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獣人世界大戦⑬〜カオティックロアー

#獣人戦線 #獣人世界大戦 #第二戦線 #人民租界 #有頂天道人

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 ここは獣人戦線。巨大な大陸を丸々一つ使った極めて大規模な戦争の真っ只中。
 そんな世界の、小さな道場にある広い武舞台の上に、混沌が蠢いている。

 それは、有頂天道人だ。

 混沌、と表現したのは何も彼の蠢く白き半身のことに着いて言っているのではなく、貪欲に力を得るがあまり獣の体、機械の体、混沌化の体と、様々な特徴がその一つの体に存在するということについてだ。

 彼はその広い武舞台の上で構えをとり、型を繰り返し繰り返しなぞっていく。
 一つの技を極めるのは武において非常に大きな意味を持つ──はるか昔に極められた技の数々や構えを後世に残したものが「武」と呼ばれる故に。

 その機械の瞳はそこにまるで相手が存在しているかのように虚空に向けられ、射殺すような殺気を放つ。

 猟兵に予知されるようになってからというもの、連敗続きの彼は武人らしく己の内側へと問いかけるように、己と戦うように、その牙を研いでいる──。


「有頂天道人についての、新たな情報です。」

 白霧・希雪(呪いの克服者・f41587)はいつものように皆が集まったのを見回し、はっきりとした声で説明を始める。

「今回有頂天道人が現れたと予知された場所は、ワルシャワ条約機構に程近い、小さな道場です。」

 今までと少し毛色の違う場所に、少し困惑するような表情を浮かべる猟兵たち。
 むしろ彼らしいと笑うものもいるのだが。

「その道場には全くもって特殊な何かがあるというわけではなく、ただ単に武人として相手をするつもりのようです。」

 彼は武人だ。
 知略に長けた面もあるが、それでもその力で全てを組み伏せることを好む。
 目的のために全てを犠牲にする覚悟で臨んだ今回の戦も、その力が遺憾無く発揮されるだろう。

「わかっているとは思いますが、一応彼について話しておきましょう。」

 一応、といった感じで彼の説明──いや、おさらいといった方が正しいか──を話していく。

「彼──有頂天道人は、《サイバー化》《混沌化》の二つの力で己を改造し、その獣人としての身体能力と空間把握力、武人としての極められた技を武器に戦います。」

 二つの相反する力が一つの身に集う。
 それは武によって完璧に統制され、隙を見せぬ堅牢な鎧と、万物を貫く鋭利な槍となる。

「《サイバー化》によって彼の体は機械化義体に置き換えられており、生半可な攻撃は効かない上に、膂力や脚力などの身体能力を大幅に底上げしています。」

 体におけるかなりの割合を義体に換装しており、特に重要な臓器や電脳なんかは分厚い超合金プレートで覆われている。

「そして、《混沌化》により彼の右半身は白く変じており、そこの身体部位はある程度自由に変形させられます。例えば、白い翼に変えて上空へ飛んだり、鋭く尖らせて槍や刃のようにしたり、と変幻自在です。」

 白き半身は流動するように常にその形を変化させ、目の前の敵を屠る刃となり、時には身を守る盾となる。
 自由度の高い能力であるが故に、地力のある道人が振るうとそれは脅威以外の何者でもなく、さらに──

「さらに、その一挙手一投足は《混沌化》の影響で認識困難。正面からまともに戦えば、苦戦必至どころかほとんどの猟兵は太刀打ちできないでしょう。」

 「undefined」。未定義の、不明瞭な、などという意味で用いられるこの英単語は、彼の白き半身を言い表すに相応しい言葉だろう。

 今までは割と皆苦戦しつつも倒し切っているが、それは猟兵が複数人でかかり、体力、思考力を削ぎ落とし、連携によって有利に立ち回っているからに過ぎない。

「正面から一対一でまともに戦うな、とは言いませんが無策で挑めばかなりきつい戦いを強いられますので、ご注意を。」

 おさらいも済んだ。戦意も十分だ。
 こんな強敵と何度も戦える機会なんて、欲しいと願ってもなかなかやってこないのが普通なのだ。

「では、|門《ゲート》を開きます。」

 希雪はいつものようにくるりと振り返り、両腕を広げる。
 にわかに立ち込める白い霧が、その先の風景を映し出す。

「では皆さん、ご武運を──」


カスミ
 獣人戦争、第二戦線も半分が終わり、第三戦線に備えている方も多く居られると思いますが、いまだに彼らの脅威は収まるところを知りません。
 一つ一つの戦場にしっかりと勝ち切ることで敵方の勢いを削いでいきましょう!
 と言ったところでシナリオの説明に移りますね。

 獣人戦線、戦争シナリオとなっております。
 なので、一章完結の短いシナリオとなっております。

●第一章:「有頂天道人」を撃破せよ!
 道場の中央に立つ有頂天道人。
 今回の彼はその全ての力を以て猟兵を叩き潰さんとするようです。
 「混沌化」の影響による「白き天使の翼・白きおぞましき触手・白き無貌の牛頭・白き殺戮する刃」などの攻撃と、「サイバー化」の影響による打撃や斬撃に、しっかり対処していきましょう!

 プレイングボーナス:特にありません。工夫を凝らし、今ある全ての力を以て全力で抗いましょう!
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第1章 ボス戦 『有頂天道人』

POW   :    サイバネ殺法 undefined cyberne
【機械化義体でカンフー技】を放ち、命中した敵を【undefined】に包み継続ダメージを与える。自身が【中国拳法の構えを】していると威力アップ。
SPD   :    サイバー渾沌拳 undefined kungfu
【サイバー化した肉体】と【渾沌化した肉体】を組み合わせた独自の技能「【サイバー渾沌拳】」を使用する。技能レベルは「自分のレベル×10」。
WIZ   :    渾沌波動弾 undefined aura
レベル秒間、毎秒1回づつ、着弾地点から半径1m以内の全てを消滅させる【undefined】を放つ。発動後は中止不能。

イラスト:松宗ヨウ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

禹・黄風
純粋な武人としてやり合う…その渾沌も義体も単なる武の一部として戦うなら私もそう戦いましょう。
この棍に懸けて…勝負。

自在に伸縮できる三節棍の特性を利用し有頂天道人との間合いをコントロールしながら戦います。
サイバー渾沌拳…変幻自在ではあれど存在するモノに変わりはなく。
殺気を感知して何処を狙うかを見切り予測、義体ならば受け流し渾沌なら棍で地面を叩き一気に伸ばし緊急回避を試みます。
空中に飛んだならそこで仕掛けます。
UC起動、棍を構え呼吸を整えて超高速の突きで義体部分を狙います。
気を練り込み超硬化した高速の棍の一撃、改造強化されていようとその衝撃までは殺せない。
これで終わりです…!

※アドリブ絡み等お任せ


神酒坂・恭二郎
粋だねぇ
ちょいと受けたくなる挑戦だ

「神酒坂風桜子一刀流、神酒坂恭二郎」
名乗りと共に、片手で刀をだらりと下げた無形の構えを取る
一見して無防備な構えから、千変万化の変化で相手に応じる構えだ
鋭く精密な機械化と相性が良く、変化で劣る渾沌とは相性が悪い

渾沌化の攻撃に対しては敢えて雑に行く。風桜子を瞬間的に巨大して纏せた切り上げで、目の前の空間ごと変化をねじ伏せて捌き、次の攻防に繋げる【早業、武器の巨大化、衝撃波、受け流し、体勢を崩す】

機械化に対しては剛には剛。手持ちの技で、一撃の速度と威力に抜きんでた「捩り突き」に全てを賭ける【覇気、覚悟】

強敵だ。奴のサイバー渾沌拳に対する【見切り】が勝負を決するだろう


オクト・パスフォルド
小細工抜きで一人在るか
男だな
そして、互いに譲れぬ関係の猟兵とオブリビオンでもある
ゆえに【決闘】だ
明快である

「お相手願おう」
空間鞘から六本のコスモカトラスの柄が浮かび上がる
コスモ六刀流「無尽居合」の構えだ

間合いに入れば無類の強さを誇るこの技だが、さて奴の渾沌化のリーチが読めない
故に機械化の左半身の方向から【切りこみ】
奴の技量なら容易く対応するだろうから、更に『提督マント』の噴射機構で更なる速度と軌道で左半身へと回り込みを狙う【残像、リミッター解除、推力移動】
機械化の速度、渾沌化の変化は恐ろしい。だが間合いさえ詰めれば

「捉えたぞ!」
0秒攻撃の六刀同時攻撃で勝負を賭ける【覇気、居合】


鳴上・冬季
「混沌化もサイバー義体も借物でしょうに」
嗤う

仙術+功夫で敵背面に縮地(短距離転移)し貫手
敵の反撃は空中戦・空中機動+功夫の軽身功と縮地で羽のように回避
傷口に宝貝・禁混霊珠押し込み
雷撃で傷塞ぎ縮地で離れる

「本来の形から無秩序に変形する混沌化は動く癌細胞のようなものです。故に禁混霊珠で生命力と肉体をあるべき形に整える秩序を与え、混沌化も混沌化に由来するundefinedも封じました。今更掻き出しても効果は暫く続きます。…さあ死合いましょうか」
嗤う

仙術で全身に雷属性纏う
敵の攻撃は寸勁で打点ずらし接触で電撃ダメージ重ね
寸勁連打から縮地・震脚し心臓に貫手

「機械絡繰など入れるべきではなかったのですよ」



道場に立つ有頂天

その姿は混沌に塗れ

しかして武の本質を違えぬ精神は

まさしく武の道に生きる者


そんな道場の一角に、白い霧が発生する。
グリモアの青白い光をわずかに発しながら、その奥からは4人の人影が現れる。
その姿はさながら道場破りのようで。


禹・黄風(武の頂を・f40009)はその鋭く理知的な瞳を有頂天道人へ向け、心に渦巻く思いを覚悟へと昇華させる。

「純粋な武人としてやり合う…その混沌も義体も単なる武の一部として戦うなら私もそう戦いましょう。
この棍に懸けて…勝負。」

その低く内に響く声はただ有頂天道人にのみ向けられ、それを受けてなお有頂天道人はその鋭く獰猛な瞳をこちらに向けるだけ。
何も話はしないものの、その瞳は雄弁に語る。
「受けて立つ」と。


「粋だねぇ、ちょいと受けたくなる挑戦だ。」

その口端に小さな笑みを浮かべながら、そう話すのは神酒坂・恭二郎(スペース剣豪・f09970)だ。
迷いなく腰に差した刀をとり、名乗りをあげる。

「神酒坂風桜子一刀流、神酒坂恭二郎」

そう言い放つとともに、片手で刀をだらりと下げた無形の構えをとる。
一見すると無防備にも見え得るそれは、しかして達人特有の殺気を孕む。
その実、相手の動きに合わせて、千変万化の変化でいなし、返す刀を浴びせる“受け”の構えだ。
いつでも動けるように構えを取りながら、ただ戦いの開始を待つ──


「小細工抜きで一人在るか、男だな。
──そして、互いに譲れぬ関係の《猟兵》と《オブリビオン》でもある。」

故に、【決闘】だ。
明快である。

オクト・パスフォルド(銀河提督・f43245)はその鋭い目つきで有頂天道人を見据えながら、声を張り上げる。

「お相手願おう」

声を発すると同時に構えられたその姿は、異形特有のソレ。
空間鞘から六本ものコスモカトラスをふわりと取り出し、その触手で全てを握りしめる。
左三本、右三本。計六本の構え。
コスモ六刀流「無尽居合」の構えだ。


「混沌化もサイバー化も借り物でしょうに。」

鳴上・冬季(野狐上がりの妖仙・f32734)は含みのある嗤いを浮かべながらそう言い放つ。
対して有頂天道人は無言。その鋭い瞳をこちらに向けるだけ。
「サイバー化」「混沌化」は、安易に使い簡単に強くなるような代物ではない。
確かにメリットだけを見れば脅威だが、それには相応のデメリットも付随する。
そんな当たり前の事だ。有頂天道人だって、そんなことは理解し、対策を立てている。
だが、あちらを立てればこちらが立たず。必ずどこかに綻びという名の致命的弱点が存在するものだ。

そして冬季はその弱点を突ける。
故に、嗤うのだ。愚かだと。


次第に空気は張り詰めたものへと急速に変化し、戦いの幕は開かんとしている。
各々が自らの心にもつ想いを握り締め、積み上げてきた武を構える。
それは猟兵だけではなく有頂天道人も同様だ。

負けるわけにはいかない。ただ、勝つ。
思うことなんて、それだけで構わない。
後はその想いと、武を比べ、相手をこの拳で、剣で、捩じ伏せるのみ──

戦いの火蓋は切って落とされた。

最初に動いたのは有頂天道人。
神速の足捌きで巧みに間合いを詰め、狙うのは黄風。
その白き半身から繰り出される触手が放射状に伸び、その体を掴み絡めんと襲いかかる──が、振るわれるのは三節棍。
自在に伸縮できる三節棍を巧みに振るい、触手を叩き落とし、そのままバックステップで距離を取る。

サイバー混沌拳…変幻自在ではあれど存在するモノに変わりはなく。
溢れ出んばかりの殺気はその攻撃を雄弁に語るものだ。
鋭い義体の切り裂きも、|不明瞭《undefined》な白き混沌の打撃も、見切り、回避し、いなし続ける。

その間ずっと気を練り続け、必殺の一撃を叩き込む隙を窺う。
攻勢に対処するのと、気を練るのとで思考の全てを奪われ自ら隙を作りに行くことはできないが、今回ばかりはそれで十分だ。
頼もしい仲間がいる。
ここは模擬戦でも形式的な試合でもなんでもない。
ただの殺し合いだ。
武人として相手をするにしても、その本質は全く変わらない。
今はただ、耐え忍ぶ。
内に殺気を秘め、苛烈な有頂天と対照的に心を凪がしてゆく──


恭二郎は、迫り来る有頂天道人の強烈な攻撃の連打を紙一重で対処し続ける。
恭二郎の構えは、相手の攻撃を見て、最適な動作を行い対処する構え。
鍛え上げれば鍛え上げるほど、その構えは堅実なものとなり、いかな攻撃にも対処し切り返せる構えなのだが、今回ばかりはそうもいかない。
この構えは鋭く精密な機械化と相性が良く、変化で劣る混沌とは相性が悪い。
そして、それを察せないほど有頂天道人は弱くはなかった。

機械化の攻撃を他の猟兵に放ち、こちらには白き刃を飛ばすことで対処を強いさせ抑えてくる。
一対多では、どうにかして一対一の連続という形で処理をしなければ、圧倒的に不利な状況に陥るのはどれだけ戦いに慣れていなくともわかること。
さらに、猟兵に対し数の不利を覆すほどの一騎当千な存在など、ほとんど存在しないと言って良いだろう。
有頂天道人は半ばその域まで到達しそうになっているが、後少し、致命的に足りない。

間違いなく強大な敵。
しかし負担を分担させることで、この人数で当たれば勝てる可能性は十分にある。
後は総攻撃のタイミングに合わせ、最高の攻撃を繰り出せるように備えるのみ──


オクトはその六本のコスモカトラスで有頂天道人の攻撃に対処していくが、戦い辛さを感じていた。
この構えは間合いに入れば無類の強さを誇るものの、混沌化のリーチが未だ読めない。
白き触手は湧き出ては切り伏せているものの、自分よりリーチが長いことは確かだ。
斬撃、打撃、飛び道具、その全てが想像より伸びてくる。
これが、有頂天道人の誇る「混沌化」対処は厳しく、次第に傷も増えてくる。

だが、間合いにさえ入れば、状況は逆転する。
白き混沌の対処は難しいが、逆に機械化の対処は幾分か楽だ。
変化しない、物質としてそこに存在するのならば弾き、切り伏せることができる。
狙うべくは機械化の攻撃を使ってきた瞬間。
ずっと剣で受けてきたところを、今回はひらりと身を捩って接近する。
機械化斬撃のあまりの鋭さに体を少し切られてしまうが、無視。
|左半身《機械化義体》の方向から、コスモカトラスを二本振るい攻撃を仕掛ける。
それも、ガキン、という固いものと固いものがぶつかったような甲高い音を鳴らして防がれる。

だが、奴の技量ならそれくらい容易く対応することくらい、予想済みだ。
提督マントをはためかせ、使用するは脱出用の噴射機構。
しかし脱出に使用するわけではなく──高速で自身の体を左半身の方向へ無理やり持っていく。
機械化の速度、混沌化の変化は実に恐ろしいものだ。だが、間合いさえ詰めれば──


冬季は嗤い乍ら有頂天道人へと向き合う。
冬季の持つ武は仙術と功夫に由来する。
ならばこそ、同系統の武を操る有頂天道人の攻撃は見切れる。
そして、有効な攻撃も持っている。

フッと、ブレる様に冬季の姿が掻き消える。
瞬間移動の如き縮地で敵背面に音もなく移動したのだ。
そして、その白き半身に鋭い貫手を放つ。
それと同時に、小さな何かを傷口へと押し込んだ。

当然反撃は1秒と待たずくるのだが、軽身功と縮地を織り交ぜた捉え難い動きでふわりと舞う羽のように回避する。
そして、傷口に雷撃を放つ。
機械化義体にもダメージは入るだろうが、目的は、傷口を塞ぐこと。

そして、有頂天道人の体に異変が訪れる。
白い混沌が次第の零れ落ちていき、ぼたぼたと湿った音を響かせていく。
冬季は嗤い乍ら、説明する。
心を折るために、絶望を理解させるために。

「本来の形から無秩序に変形する混沌化は動く癌細胞のようなものです。故に禁混霊珠で生命力と肉体をあるべき形に整える秩序を与え、混沌化も混沌化に由来するundefinedも封じました。今更掻き出しても効果は暫く続きます。」

混沌化の、致命的な弱点。
特殊な身体影響や状態固定に著しく弱いこと。
尤も、大多数の猟兵はそんなものを持ち合わせていないのだが。
有頂天道人は、運が悪かったのだ。

「……さあ、死合いましょうか。」


有頂天道人の能力を半分封じること。
それは、ここにいる全員が待ち望んだ有頂天道人の「隙」であり──
故に、意思の疎通など必要なく全員が最大威力の攻撃を叩き込む。


「これで終わりです…!」

気を練り込み超硬化した高速の棍の一撃、改造強化されていようとその衝撃までは殺せない。どころか──打ち据えた一撃は、機械の体に大きなヒビを作り、そのまま叩き割った。


「神酒坂風桜子一刀流…捻り突き……ってなもんかね」

一撃の速度と威力は恭二郎の持つ技の中でも抜きん出たそれに全てを賭け、覚悟とともに抜き放つ。
その一撃は深く、深く、有頂天道人の体に突き刺さり致命的とも言えるダメージを与える。

まだ、連携は終わらない。


「捉えたぞ!」

オクトは瞬時にその6本のコスモカトラスを空間鞘に納め、構える。

「銀河に名高き我が無尽居合、受けてみろ!」

力を込め、抜き放つ。
一瞬という表現すらも生緩い、文字通り0秒の神速居合が6本分。
その体を切りつけ、切り裂き、血の華を咲かす。


冬季は仙術で全身に雷属性を纏い、雷光により薄く発光する。
もう、まともな反撃など無い。放っておいても出血で倒れるだろう、が──
その命を確実に刈り取る、無慈悲なる貫手がその心臓を貫いた。

「機械絡繰など、入れるべきではなかったのですよ。」

静かに話す冬季は、ただ嗤っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年05月16日


挿絵イラスト