|闘技場《バトルアリーナ》の罠
●『ゴッドゲームオンライン非公式攻略wiki』より抜粋
『プレイヤーキラー』とはオンラインゲーム上においてもっとも忌み嫌われる行為の一つであり、それは『ゴッドゲームオンライン』でも変わらない。ただし、『ゴッドゲームオンライン』においては対人戦、いわゆる『PvP』要素のあるコンテンツがいくつか存在する。
その中でも|闘技場《バトルアリーナ》は勝ち抜けば多額のトリリオンと激レアアイテムが入手できるとあり、上級者たちの人気を集めている。
|闘技場《バトルアリーナ》ごとにルールは異なるが、一般的なのは参加者全員によるバトルロイヤル予選を行い、勝ち残ったプレイヤーたちがチャンピオンに挑むというものだろう。この場合、チャンピオンを倒した参加者が最終的な勝者となる。
●またお前か
「そんな『|闘技場《バトルアリーナ》』がバグプロトコルに乗っ取られました(;´Д`)」
一部の猟兵から「またお前か」という表情を向けられたのは、エウレカ・ムーンサイド(月光竜はダンジョンをバズらせたい・f42610)。
「今回はですね、ラグメントという街にある『|闘技場《バトルアリーナ》』のチャンピオンNPC、『獣人女傑レオナルダ』を倒していただきます。彼女を倒せば今回は解決すると思うのですが、その前に一つ懸案要素がございます('_')」
猟兵らの前に、あるゲームプレイヤーの画像が映し出された。
「『ジュタロー』というプレイヤーなのですが、彼がバグプロトコルに狙われています。こちらで調査出来る限りのログを調べたのですが、彼本人に不自然な点は見受けられませんでした。単なる上級者プレイヤーで、エンドコンテンツとして|闘技場《バトルアリーナ》を楽しんでいる普通の人です(?・ω・?)」
不思議そうな顔を浮かべるエウレカに釣られ、猟兵たちも首をかしげる。
「その『ジュタロー』がラグメントの|闘技場《バトルアリーナ》に挑戦し、なす術もなくレオナルダに負けて|遺伝子番号《ジーンアカウント》を焼却される未来が見えました。なので皆さんにはジュタローを守りながらレオナルダを倒してもらいます(・ω・)」
『猟兵がジュタローを倒して強引にリタイアさせればよいのでは?』という意見が飛ぶ。しかし、エウレカは『その手は使えない』と明言した。
「猟兵がジュタローを倒した場合、今度はジュタローがログアウトできない状態になるよう設定されているようです。こちらからではちょっと解除できないようですね(~_~;)」
敵もさるもの、と猟兵たちが納得した顔をしている。
「まずは皆さんをラグメントの|闘技場《バトルアリーナ》まで転送します。受付で出場手続きを行い、バトルロイヤル予選を勝ち抜いたら次は決勝戦です!頑張ってください(^_-)-☆」
エウレカの三日月形のグリモアが輝いた。
武炎鉄
こんにちわ、武炎鉄です。34作目は久しぶりのGGOでバトルしようぜ!なお話です。元々公式のアリーナシナリオが出る前に書いていたシナリオなので、若干齟齬があるかも。
●『ジュタロー』(ゲームプレイヤーの聖剣士×スカイランナー)
見た目は10代後半~20代前半の男性です。一人称は『僕』、二人称は「あなた」。朗らかで礼儀正しい一般人です。
バフで自身を強化し、ヒットアンドアウェイとアクセルコンボを組み合わせた戦法をメインとしています。その特性上一度でも攻撃が入ると大ダメージを喰らってしまいます。
猟兵がラグメントの闘技場に到着した時点で既にエントリーを済ませ、ロビーで試合の準備をしています。交流はご自由にどうぞ!
●第1章では試合前の準備を行ってもらいます。選択肢の内容にはこだわらずご自由にどうぞ。
●第2章では予選参加者に紛れたバグプロトコルを倒してもらいます。詳細は断章にて。
●第3章ではバグプロトコルに乗っ取られたチャンピオンNPC『獣人女傑『レオナルダ』』を倒してもらいます。レオナルダはジュタローを優先的に狙ってきますので、彼を守りながら戦ってください。詳細は断章にて。
第1章 冒険
『闘技大会』
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POW : 正々堂々正面から勝利を目指す
SPD : プレイヤースキルを駆使して全力で戦う
WIZ : 賄賂や謀略で不戦勝を狙う
👑7
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●|闘技場《バトルアリーナ》へようこそ
|闘技場《バトルアリーナ》の内部施設というのは、基本的にどこも似たような作りになっている。
出場者向け受付の隣にはギルドの簡易窓口があり、トリリオンやアイテムの預け入れや引き出しができる。そのまた近くには売店があり、傷薬などのちょっとした消耗品が購入できる。更にそのまた近くには酒場があり、試合を観戦しながら酒や食事を楽しむことができる。また、出場者がバフを掛けるために試合前に食事をとることも珍しくない。
そして、出場者を賭けの対象としたギャンブルも公然と存在する。カジノなどと比較すると低いレートであるが、当たればそれなりに稼げると評判である。
さて、出場手続きを済ませた猟兵たちであるが、試合開始までにはまだ少々時間がある。どのように時間を過ごすのかは皆の自由だ。
政木・朱鞠
行動【WIZ】
試合開始までには時間があるようだし、変にバグプロトコルに警戒されても損なだけよね。
こういう時は一般出場者にまぎれて楽しみながら敵を炙り出さないと不粋ってものだよね。
素性は…体術系の女格闘家を装っておこうかな、演じる性格は高飛車な方が周囲を刺激できるかな。
内部施設めぐりと同時に参加者に紛れたバグプロトコルは複数居ると仮定して、わずかでも予選で仕留めるターゲットの目星を付ける手札を揃える様にしないとね…。
のぞき見みたいでちょっと気が引けるけど…感覚共有した『忍法・繰り飯綱』を参加者の控室などに放ち【追跡】や【情報収集】で周辺の情報を出来るだけ多く集めたいね。
アドリブ連帯歓迎・NG無
●前哨戦は酒場にて
受付で出場手続きを済ませた政木・朱鞠(狐龍の姫忍・f00521)はロビーをぐるりと見渡した。
(こういう時は一般出場者にまぎれて楽しみながら敵を炙り出さないと不粋ってものだよね。)
この|闘技場《バトルアリーナ》内のどこかにいるバグプロトコルがこちらを警戒している可能性は否定できない。こちらが下手に動けば向こうの出方も大きく変わるだろう。
物陰に隠れ、印を結ぶ。
「我が魂魄の欠片よ目覚め…力を行使し見聞きせよ…急急如律令。」
子狐に似た分霊たちが朱鞠の『忍法・繰り飯綱』により呼び出された。
「この施設の中にバグプロトコルの痕跡がないか探してきて。」
分霊たちは小さく頷くと、他者に気付かれないよう、施設内に散らばり捜索を始めた。
酒場に入った朱鞠は、あえて高飛車なオーラを出しつつカウンター席に腰かけ、店主に聞いた。
「マスター、試合前に軽くつまめるものはあるかしら?」
「出場者の方ですか、少々お待ちください。」
そう言ってバーテン姿の店主が取り出したのは、ミックスナッツと中で赤い色の液体と氷が揺れるグラスだった。
「こちらは『サマー・ディライト』でございます。ノンアルコールカクテルですので、試合中に酔っぱらうという心配はございません。」
トリリオンを支払い、早速グラスに口を付ける。冷たくも甘酸っぱい風味と炭酸の弾ける感触が口の中を駆け抜け、喉を潤す。そこにミックスナッツの塩気が加わると、暑い夏も乗り越えていける気がした。
「おい、そこの姉ちゃん。」
背後から声を掛けられ、朱鞠が振り返る。そこには如何にもチンピラ然とした大柄な男と、その取り巻きと思しきこれまたチンピラどもが立っていた。
「何?ナンパならお断りよ。」
高飛車風に返答する朱鞠。どうやら図星だったようで、大柄な男が取り繕ったように言葉を続ける。
「アンタも出場者なんだろ?だったらオレたちと協力しないか?」
「協力?どうも信用ならないわね。どうせ裏切るんでしょ?」
煽るように適当な言葉を並べただけだが、これもまた図星だったらしい。大柄な男が表情を変え、朱鞠に掴みかかる。
「ちょっと可愛いからって、調子に乗ってんじゃねえぞテメェ!」
この程度の相手なら体術で叩きのめすことも可能だが、事を荒立ててバグプロトコルに目を付けられるのも危うい。さてどうするかと思案を巡らせる朱鞠の前に、白い鎧を着こんだ青年が仲裁に入った。
「止めてください、彼女嫌がってるじゃないですか!」
「やんのかテメェ!」
「喧嘩するなら店の外でやってください。」
店主が2人に釘を刺した。
「お前ら覚えてろよ!後でコテンパンにしてやるからな!」
絵に描いたような三下ムーブで、その場から立ち去る大柄な男とその取り巻き。その背中を見ながら、朱鞠は大柄な男から一瞬感じた、嫌な感触について考えていた。
(まさかとは思うけど、アレも一種のバグプロトコルかしら?)
成功
🔵🔵🔴
ミーヤ・ロロルド(サポート)
『ご飯をくれる人には、悪い人はいないのにゃ!』
楽しいお祭りやイベント、面白そうな所に野生の勘発動させてくるのにゃ!
UCは、ショータイムの方が使うのが多いのにゃ。でもおやつのUCも使ってみたいのにゃ。
戦いの時は得意のSPDで、ジャンプや早業で、相手を翻弄させる戦い方が好きなのにゃよ。
口調だけど、基本は文末に「にゃ」が多いのにゃ。たまににゃよとか、にゃんねとかを使うのにゃ。
食べるの大好きにゃ! 食べるシナリオなら、大食い使って、沢山食べたいのにゃ♪ でも、極端に辛すぎたり、見るからに虫とかゲテモノは……泣いちゃうのにゃ。
皆と楽しく参加できると嬉しいのにゃ☆
※アドリブ、絡み大歓迎♪ エッチはNGで。
●白い鎧の青年
さて、酒場の一悶着を遠巻きに見ていた猟兵がいた。ミーヤ・ロロルド(にゃんにゃん元気っ娘・f13185)である。彼女は受付を済ませた後、腹ごしらえを済ませるべく酒場で食事をしていたのであった。
「さっきの白い鎧の人、どこかで見た覚えがあるにゃ。」
スペアリブの煮込みを食べながら、ミーヤは記憶を辿ってみた。確かグリモア猟兵が見せてくれた映像の中にいた様な……。
「あの人がジュタローさんだにゃ!」
今回バグプロトコルに狙われているゲームプレイヤー『ジュタロー』その人であった。
慌てて酒場を飛び出し、ジュタローを探すミーヤ。彼はあっけないほどすぐ見つかった。ジュタローは売店でアイテムを購入していたのだった。
「ジュタローさん、ですかにゃ?」
「そうですが、何か御用でしょうか?」
とりあえず話しかけたミーヤであったが、冷静に考えると向こうは自分のことを知らないのだ。不自然なこの状況を打破すべく、ミーヤは周囲を見渡す。と、ロビーの天井部に電光掲示板の如く表示された出場者のオッズ表が見えた。その中にはジュタローの名前もある。
「あのっ、ミーヤは|闘技場《バトルアリーナ》に参加するのが初めてだから、誰かに勝ち残るコツを教えて欲しいと思ったのにゃ。人気の出場者なら詳しいかと思ったのにゃ。」
オッズの倍率的に見て、ジュタローは本命とまではいかないまでも3番手程度の人気はあった。故にミーヤの発言にはそれなりの説得力が生じたのだ。
「そうでしたか。ではロビーの方でお話ししましょうか。」
場所をロビーのベンチに変え、|闘技場《バトルアリーナ》での戦い方を教えてもらう。ミーヤはジュタローの様子を時に探りを入れながら観察していたが、不自然な点は見受けられなかった。
(何でこの人がバグプロトコルに狙われてるのにゃ?)
ミーヤの疑問も最もであった。
成功
🔵🔵🔴
メル・メドレイサ(サポート)
時計ウサギのマジックナイト×パーラーメイド、15歳の女です。
普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」、演技時は「無口(わたし、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
戦闘スタイルは多種の属性を扱う魔法使い
武器に魔法をかけ戦うこともできます
依頼にちなんだ品を給仕することを好み、味方には有効なもの、敵には嫌がらせ用のものを渡します
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
諏訪野・みすず(サポート)
「先制攻撃、だね」数の暴力で引っ掻き回すことをします。「みすずちゃんは負けないのだ」アドリブ、共闘歓迎です。
●下調べもまた肝要なり
「随分と賑わってるわね。」
「そうですね、これだけ多いと参加者側にもバグプロトコルが紛れていても不思議ではないかと。」
ロビーに降り立った諏訪野・みすず(不思議系ダンサー・f00636)とメル・メドレイサ(蕩けるウサメイド・f25476)は予想以上の人手の多さに若干驚きを隠せなかった。
今回倒すべきバグプロトコルはこの|闘技場《バトルアリーナ》で王者として君臨している『獣人女傑『レオナルダ』』であるが、彼女以外のバグプロトコルが潜んでいたとしても不思議ではない。それを自然な形で紛れ込ませるならば、参加者に偽装させるのが最も手っ取り早いと2人は踏んだのだった。
天井部に表示されているオッズ表を元に、参加者をそれとなく観察する。今回バグプロトコルに狙われているジュタローはもちろんのこと、それ以外の参加者にも不自然な点は見当たらない。
念には念を入れ、それとなく施設内にも何かの仕掛けがないか確認を行う。出場手続きを行う受付、ギルドの簡易窓口、売店、酒場……。だが、そのいずれにも何かしらの仕掛けが施されている形跡は無かった。
「となると、残るはここですね。」
2人がやって来たのは客席だ。客席そのものはよくあるアリーナ型だ。シンプルな長椅子が設置されており、ここからだと戦闘フィールドがよく見渡すことができる。
「ここも変わった点は無いようだけど……。」
黄土色の土が敷き詰められただけのフィールドを見たみすずが呟く。
「もしかしたら、戦闘時に変化するとか?」
メルが一つの可能性を提示した。ならば自分達よりこの戦場に詳しい人間に尋ねてみよう。
「すみません、この|闘技場《バトルアリーナ》ってフィールドギミックありますか?」
メルが話しかけたのは白い鎧の青年――ジュタローだ。
「前にもここで戦ったことがありましたが、その時はフィールドギミックなんてありませんでしたよ。」
あっさりと返すジュタロー。折角の機会だと言わんばかりに、メルが畳みかける。
「実は私達、|闘技場《バトルアリーナ》に参加するのが初めてでして、分からないことが多いのです。色々教えていただけると助かるのですが……。」
「初心者でしたか。僕で良ければ多少のことはお教えできると思います。」
メルの急な頼みをジュタローは嫌な顔一つせず引き受けた。ジュタローは実際に善良な人なのだろうと、みすずは2人のやり取りを聞いていて確信した。
試合開始時間が迫る。今だバグプロトコルの影は見えない。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
イネス・オルティス
闘技場ね、そういう施設は|故郷の世界《アックス&ウィザーズ》でもあったけどあまり興味なかったわね。
とりあえずは出番が来るまで会場の様子を確認して場の空気を掴んでおきましょう
ついでに怪しげな輩を確認できればいいけど、そこまでは高望みかしら?
ああ、賭けか……オッズを確認して少額賭けておきましょうか
興味ないけど、周りの雰囲気を壊すのもどうかと思うし
自分に賭けておけば誰に迷惑をかける事も無いわよね
恥ずかしさ耐性のあるイネスは、周りの視線を気にしません
そのビキニアーマー姿の存在感で、無意識に誘惑してしまう事がありますが
イネスにそのつもりはありません
アドリブ・絡み・可
●下馬評は大穴で
話は少し前に遡る。
「闘技場ね、そういう施設は|故郷の世界《アックス&ウィザーズ》でもあったけどあまり興味なかったわね。」
ロビーを見渡しながら故郷を懐かしむイネス・オルティス(隠れ里の女戦士・f06902)。GGOは彼女にとって最も故郷に近い雰囲気の世界だ。
ふと天井のオッズ表が視界に入った。出場者の人気倍率が刻々と変化する。
「ふぅん、賭けか……。」
試合開始まで時間は少しある。イネスは 試しに賭けをしてみることにした。
|闘技場《バトルアリーナ》における賭けは、出場者の中からチャンピオンNPCに止めを刺す『優勝者』とチャンピオンNPCに最もダメージを与えた『MVP』を予想するというものだ。どちらか片方だけを予想することもできる。
「闘技券の購入ですね。」
受付が闘技券購入用のディスプレイを表示させる。操作を教えてもらいながら、イネスは少額の闘技券を購入した。購入した闘技券には賭けの対象となったイネスの姿が描かれている。余談ではあるが、このデザイン故に闘技券を記念品代わりに購入していくプレイヤーも少なくない。
イネスの装着する、いわゆる『ビキニアーマー』的なきわどいデザインの鎧は様々なデザインのアイテムが実装されているGGOにおいてもかなり人目を引くものだ。それ故か、彼女は厄介な集団に目を付けられた。
「おい姉ちゃん、オレたちと手を組まないか?」
先程酒場で騒ぎを起こしたチンピラたちだ。彼らは懲りずに声を掛けてきた。
「あら、あなたたちも出場者なの?」
「そうだ。オレたちと組めば、賭けたトリリオンの分は元が取れるぜ?」
会話をしながらも、イネスは出場者の中にこのチンピラ軍団がいなかったことに気付いていた。何せ、賭けの対象となっているのは全出場者であり、イネスは先程まで闘技券購入の為、出場者のリストを見ていたのだ。怪しい。どう考えても怪しい。
「残念ながらお断りね。」
イネスの釣れない態度に、リーダー格の大柄な男が舌打ちをしながら悪態をつく。
「そんな誘うような見た目しやがってよぉ!覚えてやがれ!」
時計が試合開始時刻を示した。出場受付を担当する|組合員《ギルドスタッフ》の声が場内に響く。
「出場者の皆様はロビーにお集まりください。」
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『汚武離美怨亭の常連』
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POW : 喧嘩か?俺も混ぜろ!
自身が【敵意や痛み】を感じると、レベル×1体の【汚武離美怨亭の常連】が召喚される。汚武離美怨亭の常連は敵意や痛みを与えた対象を追跡し、攻撃する。
SPD : 喧嘩か?俺も混ぜろ!
自身が【敵意や痛み】を感じると、レベル×1体の【汚武離美怨亭の常連】が召喚される。汚武離美怨亭の常連は敵意や痛みを与えた対象を追跡し、攻撃する。
WIZ : 喧嘩か?俺も混ぜろ!
自身が【敵意や痛み】を感じると、レベル×1体の【汚武離美怨亭の常連】が召喚される。汚武離美怨亭の常連は敵意や痛みを与えた対象を追跡し、攻撃する。
イラスト:せとたまき
👑11
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●予選開始
予選ラウンドが始まった。予選はバトルロイヤル形式であり、制限時間まで生き残っていたプレイヤーが決勝のチャンピオンNPC戦に進めるのだ。
暫くは普通に戦っていた猟兵たちだったが、そこに存在するはずのないNPC集団が出現したことにより、その対処に追われることとなった。
――『汚武離美怨亭の常連』は本来酒場でのイベント用として存在するNPCであった。だが、|闘技場《バトルアリーナ》がバグプロトコルに汚染されたことにより、彼ら自身もバグプロトコルと化したのだった。試合開始前、一部の猟兵に絡んでいったのは彼らの本来の役割の残渣と言えよう。
「あれは、さっき酒場にいたチンピラ!?」
驚くジュタローに、チンピラの持つナイフが襲い掛かる。ジュタローは間一髪のところで回避すると、カウンターの一撃をチンピラに加えた。
この予選を勝ち抜かなければ、『獣人女傑レオナルダ』を倒すことはできない。
政木・朱鞠
なるほど…NPCもバグに汚染され刺客として潜んでいたのね、表立っては客同士のトラブルが予選に持ち越されたってカバーストーリー的な感じで首を突っ込んで…この雰囲気の波に乗っちゃう方がターゲットの懐に入りやすいかな?
どちらにしても、勝ち抜くために容赦なく蹴り伏せてあげるよ…お覚悟よろしくって?
戦闘【SPD】
もちろん、ちょっとの油断も戦況を左右する危うい感じがするから気を抜けないバトルロイヤルと心得ておかないとね。
得物は『風狸ノ脛当』をチョイスして、若干強引気味になるけど【フェイント】技能を使いタイミングを崩し、武器の専用技『忍法・黒旋蹴』で関節部狙いで思いきり【鎧砕き】や【鎧無視攻撃】のキックで間を置かないダメージを与えたいね。
アドリブ連帯歓迎
●因縁の対決
「なるほど…NPCもバグに汚染され刺客として潜んでいたのね。」
これならいくら施設内を探しても見つからない筈だ。朱鞠は納得しながらも攻撃の手を緩めない。
「おい、さっきの女じゃねぇか!」
チンピラの一人が朱鞠に気付いた。あの男は確か酒場での一悶着の際、取り巻きの中にいたチンピラだ。これはちょうどいい。『客同士のトラブルが予選に持ち越された』というカバーストーリーを展開すれば、ターゲットであるバグプロトコルの懐に入りやすい。
朱鞠は少しだけニヤリと笑うと、挑発するようにチンピラたちへ言葉を放った。
「あら、さっきのナンパ軍団じゃない。諦めが悪いのね。」
見事に挑発に引っかかったチンピラたちが一斉に朱鞠へと襲い掛かる。しかしそれは朱鞠の罠。『風狸ノ脛当』により強化された浴びせ蹴りが容赦なくチンピラたちを吹き飛ばす。人影に紛れ、こちらに向かってボウガンを放とうとしたチンピラに忍者手裏剣『鳳仙花』を投げつけ、その頭部に突き刺さったのを確認すると、返す刀で背後から襲い掛かろうとしたチンピラに回し蹴りを叩きこんだ。
「よくもやってくれたな!」
チンピラが更に仲間を呼び寄せる。この人数ははちょっと骨が折れそうだと朱鞠が顔をしかめたその時だった。
「大丈夫ですか!?」
白い鎧の青年――ジュタローが敵を切り伏せながら駆けつけてきた。
「さっき酒場で絡まれていた方ですよね?まだ狙われていたんですか?」
護衛対象が自分から近づいてくれるとは有り難い話だ。朱鞠は話を合わせる。
「そうなの。しつこい男はこちらから願い下げなのに。」
「少しですが、自分も手伝います!」
手にしたツインブレードから電撃を纏った斬撃を繰り出し、敵を片付けるジュタロー。なるほど、上級者らしく多少は腕が立つようだ。
「おうおう、随分と派手に暴れてくれたな。」
チンピラどものボスである大柄な男が手斧を装備して現れた。大柄な男が2人を一瞥する。
「今までのお返しだ!それっ!」
振り下ろされた手斧を間一髪のところで回避する2人。手斧が当たった地面が大きく抉れている。どうやらあの男も侮れない力を持っているようだ。
「僕が攻撃を引き付けます。その隙にありったけの一撃を叩き込めますか?」
ジュタローの提案に朱鞠が頷く。
「イチャついてんじゃねぇ!」
大柄な男のどこか勘違いした怒りの一撃がジュタローへと襲い掛かる。
「キャストオフ!」
ジュタローの声と共に白い鎧の一部が吹き飛ぶ。『キャストオフ』は|聖剣士《グラファイトフェンサー》のスキルの一つだ。装甲を自ら削ることにより、防御力低下と引き換えに素早さと回避率、攻撃力を向上させる効果を持つ。
手斧の軌道を見切り、回避するジュタロー。その陰から飛び出した朱鞠が大柄な男の肩関節と首に向かって超音速の三段回し蹴り――『忍法・黒旋蹴』を叩き込んだ。
「ふぐぅ!」
断末魔を上げ、倒れ込む大柄な男。
「ああっ!ボスが!」
その様子を見た取り巻きのチンピラたちに動揺が走る。
「まだやる気?こっちはまだイケるけど?」
強気に答える朱鞠に、チンピラたちは震えながらも抵抗を止めない。
「ボスの仇を取るんだ!お前らやっちまえ!」
朱鞠はやれやれと言いたげな顔を浮かべると、双刃『狐剃刀』を手に迎え撃つ体勢を取った。
予選はまだ始まったばかりだ。
大成功
🔵🔵🔵
数宮・多喜(サポート)
『アタシの力が入用かい?』
一人称:アタシ
三人称:通常は「○○さん」、素が出ると「○○(呼び捨て)」
基本は宇宙カブによる機動力を生かして行動します。
誰を同乗させても構いません。
なお、屋内などのカブが同行できない場所では機動力が落ちます。
探索ではテレパスを活用して周囲を探ります。
情報収集および戦闘ではたとえ敵が相手だとしても、
『コミュ力』を活用してコンタクトを取ろうとします。
そうして相手の行動原理を理解してから、
はじめて次の行動に入ります。
行動指針は、「事件を解決する」です。
戦闘では『グラップル』による接近戦も行いますが、
基本的には電撃の『マヒ攻撃』や『衝撃波』による
『援護射撃』を行います。
仲佐・衣吹(サポート)
キレイなもの、カワイイもの、ぶち壊そうなんて許さないんだから
バトルだって芸術よ。美しく戦いなさい!
お相手するはアタシことネイル
美術好きな女性人格よ
口調はいわゆる女言葉かしら
身のこなしが一番軽いみたいで
接近戦より距離をとってダガーで戦うのが好きよ
よく使う手は
外套を投げつけて囮や目暗ましからの一撃
ルーンソードで戦ってる途中で手放して虚を突き、袖口から隠し武器としてダガー
光属性を付けたルーンカルテを落としといて、タイミングを見て目潰しフラッシュ
こんなところかしらね
アイテムやユーベルコードはお好きに選んでくれていいわ
使えるものは全部使って、華麗に美しく戦いましょ!
●乱戦の檻
一方その頃、仲佐・衣吹(多重人格者のマジックナイト・f02831)は酔っ払いどもの相手をしていた。今回出場したのは複数いる彼の人格のうち、女性人格のネイルだ。
「おい姉ちゃん!もう一杯持ってこい!……何だ男か。」
「色々と失礼な輩ね!これで酔い冷まししなさい!」
ネイルは水の魔力を付与したルーンソードで無礼な酔っ払いを切り伏せると、氷の魔力をを付与したルーンカードを酔っ払いどもの群れの中心部へ投げつけた。
「お冷はサービスよ。」
ルーンカードを中心に発生した吹雪が酔っ払いどもを氷漬けにしていく。身動きの取れなくなった酔っ払いごと氷ごと破壊し、撃破数を稼ぐネイル。だが仕留め損ねた酔っ払いが次々に仲間を呼び寄せる。
「強さ自体は大したことないけど、これじゃキリがないわね……。」
ネイルのぼやきが聞こえたのか定かではないが、彼の背後で爆発音と衝撃波が発生した。振り返ったネイルが見たのは、爆発跡の中心に佇む数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)の姿だった。
「あら、|ご同業《猟兵》?酔っ払いの相手は大変じゃなくて?」
「大変だよ。しかも次から次へと出てくるからキリがない。」
「ここは暫く共同戦線とシャレこまない?」
ネイルの提案に多喜が二つ返事で了承した。
「じゃ、決まりね。」
「ネイルさん、ちょっと時間を稼いでもらえないかい?」
「いいわよ、どれくらい必要かしら?」
「3分くらいあれば十分さ。ちょっと詠唱が必要でね。」
納得したネイルがニヤリと笑った。その笑みに多喜もウィンクで返す。
「じゃ、始めるわよ!」
ネイルが虚空に指先を向けると、天井から165本の光輝く裁きの剣がバトルフィールドへと降り注ぐ。裁きの剣は酔っ払いたちを貫いたが、それだけで全てを倒しきれたわけではない。ネイルは地面に突き刺さった裁きの剣を手にすると、酔っ払いたちを斬り捨てていく。
「……ashes to ashes,dust to dust,past to past……」
その間も多喜の詠唱が続く。多喜に接近しようとした酔っ払いもいたが、それらはことごとくネイルの放ったダガーに貫かれた。
「収束せよ、『|黄泉送る檻《サイキネティック・プリズン》!』」
電撃が酔っ払いどもを取り囲み、サイキックブラストによって構築された檻に閉じ込め、その内部に流れる電撃とサイキックブラストの奔流が酔っ払いどもを攻撃する。檻に入らなかった酔っ払いはネイルが雷の魔力を帯びたルーンソードで切り伏せていった。
「討ち漏らしはないみたいね。」
「これで仲間を呼ばれる心配はないかな。」
安堵した顔の2人だが、これはまだ予選。決勝には未だ見ぬ強敵がいる。その事を思い出し、改めて気を引き締めるのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
イネス・オルティス
やれやれ、出場選手一覧にいなかったこいつらは、どういう扱いなのかしらね
まあいいわ、来るなら叩き潰すだけよ
乱戦なら【新薄衣甲冑覚醒】か
敵の攻撃は武器受けで受け流し、隙をついてこちらが攻撃
見かけによらない怪力でなぎ払い、鎧砕きで継戦能力を奪っていくわ
ビキニアーマーは攻撃の鎧、やられる前にやるのが生きる道よ
勇気と覚悟をもって踏み込んでこそ浮かぶ瀬もある
当たらなければ、どうという事は無いというのはビキニアーマー使いにとって真理よ
もっともオーラ防御もあるし、そこらのチンピラの攻撃でどうこうなるほど
私のビキニアーマーはやわじゃなけどね
●それは偶然の一致か
時を同じくして、イネスはチンピラと酔っ払いの混合編成に立ち向かっていた。
「やれやれ、出場選手一覧にいなかったこいつらは、どういう扱いなのかしらね?」
ゲームシステム的には『予選出場者が足りなかった場合のNPC』という処理なのだろう。この|闘技場《バトルアリーナ》がバグプロトコルに汚染された際、本来のNPCの存在が書き換えられ、実際とは違うNPCが使われるようになってしまったのだ。
「まあいいわ、来るなら叩き潰すだけよ。」
他世界出身であるイネスがそれを知る由もない。目の前の敵を倒していく。ただそれだけだ。
「そのビキニアーマー、さっきの女じゃねぇか!」
「お前知ってんのか?」
「忘れるわけないだろ!今どきあそこまでのビキニアーマーは滅多にお目にかかれないからな!」
「ま、確かにいい女だよな。」
チンピラと酔っ払いが心底どうでもいい会話をしているが、イネスからしたらそれどころでない。雑魚ばかりとはいえ、彼女にとってこの大群を相手取るのはかなり骨が折れる。
「そうね、これならどうかしら!」
イネスの身体が光に包まれる。その眩しさに目がくらんだ男どもだったが、同時に溢れ出る覇気に気圧されていた。
「今、伝統の鎧から究極の鎧へ大進化を遂げる!」
イネスの身体を包むビキニアーマーは先祖伝来のシンプルな、質実剛健とも言える白いデザインのものから、本来の姿である豪奢な、女神を思わせる黄金の優美なデザインのものへと変化した。それは偶然にもGGOにおける激レアアイテム『|美女神《ヴィーナス》のビキニアーマー』とよく似ているものだったが、彼女はそれを知らない。
「すげぇ!『|美女神《ヴィーナス》のビキニアーマー』だ!」
「酔いも吹っ飛ぶ超レアアイテムじゃねぇか!」
「噂には聞いてたけど、装備してるヤツ初めて見たぞ……。」
チンピラも酔っ払いも初めて見る激レアアイテムに大騒ぎだ。そのうち、誰かが言い出した。
「あの女を倒して引っぺがそうぜ!」
言うや否や、ナイフや手斧など、武器を手にイネスに襲い掛か家る男ども。少なくとも10人はいただろう。だがイネスは慌てない。愛用の『巨獣槍』を構えると足に力を入れ、一回転するように一閃になぎ払った。
「ウソだろ……あれだけの人数で飛びかかったんだぜ?」
チンピラの1人が信じられないという様子で驚いている。
「隙あり!」
驚くチンピラをジュタローがツインブレードで切り裂いた。
「あの人さっき、不良に窓口で絡まれていた方だ。」
ジュタローはイネスがチンピラどもに迫られていたのを目撃していた。その時は試合開始時刻が迫っており、仲裁に入ることができなかったのだった。
「『|美女神《ヴィーナス》のビキニアーマー』を持っているなんて、相当なやり込み勢なんだろうな。」
何事かを盛大に勘違いしたジュタローであった。
大成功
🔵🔵🔵
古賀・茉莉(サポート)
人間の殺人鬼×魔女、17歳の女です。
普段の口調は「口調:ボクっ娘(ボク、~君、だね、だよ、~かい?)
戦闘中はボクっ娘(ボク、~君、だね、だよ、~かい?)
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
ジャンルは戦闘が特に好きです。
描写は自身の血みどろ、苦戦、スプラッタ、バイオレンス、内臓露出するくらいの負傷描写を特に好みます。
スキルは特に使わず武器のみで戦います。
よろしくおねがいします!
中村・裕美(サポート)
副人格のシルヴァーナで行動します
『貴方はどんな血を流すのかしら』
多重人格者の殺人鬼× 竜騎士
外見 赤の瞳 白の髪
口調 (わたくし、~さん、ですわ、ますの、ですわね、ですの?)
裕美のもう一つの人格で近接戦闘特化。お嬢様口調だけどアグレッシブで享楽的
戦闘では【残像】が残るような優雅ステップで敵に近づき、惨殺ナイフによる【切断】
槍を使うことがあれば、相手を【串刺し】にします
その他使えそうな技能があれば適宜使用する感じで
【瞬きの殺人鬼】使用後の昏睡状態はもう一つの人格に切り替えカバー
電脳魔術が使えないので裕美の能力が必要な場合は【オルタナティブ・ダブル】で呼び出します
あと、虫が苦手
●衝突と余波
「おい、お嬢ちゃん。」
チンピラの一人が古賀・茉莉(人間の殺人鬼・f33080)に話しかけた。
「場所間違えてんじゃねぇのか?ここはお前みたいなガキンチョが来る場所じゃ」
だが、彼が全てを言い終わる前に、茉莉は『黒星ノ双剣』を振り、一撃でチンピラを切り裂いた。
「間違えてないよ。だってここは戦うための場所でしょ?」
事も無げに言い切る茉莉。|好敵手《ライバル》を求めて止まない彼女にとって、この|闘技場《バトルアリーナ》は最高の場所なのだ。
「それにしても、この雑魚はどうにかならないのかな。数で押すだけじゃ能がないよ。」
茉莉がぼやく。バグプロトコルの群れが乱入するまで茉莉と戦っていた一般ゲームプレイヤーたちはいずれも上級者揃いで、それなりに骨があり楽しめた。だがこのバグプロトコルどもはどうだ。数の力に頼って個の力は大したものではない。彼女はそれが不満なのだ。
「あらあら、こんなところで同類に出くわすなんて。」
声を掛けてきたのは中村・裕美(捻じくれクラッカー・f01705)の副人格『シルヴァーナ』だ。彼女もまた、バグプロトコルの弱さに力を持て余していたのだった。
「へぇ、多少は腕が立ちそうだね。」
シルヴァーナの只者ではない気配に、歓喜を隠せない茉莉。シルヴァーナもまた、茉莉の実力を確かめたいと考えていたのだった。
『黒星ノ双剣』を構える茉莉と二振りの惨殺ナイフ『Zanne di squalo』と『principessa di tagliatore』を構えるシルヴァーナ。2人の間に言葉はいらない。
先に動いたのは茉莉だった。彼女の瞳がユーベルコードの光に染まる。『黒星ノ双剣』をシルヴァーナの首筋に向けて振り下ろすが、シルヴァーナも冷静に刃の軌道を見切ると、事態を飲み込めていない酔っ払いを盾にして攻撃をしのぎ、返す刀で『|切裂姫《プリンチペッサ・ロ・スクァルタトーレ》』を繰り出した。
『|切裂姫《プリンチペッサ・ロ・スクァルタトーレ》』の一撃は|聖剣士《グラファイトフェンサー》もかくやの攻撃速度であったが、茉莉も負けじとそばにいたチンピラを身代わりにし、カウンターの連続攻撃を繰り出す。一発、二発、三発と斬撃を放つも、シルヴァーナは乱戦の状況下を生かし、バグプロトコルを障害物として使いながら攻撃を回避する。
「やるじゃないか!」
「そういうあなたもね!」
|好敵手《ライバル》との出会いに心弾む2人だが、その周囲には2人の戦いに巻き込まれて倒されたバグプロトコルの残骸が積み重なっていた。
四発、五発、六発、七発と茉莉の攻撃は緩まない。そうこうしているうちに、障害物として利用できそうなバグプロトコルも少なくなってきた。
おそらく次が最後の攻撃になるだろう。そんな予感を覚えながら、茉莉とシルヴァーナが再び向かい合う。
一瞬、シルヴァーナの姿が視界から消えた。それと同時に茉莉も全力で『黒星ノ双剣』を振り上げる。刃に何かが触れた、だが、仕留めてはいない。
茉莉の背後に現れたシルヴァーナの背中から血が流れだしたのと、茉莉の頬に一筋の赤い線が現れたのは全く同じタイミングだった。
予選終了を告げるブザー音とアナウンスが会場内に響き、一拍遅れて歓声と拍手が観客席から聞こえてきた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
第3章 ボス戦
『獣人女傑『レオナルダ』』
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POW : スパルティオン・ウォーリア
光輝く【黄金の鎧を纏う女戦士】に変身する。武器は【アテナの剣とイージスの盾】しか使えないが、[アテナの剣とイージスの盾]の射程外からのダメージは全て100分の1。
SPD : アマゾネス・スクワッド
自身の【背後】から、自身の技能どれかひとつを「100レベル」で使用できる、9体の【獣人族のアマゾネス達】を召喚する。
WIZ : モイライの黄金鎖
【決して砕けない太く長い黄金の鎖】を最大でレベルmまで伸ばして対象1体を捕縛し、【生命力吸収とバグ】による汚染を与え続ける。
イラスト:yuga
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「仇死原・アンナ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●決勝開始
予選終了から決勝戦開始まで、本来ならば5分間のインターバルが与えられる。予選を勝ち残ったものはこの間にアイテムを使用するなどして決勝に備えるのだが、今回は事情が違っていた。
「ほう、貴様らが今回の挑戦者か。」
黒い毛並みのライオン獣人が奥から進み出てきた。
「レオナルダがもう出てきた!?そんな、早すぎる!」
ジュタローが驚くのも無理はないだろう。挑戦者は皆予選で消耗しているのだ。その状態で万全の状態のチャンピオンと決勝戦など挑戦者側の負けに等しい。だが、レオナルダは意に介さず黄金の『アテナの剣』を振り上げると、ジュタローに向け地面を抉るほどの斬撃波を放った。
素早さと回避率上昇のバフが継続していたおかげで斬撃波を回避できたジュタローだったが、単なるNPCとは思えない殺気をレオナルダの攻撃から感じ取っていた。
「そこの小僧、貴様は必ず私が殺す!」
慌てたような声で決勝戦開始を告げるアナウンスが響いた。
アラタマ・ミコト
此処は水面に浮かびし蓮の葉の上でございます。
邪なる心の持ち主には決して渡る事の出来ぬ場所にてございます。
……心を無にするのです。
さすれば、あらたまちゃんのこの集中砲火の突破口が僅かにでも見えるかもしれないのです!!
●渡れよ蓮花の葉の上を
|闘技場《バトルアリーナ》によっては戦闘フィールド上に何かしらのギミックが設けられているところがある。しかしラグメントの|闘技場《バトルアリーナ》には何の仕掛けもない。ただ黄土色の土が広がるばかりだ。しかし、『何も仕掛けられていない』ということは『こちらが何かを仕掛けるには好都合』ということだ。
アラタマ・ミコト(極楽浄土にて俗世に塗れし即身仏・f42935)が聞きなれぬ呪文――経文を唱えると、彼女の足元に池が現れ、無数の蓮が咲きだした。
「此処は水面に浮かびし蓮の葉の上でございます。邪なる心の持ち主には決して渡る事の出来ぬ場所にてございます。」
池の中心にて告げるミコトに、レオナルダがせせら笑うような顔を浮かべた。
「面白い、やってやろうじゃないか!」
虚空から光輝く黄金の鎧が現れ、レオナルダの身体を包む。
「むっ、あれは『黄金獅子の鎧』!」
レアアイテムに目ざとく気付くミコト。『黄金獅子の鎧』はこの|闘技場《バトルアリーナ》の優勝賞品でもある。
「私に勝てたらくれてやるさ!」
レオナルダがミコトを挑発し、池に浮かぶ蓮の葉に飛び乗る。すると、水の中から無数の宝剣がレオナルダに向け、ミサイルの如く発射された。
「成程、こういう事か!」
宝剣を『イージスの盾』で防ぎ『アテナの剣』で弾くレオナルダ。隙も無駄もない動きは流石チャンピオンと言ったところか。
「……心を無にするのです。さすれば、あらたまちゃんのこの集中砲火の突破口が僅かにでも見えるかもしれないのです!!」
「言ってくれるじゃないか!」
宝剣の猛攻を凌ぎ、ミコトへと肉薄するレオナルダ。だが『アテナの剣』の刃がミコトに届くことは無かった。
「小僧、そこにいたのか!」
レオナルダの視界にジュタローの白い鎧が映った。瞬間、彼女の標的はミコトからジュタローへ切り替わる。そこに生じた大きな隙をミコトは見逃さなかった。
「宝剣よ、今こそ黒獅子を貫く時!」
弾かれ、池に沈んでいた無数の宝剣が再びレオナルダに向け飛翔する。
ジュタローは困惑していた。突然足元に出現した池もそうだが、それ以上にレオナルダがなぜ自分を狙うのかが分からない。確かに以前ラグメントの|闘技場《バトルアリーナ》に挑戦し、決勝まで残ったことはあったが、その時は優勝者にもMVPにもなれなかった。自分とレオナルダの接点はそこだけだ。
「覚悟しろ小僧!」
レオナルダが『アテナの剣』を振りかざし自分へと襲い掛かってくる。だが、その後ろから無数のキラキラと光る何かがレオナルダを狙って飛んでいる。もしかしたら、状況を変えられるかもしれない。ジュタローはイチかバチか、賭けに出ることにした。
『アテナの剣』の攻撃範囲に入り、可能な限りレオナルダを引き付ける。剣を振り上げる攻撃モーションを発動した瞬間、『キャストオフ』を発動することにより瞬間的に素早さと回避率上昇のバフを重ね掛けし、攻撃を回避。レオナルダには攻撃モーション直後にわずかな硬直時間がある。そこに光る宝剣の群れが攻撃を加え、彼女の背中を貫いた。
「ジュタロー殿、やりましたね。」
「わわっ!いきなり話しかけないでください!」
ジュタローの驚きぶりに、ミコトも驚いたような顔をした。
大成功
🔵🔵🔵
風雷堂・顕吉(サポート)
アドリブ連携可
約100年前、ダークセイヴァーの人類敗北以来、ヴァンパイアとの死闘を細々と繰り広げてきたダンピール、それが俺だ。
ヴァンパイアを狩るため、あるいは次に狩るべきヴァンパイアの手掛かりを得るためにここにいる。
【世界知識】ダークセイヴァー世界の大抵のヴァンパイア相手ならそれがどのような血族かは知っているし、知らなくとも【情報収集】の伝手はある。
それ以外の世界については物珍しそうに振る舞うことになる。すぐに慣れるだろう。
ダークセイヴァーとスペースシップワールド以外の世界は日差しが強すぎるので、サングラスを着用する。
次に参加する猟兵が戦いやすい状況を作ることも多い。
●黒と闇と影
『黄金獅子の鎧』は背中部分こそ破損したが、それ以外の箇所は無事と言っていい。自分はまだ戦える。レオナルダは『アテナの剣』を握りしめた。
「雌ライオンの戦士か。」
レオナルダと相対した風雷堂・顕吉(|吸血鬼《ヴァンパイア》|狩人《ハンター》・f03119)が率直な感想を零す。彼は獣人戦線での戦闘経験があり、獣人たちと接触したこともある。故に獣人は珍しい存在ではなかったが、雌のライオンでこのような振る舞いをする者は初めてであった。
「まぁいい。倒すだけだ。」
顕吉は鉄塊の如き刀『|小竜《ドラクリヤ》公』を構えると、闇のオーラで己を包み込んだ。
「成程、姿を隠しての奇襲か。」
顕吉のユーベルコード『黒影剣』は闇のオーラによって視覚・聴覚・嗅覚での感知を不可能にする。だが、レオナルダはあえて目を閉じると、己の第六感を頼りに、背後に向け剣を振った。
「そこだっ!」
鉄がぶつかり合う鈍い音が響いた。
「ちっ、お見通しだったか。」
顕吉が『|小竜《ドラクリヤ》公』を構え直す。
「当たり前だ。奇襲をかけるなら背後を狙うのはセオリーに近い。背中が弱点と化しているなら猶更だ。」
事も無げにレオナルダが語る。なら作戦を練り直すまで。顕吉の身体が再び闇のオーラに包まれた。
「何度やっても同じことよ!」
レオナルダもまた再び目を閉じ、第六感を働かせる。それは一瞬のことだったかもしれず、はたまた長い時間が経過したあとのことだったかもしれない。レオナルダが再び自身の背後に向けて剣を振る。
確かに手ごたえは感じた。だが、彼女が目を開けるとそこには地面に突き刺さった『|小竜《ドラクリヤ》公』だけが残されていた。
「何っ!?」
驚きを隠せないレオナルダ。得物がここにあるということは、本来の持ち主はどこへ行ったのか?
「俺の武器は他にもあってな。」
顕吉の腕に装着したパイルバンカーが『イージスの盾』ごとレオナルダの腕を貫いた。本来は白木の杭を打ち出す対吸血鬼用の装備であったが、ことGGO世界においては普通の敵にも有用らしい。
そして顕吉から放たれた闇のオーラがレオナルダの腕に触れる。闇のオーラはレオナルダの|生命力《HP》を吸収し、確かにHPバーの長さを削っていく。
「このっ!」
どうにかして闇のオーラを払ったレオナルダであったが、大きく穴が空いた『イージスの盾』はもう使い物にならないだろう。事実、ステータス画面では『防御力低下』のデバフ効果が表示されていた。
成功
🔵🔵🔴
風凪・クノン
本当にゲームの世界みたいですわね…と、ジュタロー様をお守りせねばなりませんわね!
スワロドーンさん、ラードンさん、わたくしとフュージョンですわ!
(上半身と脚はベルトリボンでぐるぐる巻きで拘束され、背中にはラードンの翼が生え、脚先は尾びれのようになり、頭上には手裏剣のような輪に変化したスワロドーンが浮かび、翼の生えた人魚のような姿で浮遊した状態に)
キノリンさんはジュタロー様をお願い致しますわ!
飛行して【追いかけ突進】で近づき、突進を組み合わせた強力な【ダイブアタック】をお見舞い致しますわ!
遠くからの攻撃が効かないなら、近づいての攻撃でしてよ!
さあ、異世界の仲間の力でお相手致しますわ!
●くノ一疾風録
風凪・クノン(疾風のくノ一レプリカント・f36228)がGGOを訪れたのは初めてだった。
「本当にゲームの世界みたいですわね……。」
音も空気も感触も、限りなく現実に近い虚構。36世界の中でも、これに匹敵するのはサイバーザナドゥのバーチャル空間ぐらいであろう。
と、感慨にふける暇もなく彼――ジュタローが現れた。レオナルダの攻撃を紙一重の所で回避しながら、カウンターでツインブレードを振るうものの、決定打にはほど遠い。このまま持久戦となった場合『キャストオフ』の影響で防御力が低下しているのと、スタミナの消耗によりジリ貧化するのは目に見えていた。
「スワロドーンさん、ラードンさん、わたくしとフュージョンですわ!」
「スワー!」
「ラー!」
クノンの傍らに控えていたバトモン『スワドローン』と『ラードン』がユーベルコードの光に包まれ、クノンに吸収される。と、光の帯が現れ、彼女の上半身と足を拘束するように巻き付いた。それと同時に背中から緑色の翼――『ラードン』のものだ――が生え、足先は同じく『ラードン』の尾びれへと変化する。その頭上には手裏剣のような輪に変化したスワロドーンが浮かんでおり、『人魚』か『異形の天使』を連想させる姿へと変身した。
レオナルダの剣がジュタローを捉えた。間一髪のところで防御が間に合ったものの、『キャストオフ』による防御力低下の影響で、ジャストガードを決めてなおHPが減少する。次の一撃を耐えるのは難しいかもしれない。レオナルダが連撃の攻撃モーションに入り、ジュタローが腹を括ったその時だった。
「スワドローンさん、『ダイブアタック』!」
「スワー!」
声と共にジュタローとレオナルダの間に、手裏剣の如く投げ飛ばされたスワドローンが割り込んできた。連撃を妨害されたレイナルダに一瞬の硬直時間が発生したのをスワドローンは見逃さなかった。追尾するようにレオナルダへと回転体当たりを直撃させ、彼女を吹き飛ばす。
「キノキノ!」
ジュタローの足元にキノコの妖精のような小さな生物――『きのこ+女の子バトモン』の『キノリン』が現れた。キノリンは踏みつぶされないよう、くるくると舞いながら光の胞子を周囲に放つ。放たれた光の胞子はジュタローの身体に付着し、溶け込んでいった。
「あれ、体力が回復している?」
ゲーム内のHPだけではない、行動に必要なスタミナも回復している。これはキノリンが踊る『情熱ダンス』の効果だ。
「くっ、ペットモンスターの持ち込みは制限されているはずだ!」
レオナルダがこの|闘技場《バトルアリーナ》のレギュレーションを確認するように吠える。
「この子たちはペットモンスターではなく『バトモン』、異世界の仲間ですわ!」
クノンが誇らしげに説明する。GGOの存在ではないバトモンはペットモンスター扱いされず、実質的にレギュレーションの穴を付いた形となったのだった。
「こちらからも行きますわよ!」
クノンが空中でくるりと体を回転させ、その勢いでレオナルダに向け突撃する。レオナルダもまた剣を向け、斬りかかろうとするも勢いを削ぐことは出来ず、じわじわとHPバーの長さが削られていく。
「加勢します!」
そこにジュタローの『渦潮突』が加わる。流石のレオナルダも2対1では分が悪かったようだ。膝を屈し、苦痛に顔を歪める。
「まだだ!まだ終わらぬ!」
強がりのような獅子吼がバトルフィールド内にこだました。
大成功
🔵🔵🔵
政木・朱鞠
大将首の登場で物騒な筋書きの幕引きも近い…なんんてね!
歴戦の猛者獣人女傑『レオナルダ』と相対するとあれば挑んでみることもまた一興…スリリングで嫌いじゃないよ。
今の私たちの力の一端を披露するため命削る覚悟で相対させて貰うよ。
武芸の高みを求めた英傑へのせめてもの餞として満足いく戦いにしてあげるんだから…お覚悟よろしくって?
戦闘【WIZ】
もしかしたら相手からの攻撃への対処としては弱い方法かもしれないけど、『忍法・鋳薔薇姫』を使用しほんの数秒だけど動きを封じて隙を作りたい。
得物は近接重視で『風狸ノ脛当』をチョイス、【鎧砕き】や【鎧無視攻撃】の技能でガードを下げ、【傷口をえぐる】【生命力吸収】の合わせで間を置かないようにキックでダメージを与えたいね。
アドリブ連帯歓迎
イネス・オルティス
なるほど、かなりの使い手ね【新薄衣甲冑覚醒】……さあ勝負よ
ビキニアーマー使いの戦い方を見せてやるわ
ビキニアーマーは攻撃の鎧、がっちり守るのではなく紙一重で避けるのが基本
必要なのは踏み込む覚悟、武器受けして敵の攻撃をそらし、隙をついて鎧砕き
敵の武具を破壊する
なぜ彼を執拗に狙うのかは知らないけれど、その動きそのものが、隙に繋がっているのよ
敵の攻撃が当たっても、オーラ防御と激痛耐性があれば動けない事もない
ビキニアーマー使いの戦い方は、先手必勝、肉を切らせて骨を断つよ
まあ、当たらなければどうって事ないんだけどね
アドリブ・絡み・可
●決着の時
『黄金獅子の鎧』は至る所に傷が付き、『イージスの盾』は左腕ごと破壊された。だが、まだレオナルダは諦めていない。それはバグプロトコルに汚染されてなお残る王者の矜持か、それとも獲物に対する野生の執念か。
「なるほど、かなりの使い手ね。」
これまでの戦いを見ていたイネスが改めて『巨獣槍』を構える。
「大将首の登場で物騒な筋書きの幕引きも近い……なんてね!」
軽口を叩きながらも朱鞠はレオナルダの殺気に警戒感を隠せない。それだけ手負いの獅子は恐ろしいのだ。
ビキニアーマーというものは鎧全般の中でも防御力が低い部類に入る。それ故、使い手には敵の攻撃を見極め、回避する器量が求められている。GGOに実装されているビキニアーマー類に素早さの上昇や回避率アップの効果が付与されているものが多いのも頷けるだろう。
だからこそイネスは駆けだした。覚悟を持って踏み込み、攻撃を紙一重で回避する。それが彼女の戦い方だ。
『アテナの剣』から放たれるいくつもの斬撃波をかわし、レオナルダへと肉薄するイネス。
「させるか!」
対するレオナルダも片手で『巨獣槍』を防いでみせたが、イネスに気を取られていたせいか、背後への朱鞠の接近を許してしまった。
「貰った!」
『風狸ノ脛当』で強化された蹴りが背中の傷を抉るように突き刺さる。これには流石のレオナルダもまともに動けず、その場に崩れ落ちた。このまま戦えば勝てる。その場に居合わせた誰もが確信したその時だった。
「奥の手を使わざるを得ない時が来たようだ。」
レオナルダが起き上がりながら小さく呟いた。そして『アテナの剣』を掲げ叫ぶ。
「我が群れの戦士よ、今こそ共に戦う時!」
その声と共に、彼女の背後から雌ライオンの|戦士《アマゾネス》が現れた。その数9体。いずれも一騎当千の猛者だ。客席にどよめきが広がる。
「ちょっと!ここにきてそんなのアリなの!?」
「確かに奥の手というのも納得ね。」
驚く朱鞠に納得するイネス。そして――。
「ここにきて3対1は辛いですよ!」
ジュタローは3体のアマゾネスに追いかけられていた。アマゾネスのステータスはレオナルダの劣化版。例えるなら『高難易度ダンジョンに出現する面倒な一般モンスター』ぐらいの位置づけだろう。1対1ならばまだ勝ち目はあっただろうが、それが3体同時に襲い掛かってくるのは無理ゲーというもの。
「向こうはレオナルダ含めて10体、一気に相手取るのは面倒ね。」
イネスが零したのは、紛れもない本音であった。
さて、アマゾネスである。彼女らは連携攻撃を駆使し、残った参加者たちを追い詰めていた。それはさながら、ライオンの狩りにも似ていた。彼女らに散々追い掛け回されたジュタローは、追い詰められた草食動物のように足掻くべく、向き直りツインブレードを構えた。
「数秒でいいから、どうにかしてアマゾネスたちの動きを止められないかな?」
イネスがジュタローに駆け寄ろうとする。
「ならこっちにも手がある!」
朱鞠が手で印を組み『忍法・鋳薔薇姫』を発動した。彼女の足元の影から金属製の鎖が飛び出し、アマゾネスとレオナルダを縛り上げる。レオナルダに対しては更に拷問具『荊野鎖』も使い、厳重に動きを封じた。
「ちょっとの間だけ、大人しくしていてくれるかな?」
それは時間にして165秒。だが、イネスには十分な時間であった。『巨獣槍』が身動きのできないアマゾネスたちを貫き、その数を減らしていく。ジュタローもまた、残された力を振り絞り、ツインブレードでアマゾネスを切り裂いた。
「残ったのはあなただけよ、レオナルダ。」
冷静な声で朱鞠が告げる。対するレオナルダは『荊野鎖』で縛られたままだ。動く度、金属製の棘が肉体に突き刺さる。だが、レオナルダは顔色一つ変えず、悲鳴を上げることもなかった。確かにHPは相当削られている。次の一撃をモロに受けたら確実に倒される。しかしこの余裕すら感じる佇まいはどこから来るのか。
「確かに今回の挑戦者たちは皆相当の実力者のようで喜ばしい。だが、私の敵はあの小僧だけだ。」
「何故ジュタローさんにこだわるの?」
今回の核心を突く朱鞠。
「アレは『不穏分子』だ。活かしておけば不利益になる。」
ジュタローが『不穏分子』とはどういうことなのか?グリモア猟兵によると、ジュタローのログに不審な点は無かったとのことだが、ログには記録されない何事かが存在しているのか?
「これで十分だろう。さあ、戦いの続きだ!」
アマゾネスたちを全て倒したイネスとジュタローが朱鞠に駆け寄る。
「こっちは片付いたよ!」
「大丈夫ですか!?」
真剣にこちらを案ずるジュタローが『不穏分子』とはどういうことなのか?レオナルダの言葉に引っかかるものを感じながらも、朱鞠は疑問を表に出さない。
「大丈夫、あとはレオナルダだけよ。」
すっと構えを取る。
「お覚悟よろしくって?」
跳躍し、レオナルダに向け飛び蹴りを放つ朱鞠と、『巨獣槍』を構え突撃するイネス。レオナルダもまた、迎え撃とうと『荊野鎖』を引きちぎり『アテナの剣』を構えた。
火花を立てて激突する猟兵とバグプロトコル。終わりの時は確実に近づいていた。
「今です!」
2人の背後からジュタローが飛び出してきた。レオナルダの頭上にツインブレードの刃が振り下ろされる。
(私の負けか。)
刃が頭蓋に触れる感触を最後に、レオナルダの意識は途切れた。
●『不穏分子』
|統制機構《コントロール》の高級官僚に割り当てられた官舎の一室で、青年がVRギアを付け椅子に腰かけていた。彼の部屋を見る限り、両親は比較的恵まれた地位にいるらしい。
青年は大きく息を吐き出すと、VRギアを外して体を伸ばした。
「いやー、今回の|闘技場《バトルアリーナ》は大変だったなー。でも優勝できて良かった!」
満足げな顔の青年に、部屋の外から呼びかける声がした。
「寿太郎、ご飯できたわよ。」
「分かった、今行く。」
|統制機構《コントロール》の高級官僚を両親に持つ青年、寿太郎はGGOの上級者プレイヤーである。これが何を意味するのか、猟兵たちはまだ何も知らない。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵