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メイク・オブリビオン・グレート・アゲイン

#アポカリプスヘル #戦後 #シャムロックフィールド

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●旧カリフォルニア州・サンタバーバラ近郊~地図から消えた街『シャムロックフィールド』
 灰色の空の下、乾いた寒風が強く吹き抜けていく。旧時代にはたっぷりと陽射しが降り注いでいたアメリカ西海岸の美観は、オブリビオンストームによって徹底的に破壊し尽くされ、今となっては見る影も無い。ここはゴーストタウンと化した町『シャムロックフィールド』の一角、ショッピングセンター跡地の駐車場。
「――レイダーの皆さんがもう一度かつての元気を取り戻すために、何が必要か? それは、オブリビオンストームによる『強い風』をもう一度吹かせることなのです!」
 駐車場に停められた、一台の装甲車。その屋根の上には奇妙な鳥頭の男が立っており、聴衆に向かってマイクで何事か喚いている。
「三年前、我々オブリビオンは猟兵との戦いに敗れました。皆、あの時の悔しさを忘れられないことでしょう……だが、それがなんだというのか! 大地に黒き竜巻が吹き荒れる限り、我々オブリビオンは何度でも甦る。今日、この場所に、これだけのオブリビオンが集まっているのが何よりの証じゃないですか!」
「おおっ……!!」
 鳥男の語り口が熱を帯びていくのに呼応して、聴衆にも徐々に熱気が伝わっていく。彼の名は「ビル・シャナ」。オブリビオンによる、オブリビオンによる、オブリビオンのための政治団体『ビルシャナ党』の党首である。
「私には夢があります。それは、彼のフィールド・オブ・ナイン『プレジデント』の後継者として、新たな世界大統領となることです! その足がかりとして、まずは私と皆さんとで、全てのオブリビオンが心のままに破壊と略奪、搾取を行える理想郷を打ち立てたい! この地にオブリビオンの為の新しい行政区『ビルシャナ州』を成立させようじゃありませんか! Yes,We can!」
 十分に熱が伝わったところで、大きな目標をぶち上げる。これが、人心を掌握するための巧みな演説のテクニックだ。こうして人々の心は、リーダーと共に一つの大きな目標へと動いていくことになる。とてつもなく邪悪な目標ではあるが。
「ビルシャナ! ビルシャナ! ビルシャナ!」
 甲高い口笛と万雷の拍手、そして男の名を連呼する大歓声が響き渡る。ビル・シャナは聴衆を見渡して満足げに頷くと、グッと握り拳を作りこう叫んだ。
「……ありがとう! 皆さん、本当にありがとう! 力を合わせて共に戦いましょう!『Make oblivion great again』! HAHAHA!!」

「よう、オメーラを待ってたぜ。ちょっくらアポカリプスヘルで、ひと仕事片付けてくれねぇか?」
 グリモアベースに集まってきた猟兵を迎えたのは、金髪革ジャンの大男。ガロウ・サンチェス(人間のゴッドハンド・f24634)が地面に広げたのは、アメリカ大陸がでかでかと描かれた一枚の地図であった。
「オメーラに今回向かってもらうのは、まあこの辺りだな。シャムロックフィールドっていう、ちっこい町があるんだが……」
 ガロウが武術棍で指し示したのは、アメリカの西海岸、かつてカリフォルニア州と呼ばれていた地域の南部にあたる場所であった。
「このエリアでは最近、カルト団体が活発になってきてなぁ。何やらカリスマ的な人気のリーダーがいて、組織を急速に成長させてるんだと」
 ガロウの話によると、そのリーダーは鳥頭の男で、新進気鋭の政治家『ビル・シャナ』を名乗っているという。政治に興味のなさそうなガロウは、若干しらけ気味の顔で説明を続ける。
「で、口先三寸で地元のレイダーを手懐けて、勢力を拡大してるってワケだ。放っておくと、奴が言う『ビルシャナ州』なんてモンが本当に出来かねないぜ。んなわけで、サッサと叩きのめして来てくれや」
 ビル・シャナが率いる政治団体『ビルシャナ党』は、現在シャムロックフィールドというゴーストタウンを根城としている。いつものように街角で集会を開き、武器を配ろうとしているところに乗りこめば、すぐに支持者達との戦闘になるだろう。
「支持者達はかなりの数だ。その上戦車やら銃やらで武装して、捨て身の特攻を仕掛けてくるぜ。まあ、それぞれの実力は大したことねえから、奇襲の勢いに乗って一気に蹴散らしちまいな」
 護衛役の支持者を全滅させれば、いよいよビル・シャナ本人との決戦となる。
「それに集会には、無理矢理連れてこられた一般人も大勢いるんだ。奴は一端の政治家を気取ってるが、所詮はオブリビオンだしやってることはその辺のレイダーと変わらないぜ」
 そう言ってガロウは、猟兵たちを荒野の世界へと送り出す用意を始めた。
「じゃあ後は頼んだぜ。鳥野郎をぶっ倒して、必ず全員助けだしてくれよ」


弥句
 こんにちは、弥句です。今回もよろしくお願いします。
 アポカリプスヘルでは、各地でこのようなカルト団体が次々と生まれて勢力を広げつつあります。今回猟兵の皆さんには、事件を予知したゴーストタウンに向かい、カルト的政治結社『ビルシャナ党』を壊滅していただきたいと思います。
 第1章は集団戦。現場にテレポートすると、すぐに集会に参加していた支持者との戦闘になります。敵は戦車で武装しており、なりふり構わず特攻をかけてくる狂信的な集団です。素早く奇襲をかけ、反撃の機会を与えることなく殲滅するとよいでしょう。
 第2章はボス戦で、組織を率いるオブリビオン『ビル・シャナ』との戦闘です。直接戦闘より、配下を呼び出して戦わせるスタイルが得意なようです。このボスを倒せば組織は瓦解し、同時に無理矢理集会に連れてこられていた一般人を救出することができます。
 プレイングは、OP公開され次第受付開始となります。それでは、皆様のプレイングをお待ちしております!
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第1章 集団戦 『モヒカン・タンク』

POW   :    VBIED!
自身が戦闘不能となる事で、【戦車に隠し持っていた不発弾が大爆発し】敵1体に大ダメージを与える。【死亡フラグや断末魔】を語ると更にダメージ増。
SPD   :    Death Road DIVE!
【死をも恐れぬロケットエンジンの噴射】によりレベル×100km/hで飛翔し、【総重量】×【スピード】に比例した激突ダメージを与える。
WIZ   :    群れる世紀末
レベル×1体の【モヒカン】を召喚する。[モヒカン]は【世紀末】属性の戦闘能力を持ち、十分な時間があれば城や街を築く。

イラスト:純志

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 アポカリプスヘルに転移した猟兵たちは、早速『ビルシャナ党』の拠点となっているゴーストタウン『シャムロックフィールド』に足を踏み入れた。案の定そこでは、広大なスーパーマーケットの駐車場を利用して、ビル・シャナが集会を開いていた。
「ビルシャナ! ビルシャナ! ビルシャナ!」
 党首の演説に感化され、会場に集まった聴衆のボルテージもいよいよ高まっていく。遂には、空へ向けて機関銃を発砲する者まで出始めた。危険な兆候だ。このままでは、彼らは直ぐにでも近隣の拠点へ略奪に出かけるだろう。
「なんだ、アンタらも集会に参加を――げっ、もしかしてお前らは……猟兵!!」
 猟兵が集会の輪へと近づくと、程なくして警備担当者が猟兵の存在に気付いた。ビル・シャナの演説を聞くために集っていた一同に、緊張が走る。
「来ましたね、猟兵! 演説の最中に殴り込みをかけるとは、なんと無礼な! 皆さん、ご覧ください! こんな人たちのために、私の演説を妨害されるわけにはいきません! すぐにあの者達を摘みだしてください!!」
 ビル・シャナの命令に即座に反応し、武装した護衛部隊が一斉に飛び出してきた。皆一様に頭をモヒカン状に剃り上げ、改造戦車に搭乗している。
「ヒャッホーーウ! ここは通さねえぜぇ~~!?」
「ハッハァーー!! 皆殺しだァ~~!!」
 極度の興奮状態にあるようで、もう会話も成立しそうにない。まずはこの狂信的な支持者たちを排除し、防衛網を突破しなければビル・シャナに近づけないだろう。猟兵たちはそれぞれの武器を構えると、モヒカン・タンクの車列へと果敢に切り込んだ。
エリー・マイヤー
世界大統領ですか。
大言壮語も甚だしいというか、なんというか…
通信網が断絶したこの世界で、そんなワールドワイドな夢が実現できるわけもないでしょうに。

まぁ、何にせよ倒すのでどうでもいいことですね。
とりあえず、【念動ルーム】で周りの敵全員減速して行動を封じます。
猟兵以外は区別なく、戦車や銃弾も含めてあらゆるものを減速させましょう。
そして高出力の念動力で、問答無用で全員潰…
おっと、一般人も混じってるんでしたか。
念動力で見える範囲の敵全員を首絞めして、気絶させる方向で行きましょう。
レイダーか一般人か、戦闘中に判別するのはさすがに手間ですしね。
その辺の対応は、戦いが終わった後で考えましょう。




「世界大統領ですか。大言壮語も甚だしいというか、なんというか……通信網が断絶したこの世界で、そんなワールドワイドな夢が実現できるわけもないでしょうに」
 過熱するビル・シャナの演説に水を差したのは、気怠く紫煙を吐き出す女の声だった。モノトーンのコーデで身を包み、どこか人工的な青色の髪と瞳に、透き通るような白い肌。寒色系の色合いで統一された姿の女が、冷ややかに群衆を一瞥する。
「なにをーーーーう!?」
 空気を読まない猟兵エリー・マイヤー(被造物・f29376)の発言に、ビル・シャナの支持者たちが俄かに殺気立つ。だが、エリーの発言は、ある意味的を射ていた。
 彼のプレジデントは世界最強クラスのソーシャルディーヴァで、なおかつ専用の通信サーバーをデータセンター迷宮に秘匿していたからこそ、自身の声を世界中に届けることができたのだ。
 ビル・シャナがこの辺境でチンピラ相手に説法をしているうちは、ただ木の上で囀っている小鳥にすぎないのである。 
「まぁ、何にせよ倒すのでどうでもいいことですね」
 煙草を携帯灰皿で揉み消しながら、エリーは戦闘態勢に入る。戦闘といっても、エリーは銃や徒手空拳で戦うわけではない。エリーの武器は、極限まで高められた念動力。自身が発するサイキックエナジーを以て、周囲の物質に様々な力を働きかけることができるのだ。
「ヒャアアアッ!」
 怪鳥のごとき奇声を発しながら、改造戦車に乗り込んだ一団がエリーへと殺到してくる。
「甘いですね……すべて私の手の上です」
 エリーの青い瞳が、人工的な淡い光を放った。その瞬間、彼女を中心とする半径146メートル圏内がサイキックエナジーの【念動ルーム】に覆われた。その領域内では、全ての力がエリーの意のままに働くのだ。
 モヒカンの奇声や戦闘音が滑稽なまでに間延びし、戦車の砲弾も、駆動するキャタピラも、ハエが止まるようなスローモーションとなって、ひどく緩慢な映像をエリーの瞳に映し出した。
「戦車からわざわざ顔を出すなんて、アナタ達何考えてるんですか。このまま全員首を捩じり落として……おっと、一般人も混じってるんでしたか」
 レイダーのことだから、いざ窮地になれば一般人を人質にすることも有り得るだろう。そうなれば後々の対処が面倒だ。そこでエリーはターゲットを絞ることにした。見える範囲内で明らかに敵とわかる存在――戦車に乗ったモヒカンや人相の悪い人物、あるいは奇抜な格好をしている者。それらに狙いをつけ、エリーは念動力を発現させて次々に首を締め上げ、昏倒させていった。そのうえで、今度は不意に戦車を急加速させる。
「ドガシャアアアアンッ!!!」
「ドゴォォォォォォンッ!!!」
 操縦者が行動不能となったことでコントロールを失った戦車が、次々に玉突き事故を引き起こす。そのたびに車体に備わっていた不発弾が爆裂し、盛大な火柱を周囲に噴き上げるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

雪白・黒那
む、ビルシャナじゃと?
ここはまた別の異界じゃろ?何故その名が…?
そういう偶然も猟兵にはあるあるなのじゃろうか?うーむ、世界は広いのじゃ
あ、主張自体には興味がないのじゃ、敵を討つのがケルベロスじゃからな…今は猟兵じゃが

奇襲にて即座に撃破せよ、と
ならばインパクトのある業を使い、派手に行くとするのじゃ
降り注げ剣の雨、『撃刃・黒牙『衝破』』ッ!
その後、撃ち漏らした敵を|黒重《くろがさね》による"重量攻撃"で"叩き割り"したり
|白瞬《はくしゅん》で"居合"によって"切断"したりと手早く行くのじゃ
なーに、この程度手慣れた物じゃよ
最大の問題は敵のボスの元にたどり着けるか、という事じゃな…

※協力・アドリブ歓迎




 鳥頭のオブリビオン政治家『ビル・シャナ』が率いるカルト政治団体『ビルシャナ党』の定例集会は、猟兵らの介入によって大混乱に陥っていた。聴衆の多くは地元のレイダーで、モヒカン頭の党員たちが早速猟兵を迎え撃つべく戦車に乗り込んでいる。
「ビルシャナ党に喧嘩を売りにくるたぁ、良い度胸じゃねえかぁ!?」
「む、ビルシャナじゃと? ここはまた別の異界じゃろ? 何故その名が……?」
 ボリューム感のある銀髪と、同色のオオカミ耳を持つ小柄な少女が、グリモアベースから転移して戦場に現れた。身の丈を越すような無骨な大太刀を携えたウェアライダーの名は、雪白・黒那(|彷徨える刃狼《迷子の狼さん》・f40810)。
 今は様々な世界を放浪している黒那であるが、元々は『|分かたれる前の世界《ケルベロスブレイド》』に住んでいたのである。その為、目の前の『ビル・シャナ』をデウスエクスの一種族と勘違いしたのも、致し方ないことであろう。
「そういう偶然も猟兵にはあるあるなのじゃろうか? うーむ、世界は広いのじゃ」
 猟兵が旅する世界には、世界同士で幾つかの共通点が見られるケースも多い。意外な場所で繋がり合っていることが判明したり、探索の結果新しい領域が見つかったりすることもあるのだ。
「演説中はァ! 静粛にぃッ!!」
 改造戦車に乗り込んだモヒカン兵が、黒那を轢殺すべく次々と突進してくる。バカでかいエンジンを吹かしておいて静粛もなにもあったもんじゃないのだが、彼らには彼らの言い分があるのだろう。
「あ、主張自体には興味がないのじゃ、敵を討つのがケルベロスじゃからな……今は猟兵じゃが」
 ここからは、刀剣士としての本領を発揮する番だ。黒那は迫りくる敵群へと駆けながら、グラビティと引き換えに得た力――ユーベルコードを解き放った。
「降り注げ剣の雨、『撃刃・黒牙『衝破』』ッ!」
 黒那の鋭い叫び声に呼応するように、彼女の頭上に無数の刀剣が発生した。これこそ、黒那が独自に編み出した戦闘術『三刃』の真髄。黒那が塵芥を薙ぐように手を振り抜けば、霊刃の雨は主が指し示した敵めがけて一斉に降り注いだ。
「へぶっ!」
「ぴぎゃ!?」
 黒那の膨大な霊力を込めた『衝破』の威力はすさまじく、堅牢な戦車隊の装甲をも容易く穿ち、突き破っていく。
「これ以上仲間を呼ばれるのも厄介じゃからのう」
 まだ余力のありそうな敵に狙いをつけると、黒那は愛刀『白瞬』を鞘走らせた。目にも止まらぬすれ違いざまの居合で、戦車の砲身を造作もなく斬り落とす。そして白瞬の鞘である『黒重』を上段から叩きつけると、今度は戦車を上から力任せに圧し潰してみせたのだ。
「つ、つよすぎる……」
「なーに、この程度手慣れた物じゃよ」
 半壊し、急停止した戦車から投げ出されて悶絶しているモヒカンを一瞥すると、黒那は突破口を開くために次のターゲットを見定めた。刀と鞘の二刀流を以て、刃狼が戦場を所狭しと駆け回る。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴィリー・フランツ
心情:A&Wでゴブリンを倒すより歯ごたえは有りそうだな、行ってくる。
手段:「今日は死ぬには良い日だ、それを気付かせてやれ」
(ゴーグルHADのズーム機能を使う)何だありゃ?装甲は申し訳程度で殆ど搭乗員が剥き出しじゃねぇか、|歩兵戦闘車《IFV》にも劣る防御性能だな。

【宇宙海兵強襲部隊】を召喚、大量のモヒカン兵や戦車は俺の部隊が相手になってやる。海兵隊は直ちに揚陸艇より降下、戦車から出てくるモヒカン兵をレーザーライフルで穴だらけにしてやれ、携帯ロケット砲分隊は戦車をやれ、何処に当てても搭乗員は殺傷出来る、好きなだけ仕留めろ!
俺も狙撃銃を持ってきたが…こりゃ出番はねぇかな?他猟兵の援護に使えるか。


グラース・アムレット
アドリブ歓迎

破壊と略奪、搾取を行える理想郷……碌でもないカルト団体ですね
故郷世界であるアポカリプスヘルの蹂躙は見過ごせません
久し振りに壊滅のお仕事、腕が鳴ります

飛んで火に入るなんとやら、ですね
バスターライフルを構え、向かってくる敵陣にUCを撃ちます
多勢に無勢ですが、短い時間でも無重力となれば、相手は戦車ですし推進力などの勢いもあって横滑るか上空に突き上げるのを狙います
ロケットエンジンの噴射で飛翔してたらなおさらかしら

バスターライフルを破壊光線に切り替えて、各個撃破を狙っていきましょう

一般人が近くにいたら、声掛け
私たちにとって苦難は友でしょう
ですが、それはオブリビオンと共にするものではないのです




「破壊と略奪、搾取を行える理想郷……碌でもないカルト団体ですね」
 そう言ってライフル銃を執り、戦場に駆け付けたグラース・アムレット(ルーイヒ・ファルベ・f30082)の顔つきはいつになく険しい。『オブリビオンファースト』を掲げるビルシャナ党の支持者は、言うまでも無く人類の命を軽視するオブリビオン・レイダーだ。アポカリプスヘルの未来のために、この団体は必ずここで潰さなければならないだろう。
「ガハハハハハ! ビルシャナ党万歳ーー!!」
 先程の演説の熱狂に当てられたビルシャナ党の構成員達が、次々と戦車に乗り込み襲いかかってくる。しかも、戦車に搭載しているのはロケットエンジン。爆発的な加速に車体を浮き上がらせ、空中をカッ飛びながら迫ってくるのだ。
「ヒャッホーーーーーーーゥ!!」
「あのスピード、一体何考えてるのよ! 迎撃しきれるかしら……」
 グラースが奇声を上げながら特攻してくるモヒカン・タンクに銃口を向けた、その時。
『ドギュゥゥゥゥンッッッ!!!!』
 高空から奔ったレーザー光線が、戦車を貫き一瞬で爆散させた。炎に包まれた残骸が、地上へと降り注いでいく。
「あれは……!」
 不意にグラースの頭上を、巨大な影がすっぽりと覆い尽くした。彼女が空を見上げると、そこには鋼鉄の鯨を思わせる、スペースシップの威容があった。

「アレが今回のターゲットか。A&Wでゴブリンを倒すより歯ごたえは有りそうだな」
 グラースの後ろから歩いてきたのは、迷彩の戦闘服に身を包んだ金髪の男であった。ぼさぼさ頭で、どこか覇気に乏しい表情のその男――ヴィリー・フランツ(スペースノイドの傭兵・f27848)は、ゴーグル型HMDのズーム機能を駆使して、敵集団の様子を観察していた。
「何だありゃ? 装甲は申し訳程度で殆ど搭乗員が剥き出しじゃねぇか、歩兵戦闘車IFVにも劣る防御性能だな……」
 そんなヴィリーをよそに、飛行型強襲揚陸艇の中から降下してくる戦闘服の集団は、レーザー光線やロケット砲を撃ち込んでモヒカンタンクを撃破していく。
「戦車から出てくるモヒカン兵をレーザーライフルで穴だらけにしてやれ、携帯ロケット砲分隊は戦車をやれ、何処に当てても搭乗員は殺傷出来る、好きなだけ仕留めろ!」
「あれは、あなたの船ですか?」
「ああ。宇宙海兵強襲部隊、俺のチームの船だ。俺はスペースノイドでな、ずっと銀河帝国と戦ってたんだぜ」
 軍団に指示を飛ばすヴィリーの正体は、スペースシップワールド出身の傭兵であった。ならば、屈強な兵士たちが宇宙船から降下してきたのも納得がいくだろう。
「宇宙からの援軍! それなら……」
 バスターライフルを構えると、グラースは周囲を無重力状態にさせる特殊な弾を敵が密集する地帯へと撃ち込んだ。その一撃が着弾すると、着弾地点を中心とした半径125メートル内のエリアが、瞬時に無重力空間と化した。
「な、なんじゃこりゃあああ!?」
「飛んで火に入るなんとやら、ですね」
 モヒカン達は重力を失った状態で車体をうまく制御できず、間が抜けたように空中をフワーッ……と滞空するばかりだ。
「無重力での戦闘なら、スペースノイドの得意分野ですよね?」
「グッジョブ! ……行くぜ野郎ども。今日は死ぬには良い日だ、それを気付かせてやれ!」
 無重力化を好機とみたヴィリーが、降下部隊に指示を与えてモヒカン達に攻撃を仕掛ける。ヴィリーの号令一下、気密戦闘服の集団が一斉に散開した。
「ぎゃひいいいいっ!?」
 無重力空間での戦闘を知り尽くした猛者達が、モヒカンタンクへと猛攻を仕掛けていく。十分な装備もなく、ロケット噴射の勢いに任せて突撃するだけのモヒカン達は、前後左右から叩き込まれる容赦ない射撃に為す術もなく撃破されるばかりだ。
「残された時間は2分足らずですが……各個撃破していきましょう」
 バスターライフルをレーザー射撃モードへと切り替え、グラースはモヒカンタンクの装甲を的確に撃ち抜いていく。荒野の世界で生き抜いてきた、サバイバルガンナーの本領発揮だ。
「援護するぜ。少しでもスコアを稼いどかないとな」
 ヴィリーもまた愛用の狙撃銃を執り、グラースの火力支援に取り掛かる。腕利きの射撃手たちの活躍によってモヒカン・タンクは次々と撃破され、骸の海へと還っていった。
「私たちにとって苦難は友でしょう。ですが、それはオブリビオンと共にするものではないのです」
「ああ。その通りだ!」
 協力してモヒカン・タンクの集団を仕留めながら、グラースとヴィリーは集会に無理矢理連れてこられていた民間人を解放して回った。その様子を、ビル・シャナが装甲車の上から忌々しげに見つめていた。もはや彼を警護していたモヒカン兵の姿は辺りに見当たらない。後はこの、カルト政治団体の指導者を討つのみだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『🌗ビル・シャナ』

POW   :    みなさんの暴力と破壊に満ちた一票はこの私に!!
【悪しき一票を投じるレイダー】が自身の元へ多く集まるほど、自身と[悪しき一票を投じるレイダー]の能力が強化される。さらに意思を統一するほど強化。
SPD   :    アポカリプスヘル・シークレットサービス
自身の【選挙活動資金】を代償に、1〜12体の【ボディガード】を召喚する。戦闘力は高いが、召喚数に応じた量の代償が必要。
WIZ   :    世界をより悪くするマニュフェスト
【選挙演説】から、対象の【暴力が支配する世界アポカリプスヘル】という願いを叶える【マニュフェスト】を創造する。[マニュフェスト]をうまく使わないと願いは叶わない。

イラスト:RAW

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠幻武・極です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 猟兵達のユーベルコードが猛威を振るい、モヒカン兵士達の操る戰車はたちどころにスクラップへと変わっていった。政治団体『ビルシャナ党』の党首ビル・シャナは、自身の手勢を倒された悔しさを露わにして地団駄を踏んでいる。
「んんんんんんんんーーーっ!! おのれ猟兵、よくもやってくれましたね!! 集会を妨害するだけでなく、わが党を支持する有権者に襲いかかり命を奪うなど! もう許しませんよーーっ!!」
 興奮したビル・シャナは怒りのままに装甲車から飛び降りると、猟兵たちを指さしながら叫んだ。
「どんな妨害を受けようと、私の主張は決して変わりません。これからは、ひたすらオブリビオン第一あるのみだ! 『ビルシャナ州』において、貿易(武器や麻薬の取引、人身売買)・移民(オブリビオンの積極的受け入れ)・外交(人類拠点への恫喝、直接攻撃)・税制(人類の土地や財産の収奪)に関するあらゆる政策はみな、オブリビオンの利益となるようにします! ゴッドブレス・オブリビオーーン!!」
 何やらトチ狂った主張を続けるビル・シャナであるが、あくまでもレイダー達にとっては理想的なリーダーなのだろう。だが、人類にとっては一刻も早く退場してもらうしかない。ナチュラルボーン差別主義者たるこの男に政治を語る資格などないということを、分からせてやらなくてはなるまい。
グラース・アムレット
アドリブ歓迎

ほんっっっと碌でもない……!!!
さらに民間人は無理矢理連れて来て、ただの人さらいではありませんか
外交なんてただの襲撃ですよ
反対の一票は過激(攻撃)でOK
鬱陶しいので早々にご退場願いましょう

彼我の距離を保ったまま
UCと塗料にはペイント弾を使って、選挙演説をするビル・シャナを撃ちます
タイミングとか関係なく撃ちます。問答無用ですよ
込める属性魔法は火
数発は敢えて敵の近くに当てて、炎に巻きましょう

創造されたマニュフェストも撃って焼く所存です
暴力には|暴力《反逆》を
ですが、私たちはそれだけでは終わらせない様に生きたいところです


島江・なが
はええ……?なんかすっごく難しいこと言ってますですねえ?
もっとながにも分かるように言うですよお!
――ふんふん、つまり……クソ過ぎる『せーじ』をするってことですね!
それってながの故郷のマイナスなんですよねえ!
うぜーです!邪魔してやるです!

選挙ってのはながも知ってますですよ!
レイダーさんが票を投じるっていうならぜーんぶ焼き払ってやるです!
行きますですよメカエナガさん!
爆撃ッ、爆撃でぇーす!
レイダーさんを焼いちゃえば票は投じれませんし、メカエナガさんの分も反対票が増えるはずです!たぶん!
暴力と破壊で票集めするってんだったら、ながの爆撃にも文句言えねーはずです!
ビル・シャナァ!大人しく撤退するですよ!


雪白・黒那
お、恐ろしいことを言うておるのじゃな…
まぁ先も言うたが興味はない、即座に斬り捨てさせてもらうのじゃ
では、参るのじゃ!

沢山敵がいるのならば、まずその中央へと駆け抜けさせてもらうのじゃ
なに、やり方は先程と変わらぬ、|黒重《くろがさね》による"重量攻撃"で吹き飛ばし、
|白瞬《はくしゅん》の"切断"で切り開く!二刀流じゃ!
そして良い位置に位置取りをできたのならばあとは薙ぎ払うだけじゃ
『重刃・焔舞』ッ!敵の集団をビル・シャナごと儂の炎で燃やし尽くすとしよう!

※協力・アドリブ歓迎


ヴィリー・フランツ
心情:鳥類如きが人間様の問題に嘴を挟むんじゃねぇ!
手段:「お前、プレジデントに直接会ったことあるか?
少なくとお前みたいなどぶ板選挙しか出来ない泡沫候補より、遥かにマシな男だったよ」
【宇宙海兵強襲部隊】を引き続き召喚、余計な事を考える必要はない、奴が公約をいくら喋ろうとも数で押し切る。
話せば分かるってか?問答無用だ、ボケナス!
一応、白兵戦装備の海兵も編成しとく、奴がモヒカンを新たに呼び寄せても面倒なのでな、乱戦への備えだ。

後は同士討ちにならない程度に海兵隊の射撃で攻撃、俺はブルパップ小銃に銃剣を着剣し他の猟兵や白兵部隊と共に攻撃する機会を待つ、奴の三枚舌を二度と叩けない様にしてやる。


エリー・マイヤー
戦車とか爆弾とか、ノリで全部吹っ飛ばしてしまいましたが…
鹵獲して拠点に持ち帰った方が喜んでもらえたかもしれませんね。
失敗しました。
…あ、演説タイム終わりました?
では、潰しますね。

とりあえず、念動力で自身を浮かせて上空へ移動。
銃撃とかの飛び道具を念動力で逸らして防ぎつつ、敵の頭上を取ります。
で、そのまま周囲のボディガードをガン無視して、ビルシャナ目掛けて急降下。
【念動オーバーロード】でちょっと本気の【念動ハンマー】を叩きつけます。
敵の主張はほぼ聞いてませんでしたが…
暴力が支配する世界をお望みのようですし、暴力で叩き潰されるなら本望でしょう。
たぶん。




 猟兵らの猛攻によって、集会に集まっていたビルシャナ党支持者たちはほぼ壊滅状態へと至った。だが、党首の鳥人間『ビル・シャナ』の気勢に未だ衰えは見られない。
「あれだけの戦力を壊滅させるとは、敵ながらやりますね。だが、本当の勝負はこれからです! フォロワー100万の私が、SNSで呼びかければ……!」
 そう言ってビル・シャナは、スーツのポケットから小型の通信端末を取り出した。それを手でポチポチと操作している。どうやら、SNSで発言を投稿しているようだ。
「私に悪しき一票を投じてくださるレイダーの皆様がいれば、私は何度でも戦える! 私の影響力を甘く見ないほうがいいですよ!?」
 その自信は、一体どこから来るというのだろうか。彼が言うフォロワー100万という話は真偽不明だが、ビル・シャナの呼びかけに応じて無法者たちがすぐに集まってきた。砂塵を巻き上げながらクルーザーバイクやバギー、ピックアップトラックで駆け付けたのは、モヒカン頭に肩パット姿、ヒゲ長髪サングラスといったワイルドな男達だ。
「ホホーーーーーウ! ビルの敵はどこだぁ~~!?」
「ヒャッハーーーー!! ビルに楯突く汚物は消毒してやるぜぇ~~!!」
 どこから湧いて出たのか、ビル・シャナを支持する無法者たちは猟兵の想像以上に多く感じられた。心強い味方を得たビル・シャナは、満足げに彼らに手を振りながらマイクを手に取った。
「お集まりいただき、ありがとう! 『ビルシャナ州』成立の悲願を叶えるため、この私に皆様のお力を貸していただきたい! 必ずや、オブリビオンの理想的社会を実現させてみせましょう!」
 それからビル・シャナは、彼が掲げる『オブリビオン・ファースト』の政治理念を滾々と語り始めた。ビル・シャナが目指す社会は、暴力が全てを支配する弱肉強食の無法地帯。弱者は情け容赦なく蹂躙され、ただ強者の前に屈するしかない。どこまでもオブリビオンにだけ都合のよい、聞くに堪えない演説内容だった。
「あの鳥野郎……」
 宇宙の傭兵部隊を率いるヴィリー・フランツ(スペースノイドの傭兵・f27848)が、ビルシャナ党の群衆を忌々しげに眺める。
「ほんっっっと碌でもない……!!!」
 オブリビオンの攻撃で故郷の街を犯罪都市に変えられた過去を持つグラース・アムレット(ルーイヒ・ファルベ・f30082)は、支持者たちの歓声に不快感を露わにしていた。
「はええ……? なんかすっごく難しいこと言ってますですねえ? もっとながにも分かるように言うですよお!」
 もふもふの羽毛をもつ賢い動物(の鳥類)、島江・なが(超弾丸シマエナガ・f42700)はいまいちビル・シャナが何を言わんとしているのか、呑み込めていない様子だ。
「あの鳥人間は最低の政治家です。絶っっ対に権力の座に就かせてはいけません」
 そんなながにも分かるように、グラースはビル・シャナのマニフェストの概要を語ってみせた。曰く、この地に『ヴォーテックスシティ』に匹敵する巨大犯罪都市を打ち立て、アポカリプスヘル全土からレイダーを呼び集める腹積もりらしい。
「さらに民間人は無理矢理連れて来て、ただの人さらいではありませんか。外交なんてただの襲撃ですよ!」
 そのうえ一般人を特定の地区に集めて強制隔離を施し、収容所で死ぬまで奴隷として働かせるとまで公言したのだ。ながには悪いが、説明するだけで怒りが込み上げてくるグラースであった。
「――ふんふん、つまり……クソ過ぎる『せーじ』をするってことですね!」
「お、恐ろしいことを言うておるのじゃな……」
 あまりに人類の人権を軽視した政策に、傍で一緒に聞いていた雪白・黒那(|彷徨える刃狼《迷子の狼さん》・f40810)も引き気味だ。
「それってながの故郷のマイナスなんですよねえ! うぜーです! 邪魔してやるです!」
 怒りに小さな体をぷるぷる震わせると、ながは勢いよく空へと羽ばたいていった。彼女に付き従うドローン部隊『メカシマエナガ小隊』も一緒だ。
「まぁ先も言うたが興味はない、即座に斬り捨てさせてもらうのじゃ。では、参るのじゃ!」
 頑丈な鞘刀『黒重』と居合刀『白瞬』の二振りを構え、黒那が敵陣へ勢いよく切り込んでいく。彼女を援護するように、レーザーライフルやロケット砲で武装したヴィリーの海兵隊が後に続いた。
「皆さん、あれをご覧ください! あんな人達に、演説の邪魔をされるわけにはいきません! 速やかに出て行ってもらいましょう!」
 ビル・シャナがそう言って猟兵を指さし、聴衆を焚き付けると、銃や火炎放射器で武装した無法者達が一斉に猟兵たちに向かってきた。
「誰が『あんな人達』だって? 鳥類如きが人間様の問題に嘴を挟むんじゃねぇ!」
 レイダーの集団と、ヴィリー率いる宇宙海兵隊が真正面からぶつかり合う。たちまちスーパーマーケットの駐車場は、熱線と砲弾が飛び交う熾烈な戦場へと変わった。
 ビル・シャナは自身の周りを黒スーツのシークレットサービスで固めると、尚もマイクを握って演説を続けた。そこに、刀と鞘の二刀を振るいながら黒那が突っ込んでくる!
「出て行くのはお主らじゃ! 舞い踊れ劫火よ! 重刃……焔舞ッ!」
 黒那が独自に編み出した戦闘体系『三刃』の奥義が一。武器に紫の火炎を纏った状態で繰り出す回転薙ぎ払いが、モヒカンの群れを次々に燃やし斬り捨てていく。
「お、オレ達が消毒されるだとぉぉぉぉ!!?」
 黒那の渾身の一撃が敵群を蹴散らすと、戦場にポッカリと空白のスペースが生まれた。そこに、銃剣つきのブルパップ小銃を構えたヴィリーと歩兵部隊が素早く切り込んで、一気に戦線を押し上げていく。
 12人のシークレットサービスに守られたビル・シャナの本陣は、もう目と鼻の先だ。お互いの顔を視認できる距離まで近づくと、ヴィリーが口を開いた。
「お前、プレジデントに直接会ったことあるか? 少なくともお前みたいなどぶ板選挙しか出来ない泡沫候補より、遥かにマシな男だったよ」
「な、なんですとぉぉぉ! くっ……傭兵ごときが偉そうに! ヤッておしまいなさい!!」
 その言葉が戦端を開き、今度はシークレットサービスと宇宙海兵隊の、熾烈な銃撃戦が始まった。そこへアサルトライフルを携えたグラースが合流し、炎の属性を込めた赤いペイント弾を敵陣に向けて発射する。
「……確かに彼は、敵ながら超大国のリーダーらしい指導力がありました。貴方はどうですか? プレジデントの後継者たる資格が、貴方にあるのですか?」
 放たれた【グラフィティスプラッシュ】は、着弾と同時に魔法の塗料が力を発動させ、大きな火柱を戦場に噴き上がらせた。この日の集会のために用意された立て看板やプラカードが、無惨に焼け落ちていく。
「クッ……ちょっと待ちなさい、まだ話が……」
「話せば分かるってか? 問答無用だ、ボケナス! その三枚舌を、二度と叩けないようにしてやる」
 銃剣を取り付けたブルパップ小銃を振るうヴィリーと、彼の仲間が敵の守勢を突き崩しながら突進していく。そして、グラースの狙いはあくまでもビル・シャナ。冷静に鳥頭に狙いをつけ、攻撃の手を緩めない。
「へぶっ!!」
 そして、遂にビル・シャナにペイント弾が命中。仕立てのいいスーツがたちまち炎に包まれると、ビル・シャナは辺りを飛び跳ねながら喚きだした。
「火の玉になってでも、職務を遂行するという覚悟がありますか!?」
「熱ぅぅぅっ!! アツッ、アチャッ!! 熱い熱い熱い熱熱熱熱!!!」
 そしてビル・シャナの周囲で抵抗を続けていたモヒカン軍団も、黒那の紫の炎に一斉に薙ぎ払われ、マニフェストが書かれたプラカードを投げ捨てて逃亡し始めた。すでに敵軍の崩壊は近い。
「(戦車とか爆弾とか、ノリで全部吹っ飛ばしてしまいましたが……鹵獲して拠点に持ち帰った方が喜んでもらえたかもしれませんね。失敗しました)……あ、演説タイム終わりました? では、潰しますね」
 エリー・マイヤー(被造物・f29376)は一服しながら鳥人間の演説を聴いていたのだが、退屈な長話がようやく終わったことに安堵した。これで戦いに集中できるというものだ。エリーは念動力で体を浮遊させると、上空からビル・シャナを叩きに行く算段を立てる。
「選挙ってのはながも知ってますですよ! レイダーさんが票を投じるっていうならぜーんぶ焼き払ってやるです!」
 空高く羽ばたいたながが、ドローン『メカシマエナガ小隊』を率いてエリーの後に続く。
「行きますですよメカエナガさん! 爆撃ッ、爆撃でぇーす!」
 ボガァァァァンッ!!! ボガァァァァンッ!!!
「ぴぎゃああああ~~~!!!」
「ひょほーーーーーーい!!!」
 かわいらしいデザインに反して、爆弾を搭載したメカシマエナガ隊の火力は高い。頭上から大量の爆弾を落とされ、モヒカン達が奇声を上げて吹き飛んでいく。
「暴力と破壊で票集めするってんだったら、ながの爆撃にも文句言えねーはずです!」
 レイダー達を燃やしてしまえば、レイダーの悪しき一票も無効になるはずである。
「ビル・シャナァ! 大人しく撤退するですよ!」
「怯んではなりません! 今こそ力を合わせて、『抵抗勢力』を排除するのです!」
 尚も挫けないビル・シャナに命じられ、シークレットサービスが空に向けて銃を構えた。機関銃による対空射撃がエリーとながを襲う。だが、
「無駄ですよ……!」
 放たれた銃弾は、エリーの強力なサイキックによって弾道を捻じ曲げられ、悉く逸れていく。【念動オーバーロード】で通常の10倍にまで念動力を増幅させたエリーが、落下速度を加速させてビル・シャナ目掛けて急降下した。そのまま拳を振り上げ、真正面から渾身の一撃を叩き込む!
「少し本気で行きます」
「うわーーーーっ!!」
 サイキックエナジーで強化した拳を固め、エリーの【念動ハンマー】が振り下ろされる。その一撃はプラカードを盾にしたビル・シャナの防御などまったく寄せ付けず、街じゅうに響き渡る轟音と共に大地を激しく揺るがした。
「グヘッ…………」
 絶大な力が働いたことで周辺の地形が粉々に破壊され、巨大なクレーターが出来上がる。そのクレーターの中心、体の腰から下をめり込ませたビル・シャナが、息も絶え絶えの様子で這いつくばり、最後の言葉を絞り出そうとしていた。
「ハァ……ハァ……こ、今回は負けを認めましょう……! ですが猟兵、戦いはこれで終わりではありません! オブリビオンストームが吹き続ける限り、私は何度も……」
 だが、この場に集まった猟兵達の気持ちはひとつだった。
 ――二度と来んな!!!
 いい加減にウンザリした猟兵達の総攻撃を受け、悪の政治家ビル・シャナとその一味は、遂に爆炎の中に消えていった。暴力には暴力を――力ですべてを支配しようとする者は、結局より強い力の前に屈することとなったのである。
「敵の主張はほぼ聞いてませんでしたが……暴力が支配する世界をお望みのようですし、暴力で叩き潰されるなら本望でしょう」
「後味の悪い敵でしたね……」
 敵の完全消滅を確認すると、エリーは煙草に火を点けて大きく息を吐いた。グラースはそんな彼女に同調したが、内心はいつか武力に頼ることのない人類のリーダーが現れることを望んでいるようだった。
「(ですが私達は、それだけでは終わらせない様に生きたいところです)」

 猟兵らの獅子奮迅の活躍により、シャムロックフィールドを根城にしていたカルト政治団体『ビルシャナ党』の壊滅作戦は成功した。そして作戦後、猟兵らの話し合いによって、ここを新たな人類拠点に再利用するという案が浮上した。
 近い将来、このゴーストタウンを復興させ、住民を呼び込む計画が始まるかもしれない。それはまた、いずれ話すことになるだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年03月14日


挿絵イラスト