獣人世界大戦⑬〜ただ混沌として
荒野の中央に、不自然な白い沼が広がっている。
その中央には目を閉じて鎮座する有頂天道人の姿。
彼の白き半身が流動するように揺れ動くと、それに呼応し白い沼にざわめきが走る。
神経を研ぎ澄まし、自らの|舞台《フィールド》を整えて待つのは、第六の猟兵達。
連日各地てボコられて──いや、その企みを阻止されて。
結局どこにいてもなぜか襲われるのだから、それならばと準備を整えて待ち構えることにしたのだった。
ここで邪魔な猟兵共の戦力を削ぐ──その閉じられた瞳に殺気を宿して。
「戦争について──有頂天道人についての新しい情報です。」
白い翼を広げながら、皆の前でグリモア猟兵の白霧・希雪(呪いの克服者・f41587)は静かに声をかける。
「今回は、えぇと、地図のこの辺りで有頂天道人が待ち構えているので、倒してきてください。」
有頂天道人に関わる連日の予知。手を抜くわけではないが、すこし疲弊して説明が簡潔になってきた希雪の話が続く。
「彼は…今回はその「混沌化」の力を十全に活用し切るために準備をしてきたみたいです。」
目を閉じて、希雪の脳内に映し出されるのは、禍々しい混沌に包まれた白き沼の姿。
猟兵が踏み入れば流動しながら足を奪い、有頂天道人の思うがままに操れるバトルフィールド。これ以上ないほどに向こうが有利だということは言うまでもない。
「まともに戦えば苦戦は必至…どころかどうやって倒せと、というくらいの理不尽な戦場ですが、一応いくつか対抗策はあります。」
一部の猟兵ならばこの条件下でもあまり変わらずに戦闘を続けられそうだな…と頭の中で何人かを思い浮かべながら、対抗策を話す。
「まず一つ、白き沼を消し飛ばすほどの高威力攻撃を仕掛けること。有頂天道人には当てられなくとも一面に広がる沼に当てるのは簡単なはず。無理やり混沌を接続している彼の精神面にもダメージを与えられるかもしれません。」
流石にリスク無しではこれほどの力を運用できないのだろう。混沌化を同調させているのは彼の強靭な精神だ。
無理やり引き剥がすことは大きなダメージに繋がるだろう。
また、逆に精神へ攻撃することで同調を断ち切ることができるかもしれない。
「そして一つ、白き沼を思うがままに操れると言っても、手足のように操れるまでには熟達していないようです。それでも大きな脅威ですが──攻撃はいつものような鋭さがありません。反面、多彩且つ|不明瞭《undefined》ですが。攻撃が捌けるのなら、自ずとチャンスは生まれるはず。沼の操作に偏った思考の隙をついて本体へと攻撃を加えましょう。」
彼の本分は功夫による接近戦だ。強さに貪欲であるため多様な武術を取り込みもはや功夫とは言えないかもしれないが、それでも白い沼を操る武術など知らないだろう。
鋭さと奥深さの失われた攻撃なんて、いくら不明瞭であろうとも猟兵ならば捌けるだろう。無理なく、とは言わないが。
「油断はしないでください。彼もまた、成長を重ねる存在なのですから──」
話は終わったらしい。
いつものように振り返り、両腕と翼を大きく広げる。
「|門《ゲート》を開きます。行き先は、獣人戦線──」
その奥に見えるのは、蠢く白──。
だが、今更臆していられない。
力強く、その足を前に進める。
「それでは、ご武運を──」
カスミ
獣人戦争、第二戦線もMSの皆様、PLの皆様の手によって次々に攻略されているようですね。
ですがまだ目標には遠く。ここでしっかりと有頂天道人に勝利し、私たちの平和を取り戻しましょう!
と言ったところでシナリオの説明に移りますね。
獣人戦線、戦争シナリオとなっております。
なので、一章完結の短いシナリオとなっております。
●第一章:「有頂天道人」を撃破せよ!
白き沼の中央に鎮座する有頂天道人。
今回の彼は「混沌化」に特化した攻撃を多用するようです。
「白き天使の翼・白きおぞましき触手・白き無貌の牛頭・白き殺戮する刃」などの攻撃が、有頂天道人と、白き沼の両方から放たれて猟兵の命を刈り取らんとしています。しっかり対処していきましょう!
プレイングボーナス:「混沌化」から放たれる予測不能の不意打ちに対処する
第1章 ボス戦
『有頂天道人』
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POW : サイバネ殺法 undefined cyberne
【機械化義体でカンフー技】を放ち、命中した敵を【undefined】に包み継続ダメージを与える。自身が【中国拳法の構えを】していると威力アップ。
SPD : サイバー渾沌拳 undefined kungfu
【サイバー化した肉体】と【渾沌化した肉体】を組み合わせた独自の技能「【サイバー渾沌拳】」を使用する。技能レベルは「自分のレベル×10」。
WIZ : 渾沌波動弾 undefined aura
レベル秒間、毎秒1回づつ、着弾地点から半径1m以内の全てを消滅させる【undefined】を放つ。発動後は中止不能。
イラスト:松宗ヨウ
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
神酒坂・恭二郎
大した力だ。戦場その物を支配するとは参ったね
これだけの所業。どれだけの負担を背負っているか、想像もつかない
だが、と天に風桜子を籠めた切っ先を向け、天翔ける天脈と気を通じる事で、風桜子を高次元にまで練り上げる【竜脈使い】
「神酒坂風桜子一刀流……滝祭」
白き沼に刀を振り下ろす。帯びた風桜子の刃が大きく、澄み切って伸びる一閃を放ち、良く分らない渾沌化の力を断ち切り、純粋な剣の勝負に持って行きたい【覇気、破魔、衝撃波、武器の巨大化】
「お前さんの技と覚悟を、甘く見る気は無いんでね」
機械化機体のカンフーを侮らず見極めて、居合の業で奴を仕留めよう【見切り、カウンター、居合、早業、切断】
鳴上・冬季
「沼ごと消し飛ばす…素晴らしい依頼ですね」
嗤う
「たまにはそういう依頼を受けたいと思っていたところです。…制圧せよ、黄巾力士」
黄巾力士にオーラ防御しながら空中から敵に制圧射撃し長く行動阻害し続けるよう命じ
自分は風火輪で飛行しながら沼よりも五百mほど広い、沼が全て入る円陣描く
ショートカット出来る部分は仙術+功夫で縮地(短距離転移)する
「それでは沼ごと消し飛ぶがいい。…八卦天雷陣・万象落魂」
黄巾力士には最後まで制圧射撃させ続けるので黄巾力士ごと敵を吹き飛ばす
「黄巾力士は宝貝で道具です。貴方を吹き飛ばすために最高の働きをしましたとも。貴方とて、師父のためにここで果てるなら悔いがないのでしょう?」
嗤う
夜刀神・鏡介
ま、基本的に諦めないってのは大切だよな。倒されても骸の海から蘇ることができるオブリビオンなら尚更だ
もっとも、諦めないのはこちらも同じだが
改めて神刀の封印を解き、神気を纏う……沼に足を取られるのはそれこそ致命的なので、脚の方に集中させて足回りを確保(神脚【無依】の効果)
もっとも、これでもある程度マシになる程度。普段通りとはいかないが……
澪式・捌の型【炎舞】の構えで敵と相対
足回りが悪いので本来であれば受け切るのが厳しいだろうが、とはいえ相手も攻撃のキレが落ちている
集中して防御を重視していけば、不意打ちも含めてどうにか凌げる
積極的な攻撃はできないが、カウンターで少しずつダメージを積み重ねる
バルタン・ノーヴェ
ドーモ! お疲れ様デース、希雪殿!
それでは奮いマース!
何とも汚い白い沼でありますな……埋め立てておきたい気分デース。
と言う訳で区画整理を始めマショー!
「六式武装展開、鉄の番!」
渾沌だろうと液体だろうと、地形を粉砕して吹き飛ばせば消失しマース!
圧倒的なパワーでチェインハンマーを連続で叩きつけて、沼を端から破壊して行きマース!
ドガンドガンと消し飛ばして突き進み、有頂天道人に接近すれば予測不能の不意打ちに備えて火炎放射器を掃射しマース!
如何なる白も、炎の壁を越えてくる時には揺らぎが見えるもの。
その変化にカウンターハンマーをぶつけるストロングスタイルであります!
ワタシたちの戦力も、日進月歩であります!
ただ白く、ただ混沌として。
うねうねと、いや、ぐにゅぐにゅと、強い粘性を持ち絶えず胎動する「生きた沼」。
その中央にかがみ込み、沼に右腕を浸して波紋を形作る存在がいる。
有頂天道人。
彼は霧の向こうからやってくる猟兵達の姿を見るや、その瞳に蒼と金の輝きを灯す。
それは引き込まれるように美しく、そして見るものを怯えさせる獰猛さに満ちていた。
「大した力だ。戦場そのものを支配するとは参ったね。これだけの所業。どれだけの負担を背負っているか、想像もつかない。」
彼を見た、神酒坂・恭次郎(スペース剣豪・f09970)の言葉だ。
ゆうに戦場一つとも言える、直径50mほどの大沼を操る有頂天道人は、見立てどうりかなりの負荷を背負っているのだろう。
それでも、あの獰猛な目。今の彼にどれだけの戦闘力が残っているのかは、推し量ることは難しかった。
「沼ごと消し飛ばす…素晴らしい依頼ですね。」
口端を歪め、嗤いながら答えたのは鳴上・冬季(野狐上がりの妖仙・f32734)。
黄巾力士という機械の兵を空中へ待機させ、その青い瞳で敵を見る。
白い沼。完全に、脅威と言って差し支えないものだ。
冬季の感覚は最大限の警鐘を鳴らしている。
だが、それでも心は踊る
「たまには、そういう依頼を受けたいと思っていたところです。」
「ま、基本的に諦めないってのは大切だよな。倒されても骸の海から蘇ることができるオブリビオンなら尚更だ。」
もっとも、諦めないのはこちらも同じだが。と心の中で付け加え、有頂天道人を睨むのは夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)だ。
腰に差した神刀に軽く手をかけ、その力を振るう瞬間をただ見極める。
戦場を見渡しその中の一点に集中をしながらも、周囲の全てに警戒を怠らない達人の構えだ。
「ドーモ! お疲れ様デース、希雪殿! それでは奮いマース!」
もしもの時の為に霧の門付近で備えるグリモア猟兵、希雪に声をかけつつバルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)は一歩、前に進む。
何度も戦った相手。しかし、ここまでの不利な戦場ではまだ戦ったことはない。
「何とも汚い白い沼でありますな……埋め立てておきたい気分デース。」
眼前に広がる白い沼に不快感を露わにしながら、武装を整える。
全員が全員、有頂天道人との戦いは何度か経験している。
だからこそ、油断もなく、準備はもう終わっている。
次第に空気は張り詰めたものへと変化して──
想像を絶する白い水飛沫とともに、戦いの火蓋は切って落とされた。
天から、そして地から迫る水飛沫。それは全てが「混沌化」の影響で有頂天道人によって統率され、猟兵たちに牙を剥く。
いくつもの刃が、触手が、猟兵たちに喰らい付かんと迫る。
そして、猟兵たちは勢いよくそれに向かって各々の武装を構えつつ突撃していく。
恭二郎は自らの剣を抜き放ち、構える。
天に風桜子を籠めた切っ先を向け、天翔ける天脈と気を通じ、風桜子を高次元にまで練り上げ──
「神酒坂風桜子一刀流……滝祭」
渾身の力を以て振り下ろす──!!
ヒュンと風を切る音、そして一瞬遅れた破壊音。
帯びた風桜子の刃が大きく、澄み切って伸びる一閃を放つ。
その影響は絶大だ。
空を裂き、地を割るその一撃は、文字通り白い混沌を消し飛ばし、有頂天道人までの一本道を作り上げる。
だが、まだ沼は残る。
反対側から損失を補填するように混沌が流れ込んでくる。
できたと思った一本道も消え、その流れが恭次郎を飲み込まんとし──
しかし、それには及ばない。
沼の上を駆け、迫り来る触手を斬り払い、有頂天道人へと迫る恭二郎の姿。
「お前さんの技と覚悟を、甘く見る気はないんでね。」
対抗して放たれる発勁を見極め、身を捩りながら神速の居合を放つ。
機械と機械が強く擦れ合う音が響いたのちに、その瞬間的な衝突の勝者が決まる。
その刃に一抹の陰りはなく、道人の身には肩から心臓を斬り裂く深い切り傷が刻まれていた。
「制圧せよ、黄巾力士。」
静かな声がどこかから響く。
命じられた機械はただその命に従い動くのみ。
空中からの制圧射撃で有頂天道人の動きを封じ、また抜けた弾が白い沼を穿っていく。
ダメージは少ないが、それで十分だ。
なぜなら、黄巾力士の仕事は、準備が終わるまでの時間稼ぎなのだから──
「木火土金水相生せよ、木金火水土相勝せよ、相乗せよ相侮せよ生ぜよ滅せよ比和せよ比和せよ比和せよ比和せよ…万象流転し虚無に至れ!」
冬季の手から、雷撃が放たれる。それは白い沼にも、有頂天道人にも当たらない軌道のものだ。
「それでは沼ごと消し飛ぶがいい。…八卦天雷陣・万象落魂」
その雷撃が地面に着弾した瞬間、
いつの間にやらそこに描かれていた沼全体に及ぶ巨大な陣が、回転しながら輝きを強めていく。
そして──
想像を絶する大爆発。
有頂天道人や沼は当たり前として、黄巾力士や猟兵達をも巻き込む大爆発で、その全てを消滅させようと。
しかし、それには及ばない。
有頂天道人は、空間全体に及ぶ大爆発を、気を練り込み圧として放出することでその爆心と方向をずらす。
その結果、ずらされた方向の全てが消え去り、それに巻き込まれた白い沼も全体の3割5分程が消滅。
また、有頂天道人の気を削ぎ、その片腕を消失させるという圧倒的なまでの破壊力を見せつけた。
鏡介は腰に差した刀を抜き放ち、その刀に込められた封印を解放する。
その身には薄く輝く神気を纏い、烈風の如くに巻き付く神脚【無為】はその刀を空へと導く道となる。
もっとも、これでもある程度マシになる程の効力、普段通りとはいかないが……
対策がなければ今の一手で終わっていた可能性も否定できない。
往々にして、幸運というものは訪れるべくしてあるものだ。
下方から溢れ出る白い触手を切り裂きつつ、空を駆け目指すは有頂天。
近づいて、その目を見て思う。
その体に、脳にかかった絶大な負荷を。
敵を殺すために手を尽くす賢き者。その代償すらも受け入れて、有り余る殺意を向ける者。
だが、そんなことは知ったことではない。
彼方が何を失い力を得ようが、此方もそれは同じこと。
故に、その刀を握る手の力は一層強まり──
「我が太刀は流れる水にして、鏡の如く──捌の型【水鏡:流】」
有頂天道人の攻撃を受け、逸らし、その不意打ちまでもを見切って切り伏せる。
攻め手に出ることは難しいが、それでも返の刀はその身を容易く切り刻む。
幾許の時間が過ぎた時、有頂天のその身に刻まれた傷は数知れず。
武を殺し奇策に出た有頂天を追い詰めるのは、武であったのだ。
「六式武装展開、鉄の番!」
元気よくそう叫ぶノーヴェの元に、流れ込むは大量の混沌。
他の場所で派手に散らされた分、此方に多くの混沌が流れ込む結果となった。
しかし、ノーヴェは大きなハンマーを掲げて不敵に笑う。
「混沌だろうと!、液体だろうと!、地形を粉砕して吹き飛ばせば!、消滅しマース!!」
その言葉を叫ぶ途中にも振り下ろされたハンマーは地形を抉り、圧削し、そこにあった白き混沌を消し去ってゆく。
圧倒的なパワーでチェインハンマーを連続で叩きつけ、その破壊音を派手に響かせながら、沼を端から破壊していく。
ドガンドガンと消し飛ばして突き進み、遂には白い沼がほとんど消滅した頃。
有頂天道人の姿はもうすぐそこに。
今の武装では細かな武に対応できない。
なら、最初から対応しなければいいのデース!
ノーヴェが選択したのは、火炎放射器を用いた焼き払い。
もっともただの熱では有頂天道人への有効なダメージにはならないので、本命はその炎がもたらす視覚的な効果。
如何なる白も、炎の壁を超えてくる時には揺らぎが見えるもの。
その変化に対し、カウンターでハンマーをぶつける、いわばストロングスタイルとでもいうべきもので、迎え撃つ。
炎の中に飛び込んできたのは、白と黒。
「あれ、有頂天道人が飛び込んで来ましたね!関係ないデース、全てぶっ飛ばしマース!!」
炎で相手の視覚を奪い、自らはそれによって敵を感知する。
その作戦は効果的に決まり、そのストロングなハンマーの芯が有頂天道人を捉え──
「ホームラン、デース!!」
固く重い金属音響かせた後、有頂天道人だったものは彼方の空へと吹き飛んでいった。
大成功
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