獣人世界大戦⑬〜白き魔手がはじまりの猟兵にへと迫る
●獣人戦線の荒野にて
「カカッ……此処までは『王』と『師父』の思惑通り!」
サイバーカンフーマスター『有頂天道人』は、これまでにないほど気分が昂っている。
「『はじまりの猟兵』の目星は既についている。後は俺自身がはじまりの猟兵を見つけ出せばいい」
それ故にサイバーマフィアを統率する身でありながら、有頂天道人は単独で行動している。
誰よりも疾く、はじまりの猟兵を見つけ出す為である。
「俺の邪魔をする者は容赦はしない。たとえ相手がカルロス王であってもだ」
今こそまさに裏切るべき、土壇場であるのだと有頂天道人は確信している。
「ふん!」
有頂天道人は行く手を阻んでいる大岩に向け、渾沌化した右半身から白きおぞましき触手を伸ばす。
数秒も立たずに、大岩は完膚なきまでに粉砕される。
触手からは何か鋭利な刃物が見えたが、役目を終えた途端に、触手の中にへと消える。
「これがお前達の未来だ!」
障害物を排除した有頂天道人は敵対者への宣戦布告とも取れる言葉を吐き捨てた後、右半身を白き天使の翼を生やして、ただっ広い荒野を駆け抜けるのだった。
●グリモアベースにて
「皆、連日の戦いお疲れさまだね。戦争の行方もだけれど、『はじまりの猟兵』の行方も気になるところだよね」
グリモア猟兵であるリリスフィアが、次に戦うべき相手を猟兵達に示す。
「既に戦った人達もいるとは思うけれど、コンキスタドール『有頂天道人』、彼の姿が予知出来たんだ」
『サイバー化』と『渾沌化』という2つの変異を駆使して戦うサイバーカンフーマスターである、有頂天道人は紛れもなく強敵である。
その有頂天道人が単独でどこかにへと向かっているのだという。
「可能性があるとしたら…『はじまりの猟兵』に関係する場所じゃないかな。最も『はじまりの猟兵』近づきつつある存在だろうからね」
放置しておけば有頂天道人は望み通り、誰よりも疾く、はじまりの猟兵にへと至る事だろう。
「それだけは絶対に阻止しないといけないするんだ。凄く嫌な予感がするんだ」
有頂天道人から、はじまりの猟兵について問いただしたいという者もいるだろう。
だが意志の固い、有頂天道人が猟兵達に対して有益な情報を話す事はないだろうと、リリスフィアは警告する。
戦わずに後をつけるといった行為も論外である。
「何よりも有頂天道人に付け入る隙を与える事になるからね」
何せ有頂天道人は『サイバー化』と『渾沌化』に加え、『予想もつかない不意の一撃』を放ってくるのだから。
「皆の先手を取って仕掛けてくるというものではないのだけれど、逆に厄介でもあるかな。不意の一撃がいつ放たれるのか、そこまでは予知できなかったからね」
予測不能の一撃、それに対応しなければ勝利はおろか、生きて帰る事すらも困難だろう。
「危険な相手だけれど…止めるなら今しかない。皆の力を貸して欲しいんだ」
説明を終えたリリスフィアは、有頂天道人が待つ戦場にへと繋がる転送門を開くのだった。
吾妻 銀
吾妻 銀です。
獣人世界大戦の7本目のシナリオとなります。
戦争シナリオとなりますので、1章構成となります。
第二戦線のシナリオですので、5月20日(月)までに完結を目指します。
コンキスタドール『有頂天道人』とのボス戦となります。
有頂天道人は渾沌化した右半身を『白き天使の翼・白きおぞましき触手・白き無貌の牛頭・白き殺戮する刃』等々に不規則に変化させ、『予想もつかない不意の一撃』を放ってきます。
敵の不意打ちに翻弄されないよう、冷静な立ち回りが要求されるでしょう。
OPにもあります通り、有頂天道人からは『はじまりの猟兵』の情報は得られる事はありませんので、ご承知おきください。
プレイングボーナスは「『渾沌化』から放たれる予測不能の不意打ちに対処する」となります。
参加は公開直後から受け付けます。
締め切りは参加状況を見て、タグや雑記に記載します。
それでは皆様の参加をお待ちしております。
第1章 ボス戦
『有頂天道人』
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POW : サイバネ殺法 undefined cyberne
【機械化義体でカンフー技】を放ち、命中した敵を【undefined】に包み継続ダメージを与える。自身が【中国拳法の構えを】していると威力アップ。
SPD : サイバー渾沌拳 undefined kungfu
【サイバー化した肉体】と【渾沌化した肉体】を組み合わせた独自の技能「【サイバー渾沌拳】」を使用する。技能レベルは「自分のレベル×10」。
WIZ : 渾沌波動弾 undefined aura
レベル秒間、毎秒1回づつ、着弾地点から半径1m以内の全てを消滅させる【undefined】を放つ。発動後は中止不能。
イラスト:松宗ヨウ
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
鳴上・冬季
「貴様が師の命も果たせぬ不肖の弟子だったと伝えてやろう。安心してここで死ね」
嗤う
「歌え、禁混霊珠」
仙術+功夫で縮地(短距離転移)し接敵
混沌化攻撃に合わせ簡易宝貝を混沌部分に突っ込み雷撃で焼き排出防ぐ
サイバー攻撃は空中戦・空中機動+功夫で軽身功しふわりと回避
「本来の形から無秩序に変形する混沌化は動く癌細胞のようなもの。禁混霊珠で生命力と肉体をあるべき形に整える秩序を与えれば、混沌化も混沌化に由来するundefinedも封じられる」
「禁混霊珠を掻き出そうとその効果は暫く続く。さあ死合再開だ」
嗤う
仙術で全身に雷属性纏う
敵の攻撃は寸勁で打点ずらし雷ダメージ重ね
死角に縮地し震脚から貫手で心臓等急所に貫手
禹・黄風
これだけ忠誠を誓われている師父とは一体…?
あと数日ではじまりの猟兵は分かりますが…ここで喰い止めます。
伸縮する自在三節棍を伸ばしできるだけ遠距離から攻撃。
UC起動し打ち据えれば移動不可、構えを取る事も妨害できるでしょう。
その義体で直にカンフー技を当てねば渾沌で包めない、なら此方の間合いで戦わせて頂きます。
距離を取りつつ敵の癖を読み、仕掛けてくる時の呼吸等を探り、不意打ちの前兆を感じ取れるように。
読めたならそのタイミングで棍をぶち当て不意打ち行動を妨害、読めずとも多少の傷は覚悟の上で棍を食らわせ妨害、停止させます。
止めたら距離を取り気を練り込んだ一撃を薙ぎ払い叩き込みます。
※アドリブ絡み等お任せ
臥待・月紬
変化とカンフーの合一!
敵じゃなければ教えを請いたいとこッスけど、今は大一番。
ここで倒れてもらうッス!
まずは【操煙術・不知火】の煙を広げ、幻術で自分の分身を多数展開。
分身と共に、軍用シャベルを武器に一撃離脱を繰り返し、不意打ちの標的を分散させる。
自分に攻撃が向いたら、妖力のオーラ防御でなんとかガード。
相手は達人。
すぐに幻術を見破り、本体へのカウンターを狙ってくるはず。
自分はそれを逆手に取り、更なるカウンターを狙う!
サイバーカンフーの一撃を誘い、分身に紛れて左側から突撃。
義肢の一撃が来たら本命のUC【雷獣変化・鳴神】!
打撃をすり抜け、そのまま機械義肢に入り込んで全力の雷鳴電撃!
内部から焼き切る!
アシェラ・ヘリオース
さて、これは強敵だな
武術家の細やかな駆け引きか、苦手分野だ
スーツ姿に高級仕官外套を羽織り、小さく息を吐く
まぁ、やるか。手にした赤槍に保持する闇理力の半ばを【エネルギー充填】し、励起状態に持って行く
渾沌化による予測できない一撃に対し、間合いに入れず闇理力を籠め巨大化させた刃を一振りする。渾沌化がいかなる物か理解できないが、触れたら爆ぜる力の塊で空間を制圧するのは有効だろう【武器の巨大化、ダイガタナ、爆破】
機械化に対処は慣れている。電子戦【ハッキング、メカニック、結界術】を仕掛け、動きが鈍った所にやはり間合いの外からダイガタナの如き「破天槍」で攻撃を行う
「すまんな。細かい技の駆け引きは苦手なのだ」
「カカッ!やはり黙って行かせてはくれるようだな」
荒野を進み続けていた、コンキスタドール『有頂天道人』は近づいてくる猟兵達の気配を察知して、足を止める。
自分を脅かす存在である猟兵達が迫りくる中、その表情はどこか楽しそうである。
「師父の大願を叶うのもあと一歩なのだ。邪魔などさせぬ!」
だだっ広い荒野を揺るがす程の気迫が、まだ距離がある猟兵達にもひしひしと伝わってくる。
「これだけ忠誠を誓われている師父とは一体…?」
強大なオブリビオンであるカルロス王ですらも裏切ろうとしている有頂天道人が、忠誠を誓っている存在、そしてはじまり猟兵の存在、その正体を知る為にも、ここは食い止めなければと、トラの武人である禹・黄風(武の頂を・f40009)は三節棍を伸ばす。
自在に伸縮する棍は遠距離からの攻撃を可能とするのだ。
「ふん!」
有頂天道人はサイバー化した片腕で飛来してきた三節棍を難なく受け流す。
「貴様が師の命も果たせぬ不肖の弟子だったと伝えてやろう。安心してここで死ね」
そのタイミングで雷使いの妖仙である鳴上・冬季(野狐上がりの妖仙・f32734)が接敵する。
強敵を前にしながらも、冬季もまた嗤っていた。
「遅いわ!」
仙術と功夫を組み合わせた縮地で、一瞬で距離を詰めた冬季に対して、予測していたかのように右半身から白きおぞましき触手を出現させて迎え撃つ。
まともに受ければ猟兵とて渾沌化は免れない。
だがそれすらも冬季は予測していたかのように、同時に簡易宝貝を触手に突き刺して雷撃を叩き込んだのである。
「変化とカンフーの合一!敵じゃなければ教えを請いたいとこッスけど、今は大一番。ここで倒れてもらうッス!」
獣人戦線生まれの狸獣人の少女、臥待・月紬(超級新兵(自称)化け狸・f40122)もあとに続く。
相手は1人だが、それでも油断のならない強敵なのだ。
月紬は幻術による煙を広げ、更に自分の分身を多数展開して、包囲網を築き上げる。
「この俺にまやかしなど効かぬ!」
黄風と冬季の攻撃をガードしつつ、右半身を白き無貌の牛頭にへと変貌させた有頂天道人は、月紬めがけて突進する。
「こっちに来たっす!」
戦いの達人である有頂天道人は、幻術や分身をものともせず、一直線に月紬に襲い掛かってきたのだ。
月紬も妖力のオーラでガードしようとするも間に合わない。
「やはり、強敵だな!」
そこへスーツ姿に高級仕官外套を羽織ったダークフォースナイト、アシェラ・ヘリオース(ダークフォースナイト・f13819)が割って入る。
小さく息を吐いて、フォースを極限圧縮し結晶化した赤槍を手に、有頂天道人に向かって突撃を敢行する。
「カカッ、そうこなくてはな!」
文字通り横槍を入れられた有頂天道人は月紬への攻撃を中断して、猟兵達と距離をとった。
だがそれは仕切り直しの為ではない。
後退するのと同時に、有頂天道人は白き殺戮する刃を猟兵達に向けて解き放ったのである。
「抜け目がありませんね!」
遠距離から三節棍を伸ばしていた黄風もその例外ではなく、咄嗟に三節棍を変形させて渾沌化の力が込められた刃を弾き返す。
義体で直にカンフー技を当てねば渾沌で包めないと踏んで、間合いをとって戦っていた黄風だが、その目論見は予想つかない形で崩れ去った事となる。
「やはり混沌化は動く癌細胞のようなものですね。歌え、禁混霊珠」
本来の形から無秩序に変形する厄介な力を封じるべく、冬季は雷撃を叩き込んだ際に有頂天道人に埋め込んでいた簡易宝貝である禁混霊珠を活性化させる。
「むぅ…これは!」
禁混霊珠で生命力と肉体をあるべき形に整える秩序を与える事で、逆に混沌化も混沌化に由来するundefinedをも封じ込めようとしているのだ。
「これしきの事で!」
有頂天道人は即座に禁混霊珠を体内から除去するが、その効力は暫くの間続く。
「すまんな。細かい技の駆け引きは苦手なのだ」
間髪入れずにアシェラが闇理力で巨大化させた刃を、有頂天道人に向けて振り下ろす。
「おのれ!」
空間を制圧する程の巨大な刃を、有頂天道人は自らの怪力で受け止める。
「だが有効な手段なのでな」
その直後、触れた個所から爆発が巻き起こった。
強大な刃は切り落とす為で叩き潰す為でもなかったのだ。
「ぐぅぅぅっ!」
有頂天道人にとって、それは正に予測不能の一撃となった。
「ここで勝負を決めるッス!」
訪れた最大のチャンス、月紬は分身達と共に軍用シャベルを武器に殴りかかる。
「俺も甘く見られたものだ!」
混沌化を封じられ、爆破によるダメージを負いながらも、有頂天道人は月紬を迎え撃つ。
「ぐぎゃ!」
サイバーカンフーの一撃が殴りかかってきた月紬を捉えたかに見えたが、それは月紬の分身であった。
先ほど容易く見抜いた筈の分身を見分けられなかったのは、猟兵達が与えたダメージによるものなのだろう。
「しくじったか!」
「気付いても、もう遅いっスよ!」
月紬は分身に紛れて左側から突撃し、本命の一撃を叩き込む。
【雷獣変化・鳴神】、月紬の全力の雷鳴電撃が有頂天道人の機械化義体を内部から焼き切る。
「ぐぉぉぉぉ!」
「さあ死合続行だ」
仙術で全身に雷属性纏った冬季が、有頂天道人の死角に縮地し、震脚からの貫手が有頂天道人の心臓を貫いた。
「俺は死なぬ!」
それでも有頂天道人は動きを止める事無く、それどころか肉薄してきた2人を【undefined】で包み込もうとする。
追いつめられても尚、それを覆すだけの力を有頂天道人はまだ残しているのだ。
「駆け引きは苦手だが、電子戦は得意なんでな」
そこへアシェラが有頂天道人の機械化義体にハッキングを仕掛けて、【undefined】の拡散を阻止しにかかる。
そして間合いの外からダイガタナの如き『破天槍』を伸ばし、突き飛ばす形で有頂天道人を2人から強引に引き離した。
「とどめは任せるよ」
「――応っ!」
駄目押しとばかりに黄風が、気を練り込んだ棍の一撃を【undefined】の射程外から叩き込んだ。
捨て身の覚悟で繰り出そうとした有頂天道人の攻撃は、猟兵達の連携によって阻止され、そして黄風の一撃がとどめとなった。
「ぐぐ…あと一歩の所で…無念だ。師父…すまぬ…」
有頂天道人は猟兵達が自分の予想を遥かに上回る存在であることを思い知られ、荒野に立ったまま絶命する。
はじまりの猟兵にへと至る道、その最後の一歩を猟兵達が阻んだのである。
「約束通り師父とやらには伝えおいてやるさ。安心しな」
戦いが終わり、冬季は再び嗤う。
有頂天道人が単身どこに向かおうとしていたのか、それは今はわからない。
だが数日も経てば、それは予見されるだろうと、その場に居た猟兵達の誰もが予感するのだった。
大成功
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