Heroic Heretic
熾火は紅く燃える。
以て敵を、同胞を脅かす狂信の徒を薙ぎ払う。
全ては、奴らが神と崇める忌まわしき兵器から、空を取り戻すため――。
「――大丈夫か」
己のキャバリアを降りた青年が、廃屋の中へと声をかける。
此処は、神聖ヴィスタリア皇国領内のとある廃都市の一角。都市の荒れた道路上には、黒く焦げたキャバリアの残骸が幾つも転がる。全て、此処へと襲い来たヴィスタリア軍のキャバリアだったものだ。
青年の声に応え、何人もの人々が姿を現す。大半は若い男女だが、老人や幼い子供もいる。その姿は皆、一様にみすぼらしく。
「ああ……来てくれたんだな、ケルヴィン。ありがとう……」
彼らを代表するかのように、壮年の男が青年へと礼を述べる。その声音は力なくも、精一杯の謝意を滲ませて。
「皆は俺の――俺達の大事な同胞だ。危険に晒されているなら、助けに行くのは当然だ」
ケルヴィンと呼ばれた青年は確と頷きながら応え。背後を振り仰ぐ。其処に聳えるは、彼が搭乗してきた真紅のキャバリア。三対のアイセンサーと腕部を有する、神々しささえ感じる機体。
「尤も――襲撃部隊を俺一人で全滅させられたのは、全部こいつのおかげだけどな」
とある廃墟で発見した謎のキャバリア。乗り込めば、発揮された性能は凄まじく。聖騎士団の精鋭さえも圧倒する程の力は、皇国に抗う彼らに連戦連勝を齎した。
「後は大丈夫だ。ケルヴィン、お前は行ってくれ。ベルゲンへ向かった皆のところへ」
男が促すのは、その勢いを以て立案された一大作戦――皇国最大の都市ベルゲンを脅かし、其処に囚われた同胞を救出する作戦への参加。その為に、彼らの戦力は大半が出払っている。此度の襲撃は、その隙を突いた形ではあったが、其が全滅した以上、暫く危険は無いだろう。それが男の判断であった。
「分かった。だが、くれぐれも気をつけてな」
応え、ケルヴィンはキャバリアへ乗り込む。起動すれば、三対の眼光が焔めいて熱を帯びる。
「――俺達は、破滅の光を遮る『雲』となる」
呟くは、彼ら――反ヴィスタル教抵抗軍『雲の旅団』の理念。彼らを繋ぐ信念。
「皆、無事でいてくれ――」
祈りと共にフットペダルを踏み込めば、紅き戦機は飛翔する。決戦の地、ベルゲン市へ向けて。
●
「ママ、あのひとたちは何をしたの?」
「あの人達は、神様なんか只の兵器だなんて嘘をついたの。だから、神様の光で汚い心を綺麗にしてもらうのよ――」
神聖ヴィスタリア皇国領、皇国最大都市ベルゲンの中心地、ベルゲン大聖堂前の会衆広場。
広場に満ちるは、溢れ返らんばかりに詰めかけた人々の歓声。広場最奥に掲げられた巨大モニタへ向けられるそれらの声は、宗教的な熱狂を帯びるもの。
モニタに映るは二分割の画面。片方はこの街――ベルゲン市郊外に設置されたマスドライバー発射基地の映像。映るのは、兵士達の手でコンテナへ押し込められてゆく、数名の男女の姿。その顔がアップにされると、人々の間から「異端者め!」「神の光に焼かれてしまえ!」などといった罵声が飛び出してくる。
『――皆様』
其処へ、スピーカーを介して響いた静かな声。途端、騒いでいた人々は一斉に沈黙すると共に、モニタの二分割画面、もう一方へと視線を集中させる。
モニタに映るは、分厚く豪奢なローブに身を包みヴェールで貌を隠した、正体定かならぬ存在。なれど、ヴィスタリアの民ならば、誰もがその姿の意味する存在を知る。『大聖皇』――神聖ヴィスタリア皇国の元首にしてヴィスタル教の教主。政教双方における最高権力者。
『彼の者達は、我らが神の実在を否定し、虚言の流布を試みたる背教者――なれど、蔑むべきではありません』
少女とも老人とも取れる不思議な響きの声音は、全てを悟っているかの如き深みを帯びる。先の男女が、そのような思想に至った理由も、完全に理解しているかのように。
『神の光は常に皆様へ恵みを齎すと言えど、その恩恵は常に感じられるものには非ず。このように疑念を抱いてしまう者が現れるもまた、無理からぬ事』
故に、と大聖皇は続ける。この先の、かの男女が辿る運命を。
『これより執り行われるは、彼らを神の御許へ送り届ける儀。神は光を以て、彼らの疑念に憑かれたる心を浄め、皆様に神の意と威を示すことでしょう』
観衆の視線が、広場右方へと向けられる。都市の南東、クラヴリス湾の方面へと突き出たマスドライバーの先端部が、肉眼でもはっきりと見える。
『どうか、見届けられますよう。迷える者達が、神の光に導かれゆく、その姿を――』
なれど、其を良しとせぬ者達が在る。
黒灰色の塗装を施したキャバリアを駆り、ベルゲン市を目指す一団。『雲の旅団』、ヴィスタル教の欺瞞を知り、その教えからヴィスタリアの民を解放せんとする者達。
『同胞達をやらせはしない……!』
『我らが破滅の光妨ぐ『雲』となる!』
口々に叫ぶ彼らはやがて、ベルゲン市へと突入。都市警備部隊との交戦を開始した――。
●
「神の光の導き。具体的には、マスドライバーで打ち上げた『雲の旅団』メンバー入りのコンテナを|殲禍炎剣《ホーリーグレイル》に撃墜させるってコト」
あの国らしいことだよ、と。グリモア猟兵、クゥ・ラファール(Arrow Head・f36376)は皮肉げな声音で語る。
「ともあれ。それを阻止しようとする『雲の旅団』のキャバリア部隊が、ベルゲン市に襲撃をかけてる」
現時点で、ベルゲン市北方の外縁部にてヴィスタリア軍のキャバリア部隊と交戦中とのこと。突然の襲撃というのもあり、現時点では雲の旅団側がやや優勢なようだ。
「皆にやって欲しいのは、この『雲の旅団のキャバリア部隊を』壊滅させること。ヴィスタリア側でなく、ね」
言い間違いでないことを強調するかのようなクゥの語り口。その理由はといえば。
「雲の旅団の部隊が壊滅すると、彼らを救援する為に一機のキャバリアが増援として現れる。単騎でもヴィスタリア軍を壊滅させられる、強力なキャバリアがね」
其は搭乗者たる青年『ケルヴィン・ノイス』と共に数々の戦いで雲の旅団に勝利を齎し、彼らの旗印となるに至ったキャバリア。故にこそ、彼らは此度ヴィスタリアの最大都市へ襲撃をかけるという大胆な作戦を決行し得たのだろうが。
「このキャバリア『セラフィム・エイル』の正体はオブリビオンマシン。これの破壊が、今回お願いする仕事の目的」
その目的が正しくとも、猟兵ならぬ者が操る以上、いずれは狂気に憑かれ破滅を齎し得るもの。その前に、これを破壊せねばならぬ。
「後、言っておくけれど」
其処に続けたクゥの声音は、無機質なものであった。敢えて、感情を殺しているかのような。
「処刑されようとしている旅団メンバーの救出は、考えちゃいけない。それが達成された時点で、敵は撤退するから」
此度の任務は彼らの救出ではない。|彼らの旗印《オブリビオンマシン》の破壊である。はき違えぬように、と念を押すクゥの声は、硬かった。
「その後どうするかは、皆に任せる」
掃討戦に入ろうとするヴィスタリア軍を退けるも、生き残った旅団メンバーを護って撤退するもよし。どうあれ、後味良い結末とはなりえぬだろうが――せめて後悔の無きように、とクゥは語る。
「それじゃ、転送始めるよ。皆、宜しく」
グリモアの光に導かれた先で、猟兵達を待つものは、果たして。
五条新一郎
その手で全ては掴めない。
五条です。
さて此度のシナリオはクロムキャバリア、神聖ヴィスタリア皇国より。
皇国に抗う反抗組織の旗印となっているオブリビオンマシンを、破壊してくださいませ。
●このシナリオについて
このシナリオは後味の悪い結末になることが予想されます。
ご了承の上にてご参加くださいませ。
●目的
『セラフィム・エイル』の完全破壊。
●戦場
クロムキャバリア、神聖ヴィスタリア皇国領ベルゲン市。皇国の最大都市であり、近未来的・機能的な街並みを持つ都市です。メインストリートは広いですが、狭い脇道も多いです。
都市の中心部にプラントと其に併設されたヴィスタル教の大聖堂、その南東の郊外部にマスドライバー基地があります。因みにこのマスドライバーは、他の用途には使えない仕様のようです。
●第一章
雲の旅団のメンバーが操縦する『グレイル』との「集団戦」です。
ヴィスタリア側の防衛部隊も同じくグレイルに搭乗していますが、雲の旅団側の機体は黒灰色、ヴィスタリア側の機体は白に塗装されていますので判別は可能です。どちらもオブリビオンマシンではありません。
戦況をヴィスタリア側圧倒的有利な状況に持っていくことで、オブリビオンマシンを呼び寄せることができます。
●第二章
救援に現れたオブリビオンマシン『セラフィム・エイル』との「ボス戦」です。
尚、マスドライバー射出されようとしている旅団メンバーの救出は不可能となります。
(第一章共々、救出を試みるプレイングは「シナリオ目的に反するプレイング」という扱いになるので一律「失敗🔴🔴🔴」判定とします)
●第三章
ボス撃破後のベルゲン市において其々に行動を取る「冒険」です。
フラグメント内容と無関係の行動でも、余程無茶でない限りは採用できると思います。
●プレイングについて
各章、章移行後に断章を投稿しますのでそれ以後からプレイングを受け付けます。
(今回は第一章にも断章がありますのでご注意ください)
それでは、皆様の悔いなきプレイングお待ちしております。
第1章 集団戦
『グレイル』
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POW : シールドストライク
【シールドを使用した格闘攻撃】が命中した対象に対し、高威力高命中の【パイルバンカー】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD : バレッジ
【友軍と共に繰り出す一斉掃射】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を制圧し】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
WIZ : グレネードショット
単純で重い【榴弾】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
イラスト:イプシロン
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「ベルゲンに雲の旅団の襲撃だと!?」
配下の騎士からの報告を受け、聖騎士団団長フレッド・バーンは愕然と声を上げる。
此処はベルゲン市から東に数十キロ離れたジュニス要塞。ビルシャス帝国との国境であるザイレックス山脈を貫くエストマ峡谷、そのヴィスタリア側出口や、聖都イリアラウスへ続く山道など、皇国の重要拠点へ向かう経路の守りを兼ねる聖騎士団の総本部である。
此処一年程、フレッド以下聖騎士団第一軍の幹部達が取り組んでいたのは、ビルシャス帝国への進攻に加え、彼ら雲の旅団への対策であった。以前から神の威を否定する扇動行為やヴィスタル教施設への襲撃行為を重ねてきた反抗勢力だが、ある時期を境にその活動は激化。聖騎士団の精鋭ですら止めきれぬ武力を以て、夥しい被害を皇国領各地に齎すようになっていたのだ。
その最たる原因は、活動激化と時同じくして現れるようになった紅いキャバリア。火力も機動性も皇国軍のキャバリアとは明らかに一線を画しており、聖騎士団一個大隊をぶつけて尚止められぬ脅威。かといって、これにかかずらい過ぎれば他の旅団戦力への対応が疎かになる。
それゆえ、そんな彼らを鎮圧するには、纏まった戦力がどうしても必要となる。都市警備隊では荷が重く、皇国の最精鋭たる聖騎士団第一軍の力で以てせねばならなかった。ビルシャスに対する『聖戦』を疎かとしてでも、皇国に注ぐ神の光を遮らんとする『雲』は払わねばならぬ故に。
だが、やはり紅いキャバリアの力は圧倒的であった。其を除けば所詮は非正規兵、聖騎士団の敵ではないが、紅いキャバリアが現れればそれだけで戦局は一変する。鎮圧作戦はある程度の成果こそ挙がっていたものの、やはり紅いキャバリアの存在が脅威であった。敵も其を理解しているのだろう、徐々に大胆な作戦を実行してくるようにはなっていたが――
「『浄化の儀』への襲撃……可能性はあったが、よもやここまで動きが早いとは……!」
彼らの拠点のひとつに部隊を差し向け、先手を取ったつもりが、敵の行動はそれより更に迅速であったというのだ。加えて、その拠点襲撃部隊は例の紅いキャバリアに壊滅させられたと報告が入っている。またもしてやられた格好だ。
「ならん……ならんぞ、これ以上は! なんとしても、浄化の儀の妨害だけは止めねば!」
かの儀式は背教者の粛清というのみならず、神の威を示す為の重要な儀式だ。これが妨げられることは、ヴィスタル教の権威に少なからぬ瑕を刻む結果となる。まさに奴らの狙い通りに、信仰を揺らがされる者も少なからず現れよう。それだけは、食い止めねばならない。
「……出撃だ! あの紅いキャバリアが来る前に、ベルゲンに防衛網を敷くのだ!」
故にフレッドは決断する。自ら軍を率いて出撃、急ぎベルゲンへ向かわねば、と。
●
そのベルゲン市。大聖堂前の会衆広場では、粛々と儀式の準備の進む様子がモニタに映されている。
都市外周部では既に雲の旅団と都市警備隊の戦闘が始まっている処ではあるが、広場に集う市民に戸惑う様子は無い。襲撃の報せも戦闘の音も、この広場までは届いていないのだ。
「……まさか、奴らが儀式の妨害にまで現れるとは……」
「彼らは何処まで神を冒涜すれば気が済むのでしょうか……」
だが、大聖堂内部の修道士達には流石にその報せは届いているようで。神を恐れぬその所業に、彼らは皆不安を隠せぬ様子であった。
『案ずることはありません』
其処に声。大聖殿と中継を繋いだモニタから響く其は、玉座に座す大聖皇の声だ。
『神の光は如何なる厚い雲をも貫くもの。儀式を妨げるには至りません』
確信に満ちた声は、修道士達の不安に揺れる心にはより響く。一人、また一人とその場へ跪く。響く言葉に打たれたかのように。
『間もなく現れるでしょう。禍を祓う光が、ベルゲンの地に』
大聖皇のその言葉は、まるで未来を見ているかのようであったという。
アウロラニア・ミーマメイズ
なるほど、仲間想いの方達なのでしょう
その反発に、立場の差こそあれ、共感もできます
ただ……死にゆく仲間が居れば、使わない選択肢は無い方達でも、ありましょう
彼等が信仰と支配に殲禍炎剣を利用していること、あなた達が仲間を助けようとあの機体を使うこと、共に私の領分ですが……私は猟兵で、あの機体はオブリビオンなのです
ヴィスタリアに味方していると思われる真似はできかねます
神の能力で変身、冠を被った漆黒の巨狼として、雲の旅団の無力化を
より恐ろしく、より禍々しく[Answerer]を操り演出しましょう
従える【麗しき九界の乙女】にも、美しくも恐ろしい格好をして貰います
ワイルドハントには、些か数が少ないでしょうか
[Darkstar]、[Zenith]で[閃光]の如く地を翔け、爪と牙、エネルギー翼で[神聖攻撃]を繰り返し、機体のみを無力化
私の[亜空間創造]と乙女達の[奇蹟]で生み出した、遠く安全圏へと繋がる通路へ叩き込みましょう
他の猟兵達もパイロットだけ逃している場合は多い筈
それらも片端から捕まえ投げ込みます
カシム・ディーン
神機
ADDS発動
「カシムかーさま…!この人達は仲間を助けようとしてるだけだよ!…それなのに…倒さないといけないの…?」(悲しみに震えるレプリカント?少女
疾駆する神発動中
今は生身
「ご主人サマ…ディーちゃん連れてきてよかったの…?」
…ああ
猟兵の綺麗な所ばかり見せてもそれは単なる洗脳だ
こういう事をやる事もあるって事を見せなければならない…だが…
終焉を破壊…だったか
ディー…この戦い…お前に任せる
だが殺すな…出来るな?
「!!…うん!」
Dテレサ
【瞬間思考】
敵機の構造と敵の陣形を即座に把握・分析
【空中戦・念動力・弾幕・二回攻撃・切断】
DDを駆り敵機群に襲い掛かり
Dスワロウランペイジ発動
高速で飛び回り念動光弾を叩込
プラズマブレイドで手足を切り裂き無力化
不殺徹底
カシム&メルシー
UC発動
【属性攻撃・迷彩】
光水属性を己達とメルシー軍団に付与
光学迷彩で存在を隠し水の障壁で熱源音隠蔽
【情報収集・視力・戦闘知識】
散開しこっそりマスドライバー施設の構造と起動の為の機構と停止方法を徹底解析し情報共有(救出ではなく解析
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
猟兵の敵はオブリビオン、皇国では無いですからねぇ。
【鬭釁】を発動、『殲炎禍剣』の降らない程度の高度を飛行しまして。
|後《2章》に備え全『祭器』を召喚、『FPS』で戦場の情報を把握しますねぇ。
『皇国側の有利』が条件である以上、巻込むわけには参りませんから、『格闘攻撃』の届かない高度から、皇国側が劣勢の場所には『祝』と『FRS』『FSS』の[砲撃]を、旅団側の機体のみ集まる場所には『FDS』の[爆撃]による[範囲攻撃]を其々降らせ、着実に叩いて参りましょう。
通常射撃は『FLS』の空間歪曲と『祈域』で対処し緊急時は『FIS』で転移、飛び回り出来るだけ広い範囲を支援しますねぇ。
ベルゲン市北部市街地。キャバリアのブースタ音と爆音とが断続的に響き渡り、巨兵の影が幾つも駆ける。
『急げ! 儀式が始まる前に……!』
『ええい邪魔するな!』
意気高く叫びながら、黒灰色のグレイル部隊が前進する。一機がグレネードを放ち大通りに展開した白のグレイル部隊に爆炎を浴びせたかと思えば、其を追うように黒灰のグレイル達が盾を構え突撃。其処に備わるパイルバンカーを以て、爆炎を凌いだ敵機を打ち倒してゆく。その連携には確かな練度が見て取れる。
彼らこそ『雲の旅団』、間もなく処刑されようとしている同胞を助けるべく、儀式の場たる此処ベルゲン市を襲撃した反ヴィスタル教武装勢力である。
「カシムかーさま……あの人達、仲間を助けようとしてるだけ……だよね……?」
猟兵達がそんな戦闘の様子を見るのは、交差点ひとつ隔てた先の街路から。あどけない顔立ちをしたレプリカントと思しき白髪の少女が、傍らの青年――カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)へと問いかける。何処か縋るように。
「ああ。だが、今回の相手はあいつらだ」
なれどカシムの声音は冷たく、硬い。それが此度の仕事であると紛いなく示す為に――努めて、冷徹に。
「……! どうして……!?」
愕然と声を漏らす少女。見開かれた大きな瞳は、今にも涙が毀れ落ちそうな程に潤む。
「ご主人サマ……ディーちゃん連れてきて良かったの……?」
そんな少女――ディーと呼んだ彼女の様子を心配げに見遣り、機神『メルクリウス』の人間体たる少女・メルシーはカシムに問う。此度の仕事、彼女にとっては酷すぎやしないか、と。
「……ああ。猟兵の綺麗な処ばかり見せても、それは単なる洗脳だ」
「ええ。猟兵の敵はあくまでもオブリビオン、ですからぁ」
何処か押し殺したように応えるカシムに、夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)も言葉を重ねる。オブリビオンを滅ぼす、その目的の為ならば時に正しき者にも刃を向ける。それが猟兵であると。
「――仲間を想う心。故に支配へ反発する心。共感できるものではありますが……それでも、かの機体はオブリビオンなのです」
穏やかに、なれど決然と。アウロラニア・ミーマメイズ(星天統べる女神・f39790)も口を開く。仲間の命がかかっている状況、死の運命を覆し得る力があるなら彼らに使わぬ選択肢は有り得ない。それが例え、忌むべきオブリビオンマシンであろうとも。
「だが……終焉を破壊、だったか」
そこで、カシムはふと口を開く。如何なる理不尽な終焉にも屈することなく、其を叩き潰し望ましき未来を拓く意志。此度の戦いを、より良き形で終わらせる為には、何をすれば良いか。
「……ディー」
「……?」
カシムは少女の名を呼ぶ。応えて彼女が視線を向ければ。
「この戦い……お前に任せる。だが、殺すな」
「!」
告げたその言葉に、少女は希望を見たかのように目を見開く。それは。それならば。
「……出来るな?」
「……うん!」
確認の言に、少女は頷く。それならば厭いはしない、と自信を以て。
「そうですね。為すべきは彼らの制圧であって、殲滅ではないのです」
何も殺害は必須ではない。誰一人死なせない戦い方でも良いのだとアウロラニアが微笑み応える。
「其処は確かですねぇ。では――」
「あら、るこるさん。何方へ?」
るこるは頷くと共に、背にオーラの翼を広げ飛び立つ。其を認めたアウロラニアが、何処へ向かうのかと問えば。
「この戦域はお二人にお任せして、他に皇国側が劣勢の戦場があれば其方へ向かいましょうかとぉ」
応えるるこる。雲の旅団はベルゲン市北部から幾つかの部隊に分かれ侵攻しており、現在いる戦域の他にもう幾つか旅団優勢の戦域がある。探査祭器からの情報にて、るこるはそう把握していた。
「――そうですか。であれば、お気をつけて」
アウロラニアは何か思う処があったようだが、それ以上は何も言わず。ただ、るこるを送り出すに留めた。
『よし、行くよ……!』
その間に、少女――『ディーン・テレサ』、通称Dテレサは己のキャバリアに乗り込んでいた。彼女自身を生体ユニットとする機体『アークレイズ・DD』。鋭角のフォルムが高い攻撃性を示し、事実として高い攻撃性能を有する機体だ。
「ええ、共に行くとしましょう」
応えるアウロラニア、その姿形が大きく変異してゆく。数秒とせぬうちに、美しき女神は恐ろしき気配を纏う漆黒の巨狼へと変身を遂げていた。頭部には冠。
猟兵としての務めとはいえ、ヴィスタリア皇国の味方として戦うことには抵抗がある。それ故に取った手段が、常とは異なる姿を取った上での戦いだ。ユーベルコードで呼び寄せたエネルギー体の肉体持つ少女達も、美しいのみでなく神話の魔女めいた恐ろしい雰囲気を纏っている。その様相、些か小規模ではあれど|嵐の王《ワイルドハント》を想起せしめようか。
以て駆け出す|黒狼《アウロラニア》と、飛び立つアークレイズDD。同胞を救うべく市街を侵攻する、雲の旅団を目掛けて。
『ん? 動体反――うわぁっ!?』
『っ!? 何があった――ぐわぁっ!』
最初に二人の接近に気付いた旅団兵達は、彼女達の姿を視認することすら叶わぬままに機体を破壊される。アウロラニアの爪牙は閃光の如く迸り、アークレイズDDのプラズマブレイドは凄まじい速度で以て振るわれ、其々にキャバリアの四肢を斬り裂き戦闘不能へと至らしめる。
そして地に落ちたコクピットブロックは、空間に開いた漆黒の穴に呑み込まれその場から消滅を遂げる。其は、アウロラニアが眷属たる少女達と共に開いた時空間を繋ぐ通路。其はベルゲン市からは遠く離れた、恐らく彼らにとって安全圏であろう場所へと通ずるものだ。
『な、何だこいつら!? キャバリアはともかく――』
『この化物、何だってんだ――』
急襲に気付いた旅団兵達が漸く襲撃者の姿を捉えれば、明らかに皇国軍の所属ではないキャバリアと、頭上に冠を戴き背より刃じみた焔翼を生やした漆黒の巨狼。クロムキャバリアでは恐らく空想上にしか存在しないだろう怪物の姿は、彼らを動揺させるには十全の効果を発揮する。頭上からアークレイズDDが撃ち込む念動光弾も相まって、碌に戦闘機動を取れぬまま、次々と破壊され。搭乗者はコクピットブロックごと時空間通路に放り込まれ、その場から消えてゆく。
『な、何だか分からんが……!』
『俺達の邪魔をするな!』
漸く反撃が叶った者も出て来るが、空中を飛び回るアークレイズDDにも、急加速や重力制御によって三次元機動を取るアウロラニアにも碌に照準を合わせられず、攻撃は悉く空を切り。直後に攻撃を受け、彼らもまた機体の残骸を残してその場から消え失せて。
『これで、この辺りは大丈夫かな……?』
「ええ。周りに雲の旅団のキャバリアの気配はありません」
やがて、アークレイズDD以外の動くキャバリアがいなくなるまで、長い時間はかからなかった。戦闘終了と見たアウロラニアは元の姿へと戻り――ふと、気付く。
「そういえば、カシムさん達は?」
『かーさま達なら……』
一方、単独で雲の旅団の迎撃に向かったるこるは。
「やはり押されてますねぇ」
眼下では、雲の旅団のキャバリアと皇国軍のキャバリアが交戦の最中。飛び交う攻撃の合間、少しずつ黒灰色の軍勢が前進し、合わせるように白の軍勢が後退しつつある。探査祭器の情報通り、旅団軍が優勢か。
「それでは、遠慮なく叩いていきましょうかぁ」
宝珠、砲台、爆撃機構。るこるは攻撃祭器を展開する。広域殲滅に長じた武装群。加え、オブリビオンマシンを呼び寄せる為には皇国軍優位な状況を作る必要があるとなれば――
「いきますよぉ」
緩やかな声音と共に放たれる、熱線や炸裂弾。それらに加え、ユーベルコードによって射出された『祝』が、皇国軍を突破せんと走る旅団のキャバリアをバラバラに切断、その上で吹き飛ばす。
(この戦い方、テレサさんの前ではお見せできませんからねぇ)
恐らくは相応に死者も出ているだろう、とるこるは探査祭器からの情報で確認する。彼女は己の行使する攻撃手段の関係もあり、不殺を徹底していなかったが故に。積極的に殺す気も無いが、さりとて助命の為に時間を取るのは非効率だ。ならば可能な限りの速攻で叩き、オブリビオンマシンを早期に呼び寄せる。其が最も犠牲の少なく済む戦い方である、るこるはそう判断し、尚も攻撃を重ねてゆく。
(―――?)
そうして追い込んだ雲の旅団軍のキャバリアに爆撃を浴びせつつ、るこるは探査祭器に生じた反応に気付く。これは――
(――カシムさん、其方は任務に無関係では?)
ベルゲン市南東、海に向けて突き出した巨大なレール。マスドライバー。如何にも年代物といった雰囲気を帯びる其が見える海岸沿いの道に、カシムとメルシー、ユーベルコードで呼び出したメルシー分身体の姿は在った。とはいえ、光学迷彩でその姿は視覚にて認識困難な状態ではあるが。
「ちっ、これ以上近づくのは難しそうだな」
「しかたないね!」
唸るカシムに、フォローなのか励ましなのかメルシーが応える。彼らが此処に在るのは、マスドライバー施設の構造や機構を解析する為。これはどうやら電磁加速によって物体を射出する構造であり、射出を止める為にはその起点にある施設の制御機構を抑える必要があるらしい。因みに、射出されようとしている雲の旅団メンバーもあの施設内に拘束されている。
(しかし、本当に無理なのか? あいつらを助けながらオブリビオンマシンを破壊するのは)
カシムが思い返すのは、飛行によってマスドライバー施設へと更なる接近を試みた時のこと。グリモア猟兵からの通話による『それ以上接近するならば雲の旅団メンバー救出目的での行動と見なし強制的にグリモアベースへ呼び戻す』との警告を以て接近を咎められたのだ。加え『Dテレサ一人ではあのオブリビオンマシンには勝てない、カシムがついている必要がある』とも。どうやら、実力差だけではない問題があるらしいが。
思案する。どうにかして双方の目的を達する手段は無いか。本当に其が叶わないならば、どちらを取るか。決断までの猶予は、多くない。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
レーゼ・シュトラウス
殲禍炎剣の光は神の導き…
ヴィスタル教では、かの審判者に神を見出したのですね
そして雲の旅団は、その光に破滅を見た…
神に仕える身として、よく分かるお話しです
神は二つの御顔を併せ持つものですから…
猟兵もまた同じく、二つの顔を持つもの
参りましょう、マンティコア
猟兵よ…ヴィスタリア皇国の希望となり、雲の旅団の絶望とならんことを…
地の下より這い寄ります
マンティコア…聴いてください…
刈り取るべき命の鼓動を…
テイルクローにて、地中から鼓動の元を貫きましょう
榴弾で居所を露わとされてしまえば、テイルビームキャノンの返報を
どうか私を恐れずに…
お側に寄り添い、バスタークローにて永遠なる安らぎを与えましょう…ふふ…
ベルゲン市の外周部、街路の整備された市内と異なり土の剥き出しとなった殺風景な景色の中、佇む一機のキャバリアが在る。蠍を模した独特の意匠を有する其のキャバリアの名は『マンティコア』。其に乗り込むレーゼ・シュトラウス(バーラント機械教皇庁二等執行官・f42691)の愛機である。
(あれがマスドライバー――|殲禍炎剣《ホーリーグレイル》を以て罪人の魂を浄化する為の施設、でしたか)
マンティコアのコクピット内、レーゼは海越しに見えるかの施設、その在り方に思いを巡らす。|殲禍炎剣《ホーリーグレイル》を神と崇めるヴィスタル教である。間接的にせよ彼らの奉ずる神に近づけるこの施設もまた、神聖視されていると見て間違いなさそうと見たが。
(|殲禍炎剣《ホーリーグレイル》の光は神の導き――かの審判者に神を見出したということですね。そして一方で、雲の旅団は破滅を見た)
同一の事象に見出された正反対の見解。一体何故――とも思うが。神に仕える身たるレーゼには得心がいっていた。
(神は二つの顔を持つもの。そして猟兵とてまた然り)
そして猟兵という存在にも、彼女なりの見解を示す。ある者達の希望であり、また別の者達の絶望である、と。
「参りましょう、マンティコア。――猟兵よ、ヴィスタリアの希望となり雲の旅団の絶望とならんことを」
此度の任務ではまさしく斯くあることが求められる。そう呟くと共に、マンティコアの鋼鉄の巨躯は土煙に混じって地へ沈むが如く、その場より消えていった。
『第二部隊との連絡が途絶えた』
『皇国の反撃か? 気を付けねばな』
ベルゲンの真北よりやや東よりの方角から、都市への突入を果たした雲の旅団のキャバリア部隊。真北から攻め込む部隊の影に隠れてマスドライバー施設を目指す為の小規模部隊だが、その真北からの部隊との連絡が途切れたことに隊員達は訝しむ。此処まで皇国軍は迎撃こそ行えど、己らを短時間で殲滅する程の戦力は無い、というのが彼らの見解であったが。其処まで大規模な反撃戦力を揃えてきたか、と警戒を示す。其を齎した戦力の正体を、――終ぞ知らぬままで。
直後、破砕音。金属の抉れる音。前進する黒灰色のグレイルの一機が、地中から伸びた三叉の鋼爪に、コクピットを刺し貫かれた。
『な……!?』
『敵襲……まさか、地下から!?』
三叉爪が引っ込むと共に崩れるグレイル。これではパイロットは生きてはいまい。あまりにも唐突な襲撃に、雲の旅団の隊員達は慌てふためき――また別のグレイルが、コクピットを貫かれて斃れる。
(マンティコア……聴いてください……刈り取るべき命の鼓動を……)
その三叉爪の持ち主は、言うまでも無くレーゼ操るマンティコア。機体に備わる地中潜行機能を以て、地下から雲の旅団へ攻撃をかけているのだ。機体に備わる震動センサーが、地上に在るキャバリアの存在と挙動を詳らかに伝えてくる。地下からだろうと、その狙いは極めて正確だ。攻撃意志を示すごとに、其を受けたマンティコアが尾部テイルクローを繰り出し地上のキャバリアを串刺しとする。コクピットを狙って的確に。
『くっ、このままでは……!』
『グレネードだ! 地表を吹き飛ばして地下の敵を引きずり出すぞ!』
一人、また一人と斃れてゆく雲の旅団の隊員達。だがここにきて彼らも対策を打ち出す。アスファルトに空いた穴から地下へグレネードショットを撃ち込み、その爆風で一体の地表を吹き飛ばしにきたのだ。
轟音、噴き上がる土とアスファルトの煙。現れるだろう攻撃の主へ追撃をかけんと、各々に携えた銃器を開いた大穴へと向け――
直後、閃光が煌めく。其はグレイルの胸部を狙い澄ましたかのように撃ち抜き、一撃にてこれを仕留めてみせる。
『恐れることはありません』
其は尾部三叉爪の真ん中に備わるビームキャノンの砲撃。素早くかつ繊細に動く尾部で以て照準を変え、次々とグレイルを撃ち抜いてゆく。
『な……あ……』
次々と斃れてゆく仲間達。其を目の当たりにした部隊長らしき旅団員の青年は、ほどなく己一人を残して部隊が全滅した事実を前に、愕然とした声を漏らす。絶望に染まり切ったと言っても過言ではない声を。
『どうか、私を恐れずに。永遠なる安らぎを、差し上げましょう』
そんな彼の機体に、寄り添うように近づくマンティコア。同時、機体前部に備わる鋏――バイブレーションバスタークローがグレイルへと添えられて。高速震動と挟み込む猛烈な圧力とで、其を粉々に砕き壊していった。
『……うふふふ』
原型を失った鉄塊と化したグレイルを前に、レーゼは嗤う。快なり、と言わんばかりの声音で以て。
成功
🔵🔵🔴
ジュディス・ホーゼンフェルト
へぇ、あれがマスドライバーねぇ?
旧文明の遺産かな?
しかもちゃんと使えるときた
ま、殲禍炎剣がある限り、宝の持ち腐れだけどね
死刑囚の救出はNGなんだっけ?
ならアタシはマスドラをぶっ壊そうとするイェーガーが出てくるのに賭けるね
奴らってそういう生き物でしょうよ
念のために言うけどアタシはやらないし手も貸さないから
言われた仕事以外の事はしない主義なんで
あとアタシはイェーガー嫌いだし
依頼通りグレイルを潰して回る
行くよガルム
砲撃戦ならビームキャノンでぶち抜く
こっちはロングレンジだからね
射程外から撃ってやろう
パイル狙いで寄って囲んでくれるなら好都合
ハウリングシャウターで斬狂惨禍
みんな纏めてズタズタになりな
海へ向かって長く高く突き出たマスドライバー。其は都市中心部を挟んで反対側、ベルゲン市北端の街区からでも場所次第ではビルの合間から視認することが叶う。
「へぇ、あれがマスドライバーねぇ。旧文明の遺産かな?」
巨大な犬を思わせる造形のキャバリア『ガルム』のコクピット内。モニタに映る其を見遣り、搭乗者たるジュディス・ホーゼンフェルト(バーラント機械教皇庁三等執行官・f41589)は興味深げな様子を見せる。|殲禍炎剣《ホーリーグレイル》がクロムキャバリアの空を鎖して100年余り、斯様な施設を建造する意味など今は無い。ならば其の存在しなかった時代の遺物、と見るが妥当であろう。そんな年代物の代物が、よもや可動状態にて存在していようとは。
「ま、所詮は宝の持ち腐れだけどね」
なれどその本来の役割を果たすことは不可能、為し得るとしたら精々が|撃墜されること前提の用途《・・・・・・・・・・・・》であろう。丁度、これから実行されるという『儀式』のように。
「――で、死刑囚の救出はNG、と」
其処で、此度の任務に付記された条件を再確認する。其が達成された時点で、破壊目標たるオブリビオンマシンは撤退する、そう予知が出ている故に。
無論、ジュディス自身に其を試みる意志は無い。元より、求められた以上の仕事はしないのが彼女の信条。言われてもいない救助行動など、取ろうとも思わぬ。
「ま、アレをブッ壊して処刑阻止しまーす、とかやるイェーガーはいるだろうね」
だが一方でそんな予想もする。マスドライバーを破壊してしまえば『儀式』も行えぬ。其を以て処刑を中断させ、その間にオブリビオンマシンを破壊すれば人命救助と任務遂行を両立できるだろう、と目論む猟兵は必ず現れる。確信を以てジュディスは予想する。そしてその予想は、どうやら当たっていると言えそうだった。
「全く。イェーガーって奴らは本当にどうしようも無いね」
舌打ちをひとつ。理よりも情で動く上にその力は強大に過ぎる。故にジュディスは猟兵を嫌っている。強き力は律されねばならぬ。己がそうしているように。
「行くよ、ガルム」
何にせよ、先ずは任務の遂行を。愛機に呼びかければ、黒き鋼の猟犬はアスファルトを蹴り走り出す。狩るべきものを、狩るために。
『くっ、何なんだあいつらは……!?』
『これ以上長引くと危険だ。兎に角迅速に――』
猟兵達の攻撃を受け、最早半壊状態の雲の旅団。今の状態ではヴィスタリア軍との交戦も危険、故に迅速な作戦遂行を――そう期するのみと呼びかけた旅団員のキャバリアが、横合いから飛来したビームに撃ち抜かれ吹き飛んでいった。コクピットブロックも的確に撃ち抜かれ、搭乗者がどうなったかなど確かめるまでも無い。
『――な!? あ、あんな長距離から!?』
突然の仲間の死に動揺しつつも、機体を素早く砲撃のあった方向へと向け直す旅団員。己らの搭載武装では明らかに届かぬだろうほどの遠くに、キャノン砲を構えた獣型キャバリアの姿を認める。
『射線上に居ては良い的だ! 遮蔽を使って近づくぞ!』
其を遠距離砲撃型の機体と見た部隊長らしき団員の呼びかけに応え、旅団のキャバリア達は左右へ散開。射線を切りつつ接近せんとする。
「ふぅん、ちょっとは考えてるじゃん。でも甘いね」
そんな敵の動きを把握したジュディス、感心しつつも余裕は崩さぬ。このガルムは高威力の砲撃武器を持ちつつも決して只の半固定砲台ではないのだ。
軽やかに地を蹴った四足獣は街路を渡り、最初の砲撃位置の隣の交差点へ移動。到達と同時にジュディスがトリガーを引けば、其処に居た接近試みるキャバリアを見事に撃ち抜きこれを仕留めてみせる。
『機動力も高いだと!? なんて性能だ……!』
『怯むな、敵は一機だ! 近づいて囲んじまえば……!』
そうして移動と砲撃を繰り返すガルムの前に、旅団の者達は一人また一人と斃れてゆく。それでも、残るキャバリアは怯むことなく前進を続け。
『よし、近づけた……!』
『今度はお前がブチ抜かれる番だ!』
ついに、ガルムに対し格闘戦を仕掛けられる距離にまで詰め寄ることに成功する。腕部シールドを構え、グレイル達が更に近づく。其処に仕込まれたパイルで以て、ガルムを貫通破壊するために。
『――悪いね、わざわざ纏めてやられに来てくれるなんてさ』
其を前として、然しジュディスは余裕げに嗤う。すると、その直後。ガルムがその顔を上げたかと思えば――
『Aoooooooooooonn!!』
一帯に響き渡るガルムの咆哮。其は大気を震わせ断層を生み、以て刃が如き衝撃波を荒れ狂わせる。其は、ガルムを取り囲んでいた雲の旅団のキャバリア達を呑み込み、そして纏めてズタズタに引き裂いていった。
「――さーて、こんなトコかな」
周辺に雲の旅団の機体の反応は無い。敵は最早壊滅状態と言って良いだろう。
「来るならさっさと来なよ、ヒーロー?」
遠くを見遣り、ジュディスは笑う。砂塵の向こう、幽かに見えつつあった紅き影が、猛烈な速度で 迫り来るのが見えた。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『セラフィム・エイル』
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POW : 空の雲海を絆ぐは熾火
自身の【プラズマブレイド】に【熾火】を宿し、攻撃力と吹き飛ばし力を最大9倍まで強化する(敗北や死の危機に比例する)。
SPD : 星の海を絆ぐは熾火
状態異常や行動制限を受けると自動的に【胸部砲口より戦場を塗りつぶす熾火】が発動し、その効果を反射する。
WIZ : 闇を恐れることなかれ、それは熾火
自身の【光の翼】から、自身の技能どれかひとつを「100レベル」で使用できる、9体の【セラフィム】を召喚する。
イラスト:落葉
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠ナイアルテ・ブーゾヴァ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ベルゲン市近郊、地を馳せるヴィスタリア軍のキャバリア部隊。ジュニス要塞を出撃してきた聖騎士団第一軍の部隊である。急な出撃にも関わらず整然とした行軍で以て、儀式防衛の為に遠路を駆けてきたのだ。
『状況は!』
『通信確立、繋ぎます!』
部隊を率いる騎士団長フレッドと、市内警備部隊との通信回線が開かれる。改めて、状況を確認する問いをフレッドが投げれば。
『敵中核部隊は既に壊滅状態にあります。所属不明のキャバリアが数機、雲の旅団のキャバリアを破壊して回っておりまして』
『所属不明……? 彼方からの接触は無かったか』
返ってきた答えに、フレッドは首を傾げる。一体如何なる意図で以てこの場に在るのか。己らの味方と見て良いのか。
『いえ、全く。加え、マスドライバー周辺にて不審な動体反応が検知されております。光学迷彩と熱源遮断措置を施していたようで、正体は不明です』
『むむ……』
意図は見えぬが、その勢力も儀式の阻止を目論んでいる可能性は考えておくべきか。そうフレッドが判じつつあった処で。
『団長! 市内に強力な熱源反応! これは――』
『――奴か! やはり来ていたか……!』
哨戒中の隊員から飛び込んできた報告。あの紅いキャバリアが、市内に突入した、との旨。
『総員、マスドライバー近辺へ急行! 儀式の完遂までマスドライバーを守りきるのだ!』
ならば事態は一刻を争う。儀式に不可欠なマスドライバーの破壊は、何としても阻止せねばならぬ。隊員達に指示を飛ばすと共に、フレッドもまたキャバリアを走らせ。市内へと突入を果たす。目指すはマスドライバー施設、かの神の威を示す為の施設。何としても、守らねばならぬ。
●
その間にも、マスドライバーにては儀式の準備が進められる。雲の旅団の者達を乗せたコンテナが、レールに載せられる。後は、起動と共にこれが射出され――神の光、即ち|殲禍炎剣《ホーリーグレイル》にて撃墜される手筈だ。
「戦況は優位なようですな」
「このままいけば、無事に儀式は遂行できるでしょうか」
「然し、あの紅いキャバリアも現れたとの事で……」
大聖堂内、集う修道士達は儀式の進行、戦況の推移に安堵しつつも。最大の脅威たる|キャバリア《オブリビオンマシン》の出現に不安を隠せぬ者も在る様子。
『心配は無用です。如何なる禍も、神の光を妨げるには及びません』
なれども通信先の大聖皇は確信を以て語る。儀式の完遂を。この事件の終着を、予め知っているが如く。
●
『皆……!?』
紅いキャバリア――『セラフィム・エイル』のコクピット内、搭乗者たるケルヴィン・ノイスは辺りに散らばるキャバリアの残骸を見て愕然とする。雲の旅団の仲間達が使っていたキャバリア、旅団の色である黒灰色。間違いない。そして、その破損具合から悟る。彼らの生存が絶望的であることを。
『くっ、すまない……! 俺が、間に合っていれば……!』
コクピットの中、悔しさに拳を握るケルヴィン。だが、悔やんでいる場合ではない。
『儀式はまだか……なら、未だ間に合う……!』
機体を加速させ、市内を駆ける。圧倒的な速度で以て、一直線にマスドライバーを目指す。
その行動、人道という観点から言えば全く以て貴きものではあるが。その機体がオブリビオンマシンである以上、このままでは如何なる事態が起こるか分かったものではない。叶う限り迅速に、これを破壊せねばならない。
※ケルヴィン操る『セラフィム・エイル』との戦いです。
※戦場はベルゲン市市街。都市警備隊のキャバリアもいますが、この敵を相手としては無力です。
※マスドライバーを防衛するため、聖騎士団第一軍が到着しました。彼らはマスドライバー周辺に近づくヴィスタリア以外の勢力の者全てを敵と見做し攻撃します。オブリビオンマシンではありませんがかなり強いです。
※「オブリビオンマシン周辺」と「マスドライバー周辺」は別戦場として扱います。戦場全体を対象とするユーベルコードはどちらかの戦場にのみ効果を発揮します。
※ケルヴィンの生死について
以下の条件を全て満たした場合のみ生存させることができます。
・第二章全参加者の半数以上が彼の生存を試みる旨のプレイングをかけている
・🔵が👑に到達した時点での獲得🔴が2個以下
夢ヶ枝・るこる
■方針
・『祭器』召喚継続
・アド/絡◎
■行動
例えば『義賊』の様に、人道に従えど法を犯せば『犯罪者』ですので。
【獦矃】を発動、形成した『聖豊域』と『FPS』で戦場と敵方の動向を探査し、『FAS』で殲禍炎剣に捉われない高度を飛行しまして。
通常射撃と、【空の雲海~】を『斬撃波』の様な直線で飛ばすなら『FIS』で転移回避を。
近接に対しては『FGS』で減速させ上に回避、炎剣を反応させた上で範囲外に転移し敵機を巻込みますぅ。
攻撃時は『弱点』である操縦席に『空間連結』、操縦席に直接『FRS』の[砲撃]と『FDS』の[爆撃]を送り込みますねぇ。
処刑の為の生け捕りなら検討しますが、生かして逃がす気は皆無ですので。
ベルゲン市を南北に縦断するメインストリートを、紅きキャバリアが疾走する。『セラフィム・エイル』、雲の旅団の切り札たる戦機――オブリビオンマシン。
その搭乗席に座すケルヴィン・ノイスは、モニタ越しに見えるマスドライバーを鋭く見据える。|殲禍炎剣《ホーリーグレイル》を以て同胞達を処刑せんとする機構。まだ起動はしていないようだ。
『あの様子なら間に合うか……ッ!?』
そう判じた直後、前方に射撃。上空からの熱線と炸裂弾。機体を急制動、アスファルトを焦がし爆ぜ飛ばす其を寸前にて回避する。
「あなたは此処で倒させて頂きますぅ」
上空から声。セラフィム・エイルのアイセンサーは、祭器にて形成されたオーラの翼で滞空する夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)の姿を捉える。人間が空を飛んでいる、クロムキャバリアでは通常有り得ぬ事象への驚きもそこそこに。
『此処を通せ! 俺は、仲間達を助けに行くんだ!』
即座にるこるを敵と判じ、声を張る。同時、セラフィム・エイルの六腕のうち二つより燃える光刃――プラズマブレイドが伸び出し、戦闘態勢を取る。邪魔するならば実力行使も辞さぬとばかりに。
「そうは参りません。法に基づき為される刑の執行を妨げる事は、許されないことですぅ」
なれど、るこるはあくまでも彼に立ちはだかる構え。展開する無数の祭器群を以て、その為の力たるオブリビオンマシンを破壊せんとする。
『何が法だ! ただの兵器を神だと言って民を騙し続けてきた輩の法に、何の価値がある!』
反論するケルヴィンの意志に従い、セラフィム・エイルが飛翔する。プラズマブレイドを振りかざし、るこる目掛けて斬りかからんと、音を置き去りにせんばかりに飛翔。その速度、祭器の重力結界にて減速して尚速く――
「それが法というものです――」
るこるの姿が消える。転移である。コンマ一秒後、るこるの在った位置を燃える炎剣が薙ぎ払った。
「――この国がその法にて運営されている以上、あなた方は只の『犯罪者』。それ以上でも以下でもありません」
やや離れた空中に現れたるこるが断ずる。如何に人道を重んじての行いであれど、法を犯すならばそれは罪。るこるはそう考える。悪法もまた法――否、それ以前の問題だ。
『だからってなぁ!』
其を知る由も無いケルヴィンは、彼女の言を突っ撥ねる。空中にてブースタを吹かし急制動、昌盛たる炎と共に紅の戦機はるこるを目掛けて再度飛翔開始。
『この国の間違いを、黙って見過ごしていられるワケが無いんだよ!』
どうやら、己らの活動理念さえも否定されたと感じたらしい。吼えると共に、一気にるこるへと肉薄し――
「ええ、そうでしょう――」
『――!? しまった……!?』
再びるこるの姿が消える。否、それだけではない。ケルヴィンは気付く。メインモニタの高度計――この高さは――!
「――ですので、私もあなたを生かして逃がしはしません」
いっそ冷徹な響きすら伴わせて、転移を終えたるこるが宣告する。先の転移の後、るこるはその高度を少しだけ上げていた。元より|殲禍炎剣《ホーリーグレイル》の反応高度ギリギリだった処の、更に上を、ケルヴィンが|高速飛翔するように《・・・・・・・・・》。
空の彼方に光が生ずる。其は瞬く間にその径を大きくしていきながら、セラフィム・エイルを目掛けて降り落ちてくる。即ち、この地にて神と崇められる、彼らの忌む存在の齎す光――
「この場で、確実に仕留めさせて頂きますぅ!」
『何……!?』
更にケルヴィンは見る。操縦席の天井に穴が開き、その向こうから降り落ちてくる、無数の炸裂弾と爆弾を。其はるこるがユーベルコードにて可能とした、敵の弱点へと空間を繋ぎ直接的に攻撃を送り込む業。キャバリアの最大の弱点、即ちその性能を発揮する為の操縦者への直接攻撃を、|殲禍炎剣《ホーリーグレイル》の照射と併せて敢行したのだ。
るこるが意図するケルヴィンへの対応は、処刑を前提とした捕縛か、この場での殺害の二択。この青年を此処で逃がせば、恐らくは再び皇国への抵抗活動を繰り返すことだろう。彼が其を正義と信じ疑わぬ様は、此処までの交戦でも理解できた。ならば彼を止めるには殺害をおいて他に無し。
やがて、天から降り落ちた光が、紅き熾火を呑み込むと同時。その機内で、凄まじい程の爆発音が暫し轟き続けた。
そうして十数秒の後。直下に在った幾つかのビルをも灰塵に帰した破滅の光が退いてゆく。如何に強力なオブリビオンマシンと言えど、内外から致命的攻撃を受ければ――
「――いえ、これはぁ……!?」
だが、るこるがユーベルコードで展開した『聖豊域』に伝わる情報は告げる。そして、視覚においてもその事実は確認できた。ビル跡地の中心に立つ、真紅のキャバリア。セラフィム・エイル健在。そして、その搭乗者もまた健在――!
『……まだ、だ……! あいつらを助けるまで、俺は……!!』
無傷ではない。外部装甲はその大半が融け消え、或いは焼け焦げ。其処から響くケルヴィンの声も、苦しげに搾り出すような声音。傷の深さは明らかだが、そもそもユーベルコードで超強化された祭器群の攻撃が直撃したのに、何故肉体的には只の人間である筈の彼が生きて――
(――いえ……今の彼は|只の人間ではない《・・・・・・・・》……!?)
『聖豊域』から伝わる情報から、るこるが導き出した推論。彼は恐らく、オブリビオンマシンと結びつくことで生きながらにしてオブリビオン化している。これまでのオブリビオンマシン搭乗者の例からすれば、機体搭乗中のみの一時的な状態やもしれぬが――
『待ってろ……今行くぞ……!』
「!」
その間にセラフィム・エイルは再び疾走を開始。マスドライバーを目掛け一直線に。
「やはり、生かして逃がす訳にはいきませんねぇ……!」
るこるもまたその後を追う。元より逃がす気は皆無だったが、改めて其を確かめる。これ程のオブリビオンマシンとその搭乗者、此処で確実に仕留めねばならない。
大成功
🔵🔵🔵
エリザベス・ファールバッハ
もう随分と死んじゃってるわね……
あのパイロットの人も、結構怪しい状況みたい
今彼は、決して機体を放棄しない
でも知らずに使って来たなら、彼の決着がどうなるかに関わらず、幾らかの慰めと、生還の手助け位は、ね
[槐の魔箒]による[推力移動]、[空中機動]で、狙いを付けさせないよう立ち回りましょう
【深星葬還】で、今日までの戦い全てで彼に着いて来た魂、この街で無念のままに亡くなっていった全ての魂に、所属問わず鎮魂を齎しつつ、[封印術]で機体を封じ込め、[ロゼ]によるレーザーの[閃光]で、存分に装甲や武装を削り取っていくわね
最後は彼の生還にだけ役立つ様、[祝福]を掛けようかしら
後は星の巡りと神様次第、かしらね
アウロラニア・ミーマメイズ
その強さ、その速さ、確かにあなたの仲間を助けるに足る
しかし、ここで破壊せぬ訳にもいきません
それが暴走して封じ込められるのは、今この時のみ
でなければ、齎されるのは無差別の殺戮か、あなたの本拠での虐殺に他ならない
引き続き、冠を被った漆黒の巨狼として戦闘を
【我等が愛し子】と呼んでくれる皆に[祈り]を捧げ、この身に受けた[加護]、[奇蹟]、[幸運]、[祝福]全てを最大限引き出します
街を巻き込まぬ様、試練の神域を[亜空間創造]
神聖なる領域、人に取り憑くオブリビオンマシンはさぞ己を制限されることでしょうね
この領域の姿はこの街そのもの、現れるのは住民達の幻影
皆があなたの仲間の死を望む人々です
しかし、機体を一時でも制御できなくば、須く灰燼に帰すことでしょう
汝、英雄なりや?
答えは自明
幻影を庇う彼の機体を無力化し、殺さぬ様爪を突き立てます
最後は私からの加護として、引き出した全てを一度限りの奇蹟と預けましょう
できる全てを尽くし、尚叶わず、それでも望みがある時、人は祈りを捧げます
あなたの祈りはどう転ぶでしょうか
カシム・ディーン
ADDS継続
UC発動中
「かーさま…この人…強いよ…!」
…判ってる…ディー…息を合わせるぞ
…僕らはお前達の味方だよ(寧ろ自分に言い聞かせ
お前が乗ってるソイツは思想を歪ませお前の仲間もお前自身も滅ぼす
…悪いが破壊し…お前を救う!
【情報収集・視力・戦闘知識】
敵機の機能と構造
ケルヴィンの位置を捕捉
ディーとも情報共有
【属性攻撃・念動力・空中戦・弾幕・スナイパー・電撃】
速足で駆ける者
Dスワロウランペイジ発動
超絶速度で飛び回り念動光弾と凍結弾を叩き込み
Dテレサ
プラズマ弾を乱射
セラフィムを主に粉砕
【二回攻撃・切断】
鎌剣とプラズマブレイドによる超速連携連続斬撃を叩き込み四肢を切り裂き無力化狙
不殺徹底
セラフィムエイル撃破且つ
まだ「間に合う時」且
グリモア猟兵に事前に相談し了承された時のみの行動
駄目なら断念
永劫回帰発動
速足で駆ける者継続
マスドライバーの打ち上げ時にコンテナに向かって飛び
同戦場範囲内迄飛翔
殲禍炎剣も可能な限り耐え生還
永劫回帰によりコンテナの人質の死を無効化させる!
その反動を覚悟して
がああああ!!?
ジュディス・ホーゼンフェルト
●執行官
ここまでは予定通り
ご覧の通り、前座は始末させてもらいましたよっと
じゃあそのセラフィム・エイル、ぶっ壊させてもらうから
そうそう、パイロットがどうなろうが知ったこっちゃないんで
死にたきゃそのまま乗ってなよ
じゃあ行きますか、レーゼ執行官殿
おーおー
そんな出刃包丁みたいなの振り回して
危ないったらありゃしない
ジャミングスモークをぶち撒ける
煙に巻かれてる間に射撃準備っと
ガルムにはマルチスキャナーがあるんで悪しからず
バスターストームでその場に磔にしてやろう
処刑執行はレーゼ執行官に任せますんで
ハサミでとっ捕まえて蟻地獄に引き摺りこんでくれるでしょうよ
レーゼ・シュトラウス
●執行官
罪人を収めた棺は、天に掛けられた梯子に乗せられたのですね
やがて審判者が裁定を下すでしょう
私は祈ります
どうか、甘く蕩ける最期でありますように…
尊き御人…
儀式は既に始まりました
もう止める事はできません
それでも抗うのでしたら…
猟兵が絶望として立ちはだかるでしょう…
ふふ…
参りましょう、ジュディス執行官
尊き御人よ
暗い闇の中へお越しください
ガルムと共にスモークディスチャージャーを解放しましょう
暗闇はより深く…深淵へと…
マンティコア…地の下へ…
かの尊き御人の歩みを聞いて下さい
そして手を差し伸べましょう
優しく触れさせてください
恐れる必要はありません
ただ身を任せて…
深き地の底にご招待いたします
『うん? あっちに砲撃?』
都市の北東部、黒き魔犬型キャバリア『ガルム』のアイカメラ越しに見た|殲禍炎剣《ホーリーグレイル》の光に、搭乗者たるジュディス・ホーゼンフェルト(バーラント機械教皇庁三等執行官・f41589)は怪訝そうな声を漏らす。何故なら其方はマスドライバーのある海の方角ではなく、都市入口に近い街区であるが故。つまり、|儀式《しょけい》とは無関係の砲撃ということになるが。
『或いは、彼方にも浄化の光を届ける故があったのやもしれませんね』
ガルムと並び立つ海蠍型キャバリア『マンティコア』から聞こえる穏やかな声――レーゼ・シュトラウス(バーラント機械教皇庁二等執行官・f42691)が其に対する見解を述べる。其が真か偽かは、この場の二人には分からずとも。
『ともあれ。罪人を収めた棺は、天に掛けられた梯子に乗せられたようです。やがて審判者が裁定を下すでしょう』
『だね、ここまでは予定通り。前座はきっちり始末済みっと』
己らは、為すべき務めを果たすのみ。互いに其を確かめるや、其々の愛機を駆動させる。かの光に抱かれ導かれる罪人達の最期が、甘く蕩けるものであるように――そんなレーゼの祈りを残し。
二人が向かうは、二つのキャバリア反応が激しくぶつかり合う、都市中心部に程近い大通りの一角。ひとつは件のオブリビオンマシン、もう一機は猟兵のものだろう。
『さぁて、さっさとオブリビオンマシンをぶっ壊すとしましょうか、レーゼ執行官殿』
『尊き御人の、絶望として……参りましょう、ジュディス執行官』
共にバーラント機械教皇庁の執行官たる両者、互いをその身分で呼び合い、促しあい。オブリビオンマシンの在る戦域を目指して、機体を疾駆させてゆく。
●
一方、都市の北外縁部。|殲禍炎剣《ホーリーグレイル》の咎めを受けぬ程度の高度を、箒に横座りした一人の女性が飛翔する。エリザベス・ファールバッハ(旧き善き魔女・f32574)、この局面にて新たに参戦した猟兵である。
「もう随分と死んじゃってるわね……」
散らばるキャバリアの残骸を見て、眉根を寄せる。如何に戦とて、彼らなりの義の為に戦った結果がこれというのは、何とも遣る瀬無き処ではある。
「それに、あの機体のパイロットの人も……」
やがて見えてくる、交戦中の二機のキャバリア。真紅と灰蒼。真紅の方がオブリビオンマシンだ。その機体は随分と激しく損傷しているが、挙動の程は其を感じさせぬ程に軽く、そして激しい。一刻も早く道を塞ぐ灰蒼のキャバリアを破壊せんと攻め立てる姿には鬼気迫るものがあるが、その一方でエリザベスは感じる。完全にオブリビオンマシンの齎す衝動に呑まれるも時間の問題、と。何よりこの状況、彼は決して機体を放棄しないだろう。彼の仲間を救う、唯一の手段なれば。
「でも、それは罪じゃない。だから――」
全てを破滅に追い遣るオブリビオンマシンと分かって乗っていた訳ではない。ならば、その結末が何であれ、手助けはしたい。幾らかの慰めと、生還の為に。
そんな決意を胸に、エリザベスは飛翔。視界の向こうに更なる猟兵達の姿を認めながら、戦域へと突入してゆく。
●
そして、今まさに交戦中の二機。真紅のキャバリア――セラフィム・エイルが双のプラズマブレイドを振り回し、灰蒼のキャバリア――ディーン・テレサ搭乗の『アークレイズDD』を攻め立てていた。
『邪魔をするなぁぁぁぁ!!』
『うっ……く、だめ……ここは、通せないの……!』
猛然と吼えるケルヴィンの鬼気迫る勢いに押されつつも、Dテレサはその進攻を少しでも食い止めんとばかりプラズマ弾による牽制射撃を繰り返す。だが。
『甘い……! その程度で、俺は止まらん!』
放たれるプラズマ弾をすり抜けて、セラフィム・エイルがアークレイズDDへ肉薄する。銃撃の合間に生じた一瞬の隙。其を抉じ開けんとばかり切り込んできたオブリビオンマシンを前に、アークレイズDDは充分な回避機動も取れそうにない。
『そんな……!? ……かーさま……!』
眼前に迫る電光の刃。最早避けるも叶わぬ、半ば覚悟を決めたかのようにDテレサは声を漏らす――が。
『させるかぁぁ!』
『ちっ……!』
其処に降り注いだ何発もの念動光弾が、二機のキャバリアを刹那の間隔てる。其へ飛び込むを嫌って足を止めたセラフィム・エイルの前に、白銀のキャバリアが降り立つ。声の主にしてDテレサの主たるカシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)乗り込む|神機《キャバリア》『メルクリウス』だ。更に。
『これ以上の進撃、許すわけにはいきません』
冠を被った漆黒の巨狼が、メルクリウスとアークレイズDDから少し離れた位置に着地する。アウロラニア・ミーマメイズ(星天統べる女神・f39790)の変じたる神獣と言うべきモノ。その身には、数多の加護や奇蹟、幸運に祝福といった超自然的な力の護りを纏う。彼女を愛し子と呼ぶ者達への祈りによって成すユーベルコード。
「ここで止めさせてもらうわ。あなた自身のためにも」
更には上空には箒で空を飛ぶエリザベス。眼下に見据えるオブリビオンマシンへと言葉を投げかける。
『何が俺の為だ! 俺が願うのは、仲間達の無事ひとつ!』
なれどケルヴィンは其を跳ね退ける。携えるプラズマブレイドが熾火を纏い、業火の如く燃え上がり。凄まじきまでに高まる力を其処に示す。
更に背より広げたる光の翼が輝きを増せば、周囲に9機のキャバリアが姿を現す。セラフィム・エイルを簡略化したかの如き姿のそれらは、ユーベルコードで生み出されし戦機『セラフィム』。プラズマブレイドを構え、本体を援護するかの如く陣を組む。
『かーさま……この人……強いよ……!』
『……判ってる』
其を前としてたじろいだ様子を見せるDテレサに、カシムは応えつつ声をかける。敵の力は圧倒的、ならば息を合わせ対抗すべし、と。
(確かにこれはディー一人じゃ厳しいな……)
一方で敵の機能と構造を視認叶う範囲で把握する。改めて思い出すは、先のグリモア猟兵の言葉。Dテレサだけでは勝てぬ、というのは、どうやら間違いなさそうだ。
頷き、改めて視線をセラフィム・エイルへ。互いのアイカメラ越しに視界が交錯する。
『……僕らは、お前達の味方だ』
静かに、だが力を込めて。カシムは告げる。其は寧ろ、味方でありたい、と己へ言い聞かせるものとも言えようが。
『何を馬鹿なことを! なら、何故俺を行かせてくれないんだ!』
ケルヴィンの反論。其は至極尤もなことである、彼には己の機体の正体など知りようが無いのだから。だが、それでも。
『お前が乗ってるソイツは、思想を歪ませ、お前の仲間もお前自身も。全てを滅ぼすものだ』
『その強さ、その速さ。確かにあなたの仲間を助けるに足る力。ですが』
カシムの答えるに続け、アウロラニアが口を開く。それでも、彼のその機体は破壊せねばならぬのだと。
『其が暴走して封じ込められるのは、今この時のみ。でなければ齎されるのは無差別の殺戮か、あなたの本拠での虐殺』
彼らの敵ならぬ者達を鏖殺するに足る、危険な力であるのだと。故に彼を止めるならば此処しか無い。以て、彼を通さぬという意志を、アウロラニアは示す。
『だから……悪いが、そいつは破壊する。お前を救うためにも』
続けて宣言するカシム。暫し、重い静寂が辺りを包み――
『――それでも』
ややあって、ケルヴィンの声。猟兵達の意志は理解すれども――そんなニュアンスの滲む声を。
『あいつらを見捨てる理由にはならない!』
続いて吼える、押し通るという意志。理屈ではない、己の意志が其を為さんと望むのだと。
『退け! 処刑が始まるまで、もう時間が無い……!』
炎噴き上げるプラズマブレイドを掲げ、疾駆するセラフィム・エイル。其に随いセラフィム達も飛び立ち、猟兵達へと襲いかかってゆく――
『へーそう。そんなに死にたいならそのまま乗ってなよ』
その時、嘲るような声が何処からか響き――次の瞬間。通りの横の路地から無数のミサイルとビームが飛来し、セラフィム達へと叩きつけられる。
『それなら後はアンタをぶっ壊しちゃえばお仕事はおしまい、ってねぇ!』
その攻撃の主はジュディス操るガルム。彼女の語る間にも攻撃は続き、形成される弾幕がセラフィム達を抑え込み動きを封じる。
『――ッ! 行くぞディー!』
『う、うん!』
このままではケルヴィン諸共破壊される。判じたカシムはDテレサへと呼びかけるやユーベルコードを励起。メルクリウスとアークレイズDDが共に超絶的な速度で以て飛翔を開始。メルクリウスは念動光弾と凍結弾を、アークレイズDDはプラズマ弾を雨霰と浴びせかけ、ジュディスの攻撃で損傷を受けていたセラフィム達を打ち砕き。セラフィム・エイルに対しても弾幕で以てその装甲を削ってゆく。
『ぐ……っ! この程度!』
なれどセラフィム・エイルはその胸部から溢れる熾火でミサイルを撃ち落としビームを相殺、そのままプラズマブレイドを構え弾幕の主たるガルム目掛けて飛翔、斬撃を浴びせにかかる。
『おーおー、危ないったらありゃしない……!』
軽口叩きながら回避行動を取るジュディスだが、声音には僅かに焦りが滲む。彼女をしてそうならざるを得ぬ程に、斬撃の勢いは凄まじい。まともに浴びれば、ガルムと言えど一撃のもとに両断されかねない威力だ。
「それなら、これはどうかしら」
ガルムが退いた間を抜けて突破を図らんとしたセラフィム・エイルに対し、エリザベスがユーベルコードを励起。その身に燐光を纏うと共に、辺りには無数の花弁めいた光が舞い始める。
其は、エリザベスの魔女としての力の根源。過去を悼み鎮魂を齎す力を宿せし其は、これまでケルヴィンと共に戦ってきた者達、この街で無念のままに死した人々、その全ての魂を鎮めるもの。ヴィスタル教徒であれ、其に反抗する者達であれ、老若男女、所属の如何を問わず。鎮魂の光は、やがてセラフィム・エイルも包み込み。
「あなたの未来を導く祝福と共に……ね」
『ぐ……っ、機体が……!』
動きを封じられたことに唸るケルヴィン。再び機体の胸部砲口から溢れる炎が、封印の光を焼き払わんとするが――
『――!?』
直後、彼は気付く。己の周辺に、いつの間にか何十人もの人々の姿があることに。これは――
『此処はこの街をそのまま模した領域、その人々はこの街の住民達の幻影。皆があなたの仲間の死を望む人々』
響くのはアウロラニアの声。ジュディスの攻撃開始に先立って、己の権能を以て元の街と寸分違わぬ神域を其処に重ねる形で形成していたのだ。故に、本来のこの街区に損傷は無し。
『あなたが機体の制御を一時でも失えば、この街も人々も、須く灰塵に帰すことでしょう』
続ける言葉は、其が試練であることを意味する。彼が只の破壊者ではないことを示す為の、そして。
『汝、英雄なりや?』
英雄の資格の如何を問う為の。対するセラフィム・エイルは動かない。エリザベスの封印の影響もあるが、何より。
『俺は英雄なんて柄じゃない。だが――』
彼らを殺す為ではない、彼らを悪しき教えより解放する為。それが雲の旅団の活動理念なれば、と。
そうして動きを止めたセラフィム・エイルに、左右から飛びかかったメルクリウスとアークレイズDDが鎌剣とプラズマブレイドを振るい。六腕の全てと両脚を切断し、戦闘不能へ追い込んだのである。
『――あなたのその意思に敬意を。そして――』
最早コクピットを残すのみとなったセラフィム・エイルに近づこうとするアウロラニア。己が身に励起した奇蹟の全てを、加護として彼に授けんと――
だが次の瞬間、その機体は闇に包まれた。正しくは、闇の如き漆黒の煙幕に。
『っ!?』
『何!? これは……!!』
『かーさま、何が起きてるの……!?』
思わずたじろぐアウロラニア、そしてカシムとDテレサ。二人の姿もまた、同様の煙幕に包まれて。
「これは……まだ敵が……いえ、敵じゃない……!?」
上空から地上の異変を俯瞰するエリザベスは、ユーベルコードで研ぎ澄まされた直感を以て悟る。これは――|猟兵の仕業だ《・・・・・・》。
『それじゃー仕上げはお任せしますよ、レーゼ執行官殿!』
其を為した者の一人、ジュディスの何処か愉快げな声が煙幕内に響く。アウロラニア達を包む煙幕は、彼女の乗るガルムから溢れ出したものだ。
『な、これは一体……ッ!?』
ケルヴィンもまた、突然の事態に戸惑い――続いて起きた異変に驚愕する。機体が、地面に沈みつつある……!?
『尊き御人よ……暗い闇の中へとお越しください……』
其処に囁きかけられるはレーゼの声。セラフィム・エイルのコクピットブロックを捉えたるは、地上を煙幕で隠しつつ地中より出現したマンティコアの腕部クローであった。最早抵抗叶わぬその機体は、瞬く間にアスファルトから土の中へと沈み込み。
『な、何だお前は……!? は、離せ……!』
『恐れる必要はありません、ただ身を任せて……』
せめてもの抵抗とばかり抗議するケルヴィン、なれどレーゼは其に耳を傾けることなく、捉えたコクピットと共に潜行してゆく。
『深き地の底にご招待いたします。そう、永遠へ――』
レーゼのこの行動は、ユーベルコードを伴ってのもの。腕部クローを以て地に沈めた者を、骸の海へと放逐する力。即ち、過去へと。
『俺は、俺は……こんな処で、終わる訳には――』
最早抵抗の意志も折れ、やがてケルヴィンの叫びは途絶え。その存在は世界より消えて失せ、過去となり果てたのである。
「―――」
煙幕が消えた時、アウロラニアは元の姿に戻り、アスファルトを見つめていた。既にセラフィム・エイルの四肢の残骸さえも消えた地面を。其を以て、彼女は己が救わんとした青年の、世界からの消失を悟った。
あの時、己が加護を与えるのが間に合っていれば、まだ救うことは叶ったろうか。其は是であり否。彼の殺害を以てこそ事態解決と考える猟兵もまた在った以上、全ては神なる身にも定かならぬ星の巡りのもとに委ねられていたのだろう。
できる全てを尽くし、尚叶わず、それでも望みがある時、人は祈りを捧げる。ケルヴィンの祈りは――彼自身を救うは叶わなかった。黙して目を伏せるアウロラニア。
「私の祝福だけでは、足りなかったのね」
その隣で、エリザベスも無念そうに地を見つめる。先にセラフィム・エイルの動きを封じた折に、彼の生存に作用する祝福をかけたのだが。それだけでは死に向かう星の巡りを変えるに不足だった、ということらしい。
「――カシムさんは――」
ふと、マスドライバーの方角を振り返る。オブリビオンマシンの破壊を為した今なら、処刑を阻止しても問題は無い。せめてケルヴィンの目的だけでも引き継がんとしたカシムの意志、果たして実を結ぶのか、否か――
そうして見上げた空に。マスドライバーから、コンテナが打ち上げられた。空に座す|殲禍炎剣《かみ》を目指して。
●
『間に合ええええええ!!』
そして其を追って、メルクリウスが飛翔する。その速度、超速で飛んでゆくコンテナにもややもすれば追いつき得る程に速い。天からの光に間に合うか否かは、定かならずとも――
『不審機体だ! 撃ち落とせ!』
その時。聖騎士団長フレッドの号令一下、麾下のキャバリア達が一斉に射撃を開始。標的は勿論、メルクリウス。
『があああああ……!!』
実体弾が、ビームが、様々な弾頭がメルクリウスを穿ち、削る。其に回避行動を取ることもなく、メルクリウスは一直線に飛んでゆく。永劫回帰を使えれば良かったが、コンテナの中にいる雲の旅団の者達を認識できない状態では叶わない。直接コンテナを掴むより他に無い。
何とかして助け出す。その一心でコンテナを追う。あと少し、もう少し――機神の腕を伸ばせば届く距離まで至れば、彼らを――そう思った、次の瞬間。
空より降り落ちた|破滅《かみ》の光が、コンテナを呑み込み。塵も残さず、消し飛ばした。
成功
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第3章 冒険
『旗印の堕ちた地で』
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POW : 圧政側の軍勢を一時の間追い払う
SPD : 急ぎその場を後にする
WIZ : レジスタンスのメンバーを護衛する
👑7
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
雲の旅団の者達諸共コンテナを焼き払った|殲禍炎剣《ホーリーグレイル》の光は、そのままクラヴリス湾の海面へと着弾。海を穿ち海水を爆ぜ飛ばし、湾内を暫し荒れ狂わせしめる。伴ってうねる海水の放つ轟々たる波音は、そこからやや離れたベルゲン大聖堂にまで僅かながらに届く程。
其を聞き届けながら、会衆広場に集った人々は皆一様に空を見上げて手を合わせる。降臨せし神の威、目撃せし神の奇蹟に対し、祈りを捧げるかのように。
『迷える者達は、神の光に導かれ、永遠の楽土へと旅立ちました。最早、彼らが迷うことは二度とありません。彼らは、救われたのです』
厳かに響く大聖皇の声が、人々の耳朶を打つ。語る言葉のその一切が真実であるかの如く、その心に染み入ってゆく。
『斯くの如く、神の光はあまねく全ての人類を安息へ導きます。救いの道は、かの光がお示し下さります。故に心配は要りません――』
いつしか人々は、『神』の光の降り落ち来たる空から、モニタに映る大聖皇へと向き直っていた。その姿も声も、年齢性別一切定かならぬ存在なれど、その言葉は、かの教えを信ずる者にとっては絶対的に正しく――
『――いずれ『炎の審判』が訪れようとも。神の光は皆様を確と導いて下さります。永遠の楽土へと』
その日が来るまで、善くあるべしと。そう結び、大聖皇は手袋に包んだ両手を合わせる。その姿はあたかも、遍く民の平穏を願う信仰者の如く。
●
『――終わったか』
ベルゲン港に展開していた聖騎士団第一軍。其を率いる騎士団長フレッドは、|殲禍炎剣《ホーリーグレイル》照射の余波が消え去ったのを認め、呟く。無事に儀式の遂行を見届けられた安堵を、その声音に滲ませながら。
なれども、いつまでも其に浸ってはおれぬ。周囲の配下へ向け、通信を飛ばす。
『だが、先のキャバリアやその仲間が未だ市内に残っているやもしれぬ。一先ずは近辺を哨戒せよ。雲の旅団の残存戦力掃討は都市警備隊に任せれば良いが、必要に応じ加勢しても構わん』
以て命を下せば、応えて騎士達が動きだす。儀式を阻止せんとした謎のキャバリア――猟兵達への警戒の為に。
●
一方、ベルゲン市西部。仲間の救出を果たした突入部隊の脱出支援の為に後着した雲の旅団の者達は、直後に事態を悟る。
『くそ……っ、なんで、なんでこんな……!』
『ケルヴィンまでやられちまうなんて……』
先行した襲撃部隊は壊滅。頼みのケルヴィンさえ討ち取られた。無論、儀式も阻止叶わず、囚われた同胞達は|殲禍炎剣《ホーリーグレイル》の塵と消えた。完全敗北である。無念と悔しさに、その場の旅団員達の誰もが、只々打ちひしがれていた。
だが、状況は其へ浸るを許さない。
『っ! 敵キャバリア接近! ベルゲンの都市警備隊だ!』
『くそっ、数が多い……! そんな一方的な戦いだったのか……!?』
己らに気付いた都市警備隊が迫っている。まともに戦えば敗北は避けられぬ数の差だ。彼らは知らぬが、猟兵の介入により都市警備隊の戦力は殆ど消耗していない。故にこそ、それ程の戦力差が此処に現れているのだ。
『くっ、全軍撤退……! 今は、何としても生き延びるんだ……!』
決死の撤退戦。今はこの場を切り抜け、生き残った同胞と合流せねば。雲たる意志を、絶やさない為に。
※以上の状況となっているベルゲン市で、自由に行動する章となります。
※非戦闘員の殺傷以外はだいたい採用できるかと思います。
※ただし行動によってはマスタリングにて十全な結果が出ない場合もあります。
アウロラニア・ミーマメイズ
次はヴィスタリアの無体をどうにかせねば
しかしまだ時間はあり、一方他の猟兵を妨害する訳にもいきません
冠を被った漆黒の巨狼として、掃討を装い旅団員の撤退支援を
[Darkstar]、[Zenith]と[推力移動]、[空中機動]で[閃光]の如く戦場全域を翔けます
常に[心眼]で[見切り]、五感の制約も超え速やかに事を為しましょう
[亜空間創造]した無辺の空間への入り口を従え、[Answerer]でコクピットを片端から切り取り放り込みます
そこには【永遠に祝福されし新生の円環】により召喚された、極小の綺羅星の如き眷属達
分裂による新生を繰り返す彼女達の数は、指数関数的速度で無限に漸近する
眷属達より齎される神威、その[神罰]をもって、文明の飛躍、発展の為に造られた筈のマスドライバーを解き放ちます
最早距離も防護も何ら制約になりません
深く、基礎構造毎消滅を
消滅不能な仕掛けがされていても、横倒しに沈めて再利用させません
これだけの神威、余波だけでも[奇蹟]は起こる
鎮魂にも成りましょう
後は速やかに撤退、旅団員の解放を
エリザベス・ファールバッハ
旅団員の方も気になるのだけど、[地竜の血脈]で[情報収集]してみた限り、猟兵が来ることを、即ちあの機体が何か知っていそうだったり、大教皇も怪しいのよね
調べてみましょう
適当な個室カフェにお邪魔して、戦場や花壇で用意した各種材料を取り出せば準備は万端
【お家芸その七十八】を発動
[人造生命の創造]で、この国を模した、藤の花咲き誇る箱庭を作るわね
雲の旅団は綿の花、セラフィムエイルの綿は赤く塗っておきましょう
ここにあるのはマスドライバーね
あの子は決してこれを放置しない
時限で自壊する魔法を仕掛け、[幸運]にも発生した現実箱庭同時の崩壊に合わせることで、比類無き強力な[占星術]を行うわ
さぁ、この国がどんな彩りをしているか、あの機体の出処はどこか、見せて頂戴
[第六感]が囁いているの
あの機体を廃墟に安置して、雲の旅団を誘き寄せたのは、ヴィスタリアの、大教皇の手の者じゃないかしら
あの機体自体も試作品に過ぎず、この国と深く繋がる軍需企業が工場で、搭乗者をオブリビオン化させる機体を量産しようとしていたり、しない?
カシム・ディーン
ADDS継続
(殲禍炎剣の余波に吹き飛ばされ落下する満身創痍の機神
「かーさまぁぁぁ!!」
DDに回収され竜眼号により回収
…っ…く…!
【属性攻撃・迷彩・オーラ防御・電撃】
電磁障壁展開と共に光水属性付与
光学迷彩と水の障壁で熱源匂音全隠蔽
…すまねぇ…助けられなかった…
「かーさま…どうしてこんな無茶…」
…ゼラフィウム大虐殺…あれを猟兵にさせた|あの女《オリジナルテレサ》が許せなかった…
彼奴の主義主張を徹底的に否定したかっただけだ
世界を救う為に誰かを犠牲にするってのをな…
「ご主人サマ…」
…まだ…生きてる奴がいる…あの国は許さねぇ…猟兵を利用した代償…味合わせてやる…
…メルシー…あれを許す
UC発動
幼女軍団も同様の迷彩付与
【念動力・情報収集・戦闘知識・視力】
念動力も駆使して生還者を捕捉
警備隊聖騎士団の機体構造とGPS有無確認
10師団は竜眼号護衛
残り1680師団
生還者の救出活動と雲の旅団護衛
警備隊に襲い掛かり武装キャバリア他資源根こそぎ強奪
GPSがあったら破壊
旅団に進呈しつつ
都市警備隊加勢聖騎士団を蹂躙強奪
ジュディス・ホーゼンフェルト
はい、おしまい
こうして猟兵は悪いオブリビオンマシンを退治して、その場をすっちゃかめっちゃかにするのでしたとさ
めでたしめでたし
これが世界の抗体の仕事なんだってさ
抗体は別に正義の味方でもなんでもない
なんだったら、病気になった奴の身体がどんなに熱を出したって、咳をしたって、血を吐いたって病原菌への攻撃を止めやしない
世界が救われればオールオッケー
どんな手段を使おうが、世界から許されてるんだから許される
オブリビオンマシンが湧いてくる前より酷い事になっても知らぬ存ぜぬ我関せず
後は勝手になんとかしてください
それが猟兵仕草ってやつでしょ
つくづく思うんだけど、猟兵の救う世界って何?
救われた後どうなんの?
レーゼ・シュトラウス
おやすみなさい、尊き人…
どうかあなたの最期の時が、甘く蕩ける深淵でありますように…
そしていつかまた、停滞した時の海で、再び会えますよう
私は祈り続けます
いつまでも、遠く…遠く…
遥か彼方に願いましょう…
絶対の審判者は裁定を下し、地には混沌が残されました
雲のように流離う人よ
あなたはどこへ向かうのでしょう?
そして何を果たすのでしょう?
私には見送ることしか許されていません
ですが、祈らせてください
あなたにも、尊き人のような、甘く蕩ける終わりが訪れることを…
さあ、お逃げください
希望と絶望の鏡合わせが、あなたを追いかけるでしょう
その希望は眩しすぎます
その絶望は深すぎます
あなたはただ、翻弄されるだけなのです…
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
「双方の『埒外』の関与がない状態」=「自然な状態」故に「『旅団』にOマシンが無ければ防げた損害」は補填されて然るべきですが、猟兵が関与し過ぎるのも宜しく有りません。
【倐詗】を発動し『朧巫』に変化、『知覚されない状態』で飛行して『旅団』の方々を追跡、彼らの「拠点」「戦力」等の情報を奪い『皇国』の方に転送しますぅ。
「補填の機会」は齎した上で「信じるか否かはご自由に」ということで。
但し、猟兵の手で『皇国』に「戦力を回せない程の損害」が出ていた場合に限り、現戦力の帰還後に『旅団』の拠点上で真上に『FYS』のミサイルを発射し転移離脱、その分の補填に拠点へ殲禍炎剣を降らせますねぇ。
『―――』
白銀の機体は半ば焼け焦げ、全身至る処の装甲が剥離し内部構造すら垣間見える無残な有様となり果て。|殲禍炎剣《ホーリーグレイル》の直撃こそ避けたものの余波をまともに受けた機神『メルクリウス』は、その衝撃で意識を失った搭乗者のカシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)共々、力なくクラヴリス湾へと墜落しようとしていた。
『かーさまぁぁぁぁ!!』
なれど、其処に飛来する闇蒼の戦機。Dテレサ搭乗の『アークレイズDD』。カシムとメルクリウスを救出するべく急行してきたかの機体が、海面に叩きつけられんとしていた機神をすんでの処で回収し。湾の沖合に浮かぶ彼ら保有の万能戦艦『竜眼号』へと収容していった。
●
其と、ほぼ同時刻。
『おやすみなさい、尊き人……』
オブリビオンマシンと諸共に|その搭乗者《ケルヴィン》を葬った地の上で。其を成した蠍型キャバリア『マンティコア』のコクピット内、レーゼ・シュトラウス(バーラント機械教皇庁二等執行官・f42691)は祈る。
『あなたの最期の時が、甘く蕩ける深淵でありますように……そして、いつかまた、停滞した時の海で、再び会えますように……』
かの英雄たり得た異端者が、最期に何を思ったのか。レーゼには知り得ない。故に祈る。其が甘美なるものであれと。遠く、遠く、遥か彼方へと。
其処に爆発音。此処から少し離れた街区からのものか。どうやら戦闘が起きている――恐らくは、雲の旅団の残存戦力と、神聖ヴィスタリア皇国の戦力との戦いであろう。
『――絶対の審判者は裁定を下し、地には混沌が残されました』
誰に語るでもないレーゼの言葉。否、語る対象は確かに在る。ただ、レーゼの周囲に居ないだけだ。
『雲のように流離う人よ、あなたはどこへ向かうのでしょう? そして何を果たすのでしょう?』
その言葉は、恐らくは雲の旅団の者達へ。その行方を案じはすれど、レーゼは動かない。否、動けない。|それは許されていない《・・・・・・・・・・》。オブリビオンマシンの排除までがレーゼの任務だから。
彼女にできることは、彼らを見送ること。祈ること。彼らにも、|尊き人《ケルヴィン》のような、甘く蕩ける終わりが訪れることを。
『さあ、お逃げください。希望と絶望の鏡合わせが、あなたを追いかけるでしょう』
そして、呼びかけること。あまりにも眩しき希望と、あまりにも深き絶望と。只人なれば翻弄されるばかりの暴威――
『――気は済みましたか? レーゼ執行官殿』
其処に、何処か辟易したかのような声の通信が届く。マンティコアの傍にて待機する猟犬型キャバリア『ガルム』のコクピットよりレーゼの祈る様を見届けていたジュディス・ホーゼンフェルト(バーラント機械教皇庁三等執行官・f41589)、レーゼと同じバーラント機械教皇庁の執行官。故に彼女も、これ以上この地の事象に関知する意思は無い。
『――ええ。では、行きましょう、ジュディス執行官』
ならば後は引き上げるのみだ。レーゼが応えると共に、二機の非・人型キャバリアは歩み出す。ベルゲン市の外へと。
●
その頃、ベルゲン市内の個室カフェ。戦場となったエリアから離れている故か営業を続けていたこの店舗の個室席に、エリザベス・ファールバッハ(旧き善き魔女・f32574)の姿があった。
「……さて、こんなところかしら」
テーブルの上には、藤の花の咲き誇る箱庭が設えられている。其はエリザベスの行う占いの触媒であり、己の今在る神聖ヴィスタリア皇国を模したるもの。ベルゲン市に当たる地点には幾つかの綿の花。其は雲の旅団の面々を示すものであり、ひとつだけ赤く塗られた綿花は、セラフィム・エイルを表すものだ。
(大聖皇。何を、何処まで知っているというの?)
何故エリザベスがこのようなことをしているのかといえば。この地の龍脈から情報を吸い上げた結果、儀式の前後、ベルゲン大聖堂における大聖皇の発言を拾ったことがきっかけである。まるで、此度の事件を――雲の旅団の襲撃も、オブリビオンマシンの存在も、そして猟兵が現れることすらも――全てを、完全に予期していたかのような語り口。あたかも、|予め全てを仕組んでいた《・・・・・・・・・・・》かのように。
(全部、教えてもらうとしましょうか)
綿花を置いた場所とは逆側、海の方向へ突き出すような形に添えられた、小さな挿し木を見据える。これはマスドライバーを表すもの。|浄化の儀《しょけい》に用いられる、旧文明の遺産。
(あの子は、決してこれを放置しない)
本来の目的から歪められた、飛躍の為に造られた筈の機構。『彼女』は必ず、あれに対し何らかの行動を起こす筈。
そう考えるが故に、エリザベスは其へ魔術をかける。時来たらば、自然と崩れ落ちる、そんな仕掛けを。
(さぁ、この国がどんな彩りをしているか――あの機体の出処は何処か、見せて頂戴)
以て準備は整った。意識を集中し、星の動きを見据える。其処に、此度の事件の黒幕を見出さんとする――
●
「――っ!!」
「! かーさま……!」
「あ、ご主人サマ……!」
竜眼号の医務室、そのベッドの上で目覚めたカシムは徐に上体を起こす。直後に生じた痛みに顔を顰めるのを、彼を看病していたらしいDテレサと、隣のベッド上のメルシーが心配げな様子で見ていた。
「……ここは……竜眼号の。……そうか」
辺りを見回し、直前までの記憶を思い返し。状況の把握に努めるカシム。やがて、現状の把握へと至れば。
「……すまねぇ……助けられなかった……」
最初に漏らすは謝罪の言葉。もう少しで手が届いた筈の、救えた筈の命。ほんの数秒、たったそれだけの差が、0と1――残酷なまでに決定的な結果の差を齎した。
「かーさま……どうして、こんな無茶……」
Dテレサの問いは、詰問としての意味合いも含む。如何に埒外たる猟兵とて、|殲禍炎剣《ホーリーグレイル》の直撃を受けてしまえば只では済まぬ。現に、余波だけでカシムもメルシーも深手を負っているのだ。いくら人命がかかっているとて、自分が死んでしまっては何にもならぬだろうに、と言わんばかりに。
「……ゼラフィウム大虐殺。あれを猟兵にさせた|あの女《オリジナルテレサ》が許せなかった」
かつて別の小国家で起きた事件。恐らくは何らかの思惑に巻き込まれた末に、無辜の人々を虐殺せねばならぬ事態に陥ったのだろう。その経験は、カシムの心に濃い影を落とすと共に。
「彼奴の主義主張を徹底的に否定したかっただけだ……世界を救う為に、誰かを犠牲にするってのをな……」
必要な犠牲など存在しない――そんな信念を固めさせる切欠ともなった。だからこそ、秩序の為に犠牲とされようとした彼らを救いたかったのだと。
「ご主人サマ……」
その経験は己もまた共有するが故に。メルシーもまた悲痛げな表情でカシムを見る。己もまたカシムに負けず劣らずの重傷具合であることも、今は些事とすら言えた。
「……だが。まだ生きてる奴がいる」
カシムの口から漏れる声音は決意に満ちる。己には未だ為すべきことがある、此処で寝ているだけでいられよう筈が無い、とばかりに。
「……あの国は許さねえ。猟兵を利用した代償……味わわせてやる」
かつての『彼女』の如く。犠牲を前提とした秩序の片棒を、猟兵達に担がせた行い。その報いは、払わせねばならない。
「メルシー……あれを許す。存分にやれ」
「………!!」
其は、普段ならば彼の意思で用いさせることなきユーベルコード。メルシーは黙して頷く。彼の怒りの深きを、己もまた理解するが故に。
●
『あっちだ! 急げ!』
『くそっ、機体中破……! 何処まで持つか……!』
都市警備隊のキャバリアからの攻撃を必死に凌ぎながら、雲の旅団の団員達はベルゲン市の外を目指してキャバリアを走らせる。彼我の戦力差は圧倒的、どの機体も無傷とは到底言えぬ。それでも現状の機体で叶う限りの速度で以て街路を駆け――
『そこまでだ!』
『っ!? 聖騎士団……!?』
だが、退路へ先回りして現れた、都市警備隊とは別のキャバリア。雲の旅団追撃に回った、聖騎士団第一軍のキャバリア。追撃を行う都市警備隊の動きに合わせ、退路を断つ方向で動いていたということか。
『良し。そのまま奴らを無力化、一人残らず捕らえよ。其方も、その方針で構わんな?』
『ええ、フレッド団長。現状ならば生かしての捕縛は充分に可能。叶うならば其を以て果たすべしとは大聖皇陛下のお言葉ですから』
以て完成した包囲を確かめ、騎士団長フレッドは指揮下の聖騎士団へ指示を飛ばすと共に、都市警備隊の隊長へも確認じみて問う。彼方も意向は同一なればと、返す答えは諾。
其を受けて、都市警備隊と聖騎士団、其々のキャバリアが剣を抜く。実体型とレーザー型、機種ごとに差異はあれど、果たす役割は同じ。以て敵の武装を破壊し無力化、然る後に搭乗者を捕縛せんとする構え。
『くっ……! 此処までだってのか……!?』
如何にか脱出の隙を探そうと、各々の武器を構え牽制する旅団の者達。だが包囲は完全、抜け出す隙などありはしない。最早これまでかと絶望が過ぎりかけた、その時。
『………!?』
『何……!?』
雲の旅団、聖騎士団と都市警備隊、双方から驚愕の声が上がる。雲の旅団のキャバリアが、突如生じた空間の穴にコクピットブロックだけを切り取られ呑み込まれてゆく……!?
『心配は無用です。この空間に呑まれるは、死を意味するものではありません』
唖然とする旅団の者達だが、彼らもまた同様に空間の穴へ呑み込まれてゆく。其を為すは、街路に面するビル上に降り立った漆黒の巨狼。アウロラニア・ミーマメイズ(星天統べる女神・f39790)が此処まで保ち続けた姿。そしてこの局面に在ってもまた。
『貴様、何者だ……!?』
警戒露わにフレッドが誰何すると共に、聖騎士団のキャバリアが一斉に携えた銃器をアウロラニアへ向ける。その姿、明らかに尋常ならぬ存在なれば。場合によっては排除せねばならぬ。そんな判断であろう。
『私は、この地に神意と神威を齎す者。以て、歪められた機構の役割を終わらせるべく訪れた者』
アウロラニアが謎めいて答えると共に。雲の旅団の者達を呑み込んだ穴から無数の綺羅星めいた光が溢れ出す。其はアウロラニアのユーベルコードによって呼び寄せられし、星々の運命司る眷属達。以て新生の円環を為す者。光はアウロラニアを祝福するかの如く舞い飛ぶこと暫し、海の方向へ――マスドライバーのある方向へ一直線に飛んでゆく。
『そして――あなた方の無体を裁くものも、此処に』
『何……? ……な、これは……!?』
続いて告げるアウロラニアの言をフレッドは訝しむが。直後、機体レーダーを目にして気付く。何かが、あまりにも多数の何かが、この場を目掛けて押し寄せてきている……!?
(((ひゃっはー!!)))
光学迷彩と水障壁によって五感による知覚は叶わないが、其はカシムのユーベルコードの産物――メルシーを幼女化させて小型キャバリア武装を持たせた存在による軍勢。その数、実に1690個師団――千万単位の大軍勢だ。
『な、何が起きて、うわあぁ!?』
『きゃ、キャバリアが……!?』
それらは都市警備隊と聖騎士団、双方のキャバリアへと襲い掛かれば瞬く間に其を解体。武装も装甲もその他装備もひとつ残らず解体強奪してゆく。
『ぬうぅ!? 一体これは……いや、貴様らは一体……!?』
フレッド以下数名の聖騎士団員達は如何にか抵抗するも、数の差はあまりにも圧倒的に過ぎ。強奪を免れるが精一杯という様子。これ程の力を持つ存在の正体、そしてその目的。その全てが不可解とばかり声を上げるフレッドは、直後、更なる異変を目にすることになる。
『……な!? マスドライバーが……!?』
海上に見えるマスドライバーが、星雲めいた光の奔流に包まれている。否、これは――光となって消え去りつつある。
『本来ならば文明の飛躍、発展の為に築かれし機構。歪められ、圧政と狂信の礎とされたこれを、今、新生へ導きます』
厳かに宣告するアウロラニアの視線の先。巨大なマスドライバーがその基礎構造ごと光と化して、形を失い。やがて光の薄れゆくを以て、消滅へと至ってゆく。
そうして、然程の時を要することもなく。マスドライバーの象徴的な威容は、まるで最初から存在していなかったようにすら思える程に、綺麗にその場から消え去ったのである。
『ば、馬鹿な……こんな……』
あまりにも衝撃的な光景。呆然とするフレッドのキャバリアが、幼女軍団の津波に呑み込まれていった。
●
「……!」
個室カフェの一室、エリザベスは目を見開く。マスドライバーを模した挿し木に付与した自壊魔術が発動したのは、奇しくも本物のマスドライバーがアウロラニアの手で消滅したのを全く同時。現実と箱庭とが同期して同一の事象を発生せしめたことで、生ずる力はエリザベスの想定をも上回るほどに高まりを見せ。以て、比類なく明瞭なるヴィジョンを、占いの結果として彼女に垣間見せるのである。
見えた光景は、砂漠の只中に在る廃墟。数年単位で人の手が入っていないことが明らかな程に荒れ果て、朽ち果てたビルが並ぶその一角。
何も無い空間に、炎が熾る。其は燃やすものも無くして空間の中で燃え広がってゆく。紅く、盛んに燃えてゆく。
炎はやがて、巨大な人型を為して、徐々に形を明瞭なものとする。六本の腕。三つの顔。重厚な下半身。完全に明瞭となったその姿は、セラフィム・エイルそのものである。
直後――主観時間では数秒だが、実態としての経過時間はずっと長いだろう――そうして生じたセラフィム・エイルのもとへ、数名の若者達が姿を現す。そのうちの一人は、ケルヴィン――かのオブリビオンマシンの搭乗者であった青年。
聳えるキャバリアを訝しげに検めつつも、やがて埒が明かぬとばかりコクピットへと乗り込んで。三対のセンサーに灯が灯り、其は力強く動き出す――
「――つまり……あのオブリビオンマシンは、大聖皇と本当に無関係だったということ……?」
垣間見たヴィジョンが示す事実に、エリザベスは唸るより他に無い。彼女の予想では、かのオブリビオンマシンは皇国と関わり深い軍需企業が生み出した試作機であり。実地テストの為に、大聖皇の手の者が偶然を装って廃墟に放置し雲の旅団の手に渡るよう仕向けたのではないか。この国の何処かで、搭乗者をオブリビオン化させるキャバリアを量産しようとしているのでは――そんな処であったが。どうやら、その予想は正しくはないらしい。
「けれど、そうであるなら……あの振る舞いは一体……っ!?」
だが最初から仕組んだものでないなら、何故あのように全てを知っているかのような振る舞いができるのか。エリザベスは訝しみ――かけて、直後に箱庭へ起きた異変に目を見開いた。
エリザベスの第六感が垣間見る、真紅のカメラアイめいた双眼。まるで己を見ているかの如き鋭い眼光。果たしてこれは何なのか――其を考察する間もなく、箱庭に炎が走り。一瞬で、その表面のあらゆるものを焼き払ってみせた。
「――炎の救済――?」
炎が箱庭を焼き尽くすまでの刹那、脳裏に浮かんだ単語。其が意味する処は、一体。
●
ベルゲン市の外。市内の様子が垣間見える程度の距離に在る小高い丘にて。市内では漆黒の巨狼が聳え、無数の幼女軍団が暴れ回る。更に、此処からでもよく見えていたマスドライバーが、光と化して消えてゆく様さえも見えた。
「こうして、猟兵は悪いオブリビオンマシンを退治して、その場をすっちゃかめっちゃかにするのでしたとさ」
めでたし、めでたし。レーゼのマンティコアと並び立つ愛機・ガルムのコクピットから其を見届けたジュディスは、皮肉を込めて総評する。
「――これが世界の抗体の仕事なんだってさ」
『………』
呆れたように肩を竦める。抗体は正義の味方でも何でもなく、何なら保有者の身体が発熱しようが咳を出そうが血反吐を吐こうが病原菌への攻撃を止めなどしない。彼女の目に映る猟兵の在り方とは、まさにそれそのものである。
レーゼの答えは無い。信仰を同じくする者とて猟兵という存在に対する見方が同じとは限らぬが、少なくとも否定する意思は無い、ということかもしれない。そう考え、ジュディスは語り続ける。
「世界が救われればオールオッケー。どんな手段を使おうが世界から許されてるんだから許される、ってか」
オブリビオンマシンの出現前より状況が悪くなろうが知らず存ぜず我関せず。後は現地民の御勝手に。それが猟兵のやり方である。少なくともジュディスの認識ではそうであるし、此度この地で彼女が見た他の猟兵の行いは、紛いなくその認識をより強固なものとするものであったようだ。
「――はぁ」
溜息ひとつ。其は呆れか嘆きか憤りか、或いはその全てか。
「つくづく思うんだけどさ。……猟兵の救う世界って何? 救われた後どうなんの?」
『………』
零した疑問に、レーゼの答えは無く。他に応えるものも、またいない。
●
「――随分と派手に干渉なさいましたねぇ」
ベルゲン市上空、|殲禍炎剣《ホーリーグレイル》の咎めを受けぬ程度の高度にて。ユーベルコードによって知覚を遮断する『朧巫』と化した夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)は、状況の帰結を見届けそんな所感を呟く。
猟兵は世界の異分子なれば、同じく世界の異分子たるオブリビオンの影響以上に干渉するは好ましくない。故にオブリビオンならぬ現地の人々には、その善悪に拠らず必要以上に関与するべきではない。それがるこるの考える猟兵の在り方だが、他の猟兵には己の正義感に基づきオブリビオンならぬ者へ力を振るうを躊躇わぬ者も少なくない、とも理解する。
「さて、どう補填したものでしょうかぁ」
ならば己が為すは、|双方の『埒外』《猟兵とオブリビオン》が傾けた天秤の釣り合いを取る行動。この場に在って其は、皇国側が受けた被害の補填。具体的に何をするかといえば。
(とはいえ、旅団の皆さんが何処へ行かれたか、までは分かりませんからねぇ)
即ち、セラフィム・エイル出現前にも行っていた、雲の旅団への積極攻撃。なれど残る旅団員達は皆、異空間を介して別の地へと送り出されてしまった。他者が持つ情報を奪うことも可能なユーベルコードを以てしても、其を為した者もまた猟兵ゆえか送り出した先までは知ることが叶わなかった。
「――でしたら。一先ずはこの程度となりましょうかぁ」
代わりに、得られた情報――雲の旅団のヴィスタリア国内に幾つかある拠点と、資金や武器等を援助していた個人や組織といった情報を端末の形に纏める。後はこれを、聖騎士団の本部に送れば良い。
纏めた情報に、どの程度の信憑性があるかは分からぬが。それでも問題無いとるこるは考える。己はどちらでも構わぬが故に。己は補填の機会を齎すのみ、其を信じるか否かは彼らが判断することだ。
頷き、るこるは西へ飛び立ってゆく。聖騎士団の総本部、ジュニス要塞を目指して。
●
「ま、マスドライバーが……消えた……?」
「一体……何が起きているの……?」
一方、ベルゲン大聖堂の会衆広場。浄化の儀が終わった直後に、マスドライバーが原因不明の消失を遂げる様は、此処に集った人々の目にも確と捉えられた。何が起きたのか、これから儀式はどうなるのか。不安げな騒めきが広場を満たしていたが。
『――皆様。ご心配には及びません』
其処へ響いた声が、騒めきを一瞬で鎮静せしめる。再びモニタにその姿を映した、大聖皇の声だ。
『かのマスドライバーは役目を終え、浄化の光と果てました。我らは今後、惑える魂を浄める新たな術を模索していきます』
生じた事態への、教義に沿った答えを提示し、人々の疑問に答える。其が真実か否かは問題ではない、問題は受け入れ得るか否か、ただその一点。
『そして、此度この地に現れ来た、惑える者達とは異なる存在。あれこそが世を荒らす禍。神の光を遮り、皆様の安息へ至る道を塞がんとする者達』
そして語るは、あたかも猟兵達を民の敵と印象付けるかの如き演説。彼らこそこの世界の理不尽の元凶、と言わんばかりの。
『なれど恐れることはありません。神の光の加護は、信ずる者には確と届き得ます。迷わず、惑わず、信じ続けること。その意志こそが、『炎の審判』を乗り越え永遠の安息を得る道を示すでしょう』
大聖皇の声音はやはり年齢も性別の定かならぬものなれど。其がひとつの確信に満ちたものであることは、広場に集う人々全てに確と伝わってゆく。かの存在の語るは全き心理と、全ての人々に思わせてゆく。
「そうだ……そうだよな。大聖皇様が、そう仰るなら……」
「大聖皇様のお言葉、本当に有難いです……」
やがて上がり始める、大聖皇を讃える声。広場を満たすに至る其を前に、当人が何を思うかは定かならずとも。
「私も、皆様と共に歩みましょう。共に、永遠の安息へ至る為に――」
そう呼びかける声音は、あたかも深き慈愛に満ちたるかのようであったという。
成功
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