|王立学園《アカデミー》の秘密
●狙われた学園
「御機嫌よう、皆。よく来てくれたね」
グリモアベースにある作戦会議室、招集に応じた猟兵たちをカタリナ・エスペランサ(閃風の舞手・f21100)は常通り一礼で出迎えた。
今回の予知はクロムキャバリア世界、ある学園で起きる事件に関するものだと彼女は告げる。
舞台となるのは通称“|王立学園《アカデミー》”。
オーパーツの研究や新型キャバリアの開発・運用など総合的な分野に秀でた、周辺地域に於いての最高権威だ。
当然この上なく厳重な警備が敷かれているのだが、規格外の異能を振るうオブリビオンマシンには些か分が悪い。
「今回のミッションは訓練中にオブリビオンマシン化する学生達のキャバリアの鎮圧、その後現れる元凶の撃破。
ただ、事件発生のタイミングが安定しなくてね……それまでキミたちには学園で過ごして貰う事になるよ」
王立学園は設備・人材の宝庫と言っても過言ではない。
自分のキャバリアを強化する機会として活用しても、或いは学園のキャバリアの研究開発に協力してもいいだろう。
パイロットと訓練に勤しんだり、キャバリアとは無関係に学生やスタッフと交流する事も出来る。
此処で人々と協力関係を築く事が出来れば今後の戦いの助けになるかもしれないとグリモア猟兵は語る。
「あと……こっちは不確定情報だけど。この学園、敵の狙いにも心当たりがあるらしい」
それは学園どころか王都の地下に広がる大空洞。
“骸の庭”と呼ばれる其処には休眠状態にある謎のキャバリアが数百、数千と眠っているとの事だ。
そもそもこれを軍事利用する為に設立されたのが当初の学園であり、現代ではこのキャバリア群が暴走するような事態を防ぐため慎重な調査が進められているのだが……未知の要素が多過ぎるせいで難航しているのが実情だ。
一般には秘匿されている機密事項だが、猟兵には調査に協力する許可が降りる可能性もある。
「一歩間違えれば多くの命が失われる瀬戸際だ、どうか気を付けて。無事にやり遂げてくれる事を祈っているよ」
見送る言葉と共にグリモアが輝き、豪奢な装飾の施されたゲートが開いて。
ふーみー
当シナリオをご覧くださりありがとうございます、ふーみーです。
今回はクロムキャバリアで学園モノ!
一章は日常。
学園ではキャバリアの研究開発やパイロット養成、学生の青春など諸々が日夜繰り広げられています。
現地の協力者(種族・名前・性格・特技・素性など全てプレイング準拠)と知り合う事もあるでしょう。
イラストやノベルに登場させたり、UCや装備の設定に使ったり……といった扱いも完全フリー。
このシナリオで登場したNPCは今後のクロムキャバリアシナリオでも登場するかもしれません。
過去ふーみーシナリオで登場したNPCもプレイング内で指定あれば登場します。
骸の庭のキャバリアも持ち帰り(アイテム化・UC化・ほか独自設定など)自由。
ただし設定は謎のキャバリア群すべてや骸の庭に必ずしも適応されるとは限らない事に御注意を。
二章はオブリビオンマシン『機動殲龍『戦火』』との集団戦。
一章で交流した協力者が何らかの形で援護してくれるかもしれません。
或いはオブリビオンマシン化に巻き込まれて救出する羽目になるかも。細部はやはりプレイング準拠。
ちなみにUCは未改変のものを一つだけ習得しているようです。
三章は『天雷神機『ユピテル』』とのボス戦。
此処では特にギミックが増える事もなく純粋な戦闘になります。
今回の舞台となるシュヴァン王国の設定は本シナリオに特に影響する事はありません。
短いながら設定は以下に纏めてあるので興味のある方はどうぞ。
( https://www.evernote.com/shard/s428/sh/ac24c97f-27f9-d827-745b-eed32d982dbb/V2TdyavhFLdsHMjVgdIj-3Ns6kFJM5-bXea9Zwac-6RMpm0Br0hcYfHayg )
また、希望する展開の指標として難易度オプションも実施しています。
興味のある方はMSページをご覧ください。
それでは皆様の健闘をお祈りしています。
第1章 日常
『士官学校潜入』
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POW : 自前のキャバリアと共に訓練に参加する
SPD : 他の士官学生達と積極的に交流する
WIZ : 士官学校内部の様子を観察する
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●Interval~束の間の平穏~
現代軍用兵器および未分類遺産の開発・研究・運用を統括する王立最高学府……通称、|王立学園《アカデミー》。
王家直轄の広大な敷地にそれぞれの専門分野に精通した教官と学生たちを数多く擁する本校は国の頭脳そのものだ。
寮をはじめとして無数の設備が併設されており、王都の住民はほぼ全てが関係者であるといっても過言ではない。
事件がいつ発生するかは分からないが、時間はある。
あなたはどのように過ごすのだろうか。
※という事でNPCキャラメイク編です。猟兵ごとのオーダーメイド。
以後の章やシナリオで登場する際の大まかなパーソナリティは此処で決定されます。
一人称や|猟兵《あなた》への呼び方、口調や性格についてプレイング内で御指定ください。
|台詞《ボイス》サンプルがあると解像度が上がるかもしれません。
文字数の都合などで記述の無い部分はMS側で補完する形になります。
※事件が起きる事についてNPCたちにどれだけ周知されているかはプレイングのし易さ重視で決めて大丈夫です。
いつ発生するか・対策できるかも不明な情報で無用なストレスを与えられないと判断したパターン、
いざ事件が起きた際に少しでも対応できるよう通達しておくべきだと判断したパターンなどパラレル的に。
ヴァル・ゼロ
自分はまだ覚醒したばかりで、知識も経験も全くありません
信頼できる協力者を探すべきと考えます
同性かつ同年代の軍人であれば、意思疎通も比較的容易なはず
自分のような存在も許容してくれる程度に寛容で、パイロットとしての技量も高ければ最良です
特にご指示がなければ、自分からはお名前+階級でお呼びします
自分のことはどのように呼ばれても問題ありません
まずは任務をお手伝いすることで自分の能力[聖花機構]を示し、役立つことで信頼を得たいです
もし"骸の庭"の調査であれば、キャバリアよりも小型で機動力もある自分の方が有利な場面もあるかもしれません
眠っているというキャバリア群には、現在運用されているキャバリアにも使用可能な火器やパーツもありそうです
発見できた物品の内、協力者の方のキャバリアに利用可能なものは使っていただき、残りも協力者の方の成果として報告していただきましょう
近いうちに事件が発生する可能性が高いこと、その際にも可能な限りご協力いただきたいことを伝えます
今は、信じてもらえることを信じるのみです
●“|十徳ナイフ《アルメヒティヒ》”ノイン・シュヴェーレン
ヴァル・ゼロ(試製収束荷電粒子砲・f44550)は猟兵として目覚めたのはつい最近の事。
オブリビオンとの戦闘に備え、彼女はまず信頼できる協力者とのコンタクトを求めた。
「アポイントのあった猟兵は君か。ノイン・シュヴェーレン准将だ」
「ヴァル・ゼロです。……准将?」
「半ば名目上の肩書だよ、気にしなくていい。よろしく頼む」
白い肌に尖った耳はエルフのような異種族の血を引いているのだろうか。
ヴァルとは同年齢との事だが、年齢以上に落ち着いた雰囲気は重ねてきた経験の厚みを感じさせるものだった。
単独で動く事の方が多い個人戦力であり、あくまで必要に応じて准将相当の権限を持つに過ぎないとノインは語る。
王国が猟兵たちと接触する以前に似たような役割を担っていた遊撃戦力のような存在、らしい。
「権限……」
「おかげで平時も封鎖領域の単独調査に駆り出される訳だ。今回は君が手伝ってくれると聞いているよ」
「はい、自分も同行させて頂ければと思います」
それから数度の質問を経て、“骸の庭”調査任務に同行する手筈はスムーズに整えられた。
このフットワークの軽さも地位に付随する恩恵の一つなのだろうとヴァルは察する。
研究区画の物々しい関所を抜け、地下空洞に足を踏み入れればひんやりと湿った空気が出迎えた。
意外にも光源に困る事はない。
まばらに点在する様々なキャバリアが淡く発光し、周囲を照らしている為だ。
ヴァルはノインの操縦する恐竜型キャバリアの背に乗り、有事に備えて警戒に当たっている。
『計器に異常無し。ヴァル、そちらは?』
「此方も特に問題はありません」
『良し。それでは予定通りの進路で進もう』
あまりに広大な地下空洞全体に対する割合は微々たるものだが、既に一次調査自体はそれなりに進んでいる。
此度の調査はマッピング済み領域に異変が無いか、猟兵の視点から新たに得られる知見はあるかの確認という意味合いが強い。
骸の庭と呼ばれるだけあって冥府じみた雰囲気こそあれ、一般的な洞窟調査以上の危険は無い……筈だった。
『! 熱源多数。ヴァル、警戒を』
「承知しました。あれは……」
オブリビオンではないと猟兵であるヴァルには分かった。その正体は人間の大人程もある巨大な蝙蝠の群れ。
キャバリア群への悪影響を懸念し後退するヴァルたちだが、蝙蝠は明確な敵意と共にどこまでも追い縋る。
『これ以上退くと地上にまで飛び出しかねないな。止むを得ん、此処で掃討する!』
(とは言ったが、さて……)
キャバリアの武装であれば蝙蝠の撃破そのものは容易い。生身のヴァルを護るのも不可能ではない。
問題は周辺のキャバリア群を巻き込む事への懸念。
一発の流れ弾が暴走の引鉄を引くような事になれば目も当てられない。
「お任せください。この状況であれば――」
そして、その事はヴァルも理解している。
彼女はキャバリアより小型で機動力に優れ……何より、武装の出力に融通が利く。
「――目標捕捉、最大稼働開始」
ヴァルの【|聖花機構《ミルトス》】は蝙蝠の追随を許さず、青白のビームで追い立てたところをノインと連携し仕留めていく。
キャバリア群の影に隠れさえさせなければ殲滅は造作も無かった。
『無事か、ヴァル?』
「エネルギー消費軽微、損傷無し。お気遣い感謝します、ノイン准将」
『此方こそ助かった。礼を言う』
息絶えた蝙蝠は死骸も残さず消え失せてしまった。
真っ当な生命ではなく、どうやらユーベルコードにより召喚された存在らしい。
誰が何の為に、なぜ今になって……謎は尽きなかったが、今はそれ以上に二人の意識を引くものがあった。
休眠状態にあったキャバリアの幾つかに生じた、目視でも分かる程の異変。
『目覚めた……という訳ではないらしいな。だが……』
調査が難航していた理由の一つに、謎のキャバリア群に施されていた厳重なプロテクトがある。
封印と言ってもいいその幾つかが解除されているのだ。
動き出す気配は無く、解けたものとそうでないものの差も定かではないが……見過ごせるものでもない。
元より武装の互換性はキャバリアという兵器の強みの一つ。
専門の設備で確認する必要はあるが、現行のキャバリアの強化に使う事も出来るだろう。
「よろしければノイン准将のキャバリアに利用可能なものは使っていただき……
残りもあなたの成果として報告していただければ」
『構わないよ。こうした御手柄や何やらに伴う面倒には慣れている』
「……そういった意図では……」
『冗談だ、困らせてしまったなら済まない。分かっているとも、上には上手い事言っておこう』
幸いにして出口は近い。
ロックの解除された武装を手早く回収し、二人は骸の庭より撤収に移る。
「ノイン准将。……因果関係の断定は出来かねるのですが……」
『ふむ、何か心当たりが?』
まだ短い関わりだが、ノインは信頼に足る人物だと思う。
自分も信頼に値するだけの能力は示せた、筈だ。
……今は、信じてもらえることを信じるのみ。意を決して切り出す。
「近いうちに、この学園で事件が起きます。自分はその対処に当たる為に伺いました。
……その際にも可能な限りご協力いただけるでしょうか」
『無論だ』
二つ返事と共にキャバリアも首肯してみせた。
コックピットの向こう側、艶やかな長髪の毛先を指で弄ぶノインが見える。
『警告に感謝こそすれ、無碍にはしない。それに今回の調査を助けて貰った恩もある。
地上に戻ったら君の知っている事を教えてほしい』
「承知しました。……ありがとうございます」
平和な日々は薄氷のように脆く、明日には崩れ去ってもおかしくない。
そんな世界でも、人々の平穏を守らんとする者たちは確かに存在するのだ。
大成功
🔵🔵🔵
防人・拓也
NPC名:ルーナ
口調:私、~さん、です、ます、でしょう、でしょうか?
性格:落ち着きがあり、優しい
設定:王国内で知らない人はいないと言われる名家出身の令嬢。パイロット志望の学生。操縦技術は学生の中でもトップクラス。容姿端麗で性格の良さから、学生や教官達から頼りにされている。
拓也は臨時講師という形で王立学園に訪問。ルーナを含めた学生達の模擬戦闘訓練を見る。その中でもルーナに注目。
「ふむ…彼女は凄いな。参加している学生達の中でも、頭一つ抜けている」
そこで担当教官が拓也の言葉を聞き、ルーナとの模擬戦を提案。ルーナからもお願いされて
「やれやれ…了解した。悪いが機体を借りるぞ」
と学生と同じ機体に搭乗して試合開始。最初は彼女の攻撃を回避したり、受け流して動きを観察。動きが読めたり、彼女が焦りを見せたところで
「…そろそろ行くか」
と彼女の動きの隙を突いて、勝利する。
試合後、拓也の実力に感銘を受けて、目を輝かせたルーナは拓也を茶会へ熱心に誘おうとする。これには拓也は苦笑いしながらも了承する。
アドリブ・連携可
●“|公爵家の至宝《エーデルシュタイン》”ルーナ
無数のミサイルが飛び交い、時にはキャバリア同士が直接ぶつかり合う。
武装は演習用とはいえ、広大な屋外演習場では本物の戦場さながらの光景が繰り広げられていた。
「ふむ……彼女は凄いな。参加している学生達の中でも、頭一つ抜けている」
臨時講師として模擬戦闘訓練を観戦していた防人・拓也(奇跡の復活を遂げた|原初の魔眼《ゼロノメ》の開眼者・f23769)が目を留めたのは片側の陣営の指揮官機。
学園でも特に優秀なAランクパイロットが搭乗を許可されるのだというキャバリア“機動殲龍”という条件もこの訓練では他の学生たちと変わらない。だからこそ、その立ち回りが際立つ。
最初の戦いでは後衛から戦場を俯瞰し、味方の的確な指揮と砲撃支援を。
次の戦いでは自ら前線に出て近接武装を活かした大立ち回りを。
同じ機体条件で複数の敵機を引き付け渡り合うなど、並の腕前で叶う事ではあるまい。
「お判りになりますか防人さん。如何です、彼女……ルーナとの模擬戦など?」
「私も猟兵の方の戦闘技術、とても気になります! その、御迷惑でなければ是非……!」
「やれやれ……了解した。悪いが機体を借りるぞ」
こうも期待のこもった眼差しを向けられて邪険にする訳にもいかない。
仮にも臨時講師の立場である以上、それらしい事もしておくべきかと嘆息一つ。
「それではお二人とも、準備はよろしいでしょうか?」
『問題無い。いつでもいいぞ』
『それでは、胸を借りさせていただきます!』
形式は同じ機体を用いての一対一。
またとないエキシビションを見守る生徒たちが湧きたつ中、審判を務める教官の合図で試合が始まった。
ルーナの初手はミサイルによる牽制。
タイミングをずらした多段砲撃は命中すれば体勢を崩し、回避を試みれば動きを制限され、更には立ち込める砂塵が視界を阻む。
「初動が早いな。それに狙いもよく計算されている。よほど操縦に慣れているのだろう。だが――」
「……っ!」
決定打には及ばないが確実なアドバンテージを生む一手にどう応じるか。
拓也は――飛来するミサイルを、握り潰した。
二足歩行の肉食恐竜を模した機動殲龍『戦火』は機体そのものが白兵武装として機能する。
牽制とはいえミサイルの直撃には相応の威力があるが、やってやれない事は無い。
そして牽制の次には本命が来る。
首級代わりのアンテナを折るには充分な威力を備えた、高出力レーザーの薙ぎ払い。
「――まだ、俺を落とすには足りないな」
本物の獣のように身を屈め、レーザーを掻い潜って前に出る。
キャバリアに搭載された感知能力は光学センサーだけではない。視界を封じられようと対処する術は幾らでもある。
理屈の上ではそうだとしても人は目に頼るものだ。
各種センサーも使うのが人間である以上、目晦ましが発揮する効果は想像以上に大きい。
だが拓也は違った。
機動殲龍の鉄爪を振るえば、同じく前進してきていたルーナの一撃とぶつかり合って火花が散る。
「やりますね……! それならっ……!」
ルーナの繰り出す攻撃が拓也に有効打を与える事は無い。
それは奇しくも他の学生のキャバリアを相手取る先程のルーナの姿とよく似ていた。
崩しに掛かる小技を受け流し、好機を逃さず放つ本命の攻撃をひらりと躱す。
届かない事を寧ろ喜びさえするように、手を変え品を変え攻め立てるルーナの攻勢は止まらない。
(やはり、な)
学生の中でもトップクラスの操縦技術を持ち、学生はおろか教官にも頼られる存在だというルーナ。
彼女は退屈していたのだろう。
孤独、と言い換えてもいい。
決して他者を軽んじるような性格ではなくとも、その全力に周囲が応えきれなかった事実は変わらないのだから。
「……そろそろ行くか」
ルーナの猛攻は持てる技全てを出し切らんとするかのようで、だからこそ続く動きも読めてくる。
この時間を少しでも長く続けたいと願うように、攻め立てながらも隙を作らない堅実さ。
段階を踏んで少しずつ、その守りを崩していく。
「教えてやるよ――上には上が居るって事をな」
「きゃあっ……!?」
攻撃を躱すと同時に身を捻る。
強力なブレードの付随した竜尾の一閃はルーナの機体のアンテナを正確に捉え、試合の決着を告げた。
学生同士の試合とは一線を画するハイレベルな攻防に息を呑んでいたギャラリーから歓声が上がる。
「お強いのですね……! 私、感銘を受けてしまいました。拓也さんはこの後お時間などあるのでしょうか?
此度の感想戦も兼ねて是非、二人でお茶会を出来ればと思うのですが……!」
「……やれやれ。仕方がないな」
ルーナの出身は王国内でも知らない者は居ないと言われる程の名家。
厄介な事になったとは思うが、普段の落ち着きも綻びる程に熱心に誘われては断るのも忍びない。
事件がいつ起きるかはまだ分からないとはいえ、そのあらましは捕捉できている。
聞かされた予知に該当するシチュエーションはもう少し先になる以上、時間にも幾許の猶予はあるか。
「ありがとうございます。精一杯のおもてなしをさせて頂きますね!」
「お手柔らかに頼む」
どうなる事やらと苦笑しつつも了承を返す。
先程の試合同様、一筋縄ではいかなそうだ。
大成功
🔵🔵🔵
エドゥアルト・ルーデル
拙者には|理解《わか》る…ここにとんでもねぇ美少女がいると思うんでござるよね
ここが小中高一貫かどうかはしらんが居ると思うんだよね黒髪ロリっ子やら金髪ロリっ子やら!
どの子ともお近づきになりたい所存だが今日は身長が低くて!ロリっ子で!銀髪で赤目で感情乏しい感じの喋り方してくる素直クールな女の子!君に決めた!
という訳で心温まる交流しようぜ!うりゃっ隣人力全開!
拙者?拙者は臨時講師でござる…という訳で訓練しようね!お食事でもイイヨッ!誓って不審者ではございません…本当でござる、凄く本当でござる
拙者の事はおじさまと呼んでね❤
ハァ?事件?どうでも良くないそんな事!?拙者は幼女と仲良くなるのに忙しいんだ!
●“|英霊計画《スラーヴァ・プラン》第二世代十七番”ニーナ・ハユハ
王立学園には病院や託児所、初等部クラスも併設されている。王国の行き届いた福祉、その一環と言ってもいい。
幼い子供たちを悪意ある者の魔手から守る為、そのセキュリティは研究区画にも見劣りするものではない。
ないのだが。
「拙者には|理解《わか》る……ここにとんでもねぇ美少女がいると思うんでござるよね」
しかしエドゥアルト・ルーデル(黒髭・f10354)の方が一枚上手だった。
時に口八丁で教員を言い包め、時に匍匐前進で巡回の警備をやり過ごし、黒髭は|楽園《エデン》への侵入を果たす。
「ここが小中高一貫かどうかはしらんが居ると思うんだよね黒髪ロリっ子やら金髪ロリっ子やら!」
居た。
年頃は十歳前後といったところか。時間は放課後の昼下がり、校庭には二十数人の子供たちの姿がある。
同じ顔率が高い気もするが、まぁ、そういう事もあるだろう。
ちなみに本来なら見守っている筈の教員は黒髭の策略によって遠ざけられてしまったのだ。
「どの子ともお近づきになりたい所存だが――」
「……あなた、だれ」
「――今日は! 君に決めた!」
「………………?」
身長が低くて! ロリっ子で! 銀髪で赤目で感情乏しい感じの喋り方してくる素直クールな女の子!
まさに飛んで|髭《ひ》に入る夏の|幼女《ロリ》。なんと相手からのコンタクト。
双子や三つ子と言うには些か数の多い外見のそっくりな十人前後の子供たち。
戦闘能力を備えた者に特有の、それでいて実戦慣れはしていない事が伺える足取り。
狩人が獲物の生態に精通するように、エドゥアルトには一瞥で大体の事情が見てとれる。
(率先して姉妹を守護ろうとしているんでござるな……うーん尊い)
「ドーモ、エドゥアルトでござる。まあまあ一つ話をしようじゃあないか、拙者達の仲でござろうデュフフフ……!」
それは世にも恐ろしい【隣人力】。
|相手《犠牲者》に親しい隣人のような感情を抱かせる不思議な力であり、思考誘導の言葉をまともに受けると攻撃力減少どころかユーベルコードまで封じられてしまうのだ。
「拙者? 拙者は臨時講師でござる……という訳で訓練しようね! お食事でもイイヨッ!」
「臨時講師の……あやしいエドゥアルト……あやしい。あやしい……?」
「誓って不審者ではございません……本当でござる、凄く本当でござる」
しゃがみ込んで視線を合わせ上目遣い。
黒く濁ったつぶらな瞳が幼気な幼女にどう映ったのかは定かでないが、しばしの逡巡を経てこくりと首肯が返る。
親しき隣人にも線引きあり、しかし親しき仲なりけり。
幼い警戒心は大人の隣人力の前に無力であった。
「…………わかった。まずは私から、おねがいします」
「拙者の事はおじさまと呼んでね❤ ところでお嬢ちゃんのお名前は?」
「……ニーナ。ニーナ・ハユハ軍曹です、あやしげなおじさま」
この年で既に軍属扱いという訳ではなく、|有事の際には第三世代の妹たちの指揮権を持つのだ《お姉ちゃんが守ってあげてね的な采配》とか何とか。
何でも摘発された違法クローン製造の生き残り云々との事だったが黒髭の事だ、その辺りの詳細は適当に聞き流していてもおかしくない。
「――――|Feuer《フォイア》.」
「ンンンンお可愛い火力ですなぁ! Welcome,baby……」
「……次よ」
生身での戦闘、各種装備の取り扱い、更にはキャバリアの操縦まで。
いずれの分野でも大人顔負けの戦闘力を備えていたニーナだが隣人力を浴びて攻撃力が下がっていた事もあり、戦闘訓練は御飯事のような和やかさで無事に終わる。
その後怪しいコーラと怪しいチョコレートのおやつタイムに応じるニーナは相変わらずのポーカーフェイス。
「おかわりもいいぞ!」
「……いただきます(ぱぁっ)」
「ああ……しっかり食え」
無表情な幼女が無表情なりに瞳を輝かせる瞬間から摂取できる栄養素があると黒髭は著書に残している。
なんだかんだで交流は日が沈みニーナたちが寮に戻る時間まで続き……
ところで本来のミッションだったキャバリアのオブリビオンマシン化事件への備えなのだが。
「ハァ? 事件? どうでも良くないそんな事!? 拙者は幼女と仲良くなるのに忙しいんだ!」
(だれに言ってるのおじさま……)
そして抜け目なく翌日もニーナたちとのアポイントを取り付ける黒髭なのだった。
大成功
🔵🔵🔵
サエ・キルフィバオム
アドリブ歓迎
NPC設定---
名前はおまかせ
全体的なイメージは高飛車なお嬢様
「随分とお高そうなキャバリアをお持ちのようですけど、操縦技術が伴っているのかわたくしは疑問でしてよ」
負けず嫌いで、実際は裏でしっかり鍛錬して付けた実力を、周りには才能に見せているタイプ
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うーん、うっかりメルクの外装を偽装するの忘れちゃったから、凄い目立っちゃってるね
なーんか負けん気強い娘を刺激しちゃったみたいだし……、どうしよっかな~
でも、ま、この後の事を考えたら、このくらい強気な方が尻込みしないでくれるかもしれないし、ちょっとこっちからも挑発しちゃってもいっか♪
●“|華の栄冠《ザイデルバスト》”リーゼ・トビアス・フォン・シュトライヒ
「うーん……」
うっかり|愛機《メルク》の偽装を忘れたのは失敗だったかもしれない、とサエ・キルフィバオム(突撃!社会の裏事情特派員・f01091)は頭を掻く。
シュヴァン王国は猟兵と公的に協力関係を結んでおり、勿論この王立学園も例外ではない。
ただならない雰囲気を纏う猟兵のキャバリアは寧ろ学生たちに大層受けが良かったのだが……
問題があるとすれば、そう。
普段は彼ら彼女らの中心になっていると思しき金髪ツインテ縦ロール令嬢の恨めし気な視線である。
「ごめんあそばせ、そこの貴女!」
「はぁい何かな~?」
「わたくしは現代兵装運営科のAランクパイロット候補生、リーゼ・トビアス・フォン・シュトライヒと申します」
「おやご丁寧にどうも」
名乗られればひとまず自己紹介を返しつつ。
Aランクと言えばこの地域で用いられている区分に於いて、|一部イレギュラー《EXランク》を除いての最高位。
候補生とはいえ正規兵エース級相当の実力者という事になるか、と思い浮かべる。
「猟兵との事で、何らかの御用事があっていらっしゃったものと存じます。ですがっ!」
「ですがぁ?」
「随分とお高そうなキャバリアをお持ちのようですけど、操縦技術が伴っているのかわたくしは疑問でしてよ!」
「疑問でしたら如何なさいますか~♪」
言ってしまえば人気を奪われた事に対する癇癪と因縁付け、適当に受け流すのが大人の対応だろう。
だがサエは別に|大人《成人年齢》ではなかった。
後々事件が起きる事を見越して等それらしい理由は付けられるが……リーゼと名乗った少女に直感的な|遊び《揶揄い》甲斐がありそうだったのがいけない。
軽薄な振る舞いを崩さず軽く煽ればボルテージがエスカレートする様は目に見える程で。
「決まっております! わたくしリーゼ・トビアス・フォン・シュトライヒは貴女に、
決闘……ゴホンゴホン、一手御指南願いますわ!」
「あ、そこは決闘じゃなくていいんだ」
「腕前に自信がお在りでしたら、ま・さ・か! 尻尾を巻くような事は致しませんわね?」
「皆もどうやら興味津々みたいだけど~、あなたこそ良いのかな?」
「その言葉、そっくりそのままお返しして差し上げますわ!」
私的な決闘は禁止されているようだが、猟兵絡みという事もあってかスムーズに事は進んで演習場。
愛機メルク・フィクターに乗り込んだサエは相対するリーゼの機体に見覚えがある。
機動殲龍『戦火』――装甲を赤く染めてはいるが見間違える筈も無い。
「意外とゴツい機体に乗ってるんだねぇ」
『機動殲龍の搭乗許可は|最高峰《Aランク》の特権。その意味、目に焼き付けて差し上げますわ』
「お~、それは楽しみだ」
オブリビオンマシン化した『戦火』はパイロットの寿命と引き換えに超性能を発揮する危険な機体だった。
この学園では幾重にも施したセーフティで安全性を確保して単純に強力なキャバリアとして運用しているらしい。
一応正式な手続きの元、公平に模擬戦は行われ――猟兵としては順当に、サエが鮮やかな勝利を収める。
「はいお疲れ様~。思ったより強くてびっくりしちゃったな♪」
「くっ……慰めは不要ですわ!」
衆目の前という事もあり手札を縛ったとはいえ、一瞬危うい場面があったのも事実。
敵を知り己を知れば何とやら、リーゼからすれば未知の相手であるサエとメルクに食らいつく対応力は自身のキャバリアの扱いに習熟した練度の高さに依るものだろう。
いざ事件が発生したとしても戦力に数えるには充分か……等々考えていると、リーゼは噛み締めていたハンカチをしまい立ち上がって。
「……貴女の実力は本物だと認めましょう。あらぬ疑いを掛けた事、この場でお詫び致します」
「んー? 別に気にしなくてもいいのに」
「借りは借りです。何かあれば可能な限り、常識的な範囲内で御力添えしましょう」
わなわなと屈辱に震えつつも連絡先を手渡して。
「ですがっ!」
びしぃ、と人差し指を突き付け。
「これで勝ったとは思わない事ですわーーーーっ!」
そんな捨て台詞を残して走り去っていく。
|沈丁花《ザイデルバスト》の花言葉は「栄光」「不滅」等々。
何度でも立ち上がるタイプなのだろう。
大成功
🔵🔵🔵
カシム・ディーン
協力者
お任せ!(MSのその場ノリと勢いに任せます。ふーみーMS様が作りたいキャラとかいるならどうぞ!
UC常時
「ご主人サマー☆ユピテル様の気配がするぞ☆」(銀髪少女
…まぢかよ…あの変態ロボ…此処でもやらかす気か
一応国について色々と調べる事にする
骸の庭とか…無数の謎のキャバリアとか…色々と厄ネタやお宝を抱えてそうな国だしな
NPCに案内をお願いしつつ色々考察する
【情報収集・視力・戦闘知識】
基本的にこの国についてより深く知る為に調査を行う
あれだ…敵を知り味方を知れば百戦危うからずって奴だ
このカシムさんは天才だからな(えっへん
「この国も巨神とかいっぱい抱えてそうだね☆」
或いは金目の物とかな!!
●“|毒蛇《ギフトシュランゲ》”フランツィスカ・ローゼンハイム
「ご主人サマー☆ ユピテル様の気配がするぞ☆」
「……まぢかよ……あの変態ロボ……此処でもやらかす気か」
襲来を予知されたオブリビオンマシンの事をカシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は知っている。
|メルシー《界導神機『メルクリウス』》のブロマイド的な手土産に御満悦だった変態……違う。違わないが重要なのはそこではない。
神機シリーズ主神機にして神機による世界創造を企む者、好きに暴れさせては碌な事にならないだろう。
いつもの調子で賑やかに、しかし注意されない程度に声量は抑えつつ。
二人は一般にも解放された資料室へと足を運び、王国史について文献に目を通していた。
「前国王の代に平和主義へ転換。現国王もその方針を引き継いで今に至る……ねぇ」
「でもさー、それってブイブイ言わせてた頃の武力と分捕ったプラントありきでしょ?
周りからしたら不満も火種もバリバリなんじゃないのー?」
「そいつはまぁ、大目に見ても半々ってとこじゃねーかな」
評価するとすれば曲がりなりにも世代を超えて平和を維持している手腕か。
確かに当時を知る者からすれば怨恨はあるだろう。
だが、多くの人間は生まれる前にあった争いの為に好き好んで戦乱など望みはしないものだ。
……奪う利権に目が眩む事や、オブリビオンマシンの干渉といったケースはあるだろうが。
規模の大小こそあれ事件自体は今も頻発している辺り、本当の平和とは中々難しいものらしい。
「――お待たせしました。カシム様とメルシー様でいらっしゃいますね?」
「お気になさらず。案内の方ですかね」
「そだよー☆ わぁ、絵に描いたようなクラシックメイドさんだ☆」
「このたび学園理事マクシミリアン・フォルツ公爵より御世話を仰せつかりました。
フランツィスカ・ローゼンハイムと申します。宜しくお願い致します」
過去に起きた大きな事件や周辺国との関係。
歴史書からも情報は得られたが、今回の本命は“骸の庭”の探索だった。
猟兵用に設けられた窓口からの申請が済み、案内人として同行する事になったのがこのメイドのフランとの事だ。
研究区画の物々しい関所を難なく通過し、降り立った地下世界に広がっていたのは冥府を思わせる幻想的な光景。
どこまでも広がるかのような起伏の激しい荒野に点在する物言わぬキャバリアが淡い光を放っている。
「この国も巨神とかいっぱい抱えてそうだね☆ とりあえずコレ全部神機だ」
「は?」
「あーいやちょっと待ってなんか違う……うーん、ふむふむ……成程ー……?」
真顔だった。
そんな馬鹿なと目を凝らせば、|異能《ユーベルコード》の域にまで踏み込んだカシムの視力は地下全体に微かな揺らぎを感じ取る。
「ご主人サマはシュレディンガーの猫って知ってる?」
「箱を開けるまではその中に生きてる猫と死んでる猫が同時に存在してるって話だよな?」
「それそれ☆ 例えばこのキャバリアは異界の神機でもあるし、超古代の実験機の残骸でもあるし、
未来の謎機体が混線した不思議兵器でもあるってワケ☆」
「成程な……でも元々の猫が同時に存在してるのは箱を開けるまでの話だろ?」
「見た感じこの辺の機体全部、不確定のままでロックが掛かってるみたい。謎のキャバリアが謎な訳だね☆」
看破してみせたのは界導神機『メルクリウス』が境界と旅を司るが故だろうか。
複数の存在が重なり合い不確定な状態から、何らかの刺激に反応する事で存在が確定するのだと彼女は言う。
「……驚きましたね。貴重な見解を有難うございます」
「いやーそれ程でもあるかなー☆」
「謎のキャバリア群の真相が、そうだとすれば。……この骸の庭も?」
「そだねー、色々重なってるっぽい? っていうか重なり過ぎてて一つ一つ見分けるのは結構しんどいかも」
(広く浅く……或いは狭く深く、ってとこか?)
メルシーとフランの会話の傍ら、キャバリア群を値踏みしていたカシムはそう結論づける。
概念的な問題であり、盗賊としての感覚的な所感だ。
例えばユーベルコードと紐付けてキャバリア群を纏めて持ち出す事も不可能ではないだろう。
だが、それでものに出来るのはあくまで重なった無数の存在の一部だ。
根こそぎ浚ったとして、この地に謎のキャバリアは残り続けるのだろうという直感がある。
「これはご主人サマまた何か悪いコト考えてるな☆」
「やめろよ人聞きの悪い。ま、面白いものは見れたし今回は引き上げるとするか」
「承知いたしました」
調査を進めるにせよ目ぼしいものを頂くにせよ、これ以上はもっと本腰を入れて取り掛かるべきだろう。
ユピテルの引き起こすという事件も後に控えている。
……地上に戻りながら些細な考察をもう一つ。
国家機密だという骸の庭に当然のように立ち入る自称一般メイドのフランツィスカ。
相手に悟らせぬようカシムやメルシーの事も見定める目は随分と場慣れした工作員のそれだったが……敵意や悪意の類も特に無し。
あと王国の把握している範囲で“骸の庭”についても気前よく教えて貰えた事だし。
恐らくは彼女の主という公爵何某の、超級の戦力である猟兵に対する他意無い関心なのだと思えば。
「ま、そんなに気にする事でもないか」
軽く割り切って伸びを一つ。
キャバリアのオブリビオンマシン化事件とやらの発生も、そう遠くはなさそうな予感があった。
大成功
🔵🔵🔵
ギルフォード・アドレウス
【NPC】
名前はお任せ
女性で18歳 種族はアンサーヒューマン
ですます口調の委員長タイプ
隠れファンが多い人
長髪ポニテ
一人称は私
ギルフォードに対しては猟兵さん(これはギルフォードが面倒臭がって名乗らなかった為)
来ちまったよキャバリアの原産地
研究機関?王国?学園?…だったっけ?
まあ、キャバリアの事なんざな〜んも知らねぇから丁度良いかなと来た訳だ。そもそも乗る気がねぇと来た
見てみねぇと乗らなきゃやべぇのか、乗らんでも行けんのかってのは分からねぇからな
無人機でも|見させて《闘わせて》くんないかね?
POW判定か?いや自前のなんて無いけどな
武器は亜覇刀一本で良いや
まあ、無人機のスクラップ積み上げても仕方ないし
……誰か居ない??
|あんた《NPC》がやるって?
良いね、悪くない
NPC「…本当に良いんですね?」
ギルフォード「今、必要なのは俺に合うキャバリアじゃ無いんだよ。…それに時間が惜しい」
思ったより剣戟は重めだな。これよりか軽い事は無さそうだ
ほぅら 頑張れ♪頑張れ♪
俺が飽きるまで付き合って貰うぞ?
●“|休火山《ヴルカン》”アンゼリカ・ヴァーグナー
「来ちまったよキャバリアの原産地。研究機関? 王国? 学園? ……だったっけ?」
百年の戦乱が続くクロムキャバリア世界。
何やら小難しそうな事だとギルフォード・アドレウス(|終末機巧《エンド・オブ・マキナ》・f41395)は欠伸を一つ。
「この|王立学園《アカデミー》は公的な研究機関としても地域一帯でトップクラスの……猟兵さん? 聞いていますか?」
「聞いてる聞いてる。まあ、キャバリアの事なんざな〜んも知らねぇから丁度良いかなと来た訳だ」
じろりと半眼で見上げてくる少女には適当にひらひらと手を振ってみせる。
少女――アンゼリカは週末で時間が空いていた事もあり、成り行きで案内を務める羽目になっていた。
彼女が説明下手という訳ではないのだが、キャバリアにせよ学園にせよ込み入った話となるとややこしいもので。
「つーか、そもそも乗る気がねぇと来た」
「はぁ……確かに猟兵の方には生身でキャバリアと渡り合う方も少なくないと伺いますが……」
「見てみねぇと乗らなきゃやべぇのか、乗らんでも行けんのかってのは分からねぇからな。
無人機でも|見させて《闘わせて》くんないかね?」
「予習は大切ですしね。猟兵さんの申請なら恐らく許可は下りると思います」
という事で手続きはとんとん拍子に進み演習場。
息を切らした風も無く佇むギルフォードの傍ら、AI制御の量産機だったスクラップの山が積み重なっている。
そういえば今回予知された事件は学生達が乗るキャバリアのオブリビオンマシン化だったか。
つまり実戦ではパイロットが居るのだ。それも救出対象の。
「まあ、無人機のスクラップ積み上げても仕方ないし……誰か居ない??」
「仕方ありませんね……他の子を巻き込むのも可哀想ですし、私がお相手しましょう」
「あんたがやるって? 良いね、悪くない」
それから追加の手続きが二、三分程度。
アンゼリカが普段使っているのと同型だというキャバリアは二足歩行の肉食恐竜を思わせる漆黒の機体だった。
先程の量産機が十把一絡げの有象無象なのか、アンゼリカの機体が特別なのか。外見からして威圧感が違う。
対するギルフォードはと言えば先程と同じ。
脇差程度の白刃一振りを手に、自然体でキャバリアを見上げる。
『お待たせしました。……あの、本当に良いんですね?』
アンゼリカも生身の相手にキャバリアで攻撃した経験などありはしない。
量産機を圧倒する姿を目の当たりにしていたとはいえ、それでも声には懸念の色が滲む。
「今、必要なのは俺に合うキャバリアじゃ無いんだよ。……それに時間が惜しい」
『……そうですか。分かりました』
ただの観光ではない事情がある事を感じ取ったのだろう。
キャバリアの動力炉が唸りを上げ、ギルフォードへと襲い掛かる。
「成程な。こんなもんか――っと」
飛来するミサイル(演習仕様)を切断し迎え撃てば黒煙が視界を塞ぐ。特殊弾頭か。
間髪入れず追撃の気配。
|亜覇刀《アハト》で受ければ青年の足が地面に沈み込む程の衝撃が突き抜ける。
「思ったより剣戟は重めだな。これよりか軽い事は無さそうだ」
『これを正面から受け止めますか……!』
「あんた当たる前にちょっと力緩めただろ。こんなんじゃウォーミングアップにもならねぇよ」
視界を遮った一瞬で機体の手に握っているブレードは背部のパーツを引き抜いたものか。
キャバリア――戦乱の続く世界で主役を張る、戦争の為の兵器。
鋼鉄の塊が俊敏に動くだけあって、フィジカル自体はこれまで戦ってきた同程度のサイズの敵より幾らか勝る。
そしてそれ以上に、何が飛び出すか予測のつかない搭載兵装の数々が厄介か。
「びっくり箱みてぇな兵器だな。いや、この有様なら玩具箱か?」
返礼にブレードを切り刻み、射撃戦に切り替えようと後退するなら脚部を潰す。
すぐさま迎撃に振るわれた竜尾の薙ぎ払いには殺意――こそ無いものの、それまでのような遠慮も無い。
面白くなってきた、と口の端を吊り上げる。
「ほぅら 頑張れ♪ 頑張れ♪」
「いえ喧嘩でもないのに私を煽ってどうするんですか……!」
蹴撃、脚が動かなくなっていたと見せかけていたのは罠か。
今度こそ潰しに掛かる動きを読んでいたように脚部に搭載されていた弾薬類が一斉点火。想定内だ。
自爆に等しい火力を斬り払い……少し煤けた。
畳み掛ける連撃は白刃より放つ斬撃波で叩き落とし、更に踏み込んで切り返す。
「興が乗ってきた。俺が飽きるまで付き合って貰うぞ?」
「あぁもう、散々な休日ですね全く!」
模擬戦闘は結局キャバリアがバラバラに解体されるまで続き……
それが限られたパイロットにのみ搭乗許可の下りる高級機だと知るのはその後の事。
大成功
🔵🔵🔵
皇・金瑠
(ふらりと現れる浴衣の園児
此処がクロムキャバリアか…父さんがつれてる女の人と…同じ気配がするね?おれもキャバリアってのを試してみようかな?
NPC
勇猛神機『エインヘリヤル』
白髪の好青年
種族
機神(神機シリーズ)
性格
陽気で暑苦しい所もあるが基本好青年
https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=50380
https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=57686
特技?
機神に変身と体術
ジャパニアの滅びに際し脱出して放浪の果て骸の庭で力尽きた機神
年月が経って自己修復も終わり人としての姿を取って目覚める
後はお任せアドリブ歓迎
「おや少年?こんな小さな子が一人で迷子かい?」
ううん
此処で危ない事があるからきたの
「…よく知ってるねぇ?確かに此処は悪い気配がする…早く逃げた方がいいよ?お父さんかお母さんはいる?」
ううん
今は此処には居ないよ
「…なんと言う事だ…どれ…此処の守衛さんの所にお兄さんことエリちゃんが連れて行こう」
(この人の気配…?
●“勇猛神機”エインヘリヤル
明日をも知れぬ戦乱の世界クロムキャバリア。
そんな乱世に於いても|王立学園《アカデミー》敷地内は――ひとまず今日のところは――平和だった。
週末昼下がりの購買区画、人混み賑わう中にふらりと現れる浴衣の園児が一人。
「此処がクロムキャバリアか……父さんがつれてる女の人と……同じ気配がするね?」
名を皇・金瑠(灼滅者の殺人鬼・f44018)。
神機契約者の息子であり、若干6歳の身ながらIFの未来を見た事で実年齢不相応の精神性を宿す猟兵である。
「おれもキャバリアってのを試してみようかな?」
金瑠と同じ事情とは限らないが、幼い外見で一人前の猟兵・キャバリア乗りとして活躍している者も少なくない。
然るべき窓口で手続きを踏めば金瑠もキャバリアのレンタル或いは提供を受ける事は可能だろうが……
腹が減っては何とやら。
予知のあった事件発生にはまだ猶予もある。ひとまずは物見遊山と洒落込むのだった。
「おや少年? こんな小さな子が一人で迷子かい?」
(この人の気配……?)
そんな金瑠に声を掛ける者が居た。
白髪の好青年然とした姿の、しかし人に非ざる者である事を金瑠は漠然と感じ取る。
勇猛神機『エインヘリヤル』――かつて存在した古代神機皇国ジャパニアの序列二位を務めた機神。
退廃と陰謀と戦禍の果て、ジャパニア滅亡に際し脱出した彼は放浪の果てにこの国の“骸の庭”に流れ着いていた。
幾星霜を経て自己修復を終えた彼は人としての姿を取り目覚め、地上で一般好青年として過ごしていたのである。
といった事情まで今の金瑠が知る由も無いのだが。
神機の人間態を他に知っていた事もあってか、特に気にする事無く金瑠は応じる。
「ううん。此処で危ない事があるからきたの」
「……よく知ってるねぇ? 確かに此処は悪い気配がする……」
ふむ、と思案。
確証は無くとも確信めいた胸騒ぎがあったのは、同じく神機をその名に冠するユピテルの策動を無意識に感じ取っていた為か。
見知った人々が危険に晒されるなら守る為に立ち上がろうという気概はある。
とはいえ今のエインヘリヤル単独で果たして何処まで戦えるものか。
よしんば後れを取る事は無いとしても、恐らく犠牲が出る事は避けられないだろう。
「……早く逃げた方がいいよ? お父さんかお母さんはいる?」
「ううん。今は此処には居ないよ」
「……なんと言う事だ……」
やはり迷子だ。(※エインヘリヤル視点)
学園の敷地に治安の心配は無いがとにかく広い。土地勘の無い者だと落ち合うのも難しいだろう。
「どれ……此処の守衛さんの所にお兄さんことエリちゃんが連れて行こう」
「エリちゃん?」
「肩車もしてあげちゃうぞー? お腹空いてたりしないかい?」
「ん。平気だよ」
(迷子じゃないんだけどな)
兎にも角にも保護者の元に届けなくては避難以前の問題だ。
金瑠を軽々肩に乗せ、青年はずんずんと進んでいくのだった。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『機動殲龍『戦火』』
|
POW : ジェノサイドストーム
自身に【戦場の闘気】をまとい、高速移動と【口から防御を貫く長距離レーザーを全方位へ】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
SPD : エクスターミネイター
自身の【命】が輝く間、【遠近問わず猟兵へ】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
WIZ : オーバーキルマシン
【全武装】で攻撃する。[全武装]に施された【生存者が居なくなるまで続く無尽殺戮】の封印を解除する毎に威力が増加するが、解除度に応じた寿命を削る。
イラスト:イプシロン
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●Outbreak~戦火狂乱~
事件の発生は突然だった。
パイロット候補生達の集団戦闘訓練中、突然に一部のキャバリアが暴走を始めたのだ。
オブリビオンマシン化したのは機動殲龍『戦火』。
学園でも選りすぐりのAランクパイロット候補生にのみ搭乗が許される強力な機体の暴走がもたらす被害は甚大。
一見区別の付かない暴走した機体とそうでない機体が入り乱れ、演習場は大混乱に陥る。
オブリビオンマシンの鎮圧と巻き込まれた生徒の救出――猟兵の出番だ。
※場所は広大な屋外演習場。ほぼ実際の戦場と同じ環境が広がっています。
オブリビオンマシン化した機体の他、巻き込まれた一般生徒・一般キャバリアも多数。
猟兵であればオブリビオンマシン化した機体を一目で判別する事が出来ます。
※プレイングで指定あれば第一章および以前のふーみーシナリオで交流したNPCも登場可能。
機体がオブリビオンマシン化している可能性もあれば、
幸い暴走には巻き込まれずオブリビオンマシンの鎮圧や生徒の避難に協力してくれる可能性もあります。
特に指定無ければ戦闘力は[多対一でも渡り合えるが殲滅は困難・犠牲者が出る事は避けられない]くらい。
味方の場合フラグメントのUCは使えませんが(寿命を削るような機能はロックして運用されている為)、
任意の未改変UCを一つ使用する事ができます。
ヴァル・ゼロ
オブリビオンマシン化はパイロット候補生の機体だけ
ノイン准将へ通信し、鎮圧にご協力を要請します
オブリビオンマシン化していない機体も多数、鎮圧対象の判別はノイン准将でも難しいはず
自分達猟兵には判別できることをお伝えし、ノイン准将には猟兵を狙ってくる機体の鎮圧をお願いします
[聖花機構]を発動して敵機に接近、出力を絞ってコックピット以外の武装や脚部を狙い射撃、無力化します
パイロット候補生の損失は可能な限り避けたく、撃墜は、そうしなければ被害が拡大してしまう場合のみとしたいです
猟兵やオブリビオンでなくてもユーベルコードを使える方がいるというのは、本当なのでしょうか
もしノイン准将もそうなら、自分の[聖花機構]と同様の高速戦闘を可能とする力をお持ちなら、多数の敵機が相手でも鎮圧を早められるかもしれません
自分が敵機の注意を引いている間に側面や背後から仕掛けていただければ確実に、迅速に無力化できそうです
●抱いた夢の灯りを
「オブリビオンマシン化はパイロット候補生の機体だけ、なら――」
ヴァル・ゼロ(試製収束荷電粒子砲・f44550)の対応は迅速だった。
彼女の読みは当たり、事前に共有した情報から警戒に当たっていた|ノイン《協力者》はすぐさま駆けつける。
『まったく、覚悟はしていたが酷い有様だな……!』
この状況が全て敵の意図した通りに引き起こされたのだとすれば随分悪辣な手口と言えた。
単純に暴走する機体を撃破すればいいという話ではない。
鎮圧対象と救助対象、見た目が同じ機体と異なる機体、それぞれが訳も分からぬままに兵装を振り翳す鉄火場。
|性質《タチ》の悪い事に、|異能《ユーベルコード》を使わず正常な機体に擬態し混乱を助長させる機体まで紛れているとあれば猶更だ。
「ノイン准将。自分達猟兵にはオブリビオンマシンの判別が可能です」
そんな偽装機体の一つ、避難する学生に混ざっていたそれの武装を撃ち抜く。
猟兵がオブリビオンを狩る天敵たる所以が一つ。
現地の戦力には依然として判別困難である以上、判断材料は猟兵の証言しか無いのだが――
懸念が|それ《信頼関係》なら、ヴァルたちに問題は無い。
「潜伏している個体の対処は自分が。ノイン准将には猟兵を狙ってくる機体の鎮圧をお願いします」
『任された。何とかこなしてみるとしよう』
「――目標捕捉、最大稼働開始」
ただでさえ高性能のキャバリアがセーフティを外され、その戦闘力はともすればこの演習場から王都へと壊滅的な被害を与えるにも充分か。
無論、させはしない。
ヴァルの【|聖花機構《ミルトス》】はオブリビオンマシンを相手に“骸の海”で用いた時とは桁違いの真価を発揮し、|本体《BSニンシュブル》一つ携えての大立ち回りで標的を確実に無力化していく。
『ヴァル、改めて警戒を。これは私の経験則だが……そろそろ敵の動きが変わるぞ』
「承知しまし――……っ!」
優勢だからこその予感。返事の言葉も言い終える前に、その危惧は現実となった。
もはや用を為さない偽装を切り捨てた【エクスターミネイター】の一斉起動。
搭乗者への負荷など省みないこれまでの暴走も、より長く破壊を振り撒く為の計算に基づいてはいたのだろう。
それさえかなぐり捨てたユーベルコードは戦闘力を爆発的に増大させると同時、搭乗者救出のタイムリミットを強制的に押し付けてくる。
平和を脅かす全てを抹消するため、禍根を一片たりとも残さないために……それが|ヴァル《ニンシュブル》の製造目的。
だとしても、まだ。狙いは敵機の武装のみ。
パイロット候補生たちを禍根にさせない為に戦っているのだと、思考の片隅に過ぎる選択肢に抗う。
心眼を研ぎ澄ませ音速を遥か置き去りに、破壊的な威力の兵装が飛び交う最前線で猶も救う為に力を振るう。
まだ、戦える。
『……そんな姿を見せられて不義理は働けんか』
猟兵やオブリビオンを別として、|埒外の異能《ユーベルコード》を扱える者はほんの一握りだ。
滅多に明かせる切り札でなく、使ったところで十全に効果を発揮するかも不確かな頼りない奥の手。
分かっている。
|猟兵《ヴァル》の奮戦は益体も無い迷いを振り切ってくれたと言うべきだろう。
後先を考えての計算など、目の前の人命に……それも子供たちの命に代えられるものではない。
『ヴァル。出力は低くとも構わない――私を撃て』
「承知しました」
この戦場に迷う事を許される猶予は無かった。
猛り狂うオブリビオンマシンの攻勢を掻い潜り、同じく機動殲龍と渡り合っているノインの機体にビームを放つ。
それが【叛逆の狼煙】。
青白の光を受け止めた瞬間、ノインの駆る機動殲龍はヴァルの|聖花機構《ミルトス》と同等にまで加速する。
「これは……ユーベルコードのコピー……!」
『断りも無く済まないな。君の力、僅かな間だが使わせて貰おう』
得られた恩恵は超高速の飛翔能力、機動殲龍にも搭載された――もちろん|ヴァルの本体《BSニンシュブル》とは別物だが――荷電粒子砲の出力精度向上。
どうにか扱えそうな事への安堵もそこそこに、残るオブリビオンマシンをヴァルと挟み撃つように回り込む。
然程長く維持できる模倣ではないがこの場では充分。
二人の共闘は、遂に一人の犠牲も出す事なくオブリビオンマシンの鎮圧を成し遂げてみせた。
大成功
🔵🔵🔵
サエ・キルフィバオム
アドリブ歓迎!
リーゼさん暴走キャバリア相手に結構無理しちゃって、さっきの事を結構根に持ってる!?
でも、リミッター解除されてる機体相手に意地を張るのは結構ヤバいよ!
ただ、ま、そのノブレスオブリージュを買ってあげるのもいいかなー!
見せてあげるよ、メルクの本気を!相手のジェノサイドストームの発射口を【杭縛る茨】で粉砕していこっか!
相手の一番ヤバイ攻撃手段だけ壊しておけば、リーゼさんもだいぶやりやすくなるでしょ~
あたしはジャンジャン相手の武装をぶっ壊していくから、後ろの人を救出して守るのは任せるね!
華を持たせる、って奴かな?
●短い夢を重ねて
『おーっほっほっほ! たとえ暴走した機動殲龍が多数と言えど!
このリーゼ・トビアス・フォン・シュトライヒの敵ではありませんわね!!』
大規模な集団戦闘訓練中、突如として発生したキャバリアのオブリビオンマシン化。
敵と味方と逃げ惑う者の入り乱れる混沌とした戦場でもリーゼの駆る真紅の機体はよく目立った。
端的に表すなら、そう。ボコボコにされていた。
「リーゼさん暴走キャバリア相手に結構無理しちゃって……!」
『貴女に心配される事ではありませんわサエ・キルフィバオムさん! す、全てわたくしの計算の内ですことよ!』
「さっきの事を結構根に持ってる!? でも、リミッター解除されてる機体相手に意地を張るのは結構ヤバいよ!」
パイロットの負担も度外視して動くオブリビオンマシンが相手では、純粋に出力が隔絶している。
明らかに許容量を超える敵群に自ら取り囲まれて持ち堪えているだけでも奇跡的と言っていい。
リーゼ自身も気付いていない筈が無いのだ。
『――ですがっ! 此処で意地を張らずに、何時張ると言うのです!』
何度目かの攻撃でようやく一機、動力炉と各種兵装の接続を完全に断たれて沈黙する。
高い技量と蛮勇の酷く危ういバランスでの拮抗。
暴走させられた機体のパイロットも全てリーゼは助け出すつもりなのだろう。だが、最後までは到底持つまい。
『|猟兵《貴女》に挑んで不覚を取り、そればかりか大事な級友さえ救えないようで……! 何の為のAランクですか!』
「ただ、ま、そのノブレスオブリージュを買ってあげるのもいいかなー!」
オブリビオンマシンに抗う力の無い一般生徒たちの避難は粗方完了した。
理由の半分はリーゼが囮となり敵の標的を引き付けていた事。
そして残る半分は、たとえ演習場の外に出ようと逃しはしない【ジェノサイドストーム】の超長射程。
リーゼが咄嗟に己が身を盾とする寸前、サエ・キルフィバオム(突撃!社会の裏事情特派員・f01091)が動く。
「見せてあげるよ、メルクの本気を!」
『っ……!』
刹那、流麗な茨剣が閃いた。
装甲の隙間を的確に狙う【杭縛る茨】は長距離レーザーの発射口を的確に粉砕し惨劇を阻む。
暴走する機体に囚われ、或いはその脅威に晒され逃げ惑っていた中にはリーゼと出会ったとき|愛機《メルク》に目を輝かせていた学生も居る。こんな世界でも等身大の青春を送る、純粋で人の良い少年少女。
友達と言える程の時間を過ごせたかは確かではないが、それでも。
「助けたい理由はあたしにもあるんだよねー! って訳で……」
学生たちを避難させながらサエはオブリビオンマシンの動向にも目を光らせていたのだ。
兵装そのものは先に戦ったリーゼの機体と変わらず、既にその手札は知り尽くしている。
「御自慢のそれだけ、バラさせてもらうよ!」
以前の交戦記録も併せ解析は充分。敵が勝負に出る瞬間を見逃す事は無く、無力化とて造作も無い。
戦場の闘気を纏う高速機動はフェイントを織り交ぜた動きで翻弄し、パイロットを傷つける事なく切り刻む。
搭乗者の寿命を吸い上げ力に変える死の機体と言えど、機能停止に追い込めばそれ以上の悪影響を及ぼせはしない。
「あたしはジャンジャン相手の武装をぶっ壊していくから、後ろの人を救出して守るのは任せるね!」
『今は頼って差し上げますわサエ・キルフィバオムさん! 友人の命をこんな事で削らせる訳にはいきませんもの!』
(ん……?)
気のせいかリーゼの駆る真紅の殲龍がなんだか大きくなったような。
(まー、一転攻勢に切り返す余力はあるみたいだし心配は無さそうかな! 遠近法的なアレかもだし)
形勢が傾けば早いもの。
メルク・フィクターの液体装甲が変形する|茨剣《メルズピナン》が舞うたびに兵装が無力化され、パイロットを救出されたオブリビオンマシンは次々に動きを止めていく。
敵の戦力が減るほどに制圧速度も勢いづき、遂に最後の一機が沈黙して。
「華を持たせる、って奴かな?」
『くっ、この御礼は……後程……!』
「けど残念、まだ山場が控えてるんだなー!」
コクピット内での呟きを聞かれた訳ではないだろうが割とまだ元気そうなリーゼの声。
だが、これで終わりではない事をサエは知っている。
砂塵舞う演習場に一陣の風が吹き抜けて……神機の影はすぐ其処に。
大成功
🔵🔵🔵
エドゥアルト・ルーデル
ハユハ氏達と遊んでフラグ立てようと思うてたのに邪魔しやがってぶち殺すぞ!
ハユハ氏達は良い子だね…鎮圧しようと頑張ってる…尊いよぉ…
拙者もお手伝いですぞ、これはこれで初めての共同作業でござるから…ネッ!
拙者はキャバリアなんぞ乗らんでござる…こうするからだ!全身を【ドット絵】に変換!イヤッフーッ
レーザーなりをペラペラ回避しつつ装甲の隙間から内部に潜り込み制御系統をハッキングし拙者をインストールでござるよ
Plug-in,拙者.png transmission…
これでこの木偶の坊は人間めいた動きができますぞ!適当に他のをぶっ飛ばしていこうぜ!
機体の寿命なんざ乗り換えちゃうからなんぼ使ってもええでござる
●彷徨う心の場所
平和な学園をオブリビオンマシンの脅威が襲う。
罪無き学生たちを脅かし、破壊と殺戮の限りを尽くさんとする悪鬼の所業。
エドゥアルト・ルーデル(黒髭・f10354)は怒りに燃えていた。
「ハユハ氏達と遊んでフラグ立てようと思うてたのに邪魔しやがってぶち殺すぞ!」
出自の特殊性はあれど初等部の学生であるニーナとその妹達に出撃の義務は無い。
最初は避難を促したのだが、姉妹間ネットワークで状況を把握した彼女達はキャバリアに乗り込んでしまったのだ。
そんな訳で避難所で|ニーナの妹達《ハユハシスターズ》とも戯れようと狙っていた黒髭も戦場に出る事になったのである。
彼女達の駆る機体はオブリビオンマシン化したものと同じ機動殲龍『戦火』。
数は同等、通常機体にはセーフティこそ掛かっているが姉妹の連携は出力差を補うに充分。
「これって……」
「ああ……ハユハ氏達の勝ちだ」
「ハユハ氏達は良い子だね……鎮圧しようと頑張ってる……尊いよぉ……」
(おじさまはだれと話してるんだろう)
目的が殲滅なら不可能ではないだろう。
だが、不殺を前提とした鎮圧はやはり困難だとエドゥアルトのサイドエフェクトが告げている。
訓練を名目にした交流を通じ地味に互いの戦力確認ステップをこなしていた黒髭であった。
「拙者もお手伝いですぞ、これはこれで初めての共同作業でござるから……ネッ!」
『……キャバリアは?』
「拙者はキャバリアなんぞ乗らんでござる……こうするからだ! イヤッフーッ!」
怪訝な目のニーナに応じるは【ドット職人の朝は早い】――BGMも8bit音源に。もっと怪訝な目になった。
暴れるオブリビオンマシンは構わず【ジェノサイドストーム】を乱射してくるのだが……肉体をドット絵に変異させたエドゥアルトは攻撃をぬるりと躱してそのまま接敵。二次元の身体で装甲の隙間から内部へと侵入する。
「Plug-in,拙者.png transmission……ヒャッハー! オモチャにしてやるでござる!!」
―― 不明なデバイスが接続されました ――
デバイスと言うよりウィルスでは? とオブリビオンマシンは思ったがエドゥアルトのハッキング|技術《スキル》は凄まじい。
そして操縦技術に至っては掛け値なしに神業の域に達している。
ただでさえオブリビオンマシン化による暴走とセーフティの解除で通常機体とは段違いの動きを見せていた機動殲龍、それさえエドゥアルトに制御を乗っ取られた後と比べれば木偶に等しかった。
文字通り手足の如く、或いは馬車馬の如く。中に人間が入っているかのような動きで敵機へと牙を剥く。
「寿命を削るぅ? 知ったこっちゃねーでござるなぁ【ジェノサイドストーム】ゥー!」
搭乗者を使い潰すオブリビオンマシンが腐れ外道パイロットの手で玩具同然に使い潰されるのは何の因果か。
機体が限界を迎えればエドゥアルトは次の獲物へ乗り換えるだけの事。
元々敵機を奪い取っているのだ、戦闘不能になったところで此方にはメリットしかない。
「って事で適当に他のもぶっ飛ばしていこうぜ!」
『……変なの』
「ンンン拙者の心眼にはコクピットでクスリと笑ったハユハ氏が視える! いや直接見たかったでござるな畜生ッ!」
一見奇抜だが実力と合理性に裏打ちされた活躍はニーナ達に受けが良かったようだ。
相手パイロットにも犠牲者を出さず無力化していたからかもしれない。
|幼女《ロリ》の好感度も稼げるとあって元気百倍、上手いこと連携も利用しつつオブリビオンマシンの鎮圧は完了する。
――然れど闘争の匂いは未だ薄れず。
大成功
🔵🔵🔵
防人・拓也
模擬戦で借りた戦火に搭乗。
アイリス、ルイーズ、マイラの3機の巨神達を召喚し
「アイリス達は民間人が安全な場所へ避難できるまで護衛を頼む。俺は戦っている教官や生徒達の救援へ向かう」
と指示。
「かしこまりました。マスター、どうかお気をつけて」
アイリス達と別れて、自身は生徒や教官達の救援へと向かう。途中、ルーナが2人の友人と共に民間人を守っているが、敵に包囲されて窮地に陥っているとの情報を得る。
「…ルイーズ、ちょっといいか?」
「どうしましたか、我が君?」
「場所の座標を送る。指定場所へ救援を頼む」
「承知しました。すぐに向かいます」
ルイーズと通信後、ルーナの救援へと向かい、敵部隊が一斉攻撃を掛けようとしたところで敵部隊へ強襲。敵の注意をそらす。
「何とか間に合ったな。ここから巻き返すぞ」
ルイーズも丁度到着し、民間人の護衛をルイーズとルーナ達に任せて自身は敵部隊へ突貫。指定UCで敵の攻撃を回避しつつ、カウンターで敵機を戦闘不能にしていく。死角からの攻撃は気配感知や第六感を活かして回避。
アドリブ・連携可。
●巡る箒星を待って
「……始まったか。アイリス、ルイーズ、マイラ」
『『『此処に』』』
防人・拓也(奇跡の復活を遂げた|原初の魔眼《ゼロノメ》の開眼者・f23769)の召喚に応じるは三体の機神。
拓也自身は先の模擬戦で借りたものと同じ戦火に搭乗し、事件に対応するため動き出す。
オブリビオンマシン化が発生した演習場自体がかなりの面積を持ち、暴走している機体の性能の高さも合わさって状況はそれこそ本物の戦場が学園内に突如として現れたに等しい。
「アイリス達は民間人が安全な場所へ避難できるまで護衛を頼む。俺は戦っている教官や生徒達の救援へ向かう」
『かしこまりました。マスター、どうかお気をつけて』
危険域は相当に広いが、拓也が信を置く機神たちであれば滅多な事で遅れは取るまい。
……戦場へと独り進む彼が最初にその情報を得る事になったのは、ある意味では必然と言えただろう。
即ち、先日模擬戦の相手を務めたルーナが敵に包囲され窮地に陥っているのだと。
「……ルイーズ、ちょっといいか?」
『どうしましたか、我が君?』
「場所の座標を送る。指定場所へ救援を頼む」
『承知しました。すぐに向かいます』
最短距離を駆け現場へと急行する。
ある程度近付けば場所は容易に把握できた。付近で暴れていた機動殲龍が、ただ一点を狙い集結していた為だ。
包囲の向こうにはルーナ、そして彼女と共に戦っていた友人二人の機体。
リミッターを外され暴走するオブリビオンマシンに比べれば劣る出力を連携で補い民間人を逃がすべく奮戦していた彼女たちだが、それ故に多くの敵を引き付けてしまえば限界が訪れるのも時間の問題だった。
だからこそ。
勝利を確信した敵ほど狩り易いものも無い。
「獲物を前に舌なめずりとは悠長だな。隙だらけだ」
『その声は……拓也さん!?』
気付かれるより早く、反応されるより速く。
最適のタイミングで強襲を仕掛ければ、包囲網は一気に瓦解する。
「何とか間に合ったな。ここから巻き返すぞ」
此処を制圧すれば混乱はひとまず収束する。しかしそれは敵戦力の全てが此処に集中しているという事だ。
搭乗者の命を吸い上げる【エクスターミネイター】……機動力・射程・速度の全てに於いて依然、脅威は脅威として在り続けている。
そこに一足早く合流した機神が一体。
『お待たせし申し訳ありません、我が君。現時点より私も加勢します』
「助かる、ルイーズ。ルーナ達も民間人の護衛を任せていいか?」
『分かりました! ですが拓也さんは?』
「心配は要らない。すぐに終わらせてくる」
『っ……どうか御武運を!』
ルーナの脳裏によぎるのは先日垣間見た拓也の技量。
敵部隊へ突貫する危険を案じながらも、信頼と祈りを込めてその後姿を見送る。
赤く灯る眼光が拓也を捉え、未だ混乱から回復しきらないまでも全方位からオブリビオンマシンが襲い掛かった。
「俺には分かる……相手の動きが、頭の中で手に取るように分かる!」
狙うはカウンターによる一撃での無力化。
暴走する機体の出力は凄まじいが、しかし精度という点ではルーナに比べれば随分と拙い。
後方への流れ弾を心配せず動ける事も追い風だった。
磨き上げた【|死神の予測術《リーパー・プリーディクション》】と感知能力で敵の動きを見極め、相手の速度も利用した反撃で沈黙させていく。
やがて別行動を取っていた二体の機神も合流するに至り、戦況は決定的となる。
「これで……終わりだ!」
裂帛の気合いと共に一閃、最後の敵機が動かなくなる。
残心――次に襲い来る脅威の存在を拓也は感じ取っている。
『拓也さん? まだ何か気掛かりな事が……』
「オブリビオンマシンに囚われていたパイロット候補生の救出を急ぐぞ。元凶が、来る――!」
この国の、或いは世界の命運までも左右しかねない人知を超えた超越者の気配。
決戦の時は目前に迫っていた。
大成功
🔵🔵🔵
カシム・ディーン
機神搭乗
ついにきやがったか…
それじゃ…とっとと叩き潰すぞ
「合点承知☆」(機神変身
【情報収集・視力・戦闘知識】
周辺状況の解析
敵の捕捉と構造把握
特に爆破させずに無力化させるにはどこを壊せばいいかを分析
【属性攻撃・迷彩】
UC発動
竜達と機体に光水属性を付与
光学迷彩で存在を隠し水の障壁で熱源隠蔽
フランも救出等行動を起こしてる気がする
もしも行動を起こしているなら
12体を援護に向かわせる
【念動力・弾幕・空中戦】
飛び回りながら念動光弾を叩き込み
【二回攻撃・切断・捕食】
一体に対して三体の竜で囲んで無力化
牙で食らいついて四肢を切断して搭乗者の安全確保
カシム達も鎌剣でも切り刻み無力化
流石に盗むのは不味いよなー
●誰も何者でもないもの
「ついにきやがったか……」
カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)たちの反応は早かった。
機神の姿に戻った|メルシー《界導神機『メルクリウス』》に搭乗、すぐさま周辺状況に解析を走らせる。
「それじゃ……とっとと叩き潰すぞ」
『合点承知☆』
「万物の根源よ……帝竜眼よ……文明を構成せしめし竜の力を示せ……!」
座標を捕捉すると同時に制圧対象の構造を把握。
犠牲者を出さない為に立ち回ろうと言うのに、誘爆等の事故で搭乗者が犠牲になっては笑い話にもならない。
カシムの行使した【|帝竜眼「ダイウルゴス」《文明を侵略し融合する者》】より百と五十九の小型ダイウルゴスが顕現する。
「敵のユーベルコードは攻撃速度強化か……被害範囲が広がると厄介だな。行って来い」
視覚情報と熱源を隠蔽するステルスを施し戦場を制圧すべく出撃させ、ふと思案。
王国の擁する中でも最上級キャバリア群の暴走は対処を誤れば国家の滅亡に直結する大惨事だ。
突然の事件発生直後とはいえ王国側でも何らかの動きがあってもおかしくないが……
『あのメイドさんの座標なら登録済みだぞ☆』
「お、おう。メルシーお前プライバシーの配慮とかだな……」
機神に求められる機微でもないかと嘆息一つ。
|動向が気になる《面白そうな》一人という点では理解できなくもないし、この状況では好都合なのも確かではある。
結果的には|間一髪《ファインプレー》だった。
そこにあったのは暴走しているのと同じ機動殲龍の機体を駆り、暴走した機体の鎮圧に当たるフランツィスカの姿。
「どうも、忙しそうですね?」
『カシム様ですか。これはお恥ずかしいところを』
『メルシーも居るぞ☆ とりあえずそっちに送ったダイウルゴスの指揮権あげちゃう☆』
「おい」
『それはまぁ……なんとも』
オブリビオンマシンのコクピットを潰さんとする場面を見られても平静を崩す事の無かったフランをして、突如押し付けられた12体の|超戦力《ダイウルゴス》には束の間言葉を失う。
猟兵がオブリビオンの脅威を打ち払うべく動いているという前提に基づけば裏を考慮したとて不都合は無いと判断を下すまでのラグが一瞬。
やむを得ず|最高効率《搭乗者暗殺》での鎮圧を選ぶところだったが、戦力の不利が埋まるなら囚われたパイロット候補生を切り捨てる必要も無いのだ。
『御協力に感謝致します』
「此方こそ色々お世話になったお礼って事で」
(ま、お手並み拝見ってとこか)
手に余るようなら――と言うより普通に他へ向かわせたダイウルゴスと同じく自律機動させる事も出来るのだが、指揮に関する懸念が出ない辺り恐らく上手くやってのけるのだろう。
機動殲龍に対する|黒鉄《くろがね》の帝竜、子機の生成や無機物のダイウルゴス化を活かし常に三対一以上の状況を維持。
ステルスごと薙ぎ払わんと無差別に狂乱する敵機の【エクスターミネイター】には空中機動と念動光弾で攻め手を潰し、爪牙で|解体《バラ》す事によって無力化していく。
カシムたちも鎌剣ハルペーを振るい、搭乗者を傷つける事無く次々とオブリビオンマシンを沈黙させて。
「……流石に盗むのは不味いよなー」
『然るべき手続きを経て申請頂ければ悪いようにはならないかと存じます』
「おっと! そっちも余裕が出来たようで何よりです」
『御陰様で』
独り言に対する先程通信に使った回線を開いての返信はある種の|意趣返し《軽口の類》だろうか。
遂に――少なくともメルクリウスの知覚範囲内では――ただ一人の犠牲も出す事なく、オブリビオンマシンの鎮圧は完了する。
しかし僅かな間に王都本来の防衛戦力をズタズタにしたこの騒乱さえ前触れに過ぎない。
最小限に抑えてなお手痛い被害に思いを巡らせる間も無く、真なる脅威が姿を現さんとしていた。
大成功
🔵🔵🔵
皇・金瑠
「参ったねぇ…暴走が始まったみたいだ。少年、しっかり捕まっててね?」(金髪の少年を肩車してる白髪の青年。しかし戦火に囲まれてしまう
「こりゃ参った…仕方ないな…この街での生活も悪くなかったが…少年、君はちゃんとこのエリちゃんがご両親の下に届けるからね?」
(そのまま少年を乗せる形で雪花石膏の如き白き機神の姿に戻る
「…参ったねぇ…まだ力は戻っていないんだけど…何とか逃げ切れるか…?」
…そういう訳にはいかないんじゃないかなお兄さん(がちゃがちゃ
「って君何してるの!?」
お兄さんまだ調子悪いんじゃない?
俺が動かすよ
虚無の真眼
虚無の天才同時発動
敵の能力を解析して
【グラップル・リミットブレイク】
敵に襲いかかり即断で拳を叩き込み関節部分に腕を回して
そのまま叩き降り無力化して乗り手を救出する
「…これが人を乗せての闘いか。凄いな…俺の力が引き上げられてる…!」
キャバリアって人を乗せてこそじゃないの?
「そうだけど…君、何者?」
ああ、一応俺も猟兵だよ
「これが猟兵の力…少年、俺に力を貸してくれる?」
うん、わかった
●置き忘れてきた永遠の底に
「参ったねぇ……暴走が始まったみたいだ。少年、しっかり捕まっててね?」
直前までの平穏とは根本から異なる刺すような戦乱の空気。
皇・金瑠(灼滅者の殺人鬼・f44018)を肩車していた白髪の青年も事件の発生を感じ取ったらしい。
本来なら対処に当たるべき軍も突然の事態に混乱している。
守衛の元に預けるより戦場から少しでも離れる方が安全か――そんな彼の意図を阻むかのように戦火は迫る。
それも一機や二機ではない。
取り囲むように現れた機動殲龍は全てがオブリビオンマシンであり、明確に彼等を狙っている。
「こりゃ参った……仕方ないな……この街での生活も悪くなかったが……」
|この姿《・・・》では万に一つの目も無いか。疾うに手段を選べる段階ではなく、青年は決断を下す。
「少年、君はちゃんとこのエリちゃんがご両親の下に届けるからね?」
青年の肩に乗せられていた金瑠の視点が一気に高くなる。
雪花石膏の如き白き機神。それが勇猛神機『エインヘリヤル』の本性。
襲い掛かる機動殲龍の攻撃を正面から弾き返し、その身が反動にぐらりと揺らぐ。
『不甲斐ない……これが|ロキ《序列九位》や他の仲間だったらもっと巧くやれたんだろうな……。
何考えてるか分からない事も多かったけど……皆、聡い子たちだったから』
容赦ない【エクスターミネイター】の連撃は体勢を立て直す隙を与えない。
リミッターを外した精鋭機にユーベルコードの強化を乗せた火力を一点集中で浴び続ければいつまで耐えられるか。
『まったく……こんな姿を見られたらなんて言われるか……』
如何な小細工も正面から叩き斬った嘗ての序列二位たる在り方と、未だ万全に程遠い現状は致命的に噛み合わない。
『……参ったねぇ……まだ力は戻っていないんだけど……何とか逃げ切れるか……?』
「……そういう訳にはいかないんじゃないかなお兄さん」
『って君何してるの!?』
エインヘリヤルの意識がオブリビオンマシンに向く隙にコクピットへ侵入していた金瑠。
万物を解析する【虚無の真眼】と僅かにでも可能性があれば60%の成功を約束する【虚無の天才】の合わせ技はこの状況にも活路を見出す。
機動殲龍の性能とエインヘリヤルの状態は粗方把握できた。
後は彼が金瑠を受け入れるだけだ。
「お兄さんまだ調子悪いんじゃない? 俺が動かすよ」
『むっ、これは……!』
機動殲龍の砲撃に先んじて距離を詰め、即断で拳を叩き込み体勢を崩す。
オブリビオンマシンが同士討ちを躊躇う事は無いが、状況の変化に対応するには僅かなラグが生じるものだ。
そのまま関節部分に腕を回して叩き折り無力化、速やかに乗り手を救出。
「うん、やっぱり人型だと感覚も掴みやすい。だけどもっとやれるよね?」
『……これが人を乗せての闘いか。凄いな……俺の力が引き上げられてる……!』
「キャバリアって人を乗せてこそじゃないの?」
至極単純な話、エインヘリヤルという機神は強いのだ。
今は機動殲龍の群れと無策で渡り合うような力こそ発揮できずとも、機体には依然圧倒的な性能が秘められている。
『そうだけど……君、何者?』
「ああ、一応俺も猟兵だよ」
『これが猟兵の力……』
猟兵がオブリビオンの存在を見逃さないように、オブリビオンもまた猟兵の存在を感じ取れる。
戦場を離れようとしていた彼等が機動殲龍たちに狙われたのも必然と言えたが、それはさておき。
結果論とはいえ敵を集められたのは好都合だ。
たとえ一人一人では厳しくとも金瑠とエインヘリヤル、二人の力が合わされば活路は開ける。
『少年、俺に力を貸してくれる?』
「うん、わかった」
『それじゃ行こうか――とうッ!』
至近に迫っていた機動殲龍の顎をアッパーの要領で打ち上げ、そのまま跳躍して砲撃を回避。
追撃は装甲で受け止めながら手近な瓦礫の上に着地、気合いの入ったポーズを決めて。
『覚悟するがいい民の平和を脅かす悪|鬼《機》共! 少年とこのエインヘリヤルが貴様等の暴虐を打ち砕くッ!!』
「……何それ?」
『うーん参ったねぇ……愛剣無しだと決めポーズも今一つ締まらないか』
コンディションは全盛期に比べれば瀕死にも等しい。
だが、共に立ち向かう仲間が居る。胸を張って戦うに足る理由がある。
斯くも高らかに名乗りを上げるのは何時以来の事か――遠い日々の記録を今はメモリーの奥に押し込む。
『ま、今の俺は久々に気合いに満ちているって事さ。頼りにさせて貰うよ少年!』
「任せて。しっかり助けるよ」
そこからの制圧に然程の時間を要する事は無かった。
二人が共に臨む戦いとしては最初の一戦、その戦果は華々しく。
大成功
🔵🔵🔵
ギルフォード・アドレウス
(ぐ〜っと背伸びをする)
あ〜〜漸く来たかぁ…暇すぎて死にそうだったよホントに、感覚覚えてる内にしばき倒しに行きますかね。
……ん〜そういや奴さんに名前聞いて無かったな。後、名乗った記憶もねぇ……まぁ、良いか。
と〜ぜん生身で行くぞ、と
UCは常時発動
相手取る機体に関してはさっき見てるし、何処のハッチを凍らせれば効率的に動きを阻害出来るかは把握済み。
そもそも的である俺は小さいから、速攻で足下凍らせて、あたふたしてる内に1体1体確実に無力化して行きますかね。
お? あそこ2体1になってるな?加勢してやろうかね。
(アンゼリカに対して加勢。不意打ち上等で敵機は無力化する)
お〜い!えっ……と駄目だ名前分からん。おい!さっきの人!!
(アンゼリカにコンタクト)
これコクピット何処?ハッチどれ?
中のパイロットは救出案件なんだろ?
さて、と
俺は暴走機体を判別出来る……って事はだ、ついて来い。
てか、機体の肩辺りに乗せてくんない?
……アンゼリカね、はいはいオボエタオボエタ
んじゃ行きますか
●出口見えない感情迷路に
「あ〜〜漸く来たかぁ……暇すぎて死にそうだったよホントに」
どこぞの木陰で転寝を決め込んでいたギルフォード・アドレウス(|終末機巧《エンド・オブ・マキナ》・f41395)は呑気に伸びを一つ。
演習場で発生したオブリビオンマシン化したキャバリアの暴走する気配が漠然と、しかし確かに感じ取れる。
確か戦う事になる機体はちょうど模擬戦で相手取った機動殲龍だったか。
臨戦態勢には既に切り替わっている。感覚を覚えている内に取り掛かるかと青年は起き上がって。
「……ん〜そういや奴さんに名前聞いて無かったな。後、名乗った記憶もねぇ……まぁ、良いか」
聞こえてくる破壊音、目視できる距離に暴れる機体。被害の拡大が随分と早い。
キャバリア自体の性能に加えオブリビオンマシン化によるリミッターの解除、ユーベルコードの影響もあるか。
いずれにせよ為す事は同じ、白刃を携え軽く地を蹴る。
「オブリビオンマシン化って言っても、今回は出来る事が増えてる訳じゃないんだろ。なら――」
搭載された兵装、どう運用するかは既に粗方把握している。
成程、【エクスターミネイター】の九倍攻撃とやらは威力・速度とも飛躍的に上昇させているのは確かだが。
「――これじゃ無人機の方がまだマシだな」
ギルフォードの【氷炎双舞】は炎と冷気を使い分けるユーベルコード。
先手を取って足元を凍結させ、対処しようとする間にハッチを固めて先の先を抑え続ける。
オブリビオンマシン化に伴い判断力の低下した搭乗者の技術を半端に利用したが故の粗末な動き。
或いは取り込まれたパイロット候補生のせめてもの抵抗と考えれば多少は格好も付くか、ともあれ本腰を入れて掛かれば一体当たりの無力化はそう時間を要するものでもない。
「お? あそこ2対1になってるな?」
同じ機体でもオブリビオンマシン化したものとそうでないものが混在する状況。
疑心暗鬼の毒というものだが、猟兵であるギルフォードの目には一目瞭然だ。ついでに単騎の方には見覚えもある。
「加勢してやろうか、ね!」
『っ……!』
二機同時とはいえ、他に気を取られている相手への奇襲ならともすれば単体と正面からやり合うより余程容易い。
手近な獲物から順に仕留め……そう言えば、と思い至る。
「お〜い! えっ……と駄目だ名前分からん。おい! さっきの人!! おっと撃つなよ、味方だ」
『いえ撃ちませんよ』
「そりゃ良かった。敵でもないのに同じ奴バラしたってつまらないからな」
『あのですね……』
「まぁいいや、これコクピット何処? ハッチどれ? 中のパイロットは救出案件なんだろ?」
『機体が停止したなら中からでも出られますが……この辺りだと流れ弾も少し心配ですね。出しておきましょうか』
「オーケー、そんじゃ此処に来るまで潰してきた奴らはまぁそのままでも大丈夫そうか」
アームを器用に使ってコクピットを抉じ開けるアンゼリカの見様見真似でもう一機の搭乗者を引っ張り出す。
流石に万全とは言い難い様子だが大きな外傷も無し、避難所には自力で向かえるらしい。
「さて、と」
『なんですかさっきの猟兵さん』
「ギルフォードだ。俺は暴走機体を判別出来る……って事はだ、ついて来い。てか機体の肩辺りに乗せてくんない?」
『はぁ……厄日ですね全くもう!』
重い嘆息。
一応は候補生の身で駆り出される義理も無い――という言い分はわざわざ無事だった機体に乗って自ら戦場に出ている時点で今更ではあるにせよ、それはそれとして気が滅入る話に変わりはないのだが。
貧乏くじを引いたものだと友人の顔を思い浮かべ、適当なシェルターでやり過ごしたい気持ちを飲み下す。
『心底不本意ですが代理とはいえ委員長の身ですから。学友の安全確保を怠っては不義理でしょう』
「よし、決まりだな」
キャバリアが身を屈めるまでもなく、ギルフォードはひらりとその肩に飛び乗って。
『言い遅れましたが、此方こそ御助力ありがとうございます。それと……』
「ん?」
『私の名前はアンゼリカ・ヴァーグナーです。あと妙な綽名や二つ名で呼んだらシメます』
「……アンゼリカね、はいはいオボエタオボエタ」
ひらひらと手を振ってみせれば溜息一つ。
律儀にアピールした辺りもしかすると大事にしている名前なのかもしれないが、今はさておき。
「んじゃ行きますか」
『振り落とされないでくださいね』
機動殲龍『戦火』は単体性能が高い分、そもそも学園に配備されている数自体が――他機体と比べて相対的に、ではあるが――多くはない。
アンサーヒューマンの瞬間思考力をフル活用した最短の鎮圧プランは犠牲者を出す事なく無事に完遂される。
『はいお疲れ様でしたギルフォードさんには国から報酬とか出るんじゃないでしょうか私は帰って寝ます』
「なーに、こっからが本番だぜ?」
最後の暴走機体に囚われていた候補生を対処に動いていた救護班に預けて一息。
身体を動かして鋭敏に研ぎ澄まされたギルフォードの感覚は、迫る桁外れの脅威をいち早く感じ取っていた。
……そして金色の機神が顕現する。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『天雷神機『ユピテル』』
|
POW : 神敵撃滅機構『神の拳』
【追尾する敵Lv×100発のロケットパンチ】が命中した対象に対し、高威力高命中の【パンチの集中攻撃から合体しての巨大鉄拳】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD : BXS万能攻防雷撃兵装『ケラウノス』
【ケラウノスより放たれる雷撃】が命中した敵を【全方位に放たれるプラズマスパーク】で追撃する。また、敵のあらゆる攻撃を[全方位に放たれるプラズマスパーク]で受け止め[ケラウノスより放たれる雷撃]で反撃する。
WIZ : 絶対秩序維持機構『天空の神』
【殲禍炎剣へ限定的なアクセスを行う事】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【殲禍炎剣による回避不能の砲撃】で攻撃する。
イラスト:柿坂八鹿
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「テラ・ウィンディア」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●GoldenTime~天雷降臨~
『ふん……猟兵の介入があったとはいえ、碌に掃除の役目も果たせんとはな』
碧色の稲妻が弾ける。
機動殲龍との激戦の余韻も冷めやらぬ内、傲然と姿を現すは|金色《こんじき》の機体。
天雷神機『ユピテル』――搭乗者を生体コアとし、己が意思のもと自律稼働する機神が一つ。
『まぁいい、邪魔者を誘き出す寄せ餌にはなった。貴様等を消せば俺様を阻むものは無い』
先に戦った機動殲龍『戦火』も少数精鋭をコンセプトとする強力な機体だった。
だが、神機シリーズ主神機を冠するこの神機は更に格が違う。
敵対者の殲滅など自分のみでも事足りるという自負があり、その傲慢に相応の力がある。
『畏れよ、そして滅びるがいい。不出来極まる醜い世界に蔓延る屑共が』
驕れる神の鉄槌を打ち砕け。
※場所は引き続き広大な屋外演習場。エリア内には山あり谷あり、ほぼ実際の戦場と同じ環境が広がっています。
特に指定無ければ一般学生たち(オブリビオンマシンに囚われていた者含む)の避難は完了しているものとします。
希望次第ではまだ避難対象が残っているシチュエーション等も可。
前章および以前のふーみーシナリオで交流したNPCも登場可能。
特に指定無ければ戦闘力は
[ボスには敵わないが猟兵を一度は敵UCから守れる][猟兵との連携次第では直接有効打も狙える]くらい。
ヴァル・ゼロ
強力な兵装、凄まじい威圧
これが、神機
上手くいくか分かりませんが、やるしかありません
ノイン准将、もう暫くご協力下さい
どうにかして、あの雷撃兵装を突破しなければ
[聖花機構]で雷撃を避けつつ射撃、まずはプラズマスパークの範囲を見極めます
反撃による雷撃も避ける必要がありますが、避け切れなくとも自分は本体さえ無事なら、射撃可能であれば何とかなるはず
プラズマスパークの範囲が判明したらもう一度射撃し、この時にノイン准将に前進いただき、範囲に微かに触れるようにして[叛逆の狼煙]をコピーし、敵への使用をお願いしたいです
同じ雷撃同士がどのような反応を示すのかは予想できません、ですがこちらの射撃が通る隙は生じるものと考えます
リミッター解除、到達できる最大出力での射撃を命中させます
自分は本体の冷却が間に合いませんし、ノイン准将も消耗しているはず
好機を逃せば次はないでしょう、この一発で決めます
●転がるように風を切って
敵対者を徹底的に打ちのめす強力な兵装、そして文字通りの|神《超越者》を想起させる得体のしれない威圧感。
ただ一機のキャバリアが、其処に在るだけで場の空気を支配する。
「……これが、神機」
脅威を肌で感じ取り、しかし退く事は出来ないとヴァル・ゼロ(試製収束荷電粒子砲・f44550)は理解していた。
ただでさえ機動殲龍のオブリビオンマシン化で主要戦力が打撃を受けた王都に、もはや神機に太刀打ちできる戦力は猟兵だけだ。
選択肢は一つ。確かな勝算など無いとしても、戦って打ち克つ以外の活路は存在しない。
「ノイン准将、もう暫くご協力下さい」
『身命を賭して臨む他あるまい。此処で処理できなければ王国は滅ぶぞ』
『度し難い愚行だな。俺様の力を理解していながら抗うか』
「っ、来ます!」
碧色の稲妻が視界を染め上げる。
緊急起動した【|聖花機構《ミルトス》】で加速し致命傷を回避、エネルギー弾を撃ち返す。
立て続けに襲い掛かる【BXS万能攻防雷撃兵装『ケラウノス』】は全方位に放つプラズマスパークとの二段構え。
天雷の圧倒的エネルギー量に物を言わせた力押しの極致、単純であるが故に崩し難い。
「範囲確認、完了……」
小さく咳き込めば黒煙が零れた。視界は疾うに機能していない。
|本体《BSニンシュブル》の備えた索敵機能と心眼で知覚を確保し、戦闘能力を維持。
同じ手を繰り返すだけで押し切れるだけの性能差が敵にはある。
此度もまた、躊躇っていられる猶予など無かった。
どのような手段だとしても。
「ノイン准将」
『……ああ。やるとしよう』
それは命を懸ける覚悟であり、懸けさせる覚悟。
ヴァルの射撃がプラズマスパークを誘発し、タイミングを合わせノインが前に出る。
『無駄な足掻きだ。量産機如きが今更――』
『――その量産機如きにお前は足元を掬われるのさ』
知っている。
超常の力を手足のように容易く扱う猟兵やオブリビオンに比べて、埒外ならざる事の非力は身に沁みている。
だとしても、こんな世界で今まで戦い抜いてきたのだ。
それが無駄ではなかったと言うなら応えてみせろと、自分自身に強く命じる。
ヴァルが見極めた効果範囲、そのギリギリに翳した銃身で神機の天雷を掠めとり――【叛逆の狼煙】は上げられた。
キャバリア自体に蓄積したダメージ、規格外の異能を行使する反動。
一つでも誤れば無駄死にで終わる幾つもの選択肢を、培った経験の全てを以て潜り抜ける。
『俺様の権能が人間如きの手に負えるものか! 自滅で以て贖え、盗人!』
『道は切り開く――ヴァル!』
二つのケラウノスがぶつかり合う。戦友に繋げる最初で最後の好機、単なる相殺に留めはしない。
崩れゆく機動殲龍の機体は破壊の余波を遮る盾に。
互いに打ち消し合う力が作り出す空白領域、その座標を調整し射線を作り出す。
「リミッターカット……出力限界を突破。|聖花機構《ミルトス》オーバーロード」
輝く青白色の余波は大輪が開くかのように。
真の姿――最適化、或いは根幹への回帰。
たとえ打ち捨てられ、忘れ去られたとしても、それでも彼女は平和を脅かす全てを消し去る事を望まれたのだから。
とめどなく湧き上がる力の全てを己が本体より解き放つ。
「BSニンシュブル。敵性存在抹消処理を実行します」
『チィッ……塵芥の分際で……ッ!』
撃ち抜き、そして薙ぎ払えば光は斬撃となり金色の装甲を斬り裂いて……|存在核《コアパーツ》の硬い手応え。
一息に振り抜けば断末魔を残し、破滅をもたらさんとした神機は爆炎と共に砕け散った。
大成功
🔵🔵🔵
サエ・キルフィバオム
アドリブ歓迎です!
視認した相手を殲禍炎剣で攻撃する、ね
なら視認させなきゃいいってことかな!
【トランディ・フォーム】の効果で視覚でのロックオンを回避して、攻撃を撃たせない事を徹底するよ
でもこっちも隠れる事に力を割くわけだから、攻撃力は足らないよね
無論、このままじゃ千日手だけど……、メルクの液体金属は変幻自在な事を思い知らせてあげる!
姿を隠したメルクが囮で、メルクの液体金属をあらかじめ付着させて隠蔽効果を与えて、視界に入らないよう別ルートで接近していたリーゼさん(とその派閥の人たち)の機体が本命の攻撃を叩き込むよ!
●激しい色を注いで
「視認した相手を殲禍炎剣で攻撃する、ね」
ユピテルの【絶対秩序維持機構『天空の神』】が利用する|殲禍炎剣《ホーリーグレイル》こそ、この世界を現在の形にした元凶の一つ。
現在もクロムキャバリアの空を支配し続けるその存在は、もはや単なる兵器の域にさえ留まらない。
ユーベルコードにより扱える火力次こそ未知数だが、下手をすれば人々の士気が完全に打ち砕かれる事も有り得る。
「なら視認させなきゃいいってことかな!」
『ほう……?』
サエ・キルフィバオム(突撃!社会の裏事情特派員・f01091)の【トランディ・フォーム】が放つ偽装信号は戦場全ての敵のロックオン及び敵性判定を無力化する。
出し惜しむ事無く猛威を振るわんとしていた殲禍炎剣の砲撃は標的を見失った事で不成立。
確かに目の前に存在しているのに認識できない。
術中に嵌った事を悟りながら、ユピテルは手品でも見せられたように嗤ってみせる。
『この俺様を欺くとは中々の性能だ。で? 貴様、その無理を通す為にどれだけの対価を捧げた?』
「さぁて、どれくらいだろう……ねっ!」
茨剣の斬撃はプラズマの攻性防壁に弾かれた。
攻撃をトリガーとする反撃戦法、ユーベルコードに依らないそれはサエの技量なら充分に対応可能だ。
敵機の装甲は堅牢だが、充分な分析が出来れば或いは崩す目もあるか。
――157秒のタイムリミット内で叶うかは別の話だが。
機神をして封じ込める程のユーベルコード、解除すれば今度こそ殲禍炎剣の砲撃が全てを焼き払うだろう。
しかし時間制限を迎えればその時点でサエを待つのは確実な死。
己の機能に絶対の信を置くからこそ、ユピテルもその事実を薄っすらと見通しているのだ。
「まー、攻撃力は足らないよね。無論このままじゃ千日手だけど……」
『精々足掻くがいい。己の無力を思い知るまでな』
「あなたにこそ、メルクの液体金属は変幻自在な事を思い知らせてあげる!」
自在に流動する|茨剣《メルズピナン》の攻撃と、それを唯一の手掛かりとして反撃を狙う機神の攻防。
サエが手を変え品を変え攻め立てるように、ユピテルもそれを上回らんと対応を最適化させていく。
だからこそ。
「気づけなかったかな――」
『――隙だらけですわよ!!』
『な、何ィッ!?』
機神の護りを力尽くに打ち破ったのは予想だにしない死角からの飽和火力。
ユピテルにはやはり襲撃者の存在を把握する事は叶わない。
メルク・フィクターが分け与えた液体金属による隠蔽を施された機動殲龍『戦火』の|一斉砲火《フルバースト》。
「いやー、それにしても集めたものだねぇ」
無事に避難していた生徒たちの駆るオブリビオンマシン化に見舞われなかった機動殲龍。
猟兵に比べれば取るに足りずと捨て置かれた彼らを率いるは真紅の機体。
『破壊力とは即ちエネルギーの総量。このリーゼ・トビアス・フォン・シュトライヒが率いる以上、
機神と言えど棒立ちのキャバリア如き! 打ち破れぬ道理はありませんことよ!! おーっほっほっほ!!!』
『馬鹿な、この俺様が塵芥如きにッ……おのれおのれおのれェェェッ!!』
通常兵装一つ辺りの出力はオブリビオンマシンのそれに及ばずとも、束ねればユーベルコードにさえ届き得る。
それを実現する為の機動殲龍という機体の習熟に於いてリーゼの右に出る者はそう居ない。
先の襲撃から護り通した学生の協力とサエの陽動、積み重なり作り上げられた逆襲劇。
幕引きは大勝利に相応しい、とびきり盛大な爆発に締め括られて。
大成功
🔵🔵🔵
エドゥアルト・ルーデル
ハユハ氏コクピット入れてくだちぃ
笑顔チャンスを逃したならもう間近にいるしかないじゃない!という訳でしょうもない敵はほっといてコクピットに侵入!座席の後ろへ!
共同作業ですぞ!拙者は助言する妖精みたいなもんだからお気遣いなく戦闘機動して頂きたいッ!
誰かが言いました
人はどう生きるかじゃない、どう死ぬかだと
でも今日じゃないでござるスピーダッ
サンデヴィスタは効果の付与…つまり対象を拙者以外に広げハユハ氏と機体に付与したって良い
機体の負荷やらは電脳魔術で何とでもなるから好きにやりな…敵の思考も雷撃さえも置き去りにして|光の世界を走り《エッジランナー》敵を討つんでござるよ
戦うハユハ氏も可愛いよぉ…
●その意味を刻むなら
「ハユハ氏コクピット入れてくだちぃ」
『乗るならはやく』
「新鮮な合意だぜひゃっほう!!!」
ユピテル登場演出中の早業だった。
何やら彼なりの神機たる矜持や使命感が滲む名ムービーが流れていたようだがこのエドゥアルト・ルーデル(黒髭・f10354)、1ミリも聞いていないのである。これが|需要《ニーズ》という|現実《リアル》。
コクピットに侵入した黒髭は気持ち二頭身になって座席の後ろへ。
「共同作業ですぞ! 拙者は助言する妖精みたいなもんだからお気遣いなく戦闘機動して頂きたいッ!」
「……うん」
言葉少なに応えるニーナは機動殲龍と神機の性能差を理解している。
暴走機体に囚われていた搭乗者たちの救助という形で離脱させた|妹達《ハユハシスターズ》が巻き込まれる心配は無い。
問題は敵機を最低でも撤退以上にまで追い込まなければそれも無為となる事。
|黒髭《エドゥアルト》は、まぁ。巻き込まれても大丈夫そうな気がしたので乗せたが……。
回避に徹すればダメージを抑える事はできる。しかし逃げるだけではジリ貧だ。
『無様だな。惰弱にして無意味、だと言うのに無駄に足掻く……その一秒一秒が過ちだという事も解らんか』
「ちがう」
ニーナに敵と問答をする意図があった訳ではない。
侮蔑に対する怒りとも少し違う。その言葉は否定しなければならないという、使命感に近い。
こうして保護される前から薄々気付いていた。
積み上げられた|犠牲《失敗作》の山、ヒトを量産可能なモノに貶める冒涜――自分たちが|生まれた《製造された》事は間違いだと。
それでも。
「生きていることは、まちがいじゃない……!」
『だから愚かだと言うのだ!』
中距離から放ったレーザーに【BXS万能攻防雷撃兵装『ケラウノス』】が反応する。
ユーベルコードによるプラズマスパークは対処しようともこれまでの小競り合いとは段違いのダメージを押し付け、強制的に作った隙を必殺の雷撃は逃がさないだろう。
結局は絶対的な力の差だ。
ただでさえネジの外れた神機に、通常規格の機動殲龍で太刀打ちできるものではない。
「誰かが言いました――人はどう生きるかじゃない、どう死ぬかだと」
不意にそれまで特等席の眺めを満喫していたエドゥアルトのナレーションが入る。
成程、確かに状況は絶体絶命と言っていい。
「でも今日じゃないでござるスピーダッ」
「!」
台詞の最後は若干巻き気味に詠唱&ユーベルコード起動。効果は瞬時にして劇的だった。
【|SAN Device《サン・デヴァイス》】がもたらすのは行動速度を160倍近くに跳ね上げる一方で体感時間を同等分の一にする超加速。
「私にも……雷の動きが見える……!」
「機体の負荷やらは電脳魔術で何とでもなるから好きにやりな……」
降って湧いた勝機、実のところ何が起きているかもよく分からない今この時だけの夢のような力。
ある意味では黒髭の術中に嵌り親しい隣人として認識しつつも|謎《不審》に満ちた|猟兵《エドゥアルト》にも似ている、ような。
ふと脳裏をよぎるのは襲撃前に過ごした訓練(?)の時間。
今はまぁいいか、と。あの時のようにエドゥアルトの|手腕《セッティング》を受け入れる。
「敵の思考も雷撃さえも置き去りにして|光の世界を走り《エッジランナー》敵を討つんでござるよ。|サン《San》|デ《de》|ヴィスタ《vista》!」
「おじさま……うん。サンデヴィスタ!」
速さは重さ、即ちそれ自体がエネルギーだ。
プラズマスパークに迎撃されるならその上から更に押し込み、追撃のケラウノスはそれ以上の速度で躱す。
機体の性能に物を言わせた攻防一体の突破が今のニーナたちには叶う。
狙いは|存在核《コアパーツ》ただ一点。
鋼鉄の竜爪は先行放電ごと切り裂き、零距離から腕部搭載の機関砲を叩き込み、流れるように竜尾で薙ぎ払う。
「うーんGirl On Fire……戦うハユハ氏も可愛いよぉ……」
「これで……おわり……!」
最大火力の荷電粒子砲が決定打となった。
白光に貫かれた箇所から金色の機体に広がっていく亀裂。
エドゥアルトがユーベルコードを解けば正常に戻った時間流の中、神機は怨嗟を残し砕け散って。
「……おじさま……」
「ハユハ氏……」
「こっちも爆発しそうなのだけど」
「決着もついたし電脳魔術の維持もめんどくなってな……」
超加速・超機動・超出力の反動に通常機体では本来、到底耐えられる筈も無いのだ。
即ち。
爆発オチであった――。
大成功
🔵🔵🔵
防人・拓也
「あれは…父上!?」
ルイーズがそう言い、ユピテルが反応を示す。ユピテルはミネルヴァもといルイーズとメルシーの父親だったな。
「父上…もうお止め下さい! 私達、神機が治める時代はもう終わったのです!」
とルイーズが言うが、ユピテルは耳を貸す事無く、攻撃。
「くそっ!」
拓也はルイーズをかばい、搭乗していた戦火に攻撃が直撃。拓也は機体の爆発前に脱出。
「ユピテル…お前は娘に対しても容赦なく牙をむくか! その行い、ルイーズの主として見過す訳にはいかない! 来い、リベレーションゼロ!」
と指をパチンと鳴らすと、どこからか灰色の機体が拓也の前に飛来し、拓也が搭乗すると電磁防壁が機体装甲全体に展開し、本来の機体の色になる。
「ユピテル、お前に見せてやる。人類の可能性の光ってものを!」
と言い、指定UCを発動。機体が緑色のサイコフィールドに包まれる。
敵の攻撃は回避かサイコフィールドで弾き返し、反撃としてファンネルを自機の周囲に展開し、全11門のフルバーストアタックを放ち、止めにビームサーベルで斬る。
アドリブ・連携可。
●過ちの船に揺られて
『あれは……父上!?』
『ミネルヴァか。貴様まで人間などに|現《うつつ》を抜かすとは嘆かわしい』
(……そうか。酷なものだ)
ユピテルはミネルヴァもといルイーズとメルシーの父親だったか、と防人・拓也(奇跡の復活を遂げた|原初の魔眼《ゼロノメ》の開眼者・f23769)は思い至る。
片や猟兵に与する者、片やオブリビオンマシン。こうして|見《まみ》えた以上、親子であれ激突は必定。
『父上……もうお止め下さい! 私達、神機が治める時代はもう終わったのです!』
『馬鹿を言うな、我々神機はこうして不滅! それに引き換え世界に蔓延る人間共の無様が分からんか!
たかだか百年で老いさらばえて死ぬような下等種に色惚けて隷従するなど……恥を知れ恥を!』
『父上……ッ!』
『黙らっしゃい! 俺様は、俺様は情けないぞミネルヴァ! 神機の誇りはどうした!!』
「くそっ!」
やり取りこそ聞き分けの無い親父の癇癪のようだが、天雷神機の一斉砲火は洒落にならない。
搭乗していた戦火を駆り咄嗟に割り込んだ拓也に稲妻が直撃し、機体はひとたまりもなく爆散する。
そこに一切の加減は無い。もしルイーズが被弾していれば無事では済まなかっただろう。
「ユピテル……お前は娘に対しても容赦なく牙をむくか! その行い、ルイーズの主として見過す訳にはいかない!
来い、リベレーションゼロ!」
爆発の直前に脱出した拓也が指を鳴らすと何処からか飛来する灰色の機体。
コクピットに主を迎えれば電磁防壁が機体装甲全体に展開し、本来の色彩を露わにする。
『神機のオブリビオンマシン化は面倒だが愚女の躾も親の務め。貴様は死ぬがいい、猟兵!』
「ユピテル、お前に見せてやる。人類の可能性の光ってものを!」
襲い来るは【神敵撃滅機構『神の拳』】。
万を優に超えるロケットパンチの雨に拓也は【|勇敢なる意思の奇跡の極光《ブレイブ・ミラクル・オーロラ》】を纏い加速する。
一撃掠るだけでも集中攻撃に繋がる凶悪な追尾物量攻撃。
強化された機動力と反応速度による回避、緑色に光るサイコフィールドの防御で切り抜けていく。
『ならば見せてみるがいい! 無意味な足掻きが水泡に帰す死に様をなぁ!』
(サイコフィールドへの命中では反応しない。本体を捉えるまで集中攻撃の起動は奴の任意か……だが)
「この力は伊達じゃない!」
サイコフィールドの出力を上げてロケットパンチを振り払い生じた刹那の空隙にLZフィン・ファンネルを展開。
全11門のフルバーストアタック、狙いを絞ったそれはユピテル本体への血路を切り開く。
『おのれ、何故だ! 教訓を忘れ、過ちを繰り返し、自滅する愚劣共の分際で! どの面を下げて俺様に盾突く!』
「決まっている……!」
好機は一瞬。勿論、逃がしはしない。
専用ビームサーベルを抜刀、最高速度で肉薄。
「それでも護りたい世界があるんだ――――!!」
『認めんぞ、俺様は……必ず……ッ!』
その一閃は天雷神機のコアパーツを捉え鋭く両断。
存在を維持できなくなったユピテルは断末魔を残し、この世界から消え去るのだった。
大成功
🔵🔵🔵
カシム・ディーン
「ご主人サマー☆ユピテル様だよ☆ユピテル様が来てるよ☆」
また彼奴か
よぉドスケベ神機
そもそもおめー自体が頭おかしいぽんこつの癖に世界を滅ぼすとか舐めてんのか?
「ユピテル様おひさ☆」
フランツィスカは避難支援とか後は紫煙攻撃等お任せ
【情報収集・視力・戦闘知識】
敵機の動きとこれまでの交戦記録から差異も把握
【属性攻撃・迷彩】
光水属性を機体に付与
光学迷彩で存在を隠し水の障壁で熱源隠蔽
水は純水で電気を通さない
【念動力・弾幕・スナイパー・空中戦】
UC発動
超絶速度で飛び回りながら念動光弾を叩き込み動きを止めて
【二回攻撃・切断・盗み攻撃・盗み】
鎌剣で切り刻み武装とか金目の物は容赦なく強奪
金ぴかなら金になるだろ
●滑稽なんて嗤いあって
『ご主人サマー☆ ユピテル様だよ☆ ユピテル様が来てるよ☆』
「また彼奴か」
こうした事件での相対は三度目になるか。
嘆息一つ、油断無く意識を研ぎ澄ませつつカシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は睨めつけた。
『ユピテル様おひさ☆』
『相変わらず見るに堪えん痴態だな。酔狂で済む域を超えているぞ』
「よぉドスケベ神機。そもそもおめー自体が頭おかしいぽんこつの癖に世界を滅ぼすとか舐めてんのか?」
『ふん……人間如きに神の意を解する事が叶う筈もあるまい。喜べ。その愚昧、死を以て償う慈悲をくれてやろう』
戦闘に備えた仕込みと共に周囲の状況を確認する。
フランツィスカや鎮圧したオブリビオンマシンの搭乗者含め、周囲に人の気配は無い。
建物はともかく、神機がその性能を存分に振るい暴れようと周辺被害の心配はせずともよさそうだ。
「さて、と……」
展開するは先の戦いでも機動殲龍を翻弄した光と水のステルス。
同時、ユピテルの性能を見誤らぬようその一挙手一投足を注視する。
『ふん、弱小らしい小細工だ。身の程を知るがいい!』
「成程な、今回はゴリ押しか……! 知能指数下がってんじゃねぇのかぽんこつ!」
恐らく隠蔽そのものは通じたと見ていい。対するユピテルの一手は全方位爆撃。
電撃を遮断する純水の障壁は単純なエネルギー量で消し飛ばされ、環境情報の変動から隠蔽は力尽くに暴かれる。
不穏に空気を震わせるは【BXS万能攻防雷撃兵装『ケラウノス』】。
ユピテル本体の機動力こそ常識の範囲内だが、放つ雷撃の速度と範囲は絶対的だ。
無論、威力も。
『精々喚け。下等種らしい見苦しさも死に様なら笑い物にはなる』
「偉ぶってんじゃねぇぞ節穴ッ……加速装置起動、メルクリウス!」
『了解だよご主人サマ♪』
雷撃より猶も速く、【神速戦闘機構『|速足で駆ける者《ブーツオブヘルメース》』】を起動したカシムたちは超絶速度で先行放電を掻い潜る。
埋めるべきピースはあと一つ。
捕捉されぬよう旋回しながら念動光弾を放たんとして――ぐらりとユピテルが体勢を崩す。
『ぬ――小癪!』
「隙ありだぜぽんこつ!」
機体の脚部に絡みついていたのは迷彩を施された鋼の縛鎖。
攻撃力は無い。神機からすれば羽虫が止まったようなものだろう。
その横やりはただ、馬鹿力で鎖を引いただけの事。
天雷が拘束を焼き切るのにコンマ秒、体勢を立て直すのに数秒。神機が繰り広げる高速の攻防に間に合う筈も無い。
不完全に放たれたプラズマスパークを純水障壁で阻み、畳み掛ける念動光弾で更に押し込む。
『邪魔立ては御容赦を。足元がお留守だったもので』
「良い仕事です。おかげで詰みだ」
|伏兵《フラン》の短い通信に笑って応える。もはや巻き返す機会は与えない。
絶え間ない念動光弾で反撃を誘発、不完全な体勢から強引に繰り出されるプラズマスパークは純水の障壁とメルクリウスの高速飛行で切り抜ける。
被弾してしまえば先行放電とは比べ物にならない速度を誇るケラウノスの餌食だが、それもコンボの前提となるプラズマスパークを封殺してしまえば攻防一体は瓦解する。
幾度となく閃くは不死殺しの鎌剣ハルペー。
神機の装甲を物ともしない切れ味は健在、容赦なく削り取り奪い尽くしていく。
「金ぴかなら金になるだろ」
『おのれ、卑しい盗賊如きが……ッ!』
「存分に吠えていいぞ負け犬。毎度あり、だな!」
集中を切らさず、動きを違えず、後は見通した勝ち筋をなぞるだけ。
終わってみれば今回も良いカモだったと残骸を不敵に見下して。
大成功
🔵🔵🔵
皇・金瑠
単独行動
難易度ハード
「あれはユピテル様だ!」
何だかエリちゃんと雰囲気が似てるね?
若しかして同系列の機体なのかな?
「あの方は第二世代神機シリーズの主神機だねぇ…そういえば少年、君の名前は?曲がりなりにも俺を使いこなしているからね。教えてくれるかな?」
うん?おれは金琉…皇・金琉だよ。今のおれの事はお父さんには内緒だよ?
「金琉君だね?了解したよ。」
機神対峙
「初めましてだな!俺は勇猛神機『エインヘリヤル』!叡智皇こと界導神機『メルクリウス』が一子!貴方の孫にあたるかな?」(武装形状は斧剣
虚無の真眼発動中
敵機の動きとロケットパンチの動きも把握
【グラップル・リミットブレイク】
「…一つ権能が戻った。これも猟兵の力かな…?」
UC発動
「今の俺はちょっとばかり硬いぞ大祖父殿!」
という訳で襲いかかって斧剣でぶつかり合う
大丈夫エリちゃん?
この人強そうだけど?
「何…強敵相手に打ち勝ってこそ英雄って奴さ!」
それならおれも出来る事はしようかな
常に状況を把握して…その上で正面から格闘戦を仕掛けぶつかりあう
●銀河の星の粒のように
『あれはユピテル様だ!』
「何だかエリちゃんと雰囲気が似てるね?」
遂に姿を現したその機体に、皇・金瑠(灼滅者の殺人鬼・f44018)を乗せた|神機《エインヘリヤル》の方が大きく反応を示した。
ユピテル。幾つかの世界では神話体系の長として語られる名の一つだったか。
「若しかして同系列の機体なのかな?」
『あの方は第二世代神機シリーズの主神機だねぇ……
そういえば少年、君の名前は?曲がりなりにも俺を使いこなしているからね。教えてくれるかな?』
「うん? おれは金琉……皇・金琉だよ。今のおれの事はお父さんには内緒だよ?」
『金琉君だね? 了解したよ』
往々にして神秘は古い程、技術は新しい程に強い傾向があるものだが……果たして神機はどちらに当て嵌まるのか。
例外だらけの猟兵とオブリビオンに於いては然して意味も無い思案を放り捨て、二人は金色の機体と対峙する。
『話は済んだか』
『初めましてだな! 俺は勇猛神機『エインヘリヤル』!
叡智皇こと界導神機『メルクリウス』が一子! 貴方の孫にあたるかな?』
『天雷神機『ユピテル』。身の程も弁えず蔓延る下等種共を一掃し、正しき世の礎を築く者だ』
名乗りには名乗りを返しながらも、両者は既に臨戦態勢。
片や今の世界を滅ぼさんとするオブリビオンマシン、片や人々を守護すべく猟兵と共に立つ機神。
その行動原理は根本からして徹底的に相容れない。
『武力も勇猛も正しきを為してこそ意味があるもの。人間如きに与するなど言語道断!』
『だからこそだ! 俺が貴方を止めてみせるッ!!』
『思い上がるなよ愚か者めッ!』
武装の性質上、先手を取ったのはユピテル。【神敵撃滅機構『神の拳』】が放つ一万三千と六百のロケットパンチは追尾機能を以て一斉に金琉たちへと殺到する。
「解析――……」
振り切る事はほぼ不可能。一撃掠めるだけでも集中攻撃に晒され、とどめの一撃を受ければ一巻の終わりだ。
打つ手は無いのか?
否。
金琉の【虚無の真眼】には、か細くとも零ではない勝算が視えている。
「エリちゃん、力を貸してくれる?」
『勿論だよ金琉君。……一つ権能が戻った。これも猟兵の力かな……?』
直後、被弾。
全方位から叩き込まれた拳打が爆風を巻き起こし、歯向かう者を消し飛ばさんと巨大鉄拳が振るわれる。
『よもや正面から受けるとはな。呆気ない最期――』
『モード「ヘラクレス」……あらゆる刃を防ぐ獅子の毛皮の力を此処に示そう。
と言う訳で今の俺はちょっとばかり硬いぞ大祖父殿!』
『なにィッ……!?』
極大威力を誇る神の拳が真っ向から掴み取られ、打ち砕かれる。
土壇場で目覚めた【|半神英雄機構『獅子の毛皮《フェイクファーオブネメアー)》』】の護りを以てしてもダメージは甚大。
だとしても尽きる事を知らないエインヘリヤルの闘志は機体の損耗さえ補って最高速度を叩き出し、斧剣を携え猛る獅子の如くに襲い掛かる。
「大丈夫エリちゃん? この人強そうだけど?」
二度目は無い。インファイトに持ち込むのは必須条件だ。
その上で猶も一秒とて気を抜けない天雷の武装と白兵性能。
限界の超越はリスクと隣り合わせ。ダメージの蓄積や超出力の反動、タイムリミットはそう遠くない。
『何……強敵相手に打ち勝ってこそ英雄って奴さ!』
「そっか。それならおれも出来る事はしようかな」
出来る事、出来ない事。敵の狙い、有利な要素、不利な要素。
エインヘリヤルに任せては正面から当たって砕けるばかりの状況を読み切り、有り余る力が正しく流れを制するよう手綱を握る。
勝てない相手ではない。
後は勝つだけだ。
『馬鹿な……!? 武装も、顕現強度も、全て俺様が上回っていた筈だ! いや上回っていた! 何故……ッ!』
『機体の性能差が勝敗を分かつ絶対条件ではないさ!』
最後の攻防。
力任せの格闘でガードを崩し、振るう斧剣に残された力の全てを込める。
「決めるよ、エリちゃん」
『征くぞ少年! 大祖父殿、覚悟ッ!!』
そして――渾身の一撃は第二世代主神機を打ち砕き、死闘に計算通りの幕を下ろした。
大成功
🔵🔵🔵
皇・絶華
難易度普通
(時空が歪み出現する機神
「やっぱりだ…!この気配…魔力反応…!」(怒り狂う機神
おお、知ってるのかさっちゃん
「彼奴は…メルクリウスの野郎と同等に許せねぇクソ野郎です!此処は俺に任せて下さい!」
おお、さっちゃんがやる気なのは良い事だ
【戦闘知識】
敵機の動きや電撃の性質を把握
「てめぇユピテルぅ!この俺を差し置いて神機の王…神機シリーズ第一世代の主神機たる俺を差し置いて主神機とはいい度胸してやがるなごらぁ!!」
【念動力・空中機動・弾幕】
UC発動
超高速で飛び回り次元転移を繰り返し電撃を回避
念動光弾を乱射し蹂躙
【二回攻撃・切断・貫通攻撃】
「てめーに格の違いを教えてやらぁ!そんなちゃちな電撃で防げると思うんじゃねぇぞごらぁ!」
鎌剣でユピテルの空間毎切り刻みにかかる!
【爆破】
ユピテルといったな!お前がこのような事をするとはパワーが足りないからだ!今こそ圧倒的なパワーを授けよう!
「ぇ?ぬ、主様!?いや…ユピテル…てめぇに俺の地獄を味合わせてやる!」
真・ぜっちゃんチョコ捻じ込み捻じ込み(どかーん
●虫食い跡の残骸に
『やっぱりだ……! この気配……魔力反応……!』
「おお、知ってるのかさっちゃん」
時空が歪み姿を現したのは一体の機神。
皇・絶華(影月・f40792)と直接の因縁は無かった筈だが、彼の駆る連環神機『サートゥルヌス』は違ったらしい。
『彼奴は……メルクリウスの野郎と同等に許せねぇクソ野郎です! 此処は俺に任せて下さい!』
『下等種の下僕に成り下がった貴様こそあの愚女と変わらんだろう。恥晒し同士で勝手に潰し合っていろ』
『おーけー余程後悔させられたいようだなごらぁッ!!』
「おお、さっちゃんがやる気なのは良い事だ」
他人事と言えば実際他人事なのだがサートゥルヌスの事なら全くの無関係とも言い難い。
当|人《機》の希望通りメインは任せつつ、絶華も戦闘に備えコクピットから敵機の分析に務める。
『てめぇユピテルぅ! この俺を差し置いて神機の王……
神機シリーズ第一世代の主神機たる俺を差し置いて主神機とはいい度胸してやがるなごらぁ!!』
『ハッ、笑わせるなよ倒錯者! 神たる務めも果たさず主神面など厚かましいにも程があるわ!!』
激突――いや、正確には少し違う。
正面から相手の領分でぶつかる愚を犯す事は互いに無く、【|亜空間戦術級制圧機構『巨神の王』《キョジンゾクノオウ》】と【BXS万能攻防雷撃兵装『ケラウノス』】の攻防が攻防両面で鎬を削る。
『てめーに格の違いを教えてやらぁ! そんなちゃちな電撃で防げると思うんじゃねぇぞごらぁ!』
『そういきり立つなよ無能。無力を晒す未来は決まっているのだ、自ら下品と愚劣まで加える事も無かろう!』
次元転移による特殊機動に対する稲妻の速度。
念動光弾の手数に対するプラズマスパークの制圧範囲。
空間毎切り刻む鎌剣ハルペー2の切れ味と次元さえ貫くケラウノスの破壊力。
僅か数秒の間に膨大な読み合いを繰り広げ、互いの手札はほぼ互角であるが故に戦況は拮抗する。
拮抗。
両者一歩も譲らないからこそ、それ以上の要素に対処する余力も無い。
「ユピテルといったな!」
『ぇ? ぬ、主様!?』
ヒト一人が声を上げたところで気にも留めないユピテルとは対照的に、サートゥルヌスはこの時点で何かを悟る。
悟ったところで出来る事など無いのだが。
「お前がこのような事をするとはパワーが足りないからだ! 今こそ圧倒的なパワーを授けよう!」
『ほう? 言うに事欠いてこの俺様によく世迷言を吐いたな下等種ッ!』
売り言葉に買い言葉、ユピテルに響いたのは口上のどの辺りだろうか。
前世代主神機との戦闘中という状況もある。持ち前の傲慢と、無知ゆえの無謀もある。
一つ確かなのは、受けて立つという選択が彼にとって最大の誤りだった事だろう。
『いや……ユピテル……てめぇに俺の地獄を味合わせてやる!』
機神がどこから摂取したのかはともかく、捻じ込まれたのは絶華がチョコと呼ぶ超世界複合劇物。
効果は劇的だった。
示した作用は毒か呪いか、金色の機体は形容し難い苦悶と共に腐り爛れて崩壊していく。
「――爆ッ!」
『■■■■■■■■■■■■■■■■■――――――!!』
犠牲が敵であるユピテルに留まっただけ、今回はマシな結末だっただろうか。
大成功
🔵🔵🔵
皇・銀静
他猟兵と共闘なし
機神搭乗
「主ー☆ユピテル様がいるよ☆グリムちゃんと同じ主神機がいるよ☆」
…お前と微妙に似てるな此奴…
難易度普通
【戦闘知識】
敵の動きと構造を冷徹に把握
「ユピテル様は初めましてかな☆私はグリームニル☆貴方の子のメルクリウスの一子だよ☆そして…第三世代神機シリーズ主神機だよ☆(尚非公認」
つまり此奴はお前らの親玉みたいなもんか
ダークネスの幹部クラス以上の気配…きひっ…成程…叩き潰しがいがあるな
「その意気☆」
【属性攻撃・空中戦・功夫・二回攻撃・切断・念動力】
UC発動
超絶速度で飛び回り絶対必中の念動光弾を叩き込む
更に魔剣による斬撃から槍による刺突による猛攻を仕掛ける
敵の反撃は未来予測による回避と電気を通さない純水の障壁を展開して防ぎながらも…それでも貫通し痛みは全て捻じ伏せ激しくぶつかり合う
「こういう泥臭い戦いってのもまたおつなものだねお爺サマ☆グリムちゃんも何だか楽しくなってきたぞ☆主もでしょ☆」
はっ…お前に言われるのは腹立たしいか…確かに此奴は強い…楽しませて貰おうか!
●バベルの階段を
『主ー☆ ユピテル様がいるよ☆ グリムちゃんと同じ主神機がいるよ☆』
「……お前と微妙に似てるな此奴……」
機神が顕現を果たした死地、同じく機神たる絶対神機『グリームニル』と共に現れたのは皇・銀静(陰月・f43999)。共に黄金の装甲を纏う機体が相対する中、銀静は構わず敵機の分析を開始する。
『ユピテル様は初めましてかな☆ 私はグリームニル☆ 貴方の子のメルクリウスの一子だよ☆
そして……第三世代神機シリーズ主神機(尚非公認)だよ☆』
『……まったく、嘆かわしい有様だ。近頃の若輩共は……』
言葉の途中で次世代に限った話でも無かった事に思い至り深い嘆息。
ある意味ではユピテル自身も相手の事を言えたものではないのだが――いや、人類を認めないオブリビオンマシンという点で言えば決定的に異なるか。
『天雷神機『ユピテル』。短命脆弱愚昧な人間共を一掃し機神の世を築く者。
下等種如きに与するならば、貴様も我が粛清の雷撃より逃れる術は無いと知るがいい!』
「つまり此奴はお前らの親玉みたいなもんか」
実のところ、その主義主張に銀静は然して興味も無い。
彼の琴線を刺激する要素は一つ。
「ダークネスの幹部クラス以上の気配……きひっ……成程……叩き潰しがいがあるな」
『その意気☆』
本来なら到底、人の身で敵う存在ではない。
グリームニルと力を合わせたとしても、|オブリビオン《世界の敵》として十全の力を振るう相手への勝算は如何程か。
だからこそ――決まりきった未来を覆すから良いのだと不敵に笑う。
「グリム……お前の力を見せてみろ」
『分かったよ主☆ グリムちゃんの凄い所みせちゃうよ☆』
『死出の支度は充分か。天雷の名に於いて鉄槌を下すッ!』
瞬き程の間に繰り広げられた攻防は無数、|未来予測《シミュレート》上の読み合いも含めれば万、億にも迫る手札がぶつかり合う。
必中の念動光弾が絶対防御を誇るプラズマスパークとぶつかり合い、15300km/hの超絶速度を捉えんと碧色の稲妻が狩り立てる。
純水障壁も全方位を襲うスパークになら蒸発前に僅か食い止める程度には機能するか。
余波だけでも対処を誤れば致命傷をもたらす【BXS万能攻防雷撃兵装『ケラウノス』】の雷撃を掻い潜り、最大限の【|絶対戦術機構『勝利の神』《アイオブオーディン》】を以て魔剣と大槍の猛攻を叩き込む。
分析と防御、いま尽くせる限りの手段は万全。
その上で無視できない程の痺れが、刺すような苦痛が、血肉を焦がす電熱が蓄積していく。
成程、機神に比べれば人の身は確かに脆い。
だが――ユピテルが見下す程に弱くもない。
『こういう泥臭い戦いってのもまたおつなものだねお爺サマ☆』
『チッ、|不埒者《ミーハー》め。享楽の為に俺様を阻もうとは度し難い……!』
『グリムちゃんも何だか楽しくなってきたぞ☆ 主もでしょ☆』
「はっ……お前に言われるのは腹立たしいが……」
口角が上がる。一方的な蹂躙でなく、己が力の全てを振るうに能う死線。
一進一退の攻防は、自分の選択が少しずつ勝利を引き寄せている実感を与えてくれる。
「確かに此奴は強い……楽しませて貰おうか!」
『格好良いとこ、たくさん見せてね主☆』
『この不敬は高くつくぞ貴様ら……ッ!』
一秒が何倍にも引き延ばされたかのような感覚。
神経細胞一つ一つが燃え立つような――電熱に焼かれている以上、|強《あなが》ち錯覚とも言いきれないが――極限の集中。
時間の感覚も曖昧に溶ける頃、いつ終わるとも知れない死闘は唐突に終わりを告げた。
何度目かも分からない魔剣の斬撃がユピテルを停止させ、大槍の追撃は金色の機体を打ち砕く。
勝者もまた満身創痍でありながら、機神たる少女の快哉は高らかに。
大成功
🔵🔵🔵