獣人世界大戦⑨~ホーンテッドハウスへようこそ
●グリモアベースにて
「いらっしゃい、よく来てくれたね」
ふ、と資料から視線を上げて、深山・鴇(黒花鳥・f22925)が集まった猟兵達に笑みを向けた。
「さて、皆もご存じの通り獣人戦線での戦争だよ。今回向かってもらうのは第一戦線となるウラジオストク。現在ここには幻朧帝国から出兵してきた『|黯《あんぐら》党』が上陸し、周辺地域を占領しているんだ」
しかも、彼らは奇妙奇天烈な術式によって自分達の前線基地を二重三重に守護しているのだとか。
「これの厄介なところはね、この地――ウラジオストクに敷かれた数多の魔法陣や呪術仕掛けは全てが異世界より『悪魔の王』と称される超強大な悪魔ダイモンを呼び寄せる為の大規模儀式魔術の一部となっているところでね」
ならばひとつひとつ潰していくのが堅実、今回予知により発覚したのはある古びた屋敷。そこには念入りな呪術の仕掛けが施されているのだという。
「まぁ、簡単に言ってしまえばお化け屋敷ってやつかな」
少し困ったように笑って、鴇が話を続ける。
「遊園地なんかのお化け屋敷とは違って作りものじゃないんだが……大丈夫かい?」
いくら猟兵といえど、お化けが苦手な者だっているだろう。無理はしないようにと言いつつも、潰さねばならぬ拠点なのは間違いない。
「お化け、幽霊、そういった類のものが魔法陣や呪術仕掛けを守っている。しかもね、倒さないと魔法陣や仕掛けが現れない仕組みらしい。更に面倒な事に、このお化け共は君達の恐怖心や狂気を増幅する力を持っているんだ」
要はビビり散らかしたり、ブチ切れたりしながら倒して仕掛けをぶっ壊してきて欲しいってことである。
「ああ、手っ取り早いからって建物ごと壊そうとはしないでくれよ? 館の中にいるお化け達が散り散りになって逃げだして、厄介な事になってしまうからね」
散り散りになったお化けを探し回っている内に、儀式が完遂されて『悪魔の王』が召喚されてしまっては目も当てられないと鴇が釘を刺した。
「さ、それじゃお化け退治といこうじゃないか」
鴇が手の中に煙のようなグリモアを呼び出すと、ゲートを開く。
「気を付けて行っておいで」
手の中のグリモアが立ち昇ると、ゲートの先は『獣人戦線』の世界へと繋がっていた。
波多蜜花
閲覧ありがとうございます、波多蜜花です。
GWも終わろうとしていて意味がわかりませんが、戦争依頼です。シリアスするもよし、トンチキするもよし、皆様のよろしいようにプレイングをおかけくださいませ。
●プレイングボーナス
街中に設置された儀式魔術の仕掛けを見つけ出し、破壊する。
今回に限ってはホーンテッドハウスの中です、お化けと遊んでいってね!
●ホーンテッドハウスについて
だだっ広い洋館です、お化けも好きなタイプので構いません。オーソドックスな幽霊から、妖怪まで、多分色々います。
洋館ごとぶち壊すのはご遠慮ください、フリじゃないですのでそっと流します。
●プレイング受付期間について
公開されてからすぐの受付となります。〆切は特に設けず完結成功数+書けるだけの採用になりますが、プレイングが送れる間は送ってくださって大丈夫です、先着順ではありません。
できるだけ早く完結させたいと思いますので、全採用できるかはわかりません。頑張りたいとは思いますが、その点だけご了承くださいませ。
●同行者について
同行者が三人以上の場合は【共通のグループ名か旅団名+人数】でお願いします。
例:【お化け3】
プレイングの失効日を統一してください、失効日が同じであれば送信時刻は問いません。朝8:31~翌朝8:29迄は失効日が同じになります(プレイング受付締切日はこの限りではありません、受付時間内に送信してください)
未成年者の飲酒喫煙、公序良俗に反するプレイングなどは一律不採用となりますのでご理解よろしくお願いいたします。
それでは、皆様のプレイングをお待ちしております!
第1章 冒険
『戦線拠点構築』
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POW : 腕力や体力を活かして働く
SPD : 手先の器用さを活かして働く
WIZ : 知識や知恵を活かして働く
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友。たぶんトンチキ
第一『疾き者』唯一忍者
一人称:私 のほほん
武器:漆黒風
おやまあ、ご同輩が守ってるんですねー。わかりましたー。
倒すのは気が引けますが…これも仕事なのでー。
ちょいと仙術で足消して、空中浮遊すれば…。
すみませんねー、新しく配属されたものですから、迷ってましたー。よろしくお願いしますねー。
ええ、同僚のふりですが?そのまま、高めた結界術で異界形成の閉じ込め、さらに生命力吸収+呪詛で倒しますねー。
魔法陣が出ましたら…漆黒風を使って破壊しますか。
こういうのは強力で念入りな分、繊細ですので。線を縦断、もしくは横断するよう傷をつけると…そこから力が漏れますよね。
●悪霊としてなら負けてない
幽霊やお化けが守っているホーンテッドハウスと聞いて馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)は聞きなれない横文字に小首を傾げた。
「ほーんてっどはうす……ああ、お化け屋敷ですねー」
実際に見てみれば、おどろおどろしい雰囲気のある洋館。なるほどこれは西洋のお化け屋敷かと納得し、ふむふむと考える。義透は四人で一人の複合型の悪霊、普段は誰かひとりの意識が浮上しこの身体を動かしているのだ。
そして現在この身体を動かしているのは『疾き者』と呼ばれる――とても、とてものほほんとした男であった。
「作りものじゃなく本物……おやまあ、ご同輩が守ってるんですねー。わかりましたー」
倒すのは少しばかり気が引けるけれども、これも仕事だと頷いて義透がちょちょいと仙術で足をあたかも消えたかのように見せると、次にふわりと浮かび上がる。
「はい、これで新米幽霊の出来上がりです」
中々よくできていますね、と言いながら堂々と玄関から入っていったのである。中に入ると、どことなくひんやりとした空気が流れ、そこかしこに何かしらの気配がしていた。
「すいませんー、今日から配属されたものですがー」
ふよふよ、と空中浮遊しながらエントランスへ進み出れば、仲間? 新しい仲間? とあちこちから幽霊が顔を出す。
『新人サァン? 随分遅カッタミタイダケド』
「ええ、ここに来るようにと言われましてー。ちょっと迷ってしまいまして、よろしくお願いしますねー」
『フーン? ジャ、コッチネ、コッチ』
こっちと手招きされたので、案内してくれる幽霊のあとを『意外と上手くいくものですねー』なんて思いながら義透がふよふよ、ふよふよと付いていく。
そう、これは悪霊たる義透ならではの作戦、名付けて『同僚のふり作戦』なのである。
『ココ、ココデ待機ネ』
ここ、と示されたのは客室と思われる広い一室、そこにはこの場所を守っているのであろう半透明の幽霊が何体も巣食っていた。
「はい、ありがとうございますー。では……さっそく」
義透がふんわりと微笑むと、小さく囁く様に言葉を口にする。
「……ここは悪霊のあるところ」
ぶわ、と義透の着物が揺れて、高められた結界術が展開されていく。ざわついた幽霊達が何かする暇もなく、異界形成によって部屋の中にいた幽霊たちが閉じ込められた。
「恨みはないのですけどねー」
仕事なので、と閉じ込めた彼らを呪詛の力によって倒していく。
「おや、これが魔法陣ですかねー?」
浮かび上がった魔法陣、それを手にした棒手裏剣により力を失うように傷をつけた。
「ああ、上手いこといきましたねー」
急速に力を失うように、魔法陣が消えていく。全ての魔法陣を切断するように斬り捨てると、いい仕事をしましたと義透が微笑み、他の場所もと移動するのであった。
大成功
🔵🔵🔵
ナルニア・ネーネリア
猫は猫なので猫らしくお散歩をしていたら洋館につきました。
猫は知っています、広い人間ハウスにいる人間の餌は美味い、と。
猫は猫なので世界情勢とか知りませんが、猫がご飯漁るついでくらいには下僕に飴をやることもあります。
が、なんかここ怖い。尻尾ぶわっ。
猫は猫なのでいらんもんみえちゃって大パニックのまま、館を駆け巡り逃げ回り、なんか拍子に色々壊しつつ、お化けをやつあたりハントしつつ、館内を散らかして帰ります。
NG:人語を話す、()つきで思考する
OK:会話の意味は理解してます(話は通じるが返事は…まあ、猫なので)
つまり猫は猫なので猫らしくあればつまりまるっとお任せです。
猫です。よろしくお願いします。
●猫は猫というだけで強いので
ナルニア・ネーネリア(GoGo★キャッツ・f41802)は、ナルニアとネーネリアという黒猫とキジ猫である。もう一つ正確に言えば、どちらかが猫で、どちらかが|霊鬼《グリム》なのだが――猫を前にしてはそんなことは些事なのである、どっちも猫、いいね?
さて、そんな二匹が何をしているかというと、自由気ままな散歩を楽しんでいた。世界情勢だとか、ここが戦地だとかそういうのは猫には関係ないので、至極当然の行動といえよう。そして、行きついたのがこの洋館である。
猫は賢いので、それなりに広い人間ハウスには猫が好きな人間がいて、その人間がくれる餌は美味しいということを知っている……ということは、猫が取る行動はひとつ。
ご飯を漁るついでに、|下僕《人間》に飴をやってもいいかと洋館へと足を踏み入れたのだ。
「にゃぁん」
「なぁーん」
しかし外から見るのと、実際に中に入ってみての違いがあるのも人間ハウス。何の変哲もないように思えた洋館だけれど、いざ中に入れば『なんかここ、怖い』と感じるものがあったのだろう、ナルニアとネーネリアの尻尾がぶわっと膨らんでいるではありませんか。
しかしここで引き返すのは猫が廃るというもの、二匹はずんずんと庭から洋館の中へと忍び込み、餌を貰えそうな場所へと向かい――山盛りの幽霊を見る事となったのだ。
「フギャアアアアアアア!」
「シャーーーーーーーッ!」
猫と言えば霊感に優れていると言われたりしているのだけれど、ナルニアとネーネリアもそれに漏れずいらんものが色々見えるタイプの猫。やんのかステップを踏みながら洋館の中を駆け巡ったり、追い掛けてくる幽霊から逃げ回ったりと、どったんばったん大騒ぎを繰り広げていく。
しかも猫魔力なんてものを纏って暴れるものだから、お化けも暴れるついでにやっつけたし、猫にとっては何かわからない大掛かりな仕掛けもばっちばちにぶち壊しては、次の部屋へと向かうのだ。
これには幽霊達もお手上げである、だって猫の仕業なんだもの! 果敢にも二匹に挑んだ幽霊は強制的に不能にされたし、守っていた魔法陣も爪とぎによりその効力を失ってしまうという、踏んだり蹴ったりな目にあっていた。
「にゃー」
「なーーぅ」
散々暴れ回った二匹は、ここに餌はないと判断すると来た時と同じように尻尾を揺らして洋館を出ていった。いつの間にか、戦争に貢献していたなんて知らぬまま。
もしかしたらこの後、その功績を称えられて美味しいおやつなんかをどこかの猟兵から貰ったかもしれないけれど、それは二匹だけが知る話なのである。
大成功
🔵🔵🔵
幸徳井・保春
ふむ、妖だらけの洋館が現場か。確かに洋館の中に閉じこもってくれていた方がやりやすいのは歴然だ。それに驚かすということは自分から近づいてきてくれるということ。探す手間が省けて助かる。
こちらの恐怖を求めて出て来た妖どもを片っ端から【強制改心刀】で切り捨てていく。別に魔方陣を壊すのを邪魔してこなければ、こちらが積極的に払う必要はないのでな? 大人しく屋敷の隅っこに集まっていろ。
屋敷の仕掛けは蹴り飛ばすなり小太刀で切り捨てるなりして破壊していく。ここでうっかり退魔刀を使って壊したら目も当てられぬからな。
●袋のネズミはさてどちら
件の洋館を前にして、幸徳井・保春(栄光の残り香・f22921)は甘い紫水晶のような瞳をぱちりと瞬く。
「ふむ、妖だらけの洋館が現場だと聞いていたが……確かに館全体から異様な気配を感じるな」
窓を見遣れば人影のようなものが見え、けれど生きた人間ではないと瞬時に判断できるような形をしていて、保春が目を細める。
「あの数が街に出るのは厄介、洋館の中に閉じこもってくれていた方がやりやすいのは歴然だ」
しかも、わざわざ探し回らなくてもこちらを驚かす為に出てきてくれるというのだから、逆に親切なのではないかと思えてくるほどだ。
「探す手間が省けて助かる」
洋館の扉を押し開きながら、保春が唇の端を持ち上げた。
中に入れば洋館の中は薄暗く、如何にも何かが出るぞといった雰囲気だが保春は構う事無く奥へと進んでいく。すると生きた人間の気配を感じ取ったのか、どこからともなく異形の姿をした妖が保春の前へと姿を現した。
『ニンゲン……ヒヒ、ヒヒヒ、ドウシテヤロウカ』
『逃ゲ場ハナイゾ、ヒャハハ、ヒャハ』
音が重なったような声が保春を怖がらせるかのように響き、その魔の手を伸ばす。
「なるほど、逃げ場がない……か」
そう言いながら手にした退魔刀をすらりと抜き放ち、刀身に向かって霊力を流し込むとそのまま流れるような動きで妖達を斬り伏せた。
『ヒィィィ』
甲高い悲鳴のような叫び、けれど妖は痛みにのたうち回る事もなく確かに斬られた場所をぺたぺたと触り――傷のひとつもないことに気付いて首を傾げる。
「別に魔法陣を壊すのを邪魔してこなければ、こちらが積極的に払う必要はないのでな? 大人しく屋敷の隅っこに集まっていろ」
そら、と示された方に素直に従い、守っていたはずの仕掛けが保春の手によって壊されていくのを黙って見ていた。それもそのはず、保春が斬ったのは妖の本体ではなく妖に巣食う邪心。何故自分達はこんなところにいるのだろう、と不思議がる妖までいる程だ。
「思ったより多いな、それに大掛かりだ」
時に蹴飛ばし、小太刀で斬り捨てたりと、目に付く仕掛けを壊していると妖が保春の袖を引く。
「なんだ?」
『アッチ』
「あちらにもあるのか、わかった」
改心した妖にも手伝ってもらい、保春がこの部屋の仕掛けを壊しきるまではもう少しのことであった。
大成功
🔵🔵🔵
紫・藍
あやー!?
あやややややややー!?
怖いのでっす!
お化けさん達怖いのでっすよー!
絶賛悲鳴あげまくり藍ちゃんくんなのでっす!
恐怖心増幅効果もあるのでっすが、藍ちゃんくん、普段からリアクションはおっっきいので!
驚かされまくって悲鳴上がりまくりなのでっすよー!?
あまりにも声とリアクションがおっきいでっすので!
逆になんだか賑やかになってしまって、藍ちゃんくんのファンの皆様は怖くなくなってそうでっすが!
というか狂気増幅もあり、藍ちゃんくんを怖がらせてるんじゃねええ! とブチギレてお化けさん達をぶん殴ったり、仕掛けをぶっ壊したり大騒ぎなのでっす!
それはそれとして怖がってる藍ちゃんくんも可愛いと大好評ですが!
●高らかに響くは
お化け、それはこの世ならざる者たちの総称。幽霊、自然の何某かが生み出した怪異、人の怨念から生じた何か――など、少しばかり大まかに括りすぎではあるけれど、そういったモノは一般的にお化けと呼ばれがちなのだ。
生あるものが恐れる対象である事が多く、大抵の者は恐怖を覚える……そう、ホーンテッドハウスと呼ばれる洋館の扉の前に立つ彼、紫・藍(変革を歌い、終焉に笑え、愚か姫・f01052)もお化けは怖いものだと感じる者の一人。
「あやー、あやややー、これはでっすねーこれはでっすよー? もしかしなくても、本物ってやつだったりしまっすかー!?」
本物だよ、とは聞いていたけれど実際に見るまではわからないのでっすよー! とやってきた藍はマジモンの気配に引き気味の表情をしつつ、これも仕事だと玄関を開けたのであった。
「お邪魔しまーす……なのでっすよー」
いつもよりはちょっとばかり小さな声で、それでも礼儀正しくお邪魔しますと足を踏み入れる。
「思っていたより中は綺麗なのでっすよー、でも何と言いますかその、寒気が止まらないのでっす!!」
いる、これは完全にいるのでっす! と藍が思ったその時、期待を裏切る事無くお化けが現れたのである。
「あやーーーー!?!?」
『ヒッ』
藍の声量に逆にお化けが吃驚したような顔をしているけれど、恐怖心が増幅されてしまった藍は気付かぬままに発声練習よろしくとばかりに叫ぶ。
「あやややややややーー!? 怖いのでっす!! お化けさん達怖いのでっすよーー!!」
囲まれる前に逃げるべきでは? と猟兵としての直感に従い藍が走り出す。
「ああああああややや!?!? 追い掛けてくるのでっす! めちゃくちゃに追いかけられているのでっすよーーー!!」
このままでは駄目だ、一人では駄目なのでっす! と、藍が覚悟を決めて急ブレーキを踏んだかのように止まり、叫ぶ。
「藍ちゃんくんあるところ、ライブあり! 藍ちゃんくんあるところ、ファンの皆様ありなのでっす!」
そう、それがたとえホーンテッドハウスの中だとしても――!!
さて、藍ちゃんくんファンの皆様も最初はビビっていたのだけれど、自分以上にビビってる誰かがいれば意外と平気になったりするもので。
「あやややや!!! あやーーーー!!?」
お化けに驚かされて悲鳴を上げてはいいリアクションを取る藍を見ていると、なんだかこれはこういうアトラクションなのでは? と思い始め、存分に推しがビビり散らかす姿を楽しみだしたりしていた。
「何故でっしょうかーー! 藍ちゃんくんのファンの皆様、怖くなさそうなのでっすがーー!?」
そして、その瞬間は訪れるのである。理不尽! あまりにも理不尽なのでっす! と、藍の怒りが恐怖を凌駕する瞬間が。
「お化け……」
『ヒィッヒッヒッヒ!』
「お化けの分際で……」
『エ?』
「藍ちゃんくんを怖がらせてるんじゃねえええ!!! なのでっす!!!!」
ブチ切れパワー恐るべし。お化けをちぎっては投げ、仕掛けをぶっ壊しては投げ、最終的にはお化けデストロイライブを開いてファンの皆を魅了したりするのだけれど、それはまた別のお話なのであった。
大成功
🔵🔵🔵
栗花落・澪
お化けも妖怪も見慣れてる方だし大得意なんだけど
恐怖心倍増された事無いからその状態だと……どうなるんだろうな僕
せめて可愛いお化けさんだといいなぁ
(多分恐怖心増加中はふえぇ〜っと涙目で叫びながら走り回る事になると思われる)
狂気耐性および破魔による浄化で自分のメンタルを極力維持
とりあえずどれだけ怖くてもお化けさん達を必要以上に虐める趣味はないので
恐る恐るでも話しかけて意思疎通が可能か確認
出来る限り穏便に出来るように交渉したり
無理でも指定UCの破魔でなるべく優しく倒したいなぁ
出来れば静かにしておいてあげたかったけど
こっちにも事情があるから…ごめんね?
無事仕掛けが現れたら属性魔法を使って破壊
●十おばけ十色
琥珀色の髪をふわふわと揺らし、栗花落・澪(泡沫の花・f03165)が洋館の扉をそーっと静かに開ける。
「うーん、お化けも妖怪も見慣れてる方だし、大得意なんだけど」
中を覗けるくらいに開いた扉からそっと中を覗き込めば、広いエントランスが見えた。それから、寒々しい空気と明らかに人には見えない、何か。
「……怖くはないけど恐怖心を倍増された事ないから、その状態だと……どうなるんだろうな、僕」
今の段階では恐怖は感じない、これなら大丈夫なんじゃないかな? と澪が意を決して洋館の中へと足を踏み出す。
「ああ、でもできれば……可愛いお化けさんだといいなぁ」
怖いのよりは、そっちの方がいいよね? なんて言いながら、エントランスホールの中央にある階段を登っていくと――。
「ひゃっ!?」
ぐ、と足を掴まれて澪が驚きと悲鳴が混じった声を上げる。それを合図としたように、あちらこちらからお化けが姿を現して。
「ふ、ふえぇ~~~~!!」
不意打ちされた事による驚き、そして追い打ちのように恐ろしい姿をしたお化けの登場。そして間違いなく恐怖心が増幅されている……という見事なコンボにより、澪が足を掴むお化けの手を振り切って階段を駆け上がり、そのまま廊下を駆け抜ける。
「ふえぇ、可愛くないお化けさんだったよぉ~~!」
半泣きになりながら走る澪を追い掛けるお化け達、これはもう運動会みたいな様相を呈していると言っても過言ではないだろう。
「ううぅ、頑張れ僕、逃げ回ってても解決しないんだから!」
目尻に溜まった涙を拭い、澪が立ち止まると深呼吸を一つ。それから破魔の力による浄化を試み、昂った精神を落ち着ける。
「うん、大丈夫、まだ恐怖心はあるけど逃げ回るほどじゃない」
追って来たお化け達を前にして、少し震えそうになる自分を鼓舞するように笑みを浮かべた。
「あのね、僕はできるだけお化けさん達と戦いたくないんだ」
『侵入者ハ全テ排除スル!』
「ふぇ、あんまりお話が通じないタイプのお化けさんだった……!」
困った、でも『悪魔の王』を召喚されるのは何としても阻止しなければならない。
「うぅ……なるべく、優しく倒すから……!!」
その優しい心根を現すかのように澪がキラキラと輝くような美しい花を辺りに振らせ、その輝きにお化け達が目を奪われた瞬間を狙って破魔の力を放った。
痛みを感じる事無くお化け達が浄化されていく姿を見つめながら、澪がすまなさそうな顔をして目を閉じる。
「出来れば静かにしておいてあげたかったけど、こっちにも事情があるから……ごめんね?」
光と共にお化けが散っていくと、代わりのように現れた仕掛けに向かって澪が属性魔法を放つ。
「これを壊せば……!」
倒したお化けの数だけ現れる仕掛け、そして魔法陣を無力化しながら澪はまだまだ時間がかかりそうだと、広い洋館に溜息をついたのであった。
大成功
🔵🔵🔵
宵咲・希織
◎
※『』はアルグ
アルグの台詞等アドリブ歓迎
まだ経験は浅いけど、普段から怪異だのUDCだの相手してるし
しかも俺、お兄ちゃんだし…しっかりしなくちゃな
…なんて多少強がりつつ、気合い入れ直して足を踏み入れ
……怖くねえよ?
「怖く…ねえけど、あー、相談はしてえなー」
自分でも白々しいが、俺のアルグ(人形態)を喚ぶ
『……』
「……ごめん」
彼は構わなかったらしく、くしゃりと頭を撫でられ
慣れた体温に俺は安堵して
「…ありがと、アルグ」
彼のあたたかな身体に少しくっついて
たらアルグが突然俺の背後をすげえ勢いで払って
な、なに、怒ったのか?
「あ、アルグ!魔法陣あったぞ!」
わざと明るく言って陣を壊し
…俺の背後に何かいたのか?
●兄としての矜持
まだ年若い青年――と呼ぶには少しばかり幼さの残る瞳で、宵咲・希織(夜さり灯・f43192)はホーンテッドハウスを前にして気合を入れるかのように自分の両頬をペチペチと叩いていた。
「大丈夫、まだ経験は浅いけど普段から怪異だのUDCだの相手してるし」
希織はUDC機関に戦闘員として所属する身、多少の戦闘慣れはしているしお化けみたいなものを相手取っているのだ、これくらいなんてことないはず……と自分に言い聞かせる。
「しかも俺、お兄ちゃんだし」
家に帰れば幼く可愛い妹が待っているのだ、こんな所でまごついている場合ではない。
「うん、しっかりしなくちゃな」
多少の強がりを滲ませた声で呟くと、希織が洋館の中へ入る為足を踏み入れた。
「……うわ」
思わず出た声に、慌てて口を噤む。それから、きょろきょろと視線を彷徨わせて腕を組んで立ち止まった。
「……怖くねえよ? 怖く……ねえけど、あー、うん、そうだな、相談はしてえなー」
希織以外にこの場には誰もいない、お化けは見えたけれど。
「アルグ、――俺の星よ」
囁くような声で、喚びかける。応えたのは希織と縁を結んだアルグという名を持つ邪竜、今は場に合わせ人の姿を取った黒髪褐色の美丈夫であった。
『……希織』
「……ごめん、その、ちょっと相談とか、な?」
別に怖かったわけじゃないけど、と言うよりも早くアルグの大きな手が希織の頭をくしゃりと撫でる。手のひらから伝わる優しい体温に安堵して、気を張っていた希織の表情が僅かに緩んだ。
「……ありがと、アルグ」
『構わない』
彼がそう言うからには、本当に構わないのだろう。幽霊やお化けがいる独特の寒々しい空気にふるりと身を震わせば、まるで温めるかのように希織の背を抱く様にして自分の懐へ入れ――ものすごい勢いで希織の背後を払うように手を動かした。
「な、なに、怒ったのか?」
視界をアルグの胸板に塞がれている希織が、何が起こったのかとジタバタすると漸くアルグが力を緩めて前を向かせてくれる。
『希織』
「何……あ、魔法陣! アルグ、魔法陣だ!」
よかった、見つかって、とわざと明るく言いながら希織が斬霊刀で魔法陣を壊していく。
「あれ……? そういや、お化けを倒さないと魔法陣や仕掛けが現れないって言ってたような……?」
もしかして、俺の背後に何かいた? という視線をアルグに向ければ、そうっと目を逸らされたので希織は気にするのをやめた。その後も気がつけばアルグに抱きこまれていたし、離されると仕掛けや魔法陣が現れるので希織は無心で壊すことに専念するのであった。
大成功
🔵🔵🔵
フィーナ・シェフィールド
アドリブ歓迎です。
黯党、わたしの故郷の世界由来のものが他の世界に御迷惑をおかけするのを見過ごすことはできません!
…とは言ったものの、お化け屋敷…影朧なら平気なんですが、怪談とかお化けはちょっと(かなり)苦手です…
「あんまり怖いのが出てきませんように…」
びくびくしながらホーンテッドハウスの中を進んでいきます。
曲がり角の向こうに何かいないか、後ろから急に飛び出してこないか…
周囲をいつも以上に警戒しながら、忍び足で慎重に進んでいきます。
「いやーっ!」
お化けが出てきたら、UCの中段蹴りから後ろ回し蹴りの2段蹴りで撃退です。
黄金のオーラを纏った脚に破魔と浄化の力を込めて、お化けでも幽霊でもやっつけます!
●お化けっていつもそう
|黯党《あんぐらとう》、とぽつりと呟きながらフィーナ・シェフィールド(天上の演奏家・f22932)がホーンテッドハウスを見上げる。
「わたしの故郷の世界由来のものが、他の世界に御迷惑をおかけするのを見過ごすことはできません!」
実際の関係はまだ解き明かされていない部分もあるが、無関係なわけもない。だからこそフィーナはこの戦いに身を投じたのだ。
「……とは言ったものの、お化け屋敷……ですか」
影朧ならば平気だけれど、怪談やお化けはちょっと……少し……かなり苦手とするフィーナの眉はへにょりと下がっている。けれど、苦手と言うだけで今後の戦局を大きく変えてしまうかもしれない装置や魔法陣が多くある拠点を見過ごすわけにはいかない。
「あんまり怖いのが出てきませんように……」
勇気を振り絞り、祈るような気持ちでフィーナはホーンテッドハウスの扉を開け、仕掛けを壊す為に館内を探索し始めた。
「うう……ここがお化け屋敷じゃなかったら素敵だったでしょうに……」
何せ造りはとてもいいのだ、貴賓を迎え入れる為に作られたのではないかと思う程、調度だってそれなりのもの。幼い頃から質のいい音楽や品々に触れる機会があったフィーナの目は確かなもの、そして鍛えられた耳も。
「ひゃんっ!? い、今何か声が聞こえました……!」
人ならざるモノの声を聞き取って、おっかなびっくり進んでいく。
「う……もしかしたら曲がり角の向こうに何かいるかも……」
恐怖心が倍増されているのだろう、もしかしたらという想像もいつもより具体的だし、周囲をいつも以上に警戒しながら忍び足で進んでいく。
「あら、あれは……」
進んだ先の部屋でラッパ型の蓄音機を見つけ、フィーナの表情が少しだけ和らぐ。この世界のレコードなんかもあるのかしら、と近付いた瞬間だった。
ギィギィという耳障りな音と共に蓄音機の針が落ちレコードが回り始めたかと思うと、ラッパ部分からヒトの形を模したかのような歪な姿のお化けが現れたのである。
『ヒ、ヒヒヒヒヒ!!!』
「いやーっ!!!」
お化けの笑い声、そしてフィーナの悲鳴――観客がいたならば、お化けに食べられてしまうのだろうと予想ができるようなシーン……なのだが、生憎とフィーナはか弱き乙女である前に猟兵。
「はぁっ!」
鋭い気合の声と共に踏み込まれた足、そして鮮やかな中段蹴り。あれ? って顔をしたお化けに畳みかけるように、フィーナが黄金のオーラを纏った脚に破魔と浄化の力を込めて後ろ回し蹴りを決めた。
「もう! お化けは驚かすことばっかりです!」
恐怖より驚かされた怒りが勝ったのだろう、戦闘態勢と取ったままフィーナが憤慨する。
「……あら?」
床に倒れたお化けがスッと消えると、残された場所には魔法陣が浮かび上がっていて、これを壊せばいいのですね、とフィーナがオーラを纏ったままの脚で魔法陣の中央へと踵落としを炸裂させた。
「ふう……怖かったですけど、魔法陣を壊せてよかったです」
きっと他にも沢山あるはずだと、フィーナが張り切って他の部屋へと向かう。勿論、仕掛けや魔法陣を見つけるにはお化けを倒す必要があるので――フィーナの悲鳴と気合の入った声が響くのはすぐのことであった。
大成功
🔵🔵🔵
ツェツィーリア・プファンクーヒェン
お化け。死んでる方ということでありまして、つまり、もうごはんが食べれないのでありますな…!
それは無念であります!かなしいであります!
なのでツェツィーリア、お化け殿達の無念を晴らすべく、捧げる料理を持って参りました!
ウラジオストクの糧食、ツェツィーリアも初めて拝見しました。食べるのが楽しみであります〜
あっお化け殿!いかがでしょうかこの料理!見るだけ嗅ぐだけでも幸せな気持ちになるでありますな!
…ならない?何故?ごはんでありますのに!?
(食への執着が狂気レベルで増幅された猫の図)
ごはん!ごはんの良さを!説きましょう!待つであります!
(お化けをしばきながら、猫魔力で魔法陣や仕掛けに損害を与えていく)
●幸せは美味しいご飯から
お化け、お化けとは何だろうかとツェツィーリア・プファンクーヒェン(|schleckermaul《くいしんぼう》・f42939)は考える。
「お化け……ということは死んでる方ということでありまして、つまり……」
ふっと真剣な表情を見せ、ツェツィーリアはその愛らしい尻尾を揺らす。
「つまり、もう、ごはんが食べられないのでありますな……!」
それはなんて無念で悲しい事なのだろうかとツェツィーリアは思う。そして、もし自分がそうなったらと考えたら、悲しくて悲しくてお腹が空いてきてしまうほどで、尻尾も耳もへちょりと下がってしまった。
「……それは無念であります! かなしいであります!」
ならばどうするか、自分にできることは何か。ツェツィーリアが思いついた名案、それは――。
「なのでツェツィーリア、お化け殿達の無念を晴らすべく、捧げる料理を持って参りました!」
どうしてそうなった? 誰も止めなかったのかな? 猫獣人だから見逃されちゃった可能性はあります。
「ウラジオストクの糧食、ツェツィーリアも初めて拝見しました。食べるのが楽しみであります~」
携帯するのに適したものばかりだが、それでもグルメな町の一つと言われるウラジオストク。缶詰だってしっかりと調理されているし、パンと合わせればご馳走と言ったって過言ではないだろう。
完璧であります! と意気込んでツェツィーリアは洋館の扉を叩き中へと入ると、その辺に居たお化けを取っ捕まえて料理をずずいと差し出した。
「お化け殿! いかかでしょうかこの料理! 見るだけ、嗅ぐだけでも幸せな気持ちになるでありますな!」
現にツェツィーリアはとっても幸せな気持ちだ、あとお腹も減ってきた気がする。
『ナラナイガ……?』
困惑しきったお化けがふるふると首を横に振って否定し、よくわからないけど侵入者だから倒してしまおうとした瞬間。
「……ならない? 何故? ごはんでありますのに!?」
爛々と光る琥珀色の瞳は瞳孔がかっぴらいてまん丸になっていて、これは様子がおかしいのではとこの場に誰かがいたら思ったかもしれない。しかしここにいるのはツェツィーリアとお化けであり、彼女の食への執着が狂気レベルで増幅されてしまったなんてわかるわけもない。
「こうなったら……」
ぶわわ、と彼女の毛が逆立ち猫魔力を纏っていく。
「ごはん! ごはんの良さを! 説きましょう!!」
お化けにもわかるように、念入りに!! あまりの気迫に慄いたのか、お化けがそっと逃げようと後ずさる。
「待つであります!! こうなったら古今東西他世界まで、ツェツィーリアが食べておいしかったものを一から十まで聞かせてさしあげるのであります!!」
勘弁してくれと逃げ回るお化けをしばき、ついでにご飯の良さを説きながら猫魔力により魔法陣や仕掛けを壊していく。ツェツィーリアが満足いくまでごはんの良さを語り尽くした後には、山となった仕掛けの残骸が残っていたという――。
大成功
🔵🔵🔵
ヘルガ・リープフラウ
※アドリブ、連携歓迎
お化け屋敷というには、あまりにもリアルで禍々しい空気
この屋敷中に張り巡らされた呪詛は紛れもなく本物
悪意に満ちた仕掛けが心の奥に刻まれた傷痕を撫ぜる
故郷のダークセイヴァーで経験した、数々の悪意と恐怖が甦る
暗闇の向こうからこちらを伺う影が
記憶を侵食し精神を汚染する不気味な歌声が
背後に忍び寄り囁きかける吸血鬼の息遣いが
こんなにも恐ろしいなんて……!
でも、今のわたくしはこれまでの自分とは違う
天に祈りを捧げ歌う「星導の歌」
勇気を振り絞り、冷静に、しかし確実に
恐怖の源の化け物に「浄罪の懐剣」を突き立て魔術的仕掛けを破壊する
怯えてなどいられない
今度こそ。悪意に泣く人々を守るために
●怯えも全て消し去って
ゲートから転送された先にある洋館――ホーンテッドハウスを前にして、ヘルガ・リープフラウ(雪割草の聖歌姫・f03378)は厳しい眼差しを向ける。
「お化け屋敷というには、あまりにもリアルで禍々しい空気……」
洋館から漏れ出る気配は邪悪そのもの、お化けだなんて可愛らしい言葉で括るには少しばかり不似合いな程。それでも、それはヘルガが館に入るのを躊躇する理由にはならない。放っておけば、大変な事になるのだと肌を刺す空気でわかるのだから。
意を決し、ヘルガが洋館へ足を踏み入れるとお化けの気配はするものの、姿を現そうとはしない。
「……わたくしを怖がらせようとしているのでしょうか」
この屋敷中に張り巡らされた呪術は紛れもなく本物で、それを暴こうとする侵入者に向けられる悪意もピリピリとヘルガの意識を苛んでいる。
「……っ、これが恐怖を増幅するということ……?」
心の奥に刻まれた傷跡を悪意をもって撫でられるように、ヘルガの脳裏には故郷であるダークセイヴァーで経験した数々の悪意と恐怖が蘇っていた。
「いや……っ」
鼓動が早くなり、呼吸が浅くなる。
暗闇の向こうからこちらを窺う何かの影が、まるで今、現実に起こっているかのようにヘルガの五感を刺激して恐怖を再現していく。耳に届くのは不気味な歌声、そして背後から忍び寄り囁きかけてくる忌々しい吸血鬼の息遣い。
血生臭い匂いまで再現するようなそれに、ヘルガが悲鳴を上げそうになりながら、ぐっと堪えた。
「こんなにも、こんなにもわたくしは……っ」
あの記憶を恐ろしく思っているのだと、再認識させられるような強烈な恐怖。
けれど、けれど。
「それでも、わたくしは――!」
その忌まわしい記憶になど負けない、確かなものを心に持っているから。
「今のわたくしはこれまでの自分とは違うのですから……っ!」
涙で滲みそうになる視界を振り切るように、ヘルガが顔を上げて祈るように手を組む。息を整えるように空気を吸い込み、震える唇で歌を紡ぐ。
響くは天に祈りを捧げて歌う『|星導の歌《ヒュムネ・ポラリス》』、勇気を振り絞り、己を蝕もうとする悪意に、化け物に、水晶の刀身に沙羅双樹の花が埋め込まれた短剣を突き立てた。
悲鳴を上げて消えていく化け物の後に残されたのは呪術の仕掛け、それにも短剣を突き立て破壊するヘルガの瞳に怯えは無かった。
「怯えてなどいられないの。今度こそ……今度こそ、悪意に泣く人々を守るために――!」
歌を紡ぎながら、恐怖を切り裂く様にヘルガは残る仕掛けを壊す為に前を向いて進みだすのであった。
大成功
🔵🔵🔵
朱赫七・カムイ
⛩神櫻
何ともおどろおどろしい館だね、サヨ
此処がほーんてっどはうす、か
サヨ?大丈夫かい?
きっとこの不気味な雰囲気に怯えているのだろう…
私の巫女はなんとも可愛らしい…と肩を抱く
大丈夫だ、サヨ
如何なる悪霊が現れようとも私がなんとか……え?
そ、そうだね
サヨは陰陽師の家出身であった!
……斬…って、うん……サヨらしいな
ともあれ、私は斯様な場所に馴染みが薄い
十分気をつけよう
!!
この者…首がない!
早速現れた者に慄く…きっと深い理由があり故に今この時まで彷徨っているのだろう
可哀想に…
送桜ノ厄神──憐れみと共に霊達を送ろう
厄を祓い、天へ還す
其れが私の役目
そうだろう、サヨ
怖がる姿…は
愛しい巫女の前では見せられないな
誘名・櫻宵
🌸神櫻
ここが噂のホーンテッドハウスね
立派な洋館だけど気味が悪い
ぞくりとして己の身を抱く
主に恐怖ではなく期待で
カムイ、私は陰陽師の家の生まれ
魑魅悪霊との対峙は日常茶飯事!
バッサバサと斬り倒したわ
私の除霊は斬撃なの
その方が速いんだからっ
私の禍津神様のお化け屋敷耐性は?
楽しみね
ほら!来たわ
首なしの幽霊…
怖いでしょ?
…この神、霊を哀れんでいる…
なんて慈愛に溢れ…じゃなくて!
もうっお化け屋敷なのに!
浄華
破魔の斬撃を繰り出し立ち塞がるお化けも仕掛けもぶっ飛ばしながら進む
カムイったら一々、憐れみを向けて厄祓いしようとする…
まぁこれはこれで…私の神様のいいところ、かしらね
怖がってる姿も見てみたかったのだけど
●お化け屋敷にかける期待
「ここが噂のホーンテッドハウスね」
誘名・櫻宵(咲樂咲麗・f02768)が着物の袖口を口元にあて、訝し気に洋館を見上げる。
「立派な洋館だけど、気味が悪い……」
「何ともおどろおどろしい館だね、サヨ」
此処がほーんてっどはうす……と、慣れぬ名称を朱赫七・カムイ(禍福ノ禍津・f30062)が口にしながら櫻宵に視線を向けると、ふるりと身を震わせて己の身を抱く姿が見えて。きっとこの不気味な雰囲気に怯え、それでも気丈な姿を見せようとしているのだろうとカムイが声を掛ける。
「サヨ、大丈夫かい?」
「カムイ……」
自分を見つめてくる儚げな表情に、思わずカムイが肩を抱く。その細さに改めて思うのは、私の巫女はなんとも可愛らしく愛おしいのだろうかということ。私が護らなくては……! という気持ちが満ち溢れ、櫻宵を安心させる様に抱いた肩を自分へと引き寄せた。
「大丈夫だ、サヨ。如何なる悪霊が現れようとも私が」
「楽しみね、どんな悪霊が出てくるのかしら!」
「なんとか……え??」
胸の中から聞こえてきた、思っていたのとは全く違う言葉にカムイが思わず聞き間違えただろうかと櫻宵を見遣る。
「サヨ、怖くは……」
「ないわ! いやね、カムイったら。私は陰陽師の家の生まれよ?」
言われてみれば、そうだったなとカムイは思う。
「そう……そうだね、サヨは陰陽師の家出身であった!」
「魑魅悪霊との対峙は日常茶飯事! バッサバサと斬り倒したわ」
「……斬……って、うん……サヨらしいな」
「私の除霊は斬撃なの、その方が速いんだからっ」
むん、と力こぶを作って見せながら櫻宵が笑う。そんな私の巫女も愛らしく頼もしい……でもなんだろう、頼られたかった気もするね……とカムイが複雑な気持ちが混じった何とも言えない笑みを返した。
「ところでカムイ」
「なんだい?」
「私の禍津神様のお化け屋敷耐性は?」
「どうだろうね……?」
「そうよねぇ、実際に体験してみないとわからないわよね」
「お化け屋敷耐性はともあれ、私は斯様な場所になじみが薄い。十分に気を付けようと思っているよ」
「ええ、その意気よ! うふふ、楽しみね」
それじゃあ行きましょう、と楽しそうに笑った櫻宵が先陣を切るように洋館の扉へ手を掛けた。中へ入れば、外で感じていたおどろおどろしい気配や気味の悪さは肌を突き刺すかのような勢いだ。
「いいわ……とってもいいわ! 本物が出る場所ねっ!」
「サヨ、本物が出ると聞いていたじゃないか」
「百聞は一見に如かずよ、カムイ! あ、ほら! 来たわ!」
櫻宵が指さした先から、首なしの幽霊が現れる。如何にも怨念をその身に宿した様相で、櫻宵がカムイはどんな反応をするのかしら! という期待に満ちた瞳で振り返った。
「!!! サヨ、この者……首がない!!」
「そうよ、首なしの幽霊よ……怖いでしょ?」
ハッと目を瞠ったカムイに、櫻宵がわくわくとした気持ちでうんうん、と頷く。
「なんということだ……」
ふるふると慄き、カムイが悲し気に目を伏せる。
あれ? と櫻宵が小首を傾げ、なんだか思っていた反応と違うわ……? と、首なし幽霊とカムイを交互に見遣った。
「……きっと、何か深い理由がある故に今この時まで彷徨っているのだろう」
首を失くすほどの、深い理由が――。伏せた目を上げ、カムイが優し気な瞳で首なし幽霊に語り掛ける。
「可哀そうに……」
いやだこの神、霊を怖がるどころかその境遇を哀れんでる。
「サヨ、この者を送ってやろう。其れが私の役目……そうだろう、サヨ」
「なんて慈愛に溢れ……じゃなくて! もうっ! お化け屋敷なのに!!」
思ってたのと違うわ! そう思いながらもカムイが朱砂の太刀を抜き、祈りを籠めた一撃を放つのに合わせて櫻宵も破魔の斬撃を放った。
苦しむことなく浄化された首なし幽霊が残したのは呪術の仕掛け、ちょっとした八つ当たりも込めて櫻宵がこれをぶち壊す。
「サヨ、ここには苦しむ幽霊が他にもいるのだろう?」
「そうね、沢山いるって聞いたわね」
「そうか……ならば全て厄を祓い、天へ還そう」
その言葉通り、その後もカムイは見つけた幽霊全てを厄祓いしていく。
「カムイったら、一々憐れみを向けて厄祓いしようとする……まぁこれはこれで……私の神様のいいところ、かしらね」
優しくてかぁいらしい、私の。
「それはそれとしてよ! 私はカムイが怖がってる姿も見てみたかったのだけど!」
「怖がる……姿かい?」
櫻宵がぷう、と頬を膨らませるものだから、カムイが少し困ったような顔をして彼を見遣る。
「そうだね、怖がる姿は……愛しい巫女の前では見せられないな」
できることならば、格好いい姿だけを見せたいものだからね、とカムイが幽霊を浄化しながら笑うのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
朱酉・逢真
【オセロ】
心情)よォう、おふたりさん。お誘いに応じてくれてありがとなィ。怖いのは得意かね? 俺ァ得意だよ。怖がらせるのはもっと得意サ。何ンだい白いの、そンな強調せンでも聞いてたってェ。だいたい、俺ァ壊そうとしたことはそンな無いよォ。そォいや黒兄さん、彼女サンはホラー平気かね? なるほど、さっさと済ましちまおうかィ。
行動)ちびすけに乗って進むよ。霊や何ンやらの気配がしたら教えよう、って白いの足速、ギャッ(でかい声x2で耳が死んだ) やべェ何ンも聞こえねェ。黒兄さん大丈夫かね? ハンドサイン、大丈夫そォだな。とりま出現した魔法陣を霊的に腐食させるよ。ちびすけ、ター子? 坊? の紐踏ンで抑えな。
スキアファール・イリャルギ
【オセロ】
ふふふ、あの時はドキドキがいっぱいでしたねぇトーさん
私も立場的には怖がらせる方ですから大丈夫です
コローロは…
(影人間にぴったりくっついているひかり)
そうですね、早く終わらせましょう
まぁね、夜の校舎や朱酉さんたちと一緒に行ったお化け屋敷よりはよゆ――
ウワアーーーーッッ!?
(声に吃驚!)(大絶叫)
(ひかりも吃驚したので"色"の弾丸を撃ってる)
ハッ! すみません大声を!
私は大丈夫ですがおふたりは大丈夫で――
あっかみさまの耳が死んでる…申し訳ない
(ハンドサインしつつ)
コローロもごめん…
Oh,タタラさんお元気…
(一応股を潜られないよう脚をきゅっと揃えた)
あっ、私も霊障で魔法陣破壊のお手伝いを!
茜崎・トヲル
【オセロ】
おばけやーしきっ!ひさしぶりー!
まーえに、あーさんと、夜の校舎にいったよねー!
かみさまとどっか行くのも、ひさしぶり!
建物壊しちゃだめだって!かみさま!だめだって!ね!
きょーふしんかー!でーも、おれたちはよゆー!
はっ!そうだ、コロちゃんやばじゃん!はやくおわらそーね!
(親方!曲がり角からゾンビが!)
ほぎゃーーーーっ?!(※恐怖心は平気でも、驚き心は持ってたので、ぞーふくされたよ!)
ああっ、おれの声にびっくりしたスーさんが!連鎖して!コロちゃんとかみさまごめーん!
あっびっくりしてタタラさんのひも手放しちゃった!
ああ……(おばけたちの股下を元気にくぐる姿が!)
●お化けも鳴かずば
|ちびすけ《軍馬サイズの子猫》の背に乗り、高い所から悪いねとばかりに朱酉・逢真(朱ノ鳥・f16930)が笑う。
「よォう、おふたりさん。お誘いに応じてくれてありがとなィ」
本物のお化け屋敷を前にしてもいつも通りな逢真を見上げ、スキアファール・イリャルギ(抹月批風・f23882)が笑みを返す。
「いえ、こちらこそお誘いありがとうございます」
「ところでな、おふたりさんは怖いのは得意かね? お化け屋敷ってやつなんだが」
「おばけやーしきっ! ひさしぶりー! かみさまとどっか行くのも、ひさしぶり! だから全部おっけー!」
お出掛けだ! とはしゃぐのは茜崎・トヲル(白雉・f18631)で、その行き先がお化け屋敷であっても怯む様子はない。
「まーえに、あーさんと、夜の校舎にいったよねー!」
あれもお化け屋敷みたいなものだった、七不思議と遭遇するような校舎だったのだ。
「ふふふ、あの時はドキドキがいっぱいでしたねぇトーさん」
懐かしむ様な顔をしたスキアファールに、逢真がふむと頷く。
「そンなら平気そうだなァ。ちなみに俺ァ得意だよ。怖がらせるのはもっと得意サ」
「私も立場的には怖がらせる方ですから、大丈夫です」
得意かはわかりませんが、とスキアファールが言うと、トヲルがスーさんは優しいからー! と言って頷く。
「あ、かみさま! 今回は建物壊しちゃだめだって! かみさま! だめだって! ね!!」
トヲルがふと、案内をしてくれた猟兵――鴇の顔を思い出したかのように逢真に言う。大事な事なので、二回続けてだ。
「何ンだい白いの、そンな強調せンでも聞いてたってェ」
「気のせいじゃなければですけど、朱酉さんの方を見て言ってた気がしますしね……」
「めちゃくちゃ、判子押してたもんね」
「トーさん、それを言うなら念を押していた、ですよ」
「あ、そーだった! そう、念を押してた!」
言われてみればそうだったかもしれないが、その時には既に白いのと黒兄さん呼んでやろうと思っていたので逢真はよく覚えていない。
「そうは言うけどよォ、だいたい俺ァ壊そうとしたことはそンな無いよォ」
そんな、と言う言葉が付くってことはあるってことで。一度ある事は二度あるし、二度あることは三度あるのだ。
「だめだからねっ!」
「そうですね、今回ばかりは壊すとまずそうですし」
「壊さンってェ」
気を付ける、と約束してから、逢真がスキアファールにぴったりとくっついて離れないコローロに視線を向ける。
「そォいや黒兄さん、彼女サンはホラー平気かね?」
「コローロは……」
そう言われ、スキアファールが胸の傍にくっつくコローロを見遣り、ゆっくりと首を横に振った。
「はっ! そうだ、コロちゃんやばじゃん! はやくおわらそーね!」
「そうですね、早く終わらせましょう」
「ン、そうと決まれば行くとするかァ。さっさと済ましちまおうかィ」
コローロの為に、とここで三人の心は多分一致した。そう、最速クリア――RTAお化け屋敷の始まりである。
「たーーのもーー!!」
バァン! と勢いよくトヲルが扉を開け放ち中へと入ると、二人がそれに続く。
「お邪魔しますね」
「邪魔するよォ」
家宅捜索も斯くやな動きで、まずは一階から検めて行こうと進んでいく。勿論逢真はちびすけの背に乗ったままだ。
「そういえばー、きょーふしんをぞうふく? するんだっけー」
「そうらしいな。マ、俺には関係のない話だね。それに霊や何ンやらの気配がしたら俺が教えよう」
「そーそー、おれたちはよゆー! かみさまナビゲートがあるなららくしょー! コロちゃんだけちょっと心配だけどー、あーさんにくっついてたら、だーいじょーぶ!」
一番安心できる場所だもんね、とトヲルが笑った。
「恐怖心……」
そんなに怖がりだとは思わないけれど、そう言われるとちょっと不安になるのがスキアファール。でも考えてみれば、今までのあれこれを思えば可愛いものではないだろうか。
「まぁね、夜の校舎や朱酉さんたちと一緒に行ったお化け屋敷よりはよゆ――」
「あ、そこいるぜ。って白いの足速」
そこ、と示したのは曲がり角の先。よくあるホラー映画やゲームでもありがちな、親方! 曲がり角からゾンビが! というやつだ。
「ほぎゃーーーーーっ?!」
恐怖心は平気だけれど、驚き心は持ち合わせていたトヲルの|驚心《きよう》はめちゃくちゃに増幅されて、思わずクソデカボイスで叫んでしまい。
「ウワアーーーーッッ!?」
そのトヲルのクソデカボイスに吃驚したスキアファールが、つられて鍛えられた複式呼吸でトヲルを上回るクソデカボイスで叫んでしまい、更に驚いたコローロがその弾みで『色』の弾丸をゾンビに撃って。
「ギャッ」
クソデカボイス×2で、無事に逢真の耳が死んだのであった。
早速大惨事である、ここに桜の彼がいればまだ……いやそんな事はなかったね、結果は同じだね。
「ああっ、おれの声に吃驚したスーさんが! 連鎖して! コロちゃんとかみさまごめーん!」
「ハッ、すみません大声を!」
大丈夫ですか、と心配気にスキアファールがコローロと逢真の無事を確認する。
「やべェ何ンも聞こえねェ」
「あっかみさまの耳が死んでる……申し訳ない……」
「かみさま、鼓膜もよわっちかったんだね……」
「聞こえてないンだがよ、何ンか馬鹿にされてンのだけはわかるな」
馬鹿にしてないよー! と首をぶんぶん横に振るトヲルをジト目で見つつ、逢真がスキアファールへ視線を向ける。
「黒兄さん大丈夫かね?」
「はい、大丈夫です……って聞こえてませんよね」
ここはハンドサインでと、なんとなく伝わりそうな動きで大丈夫だという事と、謝罪を伝える。
「ふむ、ハンドサイン。大丈夫そォだな」
「おれは!? ねー、かみさまおれはー!?」
「白いのは聞かンでも大丈夫だろ」
聞こえちゃいないがなんとなくわかる、と逢真が適当にあしらっている横で、スキアファールがぴったりと自分にくっついているコローロを撫でるように指先を向けた。
「コローロもごめん……」
しょんぼりしているスキアファールに、大丈夫と言うようにコローロが点滅して見せる。
「健気だねェ」
「ほんと、コロちゃんっていいひとー! ところでさー、かみさま」
かみさま、とトヲルがジェスチャーを含めて呼びかける。
「何ンだい」
対する逢真も、トヲルのジェスチャーと唇の動きでなんとか何が言いたいのかを理解しようと目を細めた。
「おれ、さっきびっくりしてタタラさんのひも手放しちゃった! ……やばい?」
さっきまでトヲルが手にしていたリードの先にいた、白いあひる。タタラさんと名付けられたそれは、元はと言えば逢真が贈ったアフィラーマジムンと呼ばれる魔物。大きくも小さくもなり、人の股下をくぐって命を奪わんとするものだ。
「……お化けや悪霊やゾンビ相手ならいいが、うっかり他の猟兵の股下くぐっちまったらヤバいな」
「だよねーーー! うわーー、タタラさん、タタラさーん!」
慌てて曲がり角を曲がり、タタラさんを探そうとした一行は目撃する。曲がり角の先で、それはもう元気にお化け達の股下をくぐるタタラさんの姿を――!
「Oh,タタラさんお元気……」
万が一の為、股下を潜られない様にスキアファールが長い脚をきゅっと揃える。
「元気なのはいいンだがなァ……ちびすけ、ター子? 坊? の紐踏ンで抑えな」
そこいらにいたお化け達が軒並み消滅していくのを眺めつつ、逢真がちびすけに命じると主の声に応えてちびすけがたしっとタタラさんのリードを踏み抑えた。
「ありがとー! タタラさん、ほら!」
紐を再び手にし、よかったーとトヲルが安堵の笑みを浮かべる。
「タタラさんのおかげで、魔法陣やら仕掛けやら、大量ですね……」
「結果おーるばっくってやつ?」
「結果オーライ、ですかね」
「それー!」
「結果的にはなァ」
そう言いつつ、逢真が魔法陣を使い物にならなくする為、霊的に腐食させていく。
「あっ、私も霊障で魔法陣破壊のお手伝いを!」
「あ、じゃあおれはタタラさんと一緒におばけたおしてくる!」
タタラさんがやる気だからー! と、トヲルが駆けだした後を逢真とスキアファールが仕掛けを壊しながら、ゆっくりと追い掛けるのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
終夜・嵐吾
【雅嵐】
お化け屋敷?
ふふん、作り物じゃろ!えっ、ちが、えっ???(尻尾をぶわわさせ)
……ほ、ほんもの…い、いや、こ、こわくなど、こわくなど…!!
せ、せーちゃん、さ、さきに行ってええよ!
あっ、でもわしと離れたらダメじゃからね!
ま、まておいていったらだめなんじゃよ!
ひっ!
いいいい、いまなんかおらんかったか!?(びびりまくり)
び、びびってなんておらんよ!おらんからな!
た、たくさん?? じーっとみ、みて?? ひえっ…えっ、えっ、なんでっ
(知らず袖を握り離さないようにしているびびり)
ふぎゃあ! せーちゃん背中をおすっ、ぎゃああ!!
あ、あ……むり、やはりむり…
も、もうぜんぶ、ぜんぶもや、もやしてしまお…!
筧・清史郎
【雅嵐】
お化けさんは大好きだ(微笑み
今回のお化けさんとは友にはなれぬようで残念だが
楽しく遊ぶとしようか
ふふ、らんらんの尻尾は今日ももふもふだな(ガン見
武者震いする姿を頼もしく思いつつ
ふむ、では先に(すたすた
…離れたらダメ?(きょと
ああ、迷子にならぬようにか
俺とらんらんは常に共に在るぞ(と言いつつすたすた先へ
ん?お化けさんが沢山いるが?
先程から俺達をじーっと見ているぞ
照れ屋さんのようだな(微笑み
ふむ、あの角に沢山いる気配
俺の袖を握り締めているらんらんも照れ屋さんだからな
照れ屋な友がお化けさん達と遊べるよう背中を押してやろう(物理的に
ふふ、楽しそうだな、俺とも遊んでくれ
桜嵐でにこにこ敵を蹴散らそう
●お化け屋敷の明と暗
どうして来てしまったのか――後悔とは後から悔いると書いて後悔と読むんじゃな……と現実逃避めいた事を思いながら終夜・嵐吾(灰青・f05366)が洋館を見上げるその横で、筧・清史郎(桜の君・f00502)はお化けさんか、と穏やかな笑みを浮かべていた。
「俺はな、お化けさんが大好きだ」
「聞いとらんが……」
「だからな、お化け屋敷も大好きなのだ」
「じゃから聞いとらんて……」
ぺしょんぺしょんになった尻尾を震わせながら、嵐吾が改めて洋館……ホーンテッドハウスに視線を向けた。
いやでもお化け屋敷って普通は全部作りものであるし、今回もそのはず。そうだと言って欲しい、と思いながら嵐吾が清史郎に向かって口を開く。
「いうて作り物じゃろ! お化け屋敷っていうのは大抵正体見たり枯れ尾花というやつじゃ!」
「何を言っているのだ、らんらん。本物だと案内してくれた猟兵も言っていただろう? 今回のお化けさんとは友にはなれぬようでな、俺は残念なのだが」
「えっ、ちが……? えっ???」
本物? もしかしてあの窓際に映る影も人ではない?? そう認識した瞬間、嵐吾のぺしょんぺしょんにしょげかえっていた尻尾がぶわわっと膨らんだ。
「ふふ、らんらんの尻尾は今日ももふもふだな。うんうん、お化け屋敷だものな、わくわくするのもわかるぞ」
顔を埋めたら気持ちがいいだろうなと誰もが思う尻尾をガン見しつつ、清史郎が分かっているぞ、とばかりに頷く。
「……ほ、ほんもの……い、いや、こわ、こわくなど、こわくなど……!!」
怖くなどないと言うものの、嵐吾の身体は恐怖でぷるぷるとしている。
「武者震い……というやつか、さすがらんらん、頼もしいな」
「ふえ……」
違うんじゃ、そうじゃないんじゃ、という気持ちを込めた顔で清史郎を見遣るけれど、何ひとつ伝わってはいない。
「うう……せ、せーちゃん、さ、さきに行ってええよ! せーちゃんはお化け屋敷好きなんじゃろ」
「ふむ、では先に……楽しく遊ぶとしようか」
早く中に入ってみたいと思っていたので、丁度いいとばかりに清史郎が扉を開け、お邪魔しますと礼を尽くして中へと上がった。
「あっ、でもわしと離れたらダメじゃからね! って、あっ、あっ、早いんじゃ!」
躊躇う事無くスタスタと進んでいく清史郎を追いかけ、嵐吾も中へ入ると勝手に扉が閉まる。
「ひっ! ま、まて、おいていったらだめなんじゃよ!」
びくーーん! と伸びた背筋のまま、嵐吾が清史郎の袖を掴み、置いて行くなと訴える。
「……離れたらダメ? ああ、迷子にならぬようにか」
「そ、そうじゃ!」
「らんらん」
「な、なんじゃ?」
「大丈夫だ、俺とらんらんは常に共に在るぞ」
にこ、と安堵させる様に微笑みを向けられ嵐吾もつられるように笑みを浮かべ、そうじゃよな! と掴んでいた袖をうっかり離す。
「うむ、だから安心して付いてくるんだぞ」
「えっ」
袖を離した瞬間に、清史郎が再びすたすたと先へと進んでいく。
「なーんも安心できんのじゃが!」
うわぁん、と半泣きになりつつも、置いて行かれては堪らないと嵐吾が清史郎と離れないように竦む脚に叱咤しつつ駆けだした。
「ひっ!」
「どうしたのだ?」
何とか追い付いて、今度こそこの袖は離さないとばかりにくっついていた嵐吾が上げた悲鳴に、清史郎が立ち止まる。
「いいいい、いまなんかおらんかったか!? 一応言っておくが、び、びびってなんておらんよ! おらんからな!」
「うんうん、らんらんはお化け屋敷を楽しんでいるのだものな? そうだな……お化けさんなら沢山いるが? それ以外となると、俺達だけだな」
「いや楽しんではおらん……え? た、たくさん??」
「ああ、先程から俺達をじーっと見ているぞ」
「じーっとみ、みて?? ひえっ……えっ、えっ、なんでっ」
お化けに見られるような事はしていないはずだと嵐吾は思うが、そりゃあ侵入者なのだから監視されてもおかしくはないのだ。
「恐らくだが……」
「う、うん」
「照れ屋さんなのだろうな」
そんなわけなかろ、という言葉は『ひえ……』という声にしかならず、嵐吾は今からでも帰るべきではないかと無意識に清史郎の袖を強く握る。
「ふむ、あの角に沢山いる気配がするな」
「た、たくさ、ひえ」
「照れ屋と照れ屋ではな……」
自分の袖を握りしめる嵐吾も、お化けに対して照れているのだなと清史郎は思う。
「こういう時はどうするのだったか……ああ、背を押すのだったな」
照れ屋な友が、照れ屋なお化けさん達と遊べるように。なんでも最初の一歩が肝心なのだと頷いて、清史郎が袖を掴む嵐吾の手を取った。
「せ、せーちゃん?」
「らんらん、何事にも初めてはあるものだ」
「う、うん?」
「だから、ほら」
ほら、と言った瞬間に嵐吾は背中を強く押され、その力に抗えず数歩前へ進んでたたらを踏んだ。
「ふぎゃあ! 何するんじゃ、せーちゃんっ、背中をおすっ、おしたら、お化けに……ぎゃああ!!」
見事にお化けとご対面した嵐吾が絶叫にも似た悲鳴を上げる。それと同時に、お化けもやんのかこら、とばかりにわらわらと嵐吾に向かってきて。
「あ、あ……むり、やはりむり……」
むりぃ……と嵐吾がお化けに囲まれる姿を清史郎は仲良きことは美しきかな、と微笑ましく眺めている。
「ふふ、楽しそうだな」
「も、もうぜんぶ、ぜんぶもや、もやしてしまお……!!」
増幅された恐怖はどうやら嵐吾の何かを振り切ってしまったらしい。全部燃やして解決してしまおうと、嵐吾がありったけの狐火を放った。
「きゃんぷふぁいやーというやつだな。どれ、俺ともあそんでくれ」
にこにこ笑顔で清史郎が桜の花弁を舞わせ、お化けを蹴散らしていく。
「楽しいな、らんらん」
「うう、わしは、わしはなんもたのしくないい……!」
楽しそうな清史郎に、半泣きの嵐吾。あまりにも対照的な二人は、この後もお化けを燃やし、魔法陣や装置を壊しながらホーンテッドハウスを隅から隅まで巡るのであった。
大成功
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シビラ・レーヴェンス
露(f19223)
街中に様々な魔術的な仕掛けか…とても興味深い。
希望としては街中全ての仕掛けを目にしたいが…。
とりあえず目的の洋館へ。
「暗いな。足元に注意して進むぞ」
館内を移動する際は周囲の警戒を左右分担して進む。
私は左側の注視と気配を探ろうと思う。露は右側だ。
照明に大きいランタンを二つ用意していてよかった。
…。
何時ものようにくっついて歩く露が興奮している気がする。
恐怖心よりも心が躍っている時のような高ぶりを感じるな。
…なんだか楽しんでいるような…?
「露…しがみつかないでくれ。うっとおしい」
霊体が次々と出現する度に露は必ず私にしがみ付いてくる。
うっとおしいし動き難いから邪魔だ。行動も理解できん。
リミッター解除した全力魔法の【砕霊呪】を行使し撃退する。
見切りと野生の勘と第六感で行動予想をして攻撃を回避。
露がしがみついてきて素早く避けることが難しいからな。
退治後は洋館内の『仕掛け』を探して破壊しよう。
『仕掛け』に【砕霊呪】を放てば壊れてしまうはずだ。
「やっと終わったな。…やれやれだ…」
神坂・露
レーちゃん(f14377)
洋館はともかく魔術ってレーちゃん好きそうよね。
だからなのか上機嫌で目的地に向かってるわ♪
「はーい。レーちゃん、怖いわ♪ 怖いわ~♪」
洋館内を進む時はレーちゃんにしっかりくっつくわよ。
だってだって離れたら個別に倒されちゃうんだもの♪
(UDCアース世界のホラー映画や小説の知識)
レーちゃんが左を警戒するからあたしは右を警戒ね。
二つあるランタンの一つを貸して貰って歩くわよ。
「ゑ? 楽しんでなんかないわよ? 怖いもの」
「きゃー♪ あたし怖いわ、助けて♪」
更にぎゅぅーってレーちゃんにしがみ付いちゃうわ。
レーちゃん優しいから言葉だけだから優しいわよね。
「こわ~い♪ …えへへ~♪」
くっつきながらあたしも【闇狼】でお化けに触れるわ。
殴るってよりもタッチって感じで触れてみようと思う。
あたしがくっついてる所為で動きが鈍ってるんだもの。
これくらいはしないと!
「え? 闇狼で…この陣を触れるの?」
魔法陣とか呪術とかの仕掛けを壊すのにも【闇狼】ね。
なんでも闇狼で魔術抵抗を破壊するとか…?
●ホーンテッドハウスのお約束
今回の戦争では、このウラジオストクの街中に多くの魔法陣や呪術的仕掛けが敷かれている。それらは全て異世界より『悪魔の王』と称される超強大な悪魔ダイモンを呼び寄せる為の大規模儀式魔術の一部である――そう聞いて、シビラ・レーヴェンス(ちんちくりんダンピール・f14377)は一も二もなくゲートの先へ向かうことを決めた。
「ふむ……とても興味深い」
洋館の前に立ちつつも、ちらりと街の方へと視線を向ける。
「希望としては街中全ての仕掛けを目にしたいが……」
さすがに無理か、と諦めてまずは件の洋館だなと目を細めた。
「洋館はともかく、魔術ってレーちゃん好きそうよね」
「好きかどうかは別としても、とても興味深いな」
何せ街全体を巻き込むような大規模な儀式魔術、気にならない方がおかしいとまでシビラは思いつつ、隣に立つ神坂・露(親友まっしぐら仔犬娘・f19223)をちらりと見遣った。
「そうよね~、だってレーちゃんったらとってもご機嫌なんだもの♪」
「私の機嫌……?」
いつも似たようなものだが、見てわかるほどなのだろうかとシビラが軽く首を傾げる。
「うふふ、あたしだけがわかるのがいいのよ~♪」
「……わけがわからんな。まぁいい、さっさと行くぞ」
早く魔法陣や仕掛けに施された呪術がどんなものか見たいという、知的好奇心がシビラを突き動かす様に扉を開けて中へと進ませた。
「すごーい、とっても広いのね! 外から見た時も広いと思ったけれど、中もとっても広いわ♪」
「そうだな、迎賓館とまではいかないが……人をもてなす為に作られた洋館なのかもしれんな」
「なのに今じゃお化け屋敷になっちゃってるのね……なんだか可哀想だわ」
しんみりとした露を横目で見つつ、このまましおらしく大人しく静かにしていてくれればいいのだが、なんてシビラが思いつつ取り出したランタンのひとつを露へと渡す。
「館内は暗いな、足元に注意して進むぞ」
「うふふ、お化け屋敷だものね、本物が出るんだものね」
シビラからランタンを受け取り、露がさりげなくシビラにぴたりとくっつく。
「どこから敵が来るかわからないからな、移動する時は周囲の警戒を分担する」
「わかったわ♪ あたしはどこを警戒すればいいのかしら?」
「私は左側の注視と気配を探ろうと思う。露は右側だ」
「じゃあ……こっちね♪」
こっち、と言って露はシビラにくっつく側を右側へと変え、左腕をシビラの右腕に絡ませた。
「……露、邪魔だが」
「え~~? これが一番安全よ? 安全なのよ?」
「はぁ……」
ここで押し問答をしていたって何も始まらない事をシビラは知っているので、早々に諦めて館の中を探索することにした。
「……いくぞ、露」
「はーい。レーちゃん、怖いわ♪ 怖いわ~♪」
怖いからくっついているのだとアピールするように、露が怖いわ~♪ あっちから何か出てきそうだわ~♪ などと話しかけてくる。
「……」
鬱陶しいだけならまだしも、うるさいまで付属されるとは。少し冷静になって、シビラが露を観察するようにして歩く。勿論、左側の警戒は怠らず、でだ。
少しの間観察した結果、いつもより興奮しているような気がする。恐怖心が増幅されているという感じではなく、心が躍っている時のような高ぶりと言うか……と考察していると、露がむぎゅ~~っと力を入れて更にシビラにくっついた。
「露……」
「だってだって、離れたら個別に倒されちゃうんだもの♪」
「何の話だ?」
「えーっとねぇ、UDCアースで見たホラー映画や小説じゃ、はぐれた人からお化けにやられちゃうのよ♪」
「創作物と同じにするな」
「え~~でもでも~♪」
しかし、確かにはぐれた者から――戦力を分散させた先から潰すのは定石。あながち馬鹿にもできないか、とシビラが溜息を零す。
「うふふ、うふふ♪ 怖いわ~、怖いわ~♪」
「うるさい……いつもよりうるさい……。露、君……なんだか楽しんでいないか……?」
「ゑ? 楽しんでなんかないわよ? 怖いもの」
怖いわよ? 怖いのよ? なんて、瞳で訴えつつ、絶対に離れないというように頬をシビラの腕に摺り寄せた。
その状態で暫しの間、薄暗い廊下を進んでいくと霊体――お化けが侵入者を排除するかのように二人の前に姿を現す様になる。しかしその度に露がぎゅ~~っとシビラにしがみ付くのだ。
「露…しがみつかないでくれ。うっとおしい」
「やだやだ♪ きゃー♪ あたし怖いわ、助けて♪」
「はぁ……」
鬱陶しいし、動き難くて邪魔だと何度いっても無駄なので、シビラが仕方なくお化けに向かって攻撃を放つ。
「リミッターを解除した全力魔法だ、とくと味わえ」
お化けを包み込む青白い光の柱、それは肉体を傷付けずに邪心の身を攻撃するもの。既に肉体のないお化け相手であれば、邪心を滅した時点でお化け自体も消えるのだ。
「露、取り敢えず消えたぞ」
「ほんとに? うふふ、でもまだこわ~い♪」
「はぁ……露」
「……えへへ~♪」
シビラの優しさに甘えながら、露が笑みを浮かべる。本当に鬱陶しいのであれば、実力行使で振り払えばいいのだ。けれど、露に対してシビラはそれをしない。
「レーちゃんって、本当に優しいのよね……♪」
「何か言ったか?」
「ううん、なぁんにも♪ レーちゃん、大好きよ!」
「……?」
怪訝そうな顔をしたシビラに笑い、露があたしもお化け退治をしなくちゃね、と右側より忍び寄ってきたお化けに精霊力を籠めた淡い青色に染まった手で触れた。
その間にも、お化けは二人を倒す為にやってくる。シビラは露がしがみ付いている状況でも冷静に相手の動きを見切り、攻撃を回避しながら『砕霊呪』を放つ。もちろん露も、自分がくっ付いている事でシビラの動きが鈍くなっているのは承知の上、それをカバーするべく『闇狼』の力で打ち漏らしを潰していった。
「あらかた潰したか……?」
「そうね、そうね、お化けさんの気配、感じない気がするわ♪」
そして、その代わりのように多くの魔法陣や仕掛けが残されている。
「後はこれを壊せば終わりか。露、君も手伝ってくれ」
「どうすればいいの?」
「君の闇狼で触れればいい。私は砕霊呪で壊す」
「え? 闇狼で……この陣に触れるの?」
「魔法陣や呪術的な仕掛けであれば、魔術抵抗を破壊することで魔法陣自体を壊せるはずだ」
「よくわからないけど、レーちゃんが言うならやってみるわ!」
シビラの助言通りに触れてみれば、なるほど確かに魔法陣が消えていく。呪術的な仕掛けも音を立てて壊れていくので、ちょっと楽しくなってあっちこっち露が触っては無力化していく。
「やっと終わったな。……やれやれだ……」
「もうおしまい? おしまい?」
「ああ、確認したがこの館にはもうお化けとやらはいない」
「やったわー! じゃあじゃあ、お家へ帰りましょ♪ 帰りましょ♪」
「何を言っている、街にはまだ仕掛けが残っているかもしれないからな、それを見に行くぞ」
「え……?」
え~~~~?? という露の声を無視し、シビラが残っているかどうかはともかく街の様子を見るべく、露を引きずるようにしてホーンテッドハウスではなくなった洋館を後にするのであった。
大成功
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