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トーラーは導くか、エースの標

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●燼火
「百年後」
 そう呟いた『ズィーベン・ソグン』の顔を『フュンフ・エイル』は見た。
「あなたはきっと百年後にはこの平和も為したことも残らないと言ったけれど。違うと思うんだ私は」
 彼女は言う。
 己の言葉を否定した。
 どれだけ戦っても平和が訪れないことは、心を摩耗させるし、疲弊させるものであった。
 どんなに戦っても、戦っている以上、哀しみの環から抜け出せない。
 自分がしことは、してきたことは無意味であったのかもしれないと三つの冷凍睡眠装置を見る。

 一つは『アハト・スカルモルド』が眠っている。
 先天性の不治の病に冒されていた彼を救うにはこれしかなかった。
 そして、残る二つは己の妻子が眠っている。
 彼らは火種になる。
『ヌル・ラーズグリーズ』は、類まれなる医療技術を持っている。
 彼女の技術と頭脳は周辺小国家にとって宝物庫だ。そして、己の子は『■■■・ラーズグリーズ』は、争いの火種になる。
 現に己が『八咫神国』に残してきた子は、自身の血脈と『帝』という血脈が合わさるだけで他国を圧する道具に堕した。
 ならば、この『グリプ5』においても、そうならない保証など何処にもない。
 だから、彼らは時をこえていくしかない。
 これしかないのだ。
 冷凍睡眠装置を撫でる。
 この子の成長を己は見ることはできないだろう。

「何も違わない。結局、僕……俺は、何も」
「そうでもないよ。少なくとも私は助かった。あなたたちのおかげで、あなたたちと出会って……それまでのどうしようもないほどにツいてない人生が、そう捨てたもんじゃあないって思えたんだ。本当だよ? 一発逆転ってやつ」
『ズィーベン・ソグン』は不思議な女性だった。
『憂国学徒兵』……『ハイランダー・ナイン』と呼ばれた中にあって、その能力は凡庸極まりないものだった。
 けれど、彼女はいつのまにか対峙する相手に勝利を収めている。
 何故か、偶然に偶然が重なって彼に有利な状況に事態が好転しているのだ。
「焼け出された荒野で、私はきっとあのままじゃあ、死んでいたんだ。けれどさ、あなたたちと出会って、全部変わった。今までのクソみたいな不運の連続が嘘みたいに」
 きっと、と彼女は笑った。
「一生分の不運を使い切っちまったんだろうね。後は、幸運の連続。だからさ、心配しないで。あなたがいなくなってしまうのは寂しいけれど。それでも、私は一番長く生きてみせるよ」
「それでも人の寿命は百年にも満たない」
「そうだね。でも、私が作った国はそうじゃあないかもしれない。百年後も、あなたの息子が、『サツキ』が目を覚ました頃にもあるかもしれない。平和になっているかもしれない」

 なんたって、と彼女は笑った。
「私は『幸運』、『ズィーベン・ソグン』だよ。あなたが教えてくれたんだ。私の名は幸運の数字なんだって――」

●プラナスリー
『プラナスリー』は正体不明の小国家である。
 小国家『第三帝国シーヴァスリー』の滅亡に関与し、小国家『ビバ・テルメ』の湾内に沈んでいた『巨神』を強奪せんと迫っていた。
 しかし、居合わせた猟兵達の活躍によって、これは退けられた。
 それを小国家『フルーⅦ』は知らない。
 仕方のないことだったからだ。今やこの小国家の状況は芳しくない。惨憺樽、という言葉しか似つかわしくない状況であった。

 小国家を束ねていた『アジン』少将は憂うばかりではなかった。
 周辺小国家にこの状況を知られれば、すぐさまにプラントを奪うための侵攻を許すことになるだろう。
 故に彼は決断する。
 小国家『フルーⅦ』の幸運は彼のような人材がいたことだった。
 彼は即座に同盟国である『グリプ5』へと使者を送った。それは元々、同盟の提携縁故によって士官学校へとやってきていた『クリノ・クロア』、『ツェーン』、加えて彼らに会いに来て巻き込まれた『フュンフ』の三人である。
「この小国家の住人ではない君等にこれを頼むのは筋違いかもしれないが」
「いいえ。同盟っていうのはそう云うものでしょう。俺だって元は別の小国家の人間だったんです。でも」
『アジン』の言葉に『クリノ・クロア』は頷いた。
「人は理解しあえるでしょう。平和って、そういう理解のための架け橋だ。言葉にすれば、簡単だけれど」
「そうだな。だが、感情がある限り人は間違い続ける。すれ違って、行き違って……また争う。けれど、それを止めたいと思うのもまた人の感情だ――」

●残穢
 グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのはナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)だった。
「お集まり頂きありがとうございます。今回の事件はクロムキャバリア世界の小国家『フルーⅦ』にオブリビオンマシンの影が迫っています」
 彼女の言葉に猟兵達の表情が険しいものなるだろう。
 そう、クロムキャバリアにおいてオブリビオンマシンは人の不和たる争いの火種を撒き散らす存在である。
「ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、『フルーⅦ』は以前、七騎のスーパーロボットがオブリビオンマシン化し、小国家中のキャバリアをスーパー合体で融合してしまいました。皆さんのご尽力によってこれは撃破できましたが……」
 そう、全てのキャバリアを失った『フルーⅦ』は予断を許さぬ状況に陥っている。
 幸いにプラントは無事であったので、時間さえかければ立て直すこともできるだろう。けれど、この隙にオブリビオンマシンの策動がうごめいている。

「『武装ボランティア』、というものをご存知ですか。経済的に困窮している反乱軍や義士集団に全くの無償でキャバリアを供与する集団です」
 そう、とナイアルテは告げる。
 以前、小国家『ビバ・テルメ』の住人たちに無償でキャバリア……オブリビオンマシンを供与した手口とそっくりなのだ。
 それが『フルーⅦ』に近づき、困窮している現状に手を差し伸べるふりをしてオブリビオンマシンを供与し、傀儡となそうとしているのだ。

「これを赦しておける理由がありません。急ぎ『フルーⅦ』へと向かい供与されたオブリビオンマシンに乗る住人たちを救わねばなりません」
『フルーⅦ』には今、嘗て猟兵たちと共に戦った『エース』たちは不在である。
 どうやら『武装ボランティア』によって齎されたオブリビオンマシンという戦力の余裕からか、彼らを『グリプ5』へと『フルーⅦ』の現状を知らせるための使者として帰してしまったのだ。
 この状況で『フルーⅦ』がオブリビオンマシンの傀儡となることは避けなければならない。
「たしかに彼らが得たキャバリア……オブリビオンマシンを失うことは痛手でしょう。私達の行動はそういうものとして彼らの目に映るはずです」
 ですが、とナイアルテは猟兵達を送り出す。
 オブリビオンマシンの傀儡になる、ということは即ち、また争いが起こるということだからだ――。


海鶴
 マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
 今回はクロムキャバリア、暗躍する『武装ボランティア』が壊滅的な打撃を以前受けた小国家『フルーⅦ』に迫っています。
 彼らが供与したキャバリアはオブリビオンマシンであり、『フルーⅦ』の人々を狂わせ、破滅への傀儡とするものです。
 この目論見を阻むためのシナリオになります。

 キャバリアをジョブやアイテムで持っていないキャラクターでも、キャバリアを借りて乗ることができます。ユーベルコードはキャバリアの武器から放つこともできます。
 ただし、暴走衛星『殲禍炎剣』が存在しているため、空は自由に行き来できません。

●第一章
 集団戦です。
 供与されたオブリビオンマシン『イカルガ』に乗った人々は狂気に囚われ、自国内のプラント施設へと破滅願望のままに突っ込もうとしています。
 特攻も辞さぬ勢いでプラントへと迫る『イカルガ』を一騎残らず撃破しましょう。

●第二章
 ボス戦です。
 狂気に囚われた人々が乗るオブリビオンマシンを片付けた皆さんの前に『閃光』のように一騎の強大なオブリビオンマシンが迫ります。
 これは恐らく『武装ボランティア』の差し向けた『切り札』たる機体です。
 一際協力なオブリビオンマシンです。
 一騎当千と呼ぶに相応しい技量と性能を有しています。生半可な攻撃は鎧袖一触と言わんばかりにカウンターが飛んできます。

●第三章
 集団戦です。
 強敵との戦いに行き着く暇もなく、さらに『武装ボランティア』のオブリビオンマシンが大挙として『フルーⅦ』に迫ってきています。
 無論、『フルーⅦ』に防衛戦力はありません。
 このままではオブリビオンマシンの襲来によって『フルーⅦ』は滅びてしまうでしょう。
 これを阻むためには、やはり迫るオブリビオンマシンの全てを迎え撃ち、撃破しなければなりません。

 それでは『幸運』から始まった小国家『フルーⅦ』は、この局面を乗り越えることができるのか。その分水嶺にて立つ皆さんの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
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第1章 集団戦 『イカルガ』

POW   :    クイックスラッシュ
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【ビームソード 】から【連続斬撃】を放つ。
SPD   :    クイックショット
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【アサルトライフル 】から【連続射撃】を放つ。
WIZ   :    マイクロミサイル
レベルm半径内の敵全てを、幾何学模様を描き複雑に飛翔する、レベル×10本の【超高機動小型誘導弾 】で包囲攻撃する。

イラスト:タタラ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 小国家『フルーⅦ』のトップ、『アジン』少将は何故だ、と歯を食いしばる。
 またか、という思いもあった。
 だが、彼は猟兵ではない。優れたる政治手腕を持ち、またキャバリアパイロットとして優れたる技量を持っていたとしても、人々を狂気に堕とすオブリビオンマシンを認識できない。
「もう終わりだ! 何もかも! なら、遅いか速いかだろう!」
「生きているから苦しいんだ! これも、苦しみだけの人生も! 終われば、苦しみも終わるだろう!」
「滅びの道こそが救いのただ一つの道! そうさ、だからこんなものがあっては人は生きてしまうだろう!!」
  口々に叫ぶ人々の瞳には狂気が満ちていた。
 誰もが破滅を望んでいた。

『武装ボランティア』と呼ばれる集団が『フルーⅦ』に現れたのは、以前のスーパーロボット大暴走の事件から徐々に復興し始めていた頃だった。
 彼女らは言った。
「私どもは、この戦乱満ちる世界にて、一刻でも疾く戦乱が集結することを望む者です」
 しかし、キャバリアを無償で提供するという彼女たちに当然『アジン』は訝しんだ。
 なにか裏がある、と。
 調べに調べた。彼女たちの素性を。だが、何もでてこなかった。この世界であれば、仕方のないことだ。
 素性の知れぬ者など掃いて捨てるほどいる。
 そして、それを確かめる術もない。
『アジン』は申し出を断ろうとしていた。

「たしかに貴方は聡明な御方だ。地力だってある。苦しみに耐え抜く精神力がある。ですが、人間の全てが貴方のようではない。臥薪嘗胆……と誰でもできるものではないのです。故に、人々は目先の利益に飛びつく。楽な方へ」
 気がつけば彼女たちに懐柔された人々によって、無償のキャバリアたちが導入されていたのだ。
 それは洪水のようなものだった。
 如何に優れた者が一人いるのだとしても、濁流の如き人々の楽な、易きたる道に流れる奔流を止めることなどできようはずもない。

 その結果がこれだ。
「……何故だ。何故! 彼らは生きる希望を持っていた。なのに、どうして破滅願望など……!」
「簡単なことですよ、『アジン』少将。さすがは『エース』。貴方は、濁流の如き時代の流れにあっても根ざし立っていられる方だ。だからこそ、彼らを理解できない」
 彼女――『ノイン』は笑む。
 滅びへと向かう、プラントへと特攻を仕掛けようとしている『イカルガ』を駆る人々の狂気を、同じく狂気に満ちた瞳で見つめて言うのだ。
「みんな、争いは終わらせたいのです。ですが、終わらせられない。なら、自らの生を終わらせるのが! 最も! 速いと! 気がついたのですよ! だから、彼らは最短距離を走っているのです。誰もが貴方のように長く厳しく険しい道を選べるわけではないのです!」
 だから、破滅願望などあるのだと『ノイン』は、自ら破滅に飛び込む人々を嘲笑うのだった――。
カシム・ディーン
…シックスの馬鹿野郎が…死んだら骸の海にいっちまうだろうが…本当に…この馬鹿野郎が…!(心底悔しげに呻き
「シックス君…」(くすんくすん)

そしてまた…アイツか
今度こそ取っ捕まえてーところだが先ずは
【戦闘知識・視力・情報収集】

…フィーバーしてる奴らを止めねーとな
…死なすのはやはり…気分がわりー

それに…奴らの後ろにいる奴が気になるからな

UC発動
【属性攻撃・迷彩】
己達と竜達に光水属性付与
光学迷彩で姿を隠し水の障壁で熱源隠蔽

【念動力・弾幕・空中戦・二回攻撃・切断・盗み攻撃・補食】
念動光弾を乱射して動きを止めて
1体に3匹の手足を食いちぎり分解
武装と動力炉も強奪して無力化!


多分…だが…白騎士が…来る…!



 戦場には狂気が満ちている。
 誰も彼もが勝機を保つことなどできなかっただろう。
 なぜなら、小国家『フルーⅦ』に供与されたキャバリアは全てオブリビオンマシンであったからだ。
 どんなに精強たる精神を持つものであっても、オブリビオンマシンのもたらす狂気に打ち勝つことなどできようはずもない。
 それは『エース』であっても同様である。
 故にクロムキャバリアには戦乱の火種は尽きなない。

 いつだって争いが勃発する可能性はある。
 それがいつである、ということを断ずることはできまい。
 弾けるのはいつだって唐突であり、必然であるのだから。そして、それを手繰る者たちがいる。
「また……アイツか」
 カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は狂乱たる戦場に在りて、この争乱を引き起こした『武装ボランティア』を名乗る集団の奥にいるであろう存在を知る。
『ノイン』と呼ばれる者。
 以前、オブリビオンマシンを駆って幾度か猟兵達の前に姿を現している。
 だが、その何れもがオブリビオンマシンごと倒されているはずだ。なのに、何故、幾度となく現れるんか。

「いや、今度こそとっ捕まえて……やりてーところだが、先ずは」
 カシムは周囲を見回す。
 己が守らねばならぬのはプラントだ。
 人々は狂気に侵され、自国復興の要であるプラントを破壊しようとしている。
 それは破滅に向かうものであったし、また同時に一度失われてしまえばもう二度と取り戻すことのできぬものであった。
 いや、だからこそ人々はこれを破壊しようというのだろう。
 不可逆たる道。
 そこに己が生命でもって特攻を仕掛けているのだ。

 オブリビオンマシン『イカルガ』は一気にプラントへと飛び込もうとしていた。
「……勝手にフィーバーして! 死なすのは気分がわりーんだよ!」
 カシムの帝竜眼「ダイウルゴス」(ブンメイヲシンリャクシユウゴウスルモノ)がユーベルコードに輝く。
 召喚されたダイウルゴスたちが百を超える数でもってプラントに特攻を敢行しようとする『イカルガ』たちの目の前に立ちふさがる。
 それはプラントに特攻しようとする『イカルガ』を止めるための方策であった。
 光学迷彩で存在を隠蔽しても、それでも彼らはカシムやダイウルゴスに見向きもしなかった。

「滅びなければ」
「終わられない。終わらさないと終われない!」
「生きることをやめれば、楽になれる! 疾く、速く!!」
 彼らは、破滅願望に狂わされている。
 この苦しみが続く世界にあって、生きることは苦しみの連続でしかないと狂った思想のままにプラントへと突き進んでいくのだ。
「させるかよ!」
 数に物を言わせた攻撃によって『イカルガ』たちは次々と手足をもがれ、分解されていく。
 パイロットは狂気に侵されているだけだ。
 ならば、死なせられない。
 だが、死ぬ気で特攻を仕掛けている『イカルガ』の猛攻は凄まじいの一言であった。

「チッ……この勢い……多分……だが……『白騎士』が……来る……!」
 その猛攻の波に飲まれながらカシムは迫るであろう脅威を肌で感じ、この戦いが一層厳しいものに為ることを予感するのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ウィル・グラマン
●POW

武装ボランティア…聞くからに胡散臭ぇな
だったら金を払ってる限り契約で戦う傭兵の方がまだマシだろうけど、無い袖を振れねぇ小国家には渡りに船なんだろうな
タダより高けぇ物はないってか、にゃはは!

ま、そういう弱みに付け入るのも戦争なんだろうけどさ
よぉーし、ベア
俺達も何時までくよくよしてねぇで、いっちょ暴れてやろうぜ
次にやって来るノインをぶっとばさねぇとな!

オブリビオンマシンだが、乗ってるのは騙された連中だ
ベア、電磁光線で射撃武器を迎撃したり防げ!
そんで埒が開かねぇと接近戦に持ち込もうとする奴が出ればチャンスだ!
目眩まし程度の電磁光線を放ってセンサーを焼いて、カウンターのベアキャット・アタック!



 ただより高いものはない。
 それは人の社会性を考える上でつきまとうものであった。
 人には善性がある。同時に悪性もまた内包する。
 故にことの発端が真の善意から生まれたものだとしても、その道程に置いて悪性が生まれることもまた真実である。
 故に、『武装ボランティア』たちの言葉も困窮する人々にとっては善性の発露であると捉えられるのも無理はない。

 みたいものを見て、みたくないものを見ない。
 それができるのもまた人であるからだ。
「でもまあ、聞くからに胡散臭ねぇよな」
 ウィル・グラマン(電脳モンスターテイマー・f30811)は小国家『フルーⅦ』のトップである『アジン』が『武装ボランティア』からのキャバリア無償提供を断ろうとしていた事をしる。
 当然、胡散臭いと思っただろう。
 だが、彼一人が否と突きつけても、今目の前に迫る困窮をどうにかしたいと思う人々の心もまた善性なのだ。
 故に、そこに付け入るようにしてオブリビオンマシンは人々の手にわたり、その心を破滅に向かってひた走らせるのだ。

「ま、そういう弱みに付け入るのも戦争なんだろうけどさ」
 仕方のないことだ。
 けれど、オブリビオンマシンによって狂気に侵された人々は争うのではなく、自国のプラントめがけて特攻を開始している。
 争いを厭うが故に彼らは己の自死を望んだのだ。
 それは短絡的に極まる行動であったことだろう。だが、同時に小国家を滅ぼすには値する行動でも在ったのだ。
「まったく、金での契約があったほうがまだなんぼかマシだってんんだろうけれど!」
 ウィルはスーパーロボット『ベアキャット』と共にプラントを防衛するために迫るオブリビオンマシン『イカルガ』の目の前に立ちふさがる。
「悪いが、ここから先へは行かせねーよ! やるぞ、ベア!」
『ガォン!!』
 漆黒のスーパーロボット『ベアキャット』の咆哮と共にウィルは、その瞳をユーベルコードに輝かせる。

「邪魔だ、退け! 俺達はこの争いの環から逃れるんだ!」
「こんな苦しみだけが満ちる世界なんて!」
『イカルガ』を駆る人々は皆、狂気に満ちた、血走った瞳のままにプラントへの特攻を仕掛けている。彼らにとって、この現状はあまりにも心身ともに打ちのめされるものであったのだ。
 豊かな暮らしを望んでいたわけではない。
 ただ穏やかな日々を望んでいたのだ。
 けれど、それはいつまでたっても叶わない。ささやかな願いすら踏みにじるのが戦争というものであるのならば、それは人の悪性のなせる業であったことあdろう。

「ベア! 電磁光線でライフルだけを!」
『ガォン!』
 ベアキャット・アタックがうなりを上げて、放たれるアサルトライフルの銃弾を弾きながら『イカルガ』に組み付く『ベアキャット』。
 唸る腕部がライフルを握っている『イカルガ』の腕部を叩き落し、もぎ取る。
 もぎ取った腕を振るって、頭部を破壊しては戦闘を続行できないように無力化していくのだ。
「くそっ、なんだよ! 邪魔ばっかりしてさぁ!!」
「そりゃあ、自暴自棄になっている奴の頭を冷ましてやるのもオレたちの役目ってな。なに、心配すんない! タダより高けぇ買い物はないってな、にゃはは!」
 ウィルは笑い、そして生きているのならば、いくらでもやり直せるのだと言うように『イカルガ』たちを次々と無力化し、その躯体を叩きのめしていく。

 コクピットから這い出した人々は見上げることしかできなかっただろう。
 漆黒のスーパーロボット『ベアキャット』の威容を。
 それは破壊をもたらしながらも、しかして人々の狂気の源であるオブリビオンマシンのみを破壊するのだ。
 電磁光線が彼らの視界を塗りつぶす。
 そして、打ち据える巨腕の一撃が『イカルガ』を殴りつけ、大地へと叩き伏せる。
「いいかよ! これが現実だ。どうあっても甘くはないし、生きるのだって辛いだろうが、それでも生きてんだから!」
 ウィルは『ベアキャット』の肩に乗り、人々に視線を向ける。
「いつまでもくよくよしてんな!」
 自分だってそうだ。
 だから、迫る敵を、世界の敵を打倒さなければならないのだ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ファルコ・アロー
はあぁー!?
あいつらこのボクを差し置いて飛んでやがるです!?
ムカつくですけど、どの程度ならイケるかってのは参考になるかもですねぇ……ここは良く観察してから真似してみるですかね。
距離とか高度とか……その辺りですか?
ええい、レプリカントは度胸です!
ROCKET DIVEで一発かましてやるですよ!スタートです!
キャバリアが想定している相手に比べてボクは小さいですから、こっちに攻撃を直撃させるのは難しいはずです。
でもその分巨大なビームソードの輻射熱だけでも十分ダメージになりそう……余裕を持って回避しないとですね。
攻撃を掻い潜れればこっちのもんです、機関部に頭突き食らわせて行動不能にしてやるですよ!



 オブリビオンマシン『イカルガ』は本来無償で提供されるような代物ではない。
 量産型とは言え、その機体は高性能。
 なおかつ、背部バインダーによって低高度であれば飛翔することすら可能な機体なのだ。それは空に蓋された世界、クロムキャバリアにおいては破格の性能を誇る機体である証明でもあった。
 そして。
「プラント、こんなものがあるから生きなくちゃあならない!」
「生きることをやめたいんだ。この苦しい世界から逃げ出したい。なら、死ぬしかないだろ!」
 小国家『フルーⅦ』の人々は狂気に侵されている。
 誰もが滅びを求めている。
 人にはたしかに破滅願望というものがある。生きている以上、死ぬのだから。それはある意味で到達点に近づかんとするための最短をひた走る行為であったことだろう。

 だが、そんなことはどうでもいい。
 どうでもいいのだ。
 ファルコ・アロー(ベィビィバード・f42991)にとって、もっとも重要なことはただ一つ。
「はあぁー!?」
 そう。
「あいつらこのボクを差し置いて飛んでやがるです!?」
 空を飛ぶ、ということただ一つ。
 彼女はそのために生まれた航空戦力のレプリカントである。己の存在意義を丸ごと生まれた時から否定され続けてきたのだ。
 けれど、それは仕方のないことだ。
 空を自由に飛ぶということは破滅そのもの。
 故に彼女は己が飛ぶ、ということを知りながらも、それを諦め続けてきたのだ。なのに、それをないものとするように『イカルガ』は飛ぶ。

 低高度であれど、飛んでいることには変わりない。
 それがどうにもファルコには許せなかった。
「ムカツクです! でも!」
 ファルコは知る。
 たしかに天にある暴走衛生によって空を飛翔するものは例外なく撃ち落とされる。
 けれど、低高度であるのならば、また速度さえ気をつけるのならば飛空船程度なら飛ぶことができるのもまた事実。
「やっぱり高度と速度ってことですね! なら!」
 ファルコの瞳がユーベルコードに輝く。

 ロケット噴射が己の駆体から迸り、彼女の体躯がプラントに迫る『イカルガ』へと矢のように飛び出す。
「レプリカントは度胸です! ROCKET DIVE!」
 その言葉と共にファルコは一気に『イカルガ』へと飛び込む。
 彼らは特攻めいた突撃でプラントへと突っ込もうしていた。その横合いを殴りつけるようにしてファルコは渾身の頭突きを『イカルガ』にかますのだ。
「どっせい!」
「――!?」
 それは狂気に侵された人々の頭を横殴りにするようなものだった。
 激しい衝撃に『イカルガ』の背面バインダーはへし折れ、その駆動を支えるエネルギーインゴットを搭載したパーツを弾き飛ばすのだ。
「ビームソードだって! 躱せないわけないです!」
 凄まじい速度でファルコは低高度を跳ねるようにして飛び回り、生身の体躯でありながら『イカルガ』を翻弄し、さらにオーバーフレームの腕部を殴りつけ、吹き飛ばすのだ。

「このボクを止められるもんですか! この頭突きで全部ぶっとばしてやるです! その狂気に茹だった頭に冷水ぶっかけてやるくれーの衝撃で、目ぇ覚ましやがれです!」
 ファルコは飛ぶ。
 それは彼女の望む空を飛ぶ、というものではなかったかもしれない。
 低高度。
 高さも制限され、速度も同様だ。
 だからこそ、余計にフラストレーションが溜まっていく。自由ではない、ということにファルコは苛立ち、その鬱憤を晴らすように、その猛烈なる頭突きの一撃でもってプラントもろとも自爆しようとする狂気を吹き飛ばし続けるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エレイン・アイディール
●聖竜騎士団
まんまと甘い言葉に乗せられてしまったようね
仕方ないわ
市民とはそういうものだもの
そして市民の目を覚まさせるのが貴族の使命よ!
行くわよ!ゴールドブリンガー!

わたくしはプラントの正面に立つわ
側面から仕掛けるソフィア殿下と合わせて隙のない布陣よ!

もちろん苛烈な攻撃を受けるでしょうね
結構だわ!幾らでも撃ってきなさい!
この超黄金鎧装で全部受け止めてあげるわ!
敵の目的はプラントだからその前に立っていれば全ての敵を視界に収められるわ!
更にガトリングガンとビームキャノンで弾幕を張って近付けさせないようにするわ
それでも強引に切り掛かってくるならスマッシャーテイルで跳ね飛ばしてあげる!


ソフィア・エルネイジェ
●聖竜騎士団
…確認しますが、イカルガを提供したボランティアというのは、水之江女史ではありませんね?

オブリビオンマシンが及ぼす狂気は常人には抗い難きもの
声が届く状態でも無さそうですね
実力で止める他ないでしょう
インドラ・ナイトオブリージュで参ります!

プラントに向かう敵梯団の側面から攻撃を仕掛けます
超強行突進で速力に対抗致しましょう
牽制射撃のショットガンを連射しつつ突進
懐に飛び込む事でビームソードを振り抜かせず、腕を突撃槍で破壊します
突進の勢いのままに盾を叩き付けて体勢を崩し、背部のフライトユニットを顎で噛み砕きます
飛行能力と武器を喪失すればプラントへの到達も破壊も困難になりましょう


桐嶋・水之江
●聖竜騎士団
この私がボランティア?
とんでもない
無償でご奉仕なんて絶対やらないわよ
対価に見合った仕事をするのが私の流儀だもの
お金が発生しない仕事っていうのは必ず無責任な仕事になるのよ

暴徒の狙いはプラントなのね
じゃあこっちは横から仕掛けていきましょうか
カナリアで出るわよ

ソフィア殿下が叩き落としたイカルガの最終処理に回るわ
ホバーですいすい動いてミサイルを躱して行きましょう
避けきれなくてもプラズマガントレットで防御すれば安心安全
お返しにメガビームキャノンを拡散モードで乱れ撃ち
ただし発射されるのは呪縛毒電波よ
動けなくなった所をプラズマガントレットでワンパン
終わるまで昼寝して貰いましょう



 甘言というものは、人の心の弱さにつけ込むものである。
 同時に人の心の弱さは境遇にも裏付けられるものでもあるのだ。満たされて、平穏なる世界であれば、人の心は柔軟なものであろう。
 人の悪意が鋭さを増すのだとしても、柔く受け止めることができる。
 けれど、境遇が、状況が、それを許さない。
 困窮というのは、人の心まで蝕む。
 その恐るべき力に耐えうるだけの心持つ者は多くはない。
 人の多くは、耐えることができないのだ。
 それを責めることはできない。
 故に、エレイン・アイディール(黄金令嬢・f42458)は小国家『フルーⅦ』のプラント群に特攻を仕掛けようとするオブリビオンマシン『イカルガ』の群れを前にして、仕方ない、とつぶやく。

 まんまと甘い言葉に載せられてしまったこと。
「仕方ないわ。市民とはそういうものだもの」
 エレインは、それを脆弱と責め立てない。
 もしも、甘言に弄されるような貴族がいるのならば、大いに攻め立てたかもしれない。人の上に立つ者がどうして心まで気高くあれないのか、と。
 自他ともにエレインは厳しい者である。
 ノブレス・オブリージュ。
 その志を持つ彼女は、きっと己より弱き立場にある者たちを責め立てることはない。
 己が使命を自覚しているがゆえに。
「市民の目を覚まさせるのが貴族の使命よ!『ゴールドブリンガー』!」
 エレインの言葉に応えるように黄金の機体のジェネレーターが唸りを上げる。
 プラントを護るようにして正面に立ちふさがる。

「……確認しますが、『イカルガ』の提供をしたボランティアというのは、水之江女史ではありませんね?」
 ソフィア・エルネイジェ(聖竜皇女・f40112)は戦いを目前にしながら、桐嶋・水之江(機巧の魔女・f15226)に問いかけずにはいられなかった。
「この私がボランティア?」
 水之江は、そんなソフィアの問いかけに憤慨するでもなく、鼻で笑った。
 ボランティア。
 奉仕精神。
「無償でご奉仕なんて絶対やらないわよ」
 そんなものは、絶対に、と水之江は言い切った。
 そう、水之江はたしかに金のためならば、如何なる商売だってするだろう。
 ためらいはない。
 だが、そんな彼女にも一つだけ絶対にしないことがあったのだ。
 それがボランティアである。
 対価なき仕事など、必ず無責任に行き当たる。それが水之江の持論であったし、事実そうであろう。
「それが私の流儀だもの」

 その説得力が有りすぎる言葉にソフィアは唸るように頷く。
 そうだ。
 そういう人なのだ、水之江は。
「失礼しました、水之江女史。確認を取らねばならない我が身の不徳、どうかご容赦を」
「いいえ~立場的に問い詰めなければ、他の誰が確かめんのよって感じだものね」
「疑いは晴れたことでしょう。では、この『武装ボランティア』の背後にあるのは……」
「この規模だもの。どう考えても、集団一つ程度では賄えないでしょ」
 ソフィアと水之江の言葉にエレインが叫ぶ。

「殿下、きますわ!」
「狙いはプラントなのね」
 水之江は黄金の装甲を持つ重装型キャバリア『カナリア』とエレインの駆る『ゴールドブリンガー』ともにソフィアの『インドラ・ナイトオブリージュ』の両脇を固める。
 迫る『イカルガ』の群れ『フルーⅦ』たちを狂気で犯し、自爆特攻という最悪の形でプラントを破壊しようとしているのだ。
「オブリビオンマシンが及ぼす狂気は常人には抗いがたきもの。声が届く状態でもなさそうですね」
「はい、殿下。この超黄金鎧装(ゴールド・オリハルコニウム・スーパーアーマー)が盾となりましょう!」
 エレインとともに『ゴールドブリンガー』のアイセンサーがユーベルコードに輝く。
 召喚された装甲をまとった『ゴールドブリンガー』へと『イカルガ』たちの苛烈なる砲火が迫る。

 爆炎が巻き起こる。
 しかし、黄金の装甲に傷は一つもついていなかった。
「なんで傷がつかない! なんで排除できない!」
「変わらないことなんてあってたまるか! どけよ!!」
『イカルガ』を駆る人々の怒号が響き、降り注ぐようだった。けれど、エレインは高笑いとともに苛烈なる攻勢を前に立ちふさがるのだ。
「オーホッホッホ! 市民、いいかしら? この『ゴールドブリンガー』は、ノブレス・オブリージュを体現した機体! その鬱憤、ここでぶつけてきなさいな。けれど、傷一つかぬことは代わりないわ!」
『ゴールドブリンガー』より放たれる弾幕が迫る『イカルガ』たちの武装を撃ち抜いては、背面バインダーを破壊していく。

「強行突破させて頂きます!」
 ソフィアと共に『インドラ・ナイトオブリージュ』が弾丸のように超強行突進(ハイパーチャージ)を敢行する。
 その一撃は『イカルガ』に何の対応も許さなかった。
 ビームソードを近接用に引き抜く暇すら与えなかったのだ。一直線に牽制に放ったショットガンの散弾すら追い抜かんばかりの速度で『インドラ・ナイトオブリージュ』は雷鳴の如き音を響かせながら、『イカルガ』に盾の一撃を叩き込んでいたのだ。
 そして、空中で激突によって弾かれる『インドラ・ナイトオブリージュ』。いや弾かれたのではない。
 空中で体勢を入れ替えたのだ。
 なんのために。
 決まっている。その顎でもって『イカルガ』の背面バインダーを噛み砕くためである。
 すでに武装は破壊している。
 そして、飛行能力を喪失すれば、プラントに到達することもできない。

「おっと、最後の処理は此方にお任せってね」
『カナリア』の大推力でもって地上をわずかに浮かぶホバー走行でもって水之江はソフィアが打ち倒した『イカルガ』へと迫り、メガビームキャノンの砲身から呪縛毒電波(バインドウェーブ)を放つ。
 未だ抵抗するように『イカルガ』が立ち上がろうとしていたところをプラズマガントレットでもってアンダーフレームを粉砕するのだ。
「たしかに『イカルガ』ね。まったくもって私ってば良い仕事をしてるものだわ」
 出どころがわからぬ機体。
 しかし、設計事態は己がしたもの。
 どうして、このような機体が出回っているのかを水之江は考えなかった。
 考えても意味がないからだ。
「それじゃ、終わるまで昼寝してもらいましょうね」
 そう告げ、エレインとソフィアによるプラント防衛戦線に水之江は再び舞い戻るのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

才堂・紅葉
武装ボランティアねぇ。嗅ぎなれたドブの臭いがするわ

っかし、自殺希望の有象無象かぁ
そりゃ楽になりたいわよね。こんな時代に生きててもしんどい事ばかりだもの
けど若い子が踏ん張ってるのを、そんなあんた等が踏みにじるのは違うんじゃない?

「迦楼羅王!」
黒いキャバリアで六尺棒を構え
破滅を目指した突進より、更なる【気合】と高速で突貫だ
相撃ち覚悟等と言うぬるい戦術は、機先を制して前に出て、上下の揺さぶりに足捌きでの旋回を入れる程度でも敵照準を誤魔化せる
後は差し返しで、足と止めずに棒で胸元を軽く小突いて回るだけだ
【貫通攻撃】【衝撃波】【早業】【気絶攻撃】で操縦者を手際よく無力化する

「そこで頭を冷やしてなさい」



「終わらない争いを終わらせることができないなら、自分を終わらせるしかない!」
「こうすることでしか、終わらないっていうのなら!」
「プラントがあるから争うなら、それをなくしてしまえばいいじゃない!」
 破滅にひた走るは、オブリビオンマシンのもたらす狂気に侵された小国家『フルーⅦ』の人々であった。
 彼らには希望があった。
 荒廃した小国家の現状があれど、明日を生きるだけの希望があったのだ。

 けれど、オブリビオンマシンは、その希望すら塗りつぶす。
 いや、希望があるからこそ、破滅への願望が生まれるのかもしれない。
 それをもたらしたのが『武装ボランティア』である。
 彼らは困窮した人々にキャバリアと称してオブリビオンマシンを供与し続ける。破滅へと至る道であると知りながら、しかし、そうであれ、と願うように。
「嗅ぎ慣れたドブの臭いがするわ」
 才堂・紅葉(お嬢・f08859)は、己が黒きキャバリア『迦楼羅王』のコクピットに座し、鼻を引くつかせた。
 臭いがする。
 それは耐え難いほどの悪臭であったことだろう。
 争いを生み出し、その争いでもって他者を食い物にするものたちの臭いがする。

 吐き捨てるように紅葉は呟き、瞳を剣呑に釣り上げる。
「っかし、自殺希望の有象無象かぁ」
 わからないでもない。
 彼らの言葉は全て、否定できないものであった。
 誰もが死ぬ為に生きていると極端なことを言うのは、人にその願望が潜んでいるからだ。
 ましてや、このクロムキャバリアであれば、先の見えぬ争乱の中に生きているのだ。いつ終わるとも知れぬ争いに心が疲弊することだって仕方のないことだ。
「終わらせる終わらせる終わらせる終わる終わる終わる!!!」
「そりゃ楽になりたいわよね。こんな時代に生きてても、しんどいことばかりだもの」
 だけど、と紅葉の瞳がユーベルコードに輝くと同時に『迦楼羅王』のアイセンサーが煌めく。

 ユーベルコード。
「けど、若い子が踏ん張ってるのを、そんなあんたらが踏みにじるのは違うんじゃない?」
 迫るオブリビオンマシン『イカルガ』へと六尺棒を突き出す。
 気合一閃。
 その一撃により六尺棒が『イカルガ』の頭部を貫く。
 そして、その貫いた瞬間に背面バインダーに引っ掛け、引きちぎったのだ。
 振るう横薙ぎの一撃が武装毎叩き潰し、『イカルガ』を大地に叩き伏せるのだ。衝撃にコクピットは無事でも内部の人間は気を失うだろう。
「相打ち覚悟などと言う温い戦術は、こうして止める」
 紅葉はさらに迫る『イカルガ』たちを打ち据えていく。

 そう、必ず敵はプラントを狙って特攻してくる。
 ならばこそ、神武不殺(シンブフサツ)を証明して見せる。
 技術一つで、他を制圧することができる武。
 その極地に迫らんとする紅葉と『迦楼羅王』は六尺棒を振るい、嵐のように迫りくる『イカルガ』たちの前に壁となって立ちふさがるのだ。
 止まらない。
 紅葉は旋回するようにして駆け抜け、その手にした六尺棒でもって次々と敵を打ち倒していく。
 生命は奪わない。
 それこそが、不殺。
「そこで頭を冷やしてなさい」
 紅葉は、そう告げ、オブリビオンマシンの狂気がもたらした茹だった人々の頭に現実という冷水を浴びせるように、その力を振るうのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ジェイミィ・ブラッディバック
あー、あれが噂の……。

マズいんですよねぇ|この手合い《武装ボランティア》が流行ると。
私が経営に関与しているアンサズ地方のPMSCs、「イェーガー社」もキャバリアのリース業やってますけど、
無償なんて言われたら客が流れて商売上がったりなんですよねぇ。
……ただ、あちらは品質に関しては「下の下」のようですが。

こういうのはきちんと認可済みの企業が行ったほうが効果的ということで。
セラフィム・リッパー隊、全機出撃。
「品質」の違いを教えましょう。

こちらもTYPE[JM-E]に搭乗。
COAT OF ARMSで四肢や武装を破壊して無力化しましょう。
スタンニードルランチャーで駆動系に電流を流しても良さそうですね。



「あー、あれが噂の……」
 ジェイミィ・ブラッディバック(脱サラの傭兵/Mechanized Michael・f29697)はオブリビオンマシン『イカルガ』の群れを見やる。
 それは特攻する勢いで持ってプラントを目指している。
 量産型でありながら、限定的ながら飛翔能力を有するキャバリア『イカルガ』。
 その性能は、はっきり言って高性能だった。
 これを無償提供する『武装ボランティア』なる集団が存在するという噂をジェイミィは耳に入れていたのだ。
 実際に見るのは、初めてだったのかもしれない。

「マズいんですよねぇ、|この手合い《武装ボランティア》が流行ると」
 己が経営に関与している地方のPMSCもそうであるが、このような対価を求めず、無償でと行動を起こす組織は、商売上がったりである。
 むしろ、『武装ボランティア』はそうした同業他社潰しであるのかもれない。
 客は流れ、本来のそうした組織は瓦解せざるを得ない。
 そういう意味では、危機感を覚えるのも無理なきことであった。
 とは言え、当面の危機はオブリビオンマシンの狂気に侵された人々によるプラントへの特攻である。

 人命が失われること、そしてプラントが失われれば、ますます小国家『フルーⅦ』は滅亡への道をひた走るだろう。
「どこまでが狙いなのかはわかりませんが、こういうのはきちんと認可済みの企業が行った方が効果的ということで……『セラフィム・リッパー』隊、全機出撃」
 SERAPHIM LEGION(セラフィムレギオン)。
 それはAI制御の『セラフィム・リッパー』一個中隊による蹂躙であった。
「『品質』の違いを教えましょう」
 ジェイミィは現れたAI制御の『セラフィム・リッパー』に指揮を飛ばし、己もまた乗機へと乗り込む。
「敵オブリビオンマシン『イカルガ』のコクピット以外の武装、アンダーフレームへの攻撃のみ許可しましょう」
 敵は狂気に侵された人々だ。

 敵意ではなく、破滅願望によってひた走る暴徒なのだ。
 ならば、やりようはいくらでもある。
 暴徒を鎮圧するのにコクピットを破壊する必要はない。ましてや、それが狂気に侵されているだけだというのならば、尚更。
「とは言え、これだけがオブリビオンマシンの策動、『武装ボランティア』の手札ではありますまい」
 ジェイミィは悪い予感を覚える。
 たしかに『イカルガ』は高性能である。しかし、乗っているのは訓練された軍人ではない。ただの市民だ。
 これだけで一国を滅ぼそうというのは、あまりにも無理筋な気がしたのだ。

 ならば、もう一つの手札があるはずだ。
 確実に小国家を滅ぼせるだけの手札が。
「それが一体なんであるのか……この重圧」
 ジェイミィは、目の前で一瞬にして『セラフィム・リッパー』の反応が途絶したことを知るだろう。
『閃光』のように瞬く間に、一陣の風のように、己が放った『セラフィム・リッパー』中隊を撫で斬りにするようにして破壊した存在がいる。
 その重圧にジェイミィは知る。
 これだ、と。
 これこそが敵の切り札。

 白い影がジェイミィの視界をかすめた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユーリー・ザルティア
【心境】の
ただより高いものはない…昔の人もよく言ったもんだよ。
しかし、『武装ボランティア』か…
見方を変えたらボクらも人の事言えないのは皮肉だね。
…よし、ブッ飛ばす。

【行動】
とはいえ、オブビリオンマシンに操られた人々は罪はないね。
愚かとも言いがたい。
なんとか救わないと…

レスヴァントMk-2…出る!!
誘導弾の軌道を【見切り】回避しつつ、アストライアの【制圧射撃】で迎撃する。
よし、いい案配で敵機が有効範囲に収まった。
プラズマ・スフィア発動!!
よし、動きを止めた今のうちに戦闘能力を奪う!!



 ユーリー・ザルティア(自称“撃墜女王”(エース)・f29915)は、ただより高いものはないと思っている。
「昔の人は良く言ったもんだよ」
 真理であるとも思えた。
 対価なきものなどない。無償というのは、結局見せかけだ。求める対価が、金という形をしていないだけで、他の何かを対価として奪っていく。
 ならば、『武装ボランティア』が対価として奪ったのはなにか。

 言うまでもない。
 小国家『フルーⅦ』の人々の正気だ。
 希望は奪わない。それは破滅願望と表裏一体であるからだ。奪えば、ただ人の心は沈むばかりである。
 けれど、正気失えば、己が本当に望むものが明日か、それとも破滅かも区別がつかなくなる。
 現に人々はオブリビオンマシン『イカルガ』を駆り、自国のプラントへの特攻を仕掛けている。
 わかっている。
 わかっているのだ。オブリビオンマシンに操られた人々に罪などない。愚かとも言い難い。
 なんとかして救わねばならないと。
 だからこそ、ユーリーは『レスヴァントMk-2』と共に戦場に飛び込む。
「『レスヴァントMk-2』……出る!」
 迫る火砲の吹き荒れる戦場を白い流星のようにユーリーは駆け抜ける。

 素人に毛が生えた程度の技術でユーリーに当てることなどできようはずがない。
 アサルトライフルの制圧射撃でミサイルを迎撃しながら、爆風の中を『レスヴァントMk-2』が疾駆する。
「しかし、『武装ボランティア』か……」
 ユーリーは引き金を引きながら、コクピットの中で独りごちる。
 猟兵である己たちも見方を還るのならば、人のことを言えないと思ったのだ。
 この世界における猟兵は、弱気を助けるものではない。
 あくまでオブリビオンマシンのもたらす世界の破滅を止めるために戦うものである。人のためではない。結果といて人のために為る戦いもあるが、結局は世界のために戦うものである。

 それはわかっている。
 オブリビオンマシンを供与する『武装ボランティア』の思惑もまたそうであるのだろう。
 他者のためと言いながら、己のため。
 ただ世界か、己かだけの違いでしかない。
 皮肉めいた構図だ。
 だからこそ、ユーリーの瞳に光が灯る。
「……よし、ブッ飛ばす」
 煌めくはユーベルコード。
 彼女の頭脳から放たれるは強電磁波。
 全ての電子機器をダウンさせる恐るべき力である。
「EMP干渉攻撃開始ッ!! プラズマ・スフィア!!」
 ユーリーの叫びとともに、放たれた電磁波は、全ての電気エネルギーを完全に破断させることによってオブリビオンマシン『イカルガ』の電装系統を全て断ち切るのだ。

「プラントに突っ込むだけだったから、効果範囲に収めるのが楽だったよ」
 ユーリーはそうつぶやきながら、機能を停止した『イカルガ』の前に立ち、その武装の尽くを破壊し、行動不能にしていく。
 コクピットは外す。
 人々はオブリビオンマシンの狂気に侵されているだけだ。
 なら、きっとやりなおせる。
「だから、こんなの必要ないって教えてあげるよ」
 そう呟き、ユーリーは淡々と機能停止した諸悪の根源たるオブリビオンマシンを破壊して回るのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

朱鷺透・小枝子
『トーデストリープ。本来なら説得は戦闘中の奏者ぐらい面倒だろう。
けれどもね、本当にそのレベルにまでいく人はそうそういない。』

デモニック・ララバイ【楽器演奏】ミサイルを音波【衝撃波】で破壊し、
殺戮音叉の杭を高速で【吹き飛ばし部位破壊】敵機部位をもぎ取る。

『少なくとも!こんな暴挙にでるのはね!!』
ならば、その虚飾を壊そう!!

ドロモス・コロス召喚【チューニング】広域に|言葉《歌》を届ける。
[ユーベルコード]【歌唱】
味方、即ちイカルガパイロット達の痛み、狂気を癒し
己を苛む狂気を【闘争心】でねじ伏せる!

自分は何処かに捨ててきたけれど、貴殿らは違う筈だ!
生に向かっていく衝動が、その心にある筈だ!違うか!!



 生きる者は死を思う。
 つきまとう影のように、振りほどけぬものを思う。
 生きている限り開放されぬ懊悩であろう。
 故に人は破滅願望を持つ。
 生きていたいと願えば願うほどに、その結末を思う。どんなに生きても結末がそうであるというのならば、諦観にも似た思いがせり上がってくるのだ。
『トーデストリープ。本来なら説得は戦闘中の奏者くらい面倒だろう』
『クレイドル・ララバイ』はため息交じりのような声を紡ぐ。
 それは純然たる事実であったし、変えようのないものであったのかもしれない。

 死を思うこと。

 掛け替えのない生命だからこそ、それを思う。
『けれどもね、本当にそのレベルにまで行く人はそうそういない』
 誰だって生きていたいのだ。
『デモニック・ララバイ』のコクピットに座す朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)は、その言葉を聞かなかった。
 迫るオブリビオンマシン『イカルガ』から放たれるミサイル。
 その群れを前にして咆哮する。
 ジェネレーターの唸りが増幅されるようにして放たれ、空中でミサイルが爆散し、その爆風が吹き荒れる。

 その中を走り、小枝子は『イカルガ』へと迫る。
「死こそが終点なんだ。速く、速くそこにいかなければ、何もかもが手遅れになる前に!」
「終わりたい。こんな苦しみが続くのならば、生きている意味なんて、苦しむだけの意味なんてあってたまるか!」
 人々の狂気に侵された叫びが聞こえる。
 耳を貫き、己が頭蓋さえも揺らすような哀切なる狂気。
 生きているのが辛い。
 生きていたくない。
 その言葉を小枝子は聞く。
 放たれた『デモニック・ララバイ』の駆体から突出して飛び出す殺戮音叉が『イカルガ』の機体を貫く。
 武装、腕部、脚部。
 そうした特効に必要な部分を吹き飛ばすのだ。

 組み付く『デモニック・ララバイ』と『イカルガ』。
 頭部が激突してひしゃげる。
『まあ、少なくとも! こんな暴挙に出るのはね!! 奏者くらいのものさ! 我が身を省みぬことと破滅願望は違うんだよ。見ているようだけれど!』
「ならば、その虚飾を怖そう!!」
 小枝子が叫ぶ。
 組み付いた『イカルガ』の頭部をつかみ、引きちぎる。
 周囲に飛ぶは子機『ドロモス・コロス』。
 スピーカーのように、アンプのように小枝子の声を増幅するのだ。
「自分は何処かに捨ててきたけれど、貴殿らは違う筈だ!」
「何が!」
「私達はこの苦しみから開放されたいの、邪魔しないで!」
「いいや、違う!」
 小枝子は人々の狂気を否定する。

 それが心から望むものではないはずだと。
「生に向かっていく衝動が!」
 それは歌に変貌する。
 己にはなく。されど今生きる者たちにはあるもの。
 明日を望み、絶望にまみれても歩むことをやめぬ衝動がある。
 人は生きることをやめない。
 生きている限り、片時もそれをやめないのだ。故に。
「その心にあるはずだ! 違うか!!」
 小枝子は咆哮する。
 狂気を闘争心でねじ伏せるからこそ、小枝子は滅びながら滅びていない。戦い続けることができる。
 その歌声は狂気を癒やし、彼らを苛む絶望諦観をねじ伏せるようにして戦場に響くのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルクス・アルブス
【ステルク】

絶叫で脳が揺れる感覚。
続けてないとちょっと禁断症状出ちゃう感じしますよね。

それにしても、エイルさんの香りを直とか……。
ステラさん、もうどこまでヤバくなっちゃうんでしょう。

そろそろどこかの世界から入世界禁止令とか出されそうですよね。

え? なんですかステラさん?
わたしのレベルアップパラメータはもちろん演奏に全振りなので、
シリアス耐性とかにボーナス振ってないですよ?

って、ああっ!? いつのまにかこんなに蕁麻疹が!
し、します! すぐ演奏します!

ここはいちばんストレス解消できる【Canon】です!

うふ、ふふふ、この開放感、この爽快感、やはり音楽は……って、
最後の演奏ってどういうことですか!?


ステラ・タタリクス
【ステルク】
|エイル様《主人様》の! 香りがしまぁぁぁすっ!!
いえ、何か微妙な気もしますが
なんというか、エイル様直の香りじゃないんですよねえ
仄かに漂うハイランダー・ナイン要素……
ふむ
これはフュンフ・エイル様の|心残り《禊となりえるもの》?
|エイル様が求めたモノに至る道《潔斎行路》?

ってルクス様ー?シリアス耐性が増えてないルクス様ー?
ほら、そのままだと死んじゃいますよ
|演奏《息抜き》してください
まぁ最後の演奏になるかもしれませんが

私は……フォル!いらっしゃい!(鳥型キャバリア呼び寄せ
さて
強火のおっかけ同士やり合うとしましょうかノイン様!
|【ファム・ファタール】《運命の女》は私にあると思い知れ!!



 生命は死という終わりを持つ。
 なら、生きることは死へと向かう旅路に他ならない。
 故に人は、知性でもって、この手綱を握る。道行きが如何なるものであったとしても、それを手放さなければ、生きていくことができる。
 けれど、争乱の世界にあって、それは正しくないのだろう。
 生きる意志こそが、その生命を苦しめる。
 苛むのだ。
 だからこそ、オブリビオンマシン『イカルガ』のもたらす狂気に侵された人々は叫ぶのだ。
「生きていたくない。こんな苦しみばかりが続くのなら!」
「終わらない戦争を終わらせたいのに、誰も彼もが終わらせたくないというように生きている! そんな世界に、しがみつく理由なんてない!」
「死ねばいい。こんなものがあるから、生きる理由になってしまうんだ!」
 口々に叫ぶ彼らを見やる。

 しかし、その絶叫を遮る声があった。
「|『エイル』様《主人様》の! 香りがしまぁぁぁぁぁすっ!!」
 ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)の絶叫にルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は脳が揺れる間隔を覚える。
 いや、シリアスで蕁麻疹が出てしまう体質である自分にとっては、シリアスを中断させるステラのいつものやつがあるのとないのとでは大きな違いである。
 シリアスな空気は、メイドの狂気でブッ飛ばす。
 これに限るのである。
「いえ、何か微妙な気もしますが! なんというか、直の香りじゃないと申しますか! 残り香といいますか! 仄かに漂う|『憂国学徒兵』《ハイランダー・ナイン》臭と申しますか!」
 ステラは、踏む、と勝手に納得していた。そんな彼女の様子にルクスは安堵する。
 いつものやつである。
 それにしても、ルクスは思った。
 ステラは香りが直とか、もうどこまで彼女はやばくなってしまっているのだろうかと。
 そろそろ出禁宣言が出されるのではないだろうかと思うほどであったし、そうなったらステラの禁断症状が心配である。

「これは『フュンフ・エイル』様の|心残り《禊となりえるもの》? |求めたモノに至る道《潔斎行路》?」
 ステラは考察を深めていくが、今はそんな場合ではない。
 小国家『フルーⅦ』は今、再び争乱に巻き込まれている。
『武装ボランティア』と呼ばれる謎の集団が無償供与したキャバリアが全てオブリビオンマシンであったのだ。
 人々は狂気に侵され、破滅へとひた走るようにプラントへと特攻を敢行している。
 これを止めねばならない。
「ルクス様」
「えっ、はい。なんですか、ステラさん?」
「そろそろシリアスに空気が戻る頃合いかと思われます。シリアス耐性が身についていないルクス様、このままでは死んでしまいますよ。|演奏《息抜き》してください」
「わたしのレベルアップパラメータは勿論演奏に全振りなので、シリアス耐性とかにボーナス振ってないですよ?」
 そこまで言ってルクスは、迫りくるシリアス空気の目を見開く。
「って、ああっ!? ちうのまにかこんなに蕁麻疹が!? し、します! すぐに演奏します!」

 ルクスは大慌てである。
 バイオリンをわたわたと準備し始めている。
「まあ、最後の演奏になるかもしれませんが」
 ステラが不穏なことを言っている。
 フラグが立てられているような気がする。しかし、それはステラの第六感に警告を発するものであったかもしれない。
 凄まじいまでの悪寒。
 嘗てない脅威が迫っている気がするのだ。
「……フォル! いらっしゃい!」
 ステラはこれが、『ノイン』のもたらしたものだと思った。だが、違う。
 違う、と思うのだが……。

「うふ、ふふふ、この開放感、この爽快感、やはり音楽は……って、さっきなんか最後の演奏とかなんとか仰っていましたが、ステラさん、どういうことですか?」
 ルクスが演奏を開始してステラは耳栓をきゅっと耳に詰める。
「いえ、強火のおっかけ同士の話です。|ファム・ファタール《運命の女》は私にあるということです!」
 ええ、本当に! とステラはルクスの言葉を、演奏を振り切るようにして『フォルティス・フォルトゥーナ』と共にソニックブームを撒き散らしながら迫る『イカルガ』を蹴散らすのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

村崎・ゆかり
破滅願望、ねぇ。生きるのが面倒だって思ってしまうくらい、誰にでもある。そのちょっとした気の迷いを勝手に押し広げて実際に破滅させるのは、明らかに余計なお世話だわ。

まずはプラントを守り抜きましょう。
「召喚術」「全力魔法」炎の「属性攻撃」「範囲攻撃」「衝撃波」で天絶陣。
最初の光でマーキングした敵に、燃え盛る隕石が降り注ぐ。コクピットが堅牢だといいわね?
下手に回避しようと思わない方がいいわよ。|殲禍炎剣《ホーリーグレイル》に目を付けられるから。
まあ、こんなこと言っても乗ってる人には届かないし、見つからないよう「目立たない」のが一番。都市の廃墟の中に身を潜めて絶陣を繰る。

黒鴉を一羽飛ばしてあたしの目に。



 生きるのならば、死ぬのである。
 それが生命もつ生物の必定。
 そして、知性持つが故に迫る死を思う。生きるために死ぬというのならば、小国家『フルーⅦ』の人々が抱く明日への希望は、転じて破滅への深さを知るものであった。
 故にオブリビオンマシン『イカルガ』によって狂気齎された彼らは叫ぶ。
「プラントがあるから生きないといけない。なら、これを壊せば良い!」
「もう生きているのは辛い。生きているだけで苦しみが湧き上がってくる。それなら、いっそ……!」
「全部壊れてしまえば、何もほしくない。生命さえも!」
 人々の叫びが狂乱の渦となって周囲に満ちている。
 どうしようもないほどの破滅願望。
 その深さは、希望をいだいていたが故に重く沈むものであった。

「破滅願望、ねぇ。生きるのが面倒だって思ってしまうくらい、誰にでもある」
 村崎・ゆかり(“紫蘭”/黒鴉遣い・f01658)は、それを誰にもある願望の一つであると断じる。
 誰にだってある。
 自分にだってある。
 それは気の迷いなのだ。生きている以上、生きなければならない。誰に頼まれなくたって生きるのが生物であるというのならば、それは知性が見せる影であろう。
 故に、オブリビオンマシンの狂気は、その後押しをするのみ。
「そういうのって余計なお世話っていうのよ!」
 ゆかりの瞳がユーベルコードに輝く。

「古の絶陣の一を、我ここに呼び覚まさん。天より降り注ぐ先触れのかそけき光よ。滅びの遣いを導き、地上をなぎ払え。疾!」
 天絶陣(テンゼツジン)が広がる。
 戦場に降り注ぐは光の流星。
 それはまるで雨のようにあまねく全てのものに降り注ぐ。
『イカルガ』にだってそうだ。
 だが、ただ光の雨が降り注ぐだけだ。なんの障害にもなっていない。
 構わないというように『イカルガ』たちは、プラントへの特攻を敢行しようとして、背部バインダーによって飛翔する。

 しかし、その頭上に降り注ぐは燃え盛る巨大隕石であった。
「コクピットが堅牢だといいわね?」
 ゆかりは告げる。
 たしかに『イカルガ』は高性能キャバリアである。
 量産型であれど、似つかわしい性能をもっている。だからこそ、ゆかりは隕石を放つ。雑な範囲攻撃と取られた流星雨すらも布石。
 それはマーカーなのだ。
 光の雨に打たれた機体に迫る隕石。
 その一撃が背部バインダーへと激突し、ひしゃげさせる。
 大地に沈んだ機体から人々が這い出す。
 見上げる空は、この世の終わりのような光景であった。燃え盛る機体。
 そして、天より降り注ぎ続ける隕石。

 空を裂くようにして降り注ぐ、それは、人に死を意識させただろう。
 狂気に満ちた瞳は、その死の迫りくる影に塗りつぶされる。
 震える体は、己が生きていることを知らしめるだろう。
 爆風が荒ぶ。目をつむる。
 死が暗闇だというのならば、今、目の前にあるのはまさしく死の光景であろう。だが、それでも。
「鼓動はあるでしょう。生きているでしょう。なら、やめないことね。その鼓動を」
 ゆかりはそう告げて、『フルーⅦ』の廃墟の中に身を潜めるようにして紛れる。
 目立たないのが一番だ。
 何に目をつけられるかわかったものではない。
 己の肌身が総毛立つほどの悪寒を覚える。
 危機が、すぐそこに迫っている――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

星野・祐一
「只より高い物はないと言うけどさ、これは高く付き過ぎだろうよ」

SPD
「さて、いきなり勝手ながらその機体はぶっ壊させて貰うぜ。心配すんな、操縦席は避けっからよ!」
悠長にやってると取り逃しが出かねないからな
UCで複数のイカルガの動きを阻害したら低空を推力移動でかっ飛んで接近しつつ
頭をバルカンで武器と推進器をライフルで四肢をブレードで素早く部位破壊して無力化するぞ

プラント狙い優先だけど、こっちに攻撃が飛んできたら瞬間思考力や第六感、見切りで軌道を読んで回避
カウンターで四肢を落として対処な

「…生きてるか?生きてるな、よし!ならさっさと離れて明日も頑張れ。なぁに明日には明日の風が吹くもんだ」

アドリブ歓迎



 世の中にはただより高いものはない、という。
 どんなものにも対価が存在している。無償に見えるものは、そう見せかけられているだけのものである。
 それを星野・祐一(シルバーアイズ・f17856)は実感する。
 目の前の小国家『フルーⅦ』の状況を見れば、これがあまりにも高くつくものであると知るだろう。
 プラントへと特攻攻撃を仕掛け続けているオブリビオンマシン『イカルガ』たち。
 これを駆るは、敵小国家の軍隊でもなければ、未知なる敵でもない。
 紛れもなく『フルーⅦ』に生きる人々なのだ。
 彼らは狂気に侵され、破滅へとひた走るようにしてプラントへと特攻を仕掛けているのだ。
「まったく、本当に高くつきすぎだろうよ」
 祐一は、己のキャバリアを駆り戦場に介入する。
 プラントを護る。
 まずは、それを第一にしなければならず、そして、それは同時に人々の生命を護るための行動でもあった。

「いきなり勝手ながら、その機体はぶっ壊せて貰うぜ」
「退け! そのプラントを壊す! 壊して、俺も……!」
「壊さないと! それを壊さないと生きなければならなくなってしまう!」
 人々の声に祐一は歯噛みする。
 狂気に侵されているとは言え、人を破滅へと向かわせるオブリビオンマシンの存在に怒りがこみ上げてくる。
「そうかよ! でもな、生きてるんなら生きなければならないってのは同意するぜ! けどさ、それは!」
 サンダークラップ。
 それは祐一のユーベルコードだった。
 キャバリアから放たれた雷球が炸裂し、凄まじい音と広がる電撃によって『イカルガ』の機体を撃つ。
 しかし、それは機体を止めるだけのものだった。

 破壊は齎さない。
 一時的に動きを止めた『イカルガ』たちを祐一は一瞬にして踏み込むようにして飛び、頭部のバルカンで『イカルガ』の頭部を打ち抜き、さらに推進気をライフルで貫く。
 爆発に機体が揺れ大地に降着状態になるが、さらにブレードで四肢を分断するのだ。
「悪いが、この音が聞こえた時には、もう手遅れだ」
 祐一は己が無力化した『イカルガ』を転がし、コクピットハッチを引き剥がす。
「……生きてるか? 生きてるな、よし!」
「俺は、何を……」
 人々はオブリビオンマシンが破壊された事により、正気を取り戻したようである。だが、誰もが状況を正しく飲み込めていない。
 ここにいては戦闘に巻き込まれる。
 祐一は己の首筋に怖気が走るのを感じただろう。

 来ている。
 恐るべき敵が、迫っている。その予感に祐一は焦りを覚える。
「さっさと此処から離れて、明日も頑張れ。此処は俺が、俺たちがどうにかする」
 だから、と祐一は己のキャバリアの手でもって彼らを誘導する。
 迫る重圧と悪寒。
 不安に見上げる人々を見て、祐一は己が恐怖を感じるよりも速く笑う。
「なぁに、明日は明日の風が吹くもんだ」
 だから、脇目も振らず走れ、と祐一は迫る何かを感じ取って己がキャバリアを立ち上がらせるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

薄翅・静漓
キャバリアを借りて出撃するわね
異口同音に破滅を望む人々
誰も彼もが生き急ぎ、すべてを壊していく
これが楽な道だと言うなら、ひどい話ね

相手の攻撃をキャバリアの装備と『結界術』で防ぎ
『月光の導べ』でパイロットに離脱を促しましょう
光と祈りと共に、この声が届きますように

あなたを止めるわ
どれほど撃たれても流星のように飛ぼうとも
苦しみを終わらせたいだけだと叫んでも
それでも私はあなたに生きてと言うわ
生きることを諦めないでと叫び返すわ
あまりに短い命、そう思ってしまうのだもの



 目の前に薄水色のキャバリアがある。
 小国家『フルーⅦ』に安置されていた最後の一騎。
 それはオブリビオンマシン化したスーパーロボットに取り込まれていなかった唯一の機体だった。
 何故ならば、それは地下施設の最奥に安置されていたからだ。
 小国家『フルーⅦ』を興した『憂国学徒兵』の一人。
『幸運』、『ズィーベン・ソグン』の乗機であったキャバリア『熾煌』である。
「これを?」
「キャバリアが必要なのだろう。これが我が国に残されていた最後の一騎だ。恐らく『武装ボランティア』がもたらしたキャバリアに施された何かは……組み込まれていないはずだ」
『アジン』の言葉に薄翅・静漓(水月の巫女・f40688)は頷く。
 キャバリアを借り受けようとして、トップである『アジン』の元を訪れた彼女は、この小国家にキャバリアが少ないことを承知していた。

 戦わなければならない。
 そのために彼女は来たのだ。
 見上げるは、百年前の機体。ナンバリングは『Ⅶ』。
「使っても良いの」
「元より、私を含め扱えるものはいない。君に、に託すしかない」
『アジン』は人々の暴走に巻き込まれて怪我をしていた。
 戦える状態ではない。
 もう、彼女しか乗ることのできるものがいないのだ。ならばこそ、やるしかないのだ。

「わかったわ」
 薄水色の『熾煌』に乗り込み、静漓は戦場に飛び出す。
「いきているから、つらい。つらいことから逃げ出したい。だから、壊す! これを!」
「こんなものがあるから!」
 人々は狂気に侵され、滅びるためにプラントへと特攻攻撃を仕掛けようとしていた。
 その言葉のどれもが異口同音。
「誰も彼もが生き急ぎ、全てを壊していく。これが楽な道だと言うなら、ひどい話ね」
 同意を示すように『熾煌』のアイセンサーが煌めく。
「そう、あなたも」
 背部ラックから飛び出すは、無数のクリスタルビット。
 それが静漓のユーベルコードと共に結界を生み出す。

 特攻しようとしていた『イカルガ』を取り囲む檻となって展開し、さらにユーベルコードの光を受けてクリスタルビットで囲った『イカルガ』に乗る人々の心を沈めるのだ。
「あなたを止めるわ」
 その言葉は『イカルガ』のコクピットに響く。
「いやだ! 止めるな! 私は、死ぬために此処にいる! なら!」
「苦しみは終わらせなかればならない!」
「人は遅かれ早かれ死ぬ。なら、早いほうがいいだろう!」
 祈りと言葉に返される言葉に静漓は呻く。
 痛々しいまでの悲哀が心を突き刺す。けれど、静漓は、それでもと瞳を見開く。

『熾煌』のアイセンサーが輝く。
「それでも私はあなたに生きてと言うわ」
 どうせ死ぬのだと捨て鉢になっているのだとしても。
「生きることを諦めないで」
 叫び返す。
 あまりに短い生命がそこにある。
 どれだけ長く生きても、駆け抜けるように流星のように燃え尽きるのだとしても。
 それでも生きて、生きて、生きて、と彼女は願うのだ。
 月光の導べ(ゲッコウノシルベ)が機体より膨れ上がる。
 それは『幸運』だっただろう。
 乗り手なく、滅びゆく定めであった『不運』を、塗り替える『幸運』。

「選んで」
 その言葉と共に『イカルガ』は大地に膝をつくようにして動きを止める。
 そう、コクピットにいた人々が彼女のユーベルコードによって、その住処に転移したのだ。
 彼女の声が届いた証明だった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルカ・スィエラ
あっちの問題の次はこっち!?ああもう!!
……『プロトミレス』、いいえ『アルカレクス・ドラグソリス』……出るッ!

敵は高機動機、それに操縦者も……少なくともまともな状態じゃなさそうね
……最悪、機体ごとプラントに特攻でもする気?

だったらこうするまで…!!
【Gプレッシャー】超重圧を加えて、無理やり地面に墜とすわ!
少なくとも、普段の推力やバランス取り…同じ感覚では飛べなくなる…!
そこに『ストライクスマッシャー』や『ドラグカプト』で飛行ユニット、四肢を優先で攻撃!地面に転がしてやるわ…!

どういう輩が仕組んだのか知らない、けれど
裏にオブリビオンマシンが居るのなら、その思惑は、ぶち壊してやるだけよ……!!



 クロムキャバリアに争乱の種は尽きない。
 いつだってそうだ。
 オブリビオンマシンがもたらすのは狂気だけではない。争いの火種を撒き散らす。
 あちこちに芽吹く時を待つように。
 だが、『武装ボランティア』は、そうした火種をすぐさまに成長させる。
 人々の狂気がプラントへの特攻攻撃へと変わる。
 破滅に向かうために、その胸に抱いた希望こそが重荷であるというように彼らは生きる事への渇望故に死を望んでしまうのだ。
「あっちの問題の次はこっち!? ああもう!!」
 アルカ・スィエラ(鋼竜の戦姫・f29964)は苛立つ。
 腹立たしい。
 こうまで容易く人々は狂わされてしまう。破滅への道を歩まされてしまう。

 それがオブリビオンマシンの力。
 赦せるものではない。許容できるものではない。
 故にアルカは『プロトミレス』と共に機龍『ドラグレクス』と合体し、『アルカレクス・ドラグソリス』へと姿を変え、戦場に飛び込む。
「最悪、機体毎プラントに特攻する気……!?」
 正気ではない。
 仮にこれが他国からの侵略であっても、プラントを破壊するという選択肢はない。
 なぜなら、プラントは遺失技術でもって建造されたものである。
 壊れれば修復することはできず、あらたに建造することもできないのだ。故に、それを壊す、というのは……。
「壊す! こんなものがあるから争いが終わらないんだ!」
 オブリビオンマシン『イカルガ』を駆る人々の狂気に満ちた咆哮が轟く。

 特攻する気だ。
 己の生命すらも捨て鉢になっているからこそできる行為。
「だったらこうすrまで……! 対象設定、フィールド構築、重力制御開始……!押しつぶしなさい、Gプレッシャー!!」
 アルカの瞳がユーベルコードに輝く。
 飛翔する『イカルガ』が何か見えない手に押しつぶされるようにして失墜する。
「押しつぶしはしない。押さえつけるだけ!『ドラグカプト』!」
 その言葉と共に身動きが取れなくなっている『イカルガ』の四肢を打ち抜き、戦闘能力を奪っていくのだ。
 人々を傷つけるわけにはいかない。

 彼らは狂気に翻弄されているだけなのだ。
 元々持っていた明日への希望があったからこそ、狂わされてしまっただけ。
 なら、アルカはそんな彼らをこそ救うために戦うのだから。
「どういう輩が仕組んだのか知らない、けれど」
 ぞわり、とアルカは悪寒が体に走るのを感じただろう。
 今までにないほどの重圧。
 汗が噴出する。
 見られている。
 己が、見られている。

 その怖気を振り払うようにアルカは叫ぶ。
「裏にオブリビオンマシンが、あの悲劇の主がいるというのなら、その思惑は、ぶち壊してやるだけよ……!!」
 戦場に『閃光』が走る。
 それはこれまでのオブリビオンマシンではない挙動。
 恐るべき敵が、己を狙っていると理解し、アルカは脅威に備えるように構えるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月夜・玲
そもそも名前からして胡散臭すぎる…
武装ボランティアて
テイストン君さあ…
違ったわ味ン君はさあ…
ん?微妙に違う気がするけどまあよし!

まあ、そのお陰でまた悪い方のノインの尻尾掴めたと思えばヨシ!
後はこっちで何とかする!
《RE》IncarnationとBlue Birdを抜刀
別にこの世界だけが苦しいんじゃない!
別の世界だってほら、シャ・チークの怨念が蔓延って…
いや、よそう
こう…際限が無くなるわこの話題!

【高速演算】起動
剣を振り、飛翔する敵へ衝撃波を飛ばす
コックピットは外し、翼と武器を狙おう
あんまり高い所から落ちる様なら『念動力』で落下速度を段階的に低下
即死しないよう気を付けようかな

攻撃は…気合で回避!



「そもそもさー」
「わかっているとも。だが、今は」
「いやいや、『武装ボランティア』て。名前からして胡散臭いすぎる……」
 月夜・玲(頂の探究者・f01605)の言葉に小国家『フルーⅦ』のトップ、『アジン』は苦虫を潰したような顔をした。
 わかっているのだ。
 言わんとしていることは。
 だが、民意の濁流を一人の人間が止められるわけがない。
「まあ、ヨシ!」
 玲は、そんな彼の肩を叩く。
 負傷しているので優しくして上げて欲しいが、その痛みこそが『アジン』には必要だったのかもしれない。
 このような事態を止められなかった責任に対する罰を誰が彼に与えられただろうか。
 与えられないということもまた罰である。

 故に、玲の肩の一叩きは、その罪をわずかに減らすものだったかもしれない。
「その御蔭でまた悪い方の『ノイン』の尻尾つかめたと思えば、ヨシ!」
『ビバ・テルメ』に以前キャバリアを無償提供するといってオブリビオンマシンをもたらした集団と今回の『武装ボランティア』がつながっているかはわからない。
 だが、『ノイン』という点が点とつながったことを玲は理解する。
「後はこっちでなんとかする! テイストン君、じゃなくって違ったわ、味ン君はさ……イントネーションが違うのか。ともかく、怪我してんだから、死なないようにね。やることはこの後もたくさんあんだからさ!」
 そう言って玲は飛び出す。
 オブリビオンマシン『イカルガ』が飛び交う戦場にあって、生身単身。

 引き抜いた模造神器の蒼き刀身が励起するように輝く。
「苦しい。苦しい。生きているのが苦しい」
「なら、生きていたってしかたない。終わらせることが、幸せにつながる。幸せが得られなくたって、終わるのなら、それで!」
 人々の叫びを玲は聞く。
 わからないでもない。人間は破滅願望を抱くもの。どうしようもなく生きているからこそ、死を思う生き物だ。
 でも、と玲はつぶやく。
「別にこの世界だけが苦しいんじゃない!」
 飛び込む玲の瞳にユーベルコードが輝く。
 I.S.T起動。サポートモードに移行したシステムが敵行動予測開始し、玲の瞳に映る『イカルガ』の挙動を予測する。

 見事に己を無視してプラントに特攻を仕掛けようとしているのだ。
「別の世界だってほら、シャ・チークの怨念が蔓延って……いや、よそう。こう……際限がなくなるわ、この話題!」
 不幸自慢になる。
 こんな不毛なことはない。
 戦い以上に不毛すぎる。
「言ったって、傷の舐め合いにもなりゃしないってんならさ!」
 振るう模造神器の刀身から斬撃波が放たれ、『イカルガ』の背部バインダーを切り裂く。
 飛翔能力を失って失墜する機体へと玲はさらに飛び込み、その武装を破壊する。

「おっと、高い所から落ちてショックで頭打っちゃダメだからね」
 そう言って念動力で墜落しそうになった『イカルガ』の機体を掴む。
 落下速度を落して、地面へと落し玲は振り返る。
 オブリビオンマシンの数は随分と減った。
 だが、戦いはこれからだ。
 そして、同時に彼女は知る。
 己の背筋に走る冷たい感触。殺気、と理解した瞬間、そこに見えるは『閃光』だった。

 白い『閃光』のように戦場に現れた機体。
 その機体を玲は技術者であるからこそ、類似性を見出す。
「白い『セラフィム・エイル』……? 『セラフィム』? や、違うよね。あれ」
 三面ではない頭部。
 六腕はなく、肩部にあるのは推進機。
 そして、何よりアンダーフレームが人型ではない。獣脚。
 携えるは大型突撃槍。
 オーバーフレームだけが、『ビバ・テルメ』の『神機の申し子』たちが駆るサイキックキャバリア『セラフィム』に酷似していたのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『ブリュンヒルド』

POW   :    バイ・スタンダーⅠ
【大型突撃槍】で触れた敵に、【噴出する熾火の放射】による内部破壊ダメージを与える。
SPD   :    オール・フォー・ワン
霊力を帯びた【大型突撃槍】で斬る。対象にこの斬撃を防ぐ装備や能力があれば、全て無効化し、更に威力を増大する。
WIZ   :    乾為天
【ブリュンヒルド】を操縦中、自身と[ブリュンヒルド]は地形からの激突ダメージを受けず、攻撃時に敵のあらゆる防護を無視する。

イラスト:落葉

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ナイアルテ・ブーゾヴァです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 戦場に集った猟兵達全てが、感じたであろう怖気。
 ぞわりと肌が泡立ち、己の生存本能が告げる。
 白い『閃光』の如く一瞬で戦場に現れたのは、白いオブリビオンマシンであった。
「来ましたか、『白騎士』……いえ、『ブリュンヒルド』……見せていただきましょう、『アイン・ブリュンヒルド』、|『超越者』《ハイランダー》の力を。そして、証明して見せてください。あなたの選んだ道が過ちではなかったことを」
『ノイン』は戦場を遠くから見つめていた。
 その瞳の瞳孔がカメラレンズのように動き、遠望しているのだ。そこにあったのは己たちが供与したオブリビオンマシンが猟兵にことごとく破壊された戦場。
 そして、そこに降り立つ白いオブリビオンマシン『ブリュンヒルド』。
 ただならぬ気配。
 だが、百戦錬磨の猟兵たちをして理解させる。

 これは一騎当千たるオブリビオンマシンであると。
 生半可な攻撃は鎧袖一触と言わんばかりに跳ね返されるだろう。
 さりとて、その一撃の鋭さは『閃光』のように己たちを貫くだろう。

 そう思わせるだけの重圧が、そこにあったのだ。
「……」
 だが、『ブリュンヒルド』のパイロットは言葉を発しない。
 ただ、目の前の敵を、猟兵を排除するだけだと言わんばかりに『ブリュンヒルド』は迫る。
 ゆらりと動いたと思った瞬間には、一瞬で間合を詰めてくる。
 大型突撃槍の一撃はあらゆる防護を無意味にするだろう。

 死が其処に迫っている。

 まるで|『憂国学徒兵』《ハイランダー・ナイン》の再来。
 単騎で一軍さえ退けたという伝説の如き存在が目の前に在る。
 ただの一騎である。しかし、こちらは多数。
 されど、『ブリュンヒルド』は意に介さない。
 まるで、一対多の戦いには慣れていると言わんばかりに、その熾火を発するアイセンサーでもって猟兵たちを睨めつけるのだった――。
ウィル・グラマン
●POW

何かすっげーのが来やがったぜ…
けど、どっかでノインが見ていると思うと…やるっきゃねぇよな!
白騎士だがブリュンヒルドだがしらねぇが、ベアの装甲を穿てるならやてみせろってんだ!

ベア、大型突撃槍を掴んで無力化するんだ…どうしたベア!?
ちょっと待てよ、触れたら装甲を通り越して内部系統に直撃ダメージは反則だろ!?

んにゃろ…こうなりゃこっちも考えがあるぜ
ベア、また大型突撃槍を掴んで無力化しろ!
大丈夫だ、今度は任せろ…『アローライン・スクリーム』!
ベアの拳に←マークの矢印を描いてパンチの加速と、大型突撃槍から噴出してくる熾火の放射を防いで見せるぜ!
正直上手く行くか俺にも分からねぇが、なんとなれーッ!



 それは明らかな脅威であった。
 鋼鉄の巨人。
 白いオブリビオンマシン『ブリュンヒルド』は『白騎士』と渾名されるのも頷ける姿であった。
 アンダーフレームの獣脚は、はるか昔に滅んだとされる恐竜を思わせるものであった。
「何かすっげーのが来やがったぜ……」
 ウィル・グラマン(電脳モンスターテイマー・f30811)は己の肌が粟立つのを感じただろう。
 だが、同時に怯んではいられないとも理解した。
 この場を何処かで『武装ボランティア』の『ノイン』が見ているかもしれない。
 ならば、退くことは許されない。
 いや、それどころか、目の前の『ブリュンヒルド』が許さないだろう。
「……やるっきゃねぇよな!」
「……」
『ブリュンヒルド』が動いた、と思った瞬間、その距離はゼロになる。
 瞬間的な加速によって白い機体が影となって『ベアキャット』へと迫る。
『ガォン!!』
 その咆哮と共に『ベアキャット』が大型突撃槍の一撃を受け止めていた。
 しっかりと穂先をつかみ、動きを封じたのだ。

『ガ――』
「どうしたベア!?」
 だが、次の瞬間『ベアキャット』の内部を破壊するように噴出した熾火が吹き荒れる。
 それは一瞬にして内部を破壊し、その装甲があろうとなかろうと関係ないと言わしめる一撃だった。
「……」
「嘘だろ、振れたら内部に直接ダメージ!? 反則だろ、そんなの!?」
 振りほどくようにして『ベアキャット』を投げ捨て『ブリュンヒルド』はウィルを睥睨する。
 生身単身だろうと関係ない。
 目の前に猟兵がいる。
 ただそれだけが理由だというように迫るのだ。

「んにゃろ……ベア! 起きろ!!」
『ガ、ガ、がォン!!!』
 ウィルの言葉に応えるように投げ捨てられた『ベアキャット』が立ち上がる。
 その動きに振り返りざまに大型突撃槍が横薙ぎに振るわれる。穂先が漆黒の装甲を打ち据え、食い込むようにして特殊装甲を切り裂く。
 破片が飛び散り、『ベアキャット』の左腕が吹き飛ぶ。
 さらに傷口に迫るようにして熾火が吹き荒れた瞬間、ウィルの瞳がユーベルコードに輝く。
「任せろ、今度こそ! アローライン・スクリーム!」
 その言葉と共に矢印が浮かび上がり、吹き荒れる熾火が反射されるようにして大型突撃槍へとなだれ込むのだ。
 正直うまく行かないかもしれないとウィルは思っていた。
 だが、彼の目論見は達成されていた。
 大型突撃槍を即座に手放し、『ブリュンヒルド』は熾火による内部破壊ダメージを防いだのだ。

「今だ、ベア!」
 その言葉に応えるように『ベアキャット』が咆哮し、ウィルのユーベルコードによって付与された矢印マークを受けた右拳が加速し『ブリュンヒルド』へと叩き込まれる。
 熾火吹き荒れる中に白い機体は『ベアキャット』の一撃をシールドで受け止め、大型突撃槍を手にして離れていく。
 しのいだ、とウィルは思っただろう。
「は、ハハハ、なんとかなった! くっそ、でも……!」
『ベアキャット』の左腕が欠損している。
 あれだけの敵を前にして左腕だけで済んだことを喜ぶべきか。ウィルは、撃退した『ブリュンヒルド』が未だ戦場にあって、己達の生命を狙っていることを知るのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

才堂・紅葉
不味いわね、あれは別格だわ
白の機体に冷たい汗が伝う
まともに仕事させたら不味い
仕方ない、今回は私が潰れ役か

迦楼羅王を駆って正面に躍り出る
下手なフェイントや攪乱は無駄な相手だ
六尺棒のリーチを最大限に活かした構えを取り、相手の突進に合せて踏み込み、守りの棒を捨てる

「がぁっ!?」
防御を捨てて深く踏み込み、大型突撃槍の斬撃をその根本で受ける
それでも大破寸前だろうが死ななきゃ安い
真の姿の【封印を解く】と【怪力】で奴を【捕縛】し、重力【属性攻撃】で諸共に程良い高度まで【吹き飛ばし】て「落鳳破」を狙う

「墜ちなさい、白騎士!!」

落下ダメージはオマケで、本命は関節部への継続ダメージ
この先の戦いで響いてくるはずだ



 不味い、と一瞬で才堂・紅葉(お嬢・f08859)は理解した。
 熾火荒ぶような一撃を受けた漆黒のスーパーロボットの左腕が一瞬にして切り飛ばされた光景を見た。
 刹那にも満たぬ攻防。
 あまりにも速すぎる。
『閃光』のような戦いぶり。
 まさしく『別格』だと本能が理解したのだ。
 冷たい汗が頬を流れるのを彼女は気がついただろう。
「あれにまともに仕事をさせたら不味い」
 理性が警鐘を鳴らしている。
 対峙すること事態が、死を連想させる。だが、それを紅葉はねじ伏せるようにして己が『迦楼羅王』と共に戦場に飛び出す。

 真正面から踊り出る姿は、あまりにも不用意であったことだろう。
 速さを最上とする機体に正面から挑むのは下策。
 されど、同時に紅葉は悟っていた。下手なフェイントや撹乱は無駄だと。
 あの手合いは、此方の搦手というものを真っ向からねじ伏せるだけの力を持っている。ならば、と紅葉は迫るオブリビオンマシン『ブリュンヒルド』へと正面から迫るのだ。
 互いに得物は長柄。
 故にリーチは最大限に活かしても互角。
 速度は追いすがることができるかわからない。
 ならばこそ、正面から相手の突進に合わせる。それしかない。

 だが、それは紅葉が潰れ役を買ってでなければならない、ということも意味していた。
「守りを捨てる」
「……」
 放たれる大型突撃槍。
 しかし、その一撃を紅葉は六尺棒で受け止めなかった。
 それどころか、守りの要たる武装すら投げ捨てたのだ。それは捨て身であった。
 守りを捨て、捨てるが故に、『ブリュンヒルド』の一撃は最大威力を得られない。守りを硬め、防御しようとした瞬間に、あの大型突撃槍は力を増す。
 ならば、力を増大させず、最小限の損害でもって紅葉は敵の動きを止めることを選んだのだ。

 だが、その代償はひどく大きかった。
「がぁっ!?」
 威力が増大していないとは言え、その大型突撃槍の一撃は容易く『迦楼羅王』の腹部……つまりはコクピットブロックの装甲を穿つ。
 切っ先が紅葉の眼前に剣呑に輝く。
 もしも、彼女が守りを捨てていなかったら、この時点で彼女の生命はなくなっていただろう。
 僅かな切っ先。
 その僅かなる違いが彼女のの生命をすくったのだ。
 大破寸前。
 もはや虫の息たる『迦楼羅王』から『ブリュンヒルド』は大型突撃槍を引き抜こうとして、その穂先が抜けぬことを知るだろう。
 それは、僅か為る逡巡。

 その一瞬こそが紅葉の求めたるものであった。
「安いものね。死ななかったんだから……!」
 咆哮と共に紅葉の瞳がユーベルコードに輝く。
 真の姿を晒した『迦楼羅王』の放つ重力波が己達諸共、空中へと打ち上げる。
 高度は高く取れない。
 だが、この一手しかない。
「墜ちなさい、『白騎士』!」
『ブリュンヒルド』の機体を掴み上げ、超重力のままに落下し、締め上げようとする。
 だが、大型突撃槍を投げ捨てた『ブリュンヒルド』は紅葉の極めを完全にさせない。

 まるで人間のように腕部が組みて争いをするようにして紅葉の放つ釣り手を許さない。
 獣脚のアンダーフレームを捉えることができないままに、紅葉は引っ掛けるようにして『ブリュンヒルド』の装甲を掴み、不完全ながらも、その機体を大地へと叩きつける。
 完全ではない。
 だが、それは想定の内であった。
 紅葉が狙ったのは『ブリュンヒルド』の関節部へのダメージ。
「……っ、ぐっ……! 完全に極めきらなかったけど……! でも!」
 紅葉はコクピットの中で荒い息を吐き出す。
 確実にダメージは与えている。
 このまま戦えば戦う程に『ブリュンヒルド』は今与えた関節部へのダメージにより、追い込まれていく。
 後は、と言うように紅葉は、大型突撃槍を拾い上げた『ブリュンヒルド』の熾火盛るアイセンサーの煌きを見るのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

村崎・ゆかり
『白騎士』か。銀河帝国の将の再来とでもいうつもり?
とにかく敵だというなら叩き潰す。

「全力魔法」炎の「属性攻撃」「範囲攻撃」「竜脈使い」「呪詛」で烈焔陣!
広範囲に足場を崩し、そこから噴き上げる溶岩で敵機を飲み込む。
一撃で駄目なら、二度、三度。
「目立たない」ようにはしてるけど、見つかるわよね。「火炎耐性」で絶陣の中を「ダッシュ」で逃げ回る。
あの大型突撃槍を生身で喰らったら即座にミンチだわ。
近くに迫られたら、躊躇無く烈焔陣を再行使。大人しく溶岩の海に沈みなさい!

逃げ場がなくなれば、機甲式『GPD-331 迦利』を喚び出して飛び乗り、牽制の「レーザー射撃」を放ちながら後退するわ。



 猟兵めがけて白い鋼鉄の巨人が大地を疾駆する。
 如何なる障害をも踏破するように獣脚のアンダーフレームが駆動し、跳ねるようにして周囲にあったオブリビオンマシン『イカルガ』の残骸を躱していく。
 あれだけの速度であるというのにオブリビオンマシン『ブリュンヒルド』は障害物など在って無いかのように一直線に猟兵へと迫る。
 空より叩きつけられて尚、その機体は健在。
 機体は健在であっても、中身……即ちパイロットはただでは済まないはずだが、その衰えを感じさせぬ速度で疾駆する様はまさしく『閃光』そのものであった。
「……」
 だというのにパイロットは黙して語らない。
 ただひたすらに敵を求めるように、いや、猟兵を付け狙うようにして走る。

「『白騎士』か。銀河帝国の将の再来とでもいうつもり?」
 村崎・ゆかり(“紫蘭”/黒鴉遣い・f01658)は苦々しい気分を払拭するように、その瞳をユーベルコードに輝かせる。
 戦場に身を隠してはいるが、敵は此方を認識している。
 隠れ潜むことなど無意味でるというように一直線に迫っているのだ。
 ゆかりは生身単身である。
 5m級の戦術兵器を相手にするは、あまりにも体格差が有りすぎる。
 故に彼女は選択するのだ。
「敵だというのなら叩き潰す。古の絶陣の一を、我ここに呼び覚まさん。汚濁に染まりし三昧真火よ。天帝の赦しを持って封印より解き放たれ、地上を劫火の海と為せ。疾!」
 戦場の地表が割れる。

 それはあまりにも壮大なる光景であった。
 ひび割れた大地よりせり上がるようにして噴出する無数の火柱。
 これを躱すことなどできない。
 地面の中を見通すことができぬように、拭き上げる無数の火柱を躱せる者などいない。
「……」
 だが、『ブリュンヒルド』はアンダーフレームの獣脚の悪路を走破せしめる柔軟なる機動力で持って跳ね回るようにして火柱を躱していく。
 ゆかりの烈焔陣(レツエンジン)は、そもそも火柱が命中しなければ、効果を及ぼすことができない。
『ブリュンヒルド』は、まるでそれがわかっているように凄まじい速度で火柱が立ち上る大地を突っ切ってゆかりへと迫るのだ。

「……突っ切ってくる!?」
 ゆかりは即座に判断する。
 敵が己を認識していて、己を狙っているというのならば、隠れ潜んでいることは逆に悪手だ。決断した彼女は火柱が立ち上る大地を逃げ回るようにして駆け出す。
 あの一撃を受けてしまえば、ゆかりの五体はバラバラに砕け散るだろう。
 逃げなければ。
「……」
「なんて速さよ!」
 振るわれる大型突撃槍。それはキャバリア同士の戦いであれば、隙のない一撃だっただろう。
 だが、ゆかりは生身である。
 その体格差故に、どのような一撃であっても大ぶりになる。その一点にゆかりは賭けた。横合いから彼女をかっさらうようにして機甲式『GPD-331 迦利』が飛び、ゆかりを救けながら牽制射撃のレーザーを放つ。
 それすらも躱される。
「なんて性能……! この状況下で、火柱を全部躱すとか……!」
「……」
 次の瞬間、機甲式『GPD-331 迦利』が激しく揺れる。
 それはオブリビオンマシンの残骸を投擲した『ブリュンヒルド』の一撃だった。ユーベルコードではない一撃故に、損傷は軽微であったが、しかし機甲式『GPD-331 迦利』の機体が揺れる。

「まずいっ!」
 なんとか着陸はできたが、これは致命的だった。
 しかし、『ブリュンヒルド』は追ってこない。いや、追えなかったのだ。
 先んじた猟兵達の加えた攻勢。
 これによって、『ブリュンヒルド』の駆動系に異常がでているのだろう。
「みんな、後は頼んだわよ!」
 ゆかりは己が命拾いをしたことを理解し、即座にもう一度地表を割る火柱でもって『ブリュンヒルド』の追撃を阻み、その場に釘付けにするのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ファルコ・アロー
ピィッ!?
こいつの動き、いや雰囲気……ぜってーやべー奴ですよ!?
どーすんですかあんなの!さっきまでの連中と全然ちげーですよ!?
あーもう、こーなったらやってやるですよ!真正面から!
あの槍は触るだけでヤバそうですし、ちょろちょろ動くより待ち構えるほうがこっちの心の準備も出来そうです。
さぁ、来やがれです!
白騎士だか何だか知らねーですけど、相手してやるですよ!

ボクの体は小さいですけど、機械腕を大きく広げて威嚇して敵の攻撃を誘うです。
ここで勝負!槍を抱える感じで受け止めて、フルパワーでぶん投げるです!
槍を離しても離さなくても良いです、内部ダメージでやられる前に素早く叩き付けてやるですよ!



 我が身に降りかかる重圧。
 それは肺を潰すようであり、また心臓を掴まれるような感覚を覚えさせるものであった。
 ありえない。
 そう思うほどに敵の、白いオブリビオンマシンの放つ重圧は尋常ならざるものであった。
「ピィッ!?」
 ファルコ・アロー(ベィビィバード・f42991)は思わずうめいていた。
 白いオブリビオンマシン『ブリュンヒルド』は幾人かの猟兵達の攻勢を受けても、目立った外傷がなかった。
 消耗を重ねているのは確かであるのに、動きに未だ陰りが見えない。
 構えた大型突撃槍。
 その切っ先に触れればまずい、と本能的に理解する。いや、理解させられてしまう。

「こいつの動き、いや……雰囲気……ぜってーやべーやつですよ!?」
 どうする。
 どうしたらいい?
 ファルコはこころの中が焦りで満たされていくのを感じた。
 これまで感じたことのない重圧。
 先程までのオブリビオンマシンに狂わされた人々とは根底から異なるようであった。
 だが、逃げられない。
 逃げてはならない。
 二つの相反する思考がファルコの頭の中で渦巻き、そして、ファルコはその思考を捨てる。これは弱音だ。こんなこと思っていても何一つ解決しない。

「あーもう! こうなったらやってやるですよ! 真正面から!」
 あの速度から逃げられるわけがない。
 なら、正面から、と彼女の瞳が輝く。
 それ戦意であったし、不退転の決意であった。
「……」
 その決意に輝くファルコを認めて『ブリュンヒルド』が加速する。
 あの槍に触れてはならない。
 けれど、あの『ブリュンヒルド』は圧倒的な速度で踏み込み、己に一撃を見舞うだろう。
 やばい、とわかっている。

 死中に活あり。
「さあ、来やがれです!」
 迫る切っ先をファルコは受け止める。
 脇腹をかすめる槍の一撃。
 レプリカントは生身頭身。けれど、それでもファルコはぎりぎりで躱していた。体格差があることもまた要因であったことだろう。
 しかし、それでも『ブリュンヒルド』は狙い違わずファルコへと一撃を叩き込んできたのだ。脇腹から熱が伝わる。
 死が迫る。
 チリ、と熾火が噴き上がる感触をファルコは覚えたことだろう。
「『白騎士』だかなんだか知らねーですけど、相手してやるですよ!」

 負けない。
 負けて為るものかとファルコの瞳がユーベルコードに輝く。
 攻撃を受け止めたのは、全てはこのために。脇腹に大型突撃槍を抱えるようにして掴む。だが、それでどうなるものでもなかったのだ。
 体躯の内側が燃えるように熱い。
 涙が零れそうに為るも、その熱で蒸発していく。
「ふ・る・ぱ・わぁぁぁぁ!」
 ファルコの渾身の力でもって大型突撃槍ごと『ブリュンヒルド』を持ち上げる。
 槍を捨てない。
 この事態は完全に想定外だったのだろう。
 生身単身のレプリカントがキャバリアサイズの敵を持ち上げるなどということは。しかし、これは純然たる事実である。
「舐めんじゃねーですよ!!
 ファルコは燃える体躯の熱を感じながら、『ブリュンヒルド』を大地に叩きつけた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

星野・祐一
「来やがったか…へへっ。こうして対峙するとプレッシャーがすげーな」
SPD

「だが引くつもりはないぜ。自分にやれる最大限をやるまでさ」
常に先制攻撃を心掛け、動き回ることを意識して立ち回る
ライフルで威嚇射撃して回避を促したら移動先にバズーカを発射
直撃させるよりは地形を利用した爆撃で体勢を崩させるのが狙いな

痺れを切らすなりで槍を振り上げたら正念場だ
なんせ直撃したら一撃で終わりそうだからな…だがピンチはチャンスよ
機体のリミッター解除、脳も限界突破。瞬間思考力、第六感、見切りそして気合を入れて前に向かって推力移動で懐に飛び込む!
あとはUCを乗せたブレードで関節かその白い装甲に傷を付けてやらぁ!

アドリブ歓迎



 白いオブリビオンマシン『ブリュンヒルド』が大地に叩きつけられる。
 それは猟兵の一撃。
 大型突撃槍を掴み上げ、それごと投げつけたのだ。
 その一撃に『ブリュンヒルド』は即座に体制を整えて立ち上がる。アンダーフレームの獣脚が駆動し、大地を蹴る。
 肩部ブースターが展開し、それまでの速度はまだ全開ではなかったことを示していた。
 恐るべき速度。
 目指すは鈍色のキャバリア『クロムスティール』。
 駆るは星野・祐一(シルバーアイズ・f17856)。
 彼は理解した。
 不思議と笑みが溢れる。
「来やがったか……へへっ。こうして対峙するプレッシャーがすげーな」
「……」
『ブリュンヒルド』のパイロットは答えない。
 黙したまま、一気に踏み込み大型突撃槍を振るう。

 踏み込みの速度が尋常ではない。
 もうすでに己の眼前に『ブリュンヒルド』のアイセンサーの揺らめくような光があった。
 わかっている。
 これがあまりにも強大なオブリビオンマシンであるということは。
 だが、退くつもりなど祐一には毛頭なかった。
 確かに技量、性能ともに『ブリュンヒルド』の方が上なのだろう。だが、それで臆することはない。
 いつだってそうだ。
 猟兵とオブリビオンにおいては、個の力は歴然たる差がある。 
 だが、それでも勝利してきたのはともに戦う仲間たちがいたからだ。
『ブリュンヒルド』に対してもそうだ。
 先んじた猟兵達の構成によって、目立って損害はなくとも確かに消耗しているのだ。
 肩部のブースターを展開したことからもうかがえる。
 速度が落ちているのだ。故に、それを補うようにブースターを展開した。

「なら! 自分にやれる最大限をやるまでさ!」
 ライフルの牽制射撃など意味をなさない。全てがことごとく躱されるか、大型突撃槍に弾かれてしまう。
 距離を取ろうにも踏み込みの速度は、随一。
 即座に追いつかれてしまう。
 バズーカを発射し、爆炎を巻き上げる。
 体勢は崩れない。あのアンダーフレーム。獣脚が柔軟に地面を掴んで爆風から逃れて、体勢を崩さないのだ。
 人型であれば、体勢を崩すものも、あの獣脚が衝撃を吸収し、さらに踏み込みの速度を揚げているのだろう。
「正念場だよな、これは!」
 祐一は構わなかった。

 己の放った攻撃のどれもが有効打にならぬことにじれる必要はない。
 ヒリつく。
 一撃でも貰えば、それで己が機体は終わりだ。あの一撃は、それほどまでに強烈。
「ピンチはチャンスよ!『クロムスティール』! リミッター解除!」
 機体のジェネレーターの出力を開放すると同時に祐一は己が脳の思考速度も限界を超えるように回す。
 頭が熱でおかしくなりそうだった。
 それほどまでにあの速度に対応するのは難しい。
 けれど、やらねばならない。
 踏み込みに合わせて祐一もまた『クロムスティール』とともに踏み込む。
 交錯するようにして二騎がすれ違う。
『クロムスティール』左腕が重たい音を立てて落ちた。
 瞬間、『ブリュンヒルド』は右肩部のブースターが爆発を起こす。
「……」
 それは『ブリュンヒルド』にとっては想定外であったのだろう。
 祐一の一撃は、冬雷(トウライ)を『ブリュンヒルド』は躱していた。だが、放った一撃は衝撃波を溜め込んだ一撃。
 故に余波を計算に入れていなかったが故に、その一撃は想定外として『ブリュンヒルド』の速度を奪うのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

朱鷺透・小枝子
『魔改造能力者』敵機速度に対応できる程の高速移動能力を発動!
【瞬間思考力】と【念動力】でデモニック・ララバイを【早業操縦】
【推力移動】で突撃槍を躱し、【空中機動】空中で機体を捩じりながら両手の殺戮音叉から音波【斬撃波】を放ちながら高速移動回避維持!!

『奏者!この速度は大分無茶してないかい!!?』
それは戦いをやめる理由にならない!!!

|【継戦能力】己が【闘争心】で戦闘続行する!《疾うの昔に寿命は零を越えている!》
殺戮音叉追加展開【吹き飛ばし弾幕】音叉の杭を高速転送
前方側面死角足元頭上、敵機のありとあらゆる方向から音叉杭を放ち続け、突き立て、【衝撃波】で【部位破壊】関節部ダメージを増大させる!!!



 白いオブリビオンマシン『ブリュンヒルド』の右肩部ブースターが破壊される。
 それはこれまで紡いできた猟兵達の攻勢が実を結んだことを意味していた。
「……」
 だが、『ブリュンヒルド』に動揺はなかった。
 たかが、一つのブースターと思っているのかも知れない。パイロットは黙して語らず。ただ淡々と獣脚のアンダーフレームを跳ねさせるようにして飛び退り、さらに大型突撃槍を構えた。
「オオオオオッ!!!」
 そこへ飛び込むのは、朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)の駆る『デモニック・ララバイ』であった。
 敵の速度が減ぜられているとは言え、依然、その速度は猟兵たちを上回るものであった。
 未だブースターは残っているのだ。
 ならば、油断などできようはずもない。
 いや、する理由がどこにもない。
 目の前にいる敵は、明らかに強敵。
 これまで見てきたどの敵よりも、その性能も技量も上であった。

 故に彼女は、小枝子は吠え『デモニック・ララバイ』を念動力制御でもって加速させる。
 その速度は小枝子の内臓に多大なる負荷を与えるものであった。
「ゴハッ!!」
 血反吐が撒き散らされる。
 コクピットが血で染まる。
 視界が赤く染まる。
 けれど、それでも小枝子は咆哮する。
 動物的な思考。目の前に敵がいる。それだけが彼女の思考であった。
『奏者! この速度は大分無茶をしていないかい!!?』
『クレイドル・ララバイ』がたまらず叫ぶ。
 いつもは饒舌な彼も、この速度域に入る危険性に言葉が少なくなってしまう。警告だった。これ以上の速度は、と。
 けれど、小枝子は咆哮する。

「それは戦いをやめる理由にならない!!!」
 そう、戦えているのだ。
 敵の速度と渡り合うためには、こうする他無い。
 故に、小枝子は両腕から突出するようにして出現した殺戮音叉から放たれる斬撃波を解き放ちながら『ブリュンヒルド』と撃ち合うのだ。 
 敵の大型突撃槍に触れれば、熾火が内部に吹き荒れる。
 そうなれば、駆体が保たない。
「……」
 だが、魔改造能力者(リモデルブレイン)たる小枝子をして『ブリュンヒルド』は速度で上回る。
 これまで猟兵達の攻勢によって消耗していても、まるで意に介さぬように振るわれる一撃。
『デモニック・ララバイ』の殺戮音叉を砕きながら、大型突撃槍の穂先が食い込んでいく。
 装甲が砕ける。
 同時に内部に熾火が噴出する。

 熱が小枝子の体を蝕むようだった。
「疾うの昔に寿命は零を超えている!」
 痛みが、苦しみが、己の心を苛む。肉体を蝕む。
 けれど、それを超えるは闘争心。
 咆哮が轟く。
 それは獣の咆哮であると同時に人の咆哮だった。
 生きるために死ぬるような、そんな咆哮だった。
 駆体から放出される殺戮音叉。それは弾幕であったが、全てが『ブリュンヒルド』の大型突撃槍によって防がれる。

 それはもうわかっている。
「先んじた仲間が与えた関節部を狙え、『クレイドル』!!」
 小枝子は放った殺戮音叉を転移転送させ、『ブリュンヒルド』の全方位から一撃を叩き込む。
 それは関節部を狙い、衝撃波でもって加速させ、蓄積したダメージを後押しするようにして『ブリュンヒルド』を吹き飛ばすのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユーリー・ザルティア
【心境】
「これが、敵の切り札?確かに凄そう…だけどさッ!!」
そーいう強敵とは戦いなれていてね。今更怖気ずくほどおぼこじゃないのよ猟兵はッ!!
【行動】
引き続きレスヴァントMk-2で行くわよ。

アマテラスの『索敵』の『情報収集』によると、あの槍の斬撃は防ぐのは下策のようね。
なら回避する!!
槍の斬撃を『瞬間思考力』で『見切り』自慢の『操縦』テクで回避。
アストライアの『制圧射撃』で牽制して、間合いを維持する。
槍の回避のやり方は…間合いから遠のくか…
もしくは懐に潜り込む!!
『カウンター』に高機動攻撃
囮の『残像』を生むマッハ5.0の急加速で一気に懐に潜り、イニティウムの『重量攻撃』をお見舞いする!!



 小国家『フルーⅦ』を襲った『武装ボランティア』を名乗る集団の目論見。
 それはプラントに人々を特攻させ、復興の芽を摘みながら、戦乱の火種を撒き散らすことであった。
 しかし、それは猟兵達によって阻止されている。
 そこに飛び込んできたのは白いオブリビオンマシン『ブリュンヒルド』であった。
「これが、敵の切り札? 確かに凄い……だけどさッ!!」
 白いキャバリア『レスヴァントMk-2』を駆るユーリー・ザルティア(自称“撃墜女王”(エース)・f29915)はひるまなかった。
 多数の猟兵たちが攻勢を仕掛けて尚、『ブリュンヒルド』は健在である。

 損壊しているのは右肩部のブースターのみ。
 それ以外に目立った外傷はない。けれど、着実に消耗させているのだ。
 けれど、それでも加速する速度は衰えるところをしらない。アンダーフレームの獣脚が機動性を損なわせていないのだろう。
 踏み込みの速度だって尋常ならざるものであった。
 恐るべき強敵。
「そーいう強敵とは戦い慣れていてね! 今更怖気ずくほどおぼこじゃないのよ、猟兵はッ!!」
 アマテラスから伝わる情報を得る。
 これまでの猟兵との戦いから見ても、あの大型突撃槍を受けるのはまずいとわかる。
 あらゆる防護、装甲を切り裂く刃。
 むしろ、そうした防御に徹する者をこそ食い物にする力があると言っても良い。

「受け止めるのはダメ、かすめてもダメ、まったく!」
 加えて、回避しようにも速すぎる。
 瞬間思考を巡らせる。
 アマテラスから伝わる情報。戦場を俯瞰した情報は多大なる情報量となってユーリーの脳を焼く。
 頭痛が走る。
 顔をしかめる時間すら惜しい。
 今は、集中しなければならない。
「……」
『ブリュンヒルド』のパイロットは黙して語らず。
 ただ踏み込む。
 最速にして、最短。
 故に、ユーリーは『レスヴァントMk-2』を持って、その一撃を見切る。
 いや、見切れていたと思っていた。
 だが、『レスヴァントMk-2』の装甲が切り裂かれて、宙を舞う。
「直撃……! ではないけれど!!」
 あたっている。
 長引けば、やられるのはこちらだと理解する。アサルトライフルの牽制射撃を放てども、距離が稼げない。
 ピタリと接近戦の間合を保持してくる。

「引き離せない……ならッ! 踏み込むッ!!」
 放たれた大型突撃槍の一撃が『レスヴァントMk-2』の左腕を寸断する。
 構わない。
 ここで踏み込まねば、あの槍によってだるまにされてしまう。
 だからこそ、ユーリーの瞳がユーベルコードに輝き、『レスヴァントMk-2』は応えるようにしてジェネレーターを唸らせる。
 加速する。
 音速を超える速度へと瞬時に到達した『レスヴァントMk-2』が白い特殊粒子を放ちながら踏み込む。
 大型突撃槍が振り下ろされる。
 頭部を叩き潰さんとする一撃は、しかし、放たれた特殊粒子に阻まれ、僅かにずれる。
 其の瞬間、ユーリーは特殊粒子を足場にして飛ぶ。
「頭を取った……行けぇッ!!」
 放つはキャバリアソードの一撃。
 それは一文字に『ブリュンヒルド』の胸部を切り裂き、その装甲を引き裂くのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ジェイミィ・ブラッディバック
(引き続きTYPE[JM-E]に搭乗)
「白騎士」を名乗りますか。
──WHITE KNIGHT、あれは貴方が戦うに相応しい。
「出番だな。制御を此方に」

(駆体制御権をWHITE KNIGHTに移譲)

──さて。
我が前で「白騎士」を名乗る不遜、後悔するなよ。
我が名は白騎士ディアブロ、未来を支配する者。

大型突撃槍による攻撃は厄介だが、接近させなければ良い。
スラスター出力を限界突破させ推力移動を用いた引き撃ち中心の戦法でアウトレンジから一方的に攻撃を行う。
PROVIDENCEによる観測結果とこれまでの戦闘状況から未来予測。奴が突撃するタイミングを掴むのは容易い。
COAT OF ARMSのオールレンジ攻撃、そしてLONGINUSをキャノンモードとした砲撃により敵突撃槍を集中攻撃して破壊を狙う。

体勢を崩し、動きを止めたところに接近。
LONGINUSのランスモードで突き刺した後、パイルバンカーモードへ変形させ装甲ごと敵機のフレームを破砕する。

私、そしてジェイミィ──「我々」こそが、真の白騎士だ。



 関節部へのダメージ蓄積。
 右肩部のブースターの破損。
 加えて胸部装甲への裂傷。
 それがこれまで与えてきた猟兵達の白いオブリビオンマシン『ブリュンヒルド』へのダメージの全てであった。
 消耗は重なっている。
 けれど、敵は未だ健在の動きを示している。構えた大型突撃槍は隙などなく。失われたブースターの速度を補って有り余るはアンダーフレームの獣脚。
 あれだけの速度を持ちながら、柔軟に機動するのは恐るべき技量であった。

 故にコードネーム『白騎士』。
『ブリュンヒルド』という呼称が知られていなかった頃に名付けられた周辺小国家での渾名であった。
「『白騎士』と名乗りますか。――WHITEKNIGHT、あれは貴方が戦うに相応しい。DIABLO OS 2.0.0 ACTIVATED. REBOOT COMPLETED」
 ジェイミィ・ブラッディバック(脱サラの傭兵/Mechanized Michael・f29697)はDIABLO SYSTEM 2.0(シロキシサイリン)を機動させる。
 自身の体の主導権を一定時間明け渡し、『WHITEKNIGHT』として戦わせる。
 それが彼のユーベルコードであった。
 時間を代償にして、戦闘力を増強させる。
 未来予測演算。
 それが『WHITEKNIGHT』の力である。

「出番だな。制御を此方に」
 枝分かれする未来。
 幾重にも重なるようにして展開された無数の可能性。
 勝負は一瞬だった。
 少なくとも他者にはそう見えただろう。
 対峙する二騎のキャバリアとオブリビオンマシン。
「――さて。我が前で『白騎士』を名乗る不遜、後悔するなよ。我が名は白騎士ディアブロ。未来を支配する者」
「……」
『ブリュンヒルド』のパイロットは黙して語らず。
 互いに『白騎士』という名を持つのならば、底に流れるのは言葉ではなかった。
 片や『閃光』の如き速度を誇る者。
『WHITEKNIGHT』は展開される未来予測演算が、この僅か数瞬の間に幾千、幾万にも枝分かれすることを知る。

 あの大型突撃槍を受けてはならないことは理解している。
 切っ先が触れれば、そこから熾火が内部を破壊する。機体であれば、フレーム、電装、あらゆる内部にある機構を破壊するのだ。
 故に、振れない未来を選び取るしかない。
 未来は、予測できる。
 可能性というものを見て、そこから己に利する未来を選べばいい。
 だが、変化していく。
 選んだ瞬間に変容していく。枝分かれした可能性から可能性へとさらに分岐していく。
 攻撃のタイミングを掴むの容易い。

 だが、そこから多岐に渡る分岐が情報処理……いや、駆け引きと人が呼ぶ戦いにおける可能性のつぶしあいに発展していくのだ。
 敵が速すぎる。
 こちらが未来予測演算を行って最適を手に取った瞬間に、それを上回る加速で持って大型突撃槍の軌道を代えてくるのだ。
 赤熱する電脳。
 処理の限界を超えて尚、それでも迫る敵の切っ先。
「シールドガンビット展開」
『WHITEKNIGHT』の言葉と共にシールドガンビットが飛翔し、『ブリュンヒルド』へとオールレンジ攻撃を仕掛ける。
 大型突撃槍がその全てを瞬時に切り裂き、爆散させ、その爆風を背にして、さらに肉薄するのだ。

「キャノンモード」
 手にした機甲槍がキャノンモードへと移行し、その砲撃の一撃を叩き込む。
 かすめただけだ。
 だが、理解する。
 これは一手。
 千日手のような永きに渡る答えのないかのような可能性の選定の先にこそ得た未来である。
 動きが止まる。
 この一撃で敵を屠ることができなくてもよい。
 ただ、足を止めさせることができれば、それでよかったのだ。
 一気に踏み込む。
 ランスモードへと変形した機甲槍の切っ先と大型突撃槍の切っ先が火花を散らす。
 振れた瞬間、機甲槍の内部へと熾火が流れ込み、その武装を破壊する。だが、『WHITEKNIGHT』の狙いはそこではなかった。
 打ち込んだ機甲槍はパイルバンカーモードへと移行し、その衝撃でもって『ブリュンヒルド』の大型突撃槍を弾きあげるのだ。

「槍を手放さぬか。だが、私、そしてジェイミィ――『我ら』こそが真の『白騎士』だ」
 それを忘れるな、と『WHITEKNIGHT』は熾火にて燃え盛る機甲槍を捨て『ブリュンヒルド』を知り付けるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カシム・ディーン
事前?(かなり前
アスアスのアインと何度もプラクトで練習試合を行う

「やっほー白騎士ちゃん☆また会えたね☆デビューおめでとうだぞ☆」
よぅ白騎士
もぉインドラには化けねーのか?

つかセラフィムの名はねーのか?

アイン・ブリュンヒルド…そーゆー事か(何故アインの戦い方に似てたのか…

今度こそよぉ…その中身…引きずり出してやる

【情報収集・視力・戦闘知識】
今迄の経験…エルネイジェでの戦闘記録
そしてアスアスの『アイン』と対戦
今の白騎士の動きを冷徹に解析する
その差異も改めて
機体構造から乗り手の位置も捕捉

【属性攻撃・迷彩】
光水属性を機体に付与
光学迷彩で存在を隠し水の障壁で熱源も隠蔽

【空中戦・念動力・弾幕・二回攻撃・切断・盗み攻撃・盗み・見切り】
UC発動
「いい加減…速さで遅れは取らないぞ☆」
閃光には神速にて応じる
飛び回りながら念動光弾を展開
回避行動を読み切った上での鎌剣で切りかかる!

いい加減速さで遅れてたまるかぼけぇ!

槍を強奪して粉砕
手足を切り刻み中の乗り手の引きずり出しを狙

当然自決諸々は最大限警戒し可能な限り阻止



『アイン』と呼ばれる少女をカシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は知っている。
 アスリートアースに生きる少女。
 彼女の動きと目の前の『白騎士』と呼ばれたオブリビオンマシン『ブリュンヒルド』の動きは似通っていた。
 どうしてそう思うのかをカシムは、その理由を知りたい。
「やっほー『白騎士』ちゃん☆ また会えたね☆」
「……」
『メルシー』の言葉に『ブリュンヒルド』のパイロットは答えない。
 以前もそうであったが、パイロットは一体何者なのか。
 これまで猟兵達の攻勢によって『ブリュンヒルド』は確かに消耗している。
 右肩部ブースターの損壊、関節部へのダメージ蓄積、大型突撃槍へのダメージ。胸部装甲の裂傷。
 確かに追い詰めている、と言ってもいい。

 だが、それでもこれだけの数の猟兵が集って未だ戦闘力の衰えが見えないのは以上なことだ。
「もぉ『インドラ』には化けねーのか?」
 カシムは、むしろ『セラフィム』の名を冠していないことに訝しむ。
 あの『ブリュンヒルド』の機体。
『セラフィム・エイル』を思わせる意匠が随所に見受けられる。ならばこそ、『セラフィム』の一種ではないかと思ったのだが、アンダーフレームが特徴的だった。
 獣脚なのだ。
 言ってしまえば、『インドラ』のアンダーフレームをそのまま使っているような、そんな雰囲気さえ感じさせる。
「いや、そういうことか。『アイン・ブリュンヒルド』……今度こそよぉ……その中身……引きずり出してやる」
「……」
 答えはない。

 応える意味がないというのか、それとも応える術がないのか。
 いずれにしてもカシムは幾度か交戦した『白騎士』、『ブリュンヒルド』との戦闘経験を活かすように解析する。
 差異があるとすれば、他の猟兵たちの攻勢によって損壊している程度であろう。
 それしかない、とも言える。
 だからこそ、光学迷彩で存在を隠す。
 けれど、それは通じないだろう。敵は此方を認識している。気配であるとか、第六感であるとか、そういうものではない。
 純然たる戦闘経験が、本能的なもので補強されている。
「……」
「そう何度も速さで遅れは取らないぞ☆」
「加速装置起動…メルクリウス…お前の力を見せてみろ…!」
『メルクリウス』のアイセンサーが煌き、神速戦闘機構『速足で駆ける者』(ブーツオブヘルメース)が起動する。

 凄まじい速度。
 それは『ブリュンヒルド』の『閃光』に神速でもって応じるのみ。
 乱れ撃つ光弾が弾幕のように『ブリュンヒルド』に襲いかかる。だが、それを『ブリュンヒルド』はまるで見てきたかのように躱すのだ。
「もっと速度を上げろ! いい加減速さで遅れを取られてたまるかぼけぇ!」
 振るわれる大型突撃槍が迷彩ごと『メルクリウス』の装甲を切り裂く。
 斜めに走る斬撃。
 それが『メルクリウス』の胸部装甲からアンダーフレームまで恐るべき速度の斬撃となって二閃を放っていたのだ。
「狙いが定まらねぇ!『メルシー』!」
『メルクリウス』のアイセンサーが輝き、さらなる速度をもたらす。 
 超光速機動連撃。
 それは嵐のように『ブリュンヒルド』を襲う。

「浅いッ……!」
 乗り手を引きずり出したいとカシムは思っていた、だが、それでもできない。
 コクピットの位置はわかっている。
 あれが『セラフィム・エイル』に準拠……いや、似通っているのならば、その位置は理解している。
 だが、それでも推しきれない。
 嵐のような斬撃と光弾を持ってしても、己たちに狙いを絞らせないだけの技量が其処にはあったのだ。
 恐るべき敵。
 ここに来て尚、力を発揮する『ブリュンヒルド』の装甲にカシムは手傷を与えることしかできなかった。

 だが、押し切ることはできる。
 他に繋ぐ。
 そのためにこそ猟兵は戦うのだから――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルクス・アルブス
【ステルク】

なんでここでさらにシリアス重ねるんですか!?
なんでそんなに勇者の死亡フラグを立てるんですかー!

これ、蕁麻疹どころじゃないですよ。発作レベルですよ!?

いよいよラムネじゃダメですね。
ここはもう最終兵器しかありません……すーぱーどーぴんぐ、練乳!

ぢゅー…………。

ふう……落ち着きました。
あとは次は、あの『シリアスの素』だけですね。

かもん!そなーれ!
……いえそんなNI●●ANみたいに応援されましても分は悪いですよ?

全力で、ってことならカウンター狙うんで、あとはいろいろお任せします!

【フラワー・オブ・スコットランド】いきますよー!
ソナーレのコクピットとアンプを壊されなければ、あとはいいです!


ステラ・タタリクス
【ステルク】
|超越者の9人《ハイランダー・ナイン》の先駆け
汎ゆるものより疾い者、アイン・ブリュンヒルド様!
セラフィム・エイル……熾盛の面影があるその白い機体が
貴女様の『熾煌』というわけですか!
ですが、何故『そちら側』に?
戦いに際しては心に平和を……この言葉は貴女様にも響いたはず
その道に殉じた事が過ちだとでも?

いえ、まずはしのぎます

というわけでルクス様お待たせしました
ええ、全力です全力
やっちゃえゆうしゃ
その間に私はフォルで突撃
【ル・ディアーブル・ヴィアン】!
悪魔が貴女様を押し留めてみせましょう!

しかし……ノイン様の行動?
まさか|新生の《オブリビオンによる》ハイランダー・ナインを作ろうとしている?



「|超越者の9人《ハイランダー・ナイン》の先駆け」
 ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)は戦場に現れた白いオブリビオンマシン『ブリュンヒルド』を見やる。
 その威容。
 その姿。
「汎ゆるものより疾い者、『アイン・ブリュンヒルド』様!」
 見やれば赤きオブリビオンマシン『セラフィム・エイル』の面影があると言える白い機体。
『白騎士』とも呼ばれ、戦場にある薄水色のキャバリア『熾煌』と形状を同じくするオブリビオンマシン。
 違うのは、アンダーフレームと諸々の装備であろう。
 大型突撃槍を構え、しかし、並み居る猟兵達の攻勢を退けた機体は、その身に消耗の痕を刻まれていた。

 右肩部ブースターは破損し、装甲は切り傷が刻まれている。
 各部関節に対するダメージも蓄積しているのだろう。
 だが、それでもあの機体は十全たる力を発揮している。それがパイロットの技量であることは言うまでもない。
「……」
 だが、パイロットは黙して語らず。
 何も答えない。
「何故『そちら側』に?『戦いに際しては心に平和を』……この言葉は貴女様にも響いたはず。その道に殉じたことが過ちだとでも?」
 ステラの問いかけにパイロットは答えない。
 沈黙だけが続く。
 何故、問いかけに答えない、とステラは『フォルティス・フォルトゥーナ』のコクピットにありながら、迫る『ブリュンヒルド』の攻勢に対応する。
 疾い。
 あまりにも疾い。
 理解していたことだが、他の猟兵達の攻勢を受けても速度が弱まる兆しが見えない。

「躱すことに注力しなければ、しのげない……! ルクス様!」
「え、なんです? なんでここでさらにシリアス重ねるんですか!? なんでそんなに勇者の死亡フラグを立てるんですかー!」
 ステラの呼びかけにルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)はうめいていた。
 蕁麻疹どころではない。
 発作レベルで息が続かない。
 いや、その割には結構叫んでいるが、そこらへんは大丈夫なのだろうか。
 大丈夫なのである。勇者だから。

 勇者という単語はそこまで便利なものではないと思うのだが、ルクスはラムネをボリボリしながら、それでも追いつかぬアレルギー症状に頭を振る。
「いよいよラムネじゃダメですね。ここはもう最終兵器しかありません……すーぱーどーぴんぐ、練乳!」
 コンデンスミルクチューブをルクスは、ぢゅーってする。
 甘いのが苦手な人が見たら卒倒しそうな光景である。そもそも、それってそうやって食べるものでしたっけ!? となること受けないである。

「ふぅ……落ち着きました」
「落ち着いたのですか!?」
「ええ、これで後は、あの『シリアスの素』だけですね」
「そんな味の素みたいな言い方!」
「かもん!『ソナーレ』!」
 ステラのツッコミをよそにルクスは『ソナーレ』を呼び出す。
「ええい、もう構いません。全力で! ええ、全力です! やっちゃえゆうしゃ!」
「そんな何処かの自動車メーカーみたいに応援されましても分が悪いですよ?」
 ていうか、絶対無理、とルクスは思っただろう。
 あの『ブリュンヒルド』はシリアスの素の素が凝縮されたような感じ。
 すくなくともルクスにはそう思えたのだ。
 なのに、これをどうにかしろっていうのは、アレルギー反応を抑えろっていうのと同じくらい無理なことであった。

「後はお任せしますね、ステラさん! フラワー・オブ・スコットランド!」
 バグパイプをルクスは一気に吹き鳴らす。
 放たれる音響衝撃波は、『ソナーレ』を介在して増幅され、その音響を戦場に吹き鳴らす。
 如何に速度に優れるオブリビオンマシンと言えど、音響衝撃波から逃れられない。そして、酸欠によって敵を行動不能状態にするのならば。
「今です、ステラさん!」
「おまかせを! 悪魔が来りて。ただで済むとお思いですか! ル・ディアーブル・ヴィアン!」
 荒ぶ風と共に『フォルティス・フォルトゥーナ』が、その全武装を解き放つ。
 フェザーマシンガン、クリスタル・スパロウビットなどの武装が一気に放たれ、行動を不能状態に陥った『ブリュンヒルド』をまさしく爆撃する、という言葉がしっくり来る面制圧射撃によって打ち据え、その機体を足止めするのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ソフィア・エルネイジェ
●聖竜騎士団
白騎士…!
ベヘモスコーストを襲撃した機体と同一なのか定かではありませんが、同型のキャバリアという時点で大きな脅威である事は確実です
ここで止めなければ!

エレインと水之江女史の面制圧により敵機が鈍りを見せた瞬間に仕掛けます
ナイトランスとラウンドシールドを正面に構え突撃
完全に動きが封じられる相手とは思えません
どういった形であれど槍の反撃を受けるでしょう
槍を盾で受ける直前にサブアームを排除しブースターを噴射
僅かに横へ滑る事で機体への直撃を回避
生じるであろう凄まじい衝撃を耐衝撃装甲で軽減し、敵機の元に食らい付きます
そして憤怒の剛力で持ち上げ、大地に叩き付ける事で打ち砕きましょう


桐嶋・水之江
●聖竜騎士団
あら、久しぶりに見るキャバリアね
ベヘモスコースト以来かしら?
こんな所で再会するとはね

物騒な槍持ってるわね
わざわざ相手に有利な距離で戦う理由はないわ
面制圧で機動力を潰して接近させないようにしましょう
攻撃こそ最大の防御ってね

メガビームキャノンを拡散モードで左右交互に連射
直撃弾を狙うんじゃなくてバラ撒くイメージでね
更に金色のご令嬢が弾幕を張ったタイミングで水之江の氷柱を撃つわよ
大量の誘導弾で回避機動を強制させつつ面制圧効果を高めるのと同時に、氷漬けにして動きを封じるわ
完全に凍結させられなくても、纏わり付いた氷の重さは足枷になるわ
そうすればソフィア皇女もアタックし易くなるというわけよ


エレイン・アイディール
●聖竜騎士団
んな!?あの機体!
ごきげんよう
ベヘモスコースト以来かしら?
それとも瓜二つの赤の他人?
どちらでも構わないわ!
今度は逃さないわよ!

火砲弾雨で足を止めるわ!
ビームキャノン、ガトリングキャノン、ミサイルを全門同時発射よ!
あちらの美しい黄金の機体と合わせて面制圧するわ!
直線軌道の弾丸の中に紛れる誘導弾はとっても避け難くていやらしいんだから!

相手の得物は確かに強力ね
だからこそ数の有利を活かして火力で圧倒して接近させないのよ
動きを完全に止められなくても鈍らせることさえ出来れば氷柱の命中率が高まるはずよ
氷漬けにしてしまえばこちらのものだわ!
ソフィア殿下の手痛い一撃を貰っておきなさい!



 突如として現れた白いオブリビオンマシン『ブリュンヒルド』。
 その姿を見たソフィア・エルネイジェ(聖竜皇女・f40112)と桐嶋・水之江(機巧の魔女・f15226)、エレイン・アイディール(黄金令嬢・f42458)の反応は三者三様であった。
「『白騎士』……!」
『エルネイジェ王国』の『ベヒモスコースト』に襲撃した機体。
 それがコードネーム『白騎士』である。
 度々事件の出現した白い『インドラ・ナイトオブリージェ』、その機体とソフィアは同一であるのかを、まず訝しんだ。
 撃破した機体もある。
 同時に撃破したと見せかけて人型へと変じたという報告もあった。
 その機体と同型である、というのならば、それが強大なる脅威であるとソフィアは即座に判断した。
「ここで止めなければ!」
 その判断にエレインもまた同意見であった。

 まったく同じ機体である、との確信はない。
 彼女自身相対したことがあるが、身に注ぐ重圧は同じものであるように思えた。が、彼女にとっては関係ない。
 どんな敵だろうと己に敵対するというのなら、己の国に楯突くというのならば、今度は逃さない。
「ごきげんよう。『ベヒモスコースト』以来かしら? それとも瓜二つの赤の他人?」
「……」
 オブリビオンマシン『ブリュンヒルド』は答えない。
 黙して語らず。
 その損壊を補って余る獣脚のアンダーフレームでもって大地を駆け抜け、戦場を切り裂くようにして大型突撃槍を構えているのだ。

 確かに消耗している。
 右肩部のブースターは破損しているし、全身の装甲は傷だらけだ。
 なのに、獣脚のアンダーフレームの機動性。
 これが明らかにおかしい。
「まさか……!」
「ふーん、久しぶりに見るキャバリアね。こんな所で再会するとは。でも、物騒な槍もそうだけど……」
 水之江は『ブリュンヒルド』を見やり、理解する。
 確かにあの大型突撃槍は厄介だ。
 汎ゆる防護を無視する力を有している。だが、誠に脅威なのは、あの獣脚のアンダーフレームだ。
 あのアンダーフレームがブースターを失って尚、ありあまり機動性を確保している。
『インドラ・ナイトオブリージェ』のコピーなのか。

 ソフィアの駆る『インドラ』と同等の機動性を持つのは間違いない。
「水之江女史! エレイン!」
「ええ、お任せってね!」
「火砲弾雨(バーストストーム)で足を止めます! それそれそれそれぇ!」
『ゴールドブリンガー』の武装が一斉に放たれる。
 ビームキャノン、ガトリングキャノン、ミサイル。 
 装備された武装のすべてを持って全門同時発射を敢行する。それは炎の嵐そのものであった。
「やる気満々ねぇ……でもまあ、同意だわ。あんなおっかない武装の間合で戦う理由なんてないもの。面制圧で機動力を潰す、これに限るわね。攻撃こそ最大の防御ってね」
 水之江の『カナリア』と共に黄金の双璧が『ブリュンヒルド』へと迫る。
 放たれる砲火。
 そのメガビームキャノンの拡散モードによる斉射は、直撃を狙うのではなく、面でもって圧する射撃。
 これによって『ブリュンヒルド』の機動性を殺すのだ。

「それでも躱してるって、何よ、あのアンダーフレーム……ソフィア皇女もあれくらいできるってこと?」
 砲火の中を走り抜ける『ブリュンヒルド』。
 ありえないほどの機動性。
 まるで見えているのかというように、疾駆する姿は、確かに『閃光』のようであった。
「相手の得物は確かに強力……ミサイルを熾火で誘爆させて!」
 爆風に紛れるようにして『ブリュンヒルド』の姿が消える。
 接近させぬ、という目論見は達成できた。
 だが、それを逆手に取って『ブリュンヒルド』は爆風の中をひた走り、姿をくらませたのだ。
「逃げた?」
「まさか、来るに決まってるでしょ、ご令嬢!」
 水之江の瞳がユーベルコードに輝く。

 爆風の中を矢のように飛ぶ『ブリュンヒルド』が二騎の黄金のキャバリアへと迫る。
「でも、コースは限定できたってことは! 見せてあげましょう、私の氷柱を」
 水之江の氷柱(ミズノエアイシクル)が放たれ、直線的な動きになった『ブリュンヒルド』を襲う。
 氷結効果で『ブリュンヒルド』の機体が止まる。
 蓄積した関節部へのダメージ故に氷結を砕くことができないのだ。
「完全凍結は無理!」
「ソフィア殿下、どうか、その一撃で!」
 エレインの言葉にソフィアは頷く。
 ないトランスとラウンドシールドを携えた『インドラ』のアイセンサーが煌めく。
 正面突破。
 水之江とエレインによって動きを止められた『ブリュンヒルド』はきしみながら、凍結を脱しようと動いている。

「わかっていました」
 ソフィアは理解していたのだ。
 どういう形であれど、あの『ブリュンヒルド』の動きを完全には止められないと。
 だからこそソフィアは反撃されると思っていたのだ。
「……」
 感情の乗らぬ攻撃。
 放たれる大型突撃槍がラウンドシールドを捉え、サブアームの内部にまで熾火が吹き荒れる。
 瞬間、ソフィアは盾を捨てる。
 我が身を護る盾を躊躇なく捨てたなのだ。
 サブアームごと切除したラウンドが熾火によって溶解する。ソフィアは、さらに踏み込む。
 ブースターの噴射。
 僅かに横に滑ることで、横薙ぎに振るわれた大型突撃槍の一撃を躱す。
 だが、それはパイロットであるソフィアの体躯に凄まじい衝撃を与えるものであった。身を打ち据える痛み。
 骨身にまでしみるような衝撃。
 これが『憂国学徒兵』。
『インドラ』が咆哮する。

 それは、過去の対峙を想起させるものであったし、同時に此度も退けるという意志を感じさせるものであった。
「耐衝撃装甲でも殺しきれぬ一撃……見事です。ですが!」
 ソフィアの瞳がユーベルコードに輝き、その憤怒の剛力(ラースオブザパワー)を発露する。
 食らいつくようにして『ブリュンヒルド』の右腕に『インドラ』の顎部が噛みつき、ねじるようにして持ち上げ投げ放つ。
 右腕を引きちぎられながら『ブリュンヒルド』が吹き飛び、『インドラ』が咆哮する。
 それは過去の再来であると言うように、勝利を示したのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アルカ・スィエラ
……邪魔者を排除しに来た?それとも、最初からこっちが本命?

それにしても……大型突撃槍装備って事は恐らくは突破型。
大型で重装甲、パワーはあっても鈍重なアルカレクスは相性が悪い…
でも、結局やる事は変わらない
生憎、こっちは戦闘にも政治にも才の無い、半機械人形の小娘でしかない。手持ちの札はこの身と命だけ。だから……それを使うだけよ!

相手の攻撃への防御は考えない、斬りつけるというならこの体を使ってでも止めてやる
そのまま展開する4基のドラグカプト、動かせる方の腕を変化させたドリル、
そして……UCによってエネルギーを「物質化」させた「プロトミレス」で背後を取り、動かせる全兵装での集中攻撃を叩き込むわ!



 右腕を引きちぎられながらも、大型突撃槍を左腕に持ち替えたオブリビオンマシン『ブリュンヒルド』が戦場を疾駆する。
 右肩部ブースターは欠損しているというのに、それでもなおアンダーフレームの獣脚によって機動性が確保されているのを示すように凄まじい速度で体勢を整えて迫る猟兵を迎え撃つ。
「……邪魔者を排除しに来た? それとも、最初からこっちが本命?」
 機龍と融合合身した『アルカレクス・ドラグソリス』を駆るアルカ・スィエラ(鋼竜の戦姫・f29964)は、突如として戦場に現れたオブリビオンマシンの姿に訝しむ。
 敵は強大である。
 これまで数多の猟兵たちが攻勢を仕掛けて消耗させているのに、それでも勢いが衰えない。
 あれが敵の……『武装ボランティア』の切り札である、というのも名付ける。
「敵は、突破型」
 アルカは冷静に戦況を見定める。
 敵の動き。
 速度と大型突撃槍を用いた一点突破型であると思っていたが、これまでの戦い方を見て理解した。
 あれは理屈なんて不要の技量である。
 速さだけを追求し、その他は後から付いてくるとでも言わんばかりの戦い方。
 敵に先んじて準備などさせない一気呵成たる一撃でもって仕留める戦い方こそが『ブリュンヒルド』の本質なのだろう。
 はっきり言って、大型で重装甲である『アルカレクス・ドラグソリス』とは相性が悪い。最悪と言っても良い。
「でも、結局やることは変わらない」

 アルカは覚悟を決める。
 できたのはそれだけだった。
 己には戦闘にも政治にも才能がない。半機械人形の小娘でしかない、とあるかは自嘲する。
 だが、己には手札がある。
 己が身と生命。
 それしか使えぬというのならば。
「使うだけよ!」
 迫る突進。
『ブリュンヒルド』の大型突撃槍』が凄まじい勢いでもって『アルカレクス・ドラグソリス』の装甲を貫く。
 防御など考えていないのだから当然だ。
 融合合身した機体の装甲が位置文字に切り裂かれる。
 防御を捨てたからこそ、その一撃は機体を分断させなかった。

 装甲を切り裂き、フレームの深部にまで到達する傷。
 だが、見るがいい。
『アルカレクス・ドラグソリス』は金属細胞の装甲を持つ存在。
 細胞は代謝する。
 即ち。
 切り付けられる側から、金属細胞が再生し、大型突撃槍を挟み込むようにして装甲に抑えつけたのだ。
「この体も私の札の一つ。なら!『ドラグカプト』!!」
 アルカが叫ぶと同時に四基の『ドラグカプト』が飛び、食らいつく。だが、それを『ブリュンヒルド』は大型突撃槍を手鼻ぬままに曲芸じみた動きで躱す。
 まさしく曲芸。
『アルカレクス・ドラグソリス』の機体すらも利用して壁のように蹴って一撃を躱したのだ。
「まだ!」
 放たれる腕部のドリルの一撃。それが『ブリュンヒルド』の頭部をかすめ、そのブレードアンテナを弾き飛ばす。
 浅い。

「出力全開……! “エネルギー物質化(マテリアライズ)”……!! 分身(マテリアライズ・ミラージュ)!!」
 アルカのユーベルコードが煌き、物質化させた『プロトミレス』たちが一斉に『ブリュンヒルド』へと組み付き、その武装の全てを解き放つ、爆風でもって吹き飛ばすのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

テラ・ウィンディア
……シックス…どうして…
「…あの方が消えた以上…躯の海から戻る可能性もあるかもしれませんね…」

……白騎士…あの時の借りを返させて貰うぞ!

【属性攻撃】
炎を機体に付与
【戦闘知識】
過去の経験と今の敵の動きと攻撃の性質を把握
【見切り・第六感・残像・空中機動・オーラ防御】
オーラをごく薄く展開して敵の攻撃の動きを見切る
防御には使わない…必要なのは察知
直感と理性を生かしながら飛び回り残像を残して

UC発動
【重量攻撃・貫通攻撃・弾幕・遊撃】
ガンドライド
ドリルビット展開
重力弾とドリル攻撃の弾幕を展開して敵の回避の方向性を見切り
【二回攻撃・切断・串刺し・早業】
連続斬撃から槍に切り替え串刺しに
最後はブラックホール弾!



 凄まじい爆発がオブリビオンマシン『ブリュンヒルド』を襲う。
 猟兵のユーベルコードが炸裂した瞬間であった。
 だが、爆発の中から飛び出す『ブリュンヒルド』。未だ健在であることを誇示するように戦場を疾駆する速度は衰えず。
 しかし、右腕をうしない、肩部ブースターも損壊している。
 刻まれた装甲があちこちで脱落し始めている。
 それをむしろ、好都合というように引き剥がしながらフレームをむき出しにして『ブリュンヒルド』は疾駆していた。
「……『白騎士』……あの時の借りを返させて貰うぞ!」
 テラ・ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499)は『ヘカティア』と共に戦場へと飛び込む。
 相対する敵は二度目の邂逅である。

 白いオブリビオンマシン。
 己達が三機がかりでも逃してしまった程の速度を持つ機体。
 けれど、度重なる猟兵達の攻勢によって消耗していることは確かなのだ。駆動系へのダメージは免れぬし、そうして重ねた傷が今や敵を追い込んでいる。
 恐るべき敵であるが、猟兵たちはこうして戦いを積み重ねてオブリビオンに勝利を果たしてきたのだ。
「いくぞ、『ヘカティア』!」
 機体に炎が付与され、燃え盛るオーラと共に踏み込む。
『ブリュンヒルド』もまた踏み込んできている。
 当然だろう。
 速さを信条とし、誇るのならば、踏み込まぬ理由などない。
 だからこそ、テラは己が機体に炎のオーラを纏わせた。
 あの大型突撃槍はあらゆる防護を無意味にする。

 ならば、機体にまとった炎のオーラなど意に介さないだろう。だが、テラは、そのオーラを敵の切っ先が触れる前触れにしたのだ。
 速すぎるのが敵の長所だ。
 ならば、その切っ先が触れる瞬間を炎のオーラでもって察知しようというのだ。
「防御はしない! 必要なのは、唯一つ!」
 そう、察知。
 敵の機先をいち早く感じ取るということ。
 ただそれだけのためにテラは防御を捨てる。恐ろしさはある。けれど、己の心には直感と理性があるのだ。

 振れた炎のオーラが切り裂かれる。
 それは刹那にも満たぬ瞬間であったことだろう。
「今だ! リミッター解除…グラビティリアクターフルドライブ…!ブラックホールキャノン…起動…!」
 ユーベルコードに輝くアイセンサー。
 だが、それは遅きに失する。
 大型突撃槍の一撃が『ヘカティア』の胴部を貫いていた……いや、違う。展開されたドリルビットが盾となるようにして大型突撃槍の一撃を防いでいたのだ。
「……」
 それでも大型突撃槍は止まらない。
 稼げたのは僅か為る時間。

 けれど、テラにはそれで十分だった。
「冥界の炎『ギガスブレイカー』(キョジンヲウチヤブルモノ)! とっておきだ! たっぷり味わえー!」
 超連続攻撃の尽くは大型突撃槍を防ぐのに使った。
 残されたのはマイクロブラックホール砲の一撃。
 放たれた一撃が『ブリュンヒルド』のシールドに振れ、爆散する。
 この戦いで初めて肩部に配されたシールドを使わせた瞬間であった。爆散したシールドと共に『ブリュンヒルド』が疾駆する。

「外した……! けど!」
 テラは次につなげた、と理解する。
 確実に追い詰めているのだ。以前とは違う。確実に、だ。逃さない、と思うのと同時にテラは、借りを返したと己が機体がよく耐えたことを喜びと共に讃えるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

皇・絶華
「あの白騎士の野郎ですよ主様!」
私達を前に対応しきり逃げ切った白騎士
お前は凄い
だから…全霊を尽くすぞさっちゃん

【戦闘知識】
敵の動きと攻撃の癖と過去の経験も含めて分析

…さっちゃん
改めて言うまでもないが…
全力を尽くすぞ
あれは恐ろしい
うん…十二創神とは違う恐ろしさがある

UC発動
【空中機動・念動力・乱れ打ち】
超高速で飛び回りながらも念動光弾の弾幕展開
更に次元転移も利用して不規則に

…だが

うん…読まれるのは判っていた…だからこそ、だが
【二回攻撃・切断】
鎌剣による連続斬撃を…次元転移を繰り返しながら連続で
その空間毎…回避した場所も読んでの連続斬撃

私もそれなりに戦いの経験はあるんだ
可能なら中の人物を捕縛



「あの『白騎士』の野郎ですよ主様!」
『サートゥルヌス』の言葉に皇・絶華(影月・f40792)は頷く。
 己達三騎を相手取って、逃げおおせた機体。
 それが『白騎士』と呼ばれたオブリビオンマシン『ブリュンヒルド』であった。
 間違いなくあの個体であると断定できる。
 それを絶華もまた理解していた。
「お前は凄い」
 称賛に値する。
 今も数多の猟兵達の攻勢を受けて、それでもなお健在である。
 右腕と右肩部のブースターを欠損し、全身に傷跡を刻まれ、大型突撃槍にもヒビが走り始めている。
 シールドも今まさにユーベルコードの一撃で爆散している。

 それでもなお、大地を疾駆する姿は、まさしく『閃光』であったのだから。
「だから……全霊を尽くすぞ、さっちゃん」
 改めて言うまでもないが、と絶華は告げる。
「あったりまえですよ、主様!」
「ああ、あれは恐ろしい。うん……十二創神とは違う恐ろしさがある。人の強さ、人の業とでも言うべきかな。なんとも言い難い。だからこそ、さっちゃん!」
『サートゥルヌス』のアイセンサーがユーベルコードに輝く。
 力を見せるときだ、と。
「承知いたしました! 時空を統べる俺……亜空間戦術級制圧機構『巨神の王』(キョジンゾクノオウ)の力をなぁ!!」
 咆哮と共に『サートゥルヌス』が飛ぶ。
 それは次元転移。
 飛翔ではなく、空間を跳躍して『ブリュンヒルド』へと肉薄するのだ。

 念動光弾の弾幕。
 されど、それは尽くが大型突撃槍に叩き落されるか、躱されてしまう。
 これだけの物量、消耗を経て尚、動きが鈍らない。
 恐るべき敵、と絶華が称したことも理解できる。
「……読まれているな」
「こっちの動きがですか!」
 次元転移は予測などできはないずだ。
 なのに何故。
「単純なことだ。こちらが次元転移に入るより疾く、あれは回避行動を取っているのだろう。如何なる初速よりも疾く。単純なことだが、それ故に」
 迫る『ブリュンヒルド』の大型突撃槍が次元転移直後の『サートゥルヌス』へと迫る。
 放たれる一撃。
 亜空切断が間に合わない程の初速でもって『ブリュンヒルド』が『サートゥルヌス』の装甲を切り裂く。
 鎌剣による打ち合いですら、押し負ける。

「私もそれなりに戦いの経験はあるんだ」
 だが、押し負けることすら予想の内。
 次元転移の後を狙うというのならば、その先を狙う。打ち込まれる大型突撃槍の切っ先をかすめながら踏み込んだ『サートゥルヌス』が鎌剣を振るい、その頭部を狙う。
 へし折れた頭部ブレードと火花を散らした。
 その一撃で鎌剣は砕け、しかし、頭部ブレードアンテナは完全に損壊する。

「そう何度もやられてたまるかってんだよぉ!」
 頭部の装甲が剥がれ、内部フレームがむき出しになりながらも迫る『ブリュンヒルド』へと『サートゥルヌス』は拳を叩き込み、吹き飛ばした――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月夜・玲
ふーん、エッジじゃん
…違うか
いや言ってみたかっただけなんだけどさ
けど、見ない機体だね
乗ってるのも新顔さんかな?
それとも、もしかして知ってる人かな
ま、どっちにしても倒さなきゃね
覗きをしている、イイ趣味の奴もいるみたいだし

さてと、出し惜しみは無しといこうか
光、此処に有らずとも
願い、此処に有らずとも
祈り、此処に有らずとも
怒り、此処に有らずとも
超克の意思!此処に有り!
オーバーロード
外装展開、模造神器全抜刀!
さあ、やろうか白騎士とやら
最も護るべきを持たないただの暴力装置を、騎士なんて呼んでやらないけどね
【剣技・蒼嵐剣】起動
4剣同時に斬撃と竜巻を飛ばして攻撃
一応コックピットは狙わずにおこう
狙った所で避けてくれるとは思うんだけど、まあ念の為念の為

放ったあとは更に『2回攻撃』、周囲に竜巻を飛ばして置いて足場にしよう

竜巻を足場に戦場を飛び回り、敵の突撃槍を躱していこう
『斬撃波』もチクチクと混ぜて嫌がらせ
|突撃槍《ランス》主体の戦法は嫌いじゃないんだけどね
真っ当に結び合うほど、真面目じゃないんでね!



 白いオブリビオンマシン『ブリュンヒルド』の装甲が剥離していく。
 頭部のブレードアンテナは欠損し、その甲冑の騎士めいた駆体は、見る影もなくなっていた。
 右腕部と肩部のブースターの欠損。
 そして、シールドもまた失っている。手にした大型突撃槍はヒビが走っている上に、各部の関節部にダメージが蓄積しているのだ。
 それでもなお、戦場を疾駆するのはアンダーフレームの獣脚があるがゆえであった。
 速度は失われても、機動性は損なわれていない。
 振るう一撃の鋭さは、未だ脅威だった。
「ふーん、エッジじゃん」
 このオブリビオンマシン、何か変。
 いや、違う、ちょっと違うということを言いたかっただけなのだ。
「言ってみたかっただけだけどさ。けど見ない機体だね?」
 もしかして、と月夜・玲(頂の探究者・f01605)は『ブリュンヒルド』の登場者が新顔なのかと思ったのだ。

 けれど、切り裂かれた胸部……コクピットハッチの奥に『人影』は見えなかった。
 人が乗っていないのかな、と思ったが、それはない、と断じる。
 なぜなら、動きが無人機の動きではないからだ。
 確実に有人機独特のゆらぎがある。
「もしかして乗ってるのは知ってる人かな。ま、どっちにしても倒さなきゃね」
 玲は振り返る。
 己が視線の先にいるのは『ノイン』であろう。
 この戦場を遠く離れた場所から見ている者がいると彼女は感じ取っていたのだ。
「除きをしている、イイ趣味のやつもいるみたいだし。それに、時間もない。なら、出し惜しみしている理由なんてないよね!」

 玲の瞳が超克に輝く。
「光、此処に有らずとも」
 展開されるは外装。
 それは巨大なる腕であった。鋼鉄の腕。
「願い、此処に有らずとも」
 震えるようにして光が発露する。蒼き光は、その収められた四振りの模造神器が励起するが故。
「祈り、此処に有らずとも」
 玲の手が柄に掛けられる。握りしめ、その励起した力の発露を受け取るようにして、その刮目されし瞳が敵を見据える。
「怒り、此処に有らずとも。超克の意志! 此処に有り!」
 抜刀される四振りの模造神器。

「全抜刀! さあ、やろうか『白騎士』とやら!」
「……」
 答えはない。
 黙して語らず。されど、戦いの火蓋はすでに斬って落とされている。
 踏み込みの速度は玲を超えていた。
 音速を超える『閃光』のような踏み込み。それがあの獣脚のアンダーフレームに支えられているものであるというのならば、『ブリュンヒルド』のパイロットの技量は凄まじいものであった。
 損壊、損傷などまるで意に介さない動き。
 振り下ろされる大型突撃槍の一撃。
 それを玲は見据え、超克に至りし瞳が捉えた。
「尤も、護るべきを持たないただの暴力装置を、騎士なんて呼んでやらないよ!」
 吹き荒れるは蒼き竜巻。
 四振りの模造神機がふるった斬撃が風の刃となって吹き荒れ、竜巻のように大型突撃槍を受け止めたのだ。

 それは彼女を護るものであったが、しかし、大型突撃槍の一撃の前には無意味であった。
 切り裂かれた竜巻の先。
 玲を切り裂かんと迫る刃は、しかし彼女を捉えられなかった。
「……」
「|突撃槍《ランス》主体の戦法は嫌いじゃないんだけどね。でも、真っ当に結び合うほど、真面目じゃないんでね!」
 彼女の体は切り裂かれた蒼き竜巻を足場にして、高く舞い上がっていた。
 僅かな攻防。
 されど、明暗を分けたのは玲が攻撃を足場にするという閃きであった。
 剣技・蒼嵐剣(プログラム・ストームソード)は、その大系にありて基本。
 故に基本は彼女の足場を作り上げ、その礎となる。

 振るう斬撃が『ブリュンヒルド』の装甲を削るようにして放たれ、白き騎士としての甲冑を削ぎ落としていく。
 それでも急所たるコクピットへの直撃はない。
「その槍は砕かせてもらう!」
 振るう四振りの斬撃が蒼い残光となって迸り、遂に『ブリュンヒルド』の大型突撃槍の穂先を砕くのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

薄翅・静漓
どれだけ傷ついても勇猛果敢に立ち向かう
その強さを私は知っている
だって、ずっと応援してきたんだもの
次は、私と『熾煌』が相手よ……『閃光』のエース

勝負は一瞬よ『熾煌』
私達の『幸運』に賭けましょう
加速に耐えられるよう装甲を強化し備えるわ
誰よりも速く鋭いあの子の攻撃をくぐり抜け
『熾煌』の一撃を与える為に

あなたは私を知らない、けれど私は知っている
何度も一緒に模擬戦をしたもの
相手の動きを見切るより疾く、体が反応するでしょう
その攻撃が届くよりも、もっと疾く

置いてけぼりにされないように
追いついて隣に立てるようになりたかった
捨て身で向かうあなたを守れるぐらい疾くなりたかった
ねえ、あなたは今、笑えているの――『アイン』



 白い騎士の如きオブリビオンマシン『ブリュンヒルド』は、出現した時とはにても似つかぬ姿へと変わり果てていた。
 甲冑の如き装甲は傷つき、脱落している。
 頭部のブレードアンテナはねじ切られ、その兜の如き装甲の奥に骨格の如きフレームがむき出しになっている。
 右腕はもぎ取られ、肩部のブースターもひしゃげている。
 シールドもまた同じだ。
 手にした大型突撃槍もまた穂先が砕けている。僅かに残る刀身が穂先だというのならば、未だ戦闘能力を有している証明でもあった。
 だが、満身創痍。
 その姿に敵ながら、薄翅・静漓(水月の巫女・f40688)は既視感を覚えた。

「どれだけ」
 万感の思いを込めるとは言えなかった。
 けれど、それでも感じるところがあった。
「どれだけ傷ついても勇猛果敢に立ち向かう。その強さを私は知っている」
 他の世界。
 あの少女の名前を思い出す。
 知っている。どんなに傷ついたって、どんなに窮地に陥ったって、それでも笑っていたあの子の顔を知っている。
 だから、静漓は思う。

「だって、ずっと応援してきたんだもの。最後は、私と『熾煌』が相手よ……『閃光』の 『エース』」
 彼女が『フルーⅦ』より借り受けたのは、嘗ての『憂国学徒兵』の一人『幸運』の『ズィーベン・ソグン』の機体『熾煌』であった。
 百年前の機体である。
 型落ちどころではない。だが、それでもこの機体が最後に残されていたのは意味があるのだろうと静漓は思ったのだ。
『ブリュンヒルド』の動きは確かに彼女の知る少女のものであるように思えた。
 あまりにも酷似していたのだ。
 だからこそ、彼女は勝負が一瞬だと理解する。

 実力は言うまでもない。
 なら、最後に賭けるべきは唯一つ。
「私達の『幸運』に賭けましょう、『熾煌』」
「……」
 対する『ブリュンヒルド』のパイロットは答えない。
 戦場に風が吹いていた。
 勝負は一瞬。『熾煌』のアイセンサーがユーベルコードに輝く。
 増強された装甲。
 それは敵の一撃を防ぐためのではなかった。
 加速に耐えられるように施されたものでしかなかったのだ。
 静漓は知っている。
 誰よりも疾く鋭い彼女の攻撃。それをくぐり抜けるためには、さらなる速度を得なければならない。

「あなたは私を知らない、けれど私は知っている」
 何度も。
 初めて逢った時も。
 重ねた時間が今己の胸の中にある。
 共に戦うこともあった。見守ることもあった。だからこそ、静漓は思う。誰よりも自分はあの少女の動きを見ていた。
 見切るなんてできない。
 けれど、体が動いている。実際に体を動かしてきたのだからわかっている。
 重ねた時間が、此処にある。
 過去を踏みつけて時は加速すると言うけれど、それが事実だとしても、過去からの連なりが今此処に静漓を進ませたのだ。

 迫る砕けた刀身の穂先が『熾煌』の繰り出した拳と激突し、砕く。
 裂かれるようにして腕部の装甲がひしゃげ、砕けていく。
 もっと、疾く。
 呟いていた。
「置いてけぼりにされないように。追いついて隣に立てるようになりたかった」
 静漓は知らず呟いていた。
 己の胸にある願望めいたもの。
 それを口に出す事は今までなかったかもしれない。けれど、今だからこそ言うのだ。
 いつだって誰よりも疾く駆け出していく彼女。
 捨て身で立ち向かう彼女を護れるくらいに疾くなりたかったのだ。それがこのユーベルコードの結実。
「私は、あなたの隣にいたいの」
 ねえ、と問いかける。

 静漓は微笑んだかもしれない。
 振り抜かれた拳、その鋭いフレームの一撃が『ブリュンヒルド』のコクピットを貫く。
 静漓にはわかっていた。
 そこに彼女は居ない。ましてや、彼女の前身もまた居ない。
 あるのは。
「ねえ、あなたは今、笑えているの――『アイン』。その残穢を、誰かが用いるのなら、私は」
『熾煌』の砕けたフレームの一撃がコクピットを貫き、その内にあったものをさらけ出す。

 それは巨大な脳だった。
『疑似脳』とでも呼ぶべきもの。
 人ではない。けれど、人であるもの。
 それが『ブリュンヒルド』のコクピットを埋めるように搭載されていたのだ。
 残された『ブリュンヒルド』の左腕が『熾煌』へと打ち出される……いや、押しのけるようにして引き剥がした瞬間、その機体が爆散する。
 そのさまを静漓は見やり、その瞳に如何なる感情の色を宿しただろうか――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 集団戦 『ヴェロキラ』

POW   :    ヴェロキラアサルト
【友軍と連携して接近し、顎内部のリューター】で装甲を破り、【尻尾の打撃】でダウンさせ、【マシンガンとミサイルで追撃し、格闘攻撃】でとどめを刺す連続攻撃を行う。
SPD   :    ヴェロキラハンティング
【友軍と協力して敵を包囲する。】【格闘】【マシンガンとミサイル】で攻撃し、ひとつでもダメージを与えれば再攻撃できる(何度でも可/対象変更も可)。
WIZ   :    ヴェロキラバレッジ
【友軍と隊列を構築し、マシンガンとミサイル】を最大レベル秒間連射し続け、攻撃範囲にダメージと制圧効果(脱出・侵入を困難にする)を与える。

イラスト:柿坂八鹿

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 白いオブリビオンマシン『ブリュンヒルド』のコクピットにあったのは、人ではないモノであった。
 いや、人である、というのならば人であったのだろう。
 そこに在ったのは巨大な脳。
『疑似脳』とでも言うべきものであった。
 それによって『ブリュンヒルド』は動いていた。
 しかし、猟兵の一撃によってか、もしくは、これまで受けてきた攻勢に遂に耐えられずに爆発したのかは知れぬが、その機体は爆散したのだ。
 爆煙が天に立ち上るのを『ノイン』は遠望を切り替え頭を振る。
「……『ブリュンヒルド』ですら、退けますか、猟兵。ですが、彼らもまた消耗している」
 ならば、今が好機。
 彼女は手を上げる。
 瞬間、彼女の背後に備えていた無数のオブリビオンマシンたちが、そのアイセンサーを輝かせる。
 オブリビオンマシン『ヴェロキラ』。
 その恐竜の如き体躯を持つオブリビオンマシンが一気に駆け出す。

『武装ボランティア』として供与したオブリビオンマシンが全滅させられたとしても『フルーⅦ』は癒えがたき傷は残せた。
 そして、『ブリュンヒルド』によって猟兵たちは疲弊している。
 ならばこそ、『ノイン』は此処で猟兵たちを始末するつもりなのだ。
 如何に猟兵と言えど、これだけの物量で押せば他を護る余裕などないだろう。
『フルーⅦ』の人々を守れなかったのならば、それでよし。護ろうとしてさらなる疲弊を招くなのならば、それもまたよい。
「どちらにせよ、これは一時の敗北に過ぎません。次なる手を打てる。それが今の私の勝利なのですから」
 そのつぶやきは戦塵にかき消え、猟兵たちは更に迫りくるオブリビオンマシン『ヴェロキラ』の大群を前に、疲弊した体を推して挑まねばならないのだ――。
ウィル・グラマン
●POW

なんとか倒せたみてぇだけど…あの正体がアレじゃやるせねぇぜ…
それにベアも満身創痍な状態でこの増援とあっちゃ…へへ、面白くなってきたじゃねぇか
ノインとの試合に勝って勝負に負けちまったけどよ…次も俺達が勝ってみせるだけだ!

ベア、まだ行けるか?
行けるならコイツらをぶちのめしてやろうぜ!
確かにベアは深手を負ってしまった
相手も万全な状態でないベアに勝てると連携して追い詰めるだろうさ
けどよ!
フルーⅦの皆に見せたスーパーロボット映像は、絶体絶命でも『諦めなければ』勝機があるって示すためのものだ!
へっ、てめぇらなんざベアの片腕で十分だ!
気合いと根性で『眠れる力を呼び起こせ!』
お前の底力を見せろ、ベア!



 爆散する白いオブリビオンマシン『ブリュンヒルド』は、掛け値なしの強敵であった。
 猟兵達もまた勝利を収めれど、無事であるとは言い難い状況である。
 漆黒のスーパーロボット『ベアキャット』もまたそのうちの一体である。
「なんとか倒せたみてぇだな……」
 だが、あのコクピットの中にあったパイロットの正体。
 あの『疑似脳』とでも言うべきもの。
 あれが自分たちを苦しめた正体であるというのならば、やるせないの一言であった。
『ベアキャット』もまた深く傷ついている。
 片腕を損壊しているため、傷口からは火花が散っている。
 だが、共に戦った猟兵たちがいればこその勝利。
 積み重ねた攻勢が実を結び、やっとこさ息がつけるとウィル・グラマン(電脳モンスターテイマー・f30811)は思っていた。

 更に迫る戦塵。
 その先にあったのはオブリビオンマシン『ヴェロキラ』の大群であった。
 三段構え。
 敵は、猟兵を確実に潰すために尋常ならざる戦力を注ぎ込んできたのだ。
 大地を震撼させるほどの勢いで『ヴェロキラ』は獣脚でもって踏みしめ、疾駆する。
「……へへ、面白くなってきたじゃねぇか」
 ウィルの言葉は強がりであったことだろう。
 はっきり言って、この戦いは分が悪い。旗色が悪いと言ってもいいだろう。
 こちらは消耗し、疲弊している。
 けれど、己達の背にある『フルーⅦ』を蹂躙させるわけにはいかないのだ。
「ベア、まだ行けるか?」
『ガ……――ガォン!』
 きしみながらも立ち上がる『ベアキャット』の勇姿にウィルは勇気づけられる。

 そうだ。
 どれだけ痛手を負っても、それでも立ち上がるからこそスーパーロボットなのだ。
「――」
 迫る『ヴェロキラ』たちは数でもって連携してくる。
 それは脅威だ。顎内部のリューターがけたたましい音を立てて『ベアキャット』に食らいつき、その装甲を削り取らんとする。
 だが、漆黒の装甲は簡単には削れない。

 何故ならば、どれだけ絶体絶命であっても諦めないことこそが『ベアキャット』の原動力なのだ。
「へっ、てめぇらなんざベアの片腕で十分だ!」
『ガオォン!!』
 咆哮と共に迫るマシンガンやミサイルの一撃を防ぎながら片腕のラリアットで『ヴェロキラ』をなぎ倒す。
 機体の状況は良くない。
 けれど、ウィルにも『ベアキャット』にも最後に残されたのは気合と根性のみ。
 それだけでまだまだ戦えると言わんばかりに『ベアキャット』は組み付く『ヴェロキラ』をなぎ倒しながら大地に叩きつける。

 尻尾を握りしめ、まるでハンマーかなにかのように投げ飛ばし、蹴り飛ばす。
 その勇姿は多くの『フルーⅦ』の人々を奮い立たせるものであったことだろう。決して諦めないこと。
 それが今こそ芽吹く時だ。
 この状況は苦しいものだろう。
 誰だって楽な方が良い。けれど、それでもこの先にそれがあると示すのだ。
「お前の底力を見せろ、ベア!」
 ウィルの言葉に応える咆哮は力強い。
 そこに生命の輝きがある。生きているから破滅への願望が生まれるけれど、それでも人はその破滅願望すらも乗り越える力を持っているのだと示すようにウィルと『ベアキャット』は迫る『ヴェロキラ』の群れの前に立ちふさがるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

村崎・ゆかり
あれの後にまだ控えを温存しておくなんて、余裕かましてくれるじゃない。
今度は確実に叩き潰す。

「全力魔法」衝撃の「属性攻撃」「範囲攻撃」「竜脈使い」「衝撃波」で、敵群の中心を起点に地烈陣!
命中率重視。
あたしの後ろへは、「結界術」で「侵入阻止」よ。『フルーⅦ』にはこれ以上手を触れさせない!

ここで力を使い切る「覚悟」は出来てるわ。
どちらが先に斃れるか、試してみようじゃない。

『鎧装豪腕』顕現。「オーラ防御」をかけて、敵の攻撃から「盾受け」。
これ、足を止めたら狙い撃ちね。「目立たない」ことも考慮しつつ、敵の狙いを惑わすように駆け回る。
タイミングが合えば、更に地烈陣を使っていくわ。

深き地の底へ沈め!



 小国家『フルーⅦ』を襲った脅威。
 無償提供されたオブリビオンマシン『イカルガ』は量産型ながら高性能である。それは安くはないものであったはずだ。
 それをあれだけの数用意し、さらに切り札としてオブリビオンマシン『ブリュンヒルド』さえも繰り出した。
 撃破できたものの、猟兵達の疲弊の色は隠せない。
 明らかに消耗しきっている。
 そこに、さらなるオブリビオンマシンの大群が迫っているのだ。
 戦力の逐次投入は防衛する側にとっては悪夢そのものであろう。
 それをやってのける敵の余力の大きさに村崎・ゆかり(“紫蘭”/黒鴉遣い・f01658)は舌打ちする。
「余裕かましてくれるじゃない」
 ゆかりは戦場に降り立つ。

 迫るオブリビオンマシン『ヴェロキラ』は友軍との連携に優れた機体だ。
 あの動きを見るに無人機なのだろう。
 オブリビオンマシンだけでは戦力になりえない。
 かと言ってパイロットは無尽蔵に生まれるものではない。ならば、無人機にしてしまえば、人的物資は損なうことはないのだ。
「まったく……考えることはなんとも! 今度は確実に叩き潰す!」
 ゆかりの瞳がユーベルコードに輝く。
 あの敵の動きは厄介だ。
 囲われてでもすれば、生身単身たるゆかりはひとたまりもないだろう。
 だが、彼女が此処で退いてしまっては、背後に負う『フルーⅦ』は蹂躙の憂き目に合うことだろう。

 それは絶対にさせてはならないことだ。
「あたしの後ろへは一騎たりとて行かせない! これ以上手を振れ冴えるものですか!」
 消耗しているゆかりであったが、しかし、気合をみなぎらせる。
 もうここで力を使い果たしても覚悟はできている。
 漲る力の迸りと共にゆかりは叫ぶ。
「古の絶陣の一を、我ここに呼び覚まさん。竜脈宿せし大地よ。永劫の微睡みから目覚め、汝を忘れ去った者共に相応の報いを与えよ。疾!」
 戦場に響くは大地の激震。
 大地を砕き、『ヴェロキラ』たちを崩落に巻き込むようにしてゆかりは渾身の力を叩き込む。
 消耗が激しい。
 息が乱れる。
 汗が吹き出し、足腰が震えている。

 けれど、それでもゆかりは構わなかった。
 覚悟はできているのだ。
「深き地の底へ沈め!」
 裂帛の気合と共に地表を砕く。
 ひび割れた大地の裂け目に次々と『ヴェロキラ』たちが落ちていく。
 だが、這い上がろうとしている。
 それを認め、ゆかりは己が掌を叩くように閉じる。
 するとひび割れた大地が合わさるようにして、裂け目に落ち込んだ『ヴェロキラ』たちを圧砕していくのだ。

「はぁっ、っ、はぁっ……! 足は止められない!」
 ゆかりは息を吐き出す。
 自分が生身であることは、体高5m級の戦術兵器が闊歩する戦場にあっては目立たなくてよいことだ。
 けれど、それでも敵は己を狙ってくるだろう。
「いいわ、どちらが先に斃れるか、試してみようじゃない」
 獰猛な笑みを浮かべる。
 これは食うか食われるか。
『武装ボランティア』の背後にある存在が、己達猟兵を喰らわんとしているのならば、ただで終わらせるつもりはない。
 その喉元に倒れ込むまで食らいつくと言わんばかりに、ゆかりはユーベルコードの輝きと共に迫る敵を大地へと飲み込ませ続けるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユーリー・ザルティア
【心境】
「脳をパイロットって…そこまでやるかッ!!」
あの爆発もどうせ、機密保持の自爆でしょうに!!


【行動】
ブリュンヒルド…強敵だった。
結構ダメージがかさんだけど、もう少し頑張ってねレスヴァントMk-2…。

UC:ファイナルブレイカー・モード発動!!
アマテラスで敵機を『索敵』して状況と位置を『情報収集』
よし、マシンガンとミサイルの雨霰を『存在感』ある『残像』を囮に、『見切り』直撃を回避し『オーラ防御』で防御。

アストライアの『制圧射撃』で間合いを維持し、ダークマンティスの『エネルギー充電』を120%まで『限界突破』チャージ
よし、ダークマンティス…『範囲攻撃』で拡散型『レーザー射撃』でまとめて撃つ!!



 爆散した白いオブリビオンマシン『ブリュンヒルド』。
 その最後は凄まじい爆発による爆散であった。
 猟兵の一撃がトドメになったようにも見えたし、また『ブリュンヒルド』が肉薄した猟兵のキャバリアを押しのけたようにも見えた。
 どちらにせよ、あの爆発は全てを消し去るものであったことだろう。
 故に、ユーリー・ザルティア(自称“撃墜女王”(エース)・f29915)は憤る。
「あのコクピットの中……肥大化した脳だった……! 脳をパイロットって……そこまでやるかッ!!」
 あの爆発もどうせ、とユーリーは断じる。
 機密保持。
 猟兵たちは後から残骸を調べられないようにするための方策であることは、恐らく言うまでもないだろう。

 だからこそ、ユーリーは苛立つ。
 あの強敵であった『ブリュンヒルド』に敬意のようなものさえ感じていたのだ。
 己がキャバリア『レスヴァントMk-2』をあそこまで追い込んだ敵。
 左腕を失ってしまっているが、まだ戦わなければならない。
 己たちに、いや、小国家『フルーⅦ』を蹂躙せんとするオブリビオンマシン『ヴェロキラ』の大群が迫っている。
 他の猟兵たちも対処に回っているが、誰もが傷を負っている。この状況で退くことなんてできようはずもなかった。
「もう少しがんばってね、『レスヴァントMk-2』……」
 アマテラスから情報が入る。
 敵機の群れは猟兵のキャバリアと見れば、他を放置してでも此方に殺到するようだった。

 友軍との連携に優れたオブリビオンマシンなのだろう。
 どれもこれも厄介極まりない。
「まだ、ボクには手段が残ってる!!」
 舐めるな、とユーリーの瞳が戦意に煌めく。
 そう、まだ手傷を負っただけだ。まだやれることはある。『レスヴァントMk-2』のアイセンサーが煌き、残像を生み出す程の速度で持って迫るミサイルとマシンガンの雨をかいくぐる。
「クッ、スラスターに異常ッ!?」
 アラートがコクピット内部に響く。

 ユーリーは呻く。
 行けるか、と不安がよぎるが、それをすぐさま振り払う。
 不安になっている余裕なんてない。
 できるかできないかじゃあない。やるしかないのだと己に言い聞かせ、アサルトライフルでもって弾丸をばらまく。
 迫る『ヴェロキラ』を寄せ付けないように制圧射撃でもって面を確保し、脚部アンカーでもって大地に『レスヴァントMk-2』が立つ。
「行くよッ、『レスヴァントMk-2』ッ!!」
 背部の超巨大荷電粒子ビーム砲の砲身が地面と平行に構えられる。
 エネルギーチャージャーが示す数値は120%。
 限界を超えたチャージに砲身内部のエネルギーが膨れ上がって、砲身を赤熱させていく。
 一気に薙ぎ払うにはこれしかない。

「ダークマンティス……まとめて薙ぎ払えッ!!」
 ユーリーの言葉と共に引き金が引かれる。
 瞬間、砲身から放たれる荷電粒子ビームが大地を舐めるようにして走り、迫る『ヴェロキラ』を蒸発させるようにして破壊していく。
 拡散された荷電粒子ビームは、大群を前にしてこそ活きる力だ。
 あまりの一撃に『レスヴァントMk-2』の失った左腕から爆発が起こり、体勢が崩れる。
 それをなんとか持ちこたえさえ、ユーリーは火線の向こう側に爆散して消えた『ヴェロキラ』たちの群れ、その反応が消失したことを確認し、限界を迎えた『レスヴァントMk-2』を労うようにして、コクピットシートに背をもたれかからせるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

星野・祐一
「アフターケアもばっちりってか。なら俺も最後まで頑張ろうじゃないの」
SPD

…で、実際の所どう?
『機体チェック…左腕大破ならびに機体各所の損傷により稼働率低下…ですが戦闘続行は可能です』
だったら十分だ。サポート頼むぜ、Es

挨拶代わりのUCによる先制攻撃で先手を握り
次いでエネルギー充填させたブレードでなぎ払い更に返し刀による二回攻撃でヴェロキラ共を範囲攻撃めいて巻き込んで数を減らす

包囲に対しては常時移動を意識した立ち回りで
格闘仕掛けた敵はバルカンでカウンター
マシンガン等は瞬間思考力と推力移動で対処な

「これが終わったらキャバリアをオーバーホールさせていい加減にカラーも決めてやらんとな!」


アドリブ歓迎



 機体の損傷状況をチェックする。
 システムが走り、先程までの激戦で受けたダメージレポートがはじき出されていく。
 時間がない。
 悠長に構えている時間はないのだ。
 迫るオブリビオンマシン『ヴェロキラ』の大群。
 ここに来て猟兵にダメ押しをするようにオブリビオンマシンが迫っているのだ。
「アフターケアもばっちりってかか」
 まったくもってやかましい、と星野・祐一(シルバーアイズ・f17856)は思ったことだろう。
 敵は小国家『フルーⅦ』の人々を狂わせ、その対処に現れた猟兵を狙い撃ちしているようであった。
 先程の強大なオブリビオンマシンの出現に合わせて現れた『ヴェロキラ』たちを見れば、それも頷けよう。
「なら、俺も最後まで頑張ろうじゃないの」
 で、と祐一は戦闘支援ユニット『Es』からのレポートに目を通す。

「機体チェック完了。左腕大破ならびに機体各所の損傷により稼働率低下。ですが戦闘続行は可能です」
 その言葉に祐一は頷く。
 一つ頷くだけで十分だった。
 己の戦う理由はシンプルで間違えない。
「だったら十分だ。サポート頼むぜ、『Es』」
「サポートを開始します」
 機体のモニターに配されるは、ターゲットアイコン。
 その全てがオブリビオンマシン『ヴェロキラ』であった。
 あまりに数が多い上に、あの機体は友軍と連携して此方を追い詰めるようにして動く。それが『ヴェロキラ』を見た目以上に手強い敵としている要因であった。

「なら、挨拶代わりだ!」
『クロムスティール』より放たれた雷球が弾ける。
 それは一瞬で発生した破裂音よりも早く広がる電撃。
 ほとばしった一撃が『ヴェロキラ』たちに伝播し、その機体を絶えずスパークする一撃で電装系統を焼き切ったのだ。
 敵のシステムが復旧するまで時間は多くはないだろう。
 だからこそ、飛び込む。
 エネルギーを充填させたブレードの一撃で動きを止めた『ヴェロキラ』を切り裂く。さらに返す刃で他の『ヴェロキラ』を巻き込みながら数を減らす。
 しかし、それでも襲い来る敵は波のようであった。
「数が多いか!」
 祐一はサポートする戦闘支援ユニットから逐一伝えられる情報に目を通す。

 攻撃と移動。
 足を止めないことが敵を引き付けることになる。
「敵、3時方角。急接近」
「ちっ、反応が鈍ってやがる!」
 これまで無理をさせてきた代償か、機体の反応が思わしくない。
 けれど、泣き言は言っていられないのだ。
 迫る『ヴェロキラ』を頭部バルカンで引き離し、距離を取る。
 マシンガンの弾丸が襲ってくる。
 鈍色の装甲に弾かれて、嫌な音を立てる。
「これが終わったらオーバーホールさせてやらないとな……それにいい加減にカラーを決めてやらんとな!」
 いつまでも鈍色のままでいいこともないだろう。
 祐一は機体をだましだまし走らせながら『ヴェロキラ』の大群を相手取って、戦い続けるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

才堂・紅葉
白騎士撃破お見事ね
無茶した甲斐があったかしら
大破寸前の迦楼羅王でだましだまし移動し、フルーⅦを守備する上で悪路故に優先度の低いポイントで【地形を利用】し身を潜める
一機でも通したら負けだ。主力は余力のある味方に任せ、死に損ないらしく小さな穴を塞ぐ仕事をしよう

黒幕は思っているだろう。年を落すもよし、私達猟兵を疲弊させてもよしと
だから、思い知らせてやろう。猟兵は疲弊してからが強いと

敵機共が姿を現したら、引き付けてから【罠使い】【破壊工作】で爆破して連携を分断
後は、今にも倒れそうな迦楼羅王を【気合】で動かし、掌に仕込んだ「重殺掌」で各個撃破で頭部を潰して回る
【殺気】を漲らせ小部隊を全滅させたい



「お見事ね」
 才堂・紅葉(お嬢・f08859)はオブリビオンマシン『ブリュンヒルド』を撃破した猟兵達の戦いを見やり、頷く。
 しかし、それは彼らだけでは為し得なかったことである。
 彼女が相打ちを覚悟で『ブリュンヒルド』の駆動系……関節駆動部にダメージを蓄積させていたからこそ、撃破できたのだ。
 それがなければ、他の猟兵たちは『ブリュンヒルド』の運動性能にさらに苦戦を強いられていたことだろう。それほどの敵であったのだ。
「無茶した甲斐があったかしら」
 とは言え、代償は大きい。
 紅葉の機体『迦楼羅王』の胴体……つまりはコクピットブロックに甚大な損傷が生まれている。
 コクピットハッチが切り裂かれているということは、即ち今の紅葉がキャバリアで戦う異常、有視界戦闘を行わないといけない、ということである。
 隔てるものがない状況で戦うのは危険極まりないことである。
 だが、それでも紅葉は『迦楼羅王』を移動させる。

 敵にとって此方を攻めるに利する場所はどこか。
 そして、『フルーⅦ』を守備する上で悪路故に優先度の低いポイントはどこか。
 それを彼女は見極め、伏せる。
「まったく……敵は大群。こちらは消耗しきっていると来たもの……でも一騎でも通したら負けだ」
 紅葉は己の機体状況となせることを把握する。
 己は敵にとって死にぞこないだ。
 だからこそ、敵の主力は仲間に任せる。
 己にできることは、仲間が取りこぼした小さな穴を塞ぐことである。

「それにこの絵図を描いた黒幕は思っているのでしょうね。都市を落とすもよし、私達猟兵を疲弊させてもよし、と」
 それは事実である。
 自分たちは疲弊しきっている。
 加えて、『フル-Ⅶ』だって癒えぬ傷跡を刻まれている。人々の心に、生活の基盤となる国に。深々と傷が生まれている。
 敵は舐め腐っている。
 己達が容易い相手だと。
 なら。
「思い知らせてやろう。猟兵は疲弊してからが強いと」
 紅葉はせまる『ヴェロキラ』を認める。
 仲間たちの戦いから外れて、此方に向かってきている。

 敵機は連携を主とする機体である。
 ならば、と紅葉は十分に惹きつけてから、仕掛けていた爆薬を起動する。
 炸裂した爆発が『ヴェロキラ』たちの機体を揺らす。
 爆発程度ではどうにもならない。だが、敵の連携が乱れたのならば、それは御の字だ。
「さあ、気合入れていくわよ『迦楼羅王』!」
 倒れそうだ。
 機体はもうずっと警告音が響いている。
 だが、それでも構わない。

 爆発のさなかに飛び込み、マニュピレーター、その掌に仕込んだ一撃で叩き込む。
 アイセンサーが獣の眼光(サツイノカタマリ)を解き放つ。
 殺気が漲る。
 無人機には殺気は意味がないかもしれない。
 けれど、これは己の意志だ。
 敵を如何にしても滅ぼすという誓いに似た感情の爆発と共に紅葉は、気力と殺意だけで敵を穿ち、打倒していく。
 己は己の仕事を。
 そうするだけで敵の目論見は阻むことができる。
 そう信じて、彼女は己が持ち場とする戦場にて、その漲る殺意と共に踊るようにして『ヴェロキラ』を全滅させるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルカ・スィエラ
疑似脳……!?フォン・リィゥや雪原で現れた機体と同じ……?
……そうね、誰が暗躍しているのだとしても構わない。どの道、その先にオブリビオンマシンが、私達の敵がいるのなら……!

「|エネルギー物質化《マテリアライズ》」と「金属細胞」により損傷を一時補填して戦線に復帰!敵部隊の進路を塞ぐように陣取るわ

確かに無茶な応急処置だし、機動性も落ちてる。しかも弾幕により離脱も無理。
…けど、それが何?この程度で、私を、アルカレクスを、止められると……思うなぁぁァぁ!!!

破損していても無理やり修復し『ドラグカプト』を全基展開!最大出力での【ドラグラディウス】でその隊列を組んだ集団ごと……全部!薙ぎ払ってやる!!



『疑似脳』。
 それはいつかの事件の折にも聞いた単語であった。
 あのときは『フュンフ・エイル』の『疑似脳』をオブリビオンマシンに用いていた。
 今は滅びた小国家『フォン・リィウ共和国』の首脳陣が言っていたことをアルカ・スィエラ(鋼竜の戦姫・f29964)は思い出す。
 何故そんなものがあるのか。
 そして、何故、『ブリュンヒルド』に搭載されていたのか。

 あの時のオブリビオンマシンはチグハグな動きをしていた。
『疑似脳』の戦い方とキャバリアの戦い方が合っていなかったのだ。
 故に、機体の性能というより『疑似脳』の技量を引き出せていなかった。だが、今回は違う。
『疑似脳』と機体が噛み合っていた。
 まるで、元からそうであったかのように。
「あれだけの恐ろしい敵を生み出すことができる、ということ……?」
 先程までの激戦を思い出す。
 多数の猟兵に消耗を強いられて尚、最後まであの機体は尋常ならざる力を発揮していた。
「……そうね、誰が暗躍しているのだとしても構わない。どの道、その先にオブリビオンマシンが、私達の敵がいるのなら……!」

 アルカは傷ついた『アルカレクス・ドラグソリス』を推して動き出す。
「敵部隊……まったく用意周到と言ったらないわね」
 せまるオブリビオンマシンの大群『ヴェロキラ』。
 それは友軍機との連携を前提としたオブリビオンマシンたちであった。小型恐竜のような『ヴェロキラ』は消耗して立ち尽くす『アルカレクス・ドラグソリス』へと群がるようにして襲いかかる。
「進路を塞ぐ手間が省けたわ」
 金属細胞に寄る一時的な傷の補修。
 姿だけはまともであるが、しかし内部はそうではない。
 あの敵の一撃はあまりにも深かった。
 けれど、言っている暇はない。応急処置に過ぎないことも理解している。

 迫るは『ヴェロキラ』たちのミサイルとマシンガンの斉射である。
 機体の装甲に激突する多くの銃弾やミサイル。
 爆発に機体が傾ぐ。
「機動性は落ちてる……」
 躱すこともできない。
 装甲も十分ではない。けれど、それでもアルカの瞳にあるのは、戦う意志だった。
「……けど、それが何? この程度で、私を!」
 アルカが吠えた。
 感情を爆発させる。敵の悪意が己の喉元に迫っている。
「アルカレクスを、止められると……」
 踏み出す。
 後退してはならない。一歩引けば、それだけ敵は付け込んでくる。なら、進むしかないのだ。
 傷だらけになっても、それでもと前に進むことだけが人間の戦いなのだ。
「……思うなぁぁァあ!!!」
 ユーベルコードに『アルカレクス・ドラグソリス』のアイセンサーが輝き、4つの『ドラグカプト』が飛翔する。
 展開された顎の内側から放たれるは、竜の咆哮の如き殲滅交戦であった。
「ドラグラディウス! 全部! 薙ぎ払えぇぇ!!」
 吹きすさぶ火線が『ヴェロキラ』たちを打ち据え、炎を撒き散らす。
 爆発炎上する敵陣を見やり、アルカは荒い息を吐き出すしかなかった。気力だけで持ちこたえていた意識。

 揺らめく視界の中にあるのは炎。
 いつだってそうだ。
 戦わなければ、生きることはできない。なら、とアルカは再び揺らめく視界をこすり、瞳を見開く。
「この程度で、止まる私じゃあない――!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

ティグリ・ブリヤジール
グリモア猟兵さんからの都市ぼーえいのごめーれいなのだ―!
後詰めって奴なのだ―!異世界でもティグリ頑張るのだ―!

おー、相手はキャバリアの大群なのだー?
ならコレの出番なのだ―!じゃーん!部隊の先輩が「|人型戦闘車輌《キャバリア》用の火砲を“生身の兵士で”扱えるよう」改造した『RS-H 歩兵用対戦車機械火殲槍“イェジェロノーク”』なのだー!

まだ敵機が遠いうちから陣取ってー、それじゃあ、【ほーげきかいし】なのだー!!
とにかく遠距離から構わず砲撃を続けるのだー!
近づいてくるならそれより前に撃ち抜くのだ―!
ホントに危なくなったら砲撃を止めてヴェーチェ&グラザーで関節とかを狙いつつ後退するのだ―!



 迫るはオブリビオンマシン『ヴェロキラ』の大群。
『武装ボランティア』を端に発する事件は、終結へと迫る。だが、猟兵たちは疲弊しきっていた。強大なオブリビオンマシンの到来。
 これを撃破せしめるには、多大な犠牲を払う必要があった。
 苦戦、激戦、いずれも戦いである。

 ならば、迫る『ヴェロキラ』が為すは殲滅戦である。
 疲弊した猟兵たちに襲いかかる剣呑なる顎。
 内部に備えられたリューターが唸りをあげ、装備されたマシンガン、ミサイルが迫るのだ。
「都市ぼーえいのごめーれいなのだー!」
 ティグリ・ブリヤジール(トラの戦闘猟兵・f40385)は人馬階梯たる体躯でもって戦場に駆け出す。
 彼女はクロムキャバリアと同じく戦乱の世界より到来せし猟兵である。
 鋼鉄の巨人闊歩する世界とは異なれど、パンツァーキャバリアとの交戦経験があるのならば、彼女にとって此処は戦場に他ならなかった。
「後詰めってやつなのだー! 異世界でもティグリがんばるのだー!」 

 彼女は取り回しの悪いキャバリア火砲『イェジェロノーク』を振り回すようにして構える。
 大火力を求めるあまり、キャバリアの火器を歩兵用に改造した対戦車大型火砲である。生身の人間が扱える代物ではない。
 けれど、ティグリは獣人であり、猟兵である。
「コレの出番なのだー! じゃーん!」
 誇らしげに彼女は火砲を構える。
 ティグリ曰く、それは彼女の部隊の先輩が改造を施した火砲。
 生身の兵士で扱えるようにした、とのことであるが、それは獣人でなければ無理な話だろう。どう考えてもサイズがおかしい。
 類まれなるティグリの膂力がなければ、持ち上げることすらできなかっただろう。

「ほーげきかいしなのだー!(ホウゲキカイシ)」
 彼女は己の人馬階梯たる体躯でもって砲身を構える。
 大地を踏みしめるは、四脚。
 爪がアンカーのように大地に食い込み、引き金を引いた瞬間大地が震える。
 土埃が舞い上がるほどの衝撃。
 常人ならば、その衝撃だけで体躯が吹き飛びそうなものであったが、ティグリはまるで意に介していないようだった。
 遠距離からの砲撃。
 彼女が陣取ったのは、敵陣から遠い場所であった。
 故に移動できずとも構わない。

『ヴェロキラ』たちは放たれた火砲に打ちのめされ、吹き飛ぶ。
 凄まじい威力と衝撃。
 そう、今のティグリは固定砲台。
 迫る敵を寄せ付けぬ火砲の一撃を叩き込めるだけ叩き込むだけの砲台なのだ。
「近づいてくるより早く撃ち抜けばいいのだー! ティグリ、ごめーれいはしっかりかんすいるのだー!」
 まるで猛虎の咆哮のように『イェジェロノーク』が砲火を放つ。
 凄まじい。
 もうそれしか言葉がでないほどの砲撃。
 人が持ち得る火力ではない。ティグリは己が体躯と部隊の先輩が託してくれた火砲と共に小国家『フルーⅦ』、そして、疲弊した猟兵たちに迫るオブリビオンマシンを尽く討ち滅ぼすのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ジェイミィ・ブラッディバック
(引き続きTYPE[JM-E]に搭乗、制御は再び主人格へ)
脳をパイロットに?
…いえ、倫理的な議論はこの際置くとして。
似たような事例を見た気がしますね。
この情報、持ち帰る価値があると見ました。そのためにも生きて還ります。

幸いにして当方にはまだ温存戦力がある。
後方に待機させていたヘルメスを前進させ、私はヘルメスに帰還。
補給を受けると同時にヘルメスを中心としてCAMELOTを展開します。

搭載していたプラチナムドラグーン及びストライクフェンリル隊を発艦。先の戦闘で撃墜されたセラフィム・リッパー隊は回収し全機修理ドックへ。

補給を終えたら再出撃し前線にて遊撃。
友軍の猟兵の皆さんも一度補給を受けてください。



 爆散したオブリビオンマシン『ブリュンヒルド』のコクピットに収められていたのは人ではなかった。いや、人である、という認識が如何なる部分にてなされるのかと論じるつもりはない。
 そこにあったのは肥大化した脳であった。
『疑似脳』と呼ばれる巨大な脳。
 それが『ブリュンヒルド』を動かしていた。
「経験と命令を放つ神経があれば、それは鋼鉄の体躯を持つ人間、というわけですか」
 脳無きジャイアントキャバリアに脳を与えるのと同じ考えなのだろう。
 肥大化しているのは、恐らく、それほどの容量がなければ元になった『エース』の技量を再現できないからだろう。

 むしろ、その点を考えれば『武装ボランティア』が何故、ここまで強大な戦力を、そして無人機を手繰ることができたのかに説明がつく。
 ジェイミィ・ブラッディバック(脱サラの傭兵/Mechanized Michael・f29697)は、倫理的な問題、議論をするつもりはないが、似たような事例を知っているようだった。
 他の猟兵も動揺だった。
 この事件に連なる出来事。
 その中に『疑似脳』は初めて現れたわけではない。
 だが、その時のオブリビオンマシンは『ブリュンヒルド』ほど強大ではなかった。
 動きがチグハグだった。
「今回は完全に合一している、と。この情報、持ち帰る価値があると見ました。そのためにも」
 ジェイミィは迫るオブリビオンマシン『ヴェロキラ』の大群を見やる。

「生きて還ります」
 しかし、猟兵たちは疲弊しきっている。
 強大な敵を打ち倒した代償と言えば代償であるが、しかし、敵の攻勢はさらに苛烈。
『ヴェロキラ』は隊列を組み、マシンガンとミサイルによる斉射を加えてきている。
 連携が取れている、という意味では量産型とはいえ、その数の恐ろしさを伝えるには十分すぎる力であった。
「幸いにして当方にはまだ温存戦力がある――WARNING:Disconnect unknown system "KING CASTLE" immediately」
 ユーベルコードが発露する。
 戦場に立ち上がるは、未知のナノマテリアルで攻勢された要塞都市。
 ヘルメス級強襲揚陸航空母艦1番艦『ヘルメス』へと後退したジェイミィは補給を開始する。
 その間にも迫る『ヴェロキラ』たち。
 砲火は凄まじいものだった。

 嵐のような砲火。
 それは同仕様もないほどの圧倒的物量。
「『ストライクフェンリル』が『ヘルメス』より飛び出す。
 機体にはナノマテリアルコーティングが付与され、無人機とは言え『ヴェロキラ』と互角に戦うことができるだろう。
「『セラフィム・リッパー』の回収を。以後は全機修理ドックへ」
 ジェイミィは指示を飛ばしながら、戦列に加わった『ストライクフェンリル』たちが『ヴェロキラ』と激突する様をモニタリングする。
 敵の友軍との連携は見事なものだった。
 画一的な動きではない。
 戦術というものを組み込まれた動きだった。
 ならばこそ、ジェイミィは己も陣頭指揮に加わらねば、と理解する。
「これより当機は戦線に復帰します。友軍には補給を」
 そう告げ、ジェイミィは『ヘルメス』より再出撃する。
 敵の勢いは未だ衰えない。やはり、このまま敵は此方を磨り潰すつもりなのだ。
「そうはさせません」
 生きて還る。
 そう決めたのならば、ジェイミィはためらわない。
 先んじて飛び出した『ストライクフェンリル』隊に加わるようにしてジェイミィは『ヴェロキラ』を打ち抜き、さらに戦線を押し戻すために苛烈なる砲火の中に進むのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ファルコ・アロー
けっ、準備のよろしい事ですねぇ!
こっちは疲れちまって動きたくもねぇくれーですのに、元気なトカゲどもなんざ送って来やがったです。
まぁもう乗りかかった船です、最後まで相手してやるですよ!

もうあんま動きたくねーのは本当ですし、ここじゃ空から攻撃って訳にもいかねーですけど、複数連携して襲ってくるってーなら好都合です。
接近くらいは許してやるですよ!
でもあの口の中のにやられた日にゃーハンバーグにされちまうです。
極力引き付けて、噛み付かれる寸前にGブラストで纏めて吹き飛ばしてやるです!
大人しく絶滅してりゃ良いんですよ、てめーらは!
まぁ、撃った後は連中の残骸にでも隠れてチャージ時間を稼ぐしかねーですけどね。



 迫る大群。
 それは全てがオブリビオンマシン『ヴェロキラ』であり、地平を埋め尽くすほどの数だった。
 土煙を上げて進む姿はまさしく猟兵に対する葬列のようであった。
 敵は此方を確実に磨り潰すための構えを取っている。
「けっ、準備のよろしい事ですねぇ!」
 ファルコ・アロー(ベィビィバード・f42991)は『イカルガ』、『ブリュンヒルド』との連戦に消耗しきっていた。
 体躯がきしむのを感じただろう。
「こっちは疲れちまって動きたくもねぇくれーですのに、元気なトカゲどもなんぞ送って来やがったです」
 正直に言えば、撤退が望ましいのだろう。
 戦術的に見てもそうだ。
 わかっている。
 けれど、己の背には小国家『フルーⅦ』がある。
 オブリビオンマシンに狂わされた人々が呆然と立ちすくんでいる。
 この状況は絶望的だろう。
 わかっている。

 だから。
「まぁもう乗りかかった船です。最後まで相手してやるですよ!」
 戦わなければならない。
 己に役割を与えてくれた部隊の皆ならば、きっとこのような状況でも笑って、しゃーねぇーな! と言うだろう。
 与えられた己がするべきことはただ一つだ。
「あんま動きたくねーってのは本当ですけどね」
 空からは攻撃できない。己の航空戦力としての力を十全に発揮できない。
 此処はクロムキャバリアだ。
 なら、どうするか。
 敵は友軍と連携してくる。画一的ではない。確実に此方の状況を理解して包囲するようにして磨り潰すだろう。

「――」
 迫る『ヴェロキラ』の顎内部にあるリューターが剣呑な音を立てる。
 あれに囚われては、己はハンバーグにされてしまうだろう。
 だが、接近を阻むことはできない。 
 それほどの力がもうないのだ。
 もう仕方がない。
「接近くらは許してやるですよ! けど!」
 迫る『ヴェロキラ』の顎。
 もたげる口腔の内部にて回転するリューターがファルコに迫る。
「カウンター必勝! Gディフレクター、アサルトモード!」
 ファルコの瞳がユーベルコードに輝く。
 赤と金。
 その二つの色を持つ瞳が、敵を見据える。

 握りしめた己の拳。
 鋼鉄の拳はなんのためにあるのか。言うまでもない。握りしめたのならば、己から何かを奪おうとするものへと叩き込むためである。
「……フルブラスト!」
 拳からほとばしるは破壊エネルギー。
 吹き荒れるようにして極大威力の一撃が『ヴェロキラ』の顎を粉砕し、さらには周囲に己を取り囲んでいた機体をも巻き込んで吹き飛ばす。
 突き上げた拳からは白煙が立ち上る。
 失ったエネルギー故に、ファルコはパワーチャージを行わなければならない。
 体が痛む。
 けれど、構わない。
「けっ、大人しく絶滅してりゃ良いのですよ、てめーらは!」
 ファルコは渾身の力を込めて、破壊され尽くした『ヴェロキラ』の群れの前にて突き上げた拳と共に叫ぶのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エレイン・アイディール
●聖竜騎士団
今度はヴェロキラですって!?
エルネイジェ王国軍の主力機がなんでここにいるのよ!?
さてはどこぞの輩が横流ししたわね!
許せないわ!
上等よ!
ヴェロキラ30機分の費用が掛かってるわたくしのゴールドブリンガーが負けるものですか!

調子に乗って好き放題撃ってくれるわね!
けれどその程度じゃアイディールの威光は曇らせられないわよ!
ゴールドブリンガー!ここが根性の見せ所よ!
ミサイルはガトリングで迎撃してヴェロキラはビームキャノンで撃ち抜くわ!
マシンガンなんて強化された黄金装甲には通じないわよ!
そして黄金とは運気を呼び込む色なのよ
相手には弾詰まりやミサイルの不発といった不幸の形で訪れるでしょうね


桐嶋・水之江
●聖竜騎士団
へぇ…ブリュンヒルドってアレが動かしてたのね
さしずめどこぞのエースの脳をクローンして作った生体制御装置ってとこかしら?

だから無償提供なんて絶対やらないわよ
お金を受け取るという事はプロとして責任を持つという事よ
私は責任の無い仕事はしない主義なの

疲れる仕事ねぇ…
速射モードのメガビームキャノンで弾幕を張りましょう
ミサイルを優先して撃ち落としていくわ
マシンガンはプラズマガントレットで防御するわ
面制圧の中じゃ無理に動くより守りを固めていた方がマシよね
そうこうしてると敵に囲まれるわよね?
そこを温存していたハイパーメガバスターで一網打尽よ
偏向ビームで敵の隊列をなぞるように軌道を変えてあげましょう


ソフィア・エルネイジェ
●聖竜騎士団
…確認しますが、ヴェロキラを提供したボランティアというのは、水之江女史ではありませんね?

用意周到ですね
白騎士との戦闘直後でこちらも消耗しておりますが、ここが堪えどころでしょう
相手は集団戦闘を得手とするキャバリアです
こちらは密集陣形で迎撃しましょう

副腕は喪失しておりますので、ショットガンを主武器として迎撃に当たります
散弾の性質は接近を阻止する武器として最適でしょう
その間にライトニングバスターの充填を開始
敵の弾幕は苛烈ですが、インドラの二重の装甲とて柔ではありません
十分な充填量を確保次第ライトニングバスター…ではなく聖雷縛封を放射状に発射
ヴェロキラを隊列ごと麻痺させます



「今度は『ヴェロキラ』ですって!?」
 エレイン・アイディール(黄金令嬢・f42458)は地平を埋め尽くさんばかりのオブリビオンマシン『ヴェロキラ』の大群を見やり、目を剝く。
 敵の数に驚愕したのではない。
『エルネイジェ王国』の量産型キャバリアである『ヴェロキラ』がオブリビオンマシン化しているという事実に驚愕したのである。
 言うまでもなく『ヴェロキラ』は王国軍の主力機である。
 製造を含めて、それは流出しないように国家機密に類するものであるはずだ。
 なのに、それがいつのまにかオブリビオンマシンとなって、しかも『武装ボランティア』が手繰っているというのが問題なのだ。
「さてはどこぞの輩が横流ししたわね!」
 彼女の類推は正しいのかもしれない。
 だが、誰が、という点においてむやみに口にすることはできなかった。それは『エルネイジェ王国』を真っ二つに割る、ということであったからだ。
「……確認しますが、『ヴェロキラ』を提供したボランティアというのは、水之江女史ではありませんね?」
 ソフィア・エルネイジェ(聖竜皇女・f40112)は再度、桐嶋・水之江(機巧の魔女・f15226)へと問いかけた。

 この場で一番怪しい……いや、それはないはずだが、嫌疑がかけられてもおかしくない普段の素行を持つのが水之江であった。いや、全然怪しいはずがない。本当に怪しくない。色眼鏡で見てるって言われても仕方ないが、水之江博士はそういうんじゃないから! と声を大にしたい。私情入り過ぎである。
「だから、無償提供なんて絶対やらないわよ」
「そうでしょうね」
 天地がひっくり返っても、それはないな、とソフィアは理解していた。
 これは再度申し上げるが、茶番である。
「お金を受け取るということはプロとして責任を持つということよ。私は責任のない仕事はしない主義なの」
 ほら、水之江博士しか勝たん!
 とは言え、水之江は難しい顔をしていた。

 爆散した『ブリュンヒルド』。
 そのコクピットに収められていたのは肥大化した脳であった。
 あれが『ブリュンヒルド』を動かしていたものなのだろう。
『疑似脳』――それは一連の事件の折に幾度か猟兵の前に姿を現した技術であった。しかし、以前は機体と『疑似脳』が噛み合わず、チグハグな動きしかしていなかった。
「さしずめどこぞの『エース』の脳をクローニングして作った成体制御装置ってとこかしら?」
 クローニングできる、ということは失われても再び製造できる、ということである。
 それにかかるコストが如何ほどか、と水之江は頭のそろばんをパチる前にエレインが叫ぶ。
「来ますわよ!」
「敵も用意周到ですね。『白騎士』との戦闘直後で此方も消耗しておりますが、ここがこらえどころでしょう。『ヴェロキラ』も無人機、となればやはり集団戦術を組み込まれていると見てよいでしょう。エレイン、三瞬陣形を」
「かしこまりました、殿下!」
「ちょっと大丈夫? 疲れる仕事ってやぁなのよねぇ」
「『ヴェロキラ』が相手なんて上等よ!『ヴェロキラ』30機分の費用がかかってるわたくしの『ゴールドブリンガー』が負けるものですか!」
 その言葉を遮るように『ヴェロキラ』たちは隊列をくんでマシンガンとミサイルの斉射を放つ。

 その砲火は凄まじく嵐のようであった。
 けれど、エレインは不敵に笑み、前に一歩文だづsの。
「調子に乗って好き放題撃ってくれるわね!」
 好き放題撃ちまくるのはアイディール家のお家芸である。こんなところでお株を奪われてなるものかとエレインは『ゴールドブリンガー』と共に踏み出すのだ。
「『ゴールドブリンガー』! 此処が根性の見せ所よ! アイディールの威光(ゴールドオーラ)を示す時!」
 エレインの瞳がユーベルコードに輝いた瞬間、迫る弾丸と爆風を押しのけ、『ゴールドブリンガー』はその名の通り、黄金のオーラを解き放つ。
 黄金装甲は、この程度ではびくともしない。
 そう示すように『ゴールドブリンガー』が咆哮し、迫る砲火を全て受け止め、しかしそれでも無傷であることを知らしめるのだ。
「黄金こそ運気を呼び込む色なのよ!」
「わーお、なんとも。でもまあ、エネルギージャージの時間は稼いでもらったのなら、やらないといけないわよねぇ」
 水之江は『カナリア』の温存していた大型荷電粒子砲を構える。

 これまでの戦いで温存していたのは、敵の残存戦力を警戒していたからであろう。
 備えあれば憂いなし。
 水之江博士に死角なし。
「時にカクカク、時にグニャグニャ……軌道は自由自在、偏向ビーム(ベクタービーム)発射ってね!」
 ハイパーメガバスターから放たれる光条が解き放たれ『ヴェロキラ』の機体を蒸発させていく。
 本来ならば一直線にしか走らないビーム。
 しかし、水之江のユーベルコードはビームすら曲げてみせるのだ。
 直角に曲がり、カーブを描き、まるで魔球か何かかのように水之江の放ったビームはヘビのように『ヴェロキラ』たちをくらい尽くしていくのだ。

「さあ、ソフィア殿下、今なら十分でしょう」
「ええ、大義でありました」
 ソフィアは『インドラ』と共に突き進む。
 サブアームとラウンドシールドは『ブリュンヒルド』との戦いで欠損している。
 残された武装はショットガンと口部のライトニングバスターのみ。
 ショットガンは対多数との戦闘においては有効な武器であったが、迫る『ヴェロキラ』の群れはそれ以上だ。
 放たれるマシンガンとミサイルに『インドラ』が晒される。
 しかし、『インドラ』の二重装甲は伊達ではないのだ。咆哮するようにして、口腔にたまりゆくエネルギー。
「断罪の竜帝の力を。雷の戒めを!」
『インドラ』は『ヴェロキラ』たちの砲火を受けて尚、その大地を踏みしめる。
 装甲に弾かれた弾丸が宙を舞う。

 ソフィアの瞳が見開かれ、そのユーベルコード宿す光が輝く。
「聖雷縛封(サンダーバインド)!」
 放射状に放たれた雷撃は、『ヴェロキラ』へと走り、隊列ごと稲妻に縛り上げるのだ。
「エレイン、よしなに」
「幸運は『エルネイジェ王国』に、そして、不運は我等が敵に!」
 エレインの放つ黄金のオーラと共に『ゴールドブリンガー』から放たれた砲火が『ヴェロキラ』の一群を討ち滅ぼすのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

朱鷺透・小枝子
『この後に及んでまだくる!?奏者!…奏者?』
|るぅううううぅぅ《自分は此処にいる》
『あ、ダメだ話通じなくなってる!!』

デモニック・ララバイの中で、【歌唱】言葉にならない声を歌い
[禍戦・渚の戦端]発動。戦場に霊物質の海を呼び寄せ、その海から上がるディスポーザブル01の大群。その数と重さ、【鉄壁】の装甲を壁とし弾丸を防ぎ、胸部の電磁音響兵器でミサイル群を落とし、寄る敵を【吹き飛ばし】レーザー砲にガトリング砲、キャノン砲と言った様々なキャバリア兵装の【弾幕】を以て迎撃。戦列を維持。ここから先には何人も進ませない。戦え、此処が、

|アアアアアァァァ《此処が、自分達の戦場だ》

【念動力】戦場を覆う霊物質の海でオブリビオンマシンを絡め取り
機動力を削ぎ、弾幕から逃れられなくする。逃がさん。

ァエアエアエエエアアアアイィイイアアアアァァァァ

【呪詛】海を偽神霊物質へと変質させ、戦場にあるオブリビオン共を、残骸を【捕食】質量を増していく霊物質の海を念動力で操り大津波として敵群を纏めて【なぎ払い】海の底へと沈める。



 砲火の嵐が迫る。
 それはオブリビオンマシン『ヴェロキラ』が隊列を組み、マシンガンとミサイルの一斉射でもって疲弊した猟兵たちを磨り潰すための攻撃だった。
『この期に及んでまだ来る!? 奏者!』
『クレイドル・ララバイ』は、『デモニック・ララバイ』を駆る朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)に撤退を進言しようとして、しかし、それが無意味なことであるのを知る。
 いや、元より知っていた。
 撤退など小枝子には意味がない。
 彼女は戦う。
 破壊の権化として、戦うことしかしらぬ。
 後退の二文字など、すでに頭の中にない。

 そして。

「るぅううううぅぅぅ」
『……奏者?』
 唸るような声が答えとして返ってきた。
 言葉ではない。もはや意思疎通などできない。
 これはダメだ、と即座に理解する。だが、止められるわけがない。
 声ならず、言葉ならず。
 それは歌声であると理解できたものは多くはない。
 ユーベルコードに輝く瞳。
 破壊を為せ、という言葉すら意味をなさない。
 あるのは唸り声であり、敵対するものへの敵意と破壊への意志だけだった。
『こうなった奏者は、話が通じないからなぁ!」
 霊物質の海が戦場に満たされていく。

 破壊の総怨念が小枝子の体躯に憑依されていく。
 取り憑かれた、というのが正しいのかもしれない。
 霊物質の海より立ち上がるは無数の『ディスポーザブル01』であった。
 大群には大群を。
 そういう様に小枝子は咆哮する。
「アアアアアァァァァ!!!!」
 その咆哮に応えるようにして『ディスポーザブル01』の大群が戦場を疾駆する。
 ぶつかる『ヴェロキラ』と『ディスポーザブル01』。
 無数の破片が舞い散る戦場に合って、さらに『デモニック・ララバイ』は踏み込む。
 銃弾などものともしない装甲、胸部の電磁音響兵器でミサイルを空中で爆散させる。爆風吹き荒れる中に、アイセンサーが狂気を宿すように煌き、レーザー砲でもって火線を戦場に刻み込んでいく。

 たった一騎。
 ただの一騎の『デモニック・ララバイ』に『ヴェロキラ』の大群が押され始めている。
 だが、それを追うことはしなかった。
 敵を退ける。戦列を維持する。
 ただそれだけのために小枝子は咆哮を続ける。
 此処が、自分たちの戦場だというように、念動力で持って『ヴェロキラ』の躯体を絡め取り、引きちぎる。
 撒き散らされるオイルや破片が、まるで血潮や肉片のようであった。
 それほどまでに小枝子の戦い方は、正気を疑うものであった。
 逃さない。
 逃すわけがない。
 ただの一騎も残さない。
 己に立ち向かった以上、破壊は免れない。

 そういう様に小枝子は口を開く。
 ひゅう、ひゅう、と喉が鳴る。
 息を吸い込んでいるのだと、『クレイドル・ララバイ』は理解しただろう。
「ァエアエアエエエアアアアイィイイアアアアァァァァ」
 ほとばしる歌声。
 それを歌声であると言えるのは、彼女が禍戦(デッドオーバー)を超えているからである。
 広がる霊物質はオブリビオンマシンの残骸さえも捕食し、質量を増していく。
 手繰る念動力が質量を増した霊物質の海から波を生み出す。
 壁のようであったが、それは波だ。
 どうしようもないほどの質量で持って敵を押し流す。
 その力でもって小枝子は『ヴェロキラ』の大群を押し流し、さらに霊物質の海へと沈めるのだ。

「――!!!」
 自分は此処にいる。
 此処に在るのだと示すように小枝子は『デモニック・ララバイ』のコクピットで叫ぶ。
 他の誰でもない。
 自分こそが破壊の権化であると示すように――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

薄翅・静漓
一度だけ、瞑目するわ
爆発を免れたお陰で、機体の損傷は少ない
スピードは未だ健在よ
……今の私達に追いつけると思わないことね

UC『しるべ』を発動、高速で敵軍を躱し、『熾煌』のクリスタルビットから光の矢を放つわ
この光の矢は敵を攻撃し、味方である者を治療する

『幸運』の『ズィーベン・ソグン』の『熾煌』
私の命を注ぐから
険しき道を歩む人を癒やし、幸あれと照らしてあげて
光の矢を『フルーⅦ』に向けて一斉放射よ
平和を望む人の思いが潰えぬ限り、希望は紡がれる
受け継がれた希望がしあわせへの標となるのなら
一年でも百年でも、重ねた時間は決して無駄にならない
『熾煌』、あなたもそう思うでしょう?



 瞳を伏せる。
 それは僅かな時間であったけれど、瞑目であった。
 痛む心と悼む心とがないまぜになったような感情を薄翅・静漓(水月の巫女・f40688)は知るだろう。
 いつかのあなたに救けられた自分がいる。
 静漓は、そう思いたかったのかもしれない。最後、『ブリュンヒルド』は己の機体を押しのけたように思えたし、突き飛ばしたように思えた。

 それは己を爆発に巻き込まぬようにしたようにも思えたのだ。
 機体の損傷は右腕だけだ。
 フレームが僅かに残っている。
 未だ薄水色のキャバリア『熾煌』は健在である。
 見据えるは、迫るは大群のオブリビオンマシン『ヴェロキラ』。
「……今の私達に追いつけると思わないことね」
 悪魔の加護を纏う『熾煌』のアイセンサーが輝く。
 ジェネレーターが唸りを上げるようにして出力を上げ、一気に戦場を駆け抜ける。
 それは一閃のようであった。
 静漓が追いつきたいと願った『閃光』には未だ届かず。
 けれど、敵軍を縫うようにして『熾煌』は走り抜け、敵の背後を取る。

 肩部アーマーから放出されるクリスタルビットが展開される。
 コントロールは難しい。
 けれど、静漓の瞳は見開かれる。
「『幸運』、『ズィーベン・ソグン』の『熾煌』。私の生命を注ぐから」
 だから、と願う。
 静漓はしるべ(シルベ)を示す。
 なんのためにこの小国家を興したのかはわからない。けれど、多くの人の幸いになりますようにと願ったことは確かなのだろう。

 だからこそ、静漓は思う。
 険しき道を歩む人々を。
 どんなに長く厳しい道であろうと往こうとする人の心を癒やし、幸あれと照らして欲しいと。
「あなただってそうだったのでしょう」
 クリスタルビットから光の矢が放たれる。
 それは無数の弾幕となって『ヴェロキラ』の大群へと降り注ぐ。

 小国家『フルーⅦ』、それは幸運の花という名を持つ国。
「花に平和を望む人の思いが消えぬ限り、希望を紡がれる」
 百年後も。
 これから先も。
 受け継ぐものがいる限り、途絶えることはない。
 それが人の力であり、歴史であり、思いだ。
 しあわせなゆめを見る誰かがいて、それが多くの人の幸いに繋がりますようにと願いを紡ぐように。
 祈りは願いに昇華する。

 その標を静漓は手にする。
 知りたいと願ったこと。知らなければと思ったこと。
 それらの全てがつながっていく。
 運命とは知らず。月光に照らされた色を持つ機体は、彼女に応える。
「一年でも百年でも、重ねた時間は決して無駄にならない」
 炸裂する光の矢が次々と『ヴェロキラ』を貫き、爆発させていく。
 敵軍を退けるためには、未だ足りないかもしれない。これが戦いの道程に過ぎないのかもしれない。
 それでも。
「『熾煌』、あなたもそう思うでしょう?」
『戦いに際しては心に平和を』――いつだって、その言葉が過去の彼らの背中を押してきたのだ。ならば、何一つ無意味なことなんてなかったのだと。
 この世界に残された最後の『憂国学徒兵』、その乗機は光の標の元にて佇むのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルクス・アルブス
【ステルク】

うわぁ。なんかグロいの出てきましたよ……。
こういうのって、作ったらダメなんじゃなかったでしたっけ。

あ、でも今度のキャバリアはさっきのよりはシリアス指数低いですね。

そ・れ・に!
心配しないでください、練乳もちゃーんと大人買いしておきましたから。
(指の間に練乳チューブ挟んでどやっ)
わたし、大人ですので♪

カロリーは……演奏ってけっこうカロリー使うんですよ?
それにわたし、太らない体質なのでだいじょぶです!

わ、ステラさんいいこといいますね♪
わたしも、文化を極めた光の勇者として、演奏させてもらっちゃいます!

あ、ステラさん、ちゃんとわたしの演奏「で」歌ってくださいね。
(後ろから耳栓ぽーい)


ステラ・タタリクス
【ステルク】
まぁ……そんなことだろうとは思っていました
疑似脳、神機の申し子たちと出会った時に遭遇したエイル様の戦闘データと同じモノ……ですか
思い返してみればあの時もノイン様の名前が出ていた
この因果は……いえ、ノイン様の真の目的は何なのでしょうね?

さて、どこぞの王国の恐竜キャバリアが逃げ出した感バッチリですが
ここで止めないと……!

ルクス様ー?練乳がもう1本必要そうなルクス様ー?
ここでカロリーを消費しましょう?
ソナーレ演奏しても良いですから

どこまでいっても恐竜は恐竜
人の|文化の極み《音楽》の前にひれ伏すがいい
【アウルム・ラエティティア】
決して、明けない夜は無いのだと曉の歌を歌いましょう



 爆散したオブリビオンマシン『ブリュンヒルド』のコクピットに搭載されていたのは、肥大化した脳、『疑似脳』であった。
 それが猟兵たちを苦しめたパイロットの正体であるというのならば、あまりにも倫理観が欠如した技術の結晶であったことだろう。
「うわぁ。なんかグロいのでてませんでした?」
 ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は思わず、ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)にそう問いかけていた。
「こういうのって、作ったらダメなんじゃなかったでしたっけ?」
「人の倫理観が備わっているのならば、ですが。まぁ……こんなことだろうとは思っていました」
 ステラは思い出す。
 この周辺小国家におけるオブリビオンマシン事件。
 そのいくつかに『疑似脳』を用いいたオブリビオンマシンがいたのだ。

 しかし、その時対峙したオブリビオンマシンはチグハグな動きで、『ブリュンヒルド』ほど強力ではなかった。
 思い返せば、あのときも『ノイン』の名がでていた。
 これを因果と呼ぶのならば、此度の邂逅は運命と呼べばいいのだろうか。
「『ノイン』様の真の目的は何なのでしょうね?」
「わっかんないです! あ、でもほら、また来ましたよ。さっきのゴーレムよりは、シリアス指数低いですね」
 ルクスが示すのはオブリビオンマシン『ヴェロキラ』の大群であった。
 地平を埋め尽くすほどの数。
 それをしてシリアス指数が低いと言い切れるのは、ある種の才能であるようにも思えた。

「どこぞの王国の恐竜キャバリアが逃げ出した感がありませんか?」
「案外横流しされたのかもしれませんねー」
「いずれにせよい、ここで止めなければなりません。ルクス様、大丈夫ですか?」
「ふふん! 心配しないでください。どんなにシリアス指数が低かろうが、シリアスには変わりなく。そして、抜かりもないのです。練乳、ちゃーんと大人買いしておきましたから」
 それは大丈夫なのか? と思わないでもない。
 というか、カロリー、糖質諸々大丈夫であろうか。
 アレルギーより先に健康被害でルクスさんの体がボロボロになるのではなかろうか。心配である。

 だが、心配ご無用と言わんばかりに指の間に練乳チューブを挟んでドヤ顔である。守りたいね、この笑顔。できれば健康なままで。
「わたし、大人ですので♪」
「ではカロリー消費と参りましょう」
「え、あの! そこはちゃんと突っ込んでもらないと……!」
「ぶくぶくお太りになりますよ」
「演奏って結構カロリー使いますからね! それにわたし! 食べても太らない体質なのでだいじょうぶです!」
 世の女性が聞いたら卒倒するか、ブチ切れることをドヤるルクス。
 ステラは頷く。
 もうこの際である、演奏することには目をつむる。耳栓も常備している。
 準備は万端なのである。

「では、後片付けと参りましょう。どこまでいっても恐竜は恐竜」
 ステラは『フォルティス・フォルトゥーナ』を駆り、その瞳をユーベルコードに輝かせる。
「人の|文化の極み《音楽》の前にひれ伏すが良い。いま、此処に在れる喜びを歌に――アウルム・ラエティティア」
「わ、ステラさんいいこといいますね♪」
 そうです、音楽こそが文化の極み、とルクスは上機嫌である。
「わたしも文化を極めた光の勇者として、演奏させてもらっちゃいます!」
 ぶんかを、きわめた……?
 ひどく疑問符が浮かび上がるようなことをルクスは言ったが、他の誰も突っ込まなかった。ステラも突っ込まなかった。なぜなら耳栓しているから。
「あ、ステラさん、ちゃんとわたしの演奏『で』歌ってくださいね」
 ルクスはいつのまにかステラの背後に回って、耳栓をすぽーんと引っこ抜いて笑む。

「あっ! 何をするのです!」
「伴奏なんですから、こんなのぽいです」
 ぽーいとルクスはステラのみ線を投げ捨て、さあ、と言わんばかりに悪魔のトリル(アクマノトリル)を奏で、ステラの歌声を敵に届けるために最大音量で音の洪水を解き放ち、ステラの鼓膜と『ヴェロキラ』たちを破壊するのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヴィンデ・ノインテザルグ
Fireflyに搭乗し前線へ。
…ギャラガー財団所属、ヴィンデ。現着した。

必要に応じて
疲弊している味方機と敵機の間に割って入り
攻撃を肩代わりしたい。
一度傷が付けば敵陣の標的が私へと変わるだろう。
…それでいい。

―UC機動、私の速さは君達を凌駕する。
敵の包囲陣系を逆手にとって
私の機体周辺にLuciferを展開し、迎撃態勢を。
総数が多ければBelphegorでスタンさせ
顎下を狙って蹴り飛ばそう。
波状攻撃を加えてくる者はSatanで焼き払いたい。

本件に関係ないが、私も数字持ちだ。
但しそれはとびきりの不幸を冠している。
|国《神》を喪った今
この名は祝福ではなく呪いに転じた。

…ノイン、君はどちらなのだろうな。



 戦場をひた走るは、高速起動特化型キャバリア『Firefly』であった。
 ヴィンデ・ノインテザルグ(Glühwurm・f41646)は、小国家『フルーⅦ』に迫る危機、そして消耗しきった猟兵達の救援のために駆けつけたのだ。
「……ギャラガー財団所属、ヴィンデ。現着した」
 周囲の状況をヴィンデは理解する。
 迫るオブリビオンマシンは獣脚の恐竜型『ヴェロキラ』である。
 大群であるが、そのいずれもが無人機であることがうかがえる。しかし、友軍と連携しての戦術を組み込まれているのだろう、一糸乱れぬ進撃でもって砲火を放ち、嵐のように迫ってきているのだ。

「敵機を確認した。これより戦闘行動に入る」
 ヴィンデは敵の砲火の標的となるべく、キャバリアとともに飛び込む。
 それは自殺行為に思えただろう。
 敵は数で圧する。
 そこに自らの身をさらけ出したのならば、敵の目標はヴィンデに切り替わるだろう。
「だが、それでいい」
 ヴィンデにとって、それは好都合だった。
 強大なオブリビオンマシンとの戦いに疲弊した猟兵たちではなく、現着したばかりの己に標的が絞られることは仲間の助けになるからだ。
 指を鳴らす。
 彼のユーベルコードは指を鳴らすことで、己が機体を高速戦闘モードへと移行させる。
 逆関節の二脚が跳ねるようにして放たれたミサイルを躱し、さらに瓦礫を蹴って飛ぶ。

 敵は必ず此方を包囲してくる。
 ならば、それを逆手に取って、クリスタルビットを展開する。
「迎撃を開始する」
 ヴィンデの言葉と共にクリスタルビットが一瞬で空を駆け抜け、『ヴェロキラ』へと突っ込んでいく。
 十字に整列したクリスタルビットたちは次々と『ヴェロキラ』を引き裂き、裁きの如き光線でもって撃破していくのだ。
「次」
 グラビティガンを構え、着弾箇所に荷重力を与え、軋む駆体をさらに踏みつけながらヴィンでは戦場を舞うようにして切り裂いていく。
 宙を舞う機体からホーミングレーザーが放たれ、身動きの取れなくなった『ヴェロキラ』を撃破する。
 爆発の衝撃が機体を揺らす。

 ヴィンデは周囲にこのオブリビオンマシンを操る者の姿を探す。
「『ノイン』――数字の名を持つ者」
 ヴィンデは己もまた数字の名を持つ者である。
 それは祝福なき名であり、また不幸を冠するものだ。
 己が|国《神》を喪った今、己が名は祝福ではなく呪いに転じたのだ。ならば、同じく数字の名を持つ者は、一体どちらに転ぶのだろう。

 答えはない。
 わかっている。
 己が答えを出したように、いつかその名に答えを出すときがくるだろう。
 いや、もう答えは出ているのかもしれない。
 オブリビオンマシンの走狗か、それとも手綱握る者なのか判然としない『ノイン』。
 彼女が求めるのは、真の破滅か。
 それとも。
「……『ノイン』、君はどちらなのだろな」
 キャバリアのコクピットの中でヴィンでは表情を変えない。
 バイザーに爆発の光が照らされて、その心を覆い隠す。
 未だヴィンデの『夜』は明けない。
 渇望の先を未だヴィンでは得られず、そして、答えもまた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カシム・ディーン
チョコ☆
想像より遥かにやべーのが出てきたなおい(白騎士の中身に愕然

ノインよー…随分とクレイジーな真似してくれてるじゃねーか?
何だ…狂気系キャラ気取りかてめー?
このままクレイジー気取って退場か?

…舐めてんじゃねーぞごらぁ!

「ご主人サマ☆もうこんな酷い事して…望み通りノインちゃん捕まえるならもう…あれだね♥」
うっがぁぁぁぁ!!

竜眼号に退避
地獄と絶望のUC発動
「「うぇーい☆」」


10師団
竜眼号護衛

残り
「「ひゃっはー☆」」
ヴェロキラ達に襲い掛かる無数の幼女
存分に群がって切り刻み分解して乗り手を引きずり出す
チョコドリンクを皆が飲んで不死身に近い状態で傷を恐れず地上ごと蹂躙
当然ノインにも群がって酷い事を…!


皇・絶華
チョコ☆
おお…恐ろしい程の巨大な脳…相当な演算能力があったのだろうな

白騎士…色々な意味で得体が知れない輩だなカシム…ってカシム?
(何故か巨大戦艦に引きこもる彼に首傾げ

「こ、この魔力の波動…ま、まさかあいつ…幼女祭りかますつもりか!?」
そして溢れる幼女軍団に

【薬品調合】
おお…メルシーが一杯だな!
「そんな生易しいもんじゃねぇですよ主様!あれこそ彼奴の最凶最悪の兵器!彼奴らが通った後はぺんぺん草さえ残らねぇ!」
そうなのか?だが敵ではないなら問題はないし…何より我がチョコで更に強化できるだろう!
「ぴゃーー!?」
絶望のUC発動
幼女メルシー全員に提供
今ここに不死身の地獄の集団が爆誕する…!!



『疑似脳』の搭載されたオブリビオンマシン。
 それはカシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)の想像していたものよりも、遥かに災厄の煮凝りめいたものであったことだろう。
 愕然とする。
『ブリュンヒルド』のコクピットにあったのは、巨大な脳だった。名を『疑似脳』と言う。
 周辺小国家におけるオブリビオンマシン事件に関連して、いくつかの事件に名を出したものである。

『疑似脳』は過去の『エース』、『憂国学徒兵』、『フュンフ・エイル』のものが既に確認されている。
 だが、それは機体とマッチングができていなかったのか、動きがチグハグだった。『ブリュンヒルド』ほど強力なオブリビオンマシンではなかったのだ。
 なのに、今回猟兵たちは『ブリュンヒルド』に消耗を強いられるほど手こずった。
 これが意味するのは敵は『疑似脳』にマッチングする機体をオブリビオンマシン化することができたのか、もしくは、機体にマッチングする『疑似脳』を生み出す技術を得たのか、そのどちらかであろう。
「おお……恐ろしい程に巨大な脳……相当な演算能力があったのだろうな」
 皇・絶華(影月・f40792)は、事の顛末の行方を見やりつぶやく。
 肥大化した脳は、恐らくキャバリアという体高5m級の体躯に合わせたか、もしくは『エース』の技量を完璧に再現するには、あれだけのサイズが必要になったのかもしれない。

「随分とクレイジーな真似してくれるじゃねーか? なんだ……狂気系キャラ気取りカてめー?」
「カシム……?」
 絶華は何故かカシムが巨大な戦艦へと引きこもるのを見送って首を傾げる。
「一体どうしたというのだ?」
「あ、主様。こ、この魔力の波動……」
「ん?」
 絶華は未だ事態を飲み込めていないようだった。
 迫るは大群のオブリビオンマシン『ヴェロキラ』である。
 これを退けなければならないのだが、カシムは何をしているのだと絶華は思っていたのだ。いきなり戦艦に引きこもる、ということは補給の類いではないか、と。

「……舐めてんじゃねーぞごらぁ!」
 カシムの叫ぶ声が聞こえる。
「ま、まさかあいつ……幼女祭りをかますつもりか!?」
「こんな酷いことして……望み通り、だね☆ あれだね♡」
「うっがぁぁぁぁ!!」
 カシムの絶叫が響く。
 対軍撃滅機構『戦争と死の神』(メルシーハルノヨウジョマツリ)が発動する。

「うぇーい☆」
「うぇーい☆」
 それは地獄と絶望であった。
『サートゥルヌス』はあふれかえる幼女軍団を目にして天を仰ぐ。
 すでに『ノイン』の姿は此処にはないだろう。
 ただ怒りに任せているだけだと、理解できる。だからこそ、である。此処にいるのは彼らだけではない。
 己が主、絶華もいるのだ。
 つまり、地獄のコラボレーションが始まるのである。
「おお、メルシーが一杯だな!」
「そんな生易しいもんじゃねぇですよ主様! あれこそ彼奴の最凶最悪の兵器! 彼奴らが通った後はぺんぺん草さえ残らねぇ!」
「ひゃっはー☆」
 軽快な声が聞こえる。

 まるで緊張感がない。
「そうなのか?」
 絶華が悠長に構えているのも頷けるというものである。
 確かに数は多いが敵ではないのだ。なら、何も心配することはないと言わんばかりである。
「ふむ。ならば、我がチョコで更に強化できるな!」
「ぴゃ――!?」
 心が籠るバレンタインチョコドリンク(キョウキトアクムノジゴクドリンク)をさっと取り出した絶華は頷く。
 ついでに微笑んでもいた。
 漢方と虫配合の狂気の超高濃度カカオ汁とも言うべきチョコドリンク。
 これを持って絶華はあろうことかメルシー軍団に供与したのだ。
「ひゃ――っは――☆」
 そこからもう後は地獄絵図であった。
『ヴェロキラ』に推しかかる幼女軍団。
 それを見て満足げな顔の絶華。
『サートゥルヌス』の言葉通り、まさしくぺんぺん草すら残らぬ黒飛蝗の軍勢じみた幼女軍団は敵を壊滅させる勢いで戦場をひた走り、蹂躙と呼ぶに相応しい戦いを見せるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

月夜・玲
うわ、脳みそじゃん
爆発四散したからいいけど、そのままぶちまけられてたらグロ映像じゃん
こわ~
トラウマもんじゃんR18Gついちゃうじゃん
お子様が安心して見られる映像作りに拘っていますとか出来ない!
おのれノ院!

余力はあるけどもう一仕事した感はあるから…
【Overdrive I.S.T】起動
100対の雷と炎の剣のチームを結成
各自自由に、『斬撃波』を飛ばしたり『なぎ払い』や『串刺し』の剣戟で戦って各個撃破して貰おう
私は安全そうな後方まで撤退
優雅なティータイム!
そうこういう時はまろまろ茶!

ミサイルとマシンガンの余波が飛んでこないよう、『オーラ防御』と『念動力』で周囲をガード
攻撃受けたらのんびり出来ないしね



 月夜・玲(頂の探究者・f01605)はオブリビオンマシン『ブリュンヒルド』のコクピットに配されていた巨大な脳『疑似脳』を見て、うわ、と声を上げていた。
 爆散した機体。
 すでに痕跡は残されていないだろう。
「や、爆散四散したからいいけど、そのままぶちまけられてたらグロ映像じゃん。こわ~」
 玲は二の腕をさする。
 これが映像作品であったのならば、トラウマもんである。
 レーティングが一気に引き上げられるし、倫理委員会が黙っちゃいないであろう。
 まったく、と玲は憤慨する。
「お子様が安心して見られる映像作りに拘ってますとかできない! おのれノ院!」
 やはり行き先は倫理委員会か。いつ出発する?
 みたいなノリで玲は息を吐き出す。

 オーバーロードの負荷は彼女の体力を削るものであったが、しかし余力はまだ残っている。
「でもまあ、ひと仕事した感はあるよね……」
 お気に入りのテックウェアが汚れなくてよかった、と玲は裾を払って、ふむ、と考える。
 動くのがしんどい。
 別にやれないわけじゃないけれど、これ以上は過労働じゃない? と思ったのである。働きすぎってよくない。残業代もでないのが猟兵稼業の辛いところである。
 なんか良いスクラップなんかを集めようにも、爆散しているし。
「システム、多重起動。Overdrive I.S.T(オーバードライブ・アイエスティー)……負荷は完全無視ムシっと」
 ユーベルコードによって招来するのは雷纏った百振りの剣と蒼炎を纏った百振りの剣。
 整然と居並ぶ剣に玲は命じるのだ。
「さあ、暴れ狂え!」
 その号令に従うようにして剣が飛翔する。

 迫るオブリビオンマシン『ヴェロキラ』の大群、その残された部隊めがけて飛ぶ。
 他の猟兵たちも多くを撃破しているのだろう。
 後は、取りこぼしがないように戦うまでである。
「さて、私は安全な後方まで撤退、と」
 ふぅ、と玲は折りたたみスツールを手にして腰を下ろす。
 はぁ~どっこいしょ、とは言わない。
 まだまだいけるのである。
「そう、こういう時はまろまろ茶!」
 優雅なティータイムのはじまりである。

 玲はミサイルとマシンガンの余波が飛んでこないようにオーラと念動力で己の周囲をガードし、お茶を口に運ぶ。
 うん、まろまろしている。
「戦いの中にも一服って大切だよね。喫茶去。喫茶去」
 いや、別にオブリビオンマシンには言わないけれど、と玲は息を吐き出す。
 戦場のティータイムは、あまりにも場違いであったけれど、忙しない戦いの日々だからこそ、のんびりしなければならないのだ。

「うん、剣も今日は絶好調」
 飛翔する剣の群れ。
『ヴェロキラ』たちは、飛翔する剣を標的にしきれないのだろう。次々と剣に武装を貫かれ、切り裂かれ、駆動系を寸断されては擱座していく。
「終わったかな?」
 玲は戦闘の音が途絶えたことを確認して立ち上がる。
 そこには『ヴェロキラ』の残骸が山なりになっていた。敵の用意周到なる策は確かに猟兵に通じることを今回の戦いで示しただろう。
 それは、さらなる激戦を予感させるものであった。

 だが、玲はティーカップをくいっと飲み干して息を吐き出す。
「まあ、なんとなかるでしょ。慌てない慌てない。一休み、一休み」
 もう戦いは終わっているけれど。
 それでも、未だ余裕あり、と示す行為もまた必要なのだ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年04月28日


挿絵イラスト