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ライスメキア|MMM《3000》世とステラウォー

#スペースシップワールド #スペースオペラワールド #プロメテウス #惑星バブ #惑星ジェミニィ #惑星サスナー #熾盛

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●エイティーン
 第十八世代人型戦術兵器『セラフィム』は機動兵器としての円熟たる技術の絶頂に至りし存在である。
 縮退炉を有し、世代を経る毎に異なる存在へと変容していく。
 世代が違えば、最早、別物別種。
 未だに『惑星ジェミニィ』にて第九世代の『セラフィム』――その名を忘れ『バイ・スタンダー』と名乗るようになっても、完全なる悪性と善性が相いれぬことを示すように戦い続けている。
 彼らは彼らの由来を忘れ去っている。
 そして、分かたれた悪性と善性を同時に持つ個体が現れ始めても、不確定な未来を夢見ることしかできない。
 世代を重ねた先にあるのが滅びという末路であったとしても。

「『傍観者』か、それとも『救命者』か。皮肉を名乗るか」
 いずれにしても終わりは覆らない。
『惑星サスナー』を治め率いる元首はつぶやく。
「『あれら』は滅ぼさなければならない。悪性と善性によって『良心』を得たから何だというのだ」
 機械種族『バイ・スタンダー』
 それが彼らの敵の名である。
 突如として『ワープゲート』から現れ、これを破壊し他の惑星間の繋がりを絶ったのだ。始まる理由なき闘争。いや、理由はあったのかもしれないが、すでに失伝している。
 もう、憎しみの理由すら分からない。
 何故、『バイ・スタンダー』が己達を襲うのか。わからない。
 わからないが、しかし、座して滅ぶのを待つほど己達は愚かではない。
「あの無機物共に心? 笑わせるな。あれは人の心を模しただけの存在だ。人になれるわけがない。どれだけ人の心に似たものを得たとしても、結局『あれら』は人ではない」

「だからこそ、滅ぼさなければならない。我等、人に成り代わろうなど」
『惑星サスナー』は3000年を超える争いの果てに至りて、そう結論付けていた。
 有機生命体である彼らはいくつかの惑星を支配している。
 そして、3000年を超えて機械種族である『バイ・スタンダー』と争い続けている。
「その通りです」
 己たちの言葉に応える者があった。
 振り返れば、そこにいたのは『バグズ・クィーン』であった。
『宇宙蟻の女王』である。
 彼女もまた、このスペースオペラワールド、『惑星サスナー』星系に迷い込んできた種族であった。しかし、『バイ・スタンダー』と違い『惑星サスナー』と友好的な関係を築き上げている。

 あの圧倒的な強さを持つ『バイ・スタンダー』が質を誇るというのならば、『宇宙蟻』である彼女は圧倒的な数、物量で持って『惑星サスナー』に協力してくれているのだ。
 縮退炉という圧倒的な出力を誇る炉を持つ『バイ・スタンダー』によって此方の物量作戦も底を付きかけていた折りに彼女達を迎えることができたのは僥倖であった。
「あれなるは『良心』持つ機械種族ではありませぬ。ただの破壊者。『傍観者』でもなければ『救命者』ですらない。ただの狂った存在。故に、共に打ち倒しましょう」
「おお、なんと頼もしい。此方も鉄壁たる『惑星型迎撃機構』を完成させた。共に『バイ・スタンダー』を打ち倒し、この永久にも思える戦禍を鎮めようぞ」
「ええ、我等『宇宙蟻』は『惑星サスナー』と共に」
『バグズ・クィーン』は微笑む。
 その微笑みの裏に悪意をひた隠しにして――。

●スペースオペラワールド
 グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのはナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)だった。
「お集まり頂きありがとうございます。今回はスペースオペラワールドにて複数の惑星を擁する星間国家『惑星サスナー』と機械種族『バイ・スタンダー』による星間戦争にオブリビオンの介入が認められる事件が予知されました」
 ナイアルテは難しい顔をしている。

 何故、と猟兵達が問いかけると彼女は頷く。
「『惑星サスナー』と機械種族『バイ・スタンダー』との争いの理由が判然としていないのです。原因がわからなくなっている、というのが正しいのです。この争いを抜本的に解決することは私達にはできません。ですが、ここにオブリビオンの介入があるのならば、それは即ち世界の破滅に繋がるのは言うまでもありません」
 オブリビオンはこの『惑星サスナー』に漂着した種族として取り入り、この星間国家の内側から世界の滅びを目論んでいるのだ。
 そして、猟兵たちはこの戦いのさなかに飛び込み、オブリビオンのみを撃破しなければならない。

 それはとても気の遠くなるような思いであったことだろう。
 星間戦争というのは、正しく言葉の通り星と星とを跨ぐ争いである。
「オブリビオンの狙いは、機械種族『バイ・スタンダー』の殲滅ではありません。圧倒的な数を誇る『惑星サスナー』の宇宙艦隊と『宇宙蟻』の女王たるオブリビオン『バグズ・クィーン』の物量が合わされば、質で勝る『バイ・スタンダー』を少なくとも撃退することができるでしょう。これにより、さらなる星間戦争の激化が加速すれば、『宇宙蟻』は『惑星サスナー』の内側からじわじわと侵食し星系の主となるでしょう」
 そうなれば、立場は逆転し、破滅的な争いへと発展していく。
 この争いの火種を星系に楔のように打ち込まんとするオブリビオンの企みを阻止できるのは猟兵しかいない。

「星間跨ぐ戦場には数万隻に及ぶ宇宙艦隊と数騎の『バイ・スタンダー』が戦闘を繰り広げています。この戦場にて戦いを煽っている『各地のオブリビオン軍団』を発見し、各個撃破しなければなりません」
 広大な宇宙、その星系をまたがる戦いの中からオブリビオンを見つけ出すのは至難であろう。だが、これを叩かなければオブリビオンの蠢動は止まらない。
 そして、このオブリビオン軍団を倒した結果、鉄壁たる『惑星型迎撃機構』の位置が判明する。
 そこにオブリビオン軍団の首魁たる『バグズ・クィーン』が存在しているのだ。
 だが、この鉄壁の『惑星型迎撃機構』には機械種族『バイ・スタンダー』も迫っている。彼らは猟兵であろうと関係なく攻撃してくるだろうし、迎撃機構のビームの嵐をかいくぐらねばならない。
 これらの障害を全て突破し、オブリビオン『バグズ・クィーン』を討たねばならない。

 そこまで告げてナイアルテは頭を下げる。
「危険極まりない大戦争に介入することになります。それを承知の上でお願いいたします。例え、先の見えぬ大戦の最中であろうと、これを徒に拡大させようとするオブリビオンの策動を許すわけにはまいりません」
 どうか、とナイアルテは猟兵たちを送り出すのだった――。


海鶴
 マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
 スペースオペラワールドにて3000年に渡り争い続けている機械種族『バイ・スタンダー』と『惑星サスナー』。この星間戦争の劣勢に立たされていた『惑星サスナー』にオブリビオンが友好を偽り中枢に潜り込んでいます。
 このオブリビオンを排除しなければ、世界の破滅へと至る銀河級の戦争へと発展してしまうことでしょう。
 オブリビオンの策動を打ち砕くために星の海にて戦いに介入するシナリオになっております。

●第一章
 集団戦です。
『惑星サスナー』に与する『宇宙蟻』のオブリビオン『スペース・テンプラー』たちは星間またく戦場、その数万隻に及ぶ宇宙艦隊のあちこちで戦いを煽るようにして存在しています。
 彼女達は戦いを煽ることで戦禍を拡充しようとしています。
 これを星跨ぐ戦場にて見つけ出し、各個撃破しましょう。

●第二章
 冒険です。
 第一章で倒したオブリビオンたちのデータを統合した結果、オブリビオンが蠢動する鉄壁の『惑星型迎撃機構』の位置が判明します。
 この『惑星型迎撃機構』はビームの嵐と侵入者阻むビームシールドが張り巡らされた鉄壁の要塞です。
 さらに悪いことに機械種族『バイ・スタンダー』のうち、五騎が『惑星型迎撃機構』に突貫しています。
 彼らは猟兵であろうと『惑星サスナー』の軍であろうとお構いなしに破壊活動を行っています。
 この猛攻と『惑星型迎撃機構』の防衛をかいくぐらねばなりません。

●第三章
 ボス戦です。
『惑星型迎撃機構』の内部にて座すオブリビオンとの決戦です。
 オブリビオン『バグズ・クィーン』を打倒すれば、銀河級の戦争を起こす策動は阻止することができるでしょう。
 ですが、3000年に渡る星間戦争は終わることはないでしょう。
 この戦いには一騎の『バイ・スタンダー』が介入してきますが、猟兵、オブリビオン、その両者も敵とみなしています。
 これに対処しつつ『バグズ・クィーン』を撃破しましょう。

 それでは、無限に広がる大宇宙を舞台に皆さんの活躍を彩る物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
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第1章 集団戦 『スペース・テンプラー』

POW   :    SWORD DIVE!
【掲げた十字剣】が【聖句】によりレベル×100km/hで飛翔し、【自身からレベルm半径内の敵全員】に【重量】×【スピード】に比例した激突ダメージを与える。
SPD   :    神罰の炎
【掲げた十字剣】から、戦場全体に「敵味方を識別する【神罰の炎】」を放ち、ダメージと【ユーベルコード封印】の状態異常を与える。
WIZ   :    ヒーリング・ウインド
【掲げた十字剣】から【聖句】によって【癒しの風】を発生させ、自身からレベルm半径内の味方全員の負傷を回復し、再行動させる。

イラスト:8mix

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 無限に広がる大宇宙。
 星の瞬きすら点描で描いたかのような些細なものにしか瞳に映らぬ暗闇の海。
 そこに数万を数える宇宙艦隊が存在していた。大小様々な宇宙戦艦。その圧倒的な物量を前に迫るは赤と青のカラーリングを持つ機械種族『バイ・スタンダー』であった。
「数、9! 急速に接近!」
「艦砲射撃用意! 宇宙機雷射出、通信障害粒子の散布を急げ! 奴らに連携させるな!」
「駄目です! 速すぎます!」
 宇宙戦艦の中では迫る『バイ・スタンダー』の猛攻に対応するために狂ったように怒号が響いている。
「3番艦、轟沈! 7番艦、操舵不能! 当艦直上! あれは……!」
「青い『バイ・スタンダー』! あれが『悪魔』の……!」
 次の瞬間、一隻の巨大な宇宙戦艦の艦橋がプラズマの一閃に押しつぶされるようにして破壊される。爆発が宇宙空間に広がり、破壊の痕だけが刻まれていく。

 その中でオブリビオン『スペース・テンプラー』たちは告げる。
「これが『バイ・スタンダー』です。狂ったように此方を滅ぼさんとする悪しき機械種族! これなる脅威を共に振り払いましょう。我らは『宇宙蟻』という得難き友を得たのです。我等が団結すれば『バイ・スタンダー』など恐れるに足りません! さあ、意思を! 決意を! 武器を! 手に取り戦うのです!」
 彼女達は圧倒的な力を持つ『バイ・スタンダー』を前にして『惑星サスナー』の劣勢に立たされている軍勢をまとめ上げるために煽り立てる。
 共に、と。
 耳障りの良い言葉を並べ立て、争いに駆り立てるように――。
神酒坂・恭二郎
アドリブ連携歓迎
やれやれ、どうにも胡散臭いねぇ
ひとまずは流れに乗って様子を見るとしようか
まずは機動力勝負。相棒の星白鮫を呼び出して騎乗し、星跨ぐ戦場を股にかけて手当たり次第と行きますか

【神罰の炎】を軽く添えるように放つ風桜子の斬撃で【受け流し】、すれ違いざまに鮫の牙に引っ掛ける要領でキルスコアを稼いでいきたい
「お前さんたちは分りやすいな。嫌な臭いで一発で分かる」



 耳障りの良い言葉が響く。
 それは人の心を鼓舞する言葉であっただろうが、しかしてオブリビオンの言葉であったのならば猟兵の耳には甘言でしかない。
 甘やかな言葉。
 確かに身を委ねれば心地の良い言葉ばかりであろう。
 憎しみの理由すら定かでなく成るほどの長い年月を経て、憎む理由だけを探して戦うというのならば、これは破滅的な行いである。
 だからこそ、神酒坂・恭二郎(スペース剣豪・f09970)は『惑星サスナー』の宇宙艦隊のあちこちで響き渡る歓声に眉根を寄せる。

 どうにも上手く乗せられているような気がしない。
 オブリビオンの掌の上。
 この上で『惑星サスナー』の人々は踊らされているだけに過ぎない。
 中枢に入り込んだオブリビオン。
 彼女達の思惑によって世界の破滅へとひた走る道筋をただひた走るだけの傀儡へと落とされているように思えてならないのだ。
「やれやれ、どうにも胡散臭いねぇ」
 恭二郎はため息をつく。
 オブリビオンの策動、その蠢動を掴むためとは言え、戦場は星を跨ぐほどの広域である。
 このスペースオペラワールドは何もかもスケールが違いすぎた。

 宇宙戦艦一つとっても、凄まじい大きさなのだ。
 他の世界であれば、ちょっとした小島程度の大きさである。
 その大きさの宇宙戦艦が数万隻にもわたって展開しているのだ。そして、それと相対し、争っているのが機械種族『バイ・スタンダー』である。
 圧倒的な数の前に個とも言うべき僅かな数でもって、これを圧倒している。
「数で勝る敵を千年単位で圧倒するというのは、一体全体どういうカラクリなんだろうな」
 とは言え、と恭二郎は流れに乗るしかないと判断し、己の手にした鮫印のスペース絵馬ホルダーを掲げる。
 するとユーベルコードの輝きを放ちながら宇宙空間に現れるは、ホオジロザメの『鮫五郎』であった。
 凶悪な面構えであるが、しかして恭二郎はその背に乗ると宇宙空間を泳ぐようにして走る。

「まずは手当たり次第と行きますか。この声が聞こえる方角へ!」
 口寄せ:星白鮫(ホシジロザメ)によって恭二郎は宇宙区間での移動手段を得る。
 宇宙艦隊と『バイ・スタンダー』との戦いは苛烈だった。
 宇宙空間に爆風が荒び、宇宙デブリとかした艦隊の破片を躱しながら恭二郎は見やる。この宇宙空間に在りて、何やら蠢動せしめる存在を。
 そう、オブリビオンだ。
 残骸の中から何かを運び出そうとしている。
「……猟兵か。面倒な連中がやってきたものだ」
「排除しよう。彼らを放置すれば、我等が目論見も阻まれてしまう」
「そういうことだ! 行くぜ!」
 恭二郎はオブリビオン『スペース・テンプラー』たちを宇宙戦艦の残骸の中で発見し、これと切り結ぶ。

 神罰の炎が吹き荒れる。
 その炎を斬撃で受け流しながら、恭二郎は『スペース・テンプラー』へと斬撃を見舞う。
「お前さんたちはわかりやすいな」
「抜かせ、猟兵。我等が企てを邪魔立てするのならば!」
「暗闘暗躍とそしられようとも!」
「どれだけ闇に紛れていたとしても、わかるんだよ。その嫌な匂いで一発で!」
 恭二郎と切り結ぶ『スペース・テンプラー』を『鮫五郎』の牙が襲い、その体躯を噛み砕く。甲冑が砕け、宇宙空間に霧散していく彼女達の体躯を見届け、恭二郎は己が刀を振るう。
「さあ、頼むぜ相棒。この宇宙の広い広い戦場にまだまだオブリビオンはいやがる」
 そう言って『鮫五郎』に再び騎乗した恭二郎は、この広大な宇宙空間を股に掛けるようにして颯爽と駆け抜けるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

騎動要塞・レッドフォートレス
超重騎鎧インヴィンシブルを操縦!

へえ?中々いいユーベルコード持ってるじゃんか、てめえ
ならこっちは覚醒ゲージを使って覚醒モードに変身し、潜在能力強制解放!
更にユーベルコードで防御力を上げて耐えてやるぜ!

EP-Bツインギガスラスターの推力移動空中機動!
装備重量ペナルティを無視する事で裸でいるのと同じ速度が出せるぜ!
ヘビーアームドキャノンとヘビーハイパーバズーカで敵集団に穴を開けて、すれ違い様にマニピュレータで掴んだエンジンブレイドで敵をぶった斬ってやる!!

敵を射程圏内に捉えたら必殺技ゲージを消費して必殺技スキルを発動!
ターゲット、マルチロック……|全武装一斉発射《アームドフォート・フルバースト》!



 宇宙空間に在りてバトルアーマー『超重騎鎧インヴィンシブル』を着込んだ騎動要塞・レッドフォートレス(【赤色の暴君雨】・f42522)は、宇宙戦艦へと突貫する。
 その速度、その重量、全てが宇宙空間では質量の差でもって凄まじい突撃エネルギー生み出し、宇宙戦艦の装甲を撃ち抜くようにして彼女の体躯を艦内へと飛び込ませる。
 濛々と立ち上がる煙が艦内から引きずり出されるようにして宇宙空間に飛び出していく。
「猟兵か、やはり邪魔立てを!」
『惑星サスナー』と機械種族『バイ・スタンダー』の千年単位に渡る戦争に介入したのはオブリビオンだけではない。
 猟兵たちもまた介入者であった。

 この星を跨ぐ戦場にあって、オブリビオンの蠢動は一つや二つではない。
 彼女達……『スペース・テンプラー』たちは聖句を持って己が剣を掲げる。すると凄まじい速度で持って宇宙戦艦の内部を跳ねるようにして飛ぶのだ。
「へえ?」
 レッドフォートレスはバトルアーマーの内部で小首をかしげる。
 彼女のバトルアーマーの中は宇宙空間であろうと快適そのものであったが、しかし、凄まじい速度で迫る『スペース・テンプラー』の斬撃が彼女の鎧の装甲を引き裂く。
 なるほど、と思う。
 速度と重量。
 これをもって装甲を切り裂くのだ。
「中々いいユーベルコード持ってるじゃんか、てめえ」
 レッドフォートレスはバトルアーマーの内部のコンソールに浮かぶ文字列や、コーションセンサーに唇の端を釣り上げる。

 強敵であると言わざるを得ない。
 だが、彼女は笑むのだ。
 強敵出会っても、それを前にして臆していてはならない。
「この速度についてこれるか! その鈍重なる体躯で!」
「言ってくれるじゃあねぇか! ならこっちは!」
 己の胸に宿る心。
 解き放たれるは潜在能力。駆体の内部より広がる輝くオーラ。
 それこそがレッドフォートレスとの持つ覚醒のエネルギー。
 解き放たれることによって得られた力が呼び水となってユーベルコードの輝きを放つ。

「タンク・オブ・スティール!」
 それは己が装備重量のペナルティを全て無視する力。
 同時に、無視した装備重量に比例するようにして全ての装備の威力と防御力を底上げする二重強化。
 それによってレッドフォートレスは一気に『スペース・テンプラー』と同じ速度に到達しながら、剣撃を打ち払い、ヘビーアムドキャノンとヘビーハイパーバズーカでもって打ち倒す。
 敵の速度は恐るべきものであった。
 けれど、レッドフォートレスは恐れない。
 すれ違いざまにエンジンブレイドの一撃を叩き込みながら『スペース・テンプラー』の躯体を吹き飛ばすのだ。

「ハッ! この程度で音を上げるほどやわじゃねぇんだよ!」
 宇宙戦艦内部の装甲を爆発で吹き飛ばしながら、レッドフォートレスは『スペース・テンプラー』へと踏み込む。エンジンブレイドの一撃と彼女らの手にした両手剣が火花を散らす。
 軋むフレーム。
 けれど、それでもレッドフォートレスは不敵に笑む。
「ターゲット、マルチロック……!」
 全ての武装から火線が走る。
 それはユーベルコードによって底上げされた全ての装備の一斉射。
 吹きすさぶ爆風は『スペース・テンプラー』を宇宙空間へと吹き飛ばす。
 レッドフォートレスは、その強靭なるバトルアーマーに守られながら、さらなる戦場目指して飛ぶのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友

第三『侵す者』武の天才
一人称:わし 豪快古風
武器:黒燭炎、四天霊障

ふむ…味方のフリして煽るというのは、いわば常套手段ではある。
だがまあ、オブリビオンの思惑通りにはさせんて。
霹靂に騎乗していこう。

四天霊障を纏った黒燭炎でのなぎ払いを、UC付きで行おう。
さて…癒やしをするというが。この傷は癒せぬし、不幸を呼ぶものである。
はて、でぶり?とか言うものが多いここで…不幸に見舞われたら、どうなるかの?


霹靂『クエッ』
宇宙は久しぶり!デブリとか、視力尽くして見切っていく。



 オブリビオン『スペース・テンプラー』たちは『惑星サスナー』の中枢に入り込んでいる。彼女達が為すのは煽動。
 そう、戦争とは常に死がつきまとう。
 誰かの隣人が傷つけられ、生命が失われるのが常。
 誰も彼もが被害者であり、同時に加害者でもある。
 故に、耳障りの良い言葉が染み渡るようにして人々の心に入り込んでいく。

 そういう意味ではオブリビオンが機械種族である『バイ・スタンダー』に付け入ることができなかったのは皮肉でしかない。
 如何に人の心を模したような『良心』を機械種族である『バイ・スタンダー』たちが得たのだとしても、そこにオブリビオンが入り込む余地はないのである。故に、オブリビオンたちは『惑星サスナー』へと取り入るようにして中枢へと潜り込み、蠢動を開始したのだ。
 世界一つを滅ぼすために。
 その策動は『惑星サスナー』を内側からじわじわと侵食し、己達が惑星の、星系の主として君臨することを目的としていたのだ。
「ふむ……味方のフリをして煽るというのは、いわば常套手段ではある」
 馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の一柱『侵す者』はオブリビオンの思惑を知る。
 宇宙空間にてヒポグリフ『霹靂』を駆り、宇宙艦隊の一部へと飛び込む。

 手にした槍の一閃が宇宙戦艦の壁面をくり抜くようにして刻まれ、艦内の大気が一気に噴出する勢いに負けじと『霹靂』が飛び込む。
「何者だ!」
 オブリビオン『スペース・テンプラー』たちの姿を認め、『侵す者』は頭を振る。
「お主達の思い通りにはさせぬ者よ。見ればわかるであろう。わしも理解るぞ、貴様たちはオブリビオンだな? その思惑通りにことが運ばぬと知れ」
『霹靂』が宇宙戦艦の内部の壁面を蹴るようにして飛ぶ。
 だが、癒やしの風が吹きすさび、再度『侵す者』たちを宇宙戦艦の外へと吹き飛ばすのだ。

「猟兵に邪魔立てされることなど想定内よ! ここで貴様らを宇宙の藻屑としてくれる!」
「ほう、藻屑とな。だが」
『侵す者』の瞳がユーベルコードに輝く。
 振るわれた槍の一閃が『スペース・テンプラー』の体へと刻まれる。
 だがしかし、彼女達は笑う。
「この癒やしの風があれば、手傷など……!」
「ほう、本当にそうかな?」
「何を……な、何故だ。何故傷が癒えない!?」
『侵す者』が笑む番であった。
 そう、彼のユーベルコードは連鎖する呪いである。
 槍の一閃によって傷つけられた傷跡は癒えぬ。そういうユーベルコードなのだ。そして、癒えぬ傷跡を得た『スペース・テンプラー』たちを襲うのは、宇宙戦争の名残……即ち、破壊された宇宙戦艦の残骸である。
 これは不慮の事故である。

「ここは、でぶり? というものが多いのでな。不幸な出来事が重なれば……」
 その言葉と共に連鎖反応するように宇宙デブリが『スペース・テンプラー』たちを襲う。
 圧倒的な質量。
 これを覆す術を彼女達は持っていなかった。
 圧砕するようにして迫ったデブリに押しつぶされ、彼女達の息が絶えた時、漸く癒えぬ傷跡は消えるだろう。
「ば、かな……こんな……」
「起こり得るのが呪いというものでな。お主らに戦乱は徒に拡充させはせぬよ」
 そう告げ『侵す者』は『霹靂』と共にデブリを蹴って、宇宙空間を疾駆するのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

朱鷺透・小枝子
果てのないような広大な宇宙でも変わらず戦争がある。
そしてそこにもオブリビオンが居る。相も変わらず破滅に向かって、だから自分も、変わらず破壊を成そう。そうだ、

『敵を、壊せ』

【召喚術】『過殺者』により、オブリビオンの|傍に出現。《己を召喚》
【瞬間思考力】と人工魔眼の動体【視力】で素早く周囲の敵を認識。
【念動力】で自身の体を操縦【空中機動】で剣を躱し、【早業】問答無用でオブリビオンの装甲を破壊の呪詛物質纏う騎兵刀でぶち抜き、破壊霊障で|圧縮《サイズダウン》させながら、壊滅空間で消滅させる。

……セラフィムも、変わらず|此処《戦場》にいる、か…。

再度『過殺者』でオブリビオンの元へ出現、破壊を繰り返す。



 どの世界にも争いがある。
 形態を変えようと、立場を変えようと、場所を変えようとも。
 争いはあるのだ。
 それは変えようのない事実だ。悲しいが、そうである、ということが己の存在を際立たせている。己が己であると認識する術である。
「果てのないような広大な宇宙でも変わらず戦争がある」
 朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)は吐息を口元から漏らすように目の前の現状を認識する。
 星々の海。
 闇色に点在する星よりも多く感じるのは、宇宙艦隊の数万隻にも及ぶ宇宙戦艦。
『惑星サスナー』の宇宙戦艦は数を誇る。
 しかし、赤と青のカラーリングを持つ機械種族『バイ・スタンダー』は圧倒的数の不利をものともしないかのように宇宙戦艦を屠る。

 その凄まじさは言うまでもない。
 本来ならば猟兵である己達が介入する争いではない。
 けれど。
「そこにオブリビオンがいる。相も変わらず破滅に向かって。だから、自分も、変わらず破壊を成そう」
 睨めつける。
 その一点にあるのは宇宙戦艦。
 オブリビオンである『スペース・テンプラー』たちは、煽り立てる。
 この戦いを悲劇にするのは後退の意思であると。
 戦いから遠ざかろうとすることを咎めるのではなく、散っていった生命に贖うことを忘れることを責めるのだ。
「そうだ、私達が戦いを止めては、これまで散っていった数多の英霊たちの魂に申し訳が立たない」
「我らは負けてはいない。まだ戦う意思があるのならば!」
「戦い続ければ、我らの意思は継火のように紡がれていくのだ!」
 彼女達の言葉は耳障りが良い。
 どこまでも身を任せたくなる。
 この激流の如き流れに。

 だからこそ、小枝子は意思を込める。
「敵を、壊せ」
 ユーベルコードに煌めく小枝子の瞳。
 それは瞬時に宇宙戦艦の内部へと己を転移させていた。
 眼の前にオブリビオン『スペース・テンプラー』の姿がある。己にまだ気がついていない。いや、瞬時に出現した小枝子の気配に振り返った。
 だが、遅い。
 どうしようもなく遅い。
 瞬時に、小枝子は過殺者(ランページキラー)たる本領を発揮する。
 手にした騎兵刀でもって『スペース・テンプラー』の鎧を砕くようにして一撃を見舞わせ、破壊の念動力でもって周囲に存在した彼女達を組み伏せるのだ。

「がっ……!? 猟兵っ!? 一体どこに居たのだ!?」
「関係ない。自分は敵を、壊す」
 迫る『スペース・テンプラー』たちの高速の斬撃を躱す湯にして小枝子は踏み込む。
 一瞬の交錯。
 放った騎兵刀の等身が『スペース・テンプラー』を串刺しにし、念動力で圧壊させながら壊滅空間へと押し込む
「速すぎる……!」
 小枝子は彼女達の言葉を聞かなかった。
 意味のない言葉であったし、交わす意味のない言葉であったからだ。

 そんな彼女が見上げる先にあるのは、宇宙戦艦を次々と撃破していく『バイ・スタンダー』であった。
 嘗ての名を『セラフィム』と呼ぶ戦術兵器。
 その進化と呼んで良いのかもわからぬ程に別種たる姿を見やり、つぶやく。
「……『セラフィム』も、変わらず|此処《戦場》にいる、か……」
 小枝子は最早彼らを見なかった。
 己が討つべきはオブリビオン。
 その敵へとユーベルコードの輝きが導いてくれる。それで十分だというように彼女は敵の元へと飛ぶのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

黒影・兵庫
蟻さんの風評被害を招く存在がいます!
(「ん?あぁバグズ・クィーンって奴のこと?」と頭の中の教導虫が返事をする)
はい!せんせー!
敵はきっと蟻さんのような見た目です!
そんな奴が悪事を行えば人々は蟻さんに対しても悪意を抱きかねません!
(「気合入ってるわねぇ、ひとまずどうする?」)
UC【F.E.C】で電子兵さんを召喚して惑星サスナーの戦艦を『ハッキング』してもらい
スペース・テンプラーに攻撃させましょう!
仲間からの攻撃とバイ・スタンダーからの攻撃による挟み撃ち!
敵の慌てふためく顔が目に浮かぶようです!
(「ちょっと悪い顔してるわね黒影。よっぽど今回の敵が嫌いなのかしら…」)



 オブリビオンたちは『惑星サスナー』星系の中枢に潜り込み、蠢動している。
『宇宙蟻』――オブリビオンの首魁はそう名乗っていた。
 蟻。
 その単語に酷く反応する猟兵がいた。
 それは、黒影・兵庫(不惑の尖兵・f17150)だった。彼にとって蟻という存在は特別だったのだ。
「蟻さんの風評被害を招く存在がいます!」
 宇宙空間に転移した兵庫は思わず叫んでいた。
 その並々ならぬ語気に頭の中に響く『教導虫』は首をひねるようであった。
『ん? あぁ、『バグズ・クィーン』って奴のこと?』
 兵庫は頷く。
 そうだ。そうなのである。
 敵。即ちオブリビオン。この星系を乗っ取り、世界の破滅を望む存在。

 その名を聞いたからには兵庫は止まらない。止められない。
「はい! せんせー! 敵はきっと蟻さんのような見た目です!」
『そうは言っていなかったみたいだけど、宇宙蟻を名乗る以上、蟻に近しい性質と姿をしているであろうことは想像できなくはないわね』
「そうです! そんなやつが悪事を働けば人々は蟻さんに対しても悪意を抱きかねません!」
 気合い充分である。
 とは言え、此処は星を跨ぐ戦場である。
 兵庫の気合だけでどうにかなる戦場ではないのだ。
『ひとまず、どうするつもり?』
「敵はこの膨大な数の宇宙戦艦の何れかに点在しているということでした! でしたら!」
 ユーベルコードが煌めく。
 周囲の宇宙戦艦の内部へと『電子兵』と呼ばれたムカデの如き虫が走る。
 それはプログラムコードで構成された存在である。
 一瞬で宇宙戦艦のセキュリティを突破し、ハッキングする。手繰るようにして兵庫が指を動かせば、内部カメラを切り替えていく。

「いました!」
『なるほどね。艦内の何れかにいるのなら、猟兵である兵庫の目視でオブリビオンであるかそうでないかがわかる、と。そして、どうするの?』
 こうするのだ、と兵庫は宇宙戦艦同士を激突させる。
 凄まじい衝撃と共に兵庫が見た『スペース・テンプラー』たちは慌てふためく。
 その動揺を機械種族『バイ・スタンダー』が逃すわけがない。
 更に兵庫は手繰る『電子兵』たちをたぐり、『スペース・テンプラー』を襲う。
 つまりは、内側と外側からの二重攻撃である。

 内側からは『電子兵』にて。外側からは『バイ・スタンダー』の猛攻。
 いずれにしても『スペース・テンプラー』たちに逃げ出す隙などないのだ。
 天網恢恢疎にして漏らさず。
 オブリビオンの悪意を必ず打倒すると決めた兵庫は、ワルに笑う。
「敵の慌てふためく顔がはっきりと見えますよ!」
『ちょっと悪い顔しているわね黒影』
「え、そうですか?」
『しているわよ』
『教導虫』の言葉に兵庫はそうかな? と思う。けれど、事実彼は悪い顔をしていたことだろう。
 今回の敵のことを考えれば当然であったことだろう。
 蟻の名誉を傷つけるようなオブリビオンは許してはおけない。
 敵の首魁を追い詰めるため、兵庫は次々と『電子兵』たちと共に宇宙艦隊に点在するオブリビオンをあぶり出すためにハッキングを繰り返すのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルクス・アルブス
【ステルク】

え? あれ? 疑問形です!?

今回はステラさんがウォーするんだと思ったんですけど、
ちょっと違う感じなんですか?

あ、なるほど。
エイルさんっぽい、なんですね。
さすがです。エイルさん専門調香師の称号は伊達じゃないですね、

えと、あの。演奏していいっぽいのは解りましたり、わたしも望むところなのですがー。
ルビ長くないです!? しかも中身酷くないです!?

っと、どちらにしましても、生身ではいけませんので……。
かもん、【ソナーレ】!

宇宙は広いですからねー。
さすがのわたしでも生音だけだとちょっと不安なので……って。

ステラさん? こっち来てくださいね? 
あ、耳栓はしててもいいですよ? 無効化できますので!


ステラ・タタリクス
【ステルク】
呼ばれた気がいたします、ステラです! そして!
|エイル様《主人様》の! 香りがしまぁぁす?
うーん、するにはするのですがエイル様成分が少なめ?
現役の鳥メテウス様がいるからには
宇宙にエイル様はいないようですね?
いえ、サツキ様がいますか

それにしても青いバイ・スタンダー
どことなく|エイル様《ヴィー様》に似ている気がしますが
後継機だからですかね?

ではルクス様!
戦場が広くて敵味方が入り乱れていて
倒す敵がいっぱい
つまり
ルクス様の|演奏《敵味方を識別する当たれば死ぬ破壊音波》が最適かと思います
ささ、コンサートはもっと前で
私は【アウクシリウム・グロウバス】で支援してますので
耳栓なんてしてませんよ?



 インターステラー。
 星間戦争において、星と星との距離は意味をなさないのかもしれない。地上にありて見上げる星と星との間が些細な距離に見えるように。発達した技術が魔法と見紛うのと同じように。人の視界を容易く騙し、認識を違える。
「呼ばれた気が致します、ステラです!」
 ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)の言わんとしていることはわからないでもない。星の名を冠するメイドであるがゆえに。
「そして!|『エイル』様《主人様》の香りがしまぁぁぁす?」
 なんで疑問形?
 ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は思った。
 星間戦争。
 インターステラーウォー。
 つまりはステラが一大怪獣決戦を引き起こすものだとばかり思っていたのかも知れない。ある意味怪獣みたいな声量であるが、まあ、それは今回置いておくことにしよう。
「ちょっと違う感じなんですか?」
「うーん、するにはするのですが『エイル』様成分が少なめ?」
「あ、なるほど。『エイル』さんっぽい、なんですね」
 なんで理解できるのか。
 なんで会話が成立しているのか。
 正直、このコンビのやり取りは、ある種の信頼関係がきっちりと構築されているがゆえに成り立つところがあるのかもしれない。
「現役の鳥メテウス様がいるからには、宇宙に『エイル』様はいないようですね?」
 ステラは何やらか考え込む。
 とは言え、である。

 この戦場、『惑星サスナー』と機械種族『バイ・スタンダー』との戦争に介入する……いや、『惑星サスナー』勢力に潜り込み蠢動するオブリビオンを打倒しなければならない。
「それにしても」
 ステラは戦場を駆け抜けていく9つの光の軌跡を見やる。
 機械種族『バイ・スタンダー』。
 いずれも赤と青のカラーリングをしている。けれど、一騎だけが青いのだ。その青い『バイ・スタンダー』が異常に強い。
『惑星サスナー』の宇宙艦隊をものともしないかのように、これを撃破しながら突き進んでいるのだ。
 その姿にどこか面影を感じる。
 なんの、とルクスは首を傾げる。

「どことなく|『エイル』《ヴィー》様に似ている気がしますが……後継機だからですかね?」
「さすがです。『エイル』さん専門調香師の称号はだてじゃないですね」
 そんな称号があるとは。
 ルクスはステラのいつものやつをうまいこと流して戦況に向き直る。
『ソナーレ』に乗り込んで宇宙空間に漂っている。
 このまま敵であるオブリビオンを発見しなければならない。とは言え、オブリビオンである『スペース・テンプラー』は、この広大な戦場の何処かに蠢動しているのだ。
 見つけ出すのは骨が折れる。
 
 だが、である。
「ルクス様! 今回はルクス様の|演奏《敵味方を識別する当たれば死ぬ破壊音波》が最適化と思います」
 ステラは冷静に分析していた。
 そう、猟兵にとっての敵とは即ちオブリビオンである。
 どこに潜んでいたとしても響き渡る音波を放つルクスならば、というわけである。頭脳はだが脳みそまで筋肉な力押しである。
「わたしも望むところなんですがー。ルビ長くないです!? しかも中身酷くないです!?」
 ル、ビ?
 なにそれ。知らん。こわ……。
 みたいな反応をするステラ。
「ささ、コンサートはもっと前で」
「ステラさん? こっち来てくださいね?」
「いえ、私は援護を致しておりますので」
 ルクスの言葉にステラはしめやかなカーテシーを決めていた。
 ユーベルコードで支援。
 言葉面はとても良い。
 けれど、ルクスにはわかっているのだ。ステラは少しでも自分の演奏から距離を取りたいのである。
 そんなこと許すわけがないのである。
 演奏するのだ。演奏は聞いてもらわなければならない。

「いいですよ、どっちにしろ耳栓していても悪魔のトリル(アクマノトリル)は貫きますから!」
 奏でるは音。
 破壊音波って書かないところは評価していただきたい。
 ステラはしっかりと耳栓していたが、しかしてルクスの言葉通り耳栓を貫いて音は届き、さらにはオブリビオンもついでのように三半規管ないなったようによろめき、その目的、意図を果たすことなくうずくまるしかないのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

菫宮・理緒
【サージェさんと】

ライスメキアさんのピンチはわたしのピンチ!

し・か・も!
なんだか名前を聞く限り、敵は虫型っぽい!
怨敵抹殺しながらライスメキアさんの好感度爆上げ案件とか、
ご褒美たのしみになっちゃうんだけどー♪

いや、うん。ハグしてくれればおーるおっけーなんだけどね?

バグ?Bug?(黒笑ぴきーん

なにはともあれ!
艦隊戦ってことみたいだし、【ネルトリンゲン】でいくよ。

『希』ちゃん【Radar】で索敵よろしく!
発見次第全火力をもって各個撃破していくよ。

サージェさん、【E.C.O.M.S】の指揮権を一時譲渡するから、
|近接戦闘《ドッグファイト》はお任せするね!

とはいっても、わたしも突撃するんだけど、ねー!


サージェ・ライト
【理緒さんと】
お呼びとあらば参じましょう
私はクノイチ、アッ誰も聞いていませんね??

それはさておき、今日の理緒さんは既に|荒ぶっておられる《りおりおモード》
これはクノイチ的にも気を締めていかねば!
そういえば、ハグとバグって似てまs……ヒィッ?!

理緒さんの呼び出した【E.C.O.M.S】にひょいっとのりまして
ひゃっはー、宇宙の掃除だー
あれ?そうなると私、ルンバ猫のネコポジですか?
となれば仕方ありません
ネコパンチで戦いましょう

いやー理緒さん生き生きとしてますねえ
最近色々成分が枯渇しそうな感じでしたし
よかったよかった(?)

それじゃ私もごーごー
【乾坤一擲】の一撃で敵機を沈めていくとしましょう!



 星間戦争は果てのない争いの輪廻のように思えたことだろう。
 千年単位で続く戦争など人の身では理解しようがない。戦う理由も忘れさられるような長きに渡る時間。
 宇宙規模で考えれば、僅か一瞬でったかもしれない。
 今、眼の前で起こっている戦争は正しくそれであった。
『惑星サスナー』と機械種族『バイ・スタンダー』の争い。
 それは、何処まで行っても終わりの見えない戦乱であった。
 星系を巻き込む戦い。
 機械種族『バイ・スタンダー』は、星を跨ぐ戦いにあってなお、数的不利をものともしない。まるで数など無意味というように数万隻にも及ぶ宇宙艦隊すら手玉に取っている。

 爆発起こす宇宙戦艦が縦に割れていく。
「退いてはなりません。これまで戦いに満ちた罅を忘れることができなくても、前に進むことで得られるものがあるのです!」
「例え、死すのだとしてもあとに続く者たちのためにと!」
 オブリビオン『スペース・テンプラー』たちの声が聞こえる。
 耳障りの良い言葉だった。
 彼女達は戦いを煽動するために蠢動する者たちである。
 そうして争いを激化し『惑星サスナー』の中枢を侵食し、成り代わろうとしているのだ。その道が示すのは世界の破滅である。
 ならばこそ。

「お呼びとあらば参じましょう。私はクノイチ」
 そこまでサージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)は菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)の所有するミネルヴァ級戦闘空母『ネルトリンゲン』の格納庫で名乗りを上げる。
 だが、悲しいかな。
 ここは星間戦争の真っ只中。
 宇宙戦艦が一隻紛れ込んだところで特に注目さえれることはなかった。
「アッ誰も聞いてませんね?」
 悲しい。
 とっっても悲しい。けれど、サージェは思った。むしろ、と。そう、今日の理緒は荒ぶっている。
「なんだか敵の名前を聞く限り虫型っぽい!」
 理緒は昆虫に敵意を燃やす猟兵である。
 少し怖い位であるが、それくらいに苦手っていうことであろう。
「怨敵抹殺! 見敵必殺!」
 物騒すぎるなぁってサージェは思ったし、それを|荒ぶっている《りおりおモード》程度の認識で済ませているところがなんともすごいところである。

「しかもライスメキアさんの好感度バク上げ案件とか、ご褒美たのしみになっちゃんだけどー♪」
 そんな事実はない。
 だが、理緒の中では確定した事柄である。
 わたし、この事件を解決したらなでなでしてもらうんだ……みたいな、戦場においてはフラグめいたことをさらっと彼女は言いながら、なでなでどころか、ハグもして欲しいなぁと思いを巡らせる。
 うん、りおりおモードである。
 紛うこと無き。私利私欲である。
 しかし、それでも戦う意思がある、というのは喜ばしいことであろう。
 でもまあ、サージェは思った。
 これはクノイチ的にも気を引き締めていかねばならぬ。
 こうなった理緒の勢いに飲まれてはクノイチムーヴなど夢のまた夢である。

「バグ? Bug?」
「ひぃっ、なんかバグってません!?」
 ハグとバグってにてるよねって思ったサージェの心の内を見透かすように理緒の黒い笑みが煌めく。
「何はともあれ!」
 理緒は、張り切っていた。
 宇宙艦隊に潜む『スペース・テンプラー』を叩くこと。
 これを為すために己たちは『ネルトリンゲン』で戦場に駆けつけたのだ。
「『希』ちゃん、索敵よろしく!」
『艦内のデータを照合してくよ……見つけた! 三時の方角、宇宙戦艦の中に反応あり、だよ』
「おっけー! E.C.O.M.S(イーシーオーエムエス)、行動開始!」
 理緒の瞳がユーベルコードに輝く。
 放たれる小型戦闘用ガジェットが『ネルトリンゲン』の格納庫から飛び出す。
 サージェは、そのガジェットの上に乗って宇宙空間から宇宙戦艦へと飛ぶのだ。

「ひゃっはー、宇宙の掃除だー……あれ? そうなると私、ルンバ猫のネコポジですか?」
「そうとも言うね。サージェさん、指揮権は一時的に譲渡するから、|近接戦闘《ドッグファイト》はお任せするね!」
 猫なのか犬なのか。
 どちらにしたって戦うことに変わりはない。
「ならば、ネコパンチで戦いましょう!」
 サージェは理緒のイキイキした様子によかった、と思いながら宇宙戦艦内部に蠢動する『スペース・テンプラー』へと乾坤一擲(ヒッサツノイチゲキ)たる一撃を叩き込むのだ。

「くっ、何故猟兵が此処まで我等の位置を……!」
「『希』ちゃんの索敵のおかげです。本来ならクノイチらしく必殺仕事人的なあれそれをしたいところですが、ごーごー! です!」
 サージェのカタールの一撃で霧散するオブリビオン『スペース・テンプラー』たち。
 これでは必殺仕事人というより必殺掃除人である。
 だがまあ、宇宙にて蠢動するオブリビオンというゴミ掃除、というのならば、あながち間違いではないし、クノイチムーヴと言えばクノイチムーヴな気がしないでもないのだ。

「わたしも、ごー!」
 急速に宇宙戦艦に近づく『ネルトリンゲン』。
 そう、理緒も突撃するのである。
 しっちゃかめっちゃかになった戦線。もはやこうなればオブリビオンたちは蠢動する暇もないだろう。
 混乱みちる戦線。
 その影にてサージェたちは次々とオブリビオンを見つけ出しては、これを撃破し、さらなる目的地を目指すのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ミルドレッド・フェアリー
●SPD
(惑星サスナー内の煽動で住民を襲撃しようとした、その時…)
待ちなさい!
悪しき星が天に満ちる時、大いなる流れ星が現れる
その真実の前に、悪しき星は光を失いやがて落ちる…
人、それを…『裁き』という!

貴様らに名乗る名前は無い!
と、言いたい所ですが名乗らねば宇宙騎士の名折れ
コズミック・ストレンジャーJ6、お呼びとあれば即参上!

神罰の炎とは笑止!
神の名に置いてとほざく者ほど自己正答甚だしい胡散臭い欺瞞に満ちている者です
ですが、正義と正義は互いにぶつかり合うもの
宇宙騎士が護る銀河憲章に則った秩序とそちらが求める秩序を、決闘の名において白黒つけましょう!
神罰の炎なんぞ騎士銃槍のチャージで貫き通します!



 オブリビオン『スペース・テンプラー』たちの目的はあくまでも『惑星サスナー』の人々を煽動することである。
 戦いに怯んではならない、と言葉にした所で人の本能は抗えない。
 恐怖に立ち向かうことができるのは人の特性であり、理性であると言えるだろう。本能を凌駕する理性。それを持ち得るからこそ、人は進化してきたし、野生の中で生き抜くことができたのだ。
 だがしかし、それは人の心に意思あればこそ。
 恐怖を克己できる者ばかりではない。

 ならば、なんとするか。
 煽り立てるのではない。人々の心にある善性を利用するのだ。
 より良きものでありたいと願うのが人である。ならば、より良きもの、愛を利用する。それは自己愛を凌駕せしめる他者への愛。博愛であったり、愛国心。
「これまで我等が戦ってきたのは、家族のため、隣人のため、まだ見ぬ未来の子孫たちのためでありましょう」
「此処で退いては、それら全てに泥塗る行為であることは言うまでもありません!」
「戦いましょう。己たちの意思で、己たちの決意で。それこそが、かの『バイ・スタンダー』を打ち倒す剣となるのです!」
『スペース・テンプラー』たちの言葉は耳障りが良かった。
 誰もがそう在りたいと願うものだった。
 だからこそ、悪辣だった。

 煽動によって『惑星サスナー』の宇宙艦隊が果敢なる特攻を仕掛けようとしたその時、響き渡る声があった。
「待ちなさい!」
「……!?」
 天に刻まれるは光。
 軌跡描く閃光が宇宙戦艦の眼前に迫る。
「悪しき星が天にみちる時、大いなる流れ星現れる。その真実の前に、悪しき星は光を失いやがて落ちる……人、それを『裁き』と言う!」
 それは宇宙サーフボードを駆るミルドレッド・フェアリー(宇宙風来坊・f38692)であった。
 彼女の到来に『スペース・テンプラー』たちは即座に理解した。
 猟兵。
 己たちの策動を邪魔立てするものたちである。

「名乗らず、言葉だけで我等をそしるか!」
「貴様らに名乗る名などない! ですが、名乗らねば宇宙騎士の名折れ! ならば名乗りましょう! コズミック・ストレンジャーJ6、お呼びとあれば即参上!」
「バカバカしいことを!」
 吹き荒れるは神罰の炎。
 だが、それを一笑に付したのはミルドレッドだった。
「何を笑う! 我等が炎は神罰! 神の名の元に……」
「自己正統甚だしい胡散臭い欺瞞みちる者の言う言葉など!」
 どちらに正義があるか、とは問わない。
 正義とは即ち誰しもの心に宿るものであり、言葉は同じであっても中身が違うものばかりである。
 故に正義の対極にあるのはまた別の正義。
 だが、ミルドレッドは正義を基に行動していない。

「決闘の名において白黒つけましょう!」
 彼女が規範とするのは、宇宙騎士の銀河憲章。
 それが齎す秩序である。
 故に、とミルドレッドは宇宙サーフボードを駆り、一気に炎の波に乗るようにして「スペース・テンプラー』へと迫る。
 宙を切り裂く紅き流星(レッド・シューティングスター)となった彼女は神罰の炎が己が身を約よりも早く疾駆し、騎士銃槍の一撃でもって『スペース・テンプラー』を貫く。
 その一撃は悪しき星を打ち砕く一撃。
 ミルドレッドは己が正義、とは言わなかった。
 己が信じる秩序のためにこそ槍を振るう。
 そう、彼女の知る秩序とは人の心を欺瞞でもって煽ることはない。故に、その欺瞞をこそ彼女は貫き、人々を悪しき煽動から護るために宇宙を駆け抜けるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『鉄壁の惑星』

POW   :    飛んでくるビームを迎え撃つ

SPD   :    高機動で回避する

WIZ   :    迎撃機構が少ない場所を特定する

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 猟兵たちは戦場各地に散っていたオブリビオン『スペース・テンプラー』たちを撃破し、彼女達の有していたデータからオブリビオンたち蠢動の要たる所在を知る。
 そう、鉄壁たる『惑星型迎撃機構』。
 そこにこそオブリビオンの首魁が存在しているのだ。
 だが、データから見て分かる通り『惑星型迎撃機構』は惑星サイズの要塞であり、また侵入者を阻むようにビームシールドが張り巡らされている。
 さらに悪いことにはビームの嵐が吹き荒れるようにして砲火が放たれる。
 しかし、そんな嵐のような防衛をかいくぐるようにして機械種族『バイ・スタンダー』の五騎が先行している。
 だが、猟兵たちは知っている。
 五騎の『バイ・スタンダー』は己たちの味方ではない。
 彼らは『惑星サスナー』であろうと猟兵であろうと、己たちの進撃を阻むというのならば、全てを排除するというかのように攻撃を放ってくるのだ。

「ビームシールドの連結部に損害発生! 全周を維持できません!」
『惑星型迎撃機構』に網目のようにビームシールドが展開している。
 どうやら『バイ・スタンダー』の攻勢によって穴が生まれているのだ。しかし、その穴を埋めるようにビームの砲火が荒ぶ。
 これを躱しながら、尚且つ『バイ・スタンダー』の無差別攻撃に対処し、この『惑星型迎撃機構』の内部へと突入しなければならないのだ――。
神酒坂・恭二郎
アドリブ連携歓迎

「どうにも賑やかだねぇ」
スーツ姿に両手をポケットに入れ、飄々と戦場へ降り立つ
鮫五郎を帰還させ、自分は足元に風桜子を固め、蹴りつける事で【推力移動】。軽やかに惑星を目指そう
スペースクンフーの身ごなしでビームを掻い潜り、展開されたビームシールドに、【オーラ防御】で風桜子を纏った足底でサーフィンのように滑って移動
『バイ・スタンダー』は連中の作ったデブリを利用して一発食らわせてやりたいね

「悪いね。この手のアトラクションは大好物さ」



 オブリビオンの首魁座す『惑星型迎撃機構』は鉄壁であるという。
 ビームシールドは全周を覆い、迎撃のビームは嵐のように宇宙空間を埋め尽くしている。
 惑星大の要塞。
 それはまさにスペースオペラワールドのスケールを示すようでもあった。
 だが機械種族『バイ・スタンダー』はたったの五騎でもってビームの砲火をかいくぐりながらビームシールドの接合部を破壊し、不完全な網目となった護りの中を突破していくのだ。
「ビームシールドの欠落から『バイ・スタンダー』が来ます!」
「ええい、弾幕だ。弾幕を張れ! ビームシールドの隙間に集中的にだ!」
 号令が響き渡る。
『惑星サスナー』にとって、この要塞が陥落するような事があれば背後の星系に『バイ・スタンダー』がなだれ込むことは言うまでもない事実であった。
 故にせわしなく、さりとて不退転にして背水の陣を敷くのだ。

「どうにも賑やかだねぇ」
 そんな怒号飛び交う戦場にあって、神酒坂・恭二郎(スペース剣豪・f09970)は飄々たる態度を崩さなかった。
 スーツ姿は洒脱という他ない出で立ちであったし、このビームが行き交う戦場にあっては似つかわしいものであった。
 此処まで駆った『鮫五郎』を絵馬へと返すと恭二郎は、ふむ、と戦場を見下ろすようにして眺める。
 要塞。
 惑星型の巨大過ぎる建造物。
 これを護るのは全周のビームシールドであったが、一部が欠落している。
 その欠落した部分を埋めるようにビームが弾幕として張り巡らされているのだ。
 ならば、と恭二郎はスーツのポケットに手を突っ込んだまま、軽やかに己の実態保たぬ剣を足場にして飛ぶようにして宇宙空間を疾走する。

「っと、ビームの弾幕は確かに脅威だけれどな。悪くはない」
 恭二郎はまるでサーフィンをするように宇宙空間を滑る。
 身を捩り、体幹でもって体を支えながらビームを躱していく。だが、そこに機械種族『バイ・スタンダー』の赤と青の装甲が入り込む。
 猟兵にとっての敵はオブリビオンである。
 これなる『バイ・スタンダー』は敵ではないが、あちらはそう思っていないようだった。
 振るわれるプラズマブレイドの一撃を恭二郎は足底に備えた実態保たぬ剣を蹴って交わす。
「おっと!」
「――」
 言葉はない。
 コミュニケーションを取る術がないのか、それとも取る気がないのか。
 いずれにせよ、恭二郎へと振り下ろされた斬撃は空を切る。

 さらに恭二郎は周囲に満たされたデブリを蹴って宇宙空間を自在に飛ぶ。
「いやぁ、この手のアトラクションは大好物さ」
 迫る敵。迫るビーム。
 これらを躱して最速で『惑星型迎撃機構』の中枢へと飛び込む。
 いわばこれはタイムアタックだ。
 ベットするのは己の生命。
 故にスリルが恭二郎の心を、さらに掻き立てる。
「――」
「悪いね。お前さんたちにかまっている暇はなんだが……まあ、一発食らわせてやるのもわるくない」
 恭二郎の瞳がユーベルコードに輝く。
 デブリを蹴った彼の身体は凄まじい勢いで迫る『バイ・スタンダー』を翻弄し、放った布でもって、その頭部をぐるりと包み込む。

 視界を塞がれた『バイ・スタンダー』が宇宙空間でもがくようにしてプラズマブレイドを振るっているが、当たる訳が無い。
 華麗に身を翻した恭二郎のかかと落としが『バイ・スタンダー』の頭部へと叩き込まれ、分捺する。
 破壊された頭部の破片が舞い散る中、恭二郎は『バイ・スタンダー』の胸部を蹴って、さらに『惑星型迎撃機構』の中枢へと急ぐのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ティティス・ティファーナ
SPDで判定
*アドリブ歓迎

「速度と対応に重視を置くか、協力し支援とサポートに加わる」
戦場宙域にパルスを照射してエコー効果から算出できる障害物と可能性を演算計算して1分先の未来を見ながらファンネルビット/シールドビット/リフレクタービットを創造して展開しテレポートを駆使して超高速で移動と回避を繰り返して周囲と猟兵の障害となりえる物にレーザービームで攻撃を仕掛けます。
自ら通過した経路とこれから通過可能になりえるデータを干出して続く猟兵に送信して置きます。
速度よりも攻撃力(POW/WIZ)に重視しているタイプも想定してデータを構築して送信することを忘れません。



 迫るビームの光条。
 それは嵐放つ風雨の如く宇宙空間を埋め尽くす。
 雨降る最中を、雨粒一つ触れる事なく走り抜けることができぬように『惑星型迎撃機構』の放つ弾幕のビームは間断なく接近するものを拒むように放たれている。
 なんとも言い難い。
 鉄壁、と呼ぶにはわずかに足りぬ、全周を覆うビームシールドは『バイ・スタンダー』の攻撃によって一部が損壊している。
 とは言え、である。
 その網目のようになったビームシールドを突破しようとすれば、狙い撃ちのようにビームの弾幕が迫るのだ。
「速度と対応に重視を置くか」
 ティティス・ティファーナ(召喚獣「アストラル・エレメント(幽魔月精)」・f35555)は戦場に満ちるビームの光条の嵐を見やり、己が体躯からパルスを放つ。

 それは謂わば水中における残響定位のような技術の一つであった。
 パルスを全周に放つことによって戦場に存在するデブリから己たちに仇為す敵機を判別しようと言うのだ。
 エコー効果から算出した障害物である宇宙戦艦の残骸たるデブリを躱しながら、ティティスの瞳がユーベルコードに輝く。
「幽魔月精は機械身体、幽魔月精の機械魂魄」
 アストラル・エレメント・トランスフォーメーションによってティティスの体は、アストラル・エレメント・エネルギーへと変異し、そのレが体躯から放たれるエネルギーの波動でもってファンネルビット、シールドビット、リフレクタービットと言った創造された己の駆体の一部位を放ち、迫るビームの光条を時に躱し、時に防ぎながら『惑星型迎撃機構』の中枢を目座位て飛ぶ。
 
 だが、猟兵たちの道筋を阻むのはビームの弾幕だけではない。
 機械種族『バイ・スタンダー』たちもまた猟兵たちに攻勢を仕掛けてくる。
「見境なし。無差別というわけか」
 分別がついていないのではない。
 彼らは己とそれ以外とで確実に認識している。
『バイ・スタンダー』にとって猟兵たちは己が目的を果たすための障害の一つに過ぎないのだ。故に迫るプラズマの弾丸をティティスは宇宙空間で華麗に躱し、ビームの光条をビットから放つ。

 網目のように構成されたビームは『バイ・スタンダー』を取り囲む。
 赤と青の装甲に包まれた戦術兵器は、その背に負った翼のような出力機でもってビームを弾き飛ばしながらティティスへと迫る。
「騎体それぞれに特性がある。だが、標準的な装備はそれぞれ持っている」
 ティティスはデータを得ながら迫る『バイ・スタンダー』の放ったプラズマブレイドの一撃をシールドビットで受け止める。
 凄まじい出力である。
 その駆体の中に規格外の炉が在ることは疑うべくもない。
 確かにこれならば数万隻の宇宙艦隊を相手取って戦うことも可能であろう。

 スペースオペラワールドの文明は高度に発達し、一巡して中世のような有り様となっている。それを反映するように『バイ・スタンダー』たちの体躯は赤と青の装甲……いうなれば中世の騎士甲冑を纏うような姿をしている。
「オブリビオンではない。が、私たちが『惑星型迎撃機構』の中枢に至るには障害となり得る。無差別に己以外に襲いかかるか」
 ティティスは己のアストラル・エレメント・エネルギーを変異させ、生み出したビットをたぐり『バイ・スタンダー』を退ける。
「あれらにとっても『惑星型迎撃機構』と私のビットの弾幕は煩わしかろう。そこでかかりきりになっているがいい」
 ティティスはビットに『バイ・スタンダー』の相手を任せ、背を向ける。
 己たちの目的は最初からただ一つ。
 オブリビオンである。
『惑星サスナー』の中枢に潜り込み、蠢動続けるオブリビオンの首魁を倒すこと。故にティティスは未だビームの弾幕めぐらされた『惑星型迎撃機構』の中枢へと急ぐように己のエネルギーを発露し、飛ぶのだった――。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

黒影・兵庫
(「とんでもない兵器ね…対抗できる機械の連中もとんでもないけど」と頭の中の教導虫が呟く)
あの中に諸悪の根源が居ます!突入しましょう!せんせー!
(「ちょい待ち!無策で突っ込む気!?バイ・スタンダーも狙ってくるのよ!?」)
ご安心ください!UC【蜂蜜色の奔流体】を使えばビームの嵐の隙間をすり抜け、バイ・スタンダーの攻撃もかわせます!
それに今の俺は蟻さんの風評被害を防ぐという強固な意志があります!
この意志が折れぬ限り!たとえ集中砲火を浴びようと俺を止めることはできません!
(「そんなに…?」)



 建造物として最大とでも言うべき巨大な……いや、惑星大の要塞である『惑星サスナー』の『惑星型迎撃機構』は、一体何と戦うことを想定すればこのような要塞が必要となるのだと思わせるものであった。
 しかし、このスペースオペラワールドは宇宙怪獣すら内包する広大なる世界。
 惑星大の外敵など履いて棄てるほどいるのかもしれない。
 過剰とも取れるビームの嵐。
 それを見やり、黒影・兵庫(不惑の尖兵・f17150)の内に在る『教導虫』は思わず呻く。
『とんでもない兵器ね……対抗できる機械連中もとんでもないけれど』
 兵庫は頷く。
 確かに同意できるところであった。
 しかし、今の兵庫は敵の巨大さに足を止めることはなかった。

 むしろ、巨大であるからなんだというのだという勢いすらあったのだ。
「あの中に諸悪の根源が居ます! 突入しましょう! せんせー!」
 まるで猪である。
 猪突猛進。
 その言葉が頭に浮かぶ。
 今の兵庫を止める言葉を『教導虫』は保たなかった。だが、己の役目を忘れることはない。止められぬのだとしても、考え無しの無策で敵地に飛び込むなど自殺行為以外の何物でもない。
『ちょいまち! 何か策は? 策はあるんでしょうね? それに対応しないといけないのはビームだけじゃあない。あの機械連中も狙ってくるのよ!?』
 そう、猟兵が対応しなければならないのは『惑星型迎撃機構』のビームでけではない。

 このビームの嵐の中を同じようにかいくぐり、無差別に攻撃してくる機械種族『バイ・スタンダー』たちの攻勢にも対応しなければならないのだ。
「御安心ください!」
 その心配が杞憂であるというように兵庫は力強く頷いた。
 何が、と『教導虫』は思っただろう。
「俺の心が折れない限り、俺の体は無敵です!」
 兵庫は己の肉体をオーラの塊に変える。
 それは、蜂蜜色の奔流体(イエローハニー・オーラボディ)。
 彼は精神力強靭なる存在である。
 そして、今まさに兵庫は蟻への風評被害を撒き散らさんとしているオブリビオンを打倒するという意志に満ち溢れている。

 少しも退くつもりがない。
 己が前に進むことがきっと蟻さんのためになると信じているのだ。
「この意志が折れぬ限り!」
 放たれるビームを己が体を伸縮自在に動き躱す。
 さらに迫る『バイ・スタンダー』の攻撃すらも兵庫は躱すのだ。
『で、でも、こんな集中砲火の中を……!』
「大丈夫です! 例え集中砲火を浴びようと俺を止めることはできません!」
 それは強引極まりない理屈であった。
 けれど、それでも兵庫の意志は折れない。
 例えビームが迫るのだとしても、プラズマブレイドの一閃が振り下ろされるのだとしても、それでも兵庫の意志は折れない。

 精神力漲るユーベルコードの輝きは、迫る砲火すらものともせず、一気に『惑星型迎撃機構』へと飛ぶのだ。
『そんなに……?』
『教導虫』はそこまで兵庫が強固な意思を持つことに驚きを隠せない。
 彼には彼の一本気があるのだ。
 己が為すべきと定めたことに邁進する姿。その強固なる意志こそが彼を彼たらしめる。
 そこに猟兵だからという意味はない。
 あるのは己が己であるという証明なのだ。
 蜂蜜の色の流星が『惑星型迎撃機構』の中枢へと一直線に飛ぶ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

朱鷺透・小枝子
主よ、進め!

『機械交絆』発動機体強化
亡国の主【操縦】サイキックシールド展開【オーラ防御】
纏ったシールドでビーム弾幕を【受け流し】
要塞へメガスラスター【推力移動】【空中機動】で弾幕の間隙を縫い

進め、進め、進、らぁッッ!!!

破壊呪詛物質纏う騎兵刀でプラズマブレイドと打ち合い【怪力】で弾く。

バイ・スタンダー!邪魔だ肉体言語は後にしろ!!
というか貴殿らまず挨拶をしろ挨拶を!!!無礼講か!!

【瞬間思考力】でバイ・スタンダーへ頭突き!【呪詛】亡国の主を介して強引に己が|精神《怨念》を無理やりバイ・スタンダーと絆ぐ!

初めまして!自分は朱鷺透小枝子!オブリビオン破壊が目的です!
そちらのお名前と目的は!!!!?



 朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)は咆哮する。
 己が戦いへの意志を。破壊への意志を込めて。
 機械交絆(メカニカルボンド)によって繋がるは『亡国の主』。
 ジャイアントキャバリアに分類される機動兵器は、その装甲の内に秘めた破壊の意志が霊物質を放出しながら、宇宙の戦場を飛ぶようにして駆け抜ける。
 竜骨模した駆体は、止まらない。
 迫るビームの砲火をサイキックシールドで受け流しながら、メガスラスターが噴出する。
「主よ、進め!」
 砲火の苛烈さは言うまでもない。

 光の雨のような様相を呈する光景が眼の前に広がっている。
 ともすれば、それは己を滅ぼす光であった。
 だが、小枝子は止まらない。『亡国の主』もまた止まらない。
 止まるということは己の意志に反する。前に、前に、前に。
「進め、進め、進、らぁッッ!!!」
 弾幕の間隙を縫う、というよりは強引にこじ開けるようにして小枝子は『亡国の主』と共に前に進む。
 だが、その道筋を阻むようにして迫るのは赤と青のカラーリングの装甲を持つ『バイ・スタンダー』であった。
 振るわれるプラズマブレイドの一閃と騎兵刀が打ち合う。
 火花が散るようにしてエネルギーが迸る。
 明滅する戦場。

 宇宙の暗闇を照らすような熾烈なるぶつかり合いに小枝子は叫ぶ。
「『バイ・スタンダー』! 邪魔だ。肉体言語は後にしろ!!」
「――」
 答えはない。
 あるのはプラズマブレイドを振り切ろうとする力だけだった。
 苛立つ。
 小枝子は苛立ちに任せて『亡国の主』の脚部で『バイ・スタンダー』の一騎を蹴り飛ばす。
 体勢を整えた『バイ・スタンダー』が更に迫る。しつこい。
「といか、貴殿らまずは挨拶をしろ挨拶を!!! 無礼講か!!」
 小枝子は己が何を言っているのかわかっていなかったのかもしれない。
 戦場にあって無礼も非礼もあったものではない。
 だからこそ、小枝子は己が発した言葉に己でハッとしたのかもしれない。
 敵とコミュニケーションを取ろうなどと考えたことはなかったはずだ。
 だが、それでも小枝子は迫る赤と青の装甲持つ『バイ・スタンダー』へと『亡国の主』を介して頭部へと頭突きをかましていた。
 ぶつかり合う装甲と装甲。
 破片が飛び散る。
 だが、そんなこと小枝子は気にもとめなかった。

 ユーベルコードが煌めく。
 無理矢理にでも絆ぐ。
「はじめまして! 自分は朱鷺透・小枝子! オブリビオン破壊が目的です! そちらのお名前と目的は!!!!?」
 こんなこと前ならしなかった。
 理解しようとする前に破壊するものだったから。
 けれど、絆ぐ。
 ぶつかり合うユーベルコード。
 流れ込むは膨大な情報。

「『バイ・スタンダー』、所属は『惑星■■』、目的は願われた『平和』の実現」
 辛うじて小枝子にはそう聞こえただろう。
 だが、それでも振るわれるプラズマブレイドの一閃を『亡国の主』は受け止め、その脚部でもって再び『バイ・スタンダー』を蹴り出す。
 継る。
 けれど、小枝子は進む。
 進むことでしか破壊できないものがあるというのならば、と。
『惑星型迎撃機構』へと進むのだ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

馬県・義透
引き続き『侵す者』にて

むう、霹靂もやる気であるから…このままで行こうか。
しかして、怪我はさせぬように。UCにより強化した結界術で壁を作りつつ、四天霊障に鏡のような性質を…兄者(血は繋がってない。慕ってそう呼んでる)が付与したか?

そう、ビームを少しでも弾けるように、との心遣いじゃな。
それも利用して…うむ、霹靂、頼むぞ。わしは手綱を緩く持ち…霹靂が動きやすいようにな!
さらに、『バイ・スタンダー』の攻撃が当たらぬよう、四天流星による位置錯誤の呪詛を発動。呪詛も強化されとるから、少しでも測定結果をずらす!くぐるには充分よ。


霹靂「クエッ」
ビームは見切って回避。さらに、限界突破の空中機動で全速力!



「クエッ!」
 嘶くようにしてヒポグリフ『霹靂』が身震いした。
 それはビームの嵐迫る恐怖からではない。眼の前の空間を飛ぶようにして駆け抜けることへの武者震いであったことだろう。
 手綱から伝わる気配に馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の一柱『侵す者』は委細承知する。
 わかっている。
 このような光景。
 戦う者であればわかる。
 あまりにも荒唐無稽である。こんな槍衾よりも剣呑なる輝きが入り乱れ、矢の雨よりも強烈なる熱量を持つものが膨大に降り注ぐのだ。

 これを乗り越えずしてなんとする。
「やる気のようだな。『霹靂』よ。ならば、このままで行こうか」
「クエッ!」
 嘶き一つ。
 ユーベルコードに輝く瞳。
 四悪霊・『界』(シアクリョウ・サカイ)によって生み出された結界によってビームを反射する。
 だが、熱量はジリジリと己たちの身を灼くだろう。
「やはり躱すが定石。受け止められるが、保険よな!」
『侵す者』はデブリを跳ねるようにして飛ぶ『霹靂』と共に『惑星型迎撃機構』へと迫る。
 あの中枢に『惑星サスナー』の中枢に潜り込み、蠢動するオブリビオンの姿があるのだ。これを討たねばならない。

 星間戦争に介入する理由は、たった一つ。
 オブリビオンを打ち倒す。
 それだけなのだ。そして、それを阻むのは護るべき者たちの砲火。
 皮肉である。
 しかし、それでも『侵す者』は笑む。
 戦いに際して高ぶるものがあるのは否定しようがない。だからこそ、握った手綱を緩める。
「『霹靂』よ、駆けよ」
 その言葉とともに『霹靂』が飛ぶようにして宇宙空間を駆け抜ける。
 迫るビームだけではない。
 迫るは機械種族『バイ・スタンダー』。そのプラズマブレイドの一閃を『侵す者』は己が手にした槍で受け止める。

「ほう、錯誤の呪詛を放っていたが」
 此方の位置を正確に認識する術があるのか、と『侵す者』は思う。
 だが、違う、と理解できるだろう。
 眼の前のプラズマブレイドの奔流放つ向こう側にある存在。機械種族『バイ・スタンダー』もまた己たちと同じ呪詛を持っっている。
 何に対する呪詛なのかわからない。
 けれど、確かにある。
 言葉通じぬのだとしても、呪詛を持つ、という共通項を感じ取り、槍を横薙ぎにして『バイ・スタンダー』を払う。

「だが、錯誤を全て取り払っているわけではないようだな。ならば、くぐるには十分よ」
『霹靂』が駆け抜ける。
 迫るビームの砲火も『バイ・スタンダー』も。
 全ては今は捨て置くことだというように駆け抜けていく。目指すは中枢。この惑星の如き大きさを誇る要塞の中枢にこそ打倒さねばならぬオブリビオンがいるのだ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

パウル・ブラフマン
愛機Glanzに【騎乗】した状態で要塞内へ。
飛び交うビーム?イイねェそーゆーの、超アガる♪
日頃鍛えた【運転テク】を駆使しつつ―UC発動!
FMXの要領で【ジャンプ】したり
必要に応じて【地形の利用】を念頭に壁面走行して対処。

要塞内で『バイ・スタンダー』に遭遇したら
【コミュ力】全開で取り敢えずは声掛けを。
どもー!カチコミのお手伝いにきたよ☆
共闘するかに見せかけてKrakeを展開したら
破壊活動に乗じて弾幕を張り、その隙に猛【ダッシュ】で逃走。

お生憎様。
イマは目先の殴り合いに付き合ってられねんだわ。
…次世代の銀河帝国になりえる脅威は根絶やしにしないとね。
亡くした右眼の幻痛に自嘲しながら最深部へ向かおう。



 唸りを上げてエキゾーストパイプより放たれる排気音。
 その凄まじさは戦闘機エンジンを搭載しているがゆえである。無骨なフォルムが白銀にきらめき、星の海であろうと駆け抜ける様は艷やかな蒼き光線のようであった。
 宇宙バイクを駆るパウル・ブラフマン(Devilfish・f04694)は、『惑星型迎撃機構』の放つ嵐のようなビームの中をノーブレーキで進む。
 加速し続ける宇宙バイク。
 宇宙の風は感じないが、しかし、頬をかすめるようなビームの熱波がジリジリと肌を焼く。
 その痛みを覚えながらも、しかしパウルはごきげんだった。
「イイねェ、こーいうの、超アガる♪」
 スリル、と呼ぶにはあまりにも命懸けである。
 いや、生命を懸けているからこそ、ひりつくような快感がこみ上げてくるのかも知れない。
 日頃鍛え上げたドライビングテクニックは、ユーベルコードへと昇華する。
 それだけではない。

 ゴッドスピードライド。
 己が駆る宇宙バイクが変形する。
 宇宙デブリすら足場にするようにして車輪が空転し、白煙を上げながら蒼き光線はひた走る。
 ビームの嵐を切り裂くようにしてパウルは宇宙にて疾風となるのだ。
「おっと、せっかくビームの熱であったまってきたっていうのに……」
 無粋だな、と己の眼前に迫る機械種族『バイ・スタンダー』の姿を捉える。
 赤と青の装甲を持つキャバリアのような体躯。
 対抗5mはあろうかという鋼鉄の巨人。そのアイセンサーがきらめき、パウルを睨めつける。
 敵、と此方を認識しているのだろう。
 オブリビオンではない。
 けれど、己達以外の全てを敵と認識している。

 それが何故なのかを問う時間はないし、パウルは構うつもりもなかった。
 だが、パウルは笑う。
「どもー! カチコミのお手伝いに来たっていうのに、熱烈な歓迎どうもねェ! でもまあ、おっと!」
 己の横合いを掠めるプラズマブレイドの一閃。
 本当にやる気だな、とパウルは生命の危機を覚えながらも笑った。
 笑っている。
 だってそうだ。
 今の己の眼帯の奥がうずいている。その痛みが、眼の前の生命の危機を凌駕しているのだ。
「共闘なんて端からする気はねェって感じかい。でもまあ、そりゃァこっちも同じじゃんね」
 パウルはデブリの宇宙戦艦の装甲の上でタイヤを切りつけるようにして白煙を立ち上らせながら、更に迫る『バイ・スタンダー』を煙に巻くようにして疾走する。
 その白煙を切り裂きながらパウルを追う『バイ・スタンダー』に迫るは、射出された固定砲台であった。

 白煙を上げたのは、固定砲台を紛れさせるためであった。
 放たれた砲撃が『バイ・スタンダー』へと着弾し、爆炎が上がる。
 その隙にパウルは宇宙バイクと共に『惑星型迎撃機構』の中枢へとひた走る。
「お生憎様。イマは目先の殴り合いに付き合ってられねんだわ」
 パウルは痛む右眼窩を眼帯の上から爪でひっかく。
 幻肢痛にも似た痛みがじくじくとせり上がってくる。
「……次世代の銀河帝国になりえる脅威は根絶やしにしないとね」
 この痛みはそういうことなのだろうと自嘲しながら、砲火と爆炎上がる『惑星型迎撃機構』の中枢へと疾走するのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ミルドレッド・フェアリー
●SPD

今度は彼らの首魁を討たねですね
えーと…要塞は衛星を通り越した惑星サイズ
周囲はビーム防壁によって防衛線が張り巡らされ、その隙間はデブリで補い動きを鈍らせれば防衛衛星群のビーム砲台が襲いかかる、と

一見すると近寄るだけでも自殺行為ですが、まぁ何とかなるでしょう
いい感じに宇宙に満ちている波動の波に乗って宇宙サーフボード『X-Gladius』で【サーフィン】と行きましょう!

ブレーキを掛けるどころか加速あるのみの『颯爽たる紅き流星』
デブリはUCで強化されましたX-Gladiusで跳ね除けさせ、丁度手頃な小隕石があればそれを足場に軌道修正しつつピンボールやビリヤードの要領で防衛衛星に当ててやりますよ



 オブリビオンの首魁を討つ。
 それが猟兵たちの目的である。
 少なくとも星間戦争に介入した理由は、そのただ一つである。秩序を重んじる宇宙騎士であるミルドレッド・フェアリー(宇宙風来坊・f38692)にとって、これを乱すはオブリビオンのみ。
 迫る砲火。
 ビームの嵐めいた『惑星型迎撃機構』の砲火の凄まじさは言うまでもない。
 眼の前に広がるのは、その巨大な要塞。
 惑星サイズの兵器が必要とされるのは、宇宙怪獣のような巨大な生物が宇宙に跋扈しているからである。

 だが、それでも機械種族『バイ・スタンダー』と戦うには過剰すぎると思わせるものであった。
「それでも当たり前のように『バイ・スタンダー』はかいくぐっていきますか」
 ミルドレッドは砲火の中を縫うようにして進む『バイ・スタンダー』の赤と青の装甲を認める。
 網目のようになっているビームシールドの最中にある光の奔流めいた砲撃でさえも彼らは進む。
 まるで恐れなどないかのように。
 ならば、とミルドレッドは思う。
 彼らにできて己にできないことはない。

「一見すると近寄るだけでも自殺行為ですが、まぁなんとか成るでしょう。なんとかしてみせるのが宇宙騎士の務め!」
 宇宙サーフボードを駆り、ミルドレッドは砲火の嵐の中を波に乗るようにして疾駆する。
 それは、颯爽たる紅き流星(マニューバー・レッドシューティングスター)のようであった。
「おっと、宇宙デブリもあるのでした! ビームだけに注視していると激突してしまいますね!」
 ミルドレッドは眼前に迫った宇宙戦艦の残骸を直角に急上昇して躱す。
 間一髪であった。
 けれど、その間一髪に襲いかかるはさらなる脅威。
 そう、赤と青の装甲もつ機械種族『バイ・スタンダー』である。彼らは猟兵であろうと『惑星サスナー』であろうと関係なく襲いかかる。

 無差別と言っていいし、無秩序と言っても良い。
「秩序なき行動! 減点としましょう!」
 振るわれるプラズマブレイドの一閃をミルドレッドは躱す。
 熱波が頬を灼く。
 しかし、紅き流星は止まらない。ただ加速あるのみ。
 迫る脅威に対処することはできただろう。けれど、事態は一刻を争うのだ。ならばこそ、ミルドレッドは『バイ・スタンダー』に構わない。
 彼らが無差別に攻撃してくるというのならば、これに対するだけ時間の無駄だ。

 今もまだ『惑星型迎撃機構』の中枢にてオブリビオンが蠢動しているというのならば、時間をかければかけるほどにオブリビオンの術策が張り巡らされていく。
「かまっている暇などありませんので!」
 ユーベルコード煌めくミルドレッドの瞳が見据えるは要塞の中心。
 首魁というのはいつだって自分だけは堅牢なる最奥に引っ込んでいるものだ。故にミルドレッドは見据える。
 迫るビームを躱し、追いすがる『バイ・スタンダー』を蹴り飛ばした宇宙デブリでもって追い払いながら最速にして最短の距離を飛び、『惑星型迎撃機構』の中枢へと飛び込むのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

菫宮・理緒
【サージェさんと】

引き続き【ネルトリンゲン】

ここが『惑星型迎撃機構』かー。
今回はライスメキアさんとのデートへの道のりが激しいね。

シールドは『バイ・スタンダー』さんが削ってくれた隙間があるとして、
どうやってそこに飛び込むか、だね

ねーねーサージェさん、シリカさんと『希』ちゃんのタッグで、
『バイ・スタンダー』5機の無差別攻撃、読み切れると思うー?

『おねーちゃん?わたしひとりでもいけるけど!?』
や、それはがんばりすぎ。オーバーヒートで壊れたらわたし泣くよ?

ん、『希』ちゃんも納得してくれたし、
ここはタッグで攻撃予測とジャミングしつつ、隙間に飛び込むってことでどう?

次元シールド展開!それじゃいってみよー!


サージェ・ライト
【理緒さんと】
おー、派手にやってますねえ
にゃんてこったい
どう見ますかシリカさん?
アッハイ爪は仕舞っていただけるとクノイチ嬉しいです!
とりあえず、理緒さんのりおりおをどうにかしないと!

というわけで、希ちゃんとのタッグですがいけます?シリカさん?
それじゃ『ミニシリカ』も使ってもらいまして
大丈夫そうですね?
じゃー理緒さんの提案に乗りましょう!
隙間を狙ってごーごーごー!

とはいえ、バイ・スタンダーが狙ってくると厄介ですね
ここは【VR忍術】フェイク・ルベライトビットの術!
何かと言いますと、質量を持った幻像(ビットサイズ)をバイ・スタンダーの周りでうろうろとさせまして
ええ、囮ですよ囮!

理緒さん今の内です!



 眼の前の宇宙空間を埋め尽くすは鋼鉄の星。
 そう『惑星サスナー』が生み出した要塞。それが『惑星型迎撃機構』であった。全周を覆うビームシールドに侵入者を阻むビームの嵐。
 拠点を防衛する設備としては絶大なる兵器であった。
 スケールの大きさがあまりにも違いすぎる。
 これがスペースオペラワールドである。
 宇宙怪獣すら跋扈する世界ならではである、と言ったのならば語弊があるだろうか。それほどまでの威容が目の前に迫る。

 けれど、ミネルヴァ級戦闘空母『ネルトリンゲン』の艦橋に座す菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)は息を一つ吐き出すだけだった。
「これが『惑星型迎撃機構』かー。今回は『ライスメキア』さんとのデートへの道のりが厳しいね」
 確かに鉄壁である。
 だが、全周を覆うビームシールドは今や網目のような形状を残すばかりであった。
 機械種族『バイ・スタンダー』たちがシステムに障害を起こしたせいである。とは言え、その網目を抜けようとしてもビームの砲火が嵐のように迫るのだ。
 用意ではない。
 飛び込む算段があるのだとしても、その砲火を防がねばならない。
 さらに『バイ・スタンダー』は味方ではない。

 あれらは確実に此方を敵視している。いや、どちらかというと己以外の全てが敵だと思っているようであった。
 だからこそ、厄介だった。
「おー、派手にやってますねえ」
 サージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)は戦況を見定めて、なんとも他人事な顔をしていた。
「にゃんてこったい」
 巫山戯ているのか? と思わないでもない口ぶりであった。
「ねーねーサージェさん。『シリカ』さんと『希』ちゃんのタッグで、『バイ・スタンダー』五騎の無差別攻撃、読み切れると思うー?」
「どう見ますか『シリカ』さん?」
 にゅ、と伸びる爪にサージェはおののく。
 あれ、これはれであろうか。久しぶりの、ばりぃってやつであろうか。
「アッハイ爪はしまっていただけるとクノイチ嬉しいです!」
 この期に及んでクノイチをねじ込んでくるから、にゅってやられるんじゃないかなと思わんでもない。

「おねーちゃん? わたしひとりでもいけるけど!?」
「できなくはないです」
 二人の言葉に理緒は頷く。
 確かにできないことはないのだろう。
 けれど、理緒の見立てでは、それはがんばりすぎだった。
「オーバーヒートしたら元も子もないよー。タッグで『バイ・スタンダー』の行動予測とジャミングよろしくね。それで隙間に」
「ごーごーってわけですね! ご提案に乗りましょう」
 サージェはVR忍術(イメージスルノハカッコイイワタシ)を発動する。

「これぞ『フェイク・ルベライトビットの術』です!」
 急に術をねじ込んでくるクノイチ。
『~の術』って付けたらみんな術になると思ってらっしゃる? 答えはイエスである。
 サージェのユーベルコードによって生み出された『ルベライトビット』が戦場を飛ぶ。言うまでもなく質量をもった残像である。
 それに釣られるようにして『バイ・スタンダー』たちが飛ぶ。
 動くものを無差別に攻撃しているのだろう。
 故に此方への意識をサージェは逸らすのだ。
 となれば、此方はその隙をぬって『惑星型迎撃機構』の中枢へ進むのみである。
「『希』ちゃん、シールド展開! 狙いなんていいから撃ちまくれ-!」
 理緒の瞳もまたユーベルコードに輝く。

 ジャミングしながらとはいえ、『惑星型迎撃機構』の砲火は此方を狙っている。
 嵐のようなビームの光条の最中を『ネルトリンゲン』が進む。
 次元シールドの展開によって致命的な砲火は防がれている。とは言え、砲火が集中すれば此方も危うい。
 それに五騎の『バイ・スタンダー』たちもサージェの術に翻弄されてばかりではないだろう。
 故に急がねばならない。
「ぬあっ! 理緒さん、『バイ・スタンダー』の一騎が気が付きました! ヤバイです。こっちの進路を盾にしながら進むつもり……」
 サージェは青い『バイ・スタンダー』を見やる。
 後方より追い上げるようにして迫っている。
 その青い『バイ・スタンダー』は『ネルトリンゲン』を攻撃しても次元シールドに阻まれると理解すれば、無視するようにしてビームシールドの網目を縫うようにして『惑星型迎撃機構』の中枢へと飛ぶのだった。

「先を越されちゃった! でも、これで処理の負担は減ったよね」
 理緒は『希』に告げる。
 このまま突っ込む、と。
『ネルトリンゲン』の艦首が『惑星型迎撃機構』の壁面を突き破って、道を切り開く――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ルクス・アルブス
【ステルク】

あ、あのステラさん。
周囲全部敵とか、シリアス度増してません?
い、いえ、ラムネは仕入れてきましたので、いまはだいじょぶですけども!

とはいえ勇者といえぼも、全部は無理かなって思います。

って!
やっぱり突貫なんですかー!?

いえ不服はありません、っていうか、
とってもいつもどおりで、いいと思います!(敬礼

それでは、わたしは引き続き【悪魔のトリル】いきま……!?

ちょちょちょちょちょ!?
なんでコクピットから引きずり出すんですか!?

さすがに今回は怖すぎますよ! これ、わたしほぼ生身ですからね!?
擦っただけでも蒸発しちゃいますから!

わ、わかりましたから! 
全力で演奏しますから、当てないでくださいよー!


ステラ・タタリクス
【ステルク】
セラフィムとバイ・スタンダー
後継機なのに全く別物とは……恐れ入りました
傍観者あるいは救命者
その為の力を、行使する為の意思を自身が得たが故に
傍観者にも救命者にもなれない、皮肉としかいいようがありません

ということで全力で敵しかいない状況
限りなく私たち向け【ではない】シチュですが
どうしましょうかルクス様?
ルクス様の|破壊音波《光の力》で全部壊す??

まぁ突き抜けるしかありませんか
速度なら……フォル、いらっしゃい!(鳥型キャバリア召喚)
【ファム・ファタール】の速度でシールドとレーザーの穴を
くぐり抜けます!
ルクス様は応援とか
敵の動きを阻害できればこの際何でも問題ありませんので!



 見える者は全て敵。
 宇宙空間を埋め尽くすは宇宙デブリとビームの砲火。
 そう『惑星サスナー』の『惑星型迎撃機構』を巡る戦いは、いよいよ佳境へと至る。
 五騎の『バイ・スタンダー』が戦場を駆け抜ける。
 そのうちの数騎は猟兵によって撃退されているが、しかし青い『バイ・スタンダー』の一騎が『惑星型迎撃機構』の中枢へと猟兵を利用するようにして飛び込んでいた。
「『セラフィム』と『バイ・スタンダー』……後継機なのに全く別物とは……恐れ入りました。『傍観者』あるは『救命者』。そのための力を行使するための意志を自身が得たが故に『傍観者』にも『救命者』にもなれない、皮肉としかいいようがありません」

 ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)のシリアス極まりない発言にルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は首元に生まれた発疹を指でかく。
 かゆい。
 いや、シリアスアレルギーなのである。
 ラムネは仕入れているが、このペースだと間に合うのか? と思わないでもない。
 ぱくっと口にラムネを放り込む。
 まだ大丈夫。
 大丈夫なんだけど、でもなんていうかー! と思わないでもない。
「あ、あのステラさん。周囲全部敵なんですけど」
「敵しかいない状況は限りなく私達向け『ではない』シチュですが」
 どうしましょうか、とステラはなんか他人事みたいにしてルクスに問いかける。
 先程までの演奏のダメージが残っているからだろうか。なんかステラの声量が大きいような気がしないでもない。気の所為かな? 気の所為である。気の所為だったら気の所為である。

「ルクス様の|破壊音波《光の力》で全部壊す?」
「勇者と言えども全部敵は無理かなって思います」
 今ルビ、逆じゃなかった?
 突っ込まなくていいのかなって思ったが、ルクスはそれどころではない。なにせシリアスが増しているのである。ラムネが切れたが最後である。
 まったくもって難儀な体質である。
 勇者と書いてギャグではないのである。それが赦されるのはデビルキングワールドだけである。悪魔みんなが冗談みたいな強さと頑丈さを誇るが故であるのだ。

「でしたらまあ、付き縫えるしかありませんか」
 ステラの掲げた手に呼ばれるようにして鳥型キャバリアが飛来する。
「って! やっぱり突貫なんですかー!?」
「ご不満ですか?」
 くちばしに加えられるのが嫌ってだけである。あとなんか普通に『ソナーレ』のコクピットから引きずり出された。
 え、そういう流れ?
 普通こういう時、『ソナーレ』と『フォルティス・フォルトゥーナ』と背中でドッキングして合体ゴー! なあれじゃないのだろうか。
 残念ながら、そんなもんはない。
 ここはシリアスである。

「ルクス様は応援とかしてください」
「応援するだけなのに、なんでわたしくちばしに咥えられてるんですかね!?」
「にこり」
 にこり、じゃあない、とルクスは喚く。
 此処だけシリアスじゃない。ギャグ時空が発生しているのである。
 いや、だといても強すぎる。
 怖い。
 ビームの嵐が吹きすさぶ戦場に、さらに鋼鉄の巨人めいた機械種族が無差別攻撃してくる戦場なのである。
「かすっただけでも蒸発しちゃいますから!?」
「大丈夫です。ルクス様ならば。いえ、フォルの速度ならばレーザーの穴をくぐり抜ける事ができます」
「そういう問題ですか!?」
「全力で演奏すれば問題なしでしょう」
 ステラはなんかルクスの演奏で常識が麻痺しているのかもしれない。けれど、時間はない。
 ルクスの抗議など耳にしていないかのようにステラは『フォルティス・フォルトゥーナ』にルクスを咥えさせ、ビームの嵐荒ぶ戦場を一直線に飛び、『惑星型迎撃機構』の中枢へと飛び込むのだ。

 いやまあ、勇者だからね。
 やれないことはないっていうか。
 悪魔の証明っていうか。やれたのなら、やれたんでしょう、みたいな。
 そんなノリが許されるのは、この二人だけである。
 シリアスなんてなんのその。
 ステラとルクスは一気に『惑星型迎撃機構』の壁面をぶち抜き、オブリビオンの首魁座す中枢への道筋を穿つのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『バグズ・クィーン』

POW   :    |蟻塚構築《クリエイト・バグズヒル》
視界内の任意の対象全てに【|宇宙働き蟻《バグズ・ワーカー》 】を放ち、物質組成を改竄して【|蟻塚《バグズ・ヒル》】状態にする。対象が多いと時間がかかる。
SPD   :    |宇宙羽根蟻の召喚《サモン・バグズソルジャー》
【|宇宙羽根蟻《バグズソルジャー》 】を召喚する。300km/hで飛翔し、【蟻酸ブレス】による攻撃や、召喚者との【感覚】共有が可能。
WIZ   :    |女王の威光《クィーンズ・フェロモン》
体内から常に【特殊なフェロモン 】が放出され、自身の体調に応じて、周囲の全員に【魅了】もしくは【狂信】の感情を与える。

イラスト:もりさわともひろ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はケイト・ネメシスです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 猟兵達と『バイ・スタンダー』によって穿たれた『惑星型迎撃機構』の壁面。
 巨大な内部構造。
 その最奥、中枢にオブリビオン『バグズ・クィーン』は座す。
「まさか此処まで……!」
 彼女は呻く。
 そう、この鋼鉄の要塞は鉄壁だったのだ。
 ビームシールドを如何にかいくぐられるのだとしても、それでもビームの砲火は確実に接近する者を穿つ。
 なのにこれを猟兵のみならず一騎の青い体高5mはあろうかという鋼鉄の巨人『バイ・スタンダー』は、かいくぐって至るのだ。
 
「『悪魔』め。とは言え、猟兵も敵とみなす愚かしさは度し難い。ならば、私はそれを利用しましょう」
 オブリビオン『バグズ・クィーン』の瞳がユーベルコードに煌めく。
 猟兵たちは知るだろう。
 己達が討たねばならぬ敵はオブリビオン『バグズ・クィーン』のみ。
 されど、この場に存在するのは彼女のみにあらず。機械種族『バイ・スタンダー』の一騎、青い『バイ・スタンダー』は尋常ならざる性能を発揮して猟兵とオブリビオンの両者に襲いかかるだろう。
 プラズマブレイドの一閃。
 胸部砲口の熱線。
 クリスタルビットの乱舞。
 それらの武装を用いて、猟兵、オブリビオンの両者を滅ぼさんとする。

 オブリビオン『バグズ・クィーン』は、この状況を利用して切り抜けようとするだろう。
「力しか保たぬ愚かしさは、世界の破滅への一助。私たちの策動は此処で潰えません。世界に破滅を。耐えることのない争いを。その果ての炎の破滅を」
 破滅願う言葉と共に迸る光。
 千年単位の銀河戦争望む意志を前に猟兵たちは如何にして戦うか――。
ミルドレッド・フェアリー
●POW

まさに聞くに堪えないオブリビオン論ですが、三つ巴な漁夫の利を図る冷静さはあると
バイ・スタンダーとの共闘は望めそうにないと分かりきってますし、X-Gladiusで躱しつつバグズ・クィーンへ誘導するのが最善でしょうか

ただバグズ・クイーンも問答無用で襲い掛かってくる彼らを利用する気満々なので、悟られる事のないよう防戦一方の振りをしていなければですが
まぁ、サイズ差の補整というのもあって、ちょこまか動いていれば何とかなりそうですがね

いい感じに誘導出来ましたら相手は蟻塚構築で盾となる防壁を作るでしょうから、これも利用させて貰って姿を視認させないようにしてーの『クエーサー・バスター』をお見舞いです!



 聞くに絶えず、論ずるに値しない言説であると宇宙騎士ミルドレッド・フェアリー(宇宙風来坊・f38692)は断ずる。
 オブリビオン『バグズ・クィーン』の語る言葉は何れもがオブリビオンの目的を達成するためだけに吐き出されたものである。
 紡がれた、という言葉すら似つかわしい言葉であった。
 故に断じる。
 その言葉の正当性はなく。
 あるのはいびつなる破滅願望であうrと。
「ですが、未だ冷静さを喪ってはいない、というのはなんとも」
 ミルドレッドは、此処に三者が集うことを理解している。
 機械種族『バイ・スタンダー』との共闘は望むべくもないことは、これまでの道中で知り得たことだ。
 期待などできようはずもない。

『バイ・スタンダー』の胸部砲口から放たれた熱線を間一髪で躱しながらミルドレッドは中を舞う。
 この『惑星型迎撃機構』の内部の機構は戦うには広く容易い。
 されど、『バグズ・クィーン』は宇宙蟻を放ち、蟻塚を持って己が要害へと成さんとしている。
 熱線走る最中にミルドレッドは知る。
『バグズ・クィーン』は『バイ・スタンダー』をも利用して此方を撃退せしめんとしている。
 宇宙サーフボードで宙を舞うようにしながらミルドレッドは火線を躱し、要害へと変貌していく蟻塚を忌々しげに睨めつける。
「此方に『バイ・スタンダー』を押し付けて、自分は護りを固めるつもりですか!」
「そのとおりです。貴方がたは『バイ・スタンダー』に手間取るでしょう。この隙を逃すわけには参りません。如何に『バイ・スタンダー』と言えど、我が蟻塚が為す要害を容易く撃ち抜くことはできないのです」
 その言葉通り、蟻塚は熱線の一撃を受けても表面を焼き切られるばかりであった。
 すぐさまに宇宙蟻たちによって修復されていく。

 ミルドレッドは宇宙サーフボードを駆り、ちょこまかと熱線を躱す。
 赤熱していく青い『バイ・スタンダー』の胸部砲口。
 なるほど、絶え間なく放ち続けることはできないのだ。
 故に『バイ・スタンダー』が次に為すのは接近戦であると知る。プラズマブレイドが抜き払われ、ミルドレッドを襲う一撃。
 それを更に躱す。
「躱すだけなら!」
「――」
「決め手に欠けるとはこのことですね、猟兵。そのままジリジリと追い詰められなさい!」
『バグズ・クィーン』の言葉にミルドレッドは笑う。
 なるほど、そのように見えているのか、と。
 己が追い詰められている、と。
 ならばこれは己の策動通りだと彼女は笑む。

 振りかざした騎士銃槍がユーベルコードに輝く。
 眼の前には青い『バイ・スタンダー』。
 体高5mはあろうかという鋼鉄の巨人。
 己よりも巨大な存在に立ち向かうのが宇宙騎士である。
 そして、『バグズ・クィーン』は己の身可愛さに蟻塚でもって要害を生み出し、引きこもろうとしている。
「漁夫の利を得ようなどと!」
 させはしないとミルドレッドの瞳が煌めく。
 掲げた槍の切っ先が青い『バイ・スタンダー』と『バグズ・クィーン』を一直線に捉える。
 噴出する光。
 加速を得て放たれるクエーサー・バスターの一撃は、閃光のように迸り、『バイ・スタンダー』の肩部装甲を打ち抜きながら『バグズ・クィーン』の生み出した要害、蟻塚すらも貫いて吹き飛ばしながら彼女の体を打ちのめす。

「ガハッ!? 私の蟻塚が、っ?!」
「我等宇宙騎士は秩序のために。混沌齎す者を許しはしないのです。どこかの星の影で誰かが泣き、悪の笑い声が響き渡るのならば!」
 それを切り裂く流星こそが己であると示すようにミルドレッドの槍は光を炸裂させるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

馬県・義透
引き続き『侵す者』&霹靂にて

なるほど、三つ巴を制す、ということか。
まあよい、やることは変わらぬ。
UCにて二人になり、あの本体の方を視認する。
『バイ・スタンダー』の方は、やはり黒燭炎でいなすしかなかろうよ。

霹靂「クエッ」
精一杯飛ぶ!どれだけ速くても、その酸だけは喰らわないから。雷結界!

※呼び出し
第二『静かなる者』冷静沈着な霊力使いの武士

珍しく私ですか。いえ、行きましょう。
感覚を共有する、ということは…この極大嵐の風と雷からの感覚も共有するということ。
つまり…本体が撃たれれば、ね?

陰海月「ぷきゅ!」
『さむさむおじーちゃん』を乗せて飛ぶ!四天霊障の弾きも、ぼくがやるんだ!



 要害と化した蟻塚を貫く猟兵のユーベルコード。
 砕かれた蟻塚の破片から飛び出すのは『バグズ・クィーン』の放った宇宙羽根蟻。
 凄まじい速度で飛び、『バグズ・クィーン』の敵を退けんとするように放たれる強酸のブレスが猟兵、『バイ・スタンダー』へと襲いかかる。
「クエッ!」
 精一杯に飛ぶヒポグリフ『霹靂』であったが、しかしブレスの勢いはましていくばかりであった。
「逃れるものでありましょうや。ここは我等がテリトリー。ならば、貴方がたはこの場に誘い込まれた哀れなる獲物。そうでありましょう?」
 要害である蟻塚より姿を表したオブリビオン『バグズ・クィーン』は、この三つ巴の戦場を己が制すると言わんばかりであった。

「ほう、一端にもこの戦場を己が支配しているとでも言わんばかりの態度であるな?」
 馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の言葉に『バグズ・クィーン』は頷いて笑う。
 火線が迸り、蟻塚を傷つけるも彼女を灼くには至らない。
『バイ・スタンダー』の胸部砲口が赤熱している。
 恐らく連射が多くはできないのだろう。とは言え、脅威であることは言うまでもない。
「そうでありましょう? 私は支配する者。女王の名を冠しているのですから」
「まあよい、やることは変わらぬ。悪霊は悪霊らしく」
 それは嵐のように(ムベヤマカゼヲアラシトイフラム)吹き荒れる。
 別人格を召喚し、霹靂を駆る『侵す者』ともう一人の人格が一気に戦場に走る。

『疾き者』。
 彼は雷の結界を『霹靂』へと張り巡らせ、虫酸のブレスから護ると同時に踏み込む。
「珍しく私ですか」
「不服か?」
「いえ、いきましょう。敵は羽根蟻と女王、そして『バイ・スタンダー』ですか」
「その通りよ。ならば、狙うは」
「厄介な女王から、となりましょう」
 二手に分かれる。
『侵す者』は『霹靂』を『疾き者』は『陰海月』を。
 迫る『バイ・スタンダー』をいなしながら、共に戦う。

 いや、いなす、というのがそもそもの間違いであったことだろう。
 この三つ巴の戦いに置いて数は重要な位置を占める事柄であった。だが、二手に分かれたことにより『侵す者』と『疾き者』は、それぞれに対処するしかない。
 そこに『バイ・スタンダー』が踏み込む。
 まるで此方の手の内を知っているかのような動き。
 プラズマブレイドの一閃を槍で受け止めながら『侵す者』は気がつく。
 武の天才とも言われた己を押し止めるような『バイ・スタンダー』の動き。それは天才を凌駕するようなものであった。
 軋む骨身。
 されど、己が『バイ・スタンダー』を受け止めているのならば、『疾き者』は必ずやってくれる。
 呪詛によって生み出された雷纏う嵐が『宇宙羽根蟻』の体を打ち据える。

「ぐっ……!」
「感覚を共有しているということは、即ち貴方にも痛手が伝わるということ。ならば、ね?」
 吹き荒れる嵐によって『宇宙羽根蟻』がしたたかに要塞内部に叩きつけられる。
 傾ぐようにしてよろめく『バグズ・クィーン』へと『陰海月』とともに踏み込んだ『疾き者』は、その嵐を纏う突進でもって彼女の体を吹き飛ばすのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

神酒坂・恭二郎
アドリブ・連携歓迎

「漁夫の利狙いとは賢いねぇ」
バイスタンダーをけしかけ、自分は蟻塚で優位に戦場を構築する戦略は厄介だ
だが、そうと分っているならやりようはある

右に左に、揺らめくような体捌きでバイスタンダー達の攻撃をひきつけていなし、時間を稼ぎならが女王様の居場所の【見切り】に専念する
奴がいるのは三つ巴の戦場の安全圏、蟻塚による守りの一番分厚い場所と相場が決まっている

距離も大きさも守りの厚さも関係ない
我が身を隠して勝利を得ようとする輩に負ける訳も無し
八双に構えた銀河一文字の大業物を振り上げ、振り下ろすだけだ
銀河剣聖一つの太刀、【覚悟】一つを乗せてお披露目いたそう



 猟兵によって吹き飛ばされた体躯。
 オブリビオン『バグズ・クィーン』の身体は特別脆いというわけではなかった。しかし、強靭と呼ぶにはあまりにもか細い。
 それ故に彼女の呼び出した宇宙蟻たちによる蟻塚の作成は謂わば、陣地形成にもにたものであったことだろう。
「ぐ、くっ……! このままでは……!」
 彼女は猟兵と機械種族『バイ・スタンダー』とを相争わせることによってどちらかを弱め、弱った所を叩く、と方針を打ち出していた。
 それは正しいだろう。
 戦術としても、戦略としても。
 だがしかし、彼女が理解していなかったのは、そのような術策すらも猟兵は乗り越えてくるという異常性であった。

「漁夫之利狙いとは賢いねぇ」
 だが、と神酒坂・恭二郎(スペース剣豪・f09970)は『惑星型迎撃機構』の中枢にいたりて、青い『バイ・スタンダー』の苛烈なる攻勢を受け流す。
 右に、左にと体が揺れる。
 揺れ動くは柳のような所作であり、また同時に暴風を受け流す竹林のようなしなやかさを持っていた。
 プラズマブレイドの一閃が熱波を生み出し、恭二郎の皮膚を焼く。
 その間にも『バグズ・クィーン』は宇宙蟻を用いて蟻塚を更に生み出していく。傷を得た今、彼女がほしいのは時間だ。
 少しでも時間を稼ぎ蟻塚の形成を持って三つ巴の戦いの影響が最も出ぬ場所を得ようとしているのだ。

「安全圏から高みの見物とは、ずいぶんと神経が太いようだ。だが、な!」
 恭二郎の瞳がユーベルコードに輝く。
 そう、どれだけ『バグズ・クィーン』が蟻塚から成る陣地を強固に形成するのだとしても、彼にはわかっている。
 あのようなオブリビオンがどのようなことを考え、如何にして己が身を守ろうとしているのかを。
「距離も大きさも守りの厚さも関係ない」
 彼の瞳は見ている。
 そして、己が手にあるのは太刀。そして腕に宿るは銀河剣聖が用いた一乃太刀の型。
 己が胸の内に、己が頭の内に存在する、その型。
 これによって生み出されるは。
「一刀は万刀に化し、万刀は一刀に帰すってね」
 迫るプラズマブレイドの一閃を揺らめく体捌きによって躱し、恭二郎は蟻塚を見つめる。
 最も分厚い装甲と化した蟻塚。

 その一点を見据える。
 敵の姿が見えずとも良い。
 そこに斬るべきものがあると定めるのならば、己の太刀筋が描くは、たった一つ。
 そう、銀河一文字(スペースケンゴウ)。
「なっ……!? 何故、私の居場所がわかる!?」
 見えないはずだ。
『バグズ・クィーン』は己が身を隠している。だというのに恭二郎はまるで見えているかのように己が太刀を振るう。
 放たれた斬撃は蟻塚の装甲すら容易く切り裂き、『バグズ・クィーン』の胸へと横一閃の斬撃を叩き込む。

 血潮の如き体液が噴出し、驚愕に満ちた『バグズ・クィーン』の表情を見やり恭二郎は笑む。
 そう、理由はたった一つである。
 己が敵を見定められた要因。
「我が身を隠して勝利を得ようとする輩に負ける訳もなし」
 己が覚悟。
 それが為すは銀河剣聖一つの太刀――!

大成功 🔵​🔵​🔵​

黒影・兵庫
(「あんま虫って見た目じゃないわね」と頭の中の教導虫が話しかける)
せんせー!見た目は関係ないです!
奴は宇宙蟻と自称していました!
なので風評被害は必ず起きます!
(「普段から虫に助けられているから名誉を守ろうと必死なのかしら?それはともかくどう戦う?」)
両者とも漁夫の利を狙うと思うのでまずは様子を見るはず!
そこで俺はUC【誘煌の蝶々】を発動することで両者の動きを封じ
一方へ『衝撃波』を使った『推力移動』で接敵し
『早業』で『肉体改造』し得た『怪力』でもう一方へ投げ飛ばし
両者まとめて{誘導灯型合金破砕警棒}による突きを叩き込みます!
(「OK。じゃあ蟻の名誉を守る戦いを始めましょうか」)
はい!せんせー!



 オブリビオン『バグズ・クィーン』の姿を認める。
 宇宙蟻、と名乗っていたオブリビオン。
 彼女は、その女王なのだろう。人型であるのは、そうした所以があるのかもしれない。だが、未だ宇宙蟻の生態は伺い知れない。
 このスペースオペラワールドは未だ知り得ぬ宙域は数多く存在している。
 惑星だってそうだ。
 そこに如何なる生態系が育まれ、如何なる文明を築き上げてきたのかを全て網羅する者は多くはないだろう。
 故にオブリビオン『バグズ・クィーン』の姿が蟻らしからぬ姿をしていたとしても問題はないのである。
 問題であるのは彼女の能力である。

『あんま虫って見た目じゃないわね』
 黒影・兵庫(不惑の尖兵・f17150)の頭の中で『教導虫』が話しかける。
 確かに、と思わないでもなかったが兵庫は頭を振る。
「せんせー! 見た目は関係ないです! 奴は『宇宙蟻』と自称していました! なので風評被害は必ず起きます!」
 そうなのだ。
 兵庫が此処まで来たのは、そのためである。
 蟻に対して並々ならぬ思いを抱く彼は、例えそれが彼の知るところの蟻でなかったのだとしても、オブリビオンである彼女を許すつもりはなかった。
 しかし、この『惑星型迎撃機構』の中枢にたどり着いたはよいが、猟兵だけでなく一騎の青い『バイ・スタンダー』もまた突入していたのだ。
 油断していたら『バイ・スタンダー』に攻撃されてしまう。
そうなれば、オブリビオンの撃破は難しくなってしまう。

『普段から虫に助けられているから名誉を守ろうと必死なのかしら? それはともかくどう戦う?』
『教導虫』の言葉に兵庫は頷く。
 そう、敵は漁夫之利を狙っている。
 猟兵と青い『バイ・スタンダー』が共倒れになれば良し。そうならんなくとも弱った方を叩けばよいと思っているのだ。
 ならば、敵は様子を見るはず。
 となれば、と兵庫の瞳がユーベルコードに輝く。
 誘煌の蝶々(ユウコウノチョウチョ)たる儚げに舞う蝶たちが兵庫の影の中から飛ぶ。

「支援兵の皆さん! ご足労頂きありがとうございます! どうか皆さんの舞いで奴らを!」
 その言葉と共に蝶の鱗粉が放たれ、青い『バイ・スタンダー』の動きを止める。
 いや、止まらない。
 軋むように躯体を動かしうとしている。一時的ではあるが、あの青い『バイ・スタンダー』は此方のユーベルコードの効果を振り切ろうとしているのだ。
『黒影、あいつ動こうとしている! やるなら!』
「はい、せんせー!」
「な、なんだ……何故、私の体が動かない……!?」
 逆に『バグズ・クィーン』の身体は兵庫のユーベルコードによって完全に動きを封じられているのだ。

 迫る『バイ・スタンダー』のプラズマブレイドの一閃が兵庫を襲う。
 だが、衝撃波を放つ兵庫の拳が間一髪にして一閃を躱し、踏み込む。
「どうしてお前がこうも無差別に攻撃するのかは知らない。だけど、俺は蟻さんの名誉のために戦っている!」
「――」
 言葉はない。
 だがしかし、それでも兵庫の瞳はユーベルコードに、そして意志に輝いていた。
 なんのために戦うのか。
 それをすでに得ている者とそうでない者。
 両者の間に横たわる溝は埋めがたいものであった。

『黒影、蟻の名誉のために戦うのなら!』
「はい! せんせー!」
 兵庫は頷く。
 己が手にした誘蛾灯の如き光を放つ警棒を握りしめ、青い『バイ・スタンダー』の一撃と打ち合う。いや、打ち合うのではない。
 ぐるりと手首を返すようにして『バイ・スタンダー』の腕を跳ね上げ、凄まじい怪力でもって兵庫は投げ飛ばす。
 一本背負いの要領であった。
 投げ放たれた『バイ・スタンダー』が飛ぶのは言うまでもない。
 オブリビオン『バグズ・クィーン』である。

「な、なあぁぁぁっ!?」
「いっぺんに! ぶっ飛ばします!!」
 兵庫は投げはなった『バイ・スタンダー』ごと『バグズ・クィーン』へと警棒の一撃を叩き込む。
 迸る力は『バイ・スタンダー』の装甲を砕き、さらに『バグズ・クィーン』の体を凄まじい圧力で吹き飛ばすのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ティティス・ティファーナ
SPDで判定
*アドリブ歓迎

「宇宙羽根蟻…女王羽根蟻さえ駆逐し撃滅すれば対処・対策は可能」
『アストラル・エレメント・トランスフォーメーション』を起動してファンネルビット/シールドビット/リフレクタービットを創造して展開し1分先の未来を見ながら透明化と視聴嗅覚を阻害して、テレポートを駆使し回避とフォーメーションを行ないつつリニア・ロングボウとレーザービーム攻撃をしてパルス照射で戦場と状況を把握しながら他の猟兵とも連携と情報交換をしながら宇宙羽根蟻女王を確実に撃滅します。
必要性や要望を打診された際には可能な範囲で受諾し実行します。

「宇宙害虫駆除は猟兵の役割と断定、駆逐し尽くすまでだ!」



 猟兵の一撃によって吹き飛んだ機械種族『バイ・スタンダー』の青い駆体が立ち上がる。
 それと同時にオブリビオン『バグズ・クィーン』もまた立ち上がっていた。
 彼女の掲げた手より放たれるは『宇宙羽根蟻』。
「小癪な! これしきのことで私が……!」
 耳障りな羽音が響き渡る。
 凄まじい速度で戦場を飛ぶ『宇宙羽根蟻』は『バイ・スタンダー』の最高速度を超えるものであった。
 圧倒的な速度。
 小回りの効く羽根による旋回性能。
 どれをとっても猟兵にとっては戦い難いものであったことだろう。

 加えて『バイ・スタンダー』もまた無差別に攻撃である胸部砲口の熱線を解き放つ。火線が戦場に満ちている。
「宇宙羽根蟻……女王羽根蟻さえ駆逐し撃滅すれば対処・対策は可能」
 ティティス・ティファーナ(召喚獣「アストラル・エレメント(幽魔月精)」・f35555)は、己の身体部位の一つをアストラル・エレメント・エネルギーに変異させる。
 ビットが創造され展開する。
 迫る火線をシールドビットで受け止め、減退した火線をリフレクタービットで持って跳ね返す。
 火線は跳ね返されるばかりではなく、リフレクタービットのフォーメーションでもって網目のように『宇宙羽根蟻』を囲う。
 それは天網恢恢疎にして漏らさず、と言わんばかりの網目であった。
 躱すには容易な網目。

 だが、それがただの網目であったのならば、の話だ。
 この網目たる火線の檻は常に流動するように走る。
 リフレクタービットが自在に飛び回り、『宇宙羽根蟻』を追い込むようにして迫るのだ。その火線の数はただ一閃放つよりも多角的に迫り、『宇宙羽根蟻』を穿つのだ。
「っ! だが、『バイ・スタンダー』は貴方たちを狙っている!」
『バグズ・クィーン』は共有している『宇宙羽根蟻』からの感覚のフィードバックに呻く。
 けれど、彼女は己が優位を誇る。
 この三つ巴の戦場にあって猟兵は己たちの目的であるオブリビオンの打倒を『バイ・スタンダー』によって阻まれている。

 かの鋼鉄の巨人がある限り、『バグズ・クィーン』は猟兵に勝てずとも負けないと思っていたのだ。
 けれど、ティティスの瞳が『バグズ・クィーン』を捉える。
「胸部砲口の火線はすでにリフレクタービットとシールドビットで対応可能。ならば、あとは」
 ファンネルビットが飛ぶ。
 中を舞うビットは火線を吐き出し、要害の破片たる蟻塚を焼き切りながら『バグズ・クィーン』に迫り、『バイ・スタンダー』を牽制する。
 そう、ティティスが狙っていたのは一射。
 リニア・ロングボウの狙いを付ける。

「宇宙害虫駆除は猟兵の役割と断定、駆逐しつくすまでだ!」
 放たれるビームの光条がビットに導かれるようにして奔る。
 その一撃は『バグズ・クィーン』の体を灼く。
 例え三つ巴の戦いであったとしても、ティティスたち猟兵はオブリビオンを滅ぼすために戦う。
 如何に己たちに介入してくる存在があろうと、それでもオブリビオンは世界の破滅を齎す。その破滅を阻止し、世界の悲鳴に応える。
 それが猟兵であるというようにティティスは数多のビットと共に戦場を支配するのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

パウル・ブラフマン
引き続き愛機Glanzと一緒に、中枢へ【騎乗突撃】ィ!

バイ・スタンダーがメッチャ後ろ付いてきてるけど寧ろラッキー☆
今夜のパーティーはココからが本番かな?―…UC発動!
フルスロットルでクィーンの背面まで回り込んだら
強化したKrakeの射程のギリギリの範囲から狙撃を。
この時、常にバイ・スタンダーの反対側になるよう立ち回り
なし崩し的に挟撃になるように動き、クィーンの逃走を妨げたいな♪

羽根蟻を【乱れ撃ち】で潰す際は、羽根の次に下腹部を狙撃して半殺。
感覚を共有したクィーンが少しでも苦しむように仕向けよう。
やっぱアンタ臭ェわ、|銀河帝国《アレ》と同じで腐ってやがる。
蟻の子一匹逃がさず根絶やしにしてやるよ。



 宇宙バイクの排気音が反響している。
 要塞である『惑星型迎撃機構』の内部、その中枢へとひた走るパウル・ブラフマン(Devilfish・f04694)はごきげんだった。
 己のバイクのエンジンの調子は上場。
 あったまってきたエンジンの熱を感じるようにパウルは蒼き光線のように戦場を走る。
 一直線に。
 淀みなく、ただひたすらに己が打倒するべき敵めがけて走るのだ。
 右目の奥が疼く。
 痛みが走る。
 もうとっくに癒えているはずの右目。その奥がジクジクと痛むのだ。それが幻痛であるということは自分でもわかっている。
 だが、幻痛であろうと己が右目を奪った者たちのことを思い出す度に己が心に湧き上がるものがあった。

 それは忘れようとしても忘れ得ぬものであったかもしれない。
 いや、忘れていたのだとしても。
「この私が追い込まれるなど! 此処まで、漸く此処まで到達したというのに!」
 猟兵たちの攻勢によって追い込まれたオブリビオン『バグズ・クィーン』は忌々しげに顔を歪めている。
 彼女は要害となった蟻塚に身を隠しながら機械種族『バイ・スタンダー』を猟兵たちにけしかける。
 だが、それもうまくいかない。
 何せ『バイ・スタンダー』は無差別に攻撃を放つ。
 胸部砲口の火線が乱舞し、クリスタルビットが飛ぶ。接近すればプラズマブレイドが襲い来るだろう。
 なんともデタラメである。
 けれど、パウルは笑う。
 ラッキーだと。

「今夜のパーティはココからが本番だね♪」
 彼の瞳がユーベルコードに煌めく。
「Space Devil Rises(ワダツミ・イン・ザ・スペース)! ココから先はオレの海域だよ――地獄へヨウコソ!」
 アームドフォートが飛ぶ。
 それは固定砲台である。だが、すでにパウルの姿は其処にない。
 宇宙バイクで旋風のように戦場たる中枢を駆け抜け、『バグズ・クィーン』の背後を取るように回り込んだのだ。
 要害など意味がない。
 今のパウルにとって要害はただの障害物競走のハードル程度にしか意味をなさない。

「なっ、速い……!?」
「遅い遅い☆ そんなこっちゃあね!」
 パウルの言葉と共にアームドフォートの砲撃が迫る。
 さらに『バイ・スタンダー』がパウルを狙って放たれるが、しかし彼の位置取りは必ず己と『バイ・スタンダー』の線上に『バグズ・クィーン』を置くものであった。
 即ち、『バイ・スタンダー』がパウルを狙う度に『バグズ・クィーン』にも火線の影響を受けるということだ。
 直撃なくとも熱波は彼女の体を焼くだろう。
 いや、逃がそうとしていない。
 パウルは『バイ・スタンダー』が無差別に攻撃することを利用して、『バグズ・クィーン』を逃さぬように立ち回っているのだ。
 見事なバイク捌きであると言わざるをえない。
「く……っ! これでは!」
 放たれる『宇宙羽根蟻』でさえ、後手に回る。それほどまでにパウルの戦術は見事だったのだ。

 三つ巴を最も有効的に活用できた猟兵であったことだろう。
「ソレ、感覚共有してんだろ? ならさ!」
 放たれる弾丸が『宇宙羽根蟻』の下部を撃ち抜く。
 一撃で仕留めなかったのか、感覚共有しているがゆえに痛みを『バグズ・クィーン』に味合わせるためだった。
「っ、ぐっ! 私の、この私が『惑星サスナー』を、その中枢を握る算段が!」
「やっぱアンタ臭ェわ、|銀河帝国《アレ》と同じで腐ってやがる」
 パウルはこれまで感じていた右目の幻痛の正体を知る。
 そう、眼の前の存在。
 彼女を逃せば、必ず憎き銀河帝国のように勢力を拡大しちえく。
 だからこそ。
「蟻の子一匹逃さず、根絶やしにしてやるよ」
 パウルは唇の端を釣り上げ、獰猛なる表情を浮かべ、引き金を引くのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルクス・アルブス
【ステルク】

怖かったです。死んじゃうかと思いましたのです。
ぼりぼりぼりぼりぼり

いくら何でも今日のは怖すぎです。
ソナーレ乗ったままでもよかったんじゃないですか?
ぼりぼりぼりぼり……

あっもうラムネない……ステラさん、わたしはここまでのようで……

え? 出番? アレをなんとかすれば、今日はおわりでいいんです?
もういいんですね? もう飛ばないですね?

なーらーばー!
勇者とは勇気ある者!
そして仲間を信じる者!

鉄板の親戚さんはステラさんがなんとかしてくれるってことですので、
わたしはアレをなんとかすればいいんですよね!

滾れ! わたしの中に残った最後のシリアス!!
溜まりに溜まったストレスと共にアレを討てー!


ステラ・タタリクス
【ステルク】
此処まで辿り着いたわけですが!(ルクス様を着地させる
このヴィー様擬きは!
『悪魔』という称号はフュンフ・エイル様駆る熾盛に冠せられたもの
そう呼称されたならこのバイ・スタンダーは
|熾盛《セラフィム》にして|プロメテウス《怪物》なのでしょう

色々と問い詰めたいところではありますが
ルクス様ーシリアスで死にかけているルクス様ー
出番ですよー
具体的にはもうすきにやっちゃってください
ええ、ストレス発散大事

ヴィー様擬きは私が押し留めましょう
フォル、いきますよ!
熾天使には死天使を
【アン・ナンジュ・パス】で仕掛けます!
倒せずともルクス様への攻撃さえ遮ることが出来れば!
あとは光の勇者がどうにかするでしょう!



 なんやかんやあってはいつものことである。
 シリアスであってもギャグであっても、いつだってしっちゃかめっちゃか珍道中。それがルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)の勇者としての宿命であったし、ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)のメイド道と交錯するものであった。
 なので仕方ない。
 そういう運命なのである。
「此処までたどり着いたわけですが!」
 鳥型キャバリア『フォルティス・フォルトゥーナ』から降り立ちステラは嘴の先を見やる。
「怖かったです。死んじゃうかと思いましたのです」
 言葉遣いが変になっている勇者ルクスはラムネをボリボリった。
 メンタルポイントがちょっと回復した。
 時空はギャグに傾いた。

「いくらなんでも今日のは怖すぎです」
 ビームの嵐。
 迫りくるデブリ。
『バイ・スタンダー』の猛追。
 もうなんていうか、勇者じゃなかったらやばかったと思うことばっかりだった。
 というか、とルクスは思う。
 自分が嘴に咥えられる意味っていうか意義。
『ソナーレ』に乗ったままでもよかったのではないかと思うのだ。ぼりぼりしながら思う。
 そんなルクスを知ってか知らずかステラはオブリビオン『バグズ・クィーン』と『バイ・スタンダー』を見やる。
 青い『バイ・スタンダー』。
 その戦いぶりは駆体の性能が格段に上がっているとは言え、ステラにある存在を想起させるものであった。
「あの『ヴィー』様もどきは!」
『悪魔』と『バグズ・クィーン』は吐き捨てていた。

 あの『悪魔』という名がそのままの意味であったのならば、デビルキングワールドに住まう種族のことだっただろう。
 そして、ステラにとっては。
「『悪魔』という照合は『フュンフ・エイル』様駆る『熾盛』に冠せられたもの」
 ならば、とステラは青い『バイ・スタンダー』を見やる。
 オブリビオンにすらそう呼ばれた駆体。
 あれは|『熾盛』《セラフィム》にして|プロメテウス《怪物》なのだろうと彼女は考えた。
 問い詰めたい。
 色々と。
 けれど。
「あっ、もうラムネない……ステラさん、わたしはここまでのようで……」
「ルクス様ーシリアスで死にかけているルクス様ー出番ですよー」
 こっちに戻さなければならない。
 メイドの仕事は多いのである。シリアスとギャグの狭間を進むのがメイド道なのであるのならば、なんていうか、忙しいことである。
「え? 出番?」
「はい、出番でございます。具体的にはもうすきにやっちゃってください」
「アレをなんとかすれば、今日はおわりでいいんです? いいんです? もういいんですね? もう飛ばないんですね?」
 ルクスは『フォルティス・フォルトゥーナ』の嘴に咥えられたまま、目を見開く。
 もうヤダ。
 飛ぶのはヤダ。
 咥えられるのはヤダ、と瞳が言っている。
 ステラはこくりと頷く。
「ストレス発散大事でございます。あちらの『ヴィー』様もどきは私が押し留めましょう」
「なーらーばー!」

 ルクスの瞳が爛々と輝く。
 勇者とは勇気あるもの! そして仲間を信じる者!
 ルクスは嘴から開放されて『バグズ・クィーン』に向き直る。
「滾れ! わたしの中に残った最後のシリアス!」
 何?
 なんて? と『バグズ・クィーン』は思ったことだろう。
 本当に何?
 ラデツキー行進曲(ラデツキーコウシンキョク)である。
 ルクスは踏み込む。
 敵の要害たる蟻塚をヴァイオリンの演奏による衝撃波でもって吹き飛ばし、グランドピアノの物理で粉砕する。
 あまりの衝撃に『バグズ・クィーン』は目を見開き、その体が打ちのめされる。
「な、何が!? なんだ、これは!? お、音!?」
「演奏です!」

 ステラはルクスの最後のきらめきを見やり、一気に『フォルティス・フォルトゥーナ』と共に飛ぶ。
「フォル、いきますよ。熾天使には死天使を! アン・ナンジュ・パス!」
 高速機動マニューバーによる『バイ・スタンダー』とのドッグファイト。
 凄まじい戦術機動。
 3次元の挙動は凄まじい加速度Gをステラに強いただろう。
 けれど、止まらない。
 眼の前の存在が青い『バイ・スタンダー』が、己の知る存在に継るのか、連なるのかわからないが、それでも。
 急加速突撃による一撃が『バイ・スタンダー』の青い装甲を切り刻む。
 ずたずたに引き裂いた一撃とともにステラは飛ぶ。

「乗り手なき存在に負けるわけには行かないのです!」
「溜まりに溜まったストレスと共に! 響けー!!」
 ルクスの咆哮じみたユーフォニアムの破壊音波が『バグズ・クィーン』を打ちのめし、青い『バイ・スタンダー』は装甲を砕かれるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

菫宮・理緒
【サージェさんと】

お?
これは奇遇だね。
『バグズ・クィーン』も『バイ・スタンダー』を利用しようって思ってたのか。
考えることはいっしょだね。

『バグズ・クィーン』は、
わたしたちと『バイ・スタンダー』を戦わせて、逃げようとかそんな感じかな。

でもそんな簡単にはいかせないよー♪
サージェさん、『バグズ・クィーン』はお任せするね!

『希』ちゃん、次元シールドこのまま!『バイ・スタンダー』に突撃するよ!

火線に疎密をつけて、『バイ・スタンダー』をサージェさんのほうへ誘導したら、
サージェさん、あとはお願いー!

『バグズ・クイーン』は 『バイ・スタンダー』にやられちゃえばいいよ!
だって、虫の女王とか、触りたくないもん!


サージェ・ライト
【理緒さんと】
3000年に渡る星間戦争は終わらせることが出来なさそうですが
この戦いくらいは私たちで終わらせましょう!
理緒さんの作戦に乗りましてー
クノイチらしくアンブッシュといきましょう
こっちは任されました!

羽蟻の数が多すぎますね!?
理緒さんがこっちを見る前に減らさねば?!
素早さと機動力に物を言わせてヒット&アウェイ
なるべく深く踏み込んでカタールの一撃で仕留める感じで
この感覚……来ましたかっ!(言ってみただけ)
バイ・スタンダーが突っ込んで来たら回避行動
&バイ・スタンダーがバグズ・クイーンに突っ込むように画策
接触すれば少なからず止まるはず
その隙もらいましたっ!
【電光石火】の一撃をくらうがいい!!



 3000年に渡る争い。
 それは最早争いの理由さえ、その根源すら忘れ去られるには十分過ぎる時間であったことだろう。そして、その戦いがオブリビオンを打ち倒すことで終わりを迎えるとは限らない。
 恐らく猟兵としての使命を終えてもなお、『惑星サスナー』と『バイ・スタンダー』の争いは止まらないのだろう。
 けれど、とサージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)は思う。
 せめて、と。
 この戦いだけは己達の手で終わらせなければならないと。
「ですが、クノイチらしくアンブッシュで参りましょう!」
「うん、そうだね。向こうも『バイ・スタンダー』を利用しようって思ってるみたい。奇遇だね。虫の親玉と同じ考えなんて、ちっとも嬉しくないけどね!」
 菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)は、心底そう思った。

 同時にオブリビオン『バグズ・クィーン』は、三つ巴たる戦いを制しようとしている。
 ならば、彼女の目的は一つ。
 そう『バイ・スタンダー』を猟兵にぶつけ逃げるか、もしくは弱ったものを叩くか。そういったところであろう。
 だからこそ、理緒は悪い顔をする。
「でも、そんな簡単には行かせないよー♪ サージェさん『バグズ・クィーン』はお任せするね!」
「はい、こちらは任されました!」
「さかしいな、猟兵! この私を前にして!」
『バグズ・クィーン』より放たれる『宇宙羽根蟻』が凄まじい速度でサージェに迫る。

「速いですね!? ていうか、理緒さんがこっちを見る前に終わらせなければ!」
 サージェは思った。
 理緒は虫が苦手である。苦手っていうか嫌悪しているっていうか。
 兎にも角にも、こんな羽根蟻の姿なんて理緒が見ようものなら、大変な事になってしまう。ならばこそ、サージェは己がなんとかしなければ、とおもったのだ。
 一方そんなことを思われているなんて露知らずな理緒は『ネルトリンゲン』の次元シールドを張り巡らせる。
「こっちだよ、『バイ・スタンダー』!」
 次元断層シールドでもって迫る『バイ・スタンダー』の放つ攻撃の全てを防ぐ。
 だが、それでも『バイ・スタンダー』の出力は凄まじいものだった。
 どう考えても炉の出力が規格外過ぎる。

「やっぱり縮退炉……! それもこれ、何を縮退させてるのかなー?」
 技術の円熟にして絶頂。
 そう思わせるほどに『バイ・スタンダー』の性能は一線を画するものであった。
 炉の出力の高さを知れば、理緒は如何なる炉が搭載されているのかを推察することはできただろう。
 二つ以上のエネルギーから同一のエネルギーに束ねる縮退炉。
 その縮退した物質から得られるエネルギー。
 それによってあっと的な火力を『バイ・スタンダー』は得ているのだ。だが、理緒は今は、と考えを切り替える。
「サージェさん、あとはお願いー!」
 次元シールドを活用して理緒は『バイ・スタンダー』を『バグズ・クィーン』へと誘導した。
 そう、『バイ・スタンダー』に敵味方の区別はない。
『バグズ・クィーン』が猟兵に『バイ・スタンダー』をぶつけようとしたのと同じように理緒もまた同様に『バイ・スタンダー』をオブリビオンへと差し向けたのだ。
「やられちゃえばいいよ!」
 だって、と理緒は思う。
 虫の女王とか、見たくも触りたくもない、と。

 そして、サージェの瞳が煌めく。
「この感覚……来ましたかっ!」
 サージェは感覚を研ぎ澄ます。
 相手取っていた『宇宙羽根蟻』が『バイ・スタンダー』による火線の一撃で弾け飛ぶ。
「ぐっ……!『バイ・スタンダー』をけしかけるとは!」
「卑怯とは言いますまいね! これがクノイチ流のアンブッシュ! いえ、クノイチ的なムーヴというものです!」
 サージェの横を掠めるようにしてプラズマブレイドの一撃が『バグズ・クィーン』へと叩き込まれる。
 熱波が吹き荒れ『バグズ・クィーン』を吹き飛ばし、『バイ・スタンダー』はこれまでの猟兵達から受けた装甲の傷が更に亀裂走らせていた。

 限界が近いのだろう。
 ならばこそ、サージェは電光石火(イカズチノゴトキスルドイザンゲキ)の如き疾駆でもって『バグズ・クィーン』へと踏み込む。
「その隙もらいましたっ!」
 振るうはカタールの一撃。
「ばかなっ! この私がぁぁぁっ!?」
 一閃が『バグズ・クィーン』の体を袈裟懸けに切り裂き、その血潮の噴出すらも躱してサージェは『バイ・スタンダー』の背中を蹴って『ネルトリンゲン』に飛び乗るのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

朱鷺透・小枝子
そも、オブリビオンじゃないなら敵ではない。

亡国の主操縦、蟻酸ブレスを破壊の【呪詛ブレス攻撃】で相殺

…平和の実現に自分達は邪魔か。壊すぞ、主よ

『破壊翼』融合高速移動【早業】纏った崩壊霊物質で蟻酸を破壊し強引に宇宙羽根蟻を掴み【怪力】でバイ・スタンダーへ【投擲】超巨大翼を広げ【追撃】崩壊の羽根【弾幕】を放つ!

壊して、壊して、その先へ、自分もそうだ…!
その先の未来へ、壊し続けて進んでる!

羽根を掴み、プラズマブレイドと打ち合いながら超巨大翼を広げ続ける。要塞そのものを覆い包まんと広げ、羽根を乱れ撃ち、己が呪詛を、怨念を昂らせる…!

何を壊して進んでいる!!バイ・スタンダー!!!

バイ・スタンダー、宇宙羽根蟻、蟻塚、バグズ・クィーンもろとも周囲一帯を翼で【なぎ払い】一掃にする

これが平和か!平らに均すが如き我らが|業《ごう》が!!
いずれ平和と呼べるものなのかッッ!!?

【念動力】で放射した複数の羽根を操り【空中機動】オブリビオン、バグズ・クィーンを【串刺し貫通攻撃】呪い壊す!

答えろ、バイ・スタンダー!!!



 機械種族『バイ・スタンダー』はオブリビオンではない。
 ならば、敵ではない。
 如何に己が破壊の権化であったとしても、壊すものは選ぶ。
 しかし、あの青い『バイ・スタンダー』は無差別に己達以外の全てを破壊しようとしている。
 朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)は『バイ・スタンダー』の一騎と感応した。
 そこにあった目的の根底は『平和』である。
 平和のために、このような争いを引き起こすというのならば矛盾しているように思えた。
 だが、『バイ・スタンダー』たちが『平和』のために、その実現のために戦っていることは理解できた。
 だからこそ。
「自分たちは邪魔か」
 小枝子は思う。
 だから、どうした、と。
「壊すぞ、主よ」
 小枝子は己が駆る『亡国の主』と融合を果たす。
 煌めくはユーベルコードの輝きにして、破壊翼(カスラクライム)。迸る崩壊霊物質を纏い、一瞬で『バグズ・クィーン』の放った『宇宙羽根蟻』を破壊しつくす。

「……――!? な、なんだと!?」
 感覚を共有する暇もなく小枝子は『バグズ・クィーン』の放った『宇宙羽根蟻』を破壊したのだ。
 小枝子の腕の中に『宇宙羽根蟻』の頭部を握りしめられた体があった。
 それを投擲する。
 無造作に、ではない。明らかに青い『バイ・スタンダー』へと放ったのだ。
 その投げ放たれた体をプラズマブレイドが引き裂くようにして振るわれる。だが、青い『バイ・スタンダー』は装甲の亀裂が走り、動く度に破壊に導かれている。
「関係ない」
 壊す。
 その意志と共に小枝子は崩壊の羽根を弾幕のようにして放つ。

『バグズ・クィーン』と『バイ・スタンダー』を巻き込む追撃の羽根。
 それは彼らを逃さぬというように戦場に広がり、覆い包むようであった。
「壊して、壊して、その先へ、自分もそうだ……! その先の未来へ壊し続けて進んでる!」
「それは破滅の道と何が違う!」
『バグズ・クィーン』の言葉に小枝子は取り合わなかった。
 確かに破壊の先にあるのは破滅かもしれない。
 けれど、小枝子走っている。
 破壊の後にあるのは再生である。
 いびつに歪むものがあるのならば、それを壊して正すこともまた必要なのだと。故に、と小枝子の巨大な翼がプラズマブレイドと打ち合う。
 火花が散る。
 その度に青い装甲が砕けていく。
『バイ・スタンダー』は小枝子を排除せんと迫っている。

 迸る。昂る。
 小枝子は力を込める。
 羽根が乱れ打たれ、クリスタルビットと激突して砕けていく。
 己が呪詛はとめどなく湧き上がるようであった。争いを憎むからこそ平和を望むのは当然のことであろう。
 誰だって平和を望んでいる。
 平和を得るために争いがなければならないと歪められた願いがあるのだとして、その争いを生み出す火種として分かたれた存在があるのだとしても。
 それでも小枝子は破壊する。
 それしかできないからではない。そうしなければならないと知っているからだ。
 
 宿縁も宿命も。
 己は破壊して進んでいるのだ。 
 ならば!
「何を壊して進んでいる!!『バイ・スタンダー』!!!」
 破壊の羽根が『バイ・スタンダー』ごと『バグズ・クィーン』を薙ぎ払う。
 一掃する。
 それは破滅に導くものも、争いすらも均一にならすが如き一撃であった。
「これが平和か! 平らに均すが如き我等が|業《ごう》が!! いずれ平和と呼べるものなのかッッ!!?」
 小枝子は咆哮する。
 空中に浮かぶは破壊の翼。
 崩壊霊物質によって構成された羽根が『バグズ・クィーン』を狙う。

 だが、そこに『バイ・スタンダー』が踏み込む。
 守ろうとしたのではない。
 ただ、小枝子の咆哮に応えた結果だったのだろう。けれど、止まらない。小枝子は羽根の一撃で『バイ・スタンダー』の装甲の全てを切り裂き、『バグズ・クィーン』へと踏み込む。
「ヒッ……!」
「貴様は呪い壊す!!」
 放たれた羽根の一撃が『バグズ・クィーン』の体を貫く。
 霧散していくオブリビオンの体に背を向け、小枝子は踏み込む。
「答えろ、『バイ・スタンダー』!!!」
 砕けた青い装甲。
 前進の全てが砕けている。残されているのはフレームのみ。

 そして、小枝子は振りかぶられた最後のプラズマブレイドの一閃を翼で弾き飛ばし、破壊する。
「貴様は『傍観者』か、それとも『救命者』か!!」
 答えはない。
 言葉なく。
 応える術がないのではなく、求める『平和』への邁進のために『バイ・スタンダー』は答えない。
 振り上げられた拳。
 その拳を小枝子は交錯するようにして飛び込む。
 胴体にあるであろう、炉。
 その位置を見定めた小枝子は己が拳で打ち砕く。縮退炉が弾ける。生み出されるは巨大な虚。吸い込まれるようにして青い鋼鉄の巨人は消えていく。

 それは、心臓喪った『生ける屍』。
「答えないのではない。答えられなかったのだろう、『バイ・スタンダー』、貴様は」
 小枝子は破壊の先にある、平和の先にある、争いの先にある、その何れの道をも束ねる虚が消えるのを見送るのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年03月08日


挿絵イラスト