●
「集合に感謝するのであります!」
猟兵達の姿を確認するや否や、風花・ゆきみ(戦場の綿雪・f39971)が溌剌とした声を発する。その小さな身体からは、大きな緊張が伝わってきていた。
「皆様、獣人戦線にて獣人世界大戦が勃発したのであります。ワルシャワ条約機構が『はじまりの猟兵』の手がかりを発見したことをきっかけに、各地の超大国が軍事侵略を開始したのです。このままでは、多くの獣人達が傷付くことになるでしょう……。この世界を守るために、皆様の力を貸して欲しいのであります!」
超大国は自分達の行動が|世界の滅亡《カタストロフ》に繋がることも厭わない。今すぐ猟兵達の介入が必要だろう。
「今回皆様に向かっていただきたいのは香港の『九龍城』です。ただ……」
ゆきみは少し声のトーンを落としつつ、グリモアを起動する。そうして映し出されたのは――巨大な機械龍だ。
「現在『九龍城』はこのように変形し、サイバードラゴンシティと化しているのです。そしてこの九龍城、中国大陸部へ進撃しているのであります!」
このまま九龍城を放置すれば、惨劇は免れない。一刻も早く九龍城へと乗り込み、危機を防がなくてはならない。
「現在、人民租界のオブリビオンが九龍城内部に入り込み、暴れ回っているようなのであります。皆様にはこちらを迎撃していただく予定であります。それからもう一つ……」
そう言いつつゆきみが取り出したのは数枚の資料だ。紙面には何やら機械の設計図が描かれていた。
「九龍城内部は住民の獣人達によって散々改造され尽くされているのであります。さながら自動変形し続けるサイバーパンクダンジョンでありますね。今回向かう区域の仕掛けについては説明していただいているので、こちらを有効活用して下さい。敵は飛行するタイプのようですから、うまく誘導すればレーザーにも引っ掛けやすいかもしれません」
ゆきみ曰く、今回向かう区域にはいくつものレーザートラップが仕掛けられているらしい。
動くものに反応しレーザー攻撃を行うもの、狭い通路に網のようにレーザーを敷いている区域、何かがレーザーに触れた際に大きな音を発するものなど――種類も様々のようだ。
「説明は以上になります。そろそろ転移の準備をするのであります」
ゆきみは資料を片付けると、再びグリモアを起動する。今度は転移ゲートを開くためだ。
ゲートが開いたところで、ゆきみは猟兵達に頭を下げる。
「それではお気をつけて。ご武運を!」
ささかまかまだ
こんにちは、ささかまかまだです。
戦争です。頑張っていきましょう。
●プレイングボーナス
九龍城のサイバートラップに敵を巻き込む。
今回の戦場にはレーザートラップが仕掛けられています。
動くものを攻撃するもの、常にレーザーが張り巡らされているもの、センサーに何かが引っかかれば音を発するものなどなど。
ここに書いてないものでも「レーザートラップ」の範囲から逸脱しないものなら存在するでしょう。
うまく活用して下さい。
●『コウモリ爆撃兵』
人民租界のオブリビオンです。
とにかく暴れまわっているのでやっつけてやりましょう。
●
オープニングが出た時点でプレイングを受付開始します。
シナリオの進行状況などに関しては戦争の詳細ページ、マスターページ等も適宜確認していただければと思います。
また、プレイングの集まり次第で不採用が出てしまうかもしれません。ご了承下さい。
それでは今回もよろしくお願いいたします。
第1章 集団戦
『コウモリ爆撃兵』
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POW : 無差別爆撃
戦場にレベル×5本の【焼夷弾】が降り注ぎ、敵味方の区別無く、より【多くの被害と死者が出る】対象を優先して攻撃する。
SPD : 反響定位
【超音波】を体内から放出している間、レベルm半径内で行われている全ての【攻撃】行動を感知する。
WIZ : 空飛ぶ悪魔
戦場内で「【助けて・死にたくない・怖い・熱い・神様】」と叫んだ対象全員の位置を把握し、任意の対象の元へ出現(テレポート)できる。
イラスト:はるまき
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
神臣・薙人
この大きさの機械龍が人の住む地へ進んだら…
一刻も早く止める必要がありますね
九龍城へ入った時点で
目に入るレーザートラップの位置を確認
触れると発動するものの間近まで移動
敵が1体でも現れれば
即座に助けてと叫びます
トラップに敵がかかれば良し
そうでなくとも白燐蟲を呼び出して
桜花燐光撃を使用
1体でも多くの敵に刻印を刻みます
その後はレーザートラップに注意し
可能な限り多くの敵が
追加攻撃の範囲に入るよう立ち位置を調整
隙があれば追加で白燐蟲を呼んで
光で目を眩ませるようにします
うまくトラップの位置に落ちてくれると良いのですが
新手が来ればUC再使用
その際もトラップの間近に立ち
敵がレーザーに当たりやすくなるようにします
●
転移前、一目見た九龍城の姿はあまりにも巨大だった。
それが蛇のように蠢きながら、ただ大地を進む。相手は都市だというのに、捕食者らしい気迫も感じられた。
(この大きさの機械龍が人の住む地へ進んだら……)
恐ろしい想像に、神臣・薙人(落花幻夢・f35429)は少しだけ目を伏せる。
けれどあの機械龍を止められるのは自分達だけだ。一刻も早く向かわなければと、薙人は顔を上げて転移を終えた。
九龍城の内部には、確かにレーザートラップが張り巡らされていた。
そのうちの幾つかを観察し、薙人が目をつけたのは狭い通路だ。
ここに仕掛けられているトラップは、通ったものを攻撃してくるらしい。敵を誘き寄せるには丁度いいだろう。
トラップの側に待機しつつ、薙人は耳を澄ませる。聞こえてきたのは大きな羽音、敵が接近してきているようだ。
そこで薙人は大きく息を吸い込み――力強く叫ぶ。
「――助けて!」
その声に反応し現れたのは、コウモリ爆撃兵の群れだ。彼らは薙人を見下ろすと、ニヤリと厭な笑みを浮かべた。
相手が正直にこちらに突っ込んできたのを確認し、薙人は素早く横へと転がる。
勢いよく突っ込んできた兵士達は減速出来ずに直進し――見事にレーザートラップへと引っかかることとなった。
叫び声を上げ、痛みに悶える兵士達。薙人はすかさず白燐蟲を呼び出し、敵に追撃を仕掛ける。
「いきますよ……!」
薙人が兵士達に桜花の刻印を刻みこめば、その位置に白燐蟲が喰らいついて。
刻印を刻めた敵は、いずれ力尽きるだろう。ならば気をつけるべきは、異変を察知して現れる新手だ。
薙人は素早く立ち上がり、再び九龍城を進んでいく。
再びレーザートラップを発見すれば、わざと助けを呼んで敵を呼び寄せて。
薙人はトラップと白燐蟲を駆使し、着実に敵を倒していく。
彼らの通った道には白燐蟲の輝きが残り、その光も敵を惑わす助けとなっただろう。
(一体でも多く敵を倒して、早くここを止めなければ……!)
レーザーギリギリで待ち構えるのは緊張するし、ずっと戦い続けるのも疲労が重なる。
それでも薙人は決して動くのを止めず、敵と戦い続けた。
その強い意志は、確かな戦果を残していくのだった。
大成功
🔵🔵🔵
レニー・リー
香港!おれの育った中華街と似て…るけど、何か違う!?
これ絶対、普段からこんなんじゃないよね!?
とにかく、オブリビオンを倒しちゃえばいいんだよね
トラップの位置は…よし、わかった。行ってきます!
【午の型】発動!
敵の群れの近くを疾走して
わざとおれの存在を感知させるね
そして攻撃する…と見せかけて、全力逆走!
敵から付かず離れずの距離を保ちつつ逃げて
トラップの位置まで釣り出すよ
トラップは張り巡らされたレーザーに引っ掛かると
攻撃されるタイプのもの
おれはレーザーの合間を縫うように逃げ続けるよ
万一、引っ掛かっても全力疾走で攻撃を回避!
一方、敵は集団だから団子になって引っ掛かるはず
|拜拜《バイバイ》、オブリビオン
●
|中華街《チャイナタウン》で育ったレニー・リー(眠れる獅子兎・f43295)にとって、本場香港というのは興味深い場所だった。
九龍城というのは少々特殊な場所らしいが、一体どんな光景が広がっているのか――いざ転移を終え、レニーは広がる光景に目を丸くする。
「おれの育った中華街と似て……るけど、何か違う!?」
建物の造りや看板の文字などは馴染みのあるものだが、他の様子は全然違う。
なんだか機械が多いし、レーザートラップは張り巡らされているし。
「これ絶対、普段からこんなんじゃないよね!?」
びっくりこそしたものの、とにかくやるべきことをやらなくては。
周りの状況をざっと確認し、大体のトラップの位置を確認して。レニーは低く身を屈め、ゆっくりと呼吸する。
「それじゃあ――行ってきます!」
駆け出すと同時に発動するのは、午の形『風檣陣馬』。
全身に闘気を纏えば、レニーの身体は駿馬のように九龍城を駆け抜けていく。
どんどん道を進んでいけば、レニーの音が幾つもの羽音を捉える。
どうやら近くにコウモリ爆撃兵の集団がいるようだ。相手が群れているなら都合がいい。
レニーは建物の壁を駆け上がり、兵士達の前に姿を晒す。
「こっちだよ!」
叫びと共に更に闘気を迸らせれば、兵士達はレニーが攻撃の構えを取ったと認識しただろう。
しかし、攻撃は行われない。レニーは一気に後退し、今来た道を戻り始めたのだ。
兵士達は何かを叫びながら、レニーの姿を追いかける。飛行スピードはかなりのものだが、足の速さはレニーの方が圧倒的に上だ。
けれど相手との距離は離しすぎない。向こうがこっちをしっかり視認し、追いかけてくれなければ意味がないのだ。
そうしてレニーが進むのは、先程確認したトラップの位置。狭い通路に幾つものレーザーが飛び交っている地点だ。
そのレーザーの間を潜り抜けつつ、レニーは更に走り続ける。そんな彼を追いかける兵士達は集団だ。咄嗟に通路を通ろうとすれば――。
聞こえてきたのは幾つもの悲鳴、そして何かが焼ける音。レニーを追いかけていた兵士達は、どんどんレーザーに焼かれていく。
「|拜拜《バイバイ》、オブリビオン」
そんな彼らの姿をチラリと見遣り、レニーは更に九龍城を進むのだった。
大成功
🔵🔵🔵
狸塚・雅紀
アドリブ連携可
九龍城には前にも行った狐塚のみで行くっす。
さて、要は罠にハメながら倒せば良いんすね?
ならばと【狐火乱舞】を発動、
129個の幻惑の狐火を使いながら空飛ぶ悪魔のUCに関わるワードを連呼。
とりあえず一体引き寄せて倒す感じで、
そこから狐火を広範囲に動かして道を狭めたり、天井とかに逃げれないように塞ぐように周囲に配置してレーザートラップに誘導していく。後はセンサーの音やら引っかかって上がる悲鳴を聞いて狐火を動かして潰しつつ、ワードを叫び続ける。これで「動けず救援を求めてる奴」と勘違いさせて更に敵を釣ってくっすよ。
いやー、個別に動かすのは集中力が必要なんで動かないで戦うのは楽で良いっすね~。
●
「っと、ここには前にも来たっすけど……」
転移を終えた狸塚・雅紀(キング・ノーライフの従者・f29846)の片割れ、狐塚雅紀はキョロキョロと周囲を見遣る。
元々雑然とした空気が流れていた九龍城だが、、今は更に騒々しい雰囲気に包まれている。
所々で喧騒の声が響き、レーザートラップが煌々と光を放ち、そして九龍城全体が常に揺れている。
分かりやすい異常事態だ。しかし原因が分かっている以上、対処の方法もシンプルだろう。
「さて、要は敵を罠にハメながら倒せば良いんすね?」
ここで悪さをしているオブリビオンを倒せば、九龍城を止める手段も出てくるだろう。
雅紀は意識を集中し、狐の尾をピンと立てる。
「それじゃあ……一気に行くっすよー!」
九龍城の内部では、コウモリ爆撃兵が獲物を探し飛び回っていた。
彼らは残虐な性質を持っており、助けを請うような弱い者から嬲っていくのが好きだった。
だから彼らの聴覚は、そのような言葉をより的確に捉える。ほら、今も道の先で、男の助けを呼ぶ声が聞こえる。
兵士達はそちらに急行し――次の瞬間見えた光景に目を疑った。
「助けてー! ……見事に引っかかったっすね!」
助けを呼んでいたはずの男が笑顔を浮かべているではないか。さらには彼の周囲に幾つもの狐火が浮いていて――。
兵士達が状況を理解するより早く、雅紀は狐火をけしかける。
数体の兵士が炎に飲まれる最中、どうにか逃げ出そうとした者も出てきたようだ。
「逃さないっすよ!」
雅紀は更に狐火を操り、兵士達の行く手を阻んだ。
炎は時に天井に、時に道に設置され、次々に兵士達を燃やしていく。
それでも包囲を逃れようとする者は――見事にレーザーの方に誘導され、結局焼け落ちることとなる。
雅紀は狐火の操作に集中しつつ、悲惨な悲鳴だけは上げ続けていた。
「ああ、熱い! 誰か助けて!」
その声につられて次の兵士がやってくれば、それもどんどん燃やしていって。
攻撃と叫びを続ける最中、雅紀は一歩もその場を動かなかった。
(いやー、個別に動かすのは集中力が必要なんで動かないで戦うのは楽で良いっすね~)
叫びの演技と裏腹に、雅紀の様子はどこかリラックスしていた。
そうした見事な作戦で、雅紀は多くの敵を倒すのだった。
大成功
🔵🔵🔵
紫・藍
藍ちゃんくんでっすよー!
あやー、中々に厄介な能力のようでっすがー。
これ、特定のワードさえ叫べば、別にそこに込める感情は関係ないということでっすよね?
藍ちゃんくん、恋人は神様でっすのでー!
おねーさんがどれだけ愛らしい神様なのかを大声で歌うのでっす!
やや、コウモリさんも藍ちゃんくんの惚気を聞きに来てくださいまっしたかー?
あまりのあつあつっぷりにきゃーとなってふらふらくらくら味方同士ごっつんこではー?
ちなみに藍ちゃんくんの惚気の歌、レーザートラップさんまで熱くしちゃうのでっしてー!
音に反応するタイプの罠が、リズムゲームのごとく藍ちゃんくんの歌に合わせてコウモリさんを撃ち抜いてくださるかと!
●
蠢く龍と貸した都市の中でも、紫・藍(変革を歌い、終焉に笑え、愚か姫・f01052)は元気いっぱい足を踏み出す。
レーザートラップだらけの都市に、暴れまわるオブリビオン。迅速に対処しなければいけない状況だが、どのように作戦を組み立てようか。
「コウモリさんの能力、中々に厄介な能力のようでっすがー」
一番特徴的なのは、助けを呼ぶ声に反応しすぐさま駆け付けるところだろうか。
おそらくそこに籠める感情自体は何でもいい。ただ兵士達は弱っている相手を探したいだけなのだから。
民間人相手なら悪辣な能力だが、猟兵ならば――むしろその能力を利用出来るはず。
藍にとっては尚更だ。だって兵士達が反応するワードの一つが、藍にとって大切な言葉なのだから。
「藍ちゃんくんは歌うだけなのでっす! いきますよー……」
いつものように笑顔を浮かべ、軽くステップを踏んで。
藍が心を籠めて歌うのは、|神様《こいびと》の愛しさを紡いだ歌だ。
聞こえてきた神様、という言葉に反応し、コウモリ爆撃兵達はニヤリと笑う。
彼らは声の方に駆け付けるが――目の前の光景には驚くことになるのだろう。
そこにいたのは楽しそうに歌い、踊る藍だ。藍は兵士達に気付くと、彼らに向けてウインクする。
「やや、コウモリさんも藍ちゃんくんの惚気を聞きに来てくださいまっしたかー?」
思わぬ光景に面食らう兵士達。彼らはすぐに気を取り直し、藍の方へと飛びかかるが――思うように空を飛べない。
千鳥足のようにふらふらと空中を漂い、次々にぶつかり合う兵士達。何事かと焦れば焦るほど、混乱は広がっていく。
「ふっふー、あまりのあつあつっぷりにきゃーとなってふらふらくらくらでっすねー!」
藍の弾むような歌声とステップは、気付けば兵士達を魅了していた。彼らは無意識に藍を手助けする行動を取っていたのだ。
そしてこの場で魅了されているのは、兵士達だけではない。
「お次はー……レーザートラップさん!」
藍が周囲のトラップに向けて声をかければ、彼らは一斉に兵士達へ光線を放つ。
歌に反応し、まるで光の演出のように動くトラップ達。それらは次々に兵士を撃ち落とし、藍を勝利へ導く。
「これだけ楽しく歌えるのも、愛しい神様のおかげなのでっす!」
神様を呼ぶのは、何も助けを請うものだけではない。
ただただ愛しい人のため、その名を呼ぶ者だっているのだ。
大成功
🔵🔵🔵
メルガシェラ・トヴェナク
ボク、戦争って好きです
そのために生まれてきた、っていうのもありますけど、食べても良い物がたくさん現れるから
じゃあ、いただきますね?
ボクを構成するナノマシン群をばらばらにして、砂よりも細かくなります
ほら、そうすれば九龍城の中を自由に動き回れるでしょう?
元々は建造物だから、たくさんパイプや隙間が通ってますよ
そうやって、トラップのすぐ傍で、ガワだけを構築するんです
風船とか、中が空洞の人形みたいに
そうするとね……ほら
ボクを狙って襲ってくるでしょう
残念でした、ボクはすぐにバラけて隙間に逃げてしまいますよ
トラップに引っかかって弱ったところを、捕食性ナノマシンで包んで捕食しちゃいます
ごちそうさまでした
●
九龍城の中ではいつもの喧騒と違う、激しい音が響き続けている。
明らかな戦乱の気配。それを感じ取り、メルガシェラ・トヴェナク(スノウ・ドロップ・f13880)は緩く微笑む。
戦争は好きだ。
自分がそのために生み出された存在だから、というのはあるだろう。
しかしそれ以上に――食べても良い物がたくさん現れるのが嬉しいから。
だから、今日は思うままに食事を楽しもう。メルガシェラは自らの身体をナノマシンとして解いていき、小さな小さな姿へと変えていく。
メルガシェラを構成していたナノマシン群はふわりと風に乗って、九龍城のあらゆる地点を巡り始めた。
元からここは建物が積み重なった混沌の街。建物の隙間や張り巡らされたパイプ、道なき道はたくさんある。
自由自在に都市を駆け巡り、ナノマシンは通路の上に舞い降りる。
彼女らは再び寄り集まってメルガシェラの姿を取るが、あくまで作るのは見た目だけだ。
中身は空っぽ。それで十分。
混沌の街に佇む白いメルガシェラの姿は、敵を誘き寄せるのに最適だろうから。
巡回していたコウモリ兵達は、ふと目に留まったものに意識を向ける。
そこにいるのは雪のように美しい少女の姿。
彼らはニヤリと嗜虐的な笑みを浮かべ、少女の元へ飛びかかる。
兵士達は気付いていなかった。仲間が他の地点、同じような少女を発見しているのだと。
勢いよく兵士が飛びついた瞬間、少女の姿はふわりと解ける。一体何事かと視線を巡らせれば、少し先の道にまた少女が立っていた。
逃げられたのだろうか? 兵士達は腹立たしげに鳴き声を上げ、少女を追いかけるが――その追跡は、レーザートラップに阻まれることとなった。
苦悶の声をあげつつ、地面に叩きつけられるコウモリ。彼らが最後に見たのは、優雅に微笑みこちらを見下ろす少女の姿だ。
(――じゃあ、いただきますね?)
兵士達は何が起きたのか理解も出来ず、ただナノマシンに包まれて、その肉体を食い尽くされていく。
食事を終えたナノマシンは再び集合し、メルガシェラの形へと戻った。
今日はたくさん食事が出来た。やはり戦争というのはありがたいものだ。
「ふふ、満足ですね。ごちそうさまでした」
そう言って九龍城を後にするメルガシェラ。彼女の通る道には、コウモリ兵士の痕跡は一つもなかった。
大成功
🔵🔵🔵