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大喝せよ、其のエースの名を

#クロムキャバリア #スーパーロボット #フルーⅦ #ACE戦記 #ACE戦記外典 #プロメテウス

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●次なるもの
 なんだってこんなことになるのだと、青いキャバリア『プロメテウスV』を駆る『クリノ・クロア』は思った。
「ちょっと『クロア』、変な所触らないで!」
「ごめん! だけど、今はそれどころじゃあない!」
『プロメテウスV』のコクピットにすし詰めになっているのは三人。
『クリノ・クロア』と『ツェーン』、そして『フュンフ』だ。
 これはあの時と同じだと思った。
 けれど、あの時のように複座型のコクピットでもなければ、『フュンフ』は『フュンフ・ラーズグリーズ』ではない。
 彼は幼子と言って良いほどの年齢である。
『フュンフ・エイル』のクローン。
 どうして彼が小国家『フルーⅦ』にやってきたのかというと、彼らが所属する小国家『グリプ5』から己たちに会いたいとやってきていたからだ。

「いくなんでもこれは……1」
 右に『ツェーン』と呼ばれる少女。左に幼い少年『フュンフ』を抱えるようにして『クリノ・クロア』は迫る火線を躱し続け、凌いでいた。
 そう、迫る火線は『プロメテウス・バーン』と呼ばれる熱線兵器である。
 それがいくつも放たれているのだ。
 眼の前の超巨大キャバリアから。
「『レーギャルン』も取り込まれてる……! 7騎全部!」
『レーギャルン』は『フルーⅦ』に存在していたスーパーロボットである。過去、『熾盛』と呼ばれた機体に搭載されていた規格外の炉。それを九分割した炉をそれぞれに搭載されたスーパーロボットだ。

 だが、それは今や眼の前の巨大な赤い鋼鉄の巨人に取り込まれてしまっている。
「機体コード……|『∧』《キャレット》……? 何、あれ……」
『ツェーン』は膨れ上がるようにして『フルーⅦ』中のキャバリアを際限なく取り込んでいく異形の機体に目を見開く。
 悍ましい。
 そう言う他ない。
 赤い装甲の内側に青い装甲がマーブル模様のように取り込まれていく。
 吹き荒れるは凍れる炎にして、燃え盛る氷。
「モニターに……!? 何だこの模様!?」
『クリノ・クロア』は見た。
 己が乗騎『プロメテウスV』のモニターに浮かぶ『X』の文字。無数に『X』という文字が点在しては明滅するのだ。
 いや、違う。
「『X』じゃあないよ。これは|『V』《ヴェーダ》と|『∧』《キャレット》だよ」
『フュンフ』が小さな指でモニターをなぞった。

 その意味がわからない。
 けれど、迫る熱線は凄まじい勢いで吹き荒れている。さらに赤い装甲が膨れ上がっていく。それはまるで目の前の異形にして巨大なキャバリアの異常性を、悪性を示すようだった――。

●示す
 グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのはナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)だった。
「お集まり頂きありがとうございます。クロムキャバリアにおいて、小国家『フルーⅦ』が滅亡の危機に瀕しています」
 突然のことに猟兵たちは面食らうだろう。
 どういうことなのだと、告げる瞳にナイアルテは頷く。

「ご存知の方もいらっしゃると思われますが、小国家『フルーⅦ』には嘗て九騎のスーパーロボット『レーギャルン』が存在していました。二騎は失われてしまいましたが、残りの七騎の内、一騎がオブリビオンマシン化してしまったのです」
 そして、オブリビオンマシン化した『レーギャルン』が『フルーⅦ』にて暴れまわった結果、被害と混乱が満ちているのだという。
 さらに恐ろしいことにオブリビオンマシン化したスーパーロボット『レーギャルン』は残されていた残りの六騎を『スーパー合体』によって取り込むだけではなく、小国家のキャバリアすらも取り込み、手のつけられない強さになっているのだという。

「ですが、この小国家にはこれに対抗しうる存在が残っているのです。『もう一騎のスーパーロボット』です」
 猟兵たちは訝しむ。
 今、『フルーⅦ』のスーパーロボット『レーギャルン』は全て取り込まれてしまった、と言った。
 なのに何故『もう一騎のスーパーロボット』が存在するのか。
「それは青いキャバリア『プロメテウスV』です。ですが、そのままでは赤い強大な『レーギャルン』には対抗できません。そう、この『プロメテウスV』と一時でも皆さんのキャバリアが『手足』や『武装』となって『スーパー合体』することができれば……!」
 渡り合えることができるかもしれない、ということだ。
 だが、そのためにはまず『プロメテウスV』を混乱する戦場から助け出さなければならない。

 彼らは今、赤い『レーギャルン』に追い立てられている。
 7つの熱線兵器『プロメテウス・バーン』による一斉射によって戦場は炎に包まれている。この火線満ちる戦場に飛び込み彼らを探し、守らねばならない。
「確かに。わかりますとも。急に合体と言われても、そんな機能はないよ、と。ですが、ユーベルコード『スーパー合体』ならば!」
 一人ひとりの力は小さくとも。
 合わさっていくことで巨大な昌盛する熾火へと変貌することだってあるだろう。
 ナイアルテは猟兵たちに頭を下げた。
 巨大化し、強大な存在へと変貌していくオブリビオンマシンを止めるためには、猟兵と『プロメテウスV』を駆る少年少女たちの力が合わさることが必須なのだと。
 無理は承知。
 されど、道理と理屈を蹴っ飛ばすのが無理無茶である。
 なら!

「お願いいたします。どうか彼らと合体してください――!」


海鶴
 マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
 今回はクロムキャバリア、小国家『フルーⅦ』にて起こってしまったスーパーロボットのオブリビオンマシン化事件。
 スーパーロボット『レーギャルン』が他のスーパーロボットとキャバリアを取り込むようにして巨大化し暴れまわっています。
 このままでは滅亡してしまうでしょう。それを食い止めるシナリオになります。

 キャバリアをジョブやアイテムで持っていないキャラクターでも、キャバリアを借りて乗ることができます。ユーベルコードはキャバリアの武器から放つこともできます。
 ただし、暴走衛星『殲禍炎剣』が存在しているため、空は自由に行き来できません。

●第一章
 冒険です。
 既に『フルーⅦ』では甚大な被害と混乱が満ちています。
 戦場は7つの『プロメテウス・バーン』と呼ばれる強烈な熱線兵器による砲火が入り乱れています。
 この炎盛る戦場の何処かに青いキャバリア『プロメテウスV』が逃げ回っています。
 長くは保たないでしょう。
 この混乱に巻き込まれて唯一の希望である『もう一騎のスーパーロボット』である『プロメテウスV』を喪うわけにはいきません。
 なんとか守り、協力体制を敷きましょう。

 また赤い一騎だか二騎のキャバリアも戦場の何処かに存在し、手助けしてくれます。

●第二章
 ボス戦です。
 オブリビオンマシン化し超巨大化し、強力になったスーパーロボットとの対決となります。
 前章で協力体制を『プロメテウスV』と敷くことができていれば、参加した猟兵の皆さんのキャバリアと『スーパー合体』によって戦うことができます。
 皆さんは『自分のキャバリアが変形がったしたパーツ』を個別に操縦できます。
『どの部位になってどのように戦うか』がプレイングボーナスになります。

●第三章
 日常です。
 撃破したスーパーロボットオブリビオンマシンは打倒されましたが、『フルーⅦ』は多くのキャバリアを失いました。
 皆さんで今回の戦いの要となった『プロメテウスV』を操縦していたパイロットたちを鍛えて言ってもいいですし、それ以外の行動をとっても良いでしょう。

 それでは迫る強大な力と過去からの因縁が潔斎行路を経て如何なる形へと変わっていくのか、挑む皆さんの物語の一片となれますように、いっぱいがんばります!
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第1章 冒険 『小さな防衛線』

POW   :    子供たちを守る

SPD   :    子供たちを守る

WIZ   :    子供たちを守る

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 火線吹き荒れる戦場に|『光の渦』《サイキックロード》が拓かれた。
「今度は何だ!」
「来たよ。あの人達が」
「なに、なんのことを……」
 その光景を青いキャバリア『プロメテウスV』のコクピットにすし詰め状態の『クリノ・クロア』と『ツェーン』は見た。
 そして、幼い少年『フュンフ』の言葉に訝しむ。
 この少年は一体何が見えているというのだろうか。何を感じているのだろうか。
 わからない。

 けれど、その『光の渦』の彼方より現れるは、赤い二人羽織のキャバリアの姿だった。
「キャバリア……?」
 羽織のような装甲が分かたれ、二騎のキャバリアへと変貌する。
 その羽織られた機体の姿を『ツェーン』は知っていた。
『クリノ・クロア』もまた潤む視界を掌でこすって、それが幻でないことを確かめた。

「『熾盛・改』……!『フュンフ』、『フュンフ・ラーズグリーズ』!」
 その言葉に幼い少年は僕? と首を傾げた。
 けれど、違う。
 火線奔り、炎燃え盛る戦場にあって、その赤い二騎のキャバリアは降り立つ。
「……懐かしい名前で呼んでくれるね、『クロア』、『ツェーン』……でも、その名はもう『過去』にした。『フュンフ・ラーズグリーズ』は過去に呼ばれた名前だ。だから、これから僕は本当の名前を名乗る。僕の名前は『サツキ・ラーズグリーズ』……――『パッセンジャー』!」
「ああ。委細承知した。往くぞ。猟兵が来る。必ず来る。アンタたちもわかっているだろう」
 二騎のキャバリアからの通信は、この苛烈なる戦場を前にしても希望を捨てる必要がないことを示していた。
 眼の前には膨れ上がっていく巨大なスーパーロボット、オブリビオンマシン。

「|『∧』《キャレット》に奪われてはならない。合わさってはならない。だから」
『フュンフ』の言葉に『サツキ・ラーズグリーズ』は頷いた。
 希望が炎に捲かれて見えなくなったとしても、それでも希望は其処に確実にある。
 なら、手を伸ばすことを諦めてはならない。
「『戦いに際しては心に平和』を、でしょ」
 ね、と『フュンフ』少年は、炎満ちる戦場の中で笑った――。
ウィル・グラマン
●POW

話を聞いちゃいたけどよ…
実際に目にすれば地獄絵図その物じゃねぇかよ!?
もたもたしてたら俺たちも丸焼けになっちまう
早ぇ所片付けるぞ、ベア!
ガォン!

瓦礫の除去はベアキャットに任せておけば問題ねぇが、『プロメテウス・バーン』の照射が厄介極まりねぇか
ベアの特殊超合金製ボディでもマトモに喰らったら洒落にならねぇ熱量で、相殺しようにも膨大なエネルギーが必要…となりゃ、受け流すのが一番なのかもな!

いくぜ、【アローライン・スクリーム】!
直線で放射されているプロメテウス・バーンを矢印の向きを曲げる事で上空にずらして、その隙に突破だ!
プロメテウスVが巻き込まれそうなら矢印で減速させてる間に助けるぞ、ベア!



 オブリビオンマシン化したスーパーロボットの力の強大さを敵にして思い知る。
 熱線兵器の照射は戦場を一片させる。
 7つの砲口が煌めいた瞬間、地面は溶断されキャバリアの装甲など容易く貫くほどの熱量。それはまさしくスーパーロボットと呼ぶに相応しい力であったことだろう。
 現代クロムキャバリアにおいては再現しようのないほどの超兵器。
 誰にも扱えずに死蔵していたことが頷ける。
 強力過ぎるのだ。

 使えば確かに敵を容易に打倒できる。
 けれど、兵器を使うのが人間である以上、その威力に恐れ慄く。
 これは使ってはならないものだと恐れを抱けば、それだけで強力な兵器は意味を成さなくなる。
「話には聞いちゃいたけどよ……」
 ウィル・グラマン(電脳モンスターテイマー・f30811)は漆黒のスーパーロボット『ベアキャット』と共に小国家『フルーⅦ』の惨状に目を見開く。
 地獄絵図とも言うべき光景。
 炎ばかりが満ちている。

 その中心に赤と青のマーブル模様の装甲を持つ鋼鉄の巨人が鎮座している。
 まさしく悪魔とも言うべき存在。
 周囲のキャバリアを取り込みながら肥大化していく様はおぞましさを覚えさせることだろう。
「地獄絵図そのものじゃねぇかよ!? もたもたしてたら俺達も丸焼けになっちまう。早ぇ所片付けるぞ、ベア!」
『ガォン!』
 ウィルの言葉に応えるようにして『ベアキャット』が咆哮する。
『プロメテウス・バーン』の熱線の一撃で瓦解した瓦礫を押しのける。
 だが、敵の熱線兵器は厄介極まりない。あれだけの熱量を放出しているのに、チャージの間隔が異常に短い。
 冷却の時間も必要ないとばかりに熱線を解き放っている。

 ウィルの電脳ゴーグルに目まぐるしく戦場の数値が流れていく。
 ざっと流し見しただけでも、あの熱線をまともに受ければ『ベアキャット』の装甲であろうとただでは済まないことが予想できる。
「ベアの特殊超合金製ボディでもマトモに喰らったら洒落にならねぇ……相殺しようにも膨大なエネルギーが必要っ……となりゃ!」
 ウィルの瞳がユーベルコードに輝く。
 そう、受け止められないのならば。
「受け流す!」
 放たれた熱線の一撃を前に『ベアキャット』が踏み出す。

 ユーベルコードの輝きが『ベアキャット』を電脳空間で覆う。
 それは汎ゆる物質を矢印マークでもって加速、もしくは逆矢印マークで減速させるのだ。
「上空に捻じ曲げる!」
『ガォン!』
 踏み出す『ベアキャット』が駆け出す。
 目指すは、この戦場の何処かにいる青いキャバリア『プロメテウスV』である。
「どこだ、どこにいる! 聞こえてんなら返事しろ!」
 声を張り上げる。
 だが、これだけの炎の混乱の中である。
 通信は途絶しているし、目視で確認するしかないのだ。ウィルは歯がゆい気持ちになったことだろう。

 だが、敵の攻撃を受け止めるわけにはいかない。
『ベアキャット』に熱線が迫っているのならば、これを捻じ曲げ続ける。
「一体どんだけの出力の炉を積んでやがんだ。エネルギーインゴットだけじゃ釣り合わない……!」
 ウィルは更に膨れ上がっていく赤い鋼鉄の巨人を見上げる。
 それは赤熱するようであり、また同時に取り込み続けたキャバリアの総量を示すようでもあった。
 それは絶望の光景。
 地獄絵図と言った彼の言葉も頷けるところである。

 だが、まだウィルには希望が見えている。
 戦場を駆け抜ける青い光。そして、それに随伴する赤い二騎のキャバリア。
「あれか! あれが!」
 希望のスーパーロボット。
 ウィルは『ベアキャット』と共に火線走る戦場を駆け抜ける。
 希望を紡ぐために――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

村崎・ゆかり
これはまた酷い状況ね。
機甲式『|迦利《カーリー》』、顕現。「火炎耐性」を使って上面に乗って、『クロア』達に接触。ここは任せて。

|殲禍炎剣《ホーリーグレイル》に狙われない程度の高度と速度で、六壬式盤を使った「失せ物探し」で『プロメテウス・バーン』を探し出す。
使えるなら、黒鴉の式たちも探索に出すわ。

熱戦兵器『プロメテウス・バーン』を発見したら、迷わず天絶陣。「全力魔法」「範囲攻撃」炎の「属性攻撃」「衝撃波」で、隕石を直に叩き込む。

自衛兵器がどの程度あるかが問題ね。幽世千代紙で猛禽型の式を多数生み出して目くらまし。
熱戦兵器を一撃で破壊出来ればよし、まだ生きているなら、天絶陣をもう一度叩き込む!



 荒ぶは熱線。
 燃え盛るは炎。そして同時に凍えるような殺気が戦場に満ちている。
 村崎・ゆかり(“紫蘭”/黒鴉遣い・f01658)は機甲式『迦利』と共に戦場に浮かぶ。
 空には暴走衛生の脅威が未だ存在しているがゆえに、高高度を取ることはできない。また高速で飛翔することもできない。
 だが、地上に満ちる炎の熱から逃れるためには、空に浮かぶしかなかったのかもしれない。
 彼女が探すのは、希望のスーパーロボット。
 ただ一騎のみ。
『プロメテウスV』と呼ばれる青いキャバリアには『クリノ・クロア』と『ツェーン』、そして『フュンフ・エイル』のクローンである幼子『フュンフ』が乗っているのだという。
 なんとかして彼らに接触を図らねばならない。
 だが、その行く手を阻むようにして小国家『フルーⅦ』のキャバリアを次々と取り込み、肥大化していく巨大な鋼鉄の巨人が立ちふさがる。
 燃え盛る戦場に在ってなお、その威容は恐ろしく陰揺らめくものであった。

『プロメテウス・バーン』と呼ばれる『レーギャルン』に搭載されていた胸部砲口は、取り込んだ七騎のキャバリアと同じ数だけ巨体に配され、熱線を解き放つ。
 チャージの間隔など必要なく。
 破壊の意志に満ちるようにして火線を解き放っているのだ。
「一体どこにいるっていうのよ、『クロア』たちは……!」
 ゆかりは視線を巡らせる。
 己が風水盤が示す方角こそ判別できていても、満ちる炎がゆかりの道を阻んでいる。
 なんたることだろうか。
 耐性をあげても迫る熱波がゆかりの肌を焼くようだった。
 熱い、と感じるほどに強烈な熱。

 それが戦場となった『フルーⅦ』に満ちている。
「ともかく、あの熱線兵器をどうにかしないことには……! 天絶陣(テンゼツジン)!」
 ゆかりの瞳がユーベルコードに輝く。
 戦場全域に降り注ぐ光の流星雨が次々と炎へと打ち込まれる。
 それは照準であった。
 無論、眼の前に膨れ上がるようにして周囲のキャバリアを取り込むオブリビオンマシンを少しでも成長を妨げるためだ。

「古の絶陣の一を、我ここに呼び覚まさん。天より降り注ぐ先触れのかそけき光よ。滅びの遣いを導き、地上をなぎ払え。疾!」
 迷うことなく、ゆかりは天より燃え盛る巨大隕石を招来し、巨大化していくオブリビオンマシンへと一撃を叩き込む。
 だが、その隕石をも熱線兵器『プロメテウス・バーン』は溶断するのだ。
「……浅い……!」
 ゆかりは戦場を見回す。
 やはり『プロメテウスV』の姿がない。
 この炎に阻まれて合流ができないのだ。ならば、とゆかりはもう一度己がユーベルコードを発露する。

 あれで生き残っているというのならば、やはり恐るべき敵である。
 オブリビオンマシン化したスーパーロボット。
 誰もが扱えるものではなく、誰にも扱えなかったからこそ死蔵していた機体。それが七騎も取り込まれているという異常事態に置いて、ゆかりは己のユーベルコードが焼け石に水であったとしても、敵の注意を唯一の希望である『プロメテウスV』からそらすことができるのならば、と叩き込み続けるのだ。
「どこ、『クロア』!」
 その声に応えるように炎の先に青い光が明滅する。
 そして、それに随伴するように赤い二騎のキャバリアが戦場を駆け抜けている。まだ無事だ、とゆかりは認識し、炎吹き荒れる戦場に己が渾身たるユーベルコードの一撃を叩き込み、熱波荒ぶ戦場を飛ぶのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ソフィア・エルネイジェ
なんと巨大な……
あの熱戦はもしやメルヴィナが言っていたプロメテウス・バーンの?
加えて二機で一機のキャバリア……パッセンジャーですか
兎も角、今はプロメテウスVの探索が急務でありましょう
インドラ!ナイトオブリージュで参ります!

プロメテウスVが健在ならば敵の攻撃目標となっているはず
敵の攻撃が向かう先を目指しましょう

とはいえこちらが撃ち落とされる訳にも参りません
防ぐには少々出力が高過ぎるようにも思えます
防御よりも回避が適切と判断しました
雷光強襲にて滑空し駆け抜けましょう
瓦礫等を遮蔽物として利用しながら探索を行います
ショットガンによる牽制を与えて注意を引けば、プロメテウスVへの負担も多少は和らぐでしょう



 オブリビオンマシン化したスーパーロボット。
 その威容は見上げるほどであった。多くのキャバリアが取り込まれていく。それは小国家『フルーⅦ』のキャバリアの殆どを取り込むほどの脅威であったことだろう。
 だが、それ以上に脅威であったのは戦場に吹き荒れる火線である。
 7つの砲口から放たれる『プロメテウス・バーン』と呼ばれる一撃は凄まじいの一言に尽きる。キャバリアの装甲であろうと容易く溶断せしめる力。
 その力の一端をソフィア・エルネイジェ(聖竜皇女・f40112)は知る。

 嘗て小国家『ビバ・テルメ』の領海、その湾内よる出現した氷漬けの巨神『セラフィム・シックス』が心通わせた猟兵達にのみ許した胸部砲口の名もまた『プロメテウス・バーン』であった。
「なんと巨大な……あの熱線はもしやメルヴィナが言っていた『プロメテウス・バーン』の?」
 聞きしに勝るほどの熱量。
 しかもチャージの時間もほとんど要していないようである。
 連射が可能な上に7つも砲門を持つという脅威。
 この状況下で唯一の希望であるスーパーロボット、青いキャバリア『プロメテウスV』を探さなければならないのだ。

 だが、まだ希望は消えていない。
 この炎燃え盛る戦場にあって人の希望はまだ潰えていないことを示すように二騎の赤いキャバリアが『プロメテウスV』に随伴している。
「あの二機……あれは」
 ソフィアは知る。
 小国家『シーヴァスリー』にて偶発的に接触した二人羽織のキャバリア。それが二騎に分かたれた機体であると知れただろう。
「『パッセンジャー』ですか」
「来たようだな」
 その名を知るからこそ、ソフィアは警戒する。だが、その警戒よりもソフィアは『プロメテウスV』との合流を優先する。

「『インドラ』! ナイトオブリージュで参ります!」
 煌めくユーベルコード。
 火線迸り戦場を疾駆するは雷帝たる乗騎。
 雷光強襲(ライトニングアサルト)たる力を発露しながらソフィアが駆る『インドラ』がショットガンを放ちながら赤い鋼鉄の巨人に己のへと注意を惹きつけるようにして走る。
「火線は防げませんか……ならば、回避よりも防御を!」
 滑空するように、瓦礫を足場にするようにして『インドラ』は火線を躱しながら走る。
 受けてはならない。
 仮に盾で受け止めたとして、容易く火線は両断するだろう。
 それを彼女は見ていた。
 資料で見たキャバリアの破壊痕。それと火線の一撃が走らせる痕はそっくりだったのだ。

 ならばこそ、受けられない。
「お早く。他の猟兵との合流をお急ぎください」
「あなたは……!」
『プロメテウスV』を駆る『クリノ・クロア』は聞き覚えのある声に目を見開く。
 士官学校でのことを覚えているのだろう。
 ソフィアの機体もまた同様だった。ならばこそ、『プロメテウスV』は退けないとばかりに戦場にとどまるのだ。
 そう、退くことはできない。
 彼らに残されたのは勇気だけだ。
 理不尽の如き力を前にして立ち向かうという勇気。 
 それだけが最後の武器であるというように戦場に立つ。故に、とソフィアは彼らを死なせはしないと赤い鋼鉄の巨人、脅威たるオブリビオンマシンが膨れ上がるようにして肥大化していくさまを見上げ、さらに激化していく戦いの気配に心震えるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユーリー・ザルティア
「『どうか彼らと合体してください』…か。戦況もキャバリアもちょっとふざけすぎてないッ!!」
そりゃ、言われなくても助けるけどさ…。
ごめん。ボクの常識が割と限界なんだけど!!

ああ、もう。今はあの子たちを助けないと!!

『環境耐性』能力の高いレスヴァントMk-2で行くよ。
いつもの粒子はとりあえず温存。
アマテラスで『索敵』して『情報収集』
熱線兵器の射線と危険な高度を避けて、全速力で三人の乗った機体のもとへ駆けつけるよ
「こちらユーリー・ザルティア。識別名レスヴァントMk-2。援護する!!」

さて、三式波導爆縮弾をセット、こいつで熱線兵器とやらを破壊する。
場所はすでに索敵済みだしね。



「『どうか彼らと合体してください』……か」
 ユーリー・ザルティア(自称“撃墜女王”(エース)・f29915)は己が乗騎『レスヴァンとMk-Ⅱ』のコクピットの中でグリモア猟兵からの言葉を反芻する。
 合体。
 ユーベルコードで可能と言われているキャバリア同士の合体。
 スーパー合体。
 いや、いやいやいやいや。
 ユーリーは頭を抱えた。
 この状況で?
 彼女が見たのは火線迸り、戦場を溶断する熱線兵器『プロメテウス・バーン』の苛烈なる力であった。

 炎が燃え盛っている。
 どこを見ても炎だけが彼女の視界を塗りつぶした。
「戦況もキャバリアもちょっとふざけすぎてないッ!!」
 彼女の常識の中ではキャバリアは合体しない。いや、合体機構を持つスーパーロボットがいることは承知している。
 だが、少なくともユーリーは己のキャバリアが合体するような事態を想定していないのである。
 いやまあ、そりゃあ言われなくても最後の希望である『プロメテウスV』は助ける。助けるのだが。

「ごめん。ボクの常識が割と限界なんだけど!!」
 瞬間思考力を持つ彼女とて限界はあるのだろう。
 あまりのことに煙を頭から出しそうだった。けれど、ユーリーはやらねばならないたった一つのことだけで機体のスロットルを踏み込み、炎の戦場を疾駆する。
「ああ、もうッ。今はあの子たちを助けないと!!」
 そう、それだけだ。
 それだけがユーリーを突き動かしている。
「『アマテラス』! 戦場をスキャニング! 動いているキャバリアのデータを転送してッ」
 この戦場において動けるキャバリアは少ない。
『フルーⅦ』のほとんどのキャバリアが、あの赤い鋼鉄の巨人めいたオブリビオンマシンに取り込まれてしまっているのだ。
 なら、必然的に動いているキャバリアの反応があれば、それが『プロメテウスV』ということになる。

 送られてきた情報を一瞬で読み取る。
 この戦場で動いている機体は、猟兵の機体を除けば三つ。
「三つ!? なんで?!」
 ユーリーは炎の向こうに、そのゆらめきの向こう側に見た。三騎のキャバリアが互いをカバーしながら迫る火線を躱しているのを。
 二騎の赤いキャバリアと一騎の青いキャバリア。
「青いのがそうだっていうんなら! こちらユーリー・ザルディア。識別名『レスヴァンとMk-Ⅱ』、援護する」
「『レスヴァント』……ユーリーさんか」
「その声、『フュンフ・ラーズグリーズ』?」
 聞き覚えのある声が二騎の赤いキャバリアの片割れから聞こえる。
 何度となくオブリビオンマシンによる索道によって心折られ、その都度立ち上がってきた少年の声をユーリーは懐かしむ。

「今は『サツキ・ラーズグリーズ』です。でも……」
「悠長に挨拶している暇なんてないってことだよね! わかってる! 此方であの熱線兵器を受け持つ! 射線から」
「退避ですね」
「そういうことッ! 三式波導爆縮弾(サンシキハドウバクシュクダン)……装填。『ダークマンティス』のリミッター解除。とっておきの高い弾丸、うけてみなさい!」
 ユーベルコードに煌めくアイセンサー。
 背面に背負われた砲塔が地面と平行に構えられ、反動を受け流すように大地に脚部からアンカーが打ち込まれる。
 放たれる弾丸が一瞬で空を引き裂き、炎すらも割るようにして赤い鋼鉄の巨人へと叩き込まれる。

 それは7つある砲口の一つを破壊するようにして貫き、赤い鋼鉄の巨人は痛みに喘ぐようにして咆哮する。
 その声無き声を聞き、ユーリーはつかの間の再会に笑むのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

薄翅・静漓
キャバリアを借りて急行するわ
無事でいてほしい
はやく『プロメテウスV』を探さなくては

自由に翔ぶ事はできないけれど、跳び回るぐらいは可能かしら
熱線の軌道に気をつけ、見切り躱し
空中浮遊で足場の悪さをカバーしながら移動するわ
熱線は防げないでしょうけど、結界術も張っておくわ
瓦礫避けぐらいにはなるでしょう

赤い機体とも出会うかしら
『サツキ・ラーズグリーズ』……それが今のあなたなのね
『応援の翼』で戦場を駆ける味方を加速させるわ
共にあの子達を、守りましょう
がんばれ、『パッセンジャー』



 ほとんどのキャバリアが失われていた。
 熱線迸る炎の戦場と化した小国家『フルーⅦ』においてキャバリアは赤い鋼鉄の巨人であるスーパーロボットのオブリビオンマシンによって取り込まれてしまっていたのだ。
 残された機体は量産型の、それも熱線の余波によって本調子でない機体ばかりであった。
 薄翅・静漓(水月の巫女・f40688)が漸くにして借り受けることができた機体もまたそうであった。
 ブースターの調子が悪い。
 けれど、それでも彼女は急がなければという思いに駆られていた。

 あの膨れ上がるように肥大する鋼鉄の巨人。
 あれが狙うは『プロメテウスV』であるという。青いキャバリア。唯一の希望。
『クリノ・クロア』と『ツェーン』、そして『フュンフ・エイル』のクローンである幼子『フュンフ』が搭乗している。
 彼らが狙われているというのならば、なおのこと。
「はやく『プロメテウスV』を探さなくては。無事でいて」
 あの機体の能力を彼女はよく知っている。
 自分が一度搭乗したことがあるからだ。あの強い子ならば三人をきっと守ってくれるはず、と静漓は確信していた。

 だが、この戦場を見やれば、それも上手くはいかないと思えてしまった。
 熱線兵器『プロメテウス・バーン』。
 その威力は凄まじい。
 キャバリアの装甲だろうと大地だろうと溶断せしめる熱線が走り続けている。7つ在った砲口の一つは潰されているが、しかし、それでもまだ間断なく放たれる熱線は脅威そのものであったのだ。
「自由に翔ぶことはできないけれど」
 瓦礫と化した戦場を跳ねるようにして飛ぶ。
 迫る熱線はかわさなければならない。結界術では到底防げない威力であると理解できるからだ。
 己の羽衣人たる力を発露し、キャバリアを無理やり空中に浮かばせる。
 足場の悪さをカバーするつもりだったのだ。

 けれど、それでも熱線に煽られるようにして機体が揺れる。
 衝撃が身に走る。
「無理をしないで。下がって!」
 機体を支えるは、赤いキャバリア。
 その姿を静漓は知っていただろう。他の世界で見たことがある。
 二人羽織のキャバリア。いや、プラスチックホビーそっくりだった。そして、それを駆るのは。
「あなた」
 フュンフ、と静漓はつぶやきかけて被りを振った。
 あのしあわせなゆめをみていた彼は、目醒めたのだ。なら、と彼女は尋ねる。
 あなたの名前は、と。
「『サツキ・ラーズグリーズ』といいます」
「……それが今のあなたなのね」
「はい」
 ずいぶんと、と思った。
 大人らしく。いや、男らしくなったと。涙ばかり浮かべていた幼子の面影はあれど、しかし、それでも男の顔だと通信越しで静漓は理解しただろう。
 己の袖を握っていたあの子が、と思ったかも知れない。

「勝利の意志は潰えていないのなら」
「希望はまだある。如何に炎にまみれようと」
 もう一騎の赤いキャバリアが静漓のキャバリアの機体を引っ張るようにして火線の範囲から逃れる。
『パッセンジャー』と呼ばれる『魂人』の青年と『サツキ・ラーズグリーズ』は頷いた。
 まだ希望はある、と。
「共にあの子たちを、守りましょう」
 静漓の瞳がユーベルコードに輝く。
 三騎のキャバリアの背に光の翼が羽ばたくようにして噴出する。
 勝利の意志。
 希望を捨てぬという意志を持つものにこそ宿る力。

 加速する機体が火線をかいくぐり、赤い鋼鉄の巨人へと肉薄する。
 応援の翼は、羽ばたく。
 それが静漓が得た一つのこと。まばゆい笑顔の先にこそ、この希望がつながっているのなら。
「がんばれ、『パッセンジャー』、『サツキ』」
 その言葉を背に受けて三騎のキャバリアは戦場を飛ぶのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

朱鷺透・小枝子
もたついている暇はない!!
『探すぞぉー!!』

回点号操縦サイキックシールド展開【オーラ防御】!
そしてメガスラスター【推力移動】で熱線を回避または【受け流し】
〈揺籃の子守唄〉発動。戦場全体に無数のドロモス・コロスを召喚
編隊を組んだドロモス達の光学兵器反射で熱線を空へ【跳弾】
また次々とドロモス達を召喚しては【衝撃波】【斬撃波】で標的を攻撃。
120分以上延々と召喚され続けるドロモス達を囮とし時間を稼ぎ。

『奏者!見つけた!』でかした!!

その間に召喚したドロモス達の視界を通して【情報収集】
プロメテウスVの位置を確認、魔法楽曲で彼らを回復させつつ合流を図る!

……熾盛・改。そうか、貴殿らもいるのか……!!



 残された時間はあまりにも少ない。
 この炎満ちる戦場に置いて、唯一の希望。
 それが青いキャバリア『プロメテウスV』であった。その機体だけがオブリビオンマシン化したスーパーロボットに対抗する唯一。
 これを守りきれなければ、猟兵たちの敗北は必至。それ以上に小国家『フルーⅦ』が滅びてしまう。
「もたついている暇はない!!」
 朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)は転移した直後に己がキャバリアを呼び出し、コクピットに収まる。

 起動するモニターに瞳を輝かせる。
 ユーベルコードの輝き。
『探すぞぉー!! さあ、奏者よ! 操縦は任せた。なら、後は!』
「わかっていいる! サイキックシールド展開! メガスラスター出力全開! 疾駆れ!『デモニック・ララバイ』!!」
 小枝子の咆哮と共に機体が凄まじい速度で炎の壁すらぶち抜くようにして走り抜ける。
 その一直線に走る姿に赤い鋼鉄の巨人が熱線兵器『プロメテウス・バーン』を向ける。

 取り込まれたスーパーロボット『レーギャルン』は七騎。
 そのうちの一つは潰されているが、それでも今だ六つの砲口からは火線が間断なく放たれているのだ。
 その一撃を受ければキャバリアの装甲とて容易く溶断されるだろう。ならばこそ、小枝子は受け止めてはならないとメガスラスターの出力を全開にして戦場を疾駆する。
「探すのなら!」
 展開するは無数の子機共言うべき『ドロモス・コロス』たち。編隊をくんだ子機たちが居並び、光学兵器反射能力を発露する。
 打ち込まれる火線。
 それを受け止めることはできない。反射もできないほどの熱量。ならば、それを反射ではなく逸らすことに注力する。
『出力を全開にしても逸らすことしかできない! 過信は!!』
「もとよりしていない! 唄え! 揺籃の子守唄(クレイドル・ララバイ)を!!」
 小枝子の瞳がユーベルコードに輝き続けている。
 破壊されても延々と召喚され続ける『ドロモス・コロス』たち。

『奏者! 見つけた!!』
「でかした!」
 そう、これは時間稼ぎでしかない。標的が多ければ、それだけあの赤い鋼鉄の巨人は此方を狙い続けるだろう。
 その間に『プロメテウスV』をこの戦場にて見つけ出す。
 彼らへの攻撃が止めば、それがたやすくなるだろうと小枝子は踏んだのだ。
『目的の機体の他に随伴する機体があるようだね。反応は二つ』
 これは、と『ララバイ』は思っただろう。
 懐かしむべきかな、と思ったかも知れない。
 青いキャバリア『プロメテウスV』の傍にある二騎の赤いキャバリアの内、その一騎に懐かしい感覚を覚えたのだ。

『十年来の旧友に出会ったような気分だよ』
「そういうアンタは、何も変わらないようだな」
 赤いキャバリアの一騎から『パッセンジャー』が応える。
「……そのキャバリア、『熾盛・改』……そうか、貴殿らもいるのか……!!」
 小枝子の言葉にもう一騎の赤いキャバリアから通信が入る。
「ご無沙汰しております、と言えばいいのか、わかりませんが」
「『フュンフ・ラーズグリーズ』」
「いえ、今は『サツキ・ラーズグリーズ』と名乗っています」
 小枝子は戦場にあって息を吐き出すように笑った。
 そうか、と。
 無事でいるのならば、健在ならば、それでいいと言うように。
 そして、迫る赤い鋼鉄の巨人を見やる。

 あれが倒すべき敵。破壊すべき敵。
 希望が紡がれているというのならば、小枝子は人口魔眼を燃やすように明滅させながら共に戦場に立つものたちと勝利への意志を共有するようにオブリビオンマシンの肥大化する躯体を睨めつけるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルクス・アルブス
【ステルク】

●月×日 今日もステラさんはステラさんでした まる。

じゃないんですよ!
大変ですステラさん、箱買いしてたラムネがもうないんです!
最近シリアス多くないですか!?

あ、あの、すこしは話聞いてくださいよぅ。
ステラさん、最近ぜんぜん遊んでくれないじゃないですか!

これでもー?お役には立ててると思いますしー?
もうすこし遊んでくれても良くないかなー?って思うんですけどー?

わ、わわわわかりましたから、もう咥えないでくださいー!?
あれほんとに怖いんですからー!?

うー……いいですもん。
こうなったら今回も新曲披露しちゃいますからね!

【皇帝賛歌】いっきますよー!
世界の希望を守るのも、勇者の仕事です!


ステラ・タタリクス
【ステルク】
|エイル様《主人様》の!香りがしまーす!!
緊急時につき短縮版です
そして夢からお目覚めですね
サツキ様にパッセンジャー様
此度はよろしく願います! メイドです!

それにしても熾盛とXが揃うとは
さながら伝え聞くフュンフ・エイル様の最後の戦いの様
ですがVと∧が合わさり、|X《未知数》に至るのは阻止しないと
メイドの勘です!

ルクス様!出番…なんですかこの小犬(汗
はいはいよしよし(なでもふなでもふ

フォルいらっしゃい!
ルクス様の演奏は耐え…なん、だと…聞けるレベル!?
あまりの動揺に墜落しそうですが
ええい、メイドを舐めるな!
フォル!【アン・ナンジュ・パス】で仕掛けますよ!
プロメテウスVの退路を作ります!



 ●月☓日 今日もステラさんはステラさんでした まる。

 それはルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)の日記だった。いつ記したとか、そんな日課があったんだ、とか思わないでもなかったが、これまでも日々の出来事を記してきたのだろう。
 そこには、とっても感慨深いというか重たい筆力でもって記されている事実があった。
 なんでかっていうと、ルクスの耳朶を打つ凄まじい声量がほとばしっているからである。
 もう皆まで言わないでもわかるであろう。
 ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)のあれである。いつものあれである。

 もういいんじゃない? と思わないでもなかったが、これが恒例行事であるのでしかたない。むしろ、これをやらない方が少ないと言うか、なんというか。
 まあ、そういうわけなので、いっちょやってみましょう。
「|『エイル』様《主人様》の! 香りがしまーす!!」
 あれ!?
 ルクスは思った。
 なんかいつもより短い気がする。
「緊急時につき短縮版です」
 なにせ、できるメイドですので、とステラはメガネをかけていたら、くいってやっているような雰囲気でもって自信たっぷりに頷いていた。

「そしてしあわせなゆめからお目覚めですね。『サツキ・ラーズグリーズ』様に『パッセンジャー』様。此度はよろしく願います! メイドです!」
「知ってます」
「知っているが」
 ステラの言葉に赤い二騎のキャバリアのパイロットたちは頷いた。
 なんていうか、今更、という雰囲気が漂っていた。シリアスな空気なのだが、なんとも言えない微妙な空気が混ざっていっているのを感じたかもしれない。
「じゃないんですよ! ステラさん!」
 ルクスはたまらず叫んだ。
 だが、ステラは構わずに続ける。

 己の思索に没頭していると言っても良い。
「いや、本当に! 箱買いしていたラムネがもうないんです! 最近シリアスが多すぎたせいですよ!?」
 だが、そんなルクスの言葉にステラは構わなかった。
 むしろ、思索が確信に変わっていくことに思考が加速していくようだった。

 この戦場には『熾盛・改』がいて、『プロメテウスV』がいる。
 奇妙なことだ。
 彼女が伝え聞くところの『フュンフ・エイル』最後の戦い。
 その名を示す機体が共に戦っているという事態に、ステラは感慨深いものを感じるようであった。
 Vと∧。ヴェーダとキャレット。
 この二つが合わさることで何が起こるかなど予想できようはずもない。
 けれど、メイドとしての勘が言っているのだ。
 それだけは為してはならないと。
「あ、あの、少しは話聞いて下さいよぅ」
 ほらぁ、勇者がしんにゃりしているじゃあないですか。
「ルクス様! 出番……なんですか、この子犬」
 ステラは早速、とルクスを振り返った。漸くである。けれど、そこにあったんは、しなしなになったルクスの顔があった。

 まるでくしゃくしゃになったタオルみたいな顔であった。
 くっしゃくしゃである。
「ステラさん、最近ぜんぜんあそんでくれないじゃないですか!」
「はいはいよしよし」
 なでなでもふもふ。
 ステラは手慣れていた。ものすごくなれていた。こうすればいいのだと理解している動きであった。
「これでもー? お役には立ててると思いますしー? もう少し遊んでくれても良くないかなー? って思うんですけどー?」
「はいはいよしよし」
 それしか言ってなくない?
 けれど、二人の間にはそれで通じるコミュニケーション手段があるのかもしれない。ないのかも知れないけれど、多分あるのである。

「はい、グルーミング終わり。フォル、いらっしゃい!」
 その言葉に応えるようにして鳥型キャバリアが舞い降りる。
「わ、わわわわわ!? もう、咥えないでくださいー!? あれほんとうにこわいんですからー!?」
 そう、いつものやつである。
 嘴に咥えた勇者でもって戦うスタイル。
 それが最近のステラのやり方であった。だが、ルクスは断固拒否する。だが、ひょいっと咥えられている。
 いつものやつであるからね。仕方ないね。
「わーん! またー!!」
 ルクスは叫ぶ。けれど、いいのである。
 此処にいれば演奏してよいとなっているのである。そんなこと一言も言ってない気がするが、まあ、そういうことなのである。

「新曲披露しちゃいますもんね! 皇帝讃歌(コウテイサンカ)!」
 それは勇者特有の技能、奏響結界を発露させる。
 火線荒ぶ戦場にあって、彼女の演奏は独自の結界でもって熱波を防ぐのだ。
「ルクス様の演奏が……聞けるレベル!?」
 なん、だと……?
 あまりのことにステラは動揺してしまっていた。危うく墜落しそうになっているが、しかし、ステラは頭を振る。
「ふふん、世界の希望を守るのも、勇者の仕事です!」
 ドヤ!
 そんなルクスの顔に負けじとステラはメイドとしての活躍が霞んだことを理解しながら、なんとかして『プロメテウスV』の退路を作ろうと『フォルティス・フォルトゥーナ』と共にキャバリアの兵装を赤い鋼鉄の巨人へと叩き込みながら戦う。
 でも、やっぱり。

「どうです、わたしの演奏!」
 火線を防ぐ結界に完璧に霞んでしまうのだった。
「ええい、メイドを舐めるな!」
 鼓膜をぶち抜かぬ演奏が、キャバリア装甲すら溶断する火線を防ぐという異常事態。メイドがいかに有能でも、やっぱり霞んでしまうのだった――!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アルカ・スィエラ
……『レーギャルン』…
(流石に今回は違うと解っていても……どうしても身構えてしまう。起きている事件の内容を聞けば猶更)

『コルヴィルクス』装備のプロトミレスで出る。
とにかく、相手を探し出さないとどうにもならないわね。
殲禍焔剣に引っかからない程度を維持しながら、フローリアにも手伝ってもらって目標のプロメテウスVを探すわ

……けど、だからと言って黙って放置する気は…無いのよ…!
【殲滅の引き金】…!結果論だろうが「非戦闘員へ攻撃した」事に変わりはない。
高空へと空間転移したドラグレクスからの超精密砲撃をあのデカブツへと叩き込み、
その機体も、放つ光も、全てを超重力領域、漆黒の獄へと閉じ込めてやるわ……!!



 鈍色の装甲に炎の赤が反射している。
 眼の前に広がっているのは戦禍である。小国家『フルーⅦ』は滅亡に瀕している。原因は言わずとも知れている。
 オブリビオンマシンである。
 スーパーロボット『レーギャルン』の一騎がオブリビオンマシン化してしまったことにより、周囲のキャバリアを際限なく取り込みながら巨大な、それこそ赤い鋼鉄の巨人と形容するに相応しい姿へと変貌を遂げているのだ。
 しかも、放つ熱線兵器『プロメテウス・バーン』は汎ゆるものを溶断するかのように放たれ、炎を舞い上げる。

 その光景を見やり、アルカ・スィエラ(鋼竜の戦姫・f29964)は歯噛みする。いや、身構える、と言った方がよいだろうか。
『レーギャルン』。
 嘗て彼女がオブリビオンマシンに関連した事件において借り受けたスーパーロボットの一騎。
 彼女が使った金属細胞に寄る事件は記憶に凝っている。だから、身構えた。
 今回は異なる要因であったとしても。
 それでも想起されずにはいられなかった。

 己が機体『プロトミレス』と共に戦場を疾駆する。
 唯一の希望である青いキャバリア『プロメテウスV』を助け出さなければならない。
 機体より排出したSDメイドロボたちと共に炎巻き起こる戦場を走る。
 わかっている。
 これは己の罪悪感めいたものから発する感情であると。
 混乱の源となってしまった自覚があるからこそ、足が遠のくのもわかる。動きが鈍るのもわかる。

「……けど、だからと言って黙って放置する気は……無いのよ……!」
 アルカの人がユーベルコードに輝く。
 戦場に満たすはルール。
 非戦闘員への攻撃の禁止。
 ただそれだけ。簡単である。だが、だからこそ、あの赤い鋼鉄の巨人は、それを破る。滅びを、破滅を呼び込む存在。
 故に、殲滅の引き金(ルクス・オブスキュリタス)に赤い鋼鉄の巨人自身が手をかけたのだ。
 ならばこそ、今だキャバリアを取り込みながら肥大化していく赤い鋼鉄の巨人を包み込むは、超重力。
「『ドラグレクス』! あのデカブツを閉じ込めなさい!!」
 アルカの言葉と共に打ち込まれた長寿力が檻のように赤い鋼鉄の巨人を突こ見込む。

「その機体も、放つ光も、全てを超重力領域、漆黒の獄へと閉じ込めてやるわ……!!」
 アルカのユーベルコードは単純だった。
 ルールも明快だった。
 だからこそ、強力になる。非戦闘員への攻撃の禁止。
 それを宣言するより先に赤い鋼鉄の巨人は構わず、この小国家『フルーⅦ』を戦場に変えてしまったのだ。
 ならばこそ、もはや超重力の檻は赤い鋼鉄の巨人をその場に押し止めるのだ。

「これでも破られる……! 何と言う出力よ?!」
 アルカは見ただろう。
 膨れ上がっていく鋼鉄の巨人の内側に赤と青の装甲がマーブル模様のように混濁していくさまを。
 それは赤の比率が多いが故に鮮烈ではない赤色へと変貌していく。
「違う、これ……肥大化しているんじゃあない……質量を凝縮して……何を」
 してるのか、とアルカは訝しんだ。
 だが、次の瞬間、暗獄の檻は凄まじい火線の迸りで砕かれ、青いキャバリア『プロメテウスV』の頭部を撃ち抜くのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月夜・玲
何か大変な事になってるけど…
スーパー合体かあ…合体かあ…
まあ、何とかなるやろ!

《RE》IncarnationとBlue Birdを抜刀
熱線とそれによる余波は『オーラ防御』、シールドを多重展開
斜めに弾きながら躱していこう
そして戦場からプロメテウスVを探していこうかな

同時にプロメテウス・バーンの射線からその位置を計算
場所を割り出していこうかな
割り出し次第、攻撃を開始
【Code:A.M】起動
雷刃最大延長、そして『なぎ払い』
内部の回路を焼き切り、機能を殺す
…本体生きてたら何か後で使えそうとか、思ってないよ
多分!きっと!

合体機構は浪漫とはいえ…あんまり沢山合体すると立体化する時大変なんだぞこらぁ!



 月夜・玲(頂の探究者・f01605)は小国家『フルーⅦ』が炎に包まれる光景を見やり、思わず息を飲んだ。
 なんだか知らない内に大変なことになっている。
 それを突きつけるように炎が立ち上り、赤く全てを染め上げていく。
 あらゆるものを悪性に染め上げるように炎は勢いを増していく。
 火線の一撃が膨大なエネルギーを持って猟兵のユーベルコードすらもぶち抜き、青いキャバリア『プロメテウスV』の頭部を撃ち抜く。
 機体が姿勢を崩すように、よろめきながら動きを止める。

「あ、やっば!」
 玲は二振りの模造神器を抜刀し、走り込む。
 放たれる熱線は、『プロメテウス・バーン』。胸部砲口から放たれる火線は、尋常ならざる出力を持って放たれオーラの防御で真っ向から受け止めれば、玲の生命はなかっただろう。
 逸らすことに、弾くことに注力したからこそなんとか熱波だけが彼女の皮膚を焼くに留められたとも言える。
「あっつ! 機体は!」
「まだ動けます!」
「なら、早く離脱して!」
 玲の言葉に『クリノ・クロア』は即座にその場から弾かれるようにして離脱する。
 頭部を喪っていた。
 だから、コクピットハッチを開いて目視するしかなかったのだろう。その緑の瞳が玲を捉えていた。
 何を言いたいのかを玲は理解していた。
 生身単身であること。
 キャバリアよりも巨大な威容を持つ鋼鉄の巨人と相対していること。

 多くの不安要素がある。
 けれど、それでも玲はあっけらかんとしていた。なんとかなるやろ! と口でいうほど余裕ある状況ではなくても、それでも言ってのけたのだ。
「なんとかなる! なんとかする! どっちも言わなくちゃあならないのが、猟兵の辛いところだけど! 蒼雷展開!」
 吹き荒れるは嵐。
 赤炎満ちる戦場にありて、それを切り裂くは蒼雷。
 掲げた二振りの模造神器の刀身が励起するように光を放ち、極大なる雷刃へと変貌せしめる。
 それは特殊な稲妻とウィルスプログラム。

「Code:A.M(コード・アンチマシーン)、これぞ機械を殺す蒼き一閃」
 放つ一撃が赤い鋼鉄の巨人を切り裂く。
 内部の回路を焼き切る。
 あれがキャバリアを取り込んでいくというのならば、その連結を切り離す。本体が生きていたら、後でなにかに使えそうだよね、とか考えてない。たぶん。いや、それは逆説的に考えているってことでないかと思われるが、しかし。

 そう、玲は気がついただろう。
 すでにあの赤い鋼鉄の巨人は。
「電子回路と制御プログラムを有してない……? じゃあ、あれは」
 もはや一個の生命。
 雷刃受けて、咆哮する赤い鋼鉄の巨人。
 膨れ上がった巨体が凝縮するようにして、赤と青の装甲をマーブル模様のように溶け合わせていく。
 集約される一点に、それは存在していた。
 あまりにも巨大すぎたキャバリアの塊。それ故に今まで移動することはなかった。
 だからこそ、これまで持ちこたえることができたのだ。

 けれど、その前提は崩れた。
 今、眼の前にあるのは体高15mの巨神。
『フルーⅦ』中の全てのキャバリアを取り込んでいた時よりもダウンサイズされているとは言え、しかして、それはキャバリアの三倍にも及ぶ巨体。
「あれは、一個の生命だとでも言うの?」
 いや、それよりも! と玲は叫ぶ。
「合体機構は浪漫とは言え……あんまりたくさん合体すると立体化する時大変なんだぞこらぁ!」
 関係ありそうでなさそうなことを叫び、その赤き巨神に己が模造神器の切っ先を突きつけるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

杓原・潤
なんだか良く分かんないけど、とりあえずあの子達を助ければ良いんだよね?
スーパーロボットかぁ……うちの子ももそれっぽい見た目だし、合体出来るんじゃない?
それを確認するためにも、行こう!テルビューチェ!

さて、まずはプロメテウスってのを探さなきゃね。
こんな時はブラックキャットにお願いだ!
ヘイ黒猫!プロメテウスVの所まで道案内して!
これでおおまかな方向を特定して、急いで行けば多分発見くらいは出来るはず。
見つけたら大きな声で叫ぶよ。

そこのスーパーロボットー!
スーパーなんて大層な呼ばれ方してるくせに押されてるじゃーん!
もーちょいやる気出しなよー!

これで負けん気を出して、バリバリ頑張って貰おう!



 なんだか良く分からないけれど、と杓原・潤(鮫海の魔法使い・f28476)は小国家『フルーⅦ』の惨状を見やり、そして頭部を火線に撃ち抜かれた青いキャバリア『プロメテウスV』を見つける。
 状況は悪化の一途を辿っている。
 炎盛る戦場。
 頭部の破壊された唯一の希望、スーパーロボットである青いキャバリア『プロメテウスV』。
 そして、何よりも。
 小国家中のキャバリアを全て取り込んだ赤い鋼鉄の巨人が肥大化し、さらには凝縮することによって体高15mほどはあろうかという巨体へとサイズダウンしてみせたのだ。

 その威容は、まさしく赤い巨神とも言うべき姿であったことだろう。
「とにかくあの子たちを助ければよいんだよね? 行こう!『テルビューチェ』!」
 潤は己が乗騎と共に炎の戦場を走る。
 あの青いキャバリア『プロメテウスV』が鍵だというのならば、彼女は炎に捲かれる戦場をスマートフォンに記された座標へとひた走る。
 頭部を喪って、あの青いキャバリアは難儀をしているようだった。
「見つけた!」
 潤は叫ぶ。
 呼びかける。
 いや、違う。
 それはどう聞いても罵詈雑言にも似た叫びであった。


「そこのスーパーロボットー!」
「……!? え、何、なん……」
 パイロットである『クリノ・クロア』は突然聞こえた潤の声に周囲を見回す。
 その声の主である潤は『テルビューチェ』よりユーベルコードに輝く瞳と共に、頭部を砕かれた機体へと呼びかけるのだ。
「スーパーなんて大層な呼ばれ方してるくせに、押されてんじゃーん! もーちょいやる気だしなよー!」
 それは、Secret Cheer!(シークレット・チア)
 そう、潤は彼らに頑張ってほしいと願った。けれど、慰めることは誰だってできるだろう。
 がんばれ、という気持ちはあれど、しかし、それは自分の気持ちでしかない。
 受け取る側に用意ができていなければ、持ち腐れでしかない。
 だからこそ、打ちのめされている今だからこそ。

 潤は彼らに負けん気を出してほしいのだ。
 生きるってことは大変なことだ。わかっている。だからこそ、潤は罵詈雑言にしか聞こえない叫びを彼らに発する。
 負けるな、と。
 どんな理不尽にも。どんな逆境にも。
 負けない意志を持って欲しいと願ったのだ。

「だっさー、よわよわじゃーん。悔しかったら頑張ってみせてよー……できるでしょ! やれるでしょ! 誰かを守るために戦っているんなら!」
 その言葉に空が煌めく。
 赤い二騎のキャバリア。
『熾盛・改』と呼ばれた二人羽織のキャバリアが二騎に分かたれ、その本体たる機体が己が頭部をつかみ、引き抜く。

 それはロボットヘッドと呼ばれるクロムキャバリア由来の種族としての姿であった。
「なら、応えよう。僕が」
 それはロボットヘッド『エイル』。
 嘗ては『フルーⅦ』をも巻き込んだ戦乱の主。だが、今は違う。赤いキャバリアの色が青く変わり、赤いロボットヘッドが飛ぶ。

 潤は見ただろう。
 それが希望につながる道筋だと。
「やればできるって所、見せてよね!」
 彼女の言葉に後押しされるようにして、頭部破壊された青いキャバリア、その希望へと嘗ての戦禍の源が平和を勝ち取らんと飛ぶ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『セラフィム・エイル』

POW   :    空の雲海を絆ぐは熾火
自身の【プラズマブレイド】に【熾火】を宿し、攻撃力と吹き飛ばし力を最大9倍まで強化する(敗北や死の危機に比例する)。
SPD   :    星の海を絆ぐは熾火
状態異常や行動制限を受けると自動的に【胸部砲口より戦場を塗りつぶす熾火】が発動し、その効果を反射する。
WIZ   :    闇を恐れることなかれ、それは熾火
自身の【光の翼】から、自身の技能どれかひとつを「100レベル」で使用できる、9体の【セラフィム】を召喚する。

イラスト:落葉

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ナイアルテ・ブーゾヴァです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 熱線の一撃によって青いキャバリア『プロメテウスV』の頭部が打ち砕かれた。
 唯一の希望。
 それが『プロメテウスV』だった。
 肥大を続け、そして小国家中のキャバリアを取り込んだオブリビオンマシンのスーパーロボットは、今やその質量を凝縮させ、サイズダウンしたとは言え体高15m級の巨体、その巨神とも言うべき恐るべき姿をさらす。
 赤い機体。
 それを知る猟兵たちにとっては皮肉であり、また同時にこの戦禍満ちる世界にて対峙する二騎のスーパーロボットにとっても皮肉めいた運命であった。

 百年前に嘗て在りし決戦。

 青いキャバリア『熾盛』と赤き巨神『プロメテウスX』。
 その決戦の構図が入れ替わっていた。
 対する巨神は、『セラフィム』とも呼ばれた『熾盛』を模した『セラフィム・エイル』。
 そして、唯一の希望は分かたれた『プロメテウスV』。
 その破壊された頭部へと『熾盛・改』より引き抜かれたロボットヘッド『エイル』が飛び、『スーパー合体』たるユーベルコードの輝きを放つのだ。
「これは……合体!?」
『クリノ・クロア』は目を見開く。 
 頭部を破壊されたことによって死んでいたモニターが復活していく。
 さらに機体のエネルギーゲインが上がっていくのだ。

「機体の炉が……完全励起してる! これって!」
『ツェーン』はモニターに表示される数値を見やる。
「僕の名は『エイル』。久しいね、とは言わない。君たちにとって僕は戦禍の主。けれど、それでも今は」
『エイル』の言葉に幼子『フュンフ』が頷く。
「はじめまして『エイル』。僕の名前は『フュンフ』。一緒に戦おう。そして、みんなで平和を」
 彼の言葉に『エイル』のロボットヘッドとしてのアイセンサーが煌めく。
 それはユーベルコード『スーパー合体』。
 戦場に存在した猟兵たちの機体に手を差し伸べるように示す力。青い熾火が、いつかの大空の世界にて発露した光となって戦場に走り抜ける。

 そう、これこそが究極合体。
 平和を求めるものたちの願いが祈りに昇華することによって発露する力。
「さあ、叫べ、猟兵。これが合体だ――!」
カシム・ディーン
これが最近噂の合体って奴か
僕としては美女と合体してーがな?
「メルシーは男の子も女の子もイけちゃうぞ♥」
まぁそれはそれとしてよぉ…

【瞬間思考・情報収集・視力・戦闘知識】
周辺状況の把握
そしてプロメテウスと二人羽織の位置の捕捉

そして熱線兵器の方角と攻撃方向を分析

僕は合体なんぞせずとも最強無敵だがな?
「でも足並みを揃えるのは大事だよね☆」
まーな

プロメテウスっつったか?聞こえるか?
之から援護と防衛に入る
取り合えずは…逃げるぞっ

【見切り・念動力・属性攻撃・武器受け】
UC発動
防御強化
バリアはプロメテウスと序に二人羽織と共に防衛
各属性を強化!
防ぎきれず共射線はずらすし…跳ね返してやる!

二人羽織に対し
おいフュンフぅ!…だよな?おめーどこ行ってたんだ馬鹿野郎!
「フュンフ君にぱっさんおひさ☆」
つか二人いるなら面倒くせーからサツキでいいか
おめーらにはいろいろ積もる話あるんだから…あのデカブツぶっ潰した後ふらっと消えるなよ?
ああ…それでも一個だけ聞くか
…エルネイジェ王国は知ってるか?んで…知ってたら…何かした?



 赤き巨神『セラフィム・エイル』は咆哮する。
 それは嘗て敗北に塗れた己が最期を想起させるものであったからかもしれない。
 対するは『プロメテウスV』。
 分かたれたとは言え、その構図は反転していると言わざるを得ない。
 許しがたい。
 敗北に塗れ、されど、しかして勝利を得ようと宿敵の姿をもせば、対するは己の過去。
「――」
 咆哮ならぬ咆哮が大気を震わせる。
 振り抜いたプラズマブレイドの一閃が振り下ろされ、大地が砕けた。

「僕としては美女と合体してーがな!?」
『メルシーは男の子も女の子もイけちゃうぞ♡」
「それはそれとしてよぉ!」
 カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は己が乗騎『メリクリウス』と共に戦場に飛び込む。
「合体なんぞせずとも僕は最強無敵だがな?」
『でも、足並み揃えるのは大事だよね☆』
「まーな。だが、際にやることがある。『プロメテウス』つったか? 聞こえるか?」
 カシムの言葉に『プロメテウスV』の頭部へと変じたロボットヘッド『エイル』は応える。

「聞こえているよ」
「なら、良い。これから援護と防衛に入る」
「構わない。合体機構のシークエンスは」
「わかってらぁ! 万物の根源よ…帝竜眼よ…竜の中の竜…世界を蹂躙せしめた竜の王の力を示せ…!」
 帝竜眼「ヴァルギリオス」(セカイヲジュウリンセシオウノナカノオウ)が煌めく。
 それはバリアだった。
 触れた者を毒にするバリア、攻撃を反射し、燃やすバリア。触れたものを凍結するバリアが三重に張り巡らされる。
『セラフィム・エイル』のプラズマブレイドの一撃が振り下ろされ、バリアを砕く。
 だが、砕かれた瞬間、バリアは即座にプラズマブレイドの出力を毒に変換し、その刀身の基部を侵食していく。
 さらにプラズマブレイドの刀身を凍結させ、反射させた衝撃でもって砕くのだ。

「やられるかよ! っていうか、言いたいこと言わなきゃならねぇやつがまだいるんだよ!」
 カシムは『メルクリウス』が『プロメテウスV』と合体し、他の猟兵たちの機体が合体するまでの猶予を稼ぎながら二人羽織の機体へと変じた二騎の赤と青の機体を見やる。
 あれなる機体に乗るのは。
「おい、『フュンフ』ぅ! ……だよな? おめーどこ行ってたんだ馬鹿野郎!」
『フュンフ君に、ぱっさんおひさ☆』
 気安い言葉だった。
 けれど、再会を喜ぶ暇すらなかったかもしれない。迫る熱線にプラズマブレイドの一撃。まだ『セラフィム・エイル』は此方を諦めていない。
 バリアを打ち砕かれるのは時間の問題だった。

「僕?」
「ちっこいほうじゃなくって……あ、そうか、二人いるんだったな。もうめんどくせー0から『サツキ』でいいか!」
「構いません。どこに、というのならば、しあわせなゆめを見ていた、としか。でも……」
「ああ、積もる話はあるんだ……まずはあのデカブツぶっ潰した後だ!」
 ふらっと消えんなよ! とカシムは釘を差した。
 だが、ああ、と思いつく。
 もう一つ尋ねなければならない、と。

「ロボットヘッドの『エイル』、おめー『エルネイジェ王国』という小国家に覚えはあるか!」
「知っているよ。かの屈強たる者たちの血脈の国」
「なら、何かしたのかもゲロってもらうからな!」
 カシムの言葉に『エイル』はなおのこと、と向き直る。
 巨神。
 赤き巨神。
 悪性の塊たる『セラフィム・エイル』の猛攻は、追い込まれれば追い込まれるほどに苛烈さを増していく。
 この戦場に集った猟兵たちの力を集め、合体しなければ到底立ち行かぬほどの力が迫っている。
 カシムはバリアの維持は任せろ、と叫ぶ。
 そして、告げるのだ。
 どれだけの悪性が迫ろうとも、それでも凌駕できぬ悪性はないと。
「さあ、サクッと倒しちまおうぜ――!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

ウィル・グラマン
●SPD

っしゃあ!
これで形成逆転だ!!
スーパー合体の誘いがありゃ乗るっきゃねぇよな、ベア!
オレ様も乗るとなれば、電脳魔術で一旦オレとベアキャットを電子データ化してーの、プロメテウスVの|力《UC》で再設計された拳型パーツ…ベアナックルで合体だぁ!!

へへーん、どうだ!
ベアの頑丈さと馬鹿力が具現化したような|鉄《くろがね》の鉄拳だぜ!
おまけにオレ様が|上腕部《プロメテウスV》と|拳《ベアキャット》の間の腕部分に居るから、ベアへの指示はし易い上にベアが指を動かせば【エンガチョ・テリトリー】のバリアも展開できるんだぜ!
にゃはは!
どうだ、これなら胸部砲口から出されるプロメテウス・バーンも防げるぜ!

今度はこっちの番だ!
スーパーロボットと言えば…そう、ロケットパンチだぜ!
ベア自慢の頑丈さを活かした必殺の一撃を受けてみやがれ!!

さぁ、行くぜ!
唸れ鉄拳、ブースト・ベアナックル!!
…って、腕部分のオレも一緒に飛ぶのかよぉおおおっ!?



 合体中のシークエンスに攻撃されることはご法度である。
 いや、それが通用するのはアニメの世界だけであろう。だが、時にアニメの中でも変形合体中に攻撃されることだってままあるのである。
 それを解決するのが合体中におけるバリアである。
 猟兵のユーベルコードによって包まれた青いキャバリア『プロメテウスV』は青い熾火のような光を発しながら、猟兵たちのキャバリアと『スーパー合体』を果たしていく。
「っしゃあ! これで形勢逆転だ!!」
 ウィル・グラマン(電脳モンスターテイマー・f30811)は己が『ベアキャット』と共に己を電子データ化して、巨大な拳型パーツへと変形し合体を果たす。

「これが! オレ様とベアの! そして『プロメテウスV』の力で合体した拳型パーツ……ベアナックルだぁ!!」
 燦然と輝くは天に突き上げられた巨大な拳。
 不釣り合いのような形になっているのは、今だ合体中だからであろう。
 しかし、その拳は『ベアキャット』の凄まじい頑丈さ、そしてパワーを具現化したかのような形であった。
「鉄拳!! 喰らえよ!!」
 振り下ろされる拳の一撃がオブリビオンマシン『セラフィム・エイル』の放ったプラズマブレイドと激突し、火花散らす。
 熱線を胸部砲口から放たれても、力合わさったスーパーロボット状態の『ベアキャット』の装甲を溶断することはできなかった。
「へへん! そんなもん効かねーよ!」
 これがバリアってもんだ! とウィルの瞳がユーベルコードに煌めいている。

 確かに拳パーツに変形合体した己達は動けない。
 けれど、それでも拳パーツである異常、その指を交差させて生み出される電脳空間障壁は、熱線の一撃さえも退け、さらに障壁を通過した全ての運動エネルギーを10分の1へと減ずるのだ。
 これによって熱線の威力は落ち込み、キャバリアの装甲で容易く弾かれるのだ。
「お得意の『プロメテウス・バーン』も、効かねぇぜ! さあ、なら今度はこっちの番だ! 叫べよ、『クリノ・クロア』!」
「え、え、ええ!?」
『プロメテウスV』のパイロットである『クリノ・クロア』が戸惑う。
 それも当然だろう。
 この合体機構は、そもそも搭載されていないものである。
 ユーベルコードの力によって、無理やり合体しているような状態なのだ。マニュアルもなにもあったもんではないのだ。
 だが、それでもウィルは叫ぶ。

 やればできると。
 やってみればなんとかなるもんだと。
「スーパーロボットと言えば……なんなのかわかるよなぁ!」
「わ、わからない!」
「決まってんだろ、そう、ロケットパンチだぜ!」
「ろ、ろけっと……?」
「つまり、この合体した貴方のキャバリアの拳パーツをミサイルみたいに飛ばす、ということ? 射出した勢いで敵を砕く、と?」
『ツェーン』の言葉にウィルは頷く。
 理解が早いな、と。さすがはメカニック、と。
「そういうこった! ベア自慢の頑丈さを生かした必殺の一撃をぶち込んでやる! コール!」
「ろけっとぱーんち!」
 幼子の『フュンフ』の言葉を受けて『プロメテウスV』と『ベアキャット』のアイセンサーが煌めく。
「さぁ、行くぜ! 唸れ鉄拳! ブースト・ベアナックル!!」
 おらぁ! と気合十分にウィルは叫ぶ。

 だが、彼は考えていなかったのだ。
 もしかしたのならば、いつもの『ベアキャット』と同じつもりだったのかもしれない。今の彼は電子データ化して『ベアキャット』と共に合体しているのだ。拳パーツとして。
 なら、ロケットパンチとして打ち出される拳は。
「……って、オレも一緒に飛ぶのかよぉおおおおっ!?」
 それはそうなるってもんである。
 だが、『ベアキャット』が吠える。
 壊れるはずがない。己が特殊金属合金は何のためにあると思っているのだと。

『ガォン!!!』
 そう、この駆体は守るためにある。
 例え、己自身が拳として放たれても、オブリビオンマシン『セラフィム・エイル』は己を壊す手段など持ち得ない。
 故に放たれた拳の一撃はウィルの心配など杞憂であると示すように、その巨体を吹き飛ばし、炎盛る大地へと叩きつけ再び『プロメテウスV』の腕部として合体する。
「どうだ、見たか! これがベアとオレの鉄拳だ――!!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユーリー・ザルティア
これが合体か…
しっかし、この展開。超展開すぎん?

ま、まあボクは幾多の戦場と世界をかけて学んだ。
こーいうときは、ノリと勢いだと!!
行くよレスヴァントMk-2!!
合体だッ!!(注:やけくそ)

『瞬間思考力』で瞬時に状況を確認して『プログラミング』で機体の制御システムを最適化。
この手のスーパーロボットの操縦経験ないからね。
フォローよろしく!!
敵の軌道を『見切り』つつ、慣れない挙動を自慢の『操縦』テクで乗りこなし、敵の攻撃を回避。
だいたい理解してきた。なら反撃だね。
レスヴァントMk-2の≪ウルティメイトキャノン≫にアクセス。
『制圧射撃』を行う。くらいなッ!!



 白いキャバリア『レスヴァントMk-Ⅱ』の駆体が巨大な砲身へと変形する。
 このような機能など元より設計にはなかった。
 現実ではありえない合体。
 それがスーパーロボット『プロメテウスV』のユーベルコードのなせる業であり、また同時に青い熾火によって繋がった猟兵たちの力の結集でもあったのだ。
『プロメテウスV』をコアとして合体を果たした猟兵たちのキャバリア。
 その肩部に『レスヴァントMk-Ⅱ』は砲身としてドッキングする。

「これが合体か……しっかし、この展開、超展開すぎん?」
 ユーリー・ザルティア(自称“撃墜女王”(エース)・f29915)はめまいを覚えた。
 さもありなん、というやつである。
 本来自分の機体にない変形合体機構がいつの間にか存在していて、しかも機体そのものが武装となるなんて思っても居なかったのだ。
 とんでもない理屈理論と呼ぶに相応しいし、もう一回再現しろと言われてもできる気がしないし、誰に説明しても信じてもらえない気がした。
 だが、ユーリーは頭を振る。
 そう、彼女は猟兵である。
 数多の世界を知り、数多の戦場を駆け抜けてきたのだ。
 それは学びであったし、考えてもどうにもならない事柄である、ということに帰結するものである。

「こーいういときは、ノリと勢いだよね!」
 それはもうヤケクソというものではないだろうかと『クリノ・クロア』は思った。
 けれど、口に出したら出したでユーリーは絶対認めないだろうしな、とも思ったのだ。
「いくよ、『レスヴァントMk-Ⅱ』!!」
「ドッキング完了! 火器管制のコントロールをそちらに!」
『ツェーン』の言葉にユーリーは頷く。
 瞬間的に状況を確認する。
 迫るはオブリビオンマシン『セラフィム・エイル』の火砲の一撃。
 戦場を一変させる砲火は、汎ゆる障害を塗りつぶすように放たれ、『セラフィムV』に襲いかかる。
 その僅かな刹那にユーリーは合体した機体の状況を確認し、さらに制御システムを最適化する。

 そう、確かに自分はこの手のスーパーロボットの操縦経験がない。
 だからこそ、これは適材適所というやつなのだ。
「フォローよろしく!!」
「こっちで機体の動きは制御します。だから……」
「狙いはこっちでってことね! りょーかい!」
 敵は通常のキャバリアの三倍はあろうかという巨体である。だが、こちらも他の猟兵たちの機体と合体することによって、体躯の圧倒的差はない。
 ならばこそ、ユーリーは迫る敵の攻勢を見切り、『クリノ・クロア』の動きをフォローするのだ。
「なるほどね。だいたい理解してきたよ。合体しても基本的な動きは変わらない。瞬間思考力で、互いの意思疎通を測れば、合体しても問題なく動かせるってこと。ならさ!」
 次なるは反撃を叩き込むのみ。

 今までは防戦一方だった。
 けれど、ここから畳み掛ける。ユーリーは即座に己のコクピットの中で演算する。敵の動きは巨体でありながら、確かに速い。
 けれど、目で追えないほどではないのだ。
 ならばこそ、ユーリーは己の機体が砲身へと変形したことを理解する。
「こういうことか……なら、使い方はいつもと一緒! ウルティメイトキャノンモードへ移行。エネルギーライン、全段直結。チャンバー内、正常加圧中……」
「ライフリング回転開始!」
「発射準備完了!!」
 ユーリーはためらわなかった。

「くらいなッ!!」
 物質化するほどの膨大な質量を持つ電力の塊が砲身となった『レスヴァントMk-Ⅱ』より放たれる。
 それはウルティメイトキャノンの一射。
 その膨大な電力は一機体のエネルギーインゴットの全てを消耗するだろう。
 けれど、此処には共に集った猟兵たちのキャバリアが居る。
 出力も、エネルギーも、何も心配することはない
 故に引き金を引く力は、集った猟兵たちの数だけ合わされる。吹き荒れる電力の迸りは、『セラフィム・エイル』の装甲をひしゃげさせながら、合わさった力の凄まじさを示すように閃光に包み込むのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ソフィア・エルネイジェ
キャバリアの生首…ロボットヘッドに赤と青の機体…
そしてプロメテウス・バーン…これは…
今は使命に専念致しましょう
彼等には聞かねばならない事が出来ましたので

本来インドラには合体機構は存在しないのですが…ユーベルコードは理の根幹を曲げて可能としてしまう
やはり恐ろしい力です
合体したインドラは腕部の巨砲となりましょう
元より機体全身がライトニングバスターの発射砲台のようなもの
機能衝突も抑えられましょう

プロメテウスVの方々!そしてエイル様!
接近戦の間合いに持ち込んでください!
砲となってもインドラの砲門は格闘兵装を兼ねておりますので!
攻撃の機会は一度きり
食らい付いて断罪の瞬光を接射します



 いくつかの事柄が頭に浮かぶ。
 十数年前の己が国での事件。
 ロボットヘッド『エイル』。
 赤と青の装甲を持つキャバリア。
 加えて、熱線『プロメテウス・バーン』。
 その事柄が点と点とで線を描く。描かれた絵図はとうに終わりを告げたものであるが、終わりを告げたものの、その先が存在しないという現実はありはしない。

 人が生きている限り歴史は紡がれていく。
 紡がれたものは、途絶えることはない。人が人である限り、決して途絶えることはないのだ。誰かが後を引き継ぐだろうし、惰性で軌跡描くこともあるだろう。
 そうして歴史は積み重なっていくものならば。
「これは……」
 ソフィア・エルネイジェ(聖竜皇女・f40112)は、己の中に抱く一つの懸念に行き当たるだろう。
 しかし、彼女は今、猟兵として此処にある。
 ならば。
「使命を果たすと致しましょう。彼らには聞かねばならないことができましたので……『インドラ』!」
 彼女の言葉と共に青い熾火が乗騎『インドラ』が走る。

 本来『インドラ』に合体機構など存在しない。
 他のキャバリアにおいても同様であろう。けれど、ユーベルコードの輝きは、それすら捻じ曲げる。根幹を否定しないまでも、しかし『絆ぐ』のである。
 それが『セラフィム』の力だというのならば、『プロメテウスV』もまた『セラフィム』であるとうのだろうか。
「やはり恐ろしい力です」
 ソフィアの駆る『インドラ』が腕部へと形を変え『プロメテウスV』へと連結する。
 その姿はまるで巨砲の如き姿であった。
「だが、それでも力は力だ。恐ろしく思える力でも、人は己の意志で御すことができる。エルネイジェの血脈。君はそれを知っているはずだ」
 ロボットヘッド『エイル』。
 嘗ては、戦禍の主としてクロムキャバリア、小国家『グリプ5』周辺において暗躍していた存在である。

 幼少期は終わりを告げ、懊悩と悔恨満ちる青年期へと至ったであろう存在は告げた。
「ならば、使いこなして見せなさい。我が断罪の雷帝の力を。『プロメテウスV』の方々! そして『エイル』様!」
 アイセンサーが煌めく。
 ユーベルコードの輝き。そして、それ以上に意志の光が彼女達の瞳に宿っていた。
 迫る巨大なオブリビオンマシン『セラフィム・エイル』の振るうプラズマブレイドが極大にまで膨れ上がる。
 奇しくも、宿すは熾火。
 鮮烈なる光。熱を湛えた一撃が振り下ろされるのをソフィアは己の乗騎が変じた『インドラ』と共に受け止める。
 火花が散る。
 激突する衝撃にコクピットが揺れる。けれど、それでもソフィアは笑む。

 強敵だ。
 掛け値なしの敵である。強敵を前にして怯むことはない。恐れることはない。そこにあるのは、打倒すべしという意志のみ。
「接近せの間合いならば!」
「機会は一度きり……!」
「食らいついて見せます! さあ、今です! ライトニングバスター!」
 ソフィアの声に『プロメテウスV』にあるものたちの声が重なる。膨れ上がるユーベルコードの輝き。
 満ちる光は、断罪の瞬光(ライトニングバスター・ラディカルレイ)である。
 そう、巨砲となれど『インドラ』は機体そのものが発射砲台そのものと言える存在である。ならばこそ、その咆哮はまさしく悪性切り裂く断罪の光。

 吹き荒れるようにして光条が『セラフィム・エイル』の強靭な装甲を穿ち、炎の戦場を両断せしめるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

村崎・ゆかり
変形合体か。面白そうじゃない。
それならあたしは『迦利』から降りておきましょう。

三角形が残像のように連なって、一本の剣になる。これが『迦利』のスーパー合体!
全体に火界咒の炎を纏い、『セラフィム・エイル』を両断しちゃえ!
「全力魔法」炎の「属性攻撃」「引き裂き」で、必殺の『炎帝断』を今ここに!

――他の皆なら、操縦席で沸き立つんでしょうけど、あたしは外で激突を見るだけだからなぁ。まあ、臨場感は十分あるし、どっちがお得やら。
「火炎耐性」と「オーラ防御」で流れ弾には注意しましょ。
剣になった『迦利』の制御権も『クロア』たちに引き渡したから、あたしはもうギャラリー気分なのよね。
しっかり勝つのよ、あんたたち。



 村崎・ゆかり(“紫蘭”/黒鴉遣い・f01658)は次々と合体していく『プロメテウスV』と猟兵たちのキャバリアを見やり笑った。
「変形合体か。面白そうじゃない」
 ゆかりは己が操る無人機である『迦利』の上から飛び降りた。
「それならあたしは! ゆきなさい『迦利』!」
 逆三角形が翻る。
 空にてその頂点を示すようにして煌めいた瞬間、機体が残像のように連なり一本の剣へと変じるのだ。
 ユーベルコード『スーパー合体』は、機体の構造さえ変えてしまう。
 恐るべき力である。
 このユーベルコードの力をたぐる『プロメテウスV』の合体し巨大化した腕部が剣となった『迦利』を握りしめる。

「まだまだ! ノウマク サラバタタギャテイビャク――!」
 ゆかりの瞳がユーベルコードに輝く。
 投げつけたいくつもの白紙のトランプが刀身へと張り付き、炎を噴出させる。
 それは不浄を灼く炎。
 不動明王火界咒(フドウミョウオウカカイジュ)たる力。
「これで完成よ!」
「炎の剣……これが!」
「あたしのスーパー合体! さあ、その剣で「セラフィム・エイル」を両断しちゃえ!」
 ゆかりは降り立った地上から『プロメテウスV』を見上げて、ウィンクしてしみせた。

 他の猟兵ならば操縦席、コクピットで沸き立つ所なのだろうが、ゆかりはそうしなかった。
 無人機であるから、というのもある。
 けれど、ゆかりは思うのだ。
 機体の中に居ては見えない光景があるのだ。
 人の悪性に濁った赤色の機体。鋼鉄の巨人は咆哮する。光条に穿たれた肩部を再生するようにして、取り込み融合したキャバリアたちの力が膨れ上がる。
 恐るべき力である。
 これほどまでの力を秘めたスーパーロボットがオブリビオンマシン化すると、小国家一つを容易く滅ぼしてしまえる。

 その脅威を前にして、それでもたった一つの希望が燦然と輝いている。
 それもまた人の意志であり善性であるというのなら。
「あたしは見てるわ。しっかり勝つのよ、あんたたち」
「行きます!」
「武器、ありがとうねぇ」
 声が聞こえる。
 傍にいなくてもわかることがある。猟兵は確かに世界しか救わない。人を救う必要がない。なぜなら、世界の悲鳴に応えるのが猟兵だからだ。
 けれど、多くの猟兵がそうであったように人を救うことを願う。
 そうしなければならないと思う心があるからこそ、人の善性は悪性あれど輝くのだ。

 それを示すようにゆかりのキャバリアが変じた炎の剣。
 名付けるのならば、必殺『炎帝剣』とでも言おうか。その振り上げた炎の刀身が『セラフィム・エイル』の熾火放つプラズマブレイドと激突する。
 吹き荒れる衝撃。
 風が吹いていた。
 ゆかりの頬を打ち付け、目が霞むほどの風が。
 けれど、ゆかりは目を見開いて、その光景を見つめる。
「しっかり勝つのよ、あんたたち」
 それが託した願いだ。
 願いは祈りに昇華する。誰かのためになりますようにと、心に平和を抱いて。
 戦いを終わらせるために振り下ろされた一撃は『セラフィム・エイル』を押し返すのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

杓原・潤
合体かぁ、これもロマンってヤツぅ?
うるうには良く分かんないけど、まぁ大きい方が強いよね!
いいよ、テルビューチェとうるうの力を貸してあげる!
でもその代わり、コントロールはこっちに欲しいなぁ?
お願いお願ーい!

さて、合体できたらもうひと工夫!
うるうの魔法で更に武装を強化しちゃおう。
追加武装も合体と同じお約束だもんね、黒と金のでっかい武器を作るよ!
なんせ敵は9体も召喚してくるんだから、武器が強いに越したことは無いよね。
スーパーテルビューチェの怪力と継戦能力をフル活用して片っ端から引き裂いてやる!
圧倒的なパワーで群がる敵をやっつける、これこそスーパーロボット!
ね、皆もそう思うでしょ?



 スーパー合体。
 青の熾火が広がっていく。
 戦場に存在する猟兵たちのキャバリア、その力に引き寄せられるようにして熾火のような青い光が走る。
 それを杓原・潤(鮫海の魔法使い・f28476)は己の乗騎『テルビューチェ』の中から見た。
「合体かぁ、これもロマンってヤツぅ?」
 潤にはよくわからないものだった。
 ロマンと言われても、あまり理解できない。男の子だったらわかったのかな、と首を傾げた。
 けれど、対する敵。オブリビオンマシン『セラフィム・エイル』の巨体は通常のキャバリアの三倍はあろうかという巨体である。
 巨人と小人の戦いであると言わざるをえないだろう。
 だからこそ、潤は迫る青の熾火に手を伸ばす。

「いいよ、『テルビューチェ』とうるうの力を貸してあげる!」
 機体が変形する。
 それは『プロメテウスV』の腰部にドッキングし、下半身……つまりはアンダーフレームへと変貌するのだ。
 分離した尾のパーツと武装が連結し、他の猟兵のキャバリアが変じた剣へと合体していくのだ。
「さらにいくよぉ! 夜の魔力よ、力を――!」
 瞳がユーベルコードに煌めく。
 星が煌めくようにして、剣へと合体した『テルビューチェ』の武器と尾のパーツが、星夜魔装(スターライト・ナイト・クラッド)となって合わさっていくのだ。

 それは巨大な剣。
 あまりにも刀身が巨大であった。
「武装が重く……!」
「だいじょうーぶ! うるうにコントロール貸して! お願いお願ーい!
 潤は『プロメテウスV』の抜刀モーションを自らのコントロール下において、構えさせる。
 黒と金の巨大な刀身の剣を構える。

「『セラフィム・エイル』……! そんなにいっぱい味方を召喚したって!」
「――」
 咆哮が轟いている。
 それはオブリビオンマシン『セラフィム・エイル』の咆哮であった。
 もはやキャバリアではない。一個の生命体のように咆哮が轟いている。そこに感情を潤は見ただろう。
 怒っている。
 そう理解できてしまった。
「何をそんなに怒っているのか、わからないけれど! でも!『テルビューチェ』!」
 振るう刀身が迫る召喚されし9体の『セラフィム』を切り裂く。
「――一撃!?」
「うるうに任せてって言ったでしょ! これくらいできるもの! それにね、圧倒的なパワーで群がる敵をやっつける、これこそスーパーロボット! ね、みんなもそう思うでしょ?」
 確かに、と『クリノ・クロア』は頷いたし、『フュンフ』は嬉しそうに笑った。
「そうだね。みんなを助けるスーパーロボットだね」
 きっとそうなのだと、潤は笑う。
 自分の乗騎『テルビューチェ』だってそうなのだ。

 なら、合体したこのスーパーロボットは人を助けるためのスーパーロボット。
「なら、うるうたちは負けないよ!」
 そのとおりだと『プロメテウスV』のアイセンサーが煌めき、怒りの咆哮上げる『セラフィム・エイル』へと巨大化した黒と金の刀身もつ一撃を叩き込むのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

朱鷺透・小枝子
『どうやら旧交を温めてる暇はないね!!』
しかり!今為すべきは、自分が為すべきは、アレを壊す事だ!!
ララバイ!!やるぞ合体だッッ!!!

プロメテウス胸部装甲へデモニック・ララバイを合体!
魔楽機を弾き鳴らし、己が【闘争心】を、そして、平和を求める者達の【優しさ】を音色に込め、殺戮音叉展開【衝撃波音響弾吹き飛ばし攻撃】

|燃えろ!!!《壊れろ!!!》|燃やせ!!!《壊せ!!!》

セラフィム・エイルを押し返しながら〈禍集焔業〉を発動!
炎満ちる戦場を、向けられた熱線を、熾火を、フルーⅦを襲う炎を、悪性を【念動力】で捻じ伏せ己が身に|【捕食】し《取り込み》【エネルギー充填】炉に焚べる!
自分は破壊者だ、今も、これまでも、これからも。だから!平和を求める者達の為に、破壊を為せ!朱鷺透小枝子!!

『むちゃくちゃするね奏者!ま、いいだろう!スーパーなんだからこれくらいやらなきゃね!!』

|叫べ!!!《コール!!!》
『「プロメテウス・バーン!!!!!!!!!!!!」』
プロメテウス胸部砲口展開セラフィムへ【焼却属性攻撃】



『クレイドル・ララバイ』は思う。
 あの荒野の如き光景を思う。
 人類の文明の残滓。
 瓦礫満ちるあの場所で、己は響いていた。
『此処』と呼ばれる場所において、己は出会っていた。己たちは出会っていた。
 だが、今は。
『再会を喜ぶれど、どうやら旧交を温めている暇はないね!!』
 その言葉に赤い二騎のキャバリアの内、一騎の頭部であったロボットヘッド『エイル』が『プロメテウスV』と合体を果たす光景を捉えて『クレイドル・ララバイ』は笑った。
 呼びかけたのは赤いキャバリアの内、一騎。
「そのようだ。アンタは、いつもその調子なんだな」
『パッセンジャー』と呼ばれた青年が駆る赤いキャバリアが、青い機体色へと『戻った』もう一騎のキャバリアに羽織るようにして合体する。

「しかり! 今為すべきは、自分が為すべきは!」
 朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)は『デモニック・ララバイ』のコクピットの中で叫ぶ。
 そう、積もる話もあるだろう。
 思いがけない再会に喜ぶこともあるだろう。
 だが、それよりも何よりも優先されるべきことがある。
 戦場に光条が走り、刀身の一撃が叩き込まれてなお、赤い鋼鉄の巨人、オブリビオンマシン『セラフィム・エイル』は怒りの如き咆哮を響かせている。
 まるで一個の生命のように、その感情をほとばしらせているのだ。
 あれは怒り。
 あれは悪性。
 善性を宿しながら、悪性に濁った赤。

 故に。
「アレを壊す!! 壊さねばならない!! ララバイ!! やるぞ合体だッッ!!」
 小枝子の咆哮は『セラフィム・エイル』の咆哮を押しのけるようだった。その叫びと共に『デモニック・ララバイ』が変形する。
 本来ないはずの機能。
 だが、それでも『デモニック・ララバイ』は『プロメテウスV』の胸部装甲へと変形し合体を果たすのだ。
 響くは、旋律。
 己が闘争心を、そして、平和を求めるものたちの優しさを込めた旋律だった。

『奏者……! 君は、破壊を宿しながらこんな……! こんな音色を……!』
「優しさだけが人を救うとは限らない。アンタもそれを知っている這うずだ。人間はただ一つでできているわけではない。もっと多くのもので構成されているんだ。破壊があれば、再生があるように」
『パッセンジャー』の言葉に『クレイドル・ララバイ』は笑う。
 これが己が奏者だと。
 誇らしげに。そして、どこか気恥ずかしげに笑った。

「|燃えろ!!!《壊れろ!!!》 |燃やせ!!!《壊せ!!!》」
『これでもかい?』
「そうだ。燃えるような激情なければ、優しさも得られまい」
 迫る『セラフィム・エイル』と数多の猟兵のキャバリアと合体を果たした『プロメテウスV』が激突する。
 火花散るプラズマブレイドのの熾火。
 だが、それを小枝子は飲み込む。
 戦場に満ちる炎と闘争心を吸収していく。

 熱線も、熾火も、戦場となった小国家『フルーⅦ』に満ちる炎であろうとも、小枝子は悪性をねじ伏せるようにして己が身に捕食する。
 限界まで広げた顎に炎が飲み込まれていく。
 それは変形合体した胸部装甲に吸い込まれていくのだ。
 そして、それは『プロメテウスV』の炉へとくべられていくのだ。
「エネルギー充填率が100%を越えてる!」
『ツェーン』の言葉に小枝子は頭を振って、己が人工魔眼を燃やすようにしてきらめかせる。
「まだだ!! 限界を超えろ!! 越えて行かねばならない! 自分は破壊者だ。今も、これまでも、これからも。だから!」
 なんとする、と問いかける言葉が在ったような気がした。
 それは『クレイドル・ララバイ』の言葉であったかもしれないし、この戦場に集ったものたちの問いかけであったかもしれない。

 だからこそ、小枝子は叫ぶ。
「平和を求めるものたちの為に、破壊を為せ! 自分の名は!!」
 充填されたエネルギーが膨れ上がるようにして駆体の中に満ちていく。
 漲るは青の熾火。
 赤熱する胸部装甲。
 弾け飛ぶようにして展開された、その先に存在していたのは咆哮。
 ユーベルコードの煌めき満ちる輝きが戦場を塗りつぶす。
「朱鷺透・小枝子だ!!」
『むちゃくちゃするね奏者! ま、いいだろう! スーパーなんだから、これくらいやらなきゃね!』
「さけぼー!」
「ああ、|叫べ!!!《コール!!!》」

 それは嘗ての赤き巨神の名。
 その名を関した咆哮の名。
『「プロメテウス・バーン!!!!!!!!!!!」』
 胸部砲口から放たれるは、極大の火線。
 禍集焔業(デッドギヤフレイム)は、スーパー合体によって合体した『プロメテウスV』という器から破壊の意志となって発露する。
 平和を阻む悪性を砕く破壊の意志。
 その迸りは『セラフィム・エイル』の装甲を弾き飛ばしながら、その巨体を炎満ちる大地へと沈ませるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルカ・スィエラ
……一言言ってやりたいところだけど…
そんなのは後よ、今は…あの敵をどうにかするべきでしょ?

アルカレクスへと融合合身後、スケイルの反射レーザーと周囲に起こすEフィールドで敵を妨害し、更に金属細胞の力で変化、そっちの機体の強化装甲へと変わり、追加装備を纏わせるように「合体」するわ。……なんか「グレート合体」って単語が脳裏に過ぎったんだけど……誰の知識?

機体そのものの制御はそっちに任せ、ドラグカプトを展開して攻撃。
相手のUCにはこっちもEフィールド展開、両腕を覆う装甲部にこっちのエネルギーを収束!

……「過去」を超えて行くというのなら扱って見せなさい、『エイル』…!
この、「破壊と創世の光」を……!!



 極大なる火線の一撃がオブリビオンマシン『セラフィム・エイル』を大地へと沈ませる。
 巨体が地鳴りを建てるようにして倒れ込む。
 だが、それでもまだオブリビオンマシン『セラフィム・エイル』は健在だった。
 其の名を知るアルカ・スィエラ(鋼竜の戦姫・f29964)は多くの小国家を戦乱に導き、世界を破壊してでも己が片割れを追わんとした、嘗ての絵図を描いた黒幕、ロボットヘッド『エイル』を見やる。
「……一言言ってやりたいところだけど……」
「かまわないよ。それをする権利を君は持っている」
 アルカに『エイル』の通信が入る。
 わかっていたことだ。きっとそういうだろうと。
 幼年期の終わりを告げ、悔恨の懊悩に満ちる青年期へと変遷した『エイル』ならば、と。

 けれど、アルカは言葉を切った。
「そんなのは後よ」
 言い切った。
 そう、戦わなければならない。まだオブリビオンマシンの脅威は拭えていないのだ。なら、後回しだ、と。
「今は……あの敵をどうにかするべきでしょ?」
『プロトミレス』と合体した『ドラグレクス』は、『アルカレクス・ドラグソリス』へと変じる。
 放たれうる『セラフィム・エイル』からの火砲の一撃をエネルギーフィールドで防ぐ。
「それでいいのかい」
「いいに決まっているでしょ。やるべきことは間違えない。過ちを犯すのが人間のどうしようもなさだとしても! それでも、守らねばならない平和があるのなら! やってみせるべきでしょう!」 
 それが、己だとアルカは叫ぶ。

 其の叫びに呼応するようにして青い熾火が『アルカレクス・ドラグソリス』へと降り注ぐ。
 機体が変じていく。
 ユーベルコードの輝きに満ち、機体が分離して『プロメテウスV』のオーバーフレームへと陣羽織のようにして装甲へと変わっていくのだ。
 エネルギーフィールドが満ちる。
 火線が幾らおそいくるのだとしても、出力の増したフィールドは寄せ付けないのだ。
「なんか『グレート合体』って単語が脳裏をよぎったんだけど……誰の知識?」
「僕かな?」
 幼子の『フュンフ』の越えが聞こえた。
 単純だ。
 でも、それでいいのだとアルカは思ったことだろう。

「いいわ、それで。機体の制御はそっちに任せる。私は……『ドラグカプト』!!」
 展開される竜の首型の武装。
 それらが一気に飛び出し、迫るプラズマブレイドの一閃を受け止めるのだ。
 強化されたエネルギーフィールドで受け止め、火花が散る。力の奔流が周囲を破壊に満ちちびいていく。
 けれど、それでもアルカは瞳をユーベルコードに輝かせる。
 機体のエネルギーが『プロメテウスV』の両腕に収束されていく。
「……『過去』を超えていくというのなら、扱って見せなさい、『エイル』……!」
 アルカは託した。
 狂える過去を破壊する力と、歪みし現在を再生する力を。
 融合されるようにして『プロメテウスV』の両腕がきしみながらも合わせられる。反発する力。
 だが、反発の向こう側へと到達した瞬間、得られるのは極大の力。
 光波が迸る。

「この、『破壊と創世の光』を……!! ゲネシス・デストラクティオー!!」
 放たれる光波。
 それは『セラフィム・エイル』の凝縮された数多のキャバリアの装甲を引き剥がしながら、その質量を破壊していくのだ。
「……!」
「いいのよ。これで……行きなさい。あなたは!」
 アルカはユーベルコードの反作用で機体との融合合神が解除され気を失うようにしてコクピットの中に倒れ込む。
 よいのだ。
 幼年期が終わり、懊悩に苦しむ悔恨の青年期があるのならば。
 潔斎行路は、此処にあるのだと、アルカは己の力で示してみせたのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルクス・アルブス
【ステルク】

二回目!?
しかもがったい……合体!?
『エイル』さんと合体とか、ステラさんの心臓がぴんち!?
なでだきゅでセウトでしたのに、合体とか絶対アウトです!

ひょっとしたら、融けるまでありますよ!?

って、あれ?なんかステラさんのテンションが思ってたのと違います?
あ、合体するのはゴーレムさんたちなんですか?
ならわたしも! 

かもん【ソナーレ】!

でもこの子変形合体とかできるんでしょうか?
そしてできたとして、どんなことになるんでしょう……・?

でもなんにせよ、お力になれるのは確実ですよね。
わたしの光の奏勇者としての力を、『エイル』さんに♪

いつでもなんでも言ってください。
『エイル』さんのために、めいっぱいで演奏しちゃいますよー!

わたしが預けるのは、
【PA-Acoustics】で増幅された【悪魔のトリル】
それと光の勇者の演奏力です!

戦いに関しては心に平和を。
それに相応しい演奏をお届けしちゃいますよ!

あ、合体してコクピット同じならまた当たっちゃうかも?

なんでもないです!?
や、焼肉の準備しておきますねー!


ステラ・タタリクス
【ステルク】
|絆ぐ者《セラフィム》の!香りがしまぁぁぁぁぁす!!
禁断の二度目!
をしてしまう程に素晴らしいですね!
っと、サツキ様!…はパッセンジャー様にお任せすれば問題なさそうですか
彼らもおそらく、足りないものを補いあう新しい|絆がる者《セラフィム》
大事があっては大変です
ですが、今はこの『再会』を喜ぶべきでしょう
ええ、|フュンフ様《エイル様》と|エイル様《ヴィー様》の!
ヴィー様もずいぶんと大人に…
|幼年期《駄々っ子》はもう終わりですかね?
それではいつかの大空の下のように
ルクス様、終わったら鉄板で焼肉パーティーですね

フォル!いらっしゃい!
ルクス様合わせますよ!

戦いに際しては心に平和を
ルクス様、全力です全力!!

プロメテウスに預けるのはこの翼
ええ、空を駆ける機動力を!
そこからの【ル・ディアーブル・ヴィアン】!
他の方の火力も纏めて使わせて頂きましょう
ルクス様のソナーレの兵器も使わせていただきますよ!
悪魔であっても佳き存在もある!

|セラフィム《天使》の名前とて善人とは限らず
ここで滅びなさい!



 二回目であった。
「二回目!?」
 ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は目を見開いた。
 それは驚愕に満ちたものであったし、なんていうか、とんでもないことのように思えてなからなかったのである。ともすれば、悪い予感とも言えた。
 てぃきてぃん! ってなんか額の所から光が走ったようであった。
 これが未来予知?
 いいえ、デジャヴというやつである。
「|『絆ぐ者』《セラフィム》の! 香りがしまぁぁぁぁぁす!!」
 一回目の抑え気味なアレをぶっ飛ばすようにステラ・タタリクス(紫苑・f33899)はテンションマックスで発していた。
 もう禁断の二回目とかそんなもん関係ないのである。

 それに満ちるは青い熾火。
 大空の世界で見た、別離の光。
 けれど、今は違う。
「っと、|『サツキ』様《御子息》は……『パッセンジャー』様にお任せすれば問題なさそうですか」
 彼女は青い機体色に戻ったキャバリアと赤いキャバリアが合体するさまを見届ける。
 あれならば彼らを心配する必要はないだろうと思ったのだ。
 彼らもまた足りないものを補い合う新しい|つながるもの《セラフィム》であるというのならば、きっと困難を乗り越えていけるのだと理解している。
 共にある者がいる。
 それだけで、いいのだ。ひとりきりの道行きは辛く険しいものだ。それが正しい道だと理解できている。けれど、それでも。やはり人間は一人きりでは生きられまい。
 だからこそ……。

「今はこの『再会』を喜ぶべきでしょう。ええ、|『フュンフ』様《エイル様》と|『エイル』様《ヴィー様》の!」
 ステラは涙で視界が潤むようだった。 
 分かたれたものが、今再び一つになっている。
 幼年期は終わりを告げ。青年期に至りて、己が悔恨と懊悩を共にするもの。それが理解できるからこそ、ステラは滲む視界のままに笑むのだ。
「その資格は僕にはないとわかっている。多くの不幸を振りまいたことも。幼年期であるということを差し引いても、贖えるものではないことも。でも、だからこそ」
「ええ、いつかの大空の下のように。合体です!」
「合体……合体!?」
 えっ!? とルクスは驚愕する。

 合体とはあの合体だろうか、と。どの合体だろか。普通に合体である。
 だが、そのワードだけでルクスはステラが暴走するのではないかと思ったのだ。
『エイル』と合体。ステラの心臓がピンチである。
 なでだきゅしただけでセウトだったのに、合体とか絶対アウトに決まっている。大丈夫スリーアウトでチェンジなので。
「でもでも、ひょっとしたら融けるまでありますよ!?」
「ルクス様、合わせますよ。『戦いに際しては心に平和を』ルクスさ魔、全力です、全力!!」
「あ、あれ? なんかステラさんのテンションが思っていたのと違いますよ……?」
「フォル、いらっしゃい!」
 ルクスは、あれ? と思った。

 合体っていうからてっきり生身の合体かと思っていたのである。
 はい、ルクス、ワンナウト。
「ゴーレムさんたちなんです?」
「そのとおりですよ。さあ、『ソナーレ』も!」
 ステラの言葉に『フォルティス・フォルトゥーナ』が『プロメテウスV』の背面部へと合体する。
 翼広げるユニットへと変じ、さらに『ソナーレ』がアンダーフレームへと合体した他の猟兵のキャバリアへと下駄を履かせるようにして装甲へと変じるのだ。
 等身の上がった機体が、振りかぶる巨大な等身。
 翼となった『フォルティス・フォルトゥーナ』の推力が巨体でありながら、圧倒的な速度で持ってオブリビオンマシン『セラフィム・エイル』へと突進する。

 猟兵たちのユーベルコードと合わさった一撃で『セラフィム・エイル』は、その凝縮された装甲を引き剥がされている。
「――!!」
 だが、それでも凝縮されている質量を展開し装甲を再生していくのだ。
 加えて、追い込まれれば追い込まれるほどにプラズマブレイドの熾火は燃え盛るようであった。
 激突する刀身とプラズマブレイド。
 火花が散る。
 力負けしていない。けれど、押しきれない。
「此処からです! 悪魔が来たりて。ただで済むとお思いですか!」
 煌めくステラの瞳。
 背面ユニットとなった『フォルティス・フォルトゥーナ』の火器が展開され、至近距離で『セラフィム・エイル』を爆発が打ち据える。

「『戦いに際しては心に平和を』! それに相応しい演奏をお届けしちゃいますよ!」
 悪魔のトリル(アクマノトリル)が響く。
 指向性を持った音波が迸り、爆発を押し出すようにして『セラフィム・エイル』の躯体を弾き飛ばす。
「|『セラフィム』《天使》の名前とて善人と限らず。此処で滅びなさい!」
 振るう刀身がルクスの放つ音波にお通しされる。
 脚部の装甲に変じた『ソナーレ』から発せられる衝撃波、大地を、炎を割るようにして『セラフィム・エイル』へと突進する推力となって迸る。
 叩き込まれた斬撃の一閃がプラズマブレイドの片割れを砕き、その片腕を両断してみせるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

月夜・玲
困った、合体するものが…無い!
しかし世の中には、乗り物に乗っただけを合体と言い張る形態も…ある!
合体と言い張れば、それは合体!
ユーベルコードだし!うん!

という訳で、プロメテウスVの肩辺りに飛び乗ろう
こう…首元辺りまで移動して…と
そして模造神器を…装甲にぶっ刺す!
ヨシ!
いや考えなしって訳じゃなくて!
こっから疑似UDCの力をプロメテウスVへ流し込む!
【Unite Dual Core】起動
プロメテウスVへ雷刃の形成能力と、浄化の蒼炎放出能力を付与
さあ行けプロメテウスV
雷刃で『なぎ払い』、追撃の蒼炎で『焼却』!
さあやるのだー!

私は振り落とされないようにしっかり掴まっておーこうっと
特等席で観戦だー



 月夜・玲(頂の探究者・f01605)は困っていた。
 スーパー合体。
 それがユーベルコードの力であり、戦場に満ちている青い熾火を起因にするものであったこと彼女は理解している。
 けれど、彼女は困り果てていた。
 いきなり合体と言われても。
「困った、合体するものが……無い!」
 そう、彼女はこの鋼鉄の巨人闊歩する戦場満ちる世界にあって生身単身の超常なる存在である。
 合体、と言われても合体するキャバリアがないのである。
 だが、しかし、と玲の瞳が開かれる。

 道理など無茶で引っ込めれば良い。
 刮目して見よ!
「世の中には、乗り物に乗っただけで合体と言い張る形態も……ある!」
 本当にそれ合体? と言いたくなるようなホビーを数多見てきたのだ。冷静な自分が言うのだ。これライドオン的なそういうヤツじゃあないのかと。
 でも、構わない。
「合体と言い張れば、それは合体!」
「で、どうするんです!」
『クリノ・クロア』が『プロメテウスV』のコクピットから叫ぶ。
 そんな彼を『ツェーン』は何もわかっていない素人、みたいな感じの顔で見ていた。
 え、なに。
「素人は黙っとれ……というやつだよ、『クロア』。玲さんなら!」
 信頼があつすぎる。
 玲過激派な重い感情に玲は辟易したかもしれない。

『ユーベルコードだし! うん! というわけで!」
 よっこら、と玲は『プロメテウスV』の肩へと飛び乗った。そして、首元に移動して、手にした模造神器をぶっ刺した。
「え――!?」
「後ろからとはご無体だな、君は!」
「ヨシ!」
「何が!?」
「いや、考え無しじゃないよ。本当だよ。こっから疑似UDCの力を『プロメテウスV』へ流し込む! 弐神合一プログラム……Unite Dual Core(ユナイトデュアルコア)、略してUDC……起動!」
 玲の瞳がユーベルコードに輝く。

 ぶっ刺した模造神器には疑似邪神が込められている。
 焔と雷。
 その二柱の力が迸るようにして『プロメテウスV』と合体するのだ。
 合体の文言があれば、合体できる。テキストに書いてある。合体って。なら、できるのである。
 膨れ上がる力が機体に満ちていく。
 暴発するように膨れ上がる力が発露するようにして、掲げた巨大な刀身にさらに極大なる雷刃を形成していくのだ。
 暗雲を貫く叢雲の剣のような様相へと変貌した剣。
 それを掲げながら玲は、ツボ押しみたいにぐりってぶっ刺した模造神器を操縦レバーみたいに動かして叫ぶ。
「さあ行け『プロメテウスV』! さあやるのだー!」

 振りかぶった雷刃が『セラフィム・エイル』へと叩き込まれる。
 だが、その眼前に召喚された『セラフィム』が立ちふさがる。だが、それで終わりではないのだ。
「追撃!」
 その言葉と共に雷刃が砕け、蒼炎となって迸る。
 浄化の焔となった刀身が立ちふさがった『セラフィム』を滅ぼしながら、『セラフィム・エイル』へと叩き込まれる。
 玲は、その光景を特等席で観戦しながら笑う。
 振り落とされないようにしっかりとグリップめいた役割を果たす模造神器の柄を握りしめた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カシム・ディーン
さて…合体だったか?
メルシー…いけるな?
「神機シリーズも実はそういう機能はあるぞ☆」
上等だ…つかエイル…おめーオブビリオンじゃなかったのかよ…!
つくづくこの世界は…面白れーな…この世界の奴らが僕ら猟兵やオブビリオンを振り回してやがる!

フュンフにエイルよぉ…合体するってーなら…!

この世界にいるかわからねーが…それでも…見せてやる
フォーミュラをな

【情報収集・視力・戦闘知識】
引き続き敵機の性能と能力を解析
取り込まれた機体はオブビリオンマシン化しているかの分析

本来なら正面切っての殴り合いは僕の主義じゃねーんだがな
「エイル君達毎は少し厳しいよね☆」
だからこそ…こうするんだよ
UC発動(帝竜化)
同時に爾雷彌参上も発動!
「ドーモ、皆サン、爾雷彌=です。ワシが来たからには大船に乗ったと思ってくれぃ!」(巨神参上
呼んでねーよ!だが来たからには働けよ!

【属性攻撃・弾幕・空中戦】
属性を強化したブレスによる砲撃
【二回攻撃・切断・捕食・盗み攻撃・盗み】
各首で食らいついて切り刻み
取り込まれたレーギャルン強奪を試みる!



 次々と戦場に集いし猟兵たちのキャバリアが『プロメテウスV』へと合体を果たしていく。
 その光景はあまりにも壮大なものであったことだろう。
 戦場満ちた青い熾火が絆いでいく。
「さて……合体だったか?『メルシー』……いけるな?」
 カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は己の乗騎『メリクリウス』へと告げる。
 その言葉に待ってましたとばかりに答えが変えてくる。
『神機シリーズも実はそういう機能はあるぞ☆』
 そうなの?
 そういうもんなの?
 だが、カシムは上等だと笑った。
「つか、『エイル』、おめーオブリビオンマシンじゃなかったのかよ……!」
「ロボットヘッドのオブリビオンマシンがいるのならば、そうなるはずだろうけれど。君は対峙したことがあるかい。ロボットヘッドのオブリビオンマシンを」
 その言葉に『エイル』というロボットヘッドがカシムの想像を超えるほどの長いときを変遷してきた存在であると知れるだろう。

 それほどの長き時を経て、未だ幼年期過ぎ去りし青年期に至った存在である、というのが、あまりにも遠大である。
「まぁ、いーよ。つくづくこの世界はおもしれーな……僕ら猟兵やオブリビオンを振り回してやがる!」
 カシムにとって、それは愉快なものだった。
 だったら、とカシムは思うのだ。
 振り回されるばかりなんて真っ平ごめんだと。

「この世界にいるかわからねーが……それでも見せてやる。フォーミュラをな!」
 きらめくユーベルコード。 
 カシムの姿が変貌していく。
「万物の根源よ…帝竜眼よ…今こそ…帝竜の王の力を我が身に宿せ…!!わが身今こそ帝竜へと至らん…!!」
 帝竜「カシム・ディーン」(テイリュウヲクライテイリュウヘトイタルトウゾク)が顕現する。
 変身した姿は帝竜『ヴァルギリオス』の姿に酷jいしていたことだろう。
 瞳が見つめるは、『セラフィム・エイル』。
 その機体に取り込まれた多くのキャバリアの中に『レーギャルン』と呼ばれるスーパーロボットがいたことをカシム走っていうr。
 ならば、その機体もまたオブリビオンマシン化していないのではないかと思ったのだ。
 あくまで取り込まれただけ。

 なら、と返せるのではないかと思ったのだ。
「正面切っての殴り合いは僕の主義じゃねーんだがな」
『エイル君達ごとは少し厳しいよね☆』
「だから、こーするんだよ!」
『プロメテウスV』のアンダーフレームへと帝竜へと変じたカシムが走る。
 それは、まるで騎乗するかのような態勢であったことだろう。
 そう、これでも合体と言える。言い張れる。
「これが!?」
「そうよ! こっちのブレスで!」
 迫る召喚された『セラフィム』をカシムはブレスで吹き飛ばす。身にまとう雷雲は、そのまま機体へのエネルギーへと変じて迸る。
 過剰なエネルギーは機体のフレームを発光させ、その熱を持って超過駆動たる性能を引き出すのだ。

「速い……! 機体が!」
「保つ、保たせる! だから!」
「ああ、構わずやってやりな!」
 飛び込んだ『プロメテウスV』とカシムが『セラフィム・エイル』へと組み付く。首が走り、その片腕を両断された部位へと食らいつく。
 これが凝縮されたキャバリア融合だというのならば、と『レーギャルン』を奪い返そうとするのだ。
 だが、他のキャバリアはできても同じ型式、同じ機体である『レーギャルン』をオブリビオンマシン化から取り戻すことはできないようだった。
 けれど、それでも吐き出すブレスが、雷雲が、オブリビオンマシン『セラフィム・エイル』を打ち据えるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

皇・絶華
(時空が歪んで出現する機神
おお、さっちゃん
あれがこの世界の代表たるセラフィムらしいぞ
「なんつー生意気な奴だこらぁ!主様!巨神の王たる俺の方が最強ですよ!」
おお、心強いな!
さて…エイルに…プロメテウスだったか?
「神機シリーズの一機と同じ名前なのが腹立たしいがな!」
世界の平和を願いキャバリアを滅ぼす想いに駆られた者よ…お前には足りないものがある!
「ぴょわ!?」
そう!それはパワーだ!だが安心するがいい…之よりお前達に圧倒的なパワーを与えよう!体から溢れるパワーに喜びの叫びをあげるがいい!
合体と共にUC発動
エイルとかサツキとかぱっちゃんとかにもちゃんにも与えます
ちゃんと効果はキャバリアにもあるぞ!
尚味は地獄で男子はむきむきにもなれちゃう代物
(ナイアルテにも与えた疑いあり!

【戦闘知識】
敵機の動きと構造を分析
【念動力・弾幕・乱れ打ち】
被弾を恐れず周りのセラフィムごと念動光弾を乱射
【二回攻撃・切断・バーサーク・薬品調合・爆破】
赤いセラフィムよ!お前にもパワーを与えよう
切り刻み敵にもチョコを捻じ込み爆破



 戦場に青い熾火が満ちている。
 それは戦場にありて人の心が絆ぐものであったことだろう。
 平和を求める心が願い、その願いが祈りに昇華した結果であったことだろう。熾火は導く。
 その中心にある『プロメテウスV』とのスーパー合体を。
 そして、空に現出するのは一騎の機神であった。
「おお、さっちゃん。あれがこの世界の代表たる『セラフィム』らしいぞ」
「なんつー生意気なヤツだこらぁ! 主様! 巨神の王たる俺のほうが最強ですよ!」
 皇・絶華(影月・f40792)の言葉に連環神機『サートゥルヌス』は叫ぶ。
 その言葉に絶華は頷く。
 大仰とも言える首肯であった。
「さて……『エイル』に……『プロメテウス』だったか?」
「神機シリーズの一騎と同じ名前なのが腹立たしいがな!」
 その言葉に『プロメテウスV』の頭部として合体したロボットヘッド『エイル』は応える。
「どちらも正しくはないと言っておくよ、猟兵」

 戦場には召喚された9騎の『セラフィム』が疾駆する。
 その機体を横目に絶華は頷く。
「世界の平和を願い、キャバリアを滅ぼす想いに駆られた者よ……お前には足りないものがある!」
「足りないものばかりさ。結局のところ、キャバリアと言えど道具に過ぎない。僕らは意志があるように思い込んでいるだけさ。成長しているように見えても、変遷しているだけさ。けれど、引き起こした戦禍の始末は付けなければならない。そういうものだ」
「ならば、理解しているな。そう、パワーだ! 力無き正義など愚昧にさえ届かぬものであると知るのならば! 力を得られぬ正義に意味など無い! だが、安心するがよい。これよりお前に圧倒的なパワーを与えよう! 体から溢れるパワーに喜びの叫びを上げるがいい!!」
 絶華の言葉にさっちゃんは変な叫び声を上げていた。
 主が何をしようとしているかわかってしまったからだ。

「これが、心が籠るバレンタインチョコドリンク(キョウキトアクムノジゴクドリンク)!
 さぁ、我がチョコドリンクを飲み! 圧倒的なパワーに酔いしれるがいい!!」
 漢方と虫配合の狂気の超高濃度カカオ汁。
 それが絶華の言うところのパワーの源である。
 拒否なんてできるわけがない。
 合体しているので。
 いや、合体しているのは漢方と虫配合の狂気の超高濃度カカオ汁とであろうか。

「な、なんかパワーゲインが振り切って二周回ってるんだけど!?」
 悲鳴めいた声が聞こえる。
 もうしっちゃかめっちゃかであった。
 さっちゃんは思った。
 よかった、と合体しているとは言え、主の漢方と虫配合の狂気の超高濃度カカオ汁は自分飲まなくて良かったのだと。
「いや、さっちゃんも飲むのだぞ」
「ぴょわ!? それは、主様! 俺は最強なので。もう最強超えるのはいいかなーって」
「いいや、最強を越えた先を目指すのが最強たるキャバリアであるさっちゃんの宿命だろう。さあ、さあさあさあ!!!」
 さっちゃんは思った。
 やぶ蛇だったと。
 こんなことならお家で大人しくしているべきだったと。
 だが、後悔したところで遅いのである。

 さあ、ぐいっと、と主が差し出す漢方と虫配合の狂気の超高濃度カカオ汁。
 すごい匂いがしている。
 本当にこれ、大丈夫なやつなのだろうか。
 だが、大丈夫なのである。ユーベルコードだから。あらゆる攻撃、即死、強化解除、ユーベルコード解除への耐性を得ることができる。
 やったねさっちゃん。
 これで最強を超えた究極のキャバリアになれるね!
「あほか!」
 合体解除しようとしてもできない。
 己に騎乗する絶華が拒否しているのだ。
 つまり、飲み干すまで逃れられない。逃れられないっていうか、逃げようがない。
 変な悲鳴が、戦場に響き渡った――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

薄翅・静漓
合体しましょう
(声にはならずとも、きっと私の魂は叫んでいる)
アーマーとなって機体を強化するわ
あの優しい子達を助けたいの
借りているキャバリアに、もう少しだけがんばってもらうわ

『クリノ・クロア』、プラズマエッジは使えるかしら
ユーベルコードで機体を加速させるから、攻撃をお願い
プラズマブレイドを受けないように、相手の動きを見切って間合いへ接近しましょう

いきなさい『プロメテウスV』
大事な人を守るために
希望の力で未来を切り拓くのよ



 かつて大空の世界にて、人の願いが昇華した祈りが結実した青い熾火が戦場に満ちていた。
 その熾火を忌々しげに睨みつけるアイセンサーの輝きがあった。
 そう、それこそがオブリビオンマシン『セラフィム・エイル』であった。かつて在りし構図とは真逆。
 百年前の屈辱が。
 今まさにこうして時を経てまた己に迫っていることに『セラフィム・エイル』は咆哮する。まるで怒りを発露する存在のようであったことだろう。
 その様を見やりロボットヘッド『エイル』はつぶやく。
「怒りに我を忘れるるか。かつての僕を見ているようだ。『プロメテウス』、君は分かたれた。分かたれてはならなかったものを分かたれてしまったんだ。何も残されなかった君が……」
 吹き荒れる熾火は、片腕を喪った『セラフィム・エイル』へと走るが、オブリビオンマシンはそれを拒否するように振り払った。

「合体しましょう」
 薄翅・静漓(水月の巫女・f40688)は静かに告げる。
 言葉にならずとも、己の魂が叫んでいるのを彼女は知った。
 眼の前のオブリビオンマシンは、戦禍を呼び込む。今もこうして小国家『フルーⅦ』を滅亡の淵まで追い込んでいる。
 こんな悲しみだけが満ちる戦場を世界に広げさせるわけにはいかない。
 しあわせなゆめを知るからこそ、世界には、憎しみと怒りだけではないことを知らしめなければならないと静漓は思う。
 己の魂がそう言っているのだ。
 ならば、合体しかない。

『もう少しだけ、あなたもがんばって」
 彼女の言葉に応えるように借り受けたキャバリアのアイセンサーが煌めく。
 そして、青い熾火に導かれるようにして分離し、『プロメテウスV』へと合体する。装甲となるようにして配された機体。
 そして、コクピットブロックが『プロメテウスV』のコクピットと連なる。
 連座。
 いや、複座とも言うべき融合を果たし、幼子の『フュンフ』がびっくりした顔で振り返っている。
 その頬に触れる。
 温かい。
 なら、これは守るべきものだ。
「なっ、えっ!? なんで!?」
「これもスーパー合体というものでしょう。『クリノ・クロア』、プラズマエッジは」
「使えます!」
 なら、と静漓の瞳がユーベルコードに輝く。

「もっと、疾く」
 そう何よりも疾く。
 先駆けのように、何よりも速い一等賞を目指すように。
 あの白い星を目指すように静漓のユーベルコードは『プロメテウスV』を疾駆させる。
 踏み込む。

 機体の制御は『クリノ・クロア』と『ツェーン』がやってくれる。
 なら、己は想いを、魂の中にある言葉を紡ぐだけだ。
「いきなさい『プロメテウスV』。大事な人を守るために」
 彼女は一度この機体に乗っている。
 この機体が如何なるものかを知っている。愛する者を想い、守るための力。一方通行ではない想いが満たす循環を彼女は知る。 
 それはきっと尊いもののように思えたのだ。
 このキャバリアは、それができる。
 どれだけ打ちのめされても。心折られても。それでも。
「希望の力で未来を切り拓くのよ」
 オブリビオンマシン『セラフィム・エイル』の放ったプラズマブレイドの一閃が、猟兵たちのキャバリアとユベールコードで形成された刀身を弾く。

 肉薄するは。
 憎しみと怒りの理由を忘れた魂だった。
 赤い悪性が、善性を得ていたからこそ濁った赤が迫る。
「それだけじゃあなかったはずだってわかっていたのに、忘れてしまったんだね。悲しんでいいんだよ」
 幼子である『フュンフ』の言葉を受けて静漓の瞳がユーベルコードの輝きを増す。
 振りかぶったプラズマエッジの一撃が『セラフィム・エイル』の頭部を切り裂く。
 断頭する一閃は、その巨神の頭部を空へと弾く。

 弾かれた頭部は星のように地の果てへと吹き飛んでいく。
 多くのキャバリアを取り込むことによって形成されていた『セラフィム・エイル』の巨体が瓦解していく。
 すでに戦場の炎はなく。
 あるのは、戦い終えた静寂と、滅亡の淵に立たされた『今』とこれからだけだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『新合体システムテスト』

POW   :    合体したキャバリアを操縦して問題が無いか確認する

SPD   :    複数のキャバリアと合体を繰り返し性能を確認する

WIZ   :    プログラムを解析、合体システムを改良させる

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 戦場となった小国家『フルーⅦ』は惨憺たる状況だった。
 全てのキャバリアが失われてしまっている。被害がプラント施設にまで及ばなかったのが幸いである。だが、それでも、この状況を人々は乗り越えていかねばならない。
 戦場後には、一騎のスーパーロボット『プロメテウスV』と赤い二人羽織の装甲を得た青いキャバリア『熾盛・改』が立っていた。
「戦いは終わらない」
 ロボットヘッド『エイル』の言葉が響く。
 三面たるロボットヘッド。
 それは事実であったし、現実である。
 だが、同時に生きていることを示していた。生命あれば、進むべき道がある。

 己が定めた道。
 潔斎行路。
 幼年期にて犯した罪は消えず、拭えず。
 故に悔恨と懊悩の青年期が『エイル』の得たものであった。猟兵達は、これから何を為すだろうか。
 この道行きの暗さを、照らす光を示すことができるだろうか。
 それはまだ誰もわからない――。
ユーリー・ザルティア
判定:WIZ

ホント何だったんだろう…合体
謎のシステムは怖すぎるから…調査していい?
正直、今までの展開的に都合よすぎて裏がないか調べないと不安で仕方がないよ

あ、壁ノ工房出張サービスを呼んでおいたから、クルーの『メカニック』の勘と『武器改造』の技術知識からのアドバイスよろしく
あとついでに、破壊されたキャバリアの回収も行って、使えるパーツを集めておくよ
壊れたはずのキャバリアがオブビリオン化して復活なんて展開は嫌すぎるし

さて、一通り落ち着いたら、さっき言った通り調査させてもらう。
ボクは『ハッキング』からの『プログラミング』で解析するよ。
『瞬間思考力』を『限界突破』した最大思考で『情報収集』するよ。



 戦い終えて思うことは一つだった。
 少なくともユーリー・ザルティア(自称“撃墜女王”(エース)・f29915)にとっての関心事はそれだけだった。
 そう、合体である。
 ユーベルコード『スーパー合体』。
 本来は合体機構などないはずの『レスヴァントMk-Ⅱ』さえもが合体を『プロメテウスV』と果たしてしまっていた。
 異常極まる事態である。
 そうい意味では、本当に意味がわからなかった。
「ホント何だったんだろう……合体」
「奇跡、というのはどうだい」
 ロボットヘッド『エイル』の言葉にユーリーは、まだ不信感を拭えていなかった。

 それもそのはずであるし、当然のことである。
「謎のシステム過ぎるっていってんの。強すぎるから調査していい?」
「構わないさ。それで君の疑念が晴れるのならば」
 正直にいえば、今までの展開的に都合がヨすぎて裏がないか調べないと不安で仕方ないのだ。
 オブリビオンマシンはどこからでもキャバリアと入れ替わる。
 それは止めようがなかったし、常に猟兵たちが後手に回る要因でも在ったのだ。
「じゃあ、電話、電話っと……」
 リリリリ~とベルの音が響く。
「あ、カンチャン? 悪いんだけど壁ノ工房出張サービス(ヘキノコウボウシュッチョウサービス)お願いできない? うん……急ぎね」
 ユーリーは整備クルーとメンテナンス用トレーラーを召喚し『プロメテウスV』をトレーラーに乗せ、さらに自身の機体である『レスヴァントMk-Ⅱ』を精査する。

「あとついでに破壊されたキャバリアの回収も行っておくよ。使えるパーツは確保しておきたいからね」
「『フルーⅦ』の上層部にも掛け合っておこう。『アジン』少将なら融通も効くだろうし、彼の手腕は見事なものだからね」
『エイル』の言葉にユーリーは頷く。
 機体の解析状況は思った以上にあっさりと終わってしまった。
 特に問題ない、とのことだ。
 ユーリーは、本当に? と思ったがこれ異常調べても何も出てこない、というのが結論だった。

 後は壊れたキャバリアの精査だ。
 後からオブリビオンマシン担ってました、なんて笑えたものじゃあない。
「さて、一通りは落ち着いたけど。キミを調べせてもらうよ」
「かまわない。けれど、時間がかかると思う。なにせ、僕は数千年分のデータの蓄積がある」
「やってみないとわからないでしょ」
 そう言ってユーリーは『エイル』をハッキングし、プログラムを解析していく。
 複雑怪奇、というのがユーリーの印象だった。
 機械生命体である、というのならば、ロボットヘッド『エイル』は彼の言う通り長い時を生きているのだろう。

 原初の記憶とも言うべき、キーパーソンにまで至るには、確かに彼の言葉通り膨大な時間がかかる。
 加えて、ユーリーは理解する。
『エイル』という存在の自我がはっきりしたのは、此処百年前後だ。
 ユーリーの脳内に広がるのは、銀河の大海往く船の世界。大空の世界、そして、戦乱満ちる世界の光景ばかりだ。
 少なくとも三つの世界を『エイル』は経てきていることがわかる。
 だが、それだけだ。
 彼が分かたれた後、どのようにして此処まで来たのかは更に深い心理まで踏み込まねばならない。
 それはユーリーの処理能力を超えたものであったし、限られた時間では行えないものであったことだろう。
「……結局わかったのは、キミに害意がないってことと……後悔と懊悩に塗れてるってことだけだったね」
「そうさ。そのとおりだ。だから」
「ま、そういうんならね」
 疑念は少しは晴れた、とユーリーはハッキングを終了し、息を吐き出すのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ウィル・グラマン
●WIZ

まずはこれで一段落ってとこかな?
にしても、ベアナックルでかっ飛んだ時は死ぬかと思ったぜ
まぁ、ベアが頑丈なお陰で命拾いしたけどな!

…で、フルーⅦのキャバリアは全機喪失ちまったか
プラントが無事なのが不幸中の幸いみてぇだけど、そうなると戦力が整うまでプロメテウスVと熾盛・改だけで護らねぇといけねぇし…ここはまだまだ荒削りな合体シークエンスの改良あるってところだな

でも、オレ様の好みでプログラムを弄ってもなぁ…お、そうだ!
スーパーロボットの基本中な基本のロケットパンチを知らなかったみてぇだったし、オレ様秘蔵のスーパーロボットライブラリーを参考に選んで貰うか

レーッツ、【ヴィジョン・ハイジャック】!



 オブリビオンマシン化したスーパーロボットによる壊滅的な打撃は小国家『フルーⅦ』を傾けるには十分過ぎるものであったことだろう。
 スーパー合体によって取り込まれたキャバリアはほぼ全てである。
 死蔵していたスーパーロボット『レーギャルン』を含め、国防に携わっていたキャバリアがほぼ全て失われたと言ってよい。
 炎はすでに立ち消えている。
 けれど、人々は呆然と交配した小国家の有り様を見ることしかできなかっただろう。
 立ち尽くししかなかった。

 此処から再建することはできるのかと問われたのならば、正直に行って厳しいものがあるだろう。
 オブリビオンマシンによる事件を一般人たちは認識できない。
 スーパーロボットの暴走として捉えられるだろう。
「まずはこれで一段落ってとこかな? とは言い切れねーんだろうけれど」
 ウィル・グラマン(電脳モンスターテイマー・f30811)は己の『ベアキャット』と共にオブリビオンマシンと戦ったときのことを思い出す。
 いやぁ、と本当に背筋が凍る思いであった。
 とは言え、『ベアキャット』と共にあるのだ。何も恐れることはなかった。
 頑丈さが売りなのだ。
 拳となってかっ飛んでいっても、安心なのだ。

「……で、プラントが無事なのが不幸中の幸いみてぇだけど……」
 とは言え、戦力がまるでない。
 かろうじて残っているのが『プロメテウスV』と『熾盛・改』だけだ。しかも、どちらもが『フルーⅦ』の所属機ではない。
『プロメテウスV』を操るパイロットたちは『グリプ5』より出向してきていただけに過ぎない。友好国とは言え、この二機だけで防衛する、というのはあまりにも無理筋であった。
「ええ。なんとかして『フルーⅦ』の人々を守らねばならない」
 ウィルの言葉に『熾盛・改』のパイロットである『サツキ・ラーズグリーズ』が応える。
『プロメテウスV』のスーパー合体のシークエンスも改良の余地があるとウィルは思っていたので、少し意外だった。
 彼はやる気なのだ。
 たった二騎であっても、この小国家を有事に際してなだれ込むようにして侵攻仕掛ける小国家から守るつもりなのだ。

 それが理解できたからこそ、ウィルは頷く。
「少しは手伝ってやるよ。スーパー合体はまだまだ改良できる余地がある。でも、オレ様の好みでプログラムをいじってもなぁ……」
 ウィルは『プロメテウスV』から折りてきた幼子を見つける。
『フュンフ』と呼ばれる『フュンフ・エイル』のクローンの少年だ。
 彼が確か叫んでいた。
 ロケットパンチ、と。
 他の連中は知らなかったようだが、彼だけはウィルと『ベアキャット』の一撃を知っていたのだ。
「?」
 視線に気がついた『フュンフ』が首を傾げている。

 スーパー合体はスーパーロボットの真髄である。
 なら、とウィルはニヤリと笑う。
「こういうときだからこそ明るい話をしなくちゃあな! ほら、全員集めろ! しょぼくれてる連中もな! こういうときにこそ心に効くものがあるんだよ!」
 そう言ってウィルは己の秘蔵スーパーロボットライブラリーより選んだ映像を宙を映し出すのだ。
「レーッツ。ヴィジョン・ハイジャック! さあ、ご覧候へってな!」
 人の心に影落とす出来事が起ころうとも。
 それが例え虚構でしかないのだとしても。それでも現実に生きる人々の心に光を指す希望を示す。
 それがスーパーロボットであると言うようにウィルは、己の秘蔵ライブラリーから心沸き立つ映像を人々の瞳に映し出し、励ますのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ソフィア・エルネイジェ
凄惨ですが…プラントと人さえ残っていれば、復興も叶いましょう
私は私のやるべき事を果たさせて頂きます

エイル様…でよろしいでしょうか?
エルネイジェ第一皇女、ソフィア・エルネイジェです
少々お話しを伺いたいのですが、お時間を頂けますか?

今から十数年前、エルネイジェとバーラントの国境線付近で武力衝突がありました
その際に所属不明機が目撃されたとの報告があります
曰く、それは空を飛ぶキャバリアの生首であったと
エイル様に何らかの容疑を掛けている訳ではありません
ですがエイル様の姿を見た瞬間、その光景が重なったのです
そしてもしそれがエイル様なら、何の目的でその場に居たのか…
キャバリアの生首に自分の庭を彷徨かれれば、誰とて不安にもなりましょう?

そしてもう一つ
暫く前にエルネイジェ領海内で哨戒に当たっていた部隊が全滅しました
回収された残骸にはいずれも不可解な破壊痕が残されていました
大きな力で捩じ切られ、凍らせながら焼かれたかのような
そして…プロメテウスバーンを受けたかのような
何かご存知なら、お聞かせ願いたいのです



 小国家『フルーⅦ』の被害は甚大というにほかならない状況だった。
 国防の要たるキャバリアは殆どが失われてしまった。スーパーロボットである『レーギャルン』もまた同様である。
 失われてしまった。
 荒廃した大地だけが広がっている。
 燃え盛る炎は、消えているが、それでも絶望と諦観に塗れるには仕方のない光景であると言えただろう。
 少なくともソフィア・エルネイジェ(聖竜皇女・f40112)は為政者たる側面を持つ己が身に置き換えて思う。
 だが。
「プラントと人さえ残っていれば、復興も叶いましょう。私は私のやるべきことを果たさせていただきます」
 それは、猟兵としての使命であろうか。
 それとも、別の使命であろうか。

 彼女は一歩を『プロメテウスV』の頭部として合体していたロボットヘッド『エイル』へと踏み込む。
「『エイル』様と存じ上げますが、違いございませんか」
「ああ、そうだよ。僕が『エイル』だ。エルネイジェの血統。血脈を生きる者。キミがなんの用だい」
 彼は己が『エルネイジェ王国』の王族であると名乗る前から理解しているようだった。
 どういうことだと彼女は訝しむ。 
 だが、これが為政者としての己の使命であるというのならば、知られていようとも名乗らねばならない。
 そういうものだ。
「エルネイジェ王国第一皇女、ソフィア・エルネイジェです。お時間、よろしいですか」
「構わない。元より、僕はそのつもりだ。キミがどうして僕の前に来たのか検討はついている」
 その言葉にソフィアはやはり、と確信を強める。

 どうしても繋がってしまう点と点。
「では、率直に申し上げます。今から十数年前、『エルネイジェ王国』と『バーラント機械教国連合』の国境付近で武力衝突がございました。その際に所属不明機が目撃されたとの報告があります」
 曰く、それは空を飛ぶキャバリアの生首であったと。
 当初は集団的幻覚の類いであると断定されていた。
 だが、ソフィアは違う。
 眼の前にまさしくキャバリアの頭部に手足が映えたようなロボットヘッド『エイル』がいる。

 言葉を選ぶ。
 嫌疑を、というわけではない。だが、どうしても切って話せない確信めいたものがソフィアの中にあるのだ。
 もしも、だ。
 もしも、その生首が『エイル』であったというのならば。
 何の目的でその場に居たのかを知らなければ、と彼女は思ったのだ。
「不安を抱えているように見せても、キミの実直さが、それを許さないか。なら、僕も応えよう。それは僕だ。間違いなくね。確かに国境付近にて君たちの諍いに介入する形になったのは詫びよう」
 彼は頭を下げた。
 それが形式的なポーズではないと、ソフィアは理解した。
 彼は伝え聞く所によれば、世界を滅ぼそうとしたロボットヘッドである。オブリビオンではないが、しかして、世界を滅ぼそうと多くの小国家を巻き込んだ張本人である。

 今の彼の言葉には深い悔恨がある。後悔がある。懊悩がある。
 だからこそ、真の言葉だと理解できるのだ。
「『あれ』は、僕にとっては僥倖だった。強き者の血脈。エルネイジェの血統を手に入れることができたのだから。だが、僕が救わんとした者にとっては不幸な結末でしかない」
「どういうことでしょうか」
「あの日、あの時、君たちの国の端の一つの集落が亜人部隊に襲撃されたね。生存者はいなかったはずだ。ただ一人とね」
 その言葉にソフィアは齟齬を覚える。
 いや、居たのだ。一人だけ生存者が。他ならぬソフィアが救ったのだから。
 だが、なんだ。
 この違和感。
 話が食い違っている。『エイル』の言葉に嘘偽りはないと理解しているのに。

「だが、あの日僕は『一人』だけ救えた。いや、救えた、と思ったというのが正しい」
 風が吹いた。
 あの時も風が吹いていた。
 なら、あの風は。
「僕の手の中で一人の青年が死んだよ。だが、その肉体は、受け継がれていったのさ。キミも知っているかもしれないが『神機の申し子』と呼ばれる者がいるだろう。『フォン・リィウ共和国』の滅亡に関わったアンサーヒューマンたちが」
 ソフィアの鼓動が跳ねる。
 それは、と彼女は息を呑む。齟齬が出ている。
 あの日救ったのは唯一人。救えたのは、一人の『娘』だ。『青年』ではない。そして、その『青年』が『エイル』の手の中で死んでしまったから、唯一人も生存者がいないと言ったのだ。

 だからこそ、つまり。
 小国家『ビバ・テルメ』にいる四人のアンサーヒューマンの一人に。
「エルネイジェ、君たち強き者の血脈の遺伝子が、組み込まれているんだよ」
「……お話はわかりました。もう一つ。暫く前にエルネイジェ領海内にて哨戒部隊が襲われました。それには」
 そう、不可解な破壊の痕が残されている。
 大きな力でねじ切られ、凍らせながら焼かれたような、それこそ熱線兵器『プロメテウス・バーン』のような痕跡が残っていたのだ。
 それを彼ならば知っているのではないかと思ったのだ。

『エイル』は頷く。
「まさしくそれは『プロメテウス・バーン』だろうね。けれど、それは『プロメテウスV』がやったことではない。今回キミが戦ったあのスーパーロボットのオブリビオンマシンがいるだろう。あの頭部にあった機体が、哨戒部隊を襲った下手人だろう」
 あのオブリビオンマシンの最後をソフィアも見た。
 断頭されるようにして吹き飛んでいった頭部。
 それは星のように彼方へと飛んでいった。
「ならば……!」
「何処に飛んでいったのかは検討がついている。恐らく『ビバ・テルメ』の海の底……だろうね」
 次なる狙いは、巨神『セラフィム・シックス』。

「やはり、僕らは分かたれたとは言え、どこまでいっても平和のために争いを呼び込む存在らしい。何もかもが仕方ないとは言えないが、ソフィア・エルネイジェ。僕は潔斎のために此処にいる。約束しよう。それだけは確かなことなんだ――」

大成功 🔵​🔵​🔵​

村崎・ゆかり
酷い有様ね、これ。復興できるのかしら?

とりあえず、家を失った人たちのために仮設住宅を建てましょう。
「式神使い」で笑鬼召喚。防御陣地の代わりに仮設住宅を建ててちょうだい。それくらいの融通は利かせる。

その間に物資の調達をしていかないと。材料がなければ家は出来ない。
この瓦礫から、使えるものを探すかな。『鎧装豪腕』顕現。「怪力」で使えそうな資材を引っ張り出しなさい。そのまま、仮設住宅の建設地へ。

『フュンフ』いや今は『サツキ』だったっけ? 姿を消してからどこで何してたのよ。ここはここで大変だったんだから。
しばらくは、二体にして三体で『フルーⅦ』の治安を守ってもらうわよ。
『グリプ5』にも連絡入れないとね。



 村崎・ゆかり(“紫蘭”/黒鴉遣い・f01658)は炎が沈下した小国家『フルーⅦ』の惨憺たる光景を目の当たりにして息を呑む。
「ひどい有り様ね、これ。復興できるのかしら」
 そう思うのも無理なからぬことである。
 キャバリアの殆どがオブリビオンマシンによって取り込まれてしまった。
 今、この小国家を侵略しようというのならば容易いことだった。
 幸いなことにプラントが無傷であることが確認されている。時間さえかければ復興できないこともないだろうが、それ以上に人々の心の傷が深刻だった。

 夜露を凌ぐためにも仮設住宅は必須か、とゆかりは一つ頷く。
「急急如律令! 汝ら、陣を敷き壕を巡らせ郭を築くものなり! 笑鬼召喚(ショウキショウカン)、あなたたち、よろしくね」
 ゆかりのユーベルコードによって召喚された式神の群れが子鬼の姿となって荒廃した市街地へと駆けていく。
 彼らは拠点を作り上げることができる式神である。
 任せておけば仮設住宅くらいは建造することができるだろう。
 とは言え、物資の調達を行わなければならない。瓦礫を再利用するしかないが、殆どの瓦礫が炎によって熱せられているため、多くが再利用できないものばかりであった。

 仕方無しに『鎧装剛腕』でもって使えそうな私財を引っ張り出す。
「ふぅ……それにしたって本当に派手にやられたわね……」
「僕らでは止められませんでしたから。間に合わないのはいつものことですけれど、やるせないですね」
 その言葉にゆかりは振り返る。
 そこにいたのは亜麻色の髪を風に揺らす青年。
「『フュンフ・ラーズグリーズ』! いや、今は『サツキ・ラーズグリーズ』だったっけ?」
「はい。僕の本当の名前です」
「それはいいのよ。それより今まで何処で何をしていたのよ。ここはここで大変だったんだから」
 駆け寄って彼にゆかりは近寄る。
 背が少し伸びただろうか、と思う。黒い瞳が申し訳無さそうに細められた。

「神隠し、というんですよね。他世界に渡る、というのは。あの日から……」
 説明しようとして難しいという顔をしている。
 けれど、他世界を知る猟兵以上に世界を知る者などいないだろう。ゆかりは、いいから、と言うように促す。
「暗闇だけの世界も、星空ばかりの世界も、大陸が浮かぶ世界もありました。海だけの世界だって……あちこちに出ては引っ込む、というのが常だったんです」
 その言葉にゆかりは頷く。
 彼女が知る世界の特徴を捉えている。
 猟兵たちのように転移が自在ではないようだった。偶発的に世界から弾かれるように飛んでいただけのようだった。

「まあ、いいわ。どちらにしたって暫くは『フルーⅦ』を守ってもらわなくっちゃ」
「はい。そのつもりです。でも、僕らの機体は……」
「二騎になれるんでしょう?」
「今は無理です。『エイル』が『プロメテウスV』の頭部になったので、僕の機体はあの赤い機体と合体していないと動けなくなりました」
 ならどっちにしろ『プロメテウスV』と二機体制になるということである。
「わかったわ。ああ、それと」
 ゆかりは笑って言うのだ。
 この放浪息子、と。
「『グリプ5』にも連絡してあげなさいな。どれだけ距離があってもね――」

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルクス・アルブス
【ステルク】

いろいろ大変なこともありますけど、みなさま生き残りましたし、
ここは元気になるためにもごはん会とかしちゃいましょう!

おなかが減ると元気でないですもんね!

元気になる、といえば、もちろんお肉。
そしてお肉と言えば、焼肉ですよね!

ちょうどいい鉄板もありますし(『エイル』さんちらり)

冗談ですよ!
さすがに『エイル』さんでは焼きませんから!
ちゃんと『ヴィー』さんを使いますよ♪

こういうときUCは便利ですね。鉄板を温める器具げっとです!
あ、ちょっと『ヴィー』さんの左腕お借りしますね。

あれ?
冗談なんですか?

しかたないです。普通にBBQしましょうか!

あ、でも『エイル』さんはお肉よりオイルがよろしいでしょうか?
ほんとにUC便利ですね。『エイル』さんに合いそうなオイルでてきました!

それではお酌しちゃいましょう!
『エイル』さんも遠慮せずに一献、ですよー♪
ささ、ここはぐいっと!

……そして、今っ!
さすがわたしです。この火入れの、完璧ですね!
さ、『フュンフ』さん、食べてくださ痛ぁ!?(むぎゅっと当て当て)


ステラ・タタリクス
【ステルク】
善性を得ていたからこそ濁った赤……ヴィー様の有り得た未来のひとつ、でしょうか?
そうならずに済んで良かった

さて、戦いが終われば何をするか?
我らが光の勇者ルクス様ならばこういうでしょう
「ごはん!」と
はい、焼き肉ですよ焼き肉
新鮮な鉄板がそこに……どうしましたヴィー様?
昔みたいなノリで居て下さらないと
過去とて
全てを否定する必要は無いのですから

さて鉄板は冗談ですよルクス様?
ヴィー様引かないで?

料理はルクス様の専門分野
私は手伝いに
ええ、メイドに不可能などなく
というか料理時のルクス様の安定感は何なんでしょうね?
あ、サツキ様とパッセンジャー様も是非に

お手伝いをしながら聞きたい事が数個
『エイル』様?ええ、ロボットヘッドのあなたです
ずっと気になっていました
何故その名を名乗っているのか、と
いえ、私は単純にあなたがそこに至った理由が知りたいだけ
其処にこそ『エイル』という存在の謎がある気がしています

そういえばSOWにもサツキ様がいましたね?

というかいつのまに当てようとしてますかこの勇者は!(スリッパ



 色は混ざり合う。
 色彩が混ざり合う度に、その鮮やかさを喪っていくのだとすれば、光は混ざり合う度に輝きを増していくだろう。
 そういうものなのだとすれば、人の悪性と善性というものは光ではなく色なのだろうと思えた。
 それがあのオブリビオンマシン『セラフィム・エイル』の宿命であったのかもしれない。
 一つの可能性なのかと言われれば、そうなのかもしれないという現実だけが目の前にある。
 けれど、可能性は可能性のままだ。
 人の手で掴み取るからこそ、可能性は未来に繋がっていく。
 選び取った何かが変貌していくことを止められない。
 不変はなく。
 あるのは代わりゆく色彩の果であろう。
 故に、とステラ・タタリクス(紫苑・f33899)はよかった、と思ったのだ。
 己の知る者がそうならなかったことを今は喜ぶべきであろうと。
「色々大変なこともありますけど、みなさま生き残りましたし、此処は元気になるためにも!」
 そんなステラの感傷をぶっ飛ばすようにルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は盛大に拳を突き上げていた。
 ステラにはわかっていた。

 我等が光の勇者ならば、戦いが終われば何をするかなど今更問いかける必要もない。
 きっと。
「ごはん会しちゃいましょう!」
 ほら、やっぱりとステラは思った。
「元気になると言えば、もちろんお肉。そしてお肉と言えば焼き肉ですよね!」
 単純明快。
 これくらいのほうがよいのかもしれない。これくらいシンプルに物事を考えられたのならば、諍いも起こらないのではないかと思ったのだ。
「ちょうどよい鉄板もありますし」
 ちら、と見やるはロボットヘッド『エイル』であった。
 彼は頭部に手足がついたような短い腕を振って見せた。肩をすくめているようにも思えたかも知れない。

「勘弁してくれとは言わないけれど」
「冗談ですよ。そこは昔のようなノリでいてくださらないと」
 ステラが『エイル』の言葉に笑む。
 過去とて全てを否定する必要はないのだ。懊悩と悔恨に塗れる青年期であったとしても。それでも、過去があるから今があるのだ。
 例え、それを踏みつけて進むのだとしても、だ。
「冗談ですよ! 流石に『エイル』さんでは焼きませんから! 根性焼きになっちゃいますから! ちゃんと『ヴィー』さんを使いますよ♪」
 彼女の言うところの『ヴィー』とは『熾盛・改』なのだろう。
 ちょうど赤い羽織を羽織ったような青い機体がそこにある。頭部を喪ったことで、二機一体たる機能は失われているようである。

 けれど、とルクスは懐かしい青い装甲を撫でた。
「師匠の専属料理人(エヅケ・マスター)としての力はまだ健在ですよ! あ、ちょっと『ヴィー』さんの左腕お借りしますね」
「冗談ですよルクス様。『ヴィー』様引かないで」
「冗談なんですか? 仕方ないですね、普通にBBQしましょう!」
「いや、懐かしんだだけだよ。そう思っただけだ」
「あ、でも『エイル』さんはお肉よりオイルがよろしいでしょうか?」
「僕はエネルギーインゴットの方がいいな」
 そんな好みの違いある? とルクスは思ったが、ユーベルコードとは便利なものである。食材と調理器具とルクスが認識さえすれば、エネルギーインゴットも、ゴトリと重たい音を立てて出現するのだ。

「『フルーⅦ』の皆様へのフォローはおまかせを。簡易的な炊き出しであると思えば、何事も完璧にこなせる、超有能メイドに不可能などありませんので」
 というか、とステラは思った。
 調理をしているときのルクスの安定感は一体なんなのだろうか。
 演奏している時もこれくらい頼もしければよいのに、と思う。そして、ステラは『エイル』に向き直る。
「『エイル』様?」
「君も何か聞きたいことがあるんだろう」
「はい、ずっと気になっていました。何故その名を名乗っているのか、と」
 ステラの疑問は尤もなことだっただろう。

 かつて『ヴィー』と呼ばれていた『セラフィムV』が彼に変じたというのならば、彼に乗っていた亜麻色の髪の少年『エイル』の名を名乗っているのは一体どのような意図があったのかと。
 あの大空の世界で出会った己の主人の名を語るのは何故なのか、と。
 別に咎めたいわけじゃあない。
 ステラは単純に彼がその名に行き着いた理由が知りたいだけなのだ。
 そして、同時に其処にこそ『エイル』という存在の謎があるような気がしたのだ。

「簡単なことさ。『彼』がこの世界にいないからだ。この世界に彼が居た証明でもある。そして、もっと単純な理由があるのだとすれば」
『エイル』はロボットヘッドの体をもって向き直る。
「この名に引き寄せられて必ず君たちがやってくるだろう?」
 その言葉にステラは確かに、と頷く。
 彼女が香りでもって認識するように、名前はそれを示すものである。なら、その名に気がつく者がいれば、必ずやってくるという確信があったのだ。

 そんなやり取りをしていると、向こうでルクスが幼子の『フュンフ』に構いっぱなしである。
 彼はまだ幼い。
 だからお世話をしなければとルクスは思っているのだろう。
「さ、『フュンフ』さん、食べて下さい。完璧な火入れですよ!」
「いいの? ありがとうお姉さん」
 笑顔が眩しい。純粋無垢だ。そう思えるほどの明るい顔にルクスは、うっ! と思ったかもしれない。
 素直な幼子の可愛さはルクスでも感じるところがあったのかもしれない。
 ついつい抱きついてしまう。
 当ててしまう。確信犯なのかどうかはわからないが、しっかりと当てていた。
「どうにかしてでも当ててるのですね、この勇者は!」
「痛ぁッ!?」
 ルクスの悲鳴が荒廃した戦場の痕に響き渡る。
 幼子の笑い声が響いた。あかるい、人の鬱屈さを吹き飛ばすような笑い声だった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

薄翅・静漓
『ツェーン』にキャバリアの整備をお願いしたいわ
借りたものだけど、この子のおかげで戦えたから、直してあげてほしいの
少し作業を見ていてもいいかしら

……そういえば、バレンタインの時期ね
『ツェーン』は、もう『クロア』にチョコレートを渡したのかしら
こんな時だからこそ、そういう事は大切だわ
愛する人が傍にいる事は当たり前ではないのだもの

二人のことは教官をしていた時に色々聞いたのよ
恋人……なのよね?
ちがうのかしら
恋の話に好奇心をくすぐられてしまうわ



 スーパーロボット『プロメテウスV』との合体が解除されたそれぞれのキャバリアたちが居並ぶ光景を見やり、薄翅・静漓(水月の巫女・f40688)は己が借り受けたキャバリアをもう一度見上げた。
 装甲として合体した為に機体の状況は思わしくない。
 あちこちが破損している。
 それほどまでにオブリビオンマシンとの戦いは苛烈だったのだ。
 だからこそ、彼女は『ツェーン』を探していた。
 共に戦った者を、用が済んだので、とはできない。そういう性分だったのかもしれない。
「『ツェーン』、お願いがあるの」
 静漓はせわしなく働いている『ツェーン』を見つけて、声を掛ける。
「あ、なんです? どうされました?」
 彼女は足を止めて静漓を見る。その様子がどうにも引っかかったからもしれない。

「あの子を整備してほしいの。借り物だけれど、この子のおかげで戦えたから、直してあげてほしいの」
 静漓はプラスチックホビーのように自分でできればよかったのだけれど、と僅かに肩を落としていた。それがなんとも気の毒に思えて『ツェーン』は頷く。
 何はなくとも彼女は恩人である。
 なら、その要望に答えたいと思ったのだ。
「少し作業を見ていてもいいかしら」
「構いませんよ。キャバリアの整備って面白いんですよ。手をかければかけてあげただけ、答えてくれますし。生き物……とは違うんですけど。それでも目的をもって生まれたのなら、その本懐を遂げさせてあげたいじゃあないですか」
 人間が生きる意味を持っているように、と彼女は笑っていた。
 オイルに塗れ、汚れに頬を汚しても、指先が荒れ果てても。
 それでも彼女は生きる意志に溢れた笑みを浮かべていた。その様子を見て、静漓もまた頷く。

 彼女は生命を謳歌している。
 どれだけの過去があっても、それでも懸命さで生きている。
「……そう言えば、バレンタインの時期ね」
「あー、そうですね。そういう時期ですね。はい、そうですよね」
 彼女はなんというか、その話題を避けようと思っている様子だった。けれど、静漓は構わず続ける。
 彼女の作業を見ながら、その背中に問いかけるのだ。
「『ツェーン』は、もう『クロア』にチョコレートを渡したのかしら。こんな時だからこそ、そういうことは大切だわ」
「ぶっ……! あ、いや、えっと。それは、そうですけど」
「愛する人がそばにいることは当たり前ではないのだもの」
 静漓の臆面もない言葉に『ツェーン』はいよいよ工具を取り落としてしまう。

 愛。
 愛する人。
 そうだけど、面と向かって言われると。
「二人のことは教官をしていた時に色々聞いたのよ。恋人……なのよね?」
「んなっ」
 おかしな声、と思った。いや、と静漓は思う。
 これはもしかして。
「ちがうのかしら?」
「ちがっ、くはない……はずなんですけどぉ……」
 彼女の言葉に静漓は複雑な関係なのかと思った。確かに戦乱満ちる世界だ。そういう甘やかな時間というのは思っった以上に少ないのかも知れない。
 もしかしたら、互いに言葉にしがたいところがあるのかもしれない。
 そういう意味では仲の進展は遅々として進まないものなのかもしれない。

「知りたいの」
 それがどんな素敵なことなのかと好奇心がくすぐられてしまう。
 静漓はぐいぐいと『ツェーン』に詰め寄る。
「顔が良すぎるんですけどっ……! で、でも、私の話なんて。私より、静漓さんの方が!」
 そんなきゃいきゃいした雰囲気は戦場の跡には似つかわしかったけれど。
 それでも、生きているのだ。
 なら、恋だってするだろう。人はそういうものだ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルカ・スィエラ
【WIZ】
一応、本当に念の為だけど、プロメテウス側のチェックを
はっきり言っちゃうと合体というよりはこっちの金属細胞の影響の有無。
そもそも、ロボットヘッドの能力に、金属細胞によるレプリカントとキャバリア、機竜の「融合体」の組み合わせよ?何が起きるか分かったものじゃないわ

……後は……私が未だに気にしているというだけよ

エイルは……一発(右腕のヘキサ・アームズで)殴るとかしてもいいんだけど、……そういうのは私よりふさわしい人がいると思う

それに、そうして粉砕とかしてしまうよりも、洗いざらい全部、特に裏で何かしていた頃の事を吐かせて自分で蒔いた種の後始末をさせる方がこの世界の為でもあるわよ



 念の為に、とアルカ・スィエラ(鋼竜の戦姫・f29964)は青いキャバリア『プロメテウスV』の機体をチェックさせて欲しいと願いでていた。
 他の猟兵のチェックは確かに問題がない、ということであった。
 けれど、それでもアルカは疑念を払拭できていなかった。
 過去の出来事のことを思い出していたからだ。
『レーギャルン』を操縦した際に組み込んだ金属細胞が後々に戦禍に繋がった事を考えれば、それは彼女にとって苦い思い出であったことだろう。

「こちらは問題なし。チェック項目は……」
 はっきりと言うなら、合体機構に関してはユーベルコードの力であるがために問題はないと思う。けれど、己が機体に配された金属細胞の影響だけは無視できなかった。
 加えてロボットヘッドの能力に、自身がレプリカントであること。そして、キャバリアと機竜の融合体が組み合わさっているのだ。
 何がどう影響を及ぼしてしまうかなどわかったものではないか。

「特に問題ない、ということでしたけど……」
『クリノ・クロア』の言葉にアルカは頭を振る。
「……私が未だに気にしているというだけよ」
「君に罪悪を感じさせたというのならば、僕が詫びるべきだろうね」
「『エイル』……」
 アルカは現れたロボットヘッド『エイル』の姿を認める。
 己の右腕の『ヘキサ・アームズ』が握りしめられる。わかっている。『エイル』と呼ばれるロボットヘッドは、かつて小国家『グリプ5』の周辺小国家を巻き込んで世界を滅ぼさんとした張本人だ。

「詫びに一発殴るとかいてもいいんだけど」
「構わない。それもまた僕の贖罪だ」
 アルカは握りしめた拳を解いた。息を吐き出す。確かに殴れば己の心は晴れるだろう。いや、少しだけスッキリするかもしれない。
 だが、そうじゃないのだとアルカは思う。
 こういうことをするのならば、自分よりも相応しい人間がいると思ったのだ。

 それに、とアルカは思う。
 眼の前にいるロボットヘッドは深い悔恨と懊悩を抱えている。
 己がやったこと。
 己が何を、と理解している。ならばこそ、彼女は頭を振る。そう、此処はそうじゃない、と。
「粉砕とかしてしまうより、洗いざらい全部、特に裏で何をしていたのかもしっかり吐けば良い」
 アルカにとって、それが己の感情と世界のことを天秤に懸けた結果だった。
 より良い未来を掴むためには、己の感情など横においておいたとしても問題はないのだと彼女は思ったのだろう。

「それは今まさに、というところさ」
「なら、後は自分で蒔いた種の後始末をしなさい」
 それだけでよいのだとアルカは頷く。
『プロメテウスV』に己が機体の金属細胞の影響は見られなかった。恐らく一時的にユーベルコードで影響がでていたとしても、『プロメテウスV』という機体と金属細胞は相性が悪いのかもしれない。
 それなら一安心だとアルカは、かつて在りし己の失敗の一つが、また繰り返されていないことを確認し胸をなでおろすのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カシム・ディーン
借金返済
疾駆する神発動中
プロメテウスのメンバーとかの合体の練習とかするのか
この場合はあのサツキとパっさんとええとエイルも一緒になるよな…それなら…
「あ、もしかして☆」
サウナだ!っとその前に…エイル…おめーがどんな道を歩んできたか…確認させて貰うぞ?メルシー!
「任せて☆今のエイル君はもしかするとメルシー達と同年代かな…☆ヘカテちゃんも手伝って☆っとエイル君…構わないかな?今もメルシー達神機を厭うかな?」
許可が下りればUC発動
アクセス開始…エイルの之まで歩んできた道を解析する
一応エルネイジェについても確認

そして…皆でサウナ!今回は混浴なので水着!
エイルもこいや!(サツキとパっさんも勿論

合体ってのは互いの事を知ってこそだからな

つー訳でサツキとパっさんの馴れ初めとか聞かせろ…ってか…おめーらブルアクとか他の世界も行ったのか?アスリートアースは?あそこでお前ら映画になってたぞ?プラクトやってみるか?
っと…それじゃ汗を流して水風呂→外気浴を繰り返し整い!

後は自分達の物語とプロメテウスの子らについて聞


テラ・ウィンディア
借金返済
UC常時
ちょっとカシムに国家予算レベルの賠償金や被害額とかを肩代わりして貰って現在返済の為にこき使われてる
詳しくは七転十五起MS様のノベル参照だ!

…不思議な夢を見たんだ
淀君とか名乗ってる…確か神機シリーズの…ディアーナ?と戦ってたんだが…
「ディアーナ姉様と…?不思議な夢を見たものですね?」
話は聞いてるけどおれは戦った事ないからな

しかし…エースか…サツキだっけ?後でおれと模擬戦やろう!おれ…エースには憧れるぞ!(きらきら

エイルへのアクセス
「仕方ありませんね…メルクリウスの補助を行いましょう。エイルさんでしたっけ?貴方もまた…最早神機というべき存在…それ以上の存在なのでしょう…」
メルシーと共にアクセスして負荷を軽減…機神同士だからある程度は把握出来る筈…!

サウナに行くけどなんだか恥ずかしいぞ…!(水着)
おれはエース達の物語詳しくないから…色々聞きたいぞ!
フュンフ…サツキは凄いエースだったんだろ?どんな戦いを繰り広げてきたんだ?
そして…
冷たい!
ふう…
あれ…なんかぽわぽわしてきたぞ…?



 テラ・ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499)はカシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)にクロムキャバリアまで呼びつけられていた。
 なんでそんなことになっているのかと問われれば、とある事情があってカシムに国家予算レベルの賠償金やら被害額といったものを肩代わりしてもらっているからだ。
 有り体に言えば、返済のために言いように使われる使い走りみたいな立場に甘んじるしかない状況なのである。
 金とは恐ろしいものだ。
 有名無実に思えて、その実態は血よりも重たいし、尊いものである。
 価値という基準を示すものであったはずのものが、いつしか人の欲望の総量にさえなっているのだ。

 あらゆるものが金で解決される。
 今テラを縛っているのは借金という重荷である。自由を標榜したとしても、人は何処まで行っても金の奴隷なのである。悲しいことである。
「さて、それはそれとして手伝ってもらうぞ。『エイル』の方は任せたぞ」
 カシムの言葉にテラは頷く。
「解析だったな。『ヘカティア』、頼んだぞ」
「お任せ下さい」
「よし、まずは合体の練習! しかる後にサウナだ!」
 カシムの言葉にその場にいた多くの面々が、なんで? という顔をしていた。合体の練習はわかる。
 だが、なんでサウナ。

「まーたお前らが逃げるかもしれねーからだよ! 特に『エイル』! おめーがどんな道を歩んできたのか、確認させてもらうぞ?」
 その言葉にロボットヘッド『エイル』は頷く。
「構わないよ」
「任せて☆ 今の『エイル』君はもしかするとメルシーたちと同年代かな……☆」
『メルシー』の言葉に『エイル』は頭を振るようにして身を揺らした。
 違う、ということだろう。
 如何なる基準を持って年代を示すのか、という問題もあるが、それ以上に『エイル』にとって神機は厭う存在なのだろう。

「相性の良し悪しというものがあるだろう」
 接続は問題なく行われる。
『ヘカティア』もまた同様に補助にはいってくれるが、そもそも神機との規格が異なるのだろう。上手く解析が進まない。
「貴方もまた……最早神機と言うべき存在……それ以上の存在なのでしょう」
 その言葉に『エイル』は否定する。
「別種だ。大元が同じに見えて、枝葉が絡まったように見えているだけだ。交錯しているだけだ。君たちと僕たちとでは、明らかに根本が違う」
 その言葉に『メルシー』と『ヘカティア』は生理的な拒絶を感じたかもしれない。
 感情と知性でもって、それを超えることはできるかもしれないが、しかし、機械的な本能めいた者が、それを拒絶しているのだろう。

 ファイアウォールのように情報にフィルターがかかっている。
 けれど、此処百年の間のことはわかる。
 百年前にクロムキャバリアへと転移してきた機体。それが『熾盛』である。
 多くの事柄がすでに語られるところであるが、概ね相違はないようだ。つまり、百年前に他大陸の争いにさえ介入し続けた『憂国学徒兵』たちの物語……他世界でコンテンツとして消費される娯楽にて語られたものと変わらない、ということだ。
 其処からの変遷は、分かたれ、ねじれ、歪むものであったことだろう。
 置いていかれたという感情が膨れ上がり、追いかけねばならないという感情へと変わっていく。

 転移能力を有していないがゆえに追うこともままならない。
 世界を滅ぼせば、骸の海を伝って他世界へと向かうことができると考えたのだろう。その結果が、戦禍の主となることであった。
「ふーん☆ 結局、わかったところは『エイル』くんは神機じゃないってことと、ここ百年ずーっと思い悩んでたってことなんだね☆」
「とは言え、擁護できたものではありませんが」
『メルシー』と『ヘカティア』の言葉に『エイル』は頷く。
 懊悩と悔恨だけを抱える青年期に至る彼にとって、これは人に為る道程の一つなのだろう。
 だからこそ、彼女達には理解できない事柄が多すぎたのかも知れない。
 膨大なデータは懊悩の繰り返しでしかなかったのだ。

「しかし、『エース』か……『サツキ・ラーズグリーズ』だっけ? やるなぁ!」
『エイル』に対する精査の合間にテラは『サツキ・ラーズグリーズ』とシュミレーションでの手合わせを終えていた。
 カシムも彼らが何処かに行かぬようにと見張っていたのだ。
 いや、サウナの準備をしていた、というのが正しいだろう。
 戦いに疲弊しているというのによくやれるものだとカシムは思ったが、まあ、それもサウナで疲れを癒やせばいいことだと割り切っていた。

 互いのことをよく知ること。
 さすれば合体も危うからん。というのがカシムの持論であった。
「合体ってのはお互いのことをしってこそだからな。つーわけで『サツキ・ラーズグリーズ』と『パッセンジャー』の馴れ初めを聞かせてもらおうか」
「暗闇だけの世界で彼とは出会いました。いや、正確に言うなら空だけの世界で、というのが正しいのかも知れないですけれど……」
「あ? そりゃどういうことだ?」
「おれたちはあんまり『エース』たちの物語詳しくないからな! いろんな戦いがあったんだろ?」
 テラの言葉に『サツキ・ラーズグリーズ』は頷く。
『パッセンジャー』はあまり興味がない様子であった。

「他の世界にもいったってことか?」
「はい、宇宙……この空のずっと向こう側にあるっていう星の世界にも」
「アスリートアースは。あの超人アスリートばっかりの世界には」
「ゆめを見ていたような気がします。しあわせなゆめを」
 そんな会話を繰り返すようにカシムとテラは『サツキ・ラーズグリーズ』と共にサウナと水風呂を交互に行き来する。
 多幸感が襲ってくる。
 外気浴のさなかに訪れるなんとも言い難い感覚。

 言葉にしようにも多幸感、という他ない。
「あれ……なんかぽわぽわしてきたぞ……?」
「それが整いってやつだ――!」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

朱鷺透・小枝子
『奏者ー、前から思ってたけれど、その煙吹いてる目、痛くない?』
すごく痛い。だから今日はもう演奏はしません
『そんな!パッセンジャー君達に奏者の演奏をもっと聴いてほしかったのに!!』
恐ろしい事を…!!

……サツキ殿らはこれから如何するのか。
このプロメテウスだけでこの国が守れるか。
弱ったこの国とプラントを、他国が、オブリビオンマシンが
放っておくものか。……自分には、何ができる?

『わからないって顔だ。奏者。じゃあさー、歌おうよー、奏者ァー』
歌いません。…ん?いえ、歌ってみましょうか、|オーバード《君の歌》

スーパー合体で、プロメテウスにセラフィムを、
この【闘争心】と【優しさ】の化身を組み込んでしまおう。



 超過駆動を強いられた人工魔眼から白煙が登っている。
 ユーベルコードによる膨大な情報の処理。力の発露。多くの要因が重なることによって多大な負荷がかけられてしまった結果だった。
 そんな朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)の様子に『クレイドル・ララバイ』は、うわぁ、と思った。
『奏者ー、前から思ってたけれど、その煙噴いてる目、痛くない?』
 絶対痛いやつだと『クレイドル・ララバイ』には思えたのだ。
 その言葉に小枝子頷く。

「すごく痛い。だから今日はもう演奏しません」
 きっぱりとした言葉だった。
 平気そうに見えて、まったく平気ではないのだ。痛みを痩せ我慢しているだけであるし、表にでてこないのは、其処まで感情が起伏しないからかもしれない。
『そんな! パッセンジャー君たちに奏者の演奏をもっと聴いてほしかったのに!!』
「どうしてそんな恐ろしいことをさせようとしていたのでありますか……!!」
 旧交を深めたいとは言っても『パッセンジャー』と呼ばれる魂人の青年は、他人にあまり感心がないようであった。

 荒廃した戦場の跡に一人佇んでいるだけだった。
 そんな彼から視線を外し、小枝子は『サツキ・ラーズグリーズ』を見やる。
「……『サツキ』殿はこれから如何するのか」
 その言葉に彼はなんとも言えない顔をしていた。
 やらねばならないことはわかっている。けれど、それが実行可能化どうかと問われたのならば、恐らく不可能だろうと思えた。
 オブリビオンマシンによって『フルーⅦ』のキャバリアの殆どが取り込まれ、そして戦いによって破壊されてしまった。
 ハッキリ言って国防という点においては心もとないというより、無理だった。

 この『フルーⅦ』が弱った、という情報が周辺小国家に知れ渡るのは時間の問題であろう。となれば、この国を守ることは一層困難になる。
「……自分には、何ができる?」
 他国。オブリビオンマシン。
 滅びの切っ掛けとなるものは、いくらでも存在している。この戦乱の世界が弱肉強食であるというのならば、『フルーⅦ』の惨状を放っておく者などいないだろう。
 だからこそ、悩む。
 答えは出ない。方策も打ち出せない。

『わからないって顔だ。奏者』
『クレイドル・ララバイ』の言葉に小枝子は頷く。
 わからない。
 それは自分も、『サツキ・ラーズグリーズ』も、この『フルーⅦ』に生きる人々もわからぬことであったことだろう。
 だったら、と『クレイドル・ララバイ』は言う。
『歌おうよー、奏者ァー』
「歌いません」
 きっぱりと言い放つ。けれど、小枝子は思った。いや、とこのような時だからこそ歌う価値があるのだと。
 自分だけではない。
 この暗闇のような状況を乗り越えるためにぴったりの歌がある。

「いえ、歌ってみましょうか……この歌を」
 息を吸い込む。
 瞳は痛むれど、しかして喉はまだ潰れては居ない。
 君の歌(オーバード)が響き渡り、召喚するは赤と青の炎纏う半身を持つ『セラフィム』であった。
「……これは」
「『セラフィム』です。この機体の闘争心と優しさを」
『プロメテウスV』に組み込もう。
 歌声は響く。
 いつかの誰かの願いが祈りに昇華したように。小枝子もまた歌声に込めるのだ。悪性と善性とではなく。
 闘争心と優しさに満ちる機体を。

 滲むように青い機体に色が混じっていく。
 光彩ではなく、色彩。
 色が混ざれば濁る。混沌に近づいていく。けれど、その色彩を照らす光彩がある。それは人の思いだと小枝子は思ったのだ。
 どれだけ混沌に向かう未来があるのだとしても。
「それを手繰る人の心の輝きがあれば、よいのであります」
 そう言って小枝子は、歌う。
 高らかに。
 今日を生きたからこそ、明日があるのだと言うように、その心を歌い上げ、人の願いと祈りとを昇華させるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月夜・玲
幼年期は終わって、多いなる一の一部にでもなった気分?
いやまあ、何でも良いけど
例えどれだけ真理を知った風を装ったって、それを破壊するのが探究者の努め
達観なんて、万年早いね!

…さてと、それじゃあ私はキャンプでも作ってようかな
【Code:M.C】起動
多目的小型マシンを展開
時間はあるんだ、プレハブ街や足りない施設をじゃんじゃん作っていこう

何が必要かを聞いて建設
時間があるなら間取りも聞いちゃおう
いっそ街の工務店の真似でもして、拘りの設計まで取り入れる!
こう考えると人手が足りないな…建築士とか居たら捕まえて図面引かせよう
後はマシンに建設を頼んで終わり
これはビジネスチャンス!
まあ、今回は自重するけどさ



 戦いは終わりを告げる。
 眼の前には荒廃した大地だけがあった。戦いの炎は沈下し、今はもう残された焼け野原鹿存在していない。
 争いの果にあるのは、いつだってこんな光景でしかない。
 その様をロボットヘッド『エイル』は見つめていた。
 幼年期は終わり、青年期の懊悩に塗れた今がある。だからこそ、争いは結局のところ、平和を得るために必要な条件でしかないと嘯くこともできるだろう。
 けれど、そんな感傷すらも蹴飛ばすように月夜・玲(頂の探究者・f01605)の言葉が降り注ぐ。

「幼年期は終わって、大いなる一の一部にでもなった気分?」
 見やれば、そこに彼女が居た。
「いいや。とてもそんな気分にはなれない」
「いやまあ、なんでも良いけど」
「結局、平和を求めればこんなことになる。糾える縄の如くね」
 その言葉に玲は今度こそ本当にロボットヘッド『エイル』の背中を蹴っ飛ばした。
「例えどれだけ真理を知った風を装ったところで、それを破壊するのが研究者の努め。ていうか、硬ッ!」
 鈍い音がして玲のつま先がちょっと痛みを覚えたが、それでも玲は言い切った。
 ちょっと涙目に鳴りつつ玲は更に言い放つ。
「達観なんて、万年早いね! まだ懸命に生きている人達がいるんだよ。それを全部見てきたみたいにいうもんじゃあない」
 例え、平和が争いの後にしかないのだとしても。平和の後に争いが起こるのだとしても。

 交互にやってくる抗いようのないものだとしても。
「みなよ。みんな生きてるんだから!」
 彼女が示す先にあったのは、荒廃した小国家にありて今もなお生きようとする懸命なる者たちの姿であった。
 玲のユーベルコードによって呼び出された多目的小型マシンたちが家を喪った者たちのためにプレハブや足りない施設をプラントから搬出された資材を持って建造している。
 足りないものは未だ多くあるだろう。
 喪ったものを嘆くこともあるだろう。
 けれど、それでも玲は諦めていないし、人々あって諦めていない。

 多くのことを為すためには、強大な力が必要なのではない。
 多くの人々が必要なのだ。一人の力では到底立ち行かぬことも、二人であれば、三人であれば、もっと多くであればできる。
 それを示すように玲は今を生きる人々の思いを汲み上げるようにして、協力していくのだ。
「……そうだね。生きている。なら」
 生きねばならない。
 誰に頼まれるでもなく。己の意志で。
 玲は痛むつま先を誤魔化すように宣言する。
「これはビジネスチャンス!」
 そう、これだけの破壊が起こった後なのだ。ならばこそ、求められるものがある。求める者に与える。
 それこそが商機というやつなのだ。

「まあ、今回は自重するけどさ」
 でも、それでも玲はひっきりなしに小国家中を駆け回る。
 達観から生まれる諦観なんて知ったことではない。
 そんなもの蹴っ飛ばして歩んでいくのが人なのだと示すように玲は、せわしなく……けれど、どこか楽しげに滅亡の淵に立たされた『フルーⅦ』の復興に尽力を尽くすのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年02月17日


挿絵イラスト