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獣人世界大戦⑩〜進め、進め、進め

#獣人戦線 #獣人世界大戦 #第一戦線 #幻朧帝国

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●旅順要塞塹壕戦
 土の間から見上げた空は、濃く、淡く、濁った灰色で描かれていた。
 ここからでは遠く、とても手の届かぬ曇天、その下を、鉛色の風が質量を持って駆け抜ける。
 銃声、砲声、鬨の声、耐えられず頭を上げた兵士は、砲弾に頭を失くして後ろ向きに倒れ込んだ。火薬と埃の匂いの中に鉄錆にも似たそれが混ざり、足元の泥に、赤色が溶けていく。

 神様、誰かが空を仰いで、そこに死神の姿を見つける。蝙蝠の姿をしたそれは、鎌の刃の代わりに焼夷弾をもたらし、塹壕の中を焼き払った。


「どうせやり合うなら、他に迷惑のかからないところで潰し合っててほしいんだがな」
 グリモア猟兵、高峰・勇人(再発性頭痛・f37719)はそう嘆息して戦場をまとめた地図を示す。いくつもの超大国が入り乱れる混沌とした戦争、それによる影響は超大国に属さぬ獣人達にも避けられない、というよりは全面的に被ることになるだろう。各国の求める『はじまりの猟兵』とやらの詳細も不明ではあるが、何にせよ放ってはおけない。
「今回お前達に向かってもらうのは中国――その遼東半島先端部に存在する『旅順要塞』だ。現在は幻朧帝国の租借地となっているようだな」
 何故か多数の異世界人が神隠しによって飛ばされてくる「流れ者の宝庫」楽浪郡が比較的近辺に存在することもあり、非常に混沌とした軍勢の駐留するこの場所は、『特定の攻略法』を制定し辛い鉄壁の要塞と化している。
「要は、真正面から地道にやるしかないってことだな」
 わかりやすいが厄介だろう? 俺もそう思う。
 そう盛大な溜息を吐いてから、彼は戦場の一角を示した。要塞からの砲撃、銃撃が飛び交うそのド真ん中に、獣人の軍が要塞に取り付くための塹壕を構築している。多数の人的被害を出しながらも、じわじわと塹壕を掘り進め、伸ばしていってはいるようだが、今回の戦争を契機にしたのか、敵もその対応に本腰を入れ始めたらしい。
 銃弾の雨も意に介さず飛ぶ、オブリビオンの飛行部隊が現われ、この隊は発見され、焼夷弾の爆撃で全滅する。
「第一の仕事はそれの阻止だ。飛行部隊まで片付けられればなお良いな」
 そうして獣人部隊救ってからは、彼等を先導するか援護して、要塞への塹壕構築を進行させてほしい、と彼は言う。
 猟兵と言えど、要塞からの飽和攻撃を対策抜きで受ければひとたまりもないし、一人突出したところで後が続かない。獣人達との協力が不可欠となるだろう。
「戦況を切り開け――とまでは言わない。だが少しでも好転させてくれ。その積み重ねで、この困難を越えていこう」
 話は以上だ、と打ち切って、勇人は戦場へ一同を転移させる。


つじ
 地獄の塹壕戦を始めましょう。

●戦況
 オープニングの通りです。このシナリオでは要塞に辿り着くところまでは行けません。
 障害を排除し、塹壕を伸ばして後続の獣人部隊を進ませることを目指して下さい。

●プレイングボーナス
 塹壕を建設し、要塞に接近する。/敵の絶え間ない砲撃に対処する。
 味方の獣人軍を励まし、救い、導く行動には総じてボーナスを与えます。

 以上、皆さんのご参加をお待ちしています。
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第1章 集団戦 『コウモリ爆撃兵』

POW   :    無差別爆撃
戦場にレベル×5本の【焼夷弾】が降り注ぎ、敵味方の区別無く、より【多くの被害と死者が出る】対象を優先して攻撃する。
SPD   :    反響定位
【超音波】を体内から放出している間、レベルm半径内で行われている全ての【攻撃】行動を感知する。
WIZ   :    空飛ぶ悪魔
戦場内で「【助けて・死にたくない・怖い・熱い・神様】」と叫んだ対象全員の位置を把握し、任意の対象の元へ出現(テレポート)できる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

仇死原・アンナ
アドリブ歓迎

この世界を救う為に…さぁ行くぞ…私は…処刑人だッ!!!

地獄の炎纏いながら戦場を行こう
鉄塊剣と宝石剣を抜き振るい空から降る爆弾を切り捨て破壊し獣人達を護ろう
爆弾の炎に身を燃やされても身に纏う地獄の炎で吹き飛ばしてやろう

…この程度の炎で私の身を焼けると思うなよ
…炎で焼かれて逝けッ!

【大焦熱地獄】を発動し、敵と爆弾諸共地獄の暴風の範囲攻撃で焼却し破壊
後続の獣人達を地獄の炎のオーラ防御で防護し、炎と暴風から護ろう
その隙に鉄塊剣振るい怪力と地形破壊と鎧砕きで土を砕き塹壕を掘り進めよう

ここで止まる訳には行くまいぞ…私は…処刑人だッ!!!



●獄炎
 旅順要塞からの砲撃が風を切り、火薬の爆ぜる音と着弾の衝撃が絶え間なく聞こえてくる。鉛色の風の中では命の重みなど無に等しく、花が散るように兵士がその生を散らしていく。だからこそ、その炎はこの場に似合いのものだと言えた。
「この世界を救う為に……さぁ行くぞ……私は……処刑人だッ!!!」
 塹壕の端を踏み越え、最前線へと飛び出した仇死原・アンナ(処刑人、地獄の炎の花嫁、焔の騎士・f09978)は、すぐさま鉄塊剣と宝石剣を振るう。
 それは地獄の顕現、纏った地獄の炎を燃え上がらせ、巻き上げて作り出した『大焦熱地獄』は、飛び来る銃弾を融かし逸らして、曇天へとその手を伸ばした。
 向かう先は、銃火の飛び交う空を舞う、オブリビオンの翼。攻撃を察したコウモリ爆撃兵が、彼女に向けて焼夷弾を投下する。巻き上げられる炎を避けるようにして投げ入れられたそれが、着弾と同時に炎を広げる。赤々と燃え上がるそれが大地を染めても、天へ伸びる火はその勢いを緩めない。
「……この程度の炎で私の身を焼けると思うなよ」
 周囲を覆う赤を塗り替えるように、アンナのそれは火勢を増して。
「……炎で焼かれて逝けッ!」
 火炎暴風がコウモリ達を呑み込んでいく。彼等の抱えていた爆弾に引火し、戦場の上空にいくつかの花火が上がった。
 敵兵を倒し、後続への爆撃を阻止。絶え間無い攻撃の音色を焼き尽くし、戦場の最前線に、一時の静けさが戻る。
 所詮は一瞬、だがそれを逃さず、アンナは鉄塊剣を振り下ろした。大地に裂け目を生じさせ、戦場そのものを切り裂くような斬撃で、後続のための塹壕の『先』を切り拓く。
「ここで止まる訳には行くまいぞ……私は……処刑人だッ!!!」
 彼女の声に応えるように、工兵達のショベルの刃が砕けた土をどけ、裂け目を道へと変えていく。戦いは終わらない、すぐに次の攻撃が降り来るだろう。それでも地獄の篝火を目印に、前へ、前へ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

紫・藍
藍ちゃんくんでっすよー!
自慢のキャバリア、藍ゼン・シュテルンで駆けつけ、マイクを構えドームバリア展開なのでっす!
敵は藍ちゃんくんに任せて、皆々様は塹壕を!
防御力アップ&回復で皆様を護り癒やしてみせるのでっす!
ここまで塹壕を伸ばした皆様の頑張りを無駄にはさせないのでっす!
皆様を鼓舞し、感謝する歌を!
コウモリさんの攻撃はオーラバリアで耐え凌ぎますがー。
相手の性質的にバリアと回復で集団としての被害が抑えられるこちらよりも、コウモリさん同士での爆撃し合いになってくださるのでは?
そういう意味でも皆様方が元気でいてくださることが藍ちゃんくんの助けにもなってるのでっす!
ありがとなのでっすよー!


ヴァンダ・エイプリル
ここに神様はいないよ
いるとするなら笑いの神様……ヴァンちゃんだけでーす!

冗談も早々に塹壕を抜けて立つ
わぁー怖い!すごい!助けて!神様!
砲撃に震えるふりをして敵を呼び寄せてからUC発動
すべての攻撃を花びらに変換して無効化!
この間に味方の攻撃を通したり塹壕作業を進めてもらったりするよ

びっくりした?
これはまだまだオープニング!
【ありふれた奇跡の一例】を【ジャグリング】!
ぐるぐる回してから敵に投擲して、空中で花火に変えて炸裂させる!

ここが地獄だっていうならヴァンちゃんがいくらでも塗り替えてあげますよ
苦しいもつらいも消し去ってあげる!
だから頑張ろう、と味方の獣人に呼びかける
やっぱり笑顔が一番だから!



●野外ステージ
 空を仰げば硝煙混じりの灰色が広がり、火薬の臭いと砲撃で焼けた空気が鼻を突く。悲鳴と爆音で自分の鼓動すら曖昧になるこの戦場では、祈りとも嘆きともつかぬその言葉が零れ落ちるのも、無理からぬことだろう。
 ――神様。
 >歯車の一つとして戦いに没頭していた誰かも、ふと我に返ればこの有様。そう口に仕掛けた獣人の兵を、ヴァンダ・エイプリル(世界を化かす仕掛人・f39908)が立てた人差し指で遮った。
「ここに神様はいないよ」
 そして彼等に代わるようにして塹壕の先端へ、崩す途中の土塊を踏み付けて、銃弾の飛び交う最前線へと飛び出していった。
「いるとするなら笑いの神様……ヴァンちゃんだけでーす!」
 まじかよ、という後続の視線を受けながらジャンプした彼女は、危うく頬を掠めていった銃弾、そして要塞や敵の塹壕からの視線が集まるのを感じて、速やかに身を縮こまらせる。
「わぁー、でもこれ無理じゃない!? すごい! 怖い! 助けて神様ーッ!!」
 悲鳴を上げるどころか、結局代わりに神に祈ることになったヴァンダの元に、それを嗅ぎつけたようにして敵のコウモリ兵が飛来。嘆きも祈りも、この戦場では爆撃の目印でしかないのだろう。上空から投下された焼夷弾が彼女に迫る。
 着弾と同時にそれは爆ぜ、たっぷりと炎をばら撒いていく――はずだったが。獣人兵達が目を逸らす暇もなく、その焼夷弾は炎の代わりに色とりどりの花弁を撒き散らした。
『……え?』
「びっくりした?」
 彼等の戸惑いに悪戯っぽい笑顔で返して、ヴァンダが舞台上の奇術師のように腕を振るう。続けて襲い来る敵の塹壕からの射撃が、それに応じて次々と花に変わっていった。
 さあ、今の内に。そう促す彼女に応じて、獣人兵達が塹壕の拡張と、上空への応戦に取り掛かる。攻撃を無効化されているこの合間は、命の危機を気にしなくて良い貴重な時間だ。問題があるとするならば。
「んー、いつまで続けられるか、かな?」
 敵の全容はさっぱり見えないが、要塞側から飛んでくる攻撃の量は尋常ではない。こうして塹壕の外に立っていられる時間は、恐らく限られているだろう。
 だが、その心配を一時的に棚上げするための方策は、後ろの空から飛来した。
「藍ちゃんくんでっすよー!」
「おお……?」
 空からすっとんできた巨大な金属の塊、紫・藍(変革を歌い、終焉に笑え、愚か姫・f01052)のキャバリアが、花弁の舞うこのステージに勢いよく滑り込む。地を滑り、一行を庇うように着地したそれは、装甲で飛び来る銃弾を弾き、盾となる。そして。
「ここまで塹壕を伸ばした皆様の頑張りを、無駄にはさせないのでっす!」
 マイクを掲げた藍を先頭に、ユーベルコードによるドームバリアが展開された。
 不可侵のドームは敵の攻撃を受け止め、空中で焼夷弾の炎を空撃ちさせる。こうして敵の攻撃を防いでやれば、バリアの切れ目を求めて爆撃位置をずらしていき、いずれ巻き添えになる敵部隊も出てくる――かもしれない。
 そして防御力と治癒力を内部の『観客』に与えつつ、藍は彼等をさらに鼓舞すべく。
「皆々様、ご心配なく! ついでに藍ちゃんくんのライブを楽しんでくださいなのでっす!」
 花弁舞うステージで感謝の歌を奏でていく。バリア上で爆ぜる爆音、発砲音、戦場を彩るそれらを掻き消すような声で、一時でも危険を忘れられるように。
 この辺りの方針としては、ヴァンダも同様か。役割が被った感はあるが、防御を分担できるなら余裕だって生まれるもの。
「それじゃ、見せ場はもらっちゃおうかな!」
 アイドルの歌うステージで仕掛け人がやる事といえば、パフォーマンス以外ありえないだろう。いつもの調子でジャグリングを始めて、足元の石ころを、獣人達の掘り起こした土塊を、誰かの空薬莢を、くるくると空中で輝かせていく。
「そーれっ!」
 頃合いを見て、それらをまとめて空へと放る。ぐるぐると回転して勢いをつけたそれは、ドームの天井の上まで飛んでいった。
 ガラクタの寄せ集めだったそれは、爆撃兵達の付近で巨大な火薬玉に化ける。
『……なんだこ』
 彼等が状況を悟る前に、天空に大きな花火が上がった。色とりどりの火花と共に、目を回した敵兵達が落ちていく。

 ――ここが地獄だというのなら、いくらでも塗り替えてみせよう。
 敵の迎撃、一時の安全確保、二人の猟兵はそれを成し遂げて、獣人兵達を前へと進ませる。
「苦しいもつらいも消し去ってあげる! だから頑張ろう!」
「皆様方が元気でいてくださることが藍ちゃんくんの助けにもなってるのでっす!」
 たとえ死と隣り合わせの戦場であるとしても、今だけは笑顔で。
「ありがとなのでっすよー!」
 ライブは続く。勝利を勝ち取り、最後にまた笑えるように。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ハート・ライドン
異国の地であれど
戦う意思ある者は皆、同胞
護りましょう
そして、共に勝ちましょう

【スペランツァ・トルナード】発動

主体はあくまで竜巻を操っての遠距離攻撃
私の行動は敵に感知されても構いません
――感知されようが関係ありません。逃がしません

空を舞う敵群も、襲い来る砲撃も焼夷弾も
全てを竜巻に巻き込みましょう

さあ、空高くで爆ぜなさい
自ら放った弾の炎にて塵と化しなさい
地には、一つたりとて落とさせやしません

塹壕を護りつつ
戦い続けてくれた同胞達に激励を送ります

この世界の一員として助太刀いたします
皆様、よくぞここまで攻略を進めてくださいました
決戦の時は近いでしょう
もう少しだけ、前を向いていて
必ず、皆で生きて帰るのです



●戦場を駆ける竜巻
 旅順要塞へと向けて伸びる塹壕、侵攻方向を都度定めながら歪で複雑なラインを描くその先端は、やはり敵の抵抗を前にして攻めあぐねていた。
 ともすれば立ち往生にも近い状況を形作るのは、敵軍の飽和射撃と対空砲火を物ともしない爆撃兵の存在である。進めば死ぬ、もう進めない。そんな意識は、ここまで進んできた歴戦の獣人兵達の脳裏にも焼き付きかけていた。
「目を瞑ってはなりません」
 そんな彼等に、同じ獣人の兵、ハート・ライドン(Never Say Die・f39996)が声を掛ける。所属する国は違えど、戦う意思ある者は、皆同胞なのだから。
「この世界の一員として助太刀いたします。共に勝ちましょう」
 勇気付けるようにそう言って、彼女は塹壕から高く飛び出していった。
 頭を出しただけで即死しかねない銃弾の雨、それを弾いたのは、彼女の巻き起こした竜巻だった。
 『スペランツァ・トルナード』、ハートを中心とする竜巻は彼女の姿を戦場から隔て、そこに落ちた土や金属、焼夷弾の炎を巻き込み、戦争の色を描いてそこに顕現する。
 姿を捉えきれず、要塞からの射撃は精度を欠く。しかし姿こそ見えずとも、超音波で周辺を把握していたコウモリ兵達は、ハートの動きをしっかりと把握していた。
 ――だが、そんなことは関係ない。
「逃がしません」
 うねる竜巻はその身を捩じらせながら、逆に迫り来る敵兵を呑み込むべく勢いを増す。
「さあ、空高くで爆ぜなさい」
 彼等が状況を察した頃にはもう遅い。荒れ狂う風に捕まったコウモリ兵は姿勢を保ちきれず、木の葉のごとく翻弄される。その内に抱えた焼夷弾同士が衝突し、竜巻の中に赤い炎をぶちまけた。火炎旋風と化したそれが敵を塵と変えて、他の爆撃兵を、要塞からの射撃を牽制する。
「――皆様、よくぞここまで攻略を進めてくださいました」
 そうして獣人兵達の頭上を守りながら、ハートは彼等に呼び掛ける。
 労い、そして称賛して、それで終わりであればどれほどよかっただろうか。しかし戦いはまだ終わってはいないのだ。
 それでも、決戦の時は近い。いつか終わりは来るはず。だから。
「もう少しだけ、前を向いていて。必ず、皆で生きて帰るのです」
 そうして、進み続ける彼等を護るため、ハートは上空の敵を睨む。

大成功 🔵​🔵​🔵​

臥待・月紬
塹壕戦といえば工兵の出番!と思ってたのに、航空戦力の迎撃って工兵の仕事じゃないっス!

今回もやっぱり化術の出番!【照翼変化・金鵄】!
この猟兵、臥待・月紬……空戦でもエースになって見せましょう!
敢えて低空を飛んで大声で見えを切り、味方を勇気づけてテレポート能力の妨害を狙う。
能力さえ封じれば、相手は重そうな爆弾抱えた爆撃兵。
速度で翻弄し、背後に回って羽の矢で攻撃!爆撃される前に撃墜を狙う!

航空戦力を撃退できたら、空から敵砲兵陣地の位置を確認。
味方部隊に伝達して、砲撃の火力が薄い所を狙って塹壕を掘り進めてもらう。
要塞の攻略は自分ら猟兵だけじゃ困難。皆の力が不可欠ッス!露払いはお任せあれ!



●燃える空
 塹壕戦と言えば工兵の華……とまでは言わないものの、工兵がその真価を発揮する戦場である。地味ではあるが重要な、まさに戦線を支える役割、その真骨頂を見せられるシーンなのだが。
「航空戦力の迎撃って工兵の仕事じゃないっス!!」
 すいません、と獣人軍の前線隊長も頭を下げるかもしれないそんな訴えを残しながら、臥待・月紬(超級新兵(自称)化け狸・f40122)は黄金の翼で空を駆ける。
 化術で金鵄へと姿を変えた彼女は、眼下に伸びる塹壕をなぞり、飛び越えながら銃火の飛び交う最前線へ。
「この猟兵、臥待・月紬……空戦でもエースになって見せましょう!」
 頭上はこちらに任せておくっス! 低空を飛び、塹壕を掘る味方を勇気付けるようにそう見栄を切ってから、月紬は翼を打ち振るう。要塞から、そして敵の塹壕から凄まじい勢いで撃ち込まれる対空砲火、それから身を躱すように旋回し、上昇。狙うは獲物を狙うカラスのように上空を飛ぶコウモリ兵達だ。
 他の猟兵達の尽力と、月紬の言葉、そして頭上を守るように舞う金色の羽に支えられ、この前線の兵士達はしっかりと前を向いている。塹壕に籠った者を一方的に屠れるコウモリ兵達だが、獣人達が弱音を吐かなければ、その居場所を特定して襲い掛かることはできない。
 そうなれば、敵は重い爆弾を抱えた動きの鈍い爆撃機に過ぎず、戦闘機のように高速で飛翔する月紬からすれば、狙い頃の獲物である。
「遅いっス!」
 速度差を活かし、敵を翻弄するように飛んだ彼女は、無防備な背中を晒した相手へと翼を一振り。放たれた風切羽の矢は真っ直ぐに敵に突き刺さった。
 身を捩り、姿勢を整え、抵抗を試みようとするコウモリ兵だが、その動きもまた月紬の予測の内。続く羽矢はコウモリ兵の抱えた爆弾を貫く。素早くその場を飛び去る彼女の後方で、明々と燃える炎が爆ぜた。
 赤い篝が照らす眼下を翼と同じ色の瞳で睨んで、彼女は再度急降下、味方部隊にその光景、砲兵の陣地の配備具合を手短に伝える。
「あっちの方が手薄みたいっス!」
『了解した!』
 月紬の対空砲火を鈍らせるべく、援護射撃を行っていた兵士が応じるのを見て、彼女はまた上空へと舞い上がっていった。
「この要塞の攻略には皆の力が不可欠ッス! 露払いはお任せあれ!」
 一人ではままならぬ戦場、ここを突破するために双方手を尽くし、彼等は同じ方角を目指して進む。

大成功 🔵​🔵​🔵​

笹竹・暁子
※アドリブ・連携歓迎
幻朧帝国…
今はまだ手を出せないけれど、私たち『雀のお宿』にとって宿敵の相手
彼らが出張っているなら、見て見ぬふりはできないわ
それにこう見えて、塹壕戦の経験はあるのよ

方針:塹壕作成に協力しつつ、適宜「出張所」を作り味方の英気を養う

霊力を使った轟炎で【早業・塹壕掘り】を進めて協力
流れ弾対策に、少数だけど〔霊刃羽〕を盾にして頭上を覆う
ある程度進んだら【指定UC】で退避壕を作成
合計で130mほどだけど、分割して作成できるから複数個所に作っていくわ

退避壕の中は異空間だから、救護所・指令室・療養所と、進行に合わせていけば無理に戻ってくるような事もない
大丈夫、私たちのお宿がここにあるわ


カー・ウォーターメロン
【塹壕掘り】でお手伝いするんだよ!
あ、道具なら軍用ショベル持参なのでお構いなく。
最近の塹壕戦はドーザー強行突破よりドローンを警戒する時代だからね、そこで……掩体壕~(ひみつ道具を出す猫ロボ風にUC発動)UDCの国民的アニメ知らない? あ、そう。
空爆は掩体壕で凌いで、暑かったらスイカ食べてね。その辺生えてるから。

爆撃兵が来たらライフルで狙撃!
【スナイパー】を甘くみないで欲しいんだよ!

ドイツの思想家は塹壕で神サマを見たんだってね。
でも残念、ここに居るのは邪神の眷属、UDCのボクなんだよ。
もうここはボクの縄張りだから、キミたちはよそに行ってくれる?
そうだなあ、骸の海なんかオススメなんだよ。


佐藤・和鏡子
衛生兵として獣人たちの援護に当たります。
負傷者の救護に専念し、彼らが戦いに集中できるように全力を尽くします。
具体的には復活のユーベルコードと医術、救助活動を併用して負傷者をどんどん回復、強化します。
倒してもより強化されて即復活するのは敵にとっては脅威ですし、味方には援護になるはずですから。
もし、敵がこちらに来たら救急箱内蔵の荷電粒子砲の連射(レーザー射撃、制圧射撃、範囲攻撃)で迎撃します。
最低限自身の身を守れないと衛生兵失格ですから。



●塹壕に神は降りる
 進め、進め、進め。前線指揮官の声で獣人部隊が塹壕の中を駆ける。泥と血の混じり合った足元をしっかりと踏み締めて、前へ。
 塹壕掘りの手を貸す者、塹壕の端から僅かに顔を出し、敵の陣地に向けて牽制の射撃を行う者。そして後方の者は、負傷して横たわる兵士の脇を抱え、後方へと運び出していく。
 苦痛の呻き、それを励ます声、死の臭いの充満する土壁の間を進む彼等を、笹竹・暁子(暁を臨む一夜の為に ~雀のお宿の外仲居~・f39919)が手招いた。
「さあ、早くこちらへ!」
 霊刃羽を盾のように広げた即席の屋根の下を抜け、走り込んだそこは、塹壕の合間に作られた退避用の壕。一歩踏み出した獣人達は、空気さえも塗り替えられたような感覚を味わうことになる。
 その退避壕は暁子のユーベルコードによって生み出された雀のお宿の『出張所』。戦場の中に作られた異質な空間は、まさに旅館のようになっていた。
『衛生兵! 衛生兵は居るか!?』
「慌てないで、怪我人はこちらへ寝かせてください」
 地と泥に塗れた外とは違い、清潔なそこに負傷兵が寝かされる。その傍らに駆け付けた佐藤・和鏡子(リトルナース・f12005)は、負傷部を覗き込むようにして、容態を確認し始めた。
「今すぐ手当てしますからね」
 気を強く持ってください、そう呼び掛けながら腕を取って注射針を当てる。ユーベルコードも含めた医術の技を駆使して、彼女は迅速に処置を施していく。
 重傷者には容態が安定するまでの治療を、比較的軽傷な者や補給が必要な者には、前線に戻れるだけの物資と休息を。この場所は長く伸びた塹壕の中で救護所、補給地点として機能していた。
 塹壕戦の経験を持つ暁子としては、これらの拠点の有用性をよくわかっている。そもそもこの先、旅順要塞に陣取る幻朧帝国は『雀のお宿』にとって宿敵の相手、見て見ぬ振りなどできるはずもない。
「そろそろ、次の退避壕を作るべきかしら?」
「そうですね、前線の様子はどうでしょう……?」
 この退避壕を築き、獣人兵等を支え送り出し始めてからそれなりの時間が経過している。暁子の言葉に頷いた和鏡子は、傷を癒し意識を取り戻した患者に、戦場の進行状況を尋ねる。
 負傷者がどんどん回復し、さらに強化されて戻ってくる、というこの『救護所』の効果は大きく、要塞にじわじわと近づけてはいるようだが、徐々に激しくなる敵の抵抗に、この戦線は膠着状態に陥りつつあるようだ。

「――なるほどね、つまり敵の爆撃兵が脅威になってるわけだ」
 最近の塹壕戦はドーザー強行突破よりドローンを警戒する時代だからね、その流れがこの世界にも来てるのかな、と分析を口にしつつ、カー・ウォーターメロン(マンゴーフレイム・f01967)は頷く。最前線で行き詰まりかけている彼等から短い聞き取りを終えて、彼はその対策を展開した。
「掩体壕~」
 きこきこきこーん。……あ、UDCアースの国民的アニメ知らない? 知らないかあ。
 訝し気な顔をしている獣人達をそう流して、カーはざっくざっくと軍用ショベルで土塊に突き立てていく。ユーベルコードも駆使して迅速に作り上げられたのは、即席にして堅牢な|掩体壕《シェルター》である。
 外見は地味だが上からの攻撃に強く、ついでにその辺にはスイカが自生を始めている。
「暑かったら食べてて良いからね」
『あ、ああ……』
 そこはまさに『スイカの名産地』、まあとにかく敵の接近を感知した一行は、カーの作り上げたそこに逃げ込んだ。降り来る焼夷弾が壕の屋根部分を抉り、揺らす。土の上で燃えるそれを、地下部分で無事やり過ごしたところで。
「みんな無事みたいね」
「怪我してる方は居られますか?」
 暁子と和鏡子が後方から追い付いてきた。一同の様子を確認し、情報交換の後、カーはシェルターに設けられた射撃用の窓から上の様子を覗き見る。味方の対空砲火をものともせず空を舞うコウモリ兵達、目下の障害は間違いなくあれだろう。
「ここも私たちのお宿にしちゃうわね」
「じゃあ僕はアレを撃ち落としちゃおうかな!」
 スナイパーとしての腕を甘く見ないでほしいんだよ! 突き出したライフルを天に向け、焼夷弾を投下しようと狙っている爆撃兵を狙う。
 ドイツの思想家は塹壕で神を見たというが、ここに居るのは邪神の眷属、UDCである自分だけ。ならばここで運命を握る絶対者は――。
「そこです」
 ピカーッ、と眩い光が空に伸びて、空を舞うコウモリ兵が一体消し炭になった。
「……」
 なにいまの。
 カーが傍らを見ると、和鏡子の抱えた救急箱が帯電し、バチバチと音を立てている。何かよくわからないが、今のはそこから発射されたものらしい。
「どうなってるのそれ?」
「最低限自身の身を守れないと衛生兵失格ですから」
「そう……」
 気を取り直してもう一度。良い感じに慌てふためいている残りの敵に、銃口を向けて。
「もうここはボクの縄張りだから、キミたちはよそに行ってくれる?」
 そうだなあ、骸の海なんかオススメなんだよ。
 銃弾が翼を貫いて、哀れな爆撃兵達が落ちていく。

●前へ、前へ、前へ
 猟兵達の活躍により、犠牲を最低限に抑えながら、塹壕は敵の元へと伸びていく。
 戦場という名の地獄は未だ終わらず。
 だが地を割り行くその道は、いずれ必ず、旅順要塞を貫くだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年05月05日


挿絵イラスト