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獣人世界大戦⑧〜渾沌なる功夫

#獣人戦線 #獣人世界大戦 #第一戦線 #人民租界 #シャングリラ・シュミセン #有頂天道人

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●|有頂天天蓋《ウチョウテン・ルーフ》
 人民租界。絢爛なネオンサイン輝く|須弥山型都市《シャングリラ・ミュンセン》。
 その頂上にて、コンキスタドール『有頂天道人』は遥か遠くにある地平線を見つめていた。
「カカッ……此処までは『王』と『師父』の思惑通り! 本田と黯党は、本気で俺から領土を奪えたと思っているだろう」
 だが、全ては策謀のため。全ては――。
「だがそれは全て、幻朧帝国の中枢に深く食い込んでいる『王』の策略。俺達が本気で相争っていれば、始祖人狼は俺達を捨て置き、欧州に注力する事だろう」
 そうして、始祖人狼を掻い潜り、『はじまりの猟兵』を探す一手とする。
「それにより、俺が『はじまりの猟兵』を探す時間を稼げるという寸法だ」
 腕組みをしながら、しかし地平線を見つめていた有頂天道人は、別の方角へと目を向けた。
「だが、俺の『師父』は既に、『はじまりの場所』の目星をつけているようだ」
 だからこそ、『はじまりの猟兵』を見つけ出すまであと少し。それも、王よりも疾く。
「師父ははじまりの猟兵をご所望なのだ。悪いが土壇場では裏切らせてもらうぞ、カルロス王よ……! そして――」
 有頂天道人は感じていた。こちらへ迫り来る、敵意の波を。
「俺たちと同じく、六番目の猟兵たちが動き出したようだな」
 ばきり、と腕がひしゃげる。否、変形した。
 それは、かつて猟兵が垣間見た、渾沌の御業だ。
「ならば、俺の功夫で圧倒するのみ。サイバー化した膂力と、この渾沌の技、貴様ら如きが俺を打ち倒せると思うな!」

●世界大戦勃発
「獣人戦線が、危険な状況になってる」
 集まった猟兵たちに、アイン・セラフィナイト(全智の蒐集者・f15171)が予知の情報を告げていく。
「始祖人狼がはじまりの猟兵の場所を掴んでいるみたいなんだ。この機に乗じて、他の超大国もはじまりの猟兵を獲得しようと動き出してる。このままじゃ、無関係な獣人のみんなが犠牲になることに……」
 戦線を維持している獣人たちも、このままでは無事ではすまない。
 だからこそ、できることからゆっくりと。
 オブリビオンたちに、一矢報いるために。
「まずは、コンキスタドール『有頂天道人』の撃破をお願い。彼は人民租界の須弥山型都市、頂上の有頂天天蓋で僕たち猟兵を待ち構えてるよ!」
 有頂天道人は、サイバー化した膂力と、自身の体を自在に変形させる渾沌化の力を操るコンキスタドールだ。
 そこから繰り出される功夫は、恐ろしい威力を秘めている。
「このサイバー化と渾沌化をあわせた功夫に対処しなきゃ、勝利は得られない」
 とん、と杖で地面を叩けば、猟兵たちに転移の光が纏わりつく。
 転移先は、有頂天天蓋。有頂天道人の策謀を打ち砕かなければならない。
「この世界は、獣人たちのものだ。だからこそ、オブリビオンの策謀を一緒に打ち崩そう! 頼んだよ、みんな!」


夕陽
 獣人戦線の戦争開始ですね。
 OPをご覧頂きましてありがとうございます。
 以下、プレイングボーナスとなります。

 プレイングボーナス:敵の「サイバー化」と「渾沌化」を利用した功夫殺法に対処する。

 先制攻撃は持っていませんので、ユーベルコードでの対処も可能です。
 それでは、皆様のプレイングお待ちしております!
122




第1章 ボス戦 『有頂天道人』

POW   :    サイバネ殺法 undefined cyberne
【機械化義体でカンフー技】を放ち、命中した敵を【undefined】に包み継続ダメージを与える。自身が【中国拳法の構えを】していると威力アップ。
SPD   :    サイバー渾沌拳 undefined kungfu
【サイバー化した肉体】と【渾沌化した肉体】を組み合わせた独自の技能「【サイバー渾沌拳】」を使用する。技能レベルは「自分のレベル×10」。
WIZ   :    渾沌波動弾 undefined aura
レベル秒間、毎秒1回づつ、着弾地点から半径1m以内の全てを消滅させる【undefined】を放つ。発動後は中止不能。

イラスト:松宗ヨウ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

バルタン・ノーヴェ
POW アドリブ連携歓迎

ハロー、有頂天道人!
メイドにしてサイボーグにして兵士にして猟兵のバルタン・ノーヴェ!
サイバーにして渾沌にしてカンフーのアナタに相対しマース!
……渾沌氏に関係してそうでありますな?

まー、思考は賢い人に任せて、ワタシはバトルデース!
強力なサイバネカンフー、功夫殺法への対処法……それは、当たらなければundefinedすることはナッシング!
撃たれる前に、UC発動!
「六式武装展開、煙の番!」
煙幕に身を隠してかく乱しマース!

そして拳法の間合いの外から銃撃する……と思わせて、滑走靴による急加速で懐に入り込み!
構えを取っている軸足の下から、パイルバンカーのアッパーを叩き込みマース!


夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
厄介な相手ですが、やってみましょう。

『混沌』の性質は不明ですが、『功夫技』を条件とする以上『当てさせなければよい』わけで。
【炳輦】を発動、防護結界を纏い飛行すると共に、『FLS』の空間歪曲障壁を重ねますねぇ。
近接攻撃は『高速飛行』と『転移回避』で常に射程外に配すればよく、『サイバー要素』や『気弾』等の遠距離攻撃は、空間歪曲障壁で逸らして命中自体を阻害、逸らしきれずとも当たるのは『結界』のみですので『一瞬解除し再展開』等で本人への被害は防げるでしょう。
後は『時空切断の嵐』に『FRS』『FSS』の[砲撃]を併せ、優れた功夫技術でも避ける隙間のない[範囲攻撃]で叩きますねぇ。



「……来たか」
 有頂天天蓋に現れる影があった。
 二人の猟兵が現れた瞬間を垣間見て、有頂天道人は腕組みをしながら様子を伺っている。
「ハロー、有頂天道人! メイドにしてサイボーグにして兵士にして猟兵のバルタン・ノーヴェ! サイバーにして渾沌にしてカンフーのアナタに相対しマース!」
「なるほど、厄介な相手みたいですねぇ」
 現れたのは、バルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)と夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)だ。
「この俺を倒そうとする勇士たち……とも言えんか。六番目の猟兵よ」
 有頂天道人の片腕が、あの姿に酷似していることに気付いたのは、どちらもだ。
「……渾沌氏に関係してそうでありますな?」
「はい。ですが、どうにかやってみましょう」
「まー、思考は賢い人に任せて、ワタシはバトルデース!」
「良い、ならばゆくぞ猟兵。俺の功夫を受けてもらおう!」
 中国拳法の構えを取って、有頂天道人が凄まじい膂力を以て迫り来る。
 それは、サイバー化による凄まじい移動速度。すでにるこるの懐に入り込んでいる――!
 渾沌が片腕に満ちる。それは、命中すれば敵を -undifined- に包む必殺の一撃と化す。
 だが、目を瞠ったのは有頂天道人の方だった。
「――消えた?」
 るこるもまたそこにいない。
「『混沌』の性質は不明ですが、『功夫技』を条件とする以上『当てさせなければよい』わけで」
 振り向けば、天空に飛翔して見下ろす猟兵の姿。
「デスネ! 当たらなければundefinedすることはナッシング! というわけで……」
 ユーベルコードの超常が重なり合う。
「六式武装展開、煙の番!」
「大いなる豊饒の女神の象徴せし欠片、その衣を纏いて典礼を捧げましょう」
 瞬間、煙が爆ぜた。
 周囲を満たす煙幕。それは、有頂天道人の視界全てを遮る。
「私の視界を奪ったとて、サイバー化しているこの身ならば、いくらでも――ッ!」
「させませんよ」
 瞬間、周辺の時空が揺らぎ、断ち割れた。
 全方位を埋め尽くす時空裁断。それが、有頂天道人を蹂躙する。
 【豊乳女神の加護・炳輦】による、瞬間移動と、戦場全体を蹂躙する時空切断の嵐。それが、有頂天道人を苦しめる。
「ぐ……! このような煙など……!」
 駆け出す。時空の切断の雨に襲われようと、煙幕から脱出するために凄まじい脚力で疾駆する。
 やがて、煙幕が晴れる――!
「ハーイ! 待ってマシタ!」
「何ッ!?」
 煙を抜けた先には、バルタン。
 【|粉塵纏・破城槌《ヴァニッシング・バトリングラム》】。パイルバンカーが唸りを上げて、有頂天道人を貫く。
 激烈な破壊音と共に、有頂天道人が真上にふっ飛ばされたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

黄・威龍
●WIZ

中々骨がありそうな奴が居るじゃねぇか
手合わせする前に拱手をして名乗りをしておくぜ
ニンジャの古文書にアイサツはするって書かれているが、それは武侠も同じだ

俺の功夫で圧倒すると豪語していやがったが、なるほど
確かに言い切るまでの実力だ
互いに相手の技量を確かめ合う腹の探り合いはここまで
こっから先は互いの全力を持ってしての命のやり取り
お遊びはここまでにしておこうや

しかし、機械の体に自在に変形させる渾沌化の力か
なら、これしかねぇか…『天灾通力』!
零下80度、吐く息どころか内臓さえも凍る冷獄の吹雪!
これには流石の自慢の義体と体を変形させる渾沌は凍りつくだろ
生身であれば耐えれただろうが、俺の拳を受けよ!


皐・芽衣
功夫使いか。ふむ、その身体に興味もある。付き合ってやろうかの!

とはいえ怪しい技と力じゃ、まともに受けるつもりはないぞ。
【乱闘遊戯】で対応し、動きや変形を[見切り]
手足での[功夫]で受け止め[受け流し]、反撃、追撃。
[体勢を崩し]たり[グラップル]から機械間接の[部位破壊]、
[闘気]を使った浸透勁による、混沌化肉体への
[鎧無視攻撃・マヒ攻撃]を織り交ぜて、手数を奪っていこうかの。
お主、マヒした部分は、変形できるのかの?

サイバー化、渾沌化と大層な響きじゃが、所詮機械と肉体。
壊し方さえ分かっとれば問題ないのう。
中国拳法の構えを取るなら、構えから動きの予想も立てれるしの。
お主の野望も、ここまでじゃよ!


劉・涼鈴
サイバー化に渾沌化……ぷーんだ、どっちもズルっ子じゃん
本物の【功夫】ってやつを教えてやるよ!(挑発)
この私、劉家拳が伝承者、劉・涼鈴が!!
【気合い】入れて! いっくぞー!!

本物の功夫、なんて【挑発】を受けて殺気もバリバリに殺人拳が飛んでくる!
――サイバー化も、渾沌化も、そして功夫の鍛錬も
結局のところ、武術は殺意の具現化
そこが怒りで単純化されちゃったら、鋼鉄も変幻自在も何の意味もない
天衣無縫の殺意、それが【功夫】の極意だ!
幻惑の歩法(軽業)で間合いを詰めて、不羈奔放の【殺意】を放ちながら拳打!
一打ごとに体内を巡る経絡が閉じ、四打を以って生命を停止させる!
これぞ【劉家奥義・四凶戮塵拳】!



「なるほど……これが猟兵たちの実力か」
 立ち上がる有頂天道人は、先に現れた別の猟兵たちを視認する。
「中々骨がありそうな奴が居るじゃねぇか。黄・威龍――いくぜ」
 拱手を組み、礼儀を尽くす。それが、武侠たる黄・威龍(遊侠江湖・f32683)の在り方だ。
「功夫使いか。ふむ、その身体に興味もある。付き合ってやろうかの!」
「サイバー化に渾沌化……ぷーんだ、どっちもズルっ子じゃん」
 |獬豸《カイチ》の瑞獣たる皐・芽衣(金色一角のメイメイ・f35724)が凛とした立ち振舞いで現れ、劉・涼鈴(鉄拳公主・f08865)が有頂天道人と同じく功夫の姿勢を取った。
 ここは、戰場。
 それも、サイバーと渾沌入り交じる、死線だ。
「カカッ、随分と名のある者たちが集ったようだ。ならば俺も本気でいかねばな!」
「本物の功夫ってやつを教えてやるよ!」
「わしもゆくとするかの――全て見せてみよ」
 芽衣の双眸が金色に光り輝く。それはユーベルコードの超常を知らせる前触れだ。

 一人のコンキスタドールと、三人の猟兵が、動いた。

 威龍が功夫の体勢を取りながら、その拳を放つ。
 唸る剛拳が有頂天道人に刺さる、とはならない。渾沌化した四肢とサイバー化した駆体が唸り、尋常ならざる動きでそれを回避する。
 それに次いで、襲い来る有頂天道人の蹴りの一撃を、芽衣と涼鈴が見切り躱した。
 その隙を見逃さない。明らかに攻撃直後の体勢を取る有頂天道人に、芽衣と涼鈴の連続殴打が迫る、が。
「なるほど、素晴らしき功夫よな!」
 ぶわり、と有頂天道人が中空で体をひねり、そのまま宙に舞うように回転し回避。
 追撃とばかりに放たれた威龍の拳も、そのまま上半身を反らすことで器用に回避する。
 コンキスタドールの超人的な動きに、芽衣がふっ、と声を上げた。
「随分と怪しい技と力じゃ」
「俺の功夫で圧倒すると豪語していやがったが、なるほど。確かに言い切るまでの実力だ」
「まだまだ、いっくぞー!」
「カカッ、この俺と互角……いや、まだまだ奥の手は出してはおらぬ!」
「互いに相手の技量を確かめ合う腹の探り合いはここまで。こっから先は互いの全力を持ってしての命のやり取り。お遊びはここまでにしておこうや」
 有頂天道人の口元が、歪む。
「為ればこそ、俺の功夫を見せてやろう!」
 呟かれた瞬間、天から全てを消失させる-undefined-が降り注ぐ。
 次いで片腕がびきり、と変形した。
 渾沌化した片腕がさらに肥大化し、羽のような-undefined-に包まれた体を、再び中国拳法の体勢を取って構え――。
 
 ――芽衣の目の前に、来た。

「まずは一人、撃破させてもらうぞ猟兵!」

 拳が唸り、流れるような連続攻撃が叩き込まれる。
 機械化義体がしなり、渾沌化した腕が振るわれる。
 命中すれば-undefined-に包みこまれる必殺の一撃、が。

 届かない。

 芽衣の瞳孔が大きく広がり、窄まる。
 刹那の内の嵐のような功夫の連撃を、その目で追い、受け流し、回避しているのだ。
「な――ぐ、ぬ……!?」
「サイバー化、渾沌化とタイソウな響きじゃが、所詮機械と肉体。壊し方さえ分かっとれば問題ないのう」
 渾沌化していない一撃は流すように受け、その間隙に芽衣の一撃が叩き込まれた。
 雷が秘められた一撃が放たれ、渾沌化した片腕がびき、と跳ねた。
「お主、マヒした部分は、変形できるのかの?」
「雷の御業……瑞獣の力かッ!」
 【乱闘遊戯】。それは、功夫が成す攻防一体の攻撃。
「中国拳法の構えを取るなら、構えからの動きの予想も立てれるしの。お主の野望もここまでじゃよ!」
 芽衣の一撃が、有頂天道人の胴体を貫いた。
 そのまま真後ろへと吹き飛ばされ、しかし機械化義体の膂力を以て無理やりその威力を殺す。
 再び前を見据えた有頂天道人は、目を瞠った。
「機械の体に渾沌化の力、ならこれしかねぇな……『天灾通力』!」
 それは、超常の自然現象の招来。
 刹那の内に環境が変化し、-undefined-が降り注いでいた戦場が、氷獄の吹雪へと転じていく。
「零下80度、吐く息どころか内臓さえも凍る冷獄の吹雪!」
「ぐ、お、おお……ッ!」
 四肢が凍てつき、氷結していく。
 芽衣の一撃によって一時的な麻痺状態となっている有頂天道人は、それから逃れうる術がない。
 白に覆われる視界の中、有頂天道人は、そこから現れる二人の猟兵を見た。
「あなたの功夫は、確かにすごい功夫だよ! でも――サイバー化も、渾沌化も、そして功夫の鍛錬も、結局のところ、武術は殺意の具現化」
 涼鈴は気付いていた。
 有頂天道人が、『ズル』と言われた瞬間、微かに顔をしかめたことを。
「そこが怒りで単純化されちゃったら、鋼鉄も変幻自在も何の意味もない、天衣無縫の殺意、それが【功夫】の極意だ!」
「その四肢ではもう動けんだろう、俺の拳を受けよ!」
 涼鈴の幻惑の歩法が冴え、威龍の拳が唸る。

 拳が炸裂した。

「一打ごとに体内を巡る経絡が閉じ、四打を以って生命を停止させる! これぞ【劉家奥義・四凶戮塵拳】!」
「カカッ……なるほど、俺としたことが、小娘に諭されるとはな!」
 三人の猟兵が身構える。
 超常の吹雪が終わり、膝をつく有頂天道人は――生きていた。
 あの瞬間、涼鈴の最後の一撃を、サイバー化した駆体を強制的に動かして回避したのだ。
「だが、はじまりの猟兵を奪取するためにも、まだ止まれぬよ!」
 損壊し始めた駆体をゆらり、と動かして。
 有頂天道人のその双眼は、未だ闘争を宿していた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

スキアファール・イリャルギ
渾沌……
"奴"が絡んでいる、ということですか
顰め面で有頂天道人の腕を見る
"あれ"に良い思い出が無いもので

しかし成程、サイバー化もしていると
ならば怪奇が付け入る隙がある
そして功夫は基本的に近づかなければ技を打てないでしょうから――

まずは霊障でグレムリン効果を起こす
機械化義体の動きを一瞬でもいいので鈍らせ、
功夫を空振りさせるか避ける隙を作ります
その一瞬の隙を狙い、奴が自在に肉体を変化させる前に呪瘡包帯で捕縛
これならサイバー化による人外の膂力と反応速度も上手く機能しないでしょう

……折角です
近距離でしか使えない技でお返しします
機械の身体で"怪奇"に近寄ると痛い目を見る――よぉく憶えておくことですね



「渾沌……"奴"が絡んでいる、ということですか」
 かつて猟兵たちが相対した『躯の海』。それが、この戦争の影に潜んでいる。
 その予感は、スキアファール・イリャルギ(抹月批風・f23882)にとっては忌むべきものだ。
 数多の猟兵たちによって傷を負っているようだが、有頂天道人の片腕は、かつて見た渾沌と同じもの。
「俺の功夫は未だ死せず、よ。邪魔をするというのなら、相手になろう」
「ええ、そうですね。あなたの思い通りにさせるわけにはいきません」
「カカッ、佳い。なれば、この俺の功夫を食らうがよい!」
 中国拳法の構えを成し、機械化義体が唸りを上げる。
 本来であれば、スキアファールに刹那の内に接近し、その渾沌の片腕によって-undefined-で包むはずだった。
 だが。
「……――ッ! なんだ……!?」
 機械化義体が、思うように動かない。
 否、動かしているが、妙な違和感を覚える。
 最大出力を出せる気配もなく、しかし、妙なプログラムが起動しているかのように、動きが合わないのだ。
 その微妙な違和感によって生み出された隙によって、スキアファールはそのまま攻撃を回避する。
 なにをした、と言おうとした有頂天道人は、目の前で佇む猟兵の、その本質を垣間見た。
 スキアファールの足元から、影が立ち昇っていたのだ。
「グレムリン効果、というものです。私は|怪奇人間ですから《・・・・・・・・》」
 これは、スキアファールが本来持つ特異な力。
 あらゆる機械を狂わせる、怪奇なる影としての異能。
 それは、たとえサイバー化したオーバーテクノロジーのプログラムでさえも狂わせる。
 その影から、無数の呪瘡包帯が宙を舞った。
 有頂天道人は、駆体のエラーによって振り払うことも叶わずに、渾沌化した体ごと捕縛されてしまった。
 ゆっくりと近づいたスキアファールは、有頂天道人を見下ろす。
「……折角です。近距離でしか使えない技でお返しします」
 背から滲み出るように溢れた影は、"怪奇"の4本腕と化して現実に具象した。
「機械の身体で"怪奇"に近寄ると痛い目を見る――よぉく憶えておくことですね」
 凄まじい炸裂音と共に、有頂天道人が【|峻拒のアスラ《ディスガスト》】の一撃によって吹き飛ばされたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

夜刀神・鏡介
有頂天と聞くと、どうにも「いい気分になっている」みたいな意味を思い浮かべるが
流石に奴の名前は仏教用語としての方か?いや、どちらでも関係はないんだが……

利剣を抜いて、澪式・捌の型【炎舞】の構えで敵と相対
通常であれば刀の分だけ此方の間合いが僅かに上回るが、相手の肉体は渾沌の異形。油断はせずに相手の動きを冷静に見極める

異形の肉体から放たれる一撃は恐らく牽制。本命は機械化義体の身体によって繰り出す方だ
とはいえ渾沌の方だって対処は必須の威力
真正面から受け止め受け流し、本来ならカウンターを入れる所だが敢えて我慢
本命のカンフー技をきっちり受け流した所で改めてカウンター攻撃を叩き込む



「俺の功夫が、ここまで看破されるとはな……」
 ゆらり、とまだ立ち上がる。
 サイバー化した義体の出力は未だ在り。
 そして、渾沌化する片腕は、正体不明の-undefined-に満ちていた。
「有頂天と聞くと、どうにも『いい気分になっている』みたいな意味を思い浮かべるが……」
 愛刀を携えて、夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)は独りごちる。
「流石に奴の名前は仏教用語としての方か? いや、どちらでも関係はないんだが……」
 おそらく、この有頂天は三界のうちの最上位の天、だろう。
 それに由来するほどに、このコンキスタドールは強力だ。
「まだ終わらぬ! かかってこい、猟兵よ!」
 利剣【清祓】を鞘から抜き放ち、鏡介は渾沌とサイバー化を操るコンキスタドールと相対する。
「焔の如く――澪式・捌の型【炎舞】」
 ユーベルコードの超常が発現し、刀身が陽炎のように揺らめき出した。
「――いざ!」
 中国拳法の構えから、刹那の内に肉薄してきた有頂天道人と、刃が交差する。
 渾沌化した片腕が、鏡介の視界に入ってくる――!

 ぎん、と甲高い音と共に、渾沌化した片腕がいなされた。
 だが、終わらない。
 有頂天道人の武器は、渾沌化だけではない、いかなる体勢でも反撃に転じることができる、サイバー化義体の超人的な動きだ。
 ひねるように体を折り曲げた有頂天道人が、その右脚を用いて殺人的な蹴りを成す。
「――シッ!」
「!? ぬぅっ!?」
 ギィン!と再び甲高い音。
 揺らめく柔の太刀の刀身は、あらゆる攻撃を受け流す。
 そうして宙に翻った刃の軌跡が、有頂天道人の義体を斬り裂いた――!
 【澪式・捌の型【炎舞】】による、攻防一体の攻撃だ。
「俺の連撃全てを弾ききるとは……!」
「本命のカンフー技も予想の内だ。油断するわけにはいかないからな」
 ばちりと爆ぜる機械部品を見つめて、有頂天道人が悔しそうに鏡介を見つめていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

神酒坂・恭二郎
アドリブ・連携歓迎

厄介な手合いだね
それだけ異質な強化を合せて使いこなすとは大したもんだ

対策って程ではないが、手にした愛刀を霞に構えて刃を向ける
自在に動くとは言え硬度に欠ける混沌化で、刃物の相手は避けたいだろう
機械化の体による攻撃を誘導し、奴の構えの型を【功夫】で分析し【見切り】をつける
自在過ぎる分、拳法の型と言う枠が必要なのがサイバー混沌拳の強みで弱みと見た

攻撃は奴の攻撃に合せ、奴の手足の更に懐深くに飛び込んで、零距離での刺突を狙う
その際は、敢えて硬い機械化部分を狙っての「石動」【鎧無視攻撃、衝撃波】で奴の虚を突きたい


木霊・ウタ
心情
命と未来をいいようにされてたまるか
コンキスタドールを海に還すぜ

戦闘
確かに恐るべき力だ
けど未来へ進むことができないオブリビオンは
真に功夫を重ねることができない
サイバーと混沌の力を誇っている時点で
あんたの功夫の底が知れるってもんだぜ

獄炎纏う焔摩天をふるう
刀身を爆炎加速させてサイバーの反応速度やパワーに対抗し
更に高熱で炙って変化する肉体を動きを封じようとするぜ
多少の怪我は地獄の炎で補って攻撃の手を緩めない
相打ち覚悟で刃をふるう

刃か届くか
打ち合いの中で飛び散る火の粉が道人の体を撫でれば
そこを爆破ないし操作

その機に紅蓮で薙ぎ
燃やし尽くして灰に

事後
ギターで鎮魂曲を奏でる
海で安らかにな



「カカッ、こうでなくてはな!」
 猟兵たちの連撃に膝をついていた有頂天道人が立ち上がる。
 サイバー化した義体はその猛攻によってショートして火花が散っているが、その瞳から闘争の意志は消えていない。
「厄介な手合いだね。それだけ異質な強化を合せて使いこなすとは大したもんだ」
「確かに恐るべき力だ。けど未来へ進むことができないオブリビオンは真に功夫を重ねることができない」
 対峙するのは、神酒坂・恭二郎(スペース剣豪・f09970)と木霊・ウタ(地獄が歌うは希望・f03893)だ。
 愛刀である『銀河一文字』を構え、獄炎を纏う焔摩天を前に掲げる。
「サイバーと混沌の力を誇っている時点で、あんたの功夫の底が知れるってもんだぜ」
「ならば――」
 中国拳法の構えをとった有頂天道人が、その異質を解放する。
「俺の功夫を受けてみるが佳い!」
 恭二郎とウタに肉薄する。
 サイバー化義体が唸りを上げ、圧倒的な膂力で地面を蹴る――!
 残像、が来る。

 ――右、いや。

 上。

 瞬間、ウタの剛剣がその一撃を受け止めた。立ち昇る獄炎とサイバー化義体の軌跡が中空を弾け飛んだ。
 跳ねたサイバーの軌跡は、ウタの一撃を弾かれたとも止まらない。
 流れるように、恭二郎の懐へと入り込み――。
 否、恭二郎もまたその動作を凄まじい反射神経と胴体速度で避けた。
 がん、と有頂天天蓋に地面を打ち砕く音が聴こえる。
 サイバー化義体の一撃を大地を割り、それでも止まらない。
 恭二郎とウタに襲い来る、乱舞の嵐だ。

 武器と義体が打ち鳴らされ、激しい激音が響き渡り続けた。
 一撃、弐撃、参撃――。
「――読めたぜ」
 小さく呟いた恭二郎の一撃は、疾かった。
 銀河一文字の刀身が銀河めいて煌めき、|風桜子《フォース》が雷撃の如く弾け、空間を疾走った――!
「石動……ってなもんかね」
「俺の攻撃の隙を見極めただと……!?」
 【|石動《イスルギ》】の一閃。サイバー化義体に深々と突き刺さった一撃が、瞬間ショートし爆ぜた。
「自在過ぎる分、拳法の型と言う枠が必要なのがサイバー混沌拳の強みで弱みだな。明らかな隙がそこにあった」
 狼狽えてよろめく有頂天道人に、炎が迫る。
「エンマヤ、ソワカ!」
 空気を裂くほどの激烈な一撃が、有頂天道人に刻まれた。
 瞬間、地獄の炎が爆ぜて、爆裂、凄まじい業火が周辺に拡散する。
 【|熾《オキ》】の火焔が尽きる頃、有頂天道人は四肢を炭化させながら、カカッ、と小さく笑った。
「……ここまで、か……――」
 まるで花びらが散るかのごとく四散していくコンキスタドールを二人の猟兵が静かに見守ったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年05月07日


挿絵イラスト