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Saint Triangulum

作者：黒代朝希

　――『聖女』アリス。
　人狼騎士団最高幹部『人狼十騎士』が一人の生き残りであり、現在はヨーロッパの「人狼騎士団」の指導的な立場にある女傑……かつては凶悪極まる洗脳により原初の吸血鬼『伯爵』の配下となっていた過去があるが……
「そんな過去すら複製体として再現する……ですか」
　アリスは嘆息しながら銀誓館学園に指示を出す。
　乗り越えた過去すら再現する……それがシルバーレインのオブリビオンの特徴だ。
「ですが……都合よく書き換えられていますね」
「アリス様が……従わされていたのは『伯爵』の筈。しかし……」
「――ええ、ハビタント・フォーミュラに忠誠を誓っている様です」
　あえて誰がとは言わないが……実に都合の良い改竄だ。
　まるで、歴史を書き換えて上書きせんとする筋書きの様に。
「しかし、このままでは人狼騎士の面目も経たないというもの」
「では……」
「銀誓館学園協力のヴァンパイア組織に通達を」
　――これより『死と隣り合わせの青春』を生き抜いたアリス自身が、人狼騎士とヴァンパイアを率いて『アリストライアングル』を攻略する事となる。

「洗脳されていた当時の状態で複製されたアリス様のオブリビオンゴーストは、多数のオブリビオンの群れを日本各地のそれぞれ遠く離れた都市3つ……那覇、広島、仙台の三つの主要都市に展開させ、オブリビオンゴーストが殺戮した人々の命をリソースとして「何らかの魔術儀式」を行おうとしています」
　儀式の詳細は不明――しかし『ハビタント・フォーミュラに何らかの力を与えるもの』である事は間違いないだろうとフレスベルク・メリアグレース（メリアグレース第十六代教皇にして神子代理・f32263）は断言する。
「複数都市に跨る虐殺も、ハビタント・フォーミュラの戦力強化も見過ごすわけには行きません……悪路王陛下もマヨイガの力を貸してくれるそうです」
　その力を使えば、グリモアベースを経由せずとも各都市間の長距離を一瞬で移動することが可能――3つの都市で同時に戦いを並行する三方面作戦となるが、その位は銀誓館学園の能力者も『六番目の猟兵』にとっては――
「虐殺を阻止した後、複製体のオブリビオンの方の拠点は「大逆門」と呼ばれる封印によってこちらの侵入を阻んでいます」
　3都市それぞれで大逆門の維持儀式を執り行っている除霊建築士のオブリビオンを見つけ出し撃破。
　撃破する事自体は問題ないだろうが、そのユーベルコードが厄介なのだ。
「どうやらかつて能力者達が己の技に磨きをかけていた闘技大会『学園黙示録』の場を再現し、能力者達の複製体を嗾けて妨害するようです」
　幸い、能力者の複製体はユーベルコードは使用しない様であり、アビリティを凌げば問題ないだろう。
「また、この戦いでアリス様も人狼騎士とヴァンパイア達を率いて参戦するようです」
　アリス自身は詠唱ライフルを用いた狙撃を使い、サポートしてくれるようだ。
　またユーベルコードを使用しないものの、人狼騎士とヴァンパイアは精鋭――適確にサポートを貰えば、全戦線で有利に立ち回れるだろう。
「アリス様のオブリビオンはヴァンパイアとしての特性に人狼騎士としての戦術をユーベルコードに昇華させた戦い方を行います。同じ様に戦術的な立ち回りが求められるでしょう」
　そうしてブリーフィングを締めくくった後、フレスベルクはグリモアの起動準備に移るのであった――

第1章 集団戦 『狂える能力者たち』

POW   :    黒影剣 自身と武装を【闇のオーラ】で覆い、視聴嗅覚での感知を不可能にする。また、［闇のオーラ］に触れた敵からは【生命力】を奪う。 SPD   :    除霊建築学・陰陽八卦 戦場内に、見えない【陰陽の気】の流れを作り出す。下流にいる者は【八卦炉結界】に囚われ、回避率が激減する。 WIZ   :    狂気の開放 自身の【正気】を代償に【様々な属性の攻撃エネルギー】を創造する。［様々な属性の攻撃エネルギー］の効果や威力は、代償により自身が負うリスクに比例する。 イラスト：小日向　マキナ 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

「今度はアリストライアングルの歴史再現ですか……誰が糸を引いているのか、全く！」
　かつて『死と隣り合わせの青春』を駆け抜けた銀誓館学園のOGである儀水・芽亜（共に見る希望の夢／『｜夢可有郷《ザナドゥ》』・f35644）は、再現されたかつての戦争『アリストライアングル』に苛立ちながらも『聖女』アリスが率いる人狼騎士団とヴァンパイア達の援護を受けてまずは那覇市に蔓延ろうとしているオブリビオンゴーストめがけてユーベルコードを発動。
　純白の白馬型来訪者『ナイトメア』を召喚しそれに騎乗するユーベルコード『ナイトメアライド』によって機動力を確保し、そのままオブリビオンゴースト『狂える能力者たち』の群れへと芽亜は突撃していく。
「さあ、誰から《悪夢》の蹄にかかりたいのかしら？」
　最前線で大立ち回りを行いオブリビオンゴーストの注意を引き付ける芽亜……瞬間、オブリビオンゴーストの急所に詠唱ライフルの狙撃が叩き込まれる。
「お見事です、アリス様」
　敵を確実に仕留めていく人狼十騎士が率いる騎士団の腕前に感嘆しながらも、芽亜は純白の白馬型来訪者によって自身もオブリビオンゴーストを蹴散らしていく。
　そこにヴァンパイアの部隊が敵の混乱に乗じて襲撃を仕掛け、トドメを刺していく――

「次は広島と仙台……急ぎましょう、アリス様」
　迅速に那覇市のオブリビオンゴーストを片付けた後、芽亜達はマヨイガを通って広島市へと到達。
　そこでも民間人を襲撃する直前のオブリビオンゴーストを見かけ、逆に強襲開始。
　那覇市と同じように火力支援の元で前線部隊が注意を引き、後方から狙撃を仕掛ける。
　芽亜が敵中突破を成功させ、引き返す頃にはヴァンパイア部隊が襲撃を始めている状態という戦術構築を完成させていた。
「さあ、あと少しです。三都市全部の危機を取り除きましょう――再度の『アリストライアングル』を攻略するために」
　広島市の戦いを終え、彼女らは最後の仙台市へと向かう――

大成功 🔵​🔵​🔵​

「ジャック・マキシマムもハビタントもろくでもない事をしてくれたものですね……」
　嘆息しながら山吹・慧（人間の玄武拳士・f35371）は慕う『聖女』アリスの為に行動を開始する。
　取り出した星霊布で覆われた謎の宿星剣を振るい、オブリビオンゴースト『狂える能力者たち』の群れへと彗は突撃する。
「三つの都市を同時に守る――容易ではありませんが我々騎士団の力をもってすれば、可能でしょう」
　人狼騎士団は現在、『二つの三日月』との『ラストバトル』の後、銀誓館学園とその同盟組織による支援を以て最盛期以上の力を誇る。
　そこに『六番目の猟兵』に覚醒した騎士団員――彗等のメンバーも含めている。
　ならば、都市同士で距離が離れた三都市同時多発テロを阻止する事も十分に可能であろう。
「ですが時間はかけられません――故に、お願いします」
　人狼騎士の面々が可能な限りオブリビオンゴーストの群れの注意を引き、彗の周囲に引き寄せる様に誘導していく。
『相手はオブリビオンですから決して無理はしないで下さい』
　戦況を確認した彗は乱れた書体の文字が記されたホワイトボードで人狼騎士に作戦を示した後、ユーベルコード『宿星零光陣』の起動準備に移る。
「抗えますか？　この光の奔流にッ！」
　そこから彗は『宿星零光陣』を発動――『大いなる原初の光』が迸り、オブリビオンゴーストの群れを飲み込んでいく。
　オブリビオンゴーストの群れによる包囲網を崩した事を彗は確認し、そのまま負傷した人狼騎士達に後方に下がる様支持をだす。
「ユーベルコードだけが、今の『六番目の猟兵』となった僕の力ではないですよ！」
　残ったオブリビオンゴーストに功夫を叩き込み、残党を殲滅していく彗。
　そうして都市にオブリビオンゴーストがいないことを確認し、人狼騎士団はマヨイガを介する事で次の都市に向かっていくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

「ふむ、今度は人狼騎士団の聖女アリスの｜複製《オブリビオン》ね。次から次へとよくやるよ」
「あの駄ウサギ、懲りずにまたちょっかい出して来たんですか……人型の部分はありますが、その内捕まえて兎鍋にしてやりましょう」
　そんな風にハビタント・フォーミュラの所業に辟易しながら銀誓館学園のOBOGである河崎・統治（帰って来た能力者・f03854）と島津・有紗（人間の戦巫女・f04210）は迫り来るオブリビオンゴースト『狂える能力者たち』の群れを殲滅するべくユーベルコードを発動。
　打ち合わせの為に顔を合わせたアリスに声を掛けながら、攻撃準備を完了させていく。
「しかし、アンタも過去の自分のコピーを相手にしなきゃならないとか……とんだ災難だな」
「ええ、全くです」
　アリスもうんざりとした顔で詠唱ライフルを構え、引き金を引いて銃弾を『狂える能力者たち』の頭蓋に叩き込む。
　そこに有紗が追撃を仕掛けていく。
「先輩、いつも通り援護はしますけど今回は連戦なんですから後の事も考えて下さいね？」
「分かっているって」
「ご心配なく、マヨイガを通る際に疲労を回復できる携帯食も用意してあるので」
「なら、人狼騎士の皆さんは私に合わせて射撃で敵を削って下さい」
　ユーベルコード『悪路武者軍団召喚』によって『127体の悪路王配下の武者軍団の霊』を召喚し、自身の弓射撃を弾幕にする形で戦場に制圧射撃を仕掛けていく有紗。
　敵陣が崩れたのを確認し、次は弓による狙撃で一体ずつ撃破していく方針に切り替える。
「なら、こっちも行くぜ！」
　統治もユーベルコード『フェニックスストーム』による不死鳥の炎による『業火の嵐』を戦場全体に展開。
　味方である『六番目の猟兵』と人狼騎士団、ヴァンパイア達は『状態異常と体力を回復する不死鳥の炎の加護』を受けるが、敵であるオブリビオンゴーストの群れには『消えない不死鳥の炎による延焼攻撃』が指定されて実施される。
「成程……これなら、こちらの優位を保ったままオブリビオンゴーストの群れを殲滅できるでしょう」
　アリスも二人の『六番目の猟兵』に覚醒した銀誓館学園のOGOBの戦術に驚嘆しながらも、人狼騎士とヴァンパイアと協力して後方から狙撃。
　二人に秘かに迫ろうとしていたオブリビオンゴーストの頭蓋に銃弾を叩き込み、彼らを支援射撃しながら那覇市の解放を進めていく――

「マヨイガか……ここを使うのも久々だな」
「ここの転移も凄かったけど、グリモア猟兵の異世界を超える転移ってのもあるとは思いませんでしたね……」
　那覇市を制圧し住民の安全を確保した後、二人の猟兵と人狼騎士団、ヴァンパイア達はマヨイガに到着。
　そこから広島市と仙台市に赴き、引き起こされようとしている各地でのオブリビオンゴーストによる大虐殺を阻止するべくその集団はマヨイガの中を進んでいく――
「今回は移動経路だけど、次は遊びで来たいですね」
「ああ、その時はアンタもどうだい？」
「お時間があれば、ですかね？」
　アリスと二人の『六番目の猟兵』はマヨイガの中を走りながら、そんな風な雑談を交わしていくのであった――

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

第2章 冒険 『蘇る地下闘技場』

POW   :    鍛え上げた自分の力を信じて突き進む SPD   :    装備や技能を活用して戦い抜く WIZ   :    超常的なパワーで一網打尽を狙う 👑7 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

「成程……『夢魔秘帖』はこんなものまで複製してきますか――今は昔のプール地下」
　その名は『学園黙示録』……かつて『｜銀の雨が降る時代《シルバーレイン》』と呼ばれた時期にて銀誓館学園で開催された大会だ。
「想い出は尽きませんが……それに浸るのは今ではありません」
　かつての『死と隣り合わせの青春』を想起するのは『聖女』アリスの複製体――オブリビオンゴーストを撃破した後に過去を思い返す事にして儀水・芽亜（共に見る希望の夢／『｜夢可有郷《ザナドゥ》』・f35644）はユーベルコード『胡蝶の盾』を発動。
　ナイトメア適合者として『高い硬度を持つ黒揚羽蝶の無限に等しい群れ』で全身を覆い、黒揚羽を集めた傘状の盾で防御を固めていく。
「複製体とはいえ、強き能力者のアビリティも飛来してきますからね……」
　防御に回さなかった残りの黒揚羽をけしかけて反撃していく芽亜は、その黒揚羽を介して生命力を吸収。
　そのまま芽亜本体に生命力を還元し、スタミナを補充していく。
「……オブリビオンゴーストらしき複製体とはいえ、呪言士等の厄介なアビリティを持つ能力者がいたら危険ですからね」
　故に決して油断せず、黒揚羽の群れを引き連れて複製体の『聖女』アリスの居場所への道を阻む『大逆門』の根源となる除霊建築士のオブリビオンゴーストを芽亜は探していく。
　その間にも、呼び出した黒揚羽の群れには傘状の盾の維持と同時に苛烈な反撃をオブリビオンゴーストに仕掛ける陣形を維持する事に注力しながら。
「さあ、可愛い私の分身たち。私を否むその感情を喰らってしまいなさい」
　嫋やかな笑みを浮かべ、かつて銀の雨降る時代を駆け抜けた一線級の能力者である銀誓館学園のOGは再現された『学園黙示録』の中を踏破していくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

「学園黙示録……懐かしいですね」
　かつての『死と隣り合わせの青春』を駆け抜けた銀誓館学園のOBの一人である山吹・慧（人間の玄武拳士・f35371）は、再現された『学園黙示録』の中を共に踏破する『聖女』アリスの姿を見る。
「そういえばアリスさん率いる『ビャウォヴィエジャの森連合』と試合した事もありましたね……」
「ええ、『アルティメット黙示録』……『二つの三日月』を撃破した後の『学園黙示録』で行いましたね」
　それは他の組織の能力者や、本来なら戦えない運命予報士等も参加する最大規模の大会。
　その大会でアリスは『ビャウォヴィエジャの森連合』……生き残ったもう一人の人狼十騎士『狼使い』ローラと共に人狼騎士団とヤドリギ使いの連合チームを率いて参加したのだ。
「あの時は僕は銀誓館側でしたが、今回は逆になったわけですね……などと感じ入ってる場合ではありませんね」
　再現された能力者のアビリティをユーベルコード『リベリオンウインド』によって発生した激しい嵐で吹き飛ばしていく彗。
　その隙に人狼騎士達と連携しながら、玄武拳士としての功夫による接近戦で攻めていく。
「誰一人死なせはしません――この『来たるべき未来』を前にした『｜銀の雨が降る時代《シルバーレイン》』にて、死別は許されません」
　玄武拳士は堅牢なる『守りの武術』を極めた『防衛』に特化した格闘家だ。
　故に敵の苛烈な攻撃を凌ぎ切った先にこそ……人狼騎士達の『勝機』があると彗は知っている。
「さぁ、押し通りましょう！」
「参ります！」
　彗が城壁そのものとなり、アリスが射手として後方から支援狙撃していく。
　その連携により、恙なく人狼騎士達は『大逆門』の根源となる除霊建築士のオブリビオンゴーストの元へと近づいていくのであった――

大成功 🔵​🔵​🔵​

「これがかつてあったという地下闘技場か――話には聞いていたけど、大きいね」
　愛用の黒槍『新月極光』を振り回しシモーヌ・イルネージュ（月影の戦士・f38176）はクルースニクとして今回の『戦争再現』に苦い顔をする。
「アタシはアリストライアングルは知らない……だけど、アタシだって都合よく使われてたあの頃は思い出したくもないんだ」
　人狼騎士団は、異形達に洗脳されて手ごまとして支配されていた屈辱的な過去を持つ。
　それを――このアリストライアングルは再現し、人狼騎士団の者に想起させる事だろう。
「そんな人狼騎士団の過去をわざわざほじくり返すとか、オブリビオンはほんと嫌なことするね――さっさと門をぶち開けよう」
　ユーベルコード『｜神燕武槍《イロンデル》』を発動し、黒い槍による神速の突きを繰り出して再現された能力者の攻撃を槍の柄で受け止め、反撃の刺突を繰り出していくシモーヌ。
　幾ら歴戦の能力者を再現しているとはいえ、ユーベルコードに開眼していないなら『六番目の猟兵』であるシモーヌにならやりようはある。
「我に時の流れを委ね、滅びの力を与え給え――こんなところで時間をかけていられない。皆！一気に連携でトドメを刺すよ！」
　声を張り上げ、人狼騎士団とヴァンパイアが一斉に陣形を組んでいく。
　やがて後方からアリスの支援狙撃によって的確に再現された能力者を蹴散らしながら、シモーヌたちは進んでいく。
「さぁ、もうすぐ『大逆門』はすぐそこだ！」
　ゆらゆらと穂先の光がきらめく黒檀の槍を振り回し、シモーヌは『学園黙示録』のアビリティの雨の中を潜り抜けていくのであった――

大成功 🔵​🔵​🔵​

「学園黙示録とはまた懐かしいな……猟兵のサバイバルは何でも有りのカオスだし」
「何だかんだで学校生活の一部でしたしね」
　あの『死と隣り合わせの青春』を潜り抜けた河崎・統治（帰って来た能力者・f03854）と島津・有紗（人間の戦巫女・f04210）に取って、この地下の闘技場――『学園黙示録』はかつての過去を懐かしむ要素であるが……
　今は、それよりも『聖女アリス』達と共に『大逆門』を探し出す為に潜り抜ける必要がある。
「どうせ河崎先輩は突っ込むので……人狼騎士団の人達は射撃で敵を削って下さい」
「分かっているじゃないか――んじゃ、いつも通り突っ込むから支援宜しく」
　地形を利用しながら統治はレーザー射撃……ユーベルコード『フェニックスストーム』による熱線の弾幕を張りながら再現された能力者――オブリビオンゴーストに消えない不死鳥の炎によるスリップダメージを。
　味方には状態異常と体力を回復する癒しの炎を繰り出していく。
「ヴァンパイアの人達は敵が崩れた所に突撃して制圧をお願いしますね」
　そこに有紗がユーベルコード『悪路武者軍団召喚』によって生命の味方となったゴーストの群れ『悪路王配下の武者軍団』を召喚。
　彼らは電撃を纏った槍や魔炎を纏った火矢でサムライエンパイアの如く支援攻撃を仕掛けていく。
「頼もしいですね……！」
　アリスもスナイパーライフルを後方で構えながら、召喚された悪路王の配下に目をやる。
　これらを一声で招集できるのが、ユーベルコードを駆使する『六番目の猟兵』の真価なのだ。
「――『水月』！」
　水面に映る月の如き幻想的な輝きを放つ刀身を持つ河崎家に代々伝わる日本刀を振るい、統治はオブリビオンゴーストを切り払う。
「先輩が文字通り斬りこんでいます！その隙に各個撃破ですよ！」
　有紗は隙を見逃さず、人狼騎士団とヴァンパイア達に指示を出す。
　そのまま、二つの来訪者組織は再現された『学園黙示録』によって生み出されたオブリビオンゴーストの群れを蹴散らしていく――
「さて、このままなら『学園黙示録』を乗り越えられそうだが……」
「――ええ、懐かしいですよね」
　かつてゴーストの脅威から能力者の身を護る為の戦いから、多くの能力者や来訪者の組織との戦いと友誼。
　その果てに異形――『二つの三日月』という『世界の創造主』が掲げる『死と不変による静寂』に対して『生命としての正義』を掲げ、銀誓館学園に名を連ねた者達は死の摂理から生命を守り抜いてみせた。
　――『学園黙示録』は、そんな『死と隣り合わせの青春』を思い浮かべる懐かしいファクターだ。
「好き勝手は、させられないよな」
「ええ――除霊建築士を探しましょう」
　そうして、二人の『六番目の猟兵』……一人は不死鳥の炎を身に纏い、もう一人は悪路王の配下を招来しながら再現された『学園黙示録』の中を進んでいくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

「ナンパしたお嬢さんが｜私の出身世界《シルバーレイン》の事件で興味がある事件があると聞いてきてみれば……『学園黙示録』とは懐かしい」
「うん、声かけられた時は思わず殺しちゃおうかと思っちゃったけど、この世界の人だったなんで運が良かったわ――クララ、アリスさんって人と戦い遊びたかったの！」
「……オブリビオンでない本物のお方は、駄目ですよ？」
　ナイトメア適合者の銀誓館学園のOBであるムゲン・ワールド（愛に生きたナイトメア適合者・f36307）は、アリス適合者――件の『聖女』と同じ名前のクララ・リデル（彷徨える魔女・f42707）にしっかり釘を刺しながら、再現された『学園黙示録』の中を潜り抜けていく。
「だって私も『アリス』だから！」
「……言いたい事はまぁ、分からないでもないですが。しかし歴戦、と言うほどは参加しませんでしたが、何度か結社の仲間と参加したものです――皆さん、元気ですかねぇ」
　本物の方の『聖女』アリスの支援狙撃を受けながら、ムゲンとクララは人狼騎士団とヴァンパイアの協力を受けながら遂に『大逆門』を維持している除霊建築士のオブリビオンゴーストの元へと辿り着く。
「ようやくですか……さぁ、やりましょうか」
「邪魔な「能力者の複製体」とやらを倒しちゃわないとね――」
　ボディガード役のムゲンの支援を受けながら、クララは瞳を輝かせてユーベルコード『九死殺戮刃』を発動。
　クララの魔法で作られた蝶々の形をした影達が、オブリビオンゴーストの視界を遮る事で攻撃を不発にしながら、クララは鋏型の『殺戮刃物』で除霊建築士のオブリビオンゴーストを切り刻んでいく。
「たまには味方も斬らないと死んじゃうもんね！」
　ユーベルコードの代償を解除する為に、ムゲンに切りかかるクララ。
　指先だけを切るようにしてムゲンは受け流しながら、嘆息しながら自身のユーベルコードを発現させていく。
「あぁ、お転婆ですね。貴女の事も勿論回復します」
　ユーベルコード『サイコフィールド』を発動し、クララには『甘く優しい夢』を見せて心身共に回復させ、オブリビオンゴースト相手には『悪夢より出でる恐るべし怪物』で攻撃していく。
　ナイトメア適合者として『実体化した悪夢』を顕現させたムゲンは、そうして『大逆門』を顕現させていた除霊建築士のオブリビオンゴーストを殲滅する事に成功。
　これにて『大逆門』は解除されたのだ。
「さて、後は……」
「アリスさんのオブリビオンゴーストを殲滅するだけだねー！」
　クララの言葉に、アリスを含めた人狼騎士団は気を引き締める。
　ヴァンパイアの方も、無関係ではいられない……ここが正念場であろう。
「さぁ、決着を付けに行きましょうか」
　ムゲンに率いられる形で再びの『アリストライアングル』を終結させるべく、銀誓館学園の特殊部隊は武器を構えてオブリビオンゴースト『聖女』アリスの元へと赴くのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

第3章 ボス戦 『人狼十騎士『聖女アリス』』

POW   :    鮮血聖女 【鋭く伸びた犬歯による噛みつき】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【血の味】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。 SPD   :    聖女の弾丸 【詠唱ライフル】から発射した【鮮血の弾丸】を、レベル回まで跳弾できる。跳弾回数に比例して命中率・致死率が向上。 WIZ   :    群狼機動戦術 戦場の地形や壁、元から置かれた物品や建造物を利用して戦うと、【詠唱ライフル】の威力と攻撃回数が3倍になる。 イラスト：ぎん太 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

「ご機嫌よう、偽りの“聖女”様――ハビタント・フォーミュラが何を目論んでいるかは知りませんが、紛い物のあなたはここで討滅させていただきます」
「――全ては、ハビタント・フォーミュラ様の為に」
　恭しく一礼し、儀水・芽亜（共に見る希望の夢／『｜夢可有郷《ザナドゥ》』・f35644）は『背に黒揚羽の翅を展開した十五歳程の真の姿』に変身するユーベルコード『蝶霊跋蠱』を発動。
　ナイトメア適合者として黒揚羽の力を操る芽亜は、ユーベルコードの力で変身の度に『自身の周囲で渦巻く意識を奪い尽くす黒揚羽の群れ』の数を倍にしていく。
「漆黒の会堂に我は求めん。濁世に満つる、罪に染まりし汚れた生魄どもを喰らい尽くし、栄光なる清浄な世界へと導かんことを！」
「なら――ッ！？」
　全力の魔法を振るい、精神に作用する黒揚羽を統率して複製体のアリスの鋭く伸びた犬歯による噛みつき――ユーベルコード『鮮血聖女』に対応してすぐさま反撃として黒揚羽を群がらせる。
「さあ、私のかわいい黒揚羽たち。奔流となって彼の方に襲いかかりなさいな」
「え、詠唱ライフルが……」
「同じ武器……いえ、もう一人の私として分かります――そこまで群がられたら、まともな狙撃は不可能です」
　そこに現在を生きる『聖女』アリス……生命としての正義を振るう者が、人狼騎士とヴァンパイアに指示を出して芽亜の支援を行っていく。
　その上で、黒揚羽はオブリビオンの意識を刈り取る性質を持つ――圧倒的な戦術的優位を、芽亜達は既に確立させていた。
「無理に近づこうとすると、そのまま倒れますよ――もちろんその方が都合がいいですし、揚羽蝶の渦から逃げられないように群を指揮しますが」
「こんな……こと……！」
「やはり猟兵は強いですね……」
　芽亜のナイトメア適合者としての力に瞠目しながらも、アリスはオブリビオンとしての自分に詠唱ライフルの標準を合わせて引き金を引くのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

「アンタが『聖女』アリスね……さすがに若いね。今のアリスと違って貫禄は無いけど、強いのはわかるよ」
　シモーヌ・イルネージュ（月影の戦士・f38176）は複製体の『聖女』アリスに向かって黒槍『新月極光』の穂先を向けて言葉を紡いでいく。
「しかし、同じ顔がふたつあるとややこしいし、それで悪事を重ねられると迷惑なんだよね――とっとと退場願うよ」
　ゆらゆらと穂先の光がきらめく黒檀の槍は、闇夜を照らすオーロラの如く煌めく。
　その黒い槍を振るい、シモーヌはオブリビオンゴーストの『聖女』アリスに向かって白兵戦を仕掛けていく――
「月よ。我を守り、聖なる加護を与え給え――『｜月華満天《プレーヌ・リュンヌ》』」
「させません――」
　光輝く月の戦士に変身し、オブリビオンゴーストに向かって槍を突き出していくシモーヌ。
　だが、そこにオブリビオンゴーストのアリスは詠唱ライフルの引き金を引いて槍使いのクルースニクの顔面に弾丸を叩き込む――
「――なっ！？」
「残念」
　しかしシモーヌは笑みを浮かべてそのまま銃弾を受け止め……鼻血を垂らしながらも、顔面への銃撃をそれだけのダメージで抑える。
　これは発動したユーベルコード『｜月華満天《プレーヌ・リュンヌ》』の効果『槍の射程外からのダメージを全て100分の1に抑える』によるものだ。
「こっちは銃で撃たれてもユーベルコードのおかげで傷は微々たるものだから、仲間には遠慮なくガンガンに撃ってもらおう！」
「ええ、任せて下さい！」
　アリスの言葉と同時、人狼騎士が後方から詠唱ライフルによる支援射撃を開始。
　その弾幕によってオブリビオンゴーストの方のアリスが怯み――
「貰ったぁッ！」
　シモーヌは見逃さず、異能の域に到達した怪力を用いた黒槍の一撃をオブリビオンゴーストのアリスに叩き込むのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

「アリスさんは撤退戦のエキスパート……ならば人狼騎士団には複製の退路を断つように布陣してもらいましょうか」
「ええ、何せ相手は『私』なのですから」
　詠唱ライフルをリロードし、そのまま山吹・慧（人間の玄武拳士・f35371）の提案を『聖女』アリスは受け入れて人狼騎士達に指示を出す。
　ヴァンパイア達の方も、アビリティを使ってオブリビオンゴーストのアリスの退路を塞ぐ事に注力している様だ。
「ここで逃がすわけにはいきませんからね――最早逃げ場はありません。覚悟を決めてもらいますよ……『｜僭称者《オブリビオンゴースト》』」
「いえ――ハビタント・フォーミュラ様に従う私の方が『本物』です」
　オブリビオンゴーストはユーベルコード『聖女の弾丸』を発動――詠唱ライフルから発射した鮮血の弾丸を跳弾させ、退路を塞ごうとした人狼騎士達やヴァンパイア達に襲い掛かろうとする。
　しかし慧は先んじて予想していた事もあり、跳弾回数が低いうちにオーラ防御を展開した上で鮮血の弾丸を受け止めて仲間達の致命を防いでいく。
「ありがとうございます！」
「ええ、アリスさん達は封鎖に専念して下さい」
　そのまま玄武拳士の人狼騎士はユーベルコード『宿星天剣戟』を発動。
　飛翔しながら宿星剣を振るい、異能の域に達した気功法を用いてユーベルコードの威力と精度を慧は高めていく。
「私を邪魔しますか……！」
「｜僭称者《オブリビオンゴースト》相手に？……残念ですが、あなたの存在を認める事はできないのですよ」
　敬愛する『｜聖女《アリス》』の存在を模倣したオブリビオンゴースト相手に、慧は決して容赦はしない。
　気功法で更に威力と精度が高まったユーベルコード『宿星天剣戟』によって、オブリビオンゴーストのアリスは追い詰められ……そこに現在存在し続けているアリスは詠唱ライフルによる支援狙撃を行っていくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

「アリスさん、相変わらず美人ですね……余裕があればオブリビオンの彼女も口説きたいところですが、本人の支援もあると思うとやりづらいですね」
　女性らしい成熟性と清楚さを持つ『聖女』アリスの容姿にそんな事を思いながら、ムゲン・ワールド（愛に生きたナイトメア適合者・f36307）は戦場内に『自分と自分の味方には透明ガラスに見える鏡』で構築された迷宮を展開。
　ユーベルコード『｜悪夢《ナイトメア》・｜鏡の大迷宮《ミラーハウスラビリンス》』の起動により地形を銀誓館学園サイドに有利なように変えていくムゲン。
　其れは複製体のアリスのユーベルコード『群狼機動戦術』による狙撃攻撃を食い止めるためのもの。
「アリスさんのオブリビオンは地形を利用して攻撃して来るようですからね……ならばこちらが地形を掌握してしまえば有利を保てるはず」
　ついでに言えば、オブリビオンゴーストサイドは『鏡』故に感覚が狂うが、銀誓館学園サイドは『透明ガラス』の様に見える為あらゆる機先を制する事が出来る。
「あはは、やっと見つけたわ、アリス！　楽しく遊びましょう！――お兄さんが整えてくれた舞台で！」
　そこにクララ・リデル（彷徨える魔女・f42707）――アリス適合者の魔女は殺戮の為だけに鍛え抜かれた、ナイフや鋏等の鋭利な刃物を振るいオブリビオンゴーストのアリスに襲い掛かろうとする。
「……けど、ガラスに見えるとは言え、このままじゃ道が分からないわね」
　ならばとばかりに、クララはユーベルコード『｜好奇心蝶となりて《カリオシティ・トゥ・バタフライ》』を発動。
　クララは『好奇心や面白い/楽しいという気持ち』を昂らせると影の蝶を呼び出し、その『好奇心や面白い/楽しいという気持ち』を与えたオブリビオンゴーストのアリスの元へと飛翔してクララを導いていく。
「見つけたわ！」
　やがてクララにとっては透明なガラスに見えている迷宮の壁越しに、鏡張りの壁で視認感覚が狂っているアリスの複製体の姿を確認。
　そこから、銀誓館学園サイドのアリスと人狼騎士団やヴァンパイア達の支援も借りてクララとムゲンはハビタント・フォーミュラの配下に襲い掛かる――
「迷宮になってしまってますから、味方のアリスさんの狙撃は使えなくなるかもしれませんね、そこは申し訳ありません」
「いえ、問題ありません……壁を盾にして狙撃する経験等もありますから」
　クララが鋭利な刃物を振るってオブリビオンゴーストのアリスを切り刻まんとする間に、銀誓館学園サイドのアリスとムゲンはオブリビオンゴーストの背後を取るべく移動していた。
　そこから、ムゲンは仕込み杖を構える事を……アリスの方は詠唱ライフルのリロードの方を済ませていく。
「初めまして、アリス！　クララも『アリス』なの！　一緒に遊びましょう！」
　同じく詠唱ライフルを武器とするオブリビオンゴーストのアリス……しかしクララが間近に刃物を振るう様に接近されていては、その射程を活かした攻撃は活かされない。
「それは、私が良く分かっていますから」
「心強いですね」
　クララに脇腹を切り裂かれ、足を止めたオブリビオンゴーストに対して人狼騎士団の統率者は引き金を絞り……自身の利き腕と同じ方の腕をオブリビオンゴーストから奪う。
　何よりも、同じ利き腕であると『アリス』は知っているからだ。
　そこに、ムゲンが背後から忍び寄ってクララから負わされた脇の傷口に仕込み杖を捩じりこんで内臓を損壊させていく――

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

「さて、コピーアリスの登場か……最終決戦の時の伯爵もそうだったが、敵味方に同じ容姿の人物が居るってのはやっぱり妙な気分になるな」
「オブリビオン化でどれだけ強化されているのかは知りませんが……ややこしいので消えて貰いましょう」
　そうして、再演された『アリストライアングル』は終局を迎える。
　河崎・統治（帰って来た能力者・f03854）と島津・有紗（人間の戦巫女・f04210）の二名の銀誓館学園OBOGは、オブリビオンゴーストとして出現したアリスを、現在銀誓館学園の連盟組織に所属しているアリスと共に攻撃を仕掛けていく。
「あっちはなんかトビアスの様に混ざってるみたいだが……ま、それは置いといて派手に行くか」
　統治は地形を利用しながら疾走開始。
　緩急と蛇行を組合せながら、ファイアフォックスのジョブを持つ能力者にして猟兵は多種多様な炎の弾幕を打ち出していく。
「河崎先輩が突っ込むので、人狼騎士団とヴァンパイアの方々は引き続き私と一緒に――先輩の支援を」
　そこに有紗が後方からアリス達人狼騎士と一緒に支援射撃を。
　更にユーベルコード『｜浄化の嵐《ピュリフィケイション・ストーム》』を発動――光を纏った嵐が戦場全体に発生し、2時間以上持続する『大粒の雹を含んだ猛烈な雷雨の攻撃』と併発して『状態異常と負傷を癒す優しい風』がそれぞれ敵と味方に齎される。
「相手は戦術的な戦いを得意とする、という事ですからね……其れならば気象操作系ユーベルコードは有効でしょう」
「ええ、頼りになります」
　アリスのウェーブのかった栗色のセミロングヘアが優しい風になびき、そのまま彼女の柔肌に刻まれた負傷が治癒していく。
　他にも人狼騎士やヴァンパイア達も傷が癒え、戦局は銀誓館学園有利に傾いていく――
「不死鳥の炎の連撃、受けてみな！」
　そこに統治が炎を迸らせ、オブリビオンゴーストのアリスにトドメを刺すべく切り込んでいく。
　まず最初に統治が取り出したのは――大型回転動力炉を駆動させて発動する不死鳥のオーラを媒介とした魔炎のユーベルコード『フェニックスキャノン』。
　更に続けざまに炎に包まれたオブリビオンゴーストのアリスに装備した武器――即ち『水月』から燃え盛る炎を放射して刃圏の射程付近に存在するものを爆散炎上させるユーベルコード『烈火業炎撃』を放つ。
　――統治が発動させたのは、己の所有しているユーベルコードを複数組み合わせ、一つのユーベルコードの発動で一斉に起動するユーベルコード『烈火連撃斬』……その最後を締める技とは――
「フェニックスクラーー」
「――させません！」
　と、そこに炎で身を焦がされながらも、統治の眼前に詠唱ライフルの銃口を間近に突き付けたオブリビオンゴーストのアリスが統治だけでも仕留めるべく、捨て身の特攻を開始。
「ハビタント・フォーミュラ様の為にも――」
「……させねぇよ、俺以上に――」
　――銃声が、鳴り響く。
　……統治に銃口を突きつけているオブリビオンゴーストの遠くから。
「ええ、そこを狙うでしょう……貴方は、私を再現したオブリビオンゴーストなのですから」
　破けたシスター服を身に纏いながらも、凛然とした様子で人狼騎士団の指導者は詠唱ライフルによる瞬時の狙撃を成功させた。
　続いて、人狼騎士にヴァンパイア、有紗がそれぞれの武器やアビリティ、ユーベルコードを以て『アリストライアングル』の再演を目論んだオブリビオンゴーストにトドメを刺すべく遠距離攻撃を叩き込む――
「それじゃあ、改めて――コイツで終わりだ！喰らえ！フェニックスクラッシュ！」
　格闘武器の一種である『アームバンカー』を構え、不死鳥のオーラを纏った杭撃つ拳が……『｜聖女《アリス》』を模したオブリビオンゴーストに叩き込まれ、そのまま粉砕し燃え上がらせて消し炭にしていく――

「うん。爆砕というか、なんかスプラッタな光景になったが……」
「問題ありません。私を模したオブリビオンゴーストを討伐したというだけに過ぎませんので」
　ここは流石『死と隣り合わせの青春』を生き抜いた人狼十騎士の一人とでも言うべき胆力か。
　とはいえ他の人狼騎士やヴァンパイアはそうかと言えば全員がそうではなく、一部の人狼騎士がヴァンパイアに背を摩られながら生理現象を解き放っている光景が見られる。
「うん、自分の上司と同じ姿の相手がスプラッタ状態で倒されるのは刺激が強いですよね」
　とはいえ、これで『アリストライアングル』の再演によるアリスを複製したオブリビオンゴーストによる同時多発テロとその勃発によって生じた落命によるハビタント・フォーミュラの強化は阻止された。
「それじゃあ、マヨイガを通って上手いラーメン屋でも食べに行こうぜ」
「勿論先輩の奢りですよね？」
「いえいえ、ここは私が……あ、でもその前に着替えを取りに行かせてください。刺激が強すぎた者を落ち着かせる時間も下さいな」
　そんな風に、統治と有紗、そこにアリスが加わって少しの休憩をマヨイガでとった後、今回の『アリストライアングル』の再演を阻止するべく戦った銀誓館学園の面々は、美味しいラーメンを食べ歩きするべくマヨイガを使っていくのであった――

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

最終結果：成功 完成日:2024年03月04日