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獣人世界大戦⑤〜叛逆者は出荷よー〜

#獣人戦線 #獣人世界大戦 #第一戦線 #ゾルダートグラード

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 イタリア半島とバルカン半島に囲まれたアドリア海。
 その地は現在ゾルダートグラードの支配下にあったが、首都から遠く離れているためかレジスタンス活動が活発に行われていた。
「日夜この海上でゾルダートグラードの空軍とレジスタンス軍によるドッグファイトが繰り広げられているのですが、現時点でゾルダートグラード軍が離着陸している基地の位置はつかめておりません」
 ルウ・アイゼルネ(滑り込む仲介役・f11945)はそう言いながらあちこちに赤い丸がつけられたヴェネツィアの地図を猟兵達に配っていった。
「逆にレジスタンス達の活動拠点はこのように大半が明らかになってしまっています。ですがこれまでゾルダートグラード軍が彼らを撲滅しなかったのは単純に叩かなくても自分達の地盤が揺らぐことがなかったからです」
 しかし今、ゾルダートグラードとワルシャワ条約機構の全面衝突を受けて動き出した第三勢力によって盤石だった防衛線に綻びが生じ始めている。
 その僅かな隙をレジスタンスがこじ開けることを防ぐためか、ゾルダートグラードはとある部隊をアドリア海沿岸部にある街に出動させた。
「秘密警察。反体制分子や外国のスパイの監視・摘発などを専門に扱い、治安維持のためならば人権上問題のある行為の行使も許されている部隊です。……職務中にうっかり死人が出てしまっても無罪放免です」
 中には自白の拷問の末に死んでしまった獣人の遺体を加工した物を、その犠牲者と関わりのあったレジスタンスのアジトに「警告」の意味で送りつけた者もいるという。
「というわけで、皆様にはゾルダートグラードの秘密警察がレジスタンスのアジトに着く前に先回りして、潜伏か逃走の手助けをしていただきます」
 ちなみに秘密警察の標的はレジスタンスだけでなく猟兵達も含まれている。
 下手に市街地のど真ん中を歩けば、国家反逆罪を突きつけて秘密警察が襲いかかってくることは確実である。
「わざと囮役になって全ての秘密警察の注目を集めて他の人達がレジスタンスを避難させる時間を稼ぐ、のを狙ってもいいですが……いくら治療に定評のある猟兵でも料理や敷物にされた者を蘇らせることは出来ませんし、そこまで露骨な動きに相手が乗っかってくれるとは思えません。くれぐれも派手な事は起こさないよう、よろしくお願いしますね」


平岡祐樹
 お疲れ様です、平岡祐樹です。

 このシナリオは戦争シナリオとなります。1章構成の特殊なシナリオですので、参加される場合はご注意ください。

 今案件にはシナリオギミック「秘密警察に気付かれないようレジスタンスを助ける」がございます。
 これに基づく対抗策が指定されていると有利になることがありますのでご一考くださいませ。
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第1章 冒険 『血路を開け』

POW   :    渾身の力を振り絞って突破する

SPD   :    巧みに撹乱して包囲を乱す

WIZ   :    奇想天外な策で切り抜ける

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

風吹・香織
アドリブ連携歓迎

 ふわぁ、地上での作戦はいやだねぇ。
 けど、空に飛ぶ同志には滑走路は必須だ。つまり、地上要員もいてこその空。
 それは私も変わらない。だから、ここは欠伸は終わってからに取っておいて、協力しようじゃないか。

 包囲網の脱出か。なら、《大型輸送装甲トラック》を使おう。
 相棒は一度、基地の格納庫に入れさえてもらっておいて、必要なら私が後で強行突破で回収するとしよう。無理ならまぁ最悪新しく調達すればいいしね。
 レジスタンスのみんな、荷台に入って。

 とはいえ、ただ基地からトラックが出てきたんじゃ怪しまれる。【変装】の応用で、見た目を宅配便のトラックに偽装できないかな?

 UCはお守り代わりだ。



「ふわぁ、地上での作戦はいやだねぇ」
 風吹・香織(怠惰な「双胴の悪魔」乗り・f39889)は頭の上で手を組み、大きく背筋を伸ばす。
「けど、空に飛ぶ同志には滑走路は必須だ。つまり、地上要員もいてこその空。それは私も変わらない。だから、ここは欠伸は終わってからに取っておいて、協力しようじゃないか」
「それはありがたい、ありがたいんだが……良いのか? あんたの大事な相棒なんだろう」
 やや戸惑った様子の獣人は香織が自分達を助けるためにここへ置いていくことにした飛行機に視線を移した。
 香織が持ち込んだのは「双胴の悪魔」の異名を持つ二つの胴体で構成された双発機、P-38。
 クロックワーク・ヴィクトリアやF.O.Nの空軍が主に用いており、敵対国であるゾルダートグラードにとっては忌々しい存在である。
 そんな代物が敵のアジトに無防備に置かれていたら相手は問答無用で壊しにかかるか研究のために施設の奥に持って帰ってしまうだろう、と獣人は心配するが当事者たる香織は平然としていた。
「必要なら私が後で強行突破で回収する。無理ならまぁ……最悪新しく調達すればいいしね」
 どんな感じで手を加えたかは大体覚えてるし、あなた達だけに相棒を置いてけって言うのも不公平でしょ、とまで言われればこれ以上獣人が反論する材料は残されてなかった。
「ささ、レジスタンスのみんな、荷台に入って」
 荷台を占拠していたP-38が出されたことでスカスカになった空間へレジスタンス達は最低限必要な荷物を持って続々と乗り込んでいく。
 香織は今回の作戦に当たって自前のトラックを事前に何とかカモフラージュすべくこの辺りをよく通っている宅配便に使われている車っぽく外見を塗り直してきた。
 しかしただ基地からトラックが出てきたのでは怪しまれるに違いない。
「あとは一部始終を監視されてないことと、途中で検問されないことを祈るだけだね」
 全員乗り込んだのを見届けてから運転席に入った香織は金属の板越しにレジスタンス達に聞こえないくらい小さな声で呟いてから鍵を回した。

成功 🔵​🔵​🔴​

エドゥアルト・ルーデル
(秘密警察を片っ端から暴力で排除したら)いかんか?

|見つからずに《ステルスしながら》レジスタンスのアジトにたどり着くぴったりのアイテムがあるでござるよ!そう…段ボールでござる
こいつを被ってだるまさんが転んだしながらアジトに行くんでござるよ!しゃがんでれば人の目線より下にあるものは注意を向けにくいでござるからな、後何気ない箱なんでそれらしく見えるって訳だ
それに…段ボールは被ると安心感というか…心の平穏が得られるんだあ…

見つからず突破したらレジスタンスのアジトにエントリーだ!
ちわーす三河屋でござる、貴様らの分も段ボールを持ってきたでござるから皆被れよな
後は来た時と似た要領で街の外まで脱出でござるよ



「……いかんのか?」
「いかんです」
 言外の訴えをあっさりと却下されたエドゥアルト・ルーデル(黒髭・f10354)は気を取り直して足元からある物を取り出した。
「|見つからずに《ステルスしながら》レジスタンスのアジトにたどり着くぴったりのアイテムがあるでござるよ! そう……段ボールでござる」
 裏面に特殊な加工も何もされていない、その辺のスーパーで山のように置かれている何の変哲もない段ボールを掲げながらエドゥアルトは力説する。
「こいつを被ってだるまさんが転んだしながらアジトに行くんでござるよ! しゃがんでれば人の目線より下にあるものは注意を向けにくいでござるからな、後何気ない箱なんでそれらしく見えるって訳だ。それに……段ボールは被ると安心感というか……心の平穏が得られるんだあ……」
 アッハイ、と棒読みで返されたことを脇に置き、エドゥアルトは堂々とヴェネツィアの街に匍匐前進で突入する。
 静止することなく黙々と動いているにも関わらず道行く人々はその存在に気づかず、その前や横を見向きもせずに通り過ぎていく。
 辛うじて動いた時の衣擦れ音を不審に思って振り返る者はいたが、建物のそばに畳まれずに置かれた段ボールを持ち上げることはなかった。
 そんなこんなで何事も起こらぬまま目的地に辿り着けたら、レジスタンスのアジトにエントリーである。
「ちわーす三河屋でござる」
 裏口のベルを鳴らし、鍵が開いた音を聞いた瞬間に扉を蹴って突入する。
 突然の侵入者に獣人達が泡を食ってそれぞれの得物を構える中、エドゥアルトは自分用の段ボールの中に畳んで入れていた段ボールを取り出して、アジトの中央に置かれていたテーブルの上に投げ置いた。
「貴様らの分も段ボールを持ってきたでござるから皆被れよな」
 猟兵という肩書と有無を言わさぬ態度を前に、獣人達はひとしおの心配を胸に段ボールの中に収まった。
 そうしたら後は来た時と似た要領で街の外まで脱出するだけ……だったが、歴戦の段ボール使いではない獣人達は先導するエドゥアルトと違って変な目で見られ続けたのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

笹竹・暁子
※アドリブ連携歓迎
次の救援任務は…ヴェネツィアですって
かの水の都にまでくるなんて
いずれにしろレジスタンスの拠点が判明しているのはまずいわね
脱出経路も空路は戦場に迷い込むかもしれない
なら…あっちよね

方針:【指定UC】の人員で誘導し、潜水形態のメイガスで運搬・脱出する

エージェント達をゴンドラ漕ぎに扮し【演技・集団戦術・情報収集・情報伝達】でレジスタンスの方々に先触れしつつ、現地民の土地勘を集める
水路上の橋で一瞬姿が見えなくなる場所をランデブーポイントに
荷物に隠れるなどしてもらい【道案内・迷彩・闇に紛れる】形で私の〔ジェン〕に収容していく
水中を通るけど、収容するまでほんの少し、我慢してね

可能な限り収容したら、エージェントは適宜小鳥に扮し直して散開脱出
【運搬】役の私は静かに海路で脱出
万が一追ってきても、こっちはペンギンを模倣した機体
そうそう簡単に捉えられないわ!

落ち着いたらコンテナ内で同伴している糧食班に軽食を振舞わせ、リーダーにコンタクト
互助組織連合計画を伝え、考えておいてもらいましょう



「次の救援任務は……ヴェネツィアですって」
 かの水の都にまでくるなんて、と笹竹・暁子(暁を臨む一夜の為に ~雀のお宿の外仲居~・f39919)は渡された地図の上をウロウロとトコトコと歩いていく。
「いずれにしろレジスタンスの拠点が判明しているのはまずいわね。脱出経路も空路は戦場に迷い込むかもしれない。なら……あっちよね」
 暁子の言葉に天井の板がずれ、そこから妖精階梯のスズメが1匹ひょっこり顔を出す。
「ボクたち櫂は漕げはしませんが第5の2人のサポート役兼マスコット枠として同伴するというのはいかがでチュン?」
「良いわね。それじゃあ彼らにも声をかけておいて」
「御意チュン」
 それから数日後、ゴンドラ漕ぎに扮してヴェネツィアに入ったエージェント達はレジスタンスの方々に先触れを行う傍ら、乗せた住民達の指摘を受けつつ土地勘を養い、道幅が広く下を潜る者の姿が一瞬見えなくなる水路上の橋のピックアップを完了した。
 その報告を受けた暁子は各地の水深にも注目し、最終決定を行った。
「ここをランデブーポイントにしましょう」
 それを受けてエージェント達は一斉にレジスタンス達の元へ飛び立ち、作戦の決行日を伝え回った。
 そして当日。
 橋桁の裏に集まったレジスタンスの面々には荷物に隠れるなどしてもらい、橋の影にある川の中に沈んで待機していた|大鳥型機動甲冑《ジェン》に背負わせたコンテナの中へどんどん連れていく。
「水中を通るけど、収容するまでほんの少し、我慢してね」
 ジェンにたどり着くまで息を少し止める必要があるが、溺れてしまうほどの時間を拘束することはない。隠れた荷物によっては服も濡れてしまうが、命には変えられないとレジスタンスは腹を括って暁子一行の指示に従った。
 そうして今回声をかけたレジスタンス全員がジェンの中に収まったところで、エージェント達はゴンドラ漕ぎの扮装を脱ぎ捨て、野生の一般雀を装って先んじて橋下から飛び去る。
 そしてゴンドラならぬメイガス漕ぎとなった暁子も水音を立てずに静かに橋下から動き出した。
 万が一秘密警察にこの動きを気づかれたとしても、ペンギンを模倣することでほとんどの武装の互換性を失った代わりに空中を飛んでいるよりも速く水中を進むことが出来るジェンを捕らえることは出来ないだろう。
 そうして運河を超えて大海原に達したところでジェンを浮上させた暁子はコンテナを覗き込む。
 中ではレジスタンス達は自分達が入ってきた荷物を傍に置いて、迎え入れるために予め控えていた第2階梯のスズメ達による軽食を楽しんでいた。
 暁子の姿に気づいたスズメが、レジスタンスのリーダー格の者達に一綴りの書類を渡し回る。
「……これは?」
「『互助組織連合計画』の計画書よ」
 元々規模が大きめ、または統率が取れた集団や組織ならばまだ超大国に抵抗できているだろうが、地方の中小組織の中には反撃能力もなく、猟兵の手が届かない場合もある。
 しかし「縁」があれば近隣に影響を、場合によっては救援そのものをもたらす事も出来る。
 より迅速・周到な猟兵への情報・物資・人員などの協力へつなげるため、地方を中心として中小規模単位の互助組織や抵抗組織を繋げる計画の草案だと暁子は小さな羽を大きく広げて説明する。
「もちろん今の状況では皆さんの負担になるだけ、というなら無理強いはしないわ。選択肢の一つとして頭の片隅に置いていただけると嬉しいかなって」
 リーダー格のうちの1人は口を真一文字に結びながら次のページをめくって黙読し続けていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

亞東・霧亥
市街地でも秘密警察が比較的少ない地域にドローン(宙界の瞳)を飛ばし『索敵』する。
敵の行動範囲や警戒網を調査し、レジスタンスを救出・誘導するために殺すべき敵を絞る。

次に『毒使い』で吹き矢に塗る、μmgでも体内に入れば死に至る毒薬を精製。

【UC】

殺した相手が倒れ伏す前に『足場習熟』で足音を立てず接近し、抱えて路地に横たえるなど、慎重に行動する。

「これだけ静かに行動して、もしも騒ぎになったら、運命のダイスに余程嫌われているんだろうさ。」

アドリブ可



 猟兵達による大移動を終えた夜。
 亞東・霧亥(峻刻・f05789)はレジスタンスのアジトを何ヶ所か見下ろせる宿の一室で吹き矢に薬品を塗っていた。
 それはμmgでも体内に入れば死に至らしめる毒。ヤドリガミの霧亥には関係ないが、そうでない者が扱うにはあまりにも危険な代物であった。
 秘密警察は誰が警察かと分からないように一般市民と全く同じ格好をするという。元来鋭利な爪や牙を持つ獣人ならその服の下に凶器を隠す必要もないのでより一層判断がつきにくい。
 だからこそ「宙界の瞳」と名付けたドローンを飛ばして索敵することで相手の行動範囲や警戒網を調査し、残ることを選んだレジスタンスを救出・誘導するために殺すべき敵を絞った。
「職務中にうっかり死人を出してしまっても無罪放免か。……随分とお偉いご身分だな」
 下の階から一定の間隔で金属音が響き始める。
 とんだ近所迷惑だと思いつつ窓から覗いてみれば、1人の獣人がアジトの扉の横にあるベルを鳴らしていた。
 しかしあのアジトにいた者には数時間前にベルの鳴らし方がもし事前に決められた「合言葉」の類でも開けるなと、通達していた。
 反応がないことに首を傾げた獣人はポケットから穴を開けるためのドリルを取り出した。
 ここで合鍵を出すか探すならともかく、直接的な破壊行為に出たことに霧亥は眉を顰める。万が一死人が出ていることを考慮して強行突破を図ろうとしたのだと言い訳するにしてももう少し誤魔化しがきく手段があるだろう、と。
 眼下の人物が宙界の瞳が捉えていた秘密警察の1人だと確認し終えた霧亥は吹き矢を口に咥えると一息でその首元にまで飛ばす。
 獣人は射抜かれる寸前で振り返りはしたものの避けることは出来ず、助けを呼ぶ声も断末魔もあげることなく崩れ落ちる。
 殺した相手が倒れ伏す前に射撃位置から飛び降りた霧亥はゴミ捨て場の袋の上に着地すると足音を立てず接近し、誰にも見られていないことを確認してからその遺体を抱えて別の路地に横たえた。
「これだけ静かに行動して、もしも騒ぎになったら、運命のダイスに余程嫌われているんだろうさ」
 念のため服の中も漁ってみるが連絡を取る手段は持っていなかった。おそらく|仕事《・・》を終えたらどこかに集合して報告するだけ、だったのだろう。
 時間になっても帰って来ない同僚を探しに来るのはいつ頃だろうかと、脳内で呟きつつ霧亥は宿へ引き返すのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2024年05月10日


挿絵イラスト