2

獣人世界大戦③〜ゾルダードにはキャバリアを

作者：黒代朝希

「進軍すさまじいわね。今回は獣人戦線のモスクワに行ってもらうわ」
　そう言って金の縦ロールを靡かせるシカのグリモア猟兵であるレヴィア・イエローローズ（亡国の黄薔薇姫・f39891）はロシア西部の大都市モスクワで、ゾルダートグラード軍とワルシャワ条約機構軍が激突している戦場についてブリーフィングを行っていく。
　そこでは両方の勢力に奇襲を仕掛け戦力低下を狙う作戦。
　今回は競り合う二軍勢のうち、ゾルダートグラード軍のオブリビオンを狙って強襲を仕掛けるという訳だ。
「ゾルダートグラードの戦力はキャバリア……機械化帝国の強みを活かす超大国ならではね」
　レヴィア自身もパンツァーキャバリアの操縦者。
　キャバリアの戦術的価値は非常に理解している。
「だからこそ、今回は『キャバリア部隊を用いた奇襲作戦』を敢行するわ」
　同じキャバリア使いであるなら、キャバリアに精通した猟兵の力を纏めてぶつける事で大きくゾルダートグラードの戦力を低下させる事が狙えるはず。
　其れがレヴィアの作戦だ。
「何時ものようにキャバリアは貸し出しも出来るわ。無論個人で所有しているキャバリアがあるならそれを使って戦って頂戴」
　今回の『獣人世界大戦』によってレヴィアは多くの軍事戦力を確保している。
　その中には多数のキャバリアも保有されているのだ。
「作戦としてはゾルダートグラード軍の背後を突き、そこから瓦解させるように奇襲を続けるというものよ。歴戦の猟兵ならば簡単に遂行できるはずだわ！」
　そう言ってレヴィアは自身のグリモアである黄薔薇を展開。
　獣人戦線のモスクワに猟兵を転移させるべく起動させていくのであった――

第1章 集団戦 『パンツァーキャバリア『アイアン・サム』』

POW   :    ファイヤフライ 【17ポンド対戦車砲】から【激しい閃光と共に放たれる砲弾】を放ち、レベルｍ半径内の敵全員を攻撃する。発動前の【装填時間と狙撃】時間に応じて威力アップ。 SPD   :    イージーエイト 自身が操縦する【パンツァーキャバリア】の【主砲威力】と【装甲】を増強する。 WIZ   :    スーパーサム 自身の【パンツァーキャバリア】を【多連装ロケット砲モード】に変形する。変形中は攻撃力・射程が３倍、移動力は0になる。 イラスト：V-7 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

「物資を届けに来たら何やら作戦中ね――なるほど、奇襲という事なら手を貸しましょう」
　笹竹・暁子（暁を臨む一夜の為に　～雀のお宿の外仲居～・f39919）はそう言ってモスクワの高高度から情報を得つつ奇襲する体制を整えてパンツァーキャバリア『アイアン・サム』の群れに飛び込んでいく。
　暁子はメイガス『サウス【大鳥型機動甲冑】』に乗り込んで後方上空から視力を凝らし、敵味方の位置関係を収集していた。
　そこから作戦開始に合わせ、できるだけ太陽を背にした目晦ましの不意打ちで降下を開始していく――
「メイガスもキャバリアに劣らない事を見せてあげる――――捉えた！お帰りは……あちら！」
　ユーベルコード『｜怪鳥強襲【メイガス】《ロックバード・ハンティング》』発動――軌道上及び上空から『ラプタークロー【猛禽系剛力脚爪】』を用いて対象を136tの対象――パンツァーキャバリアを掴み、振り回しや周囲の地面への叩きつけていく。
　パンツァーキャバリアを掴む『ラプタークロー【猛禽系剛力脚爪】』はスラスター内蔵である上、重装甲も掴んで離さない怪力を持つ。
　そのパワークローを用いた降下速度を加えたユーベルコードの投擲――掴んだパンツァーキャバリアを、もう一つのパンツァーキャバリアに投げつけて叩き付けて粉砕していく。
「気配を察知しました――そこですね！」
　推力移動で空中移動を行い、敵の攻撃を捌いてカウンターを仕掛けていく暁子。
　目的は足を狙っての――転倒狙いだ。
「重装甲にトドメは難しいけれど、妨害と時間稼ぎは任せて頂戴！」
　そう言って暁子は次のパンツァーキャバリアを掴んで別のパンツァーキャバリアに叩き付けていくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

「オレは自前のキャバリアのレグナントで参戦するとしよう――作戦開始だ」
「僕は禍騎兵、この世界で言うところのオブリビオンマシーンがありますので――さてでは始めましょうか、後ろより失礼を」
「戦いにおいて作戦は重要です、苦戦しないならそれに越したことはないですから――さぁ、行きましょうか」
　レプリカ・レグナント（傾国参謀・f32620）、タカシ・セイヒ（探究者の成れの果て・f37132）、ルイナ・ラヴ（戦う魔術研究者・f38750）……『傾国』という猟兵組織がこのモスクワの戦場に参戦する。
「奇襲とは迅速に行うものだ、タカシは魔術を展開して敵の混乱を誘え――」
「哭け、秩序無き宙の暗黒よ――『｜啜り泣く宙の暗礁《ダークメテオライト》』」
　レプリカの指示によってタカシはユーベルコードを発動――自らを強化する蒼き魔方陣、重力無き暗黒地帯、空間の歪みから呼び出した流星群の三つの術式を用いて自己強化を施していく。
「どうです、いきなり重力の無い暗黒地帯に放り出された感覚は？――あらゆる戦場で戦っていても無重力の戦場は初めてのようですね」
「成程、ゾルダートグラードの盟主……いえ総統の『ギガンティック』への対策ですか」
　かの超大国の盟主は自称『重力戦闘下における最強の幼女』……ならばかの総統への対策は『無重力環境を作り出す事』だ。
「無重力の中空間の歪みより降り注ぐ流星群……それを防ぐ手立てはないでしょう」
「敵は背後からの奇襲と魔術による撹乱で動きが止まっているようだな――ならばオレは宝物庫より混乱している敵に追い討ちをかける」
　レプリカはユーベルコード『｜無限の富と世界の全ての宝物庫《ゲートザレグナント》』……『宝物庫の中から取り出した無数の武具』を用いてその武具を射出していく。
「世界の全てはオレさまのモノ、今こそ開け栄光の宝物庫よ」
「レプリカさんも容赦が無い、とは言え決着は早めにつけるのが良いでしょう」
「タカシさんの魔術はいつ見てもお見事です……私ではあのように上手くは行きません」
　ルイナはレプリカが追撃してくれている間、彼女の方も準備を済ませていた。
「リミット解除コードルイナ入力、キャバリア超攻撃モードに移行――『｜観よ鋼鉄の機兵に秘められた其の力を《キャバリアルイナモード》』！」
「ルイナ、お前の出番だ、そのキャバリアの最大の一撃をくらわせやれ」
「」
　屋敷の地下に秘蔵されていたキャバリアをルイナ専用にカスタマイズした特注品である『ルイナ専用キャバリア』を変形させ、超攻撃モードへと移行。
「機動力は半減しますが……同時に多数を攻撃できるフルバーストを用いて、複数の敵をまとめてロックオンです！」
　全弾一斉射を行い、そのままパンツァーキャバリア『アイアン・サム』の17ポンド対戦車砲から放たれる激しい閃光と共に放たれる砲弾のユーベルコード『ファイヤフライ』を飲み込んでいく。
　これによってほぼパンツァーキャバリア部隊は壊滅状態にある。
「最早敵にまともに動けるキャバリアは存在しない、後はこちらの攻撃で残敵を確実に殲滅するぞ」
「ルイナさんのキャバリアの最大の攻撃で敵は大打撃、さてこちらも油断なく残った敵を破壊して参りましょうか」
　そのままユーベルコード『｜無限の富と世界の全ての宝物庫《ゲートザレグナント》』と『｜啜り泣く宙の暗礁《ダークメテオライト》』を再び発動するレプリカとタカシ。
　そこにルイナがキャバリアを用いて二人の支援砲撃を行っていく。
「後は手持ち火器でみなさんの援護に周ります。少しずつ着実に各戦線の敵を駆逐して行きましょう」
「ええ、勝たない内は安心しない主義なので」
「戦いは機先を制した側が有利になる――それはどのような軍隊に置いても確実な戦場の理だ」
　そう言って『傾国』の面々はパンツァーキャバリアの群れを巧みな連携を用いて殲滅していく。
　このモスクワの戦場にて、ワルシャワ条約機構とゾルダートグラードの軍勢を『傾国』を始めとした『六番目の猟兵』は殲滅していく――

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

最終結果：成功 完成日:2024年05月04日