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獣人世界大戦⑤〜空を舞うのは悪魔だけではない

作者：黒代朝希

　――イタリア半島。
　獣人戦線のそこは大多数がゾルダートグラードに支配されている地域。
　しかし一部の地域では独立権を勝ち取り、多くの飛行機乗りの獣人達がゾルダートグラード空軍への根強い抵抗を続けている。
　そして今回の『獣人世界大戦』の勃発によりイタリア半島のレジスタンスは一斉蜂起。
　このまま、イタリア半島全域を開放するべく『六番目の猟兵』の勢力に加わった――

「次はアドリア海での空中戦よ」
　金髪の盾ロールを揺らし、シカのグリモア猟兵であるレヴィア・イエローローズ（亡国の黄薔薇姫・f39891）はアドリア海に向かう猟兵達にブリーフィングを始めていく。
「今回の依頼は簡単ね。イタリア半島の獣人のレジスタンスと共にゾルダートグラードへと空中戦をしかけるというもの」
　更には今回、レヴィアは猟兵業で手に入れたアース系世界における最新の戦闘機を用意している。
　その他にも飛行戦が出来るデバイス等を一通りそろえている様だ。
「これらを用いて、イタリア半島のレジスタンスと一緒にゾルダートグラードの空軍を殲滅。アドリア海を開放して頂戴」
　今回相手にするゾルダートグラードの空軍は、『コウモリ爆撃兵』――超大国により作られたコウモリ獣人の兵器であり、一体一体が戦闘機に匹敵する飛行能力を持つ上で空を飛び回り爆撃を行う空の悪魔だ。
　だが空を舞う――其れは獣人のレジスタンスもであり、そして猟兵も然りだ。
　最新鋭の戦闘機は勿論、飛行能力を有しているキャバリア等最新鋭、最高性能の飛行用デバイスを用いてゾルダートグラードの空軍を殲滅するのだ――

第1章 集団戦 『コウモリ爆撃兵』

POW   :    無差別爆撃 戦場にレベル×5本の【焼夷弾】が降り注ぎ、敵味方の区別無く、より【多くの被害と死者が出る】対象を優先して攻撃する。 SPD   :    反響定位 【超音波】を体内から放出している間、レベルm半径内で行われている全ての【攻撃】行動を感知する。 WIZ   :    空飛ぶ悪魔 戦場内で「【助けて・死にたくない・怖い・熱い・神様】」と叫んだ対象全員の位置を把握し、任意の対象の元へ出現（テレポート）できる。 イラスト：はるまき 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

「ここにきてユーラシア大戦ですか……ワルシャワ条約機構、五卿六眼――いえ、どのオブリビオン勢力も余程『はじまりの猟兵』の情報が欲しいんですね」
　嘆息した様子で天城・千歳（自立型コアユニット・f06941）はサテライトドローン群を戦闘空域外周に展開。
　通信・観測網を構築し、電子・光学系観測機器及びドローン群による索敵と偵察を用いて情報収集――そのまま収集した情報を元に戦闘知識から情報を導いていき、獲得している瞬間思考力によって分析していく。
「ラプラス・プログラム起動、状況の予測演算を開始します――『ラプラス・プログラム』」
　発動したユーベルコードによって最適の迎撃パターンを構築し、戦闘を開始する千歳。
　千歳が用いる戦術は情報伝達によって戦闘空域内の味方の管制と誘導を行いつつ、敵に対し電子ジャミングを行う事で敵空軍の連携を妨害する。
　これによって司令官として千歳はレジスタンス達を指揮。
　そこに改ワダツミ級可潜強襲宇宙空母「瑞鳳」――とある研究者の猟兵が開発している宇宙空母、その改良版。
　各種無人機を多数搭載し、艦載火器多数装備しているその宇宙空母は船体各部に複数装備された電磁投射砲塔群……それを千歳は展開していく。
「無人騎兵隊と自立砲台群、散開し迎撃しなさい」
　その言葉が紡がれると同時、アドリア海の上空を砲火が瞬き――ゾルダートグラードの空軍のみが殲滅されていく。
　卓越した指揮系統によって為される、一種の奇跡染みた光景を前に……翼を以てゾルダートグラードに抗う兵士達はコックピットか司令室内で喝采を上げるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

「戦争である――ヴァハ、ネヴァン、謳うと良い」
　モリガン・フォーゲル（131代目女神モリガン・f39591）……シルバーレイン世界においてのケルト神話に伝わる女神モリガンーーその力を受け継いだ131代目を自称するクラウソラスは、カラスの姿で獣人戦線のアドリア海の上空を飛び回る。
「戦争だ」
「戦争だ」
「戦争だ」
「勇士達よ、その強さを見せつけよ」
「愚か者共よ、蛮勇のままに死ぬがいい」
「さぁ、我らを楽しませよ！」
　賛歌を歌い、モリガンはゾルダートグラードの空軍を相手取っていく。
「空中戦故に範囲が広くぼく達の能力でどれだけカバー出来るかは分からぬ……しかしそんな事はどうでもいい」
　大事なのは神性としての存在理由の行使――飛行機乗りたちの中に勇士たる者がいたら加護を与え、敵の中に愚か者を見つけたら嘲笑う、という事だ。
　ヴァハとネヴァンと共に飛び回る事でアドリア海の上空を支配下に置き、常に鴉が視界に入る状況を維持するモリガン。
　これによって味方の戦闘能力が強化され、敵の戦闘能力が弱体化される効果を戦場内に付与される事となる。
「これがバイヴ・カハの神性である――さぁ、戦争を始めよう」
　モリガンが取り出したのはクラウソラス――振るえばビームを放射する剣を用いて、文字通りの｜白兵戦《ドッグファイト》をゾルダートグラードの空軍へと仕掛けていくモリガン。
　ヴァハとネヴァン、其れに強化されたレジスタンスの支援も乗った事によって次々とモリガンは敵をアドリア海に叩き込む事に成功していくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

「いざアドリア海……『軍艦【ドゥンケルハイト】』に乗って乗り込むぜ」
　ジャン・ジャックロウ（野良犬共を統べる部隊長・f39920）……かつてゾルダートグラードに所属していたイヌの獣人にして、『野良犬部隊』と呼ばれる行き場のないイヌ獣人達で構成された部隊の隊長という経歴を持つ猟兵はゾルダートグラードから奪った高性能ステルス大型輸送艦を持ち出してアドリア海の戦場へと参戦。
　ろくでなし共の集まる使い捨て部隊と言えど、手段を選ばずあらゆる戦場で大暴れしまくり獣人戦線中に悪名が響き渡った経歴を持つ部隊の部隊長であるジャン。
　 ある任務を失敗して粛正される前に部隊全員で大脱走し『六番目の猟兵』に加入したという経歴は、レジスタンスと言えども思わず身構えてしまうものだろう。
「おっと、レジスタンス諸君。警戒しなさんな、ゾルダートグラード印の輸送艦だが俺達は味方だぜ？　補給が必要になったら遠慮なくお越しください…ってなッ！」
　すかさずレジスタンスに肉薄しようとして来た爆撃機を撃ち落として『誠意』を示すジャン。
　その行動を以てレジスタンスも信用し、共闘を始めていく。
「――『野良犬部隊・戦闘機班』、発進しろ、戦闘機班ッ！」
　ジャンの『生命体の埒外』……ユーベルコードとは自身の率いる野良犬部隊を運用する事そのものだ。
　戦闘機に乗った野良犬部隊がレジスタンスを援護し、ジャン自身はパンツァーキャバリア【グラオザーム】に乗り込んでドゥンケルハイトの上から戦車砲を叩き込んでいく。
「さらにショルダーホーミングレーザーキャノン……攻撃行動を感知しようが、戦闘機班を捌きながらこの追尾弾を避けきれるかッ！？」
　瞬間、両肩合計6門のレーザーキャノンはゾルダートグラードの空軍のみを巻き込んで多数の爆撃機を粉砕するのであった――

大成功 🔵​🔵​🔵​

「――拙者が本当の戦争を教えてやる」
　エドゥアルト・ルーデル（黒髭・f10354）はそう言ってレジスタンスに笑みを浮かべる。
「ちょっと5～6人ばかり現地のレジスタンスを徴集でござるよ。じゃあ今から機体を用意すっから」
　そう言ってエドゥアルトは召喚する形でとある爆撃機を手繰り寄せていく――
「――B-25ォ！ミッチェルゥゥッ！」
　現れたのは重機関銃を8挺保有し、毎分4000発以上を解き放つヘビー級の爆撃機だ。
「コイツは、なまじの機銃を装甲で跳ね返し……戦闘機ですら多数の機銃座で返り討ちにする空の要塞でござるよ」
　そんなものに乗り込んでゾルダートグラードの空軍を殲滅するのだ。
　コックピットに乗り込む軍人ならばロマンの一言であろう。
「さあレジスタンスは乗った乗った、弾幕を張るんでござるよ！　あ、他の複葉機共は適当について来ればいいんじゃない？」
　そんな風に言いながら戦場へと出撃するエドゥアルトとレジスタンス達。
　おどけた様に操縦桿を握りながらエドゥアルトはゾルダートグラードへと宣戦布告を――
「おーいISONOー！　コウモリ共の編隊中央を強引に突破しようぜ！」
　降り注ぐ焼夷弾については『降るだけしかできない焼夷弾なんてへーきへーき、スリルあるよね！死にたくなければ頑張って撃ち落とせよな』というエドゥアルトの言葉によるレジスタンスの必死の撃墜によって無事突破。
　そこに複葉機による連携と支援も合わさり、ゾルダートグラードの空軍は次第に撤退していく――
「んまー、この戦況ならごり押しで連携を乱してやれば……後は他のレジスタンスでもやれるでござろう」
　そう言ってエドゥアルトは操縦を他の者に代わってもらった後、ぐっすりとアドリア海の上空にて昼寝を敢行するのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

最終結果：成功 完成日:2024年05月02日