9
無頼漢、求む 偽りの用心棒

#サムライエンパイア

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#サムライエンパイア


0





 それは、波止場にある小さな屋敷。そこにいたのは、坂枝一家と呼ばれる極道の屋敷だった。
「……で? 人は集まったのかい?」
「いやぁ、そうそういやしませんぜ? 向こうさんの気に入りそうな腕利きは」
 囲炉裏の前で煙管を吹かす親分、坂枝権蔵に、助六という男は肩をすくめる。助六は坂枝一家でも顔が広い事で有名な任侠だ。いや、坂枝一家まとめて極道とか任侠というより、人でなしの集まりなのだが。
「もっと手広く捜したらどうだい? この太平の世、腕っぷしを余らせてる貧乏人なんざ腐るほどいるだろうが」
「いやぁ、親分。やりすぎはいけねぇや。それこそ人が集まらなくなる。うちの出入りの用心棒って事で集めてるんですぜ?」
 ああ、と権蔵親分は煙を吐いた。確かに困る、うちの一家の看板に傷がつくのは避けたいところだ。
「とにかく、向こうさんの注文がきつい。腕っぷしがたつったって、この間みたいに気に入らなきゃ文句言われちゃたまんねぇよ」
「はっ、どこぞの剣術道場の目録の腕前って言いながら、一発で手下に斬られたって言うじゃねぇか。そりゃあ怒るってもんよ」
「極道もんに、強いヤツと戦いたいからって相手を募る馬鹿ですぜ? 有名所の免許皆伝でもねぇと満足しねぇんじゃないですかい?」
 ――ようは、こういうカラクリだ。
 坂枝一家は、喧嘩の名目で用心棒を募る。成功報酬を高めにちらつかせ、ある連中のいる場所を襲わせるのだ。何故? それはある連中が強い相手と戦いたい、そういう願望を持つ壊れた奴らだからだ。
「しかも、向こうの頭はいい武器持ってるヤツを送れって……むちゃくちゃですぜ」
「そういうない、金払いはいいんだからよ」
 極道に金を払って殺し合いがしたいという馬鹿の集まりだ、権蔵親分は今度も贔屓にしたいらしい。助六はため息を一つ、立ち上がった。
「そんじゃあ、また見繕ってきまさぁ」

「ずいぶんと、頭のネジが外れた連中のようじゃな」
 ガングラン・ガーフィールド(ドワーフのパラディン・f00859)は顔をしかめ、そう言った。
「剣客やらのオブリビオンが、腕っぷしの強いヤツと戦うためだけに人を集めさせては斬り殺しておるようでの。目に余る悪行じゃ」
 ただ、連中がどこにいるか知っているのはその極道者だけである。なので、用心棒になって連中のいる場所に案内してもらう必要がある。
「自分の腕を見せるもよし、技を見せて信頼を得るもよし、口八丁手八丁やるのもよしじゃな。後、よい武器珍しい武器を持っておると雇ってもらいやすいらしいぞ」
 ガングランはそこまで言うと、髭を撫でながら言った。
「何にせよ、強い敵とやりあいたいというのなら相手をしてやるまでよ。よろしく頼むぞ」


波多野志郎
チャンバラ大好き! どうも、波多野志郎です。
今回はサムライエンパイア世界で、思う存分チャンバラをお楽しみください。

まずは、坂枝一家の用心棒になって情報を得ましょう。腕自慢、技自慢、口八丁、存分にお尽くしください。


それでは、白刃舞う戦場にてお待ちいたしております。
258




第1章 冒険 『裏の依頼をわざと受ける』

POW   :    依頼人の前で腕っ節を披露し、使い勝手の良い体力バカを装い信頼を得る。

SPD   :    手癖の悪さや鍵開けなどの器用さをアピールし信頼を得る。

WIZ   :    口八丁で依頼人に取り入る。依頼人と同じ穴の狢だと思わせ信頼を得る。

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

月鴉・湊
腕や技を見せろ、か。
おじさん腕に自信はないけど、大丈夫かなぁ
あんまり人間離れした技を出しても、怪しまれる可能性あるし、ほどよく、ね。

助六とやらが人気のないところにいったところで忍び足で近づき気づかれずに背後から声を掛ける。

お前が強い奴を探しているという者か?と
振り向いても俺の暗殺経験を活かし、死角へと行き絶対に姿をさらさないようにする。

ちょいと金に困っててね、俺を雇う気はないかい?
こんな風に、少々、首を取る事なら出来るくらいだけどね。
今だって一瞬でお前の首を胴体から切り離すことくらいなら簡単だ。と
いい恐怖も与えておこう。

雇ってくれるなら目の前に姿を現す。
俺の技、上手く使ってくれよ?


ステラ・アルゲン
強い用心棒を雇ってそれを斬り倒しているとは
強い者と戦いたいという欲は分かる気がしますが、このような手で行うのは違うと思います
それに最後には殺すというのもね

さて、私は腕っぷしを披露して用心棒になりましょうか
それに彼らが探す、良い武器でもありますし

私は剣のヤドリガミ、それも英雄と謳われた主を持つモノ
剣の身に刻まれた主の【戦闘知識】を元に剣技を披露しましょう
それが終わったら本体たる流星剣を見せて良い武器であると【誘惑】

私は貴方達の役に立つことをお約束しましょう

【コミュ力】と【礼儀作法】を持って、忠実な用心棒になるというように装いましょうか


六道・紫音
ふむ…首謀者は剣鬼、剣魔の類か…我々のような剣士は確かに人斬りに堕ちる危険を孕み生きてはいるが、これはもう堕ちた剣士の所業だな。
まぁ、その剣士とやらの実力に興味が湧いて仕方ない俺も同類ではあるが。

・行動
腕を見せて信頼を得て、その仕事を受けよう。
「俺を雇え、さすれば理に至りし剣…見せてやろう」
『捨て身の一撃』により全神経を攻撃に集中して『鎧無視効果』と『怪力』を発揮し着込んだ鎧すら無効化する【伍之太刀《氷牙》】を『早業』で素早く叩き込み『属性攻撃』の力で地形ごと凍らせながら跡形も無く粉砕して見せ。
「分かってもらえたかな?」
割と派手めの技を見せたんだ、雇ってくれるだろう。

※アドリブ歓迎


信楽・黒鴉
SPD

峰打ちでの【盗み攻撃】にて趣味と実益を兼ねてめぼしい武器を強奪して腕前を見せつけ、【殺気】と【見切り】にて、あっさり自分に武器を奪われるような使えなさそうな用心棒を間引いた上で【コミュ力】を活かして自分の腕を売り込む。

「……腕は残念、しかし刀はなかなか良い物をお持ちのようだ」
「まあ、貴方には不要の逸品。代わりに僕が貰ってあげましょう。ついでにお引き取りを。そんな腕で用心棒とは片腹痛い」
「……さて、僕の腕は分かってもらえましたかね?」

アドリブ、改変、絡み、なんでも歓迎です。


白斑・物九郎
●POW
波止場周辺を散策
野良猫っポく振る舞う「茶斑の三毛」も適当に放って坂枝一家が賭場でも開いてないか探りまさ(情報収集)
丁半とか単純なヤツがイイ

見付けられたら渡世人を称して仁義を切ってお邪魔

野生の勘フル稼働
左腕の刺青をチラ付かせながら、雑談に交えて金欠アピールしつつ、ガチで勝ちに行く
勘が冴えてりゃ丁半のみならず出目から言い当ててやりますわ

胴元が「勝ち過ぎた新顔」にイカサマを仕掛けて来るかアヤ付けて来るのを待つ

披露するのは拳銃のクイックドロウ
イカサマならでツボとサイとをブチ抜いてやりますし、アヤ付けて来たなら手勢を掠めるようにブッぱなしてやりますし


こんだけやりゃ用心棒にと声も掛かりましょうかや


祇条・結月
斬りあいがしたいなら、自分たち同士で斬りあってればいいのに。
……なんて、思わず乱暴なことを考えるくらいには、僕はきっとこのオブリビオンたちが嫌いなんだろうな。
……うん、行こう。野放しにはしておけない

手先が器用で役に立ちそうなことをアピールするよ
……ほんとはこんなことに使いたい技術じゃないんだけど【鍵開け】で南京錠くらいなら開けて見せるし、他にも【罠使い】や苦無の【投擲】の腕前もアピール。

「出入りっていうなら搦め手の得意なのも、少しは混ぜておくと役に立つと思いません? 首尾よくこの仕事をこなしたら、後々の役にも立ちますよ」
と売り込んでいく。

まずは怪しまれないように、とりいらないとね


フロッシュ・フェローチェス
……珍しいかどうかは兎も角、武具は幾つか持ってるし、潜入の為にアタシの速さをアピールしてみるか。
最初は自分のスピードの前に、武器を見せみてよう。

先ずは散弾銃・刻天炉。可変式だから、大砲状の壊銃形態と狙撃用の穿銃形態を見せて可能なら射的してみよう。後2つ形体あるけど念の為それは隠しとこう。

伸縮可能なドス・碧穿炉を加減した速さで伸縮させてみせたり。
生きた鎖・咆蛟炉を、頭部型アクセは動かさずうねらせてみたり。
もって来た魔改造軍用バイク・闇鷲炉のブレード展開や銃器機動も、低稼働率で見せてやろうかな……。

最後は【廻砲】により残像も映さない速度のダッシュで、早業にて何かすり取ってみようかな?

※アドリブ歓迎


オデット・クレイトン
【SPD】

※アドリブ、悪乗り大歓迎

金払いはいい……ちょっと懐が寒くなって来ましたし悪党倒しついでに私も温まりに行きますかね

【血の追跡者】で猟犬を召喚して勧誘してる極道者を[追跡]、死角から監視
私自身はわざと気配を気取らせて極道者人気のない路地とかでお話しさせてもらいましょうか

「表じゃ言えないような依頼があるという話を聞いたので、是非一枚噛ませて欲しいのですが

と、極道者の後ろで猟犬を吠えさせて注意を引いてる内に相手のお財布でも[盗み]ます

「この通り手先の器用さが売りでして、どうでしょう?鍵開けなんかも得意ですよ

相手のお財布返しつつ信頼を得ましょう
……【賢者の影】で敵の居場所聞き出すのはダメです?


リンタロウ・ホネハミ
早速ながらご当家、軒先三尺三寸を借り受けまして稼業仁義を発します
ぜひともお控えなすってください
手前生国発しますところは夜と闇に覆われし国、東方の自由都市で御座います
稼業、縁持ちまして、遍歴の騎士は我が父、二代目骨喰の教えを受け
拙いながらも売剣を生業として、あちらこちらと旅をして
ほうぼうのお兄さん、お姉さん方にご迷惑をおかけしております
姓はホネハミ、名はリンタロウ
まだまだ未熟な駆け出しの小僧で御座います
以後万事万端お願いしましてどうぞお頼み申し上げます
一宿一飯の恩義のため、用心棒となり手前の剣を振るってご覧に入れます
腕が不安とあれば只今見せる技(UC)にてご一考ください


ファン・ティンタン
【POW】その刀、一品物につき

(開かぬ右目が、疼いた気がした)
何か今回、ヘンな胸騒ぎがするよ…

坂枝一家に取り入るには、まず腕っ節を見せないとね
他の猟兵に腕っ節を披露したい者がいれば話に乗って(割と本気で)手合わせ
以前の経験から、奥の手は見せずとも【剣刃一閃】くらいは出してもいいかな
居なければ、坂枝一家の者とやり合う(こっちは手加減有)

その上で、衆目に我が身たる【天華】を存分に見せ付ける
鍛造鉄の刀ではない、自分にも構成成分がよく分からない乳白色の直刀
強いて言えば、宝石刀とでも言うべきなのだろうソレ
先の手合わせとこの一振り、【パフォーマンス】は十分かな


アドリブ・協力可
※ファンからは、弁慶に面識無し


出水宮・カガリ
腕自慢。武器自慢。
…本体の美しさを競うのであれば、張り合いもあるのだが
カガリは力比べの類いはあまり…そうも言ってられんか

腕と、得物を示せば良いのだな
壊してもいいものはないか? できれば壊すためにあるものがいい
カガリはヤドリガミだからな、本来の用途以外でものを壊すのは忍びない
ただの藁人形では話にならん、中に鉄芯でも仕込んでくれ
ああ、結構離れておいた方がいいぞ、巻き込んでしまう

【鉄門扉の盾】を怪力で大袈裟に頭上で振り回した後、盾を構え【不落の傷跡】【拒絶の隔壁】で強化
オーラ防御を発動させ見た目にもそれらしく
その後人形へ突進し、ぶつかる瞬間に念動力も乗せて人形を吹き飛ばす
見た目としては、こんなものか


桐崎・早苗
研鑽をつむ中、ふと自身の力量を客観的に知りたくなるもの。
であれば、強者と戦いたい欲求は然るべきところ。
もちろん本来の目的も忘れてはおりませぬよ。それはそれとしてウズウズいたします。
(刀の鯉口を僅かに抜き差ししてチャキチャキ鳴らし)
●依頼を受ける
(尻尾や耳は隠す)
こちらで力試しの機会が得られると聞きまして。それに…私の用な流れの子供ならば使い捨ても容易いのではございませぬか?
必要ならば今この場で力を測っても構いません。強者と刀を交えられるというのならば是が非にも。

お互い深く詮索しないことが得であること心得ております。こちらも探られたくはありませぬ故(にっこり)。
・アドリブ歓迎


花盛・乙女
■POW

ほう、腕自慢を選んで斬り試しをする輩ときたか。
強者を求めるという本能に抗えんのは、不謹慎だが同意しよう。
だが無辜の命を奪う輩であることは変わらんからな。
この花盛乙女の刀の錆にしてやるとしようか!

幸か不幸か、使い勝手の良い体力馬鹿とは正に私はうってつけだ。
極道者を探して名乗り噂を聞きつけてやってきた体を装い、用心棒を買って出よう。
力を見せる必要があるんだったな。
なんなら貴様らを捻じ伏せてやってもいいのだがな、それはやめておこう。

見目も整った小太刀【乙女】を片手に業前を披露してやる。
打ち合う相手があれば峰打ちにて。
相手がいなければ、花盛流の型を披露してやるとしようか。


ルカ・ウェンズ
ごろつき達から前金は貰えるのかしら?貰えないなら悪党だからは殺さないと

【行動】POW
依頼人に【怪力】で物を壊したり、【縁切り】で適当なものを切ったりしてアピールした後に、装備品の業物の刀を見せてから 「これだけでは信じられないと思うから、少しあなた達と殺しあっていいかしら?」と聞いてみてOKがでたら殺しあった後に前金を貰って、NOなら前金を多く貰う方向で話を進めるわ。
【心情】
前金が貰えたら、後から町の人たちから話を聞いて、殺さなくていいと言われた人はごろつきでも殺さないわよ。


鷲生・嵯泉
……首魁の元に辿り着くには演技が必要、と
とはいえ慣れない真似をした所で
逆に違和感で疑われる可能性もあるだろう……常の通りで構わんか

腕利きを探していると聞いた、とでも言って正面から押し入る
腕には其れなりの自負がある
疑うならば幾人か相手してやろう
それを見て決めるがいい
破落戸相手ならば然程手間を掛ける必要も無い
珍しいとまではいかないが
縛紅の元々の変形を使い、鞭と変え使うする
さあ、まだ証明が必要か否か。返答は?

必要な御膳立てを整える為とはいえ
此の手の輩に従って見せるというのは、やはり気が進まん
常の通りの心算ではあるが、多少不機嫌が現れるかもしれんな
……私を使おうというならば、精々言動には気を付ける事だ



●極道
 波止場、その港と呼ぶのも小さな船着き場に白斑・物九郎(デッドリーナイン・f04631)は茶斑の三毛を撫でていた。
「よーしよし」
 猫は、心地よさそうに目を細める。ただ、チカチカと右目が光った。自撮り動画配信用、撮影機能搭載・三毛猫型ドローンなのだ。
「どうっすか?」
「どうやら、もう今回の人員は集め終わってるみたいっすね」
 リンタロウ・ホネハミ(Bones Circus・f00854)の問いかけに、物九郎が答える。だとすれば、出遅れた事になる――しかし、二人の顔に浮かぶのは逆だ。してやったり、そう言いたげな笑みだった。
「いけるっすね」
「いけるっす」
 物九郎とリンタロウは、立ち上がる。そこからの流れも、しっかりと考えている――仲間達に報告をするのと同時、彼らは行動を開始した。

 その小さな旅籠には、草鞋が下がっていなかった。草鞋は旅人が止まっているという証だ。ならば、繁盛していないのだろうか? 否、裏口ではひっきりなしに人が出入りしていた。
「――どなたさんも、よろしゅうございますね? それでは、入ります」
 そう、そこは坂枝一家の丁半博打の賭場だった。表沙汰に出来ない、公然の秘密の場所だ。そこで、左腕の刺青をチラ付かせながら、物九郎が笑っていう。
「半っす」
「こっちは丁だ!」
「出てる兄ちゃんに乗ろうか、半だ」
 騒がしく、人々が木札で出目に張っていく。壺の振り手が、壺を上げ――苦々しく言う。
「……二・五の半」
 そこに一喜一憂が生まれる。当たった者、外れた者。物九郎が木札に手を伸ばそうとした時、柄の悪い男が声をかけた。
「待ちねぇ、兄ちゃん」
「なんっすか?」
「ちょいとばかし、不自然に勝ちすぎじゃねぇかい?」
 言外に、イカサマを疑われたのだ。しかし、その疑いに物九郎は鼻で笑い、次の瞬間に柄の悪い男の顎にゴリッと引き抜いていた借り物のL95式サイドアームの銃口を押し付けていた。
「テメェ!?」
「おおっと、お待ちを!」
 色めき立つ賭場の男達――坂枝一家の組員に、リンタロウが立ち塞がった。腰を落とし、掌を差し出す。極道が、仁義を切る体勢だ。
「早速ながらご当家、軒先三尺三寸を借り受けまして稼業仁義を発します。ぜひともお控えなすってください」
 それに、一人の男が受けて立ち同じ体勢になって答える。「お控えなさって」と互いに三回繰り返すと、リンタロウが歌うように続けた。
「手前生国発しますところは夜と闇に覆われし国、東方の自由都市で御座います。稼業、縁持ちまして、遍歴の騎士は我が父、二代目骨喰の教えを受け、拙いながらも売剣を生業として、あちらこちらと旅をしてほうぼうのお兄さん、お姉さん方にご迷惑をおかけしております」
 ほう、と感嘆の声が上がる。仁義の切り方を知っている、その事への感心の声だ。
「姓はホネハミ、名はリンタロウ。まだまだ未熟な駆け出しの小僧で御座います。以後万事万端お願いしましてどうぞお頼み申し上げます。一宿一飯の恩義のため、用心棒となり手前の剣を振るってご覧に入れます。腕が不安とあれば只今見せる技にてご一考ください」
 それに、相手も正しい礼儀で返す。そして、笑い声が起きた。
「いやぁ、いい。いい。そのクソ度胸が気に入った!」
「親分!」
 そこに現われたのは坂枝権蔵その人だ。ニイと強面に、どこか人好きする笑みを浮かべ、物九郎とリンタロウの肩を叩いた。
「もうすぐ、うちの雇った先生達が来る。それに加わってくんな。何、いい稼ぎになるぜ?」
「ええ、ありがとうございます」
 物九郎とリンタロウは、してやったりと笑う。おそらく、新しい用心棒の腕試しに使われる予定だったのだろう――だとすれば、そっちまで予定の通りだった。

●腕試しにて候
 その一団は、駆けることなく急いでいた。実際の喧嘩ではないのだ、走って慌てては物笑いの種になる――極道とは、メンツが命なのだ。

「表じゃ言えないような依頼があるという話を聞いたので、是非一枚噛ませて欲しいのですが――」

 その声に、一団の足が止まる。小柄な少女、オデット・クレイトン(三歩下往く・f04351)に、思わず先頭にいた助六が吹き出した。
「おいおい、嬢ちゃん。何を言って――」
「……腕は残念、しかし刀はなかなか良い物をお持ちのようだ」
『!?』
 その瞬間、一団の全員が息を飲む。特に驚いたのは、信楽・黒鴉(魔剣死蔵家(ソードストッカー)・f14026)に腰の刀を盗られた浪人だ。
「お、お前、いつの間に!?」
「いや、普通に」
 そう言って、刃の状態を確かめていた黒鴉は改めて盗った刀を腰に下げた。無銘だが刃が厚く、よい人斬り包丁だ――気に入ったように、黒鴉は言う。
「まあ、貴方には不要の逸品。代わりに僕が貰ってあげましょう。ついでにお引き取りを。そんな腕で用心棒とは片腹痛い」
「ぐっ!?」
「……さて、僕と彼女の腕は分かってもらえましたかね?」
 助六へ黒鴉が問うと、助六はハっとオデットの方を見る。今のやり取りの間、自分の真横で見慣れた小銭入れを持っているオデットがいた。
「この通り手先の器用さが売りでして、どうでしょう?」
「お、おう……?」
「他に売り込みたい仲間がいるんですけど、どうです?」
「その連中よりも、腕は立つ」
 オデットと黒鴉の言葉に、助六は用心棒達の方を見る。既に火の点いた彼らを止める術はない、助六はため息を押し殺して言った。
「わかった、案内してくんな」

 案内されたのは、今は使われていない廃寺だった。そして、その出入り口の前で待っていたのは、祇条・結月(キーメイカー・f02067)だ。
(「斬りあいがしたいなら、自分たち同士で斬りあってればいいのに。……なんて、思わず乱暴なことを考えるくらいには、僕はきっとこのオブリビオンたちが嫌いなんだろうな」)
 結月は、やって来た助六の前で針金を手にする。目の前の錠前と合わせ、意図に気づいたのだろう。助六が興味深げに目を細めた。
(「……ほんとはこんなことに使いたい技術じゃないんだけど」)
 結月が針金を動かすこと、ほんの十数秒。ガチリ、と錠前が開く。用心棒達は表情は変わらないが、助六だけは目の色が変わった。それだけの腕だと、気づいたからだ。
「出入りっていうなら搦め手の得意なのも、少しは混ぜておくと役に立つと思いません? 首尾よくこの仕事をこなしたら、後々の役にも立ちますよ」
「……おう。出入りに使うのにゃあ、もったいないがな」
 助六からの好感触を得て、結月は道を開ける。それに続き、用心棒達も古寺の境内へと入っていった。

「お前が強い奴を探しているという者か?」

 最後に入ろうとした助六の耳元で、その問いかけがされた。ビクっと振り返った助六が見たのは、何もない路地だった。
「い、ま……の」
「無駄だ」
「ひ!?」
 また背後から声がして、助六が振り返る。しかし、やはりそこに人の姿はなく――不意に、助六は両手でがっしと肩を掴まれた。
「ちょいと金に困っててね、俺を雇う気はないかい? こんな風に、少々、首を取る事なら出来るくらいだけどね。今だって一瞬でお前の首を胴体から切り離すことくらいなら簡単だ」
「わかった、わかったから勘弁してくれ!」
「そいつは上々」
 助六の背を押して、中へ入ったのは月鴉・湊(染物屋の「カラス」・f03686)だ。雇ってもらえるなら、暗殺技術を見せつけるために死角死角へ潜り込む必要はもうない。ニヤリと笑って湊は言った。
「俺の技、上手く使ってくれよ? ほら、向こうでも始まるぞ?」
「あ、ああ……」
 姿が見えても生きた心地がしない、そんな顔で助六は湊と共に先へ進んだ用心棒達の後を追った。

 廃寺に待ち構えていたのは、腕試しを求める集団――猟兵達だった。
「わかったわかった、もう引っ込みはつかねぇ! 先生方と一対一で戦ってもらって決めよう! 先生方も、それでよいですよね?」
 もう文句をつける気力もない、と助六は降参し、用心棒達も我慢の限界だと了承する。こうして、用心棒を決める腕試しが始まった。

●用心棒の顔ぶれ
(「……本体の美しさを競うのであれば、張り合いもあるのだが。カガリは力比べの類いはあまり……そうも言ってられんか」)
 まず、前へ出たのは出水宮・カガリ(荒城の城門・f04556)だ。相手となるのは、力自慢の用心棒だ。そこに技はなく、刀を力任せに振るだけ――だが、膂力があれば、それで十分必殺の一撃になる。
「腕と、得物を示せば良いのだな」
 だが、その一撃はカガリの鉄門扉の盾に、軽々と弾かれた。用心棒は気付く、これはただの盾ではない、と。
「壊してもいいものはないか? できれば壊すためにあるものがいい。本来の用途以外でものを壊すのは忍びない」
「お、おい!」
 自分に背を向けるカガリに、用心棒は戸惑う。構わず、カガリが立ったのはもはや見る影もなくなった石灯籠だった。これでは、壊してやった方がコレのためだろう――そうヤドリガミであるカガリは思った。
「――フッ」
 鉄門扉の盾を怪力で大袈裟に頭上で振り回し、盾を構える。そして、不落の傷跡と拒絶の隔壁で強化した瞬間、オーラをまとった盾で突撃――念動力も込めて石灯籠を粉々に吹き飛ばした。
「見た目としては、こんなものか」
 何事もなかったように、カガリが振り返る。それに用心棒は、青い顔で答えた。
「ま、参った……」
「そうか、ならカガリが一抜けだな」
 仲間達に視線を送り、カガリは助六の後ろへと歩を進めた。

「む……それは妖刀の類か?」
「いいや、違う」
 相手は妖剣士を知っているのだろう、相手の言葉をステラ・アルゲン(流星の騎士・f04503)は否定した。
「流星剣【ステラソード】、私は剣のヤドリガミ、それも英雄と謳われた主を持つモノ」
「ほう」
 用心棒は、隙なく構える。実際、大した腕前なのだろう。しかし、ステラに気負いはない。剣の身に刻まれた主の戦闘知識――それがある限り、恐れるべき相手ではない。
 用心棒の鋭い踏み込みからの袈裟斬りを、ステラは青い魔剣の刃で受け止めた。用心棒は、目を見張る。受け止められたというのに、刃を止められないのだ。滑るように、ステラソードの表面を己の刃が走っていく。
「失礼」
 ドゥ! と次の瞬間、用心棒が吹き飛んだ。刃ではなく剣の腹で、用心棒を殴打したのだ。ヒュオン、と青い軌跡をその場に残し、ステラは剣を鞘へと納める。そして、一礼して助六へ告げた。
「私は貴方達の役に立つことをお約束しましょう」
「……おう、その剣といい腕といい。文句はねぇ」
 助六も、そう言うしかない立ち振舞。ステラもまた、助六の側へと向かった。

「……おい」
 用心棒が、思わずそう眉根を寄せた。自分を無視して助六の前へ出て、六道・紫音(剣聖・f01807)は構わずに言う。
「俺を雇え、さすれば理に至りし剣……見せてやろう」
「相手は俺だ!」
 眼中にさえない、そういう態度だと用心棒が怒り、紫音へ襲いかかる。背後からの一撃、用心棒の横薙ぎのそれは決して遅くない。鋭い、そう言っても過言ではなかったはずだ。
 しかし、振り返った紫音にとっては欠伸が出るほど遅い。全神経を一太刀へ集中、宝刀《皇月》を引き抜いた。まさに捨て身、相手の斬撃に身を投げるような踏み込みからの理へと至った剣気をまとう刃が、用心棒の刀を飴細工のように断ち切った。
 ヒュオン、と宙を舞った切られた切っ先が地面に突き刺さった瞬間、ゴォ! と地面が凍りつく。紫音の伍之太刀《氷牙》(ゴノタチ・ヒョウガ)だ。
「分かってもらえたかな?」
 《皇月》を鞘に納めた瞬間、折られた刃が澄んだ音と共に粉々に破壊される。それを見て逃げ出した用心棒の後ろ姿を見送って、助六はため息をついた。
「一人帰っちまったんだ、よろしく頼むぜ」
「ああ」

 その戦いは、もやは戦いではなかった。
「待て待て待て!? 刀ではないのか!?」
 用心棒が焦るのも当然だ、廃寺の境内を所狭しと駆け抜けるフロッシュ・フェローチェス(疾咬の神速者・f04767)が持つのは散弾銃・刻天炉だ。
「可変式だから、両方見せようか?」
 フロッシュは刻天炉の大砲状の壊銃形態からの砲撃から、即座に狙撃用の穿銃形態へと変形。狙撃の一撃を撃ち込む。用心棒は、動けない。自分の足元に叩き込まれたからだ。
「ひい!?」
「さて、お次は――」
 ヒュガ! と刀身が伸びた碧穿炉で用心棒の刀が大きく上へ弾かれる。その瞬間、生きた鎖・咆蛟炉を上へ――そして、フロッシュは魔改造軍用バイク・闇鷲炉を走らせて用心棒を中心に回転してみせた。
「待ってくれ! もういい、俺の負けだ! 勘弁してくれ!」
 自分の足元に、闇鷲炉のブレードが向けられている事に気づいて、用心棒が降参する。それを受けて、フロッシュは笑みをこぼし助六を振り向いた。
「こんな感じだけど、どう?」
 最後にカシャン! とスリ盗っていた鞘で落ちてきた刀を受け止めてフロッシュが言った――その速度に、もはや文句を言える者などいなかった。

「こちらで力試しの機会が得られると聞きまして。それに……私の用な流れの子供ならば使い捨ても容易いのではございませぬか? 必要ならば今この場で力を測っても構いません。強者と刀を交えられるというのならば是が非にも」
 桐崎・早苗(天然風味の狐娘・f10614)は、ニコニコと綻ぶような笑みを見せた。その手が置かれた刀の鯉口を僅かに抜き差ししてチャキチャキ鳴らしているのが、物騒であったが。
「そちらの相手は――拙者がしよう」
 そう言って、痩躯の用心棒が前に出る。ボソリ、と用心棒は付け加えた。
「妖怪変化の類であれば、なおのこと」
 尻尾や耳は隠していた早苗は、その呟きを聞き逃さなかった。なるほど、この用心棒は他の用心棒とは一線を画していそうだ――だから何、という訳でもなかったが。
「こちらも探られたくはありませぬ故、お互い深く詮索しないことが得であること心得ております」
「そうか――!」
 用心棒が答えたと同時、一瞬で間合いを詰め居合抜きを放った。狙うのは早苗の細い首、必殺を込めた一撃だった。
 用心棒の、妖刀が刃をきらめかせ――ない。抜けきる前に、用心棒の妖刀の柄頭が、早苗の小さな手で包まれたからだ。ガシャン、と音だけがして、用心棒の動きが止まった。

「――ね?」

 早苗が小首を傾げてそう言うと、用心棒は小さく苦笑いした。笑うしか無い、見る目のない者は用心棒が止めたようにしか見えなかったろう、そう見せられるほどの力量差が両者にはあったのだ。
「……ならば、任せた」
「はい」
 助六には伝わらないやり取りを交わし、用心棒はいっそ清々しい気分で早苗に用心棒の席を譲った。

 そして、花盛・乙女(誇り咲き舞う乙女花・f00399)は次の用心棒の前へと立った。
「小太刀……流派は?」
「花盛流」
「聞かぬ流派だが、かなりの手練……一手、ご指南願おう」
 用心棒は、力量差を把握した上で刀を抜いた。乙女も、その心意気を買った。ジリ、と用心棒が間合いをはかるのに、乙女は動かない。自らの名を刻んだ小太刀を自然体で構え、用心棒の動きを待つ。

「――いざ」

 ダン! と用心棒は、刺突を繰り出す。最速の、もっとも効率のいい軌道を沿う一撃。しかし、その切っ先は乙女の顔の横を通り過ぎていた。
「な!?」
「花盛流【鬼提灯】、気付いた時にはもう遅い」
 いっそ優しく、神速の小太刀が刺突の軌道をずらしていたのだ。そして、用心棒の腹部へと極悪刀【黒椿】の柄頭が叩きつけられていた。
「み、ごと……わしの負けだ」
「良い太刀筋だった」
 くぐもった声で一礼する用心棒へ、乙女も爽やかに笑って言う。心技体、そのすべてで凌駕しての、心地の良い勝利だった。

「ったくよぉ! 助六のダンナぁ、俺がこいつら蹴散らしたら、その分金を上げてくんなよ!」
 そう荒々しく前に出た用心棒は、ルカ・ウェンズ(風変わりな仕事人・f03582)が言った。
「で? 殺していいの?」
「いや、そいつは面倒だ、止めてくんな」
「そう」
 ルカは、そう一つうなずく。そして、言った。
「なら、前金は多く貰えるのかしら?」
「ええ……」
「おいおい! お前はここで死ぬんだよ! 六文銭で十分――がは!?」
 斬りかかる用心棒へ、ルカは振り返らずに手刀を放った。というよりも、殺さないように言われたので、どちらかと言えば裏手ツッコミである。だが、その怪力と鋭さで、用心棒を軽々と吹き飛ばした。
 一転、二転、三転――よく転がった用心棒が、そのまま伸びてしまった。
「前金……」
「わ、わかった、わかったよう! たまらねぇな、おい!?」
 助六が、根負けした瞬間である。ルカは、潤った懐に満足しながら用心棒側へ回った。
「残りは私達ね」
「二人で、模擬戦でもしてみせようか」
 最後の用心棒が倒れてしまった、ファン・ティンタン(天津華・f07547)と鷲生・嵯泉(烈志・f05845)がそう提案する。助六は肩をすくめて、答えた。
「おう、存分にやってくんな」
「ならば――」
 嵯泉が、縛紅を振るう。それはヒュオン! と蛇のようにうなる鞭となってファンに迫った。ファンはそれを、紙一重で見切り――天華で、弾く。
「軽く流すとしよう」
「ええ」
 嵯泉とファンは、そう短く言い合う。だが、その軽くは軽くない。今までとは比べ物にならない、密度と交差。火花が散り、刃が唸る。まさに、命のやり取りがそこにはあった。

「「――――!!」」

 最後には、互いの喉元に切っ先を突きつけあい、嵯泉とファンは動きを止める。それを見て、助六は言った。
「ああ、もう十分だ。二人共合格だよ、まったく」
「……私を使おうというならば、精々言動には気を付ける事だ」
「……わかったよ」
 嵯泉は普段どおりに、しかし、助六が息を呑む程度には不機嫌をにじませ言った。ふと、嵯泉は動きを止めたファンに気づいた。
「すまん、当たったか?」
「いえ、違うわ、大丈夫」
 ファンは、目の傷に手を当てて否定する。何故だろう、開かぬ右目が、疼いた気がしたのだ。

(「何か今回、ヘンな胸騒ぎがするよ……」)

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『浪人』

POW   :    侍の意地
【攻撃をわざと受け、返り血と共に反撃の一撃】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD   :    怨念の返り血
【自身の返り血や血飛沫また意図的に放った血】が命中した対象を燃やす。放たれた【返り血や血飛沫、燃える血による】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
WIZ   :    斬られ慣れ
対象のユーベルコードに対し【被弾したら回転し仰け反り倒れるアクション】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。

イラスト:箱ノ山かすむ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●そして、戦場へ
 そこは、とある武家屋敷。剣客集団は、そこに居を構えていた。
「……大将、坂枝一家が――」
「やめとけ、大将は今、妙にご機嫌だ」
 報告にやって来た浪人は、仲間の言葉に足を止める。自分達の大将、率いる男が『ご機嫌』という事は、血に飢えているという事だ。部下であろうと、無聊を慰めるために斬られかねない、そういう相手だ。
「仕方がないな、ならまずは俺達で迎えるか」
「そうだな。騒ぎが聞こえれば、自分から出て来るだろう」
 浪人達は、そう言うとその部屋の前を後にした。自分達も、命を懸けた戦いがしたいのだ。大将が出れば、それだけ機会が減る――だからこそ、浪人達は無駄に『取り分』を減らすつもりはなかった。

 浪人達が、そんなやり取りをしていたと知ってか知らずか。部屋の主、オブリビオン達の大将が空を見上げていた。血のように赤い、夕暮れ。だが、その赤は大将は見ていない。何故か、純白が思い出される――それだけの業物に、かつて心奪われたのだ。

「……運命か。そんな予感がする」

 今夜、アレと同等の何かに会える、そんな気がしてならない。ニィ、と大将は笑う。それは、鬼に逢うては鬼を斬り、仏に逢うては仏を斬る――悪鬼羅刹、修羅の笑みであった。


「相手は、あの屋敷にいやがる。先生方、報酬は弾むからよろしく頼むぜ?」
 助六は、そう言い残しその場を後にする。自分の仕事は、ここまでだ。後は野となれ、山となれ。そこに残るは、白刃喝采の下を行く強者のみでいい。

 夜の武家屋敷、そこには戦いの中で命を燃やしたい浪人達が待ち受ける。強き者と強き者が出会ったならば、もはや理屈はいらぬ。

 ――ただ、刃にて語るのみ。強者よ、その武を示せ。
白斑・物九郎
●WIZ
どこから何人湧いて出るやら
そこの所に【野生の勘】だけ張りつつ、堂々乗り込んでやりまさァ
珍しい得物が所望だってんなら、この拳銃で相手してやるまでですわ

左手持ちの拳銃から【クイックドロウ】でブッぱなす【アイシクルドライブ(属性攻撃・氷)】
突っ掛かって来るヤツを順に相手取りますでよ

鯉口を切る前の刀の柄を撃って凍らせる――抜かせない
「斬られ慣れ」の動作をそもそも取らせないようその身を凍らせる
目撃回数が嵩んで来たら、アイシクルドライブを左拳に切り替えて運用(だまし討ち)
それでも「斬られ慣れ」で対処されるようなら、左掌を地へ叩き込んで足場を凍らせる――倒れた先で凍らせる

俺めの氷で封殺してやりまさァ


六道・紫音
剣士は何の為に斬るのか、何の為に剣を極めるのか…その行き着く先は他者の否定。
最強となり、頂きに至った果てにある孤独…この先にいるのは、そういう剣士かも知れぬな。

・戦術
「用があるのは貴様らではない、消え失せろ」
『残像』を伴いながら『ダッシュ』で一足飛びに駆ける《縮地》にて敵中を駆け抜けながら複数対象に向けて、『怪力』を発揮して膂力を高め『早業』で極限まで剣速を早めた【陸之太刀《絶佳》】を『二回攻撃』で連続発動して放つ。
「競う価値の無い剣士と、まともに斬り合う気はない」
反撃を『第六感』と『見切り』で見極め躱しながらヒット&アウェイで絶佳を放ち、撫で斬りとする。

※アドリブ歓迎


信楽・黒鴉
POW

「……さて、あの構え。明らかに何かを狙ってますね」
「ま、いいでしょう。敢えて誘いに乗るとして……」
「何をされようと、どうせ僕のほうが……疾い」

僕の繰り出す一撃、そこに合わせてくる狙いがあるのなら、其処に更にカウンターを合わせ返して仕留めましょう。何、人間二本の腕があるのです。
僕ほどの剣術の天才ならば、牽制とカウンターを左右それぞれで繰り出す事も不可能ではない。

相手のユーベルコードに込もった【殺気】を【見切り】、【カウンター】で相手の刀を【盗み攻撃】で繰り出すユーベルコードの返し太刀にて仕留める。

アドリブ 他猟兵様との絡み その他諸々大歓迎です


ルカ・ウェンズ
前金も貰えたし、頑張らないと
【行動】
侍に卑怯は褒め言葉だし、わたしも【戦闘知識】を使って卑怯に戦うわ。敵に【忍び足】で近づいて【縁切り】での【暗殺】を試して、気付かれたら反撃されないように【残像】で移動しながら距離をとりオーラ刀を銃に変形させて遠くから攻撃、近づかれたり距離をとるのが難しいようなら一撃離脱を心がけながら、味方の攻撃などで隙がある敵に【怪力】や【2回攻撃】で仕留めるのを狙って戦うわ。
【心情】
ここのオブリビオンを全滅させれば、残りのお金も貰えるし、町の人たちに殺さないでいいと言われた人は、オブリビオンの持っている、お金が貰えるし誰も損することのない、素晴らしい仕事ね♪


ステラ・アルゲン
実に簡単でいい。剣を持つ者同士、己の剣のみで語り合えばよいのだからな!

悪いな私の剣は普通じゃない。流星より生まれし魔剣だ

大勢いるならば【高速詠唱】にて炎【属性攻撃】を剣身に纏わせ周囲に【なぎ払い】し【衝撃波】を飛ばそう
攻撃を受けそうなら【武器受け】だ

侍の意地か。だが近づけなければ意味がないだろう?
さらに【赤星の剣】にて火力を上げ、周囲を炎に満たす
もちろん延焼や他の味方に当たりそうなら消すことを心がけよう


花盛・乙女
さて、無事に得られたこの戦の場。
剣士相手ともなればこの花盛乙女、存分以上の戦働きをするとしようか。
さぁ、存分に剣の花を咲かせるとしようじゃないか!

【黒椿】と【乙女】の二振りを構えて臨む。
かかる剣戟は全て受け、捌き、かわし、斬る。
隙をあえてつくり、二刀の強みを生かして「武器受け」し、誘い込んだ輩を叩っ斬る。
さぁさぁどうした!
羅刹女の剣を味わうまたとない機会だ!
怯む暇があればかかってこい!楽しませてみせろ!

【アドリブ・共闘歓迎です】


祇条・結月
ちゃんとした武術の訓練を積んだわけじゃないし、正面から戦うのは得策じゃないかも
だからこういう戦い方で

正面からは入らずに銀の糸を【ロープワーク】して武家屋敷の塀を乗り越えて入る。
僕の得意な得物は苦無。接近戦は挑まず、塀や屋根の上から【投擲】【スナイパー】で≪銀の雨≫を降らせて遠距離から無力化していく。
味方を援護できそうなら【援護射撃】も忘れずに

……敵の数が多そうなら、切り崩しも考えようかな?
屋敷なら土蔵なんかがあるだろうし、そっちのほうへ移動。どさくさに紛れて鍵を開けて侵入しようとしているふりをするよ。
こっちへ向かってくる敵がいれば、それを【罠使い】で銀の糸の罠を張り苦無で無力化していくね


フロッシュ・フェローチェス
――それじゃ此処から本番と行くかな。
短刀・碧穿炉の「本気」で相手してやるよ……。

開幕ダッシュの先制攻撃で、一瞬で脇を潜り抜け――すれ違い様に斬り裂く。
防がれても二回攻撃するつもりだから、切り替えて……刹那に伸ばし貫いて吹き飛ばす。
後ろ取られたら機械靴より衝撃波噴出。そんな物まであったのかって? そりゃ見せてなかったからね。

斬り結ぶなら早業で敵の攻撃を横に弾きつつ、カウンターで斬り裂くよ。
離れても無駄。加減してたからね、伸縮速度も。
この血は浴びない方が良いかな。野生の勘が告げている。
残像ありの逃げ足バックステップで尽く回避だね。

最後はスライディングキックからの、【刃砲】で断ち切る!
※アドリブ歓迎


オデット・クレイトン
※アドリブ、悪乗り大歓迎

……何か、血を使う私と相性悪いような?
血に飢えているのというのなら、幾らでもあげますけど

●行動
【血の猟犬】を使用
半分は合体させて10体にさせときましょう
3組に分けて連携して攻撃していきますよ

1班が攻撃したら、別方向から他の班で攻撃させて此方の隙を無くしていきます
猟犬は私の[呪血]で作られてますし、『2回攻撃』『マヒ攻撃』『毒使い』で弱めていきましょう
攻撃を喰らった猟犬は合体させて強くしておきます

私自身は『迷彩』『忍び足』で気配を消し、猟犬のサポート
[呪血]を染み込ませた[紅月]を『投擲』(2回攻撃、毒使い、マヒ攻撃)したり、たまに前に出て斬りつけていきます『鎧無視攻撃』


桐崎・早苗
現れましたね。此度はただ己の力を振るうのみ
桐崎の者、早苗。いざ参りましょう
●戦闘
相手の目、呼吸の浅さ深さの変化、四肢の力み緩みなどでおよそ行動の意図は図れましょう。
相手が逸れるなら右の軽い刀で返し追撃、引くならば深く追わず、迫るならさらに内へ踏み込み威力が乗る前に受け止め左の短刀で刺し。
【合気ノ構え】を以ていなし守りの合間に攻めへ転じましょう。

●戦闘様式
・右に刀、左に短刀の二刀流
・右を前に向けた半身の構え
・基本は片足を軸に円の動きや半歩動くことで避けたり武器で受け流す動き
・ニ刀は距離に応じて防御か牽制か追撃で用途が変化
・肘や膝、足、頭突き、投げなども組み込む、喧嘩殺法の剣術


ファン・ティンタン
【WIZ】迫る衝突の刻

(右目が、じりじりと痛む)
……気のせいじゃない
この先に、良くないモノがいる

この戦いに、力を使ってはいられない
イミナ、申し訳ないけれど……今だけは、お願い
身に迫る攻撃には【見切り】で対応、自身からの戦闘行動は最小に抑える
戦闘の一切は紫手鏡の【千呪鏡『イミナ』】に任せる
【哀怨鬼焔】により、群がる浪人共を焼き、【生命力吸収】
道中での自身の錬気も含め、可能な限り【天華】への【力溜め】の足しにする
打撃斬撃には受身も有効だけど、燃える“ソレ”はどうにもならないでしょ
悪いけど、奥にいる“アレ”と戦うための糧になってもらうよ


アドリブ共闘可
※ボスは、ファンの事を“とある者”から語られている


月鴉・湊
さてと仕事と行きますかね。

先ずは刀を抜き、構えず対峙する。
とことん相手を舐めてるように見せかけるよ。
さあ、いつでも掛かってきて、お先にどうぞと飄々としていれば相手は激昂して突っ込んでくるだろ。

突っ込んで来たらマフラーを投げる。このマフラーは血の糸で出来てるから操り、顔に自然に巻き付く様にし、視界を奪う。

その瞬間、一瞬の早業でやつの首を狙うよ。

恨むなら恨んでいいぞ。もっとも、敗因はお前の腕の未熟さだがな。


鷲生・嵯泉
前哨戦……肩慣らし位にはなるか
命懸けの死合いなぞする気は無いが
戦う事其の物を拒みはせん

特に気にする様な事も無いだろう
真正面から奥へ向かうとするか
御託は要らん。戦いたいならば掛かって来い
見切りと第六感で攻撃は躱すか、武器受けで弾く
……血を浴びる趣味など無い
多少の負傷は激痛耐性で無視して攻撃を優先し
フェイントからの剣刃一閃で抗するとしよう

全く、此の手の輩は次から次へと湧いて出る
己を磨く事に執心した結果なのか
或いは道半ばで倒れた無念でも有るのか……
何れにせよ、オブリビオンとまで化した者を放置は出来ん
残さず粉砕してくれる

この騒ぎだ、首魁が出て来るのも時間の問題か
其の辺りの警戒だけはしておこう


出水宮・カガリ
カガリは盾を振るうものだが、武人ではない
武器だったヤドリガミと違って、誰か主を得ていた訳でもないのでな
強者同士の戦い…というものにも、正直そこまで意欲は湧かんのたが

意地、だの
怨念、だの
…過去のものが、誰に断って現世に存在している
──ただ、やかましいのだ、お前達は
(【化生の魔眼】発動)

【錬成カミヤドリ】で【鉄門扉の盾】を複製
あれに血を飛ばさせねば良いのだろう
ならば、斬らない
打撲の傷も与えない
自傷するより速くその周囲を盾で囲い混み、身動きを封じる
その後に…盾の内側に、炎を生じさせる
可能であれば、複数まとめて囲ってしまいたい
自分を護衛する盾は残しておくぞ

断末魔もうるさいだけ
我は抑圧の化生なれば



●今宵ハ凶刃、大太刀廻リ
 夜、薄き月が暗雲より望む空の下、ステラ・アルゲン(流星の騎士・f04503)は流星剣【ステラソード】の柄へと手をかけた。
「実に簡単でいい。剣を持つ者同士、己の剣のみで語り合えばよいのだからな!」
 一歩屋敷に入れば、次々と浪人達が集まってくる。奇っ怪であったのは、誰もが喜色満面であった事だ。
 だが、それは人斬りの顔にあらず。互いに命を削る技と技、力と力の果てを求める修羅の顔であった。

「お――!」

 まず、一人の浪人が堪えきれずに踏み出して来た。それをステラは流星剣を抜いて答える。
「悪いな私の剣は普通じゃない。流星より生まれし魔剣だ」
 ギィン! と浪人の斬撃をステラは流星剣で受け止めた。ギシリ、と浪人の刀が軋みを上げる。その瞬間、三人の浪人がステラへ踊りかかった。
「一対一でないのなら!」
 ステラが、大きく退く。その動きは、武闘と言うよりも舞踏だ。鮮やかに流麗に、高速詠唱によって流星剣の刀身に炎をまとわせ横回転と共に衝撃波を飛ばす!
「クハ!!」
 だが、と浪人達は怯まない。衝撃波を受けてなお、獣がごとき勢いでステラへ迫った。その凶刃に、ステラは夜に炎の軌跡を描いて応える。
「赤く燃えろ、我が星よ」
「が、あ!?」
 ボォ!! と四人の浪人の体が燃え上がった。赤星の剣(アカボシノツルギ)による炎に、一人また一人と浪人は崩れ落ち――四人目の浪人が、ステラの鼻先をかすめて倒れた。
「……燃えてなお、笑うか」
 時間にすれば、極々わずか。ただの数合の交差に過ぎない。それでも満たされるものがあるのだ――あるいは、それほど飢えていたのか。
 武家屋敷から、多くの足音が響いてやって来る。灰も残さず浪人達が燃え尽きたのを見届け、ステラは彼らの炎を消した。
 彼らの終着点がここでも、ステラにとっては違う。だからこそ、ステラは迷わず前へと進んだ。

 修羅共の気配に、フロッシュ・フェローチェス(疾咬の神速者・f04767)は笑みをこぼす。
「――それじゃ此処から本番と行くかな。短刀・碧穿炉の「本気」で相手してやるよ……」
 短刀・碧穿炉を手に、フロッシュは地面を蹴った。一歩目から最高速度へ到達する疾走で、浪人へとすれ違い様に短刀・碧穿炉を薙ぎ払った。
「ぐお!」
「隙有――!?」
 隙有り、そう言って襲いかかろうとした別の浪人をフロッシュは短刀・碧穿炉の刀身を伸ばす刺突で返した。突き刺され、浪人が吹き飛ばされる。二人の浪人が倒れる間隙に、一人の浪人がフロッシュの背後へと回り込んだ。
「オ、オオオオオオオオオオオッ!」
 背後からの袈裟懸けの斬撃、不意打ちとも言うべきそれはフロッシュが一瞬にして宙へ跳んだ事によって回避された。予備動作もない、異常なまでの跳躍。その理由は、ガジェッティアの技術でフル改造したメカブーツ――衝角炉の衝撃波噴出だった。
「そのようなものが!?」
「そりゃ見せてなかったからね」
 フロッシュは空中で縦回転、短刀・碧穿炉の伸ばした刃で浪人を切り伏せる。そのままフロッシュは、地面へと下りる。
「囲め! 誰かの刃が届けばいい!」
 着地した瞬間を狙って、浪人達が殺到する。空中では、動きが取れない――そのはずだった。しかし、フロッシュには衝角炉がある!

「加速する刀身……遠間への斬撃――のたうて、碧穿炉!」

 ドン! とフロッシュは空中で衝撃波によって着地せずにスライディング。加速式で強化し、巨大化した短刀・碧穿炉の刀身をフロッシュは振るった。刃砲『カイエンヌ』(ヒートスネイクカイエンヌ)による、大蛇のごとき不規則な刃の動きが、殺到していた浪人達を切り刻んでいった。
「この血は浴びない方が良いかな。野生の勘が告げている」
 即座に、その場からバックステップで離脱してフロッシュは短刀・碧穿炉を振るう。瞬く間に元の長さに戻った短刀・碧穿炉を手に、フロッシュは駆け出した。
 もっと速く――フロッシュにとっても、今夜は良い夜だ。己の速さを磨く相手に、事欠かないのだから。

「剣士は何の為に斬るのか、何の為に剣を極めるのか……その行き着く先は他者の否定。
最強となり、頂きに至った果てにある孤独……この先にいるのは、そういう剣士かも知れぬな」
 六道・紫音(剣聖・f01807)は、静かにそう呟く。迫る修羅の群れを前にしてなお、その呼吸に乱れなし。紫音は、浪人達を迎え撃った。
「用があるのは貴様らではない、消え失せろ」
「な……ッ!」
 一歩、紫音が踏み出した瞬間。十数メートル先にいたはずの紫音が、先頭をかける浪人の目の前にいた。縮地、そう呼ばれる特殊な歩法だ。残像さえ残す速度での疾駆、そこから紫音は全身に力を巡らせ――!
「逃しはしない……陸之太刀《絶佳》!」
 ズザン! と放たれた斬撃による衝撃波、陸之太刀《絶佳》(ロクノタチ・ゼッカ)による二回攻撃が、浪人達を切り裂いた。
「ク、ハ!!」
 腸(はらわた)まで切り裂かれ、浪人達はなおも前へ出る。斬られて怯む? 馬鹿な! 斬りに来たのだ、逆も然り。その覚悟を持たぬ者は、ここにはいなかった。
 浪人達の刺突が、紫音へと繰り出される。侍の意地による、体ごとぶつかる多数による玉砕殺法――だが、それを紫音は完全に見切る。横へ、前へ、後ろへ、斜めへ。すり足による歩法が、最適の順番で浪人達の切っ先をかわしていった。
「競う価値の無い剣士と、まともに斬り合う気はない」
 再び放たれる、宝刀《皇月》の斬撃。意地で届く程度の場所に、剣聖はいない。修羅共に高みを見せ付け、何事もなかったかのように紫音は屋敷の奥へと踏み入った。

 花盛・乙女(誇り咲き舞う乙女花・f00399)は、笑う。それは咲き乱れる蓮華がごとき美しさを持った羅刹女の笑みだ。
「さて、無事に得られたこの戦の場。剣士相手ともなればこの花盛乙女、存分以上の戦働きをするとしようか」
 極悪刀【黒椿】を右に、小太刀【乙女】を左に。乙女は、迷わず惑わず歩を進める。
「上等! ならば、戦場に散れ!」
 浪人が、大上段から斬りかかってきた。乙女はすり足で迎え撃つように前で、左の【乙女】を上に、【黒椿】を横へ構える。ギン! と小太刀で浪人の斬撃を受け止めれば、すかさず乙女は【黒椿】を横一文字に振り払った。
 小太刀を盾に、刀で返す――二刀流の基本にして、奥義とも言うべき見事な技だった。
「が、あ……!」
「まだまだ!!」
 その見事な剣を見れば、浪人達が次々と挑みかかっていく。それは、まさに花に引き寄せられる虫の群れだ。だが、そこに待っているのは甘い蜜ではない、酷薄なまでの死だ。
「さぁさぁどうした! 羅刹女の剣を味わうまたとない機会だ! 怯む暇があればかかってこい! 楽しませてみせろ!」
 受け、捌き、かわし、斬る――乙女は、内側から湧き上がる熱を言葉に言い放つ。その熱に煽られ、浪人達は我先にと挑み――。
「――失礼」
 そこへ、桐崎・早苗(天然風味の狐娘・f10614)が踏み込んだ。右にサムライブレイド -漣-、左に退魔刀-玖式-。小太刀と短刀の違いこそあれど、奇しくも早苗もまた二刀の使い手だった。
「現れましたね。此度はただ己の力を振るうのみ――桐崎の者、早苗。いざ参りましょう」
 乙女のそれが戦場に咲く花であれば、早苗のそれはせせらぐ水だ。相手の視線、呼吸の浅さ深さ、四肢の力みや緩みの変化――そのことどとくを見切った、よどみのない円の動きで浪人達の四肢を切り裂いていく。
「はは! これはいい――」
「――共に、舞いましょうか」
 乙女と早苗が、背中合わせに構える。円を描くように囲んだ浪人達が、一気に踊りかかった。
 乙女の小太刀が閃き、早苗の短刀が舞う。ギ、ギギギギギギギギギギギン! と無数の火花が散る中で、二本の刀が浪人達を深々と切り裂いた。
「お、のれ!!」
 崩れる味方の背から、一人の浪人が強引に前に出る。それに順手から逆手に短刀を構え直した早苗が、浪人の脇腹に短刀を突き立てた。
「ぐ――」
「力の点を押さえれば、斯様なことも可能です」
 浪人の膝を早苗は抑え、体勢を崩す。そして、即座に左肘、右裏拳、そして左膝を横回転を止める事なく叩き込んでいった。
 そして、わずかに訪れる静寂。しかし、敵はまだまだいる――乙女と早苗は、次の敵を求めて駆け出した。

「どこから何人湧いて出るやら」
 白斑・物九郎(デッドリーナイン・f04631)は、自身へと向かってこようとする浪人達へ呟く。
「珍しい得物が所望だってんなら、この拳銃で相手してやるまでですわ。ザ・レフトハンド――【属性攻撃・氷】ON」
 ザ・レフトハンドの起動に伴い、左腕を取り巻いていた白い虎縞模様の刻印が体表へと励起されていく――魔人降臨によって全身に模様を走らせながら、物九郎はその左腕でL95式サイドアームを引き抜いた。
 ドン! と一発の巨大な銃声に聞こえるほどの早打ち、物九郎のアイシクルドライブが浪人達へ撃ち込まれていった。狙いは、浪人達の刀だ。抜く前に、凍てつかせてしまう――それによって、抜く事さえ許さなかった。
「この、程度!!」
 なおも強引に、浪人は前に出た。握った柄ごと、凍りついたそれを強引に引き抜こうとする――だが、物九郎はそんな真似は許さなかった。

「――!?」

 浪人の視界が、急激に動く。それが、物九郎の左拳の一撃で宙を舞わされたのだと気づいた時には、地面に叩きつけられていた。
「俺めの氷で封殺してやりまさァ」
 パン、と物九郎の左手が地面を打つ。直後、パキパキパキ……! と地面が氷に覆われ、倒れた浪人を飲み込んでいった。

 屋敷の廊下で、信楽・黒鴉(魔剣死蔵家(ソードストッカー)・f14026)は浪人と対峙していた。この屋敷の中で、奇しくも一対一。互いに、目の前の相手へ集中していた。

(「……さて、あの構え。明らかに何かを狙ってますね」)

 左前半身、前のめり気味の構え。先の先を狙っている――二流の剣士なら、そう判断しただろう。しかし、重心がわずかにおかしい。黒鴉は、それを見切っていた。

(「ま、いいでしょう。敢えて誘いに乗るとして……何をされようと、どうせ僕のほうが……疾い」)

 誘っているのなら、それに凌駕するのみ。黒鴉は床板をキシリとも鳴らさず、すり足出踏み込んだ。
「――ッ!」
 黒鴉の首を狙った横薙ぎの一閃を、浪人は即座にのけとって薄皮一枚でかわす。相手に攻め気を勘違いさせた上での、返しの刃が下段から跳ね上がる。殺った、浪人がそう確信するほどの会心の返しが――。

「……は?」

 くるくると、自分の刀が宙を舞うのを浪人は目を丸くして見た。その柄を握っていた、見慣れた腕に、更に目を見張る。
「何、人間二本の腕があるのです。僕ほどの剣術の天才ならば、牽制とカウンターを左右それぞれで繰り出す事も不可能ではない」
 横薙ぎでカウンターを誘ってからの、無銘の脇差による返しの刃――殺気で読み、相手の技を正確に見切った上で動いたからこその一撃だ。
 一言で言えば、格が違った。黒鴉は、当然の結果を置き去りに次へと進んだ。

「な、なんだこれは!?」
「犬……いや、妖怪変化の類か!?」
 周囲の騒がしい声を聞きながら、オデット・クレイトン(三歩下往く・f04351)はゆるふわロングの髪を揺らして小首を傾げた。
「……何か、血を使う私と相性悪いような? 血に飢えているのというのなら、幾らでもあげますけど」
「あれが操っているのか!」
 オデットに気づいた浪人の一人が、斬りかかろうと駆けてくる。それを振り返り、オデットは言った。
「ごーごー、わんこ!」
 オデットの言葉に応え、2の文字が浮かんだ血の猟犬が浪人へと牙を剥いた。浪人も、一体は切り伏せるものの、二体、三体となると手が足りない。腕に、足に、牙を突き立てられて動きが鈍ると、押し倒すように襲いかかった血の猟犬が首筋を食いちぎった。
「が、あ……」
「おっと」
 オデットが、気配を消す。姿が闇に溶け、そのまま廊下を足音一つ立てずに移動した。
「チッ! 犬っころが!!」
 遅れてやって来た浪人が、舌打ちして血の猟犬へ襲いかかる。しかし、その動きが止まった。気配を消したオデットが呪血を染み込ませた紅月を二本、浪人の両肩へと投擲したのだ。
「ぐ、があああ、こ、んな、がああああああああああああ」
 動きが止まったところへ、血の猟犬達が襲いかかる。浪人達も、犬に殺されるとは思っていなかっただろう――もちろん、オデットには知った事ではないのだが。
「はーい、整列ー。怪我してる子は手を上げて?」
 オデットの言葉に、血の猟犬は反応しない。あれ? と考え込んで、もう一度言葉を変えていってみた。
「……怪我してる子、右前足を上げて?」
 それには、何体かが反応する。そうですかー、確かに手じゃないですよねー、と言いながら、オデットはどれとどれが合体するか指示を出した。
「それでは、行きましょうか」
 戦力を整え終わり、オデットは再び動き出す。薄い三日月を楽しげに見上げながら、狩りを興じるのであった。

「さてと仕事と行きますかね」
 月鴉・湊(染物屋の「カラス」・f03686)は、散歩でもするような足取りで歩いていく。妖刀「影楔」もただ抜いたまま、構える事さえしない。さあ、いつでも掛かってきて、お先にどうぞ、そう飄々と誘っているのだ。
 対峙した浪人は、すぐに察する――自分が、相手にもされていないと。
「ならば、その油断のまま逝け」
 相手のやる気など、関係ない。そう言いたげに、浪人が踏み込んだ。大上段からの脳天唐竹割り、舐めた相手には相応の報いを――怒りを込めた斬撃だった。
「よっと」
 その斬撃に、湊はマフラーを投げつけた。目くらましと言うには、あまりにもお粗末だ。構わず湊を両断しようとした浪人の顔を、不意に生き物のように動いたマフラーが巻き付いた。
「な、あ……!?」
 血装具「紅露」――殺めてきた咎人の咎人の血を「糸」にし編まれたマフラーは、湊の意のままに動くのだ。浪人の動きが乱れる、その刹那。

「出会った咎人は知らぬうちに身を血に染める。それが「染物屋のカラス」の仕事だ」

 すでに、仕事は終わっている。首筋を斬られた浪人が、ぐらりと体を傾け、膝から崩れ落ちた。じわり、と服を、地面を赤が染めていく――湊はそのまま止まる事なく、歩いていった。
「恨むなら恨んでいいぞ。もっとも、敗因はお前の腕の未熟さだがな」
 湊の首元に、血装具「紅露」がふわりと戻ってくる。今宵は、「染物屋のカラス」も大繁盛だ。染めるべき咎人は、溢れんばかりに待っているのだから……。

 出水宮・カガリ(荒城の城門・f04556)は、小さくため息をこぼす。カガリには、理解できない。武器だったヤドリガミと違い、誰か主を得ていた訳でもない――門であるカガリにとって、強者同士の戦いにさほど興味がわかないというのが正直なところだ。
 しかし、カガリは知っている。鉄門扉として、守るべき者を守る事を望むカガリにとって、目の前の浪人達は明確な敵だ、と。
「意地、だの。怨念、だの……過去のものが、誰に断って現世に存在している」
 過去からの脅威、守るべき者を傷つける者、侵略者――戦いに酔う者は知らないのだろうか? その酔いの影に、弱者の涙がある事を。

「――ただ、やかましいのだ、お前達は」

 カガリの化生の魔眼が、発動する。過ぎた守護は抑圧となる。守るためならば、幽閉・抑圧さえ是とする化生の瞳が、浪人達の動きを止めた。
「この程度で!」
 だが、動きを止めるのも一瞬程度だ。浪人達はすぐに体の自由を取り戻し……その一瞬で、自分達が終わっていたのだと悟る。

「あれに血を飛ばさせねば良いのだろう? ならば、斬らない。打撲の傷も与えない」

 錬成カミヤドリによって、鉄門扉の盾が大量に錬成され浪人達を覆い尽くす。これではただ、動きを止めるだけ――だからこそ、カガリがやった所業は効率的であり、残虐でさえあった。
 ゴォ! と盾の囲いの内側で炎が燃え上がる! 炎の音が、断末魔を飲み込んでいく。情け容赦無く、カガリは血さえ燃やして浪人達を灰へと変えた。
「断末魔もうるさいだけだ」
 抑圧の化生にとって、盾とはただ守るだけの者ではない。敵であろうと味方であろうと、構わず絶望となるのだ。
 カガリは分身を従え歩き出す。守るために殺すのだ、今宵、抑圧の化生が獲物を前に解き放たれた。

「ここのオブリビオンを全滅させれば、残りのお金も貰えるし、町の人たちに殺さないでいいと言われた人は、オブリビオンの持っている、お金が貰えるし誰も損することのない……素晴らしい仕事ね♪」
 確かな前金の重みに、ルカ・ウェンズ(風変わりな仕事人・f03582)はニコニコと微笑んだ。もちろん、助六は成功報酬など払うつもりは毛頭ない。ここでオブリビオンに始末される、そういう算段なのだから。
 それを知ってか知らずか、ルカは未来の報酬に胸を弾ませていた。この騒がしい屋敷の中を、無人の野がごとく進んでいく。足音はなく、気配も希薄。真っ向から勝負するつもりが、一切ないのだ。
 だから、一人はぐれた浪人を見つけたルカの行動は早かった。音もなく背後へと回り込むと、その手刀を背に撃ち込んだ。
「ぐ――カハァ!?」
 浪人は背中に衝撃を感じ、血を吐いた。見えない背中は、無残に切り裂かれている。ルカの縁切り(エンキリ)による斬撃だ。

「――おい!?」

 不意に、一人の浪人がその光景に声を上げる。殺した浪人の声までは、対処していなかったからだ。浪人は即座にルカへ斬りかかろうとするが、ルカは変形式オーラ刀でその斬撃を弾いた。
 その直後だ、浪人の手足を正確無比に貫く苦無の雨――祇条・結月(キーメイカー・f02067)の銀の雨(シルバーレイン)が浪人に降り注いだ。
「今だ」
「そうね」
 結月の声に、ルカはオーラ刀を薙ぎ払い浪人を切り倒す。崩れ落ちた浪人と、背を斬られた浪人に歩み寄ると、ルカはその懐から小銭袋を取り出し、満足げにしまいこんだ。
「あ、そっちはどうだったの?」
「いくらか敵の数は削れたよ」
 思い出したように訊ねるルカに、結月はうなずきながら答える。結月は、銀の糸をロープワークで編み込みながら、武家屋敷の塀を乗り越えて密かに侵入したのだ。見つけた土蔵の鍵をどさくさ紛れに開けておき、そこに侵入しているように偽装したのだ。
 多くはないが、ある程度の戦力はそちらに誘導できた。それを確認して、仲間の援護をしながらここまでやって来たのだが――。

「大将首の居場所が、大体わかった。そのことを伝えに来たんだ」

 ヒュオン、と白刃が踊る。鷲生・嵯泉(烈志・f05845)は、最小の動きでかわしながら言う。
「……血を浴びる趣味など無い」
 嵯泉の秋水が、薙ぎ払われる。浪人はその斬撃に反応して、刀を引き戻し――。

「ッ!?」

 だが、斬撃は放たれず嵯泉は秋水を引いて構えた。そう、斬撃と見せたフェイントを入れてからの刺突――それが浪人の肩を貫いた。
「が、あああああああああああああああああああああああ!!」
 浪人は貫かれながら、強引に前へ。意地で相打ちに持っていこうとするも、まだ嵯泉の動きは終わっていなかった。
 突き刺したまま、嵯泉はそのまま横へと秋水を振り払う。嵯泉の剣刃一閃が、浪人を断ち切った。
「全く、此の手の輩は次から次へと湧いて出る。己を磨く事に執心した結果なのか。或いは道半ばで倒れた無念でも有るのか……」
 ヒュ、と刀を振るい、嵯泉は血を払う。こちらに向かってくる浪人を、嵯泉は真正面から迎え撃った。
「行くぞ!」
「御託は要らん。戦いたいならば掛かって来い」
 一合、二合、三合、刀が激突する。相手は斬られようと斬ろうと利のある相手だ。ならばこそ、斬るならばそれを必殺とするのが最適解だ。六合目、嵯泉はカチャリと秋水の刃を寝かせる。浪人の刀が、その軌道に沿って流され、体勢が崩れた。その直後、嵯泉は秋水を切り上げ、浪人を両断した。
「この騒ぎだ、首魁が出て来るのも時間の問題だと思うが……」
 嵯泉は、振り返る。そこには、ファン・ティンタン(天津華・f07547)の姿があった。
「……気のせいじゃない。この先に、良くないモノがいる」
 右目がじりじりと痛む。それは、もはや予感ではなく確信に至っていた。
「この戦いに、力を使ってはいられない。イミナ、申し訳ないけれど……今だけは、お願い」
 千呪鏡『イミナ』へファンが呼びかけた瞬間、二人の浪人が屋根から飛び降り襲いかかって来る。その浪人二人を、紫手鏡の千呪鏡『イミナ』が映した。
「が、ああああああああああああああああ!?」
 直後、大量の紫色の鬼火が二人の浪人へと殺到した。千呪鏡『イミナ』から放たれた、哀怨鬼焔(アイエンキエン)だ。これだけでは、終わらない。他の浪人達も、ファンに気づいて襲いかかってくる。
「打撃斬撃には受身も有効だけど、燃える“ソレ”はどうにもならないでしょ。悪いけど、奥にいる“アレ”と戦うための糧になってもらうよ」
 そして、ファンは浪人達へ『イミナ』を向けて鬼火によって燃やしていった。その紫の鬼火は、ただ燃やしているのではない。生命力吸収によって、天華への力溜めとして利用しているのだ。
 本命は、あくまでこの次――この浪人達の、首魁なのだから。
 だが、『イミナ』だけでは浪人の数に対処しきれない。抜けてくる浪人達へ――不意に氷結の弾丸が降り注いだ。
「お待たせっす!」
 そう言って着地したのは、物九郎だ。嵯泉も駆け寄り、フロッシュもまたたどり着く。
「この奥、だよね?」
「……そうらしい」
 フロッシュの疑問に嵯泉が答えたのは、ファンからの反応がなかったからだ。ファンは右目をおさえ、そして視線を向けた。

 その視線の先は、この武家屋敷の一番奥へと向けられている。誰もが、悟った。この先に、強敵との戦いを求める浪人達さえ従えたオブリビオンがいるという事を……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リンタロウ・ホネハミ
さぁて、慣れねぇ仁義も切ったことっすし……
一宿一飯の恩義っつったからには、その分はきっちり働くとするっすか!
ま、それ以上のことはしねぇっすけどね
オレっちは渡世人でなく、傭兵なんで

まずはコウモリの骨を食って【〇〇六番之卑怯者】を発動するっす!
こいつで血を避けながら浪人にすばやく接近
オレっちの骨剣でぶっ叩いてやりまさぁ!
そう、刃を立てると無駄に血を流させちまうっすからね
骨剣で、拳で、脚で、あらゆるものを使って殴打してやるっす
トドメに急所をかっさばくまで、流血は厳禁っすよ

さぁて、世間を騒がす浪人共に引導を渡すため罷り越しました
姓はホネハミ、名はリンタロウ
ぜひとも手前の名声の糧となってくだせぇよ!



●今宵ハ凶刃、大太刀廻リ
「一宿一飯の恩義っつったからには、その分はきっちり働くとするっすか!」
 カリっと骨に歯を立てながら、リンタロウ・ホネハミ(Bones Circus・f00854)が笑って言った。屋敷の屋根、まだ残る浪人達を見下ろして、リンタロウは言い捨てる。
「ま、それ以上のことはしねぇっすけどね。オレっちは渡世人でなく、傭兵なんで」
 ガキン、とコウモリの骨を食って、リンタロウは〇〇六番之卑怯者(ナンバーシックス・バットボーン)を起動させた。コウモリの骨から得た超音波は、浪人達の動きをつぶさに教えてくれる。自分の前へと到達したのをソナーで悟ると、リンタロウは屋根から飛び降りた。
「オレっちの骨剣でぶっ叩いてやりまさぁ!」
 リンタロウは、Bones Circusで浪人の一人を殴打する。刃で斬れば、盛大に血が出る。それでは、向こうに利するからだ。
「さぁて、世間を騒がす浪人共に引導を渡すため罷り越しました。姓はホネハミ、名はリンタロウ、ぜひとも手前の名声の糧となってくだせぇよ!」
「ク、ハハハハハハハハ! そうか、ならば糧にしてみろ!」
 浪人達は笑い、リンタロウへ挑みかかる。リンタロウは骨剣で受け止め、弾き、お返しとばかりに右拳や回し蹴りなどで浪人達を圧倒していった。
「ぐ、おの――」
「最期は派手にいきましょうか!」
 最後の一人となった浪人へ、リンタロウは骨剣の切っ先を突き刺す! そのまま、勢いをつけて振り下ろし――浪人の腹をかっさばいた。
「さて、と。そろそろみんなは大将のとこにつきやしたかねぇ」
 遅れてはならない、リンタロウは急いで仲間達の後を追った。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『武を極める者『武蔵坊弁慶』』

POW   :    我が武に耐えられぬ道具など要らぬ、力を示せ
【装備武器の寿命】を代償に自身の装備武器の封印を解いて【過負荷状態】に変化させ、殺傷力を増す。
SPD   :    我が武に倒せぬ者など居らぬ、敵を滅せ
【十の蒐集武具で武装した姿】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
WIZ   :    我が武に数の利など効かぬ、輩を排せ
【一騎打ちを高らかに謳う大音声】が命中した対象にルールを宣告し、破ったらダメージを与える。簡単に守れるルールほど威力が高い。

イラスト:猫背

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ファン・ティンタンです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●武を極める者
 屋敷の奥、そこには小さな日本庭園があった。手入れが行き届いていたのだろう事を偲ばせる、良い庭園だ。

 ただし、今は見る影もない。庭園には、おびただしい数の武器が突き刺してあったからだ。だが、どれも無残に壊れたものばかりだ。まさに、ここは武具の墓場――そして、その墓場の主が叫んだ。

「我が武にふさわしき武具はあるか!?」

 屋敷の天井に立っていたのは、無数の武具を背負う巨漢であった。武を極める者『武蔵坊弁慶』――そのオブリビオンが、ニヤリと猟兵達へ笑った。

「賊どもよ、許すぞ。今宵は我が運命に出会えるやもしれぬ夜! 存分に、賑わすがよい!」
六道・紫音
成る程…強さと暴虐さゆえに己が武具からも見放され独りとなった漢か。

・戦術
「その極めた暴威の武と俺の至った理の剣…どちらが上か競うとしよう」
修羅と剣聖、数多の武具とただ一刀、どちらが上かを。
『残像』を伴いながら『ダッシュ』で一足飛びに駆ける《縮地》にて刀の間合いまで素早く距離を詰め、相手の攻撃を『第六感』と『見切り』で見極めて『武器受け』で切り払い、即座に『カウンター』で勝負に出る。
「ただ一刀、剣士にはそれだけでいい」
『鎧無視効果』で弱点を狙い『怪力』を発揮して膂力を高め『捨て身の一撃』により全神経を攻撃に集中し『早業』で極限まで剣速を早めた【壱之太刀《斬鋼》】にて一刀両断とする。

※アドリブ歓迎


桐崎・早苗
命を預け共に歩む武具は友に近きもの
なれば、このような者に武を語らせることは看過できませぬ
●戦闘
引き続き同様の円を基調とした動きで

重い打ち合いを想定し短刀の方は鞘に戻し一刀にて参ります。短刀は使える場があれば使用

相手の武具が高負荷状態であれば【剣刃一閃】で切断できますでしょうか
覚悟と見切りを以て最小の動きと力で武器で受けたく思います
相手の武具に添える程で受け半身から身体を横へ反れて流し
さらに間合いの外や内へずれ最大の振りは行わせないようにしたいところ

刃は引いて斬るもの、力はさほど要りませぬ
武具の負荷を減らしその能力を活かす。あらゆる力の流れを掴むことが我が武の肝要

・アドリブやアレンジ歓迎


白斑・物九郎
●POW
刀、鉄棒、鎌
近接武器主体の揃えっスね

上等ですわ
俺めもガチ近接武器で相手してやりまさァ

銃を引っ込めて巨大鍵型メイスを装備

どうですよ?
見るからに風変わりな得物でしょうわ?
興味を惹き、近接戦を誘う


敵がノッて来たら武器を手放す
素手拳で、ブン回されて来た敵の得物をこそ砕く狙いで【灰燼拳(+怪力)】(だまし討ち)

・灰燼拳の腕の振りの速度
・敵の得物が灰燼拳射程内に進入する瞬間
この二項が交差する瞬間を【野生の勘】込で見極めて、敵の使える武器を潰してやりまさァ


地面を見りゃ分かりまさ
おたくのそのコード、得物を壊れ易くしちまって、実際壊しまくってるんですよな?


※WIZ対処中の猟兵とは攻撃タイミングを重ねない


ルカ・ウェンズ
賊って言われてしまったわ。私は殺し屋ですのよ…何も間違ってないわね、悔しいからPOWで攻撃よ!

【行動】敵の攻撃に当たらないように【残像】で移動しながら【戦闘知識】を使い敵を観察してユーベルコードを使いオーラ刀で敵の武器を破壊したり見えない蜘蛛の糸で繋いだ武器を【怪力】で奪えないか試してみて力負けするようなら糸を切断して弁慶みたいだから、とりあえず向う脛に【傷口をえぐる】ように攻撃したりして、一撃離脱を心がけて戦うわ。

【心情】強そうだから遠くから大勢で弓や銃で攻撃したいけど今回は無理ね、それと町の人だけでなく味方にも、ごろつきを殺していいか聞いた方がいいのかなしら?


信楽・黒鴉
SPD

その【殺気】を【見切り】、ユーベルコードでの猛攻を【残像】で五条大橋の再現が如くにやり過ごし、こちらも敢えて速度を活かしたユーベルコードを解放。【カウンター】で繰り出す【暗殺】技術の粋を尽くした【2回攻撃】で斬り刻む。
ダメ押しに一撃、【盗み攻撃】で拾った武器の残骸で【傷口をえぐり】、その武を嘲笑うついでに無惨に破壊された武器への餞とする。

「運命に出会うだァ……? 面白ェ、出会ったついでに終わりにしてやらァ」
「オマエみてえなのが居るとよォ、僕のコレクション候補が減っちまうだろォが……! バカスカ考えなしに道具使い潰しやがってよォォォ!!」

アドリブ 改変 他猟兵さまとの絡み なんでも歓迎です


オデット・クレイトン
※アドリブ、悪乗り大歓迎

折角の武具もこうまでボロボロだと価値なさそう……他に盗める物ありませんかね?

■行動
えぇ、まぁ良い夜ですね
【血の記憶】を発動して戦闘力を上げておきましょう

素直に斬り合う程お人好しでもありませんし、
周辺に落ちてる武器を[盗み]、[早業]で[投擲]しつつ隙を伺い[時間稼ぎ]
相手が焦れて大振りな攻撃をしてきたら[残像]共に[見切って]間合いを詰めます

武器の寿命を削っていくのなら、武器を狙っていきましょう
武器を集中して狙い、予備の武器は[[盗み]攻撃]で奪っていきます
売れそうな物だと嬉しいですね!

さて、武器が尽きるか私の寿命が尽きるか勝負ですね
……まぁ、エルフの寿命は永いですよ?


出水宮・カガリ
【ヤド箱】
※アドリブ絡み歓迎
賊はどちらだ
潰すことでしか使えんなど、ものの扱いも心得ぬ分際で
一端の事をよく吠える

引き続き抑圧の化生として(敵味方の分別はつく)
【鉄門扉の盾】を【不落の傷跡】【拒絶の隔壁】で強化
【錬成カミヤドリ】で最大数複製し、高速で操る事で気を散らす
なるべく視界や耳の傍を横切ってから、背後や頭上へ移動させよう
蒐集武具で1枚破壊されれば、2枚をそこへ復元、2枚なら4枚、と集中させる
10枚以上集中したなら、巨大な1枚としてぶつけ吹き飛ばす
隙あらば目を合わせる(【化生の魔眼】)が、できても一瞬の足止めだろう
その一瞬で更に追い打ちをかける

とどめはファンに譲りたい
その因縁、断ち斬ってしまえ


ステラ・アルゲン
【ヤド箱】カガリ、ファンと参加(アドリブOK)

……剣のヤドリガミとしてはこの惨状はあまりに胸にこたえる
武器を大切にしないお前に相応しい武器などない

あれの武器とは打ち合いたくないな
武器が折れようが気にも留めないだろう

主の【戦闘知識】による戦いの記憶を呼び起こしつつ
【ダッシュ】と【フェイント】を駆使して敵の攻撃を【見切り】避け
隙を見て【なぎ払い】を【2回攻撃】する

そんなに武器が使いたければ、私を使うか?

武器の封印を解くようだったら本体たる【流星剣】を敵に向けて【投擲】
掴まれても弾き飛ばされてもいい、その剣の近くに肉体を再召喚させて不意の一撃を放つ!

一撃食らわせたらあとはファンに任せよう


ファン・ティンタン
【WIZ】一振りの刀として
【ヤド箱】で参戦
※アドリブ大いに歓迎

コレ、ステラ達に言ったら見る目が変わるかもしれないけれど…
私は、物は“壊される運命”が必定だと思ってる
その上で…最期をどう迎えるのかが、物としての命の価値が決まる瞬間なんだと思うんだよ

私は、そこに打ち捨てられた彼ら(武器達)を憐れまない
それは、彼らが弱かったから、運がなかっただけ

【スピリット・オブ・サウンド】による【鼓舞】を発動
【天華】を、ヤドリガミの身をも強化して立ち向かう

―――私は、違う
私は、自らを振るう身体を手に入れた
私は、自らの運命を歩む足を手に入れた
私は…主の死に復讐する心を手に入れた

おいで…私はお前如きには、折られないよ


花盛・乙女
武蔵坊何某とは吹いたものだな。
いや、オブリビオンならば本当に弁慶殿なのかもしれん。
良いだろう。羅刹女の武、お見せしよう!

武具を数多扱うと音に聞く弁慶殿とは思えぬ苛烈な業を持っているようだな。
武器の命を磨耗させ、殺傷能力を増す。
いいだろう。命を奪う側面も武器の姿の一つ。
この花盛乙女の二振りでもって貴様の斬撃を受けてやろう。

刀は振って斬れれば良いというのが私の考えだ。
だが…それは命を奪うためではなく、正義を貫き通すための手段として使う。
一側面でしか武を誇れぬ愚か者には、鬼の拳骨をくれてやる。
我が「怪力」を尽くした我が【雀蜂】、しかと受け止め滅びるが良い!


フロッシュ・フェローチェス
アタシの武器は、自分に合うようチューンしたんだ。お前に相応しいなんて可能性は万が一にも置き得ないね。
何よりただの壊し屋未満の分際で……ほざくな。

此処からは刻天炉の銃撃で先制攻撃し、数回銃撃を見舞った後――接近させて驚いたふりをするフェイントをかける。
その後残像を残して背後に回り、近距離モードの裂銃形態で一閃。次いで早業で背を踏みつけて衝撃波だ。
吹き飛ばしてから敢えてバックダッシュで離れつつ、もう一度銃を変形。これもまた出さなかった狙撃モードで追い打ちの銃撃を撃ってやるよ。

速さで敵わないと思わせられれば反撃のUCを使ってくるはず。
その時こそ囮の【迅速貫槍】、そして【睨砲】の出番だね。
※アドリブ可


鷲生・嵯泉
道具を道具として扱う事には異論は無いが
己が命を預けるモノを粗略に扱う
お前の様な輩に相応しい武具等有る筈も無いだろうな
……自ら相手を募っておきながら賊呼ばわりというのも
些かならず不快と云うもの

裂戒怒涛での能力底上げをした上で臨む
乱戦となれば理性を失うのは本来不利となるものだが
この強さでの無差別さとなれば話は別か
攻撃は見切りと第六感、或いは武器受けで出来るだけ躱し
多少の傷は激痛耐性で無視
攻撃は最大の防御、と怯む隙があれば前へ
鎧砕きに怪力を乗せ、防御ごと砕いてくれると攻撃を叩き込む
己を蔑ろにする主に忠誠を尽くす武具等あるまい

どうやらいわく因縁の有る者が居る様だ
必要と有らば助力するのも吝かでは無い、と



●武を極める者
 武具の墓場、その地で屋敷の屋根を見上げながらルカ・ウェンズ(風変わりな仕事人・f03582)はため息をこぼした。
(「賊って言われてしまったわ。私は殺し屋ですのよ……何も間違ってないわね」)
 何か悔しい、そう思ったルカの目の前で凛と出水宮・カガリ(荒城の城門・f04556)が言い放つ。
「賊はどちらだ。潰すことでしか使えんなど、ものの扱いも心得ぬ分際で一端の事をよく吠える」
「ものの扱い?」
 武蔵坊弁慶は、楽しげにそう笑う。タン、と屋根を蹴ると、そのままカガリの前へ着地した。

「使い潰す――それ以外、何がある?」

 カガリを見下ろし、武蔵坊弁慶は傍らに突き立てられていた刀に触れ――柄を握り潰した。
「道具とは使う物、ならばその本懐は壊れるまで使い尽くす事――それ以外に何がある?」
 その瞳は狂っている、狂気はあるが偽りはない――本気だ。本気で、そう思っているのだ。ソレが、ヤドリガミという存在を知りながら、だ。
「待て――!」
 ステラ・アルゲン(流星の騎士・f04503)は、思わず声を上げる。武蔵坊弁慶が、何をしようとしているのか理解したからだ。
「コレは我が物だ。ならば、どう使うか決めるのは――」
 不意に、武蔵坊弁慶が言葉を切る。刀を完全に潰そうとする刹那、武蔵坊弁慶の口元がニヤリと笑みを形どった。

「……折角の武具もこうまでボロボロだと価値なさそうだ……他に盗める物ありませんかね?」

 わずかに手を離した瞬間、潰される寸前の刀を盗んだのはオデット・クレイトン(三歩下往く・f04351)だった。オデットは亀裂が入り見るも無残な刀を眺め、改めて丁寧に地面に置く。
「道具を道具として扱う事には異論は無いが、己が命を預けるモノを粗略に扱う……お前の様な輩に相応しい武具等有る筈も無いだろう」
「お優しい物言いだ」
 鷲生・嵯泉(烈志・f05845)の突き刺すような言葉も、武蔵坊弁慶はどこ吹く風だ。武蔵坊弁慶は、その視線をついにファン・ティンタン(天津華・f07547)へと向けた。
「コレ、ステラ達に言ったら見る目が変わるかもしれないけれど……私は、物は“壊される運命”が必定だと思ってる。その上で……最期をどう迎えるのかが、物としての命の価値が決まる瞬間なんだと思うんだよ」
 ファンは、赤い瞳で武蔵坊弁慶を見上げる。その視線に、武蔵坊弁慶は笑みを濃いものとした。
「私は、そこに打ち捨てられた彼らを憐れまない――それは、彼らが弱かったから、運がなかっただけ」
「――クハッ!」
 言い切るファンに、武蔵坊弁慶が笑いをこぼす。それはやがて、夜気を震わせる呵々大笑へと変わった。

「クハ、ハハ、ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!! それでこそ、それでこそ我が運命の一振りよ! 古王の予言に間違いはなかった、我が最強の武へ至るために必ず必要な一振り! 天華よ!」

 武蔵坊弁慶が、ファンを見下ろす。武蔵坊弁慶は理解している、ファンから放たれる殺気を。古王、その名に関わるモノすべてを殺す、その揺るがぬ決意を。だからこそ滾り、だからこそ吼えた。
「――我が物にしてやる! 必ずだッ!」
「命を預け共に歩む武具は友に近きもの。なれば、あなたのような者に武を語らせることは看過できませぬ」
 桐崎・早苗(天然風味の狐娘・f10614)は、真っ直ぐに言い放つ。それに、武蔵坊弁慶は吐き捨てた。
「看過できぬ? ならば、どうする?」
「――斬ります」
 早苗の一言に、猟兵達は身構える。自分を囲む『敵』を――最強への踏み台を前に、武蔵坊弁慶は名乗った。

「武を極める者『武蔵坊弁慶』――推して参る」

●武勇の在り処
 ジャガガガガガガガガガガガガガガガン! と武蔵坊弁慶が、十の蒐集武具で武装していく。その一つ一つが銘ある業物、あるいはそれを凌駕する武具ばかり――それを見て、信楽・黒鴉(魔剣死蔵家(ソードストッカー)・f14026)がギシリと噛み締めた歯を鳴らした。
「運命に出会うだァ……? 面白ェ、出会ったついでに終わりにしてやらァ」
 刃長三尺、稚児切を抜き黒鴉が駆ける。その動きは荒々しく、怒りを隠そうともしなかった。
「オマエみてえなのが居るとよォ、僕のコレクション候補が減っちまうだろォが……! バカスカ考えなしに道具使い潰しやがってよォォォ!!」
 妖刀の怨念をまとった黒鴉の高速の一閃を、武蔵坊弁慶は蛇矛で受け止める。ギィンと散る火花を目に、武蔵坊弁慶は目を細めた。
「ほう、良い妖刀だ」
「そっちの妖刀も、大業物だろォがよォ!!」
「わかるか、いい目利きだ」
 褒美だ、と言わんばかりに武蔵坊弁慶は逆手で抜いた妖刀で、黒鴉の首を狙う。黒鴉は無銘の脇差でそれを紙一重で受け止めた。
「武蔵坊何某とは吹いたものだな。いや、オブリビオンならば本当に弁慶殿なのかもしれん。良いだろう。羅刹女の武、お見せしよう!」
 花盛・乙女(誇り咲き舞う乙女花・f00399)が、いざと踏み込む。極悪刀【黒椿】と小太刀【乙女】を抜き、武蔵坊弁慶へと斬りかかった。その連撃を、武蔵坊弁慶は蛇腹剣を螺旋の盾に受け流す。
「その極めた暴威の武と俺の至った理の剣……どちらが上か競うとしよう」
 その蛇腹の隙間に刃を滑り込ませたのは、六道・紫音(剣聖・f01807)だ。無音の縮地による踏み込み、そこから放たれる無駄の一切ない斬撃。それを武蔵坊弁慶は強引に三メートルは大太刀を地面に突き立てて防いだ。
「――ッ!」
 武蔵坊弁慶の後ろ回し蹴りが、大太刀を蹴り飛ばす。舞い踊った大太刀を、紫音は紙一重の見切りでかわした。
「どうですよ? 見るからに風変わりな得物でしょうよ?」
 白斑・物九郎(デッドリーナイン・f04631)は巨大鍵型メイス、心を抉る鍵(大)をモザイク状の空間から引き抜き、跳んだ。真上から振り落とす重い一撃を、武蔵坊弁慶は銅剣で受けきった。
「ククク、運命の一振りのみならず面白い武具が揃ったようで何よりよ」
「アタシの武器は、自分に合うようチューンしたんだ。お前に相応しいなんて可能性は万が一にも置き得ないね。何よりただの壊し屋未満の分際で……ほざくな」
 フロッシュ・フェローチェス(疾咬の神速者・f04767)が、刻天炉をドドドン! と銃撃。武蔵坊弁慶は、巨大な盾でその銃弾を防いだ。
「――ぬ?」
 フロッシュが即座に間合いを詰めようとした、そう思った時には姿が掻き消えていた。それに相手が気づいた時には、もうフロッシュは背後にいる――近距離モードの裂銃形態で斬りかかった。
「ハ!」
 武蔵坊弁慶が、小太刀でフロッシュの一撃を受け流すも踏みつけからの衝撃波で間合いを開け、即座に銃撃で動きを封じてくる。
「――ッ!」
 そこに間合いを詰めたのは、ステラだ。流星剣による、二連撃。それを武蔵坊弁慶は、妖刀で弾き――。
「ほう?」
 流星剣の蒼に魅せられたように、狂気が宿る目を細めた。その視線に、ステラは怖気が走る。
(「……剣のヤドリガミとしてはこの惨状はあまりに胸にこたえる」)
 ここに居並ぶ壊れた武器もまた、このような視線で見られ、壊れれば興味を失い捨てられたのだろう――傲然な、一方的な執着の果て。それは剣のヤドリガミとして、看過できるものではなかった。
「夜の帷へ」
「――縛を解く。是を以って約を成せ」
 オデットが血の記憶(ブラッドソウル)によって完全なる「夜(デモン)」に変身、嵯泉が烈戒怒涛(レッカイドトウ)で封印より解放した剣精を身にまとう。
「強そうだから遠くから大勢で弓や銃で攻撃したいけど今回は無理ね」
 ルカは変形式オーラ刀を抜き、傍らの早苗へ問いかけた。
「それで? アレは殺していいのよね?」
「はい、存分に」
「そう――」
 ルカが直線に、早苗が円の軌道を持って武蔵坊弁慶へと挑むかかる。オーラの軌跡が、サムライブレイド -漣-の軽快な斬撃が、武蔵坊弁慶の蛇矛と打ち合った。
「ファン――」
 呼びかけるカガリに、ファンは周囲の武具の墓標を眺め呟いた。

「清らかなる音よ、想いをのせて、届け」

 スピリット・オブ・サウンド、その歌声と共にファンは前へ出る。
「―――私は、違う」
 武具達へ、告げるように。
「私は、自らを振るう身体を手に入れた」
 ただ、前へ。
「私は、自らの運命を歩む足を手に入れた」
 地面を、確かに踏みしめ。
「私は……主の死に復讐する心を手に入れた」
 万感の想いを込めて。

「おいで……私はお前如きには、折られないよ」

 ファンの覚悟に、武蔵坊弁慶は吼えた。
「ならばこそ、使い潰してやろう!!」
 武を極める者は、その名にふさわしき高みへ昇るため、運命へと挑みかかった。

●運命の刻
 戦いは、ただ激しく苛烈なものだった。ただ、置いて行かれる者はいない。誰もがここでは、戦う者であった。
 だからこそ、だろう。武蔵坊弁慶は、その渾身の一撃を放つのに迷いはなかった。

「我が武に耐えられぬ道具など要らぬ、力を示せ」

 武蔵坊弁慶は、十の蒐集武具を開放する。否、それはただの開放ではない。限界さえ越えた、十全を越えた暴力だ。
「気に入ってはいた、だからこそ出し惜しまぬ! 受けて見よ!!」
 武蔵坊弁慶が、十の蒐集武具を空中へと浮かばせ跳んだ。その前に立ち塞がったのは、カガリだ。
「――やらせない」
 錬成カミヤドリで鉄門扉の盾を複製したカガリへ、武蔵坊弁慶はまっすぐに飛び込んだ。

「オ、オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!」

 剛弓の一矢から始まり、蛇矛の薙ぎ払いが、蛇腹剣の奇っ怪なる切っ先が、大盾の殴打が、大太刀の豪快なる斬撃が、妖刀の妖しき一閃が、銅剣の投擲が、大錫杖の力任せの打撃が、鎖鎌の変幻自在の一撃が、無銘の人斬り包丁による袈裟斬りが――そのことごとくを、カガリは盾を寄せ集め――破壊されながらも、受けきった。
「だァから!! どうしてそういうとこするかねェ!?」
 武蔵坊弁慶の猛攻が途切れた瞬間、キレた黒鴉が駆けた。しかし、その手は無手だ。だからこそ、武蔵坊弁慶の反応が遅れた。
「餞だ」
 もちろん、敵へのではない。駆けた間に地面から引き抜いた、妖刀へのだ。武蔵坊弁慶の壊れかけの妖刀を断ち切り、黒鴉の拾った妖刀が武蔵坊弁慶を切り裂いた。手に馴染み、良い妖刀だ――だからこそ、怒りもひとしおであった。
「さて、武器が尽きるか私の寿命が尽きるか勝負ですね。……まぁ、エルフの寿命は永いですよ?」
 オデットが、次々と引き抜いた武具を投擲していく。武蔵坊弁慶はそれを大盾で受け止めるものの、オデットの投擲は止まらない。ヒビの入った大盾は耐えきれず、ついに一本の投げ槍が武蔵坊弁慶へと突き刺さった。
「は、はは!!」
「弁慶なら、ここよね」
 笑う弁慶にに、ルカはオーラ刀で脛を切り裂く。武蔵坊弁慶は、切り裂かれながら銅剣を投げ放つも見えない蜘蛛の糸で繋がっていた銅剣を、ルカは引き寄せキャッチした。
「地面を見りゃ分かりまさ。おたくのそのコード、得物を壊れ易くしちまって、実際壊しまくってるんですよな?」
 物九郎の心を抉る鍵(大)と、武蔵坊弁慶の大錫杖が激突。轟音を鳴り響かせ、大錫杖が砕け散った。
「刀は振って斬れれば良いというのが私の考えだ。だが……それは命を奪うためではなく、正義を貫き通すための手段として使う」
 そして、乙女が踏み込む。極悪刀【黒椿】と武蔵坊弁慶の大太刀が交差し、そのまま黒椿は大太刀ごと武蔵坊弁慶の脇腹を切り裂き――。
「我が「怪力」を尽くした我が【雀蜂】、しかと受け止め滅びるが良い!」
 そして、乙女が放つ鬼の拳骨が武蔵坊弁慶を吹き飛ばす!

「か、はは、ははははははははははははははははははは!」

 空中で体勢を立て直し、武蔵坊弁慶が着地する。そこへ、フロッシュが高速で迫った。弁慶はそれを即座に剛弓で応えた。
「【見る】だけで良い。――終幕だ、散れ」
 ザン! とフロッシュの睨砲『バーズ・アイ』(ヒートスナイプバーズアイ)が、放たれた矢ごと弁慶を切り裂く!
「ただ一刀、剣士にはそれだけでいい」
 紫音が、踏み込む。それに武蔵坊弁慶は、人斬り包丁を抜いて返した。しかし、弁慶の刃は――届かない。
「壱之太刀……斬鋼!」
 断てぬモノ無き回避不能の同時三重斬撃――壱之太刀《斬鋼》(イチノタチ・ザンコウ)が、刀ごと弁慶を切り刻んだからだ。
「か、はは、は!!」
「――参ります」
 そこへ踏み込んだのは、早苗だ。蛇腹の剣が迎撃するも、その円の動きが防ぐ刀は切っ先の軌道をたやすく逸した。刃は引いて斬るもの、力はさほど必要ない。武具の負荷を減らしその能力を活かす。あらゆる力の流れを掴むこと――それが、早苗の武の肝要だ。
 だからこそ、サムライブレイド -漣-の鋭い一閃が深く弁慶を斬ったのだ。
「そんなに武器が使いたければ、私を使うか?」
「おお!」
 鎖鎌の一撃を弾き、ステラは流星剣を投擲。弁慶がそれをつかもうとした瞬間、再び具現化したステラが弁慶の胴を薙ぐ!
「お。おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
 武蔵坊弁慶が、蛇矛を投げ放つ。その一撃を、真っ向から秋水によって断ち切ったのは、嵯泉だ。
「どうやらいわく因縁の有る者が居る様だ」

「天華ァ!!」

 完全な無手となった、武蔵坊弁慶が叫ぶ。それに、ファンは応えた。
 放たれるのは、白の一振りによる渾身の一撃。薙ぎ払う斬撃が、武蔵坊弁慶を両断――確実な終焉をもたらした。

「――――」

 ファンは、呟く。その呟きは、誰にも届かない。ただ、誰もがそこに込められた覚悟だけを知った。

 その白の一振りで、断ち切らねばならない敵への――宣戦布告であった。

 ――こうして、修羅の宴は終わりを告げる。残るのは、斬りあったという事実のみ。修羅には、それで十分であった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年03月18日
宿敵 『武を極める者『武蔵坊弁慶』』 を撃破!


挿絵イラスト