獣人世界大戦⑤〜アドリア海沿岸のレジスタンス逃走支援
グリモアベースに次のようなクエスト依頼書が張り出されている。
==============================
【概要】:ゾルダートグラード勢力下のイタリア半島、アドリア海沿岸の街に潜むレジスタンスを『秘密警察』による摘発から助け出す。
【達成条件】
下記の三つの条件のうち、一つを満たすこと。
・『秘密警察』に見つからないような逃走の支援を行う。
・レジスタンスに紛れ込む『秘密警察』のスパイを炙り出す。
・『秘密警察』の目を掻い潜ってレジスタンスのアジトに危機を伝える。
==============================
あなたがこの依頼書を見ていると、グリモア猟兵のマルゲリータ・カベルネ(ギルドの受付員さん・f41916)が話しかけて来た。
「こんにちわ。こちらは猟兵でなければ解決できない特別クエストです。内容の詳細をお聞きしますか?」
頷くとあなたはグリモアベース内にあるこの依頼の集合場所へと案内される。そこに到着するとマルゲリータは足を止めてあなたへ振り返った。
「それでは、『獣人世界大戦』の特別クエストの説明を開始します」
「これより詳細をお伝えします。場所は獣人戦線の世界の【獣人世界大戦の第一戦線】です。今回皆さんにお願いしたい内容は【現地のレジスタンスの逃走の支援】になります」
獣人世界大戦は、この世界に存在する『オブリビオンの超大国』が『はじまりの猟兵』を奪取するために起こした勢力争いである。各超大国はソレの奪取のためにはカタストロフも厭わないという姿勢であり、このままではこの世界にカタストロフが発生し、さらには『はじまりの猟兵』をオブリビオンに奪われてしまう。
そこで、この戦いにおける猟兵側の目的は次のものとなる――オブリビオンの目的の阻止、カタストロフの阻止、そして、オブリビオンの各勢力を可能な範囲で削り取る事――。
さて、今回はドイツ及び周辺ヨーロッパを支配するオブリビオンの超大国、『ゾルダートグラード』に対する作戦だ。
内容は至ってシンプル。ゾルダートグラードが放つ『秘密警察』がアドリア海沿岸の街で目障りな獣人レジスタンス、そして猟兵を摘発しようとしているため、それを妨害しレジスタンスを無事に逃がすというもの。
「特に抵抗する獣人たちやレジスタンスが一斉に捕まってしまえば、別所でゾルダートグラード軍への反攻作戦を決行しようとしている飛行機乗りたちの支援が止まってしまい彼らが大きく不利になってしまいます。レジスタンスたちの逃亡を助ける事はゾルダートグラードに対する確かな痛手になることでしょう」
最後にそう言い、マルゲリータのは話は終了した。
目の前に【いますぐ出発しますか?】と書かれた小さなウインドウが現れる。ここで『はい』の選択に触れると目的地である『獣人戦線』の世界へ転送される様だ。
クエストの達成条件と取るべき作戦を確認したら出発しよう。
ウノ アキラ
はじめましての方は初めまして。そしてこんにちわ。ウノ アキラです。
このオープニングに興味を持っていただき、ありがとうございます。
●
===================
プレイングボーナス……秘密警察に気付かれないようレジスタンスを助ける。
===================
●執筆タイミングなど
書けそうなタイミングで書いていく予定です。
人数によっては全員の採用は難しいかもしれません。その場合は書き易そうな方から採用していく見込みです。
断章はありません。
●依頼について
冒険です。
参加者ごとに異なるレジスタンスのアジトを助けていく想定です。
今回の『秘密警察』はすべて例外なく、オブリビオンを対象としたユーベルコードなどの効果は受けるものとします。
また、『秘密警察』も『スパイ』も猟兵に比べると戦闘力は高くない想定です。しかし発見され、そのことを連絡されたら『秘密警察』は無限湧きに近い物量を発揮します。
レジスタンス側は他の獣人たちと同じように、共に戦う仲間だと示せば全面的に協力してくれます。
なので、レジスタンスとの接触の対策は無くても構いません。【達成条件】を満たせる行動であれば大丈夫です。
以上です。よろしくお願いいたします。
第1章 冒険
『スパイを炙り出せ』
|
POW : 地道に足を使って探し出す。いざという時は実力行使だ
SPD : 資料を探って怪しい所が無いかチェックを。不可解な所があれば追及を
WIZ : 特殊能力を使い、一気に暴く。オブリビオンに対しては不条理も必要だ
|
種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
アンネリーゼ・サラティム
では、私はレジスタンスに紛れ込むスパイの摘発に参りましょう。
レジスタンスの拠点の一つへと赴き、リーダー格の方へ事情をお話しして協力を仰ぎます。
具体的には、可能な限り多くのメンバーの素性について調べておきたく。
それが出来ましたら、素性や最近の行動に不審な点のあったメンバーを優先的に探し、UCを使用。
明確にスパイと明記されている人や、事前調査内容と明らかな食い違いがある方をスパイと断定、退路を塞いだ上で捕縛を試みましょう。
抵抗は無駄です、わたしは重要NPCですので固いですしパンチも強いです。
死なない程度にボコって全部吐いて貰って、その情報をレジスタンスの皆さんの逃亡の助けとしましょう。
●
沿岸の街へ降り立ったアンネリーゼ・サラティム(ぽややん系ギルド職員・f42106)は、早速現地のレジスタンス勢力のひとつと接触を果たした。
早速アンネリーゼは『秘密警察』によるレジスタンスの摘発が開始されることを伝えていく。するとリーダーのウマの獣人の彼は蹄を額に当てて首を振った。
「ああ、なんてことだ。よりによってこのタイミングで『秘密警察』が動くとは。我々の反攻作戦がゾルダートグラードに漏れていたのか……?」
しかし嘆いている暇はない。アンネリーゼはさらに言葉を伝えた。それは彼女がここに来たもう一つの理由だ。
「スパイがいるはずです。そのスパイを、わたしが摘発します」
――こうしてアンネリーゼによるスパイ摘発作戦が開始された。部屋にレジスタンスのチームのメンバーが集められると、アンネリーゼは彼らの名前と顔、そして出身地を確認した上で間近の数日のアリバイ状況を聞いていく。
犯人はこの中にいる――その緊張感が部屋に満ちたその時、アンネリーゼの口が開いた。
「ステータスオープン!」
何処からともなくピコン、と音が鳴る。同時に、空中には半透明のウインドウが表示された。
ざわつく室内……。
「な……なんだこれは?」
そこには対象者の所属や出身地だけではなく、アンネリーゼが知り得ないはずの所持技能に個人情報まで載っている。
「これは俺の家族構成だ……。この活動で家族に迷惑かけないように誰にも言ってなかったのに……」
ステータスオープンされたメンバーがそう言うと、再び室内がざわめいた……。
「今からこれを全員に使用していきます」
「そ、そんなのデタラメだ!!!!」
アンネリーゼの宣言に、一人の人物が突如逆上して暴力を奮った。しかし――。
バキッ!
ダメージを負ったのは殴りかかったほうだった。
「痛ってえぇぇっ!? 何だこいつ固ぇ!?」
「抵抗は無駄です、わたしは重要NPCですので固いです。『ステータスオープン!』」
アンネリーゼは殴りかかってきた者のステータスを開示した。皆が見えるかたちで表示されたそこには、彼がすでに殺されてオブリビオン化している旨が記されている。
「では情報を吐いてもらいましょう。わたしは重要NPCですのでパンチも強いです」
「まってくれよ……! なあ、俺たち仲間だろ……?」
彼は他のレジスタンスメンバーに助けを求めるが、誰も彼を養護することはできなかった。
「安心してください、死なない程度にボコりますから。『秘密警察』がどのルートでここに来る手はずなのか、全部吐いてください」
「あ゛あ゛あ゛あ゛ーーーーー!!!」
――レジスタンスのアジトにスパイの悲鳴がこだまする。こうして、アンネリーゼが接触したレジスタンスチームは無事に『秘密警察』の摘発から逃げることができたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友
第一『疾き者』唯一忍者
一人称:私 のほほん
なるほど、つまりは見つからねばよいのですねー。
こういうときは、一人(?)で徒歩で向かうがいいのですよー。
というわけでですねー、念の為UCを使いながら向かいますねー。
街というのは、建物がありますからねー。街灯もあれば足場になりますしー。
できるだけ高所を伝うようにしましてー。
着きましたら、周りにその『秘密警察』がいないことを確認してから、UC解きますねー。
こういった支援って、忍びとしては親近感があるのですよねー。
●
この街で反抗的な獣人やレジスタンスたちを一網打尽にすべくゾルダートグラードの『秘密警察』たちが街に展開していく。
彼らは秘密警察の名が示す通り、多くは住人や観光客にビジネスマンなどを装って行動していて、その活動の実態は掴みにくい――それはまるで世に忍び紛れる忍者の様でもある。
「ああ、すでに多くの秘密警察が潜入済みなのですね」
街中のひときわ高い建物から街を眺めているのは『疾き者』。彼は馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)を構成する四人のうちの一人だ。
彼は生前は忍びの者であった。そのため人々の歩き方をその視力で観察して、遠方から『秘密警察』を見抜いていく。特殊な訓練を受けた者は咄嗟に動けるが故に歩き方やふとした所作に特徴が出るのだ。
しかし彼らの動きを見るにまだレジスタンスたちを包囲する最中、一般市民として紛れ込む潜伏期間であるようだ。包囲が完成する前であればレジスタンス側は無事に逃げる事ができるだろう。
つまりはレジスタンス側に危機を伝えればよいのだが、むやみに街中を歩き回るわけにもいかない。
相手は先述したように特殊な訓練を受けている。その訓練には同業者を見抜く技も含まれるだろう。つまり安易に姿を晒してしまえば只者ではないことを見抜かれて、怪しまれる可能性が高いのだ。
(つまりは見つからねばよいのですねー)
進むならば建物の上などの高所、加えて目撃されないようにとユーベルコードも使用する。
『四悪霊・『海』』――海水の霧に覆われた範囲は視覚・聴覚・嗅覚での感知を不可能にする――が『疾き者』を覆い、その存在を消した。
天日に干す洗濯物を微かに揺らせしは果たして空の風か。それとも常ならざる者が起こせし風なりや。そこに在るも無きが如しといった様で屋根から屋根へ、時に街灯を足場として『疾き者』は駆け抜けた。
彼はレジスタンスのチームのうちひとつが利用する集会所を視界に収めると、付近に秘密警察がいないことを今一度確認する。
あとはレジスタンスへ『秘密警察』による摘発が近いことを伝えれば目的は達成だ。
(こういった支援って、忍びとしては親近感があるのですよねー)
ふと、『疾き者』はそんなことを考えた。それはこの仕事が、まるで刺客の目を掻い潜って密書を届ける任務の様だからだ。
――こうして義透が接触したレジスタンスチームは事前に『秘密警察』の摘発を知ることが出来、無事に逃げることができたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
レン・ランフォード
&&
逃走支援…これは忍者として働き甲斐がありそうな依頼ですね
UCと技能を駆使して必ず成功させましょう
「達成条件はフルコンプしたいよね…」
そうですね…その場合は
・逃走支援
UC【逃法・富嶽】を使用
事前に街の地理情報を得て逃走経路の割り出しから
その時に地形破壊や陽動する時の罠の準備をしておきましょう
・アジトに向かう
UC【妖硬貨】を使い、鳥・鼠・虫から動く影など
適材適所に変身して溝や影を隠れながら進みます
・炙り出し
アジトですぐに姿をみせずに構成員を確認
第六感と見切りでアタリをつけて【妖硬貨】で変身し尾行
証拠をみつけましょう
「薬品調合で自白剤つくろっか…」
●
(逃走支援……これは忍者として働き甲斐がありそうな依頼ですね)
街に吹く潮風にマフラーをたなびかせてレン・ランフォード(近接忍術師・f00762)は街の地図を広げていた。彼女は片手にクレープを持って食べ歩き、化術も重ねて表向きは階梯5の獣人の旅行者の様に振舞っている。しかしこれはただの観光ではない……彼女は街の地理情報を確認しているのだ。
(このあたりの細道も見ておきたいですね……)
(だったらここを観光するついでで通りゃ違和感なく通れそうだな)
レン――主人格の"蓮"は自分の中にいる"錬"と話しながら間近の予定を整理していく。その相談の傍ら、もうひとりの"れん"もワクワクした様子でぽつりと呟いた。
(達成条件はフルコンプしたいよね……)
(ええ、コンプを目指してがんばりましょう!)
いま"蓮"たちが行っているのはレジスタンスたちの逃走支援の準備だ。
街の外から来る旅行者を片っ端から尾行する『秘密警察』に気づかないふりをしながら、彼女は歴史的建造物を観光してまわっていた。その道すがら狭い路地や階段の具合を確認してレジスタンスが実際に逃走する際に役立ちそうな罠を考えていく。
そして次に"蓮"たちが行ったのは『秘密警察』の尾行を撒く事だ。
視界の悪い曲がり角に入ると"蓮"は不意に走り出し、作った一瞬の死角で化け狸の描かれるメダルを自身に張り付ける――ユーベルコード『|妖《アヤカシ》|硬貨《メダル》「天下御免ノ大化狸」』を使用した。するとレンの肉体は蝶となり、蝶はひらりひらりと宙に舞い上がる。その眼下ではレンを見失った『秘密警察』が辺りを探し回っていた。
"蓮"たちは今来た方向とは別の方へと飛んでいき、そのままレジスタンスのアジトのひとつに辿り着くのだった。
さて、あとはこのままレジスタンスへ『秘密警察』の摘発のことを伝えれば完了だ。けれど彼女たちが目指しているのはフルコンプ。
(次はスパイのあぶり出しだね……)
このままひらひらと入り込み、天井付近にとまって聞き耳をたててみるとアジトでは姿を消した怪しい観光客が話題になっていた。
(観光客……おそらく私たちの事でしょう。しかも一名、やたらと警戒するべきと主張する者がいます。姿を消した事は『秘密警察』しか知らないはずですが……)
(なら薬品調合で自白剤つくろっか……)
誰も居ない部屋までひらりと跳ぶと、"れん"は元の姿に戻って自白剤を作成する。それをスパイと思われる者の飲み物に一滴垂らせば全てが終わり、そして始まることだろう。
――やがて自白剤で酩酊したスパイによる暴露祭りが始まった。あまりに突然のことにレジスタンスたちが呆然としていると、"蓮"が姿を現して摘発の危機を告げてゆく。こうして、レンが接触したレジスタンスチームは素早く逃げることが出来たのだった。
大成功
🔵🔵🔵
カタリナ・ヴィッカース
●SPD
まぁ、マルゲリータさんのクエストでしたか
聞けば聞くほど黒教の布ky…いえ、やりがいのあるお話です
ここは是非お受け致しましょう
まずはそうですね…レジスタンスに接触を図りましょうか
内部に居るスパイを密かに探し出すに、ここは黒教の司祭でもある私による|心理相談《カウンセリング》を開いてみましょう
悩み、相談、不安…迷える子羊達の話を真摯に耳を傾け、細やかな助言を送りましょう
まぁ、これもひとつの事前調査
部屋から出て行かれる直前の『ステータスオープン!』で情報開示させ、誰がスパイなのか精査していきますよ
お分かりなりましたら、信頼おける方にスパイが誰なのか、秘密警察のガサ入れが近い事を教えしましょう
●
ここは数あるレジスタンスの活動拠点のうちのひとつ。
そこでカタリナ・ヴィッカース(新人PL狩り黒教ダンジョンマスター・f42043)は悩み事の相談員を行っていた。
「ありがとうございます。話したら少しスッキリしました」
「いえいえ、私は耳を傾けただけですよ。でもまた不安になったらいらしてください。一人で抱えて我慢することはあまり、良いとは言えませんから。時には飽くなき体験にも挑戦してみて下さい」
微妙に黒教の教義に誘導しつつカタリナはレジスタンスのメンバーの不安や悩みに耳を傾けていた。カタリナを求める子羊たちには、実際にヒツジの獣人が来ることもあるが多くはウマやネズミの獣人だ。いずれもこの土地に根ざした住民たちだった。
このように、レジスタンスに接触した後そのまま内部に居続けて告白室まで設置してしまったのは、カタリナの言いくるめとカリスマ性の手腕によるものだろう。
(このマルゲリータさんのクエストは、聞けば聞くほど黒教の布ky……いえ、やりがいのあるお話でした。こうしてお受けしてよかったです)
そんな充実感を感じながら、カタリナは悩みを打ち明ける子羊たちが退室をする間際に『ステータスオープン』と呟いていく。すると何処からともなくピコン、と退室した者のステータスが表示された。
「お話を聞く中でみなさんの人となりも解ってきましたし、ステータスの情報もだいぶ詳しくなってきましたね」
表示されたステータスをカタリナは確認していく。先程の彼はスパイでは無さそうだ。
カタリナは、ウインドウを消すと次の迷える子羊を告白室に迎え入れた。
「次の方どうぞ、お入りになって」
「失礼します……」
ネズミの獣人が入って来た。彼は弾薬の調達を担当していたはずだ。扱うものが扱うものだけに責任を感じているのだと、以前来た時に言っていた。そして今回はあらゆる些細なことに不安を感じてしまうという内容である。
カタリナはそこに何となく、彼には強い後ろめたさがある様子を感じ取っていた。それは聞き手を数多くこなす中で身に付いた勘のようなものだ。
だから彼の去り際のステータスオープンで『オブリビオン化してゾルダートグラード配下になった』旨の情報があった時、カタリナは「あらあら、まぁ……」と悲しそうな表情を浮かべるのだった。オブリビオン化しているということは、彼を救う手段はもう無いのだろう。
スパイは判明した。ならばあとはやる事をやるのみだ。カタリナはこの情報を信頼のおける者へと伝えた。それはこれまで多くの悩みを聞く中で形作ってきた信頼だ。
――スパイを排除したことで、このレジスタンスたちが逃げる情報が漏れることはなくなった。こうしてカタリナが接触したレジスタンスのチームは無事に『秘密警察』の摘発から逃げることができたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
儀水・芽亜
&&&
『秘密警察』とは、いかにもオブリビオンがやりそうなこと……こと?
なんの遠慮容赦なく、街の住人皆殺し、くらいはしませんか? ああ、そういうことが無いのなら問題ないのですけど。
私に出来ることは限られていますからね。まずはレジスタンスの拠点に入りましょう。
「コミュ力」「礼儀作法」を使って、レジスタンスの皆さんと友好的な雰囲気を醸し出して、場に溶け込みます。
『スパイ』は、この拠点の動向を把握して情報を流す以上、下っ端では無いと考えます。おそらく中位以上の幹部。
会話しつつ相手の心中を「瞬間思考力」を駆使した「読心術」で「見切り」、誰が『スパイ』か特定します。
確信出来たなら取り押さえ、所持品検査。
●
オブリビオンの超大国の支配下にあり『秘密警察』まで動く街。
しかしそれは、儀水・芽亜(共に見る希望の夢/『夢可有郷』・f35644)の想像したものよりは平和そうに見えた。
(『秘密警察』……ですか。いかにも残虐なオブリビオンがやりそうなこと。とはいえ、なんの遠慮容赦なく街の住人を皆殺ししていると思ってたのですが)
どうやら支配下の土地の住民を片っ端から配下にしている訳ではない様だ。
この世界ではオブリビオンの超大国が勢力を争っており巻き込まれる形で住人が抵抗している。なので支配下の住人を全て配下にしていないのは、戦力を何処に割くかというリソース配分の問題なのかもしれない。
とはいえ楽観してもいられない。今まさに、この街の抵抗勢力が狙われているのだから。
この街で芽亜はレジスタンスのチームのひとつと接触していた。そしてそのまま事務員として活動を手伝っていく。
表立って動けない組織とは言え何かしらのルートで取引は発生している。そのため、郵便物の整理や書類の作成は欠かせないのだ。他にも裏方の仕事はたくさんあり芽亜の事務仕事の腕前はとても重宝されている。
……とはいえいつまでもこうしている訳にはいかない。あまりにも日数をかけてしまうと『秘密警察』による摘発が始まってしまうからだ。
けれどスパイを内部に残したままでは逃げた先の情報がすぐ漏れてしまう。まずはスパイを捕まえることが最優先だ。
(『スパイ』は、この拠点の動向を把握して情報を流す以上、下っ端では無いでしょう……。おそらく中位より上の幹部)
芽亜そうあたりをつけていた。するとちょうど、郵便物を届けに来たついでに入った部屋で宛名のない封筒を発見する。ここはちょうどサブリーダーポジションの人物の部屋である。
封筒の中身は無かったが、ナイフで削られた封蝋印の形はすこしだけゾルダートグラードの国旗に見えなくもない。
そう言えば彼の姿をここ一時間ほど見ていない。外出するという話も聞いていない。何処に居るのだろうか?
暫く後、宛名のない封筒を部屋に残していたサブリーダーが戻って来た。それも人目を避けるようにひっそりとだ。
あたりをキョロキョロと気にしてアジトに入ろうとする彼。そこを背後に忍び寄った芽亜が素早く関節を極めて取り押さえた。
「ちょっと失礼っ!」
「えっなんd、ぐわああっ!?」
「届いた郵便物を渡しに行ったのに部屋に居なかったものですから。探したのですよ?」
そう言って、芽亜は例の封筒を彼に見せた。すると明らかに顔色が青く変わっていく。
「何か人に言えない取引をしていた様ですね。すみませんが、所持品検査をさせてもらいます」
すると胸ポケットからゾルダートグラードの尉官の階級が出てくる。
「か、返せ! |これが上手くいけば《・・・・・・・・・》その地位がもらえるんだ!! それは俺のものだ」
「はぁ、……騙されてると思いますよ、それ。さて、皆さんご覧になりましたか? これが証拠になると思いますが」
芽亜がそう話しかけると物陰から他のメンバーが現れた。どうやら芽亜は、証人を立てるため他の者に隠れて見てもらっていたらしい。
――こうしてスパイは排除された。この排除によって芽亜が接触したレジスタンスのチームは安全に逃げることができたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
家綿・衣更着
&&&
秘密警察に捕捉されないよう【化術】で街の住民に【変装】【演技】
アジトには化術で【迷彩】し【忍び足】で向かい、危機を伝える
「どーも、衣更着と申しまっす。超大国に対抗するため助けに来ましたっす(小声」
アジトではスパイ探し
自身の化術・変装経験から怪しい人を【見切り】忍者ゴーグルで連絡機器等を隠し持ってないか確認、怪しい人は【情報収集】しUC『ステータスオープン!』
「あんたが間者っすね!」
綿ストールで拘束し【催眠術】で尋問
レジスタンス達は可能ならUC『収納鏡』で、無理なら朧車“家伊賀”を化術で配送トラックに偽装して【運搬】
道中は【結界術】で護衛し、危ない時は化術で関係ない所に【おびき寄せ】て進む
●
レジスタンスのアジトのひとつで、オオカミの獣人がぱたぱたと走り回っていた。
「おーい、新入り! こいつを炊事場に持って行ってくれないか」
「了解っす!」
新入りは|糧食《レーション》の入った段ボールを抱えていく――実は彼は、その正体はたぬきの東方妖怪である。化術で巧みに変装した家綿・衣更着(綿狸忍者・f28451)は身分を偽ってレジスタンスに入りこんでいた。
衣更着はオオカミの獣人の姿に変装すると、「どーも、衣更着と申しまっす。超大国に対抗するため助けに来ましたっす」とレジスタンスの新入りとして入り込んだのだ。
身のこなしや身体能力については、元々別の国で小規模のレジスタンスに所属していたというカバーストーリーで納得させている。元の組織が壊滅してここに逃げてきたという設定だ。
そんな中、衣更着はメンバーのうち一人が人目を盗んで出ていく事に気が付いた。
衣更着は忍者の技能を駆使して彼の後をつけてみたのだが、人目を避けるように進む姿はどう見てもただの買い物や散歩ではない。
けれど衣更着の方もいつまでもアジトから姿を消す訳にはいかず、途中で断念して引き返す事にした。それでも、彼の様子は明らかに怪しいだろう。
暫くしてこそこそと出ていった彼がひっそり戻って来ると、衣更着は周りが気づくように大き目の声で彼を出迎えた。
「おかえりっす。何処に行ってたっすか?」
「ああ、ちょっと腹が痛くて……」
「あれ? トイレならさっき掃除したっすけどいませんでしたよね」
「いや、違った。消耗品の買い出しに……」
「その割に手ぶらっすよね」
――ここらが潮時だろう。
言い訳をひねり出すかそれとも逃げるか、そう相手が迷っている間に衣更着はユーベルコードを使用した。
「ステータスオープン! っす」
人目が集まる中でステータスウインドウが開かれる……すると、そこには彼がすでにオブリビオン化してゾルダートグラードの配下になっていることが記されていた。
突如開示された情報に、周りの目撃者はざわめいてスパイは逃げ出そうとする。しかし――。
「あんたが間者っすね! 逃がさないっす!」
衣更着は素早く『打綿狸の綿ストール』を展開してスパイを拘束した。
続けて催眠術で情報を吐かせていけば『秘密警察』がここを摘発する日時とその時の突入ルートが明らかになってゆく。レジスタンスたちはすぐにこの場を離れようと準備を開始した。
けれど心配は無用だ。何故なら衣更着は彼らの逃走手段も既に用意していたからだ。
「おいらに任せるっすよ」
最早姿を偽る必要もない。衣更着はオブリビオンを欺くために変装していたことを伝えると、変装を解いて身分を明かす。そしてユーべルコード『|収納鏡《マヨヒガストレージ》』の古びた鏡を取り出した。この鏡の中に一時退避してしまえば、鏡ひとつを運び出す手間で全員が無事に逃げおおせるのだ。
運ぶのはもちろん衣更着。本職の忍者を相手にしたなら『秘密警察』でも捕まえることは困難だろう――。
こうして、衣更着が接触したレジスタンスのチームは無事に『秘密警察』から逃れることができたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
エドゥアルト・ルーデル
&&&
空から降って来たんです!
大胆な拙者は秘密警察にタレコミをするぜ!
まさか秘密警察だって猟兵が正面から話しかけてくるなんて思わないでござろう?心理の隙をつくミスディレクションでござるよ
更に【隣人力】出しておけば怪しさや猟兵感を親近感が完全に包み込んで拙者を何かしらの協力者と信じ切るって寸法よ!
ここから欺瞞情報を流せばレジスタンスが逃げる隙も出来るでござろう
更に事前にボヤ起こす程度に爆薬やら仕掛けておけば信憑性も増すだろ
あっちでめっちゃ怪しい連中が練り歩いてましたぞ!そいつらは迫りくるなんかしらををちぎっては投げちぎっては投げまさに無双といったありさまで…
本当でござる
すごく本当でござる
●
某月某日、公務中の『秘密警察』に馴れ馴れしく話しかける不審者が現れた。
それも不審な爆発が街中で起こった直後にである。この不審者の名はエドゥアルト・ルーデル(黒髭・f10354)という。
「拙者この爆発の犯人らしき連中を見たでござるよ!!! 本当でござる!!!」
「通報ご苦労。あとで誰か寄こすからここで待っていてくれ」
『秘密警察』の小隊長はそれだけ告げると、無線で上長に報告をして応援の要請を行う。
「我々は爆発の現場と周辺の道路を封鎖する。ネズミ一匹たりとも逃がすな!」
曖昧な目撃情報よりも現場の物証という訳だ。だが、エドゥアルトは食い下がる。
「本当でござる。すごく本当でござる。あっちでめっちゃ怪しい連中が練り歩いていて……」
「ええい、放せ! うっとおしい!」
通常であればこんなことをしたら公務の妨害であっという間に鞭打ちだ。このようなじゃれ合いで済んでいるのはひとえにエドゥアルトが発動しているユーベルコード『隣人力』によるものが大きい。この力で親しい隣人のような感情を抱かせているため、対応が甘くなっているのだ。
さらにエドゥアルトは「ほら怪しい奴が逃げちゃうでござるよ早く早く」と催促を重ねて思考誘導の言葉を放っているのだが、流石に相手も『秘密警察』に所属できるほどの精鋭である。規律に則ってまずは現場を封鎖しようとエドゥアルトを振り切ろうとしていた。
「そいつらは迫りくるなんかしらををちぎっては投げちぎっては投げまさに無双といったありさまで……」
「ああもう、しつこいぞ! 後でいくらでも聞いてやるから今は邪魔をするな! このままでは貴様を留置所にぶちこまねばならなくなるぞ!」
「本当本当、本当なんでござる」
ユーベルコードの効果にこのウザがらみも重なって、『秘密警察』側はエドゥアルトを猟兵だとは思うことは無かった。普通はまさか探す相手がこんなに絡んでくるとも思わないので、心理の隙をつくミスディレクションが成功した状態でもある。
また、このやり取りは当然の如くとても目立っていた。
デタラメとは言え|思い込みで通報をしまくる不審者《エドゥアルト》が活発に活動しているような図になっているためだ。とあれば、レジスタンス側もいつ自分たちが通報されるかと心穏やかではいられない。レジスタンスたちはこの街から一時的に撤退する事を決めた……。
――この後エドゥアルトはしっかり留置所にぶちこまれたのだが、たった二日で釈放されたのはきっとユーべルコード『隣人力』の力だろう……。こうして街で騒ぐ|不審者《エドゥアルト》を目撃したレジスタンスは、無事に『秘密警察』から逃れる事ができたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
風吹・香織
&&&
空を飛ばない仕事は苦手なんだ。ふわぁ。
でもこの仕事は空を飛ぶ同志を支援することにもつながる。やりとげないとね。
郵便局員に変装しよう。
これでも旅をしていた頃は路銀を得るのに色んな仕事をしていてね、空を飛ぶのが得意な私は、配達員も結構していたものさ。
その時のコネで制服と郵便物を借りることができればベストだが、無理なら、手頃な郵便局員をこっそりと眠らせて服装と郵便物を借りることにしよう。
あとは配達をしつつ、レジスタンスのアジトに危険を知らせる手紙を投函する。
ふわぁ、自分の翼で飛ぶのって、疲れるねぇ。
とはいえ、借りたか眠らせた人に悪いから、郵便配達は最後まで全うしてから返そうかね
●
風吹・香織(怠惰な「双胴の悪魔」乗り・f39889)は空を見上げると、ふわぁとあくびをひとつする。
天候は快晴で風も穏やか。きっと|空を飛ぶ同志《戦闘機乗り》たちにとっても心地よく飛べる空だろう。
さて香織はいま郵便配達員の恰好をしていた。
彼女は配達員を示す帽子をいちど深めに被ると配達のために歩き出す。
この姿は昔のコネで借りたものだ。とはいえ知り合いがサボる間の身代わりとしてなのだが。さらにはついでに超大国へのささやかな抵抗になるならばということで快く貸してもらえている。
香織はぐっと背伸びをした。
「|空を飛ばない《戦闘機に乗らない》仕事は苦手なんだ。ふわぁ……」
(でもこの仕事は空を飛ぶ同志を支援することにもつながる。やりとげないとね)
彼女は次に届ける宛先を確認すると背中の翼で飛び上がった。
香織の配達は手際が良くてこなれた動きをしている。それは配達員の経験があるためだ。
この制服を借りられ、配達の手紙を預かったのも昔のコネによるものだし実際に配達の一挙一動も様になっている。
(これでも旅をしていた頃は路銀を得るのに色んな仕事をしていたからね。その時にとった昔の杵柄が役に立ったよ)
届け先がアパートメントならそれぞれの部屋の郵便受けへ。届け先が店舗なら店員に問い合わせて、個人宅の場合は家主が見える場所にいたらにこやかに挨拶をしていった。
こういったやり取りのパターンの多さは地味に慣れが必要だ。けれどそういう面で香織が『秘密警察』に疑われる要素は無い。
(さて、そろそろかな)
香織はちらりとまわりを見回した。
一般人を装って街を監視している『秘密警察』たちの目も繰り返す日常では多少は気も緩むというもの。配達員がいつもと異なっていたとして、その仕事ぶりに真新しいものが無ければ監視の目も緩みやすい。
香織はとある建物のポストに投函する郵便物に、こっそり別の手紙を忍ばせた。
それは大規模な摘発が近々行われるという警告の手紙だ。
この建物は一見するとただのアパートの一室。しかし実はレジスタンスがアジトに使っている場所である。これで迫る危機は伝わることだろう。
香織は投函を済ませると何食わぬ顔で次の届け先へと向かっていった。
配達する郵便物も残りあと少し、この懐かしい仕事ももう少しで終わりになる。
香織はふわぁとあくびをした。
(自分の翼で飛ぶのって、疲れるねぇ)
仕事を終えたらどこかで食事でもしようかなと香織は考える。制服の持ち主がサボるための肩代わりでもあるのだし、あいつに奢らせるのが良いだろう。
ちゃんとギブ&テイクを成立させれば、監視する『秘密警察』もこの仕事の代行を怪しまないはずだ。
――こうして、この手紙が届いたレジスタンスのチームは無事に『秘密警察』から逃れることができたのだった。
オブリビオンの超大国が複数ひしめき合う獣人戦線。そこではオブリビオン同士が争う傍らで獣人たちが巻き込まれていく世界だ。
そんな世界で、現地の獣人たちは武装して超大国に抵抗を続けている……。今回の猟兵たちの行動は、その抵抗の灯を守る事に繋がった。
大成功
🔵🔵🔵