の奴は死にます」
無論、エミリィとしても其は承知の上。今回は敢えて、特攻属性を当てにした純粋な質量兵器として艦隊を運用したのである。
暫く待っても、艦船の山からは一切の反応が無い。闇エミリィは完全に潰され消滅したと見て、間違いなさそうだ。
「――消えな、偽者のわたくし」
サメ愛無き己など己たり得ぬ。まさに偽物と言うべきその影を払うかのように、エミリィは言い放った。
大成功
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暗都・魎夜
【心情】
はじまりの猟兵
何者かは知らねえが、『伯爵』も求めていた存在だったな
協力したいのにオブリビオンとしての姿が邪魔するってんなら、俺の方からこそ力を貸すぜ
【戦闘】
「よ、はじまりの猟兵さん。積もる話はあるが、詳しくはゆっくり話そうか」
「行くぜ、イグニッション!」
勝利や生存の為なら姑息で卑怯な手段も厭わぬ、か
俺も強いとも言えない力で、あれやこれや小細工使ってやって来た
そういう意味じゃ親近感はあるな
「リミッター解除」して「捨て身の一撃」による攻撃
UCを用いて「限界突破」「激痛耐性」「戦闘知識」で耐えつつ戦う
「師匠が言ってたぜ、"能力者の戦いは凌駕してからが本番"ってな」
【はじまりの猟兵に】
キューソネコカミで押し切られそうになった時の逆転の一撃をお願い
戦場にあるものなら、俺自身の弱さだって武器にしてやるさ
【闇の真の姿】
少年の姿をした魎夜
数限りないゴーストを統べ、闇のオーラに身を包んだ、世界を滅ぼすための兵器
黒い太陽を思わせる、強力な能力者で、魎夜のあり得た可能性
師匠語録とかは言わない
『はじまりの猟兵』。猟兵達がその名を初めて聞いたのは、昨年頭の第二次聖杯戦争――セイクリッド・ダークネスとの戦いの中だった。『伯爵』が彼らを放棄した本当の理由――その手掛かりの先に在った存在の名前。
その名を背負う存在が、今、己の前に在る。なれども、其処に気負うことなく。
「よ、『はじまりの猟兵』さん。俺も加勢に来させて貰ったぜ」
暗都・魎夜(全てを壊し全てを繋ぐ・f35256)は気さくに声をかける。渦巻く闇と対峙する、その女性に対して。
「あ、はい! 『六番目の猟兵』さん! よろしくお願いしますね!」
気付いた『はじまりの猟兵』、やや上擦り気味の声音で応える。その様相は実に協力的と見えるが、同時に魎夜は理解する。彼女は間違いなくオブリビオンであると。
「ああ。協力したいのにオブリビオンとしての姿が邪魔するってんなら、寧ろ俺の方からこそ、ってな」
過去となってしまったが故の枷。其を壊す為ならば、協力するに吝かではない。笑みと共に魎夜は頷く。と。
「――! 来ます、次の怪物……こ、これは!?」
闇の蠕動する気配。警戒を呼び掛けんと声を張る『はじまりの猟兵』だが、その変化に驚きの声を上げる。何事かと目を向けた魎夜もまた、驚愕に目を見開く。
闇の中から立ち昇るは、無数の異形の影。人型や獣型から、不可思議な生物を模したものまで。その影が示す存在について、魎夜は覚えがあった。
「こいつら……ゴーストか!?」
「ごーすと? おばけですか?」
シルバーレイン世界のことを知らぬのだろう、頓狂なことを言い出す『はじまりの猟兵』はさておき。それらはかつて出会い、時には交戦を経た、大小数多のゴースト達。感じられる力の程は然程ではないが、その数はかなりのものだ。
そして、何より。その中心に在る小さな人影――このゴースト達の統率者であろう少年の姿を認めた時、魎夜は目を見開いた。
「あれは……あれが、俺だっていうのか……?」
その姿は、少年時代の魎夜そのもの。なれど己を見返す殺意に満ちた視線、纏わる闇のオーラは、黒き太陽の如し――世界を焼き滅ぼす兵器の如し。
だが、同時に実感もする。今の彼の在り方と相反するような姿は、その実、己の有り得た可能性でもあると。出会った者、直面した出来事。そうしたものが少し違えば、己はこんな存在と化していたのだろう、と。
「あれが……あなたの可能性、と?」
「……ああ。あれは確かに俺だ。ろくでもない道に進んじまった俺だ」
問いかける『はじまりの猟兵』に応えつつ。魎夜は懐からカードを取り出す。イグニッションカード。目の前の己が、己であるならば。為すべきは一つ。
「なら、確かに。あいつを倒すのは、俺のやるべき事だ――ってな!」
その意志を新たとし、その手のイグニッションカードを掲げる。そして、高らかに叫ぶ!
「イグニッション!!」
その起動キーと共に迸る銀色の炎が、魎夜の身を巡り。その手へと集束すると共に、真紅の炎模したる魔剣へと変じる。其を確と握ると共に、魎夜は駆け出す。
「さあ、行くぜ! 援護は宜しくな!」
「は、はい! 行きますよ……!」
最前の黒き妖獣を斬り捨てると共に呼びかければ。応える『はじまりの猟兵』もまたライフルを構えて撃ち放ち始める。
乱射と見えてその狙いは的確、リビングデッドやリリスと思しき闇の人型を次々に撃ち抜き、仕留めてゆく。のみならず。
(なるほど、姑息といえば姑息な手段だ)
足のあるゴーストには足を、翼を持つゴーストならば翼を。機動の要を撃ち抜いて動きを鈍らせんとしている様子。効果があるかはさておき、敵に全力を出させぬ姑息な戦法とは言えるだろう。
(だが、俺もあれやこれや小細工使ってやって来たからな)
銀誓館学園の能力者としてはともかく、一人の人間としては生き抜くにあらゆる手段を取ってきたらしい魎夜。彼としては、かの猟兵の形振り構わぬ戦いぶりには親近感を覚える処。己も強いとは言えぬ力で様々な小細工を弄して生きて来たが故に。
ともあれ、『はじまりの猟兵』の援護射撃を受けつつ、着実に前進を重ねてゆく魎夜だが。敵の数はあまりに多く。その進軍経路は埋め尽くされんばかりの程。
「ちっ、もうちょっとなんだが……ぐぅっ!?
刃を振り抜き闇を退けた処に、すかざす飛び込んでくる一撃。その口から呻きが漏れるが早いか、周囲の影達も寄って集って彼へと攻撃を仕掛けていく。
「………!!」
息を呑む『はじまりの猟兵』。加勢したいが、己もまた此方へ向かって来るゴーストを退けるが手一杯。魎夜を見殺しにすることになるとは分かっていながらも、己の身を守ることしかできず――と。
「――はぁぁぁぁぁっ!!」
裂帛の気合いが声となって轟くと同時、魎夜へ群がっていたゴーストの群れが消し飛んだ。その内側から現れ出るのは、無論魎夜である。
「……! 大丈夫でしたか!?」
「大丈夫、とは言えねぇが――」
呼びかける『はじまりの猟兵』へ、肩を竦めながら応えてみせる。魎夜のその姿はボロボロで、受けたる傷は確かにその身へ刻まれているのが窺える。だが。
「――師匠が言ってたぜ、『能力者の戦いは凌駕してからが本番』ってな」
即ち、魂が肉体を凌駕することによっての継戦。肉体が限界を超えて尚も戦い続け得る、それがかつての銀誓館学園の能力者であった。猟兵となった今でも、その戦いは十二分に可能であることを、魎夜は此処に示した。
「さあ、まだまだ行くぜ……!」
再び踏み込み、魔剣を振るってゴースト達を薙ぎ払い斬り倒していく。それまでに増して勢いを増した攻勢は、捨て身ゆえの力強さでもある。守りを顧みぬ進撃――果たして、このゴースト達を統べる闇魎夜のもとまで届くのか。
――否。そもそも、己が届かずとも問題ない。そう。
(見えました、彼の闇の姿……! ここです!)
『はじまりの猟兵』がライフルを向ける。僅かに密度を減らしたゴーストの群れの合間、垣間見えた闇魎夜の姿へと狙いを定める。
「――撃ち抜け!」
引鉄を引く。ユーベルコードを帯びた弾丸が、狙い違わず闇魎夜を目掛けて飛翔し――そして、其を撃ち抜いた。
直後、崩れ落ちて霧散してゆく闇魎夜。其に呼応するかのように、ゴーストの群れ達もまた消えていった。
「――狙い通りだ」
其を見届け、満足げに魎夜は笑む。今の一射は『キューソネコカミ』、己らが不利であるほど精度の上がる必殺の射撃。一度は打ち倒されかけた魎夜の負傷度合いは、その射撃を必殺たらしめるに充分な代物と言えた。
此処まで追い詰められたのは己の弱さ。だが、今はそれすらも武器としてみせる。この決着は、そんな彼の決意と覚悟が導いた結果とも言えるだろう。
大成功
🔵🔵🔵
ビスマス・テルマール
言うなれば先輩ではあるのですよね、こんな事態でなければ、なめろうをご馳走したい所だったのですが
●Wiz
あの敵、ビスマス結晶と宇宙服が組合わさった様な、アレがわたしの闇の
忌み嫌う、なめろうを捨てた後の未来の……あの闇が形を変えて来るのなら(アポカリプス・ランページ⑮〜NO FEAR 参照)
彼女と『団体行動&集団行動』連携
『早業』UC発動
『オーラ防御』備え『第六感』で攻撃を『見切り&残像』回避
【ガイアビスマスライフル】の【蒼鉛光学弾】にズワイ蟹のご当地パワーと『属性攻撃(重力)』込め蟹鋏『弾幕』にしたのを『誘導弾&エネルギー弾』と一緒に『一斉発射』
彼女がuc撃てる位置取りも考えつつ
※アドリブ歓迎
ソフィア・アンバーロン
◯アドリブとかお任せ
◯闇の真の姿
デモンのドラゴンのようななにか
人の姿していない
…え、あれが私なの?
ちょっとショックだな
せめて、ヒトの形をしてほしかったけど
じゃっ!大鎌さんを呼び出して、血液を吸わせてっと…
始まりの猟兵さん!ストライク・イェーガーをよろしく!
私は大鎌さんの力をフル活用してアレを倒すね!
高速移動で呪殺弾をばら撒いて!間合いを詰めてっと、近づいたら貫通攻撃と切断を利用した大鎌さんを使った斬撃で攻撃だよ!
余裕があるなら魔鍵をぽいっと相手の影に投げて影縛りをして、はじまりの猟兵さんをアシストしたいかな
余裕なさそうだけど、え?!
僕ブレス吐いてない?!……ええ
『はじまりの猟兵』と新たに並び立つは二人の猟兵。その見据える先で闇が蟠り、二つのカタチを戦場に作り上げる。
「あれは……あの忌まわしい、なめろうを捨てた未来のわたし……」
「な、なめろう?」
一つは、ビスマス結晶と宇宙服が組み合わさったような姿の人型。其を認めるビスマス・テルマール(通りすがりのなめろう猟兵・f02021)が呟くのに『はじまりの猟兵』は戸惑い気味の疑問の声を漏らす。単純になめろうを知らないだけだが。
「わたしの救いであり愛そのもの。それがなめろうです。こんな事態でなければ、あなたにもご馳走したい処だったのですが」
「そ、そうなんだ……。けれど、あれをやっつける理由には充分なんだね」
大真面目に語るビスマスに、やはり戸惑いを隠せない様子の『はじまりの猟兵』。とはいえ、ビスマスの忌まわしむ意志は感じ取ったか、其方に対しては理解を示す。
かつてアポカリプスヘルでの戦の折、メンフィス平原の黒炎から現れた恐るべきもの。此処に在る敵は、性質こそ異なれど本質は同じ。乗り越えるべき己の闇。
「……ということは、あれが、わたし?」
そんなビスマスの己の闇の真の姿に対する反応を見て、ソフィア・アンバーロン(虚ろな入れ物・f38968)は改めて『それ』を見る。後脚で立つ四足獣と言うべき姿勢、背には大きな翼。その顔は大きく裂けた口を備え、其処には鋭い牙が並び――その見目はドラゴンにも何処か似る。とりあえずヒトの姿はしていない。
「――デモン?」
闇の肉体という点も相まって、その姿は|夜《デモン》を思わせる。己はデモニスタではなく星霊術士なのに。ソフィアは少々ショックを受けている様子であった。
「せめてヒトの形をしてて欲しかったなぁ……」
「ま、まあ色々歪められた結果ですし、ええ」
慰めるような『はじまりの猟兵』のフォローめいた言には同意しつつも、気持ちが凹んでしまったことは否めない様子のソフィア。と、そこに。
「ならば全力で滅ぼしましょう! こんなものがわたし達の本質などと、有り得ないのだと力で示すのです!」
纏う鎧装の拳を握りビスマスが力説する。己の本質が愛するなめろうを捨てた処に存在するなどと、断じて認めぬと言わんばかりの様相。なれど確かな気迫が其処にはある。故にこそソフィアも頷き。
「そうだね、あんなのは僕じゃない」
改めてドラゴンともデモンともつかない己の闇の姿を見据える。確かな戦意、或いは殺意と共に、両腕を頭上へ掲げれば。
「アレを叩き斬って、血を啜っちゃって――大鎌さん!」
呼びかければ片腕がずきりと痛み。その痛みの源から空間を曲げて、骨質の大鎌が飛び出してくる。其は『黒龍骨のデヴァイス』、かつてソフィアが使用していた大鎌。その正体はデモンと判明したが故に、今はこうして召喚し使役する形で行使しているものだ。
「わたしも行きましょう! ビスキャンサー!」
ビスマスも負けじとばかりに呼ばわれば、何処からともなく蟹を模したる鎧装備が飛来、変形すると共にビスマスの身へと纏われ、彼女の元から纏う鎧装と合体する。
『Local Hearts Biscancer BisRise!』
鎧装からそんな電子音声が響けば、合体完了の合図。ビスマスは此処に、ビスキャンサー・バーストモードへと変形を果たしたのである。
「来るよ、ビスマスさん!」
「望むところです!」
一方の闇の姿達も対抗せんとばか動きだす。闇ビスマスが|蒼鉛《ビスマス》の結晶じみた形状の弾丸を掃射すると共に、闇ソフィアが大きく息を吸いこみ――黒き炎をブレスと成して吐きかけてきた!
「何の!」
無論、黙って受けるビスマスではない。構えたるはガイアビスマスライフル、放たれるは蒼い光を纏った弾丸。速射によって蟹鋏を思わせる弾幕を形成し、闇の猟兵達を抑え込まんとする。
「僕だってやられないよ!」
ソフィアは手にしたる|大鎌《デヴァイス》から呪いの弾丸をばら撒き、闇ビスマスの弾幕を撃ち崩しながら距離を詰めてゆく。狙うは闇ソフィア。
「斬っちゃうよー……うわっ!?」
大鎌を振りかぶり、闇ソフィアへ斬りかからんとするソフィア。だが、闇ソフィアが其処で突然動く。急にソフィアの方を向いたかと思えば、その顎から猛烈な勢いで闇の炎を吐きかけてきたのだ。
「……ええ……ブレスまで吐くの、僕……」
気付くのが早かったが故か、咄嗟のステップでブレスの回避には成功。然し己の闇の姿がブレスすら吐いてきたことに、改めてショックを覚えている様子。
そんなソフィアへと首を回し、再度ブレスを吐かんとした闇ソフィアだが、其処へ無数の銃弾が飛来。闇でできた彼女の肉体を削ぎ壊し始める。
「わたしもお相手しますよ……!」
「勿論、わたしもですよ!」
それは『はじまりの猟兵』が繰り出したユーベルコード。常識を超越した速度で連射されるライフル弾が、ビスマスの放つ光学弾の弾幕と合わさって、闇の猟兵達へ向けて怒涛の勢いで浴びせられてゆく。闇ソフィアも闇ビスマスも、正しく雨の如く降り注いでくる弾幕を前に、思うような動きが取れない様子。
「消し飛べ、わたしの闇!」
そこへ狙い澄まして、ビスマスが更なる弾を一斉発射。それはご当地パワーを凝縮した誘導性のエネルギー弾。ミサイルじみて飛来したそれが狙う先は、無論、闇ビスマス。
彼方も似たような弾幕を張って対抗するも、ビスマス側には『はじまりの猟兵』の援護もある。より濃度の増した弾幕にて押し返しつつ、敵の放つ弾はビスマスの纏うオーラの障壁にて防ぎ止める。
そして、斉射されたエネルギー弾が闇ビスマスへと叩き込まれ。闇で形作られたる肉体が吹き飛び、そのまま崩れ落ちていった。
「僕の真の姿を模すんだったら……!」
黒炎のブレスを突っ切り、ソフィアが己の闇の姿へと肉薄する。大鎌を振りかぶり、狙うはその首。
「せめて! ヒトの姿で出直せっ!」
叫ぶと共に大鎌一閃。竜じみた首を胴部から泣き別れと化さしめ、これを仕留めてみせた。
大成功
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ウーヌス・ファイアシード
汝が我らの始祖…
その身を変じてなお、我らを待ち望もうとは…!
…そして、6つの翼
剣を掴む、火が溢れる岩の両腕
衣の形へ変じた火をたたえる「手」
それを纏う身体は我より「大人」…
…嘗てと今の我が混ざり合ったような「闇」が現れようとは…!
「はじまりの猟兵」よ!
嘗て人が我を退けたように、共に不屈の戦で、彼奴を退けようぞ!
我が前衛として立ち、薪の剣と「火を掴む手」での攻撃と【武器受け】を駆使し、はじまりの猟兵を守りながら戦う
傷ついても「灰は復燃し、再び火を紡ぐ」で身を紡ぎ直し、敵の意識をこちらに向けさせ続け、はじまりの猟兵が隙に付け入られるようにし
機を見て「プログラムド・ジェノサイド」で攻撃してもらおう
はじまりの場所に渦巻く闇、其をも灼かんばかりの炎を纏い、舞い降りる姿。|灰化《かいか》齎す炎操るウーヌス・ファイアシード(復燃せし灰化の火・f37284)である。
「汝が、我らの始祖か」
語る物言いには尊大さがあれど、声音には確かな敬意が滲む。己ら六番目の猟兵を、長く――その身がオブリビオンと化すほどに長く待ち続けたことへの敬意を。
「はい! って。なんだか凄い力を持ってるっぽいヒト……?」
それ故か、『はじまりの猟兵』からの返答もその在り方への驚きが滲む。流石に神に類する存在が来るとは思っていない模様。
「この炎を凄いと判ずるなら、そうとも言えるだろうが――」
ウーヌスもかけられた言葉を半ば理解しつつ、視線を蟠る闇へと向ける。その中から現れ出る存在を、厳しく見据えるかのように。
「――あれは」
其処に現れ出た存在は、背に六枚の翼、傍らに炎溢れる岩の両腕を有し。衣の形を取った炎をその身に纏った女性と思しき姿。丁度、ウーヌスを少々大人っぽくしたような見目。
「――よもや、嘗てと今の我が混ざり合わさったようなものが現れようとは……!」
驚きつつも納得を以てウーヌスは呟く。己の真の姿を軸としているなら、そういうことも有り得よう、と。だが。
「然しこの様子……奴はやはり|終末《ふはい》を望む側か」
纏う気配はオブリビオンそのもの。且つ、向けられる視線には確かな敵意が滲む。ならば、打ち倒すより他に無し。
「『はじまりの猟兵』よ! 共に彼奴を退けようぞ!」
故に呼びかける。敬意抱く先達へ。嘗て己が人によって退けられた時の、彼らの不屈の戦いぶりを、今度は己らが演じようと。
「……はい! やりましょう!」
戦意充分の『はじまりの猟兵』に頷くと、ウーヌスは己の闇の姿へ向け肉薄する。その手に薪たる剣を、傍らに岩の腕を携えて。
向かってくるウーヌスを見れば、闇のウーヌスもまた動く。二本ある岩腕を振るい、ウーヌス目掛けて拳打と斬撃を繰り出さんとする。
「何の!」
ウーヌスは素手の岩腕を己の岩腕で防ぎ、もう片方が振るう剣を薪の剣にて防ぐ。どちらも出力の高さを感じさせる重い攻撃。防いだ岩腕の一部が砕け、押し込まれた刃で身体が裂けるも、ウーヌスは怯まぬ。何故なら。
「其処です!」
闇ウーヌスへと狙い定めた『はじまりの猟兵』の銃撃が、攻防の合間に何発も撃ち込まれる。ウーヌスへの攻撃で隙を晒したそれらを狙った攻撃は、着実に敵の身を捉え削ってゆく。
「く……っ!」
なれどもダメージが重なって尚、闇ウーヌスの攻勢は激しく。守りを押し込むことで、ウーヌスの身にも少なからぬ傷を刻み込んでゆく。
「まだまだ……我は倒れぬ……!」
だがウーヌスもまたその身に炎を宿し、激しく燃え上がらせる。其が負傷を癒し、ウーヌスへ更なる力を齎す。纏う炎が一層の出力を以て闇ウーヌスへと浴びせられ、反撃を為す。
其を振り払わんとばかり岩腕を振るう闇ウーヌス。猛烈な勢いで繰り出された其が、ウーヌスを打ち据え、斬り刻むが。一方で、彼女に意識を向けられていない者なら、其処に確かな隙を見出すことだろう。そう。
「――今です!」
それが決定的な隙、と『はじまりの猟兵』は判じ、両手に生成せしライフルを、予め決めていた形で次々叩き込んでゆく。即ち『プログラムド・ジェノサイド』。
放たれる弾丸は狙い違わず闇ウーヌスの全身を撃ち抜き、以て致命傷と為さしめる。よろめく闇ウーヌスへ、薪の剣を構えたウーヌスが肉薄し。
「燃え落ちよ――|終末《ふはい》の炎よ!」
袈裟斬り一閃。斬られた闇ウーヌスの身は燃え上がり、そのまま其を構成する闇もろとも、灰も残さず焼け落ちていった。
大成功
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カタリナ・エスペランサ
●闇の真の姿
外見:剣持つ真の姿が【失楽の呪姫】等で使う終焉の劫火と一つになった状態
能力:剣技+体術+自在に荒れ狂う紅き劫火
行動:無言無感情、本能のまま世界を無差別に焼滅させる災厄
支援は窮鼠猫噛のトドメ希望
~~
成程ね
未来はあらゆる可能性を許容する――最悪の破滅さえも
けれど終焉は停滞を打破し、新たな始まりの礎とする為のものよ
未来を謳う者として、全てを閉ざす自滅因子程度は制してみせないとね
気を付けて御先達
あの劫火は全てを終焉に塗り潰す概念の具象、これに通じる護りはない
莫大な質量やエネルギー、或いは同じ概念干渉をぶつけて時間を稼ぐのが精々よ
つまり六番目らしい力業の出番ね
《リミッター解除+限界突破》【叛逆の黒紅】でオーバーロード、《封印を解く》数は3つ
【失楽の呪姫】で強化を重ね【空覇絶閃】で敵の劫火を断ち斬る
暴走する終末機構との純粋に桁違いな出力差は
己の本分を喪失した敵には使えない【第一神権】で《瞬間強化》、強引に相殺・拮抗させるわ
最後の一手――
巫山戯た絶望への叛逆は私たちの本懐でしょう、御先達?
未来とは未知、如何なる形を取るかなど神にさえも識れぬ。あらゆる可能性を許容するものである。
「――成程ね」
故にこそ、カタリナ・エスペランサ(閃風の舞手・f21100)は理解する。そんな可能性の中には、最悪の破滅さえも混在することを。今、己の目の前に在る『それ』を前として。
「気をつけて、御先達」
「!」
並び立つ『はじまりの猟兵』へと注意を促す。『それ』が何であるかなど、カタリナには手に取るように理解できる。歪んではおれど、『それ』は――闇より滲み出たる敵の姿は、他ならぬカタリナ自身であったのだから。
解けた長い金の髪、三対六枚に増えた翼。大剣を携えたるその姿は、カタリナ自身も知る己の真の姿。なれどそれらは全て、総身より溢れ出る炎に塗り潰される。己もユーベルコードを以て行使する、終焉の劫火。
「あの劫火は全てを終焉に塗り潰す概念の具象。これに通じる護りは無い」
故にその性質も確と理解する。成程、敵に回せば厄介なことこの上無い。無論、己の業でもあるが故に対処の術も知ってはいる。いるのだが。
「莫大な質量やエネルギー、或いは同じ概念干渉をぶつけて、時間を稼ぐのが精々」
「生半な小細工で誤魔化せる力じゃない、ってワケですね……」
それが容易ならぬこともまた、使い手として理解している。並び立つ先達もまた、カタリナの語る説明を受けて其を理解したと見える。ならば。
「そういう事――つまり、|六番目《アタシたち》らしい力業の出番ね」
振り返り、微笑むと共に。その姿が変異を開始。纏められていた髪が解けて風を孕み広がって。背の翼は一対から三対へと増え。魂の力の限界突破――オーバーロード。それもまた、六番目の猟兵にこそ許された力。
その手に現れるは、常と異なる黒紅の大剣。己と共に在る魔神の権能を復元・昇華させて形とした代物。ユーベルコードを以て顕現せしめたる刃。
「最後の一手は任せるわ――行くわよ!」
其を先達へと告げると共に、カタリナは駆けだす。応えるが如く、闇のカタリナもまた劫火を撒き散らしながら疾走を開始――直後。
(速い……!)
闇カタリナの姿は、瞬時にカタリナの眼前に。繰り出されるは構えたる大剣――ではなく、脚!
「ぐっ!」
咄嗟に構えた大剣で蹴りを受けるが、伴う衝撃力に身体が浮き上がる。其処へ闇カタリナが大剣を振り下ろす。伴うは荒れ狂う紅き劫火。防御姿勢ごと斬り潰すつもりか。
「そうはいくもんですか……!」
抗うが如く、カタリナもまた大剣を振るう。其処に纏われるは同じく紅き劫火。ユーベルコードの更なる励起によって発現せし、かの敵が行使するものと同じ終焉の劫火。
両者の炎がぶつかり合い、重なり合い、そして互いに消し飛ぶ。同一の概念の衝突による対消滅。ならば後は互いの剣がぶつかり合うのみ。
「くぅ……っ!」
衝撃力に堪らず吹き飛ばされるカタリナ。否、敢えて吹き飛ばされたのだ。以て間合いを取り直し、仕切り直しを図る為に。
だが其を許さじとばかり、闇カタリナが背の翼を打ち振るう。其処より噴出せし炎が瞬時にその火勢を増して、大波じみた勢いでカタリナへと迫る。
「これはまた派手にやってくれるわね……!」
思わず驚嘆が口を突いて出るが、既に対処の術は取っている。その両手は握りたる大剣を幾度も振るう。目にも留まらぬ程の速度を以て、幾度も重ねて。
斬撃と共に放たれるは、あらゆる概念をも切断する斬撃。浴びせかかる劫火も、其が纏う終焉の概念も、諸共に斬り払い、凌いでゆく。
「!!」
幾度目かの斬撃の直後。劫火の波が途切れたと見えた瞬間、その向こうから現れたのは闇カタリナの姿。カタリナが劫火を凌ぐと見て、タイミングを計り踏み込んできたか。
「何の……!」
鋭い斬撃。カタリナも大剣で受ける。そのまま立て続けに繰り出される闇カタリナの斬撃。カタリナは大剣を駆使し、或いは翼で距離を取り。斬撃に伴い浴びせかけられる紅き炎は己のそれで以て相殺する。
なれど攻勢に出る隙は見えぬ。敵は言わば、終焉の劫火で世界全てを焼滅させんとする、暴走する終末機構。大本の姿は同じと言えど、出力差は歴然。本来ならばとっくにカタリナ自身も焼き滅ぼされていてもおかしくなかった。
「この世界の未来への道行き、阻めるとは思わないことね……!」
斯様なる敵を前に、それでもカタリナは食い下がり拮抗する。人々に未来への希望齎すを己が在り方の一つと任じるが故の、未来への渇望。其を源泉とするユーベルコードが、本来不可能な拮抗を可能としている。未来を謳う者として、全てを閉ざす自滅因子程度は制してみせる――その意志を基に、強引な拮抗を作り出す。
それでも、押し返すには足りない。否、足りなくても構わない。拮抗を作り出すまでが己の役割とカタリナは任ずる。最後の一手を打つのは、そう。
(――巫山戯た絶望への叛逆は、私たちの本懐でしょう?)
大剣同士の鍔迫り合いを演じながら、刹那、視線を流す。認めるは、ライフルを構える先達の姿。狙いは十全。ならば、後は数瞬の拮抗を保つのみ。
放たれる銃弾。ユーベルコードを纏った其が、闇カタリナの蟀谷を撃ち抜いて。終焉の闇を、砕き散らしてみせた。
大成功
🔵🔵🔵
雨飾・樒
はじまりの猟兵、一緒に戦えて、とても光栄
真の姿、実はまだ知らない
あの闇は確かに私の形をしている、認めたくないけど
何も着てないのはまだ許せる、この前も裸で戦わなきゃいけないことあったし
身体の色々な箇所が爛れて黒ずんで、内側で何か蠢いてるのは気色悪過ぎる、別の生物に寄生されてるのかな
酷い腐臭もする、まるでゾンビみたい
真の姿があれに近いとか、絶対に嫌だ
敵の能力も私と同じなら、先に射撃を命中させた方が圧倒的に有利になる
はじまりの猟兵と連携すれば、どんなに素早く動き回られても仕留められるはず
"眠り薬の魔弾"とキューソネコカミを交互に絶え間なく撃ち続ければ、どちらかを命中させられる
どっちも一発で充分な効き目が出なくても良い、怯んだところに続けて撃ち込むつもり
こんなのじゃない、ちゃんとした真の姿に、いつか必ず至ってみせる
ヴィルジニア・ルクスリア
『はじまりの猟兵』がオブリビオンになっていたり、闇から現れた怪物を倒す為に共闘するとか流石に想定外ね。
『はじまりの猟兵』の言葉を、真実を聞くためにも怪物……歪んだ姿の私を倒すわ。
本来の私の真の姿は、多頭の蛇竜に例えれば分かりやすいと思う。
それに一人の少女が融合したのが、闇の真の姿。……パヒュームリリスだった私に近い姿。
ああ、不愉快ね。
見たくもない、自分の醜悪な本性を見せつけられるのは。
今すぐ殺したい、消し去りたい。
だけど、感情に任せて戦って、勝てるわけもない。
そんな無様な姿を彼女に、『はじまりの猟兵』に見せるわけにいかない。
私たち第六猟兵を信じて、待っていてくれた先達の期待を裏切るわけにいかないわ。
単独での打破は難しい、なら数の力で勝負よ。
「先輩、力を貸してください」
『はじまりの猟兵』は ストライク・イェーガーで絶え間なく援護射撃してくれる。
『鏡像作業』発動
技能は【集団戦術】を指定
【陽動・フェイント】で翻弄しつつ、魔術や武器攻撃、あらゆる手段を使い【集団戦術・連携攻撃】で敵を討つ。
『はじまりの領域』に漂う闇は徐々にその色を薄れさせてゆく。その闇が晴れることは即ち、己の消滅を意味するとしても――『はじまりの猟兵』の纏う気配に、悲愴さは見えない。
「大丈夫。あなた達が来てくれたのなら――わたしが在り続けた意味は、果たされるのだから」
その言葉と共に迎えるは二人の猟兵。己と同じネズミの獣人の少女と、蛇の髪を持つ少女。
「『はじまりの猟兵』。一緒に戦えて、とても光栄」
ネズミ獣人の少女、雨飾・樒(Dormouse・f41764)は、向かい合った『はじまりの猟兵』の仮面に覆われた顔を真っ直ぐに見つめる。その表情と視線が宿すは純然たる敬意。彼女のようにこの世界に生まれ育った獣人にとって、『はじまりの猟兵』とは己らに超大国群へ抗う手段を与えてくれた偉人中の偉人。なれば抱く敬意も並ではあるまい。
「あなたがオブリビオンになっていたことも、そんなあなたと共闘することも。流石に想定外ね」
今一方、蛇の髪を持つ少女――ヴィルジニア・ルクスリア(|甘やかな毒《ダークメルヘン》・f36395)はそう己の感慨を語ると共に『はじまりの猟兵』へと向けていた視線を、その背後で渦巻く闇へと移す。予知に見た時よりも薄れた闇が凝集し、二つの人の形を創り出す。
「……あれは……私……?」
樒が目を見開く。彼女は未だ、己の真の姿を知らない。故に、目の前に現れた『それ』が、己の真の姿と言われても納得してしまいそうな処ではあったが――首を振る。
現れた其は、確かに樒と同じ形をしている。一糸纏わぬ裸体を晒しているのも、まだ理解できぬではない。此度の戦においても、裸で戦わねばならぬ戦場が確かにあった。だからまだ許せる。
だが、その小柄な体躯は、全身至る処が爛れ黒ずんで、内側で何かが蠢いている様が見えるのは、あまりにも気色が悪い。その身体の下、別の生物が寄生しているとでもいうのか。
挙句、肉体からは猛烈な腐臭すら漂う。肌の黒ずみと合わせれば、その様相はゾンビかと紛う有様だ。
「……嫌だ」
嫌悪のまま、樒が口を開く。真の姿、埒外たる猟兵の本質たる姿。まだ見ぬ己のその姿が、このような醜悪極まりなき姿に似ているなどと、認められよう筈も無し……!
「この『私達』の姿は、私達本来の真の姿を歪めたもの。其処にどれ程の悪意が籠っているやら、分かったものじゃないわ」
そんな樒にフォローめいて語るヴィルジニアもまた、表情を嫌悪に歪ませていた。視線の先には、その背に多頭の蛇竜らしきものを融合させた、ヴィルジニアを更に幼くしたような少女の姿。
ヴィルジニア本来の真の姿は、少女と融合している蛇竜、それ単独のみの姿。では、あの少女が何かと言えば。
「――ああ、不愉快ね」
それは、かつての彼女の姿。パフュームリリス――かつてのシルバーレインにおいて|生命の敵《抗体ゴースト》として在った頃の姿。快楽のままに生命を貪り喰らった、彼女の醜悪な本性の具現。人と共に生きる今の彼女にとっては、見たくもない代物。
今すぐ殺したい、消し去りたい――そんな殺意が心中で渦巻くのをヴィルジニアは自覚する。だが、まだ仕掛けはしない。
敵の力は確実に自分より上。そんな敵に対して感情のまま立ち向かったとて、勝ち目など無い。無様に引き裂かれ、斃れるのみだ。
(――そんな無様な姿、彼女に見せるわけにはいかないものね)
振り返る。『はじまりの猟兵』、仮面越しの視線が己の視線と交錯する。そう、彼女の期待を裏切るわけにはいかない。
(彼女は私達を――『第六猟兵』を信じて待っていてくれたのだから)
オブリビオンと化して尚、恐らくはたった一人で。来るかどうかすら定かならぬ己らを待っていた始祖。彼女の期待には、応えねば。
「先輩、力を貸してください」
「私もお願い。これだけの敵、あなたの力が必要」
故にヴィルジニアは呼びかける。彼女の力を貸して欲しいと。樒もまた呼応するが如く、協力要請を行う。
「もちろんです。闇の濃度からして、これが最後の怪物達――」
その意味する処を、知った上で。『はじまりの猟兵』は、得物たるライフルをその手に構える。
「――一緒に、打ち倒しましょう!」
闇の戦場に、無数の銃弾が撃ち放たれる。『はじまりの猟兵』が携えるライフルから、本来の連射速度を超えた量の銃弾がばら撒かれる。
弾幕の嵐を跳躍で跳び躱し、『はじまりの猟兵』へと銃を向ける影。闇の樒だ。弾幕を止めるべくかの猟兵を撃ち抜かんとした彼女だが、其処へ飛来した弾丸に跳び退くを余儀なくされる。
「その姿で、これ以上好き勝手はさせない」
樒である。互いに同じ力を持つ者同士、先に銃撃を浴びせた方が有利と見たが故に。かの怪物へ先手を許さぬ為、眠りの魔弾を撃ち続けてはその行動に制限を加えてゆく。
闇のヴィルジニアに対しては、ヴィルジニアが――ヴィルジニア『達』が地を駆け迫る。携えたる鏡とユーベルコードを以て呼び寄せたる9名の鏡像と、オリジナルのヴィルジニア。10名がかり――更には『はじまりの猟兵』の援護射撃を受けつつ、闇のヴィルジニアへと攻め入ってゆく。
無論、闇のヴィルジニアも黙ってはおらぬ。己の蛇――巨大な蛇龍の顎を以て噛みつき、或いは火や毒をブレスの如く浴びせにかかる。
だが狙われたるヴィルジニア達は足を止め、或いは逆に跳び退いて。纏う闇のオーラも合わせて攻撃を凌ぐ。それと同時、闇ヴィルジニアの左右側面から同時に襲い掛かるは、狙いを逃れたヴィルジニア達だ。振るわれるチェーンソー剣や蛇腹剣、或いは火炎の波や呪詛の魔力矢。持てる手段を様々に行使し、闇ヴィルジニアやその背の蛇龍を斬り、焼き、穿ち、攻めたてる。それらへと闇ヴィルジニアの狙いが向けば、次は先に狙われていたヴィルジニア達が仕掛ける番だ。
元が同じヴィルジニア達という事実を差し引いても巧みな連携、集団戦術。10名のヴィルジニア達はまるで同一の意識のもとに動いているかの如く、巧みに闇ヴィルジニアを翻弄し、傷を重ねていき。
「――消えろ、醜き私。そんな|本性《もの》に、私は振り回されない」
それは紛いなく己の裡にあるもの。なれど御し、秘し、以て生き続けてみせると。その意志と共に、ジェット加速した鋸剣を振り下ろす。『はじまりの猟兵』が放つ弾幕に逃げ場を奪われた闇ヴィルジニア、その身へ牙じみた刃が食らいつき、引き裂き、斬り破り。以て、闇へと還し霧散せしめてみせた。
「逃がさない。此処で、絶対に仕留める」
樒もまた、闇の己を徐々に追い詰めつつあった。闇の樒の機動力は凄まじく、疾走に跳躍を交えた三次元機動で巧みに弾幕をすり抜け、樒や『はじまりの猟兵』へ銃撃を見舞おうとしてきた。その度に牽制射を繰り返し、決定的な一撃を受けるを凌ぎ続けてきた。
なれど、敵はあくまでも樒を基とした存在。どう動くかの目算は、樒ならば予想がつくもの。速度さえ把握すれば、後は己ならばどうするかの予想を基に撃ち込んでゆくだけ。
そうして機動を制約された闇樒は、徐々に機動の範囲を制限され、追い詰められてゆく。『はじまりの猟兵』の弾幕に闇樒が堪らず足を止めたその瞬間を、樒は見逃さない。
「沈め、闇の奥底へ――有り得ない未来の狭間へ」
狙い澄ました銃撃。放たれたる眠り薬の魔弾が、腐れ落ちかけた闇樒の胴へと撃ち込まれる。よろめき、足元覚束なくなる闇樒。此処が決着の時だ。
樒が放つ魔弾と『はじまりの猟兵』が立て続けに放つ必殺の銃弾が、闇樒の身を立て続けに貫き穿ち。何射目かの銃弾を受けたその時、即死の力が効果を発したか。闇樒の肉体は闇に戻りながら溶け崩れ、消え去ってゆく。
「――いつか、必ず至ってみせる。こんなのじゃない、ちゃんとした真の姿に」
願わくば、より一層、己に相応しき姿を。そんな願い、或いは決意を込めて。樒は呟いた。
●
「――あ――」
そうして闇の怪物が滅ぼし尽くされた直後。闇が晴れてゆくと共に、『はじまりの猟兵』の姿も徐々に薄れだすか。怪物達は全滅せしめたものの、其が果たされれば彼女もまた同時に消えてしまうというのは、どうやら事実だったらしい。
「――ありがとう、『六番目の猟兵』の皆さん。これでやっと、私は――」
なれど『はじまりの猟兵』の声音は、其を受け入れる意志を示すが如く穏やかで。己もまた、過去と消えゆく時が来たのだと。
「――あ、と。そうでした。今ならば、皆さんに真実を話すことができる筈です」
だが、其処で思い出す。猟兵達に、伝えねばならぬ情報を。『はじまりの猟兵』たる己と、『六番目の猟兵』たる猟兵達の間――『二番目』から『五番目』の猟兵達について。
其を語りきると共に、『はじまりの猟兵』は改めて消えてゆく。彼女が遺した情報は、猟兵達に果たして何を齎すだろうか――?
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵