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獣人世界大戦⑫〜ギガンティック・ソング

#獣人戦線 #獣人世界大戦 #第二戦線 #ゾルダートグラード #幼女総統『ギガンティック』 #『A』ubade

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#幼女総統『ギガンティック』
#『A』ubade


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●大地揺るがす
 猟兵達は見上げるしかなかっただろう。
 それは山が一つ動くようなものであったし、その様な光景を目の当たりにした時、人は硬直するしかなかった。
 山が一つ吹き飛んでいた。
「見たか、これが幼女キックというものであーる!」
 高らかに響くは幼さの残る声。
 無理して厳しい言葉遣いをしようとして、逆に可愛らしい感じになってしまっている。
 そう、猟兵たちが見上げていたのは巨大な幼女である。
 誰もが目を疑ったであろう。

 眼の前の光景が現実ではないと思いたかっただろう。
 だが、軍服に幼き体躯を収め、サーコート方に引っ掛けて翻し、ずり落ちそうな軍帽を狼耳でなんとか挟み込んで、おっとっと、と被り直した巨大な幼女。
 手にしているのは地味なライフルであるが、しかして幼女の体躯が巨大過ぎるがゆえに比例するように巨大な大砲であることを知らしめるだろう。
 放つは銃弾というより、もはや光条、ビームであった。
「これぞ機械兵士の諸君が技術の粋を凝らして作り上げた超超巨大砲『シュリヒトゲヴェーア』である!」
 まるで反動などないかのように巨大な幼女は引き金を引き、そのすさまじい威力の巨大ビームをぶっ放し、眼の前に迫るウラル山脈の岩肌を吹き飛ばすのだ。
「さあ、機械兵士の諸君! 吾輩に続け! 諸君らを阻む山脈など、行軍し易いように平らにならしてくれるわ!」

 彼女――ゾルダートグラード総統、通称、幼女総統『ギガンティック』は、その数百メートルはあろうかという巨躯を一歩前に踏み出させる。
 凄まじい。
 はっきり言って圧倒的すぎた。
「この吾輩は、未だ『魔女』として成熟前……だが、侮るなよ、猟兵たちよ。吾輩は諸君らを何の反動もなしに『エンドテイカー』の魔力によって時間の流れを巻き戻し、諸君らを撃滅する未来を手繰り寄せる! 諸君らが得る未来はただ一つ。この『シュリヒトゲヴェーア』の放つ光条に焼き滅ぼされることのみよ!」
 高笑いと共に『ギガンティック』は笑う。
 笑い声さえも雷鳴のように轟く豪勢さ。
 彼女は何の反動もなく超超巨大砲をぶっ放しながら突き進んでくる。
 その先にあるのはウラル山脈の向こう側……即ち、ロシア深部。

「ワルシャワ条約機構が掴んだ『はじまりの猟兵』の手がかり! これを吾輩たちが占領するのである! 故郷にある吾輩専用|甲冑《メイガス》があれば、更に万全であったが、恐れるに足らぬ! 量へ挑もよ、ワルシャワも人民租界も、何するものぞ! 吾輩が単騎で蹴散らしてくれるわ――!」

●獣人世界大戦
 ナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)は驚愕に染まる猟兵たちを前にして、確かにそういう反応になるだろうな、と予想はしていた。
「皆さん、どうか正気に戻ってください。巨大な幼女という、普段ならば決して結びつかぬ二つの要素が結びついてしまった光景を眼の前にして、脳が思考を拒むことも理解できます。ですが、どうか今は……!」
 彼女の言葉に猟兵達は我に返るだろう。
 言いたいことはわかる。
 幼女総統『ギガンティック』。
 幼女という名前とシルエットとは相反する総統でありながら『ギガンティック』という名。
 あまりにもアンビバレント。
 巨大な幼女が目の前に山を均すように超超巨大砲からビームをぶっ放し、幼女キックと名付けたただのスタンピングでもってウラル山脈の山肌をぶっ飛ばしているのだ。
 そりゃあ、開いた口が塞がらないだろう。
 わかる。
 とてもわかる。

 だが、今はそれどころではないのだ。
「彼女は超大国が一つ、ゾルダートグラードの幼女総統『ギガンティック』。超巨大幼女なのです」
 わかる。
 わかるが、その呼び方はちょっとまずい。
「あの超超巨大砲は常に皆さんを狙って雑にぶっ放しているように見えて、狙いは正確です。彼女は生まれたときより超巨大であるがゆえに、自分よりも小さな相手に対する戦い方というものを知っているのです」
 即ち、巨体であるから、という先入観は一切通用しない。
 こそこそっと隠れて……と言った不意打ちの類が一切効かないのだ。
 例外なく、あの巨大な体でもってふっとばされてしまう。

「絶え間ない砲撃をかいくぐり、彼女の足元に飛び込んで攻撃を叩き込むほか方法はありません!」
 簡単に言うが、あの砲撃は雨というより嵐だ。
『ギガンティック』は目についた敵を片っ端から反動など無い超超巨大砲『シュリヒトゲヴェーア』を連発して、猟兵たちに放ってくる。
 これに対処しなければ、勝利することは難しいだろう。
「巨大である、ということは即ちアドバンテージ。此方が小さい、ということのアドバンテージはまるでない、と考えるがよいのかもしれません」
 つまり?
「真っ向勝負で撃退する他ないのです」
 無茶振りである。
 だが、ナイアルテは、その瞳を猟兵たちに向けた。
 期待、とは違う。
 むしろ、彼女の期待や想像を上回ることを望んでいるかのような眼差しであった。
 あ、これは、と猟兵たちは思っただろう。

「みなさんならば、きっとできます!」
 理屈なんてない。
 理論なんてあるわけもない。
 そう、彼女はこう見えて、ポンコッツである。そう、これだけ巨大な敵を前にしたのならば、あとは努力と根性と熱血とでなんとかなると思っているのだ――!


海鶴
 マスターの海鶴です。

 ※これは1章構成の『獣人世界大戦』の戦争シナリオとなります。

 ついに現れました、ぎりぎりぶっちぎりのでかいようじょ!
 そう、超大国ゾルダートグラードの幼女総統『ギガンティック』です。
 彼女は数百メートルの巨体で超超巨大砲『シュリヒトゲヴェーア』を何の反動もなく連発して極大ビームを皆さんにぶちかましてきます。
 この砲撃に対処しながら、足元にまで到達し、攻撃を叩き込むしかありません。
 この戦いで彼女を打倒することはできないでしょう。
 ですが、皆さんのユーベルコード、攻撃によって撤退に追い込むことはできるはずです。
 規格外の火力と射程、何より自分より小さな相手と戦うことに慣れている彼女の猛攻を如何にしてか凌ぎ、これに攻撃を叩き込みましょう。

 ※プレイングボーナス……超超巨大砲の砲撃に対処する。

 それでは、超大国をも巻き込んだ獣人世界大戦にて多くを救うために戦う皆さんの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
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第1章 ボス戦 『幼女総統「ギガンティック」』

POW   :    幼女キーック!!!!
単純で重い【幼女キック】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    超超巨大ビィーム!!!!
【超超巨大砲『シュリヒトゲヴェーア』】から、レベル×5mの直線上に【超超巨大ビーム】を放出する。【魔力】を消費し続ければ、放出を持続可能。
WIZ   :    斯様な結末、吾輩は断じて認めない!!!!
全身に【終焉を巻き戻す「エンドテイカーの魔力」】を帯び、戦場内全ての敵の行動を【巻き戻されてゆく時間の流れ】で妨害可能になる。成功するとダメージと移動阻止。

イラスト:すずま

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ヌグエン・トラングタン
そうだな、生まれてから超巨大なら戦い方もわかってるわな。わかる
(大厄災竜時代思い出した)

隙というなら、今のいわゆる『イキっている』状態だけなんだろうなぁ…。
仕方ねぇ。その砲撃の嵐は見切れねぇだろうから…己の頑丈さと凍炎不死鳥によるガードでいなすしかねぇ。
…妻たちに知られたら怒られるけどな。

で、攻撃なんだけどな。凍れる炎の魔力もまとわせて威力を最大にしたUCを伸ばす。
ついでに、「猟兵が諦めることを諦めろ」って伝えとくわ。聞いた話(エンドブレイカーでの戦争)が正確なら、エンドテイカー程度で止まるわけないんだよな。



「フハハハ! 見よ、この『シュリヒトゲヴェーア』の力を! 無反動、連射性能、威力! どれをとっても申し分ない! 流石は吾輩の配下たる機械兵士の諸君の技術力! 我がゾルダートグラードの技術力は世界一である!」
 轟雷の如き笑い声が頭上から降り注ぐようであった。
 ヌグエン・トラングタン(欲望城主・f42331)が見上げるは、数百メートルはあろうかという巨大な存在。
 巨大でありながら幼女。
 幼女という存在のままスケールを大きくしたアンビバレント。
 それが幼女総統『ギガンティック』であった。
 彼女の放つ地味で平凡なライフルから放たれるビームの光条が降り注ぐ中、まるで隙のない砲撃に彼は、これが敵の最大の長所であると知る。

「そうだな。生まれてから超巨大なら戦い方もわかってるというわけか。わかる」
 ヌグエンはしみじみと頷く。
 彼にとってもそれは同様であったのだ。
 しかし、隙が見当たらない。
 極大ビームを連射してくることもそうだが、恐るべきは、その反動がまったくない、ということだ。
 大抵の場合、このような強大な力を振るうにはそれなりの制限であったり、反動というものが生まれるもの。
 だが『ギガンティック』は、それをまるでないものとするように極大ビームをぶちかましてくるのだ。
「まったくもって今の所謂『イキッてる』状態は目に余るぜ……」
「フハハハ!」
 高笑いが降り注ぐ。
 凄まじいビームの光条の中をヌグエンは走る。

 極大ビームの一撃がヌグエンを捉えるも、しかり、理不尽な硬さでもってどうにか凌ぐ。
「ムッ! 吾輩のビームを受けて溶解しないとは。なんたる理不尽な硬さ。ならば!」
「げっ」
 ヌグエンはビームの直撃を受けてもなんとか存在を保っていた。
 砲撃を躱すのは無理だと判断して、己が重要NPCとしての特性でもって砲撃を受け止めたまではよかった。
 こんな無茶をすれば、あとでどんなお叱りを受けるかなんてわかっていたが、まあ、仕方のないことである。
 だが、それ以上にヌグエンが脅威を感じたのは『ギガンティック』が足を振り上げる所作をしたことである。

「見よ、これが吾輩の幼女キックというものである!」
「ただの物理だろうが!」
「フハハハ! 硬いというのならば物理的に踏み潰すか、踏みつけ続けて何もさせないのが肝要なのである!」
「う、おおおおっ!!」
 凄まじい地響きと共に『ギガンティック』の幼女キックと言う名のスタンピングがヌグエンにフル降ろされる。
 瞬間、ヌグエンの瞳がユーベルコードに輝く。

 魔力で生み出された黒鎖。
 その鎖は一瞬で『ギガンティック』の足首に絡みつき、それ以上振り下ろさせないのだ。だが、軋む。魔力で作った黒鎖も、それを手繰るヌグエンの体も軋む。
「ぐっ……!」
「ぬう! この吾輩の大質量幼女キックを止めるか! 諦めの悪い!」
「ハッ! そうかよ! なら、聞けよ! 猟兵がこの程度で止まるか? 止まらねぇだろ! 幼女総統! 猟兵が諦めることを諦めろ!」
 その鎖は意志を伝う(ツカイカタシダイ)ようにしてヌグエンの言葉を『ギガンティック』へと伝えるのだ。
 そう、過去の大いなる戦いを知るのならば、理解できるだろう。
 例え、魔女の力……事象を認めず、繰り返すエンドテイカーの力があるからと言って、猟兵たちが足を止めることはない。
 例外はない。
 そう伝えるようにヌグエンは『ギガンティック』の足首を締め上げ、引き寄せるようにして彼女の体躯、その巨体の体勢を崩させるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月夜・玲
うお…ちょっとデカすぎ…!
身体が大きければ、幼女でも巨乳と言い張れる可能性が微レ存…?

真っ向勝負で打ち破れとか、無茶を言ってくれるなあ!
今度お菓子献上して貰わないと、割に合わないよこれは

EX:I.S.T[BK0001]に騎乗して最大速度で移動
敵の巨大砲、しかもビームときたもんだ
こっちも採算度外視だ
敵のビームに対応してバイクから降り、『念動力』でバイクを飛ばす
そのまま『オーラ防御』で強化したバイクを盾にして砲撃を受けさせバイク爆散!後で請求書送るからな!!

接近したら【断章・機神召喚】起動!
機械腕召喚
敵が巨大なら……あそこを狙うしか無いっしょ!
不意に打ったらいたいとこ
即ち、足の小指を拳骨でドーン!



 ぐらり、と揺れる巨体。
 猟兵の黒鎖によって幼女総統『ギガンティック』の巨体がゆるようにして体勢を崩していた。
 だが、踏みとどまる。
 そう、幼女総統はこの程度では倒れない。
 そういうかのように彼女は地鳴りを響かせながらウラル山脈の山肌にブーツで覆われた巨大な足を叩きつけるようにして踏みとどまったのだ。
「この吾輩をすっ転ばせようなど百年早いわ!」
 響く万雷のような声。
 声量まで凄まじい。
 その降り注ぐような声に月夜・玲(頂の探究者・f01605)は耳を覆う。

「うお……ちょっといろいろデカすぎ……!」
 声量もでかい。
 態度もでかい。
 図体もでかい。 
 全部がビッグスケール。されど、幼女。なんてアンビバレント。矛盾してない?
「体が大きければ、幼女でも巨乳と言い張れる可能性が微レ存……?」
「言い方次第、伝え方次第というやつよな! 吾輩、このビックボディであるから!」
「なんかノリ良いな。でも、これを真っ向勝負で打ち破れ、とか……」
 玲は見上げる。
 数百メートルはあろうかという巨体。ウラル山脈があるせいで、己の遠近感がおかしくなったのではないかと思ってしまうほどであった。
「無茶言ってくれるなあ! 今度お菓子献上してもらわないと、割りにあわないよ、これは!」
 嫌である。
 お菓子というものは全部が全部自分のものだと言い張る者がいるので、無理矢理にでも強奪するしかないのである。やれるものならやってみろ、みたいな顔をしている後方転移維持面しているグリモア猟兵がいたかもしれない。いないいない。多分普通にくれるはずである。多分。

「お菓子の話をするなである! 吾輩も食べたくなってしまうであろうが!」
 超超巨大砲『シュリヒトゲヴェーア』から放たれる砲撃の嵐。
 凄まじい連射性である。無反動でぶち込まれるが故に隙がまるでない。
 その光条の嵐の中を玲は模造神器を運用するための特殊バイクにまたがり、駆け抜ける。
「ビームぶっ放しながら、急に幼女感をぶちこんでこない!」
「幼女であるからな、吾輩!」
「ええい、こっちも採算度外視だ!」
「これで散れ、猟兵!」 
 迫る極大ビーム。その熱量に玲の駆る特殊バイクが爆散する。オーラ防御で強化してなお、彼女のバイクは『ギガンティック』の放ったビームを前に無事ではすまなかった。
 凄まじい爆発が起こる最中、『ギガンティック』は笑う。

「フハハハ! 猟兵なにするものぞ!」
「高笑いは相手の死亡確認しっかりしてからにしなよね!」
 その爆発の最中から、玲が飛び出す。
「あとで請求書送るからな!」
 それはどっちに?『ギガンティック』に? そうだよね? そうだと言って!」
「むっ! しぶといな! だが、吾輩の幼女キックにかかれば!」
「必殺技みたいに言うな!」
 振り落とされる『ギガンティック』の巨大なブーツというか、靴底。
 それを見上げ、玲は不敵に笑う。

「敵が巨大なら……狙うは一点! そう! 不意に打ったら痛いとこ!」
「貴様、まさか!」
「もう遅い! 覚悟していたって痛いものは痛いし、悶絶するっきゃない場所! それは!」
 断章・機神召喚(フラグメント・マキナアーム)によって召喚された機械腕を玲は振りかぶる。
 そう、どんな人間だって一度は経験のある不意の痛み。
「即ち、足の小指を拳骨でドーン!」
 放たれるは拳の一打。
 しかし、それは痛烈なる痛み。たった一本。体の部位でいったら、ほんの数%。けれど、そこは急所の一つ。
 思わず叫ぶし、思わずかがんでしまうし、しばらく立ち上がれないほどの痛みが走る場所。
 それが小指!
 巨体であるがゆえに幼女であろうとなんであろうと、玲の機械腕による拳骨の一撃はタンスの角に小指ぶつけたような痛烈なる痛みを『ギガンティック』に与え、それが巨体であっても例外ではないと示すように彼女の盛大な涙声をウラル山脈に響かせるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シル・ウィンディア
キャバリア:レゼール・ブルー・リーゼ搭乗

…ちょうきょだいようじょ。
え、なにそれ?
ちょっとなにいってるかよくわかんないんだけど。

という現実逃避はここまで。
がんばって行きましょうかっ!
火砲の真ん中にさえ行かなければ…。
超高出力ビームは、第六感で動きを感じ取って、砲身の動きも見切って推力移動・空中機動・残像を生んでの空中戦の動きでちょこまか飛ぶよ。
撃たれたらできる限り中心から逃れるように推力全開で上昇して、オーラ防御で余波を防ぐよ。

ちょ、ちょっと!これさすがに怖すぎないっ!?

凌いだら、こっちからの攻撃だね。
相手にはエンドテイカー能力があるんだから、そこまで通常攻撃で我慢…。

さっき小指をぶつけたみたいだから、そこに向って全火砲を集中させて攻撃だね。
相手がUCを使ってからが勝負っ!

敵UC使用後に、多重詠唱でUCの詠唱と魔力溜めを同時進行。
魔力溜めは限界突破させて、体への反動は無視。
全砲門を展開してから
全力魔法のヘキサドライブ・エレメンタル・ブラスト!
火力ならわたしも負けないっ!
全力をもってけーっ!



 あまりに巨大すぎる存在を目の前にした時、人の思考は止まる。
 凍結するようにして止まるから、フリーズと言うのだ。
「ちょうきょだいようじょ」
 シル・ウィンディア(青き流星の魔女・f03964)は、なんとかそれだけを口にすることができていた。
 そう、眼の前にあるのはウラル山脈。
 その山肌にて小指をタンスのかどにぶつけたときのように蹲っている巨大な幼女の姿を見て、彼女はそう呟くことしかできなかったのだ。
 猟兵の一撃。
 幼女総統『ギガンティック』は涙声で痛みをこらえていた。
 どれだけ巨大であっても、ブーツの上からであっても、小指への一撃は、それはもう痛いのである。
「うわあああん!!! 痛い! 小指が痛い! 吾輩の小指が!! たったこれだけなのに、どうして此処まで痛いのであるかぁあああ!!!」
 万雷の如き声量にシルはようやく我に返った。

 いや、本当に数百メートルはあろうかという巨大な幼女。
 一体全体何を言っているのかわからないと思考停止に追い込まれていたが、まだよくわからない。
 現実逃避ができるっていうのならば、もっとしていたいが、しかし敵はウラル山脈を超えてワルシャワ条約機構の奥へと進撃しようとしているのだ。
 これは止めなければならない。
「うん、現実逃避はここまで! がんばっていきましょうかっ!」
「ぐぬぬぬ! この程度で吾輩が! 喰らえ、これこそが吾輩の力! 時間を逆流させて痛みをなかったことにしてやり直すエンドテイカーの力よ!」
 時間が逆流していく。
 なかったことになった小指の痛み。
『ギガンティック』は誇らしげというより、なんていうか、尊大な顔をしている。

「これが吾輩の力! 未だ魔女として完成していない、成熟していない吾輩だからこそできる無制約の力よ! そんなわけで喰らえ!」
 超超巨大砲を構えた『ギガンティック』は叫び、光条が嵐のようにシルへと襲いかかる。
 極大の威力を持つビーム。
 その連射というか、乱射というか、息をつかせぬかのような猛攻である。
「ちょ、ちょっと! これは流石に怖すぎないっ!?」
 シルは空中を飛翔し、ちょこまかと飛び回る。
 だが、『ギガンティック』は己よりも小さな体躯の者と戦うことに慣れた存在である。
 彼女の砲撃は、シルを追い込むものであり、また同時に避け得ぬ力であった。
「無駄よ、無駄無駄! 吾輩のエンドテイカーの力があれば!」
 シルはまた時間が戻されるのを感じただろう。
 己がビームを躱した、という事象をなかったことにされる力。

 巻き戻された時間の前に迫るビームにシルは目を見張る。
 凄まじいビームの熱量に肌が焼ける。だが、シルは諦めなかった。諦めることこそが、希望の対極。 ならばこそ、彼女は避け得ぬ光条の一撃を受けてなお、その中で足掻くのだ。
 ビームの直撃から逃れるように急上昇し、空にて息を吐き出す。
「ふっ、息も絶え絶えというところであるな! そこでトドメの!」
「幼女キックって言うんでしょ! ていうか、それハイキック過ぎない!?」
「無論、これも吾輩の幼女キックである!」
 見事な上段蹴り。
 凄まじい質量と共に迫る一撃を受ければ、シルはただではすまない。
 けれど、だからこそ勝機が見えたのだ。

 そう、彼女は見ていた。
 猟兵の一撃が『ギガンティック』の足の小指を打ち据え、彼女が痛みに涙する姿を。
 上段蹴りは、『ギガンティック』が選んだのではない。急上昇することによってシルが誘発させたのだ。
「来た……今ッ!」
 シルの瞳がユーベルコードに輝く。
 闇夜を照らす光のような炎。
 生命を育む水の流れ。
 悠久を舞う風の声。
 母なる大地の激震。
 そして、曉と宵を連れて光と相成す闇。

 それらの魔力を合わせた魔力砲撃。
 そう、それこそが彼女が今まで狙っていた最大にして最初の一撃。
 ここまで彼女は『ギガンティック』に時間を巻き戻すエンドテイカー能力を使用させていた。
 その最中に詠唱をずっと密かに続けていたのだ。
「火力ならわたしも負けないっ! これが!」
「ぬっ!」
「全力魔法のヘキサドライブ・エレメンタル・ブラスト! 全力をもってけーっ!」
 きらめくは超克の輝き。
 ユーベルコード迸る力の奔流が狙うは一点。
「まさか……貴様、吾輩の……!」
「そうだよ! この一点を狙ってたんだよ!」
 そう、シルが放つ魔力砲撃の一撃が狙うは、『ギガンティック』の小指!

 凄まじ威力の一撃は、紛うことなく『ギガンティック』の小指を打ち据え、やはり涙声をウラル山脈に響かせる結果となる。
 幾度繰り返されようとも結果は変わらない。
 そういうようにシルは、己が全力で持って『ギガンティック』のうずくまる姿を見て、ちょっと可愛そうだなぁって思ったのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴィクトル・サリヴァン
でかいねー。
歩くだけで自然災害なのは幼女の概念が壊れそう。
何とか喰い止めて撤退させなきゃ。

崩され均された地をヒーローカー運転して敵に近づいてみよう。
フルアクセル、当たったらアウトなカーチェイス?
さり気なく魔導書の頁を千切って所々に残しておくね。
砲の向きに注意、極力余裕持ってビーム回避。
途中に残した頁にビーム当たりそうならUC起動し複写、残した頁其々から複製した超超巨大砲+ビームお返しで食らわせよう。
魔力量的に敵わないだろうが意表はつける筈。
混乱してる間に足元へと車走らせて手元の魔導書からコピーしたビーム喰らわせてやるよ。
…しかしこんな幼女が求めるはじまりの猟兵って一体…?

※アドリブ絡み等お任せ



 白と黒のカラーリングのヒーローカーがウラル山脈の山肌を疾駆する。
 それは海中を駆け抜けるシャチのように獰猛でありながら流麗にして、猛スピードで大地を斬りつけるようにして数百メートルはあろうかという巨大な幼女……超大国が一つ、ゾルダートグラードの幼女総統『ギガンティック』に迫っていた。
「くぅ~~~~! また足の小指を~!!」
 彼女は猟兵たちのユーベルコードによって、その巨体、小指をタンスの角にぶつけたかのように悶絶していた。
 だが、彼女は涙目になりながら、すくっと立ち上がり超超巨大砲『シュリヒトゲヴェーア』を構える。
「ええい、この吾輩を誰だと思っている! 吾輩は幼女総統! 重力下最強幼女だぞ!」
「いやまあ、本当にでかいねー」
 ヴィクトル・サリヴァン(星見の術士・f06661)は、シャチの如きヒーローカーに降り注ぐビームの嵐をかいくぐりながら一気に迫る。

 だが、砲撃の凄まじさはまさしく重力下戦闘最強を恣にする実力を『ギガンティック』は有していた。
 あの超超巨大砲は本来ならば凄まじい反動があるはずだ。
 なのに無反動でぶち込んでくるのだからたまらない。
「まったく、歩くだけで自然災害なのは幼女の概念が壊れそう」
「吾輩こそが幼女の中の幼女! ただちっとばかしでかいだけである!」
「ちっとばかし……?」
 そうかな? とヴィクトルは思ったが今はそんなこと言っていられない。
 なんとしても『ギガンティック』の進撃を食い止めねばならないのだ。

 彼女を打倒することは難しいだろう。
 撤退に追い込むにはこれ以上の進撃はリスクがあると思わせなければならない。
 即ち。
「いつもと同じってことさ!」
 ヴィクトルは光条の嵐の中をヒーローカーで疾駆する。
 さらにその轍の後には多くの超常現象記録書の白紙ページが、花吹雪のように撒き散らされる。
 そう、それは彼のユーベルコードである。
 叡智の転写(プレイアデス・コピー)。
 それこそが彼の力。
 如何に幼女総統『ギガンティック』の放つ超超巨大砲のビームが強大な威力を持つのだとしても、それでもユーベルコードであることは変わりない。
 ならば、そのビームを受け止めた白紙のページは、『シュリヒトゲヴェーア』の一撃をコピーして乱発するのだ。

「ぬっ! この反撃のビームは吾輩のビームではないか!」
「そうさ。全部お返ししてあげようっていうんだよ」
「しゃらくさい真似を!」
 そう、それはただ意表をついただけ。
 けれど、それでも『ギガンティック』の足が止まるのだ。
「魔力量は敵わないだろうけれどね、それでも混乱するだろう! 無反動でバカスカ撃つからだ!」
 そう、巨体故にヴィクトルがバラまいたページを認識できない。
 だが、迫る猟兵であるヴィクトルを打倒するためにビームは放つ。そうなればもう戦場はビームの乱打溢れる眩い世界になってしまうのだ。

「よくも吾輩の……!」
「そら、足元がお留守だ!」
「ひっ、やめろ! 足の小指を狙うな!」
「やだね!」
 ヴィクトルの言葉と共にコピーされたビームが『ギガンティック』の小指に激突し、また涙声が響き渡る。
「しかし、こんな幼女が求める『はじまりの猟兵』って一体……?」
 ヴィクトルの言葉に『ギガンティック』は答えられない。
 うめき声を上げて、涙目で睨みつけるばかりなのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

朱酉・逢真
心情)やァデカいね、びっくりびっくり。育ったらもっとデカくなるンかね。元気でよろしい。よろしいがオブリビオンだ、俺の敵だ。世界を滅ぼしていいのは、いまを生きる"いのち"らのみさ。過去に死んだお前さんらじゃアない。退いてもらおうかねェ。
行動)正正堂堂真っ向から撃ち合いといこう。向こうさんの銃撃は己の|黯《影》に潜って避ける。ビームなのもありがたいね、影がそこら中にできる。影ン中で威力をためて、別の影から手だけ出して撃ち込もう。デカいのァありがてェよ、目標を絞る必要がない。だいたいで当たる。悪疫の雷槌だ。そのデカい全身、抵抗力を貫通する病と毒に侵され腐り落ち給えよ。



 でかい、という感想以外湧き上がってこない。
 それほどまでに数百メートルの巨体を持つ幼女……幼女総統『ギガンティック』の姿は圧倒的であった。
 驚愕しきり、と朱酉・逢真(朱ノ鳥・f16930)はそればかりを心の中で反芻する。
「育ったらもっとデカくなるンかね」
 これ以上育つ、ということがあるのだろうか。
 いや、と逢真は頭を振る。
 彼女はオブリビオンである。
「ぬああ~~~!!! また吾輩の足の小指を狙いおって~!!」
 蹲っていた巨体が立ち上がる。
 猟兵たちのユーベルコードは彼女の足の小指を執拗に狙っていた。まあ、誰だってそこは痛いものな、と逢真は思う。

「元気でよろしい。よろしいがオブリビオンだ、俺の敵だ」
「無論! 吾輩とて猟兵は敵である! どれだけ小さかろうがな!!」
 構えるは超超巨大砲『シュリヒトゲヴェーア』。
 その砲口からビームの光条が嵐のように迸る。小指のダメージは蓄積しているであろうが、それでも乱打、というに相応しい連射である。
 しかし、逢真は不敵な笑みを浮かべる。
「吾輩のビームは世界を滅ぼすのだ! それを!」
「いいや、世界を滅ぼして良いのだとしても、それはお前さんらじゃアない。それはいまを生きる“いのち”のみさ。過去に死んだお前さんらじゃアない」
「ならば、なんとする!」
 迫る光条を前にして逢真はさらに踏み込む。
 真っ向勝負。

 小細工などない。
 そう、『ギガンティック』は自分より体躯の小さき者と戦うことに慣れている。ならば、小細工などむしろ逆効果。故に逢真は迫るビームを前にして踏み出すのだ。
 それはまるで自殺行為であったことだろう。
 だが。
 彼の姿は光条の最中ではなく、その強烈なる光を生み出す光条が生み出す己が影の中へとへと消えるのだ。
「……消えた!?」
「簡単な話さ。退いてもらおうって、それだけだ」
 影の中に潜り込んで光条をやり過ごした逢真は、即座に影の中で己がユーベルコードの力を溜め込む。
「どこだ! どこから……!」

 ビームの乱打。
 それはもはや地上を焼き滅ぼすかのような強烈な熱量。
 されど、逢真は生み出された影から飛び出す。どんなに凄まじい熱量だろうと、己を捉えられなければ持て余すだけの無用の長物。
 故に彼は影から飛び出し、溜め込んだ悪疫齎す稲妻へと姿を変えた『黯(ラシャプ)』による一撃を光条の嵐によって生み出された影から放つ。
「でかいってことはそれだけ強いってことだ。だがな、そのデカさがありがてぇよ。目標を絞る必要がない。狙いなんてつけなくっていい。とりあえず、巨体に向かって方角さえ在ってれば、当たるってもんだからな」
 放たれた一撃は確実に『ギガンティック』の体躯を貫く。

 凄まじい稲妻の一撃。
 それは『ギガンティック』を貫く。
「ぬぁ! 吾輩の巻き爪の親指にそんなもんを放つな!」
「いやア、狙ったわけじゃあないんだがね。でもまあ、そのでかい全身に回る病と毒に侵されてなお、巻き爪程度かい」
「巻き爪は馬鹿にならん!」
「だろうな。帰ってしまいなよ。言い訳はつくだろう?」
 ぬぐっ、と呻くような『ギガンティック』に逢真は影から顔を出して、皮肉げに笑って彼女の怒りを更に引き出すのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ティグリ・ブリヤジール
そっかー!体が大きければキャバリア用の砲だって持てるのだなー!なるほどなのだー!
でもおっきいからはっきり見える銃口でどっちに向けて撃つかはだいたい読めるのだー!

はくへーけんげきしをナメちゃダメなのだ―!
砲撃を掻い潜って頑張って近づくのだ―!だっしゅだっしゅごーごー!なのだー!
ある程度まで近づければ後はユーベルコードなのだ―!
なぜか背中に翼が生えるので、|ヴェーチェ《風》と|グラザー《雷》を抜いてばっとー突撃―!なのだー!踏まれるのやだから攻撃時は立ち止まらず、切り抜けるのだ―!
おまけになんだか足を痛めてるみたいなので、足の小指にその辺で拾った石とか、あと悪臭グレネードをぶつけておくのだ―!



 大きい、ということはすなわち、その筋力も同様である。
 恵まれた体躯には多くの筋繊維が詰まっている。
 ならば、そういう意味でいうのならばティグリ・ブリヤジール(トラの戦闘猟兵・f40385)も負けてはいなかった。
 彼女が扱う歩兵用対戦車機械火殲槍『イェジェロノーク』は、大火力を求めるあまり、キャバリア用の火器を歩兵用に無理矢理改造したものである。
 言ってしまえば、生身の兵士が対戦車大型大砲を扱うようなものである。
 はっきりいって取り回しは最悪であるし、それを扱える者もまた限られている。
 故に、幼女総統『ギガンティック』の扱う超超巨大砲『シュリヒトゲヴェーア』もまた同様であったことだろう。

 ただスケールが違いすぎる。
「そっかー! 体が大きければキャバリア用の大砲だって持てるのだなー! なるほどなのだー!」
 ティグリは関心しきりであった。
 今度部隊の先輩に相談してみようと思ったのだ。
 でもまあ、相談されてもティグリ自身の体をどうこうすることはできないだろうから、部隊の先輩はちょっと困惑するかも知れない。
「でもおっきいからはっきり見える銃口でどっちに向けて撃つかはだいたい読めるのだー!」
「抜かせ! 吾輩の射撃技術もまた総統に相応しき技量よ! 撃つ方角がわかるから避けられるとは思うな! そもそも!!」
 そう、スケールが違う。
 ぶっ放す一撃は極大のビーム。
 凄まじい光条は、ただの一射だけでも広範囲を巻き込んでいくのだ。
 熱量がウラル山脈の山肌を溶解させる。

 なんという力であろうか。
 だが、ティグリは彼女の放った言葉通り、一射を躱していた。
「……! 貴様!」
「そーなのだ! はくへーけんげきしをナメちゃダメなのだー!」
 彼女の瞳がユーベルコードに輝いている。
 背中に翼が生え、目にも止まらぬ速度で風の刃を纏ってティグリはビームの一撃を躱していたのだ。
 圧倒的な速度。
 彼女の言葉は全て真である。
 できないことは言わない。できることしか言わない。言葉にしたのならば、それを実行するだけの力があるのだ。
「だっしゅだっしゅごーごー! なのだ!」
 大地を蹴って方向転換しながら、ティグリは『ギガンティック』へと迫る。

 このユーベルコードを使うと何故かティグリは自分の背中に翼が生えるのだろうかといつも考える。
 でもまあ、生えるんだからしかたないのだーと彼女は思っていた。
「ちょこざいな! ならば吾輩の幼女キックよ! ここら一帯をぶっ飛ばせばよかろうなのだ!」
 まるで雑。
 されど、しかしてその蹴り上げた一撃は的確だった。
 如何にティグリが目に追えぬほどの速度で疾駆するのだとしても、その蹴りの効果範囲は衝撃も加えて恐ろしいものである。
 さらに踏みつけが迫る。
 あの巨体に踏みつけられては無事ではすまない。
「とらにつばさなのだー!(イコテンヨク) これに先輩からのお下がりがあれば、おににかなぼーなのだー!」
 止まらない。
 その疾駆は止められない。
 風のようにティグリは駆け抜け、その踏み降ろされた足へと斬撃を見舞う。

「またこいつら足ばかり!」
「なんかさっきから蹲ってばっかりなのだー! その足の小指にぶつけてやるのだー!」
「やめろ! 本当に小指ばっかり!」
 問答無用とばかりにティグリは悪臭グレネードを『ギガンティック』に投げつけて離脱する。
 その背中に彼女の涙声が聞こえたが、ティグリはやったのだーと無邪気に笑むのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ベルト・ラムバルド
アドリブ上等

うぉ…でっか……いやデカすぎるだろ!?
超でっかい女児なんて想像つくかふつー!?
…だがあんなのでも戦わねば騎士の |運命《さだめ》か!
気が引けるけど…ベルト・ラムバルドが行くぞ!

キャバリア操縦し突撃!
空中機動で空を飛び回りあの超超巨大砲の砲撃を
キャバリアのセンサーで情報収集し天才的な瞬間思考力で回避!あっぶな!?

UC発動してさらに加速して敵に接近…やっぱデカい!!
攻撃できそーなのは…あの耳だ!よし!

耳元で蚊ぁみたいブンブン飛び回って妨害!敵の集中力を削ぎ落し
蚊ぁみたいにサークランサーの貫通攻撃でチクチク刺しまくる!

一寸の虫にも…違う!一寸の騎士にも五分の魂だー!!!くらえ~!!!



 それはまるで山だった。
 ウラル山脈を背景にしても、あまりの巨大さに遠近感が狂ってしまったのではないかと錯覚するほどであった。
「うぉ……でっか……いや、デカ過ぎるだろ!?」
 ベルト・ラムバルド(自称、光明の暗黒騎士・f36452)が驚愕したのは、眼の前の光景であった。
 そう、眼の前に存在するのは巨大な幼女であった。
 巨大な?
 幼女?
 どちらにしたって疑問符が立ち上がる。

 そう、言葉通りの意味である。
 ベルトの眼前にあるのは巨大な幼女であった。
 幼女総統『ギガンティック』。それそが今まさにベルトが対峙している敵である。ゾルダートグラードの総統であり、重力下戦闘最強の幼女。それが『ギガンティック』である。
「超でっかい女児なんて想像つくかふつー!?」
 彼は己がキャバリア『パロメデス』を駆る。
 しかし、体高5m級の戦術兵器出会ったとしても、眼の前の幼女は数百メートルの巨体を持っている。
 己のキャバリアがまるで羽虫のように思えてしまうのも無理なからぬことであった。

「……だが、あんなのとも戦わねばならんのが騎士の|運命《さだめ》か!」
 気が引ける。
 ものすっごく気が引ける。
 なにせ、相手は巨大とは言え幼女である。
 騎士として、というのならば女子供に手をかけるのはご法度である。でもまあ、でかいし。そんなふうにしてベルトは己に言い聞かせるのだ。
「あんなのとはなんだ、あんなのとは!!」
「うわ、聞こえてるじゃあないか!」
「無論! 吾輩は幼女総統! どんな矮小な者の言葉であろうと聞き逃さぬのが幼女イヤーよ!」
『ギガンティック』がそう言いながら、手にした地味なライフル、超超巨大砲『シュリヒトゲヴェーア』の引き金を引く。

 ただそれだけで極大のビームが放たれるのだ。
「あっぶな!? いきなり撃つやつがあるか!」
「戦場にあって、今からはい、撃ちまーすと言って敵に撃つやつがあるか!」
「確かに! だがッ!」
 ビームを躱しながら『パロメデス』が飛ぶ。
 ベルトの天才的な瞬間思考によってビームを躱しているのだ。だが、放たれるビームの数が違いすぎる。
「いくらなんでも撃ちすぎじゃないか!?」
「無反動で無制約! これこそが吾輩が未完の魔女たる所以を! さっきからチクチクと吾輩の足の小指を攻め立ておって!」
「それ私じゃないが!」
「猟兵である以上、問答無用!」
 ベルトはユーベルコードによって一気に『ギガンティック』へと接近する。
 だが、デカすぎる。
 顔面が物理でデカイ。

 どうする? 考えるのは一瞬だ。
「ぬっ、吾輩の耳元でぶんぶんと!」
「鬱陶しいだろう! 蚊ぁみたいで!」
「ええい、カトンボ風情が! はたき落としてくれる! ていうかやめろ! 耳元はやめんか!」
「やめろと言われてやめるか! 一寸の虫にも……違う! 一介の騎士にも五分の魂だー!!! 喰らえ~!!!」
 ベルトは『パロメデス』の構えた巨大槍でもって、まさしく彼の言うところの蚊のようにモスキート音のような不快なエンジン音を響かせながら『ギガンティック』の耳元で飛び回り、その耳をチクチクと刺し、砲撃に集中させないのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

葛城・時人
相棒の陸井(f35296)と挑む

真っ向勝負ね…
どちらにしても足元へ行かないと話なんないね
侵攻なんかさせない
撤退に追い込むだけだとしても今は十分
「全力で征こう!起動!」

もう砲撃は来てる
でも
「見えてるものは避けられる!」
全ての技能、能力者機動、全身全霊の身体能力で
全て躱したどり着き
UC護の誓いを詠唱

この誓いは全てを護る為に
正義であるほど俺達は真に強くなる!
猟兵であると同時に全盛の能力者の
「俺達と勝負だ!ギガンティック!」

地形破壊も能力者機動と技能で回避!
「足をやられたら進軍は出来ないよな?」
大鎌を振りかぶり全力でアキレス腱辺りを攻撃!

アレを自分の足元へ撃つと自縄自縛だしね
「まだまだいくよ!陸井!」


凶月・陸井
相棒の時人(f35294)と挑む

気楽に山一つ吹き飛ばすような敵
それを相手に真っ向勝負か
猟兵の底力を見せてやらないとな
「あぁ、征くぞ。相棒」

まずは起動して速攻で全力で敵砲撃の回避を
「でかいだけに大雑把な攻撃だな」

技能も全て活用して回避し
相棒の気配に合わせ
【護の誓い】を使用
「俺達は絶対に、絶対に全員を護る」
だから勝手はさせないと言い切って

能力者としての力と真の姿
この姿の全力攻撃であれば
いかに巨体でも無視はさせない
相棒に合わせて俺はつま先を潰す様に攻撃
「巨大でも生き物なら、痛みは嫌だろう?」

この距離で在れば警戒は敵のUCのみ
回避には気を使いながら
相棒と共に足を攻撃し続ける
「勿論だ。徹底的にいくぞ!」



 鬱陶しい小蝿を払うかのような仕草をするのは幼女総統『ギガンティック』であった。
 己の耳元を飛ぶ猟兵の攻勢に終始苛立つようだった。
「ぶんぶんと!」
 確かに彼女は生まれたときから巨体であるが故に、己よりも矮小なる存在との戦いに慣れていた。此方が小さい体躯であることを利用することはほぼ不可能であった。
 加えて、あの地味なライフル……超超巨大砲『シュリヒトゲヴェーア』による無反動連射の極大ビームの砲撃。
 嵐のような光条。
 周囲に満ち溢れるのは熱波と衝撃波であった。
「気楽に山一つ吹き飛ばすような敵を相手に……」
「真っ向勝負ね……」
 簡単に言ってくれるものだ、と凶月・陸井(我護る故に我在り・f35296)と葛城・時人(光望護花・f35294)は思った。
 いや、どちらにせよ幼女総統『ギガンティック』の進撃を止めねばならないのは承知の上である。

 このまま彼女がウラル山脈を超えてワルシャワ条約機構の領域に踏み込むのは得策ではないと理解できていたのだ。
 加えて、現状『ギガンティック』を打倒する術はない。
 撤退に追い込むのがようやくと言ったところだろう。
「いいんだ。それでも今は。全力で征こう!」
「あぁ、征くぞ。相棒」
 互いに掲げるはイグニッションカード。

 |起動《イグニッション》。

 一瞬で装備が己が身に展開する。
「この吾輩を前にして全力でどうにかなると思っている浅はかさ! 笑止よ!」
『ギガンティック』の足が持ち上がる。
 それだけで巨大な影が二人に落ちる。
 まるで昼夜が一瞬で逆転したかのような光景だった。
 加えて、超超巨大砲による砲撃も続いている。はっきり言ってめちゃくちゃだった。
「でかいだけに大雑把な攻撃だな」
「でも、連射してきてる。反動も何もないのか」
 迫るビームの光条。
 加えて、振り下ろされるは。

「幼女キーック!!!」
 いや、それはキックというよりただの踏みつけだろう、と時人は思った。
 けれど、彼の瞳はユーベルコードに輝く。
 護の誓い(マモルノチカイ)。
 そして、陸井の瞳もまた同様だった。
 互いに胸に抱くは一つの誓い。
 たった一つの誓いだった。

 絶対に全員を護るという誓い。
 同じくする思いがあるからこそ、此処にあるのはただ2つの誓いではない。
「俺達は絶対に、絶対に是認を護る」
「誓いだけでどうこうできるのならば、苦労はせんのだ! 潰れろ、猟兵!」
 振り下ろされる『ギガンティック』のブーツ。
 迫るそれを二人は二手に分かれるようにして飛ぶ。

 真の姿。 全盛期の姿へと変貌した二人は凄まじい地鳴りと衝撃を生み出す『ギガンティック』の踏みつけを躱し、舞うようにして空中にあった。
 土煙。土砂。破片。
 あらゆるものが二人を襲う。
 けれど、彼らの瞳は見開かれていた。
 敵の目ではない。己たちに降り注ぐ光条。その砲撃の恐ろしさは言うまでもない。
 二人は飛び散る破片を蹴って飛ぶ。
 互いに交錯し、離れるようにして距離を稼ぐ。
 砲撃は確かに無反動にして速射性に優れるものである。だが、銃口が一つである以上。
「一つしか狙えない、追えない。如何に極大たる光条であろうとも」
「だったら一人ひとり潰すまでよ!」
「いいや、無理だ。此処には俺たちがいる。勝負だ!『ギガンティック』!」
「ほざけ! この吾輩を前にして啖呵をきるなぞ!」
「いいや、できるさ!」
 陸井が見下ろしていたのは、『ギガンティック』のブーツに包まれた足。

 そう、これまで猟兵たちがしつこく叩き込んできた攻撃は殆どが足に集中していた。主に小指だが。
「巨大な生きもでも、痛みは嫌なものだろう?」
「足をやられたら進軍はできないよな?」
 陸井の一撃が『ギガンティック』のつま先に叩き込まれる。
 人の体躯は末端であればあるほどに神経が敏感なものである。当然だ。指先、足先、というのは外界を知るためのセンサー。
 ならば。
「痛みも一入だろう!」
「ぬぐっ! また足を……!」
「まだだ!」
 時人が鎌を振りかぶって『ギガンティック』のアキレス腱へと叩き込む。
「あ、いったぁ!?」
「浅いか……!」
「まだまだいくよ! 陸井!」
「もちろんだ。徹底的に行くぞ!」
 二人は、『ギガンティック』の足元に群がるようにして交錯しながら攻撃を叩き込み続け、『ギガンティック』の進軍をたった一つの同じくする誓いと共に阻むのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

朱鷺透・小枝子
突撃ぃいいいい!!!

ディスポーザブル01操縦。メガスラスター【推力移動】
『禍葬天間接』発動。高速飛翔しながらサイキックシールド展開
|【闘争心】《サイキック》を燃やし、超超巨大ビームを【オーラ防御】

るぅぅううううううああああああああ!!!!

超超巨大ビーム攻撃を【受け流し】反射し【念動力】空間ビーム攻撃!
ビームの軌道を捻じ曲げ総統本人、ではなくその手に持つ超超巨大砲を【砲撃】破壊!【継戦能力】念動鞭展開、空間【早業】攻撃!
高速で念動鞭を振るい、総統の肌を裂き、肉を削って痛みを刻みつける!

あああラァアアアアアアア!!!

痛みに悶える総統の頬をパワークローの【怪力】で抓り上げメガスラスター再加速【追撃】



 数百メートルを超えるかのような巨体。
 まるで山である。
 巨山そのものが敵であるかのように錯覚する。
 それほどまでに幼女総統『ギガンティック』は巨大だった。加えて、ただ巨大であるだけではなかった。
 彼女は戦術を手繰る。
 超超巨大砲『シュリヒトゲヴェーア』を手繰り、砲撃を無反動で連射し、加えて体躯はそれだけで質量兵器へと成り果てる。
 さらにエンドテイカー能力で時間を巻き戻しさえしたのだ。
 恐るべき敵だ。

 だが、それでも。
「突撃ぃいいいいい!!!」
 咆哮と共には突っ込む。
 理屈なんてどうでもよかった。
 己の駆るキャバリア『ディスポーザブル01』のメガスラスターが噴射し、迫る光条を展開したサイキックシールドで受け止める。
 だが、砕かれる。
 あの超超巨大砲の一撃はそれだけの威力を持っているのだ。
「さっきからちょこまかと吾輩の足元をチクチクしおってからに! 鬱陶しい小蝿共め!」
『ギガンティック』は己が砲撃を受けた『ディスポーザブル01』を捉えた光条から忌々しげに見つめた。

 燃える。
 小枝子は光条の中で己が闘争心が燃えるのを感じた。
 漲るはサイキック。
「接げろ」
 ユーベルコードに輝くは瞳。
 その瞳が見るのは眼の前の空間である。張り巡らされていたのは怨念結界。
 空間を歪めるほどの力。
 禍葬天間接(ディスアーク)は、迫る向上を反射する。だが、圧倒的な魔力量を持つ『ギガンティック』は反射すら力押しで捻じ曲げてくるのだ。

「るぅぅううううううああああああああ!!!!!」
 咆哮が迸る。
 跳ね返せないのならば、そらせばいい。
 小枝子は踏み込む。
 踏み出すことだけが己のできることであり、破壊への一歩だった。
「こいつ、吾輩のビームを逸らして……!」
「あああラァアアアアアアアアア!!!」
 もはやそこに在ったのは理性持つ存在ではなかった。
 ただの獣か破壊の化身であった。
 逸らしきれなかったビームが大地を穿ち、爆発を巻き起こす。その衝撃波に乗るようにして『ディスポーザブル01』はメガスラスターを噴射させながら『ギガンティック』に迫る。

 理屈なんてない。
 理解なんてない。
 ただ、そうするのが一番だと小枝子は思ったのだろう。
 サイキックによる念動鞭を振るいあげる。あの巨体である。生半可な攻撃では壊せない。

 ならば、どうするか。
「幼女であろうとなかろうと! 悪いことをしたのならば!」
 念動鞭は『ディスポーザブル01』のマニュピレーターから生み出されていた。
 放つ一撃は鞭打。
『ギガンティック』の肌にミミズ腫れを生み出す程度の一撃でしかなかった。けれど、それでも振るう一撃は『ギガンティック』に痛みを与えただろう。
「あいったぁ!? この吾輩のたまのお肌にミミズ腫れが! 何してくれる!?」
「これは! 躾だぁあああああ!!!」
 飛ぶ『ディスポーザブル01』のパワークローが振り上げられる。
 それは平手打ちであった。
 悪いことをすれば、頬を叩かれる。
 そういうものだと言うように小枝子は渾身の力を込めて『ギガンティック』を張り倒すのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シャルロッテ・ヴェイロン
(ホワイトラビットを【操縦】してエントリー)
まあね、いろいろと規格外なのが出てきやがりましたね。
ならばこちらも【限界突破】でいきましょうか。

まずは【オーラ防御】で身を守りつつ、敵の【レーザー射撃】の軌道を【野生の勘・第六感】で【見切り、残像】が付くくらいの高速【ダッシュ】で【切り込み】突き進んでいきましょう。
そして隙をついて相手の脳を【ハッキング】して、動きを封じておきましょうか。場合によってはニューロンを焼き切ってもいいですけど?(【データ攻撃・精神攻撃・リミッター解除】)

※アドリブ・連携歓迎



 規格外にして想定外。
 それが幼女総統『ギガンティック』であった。
 あまりにも巨大すぎる体躯。されど、その容姿はあまりにも幼いアンビバレント。
 己の目の遠近感が失われたのではないかと思うか、もしくは、眼の前の光景が全てミニチュアであるのと思うのが正しいのか。
 どちらにせよ、己の判断力が損なわれているように思えてならなかった。
「まあね、いろいろこれまでも規格外な連中っていうのはいましたけど……ここまで規格外なのが出てきやがるとはね」
 シャルロッテ・ヴェイロン(お嬢様ゲーマーAliceCV・f22917)は己のキャバリア『ホワイトラビット』のコクピットの中で辟易するようにため息を付いた。

 これだけの敵を打倒することは難しい。
 けれど、撃退しなければならない。撤退にせめて持ち込まねば、『ギガンティック』の目的地であるウラル山脈の向こう側、ワルシャワ条約機構の領域に存在する『はじまりの猟兵』に至ってしまう。
 それがどんな意味を持つのかはわからない。
 けれど、それでも其処にオブリビオンを到達させてはならないとシャルロッテは理解する。
「規格外の敵だっていうのなら」
「埒外が言うことか! 猟兵!」
 盛大なビンタを食らった『ギガンティック』が叫ぶ。
 打たれたことへの心理的な痛手に加えて、これまで猟兵たちがチクチクと彼女の足、それも小指などを執拗に狙っていたために『ギガンティック』は苛立ちまくっていた。
 如何に時間を巻き戻すエンドテイカー能力があるのだとしても、こらえがたい心理的なダメージは蓄積しているのだ。

「限界突破でいきましょうか!」
 超超巨大砲から放たれるビームの光条は依然、嵐のようだった。
 凄まじいほどの熱量と衝撃波。
 オーラ防御でようやく装甲が保てると言うほど。軌道を野生の勘と第六感に頼ってようやくギリギリで躱せるといったところであった。
 高速で、まさしく機体の名を示すように大地を跳ねるようにしてシャルロッテはビームを躱して疾駆する。
「ちょこまかとしゃらくさい!」
「白兎の名は伊達じゃあないのです!」
 ビームが直撃した大地がえぐれ、砕く。その破片を蹴ってシャルロッテの瞳がユーベル弧度に輝く。

「悪いですけど、あなたの頭脳を操らせて頂きますよ!」
 BRAIN HACKING(ブレインハッキング)によってシャルロッテは『ギガンティック』の脳にハッキングツールを生み出しバイパスとしてハッキングを開始する。
 だが、『ギガンティック』の脳は巨大すぎた。 
 その体躯故に巨大。
 加えて、エンドテイカー能力を手繰るために発達しすぎているのだ。
「なんて容量!」
「これが吾輩が総統と呼ばれる所以である!」
「でも、動きは止めることくらいは!」
 本来ならば、ニューロンを焼き切ってしまおうと思っていたのだ。けれど、シャルロッテはそれができないと見るやいなや、そのハッキングした脳に一つシンプルな命令を書き込む。

『進軍停止』

 たった一つである。
 文字にすれば四文字。
 ぴたりと『ギガンティック』の足が止まる。
「貴様、吾輩に何を!」
「簡単な話ですよ。貴方は撃退できない。なら、ここで足を止めればいいのです。それだけで貴方は此処から一歩も進めない。わたしのユーベルコードが、効果を失うその間にあなたはどれだけの時間をドブに捨てるでしょうね」 
 そして、エンドテイカー能力で巻き戻してなお、蓄積する精神的打撃。
「そろそろ撤退の判断をしたほうがいいんじゃあないですか?」
「ぬかせぇぇ!!」
 降り注ぐビームの嵐。
 その中でシャルロッテは『ギガンティック』の苛立つ声を聞き、幼女であるが故の未成熟な精神性をつくように、攻撃を叩き込むのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!

おっきいことはいーことだね!

●UC『神論』
・屁理屈の段
自分より小さい相手と戦い慣れてるってことは逆に言えば自分より大きい相手との戦いには慣れてないってことだね!
・世界改変の段
そう、何を隠そう以前のボクは今よりちょっと大きかった!
手を伸ばせばオリオン座を掴み!足を伸ばせばペルセウス座銀河団を貫いた!
いやそれはちょっと大きすぎ…もうちょっと小さめにしとこう!
・時間遡行の段
そう今こそ時を逆巻きそのときの大きさを取り戻して見せよう!

●なぜか
本来ボクたちの使うユーベルコードには出力の多寡はあっても優劣はない
だというのにキミが今負けようとしているのはそれはキミが自分が相手よりも大きいという固定観念に囚われていたからだよ!
そう…どんな強さもそれを支える土台が崩れれば諸共に崩れ落ちる!
とかなんとか言っておけばオーディエンスも納得してくれるかな?納得して!

ってことで【第六感】で大体ここらへんにいるかなー?って感じる辺りを指先でチョーーンッ!
アチチッ!んもーちょっと火傷したよー!



「おっきいのはいーことだね!」
 わかる、とロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)は深く深く頷いた。
 それはもう、とっても頷いた。
 でかいってことは素晴らしいことである。
 なんだってデカければデカいほどいいのである。そういうもんである。
 男の子ってのは、そういうのが理屈抜きで大好きなのである。
 故に幼女総統『ギガンティック』の巨体は、まさしく男子にとって胸ときめかすものであったかもしれない。
 見上げるほどの巨体。
 数百メートルはあろうかという姿でありながら、幼女。
 幼女ってなんだっっけ? と思わないでもない。

「むあー! さっきから本当に猟兵という連中は! 鬱陶しい!!」
 彼女は確かに小さい者と戦うことに慣れている。
 けれど、それでも猟兵たちの攻撃は彼女を精神的に追い詰めていた。
 チクチクチクチク。
 もう凝りもせずに何度も何度もチクチク。
「まあ、わかるよ。自分よりも小さい相手と戦い慣れてるとね。どうしてもね。でもさ、逆に言えば自分より大きい相手との戦いには慣れてないってことだよね!」
 ロニの神論(ゴッドクィブル)が始まる。
「だが、吾輩よりも巨大な敵など此処にはおらぬからな!」
「うんうん。わかるよ。自分より大きな相手を見たことがなければ尚更のことだろうね。だからね」
 ロニは言う。
 それは理不尽に尽きる世界改変とも言うべきものであった。

「そう、何を隠そう以前のボクは今よりちょっと大きかった! 手を伸ばせばオリオン座を掴み! 足を伸ばせばペルセウス座銀河団を貫いた!」
「……何を言っている?」
「いやいやほんとほんと。いやそれはちょっと大きすぎかもしれないから……もうちょっと小さめにしとこう!」
「いや本当に何を言っている!?」
 それはまさしく時間遡行。
 時を逆巻く大逆にして大罪。
 それを『ギガンティック』は良く理解していたことだろう。

 彼女にはエンドテイカー能力がある。
 己が望む結果を手繰り寄せるまで何度でも時間を巻き戻すことのできる力。
 その無法とも言うべき力を前にして多くの勇者たちが大魔女に敗れたように、未完にして未成熟なれど魔女たる『ギガンティック』もまた、その力を持っているのだ。
 そして、それはロニのユーベルコードににも宿っているのだ。
「そう、今こそときを逆巻き、その時の大きさを取り戻してみせよう!」
「馬鹿なことを! 吾輩より大きい? 冗談も休み休みに……」
 構える超超巨大砲。
 だが、引き金を引けど光条は放たれない。
 何故か。

「本来ボクたちの使うユーベルコードには出力の多寡はあっても優劣はない。だというのにキミが今負けようとしているのは」
「吾輩は負けておらぬわ! ただちっとばかし足の小指が痛いだけである!」
「まあ、そういうことにしておいてよ。キミはね、自分が相手よりも大きいという固定観念に囚われているからだよ!」
 まさに無法。
 まさに言ったもん勝ちである。
 そんなルールむようなユーベルコードを手繰るロニは『ギガンティック』の足元、そこを支える土台にして前提を覆すのだ。
 いや、覆すのではない。
 崩したのだ。
「そう、どんな強さもそれを支える土台という基礎が崩れてしまえば、支えを喪って倒れるもの!」
 チラ、とロニは見やる。

「オーディエンスも納得してくれるかな? 納得して!」
 暴論である。
 ロニは、その暴論と共に『ギガンティック』より巨大な姿へと変貌し、その銀河を貫く巨大さへと変貌し、宇宙のどこから指先で獣人戦線の……。
「えっとここらへんかな?」
 ちょん、と指先でつつく。
 それは指先で小突く程度のものであったが『ギガンティック』の体躯をウラル山脈の山肌に叩きつける暴虐の一撃だったのだ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ワルルーナ・ティアーメル
むむ……ワルルンガーΣではボロボロにされるのがオチだな
闇のオーラで防げるかもしれんが、勢いが強くて動けないままいい的である……ふむ、ならば我自らが出るとしよう!

UCを使用、自己強化し真正面から悠々と飛びこむ!
超超巨大砲の嵐?くく、飛んできた砲撃は全て「暴食」の力で喰らい尽くしてやるぞ!百胎堕天竜魔王をなめるなよ小娘、この程度の弾幕、ラスボス魔女魔王に効くと思ってか!
奴のUCも同様だ、その魔力がすっからかんになるまで食い尽くしてくれる!
そして接近したら7つの首からの連続ブレスを浴びせ、おまけでこっちに気を取られている間にワルルンガーが近づけたなら(サイズ差にもよるが)思いっきり足を踏ませるぞ!



 巨大な幼女、幼女総統『ギガンティック』の体躯がウラル山脈の山肌に転倒する。
 たったそれだけであったが、周囲は驚天動地の天と地がひっくり返ったような地響きと地鳴り、地滑りに雪崩がオンパレードであった。
 あまりにも無法な戦いである。
 しかし、『ギガンティック』は撃退できない。
 彼女は平凡なライフル……すなわち、超超巨大砲『シュリヒトゲヴェーア』を杖のようにして立ち上がっていた。
「ぐぬぬ、この吾輩を此処まで追い込むとは! だが『はじまりの猟兵』さえ手にすることができれば……!」
 状況はひっくり返る。
 そういうように彼女は構えた超超巨大砲の引き金を引く。
 ぶっ放される光条。
 ビームの嵐とも言うべき衝撃波と熱波が吹き荒れる。

 凄まじい。
「むむ……『ワルルンガーΣ』ではボロボロにされるのがオチだな」
 ワルルーナ・ティアーメル(百胎堕天竜魔王(自称)・f31435)は己が機動魔王城でもって、巨体を誇る『ギガンティック』に対抗しようとしていたが、修繕費が馬鹿にならんことを思い出して思いとどまった。
 流石はラスボスにして百胎堕天竜魔王である。
 そういう観念大切である。
 部下に無茶振りするのではなく、無茶振りされるタイプであるが、まあ、そこはそれ。
 というか、あのビームって闇のオーラで防げるものなのか?
 光と闇の衝突でなんかこう大変なことにならんか? とワルルーナは別のことに意識を持っていかれていた。

 うーん、結局自分が突っ込むのが一番いいのでは?
「ふむ、ならば我自らが相手をしてやるとしよう! 少し本気を出す! 第2の将ワルレーン、第3の将ワルコーン、第6の将ワルべロス、貴様らの力、しばし我へと還すがよい」
 ワルルーナの瞳がユーベルコードに輝く。
 その姿が変貌する。
 それは、大罪の百胎堕天竜魔王ver.1(ハイパーワルルーナソノイチ)!
 Ver.1ってことはVer.2、Ver.3があるってことであるあ。
 百まであるやもしれん。
「だったらなんだというのだ! この吾輩の超超巨大砲のビームが!」
「無論! 我が『暴食』にて喰らうのみよ!」
 あんぐりと口を開けたワルルーナが受けとめたビームを魔力に変換して、彼女は己が腹へとビームを飲み込む。
 ビームって飲み込めるものなのか。そうなのである。
 それこそが、彼女の権能である。
 飛び道具を全て捕食無効化し、己を回復する暴食の力。
 どれだけ暴飲暴食しても、胃と食道を癒やす力! 羨ましいやつ!
「この百胎堕天竜魔王をなめるなよ小娘、この程度の弾幕、ラスボス魔女魔王にきくと思うてか!」
「ひゃく、えっ、なに?」
「百胎堕天竜魔王よ! 貴様の超超巨大砲、それは貴様の魔力が源! ならば、その魔力がすっからかんになるまでくらい尽くしてくれるわ!」
「吾輩にはまだエンドテイカー能力がある!」
「しゃらくさい!」
 ワルルーナはビームの嵐を喰らいながら、飛ぶ。

 どれだけビームの熱量が凄まじいのだとしても、それでも構わない。
 ワルルーナの食道と胃は暴食の力で超強化されているのである。
「喰らえ、ブレス!」
「面倒なことを!」
 ワルルーナの攻勢は『ギガンティック』の放つビームと同じくらい苛烈なものであった。そして、それ故に『ギガンティック』は気を取られたのだ。

「『ワルルンガーΣ』よ! 今である!」
「――!?」
 瞬間、『ギガンティック』のブーツのつま先、そこに落ちるようにして機動魔王城が踏み込むのだ。
 それはこれまで猟兵たちがチクチクしていた『ギガンティック』の小指。
 そう、一番ぶつけられて痛い所!
 そこに『ワルルンガーΣ』の質量が激突し、盛大な涙声がウラル山脈に響き渡る。
 これぞワルのやり方よ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

卯乃巫・八香
なるほど、大きい。
でも、大きいだけじゃ、勝てない。
思い知るといい。

Cavalierに跨って【空中機動】、砲撃を躱しながら総統へ肉薄。
砲撃軌道は敵の銃口や視線を【落ち着き】把握して見切り、或いは【野性の勘】で先読み。
ギリギリ回避だと余波で吹き飛ばされかねないから、回避機動は大き目に。
ビーム照射に対してはこれでも不十分、【フェイント】での回避方向欺瞞も交えて接近の隙を作っていく。

肉薄次第、偉天で全壊の旋回を叩き込む。
その図体がぐるぐる回るのは、とっても見ものだと思う。
こんな目に遭ったことなんて、無いでしょう?



 見上げるは巨体。
 凄まじい。その一言に尽きる。数百メートルに及ぶ体躯でありながら、シルエットは幼女。
 その矛盾。
 これをなんと呼べばいいのだろうか。
 人は己の常識の外にあるものを見上げた時、きっと思考も体も硬直するのだろう。
 だがしかし、卯乃巫・八香(夢中の狗・f29763)はクールな、いや、いっそコールドな思考でもって頭を振る。
 眼の前には巨大な幼女。
 幼女総統『ギガンティック』。
 彼女は猟兵の攻撃で主に足の小指を負傷していた。今も蹲って涙声である。
「ぐぬぬぬっ! 吾輩の小指ばかり狙いおってぇ!」
「大きいだけじゃ、勝てない。思い知った?」
 八香の言葉に『ギガンティック』は立ち上がる。
 小指の痛みなぞなにするものぞ、と言わんばかりである。

「この吾輩に敗北の二文字などないのである!」
「そう」
 その叫びに応えるというより、ただの相槌と言わんばかりに八香はスタンド式掃除機にまたがって空を飛ぶ。
 これが現代の魔女というのならば、『ギガンティック』の知らぬところであった。
「なんだ、それは!」
「掃除機。文明の利器」
「飛んどるじゃあないか!」
「? そういうものだもの。飛ぶでしょ」
「んなわけあるか!」
 構えるは平凡なライフルにして超超巨大砲『シュリヒトゲヴェーア』である。
 放たれるビームの光条。
 まるで熱波と衝撃波の嵐である。
 その中を八香は躱す。旋回するように大きく機動を描くが、そこにまたビームが飛ぶのだ。

 以上な速射。
 そう、『ギガンティック』は反動なしであの超超巨大砲を放つことができるのだ。
「フハハハ! 吾輩の『シュリヒトゲヴェーア』に隙などないのである! これで落ちろ、カトンボもどきの猟兵が!」
 迫るビームを八香は躱す。
 フェイントを加えた動き。
 だが、『ギガンティック』は己より矮躯たる者と戦うことに長けている。慣れているのだ。生まれてこの方、彼女は己より大きな者と戦うことはなかったのだ。
 常に戦うは小さき者。
 故に、その恐ろしさも戦い方も熟知していたのだ。

 それでも八香は踏み込む。
 飛行するスタンド式掃除機の柄を掴んで、ビームの一撃を躱し、さらに全壊の旋回(タップ・オブ・リップ)を叩き込む。
 そう、このために彼女はあえて回避に不利な旋回をしていたのだ。
 このユーベルコードは己が回転した数に比例した大気の渦を生み出す。
 手にした凶刃をもって放たれる一撃は大気の渦となって『ギガンティック』の体躯を包み込む。
「これは……大気の刃!?」
「ええ、こんな目に遭ったことなんて、ないでしょう?」
 何事にも初めてはある。
 ならば、これが『ギガンティック』にとっての初めての経験。
 己が見を包むほどの大気の渦など経験にない。八香はこれを生み出し、対処できぬ一撃を『ギガンティック』に叩き込むのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルクス・アルブス
【ステルク】

超巨大幼女?
あ、あー……なるほどよかったです。
胸部装甲ギガ盛りな幼女なのかと思っちゃいました。

それにしても、ポンコッツ幼女が総統とか、
『ゾルダートグラード』もアレな人が多いんでしょうか?。

これはきっと獣人戦線のシリアスが、ステラさんのやべーに侵食されているんですね。

それは嬉しく思っておくとして……って、親友!?
仲良くできるならしたいですけど、
まずは幼女さん、止めないといけないんですよね。

本来は演奏で虜にしちゃうところですが、
今回、正面から攻撃を、っていわれてるんですよね。

演奏はするとしまして、最後の一撃はピアノでいきましょう!

ステラさん、タイミング合わせて小指の先でお願いします!


ステラ・タタリクス
【ステルク】
|エイル様《主人様》の!!
あれ?香りあんまりしないですね?
ふむ?暗躍できずです?
って誰がやべーメイドですか

うーん、あの雑さと大胆さ……ルクス様4号ですか?
あ、もしかして親友??

真正面というならサイズでも攻めましょう
久しぶりに【ガレオン・チェンジ】!
飛空艇形態で注意をこちらに
ええ
|シュリヒトゲヴェーア《地味なライフル》などとドイツ語とは笑止!
私のUCはラテン語です!!
【|テールム・アルカ《武器の箱舟》】起動!
BS-Sハイペリオンランチャーを召喚しつつ発射!
名前でも威力でも負けません!
ルクス様、今の隙にってなんなのその指示!
ええい、RXSチェインハンマーを召喚&小指の先に投擲です!



 いつものやつである。
 何が? と思われた方もいるであろうが、いつものやつである。
 いやだから、と思われるであろう。
 まあ、聞いて下さい。
「|『エイル』様《主人様》の!!」
 ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)の雄叫びである。
 いつもの、へい、おまち!
「……あれ? 香りあんまりしないですね?」
 おかしいな、とステラはスンスンと鼻を鳴らす。ちょっと香る良うな気がする。
 敵は超大国ゾルダートグラード。
 ならば、ステラが強火ストーカー粘着型と称した存在が絡んでいると思ったのだ。
 なんていうか、直接的な香りがする気がするような、しないような?

「ふむ? 暗躍できずです?」
「何をごちゃっとるか!」
 ビームが降り注ぐ中、ステラはうーん? と考えながら己にビームをぶっ放してくる物騒な幼女……されど数百メートルはあろうかという極を持つ幼女総統『ギガンティック』を見やる。
 金色の瞳に獣耳。
 何もつながりなさそうである。
「あ、あー……なるほどよかったです」
 共にビームの嵐から逃げながらルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は、ほっとしていた。
 彼女は超巨大幼女って聞いた時から、もしかしたら胸部装甲ギガ盛り幼女なのかと思っていたのだ。
 それはそれで特定の人に刺さりそうなあれである。
 人の業って。

「誰がやべーメイドですか」
「言ってませんけど!?」
「まだごちゃるか! くらえ、幼女キック!!」
 それもうスタンピング、とルクスは思ったが己達を狙った『ギガンティック』のブーツの裏が影作る最中を走り逃げる。
 ヤバすぎである。
「うーん、あの雑さと大胆さ……ルクス様第四号ですか? あ、もしかして親友?」
「親友!? 仲良くできるならしたいですけど」
「誰が親友であるか! 猟兵なぞ不倶戴天の敵であーる!」
 ぶっぱされるビーう。
 うーん、仲良くはできない感じ。
 しかし、とルクスは思う。

 普段ならばのっぴきならない事態である。 
 なのに未だルクスには蕁麻疹がでていない。そう、シリアスブレイカーがいるのである。誰って? 言うまでもないので言いません。
「ステラさんのやべーに獣人戦線のシリアスが侵食されているんですね。あんなポンコツ幼女が総統とか。ゾルダートグラードもアレな人が多いんでしょうか?」
 ルクスの言葉に『ギガンティック』のこめかみがビキる。
「誰がポンコツか!」
 地団駄を踏むだけで、地鳴りが響き渡り、体が跳ね上がる。
 凄まじいとしか言いようがない。

「まずはあの幼女さん、止めないとですね!」
「ルクス様、こちらへ!」
 ステラが飛空艇の姿へと変身し、ルクスを甲板に乗せる。
「またか! カトンボ! 吾輩の『シュリヒトゲヴェーア』で!」
「|シュリヒトゲヴェーア《地味なライフル》などとドイツ語で! 笑止!」
「カッコイイだろう、ドイツ語! みんなだいすきだろうが、ドイツ語!!」
「今何の話してるんです?」
 ルクスはステラたちのやり取りに首をひねる。
「私のはラテン語です!」
 ラテン語もいいよね。
 いや、そんな話ではない。

「テールム・アルカ! 方舟、起動。武装、転送! ハイペリオンランチャー! 名前でも威力でも負けません!」
「ならば、受けて立て! この吾輩のビームを!」
「ルクス様、今の隙に」
「え、真正面からがいいんですよね? ならば、受けていただきましょうLa Campanella(ラ・カンパネラ)! 最後の一撃はピアノでーす!」
 演奏ではない物理。
 その一撃を叩き込まんとするルクス。
「あ、ステラさん、タイミング合わせて小指の先でお願いします!」
「え、何その指示!?」
「あれだけ大きいんです、小指くらいしか有効な打撃箇所はないですよ!」
 そうなの?

「いきますよ!」
「やめろ! そこばっかり吾輩を!」
「問答無用です!」
「ええい、チェインハンマー!」
 二人の質量攻撃が一点に集中する。
 そう、即ち、『ギガンティック』の足の小指である。
 いっちばん痛い所。
 デカくなろうがなかろうが、誰だって痛いもんは痛い場所。
 その小指への一撃に悶絶する涙声が、戦場に響き渡った――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友

第三『侵す者』武の天才
一人称:わし 豪快古風
武器:黒燭炎

デカいのう…。それが戦慣れしとるのは、脅威ではある。
ふむ…では、四天霊障にて三重結界を構築。
回避は手綱での合図をするゆえ、霹靂が思うままに飛ぶがよいであろう!

で、キックはな。股関節と膝の可動域を考えれば、範囲は自ずと絞れよう。大きかろうと、そこは人ベースなら変わらんし。
で、足の先の速度はシャレにならんからな。横や上よりかは、下からが一番良い。
で、まあ…UCつき黒燭炎でついたのじゃが…そこ、小指では?


霹靂「クエッ」
風を読む!速度は限界突破、合図あったら最小限での回避行動!



「デカいのう……」
 思わず見上げる。
 いや、見上げずにはいられない。
 数百メートルはあろうかという巨体にありながら、そのシルエットは幼女。幼女総統『ギガンティック』は涙目で蹲っていた。
 度重なる猟兵たちの一撃が足の小指に激突しているのである。
 デカくっても痛いものは痛いのである。
 そんな幼女の姿をした巨大な存在を前にして、馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)はなんとも困った気分であった。
 なんか悪いコトしている気持ちになりそうだったが、しかし、それでも戦なれしている兵士であるというのならば、武人である『侵す者』は戦わずにはいられないし、脅威であると断定するのだ。
「デカくて当然である! 吾輩は幼女総統なるぞ!」
 小指がまだ痛いのに我慢して涙目で立ち上がる『ギガンティック』。

 手にした超超巨大砲『シュリヒトゲヴェーア』のビームが『霹靂』駆る『侵す者』へと迫る。
 手綱を握りしめる。
「思うがままに飛ぶがよい!」
「クエッ!」
 風を読むようにして『霹靂』が飛ぶ。
 だが、極大のビーム、その光条による熱波によって『霹靂』の体が揺れる。
 安定しない。
 凄まじいというほかない。思うままに飛ばせてはもらえないのだ。加えて、あの超超巨大砲は連射が可能なのだ。
 本来ならば反動というものがありそうなものだが、『ギガンティック』は、無反動のままにぶっ飛ばしてくるのだ。

「ちょこまかと飛ばさせはせぬわ! いい加減鬱陶しいのだ!」
「クエッ!」
 熱波の影響を受けぬ地面スレスレを飛ぼうとすれば、今度は『ギガンティック』の足が迫る。
「トドメの幼女キックよ!」
 もはや踏みつけである。
 だが、超巨体であるがゆえに彼女の踏み降ろした一撃は強烈なのだ。
「人型をしている以上、その駆動範囲は知れよう。だが……!」
 デカすぎるのである。
 人の姿をしているが故の制限はあれど、その制限の振り幅がおかしい。
 どんなに駆動域を理解していようとも、超巨大な靴底が迫るのはどうしようもない。
 ならばこそ、『侵す者』は笑う。
 それは悪手、と。

 そう、確かに彼女は焦れていた。
 ちょこまかと動き回る者との戦いは慣れている。
 けれど、それは己がひと踏みで容易に覆せる。だからこそ、安易な手に頼ったのだ。即ち、踏みつけ。
 踏みつける、ということは即ち、その足裏を無防備にこちらに向ける、ということである。
「よいのかの」
「何がだ! いまさら駆け引きなど!」
「画鋲、というものがある」
「何を!」
「不意にそれを踏みつけたときの痛みと言ったら、傷の具合に限らず衝撃的よ。即ち」
『侵す者』は己が槍を掲げる。
 踏みつけんとした巨大な足。
 その靴底を貫くは、それは火のように(シンリャクスルコトヒノゴトク)走る痛み。

 確かに画鋲の一刺し。
 なれど、その衝撃は比ではない。
 強烈な衝撃が神経をたどって即座に『ギガンティック』の脳に届くのだ。
「ぎにゃ!?」
 思わず足を引き上げる。
 だろうな、と『侵す者』は思っただろう。
 足先と足裏は指先と同じくセンサー。故に、異物を感じれば、人体はそれを避けようとする。
 ならばこそ、その後は言うまでもない。
 体勢を崩した『ギガンティック』がウラル山脈の山肌に倒れ込む。
 その姿を見やり、『侵す者』は『霹靂』と共に離脱するのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ナノ・ナーノ
●WIZ【ケルチューバー】

うーん、思った以上に大きすぎるけど、ジークにステラちゃんの話を聞くと本当に頼もしくなるなの
だけど、ステラちゃんはせっかくカワイイ系ケルチューバーで売出中なんだから、ジークと同類と思わそうな発言には気をつけてなのー

『超大国の幼女総統!ギガンティックは実在した!!』
やらせと言えばそれまでだけど、嘘と本当の狭間にあるリアリティには変わりないなの
前半中盤はギガンティック撃退後のウラル山脈でゆっくり撮影するから、二人共気を付けてなのー

ボクはビデオドローンを操作しながら後方から援護するなの
ビームを撃とうとしたり、時間を巻き戻そうとしたらボクの『めろめろハート』で中断させるのなの


ステラ・フォーサイス
●SPD【ケルチューバー】

うーん、大きいね
でも、ジークの言う通りあっちで戦ってきたとんでもないデウスエクスと比べれば…だよね
あ、ちょっとナノ
あたしをジークと同じ目で見ないでよぉ

『超大国の幼女総統!ギガンティックは実在した!!』
ナレーションはナノがするんだね
その時!隊員の背中にタランチュラが!とかさ
ジーク、やらせじゃないかとか言わないの
こういうのは見る人も分かって楽しむ企画なんだから

じゃ、撮れ高たくさんのバトル始めようか
遂に姿を見せたギガンティックちゃん
捕獲…じゃなくて撃退すべく、ステラちゃんはエアシューズで疾走!
グラビトンブラスターで狙うのは…引き金を引こうとする指先
指をどんどん石化させちゃね


ジークリット・ヴォルフガング
●POW【ケルチューバー】

…デカいな
デカいが、竜業合体の末に惑星を取り込んだ竜や大阪城一帯を包みこんだ攻性植物らと比べれば可愛い方か

今回はステラと合同だが、企画名『超大国の幼女総統!ギガンティックは実在した!!』の終盤を最初から撮影とはまた斬新な手法だ
撮影と編集はナノに任せるとして、私は剣を振るうに徹しよう
繰り出される砲撃は、刀身に重力を纏わせたゾディアックソードの切り払いで対処しよう
後々の現地撮影もあるので、角度は上空へと逃がす形で対処だ

後はステラとナノの援護の元で接近し、蹴りを入れる脚へと攻撃を与える
狙うは…そうだな
向こう脛、弁慶の泣き所と致そう
思った以上に痛そうだが、まぁ良い躾となろう



 その光景をみて、三者三様たる感想は浮かぶことはなかった。
 ナノ・ナーノ(ナノナノなの・f41032)、ステラ・フォーサイス(帰ってきた嵐を呼ぶ風雲ガール・f40844)、ジークリット・ヴォルフガング(人狼の傭兵騎士・f40843)の三人は一様に同じような感想を抱いた。
 何に、とは言うまでもないだろう。
 幼女総統『ギガンティック』の姿である。
 彼女は猟兵たちの小指への執拗な攻撃によってウラル山脈の山肌に転倒していた。
 ただ転倒しただけだというのに、地鳴りが響き、その頭上に山脈の雪が雪崩のように降り注ぐ。
 雪崩なのであるが、彼女にとっては樹上の雪が注ぐ程度のものであった。
「うーん、大きいね」
「……デカいな」
「思った以上に大きすぎるなの」
「だが、デカイが、竜業合体の末に惑星を取り込んだ竜や大阪城一帯を包みこんだ攻性植物らと比べれば可愛い方か」
 加えて言うなら、猟兵たちの中にはスペースシップワールドに存在する小惑星サイズの宇宙怪獣と交戦したことのある者達だっている。
 今更、数百メートルの巨大幼女がいたとしても、まあ、驚かないのかもしれない。

 でもまあ、大きいことに変わりはないのである。
 デカイのに幼女。
 これ如何にというやつである。
「まあ、ジークの言う通りではるけれどね。まあ、あたしらが経験したデウスエクスと比べれば……だよね」
 感覚バグってんのかな、と思わないでもない。
 だが、ナノは頼もしいと思ったのだ。
 本当にそう思ったのだ。
「ちょっとナノ、あたしをジークと同じ目で見ないでよぉ」
「頼もしいのは本当なの。でも、発言には気をつけてほしいなの」
「ん、なんで?」
「ステラちゃんはせっかくカワイイ系ケルチューバーで売り出し中なんだから、ジークと同系統の発言はちょっと困るなの」
「それはそうかも」
「そうかも!?」
 ジークリットは二人のやり取りに目を向く。
 なんでや、ジークリットさん綺麗系でしょうがよ! とどこからかツッコミが入ったが、まあ、訓練されたジークリットの動画の視聴者は「自演乙」みたいな反応である。
 冷ややかが過ぎないか?

「ええい、今回はステラと合同の企画だ。名付けて!」
「『超大国の幼女総統!『ギガンティック』は存在した!!』なの!」
『あ、今回なナノがナレーションするんだね」
 ステラは、なんか似たようなテレビ番組のことを思い出した。
 その真相を探るべく我々はアマゾンのプライム会員特典の動画配信サブスクへと飛んだ。
 ではないが、ステラは思った。
 これってやらえも存在するのかな、と。
「ふっ、終盤を最初から撮影するとは斬新な手法だ」
「やらせと言えばそれまでだけど、嘘と本当の間にあるリアリティにはかわりないなの」
「やらせとかいわなーい!」
 こういうのは見る人もわかってて見る暗黙の了解があってのことなのだから。

「さっきからごちゃごちゃと!」
 しびれを切らした『ギガンティック』が迫る。
 地団駄を踏むようにして迫るは幼女のクソデカブーツの靴底である。
 単純にデカイ。
 踏み降ろされた一撃が大地を割り、三人は大地の破片の中を飛ぶようにして躱す。
 動きが鈍い。
 わかっている。これまで猟兵たちが果敢に巨体に挑み、その足の小指に熾烈なるユーベルコードを叩き込み続けた弊害である。
「ぐむっ、足が痛い!」
「そりゃそうなの! ボクは撮影しているから、ふたりとも撮れ高よろしくなの!」
「うん、任せて! じゃあ、はじめよっか!遂に姿を見せた『ギガンティック』ちゃん。捕獲……じゃなくって撃退すべく、奮闘するのであった!」
 そんな自分でナレーションを入れ、しれっとナノの操作するビデオドローンにカメラ目線でウィンクするあざとさ!
 かわい!

 そんな感想がコメント欄に溢れながらも、やってることはえげつなかった。
 超超巨大砲『シュリヒトゲヴェーア』の引き金をひこうとする指先へとガジェットガンによる魔弾を放ち、石化させるのだ。
「あいったぁ!? なんだ!? 指先が石化……!?」
「そう! 引き金引けなければ、そのすっごいビームも撃てないでしょ!」
「しゃらくさい! 吾輩のエンドテイカー能力があれば!」
「あ、それはやめて欲しいなの」
 めろめろハートが『ギガンティック』に激突する。
 そう、『ギガンティック』にはエンドテイカー能力がある。
 時間巻き戻しによって、己が望む結果が出るまでやり直すことができる恐るべき力である。
 そんな無法の如き力を振るわせるわけにはいかないのだ。
「ぐっ、やめろ! そんな愛らしい目で吾輩を見るな!」
「やめてなの」
「うぐぅ1?」
「いいのだろうか」
 ジークリットはそんなステラとナノの連携によって『ギガンティック』が隙だらけなのを見上げていた。
 なんか、自分にそんなに攻撃が来ない。
 まあ、引き金が引けないのだからビームの嵐は起こっていない。
 それはいい。
 けれど、なんかこう物足りない。具体的に言えば、撮れ高が足りてないような気がする。

 いや、正しくない。
 確かに撮れ高は撮れている。
 単純にステラとプロデューサーのナノに尺が奪われているってだけの話である。
 なんでや! ジークリットさんを写してや! と全世界億単位のジークリットファンが叫んだかもしんないし、叫んでないかもしれない。
 コメントで『ゴリラ、見切れる』みたいな口さがない連中が言うかも知れない。
 でもまあ、いいのである。
 最後の最後は己で決めると段取りができているのだ。

「まあ、いいか。気を取り直して……!」
「ぬっ! 貴様、何を……!」
「いや、狙いを決めていた。小指は」
「やめろ!」
「だろうな。ならば、向脛だ」
 それはそれで痛いやつ! 立ち往生するような僧兵であっても泣いちゃう所!
 所謂、弁慶の泣き所!

「足元には急所が沢山あるよな『ギガンティック』。故に受けるが良い! 剣に宿りし星辰の重力を!」
 ジークリットの振りかぶったゾディアックソードが正座の重力を解き放つ。
 それは、ゾディアックブレイクである。
 渾身のフルスウィング。
 その一撃が『ギガンティック』の向脛に激突する。
 凄まじい痛みが走り抜ける。
 思わず片足立ちになってしまうほどの痛み。
「ぬわああっ!?」
 涙がこぼれる。
 ひどい。幼女に此処までするなんてゴリラのファンやめます、みたいなコメントが流れることになったが、まあ、仕方ないことである。

「……うわぁ」
「思った以上に痛そうだな」
 まあ、よい躾になるだろう、とジークリットは頷く。
 ステラとナノは、まあ後で編集でなんとかなるだろうと思った。
 そんな三人を背に幼女総統『ギガンティック』は涙目で背を向ける。
 撤退を決めたのだろう。
「覚えてろよ、貴様ら! チクチクバシバシ吾輩の足ばっかり狙い追って! 絶対その顔忘れんからな!!」
 そんな捨て台詞を吐き捨て、『ギガンティック』は涙目で猟兵たちの眼の前から大地を揺るがして逃走するのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年05月19日


挿絵イラスト