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獣人世界大戦⑬〜機械の瞳は冷たく昏く

#獣人戦線 #獣人世界大戦 #第二戦線 #人民租界 #有頂天道人 #プレイング〆

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 とある施設の中。
 至る所に冷たい光沢を纏う機械が眠り、使いこなす主の命を待っている。

 すこし広まった円形の大部屋に、そのせりあがった中央にある機械の椅子の上に膝を組んで座り眼下を睥睨する者が1人。

「忌まわしい猟兵どもめ…どこまでも俺の邪魔をする…」

 その言葉に、殺気に呼応するように、部屋全体の機械がガシャガシャと鋼の体を打ち鳴らす。
 ここは、有頂天道人のテリトリー。
 ここにある機械は全て、思うままに動かすことができる殺戮兵器。
 今の状況、まだ余裕を残したこの状況でこの手駒を切ってまで、早くに敗北の目を潰す。

 彼の聡明な頭脳がそうすべきだと告げた。
 彼の目的の為に、最大の不安分子への牽制を。
 その機械の片腕を持ち上げれば、ギギギと呼応する機械の山がまるで首の長い蛇龍のように一塊となり意思に応える。
 無造作に積まれた機械の山が、想像を絶する大きさの大蛇がとぐろを巻いているようにすら見える。
 電気の落ちた暗い室内で、彼の機瞳が怪しく光る──。

「戦争の、新たな情報を予知しました。」

 見渡すように希雪(呪いの克服者・f41587)が告げる。

「今回は…今回も、有頂天道人関連です。」

 最近は何度も有頂天道人の|夢《予知》を見る。これで3度目だ。
 相手が想像を絶する力を持つ武人である為、間接的な精神攻撃とかは無いためいつもより負担が軽いのだが──こう何度も予知をすると、その強大さがよく分かる。

「今回は、とある施設の中──彼の体を改造した場所かどうかは分かりませんが、そこで有頂天道人と戦うことになります。が──」

 ここで、含みのある沈黙が挟まる。
 その光景は、希雪のとって全くの馴染みがないものだったから。

「詳しいことは分かりませんが、彼はそこにある機械…を思うがままに操れるみたいです。おそらく、彼の体が機械化義体であることに関係していると思うのですが…」

 希雪は機械が全くと言って良いほどわからない。
 だから、他のものの手を借りた。

「|氷海《妹弟子》が言うには、「機械化義体の脳を施設全体の制御システムに同調させ、さらに改造を施すことで殺意をものすごく上昇させた」ものらしいです。」

 驚くことにそのシステムは猟兵にすら脅威と言えるほどに緻密で悪意に満ちたものだったそうだが、今回はそれが正面からぶつけられる。
 不可視の焼却光線、雨のように降り注ぐ銃弾、圧殺に足る重みを持つウインチ、そして高速回転する機械の刃。
 有頂天道人本体だけではなくその周辺環境にも気を配らなければならない非常に危険度の高い戦いになることは言うまでもない。

「でも、対処方法は単純らしいです。機械は一度破壊すれば2度と動きませんし、強力な電磁波でも当てれば短時間だけですが制御不全に陥る…それらを操るのに相当な負荷が掛かっているようなので、本体の機械化脳の演算速度も落ちている…と。」

 途中から、メモを取り出して続きを読んでいる。
 間違った情報が送られるよりかはマシだが、それでも何か「うーん」と思いたくなる。
 なんならその|氷海《妹弟子》とやらを連れてきた方が良いのでは、とも思えるがひとまずは何も言わずに話を聞いておこう。

「言うまでもないですが、単純に強いので機械を破壊しても油断しないようにしてください。」

 ここまで言い終わったところで、ふぅと一息ついてくるりと振り返る。
 そして両腕を大きく広げ、そこから白い霧が立ち込めていく。

「それでは、|門《ゲート》を開きます。行き先は、獣人戦線──」

 希雪の背後から、ザッと地面を踏み締める心強い音が聞こえる。
 今回も、信頼できる仲間達が、絶対に無事にこなしてくれる。
 だから──。

「みなさん、ご武運を──!」

 任せろ、と霧に入ってゆく。
 行き先は黒──冷たい色。
 いざ、有頂天道人を倒しに!


カスミ
 獣人戦線、第二戦線もいい感じに完結して行っているようで何よりです。
 しばらく私の有頂天道人狩りに付き合ってくださいね──。
 武人キャラって、戦闘描写がかっこよくて描きやすいよね。
 …と私情はここら辺にしておいて、シナリオの説明に移りますね。

●第一章:「有頂天道人」を撃破せよ!
 機械に満ちる施設内に現れた有頂天道人。
 今回の彼は特に「サイバー化」した半身を用いた攻撃を多用するようです。
 それに、周囲にある機械を操り繰り出されるいくつもの攻撃にも対処しながら、正面から有頂天道人をぶっ飛ばしましょう!

 プレイングボーナス:「サイバー化」から放たれる強靭な飽和攻撃に対処する。
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第1章 ボス戦 『有頂天道人』

POW   :    サイバネ殺法 undefined cyberne
【機械化義体でカンフー技】を放ち、命中した敵を【undefined】に包み継続ダメージを与える。自身が【中国拳法の構えを】していると威力アップ。
SPD   :    サイバー渾沌拳 undefined kungfu
【サイバー化した肉体】と【渾沌化した肉体】を組み合わせた独自の技能「【サイバー渾沌拳】」を使用する。技能レベルは「自分のレベル×10」。
WIZ   :    渾沌波動弾 undefined aura
レベル秒間、毎秒1回づつ、着弾地点から半径1m以内の全てを消滅させる【undefined】を放つ。発動後は中止不能。

イラスト:松宗ヨウ

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

神酒坂・恭二郎
こいつは厄介な事になってるね
タダでアトラクションを遊ばせてもらえるとは嬉しいこった
軽口は叩くが、中々に剣呑だ

刀を鞘に納め、その場で軽く跳躍し勝負と行こう
今回は周囲全てが敵みたいなもんだ、身軽く行く

「宇宙功夫」を駆使し、香港映画のワンシーンのように迫る銃弾や熱戦、圧殺ウィンチに機械刃を回避する。宇宙功夫は宇宙の功夫ってなもんだ【見切り、功夫】
これと同時に、有頂天道人の相手もある。だが、この渾沌とした状況は俺も得意だ。地形を利用、つまりここのギミックを逆用して立ち回る

「さて、ここが勝負だ」
待つのは、焦れた奴が渾沌化の力を用いる一瞬
そこを突いて居合の一撃を狙う【カウンター、早業、居合、切断】


天城・潤
サイバー化ですか
説明は傾聴しましたが
僕は異世界育ちで
正確に理解したとは言えないかもです

それでも出来る事はありますから
世界を護る為赴きます

猟兵に目覚め得た最初のUCを大切にしていますが
これ、機械には特に良く効くらしいですよね

恐るべき攻撃は
「着弾範囲に居なければ無いのと同じです!」
全力で躱し避けやり過ごしてから
サイキックブラストを発動

本体も機械も…ほら動けない
こうなれば僕の刃でも容易く機械は壊せますよ

その上ずっと電撃に晒され端から壊れてますね
更に刺し突き抉り全力で破壊を
UCは減衰したら即掛け直します
「逃げられないのは残念ですね」

奥に籠るのは所謂『死亡フラグ』ですしね
敵の断末魔は僕には勝利の調べです


鳳凰院・ひりょ
奴とは以前に交戦したが、とても一人で倒せるような相手じゃなかった
力量の差は歴然、だけど…俺達は一人で戦ってるんじゃない
俺は削れるだけ奴の力を削ってやる!

護符を体に貼り付けUC発動
強化する戦闘能力は「電磁波を体に纏う」事、後は可能なら「自己再生能力の向上」といった所か
電磁波を身に纏う事で俺の攻撃は電磁波を帯びたものに変わる
護符で周囲の機械を破壊し、戦力低下を狙おう
接近戦で殴られようと、俺の体は電磁波を帯びているから奴の体のサイバー部分に干渉する事も出来るかもしれない

唯一奴の放ってくる波動弾が懸念材料だが、残像で何とか回避しよう
知ってるか?真の勝利者ってのはな、最後に立ってた奴の事を言うんだよ!



機械に埋もれた施設の中に、そぐわない白が湧き出し煙る。
それは物質に効果を及ぼすものではない。見かけだけのグリモアの力。
立ち込める霧の中から、3つの影がゆっくりと現れる──

「こいつは厄介なことになってるね。」

神酒坂・恭二郎(スペース剣豪・f09970)はゆるりと周囲を見渡しその顔を少し険しくする。
もう何度も有頂天道人と戦っている。そんな彼だからこそ、有頂天道人のテリトリーとも言えるこの施設の中では、一瞬たりとも気を緩めることはできない。
有頂天道人は武人だが、それ以前に、自らの目的を果たそうとする野心家なのだから。

「同感ですね。サイバー化、ですか──」

天城・潤(未だ御しきれぬ力持て征く・f08073)はそれに答え、同様に警戒を強めていく。
説明は傾聴したものの、異世界育ちの潤としては正確に理解できたわけではない。
潤にとっては未だ未知の存在に囲まれている現状は、最大限の警戒に足る動機だろう。

「奴とは以前に交戦したが、とても1人で倒せるような相手じゃなかった。気を引き締めていくぞ!」

鳳凰院・ひりょ(天然系精霊術使いの腹ぺこ聖者・f27864)は自らの経験と照らし合わせながら、危機感を募らせる。
力量の差は歴然。それはわかっている。
だけど…俺達は1人で戦っているんじゃない。
自分ができることを、最大限に──削れるだけ奴の力を削ってやる!
単騎での戦闘能力にあまり自信を持っていないひりょだからこその考え。適材適所、これまでの人生で嫌と言うほど学んだこの4文字が先を照らしてくれる。

三者三様、しかし皆同様に、最大限の警戒を有頂天道人へと注いでいる。
それだけの相手。
不足など、あろうものか。
自らの力を全て出し切って、打ち倒してやろうじゃないか!

円形の大部屋に、一歩、足を踏み出す。

「よく来たな、第六の猟兵共よ。」

部屋の中央で競り上がった大量の|機械《ガラクタ》の椅子に腰をかけながら、尊大な態度で相手をする、有頂天道人の姿。
じゃらり、と金属の蠢く音がそこかしこから聞こえてくる。

「おぉ、お前さんよ、タダでアトラクションを遊ばせてもらえるとは嬉しいこった。」

恭二郎は軽口を叩くが、しかしピリリとした剣呑な雰囲気を纏っている。

「舐めたことを言ってくれるものだな。」

潤はただ真剣に、その精神を研ぎ澄ます。
心に一つの剣を宿して、ただ有頂天道人を見据えるのみ。
ひりょもまた、チリチリとした猛者達の空気感を肌で感じながら、周囲への警戒を強めていく。

緊迫した時間。
それは僅か数瞬か、それとも永遠か。
引き伸ばされた時間の中、戦いの火蓋は切って落とされた。

「ここまで来てみろ、猟兵──!!」

機械の駆動音、金属と金属が打ち合う破壊音。
それに対し恭二郎は刀を鞘に納め、その場で軽く跳躍する。
小さく浮いた軸足が地に接した瞬間──ダン、と踏み込んで爆発的な瞬間加速。
そのままの勢いで全方位から迫り来る銃弾や熱戦、圧殺ウィンチに機械刃を回避する。それはさながら香港映画のワンシーンのように。
有頂天道人の扱う功夫とは似て非なる「宇宙功夫」を駆使してその身を躍動させていく。
こんな混沌とした戦場。向こうの得意な戦場みたいだが──
生憎、この状況は俺も得意だ。
自らを押し潰そうと落ちてくるウィンチを軽く避け、側面を蹴って加速する。
さて、勝負はここからだ。

潤は静かに、その手を握りしめる。
ふー、と大きく息を吐き出し、その猛威が潤の身体を捉える瞬間、その体がブレるように瞬間的に動き出し、紙一重で迫り来る機械群を避けていく。
恐るべき攻撃なんて──

「着弾地点にいなければ無いのと同じです!」

余裕なんてないものの、それでも当たるわけにはいかない。
全力で躱し避けやり過ごした後に、一瞬の停滞が訪れる。
空間全てを掌握されたとして、それが一点に向かってしまえば、そしてそれが対処されれば訪れるのは束の間の安全。
決して長い時間ではないものの──

「これ、機械には特によく効くらしいですよね。」

その両掌にはバチバチと鋭く光る電流の力が溜められ、それが今、放たれる。
バチバチィ! ブツッ──
駆け巡る電撃は周辺の機械をショートさせ、その動きを停止させる。

「本体も機械も…ほら動けない。」

こうなれば、僕の力でも容易く機械は壊せます。
ほら、この通り。

潤の持つその剣を振ればそこらにある機械は固い金属音と共に容易く両断される。
そしてできたのは、有頂天道人へとつながる一本道。
「逃げられないのは残念ですね。」

ひりょは護符を素早く体に貼り付け、精霊達に力を借りる。
自分1人の力では、この場所でまともにやり合えないとわかっているから。
過信せず、自らができる最大限を。
それは約束された勝利をもたらすような輝かしいものでは到底ないが、一歩一歩、それに進んでいく確実な道だ。
精霊の力を、光として纏う。
電磁波を体に纏い、自己再生能力が上昇する。
雷属性の精霊の力を纏ったことにより多少体が軽くなったような気もする。
これなら──!

振り下ろされ、叩きつけられ、連射される明確な死の具現に、避け、相殺しつつも真っ向から立ち向かっていく。
その手から放たれる護符は的確に機械に命中し、纏った電磁波が伝播し次々と黒煙を上げていく。
少しずつ、有頂天道人のフィールドが塗り替えされていく。

機械を避け、斬り裂き、壊した3人の目の前に、光の線のように映る安全なルート。椅子に鎮座する有頂天道人へとつながる、僅か一瞬の最短ルート。
それを見逃す彼らではない。

「さて、ここが勝負だ」
「貴方も痺れて大変でしょう。僕が楽にしてあげますね。」
「覚悟しろ、有頂天──!!」

その身を躍動させながら、剣を手に舞いながら、精霊の力、電磁波を纏いながら、やっと見つけたその道へと駆け出してゆく。
有頂天道人はそれに対し構えをとるが、しかしその動きはいつもの彼と比べるべくもない緩慢なもの。
思考の乱れは武術の乱れ。そんな言葉があるように、研ぎ澄まされた心身が合わさってこその武術なのだから。

それでも、「混沌化」の力を使いその触手が3人を迎え撃ち──

しかしその触手が届くことはなかった。
神速の居合がその白き半身を貫き切り刻み。
強力な電撃と流れるような剣技がその体を切り刻み焼き焦がし。
精霊力をギリギリまで込められた護符が絶大な衝撃を与え吹き飛ばした。

「知ってるか?真の勝利者ってのはな、最後に立ってた奴の事を言うんだよ!」

舞い上がる血の雨が冷たい機械を赤黒く染め上げ、その熱を奪う。
だが──有頂天道人の瞳は“死んでいない”
血を吐き、痺れる体を強引に動かしながら、獰猛なるその瞳を殺気に滾らせ吠える。
まだ、戦いは続く──

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

紫・藍
あやー、ステージギミックには慣れたもの、踊るように機械をかわして魅せてる藍ちゃんくんでっすがー。
機械化義体の脳を施設全体の制御システムに同調してるということは!
道人さんの精神状態に機械は影響を受けると!
でしたらええ!
歌うのでっす!
演算速度の低下で鈍ってらっしゃるカンフー技を機械を盾にしたり、機械に巻き込まれないようにする相手の動きを読んだり、青い鳥の幸福も込でなんとかしのいで時間を稼ぎつつ!
戦意も!
悪意も!
殺意さえも吹き飛ばす歌を!
今はただこの歌を聞いていたいと思わせる歌を道人さんにお届けするのでっす!
お気に召していただけたのなら、機械の皆様、攻撃ではなくどうか拍手を!
藍ちゃんくんでっすよー!


バルタン・ノーヴェ
ビームに実弾、プレスにブレード!
サイバネパーツの卸売市場のようデスネ!
まるでテーマパークに来たみたいデース!
それでは、ワタシが有効活用させていただきマース!

滑走靴で機械の山を駆け回り、配線を切断!
殺戮兵器と有頂天道人の接続を物理的に放し、制御を無くした設備に我輩のUSBを接続しマース!
サイバーリンクシステム発動! これよりハックしマース!

有頂天道人が用意してくれたマシンが、ワタシたちの力になる訳デース!
椅子に座す彼と室内を駆け回るワタシでは、制圧速度にも差がありマース!
じわじわと侵食して制御を奪い、全方位とはではいかずとも半包囲した辺りでガンガンアタック!
飽和攻撃をお返ししマース!
ヒャッハー!


鳴上・冬季
「虎狩りは続く、ですか。それは素晴らしい」
嗤う

「これでもなるべく同じことを続けないよう注意しているのですよ。…七尾転仙」

七尾の雷狐と化して
物理攻撃無効
通電物質内移動の能力を得て敵施設へ

先に施設内の金属等通電物質内を雷鳴電撃放ちながら駆け巡り施設全体のシステムダウン図る

「私一人楽をしては他の方に申し訳ないでしょう?潰せる機械を全て潰しておけば、他の方も虎だけに注力出来ます」
嗤う

システムを潰したら悠々と虎の元へ
「私は異界の幻朧帝国に住む仙です。貴方と私はある意味近い。なればこそ…貴方はサイバー化するべきではなかった」
雷狐のまま仙術+功夫で縮地
虎のサイバー部分から体内に入り込み雷鳴電撃で焼き尽くす


グラン・ボーン
サイバー化か
(強さを求めて肉体を改造する
 良いと思う
 どんな手段を使おうが強ければ良い
 銃、魔法、キャバリア、呪い・・・自分の持っている全てを出して戦う
 戦いはそういうものだ
だから、こちらも改造した拳で戦う
最初は巻き藁を叩き、木を叩き、岩を叩き、鉄を叩いた
拳の皮がめくれ、肉が潰れ、骨が見えた
傷がふさがると拳は以前より強靭になる
そんなことを繰り返して改造した拳だ
サイバー化した拳や、電脳で強化された神経回路にも敗けるつもりは無い

「多対一だが、卑怯とは言わないよな」
多対一という状況に陥ったのは有頂天の弱さだ
それでも良い戦いをしてるのは彼の強さだが、そろそろおしまいにしよう

全力の拳を叩きつける



徐々に形勢が傾きつつある戦場。
しかし有頂天道人の地力は強く、与えた電撃や電磁波の影響も自動的に修復されじきに収まってゆく。
破壊された機械など、それを埋め尽くすほどの機会がどこかから大量に雪崩れ込み、際限なく補充されてゆくような感覚にも陥るだろう。

そんな中、また新たに4人の猟兵が霧の中から姿を現す。

「あやー、ここは機械の楽園みたいでっすねー。」

紫・藍(変革を歌い、終焉に笑え、愚か姫・f01052)は周囲を見渡して楽しそうにそう呟く。
そして、どこかからマイクを取り出して、一言。

「さて、この藍ちゃんくんが華麗に一曲お届けして差し上げるのでっす!」

その声は機械に埋もれたこの施設全体に響き渡り──観客は極小数。スペシャルライブを始める準備を整えていく。


「ビームに実弾、プレスにブレード! サイバネパーツの卸売市場のようデスネ!」

同じように周囲を見渡し、興奮しながらそう叫ぶのはバルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)。
こんな大量の機械──もといサイバネパーツひしめく戦場は、もはや彼女のホームとすら言える程に。

「まるでテーマパークに来たみたいデース! それでは、ワタシが全て!余すことなく有効活用させていただきマース!!」

そしてその滑走靴で、滑るように駆け出していった。


「虎狩りは続く、ですか。それは素晴らしい。」

鳴上・冬季(野狐上がりの妖仙・f32734)はそう静かに呟き、その気持ちを隠すでもなく嗤っている。
決して簡単な相手ではないが、だからこそ、楽しめるのだ。
それを考えればこの戦争は、戦い甲斐のある強敵がより取り見取り、これは嗤ってしまうのもしょうがないというものなのだ。
迫り来る殺戮機械群をひらりと躱しながら、タン、と軽く跳ねれば、その姿は変化する。

「これでもなるべく同じことを続けないよう注意しているのですよ。
……七尾転仙。」

その身は七尾の雷狐と化して、ふわりと跳ねるように駆けていく。


「サイバー化か。」

それだけ言い放ち、己の肉体を武器とし、ズン、と一歩前に出るのはグラン・ボーン(巨人の巨人拳伝承者・f34134)だ。
グランからすると、別にサイバー化の力を頼って強くなるのは別に構わない。
どんな手法を使おうが、それが強ければその全てが認められるべきだと考えている。
銃、魔法、キャバリア、呪い……自分の持っている全てを出して戦う。
戦いとはそういうものだから。

だから、グランの長い人生の中で、そして濃密な修行の日々の中で少しずつ“改造”した拳で戦う。
最初は巻き藁を叩き、次は木を叩き、岩を叩き、鉄を叩いた。
拳の皮がめくれ、肉が潰れ、骨が砕け、それでも毎日毎日叩き続けた。
傷はだんだんと塞がり、拳は以前より強靭になる。
長い長い年月をかけてそんなことを繰り返し、自ら改造した拳だ。
サイバー化した拳や、電脳で強化された神経回路にも負ける気はさらさらない。

そこらの機械など、拳を振るえばまとめてスクラップになるような圧倒的で純粋な力。多少切り裂かれようがそれをもろともしない強靭な皮膚と骨肉。
原始的で単純で、わかりやすい強さの一つだ。
それらを振るい、嵐のように機械を弾き飛ばしながら一歩一歩距離を詰めるのは、有頂天道人の方向だった。


「あやー、ステージギミックには慣れたもの、踊るように機械をかわして魅せてる藍ちゃんくんでっすがー。」

そろそろスペシャルライブの準備ができてきた藍は、跳ねるようにひらりと圧殺ウィンチを躱し、マイクを手に取る。

機械化義体の脳を施設全体の制御システムに同調してるということは!
道人さんの精神状態に機械は影響を受けると!
でしたらええ!
歌うのでっす!

圧倒的にまで見える有頂天道人と、それを取り巻く機械の山。切り崩すにもその武は高く、武を以て対抗しようにもその質量は如何ともし難く。
しかし、弱点が無い訳ではない。
システムのその全てが有頂天道人によって支配されているということは、つまりその精神から余裕や殺気、戦意のようなものを失わせれば自然にその動きは鈍くなるということ。

藍はなんとか機械や周囲の猟兵の力を借りつつも時間を稼いで、最後の一手を刻まんとする。

「戦意も! 悪意も! 殺意さえも吹き飛ばす歌を!」

今はただ、この歌を聴いていたいと思わせる歌を道人さんにお届けするのでっす!!

「お気に召していただけたのなら、機械の皆様、攻撃ではなくどうか拍手を!」

戦場に、旋律が響く。
その旋律は、激しく、そして静かに、不思議と心に染み入るメロディーを奏でる。
そしてその旋律の上に歌うのは、藍だ。
その歌声は施設全体に響き渡り、その振動は心を震わせ、大きな青い翼を背に、舞い踊るように戦場を巡る。
こんなスペシャルライブに、機械がぶつかる嫌な金属音なんて、肉を裂き血飛沫のあがる生臭い音なんて、ふさわしくないだろう?
部屋の中央にただ鎮座する有頂天道人の耳にも当然その振動は侵入し、心を侵略し、藍色に染め上げていく。
それはさながら伝染性の病のように。

歌は終わらない。
曲を変え、声色を変えつつも、終わらない。
だって、そうでしょう?
ここにいる|機械《ファン》達はまだまだ聞きたがっているのだから。

「さぁ、皆様、盛大な拍手を!! 藍ちゃんくんでっすよー!!」


そんな歌を聴きながら、戦場を滑るように駆け回っているノーヴェは数多くの機械に触れてゆく。
流れるような手際でその配線を切断し、殺戮兵器と有頂天道人の接続を物理的に隔離する。
制御を無くした機械がそのままフリーズするというわけではないものの、命令を出す上位者の居ない機械など、ただのガラクタに過ぎないのだから。

「ならば、我輩がその上位者になって差し上げマショー!」

ノーヴェは次々と制御の無くしたガラクタにUSBを接続していく。

「サイバーリンクシステム発動! これよりハックしマース!!」

堂々としたハッキング宣言。
しかしこれを妨げることはできない。
対抗しようにも命令はもう届かない。
それに何より、有頂天道人の付け焼き刃なサイバネ技術では、バルタン・ノーヴェというその道に熟達した猟兵に敵うはずもない。
最悪のケースでは、有頂天道人自身の電脳回路さえもハックされてしまう可能性も秘めている為、手を出さない方が吉、なのだ。吉、なのだが──

「有頂天道人が用意してくれたマシンが、ワタシたちの力になる訳デース!」

こちらのリソースは削られ、あちらのリソースはその分増加していく。
これでは遠くない時間で逆転され、攻撃に機械を使う暇がなくなってしまう。
早急に阻止したいのだが、ノーヴェはそれを許さない。
そもそも、椅子に座す有頂天道人と、室内を駆け回るノーヴェでは制圧速度にも差があるのは自明。
じわじわと戦力図が書き換えられていく感覚を前に、その瞳は冷たく光る。
まだ、この場にある機械だけを換算したとしても3割も奪われていない。
取り返しがつかなくなる前に、潰す──

ノーヴェを襲う殺戮機械の数が増え、その軌道は鋭くなってゆく。

「オット! これは危ないデスネ、有頂天道人!」

でもそれだけ、向こうに余裕が無いと言うことでもありマース!
この数でも、寄せれば飽和攻撃は十分可能!

「奪った機械、そっくりそのままお返ししマース!! ヒャッハー!!」

有頂天道人を銃弾が襲い、プレスし、刃が切り裂かんとする。
それに椅子から立ち上がることなく上半身のみで対処する姿は称賛に値するが、それももはや限界だろう。
無理のある姿勢、プレスにはもうすでに若干押し負けている。白き半身により手数は並ぶが、それもどうなるかわからない。
また今も、冷たい刃がその頬を掠めた。

「まだまだ行きマスヨ!! 覚悟して下さい、有頂天道人!!」


七尾の雷狐と化した冬季は、その体に雷光を纏って跳ね回るように戦場を舞う。
その体に物理攻撃は効かない。
雷狐は凝縮された電気の塊。
通電物質の中なら問題なく通過することすらできる。
故に──機械など無視できる。警戒すべきは有頂天道人本体の力だが──

虎狩りも魅力的だが、先に施設内のシステムダウンを狙う。

「私一人楽をしては他の方に申し訳ないでしょう?潰せる機械を全て潰しておけば、他の方も虎だけに注力できます。」

適材適所、という言葉がある。
この場合、機械の影響を全く受けず、機械を一撃で短時間でも機能不全に陥らせることのできる冬季はまさにその言葉に当てはまるだろう。
尤も、対有頂天道人としても苦手というわけは微塵もなく、どちらかというと、ある理由で得意な方なのだが──

雷狐は跳ね、電撃は舞う。
バチバチと電撃が機械を蹂躙し、そのディスプレイから光を奪う。
攻撃を気にすることなく通り過ぎるだけで、後に残るのはブラックダウンした機械の残骸のみ。
自己修復機能で少し経てば復旧するだろうが、その少しの時間があまりにも大きいのだ。

システムを粗方潰し終わったのを確認し、悠々と|虎《有頂天道人》の下へ向かう。
既に大きなダメージを何度か受けているようだが、その瞳は未だ死んでいない。
機械の瞳だというのに、その奥に潜む野心と殺意は隠し切れるものでもない。
白き半身による波状攻撃をいなしながら、語りかける・

「私は異界の幻朧帝国に住む仙です。貴方と私はある意味近い。
なればこそ…貴方はサイバー化するべきではなかった。」

サイバー化は確かに強い。
ただの人体、いや獣体からは考えられぬほどの力、速さ、そして持久力を与え、さらにエネルギーの供給や電脳補助までついてくる。
まともに正面から戦うとなれば苦戦必至の強力な力。

だが、そこには大きな弱点がついてくる。
それは機械特有の、「電撃耐性の低さ」と「攻撃が物理的なものに偏る」ことだ。
後者に関してはレーザーなど強力な光を射出したり、火炎放射などがあるため一概にそうとは言えないが、バリエーションが減るのは事実。
そして前者だが、これが致命的だ。
その弱点を背負ってまで、サイバー化をするべきかどうかを考えるならば、時と場合によるとしか答えられないが、少なくとも今は、完全に裏目に出ていると言える。

「終わらせましょう。」

静かにそう告げると、その姿がブレるように消える。
縮地──一瞬の隙に距離を詰め、サイバー化部分から有頂天道人の体内に入り込む。
こうなると、もう有頂天道人にはどうしようもない。
ただその身を貫く圧倒的な電撃に、歯を食いしばり耐えることを試みることしかできなかった。

冬季渾身の攻撃が終わり、その仙力も残り少なくなってきた頃。
全身を感電させ、黒く焦げ、全身から白煙を上げる有頂天道人の姿。
だが、まだ生きている。
混沌化の白き半身が、生命維持と戦闘に必要な臓器をかろうじて守り切ったのだ。
その瞳からは未だ光が失われていない。


そこに現れるのは、巨体。
5.5m上から倒れた有頂天道人を見下ろすのは、グランだ。

「多対一だが、卑怯とは言わないよな。」

多対一という状況に陥ったのは有頂天の弱さだ。
これほどまでの猛者に囲まれ、その攻撃を一身に受け続けたというのにまだ生きているのは彼の強さだが、そろそろおしまいにしよう。

「一撃で、骸の海に還してやる。」

何度も拳を叩き込まないのはせめてもの慈悲か、武人の矜持か。
巨人拳の強靭な巨拳が、その剛腕から繰り出される。
掌を固め、拳を作り、肩の力を腕に伝え、全力でその拳を振り下ろす──!

機械がひしゃげた音と、何かがショートしたような音と、湿った不快な音が同時に聞こえた。
拳を上げ見てみれば、そこには有頂天道人“だったもの”。
周囲を見れば、猟兵たちが派手に壊し、利用した兵器の山。
背後を振り返れば、カツ、カツと歩み寄る|希雪《グリモア猟兵》の姿。

「みなさん、お疲れ様でした。では、帰りましょう。」

この激しい戦いは、幕を下ろしたのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年05月14日


挿絵イラスト