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凶風の『|雷棲滅鬼悪《ライスメキア》』

#アヤカシエンパイア #東国 #熾盛 #銀の五月雨

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●禍津妖大戦
 東国の傷跡は未だ癒えず。
 かの『禍津妖大戦』は激戦という言葉を使ってなお、想像だにしない戦いの記憶が沈んでいる。
 それは人間たちが妖を退けた勝利の記憶でもあるが、しかして同時に死せる者たちの苦しみと悲しみの記憶でもある。
 人の念というのは恐ろしきものである。
「人の心が見せる輝きが妖を祓うように、人の心の光に照らされて落ちた影もまた闇であり、そこに妖は巣食うのです」
 止事無き女性の言葉に亜麻色の髪を持つ男は礼の姿勢を取ったまま面をあげなかった。
 下知を待っているようでもあったし、また続く言葉があることを理解しているからでもあった。

「任せてよろしいですか、貴方に」
「仰せのままに。我ら『世羅腐威無』は、貴方様のお言葉に従う者。貴方様の血脈にて従うものではございません」
 亜麻色の髪の男は未だ顔を上げない。
 かの男の名を『皐月』と言う。
 宮中にありて彼は才気あふれ、剣術に加えて術策に優れたると噂される者。
 見目麗しき顔つきながらも、鼻にかけることのない所作。
 誰しもに優しく、秀でたる者も、非才たる者にも別け隔てなく、しかし己が立場をわきまえた行動を取る者であると多くの宮中の女官や息女たちを虜にしている。
 才色兼備。
 主に女性に使われる言葉であるが、しかして実際に相対すればそう例えるのがしっくりくると理解できる言葉であった。

「では、頼みました」
「ご随意のままに」
 伏せていた面を漸く『皐月』は上げる。
 そこにあったのは女性と見紛うほどの美しい顔立ち。星写す夜空の如き黒き瞳が簾の奥にある止事無き女性へと向けられる。
「『雷棲滅鬼悪』様、その名が示す通りに。かの東国に蔓延る妖たちの奸計を我ら坂東武者『世羅腐威無』が砕いて見せましょう――」

●アヤカシエンパイア
 グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのはナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)だった。
「お集まり頂きありがとうございます。新しき世界、アヤカシエンパイア。その東国と呼ばれる地方にて強大な妖が出現することが予知されました」
 ナイアルテの言葉に猟兵たちは頷く。
『平安結界』にて日本を覆い、辛うじて存在している世界。
 それがアヤカシエンパイアである。
『平安結界』の外は『死の大地』と呼ばれ、どうなっているのかわからない。
 日本以外は無事なのか、それさえも判然としていないのだ。

 その東国地方とは、嘗て勃発した『禍津妖大戦』の最大の激戦地である。
「東国に存在する『過去の激戦の記憶』に引き寄せられれるようにして強大な妖が現れ、東国を拠点とする坂東武者たちを殺し尽くしてしまうのです」
 坂東武者たちは確かに術力を保たぬ無能力者である。
 しかし、妖を肉体に憑依させることで戦闘力を得ているのだ。
 容易く、それも全滅させられるなど考え難いことである。
「彼らは『世羅腐威無』と呼ばれる妖を肉体に憑依させる坂東武者の一派のようです。宮中からも、この東国に派遣された貴族の方がいらっしゃるようですが、その方も巻き込まれ妖に殺されてしまうのです」
 これを放ってはおけない。
 東国に向かい、彼らを救出しなければならないのだ。

「東国にて出現した妖『ガゴゼ』たちによって坂東武者たちは分断されています。『ガゴゼ』は探知の難しい下級の妖であり、奸計を用いることで坂東武者の戦力を分散させる役目を負っているようです」
 坂東武者たちは各個撃破されてしまうだろう。
 この戦いに駆けつけ、助太刀しなければならない。
「坂東武者の方々を救えど、次に襲いかかるは瘴気の大風です。元凶たる妖が座すは古びた鳥居のある神社……そこに至ることを阻むように凶風が吹き荒れているのです。助け出した坂東武者たちの皆様も協力してくださることでしょう。これを駆け抜け、元凶たる妖『鵺』を打ち倒しましょう」
 ナイアルテは猟兵達にそう告げる。
 自体は逼迫しているであろう。坂東武者たちを死なせるわけにはいかず、そして同時に力を溜め込もうとする妖を迅速に打倒さねば、『鵺』は『無限進化ユーベルコード』によって『最強の妖』へと変貌してしまう。

「恐るべき敵とアヤカシエンパイアにてすぐに遭遇してしまう不運はあれど、しかし皆さんならば、これを乗り越えることができると私は信じております」
 どうか、と彼女は猟兵たちの武運を祈るように頭を下げ、送り出すのだった――。


海鶴
 マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
 新しい世界アヤカシエンパイア。
『禍津妖大戦』にて激戦地であって東国地方に策動する妖たちを打倒するためのシナリオになります。

●第一章
 集団戦です。
『ガゴゼ」と呼ばれる下級妖たちが坂東武者たちを分断させるように術策を用いています。
 坂東武者たちは下級妖である『ガゴゼ』に一対一であれば遅れを取ることはありません。
 ですが、各個分断されているのならば『ガゴゼ』たちが数に任せて押し切ることもできるでしょう。
 その状況のため、坂東武者達は苦戦を強いられています。
 これに助太刀し、助け出しましょう。

●第二章
 冒険です。
『ガゴゼ』たちを率いていた元凶『鵺』は力を溜め込むために古びた神社を拠点としています。
『無限進化ユーベルコード』によって時間が経てば経つほどに『鵺』は最強へと近づいていくことでしょう。
 同時に皆さんを近づけさせないためなのか、神社の周囲には瘴気の大風が渦巻いています。
 吹き付ける瘴気に皆さんの体力は削れていくことでしょう。
 これを坂東武者たちと協力して乗り越えましょう。

●第三章
 ボス戦です。
 元凶たる妖『鵺』との対決になります。
 ですが、これまでに稼いだ時間により『鵺』は、強大な力を得ています。
 言うまでもなく強敵です。
 これを坂東武者たちと協力し、打ち倒しましょう。

 それでは新たなる世界、アヤカシエンパイア。嘗ての激戦地にて残る傷跡を押し広げんとする妖たちの策動を打ち砕く皆さんの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
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第1章 集団戦 『ガゴゼ』

POW   :    餓えたる鬼の牙
【無数の牙が生えた口】で近接攻撃し、与えたダメージに比例して対象の防御力と状態異常耐性も削減する。
SPD   :    童子寄せ
【掻きむしるように振るった爪】による近接攻撃の軌跡上に【妖気の渦】を発生させ、レベルm半径内に存在する任意の全対象を引き寄せる。
WIZ   :    鐘音咆哮
【喉】から大音量を放ち、聞こえる範囲の敵全員を【気絶】状態にする。敵や反響物が多い程、威力が上昇する。

イラスト:猫背

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 坂東武者『世羅腐威無』たちは東国にて拠点を持つ者達である。
 彼らの役目は『禍津妖大戦』の記憶に引き寄せられる妖たちの撃退だ。言うまでもなく、彼らは己達が『平安結界』を支える礎の一柱であるという自負がある。
 日々鍛錬を欠かさず、術力がなくとも五体と妖憑依せしめる強靭な精神力をもって『空間の裂け目』より湧き出す妖たちを撃滅してきたのだ。
「各個分断……明らかに妖はこちらを術策でもって嵌殺せんとしているか!」
 坂東武者の一人は呻く。
 今もまた己の主君とする亜麻色の髪の『皐月』とはぐれてしまった。
 周囲には霧が立ち込める。
 いや、瘴気だ。
 これによって己たちの視界は埋め尽くされ、一人、また一人と分断されていった。
 真っ向から戦えば下級妖『ガゴゼ』に遅れを取ることはない。

 だが。
「ギャッギャッギャ」
 不快な笑い声が聞こえる。
 己が周囲を取り囲む笑い声は一つや二つではなかった。
 明らかに十は超えている。
 確実に己達を屠るために妖が術策を用いているのだ。己たちはまんまと罠に嵌ってしまったのだ。
「クッ……せめて『皐月』様だけでも……この場を切り抜けなければ!」
 だが、それすらままならないだろう。
『ガゴゼ』たちは不快な笑い声と共に各個分断せしめた坂東武者たちに襲いかかる。
 その五体を切り裂き、その臓腑を喰らわんとするように一斉に――。
八秦・頼典
●WIZ

何やら不味い事態が起きていると聞きやって来たが、思いの外に不味い状況以外の何物でもないか
妖はボク達らに狩られる存在だ
だからこそ、少ない知恵を振り絞って一矢報いようと、窮鼠猫を噛むが如く術策を講じるものさ
彼ら坂東武者らには高い授業料だったと肝を冷えさせただろうが、このボク「ライデン」が助太刀するからにはそうはさせはしないさ

【凶方暗剣符】!
これでガゴゼの動きを封じめたが、耳障りの咆哮も封じ込めないとね?
|阿近《あこん》、|吽近《うこん》よ
妖らの喉笛を炎と水の牙にて噛み千切れ

話に聞いた皐月殿であるが…女性と見紛うほどの美しい顔立ちの男であろうもボクは助けてみるさ
止事無き方を泣かせたくないしね



 戦うことに意味を見出すのならば、其処に意義在り。
『平安結界』に包まれた世界であるアヤカシエンパイアにおいて、それは力有る者の責務であった。
 当然、戦わなければならない。
 仮初とは言え、この平穏を。この平和を。
 妖が喰らうというのならば、それを打倒さなければならない。
 東国は嘗ての激戦地。
 今もなお、その激戦の記憶に引き寄せられるようにして妖が出現している。これを水際にて食い止めるのが坂東武者である。
 彼らは何れもがユーベルコードたる術力を持たぬ身でありながら、妖を憑依させることによってこれと戦う力と為す者たちである。

「ギャッギャッギャ!!」
 だが、そんな猛者たちをあざ笑うかのように妖『ガゴゼ』たちは嗤っていた。
 引っ掛かった、と。
 坂東武者たちの愚かしさを嗤うようにして、十数体でもって彼らは一人の坂東武者を取り囲んでいたのだ。
「……最早これまでか。だが、ただでこの生命はくれてやらぬ!」
 一人の坂東武者は追い詰められていた。
 弄ばれるようにして十数体の『ガゴゼ』に打ちのめされ、今まさに討ち取られんとしていたのだ。

 だが、『ガゴゼ』たちの動きが止まる。
 坂東武者へと振り下ろさんとしていた腕がどうしてもそれ以上先に進めないのだ。
「……どうしたことだ、これは」
「それは、ボクが、この『ライデン』が来た、ということさ」
 その声に坂東武者は『ガゴゼ』たちの背後を見やる。
 瘴気の凶風渦巻く東国にて、その言葉は雷鳴のように良く通った。
「|阿近《あこん》、吽近《うこん》よ、奴らの喉笛を炎と水の牙にて噛みちぎれ」
 その言葉、八秦・頼典(平安探偵陰陽師ライデン・f42896)の号令に従うようにして二匹の狛犬が瘴気の風を切り裂くようにして駆け抜け、『ガゴゼ』たちの喉元を切り裂く。
 一瞬ことだった。
 瘴気の風をものともせず、坂東武者を囲う『ガゴゼ』たちを赤と青の狛犬が華麗に切り裂いていたのだ。
 そして、凶方暗剣符によって一方への移動を封じられた『ガゴゼ』を坂東武者は疾く振るう刀の一閃で切り捨ててみせた。
 やはり、精錬された彼らの技量は術策なければ妖と言えど打倒することは難しいのだろう。

「なっ、如何なる者か……助太刀には感謝いたすが……!」
「妖はボクらに狩られる存在だ。それはわかっている。だからこそ、奴らは知恵を絞る。窮鼠猫を噛むが如く。一矢報いようとね。その術作に貴殿らは見事に嵌ってしまったというわけさ」
『ライデン』名乗る頼典の言葉に坂東武者は恥じ入るようだった。
「かたじけない」
「いいさ。高い授業料だったと思えば。その心胆冷えた心地だけは忘れぬようにすればいい。それに……貴殿が主『皐月』殿は何処か」
「はぐれたままでございまする。恥の上塗りではございますれば、しかし」
「ああ、元よりそのつもりさ」
 頼典は頷く。

 この瘴気の風渦巻く東国においてはぐれたる彼らが主。
 女人と見紛うほどの美しい顔立ちの男であると言われているが、頼典は構わなかった。
 もしも、『皐月』の生命が喪われれば、彼らの主のさらに主、止事無き女性を泣かせることになる。
 なれば、頼典は笑むのだ。
「悲しませたくない止事無き方がいる。なら、それで充分さ。征こう」
 その言葉と共に頼典は救出した坂東武者と共に凶風切り裂くように、この術策の大元たる妖を打倒さんと駆けるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

夜鳥・藍
食べる、噛みつく事に特化したような姿ですね。被った布は少しでも異形の身を隠すためでしょうか?
妖に生物的な推察考察は必要ないのかもしれませんが、特徴を見ればどのような動き攻撃をしてくるかは推察できましょう。

叢雲での攻撃を、かつ同時に鳴神の複製による物量でこちらに近寄らせないようにしましょう。
こちらがダメージを受ける事は相手が多数の時はなるべき避けるべきだと思いますので。
一つ一つは些細なものかもしれませんが積もり積もって大きなものになれば致命的になりかねませんから。
もし鳴神の雨を潜り抜けてくるものがあれば青月で応対しますが、さすが無傷で抜けてくるものはないでしょう。



 唾液の糸引く顎が開かれる。
 びっしりと映え揃った歯は最早、牙のようであった。
 低級妖『ガゴゼ』の姿は、人の形をしていながら、最早獣そのものであった。
 襤褸切れのような外套をすっぽりと頭から被ったかのような姿。
 しかして、己を認識させぬ妖の業は全て人を食らうためだけに使われている。
 そう、人の形をしていながら、人ではないもの。
 故に人は、その形を恐れる。
 まったくの異形であったのならば、恐れる必要はなかっただろう。
 己と異なる、と打ち倒すための気概めいたものが湧き上がるものであった。

 けれど、『ガゴゼ』は違う。
 まったくもって人からかけ離れた姿であったのならば、此処まで恐怖を抱かせぬ。
 若き坂東武者は、己の心が震えるのを感じたであろう。
 術策によって己たちを分断し、各個として孤立させた妖たち。
 すでに十を切り捨てたが、吐き出す息は切れ切れであった。
「やはり、消耗を強いている。己たちの生命を生命とも思わず、ただ己が人を喰らうためだけに他者をけしかける……これが!」
 牙と刀がぶつかり、火花が散る。
 押し切られる。
 転倒し、己に覆いかぶさる『ガゴゼ』の牙が己が喉に突き立てられんとした瞬間、降り注ぐ光のような神器が『ガゴゼ」の体を貫く。

「降り注げ」
 ユーベルコードの輝きであると若き坂東武者は即座に理解しただろう。
 だが、これほどの規模の輝きを放つユーベルコードを彼は知らなかった。明らかに京の陰陽師以上の力。
 その降り注ぐ光の彼方に夜鳥・藍(宙の瞳・f32891)は居た。
 藍色の瞳がユーベルコードの輝きを湛えいている。
 かざした手が振り下ろされれば、複製された神器たちが次々と『ガゴゼ』たちに襲いかかりこれをつ抜いていくのだ。
「妖に生物的な推察考察は意味をなさないのかもしれませんが……」
 藍は静かな瞳で『ガゴゼ』を見据える。

 牙映え揃うような口。
 まるで人を食らうためだけに存在しているような妖である。
 覆う布は襤褸切れなれど、藍からすれば、それは少しでも己が異形を人に見せるための方策にも思えただろう。
 しかし、それは無意味だと藍は断ずる。
 敵を打ち倒すため。
 今はそれだけを考えなければならない。
 黒い三鈷剣たる神器がまた空に翻る。
「ギャッギャッギャ!!!」
 嗤い声のような、怒りに叫ぶような声を上げながら『ガゴゼ』たちは藍へと標的を変えて飛びかかる。

 しかし、そのいずれもが彼女に届くことはなかった。
「やはり、喰らうためだけに襲いかかるのですね」
 黒い三鈷剣の雨をかいくぐって迫る『ガゴゼ』たちを見据え、藍は息を吐き出す。
 傷つきながらも、なおも迫る姿は餓鬼そのものであったことだろう。
「何処まで行っても、それだけなのですね。貴方達は」
 振るうは仄かに青白い月光放つ打刀。
 翻る剣閃が『ガゴゼ』の体躯を切り捨て、藍は若き坂東武者へと手を差し伸べる。
「敵の数が多いです。ですが、突破口は拓かれました。撤退なさるのなら、今のうちに」
「いや、まだ『皐月』殿が……!」
「あなたの主君ですか」
 そうだと言う坂東武者の言葉に藍は頷く。

「ならば、征きましょう」
 この瘴気の風満ちる戦場を進んでいけば、分断された坂東武者たちと合流も叶うだろう。
 藍は若き坂東武者と共に瘴気の凶風を切り裂き、さらに元凶たる妖を打倒せんと進むのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

源・絹子
さて…行くとするかの。
その一派の名も、貴族の名も耳に挟んだことがあってな…放っておけぬのよ。

というわけでな…着いたらすぐに化神たちを呼び出してのUCじゃて。
襲っているのなら、片っ端から捕まえて…反撃の隙を与えるのじゃ。手練れなのじゃ、見逃さぬだろうよ。
ああ、捕縛術使うときは、喉を潰すようにな。さすれば、音を放つ事はできぬであろうて。

妾は化神の龍『クズリ』に乗っておるから、まあ目の前でそれを見とるわ。
安心せよ『世羅腐威無』の者等よ。妾だけでなく、多くの猟兵がここには駆けつけよう。
故に…今は生き残るのじゃ!



 永き時を生きるのならば、その名を知ることもあるだろう。
 坂東武者が己が身に憑依させる妖の一種『世羅腐威無』と止事無き女性『雷棲滅鬼悪』の名を。
 語る言葉は少なかれど『平安結界』を守らんとする意志は同じくするものである。
 故に源・絹子(狂斎女王・f42825)は東国にありて、おのれが化神を招来する。
「あれなるは『世羅腐威無』を身に憑依せし坂東武者か。懐かしいのう」
 絹子は化神の龍『クズリ』より見下ろす。
 対するは低級妖『ガゴゼ』である。
 本来ならば坂東武者たちが遅れを取るような敵ではない。

 しかし、分断され各個となった坂東武者たちは数の暴威を前に劣勢を強いられる。
 劣勢強いられるのならば、ジリジリと削られていく運命なのだ。
 古来より数とは力。
 如何に超常の力たるユーベルコードを手繰るのだとしても数に押されてしまう。
「斯様な奸計を妖が用いるか。それも坂東武者を全て全滅させられるとは微塵も思うてはおらぬ。ならば、これは時間稼ぎというやつじゃな」
 絹子は幾度も見てきただろう。
 妖が奸計用いる時、何故そうするのかという理由は、いつだって単純なものだ。
「力を溜め込んでおるな」
 元凶たる妖。
 その妖が必要なのは時。

「雷は環となり逃れられぬ」
 自らの化神が雷演舞・日の陣(カミナリエンブ・ヒノジン)を持って、雷の力を迸らせる。
 突如として現れた絹子の化神の姿に『ガゴゼ』は引き寄せられるようにして襲いかかる。
 だが、即座に『日雷之環』が『ガゴゼ』たちの体を縛り上げるのだ。
「……ご助力感謝いたす!」
 その言葉と共に坂東武者が『ガゴゼ』を切り裂く。
「ギャッギャッギャ!!」
 だが、次の瞬間『ガゴゼ』たちは息を吸い込む。
 咆哮。
 凄まじい音波によって此方を封殺しようというのだろう。

「喉を締め上げよ」
 絹子の言葉に化神が雷の環を持って『ガゴゼ』』の喉元を締め上げる。
 潰れる喉の音。
 凄まじい咆哮は喉を潰されたがゆえに隙間風のような音しか響かせることはなかった。
「なんとかなり申したが……しかし、申し上げる。我らが同胞は分断され、散り散りになっておりまする。ご助力頂いた身での進言、どうかお許しを」
 坂東武者の言葉に絹子は佳い、と手を振る。
「安心せよ。『世羅腐威無』の者よ。妾だけでなく、多くの猟兵が此処に駆けつけよう」
 絹子はそう告げる。
 己が来たように、坂東武者たちの窮地を救わんと猟兵達が転移してくる。

 それを予見し、絹子は己が前にて跪く坂東武者に告げるのだ。
「故に……今は生き残ることだけを考えるのじゃ」
「ハッ」
 坂東武者を救った絹子は龍と己が化神たちと共に瘴気あふれる凶風の中を征き、この窮地たる戦場を駆け抜けるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

クローネ・マックローネ
NGなし、絡みOK、アドリブ歓迎
【POW判定】

頭数が必要なら、任せてよ♪
そういうのは、クローネちゃんの得意分野だからね★

坂東武者ちゃん達を【救助活動/医術/回復力/精神の余裕】で助けながら、ガゴゼの集団を退治するよ♪

UCは「クローネちゃんのキラキラなお友達★」★
集団には集団を♪
ヴァルキュリアちゃん達を召喚して、一緒に戦うよ♪
攻撃は【集団戦術/団体行動/連携攻撃/範囲攻撃/切断/怪力/生命力吸収/2回攻撃/鎧無視攻撃/属性攻撃】で行うよ♪
敵のUCは【野生の勘/第六感/気配感知/幸運/鉄壁/硬化/激痛耐性/回復力】で対応するね♪
回避優先でいくよ♪



 低級妖『ガゴゼ』たちは瘴気の風満ちる東国を走る。
 それは追い込み漁のように各個分断された坂東武者を追い立てる様であった。
「クッ……! やはり妖が策動していたか!」
 坂東武者は己の喉元へと迫る『ガゴゼ』の牙を刀で受け止める。
 火花が散る。
 ぬらぬらとした唾液が糸引く口腔。
 それを見やり坂東武者は歯噛みする。

 一対一であれば負ける要素はない。
 しかし『ガゴゼ』は複数でもって一人の坂東武者を襲う。
 普段であれど、このような事態に陥ることはない。
 やはり、問題は味方とはぐれたことにある。この瘴気の風が元凶だった。坂東武者たちは己が主である『皐月』と呼ばれる平安貴族を中心に戦っていたが、徐々に分断されていったのだ。
「ギャッギャッギャ!」
 坂東武者の奮戦を嘲笑うようにして『ガゴゼ』が坂東武者の背後から襲いかかる。
 しかし、その一撃を受け止める者がいた。
「おまたせ♪」
「な、何者だ……!?」
「クローネちゃんにおまかせ!」
 クローネ・マックローネ(快楽至上主義な死霊術士・f05148)であった。
 彼女は背後から襲われんとしていた坂東武者を救うようにして『ガゴゼ』の一撃を受け止める。

「あ、な、何?」
「詳しいことは後でね★ さあ、キラキラしてる子達を紹介するね♪クローネちゃんのキラキラなお友達★(ブラック・ヴァルキュリア・レギオン)♪」
 ユーベルコードに輝くクローネの瞳。
 同時に漆黒の肌を持つヴァルキュリアたちが召喚される。
 その数は百を超えている。
 ずらり、と突如として居並ぶヴァルキュリアたちに坂東武者は目を見開く。
 一気に数の形勢は逆転したのだ。
『ガゴゼ』たちもまたたじろいでいる。
 当然であろう。彼らは己達の数を頼みして今まで坂東武者へと襲いかかっていたのだ。

 だというのにクローネのユーベルコードただ一つで、その有利が喪われたのだ。
「頭数を揃えるのなんて、クローネちゃんの得意分野だからね★」
 さあ、いくよ、とクローネは漆黒の肌持つヴァルキュリアたちと共に瘴気の風を切り裂くようにして駆け出す。
 光放つ力。
 それがヴァルキュリアたちの属性であった。
 妖が影、その闇の中に生きる者であったのならば、ヴァルキュリアたちの放つ光は『ガゴゼ』たちを撃ち貫くだろう。
 圧倒的な数の暴威。
 それを逆転せしめたクローネのユーベルコードはたかが十数体で一人を囲んでいた『ガゴゼ』たちを圧倒し、吹き飛ばしていく。
「な、なんという力だ……ご、ご助力感謝致す」
「まだ感謝には早いよ。敵はまだたくさんいるし、元凶の妖を倒さないとね。一箇所にとどまっているのは敵の思う壺。さ、行こう★」
 クローネは救った坂東武者と共に戦場となった東国を走る。
 戦いの気配を辿っていけば、必ず元凶たる妖にたどり着くだろう。
 それを信じて、クローネは瘴気の風を押しのけるようにして進むのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ステラ・タタリクス
【ステルク】
|エイル様《主人様》の! 香りがしまぁぁぁっす!!
はい、新しい世界にも馳せ参じましたメイドです!
この世界のエイル様は皐月様なのですね把握しました
誰がやべーメイドですか

世界に平和をもたらす『平安結界』
その一部……戦いで平和をもらたしているというのなら
彼らが『世羅腐威無』を名乗るのは必然なのでしょう
というか、絶対青い何かを憑依させようとしてません??

ともあれルクス様!
ちょっといつもと世界の雰囲気が違っておのぼり感が出てる|光の勇者《ルクス様》!
ここを切り抜けますよ
【スクロペトゥム・フォルマ】で前に出ます
ルクス様は……演奏もいいですが
人殺さないように
破壊音波が殺人音波になりますよ!


ルクス・アルブス
【ステルク】

しししし、新世界です。
これがアヤカシさんいっぱいな世界なんですね。
そしてこの世界の『エイル』さんも、|ステラ《やべーメイド》さんに、
|ロックオン《マーキング》されてしまったんですね。

合掌。

それにしてもこれが結界の中なんて、ちょっと想像つかないですね。
しかもなんかきらびやかな人と素朴な人とごちゃ交ざってますし、
見ていてとっても楽しいですね♪

あとは、ごはんがどのくらい美味しいか、ですが。
たいしたことなければ、わたしが異世界知識で一攫千金……。

え?あ、はい。
つい屋台とか出したら儲かるかなーとか思っちゃってました。

それではリクエストにお応えしまして!
……アヤカシは人には含まれないですよね?



 嘗ての激戦『禍津妖大戦』の傷跡深く残る東国。
 瘴気の風が荒ぶ。
『平安結界』があれど、しかして満ちるは激戦の記憶。
 残滓であれど、深い人の念は容易く妖の出現を誘引するのだ。
 だからこそ、周囲には妖しい雰囲気が満ちていた。
「しししし、新世界です」
 ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は、身を震わせていた。
 妖。つまりは妖怪変化の類いであろう。
 そう思えば、ルクスはなんとなく苦手な思いを抱いたのかもしれない。
 同時にこれが結界の中の世界だとは思えなかった。

 結界の外は死の大地と呼ばれる妖満ちる世界である。
 だというのに結界の中はきらびやかな平安貴族と庶民たちが平和に過ごしている。見ていて楽しいとは思ったのだが、東国の瘴気満ちる風はどうにも心地よいものではなかった。
 この念に妖は引き寄せられているのだ。
 だが。

「|『エイル』様《主人様》の! 香りがしまぁぁぁっす!!」
 ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)の叫びによってルクスは一気に現実に引き戻されていた。
 やっぱり、と思った。
 この世界にも『エイル』がいるのならば、|ステラ《やべーメイド》に完全にロックオンされてしまったのだ、と。
「はい、新しい世界にも馳せ参じましたメイドです! この世界の『エイル』様は『皐月』様なのですね把握しました! 誰がやべーメイドですか」
 誰も言ってない。
 ギリ、思っているだけである。
「世界に平和を齎す『平安結界』。その一部……戦いで平和を齎しているというのなら、彼らが『世羅腐威無』を名乗るのは必然なのでしょう」
 ステラは『ガゴゼ』に追い立てられる坂東武者を見据える。
 坂東武者たちは妖を憑依させることで力を得る。

 その様子をステラは捉え、ん? と首を傾げる。
「なんか、青いのか赤いのかよくわからない何かを憑依させようとしてません??」
「合掌」
「なんです、合掌とは」
「いえ、ステラさんにマーキングされてしまったんだな、と思いまして」
 あと、ステラのいつものやつの間ルクスはこの世界のご飯がどれくらい美味しいのかを考えていた。
 大したことなければ、ルクスは己が異世界知識で無双の一攫千金を狙おうかと画策していたのだ。
「ちょっとルクス様。なんだかおのぼりさん気分が抜けていないのではないですか! いいですか、あの坂東武者の方を助けなければならないのですよ!」
「それは勿論、わかってますよ。屋台出したら儲かるかなーとか」
「屋台!?」
「あ、いえ、嘘です。リクエストにお応えしましょう!」
「何もリクエストしていませんが!?」

 あれ、演奏して欲しいっていう話じゃありませんえしたっけ、とルクスは首を傾げる。
 噛み合ってない!
 びっくりするくらい。
「ええい、私が前に出ます。ルクス様、演奏も良いですが人を殺さないように」
「殺しませんよ!?」
「殺人破壊音波魔法を放とうとしているのです。予告みたいなものです」
「失敬な!」
 ルクスの瞳がユーベルコードに輝き、バイオリンの旋律……と言う名の破壊音波が迸る。
「ギャッ!?」
『ガゴゼ』たちの体が吹き飛ぶ。
 それも盛大に。ルクスのバイオリンが奏でる破壊音波が坂東武者に襲いかからんとしていた『ガゴゼ』たち横合いから打ちのめしたのだ。

 大地を跳ねる『ガゴゼ』たち。
 体勢を整えた瞬間、二丁拳銃を構えたステラが飛び込む。
 銃撃の音とグリップによる殴打。そして、体術に寄る肘の打ち込み。
 これにより『ガゴゼ』たちが打ち上げられ、大地に頭蓋から落ちるのだ。
「す、助太刀を……? この面妖な音は一体……」
 坂東武者の動揺も尤もだとステラは思った。
「気にしては負けです。ともあれ、お救いに上がりました。ご君主、『皐月』様は何処へ?」
「『皐月』様をご存知なのか。私はつい先刻まで付き従っていたのだが、妖の奸計により引き離されてしまった」
「じゃあ、早く探してあげないとですね。ステラさん、匂いでどうにかできませんか。嗅覚で」
「そこまで万能ではありませんが。ですが、やってみせましょう! ……この香りは」
 ステラは思った。
 ルクスがしれっと己を犬みたいな感じに言ったことに、なんか釈然としない思いを抱いた。
 だが、同意時にステラは香りに首を傾げる。
 なんだろうか、これは。
「混ざっている?」
 何と、何が、とはわからない。
 けれど、これまで己が主人と奉じる者の香りとは少し違う。いや、どちらかと言うと……。
「『エイル』博士やノンプレイヤーキャラクターの『エイル』様に近しい……?」
「そうなんですか? なんなんでしょうね」
「ええい、それにしても瘴気の風が邪魔!!」
 ステラたちは瘴気の凶風荒ぶ戦場をかき分けるようにして、坂東武者たちの主『皐月』の姿を求めて走るのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

朱鷺透・小枝子
ディスポーザブル01操縦。

敵は、敵は何処か!其処かッ!!

人工魔眼の【第六感】でガゴゼ共を捉え【念動力】念動鞭内蔵重機爪を吹っ飛ばし、坂東武者に襲い掛からんとする敵集団を纏めて重機爪の【怪力】で掴み捕り念動鞭で引き戻しながら握り潰す。

『世羅腐威無』でよろしいか!自分は朱鷺透小枝子!助太刀に参上致しました!ディスポーザブルが、鉄の絡繰が、切り込みます!!

RX騎兵刀を構え敵集団へ【推力移動】強引に斬り込み敵の【注目を集める】
【破壊工作】防御力を増した【鉄壁】の『骸炭装甲』でガゴゼ共の牙を通さず、刃で【なぎ払い】胸部電磁音響兵器から電磁音波を開放!
瘴気の霧ごとガゴゼ共をまとめて【吹き飛ばし範囲攻撃】!



 くろがねの巨人が瘴気の最中を走る。
 地鳴り響かせ、大地砕けよと言わんばかりに疾駆する。
 低級妖『ガゴゼ』たちは、しかして、その音を聞かぬ。
 彼らにとって必要だったのは人を喰らうという衝動のみ。
 故に地鳴りが己たちに近づいているという意識すらなかった。
「な、なんだ……!?」
 だが『ガゴゼ』に取り囲まれた坂東武者だけは地鳴りに体をこわばらせた。
 状況に対する認識。
 彼は今、各個分断された状態である。

 仲間である坂東武者たちと切り離され、多数との戦いを強いられていた。
 負った手傷は無数。
 されど、まだ生きている。
 だからこそ、朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)はくろがねの巨人『ディスポーザブル01』を駆り、念動鞭に内蔵された爪を飛翔させ『ガゴゼ』の体を吹き飛ばす。
「ギャッ!?」
『ガゴゼ』たちは突如として己たちの囲いが崩されたことに目を見開く。

 此処に来て漸く彼らは気がついたのだ。
 この地鳴りの正体に。
 見上げるは体高5mの巨人。
 鋼鉄の巨人であり、振るう一撃は『ガゴゼ』たちを他や浮く吹き飛ばす。
 巻き取られる念動鞭が『ガゴゼ』たちを巻き取るようにして締め上げ、握りつぶす。
「なんたる……俺は幻を見ているのか?」
「いいえ、幻ではございません! 『世羅腐威無』でよろしいか! 自分は朱鷺透・小枝子! 助太刀に参上いたしました!」
「我らの名を知っている……? 其の方、朱鷺透殿と申されたか、その鋼鉄の体躯を持ってして我らをご助命頂くと!」
「然り! まずはこの場を! この『ディスポーザブル』が、鉄の絡繰が、切り込みます!」
 小枝子の言葉に『ディスポーザブル01』のジェネレーターが応えるように唸りを上げる。
 出力の上がった念動力が鞭の形を為して周囲に振り乱され『ガゴゼ』たちを寄せ付けない。
 だが、数を頼みにする敵である。
 念動鞭をかいくぐり『ディスポーザブル01』の装甲を噛み砕かんとするのだ。

「噛み砕こうとするか。だが、壊すのは自分だ!」
 ユーベルコードに輝く『ディスポーザブル01』のアイセンサー。
 装甲が変形する。
 それは如何に『ガゴゼ』たちのノコギリのような歯であっても傷つけることができなかった。
 火花が散る。
 そして小枝子は騎兵刀を振り上げ、これを吹き飛ばす。
 さらに胸部のパルスアトラクターが回転し、凄まじい音を解き放つ
「ギャッギャッギャ!?」
「動きが止まった……これならば!」
「征きましょう!」
 小枝子の言葉と共に坂東武者が駆け抜ける。
 身に宿すは同じく鋼鉄の妖。
 赤と青の炎を纏う坂東武者の手にした刀と小枝子の振るう騎兵刀の斬撃が交錯し、迫る『ガゴゼ』の群れを切り払う。

 瘴気の風すら吹き飛ばす十字の斬撃。
 急造の連携。
 されど、共に戦う意思あるのならば、合わせることなど容易なこと。
 もとより坂東武者は術力無き者たち。
 故に数で戦うに長けた者たちだ。故に小枝子の戦いに合わせることができる。
 互いに言葉は少なけれど、しかして信頼に足る相手であると理解し、共に瘴気荒ぶ風を切り裂くようにして進むのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

神城・星羅
勇敢なる坂東武者の方、加勢しに参りました。頼りなき身なれど、志は負けません。ガゴゼの危険性は私も認知しております。援護します。乗り切りましょう。

【高速詠唱】で黎明の風を展開。坂東武者の方を援護するとともに牽制攻撃を。足場の悪さは【悪路走破】で乗り切りましょう。金鵄、導きの八咫烏、導きの狛犬を【一斉発射】して坂東武者の皆様の援護に。

我が身は【残像】と【オーラ防御】にて護りましょう。坂東武者の方の攻撃に合わせて調律の弓で【援護射撃】にて【矢弾の雨】。散り残さず滅しましょう。

坂東武者の皆様あっての私達です。共に生き残りましょう。



 各個分断された坂東武者たちは、苦戦していた。
 元より彼らは勇猛なる者たち。
 諦めることは程遠い。
 民の安寧を護るため、『平安結界』の維持こそが己たちの存在意義であり、妖を討滅することこそが使命である。
 故に己が生命をなげうつ覚悟などとっくにできていたのだ。
 けれど、しかし、である。
「このままでは、押し切られる……! 主命を果たせぬまま……!」
 苦々しい思いが浮かぶ。
「おのれ、妖……!」
「ギャッギャッギャ!!」
 だが、そんな覚悟も意地も嘲笑うは、低級妖『ガゴゼ』たち。

 十数体で一人を囲む彼らを突破することは容易ではない。
「ここまでか……!」
 牙が襲いかかる。
 その喉元を切り裂かんと。その肉を食らわんと『ガゴゼ』たちが殺到する。
 だが、瞬間ユーベルコードによる風が瘴気満ちる戦場を切り裂く。
 薫風。
 穏やかな風。
 荒ぶような風ではなく、緑さえ香るような風であった。
 清涼なる風は、一気に増幅された音波でもって『ガゴゼ』たちの身を打ち据え、同時に坂東武者の傷ついた傷跡を癒やすように優しい風でもって撫でる。

「こ、これは……?」
「勇敢なる坂東武者の方。加勢に参りました」
 黎明の風(レイメイノカゼ)と共に現れたのは、神城・星羅(黎明の希望・f42858)であった。
 彼女は己が身を頼り無き身であると思っていただろう。
 屈強なる坂東武者からすれば、そう思うのも無理なきことである。
 未だ幼き身であるがゆえに。
 けれど、坂東武者は感じていただろう。その比類なき才気というものを。
「ご助力感謝致す、しかし、私に構わず、どうか……!」
 己が主君を、と坂東武者は言う。
 星羅は頭を振る。
 低級とは言えど、『ガゴゼ』の危険性は彼女も理解している。

 探知にかかりにくい存在。
 そして、人を喰らうことだけを意義とする者たち。
 故に星羅は此処で『ガゴゼ』を捨て置くことこそが遺恨を生み出すことを理解していた。
 ユーベルコードに輝く瞳。
「共に征きましょう。あなたの主君を救うというのならば、あなたも生きて進まねばなりません」
 星羅は化神を招来し、瘴気の風満ちる戦場を照らす。
「それに、この日まで平穏に満ちた結界の中の生活を維持できてきたのは坂東武者の皆様あってのことでございましょう。皆様あっての私達です」
 だから、と星羅はユーベルコードに輝く瞳でもって坂東武者の心を照らす。

 そう、妖たちは人の心の闇、その念に引き寄せられる。
 嘗ての激戦地。
 この地に満ちるのは絶望と悲嘆。
 故に見せねばならないのだ。
 この絶望の最中にあってなお、生きるという意志こそが光となって道を照らすことを。
 星羅は手を伸ばす。
「共に生き残りましょう」
 それが闇を照らす唯一の光であるというように、薫風が瘴気の風を押しのけていく――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

星野・祐一
「とにかく急いで助けに行くか。細かい事はその時に考えとく」

SPD

「はじめまして代わりにこいつを食らいな!」
テスタロッサに騎乗りながら戦場に飛び込みUCを発動
ガゴゼの声が多そうな方に全力投球

「ほれほれ、どうした?電撃でピカピカ目立つようにしてやったんだ、ちっとは喜べよ」
これで坂東武者達もちっとはやりやすくなった筈だ
こっちはUCの打ち漏らしを暗視で地道に見つけて処理してくか

Esに操縦させたテスタロッサを突っ込ませてガゴゼ達をかく乱
ガゴゼ達が混乱してる隙を突いてひたすら銃撃!銃撃!銃撃だ!
攻撃を潜り抜けた奴には見切り、受け流しで避けて銃床カウンターや銃身突きからの零距離射撃でお帰り願うぜ

アドリブ歓迎



 急がなければ。
 その思いだけが心にあった。
 坂東武者は走る。
 迫るは低級妖『ガゴゼ』たち。その数は十数を超えている。己一人に対する戦力としては過剰である。
 しかし、奴らは術策をもって坂東武者たちを一人ひとり潰していくことを選択していた。
 明らかに低級が考えることではない。
 この絵図を描く妖、その元凶がいる。
 だからこそ、諦観は敵の思う壺であった。
「ギャッギャッギャ」
 嗤う声が聞こえる。

 己の抵抗を無駄だと嗤い、弄ばんとする『ガゴゼ』たち。
 食い止めた一撃。受けた刀が軋む。
「くっ……!」
 ここまでか、と思う。ならば、己の生命を捨て、一矢、と坂東武者が心を決めた瞬間、風が吹いた。
 それは疾風のように『ガゴゼ』たちを吹き飛ばしながら、また同時に雷光と雷鳴を轟かせる。
 強烈な光。
 それは一瞬で走り抜ける炸裂音と共に『ガゴゼ』たちを照らす。
 さらに雷が『ガゴゼ』たちの体躯を打ち据え、その体をしびれさせるのだ。
「ギャッ!?」
「はじめましての代わりだったが、お気に召したかな!」
 それは宇宙バイク駆る星野・祐一(シルバーアイズ・f17856)の声だった。
 彼はサンダークラップの一撃を『ガゴゼ』たちに叩き込み、同時に坂東武者の体を抱えて颯爽と敵の囲みを突破してみせたのだ。

「なっ、そ、空に浮かんで!?」
「おっと、こういうのを見るのははじめてかい? だが、ちょいとばかし暴れるのはやめておくれよな。体勢が不安定になっちまう」
 祐一はわらって抱えた坂東武者と共に宇宙バイクで空を飛ぶ。
「ギャッギャッギャ!!」
「ほれほれ、どうした? 電撃でピカピカ目立つようにしてやったんだ、ちっとは喜べよ」
 突如として乱入してきた祐一に『ガゴゼ』たちは苛立つようにして叫んでいる。
 それも当然だろう。
 獲物を横取りされたと思ってもしかたない。

「なんだよ、喚いてばかりで何言ってるかさっぱりわかりゃしない。だが、わかるぜ」
「あれなる妖を!」
「ああ、おっと、降りるかい?」
「ご助力感謝致す。しかして、某も侍なれば」
 宇宙バイクから飛び降りた坂東武者に祐一は笑う。
 なるほど、と。
 戦う意志は、この状況にあっても変わらぬと。ならば、祐一は熱線銃を構える。
 坂東武者が未だ戦う意志を潰えせぬというのならば、彼を援護しなければならない。
 それに加えて己のユーベルコードで『ガゴゼ』たちは混乱の只中にいる。
 ならば、銃撃を咥えてやれば、絶えず帯電するスパークが『ガゴゼ』たちを捉え、坂東武者も戦いやすいだろう。
「なら、最後まで付き合うとするか! 行くぜ!」
 祐一は頷く。

 あれが侍だというのならば、己も戦わなければならない。
 構えた熱線銃の銃口が『ガゴゼ』を捉え、瘴気の風満ちる戦場を切り裂く。
 生きる意志こそが全てである。
 意志なき生命に明日は来ない。
 祐一は坂東武者に満ちる生きる意志を受けて、その命を助けるために宇宙バイクを駆り、さらに瘴気の源へと坂東武者と共に突き進むのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『瘴気の野分』

POW   :    気合や体力で消耗に耐える

SPD   :    地形や装備を利用して風の影響を軽減する

WIZ   :    結界や呪術で大風に対抗する

イラスト:anじぇら

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「やはり――」
 亜麻色の髪を揺らした坂東武者の主『皐月』は古びた神社にたどり着いていた。
 伴していた坂東武者たちは妖たちの策動によって散り散りにされてしまった。
 最早、この身一つである。
 麗しい眉根が歪めども、しかし凛々しい顔立ちは曇らない。
 古びた神社の奥に確かに強大な妖の存在を感じるのだ。この瘴気の風の元凶であり、妖たちを用いた奸計張り巡らせている存在さえ打倒できれば、己の使命は果たせる。
「『無限進化ユーベルコード』を持つ妖……『鵺』か。ならば、育ちきる前に叩くが肝要と見た」
 女性と見紛うばかりの見目。
『皐月』は神社の奥へと踏み込んでいく。
 たとえ、瘴気の大風が渦巻き、迫る者の力を削ぎ落とすのだとしても。
 それでも前に進む。

 そうしなければ何れ『鵺』は『無限進化ユーベルコード』によって手のつけられない妖へと変貌する。
 立ち止まってはいられない。
 手勢がいないこと、己が単身のみしかないのだとしても、誰かがやらねばならぬのだと理解しているからこそ『皐月』は構わず瘴気の大風の源目指して走っていくのだった――。
八秦・頼典
●WIZ

尋ね人である皐月殿の行き先だが、十中八九この先に根城を築いている妖の元へと向かわれたのだろう
しかし、それが何処であるかはボクはおろか従者の板東武者らも分からないのではお手上げ…だけど、蜘蛛の糸に縋るかのような小さい手掛かりはあるようだね

それは皐月殿と妖の霊力さ
しかし、この野分全体で暴風となり渦巻く瘴気が追跡を錯乱させているか
なら、禍々しい風をほんの僅かの間だけ追い風とさせようか
【臘月陰陽符】による結界で瘴気の大風の動きを変えよう
その間に阿近と吽近に霊力と匂いを嗅ぎ取って貰い、それを元にボクもふたつの霊力を捉えてみよう
あとは時間との勝負だね
勇ましき板東武者らよ
ボクの後を付いてきたまえ



 坂東武者らの主『皐月』。
 女性と見紛うほどの美しき顔を持つ麗人の行先は未だしれず。
 されど手がかりがある。
「十中八九、この先に根城を築いている妖の元へと向かわれたのだろう」
 なんとも向こう見ずな人なのだろうと八秦・頼典(平安探偵陰陽師ライデン・f42896)は思ったかもしれない。
 だが同時に、この先に座す奸計張り巡らせた妖の性質を知れば、立ち止まっている暇などないこともまた理解できたはずである。
「とは言え、所在知れぬというのはお手上げ……」
「ですが、ご君主はかならずや妖の元へと向かいましょう」
 坂東武者の言葉に頼典は頷く。

 それは必ずと言って良いほどの確証であった。
 己が手にあるのは蜘蛛の糸に縋るかのようなか細い手がかりのみ。
 即ち、『皐月』と妖の霊力である。
 瘴気の大風満ちるこの場に置いて、それだけが手がかりである。
「か細い糸は確かに風に吹かれて揺蕩うしかないだろう。追跡を困難なものとしている。ならば、臘月陰陽符にて風の動きを変えるとしよう」
 ユーベルコードの煌めきが瞳に宿る。
 禍々しき風。
 荒ぶ風は己たちの往く道を阻むかのようであったし、同時に霊力をたどることを困難にさせていた。
 しかし、己が符を頼典は己が使役する二頭の狛犬に貼り付ける。

 得られる属性は朧月。
 儚い光なれど、しかして道を照らす。
 風が荒ぶのならば、二頭の狛犬等が放つ護符の嵐でもって押しのければよい。
「お見事でございまする」
 坂東武者が感服したように頼典の手腕に告げる。
 だが、それでも道行きは未だか細い糸が繋がるばかり。
「『皐月』殿は霊力に優れたる方と聞く。それは真であろうか」
「はい、我らが主なれど術力確かなものであり、また武勇もまた……妖に遅れはとりますまい、とはいえ、奸計巡らせる妖相手であるのならば……」
 不安要素はある、ということかと頼典は頷く。
 ならば。
「後は時間との勝負ということだね」
 頼典は二頭の狛犬が先導する輝きを見やる。

 元よりこの瘴気の風荒ぶ中を駆け上がる他ない。
 道をとざれる前に一気に進むのだ。
「勇ましき坂東武者らよ」
「はっ!」
 跪く坂東武者に頼典は頷く。
 敵が強大ならば、己達だけでは『皐月』を救うことはかなわないだろう。ならばこそ、坂東武者たちの勇気に賭けるしかない。
「ボクの後をついてきたまえ。さすれば貴殿らの主を救うことになるだろう。その際は」
「奮起することを誓いましょうぞ」
「ならば、よし」
 征こう、と頼典は頷き、黄金の護符嵐を標にするように瘴気の風の中を一条の流星の尾のように駆けていくのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

クローネ・マックローネ
NGなし、絡みOK、アドリブ歓迎
【SPD判定】
普段口調の場合、強調したい時は「★」を、それ以外の時は「♪」を語尾につけるよ♪

急がなきゃいけない状況とはいえ、味方を置いてっちゃ駄目でしょ?
一人で勝てる相手じゃないと分かってるだろうに…♪
この件が無事に終わったら、皆で軽く説教しないとね★

【呪詛耐性/毒耐性/環境耐性/オーラ防御/霊的防護/かばう/元気/回復力/浄化/救助活動】で瘴気の大風から板東武者ちゃん達を守りながら前進するよ♪
【追跡】はこちらでやるから、皆ついて来て!

UCは「ワタシの心身広域回復術」★
心身を回復するこのUCで、瘴気の大風の影響を少しでも緩和できるといいんだけど…♪



『無限進化ユーベルコード』
 その恐るべき力を持つ妖『鵺』。
 放置すれば最強へと至る力を持つ存在が奸計を巡らせ、坂東武者たちを各個分断したのは彼らの滅殺が最終的な目的ではないことを示している。
 そう、時間である。
 充分な時間。
『鵺』が最強へと至るための時間を稼ぐために坂東武者たちを各個分断し、対応を遅らせる。
 そして、その坂東武者たちを救うために現れる猟兵達の時間をも奪う。
 ただそのためだけに此度の奸計は編み上げられている。
「これが急がなきゃいけない状況とはいえ、味方を置いてっちゃ駄目でしょ?」
 クローネ・マックローネ(快楽至上主義な死霊術士・f05148)は思う。

 仮に『無限進化ユーベルコード』がないのだとしても、やはり味方の到着を待つべきであったのだ。
 しかし同時に坂東武者たちが猟兵に救われなかったのならば、どちらにせよ『鵺』の力は増大していて、手がつけられなかっただろう。
 即ち、『皐月』と呼ばれる平安貴族に残された手はただ一つだけだったのだ。
 刺し違えてでも、という覚悟があったのかもしれない。
「一人で勝てる相手じゃないとわかってるだろうに……♪」
 それでも往くのが侍であるのならば、確かに『皐月』と呼ばれた平安貴族もまたそうなのであろう。とは言え、命を粗末に扱うことに変わりないとクローネは思う。
 この件が終わったのならば、皆で軽く説教しないといけないとクローネは意気込んで、瘴気の風荒ぶ古びた神社を見上げる。

 瘴気は渦巻くようにして風に乗り、己たちの道を阻んでいる。
「これは確かに面倒なことになっているね♪」
「はい、これなる瘴気。この場にとどまる事自体が即ち死へと向かうことでございます」
 坂東武者の言葉にクローネは頷く。
 確かにユーベルコードなしでは進めようはずもない。
 ならば、とクローネの瞳がユーベルコードに輝く。
「でも、このユーベルコード、ワタシの心身広域回復術(ブラック・ワイド・レンジ・リカバリー)なら……身体の傷も、精神の異常も、大抵のものは治せるよ」
 技能を組み合わせた新たな技能。
 心身広域回復術によってクローネは荒ぶ瘴気を受け流す。
 同時に坂東武者を護るようにして、瘴気の中を進む。

「しかし、『皐月』様は……!」
「大丈夫★ 最終目的地が神社にいる妖だっていうのなら……皆ついてきて★」
 クローネはユーベルコードによって得た技能でもって坂東武者たちを回復し、また同時に自分も回復しながら神社への道を駆け上がっていく。
 一体どれだけ駆け上がっただろう。
 瘴気のせいでよくわからない。
 進んでいるのか、それとも進んでいないのか。
 見た目以上に傾斜がきつい。
「大丈夫?」
「なんのこれしき……! 急がねば!」
「そうだね♪ じゃあ、もう少しがんばろう★」
 クローネは瘴気の大風の影響を少しでも緩和しようとユーベルコードに輝く瞳でもって前を見据える。
 どんなに遠い終着点であっても、今歩まねばたどり着くことなどできやしないのだ。

 そして、刻一刻と『鵺』に対処できる限界点が迫っている。
 少しでも早く。
 少しでも多くの坂東武者を救援に向かわせなければならない。
 クローネは、己のユーベルーどの力が続く限り、坂東武者たちを励まし、さらに神社を目指すのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

神城・星羅
指揮を取る立場なら、危険を顧みず先へいく策もあるでしょうね。私は一族で一番未熟者で足手纏いでしたから、焦る気持ちは良く分かります。

でも野分程の勢いで危険な瘴気ならば、たとえ優れた方でも単独は危険ですね。直属の部下の坂東武者の皆さんの気持ちは良く分かります。援護します。乗り切りましょう。

【高速詠唱】で神籟の祝詞を紡ぎ、回復と再移動の援護を。私も【オーラ防御】と【結界術】で身を固めます。【回復術】も活用しますね。金鵄と導きの八咫烏と導きの狛犬も同行させますね。【追跡】と【気配察知】も駆使してあらゆる不足に備えます。

行きましょう、勇敢なる先達の為には力を尽くしますとも。



 功を焦るわけではないことは百も承知だった。
 瘴気の風満ちる古びた神社。
 連なる石段の先にこそ元凶たる妖『鵺』が座す。
 ならば、立ち止まっている暇はない。坂東武者の主『皐月』が焦ったのも無理なからぬことである。
 妖『鵺』は『無限進化ユーベルコード』によって時間が経てば経つほどに力を増していくのだ。
 故に奸計巡らせ『鵺』は『ガゴゼ』たち低級妖を用いて坂東武者たちの各個分断による時間稼ぎを行っていたのだ。
 仮に『ガゴゼ』達が坂東武者を全滅させることができたのならば、それでよし。
 しかし『ガゴゼ』たちによる分断は必ずや猟兵達によって阻止されるであろう。
 ならばこそ、分断は猟兵たちの集結をも遅らせる方策。

「指揮を取られるお立場ならば、危険を顧みずときを稼がれるを阻むのは道理。焦る気持ちは」
 よくわかる、と神城・星羅(黎明の希望・f42858)は頷く。
 己が嘗て一族の中にあって一番未熟であったという忸怩たる思い。
 それがあるからこそ、坂東武者の主『皐月』が先を急いだ思いもまた理解できるところであった。

 しかし、満ちる瘴気はあまりにも危険すぎた。
「『皐月』様ならば」
「安心だと申されるのは些か早計でありましょう。如何に優れたる御方であっても、単独はやはり危険です。皆様の気持ちはよくわかります」
 星羅は故にこの局面を乗り切らねばと思う。
「援護致します。妙なる響、再起の力を」
 神籟の祝詞(シンライノノリト)が紡がれる。
 強い覚悟を込めた祝詞によって香り高き風が生み出され、瘴気の風を押し出していく。
 とは言え、十全ではないだろう。
 あくまで星羅のユーベルコードは負傷を回復させ、再び行動させるものである。
 瘴気の風に寄る障害は完全に無効化はできない。
 けれど、それでも星羅は坂東武者が進むことを知っていた。

 自分がそうであるように立ち止まってはいられないのだ。
 居ても立っても居られないのだ。
 何かをしなければ。
 役に立たねばならないという思いだけが先走っている。
「ありがたい。これで前に進めまする」
「ですが、ご無理なく。あらゆる不足には備えておりますが……」
「何から何までかたじけない。我らは術力無き故」
 星羅は勇敢なる先達が力を尽くすのならば、己もまたそうでなければならぬと気を引き締める。
 かき分けるようにして瘴気の風の中を進む。
 祝詞が呼ぶ風。
 それは背を押すようにして彼女たちの歩みを力強く味方する。

 古びた神社はさらに上へと進まねばならない。
 星羅は己の式神たちが先行し、導く姿を追う。
 早く、速く、と逸る気持ちは止められない。一刻でも早く『鵺』を打倒さねばならない。
 急く気持ちに言いようのない不安を抱えながら星羅は、どうか間に合って、と願いながら駆け上がっていくのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

夜鳥・藍
いかがいたしましょう?
困ったわ、私には結界を張ったりするような器用なことはできませんし……。

もしかしたら少々ずるい方法かもしれませんが。星乙女で姿を大きくし一歩自体を大きくしてしまえば消耗は抑えられるかもしれません。
野分の規模にもよりますが上空の方はそこまででもない可能性もあります。
迷うよりもやってみましょう。
坂東武者の方々には少し待って貰い星乙女を発動。運べるようならそのまま、難しそうなら大きくなった私で十分耐えられる風の強さならば私の身体を壁代わりに配下の方々と共に進みます。
真の姿だとスカートが長くなってますからできれば直接運べたらいいですね。



 瘴気の風が駆け下りるようにして古びた神社より吹きすさぶ。
 それは迫る猟兵たちを寄せ付けぬような風であり、また同時に妖の奸計であることを知らしめるものであった。
 この事件の元凶。
 妖『鵺』が講じたのは時間稼ぎだった。
『鵺』が持つ『無限進化ユーベルコード』は時間が経てば経つほどに力を増していくのだ。
 そのために『ガゴゼ』たち低級妖を用いて坂東武者の各個分断を画策し、その救援にやってきた猟兵たちの意識をも惹きつけさせたのだ。
「いかがいたしましょう?」
 夜鳥・藍(宙の瞳・f32891)は困り果てていた。
 己は瘴気の風を防ぐために結界を張るような器用な真似はできない。

 けれど、この瘴気の風は徐々に人の生命を削っていくだろう。
 己だけではなく坂東武者もまた手段を持ち得ない。彼らは術力なき者たち。この瘴気の中では気力精神だけで立ち向かわねばならぬ者である。
 だからこそ、藍は彼らを守らねばと思うのだ。
「足手まといに成らぬようにと思えども、しかし、これでは……!」
 野分の風は強烈だった。
 迫る者を阻むようにして吹きすさぶ風。
 これでは前に進めない。けれど、進まねば元凶たる妖の元へは行けない。

 どうするかと考えた末、藍は瞳をユーベルコードに輝かせる。
「これで消耗を抑えられるかもしれません」
 みるみる間に藍の身体は真の姿たる星乙女(パルテノス)の体躯へと変貌を遂げる。
 彼女の体躯は人のそれではなくなっていた。
 巨人よりも巨大な姿。
 見上げるは天を貫かんばかりであったように坂東武者には思えただろう。
「な、な、な……!?」
 驚天動地とはこのことである。
 坂東武者は藍の変じた姿に目を見開くばかりであった。

「やはり上空の風は瘴気をはらんでいないようです。これならば……あら?」
 腰を抜かしてしまった坂東武者に藍は気がつく。
 わからないでもない。
 眼の前で人がこれほどまでに巨大になってしまったのだ。
 悪いことをしたかもしれないと藍は思いながら、手を差し伸べる。
 体高が22mを超えているのだ。
 これならば手のひらに人をのせることができる。
 当初は己が身を壁代わりにできるのではないかと思ったのだが、これならば手のひらに乗せた方が早いだろうと思ったのだ。
 何よりも一歩の歩幅が違う。
「一刻を争います。さあ、どうぞ」
「は、ハッ……!」
 腰を抜かしている場合ではないと坂東武者も理解したのだろう。
 差し出された藍の手のひらに乗り、揺れる藍の巨躯と共に瘴気満ちる風を突っ切るようにして共に進む。

 藍に負担を強いることになるが、しかし、彼女は構わず前に進む。
 彼女の一歩は今や、ただそれだけで吹き下ろす風をものともしないものとなっていたのだ。
「征きます。しっかりと指につかまっていてくださいね」
 そう告げ、藍は古びた神社へと駆け上がっていく。
 その速度は圧倒的だっただろう。
 藍はこれが少しずるい手段であると思ったかも知れないが、しかし悠長なことは言っていられない。
 そこにためらいなく、藍は風をかき分けて駆け上がっていくのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

朱鷺透・小枝子
先は良き戦いでした。
『世羅腐威無』ど…貴殿の名は?

ディスポーザブル01操縦。
風の当たらぬ01の陰へ坂東武者殿を誘導。
瘴気の大風、邪魔をするならば、なぎ払うのみ!
来たれ、『巨人の打刀』RX打刀を召喚。更に!
宝貝たる破魔の鉄大団扇から引き出した浄化の霊力をRX打刀へ注ぐ!

薙げ、『断て』『この刃を以て』!!

打刀を【なぎ払い】力を開放、幾つもの【浄化】の超巨大斬撃波で
瘴気の大風を【吹き飛ばし】散り散りに裂き晴らしながら、
その毒素を|無害化《破壊》する!

道は切り開きました!ディスポーザブルに掴まってください!
また瘴気が来る前に!疾く参りましょう!!
飛ばします!!

01、メガスラスター最大!【推力移動】!!



 低級妖『ガゴゼ』たちを打ち倒した朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)と坂東武者は息を吐き出す。
 如何に低級とは言え、数に物言わせる『ガゴゼ』たちの猛攻を退けたのだ。
 しかし、事態は一刻を争う。
 故に小枝子は短く告げる。
「先は良き戦いでした。『世羅腐威無』ど…貴殿の名は?」
 共に戦った者の名を知らぬというのは、なんとも落ち着かない。
 故に、坂東武者へと名を尋ねるのだ。
「失礼致した。己が名は『九郎昌盛』と申す者」
「九郎殿。此方へ」
 そう言って小枝子は己が駆る『ディスポーザブル01』の影へと彼を庇う。

 迫るは瘴気の風。
 術力持たぬ坂東武者であれば、その屈強なる肉体だけではいかんともしがたいものがあるだろう。
 ならばこそ、小枝子は己が瞳をユーベルコードに輝かせる。
「瘴気の大風、邪魔をするのならば、薙ぎ払うのみ!」
『ディスポーザブル01』が抜き払うは騎兵刀。
 その巨大な刀身を見上げ、『九郎昌盛』は声を上げる。
「応! なんとも雄々しきことか。鋼鉄の絡繰なれど見事な!」
「これだけではありません。更に!」
 手にした巨人の打刀(ガルシェン・ブレード)へと宝貝たる鉄大団扇が舞を披露する所作によって浄化の霊力を注ぎ込むのだ。
 煌めくはユーベルコードの刀身。

「如何するか」
「こうするのです! 薙げ、『断て』『この刃を以て』!!」
 振るう斬撃は巨大な斬撃波となって風を切り裂く。
 浄化の力を宿した斬撃波。
 瘴気が晴れやかに霧散していく。
「なんと……瘴気が晴れる……!」
「ええ、毒素があるのならば、その毒を|無害化《破壊》すればよいのです! さあ、道は切り拓きました!『ディスポーザブル』につかまってください!」
 そう、仮に無毒化したとは言え、瘴気は吹き下ろすようにして迫っている。
 一時的な解決にしかなっていないのだ。

 だからこそ、小枝子は坂東武者を『ディスポーザブル』のマニュピレーターに掴まらせ、また掴むようにして抱えて古びた神社へと駆け上がっていく。
「飛ばします!」
「頼みます。我が主君のためなれど、しかして妖を討つことは『平安結界』の維持のためには必要なことなのです」
「ええ、委細承知しておりますとも!『ディスポーザブル』!!」
 メガスラスターが噴射し、『ディスポーザブル01』の持てる最大の速度でもって小枝子と坂東武者は走る。
 恐らく『皐月』が急行したのは、元凶たる妖『鵺』が『無限進化ユーベルコード』を持つが故である。
 急ぎこれを討たねば手がつけられなくなる。
 そのために『皐月』は坂東武者たちの無事を確認するよりも、早く己がと思ったのだろう。
 理解できる。
 そうしなければならない理由も。
 だからこそ、それが『鵺』の思う壺であることも。

 己達猟兵が来ることも『鵺』は計算に入れていたのだろう。
 奸計此処に極まれリである。
 故に如何に『皐月』が優れたる者であったとしても、これを打ち倒す方策を『鵺』は持ち得ているはずなのだ。
「嫌な予感がするであります……」
 ざわつく胸の予感を小枝子は振り払うように『ディスポーザブル01』を更に加速させるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

源・絹子
化神の龍『クズリ』に乗って。
やれ、『皐月』殿もまた平安貴族らしい人物であるな。
しかし…一人で行くのはちと無謀ぞ?
というわけでな…ともに行こうではないか、坂東武者の者らよ。

この中を行くのならば…ヤタガラス『キンウ』よ。その太陽の炎で浄化してくれぬかのう?
こちらも、巡る勾玉を使い鬼道の術で浄化していくからな。
まあ…今は風をどうこうする術がないゆえ、向かい風になるのは…我慢してたもれ。
(今までが、ほぼ身一つでイケイケしてた反動とも言う)



 身につまされる思いというのはこの事である。
『世羅腐威無』の主『皐月』が単身、この事件の元凶である妖『鵺』の元へと向かったのは時間が惜しいからである。
 己が身よりも、この『平安結界』の中に生きる人々の安寧をこそ優先する。
 その気概は買うべきものであるが、しかして、源・絹子(狂斎女王・f42825)はそこに嘗ての己を見るようだった。
 我が身一つ。
 たった一つの武器であるが、その武器が妖において急所だというのならば、なげうつことなど造作もない。
 それだけの理由でいかようにも身を投げ出すことのできる異常性。
 それを持つが故に絹子は『皐月』の行動を理解する。
「やれ、『皐月』殿もまた平安貴族らしい人物であるな」
 絹子は息を吐き出す。

 向こう見ずなところはいつの時代もあるものである。
 若すぎるとも言えるし、青過ぎるとも言える。
 化身の龍に腰掛けるようにして絹子は見下ろす。瘴気が満ちている。風となって己たちの道を阻んでいる。
 これもまた妖『鵺』の奸計の一つであろう。
「しかし……一人で行くのはちと無謀ぞ?」
「然様でございまする。どうか、どうかご助力を」
 坂東武者の言葉に絹子は頷く。
 元よりそのつもりである。
「では、共に行こうではないか、坂東武者の者らよ」
 絹子は頷く。
 彼らもまた己が主のために生命をかけることのできる者たちである。

 ならばこそ、喪わせてはならぬ生命であると絹子は思うのだ。
「この中を行くのならば、瘴気を浄化せねばならぬ。『キンウ』よ。太陽の炎で浄化してくれぬか?」
 ヤタガラスが飛び立つ。
 瘴気の風満ちる中にありて、その光は黄金。太陽の輝きである。
 全てを浄化せしめることはできないが、しかして道筋を示す光明のようでもあった。
「やはり足りぬか。ならば」
 鬼道の術を以て、と絹子は荒ぶ風の中を化神と共に進む。
「くっ……!」
 とは言え坂東武者たちには堪える風であろう。
 彼らは術力なき者たち。
 その身に妖を憑依させて戦うものたち。彼らの力は戦うものであって、瘴気を如何にかする力ではない。
「瘴気はある程度防げれど、向かい風はいかんともし難いか」
「なんのこれしき!」
 坂東武者の勇ましきことに絹子は笑む。

 そうだ。
 いつだってそうだ。
 己は見てきたのだ。確かに彼らは術力なき者。けれど、それでも誰かのために戦うことを決意し、覚悟した者たちなのだ。
 なんら己と変わらぬ。
 ならばこそ、笑みが溢れる。いつの時代も。巡る時代の中にあってなお、輝く人の心がある。
「……我慢してたもれ」
 絹子はそういう者たちから死んでいくことを知っている。
 故に彼らを気遣いながら大風の中を進むのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

星野・祐一
「急ぐべきか無茶するべきか…悩むところではあるがな」

SPD

「…手をこまねいてたら意味がねえ。なら行動あるのみだ」
スマートサイトで風の勢いの弱い所をリアルタイムで割り出しテスタロッサの機動力で一気に駆け抜けてみよう
後続を置いとくことになるけれど、タイヤ跡を道しるべにして進みやすくなるかもしれないし
希望者がいれば坂東武者一人乗せてもいいぜ。早く主の元に駆け付けたいだろうしな
そんときは宇宙服のオーラ防御を広げて少しでもダメージを抑えられるようにしとくよ

Esに『鵺』らしき反応のある場所を索敵して貰いながらUCを発動してレッツゴー!
「しっかり捕まってろよ!不整地じゃ安全運転できねえからさ!」

アドリブ歓迎



 時間がない。
 それが今の状況を端的に表した言葉であった。
 そう、時間がないのだ。
 この事件の元凶である妖『鵺』の厄介なところは『無限進化ユーベルコード』を持っていることである。
 同時に、己が進化する時間を稼ぐための奸計を用いることができる知性をも持っている。
 それが最も厄介なことであった。
 知性無き力は恐れるに値しない。
 力なき知性もまた恐れる必要はない。
 だが『鵺』は力と知性を携えた妖である。故に星野・祐一(シルバーアイズ・f17856)は理解する。
『皐月』と呼ばれた平安貴族が何故単身で急いだのか。

「急ぐべきか無茶するべきか……悩んでいる時間すらも惜しいってことだよな」
 祐一は眼の前に浮かぶホログラムを見つめる。
 瘴気の大風が吹き荒れている。
 これが己たちの道を阻んでいるのだ。またがった真紅の宇宙バイクで突っ切ることもできるかもしれないが、向かい風であるため、無闇矢鱈に突っ込めばそれだけ時間をロスすることは明白だった。
 だからこそ、祐一は風が弱い箇所を探る。
「俺はこのまま行く。どうする、あんたたちは」
「我らがいては貴方様の足が遅くなりましょう。それでは本末転倒。どうか、頼まれてはくれますまいか」
 坂東武者の言葉に祐一は頷く。
 彼らは弱くない。
 己が辿った道を標にしてきっと駆けつけてくれるだろう。

 ならば、此処は己が無茶のしどころだと祐一は理解する。
「そうか。なら、あんたたちの主は任せろ。一人くらいなら問題はない。あんたたちだって気が気じゃないはずだ」
「ならば、私が」
 一人の坂東武者の言葉に祐一は頷く。
 タンデムシートに坂東武者を乗せ、祐一はアクセルを吹かせる。
 ユーベルコードに輝く瞳。
 どんか壁もどんな風もどんな限界も、己が腕一つで切り抜けることができる。
 それが己のユーベルコード。
「いくぜ、しっかり掴まってろよ!」
「はっ!」
 吹かされたエンジン音が荒ぶ風を切り裂くようだった。

 唸りを上げる宇宙バイク。
 エキゾーストパイプから排出される空気が熱せられて、急激に冷えることで白煙となって棚引く。
 一気に加速した車体と共に祐一は風を突っ切る。
「な、な、っ!?」
「不整地じゃ安全運転できねえからさ!」
「か、かまいませぬ! どうか某のことはお気になさら」
 ず、とは言い切れなかったのだろう。
 坂東武者の悲鳴めいた声を祐一は耳の片隅に置き去りにしながら、さらに加速していくのだ。
 揺れる。
 車体が揺れる。あまりにも揺れて、体が浮くようだった。
 けれど、それでも祐一は最短距離を突っ切るようにして、己たちの道を阻む風を切り拓くのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルクス・アルブス
【ステルク】

ステラさん? ステラさーん? ステラさんってば!

たしかにステラさんは、おはようからおやすみまで『エイル』さんを見守ってますけど、
それ初対面の皐月さんにいきなりは強火過ぎですからね?
皐月さんに会えたとしても、普通のご挨拶しないと、また逃げられますよ?

盾?この瘴気の大元に行くんですよね?
なんとか瘴気を祓わないといけないですし、演奏しないと進めないですよ?

ですです。って、どういう意味ですかー!?
回復しながらですから、みんな元気になると思うのですが!

え?今回はステラさんがされるんですか?
わかりました!

それならわたしは、ちょっとでも急げるようにサポートしますね。
【ギャロップ】でごー!です!


ステラ・タタリクス
【ステルク】
(周りに聞こえないようにぶつぶつ)
ふむ……?
エイル博士やGGOのエイル様に似ている……?
ということは?
皐月様は実は女性だったという線があったり?
混ざり物……純粋がゆえに|怪物《プロメテウス》であるなら?
『この地』に根差す皐月様は『違うモノ』になりつつある?

とりあえず考察はここまでですね
ルクス様、盾になる準備は終わりましたか?
え?演奏ではありませんよ?
あ、でも瘴気と破壊音波の対消滅という手が?まぁ味方が死んでしまうので
ここはメイドにお任せいただきましょう
【アウルム・ラエティティア】
衝撃波を伴う歌声で瘴気を吹き飛ばす
さて風が戻ってくる前に突き抜けましょう
早く皐月様に追いつかなくては



 ぶつぶつとした声が聞こえる。
 それは念仏めいた声であった。
 しかし、ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は理解していた。
 それはステラ・タタリクス(紫苑・f33899)の考察する声であった。
「ふむ……?」
 ステラは止まらない。
 というか、今目の前を阻む猛風が瘴気と共に荒ぶというのにまったく意に介している様子はなかった。
 むしろ、己の中にある情報と知識が混在しているようであった。
 自身の感覚を疑うわけではない。
 匂いという謎の理屈と要因によってステラは『皐月』と呼ばれる坂東武者たちの主について違和感を覚えていた。

 どちらかというと他の世界の者たちに近しいものだったからだ。
 それもどちらかというと特定の要素を持つ者たち。
 女性の『エイル』博士。女性のNPC『エイル』。
 似ている。
 匂いが似ている。
「ステラさん?」
「ということは?『皐月』様は実は女性であるという線もなくはないのでは?」
「ステラさーん?」
「混ざりもの……純粋がゆえに|怪物《プロメテウス》であるのなら? アヤカシエンパイアに根ざす『皐月』様は」
「ステラさんってば!!」
 はい、とステラはなんてことはないようにルクスの言葉に頷く。
 聞いてましたが何か、みたいな顔をしている。よくそんな顔ができるとルクスは思った。

「確かにステラさんは、おはようからおやすみまで『エイル』さんを見守ってますけど、それ初対面の『皐月』さんにいきなりは強火が過ぎますからね?」
「ルクス様、盾になる準備は終わりましたか?」
 えっ、何の話!? とルクスは目を見開く。
 いや、わかっている。
 この瘴気の大風を吹かせている大本の元へと向かおうとしていることくらいは。
 瘴気をどうにかしなければならないのはルクスにだってわかっていた。
 けれど、盾、とは?
「急がなければ、『皐月』様が危ういのです。もしも、私の考察が正しいのならば、『皐月』様は『エイル』博士のように負けっぱなしでしょうし、NPC『エイル』様のように肝心な所に踏み込めない、という性質を持っている可能性があります。つまり」
 どれだけ優れた力を持つ眉目秀麗にして才色兼備たる『皐月』は『鵺』に絶対に『勝てない』可能性がある。

「えっ、えっと、はい。なんとかこの瘴気をしないとですね。演奏しないと進めないですよね。瘴気を払うには演奏。これ、古来よりの伝統ですよ!」
「演奏ではありませんよ? それしたら、まぁ味方が死んでしまいます」
「なんてことを言うんですか! 大丈夫ですよね!?」
 坂東武者たちはルクスの言葉に頷く。
 何も知らないからそんなこと言えるんです、とステラは思ったが頭を振る。
「ここはメイドにお任せ頂きましょう」
「え? 今回はステラさんがされるんですか?」
「はい、メイドに不可能はございません。響け、『エイル』様への愛! 今、此処に在れる喜びを歌に」
 アウルム・ラエティティア。
 それはステラのユーベルコードであり、歌であった。
 歌声は見事なものであったが、同時に瘴気の大風を正面から吹き飛ばす。
 風穴が空くようにして瘴気が穿たれる。
「さあ、お早く」
「な、なんと……」
「いつまた風が戻って来るかわかりません。早く『皐月』様に追いつかなくては」
「ですね! わたしもサポートしますね! 音楽の可能性・そのいち(オンガクノカノウセイソノイチ)」
「はっ、皆様、本当にお急ぎください!」
 ルクスの瞳がユーベルコードに輝く。
 瞬間、響き渡る演奏。

「演目は道化師のギャロップですよ!」
 その演奏に背中を押されるようにして坂東武者とステラは駆け出す。
 まるで追い立てられるようであった。
 音が耳に追いつくより早く駆け抜けなければ、ルクスの演奏で鼓膜があれになる。本当にそれユーベルコードの効果? となるほどの鬼気迫る速度でステラたちは神社へと駆け上がっていく。
「ごー! ごー!」
 だが、ルクスだけがご機嫌で演奏していた。
 守りたいね、この笑顔――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『鵺』

POW   :    無限進化体
【巨大な異形の獣の肉体】に【無限進化ユーベルコードのエネルギー】を注ぎ込み変形させる。変形後の[巨大な異形の獣の肉体]による攻撃は、【弱体化】の状態異常を追加で与える。
SPD   :    怨嗟響鳴
全身を【無限進化ユーベルコードのエネルギー】で覆い、自身が敵から受けた【攻撃の威力】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。
WIZ   :    鵺の雷撃
【トラツグミの如き叫び声】を放ち、命中した敵を【雷撃】に包み継続ダメージを与える。自身が【敵に触れて力を奪取】していると威力アップ。

イラスト:カツハシ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


『無限進化ユーベルコード』
 それが妖『鵺』の正体である。
 ユーベルコードが肉体を得て具現化し、意志持つ存在。それが『鵺』。
 人ならざる声。
 獣ならざる声。
 それが瘴気の大風をたぐり、轟轟と響いている。
「愚か」
 ただ一言そう告げる『鵺』の足元に『皐月』は膝をついていた。
 束帯は切り裂かれ、その身からは血潮が流れ出ている。
「愚かだと?」
「そうとしか言いようがない。己がために生きるが生命。なれば、その生命を他の生命のために使うは愚か。故に、どれだけ優れたるを持つのだとしても、汝は愚かである」
 切り裂かれた束帯の下にあるのは鍛え上げられた男性の体ではなかった。
 そこにあるのは晒しにきつく締め上げられた女性の胸元。
 隠すように、庇うようにして『皐月』は立ち上がる。

「愚かだからなんだというのだ。私は私が定めた所の生命の使い方を知っている。それを愚かであると断じることになんの意味がある。己がためにしか使えぬ力など、なんの意味もない」
「理解できない。愚かしい者の言葉など」
 吹き荒れるエネルギーが『鵺』に集積していく。
 体躯は異形。
 複数の妖、獣が融合したような悍ましき姿へと膨れ上がっていく『鵺』は、雷撃まといながら充分に成長したであろう『無限進化ユーベルコード』の力を発露させるように、迫る猟兵と坂東武者たちを威圧するように咆哮するのだった――。
八秦・頼典
●POW

どうやら間に合ったようだが…なるほど
『彼女』が皐月殿であるか
何故分かったかって?
そりゃあ、京に咲く花々を愛し愛でるこのボクの目に狂いなんてないからさ

さて、鵺よ
貴様はボクを心を震えさせた
止ん事無き御方の嘆き悲しませるのみならず、、痛ましい皐月殿の姿を見せてしまったからね

まずはこの状況を仕切り直させないとね
鵺の相手はボクが行い、その間に板東武者らは皐月殿の救護ならびに援護を頼む

しかし、相手は鵺だ
生半可な攻撃では肉体を絶えず進化させ、陰陽師の術に対抗する大妖よ
だったら、陰陽師がまずやらない一手を…彼奴に与えよう

これかい?
ちょっと前に解決した事件で痛い目を遭ってね
それを真似てみた『霊剣鳴神』さ



 やはり己の目に狂いはなかった。
 八秦・頼典(平安探偵陰陽師ライデン・f42896)は、そう思った。
 眼の前には瘴気がうずまき、『無限進化ユーベルコード』によって成長を遂げた妖『鵺』の威容。
 しかして、立ち向かうは坂東武者率いる平安貴族『皐月』は傷を負い、その身を奮い立たせて立っているのがやっとの状態であった。
「援軍か。だが、無意味。この身はもとより成長に際限無し」
『鵺』の喉から迸るは甲高い音。
 それは異形の者が上げる声であり、同時に敵対する者を全て殺すという意志の現れでもあったことだろう。
 虎の体躯が膨れ上がっていく。
『無限進化ユーベルコード』の力を注ぎ込んだ前脚が鉄槌のように『皐月』へと振り下ろされる。

『皐月』へと振り下ろされた一撃を頼典と坂東武者たちは、とっさに飛び込むようにして救い、向き直る。
「無駄、無為である。その場しのぎにすぎない」
「どうやら間に合ったようだが……なるほど。『皐月』殿。貴女は」
「私のことは」
「いや、何も言うまい。野暮というものだ。京に咲く花々のように美しい。やはりボクの目に狂いなんてなかった」
 頼典は坂東武者に『皐月』を任せ『鵺』へと向き直る。

「さて、『鵺』よ。無為、無駄と言ったな」
「然り」
「それは誤ちだ。貴様はボクの心を震えさせた」
 その言葉に『鵺』は訝しむより早く虎の肥大化した前足を振り上げ、頼典へと叩きつける。
 その一撃は大地を砕き、神社を激震せしめた。
 人の身など一撃で粉砕するほどの威力。
 しかし、そこにあったのは光る刃でもって前足の一撃を受け止めた頼典の姿であった。
「貴様」
「ああ、そうさ。貴様はボクの心を震えさせた。止事無き御方の嘆き悲しみのみならず、痛ましい『皐月』殿の姿を見せてしまったからね」
「なんだ、それは」
 知らぬ、と『鵺』が吠える。

 頼典は光る刃を振るって前足を弾き飛ばしながら手にした光る刃を構える。
「これかい? 武芸も平安貴族の嗜みでね? ちょっと前に解決した事件で痛い目を見たんで、それを真似てみたのさ!」
 確かに『無限進化ユーベルコード』そのものたる『鵺』はおそるべき妖であろう。
 しかし、進化するのがユーベルコードだけであると誰が決めた。
 人もまた進化する。
 己が身を、ではない。
 経験によって、想像し、知恵を巡らせ、さらなる技術を得ていく。
 故にこの自然世界において人は脆弱な身ながらも生き残ってきたのだ。
 己を知り、己が手足が如何なることに向き不向きかを知るがゆえに、人は己が爪を研ぐよりも、石砕き、その鋭きを練磨し刃と為す。

 そして、さらには己が霊力を持って伸縮自在たる霊気の刃。
 即ち。
「是、霊剣鳴神(レイケンナルカミ)と謂ふ」
 振るう光の斬撃が『鵺』の前足と激突して火花を散らす。
 膨れ上がった前足の爪が霊気の剣によって両断され、その前足を唐竹のように切り裂く。
 振り抜いた一撃は『鵺』の肩まで走る裂傷を生み出し、頼典は煌めくユーベルコードの光の中で、己が斬撃に雷光を見たのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

神城・星羅
勇敢なる凛々しきお姿、見事です。皐月様。ええ、強い女の方は家族にいますので、見惚れてしまいます。

長話はしている暇はなさそうですね。この鵺、類い稀なき呪力を感じます。助力いたします。一撃を加えましょう。

皐月様の御身をお守りする為に護りの狼を【護衛】に。【高速詠唱】で黎明の祝詞を【歌唱】。皐月様と私の戦闘力の増強を。

ただ、継続ダメージは決して無視できないので、【激痛耐性】【回復力】で耐えます。長くは持たなそうですので、【牽制射撃】【一斉発射】で金鵄と導きの狛犬、導きの八咫烏を放ち、【視力】でしっかり鵺に狙いをつけ調律の弓で【限界突破】の矢を。

進化するのは私達も同じ。侮らないでもらいたいですね。



 人の心には闇がある。
 どうしても照らせぬ闇がある。
 誰しもにあるものだ。それは救いがたいものであり、また同時に拭えぬものである。
 しかして照らし続ける。
 人の心の光が、闇を色濃くするのだとしても、それでもと己が心を信じる者にこそ宿る光がある。
 その光景に神城・星羅(黎明の希望・f42858)の藍色の瞳は光を灯す。
 勇敢であり、凛々しくもあり、そして見事な立ち姿。
 坂東武者に伴われて血を流す『皐月』の姿。
 星羅は思わず見惚れていた。
 己が家族にも強き女性はいる。幼き己が身においても憧れは止まず。
 あのように己が心の強さを信じることができたのならば、その他の力など些細なものであると彼女は思えただろう。

「――……長話をしている暇はなさそうですね」
「幼き童が何故此処にいる」
『皐月』の黒い瞳が星羅を捉える。
 そう、幼子がいていい戦場ではないと『皐月』は言う。
 尤もだ。
 けれど、星羅は、その瞳に宿したユーベルコードの輝きを示す。
 戦えるのだと。己も誰かのために戦うのだという意志を示していたのだ。
「助力致します。そのために参りました」
「戻りなさい、童。あなたのような若き子が戦いに赴くなど」
「いいえ、かの『鵺』は類い稀なき呪力を感じます。此処で止めなければなりませぬ」
 故に、と星羅の祝詞が響く。

 大切なものがなんであるかを呼びかける黎明の祝詞(レイメイノノリト)。
 それは誰しもの心にあるものであったことだろう。
 この場に集った猟兵も、坂東武者も。
 誰もが大切な人のために、大切なことのために己が力、生命を使うと決めたものたちばかりだった。
「愚か。愚かに尽きる」
 切り裂かれた前士を庇うようにしながら『鵺』の甲高い咆哮が響きわたり、雷が降り注ぐ。
 星羅は己が背に『皐月』と坂東武者たちを庇う。

 護るために。
 守られた生命は、誰かの命を守るためにあるのだというように彼女の瞳が輝く。
「ぐっ……! 長くは……!」
「だめだ、あたら若い生命を散らすなど!」
「いいえ、散らすのではありません。ここで輝かせるのです。人の心に闇あれば、妖はそこにつけ込むでしょう。ならば!」
 放たれる化神と狛犬、八咫烏が星羅の元より飛び立ち、『鵺』にまとわりつくようにして時間を稼ぐ。
 それは僅かな時間でしかなかっただろう。
 けれど、弓引くには充分な時間であった。

 調律の弓。
 弦が爪弾くは己が心の水面に映る力。
 弾かれた音はまるで音色のようであったことだろう。
 雷受けながらも、星羅は矢を放つ。
 身の限界は越えていただろう。けれど、己が背を支えるものがあった。
『皐月』と坂東武者たちの手だった。
 倒れ込まぬように、と支えてくれていたのだ。
「見なさい『鵺』なる妖よ。これが進化。真の進化なのです。私達も同じ。あなたが侮った、愚かと言った人の心の光は!」
 その眼を穿つのだと言うように一射を迸らせ、『鵺』の片目を穿つように貫くのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

クローネ・マックローネ
絡みOK、アドリブ歓迎
【WIZ判定】

…成程ね
その決意は立派だけれど、皆を心配させちゃ駄目でしょ?
それに、ああいう奴の台詞は真剣に聞く必要はないよ
…この場ですぐに始末される奴の台詞なんて、ね

真剣口調になるよ
皐月ちゃんの性別がどうこうとかは一切触れないよ
今それは重要な事じゃあないからね
ワタシとしてもどうでも良いし

板東武者ちゃん達は皐月ちゃんの救護と援護をお願いするよ

UCは『クローネちゃんの螺旋忍軍団★』
螺旋忍軍ちゃん達と連携して、鵺への攻撃と皐月ちゃん達の護衛をするよ
攻撃は【集団戦術/団体行動/連携攻撃/範囲攻撃/弾幕/切断/怪力/生命力吸収/2回攻撃/鎧無視攻撃/貫通攻撃】で行うよ
敵に触れられない様、手裏剣による遠距離攻撃主体で攻めるね
敵のUCは【野生の勘/第六感/気配感知/幸運/回復力/霊的防護/オーラ防御/鉄壁/硬化/激痛耐性/呪詛耐性/回復力】で対応するね
回避優先でいくよ

|骸の海《レベル0》からやり直してきなよ、鵺



 切り裂かれた前足。
 穿たれた片目。
 しかして『鵺』は甲高い咆哮を上げるばかりであった。
 己が体を傷つけた怒りではなく、己が無限に進化するという道程を阻むことに対して怒りをあらわにする。
 進むべき道。
 進化というのならば『鵺』にとって、それを阻まれることこそ忌避すべきことであった。
 如何なる言葉も己が進化という道程においても無用のものであったからだ。
「愚かしくも己達をこそ進化の果てというか」
「いいや、進むべき道も定まらず、その終点すら無限という彼方に置き去りにした者がたどる道はいつだって同じだ」
『皐月』の言葉に『鵺』は苛立つ。

「……なるほどね」
 クローネ・マックローネ(快楽至上主義な死霊術士・f05148)は確かに『皐月』が坂東武者たちとの合流を果たさずに急行した意味を知る。
 あれは放っておけば手のつけられない敵へと成長する存在だ。
 早急に決着を見なければ、世界が滅ぶ。
 それを理解しているからこその単身での強行だったのだ。
「その決意は立派だと思うけれど、皆を心配させちゃだめでしょ?」
「私がせねばならぬと思ったことだけのこと。それに……」
『鵺』の打倒に失敗すれば、どのみち無事では済まない。
 ならば、と言うことだろう。
「故に愚かと言った。この進化は止められぬ。止めようとすることこそ愚か」
 クローネは冷ややかな視線を『鵺』に向ける。

「ああいうやつの台詞は真剣に聞く必要ないよ……この場ですぐに始末されるやつの口調なんて、ね」
 クローネの瞳がユーベルコードに輝く。
 彼女にとって重要なのは『鵺』を打ち倒すこと。
『皐月』が如何なる存在であろうと、今は重要じゃない。
 加えて言うならクローネ自身にとってはどうても良いことだった。
「坂東武者ちゃんたちは『皐月』ちゃんの救護と援護をお願いね」
「あなたはどうなされるおつもりか」
「決まってるよ。あの妖を倒すそれだけだよ」
 煌めくユーベルコードと共にクローネちゃんの螺旋忍軍団★(ブラック・ニンジャ・レギオン)が戦場にあふれる。

 螺旋手裏剣に苦無、忍者刀を手にした漆黒の肌を持つ女螺旋忍軍が回転する十字シュル件型の円盤と共に飛来する。
 それは八百に迫らんとする数であり、瘴気の風の源である『鵺』を一斉に取り囲む。
 周囲に雷が迸り、風は嵐へと変貌する。
 打ち据えられる雷撃は螺旋忍軍の乗る円盤を次々と打ち据えていく。
「やっぱり『無限進化ユーベルコード』で力が増しているね。時間稼ぎは充分だと思った?」
「然り。汝らを滅ぼす。それこそが我が宿命にして命題である。愚かしくも無限なる進化を阻まんとする汝らをこそ、ここで退ければ」
「もっと強くなれるって?」
 クローネの召喚した円盤が飛ぶ。
 回転する十字手裏剣型は雷撃に打ち据えられても、すぐさまに突貫するようにして『鵺』の巨体を打ち据える。
 止まらない。
 クローネは次々とユーベルコードに寄って召喚された螺旋忍軍の幽霊たちでもって『鵺』を囲い、攻撃を加えていく。

 言うなれば飽和攻撃であった。
『鵺』の雷撃は凄まじいの一言である。
 風は嵐に変わり、荒ぶ勢いは益々もってましていく。
 けれど、それでもクローネは踏み込む。
 握りしめた螺旋手裏剣を振りかぶり、クローネは『鵺』へと迫る。
 八百に迫らんとする飽和攻撃は、クローネの姿を紛れさせる。木を隠すなら林の中。そういう意味ではクローネと螺旋忍軍の姿は似通っており、その一撃は不意にして必中たる一撃であったことだろう。
 放たれた一撃は『鵺』の巨体へと突き刺さる。
「|骸の海《レベル0》からやり直してきなよ、『鵺』」
 そう告げ、クローネは雷撃の嵐の中を走り抜け、『鵺』を翻弄し続けるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

朱鷺透・小枝子
オオオオオ!!壊れ、ろォッッ!!

ディスポーザブル01【推力移動】
加速を乗せた重装甲の機体ごと重機爪の片腕を突き出し【重量攻撃】!
爪を食い込ませ固定!そして、逆の手を足場に共に来た武者が跳躍【追撃】

跳べぇええええ!!

九郎殿が斬りかかると同時に【早業フェイント】『暗黒星雲創装』ルーンを01に刻み【2回攻撃】
空いた手を鵺へ放ち、【怪力】で鵺に指を突っ込み暗黒星雲で【捕食】

るぅうううアアアアアアアアア!!!

あらゆるユーベルコードを喰らう暗黒星雲の力で無限進化ユーベルコード、
鵺そのものを、進化によって得た力ごと喰らい【エネルギー充填】01強化!
【継戦能力】展開したホーミングレーザー砲台の【弾幕】も撃ち込み怪力で鵺の【体勢を崩す】そして抑えつける!

刀を掲げよッ!!九郎昌盛!!!

人工魔眼の【視力】で刀を捉え【呪詛念動力】九郎殿の刀身に暗黒星雲のパワーを付与!

今こそ貴殿の【闘争心】を、忠義を!鵺に!主君に示すのだ!!!

01が抑えつけた鵺を九郎殿が【切断】阻む尾を斬り裂き!
心の臓目掛け【急所突き】だ!!!



「愚か。愚かしい。無限は止まらない。止められぬ」
 妖『鵺』は言う。
 あまりにも愚かしい抵抗であると。
『無限進化ユーベルコード』、その体現者たる己に抗うことの無意味さを語る。
 けれど、坂東武者も、猟兵も止まらない。
 無駄と説いても、知性がそれを否定しないと思えど、しかし、それでも迫るユーベルコードの輝きに『鵺』は苛立つようだった。
「何故諦めぬ」
「オオオオオオ!!」
 だが、その言葉を遮るようにして咆哮が轟く。
 それは雷鳴よりも雄々しく、そして雷光よりも鮮烈に走るくろがねの巨人であった。
 巨大な腕が『鵺』の体躯を抑え込む。
 膨れ上がった異形たる『鵺』の前足と虎の体躯が押し返さんとしているが、しかし圧倒的な重量を前に抑え込まれてしまう。

「壊れ、ろォッッ!!」
 朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)の駆る『ディスポーザブル01』の巨大な腕の上を跳躍する影があった。
「跳べえええええ!!」
 坂東武者の一撃が『鵺』に叩き込まれる。
 しかし、その一撃は『無限進化ユーベルコード』によって増幅した体躯の薄皮一枚を切り裂くにとどまる。
「固い……!」
「諦めるな! 刻め、暗黒星雲(ネブラカービング)!」
 ユーベルコードに輝く小枝子の瞳。
 彼女は見た。
 おそるべき敵『鵺』を前にしても恐怖を噛み殺して跳ぶ坂東武者『九郎昌盛』の姿を。

 これが人だ。
 これが人間というものだ。
 人と人との間にて他を知る者。それが人間である。
 相対する者と己の差異を知れど、それを乗り越えていけるものである。
「無駄。無為」
「黙れぇえええっ!!」
 暗黒星雲のルーンを宿した爪が『鵺』の体皮を貫き、固定する。
「るぅううううアアアアアアア!!!」
 あらゆるユーベルコードを食らう暗黒星雲。
 その力によって小枝子が駆る『ディスポーザブル01』は『無限進化ユーベルコード』すら喰らう。
 無限が、止まる。
「止まらぬはずだ。何故、我が食われている。我は無限そのものなのに」
「知ったことか! 貴様が進化そのものだというのならば、その進化で得た力ごと喰らう!」
 展開したホーミングレーザーが『鵺』の体へと叩き込まれる。
 弾幕の如きレーザーが『鵺』を打ち据え、その巨体を傾がせる。

『ディスポーザブル01』の巨体が『鵺』を蹴り飛ばす。
 体勢が崩れた

 ならば。
「刀を掲げよッ!!『九郎昌盛』!!!」
「応!」
 小枝子の言葉に坂東武者『九郎昌盛」は刀を掲げる。走るはユーベルコードの輝き。
 妖『世羅腐威無』が『九郎昌盛』の体に憑依する。
 赤と青の炎が体躯から噴出する。
 翼のようだと小枝子は思ったかも知れない。
 熾烈成る輝き宿す体躯。
 掲げた方なに暗黒星雲のルーンが刻まれていく。

 小枝子は人工魔眼が見据えるは未来である。
 破壊しかもたらせぬ我が身なれど、しかし切り拓くことができるのだと知るからこそ、小枝子は眼の前に迫る無限を切り裂けと叫ぶ。
 いや、違う。
 此処にあるのは戦う意志のみ。
「今こそ貴殿の闘争心を、忠義を!『鵺』に! 主君に示すのだ!!!」
 如何に無限が人の生命を阻むのだとしても。 
 人は隔てるものが如何なるかを知る。
 
 ならば、無限とて切り裂くことができる。
「オオオオッ!!!」
 雄々しき咆哮と共に振りかぶられた斬撃が『鵺』の尾を切り裂く。
 そして『ディスポーザブル01』は己が爪を叩き込む。
「刻め、その無限に。無限さえも阻む者がいるのだと、その無限さえ破壊する者がいると、オオオオオオオッ!!!!」
 叫ぶ一撃は無限の化身たる『鵺』の巨体を穿つ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

夜鳥・藍
誰かの為に命捧ぐ事。私は決してそれを否定できません。
だって過去の私はそうして死んだから。だから今の私がいる。
そしてそうした過去があるから今を、今の生を大切に行きたいと思ってる。
「命を使う」なんて言い方本当は好きじゃないです。でもその覚悟はとても尊くて、少し哀しい。

鳴神を投擲、竜王さんを呼び雷撃で攻撃します。
念動力も使い操作しますが敵はさらに巨大な体です、外す事もないでしょう。
同じ雷撃同士にはなりますが私の知る、しっかりとした神格を持つ竜王さんの方がきっと強いです。
また雷の間に一旦身を潜めてすぐに反撃を受けないようにします。

皐月さん坂東武者さん達の動きはお任せします。
少なくとも私よりは鵺について詳しいでしょうし、いったん引くかどうかの判断も込みで。
正直申しますと相手の反撃に巻き込む可能性があるので一旦ひいて貰いたい気もいたします。
確かに無限進化は恐ろしいですが無理をして次がなくなるのはもっと悲しいですもの。



 夜鳥・藍(宙の瞳・f32891)は思う。
 生命のことを。
「誰かの為に生命捧ぐこと」
 否定できないことだ。
 妖『鵺』は言った。
 生命とは自己の保全を第一にするものであると。他の生命は己が命をつなぐための要因でしかないのだと。
 藍は、それもまた生命の在り方だと思う。
 そして、『皐月』の言葉もまた同様だった。
 決して否定できぬもの。

 どちらが正しくて、どちらが間違っている。
 そんなことばかりではないのだ。
 過去の己は誰かのために生命を使った。
 だから今の己がいる。
 そうした過去が今を、今の生を大切にしたいと思う。
「『生命を使う』なんて言い方、本当は好きじゃないです」
「愚かしい者の言葉を否定するのは正しきことだ」
『鵺』の体が膨れが上がっていく。
『無限進化ユーベルコード』そのものたる妖は、手傷を覆い隠すようにして、その体躯を膨張させていく。

 おそるべき敵である。
 時間が『鵺』の味方であった。
「でも、その覚悟はとても尊くて、少し哀しい。誰もがそうであれば、良い未来が得られると知っていても、それでも哀しい。喪われる生命が私は哀しい」
 藍の眦から涙がこぼれ落ちる前に、その手から神器が投擲される。
 投げ放たれた神器に雷が落ち、召喚されるは嵐。
 否、嵐の王。
「竜王招来(リュウオウショウライ)!」
 雷撃が迸る。
 如何に『鵺』が巨体を誇るのだとしても、ユーベうるコードによって招来せしめた嵐の王たる竜王は、この巨体を打ち据え続ける雷撃となりて戦場を埋め尽くす。

「愚か。雷撃など、この身に宿している」
「そうでしょうね。同じ雷撃同士。けれど、私は見ました」
「ならば、無意味」
「いいえ、私は知っているのです」
 何を、という『鵺』の言葉に藍は、その瞳で見据える。
 涙が溢れそうになっていた。
 心には哀しみがある。
 尊いものがあるからこそ、哀しみは世ではなく心に満ちるのだ。

 それは仕方のないことだと理解している。
 だとしても、藍は告げるのだ。
「私の知る竜王さんは神格高き方。ならば、きっと竜王さんの雷の方が強いのです」
 信じている。
 己が瞳が見てきたものを藍は信じる。
 それは不確定な無限よりも、今眼の前にある存在が確かであることを藍は知っている。
「坂東武者の方、『皐月』さん」
 雷降りしきる中、藍は告げる。
「正直に申し上げます。一端退いて頂きたいです」
「畳み掛けるべきでは?」
 坂東武者の言葉に藍は頭を振る。

「巻き込む可能性があります。確かに『無限進化ユーベルコード』は恐ろしいですが……」
「機を伺え、と」
『皐月』の言葉に藍はうなずく。
 これだけの攻勢を仕掛けてなお、『鵺』は止まらない。
 ならばこそ、藍は坂東武者や『皐月』たちが他の猟兵たちと協力すれば、この強大なる妖『鵺』を打ち倒すことができると思ったのだ。
「だが、あなたはこうも思っているな。次なる機会を得られぬことこそ、最も哀しい、と」
「はい。あなたは生命を使うとおっしゃられた。私は、その言葉が」
 好ましくない。
 けれど、尊き心であることを知っている。
 ならばこそ。
「あいわかった。あなたはあなたの戦いを」
「ありがとうございます。必ずや」
 藍は『皐月』の言葉に頷く。

 雷鳴の彼方に見えるものがある。
 生命燃えるような輝きが。その道行きを守りたいと思う――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルクス・アルブス
【ステルク】

美人さんだなって思ってましたけど、
この世界のエイルさんは、女性の方でしたか!

これならステラさんのテンションも少しは……。
下がってないですね。はい。わかってまし……なんかオーラがやべーんですけど!?

で、でもまぁ解らなくもないです。
わたしも、師匠を貶められたらかちんときますしね。

そう、あれです。
イジっていいのはわたしだけ! そんな感情ですよね!

え?違う?
ってことは、あっちですか?
わたしの|皐月《エイル》さんに、なにをするー! のほうですか!?

アッ、ハイ。勇者サポートします!

響け!【協奏曲1番】
(皐月さんを癒やしつつ、ステラさんを援護するならこれですね!)

むぅむむん、むぅむみゅー!


ステラ・タタリクス
【ステルク】
何かが|エイル様《皆様の》間で共有されている気がしますが
改めてはじめまして!
|皐月様《貴方さま》のメイド、ステラです!!
はぁぁんっ、見た目麗しいエイル様も素敵(hshs
誰がやべーメイドですか

さて
ルクス様にしては良い勘です
愚かと言いましたか
生命を抱く者の輝き…それこそが|熾火《希望》となるならば
戦いに際して心に抱くモノこそが肝要
ケダモノごときが|皐月様《エイル様概念》を語ろうとは笑止

この一撃…ってルクス様、その音気が抜けるんですけど!!
ええい、この光の勇者はどうしてこういう時に頼りにならないのか!
支援は適切なのに!
とにかく!喰らいなさい!
【トニトゥルス・ルークス・グラディウス】です!



 雷撃が雨のように降りしきる戦場から坂東武者たちに伴われて退く『皐月』の姿を認め、ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)は止まらなかった。
 ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)が止める暇すらなかった。
 そう、止まらない。
 暴走超特急。
 今のステラがそうであった。
「改めてはじめまして!」
 雷鳴にすら負けぬ声量に思わず坂東武者たちは目を丸くして足を止めてしまった。
 え、なに、とこの場にそぐわぬほどの驚愕。
「|『皐月』様《貴方さま》のメイド、ステラです!!」
 うわ、とルクスは思った。
 あれだけ自分は忠告したはずである。
 いきなりその熱量はやばい、と。初対面でそれは明らかに軽快されてしまうやつである、と。
 けれど、ステラは構わなかった。
 己の嗅覚が言っているのだ。
 眼の前に御わす御方を誰と心得ると。
「……なんと?」
『皐月』は訝しむ。当然である。
 しかし、その顔の美しきこと。男装の麗人。それが『皐月』である。
 故にステラの心は今ときめいていた。
「はぁぁんっ、見た目麗しい『エイル』様も素敵!!!」
「……待て。なぜ、その名を君が口にする」
 訝しむ表情が更に曇る。
 曇った顔も素敵! とステラは自分の世界であった。

「あの~……すみません。本当にすみません!」
 ルクスはステラの代わりに平謝りであった。
 ステラのテンションの高さは今に始まったことではない。全然ボルテージが下がっていない。わかっていたことである。
 なんかオーラもやべーことになっている。
「いや、それはよい。だが、何故、その名を……」
 だが、その言葉を遮る雷撃があった。
 妖『鵺』の放った雷であった。
 つかの間の邂逅を阻むかのように響き渡る雷撃にステラの眼光が鋭く輝く。
「愚かな」
「愚かと言いましたね。我が『主人様』を」
「然り」
 ステラとルクスの前にあるは巨体。
 無限進化ユーベルコードによって膨れ上がった巨躯たる『鵺』である。

「生命を抱く者の輝き……それこそが|熾火《希望》となるならば、戦いに際して心に抱くものこそが肝要」
「無為、無駄。無限の前に、その不確定が意味をなすことはない」
「そうでしょうね。ケダモノごときが|『皐月』様《『エイル』様概念》を語ろうとは笑止」
 ステラの言葉に『鵺』は一瞬止まる。
 ですよねー、とルクスは思った。
 でもまあ、わからないでもない。
「やべーメイドじゃないですか!」
「誰がやべーメイドですか」
「いえ、わからないでもないなーって一瞬思っちゃいましたよ! わたしも師匠を貶められたら、カチンときますもんね」
 己が敬愛するものを悪しざまに言われて腹を立てぬものはいない。
 だからこそルクスはステラの言葉に共感したのかもしれない。

「そう、あれです。イジっていいのはわたしだけ! そんな感情ですよね!」
「……一緒くたにされても」
 その、ちょっと、とステラがノーセンキューな顔をしている。
「え? 違う? ってことは、あっちですか? わたしの|『皐月』《エイル》さんに、なにをするー! のほうですか!?」
「今はいいですから」
「アッハイ。勇者サポートします! むぅむむん、むぅむみゅー!」
 ルクスの瞳がユーベルコードに輝く。 
 それは協奏曲第1番(キョウソウキョクイチバン)であり『鵺』にとっては、己が耳を、精神をひっかくような不快な音であった。

「なんだ、この音は」
 知らぬ音。
 旋律とも言えぬ、不可解な音に『鵺』の巨体が揺らめく。
 その一瞬をステラは見逃さなかったが。
「ええい、この光の勇者はどうしてこういう時に頼りにならないのですか!」
 支援は適切でも、音が! とステラは歯噛みする。
 なんともしまらない。
 でも、やらねばならない。
「とにかく! 喰らいなさい!」
 己が心臓である天使核より流入したエネルギーが手のひらに迸る雷光の剣を生み出す。
 疑念などない。
 無限が切り裂けぬなど誰が言ったのだ。
 振り下ろした雷光の剣は、その一閃でもって『鵺』の膨れ上がった巨体を切り裂いた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

星野・祐一
「…イヤッホウ!よし、なんとか間に合ったな」

SPD

「それじゃ坂東武者とその主さん?俺が囮やるからさ…隙を突いてぶった斬っちまえ!」
挨拶もそこそこUCを発動。テスタロッサのエキゾースト音を派手にあげ鵺の注意を向けさせバイクの機動力で坂東武者達から背を向くよう立ち回る
更に流星/彗星で弾幕もオマケだ。当たればその分動きが鈍って坂東武者達もやりやすくなるだろ
こっち無視するなら雷鳴の射撃による衝撃波を利用した推力移動で肉薄して零距離射撃かシールドピアースの串刺しで間抜け面をぶち抜く

「ガゴゼや瘴気で身を守らなければ碌に成長もできねえ木偶の坊さんよ」
「身の程知らずの代償は、あんたの命で払いな!」

アドリブ歓迎



 猟兵たちのユーベルコードと『鵺』が激突して、明滅している。
 戦場は雷光が満ちていた。
 凄まじい戦いであると言わざるを得ないだろう。
 これほどの戦いを繰り広げていながら、尚、『鵺』は己が力を振るう。
『無限進化ユーベルコード』そのものたる『鵺』は、妖の中でも時さえ稼げば手のつけられぬ領域まで成長を果たしてしまう。
 だからこそ、此処で打倒さなければならない。
 坂東武者たちは『皐月』を伴い、退いていた。
 しかし、決め手に欠けることもまた理解していたのだ。
「このままでは……」

 だが、そんな心配は杞憂である。
 エキゾーストパイプより放たれる排気音と共に星野・祐一(シルバーアイズ・f17856)は戦場に飛び込む。
 タンデムシートに乗せた坂東武者をおろし、祐一は坂東武者に伴われた『皐月』を認める。
「……イヤッホウ! よし、なんとか間に合ったな……って、そちらは坂東武者の主さん?」
「そうだ。貴殿は」
「まあ、猟兵ってやつだ。助太刀にしに着たぜって言えばいいのかな」
 その言葉に『皐月』は己に肩を貸していた坂東武者から離れて一人で立つ。
 傷を負った己が足手まといだと判断したのだろう。
「ご助力ありがたく。頼りにさせてもらっても?」
「ああ、そのために着たんだからな。んで、相談なんだが、あの『鵺』相手に正攻法はまず無理だろ。なら、俺が囮をやるからさ……」
「隙を突け、と」
「そういうこと。頼んだぜ!」
 時間がない。
 そう、祐一はユーベルコードを輝かせ、宇宙バイク駆る身を翻し『鵺』へと疾駆する。
 エクシード・ライディングによって加速した宇宙バイクが『鵺』へと突撃する。

 引き金を引いた熱線銃から放たれる一撃が『鵺』の注意を惹きつけるようにして、その体皮を灼く。
 だが、それでも『鵺』は止まらない。
「なんつー固さだよ! だがよ!」
「愚か。無限を前にして、そのような無為、無意味成る行いを」
「知るかよ!『ガゴゼ』や瘴気で身を守らなければ碌に成長できねえ木偶の坊さんよ!」
 これを喰らいな、と祐一は宇宙バイクの加速と共に一直線に『鵺』へと迫る。
 手にしたパイルバンカーの一撃が巨体を傾がせる。
 ユーベルコードに酔って強化された激突は『鵺』だけに降りかかる凄まじき一撃となって、無限進化ユーベルコードそのもたる体躯を穿つのだ。

 そこに坂東武者たちが妖を憑依させ、赤と青の炎の翼を羽ばたかせるようにして刀を振りかぶる。
 斬撃が『鵺』の巨体を切り裂く。
 凄まじき一撃であった。
「身の程知らずの代償は、あんたの生命で払いな!」
 祐一は『鵺』の直上で宇宙バイクを翻し、手にしたパイルバンカーの一撃を天雷のように振り下ろし、その巨体を大地に縫い留めるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

源・絹子
間に合ってよかったのじゃよ。
ときに…『皐月』さん。本来の性別だと、別の名が広まっておったりせぬか?

…まあその話は後じゃな。今は『鵺』を退治せねば。
坂東武者の皆様は、『皐月』殿の護衛を。
UCを使用。これ以上、『鵺』の戯言(たわごと)を聞く理由もなし。叫び声を発せぬよう、捕まることのないようにするのでな。一つは喉を、二つは足を締め上げよ。
『キンウ』、『マユ』が攻撃しておるし、妾も餓血短刀で刺すこととするか。
さらにな…待機させておった白鶴『マシマ』が合流したのじゃよ。羽を飛ばして攻撃しておる。
『骸の海』に帰って進化を無にせよ、『鵺』め。



 安堵の息が雷鳴の最中に聞こえた。
 それは『皐月』にとっては、未だ戦いが終わらぬ事を示していた。己を守っていた坂東武者たちにはすでに戦う事を命じている。
 彼らは生命を惜しまぬだろう。
『平安結界』がほころぶということは、即ち平穏が崩れるということ。
 故に彼らは護るためにこそ生命をなげうつ。
「間に合ってよかったのじゃよ」
 源・絹子(狂斎女王・f42825)は、そんな『皐月』の前に現れた。
「ご助力感謝致します」
 傷つけど、しかして『皐月』は絹子が如何なる身分の者かを理解しているのだろう、恭しく一礼してさえ見せたのだ。

「佳い、今はただの猟兵である」
 絹子は『皐月』の姿を認め、わずかに考えた。
 男装の麗人。
 それが『皐月』である。ならば、他の名を持つのではにないか、と。
 しかし、それは詮無きことである。
「今は『鵺』を退治せねばの。坂東武者の方よ。『皐月』殿は任せたのじゃ」
 ユーベルコードに煌めく瞳。
 己が化神へと青天霹靂たる雷の力を付与し、絹子は餓血短刀を手にして前に踏み出す。

「無為、無駄、無意味」
『鵺』は言う。
 その生命の使い方は無意味であると。
 他者のために己が生命を使うことの無意味さを説く。
 どれだけ他者におもんばかったところで、それは無駄であると言う。
 如何にして生命を使おうとも、全てが無為に帰すところであると知らしめるように雷を解き放つのだ。
 けれど、絹子は頭を振る。
「それは戯言じゃよ。それを聞く理由もなければ、その言葉に惑う必要等無し。『キンウ』、『マユ』」
 その言葉と共に化神たちが雷と日の力満ちる体躯でもって『鵺』の体を締め上げる。
 前足と喉。
 その二つを締め上げる力は、無限進化ユーベルコードそのものと言える『鵺』の体躯を抑えつけ、さらにはこれまで刻まれてきた猟兵たちのユーベルコードの傷跡すら暴き出すのだ。

「無為、無駄、無意味と言って負ったが、みやれ。その傷、膨張させた体躯でごまかしていただけにすぎぬ。如何な無限を語るのだとしても」
 化神が翻る。
 空に飛ぶは輝く鶴。
 羽ばたく翼より放たれる羽根が『鵺』の周囲に降り注ぎ、絹子は雷撃の雨をかいくぐって踏み込む。
「何故わからぬ。無限こそが、全ての集約。収束すべき点だというのに」
「それはぬしだけの到達点よ。ただ一個としてしか己を認識できぬものに、他を知る人の営みは理解できぬよ。故に」
 絹子は餓血短刀を振りかぶる。
 妖を滅する血。
 刀身を形成する血こそが、己が宿命。

「『骸の海』に還って進化を無にせよ、『鵺』め」 
 その一撃が『鵺』をついには滅ぼす。
 霧散していく妖の巨躯を風がさらう。
 それは瘴気の凶風ではなく、朝日を知らしめる清らかなる風だった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年03月23日


挿絵イラスト