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獣人世界大戦⑭〜血色の穢れ

#獣人戦線 #獣人世界大戦 #第二戦線 #ワルシャワ条約機構

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「さて、第一戦線は無事突破したな。この調子で行こうか」
 高峰・勇人(再発性頭痛・f37719)が示す次なる戦場は、赤く染まった湖である。
 この世界のバイカル湖は、ワルシャワ条約機構で虐殺されていった獣人達の血液で溢れ返った「鮮血の湖」というかなりヤクい状態になっており、現状では|五卿六眼《ごきょうろくがんたる》たる始祖人狼に絶えず力を捧げる儀式魔術の場として用いられている。
 その儀式の影響か、それとも湖水に満ちた獣人達の怒りと無念によるものか、湖の鮮血は次々に「血液でできた魔狼の群れ」へと変わっていくという。
「この狼どもは次なる犠牲者を探すべく、ワルシャワ条約機構領内へ散ろうとしている。放っておくわけにはいかないだろう?」
 素材が素材である為、彼らはたとえ倒してもまた無尽蔵に現れるが、この湖畔に、一体のオブリビオンが居る事が確認されている。
「獣人の生物化学兵……だろうな。この辺りではこいつが『鮮血の魔狼』を生み出しているようだ」
 これを撃破することで、一帯の魔狼をただの血液へと戻し、さらなる増殖を阻害できるはず。
「ただ、この兵士は何やら実験を行っているようでな……狼の攻撃に、何らかの病毒の菌が混ぜられている可能性が高い」
 十分に気を付けて向かってくれ。そう告げて、グリモア猟兵は一同を現地へと送り出した。

●死を告げる病
「犠牲者を増やしたいのなら、最初からこうすればいいだろうに」
 この場で展開される『儀式』をそう評しながら、マスクで顔を覆ったオブリビオンは、血の湖にそれを落とす。
 本来は敵陣に撃ち込み、病原菌を撒き散らすためのそれを呑み込み、黒く濁った血は、穢れた血の狼として生まれ変わった。
「病を宿しても死なないこの狼どもは、この病を広げる良い媒介者になるだろうよ」
 色濃く血の香るその戦場に、せせら笑うような声が響く。


つじ
●血の魔狼
 湖から大量に生まれ、猟兵達を見つけると襲い掛かってきます。
 オブリビオンの命令に従うような知性はなさそうですが、間違ってオブリビオンを狙う事もなさそうです。
 今回は、魔狼の攻撃を受ける事でも、オブリビオンのユーベルコードと同様の効果が発生してしまいます。

●プレイングボーナス
 無限に溢れる「血の魔狼」を1匹残らず倒す/速攻でオブリビオンを撃破する。

 以上になります。それでは、皆さんのご参加お待ちしています。
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第1章 ボス戦 『告死の生物科学兵』

POW   :    告死病菌核弾頭装填!!!
レベルm半径内の対象全員を、装備した【告死病菌を搭載した兵器】で自動的に攻撃し続ける。装備部位を他の目的に使うと解除。
SPD   :    告死病爆弾射出!
【感染すると肉体が壊死し黒く変色し】【やがて腐り落ちる告死病菌を】【周囲に無差別にばら撒く爆弾レベル×10個】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ   :    告死病ミサイルランチャー発射!!
攻撃が命中した対象に【告死病菌による黒い病傷】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【次々と周囲に感染する告死病】による追加攻撃を与え続ける。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠銀山・昭平です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

夜刀神・鏡介
儀式の犠牲者の鮮血から魔狼を生み出し、その魔狼が新たな犠牲者を生む……
随分といい趣味をしているが、そんな事がいつまでも続けられるとは思わないことだな

神刀の封印を解除。神気を纏う事で身体能力を強化
無限に現れる魔狼を一匹ずつ対処する……というのは非現実的。どうにか纏めて吹き飛ばすべきだろうな

まずはUCの下準備
此方に襲いかかってくる魔狼だけ対処しながら移動して、神刀による刀傷を地面に刻んでいく
ある程度の範囲を覆った所で、廻・肆の秘剣【黒衝閃】を発動
範囲内の魔狼を一気に吹き飛ばしながらオブリビオンにも攻撃

そして魔狼が復活する・オブリビオンが体勢を整える前に突っ込んで、斬撃を直接叩き込もう




 空き缶でも放るように、生物科学兵が無造作に右手を振る。手榴弾に似たそれが湖に落ちて、赤い水柱を上げて爆発、赤黒く染まった雨が降る中で、同じ色の狼達が姿を現した。
 儀式の犠牲者の鮮血から魔狼を生み出し、その魔狼がさらなる犠牲者を生む。命を血へと循環させ、儀式の糧となる湖をさらに大きくしていく。そんなこの世界の『超大国』らしいやり口を前に、夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)が刀を抜いた。
「随分といい趣味をしているが、そんな事がいつまでも続けられるとは思わないことだな」
『そうは言うけどな、これも仕事なんだよ』
 敵兵が肩を竦めて応じる。ガスマスクに覆われた鼻先で、湖から走り出てくる無数の赤色を示した。
 唸り声や吠え声の代わりに、跳ねる水に似た足音を響かせながら、それは鏡介へと襲い掛かる。『獲物』と定められたのを見て取りながら、鏡介は神刀の封印を解除、その身に輝く神気を纏った。
『ということで、お前も材料になってくれ。大人しくしてくれるとなお良いな』
 軽口への返答代わりに刃を振るい、先頭の魔狼を斬り捨てる。病原菌を伴う穢れた血溜まりとなったそれを躱して、鏡介は後続を引き付けるようにして後ろへ。
 ――狼の一匹一匹に大した力はないが、病毒を含んだ牙を侮ることは出来ない。一匹ずつ順に対処していくのは現実的ではないだろう。
 そう判断した彼は、それでも身を躱すことに専念し、狼の群れの攻撃を捌いていく。
『ああ、惜しい。次こそは当てろよ』
 その様は徐々に追い詰められていくように見えたのだろう、生物科学兵の雑な応援が続く。だがその間に、鏡介の準備は終わっていた。
 避ける合間にも振るわれた神刀は、地面に刀傷を刻んでいる。
「残念だったな、遊びは終わりだ」
 廻・肆の秘剣【黒衝閃】。神刀を地面に突き立てると同時に、刀傷で覆われた空間に、黒の神気が叩きつけられた。
 狼の集団を丸ごと叩き潰し、地面を抉ったそれに、生物科学兵が眼を剥く。その驚愕が冷める前、体勢を整える間もなく接敵した鏡介は、隙だらけの敵へと斬撃を叩き込んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

レナータ・バルダーヌ
鮮血の湖……闇の救済者戦争でも似たようなことがありましたね。
性質は違うようですけど、いずれにしてもこのまま放っておくわけにはいきません!

狼さんたちは血、つまり液体でできている……それなら!
「マジカルゴボウ剣」を掲げ【X.X.Xブリザード】を発動、馬の姿を象った旋風に騎乗して吹雪とともに突撃します。
血の魔狼は湖ごと冷気で凍らせ、 告死病兵器は風の力で押し返します。
吹雪の範囲を広げて魔狼の殲滅を優先するか、足止めに留めて敵本体を狙うかは戦況に応じて判断しましょう。
敵からの攻撃は受けないように立ち回りたいですけど、躱しきれない場合はサイキック【オーラで防御】してなるべく軽症に抑えたいです。



●病を抑える吹雪
 多数の獣人達、戦場において犠牲になった彼等の血で、バイカル湖は赤く染まっていた。禍々しいその光景、だが猟兵達の中には、それに既視感を覚える者も多く居るだろう。戦場に駆け付けたレナータ・バルダーヌ(護望天・f13031)も、その内の一人である。
「闇の救済者戦争でも似たようなことがありましたね……」
 ダークセイヴァーの人々の血を使った生贄魔術――今回のこれは、あの時とは性質が違うようだが、さらに血を集めようとするその作用を鑑みれば、より厄介だと言えなくもない。
 湖を満たす鮮血を材料に、そして生物科学兵の撒いた病毒を宿し、穢れた血の狼達が姿を現す。群れを成し、湖から駆け出した彼等は、周辺の者を無差別に襲い、さらなる流血を呼ぶだろう。
「いずれにしても、このまま放っておくわけにはいきません!」
 広がり行く血色の波濤を押し留めるべく、レナータはマジカルゴボウ剣を掲げた。
「狼さんたちは血、つまり液体でできている……それなら!」
 天を指す銃剣の刃を中心に、冷たいつむじ風が巻き上がる。『X.X.Xブリザード』、馬の形になった旋風に騎乗し、迫り来る狼達へと向かう。
 牙を剥き、飛び掛かってくる彼等を、サイキックで掴み取るようにして攻撃を防ぐ。いつまでもは続かないだろうが、空中に一瞬縫い留めることが出来れば用は足りる。彼女の周囲を渦巻く吹雪、氷混じりの輝く風が、血の魔狼を包み込んで凍結させた。
『おいおい、邪魔することないだろ?』
 そんな彼女に、生物科学兵は手榴弾に似たそれを放り投げる。レナータの前で爆発が生じ、病毒を含んだ黒い霧が、急激に広がり始めた。
「負けません……!」
 そして、この先にも行かせませんよ。強さを増す嵐でそれを阻み、さらに深く、敵陣へと踏み込む。レナータを乗せた旋風の一歩はバイカル湖そのものに及び、波紋の代わりに表面の氷を、周囲へと広げていく。
 冷気は敵のさらなる増加を阻み、吹雪を成す冷気と風が、凍った血の狼達を拭き散らしていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

冴島・類
命を奪われた子らの血を
こんな風に利用するとは
尊厳を欠片も認めない、嫌なやり口だな…
ほんとうに

儀式打破や、犠牲を防ぐは勿論
抗い生きた獣人さん達の血潮を
病の感染源に使われたくないから

瓜江は、実験を行っている覆面の兵を引きつけてもらう為
残像混ぜたフェイントで狙いを逸らしながら接近すると見せ
装備した鉄扇にて浄化の力込めた風の全力魔法にて
相手の攻撃を逸らし、菌の浄化を狙う

その隙に
こちらもやるべき事を
抜いた枯れ尾花に、破魔の力込め桜の花弁に変え
溢れ出でて襲い来る血の魔狼達を、包み込むように
ここで、倒し切る為に攻撃を

無念を戦の道具にされるのや
始祖人狼の力になるのは
本意ではないだろう?
穢れは祓うから、おやすみ



●手向けの嵐
 血の湖から生まれた狼達、誰かの命の残骸は、声もなく次の犠牲者を求め、走る。それによって生じた傷が、零れた血が、新たな仲間となるのだから。
『浅ましいよな。そう思わないか?』
 生物科学兵の言葉、それを無視しようと努めた冴島・類(公孫樹・f13398)だが、せせら笑うようなそれに、思わず歯噛みしてしまう。
 命を奪われた子らの血を、一方的に利用しておいてこの言い草、尊厳を欠片も認めない、雑なやり口、到底見過ごせるものではない。
「瓜江」
 敵の軽口には付き合わず、類は瓜江にそちらの相手を任せた。
『つれないな、口が利けるのは生きてる奴の特権だってのに』
 ガスマスクの下ではどんな表情をしているのか、敵兵はすぐさまロケットランチャーを構え、病原菌を撒き散らすための弾頭を瓜江に、そしてその向こうの類に向けて発射した。あわよくば両方とも、そんな狙いの砲弾に対し、瓜江は開いた扇を大きく振るう。魔力によって巻き起こされた風が、砲弾を正面から受け止め、爆ぜた爆風と飛び散る菌ごと逆方向へと吹き飛ばした。
 やるじゃないか、などと笑いながらさらなる攻撃を見舞おうとする敵兵に、瓜江が近接戦の構えを取り――そしてその隙に、類は湖から走り去っていこうとする狼達の前に立ちはだかった。
 黒く穢れ、牙だけではなく病を運ぶ走狗として扱われる彼等を前に、類は短刀を抜き放つ。
「こんなことをするのは、本意ではないだろう?」
 彼等はそれに答える口を持たない。いや、意志だってないのだと思う。それでも、彼等は抗い生きた獣人達の残したモノであるはずだから。
 刃が白く輝いて、咲き乱れる山桜へと姿を変える。破魔の力を宿し、溢れ出すそれは、襲い掛かってくる血の魔狼達を受け止め、包み込むように広がっていった。
「咲け、常春」
 儀式の糧、傀儡として縛り付けられた彼等を解放すること、それが『穢れを祓う』とであると信じて。
「……おやすみ」
 せめて、穏やかな眠りを。舞い散る花弁を乗せて、清浄な風が湖を渡っていく。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ハート・ライドン
生物化学兵器…また随分と厄介なものを
私の能力から鑑みるに
ボスの速攻撃破を試みるのが得策でしょう。参ります!

【迅雷疾走】発動

敵の兵器諸々には病原菌が搭載されているとはいえ
所詮は物理攻撃に過ぎません
肉体を稲妻の黒馬化することで自らの身を守りましょう

かつ、この形態は攻撃にも適しています
魔狼は血で構成されていますから
おそらく通電物質内移動の能力で通り抜けることも叶うでしょう

ただ、オブリビオンのみを狙って全力の『ダッシュ』で突進
雷鳴電撃でのダメージ付与を狙います

ついでに敵の携えた兵器を
多少なりともショートさせられれば尚良しですね

病原菌が広まるのが先か
貴方が骸の海に帰るのが先か
…考えるまでもないことですね



●風を裂く稲妻
「生物化学兵器……また随分と厄介なものを」
『こいつを使った方が話が早いだろ? こんな風にな』
 死を広げる病、それを扱うにしてはあまりに無造作な様子で、敵兵は複数のカプセルをまとめて放り投げた。巻き起こる小規模な爆発は感染力の高い、致死的な病原菌を撒き散らす。そしてそれが血の湖に溶けると同時に、穢れた魔狼の群れを誕生させた。
 攻撃であり、同時に防御である、敵兵の言い方を借りれば『効率の良い』それを、ハート・ライドン(Never Say Die・f39996)はスタートの合図として、強く地を蹴り付けた。
「参ります!」
 一瞬の加速は紫電の如く、階梯0の黒馬へと姿を変えた彼女は、魔狼達が牙を剥く暇もなく駆け抜け、敵兵へと神速の突撃を仕掛ける。
『痛ってえな……!』
 直撃は避けたものの、体当たりを食らった敵兵は、転がるようにしてハートから距離を取る。そのまま狼の群れを盾にし、紛れるように逃げ込んだ。
 しかし。
「逃がしませんよ」
 風よりも速く、音よりも速く。ハートは我が身を文字通りの稲妻へと変えて、追撃にかかる。
 迎え撃つように、飛び掛かる魔狼達。だがその|血液《通電物質》でできたその牙は、病毒を含みながらも、彼女に触れることすらできなかった。
 狼の身体を通り抜け、黒い稲妻が生物化学兵を打ち据える。電撃を受けた彼は、その身を硬直させて手にした兵器を取り落とす。這いつくばるようにしてそれを拾おうとするが、そこに。
「病原菌が広まるのが先か、貴方が骸の海に帰るのが先か……考えるまでもないことですね」
 地を滑るように、駆け抜けた勢いを殺しながら、ハートがターンしてさらなる一撃を狙う。
『ま、まあ落ち着けよ。この儀式はここからが見ものなんだぜ?』
「待つ義理があるとでも?」
 さらに狼を増やされる前に、そして取り落とした兵器を再使用される前に、速攻を。
 迅雷疾走、オブリビオンであろうと、そのスピードからは逃れられない。

大成功 🔵​🔵​🔵​

氷雫森・レイン
流石に今の相棒とはいえ病人は連れてこられなかった
私は始祖人狼なる者の事が知りたい
もしそこに人狼病を紐解ける可能性が僅かでもあるのなら
それを知りに行く為にもこの戦争、勝ちに行かなくてはいけない

懐の薬(装備10)は親友がくれた
本来は私の連れの為の物だろうけど
「ごめんね」
今のこれは私の保険

「ラル!」(装備9)
掃討戦も出来るけど敢えて精霊を呼び、背に乗って元凶めがけて飛ぶ(空中戦、空中機動)
恐怖や逃れきれぬ毒の苦痛を堪え、魔力をブレスレットに溜めつつUCの力で只管攻撃や余波を極力躱しながら突貫しとびきりの一撃を(全力魔法、貫通攻撃、鎧無視攻撃、限界突破)
あとは懐の薬を使える命と状況が残ればいいのだけど



●渾身の一矢
 ワルシャワ条約機構の支配者、『始祖人狼』。その名が確かであるならば、それは人狼種族のルーツと言える存在のはず。彼等を苛む人狼病、その謎を紐解く鍵となる可能性が僅かにせよあるのならば、氷雫森・レイン(雨垂れ雫の氷王冠・f10073)にとっては「行かない」という選択肢は無い。
 これは、そこに辿り着くための一歩。確実に勝ちに行かなくてはならないだろう。
『まあ、そう急ぐことはないだろ、楽しんでいってくれよ』
 立ち塞がるのはガスマスクの獣人兵。よりにもよって病を武器とするその男は、病原菌の詰まったカプセルを血の湖へと落とし、病を媒介する穢れた狼達を生み出していく。
 逃れ得ぬ感染の手、それに抗えるものがあるとするなら――。
「……ごめんね」
 懐に収めた薬を思い、親友である贈り主にそう呟く。本当は『連れ』に渡すための物だろうけれど、今は自分の為に、使わせてもらうのだと決めて。
「ラル!」
 召喚した精霊の背に乗ったレインは、牙を剥き迫る狼達から逃れるように、空へと舞い上がった。
 精霊の翼が風を捕まえ、スピードを上げて『元凶』へと向かう。しかしその動きを察知したのか、敵兵は待ってましたと言わんばかりにロケットランチャーを肩に担いだ。
 射出された弾頭は誘導機でも付いているのか、レインの方へと迫り、その間近で爆ぜる。広がった病原菌の黒、レインは恐怖を抑えて、そのまま闇の中へと飛び込んだ。
 告死病、敵兵の作り上げたそれはすぐさまレインの小さな体を蝕み、黒く染めて苦痛を齎す。
『あーあ、可哀そうにな』
 全く同情心の伴わない声で敵兵が呟く。だが終わりだという彼の確信に反して、病毒の黒霧の合間から、レインを乗せた精霊が飛び出してきた。
「矮躯の命と侮らないことよ!!」
 渦巻く風を連れて、抑えきれぬ苦痛に襲われながらも、彼女は魔力を溜めたブレスレットを掲げる。
 輝くロザリオから光が伸び、弓と矢を成す。交錯は一瞬だった。
 突貫する動きの中で放たれた、全力の矢は、敵兵を貫き、その場に膝を付かせた。
 ゆっくりと、倒れ行くそれを確かめてから、レインは深く溜息を吐いた。浅い呼吸を苦し気に繰り返しながらも、準備してあった『薬』を口にする。
「これで……先に進めるかしら」
 目的の場所、始祖人狼に追いつくまで、恐らくはもうあと一歩だ。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年05月14日


挿絵イラスト