チーティングカジノ・ブレイクアウト
●イレギュラー・マスト・ダイ
超高速で回るリールが止まると、横一列に数字の『7』が揃う。
その直後、スロットマシンの煌びやかな電飾が半ば過剰に輝き、豪運の持ち主を祝福する電子合成音声が流れた。
「オオアタリ! ボーナス倍点! スゴーイ!!」
「にはは、またまたジャックポット☆ この超絶天才ミステリアス美少女ハッカー、ホワイトラビット様の手にかかればチョロいですねぇ♪」
スロットマシンの前でほくそ笑む少女……ホワイトラビットが言うように、この大当たりは既に数回発生しており、その後のダブルアップチャンスにも勝ち続けていた。
今も増え続ける払戻金額を見て分かる通り、あまりにも異常すぎる勝ち運だ。
……だが、それが自らの破滅を招く事となる。
「動くな」
ホワイトラビットが荒稼ぎに夢中になっている最中、背後から突然硬い何か――銃口を突き付けられ、固まる。
振り返らず、ホワイトラビットが恐る恐る尋ねた。
「い、いきなり何ですか? 私、フツーに楽しんでる最中なんですけど……?」
「普通、ね……じゃあちょっと『お話』でもしようか? お前がどう稼いだのかをな」
その口ぶりから、こちらのイカサマがバレている事は明白だ。
既に周囲を用心棒に取り囲まれ、逃げ場を失ったホワイトラビットは思った。
あ、これ詰んだ……と。
……その後の彼女の運命は、最早語るまでもないだろう。
●エンター・トゥ・イヴィルカジノ
「今回はメガコーポ、ミカド・ザイバツが運営するカジノに向かってもらいたいんだけど、その前に向こうのカジノについて話すわね」
アヤカ・ホワイトケープ(ロストイノセント・f00740)がブリーフィングを始める前に、まずサイバーザナドゥにおけるカジノについて説明する。
モラルが死に絶えたサイバーザナドゥにおいて賭博はごく一般的な物であり、大抵の賭博場は、胴元を辿るとどこかのメガコーポに行き着くと言う。
住民に刹那的な娯楽を与えて不満を緩和した上で、市場に巡った金を回収する……メガコーポによくある収入源の一つだ。
そもそもギャンブルは胴元が勝つように出来ており、件のカジノの例外ではない。
それ故に博打にハマった者達に一切救いはなく、ただ搾取されるしかないのだ。
「……そうして金のために自分の命や機械化義体、生身の臓器や身内をも売り渡し、破滅していく者は後を絶たないわ」
本当、ロクでもないわね……思わずアヤカが本音を漏らす。
それ程までにメガコーポのカジノは悪辣極まりないのだ。
「……ただ、そのカジノにとんでもないギャンブラーが現れる予知を見たの」
それが『ホワイトラビット』と言う通り名で知られるハッカーの少女であるが、正式な名前は不明と謎に包まれた存在だ。
彼女は『絶対に勝てない』カジノのイカサマAIを狂わせ、常に大当たりを引き寄せてしまう超天才だが、調子に乗りやすい性格なのか『引き際を知らずにやりすぎてしまった』事で、カジノの用心棒であるオブリビオンによって無残に殺されてしまうのだとか。
「そんな訳で、みんなにはホワイトラビットと接触し、彼女と共にカジノに乗り込んで勝ち続け、襲い掛かってくるオブリビオンを倒して最終的にはカジノを再起不能にするのが目的よ」
どうやってカジノで勝つかはホワイトラビットと接触した際に教えてもらえるので、彼女の手を借りるもよし、或いは自分もイカサマをするか、自らの豪運を信じて勝ちに行くもよしだ。
「多くの人々を破滅させたカジノを叩き潰し、メガコーポにも打撃を与える……ある意味、一石二鳥とも言えるわね。それじゃ、みんなに幸運を……行ってらっしゃい!」
説明を終えてアヤカがゲートを開いた先には、ド派手なネオンサインが輝くミカド・ザイバツ所有のカジノの姿があった。
さあ、自らの命をベットし邪悪な賭博場を叩き潰す時だ。
NS
はいどうも、|NS《えぬえす》でございます。
バトル・オブ・オリンピア、お疲れさまでした。
今回はサイバーザナドゥです。どうぞよろしくお願いします。
●目的
謎のハッカー少女『ホワイトラビット』と共にメガコーポ、ミカド・ザイバツが運営するイカサマカジノに乗り込んで勝ち続け、オブリビオンを引きずり出して倒した後、カジノを叩き潰す。
本シナリオは三章構成です。
第一章は冒険。ホワイトラビットと共にカジノに挑み、勝ちまくる。
第二章は集団戦。襲い掛かるカジノの用心棒を迎え撃つ。
第三章はボス戦。現れたカジノ支配人を返り討ちにする。
……以上の構成となっております。
第一章の状況や詳細などは章の導入部に書きますので、内容をよくご確認の上でプレイングをどうぞ。
●ご注意
プレイング受付開始日はタグに日時を入れます。
プレイングをお送りする際にはその日時以降でお願いします。
リプレイはプレイングが届き次第、早めにお返し出来ればと思います。
第一章はクリアに必要な青丸が少ないため、この章のみリプレイを少数お返しした後で少しだけプレイングを貯め込んでからリプレイお返しと言う形になります。
その際、プレイング受付締め切り日をタグで制定しておきます。
もしプレイングの数がキャパを超えそうな場合、早めに受付を締め切ります。
その場合はタグに『プレイング受付〆切』と入れるので、ご確認下さい。
また締め切り後にプレイングが来た場合、申し訳ありませんが不採用とさせていただきます事を予めご了承下さい。
それでは『|イカサマカジノをブッ潰し《チーティングカジノ・ブレイクアウト》』、ミカドに大打撃を与えましょう。
第1章 冒険
『賭博場に挑め』
|
POW : 多少不利な状況からでもゴリ押して勝つ
SPD : フェイントやイカサマを駆使して勝つ
WIZ : 緻密な計算と戦術で勝つ
イラスト:十姉妹
|
種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●ミート・トゥ・チートブレイカー
ゲートを抜けた猟兵達がミカド・ザイバツの運営するカジノ『オウゴンキョウ』の近くで待っていると、一人の少女がやってきた。
彼女がホワイトラビットだろうか?
早速、接触を試みると……
「……えっ、なんで分かったんですか!? もしかして私のファンの方々?」
ミステリアスを自称しつつも、あっさり特定された事に驚くホワイトラビット。
さすがにカジノ内でオブリビオンに襲われる事を丸々話す訳にはいかないので、幾分か話をぼかしつつ、一行は『ここで一山稼ぎたいので、一緒に行かないか』と提案する。
「つまりこの超絶天才ミステリアス美少女ハッカー、ホワイトラビット様と一緒に稼ぎたいと。……ちょうどデータも欲しいと思っていたところですし、いいですよ」
そう言うと、ホワイトラビットはポケットから掌サイズのデフォルメされたウサギのおもちゃらしき物を取り出した。
彼女曰く『おもちゃから発せられる微弱な電波でカジノのイカサマAIを狂わせ、イカサマなしのフラットな条件でゲームに挑める』そうだ。
「実は研究目的で造ったこの子が上手く動作するか、データを集めたいと思ってたんですよねぇ。まさに渡りに船! にはは☆」
自分がかなり危ない橋を渡りそうになっている事すらも気にしていない様子で、無邪気に笑ってみせるホワイトラビット。
このおもちゃは既に数個ほど作ったらしく、必要なら好きなように使ってデータを取って欲しいとの事だ。
もちろん、これに頼る事なく自らの腕でイカサマAIに勝つか、或いは豪運で全てをねじ伏せるかは猟兵次第である。
「それじゃ、早速行きましょう! 今日は稼ぐぞー☆」
ハイテンション気味にホワイトラビットがカジノ入口へ向かうと、猟兵達も後を追う。
……エントランスに鎮座している、全長5メートルくらいはあろうかと言う悪趣味な彫像の横を通り抜けてカジノ内に入ると、そこには無駄に煌びやかな空間が広がっていた。
ネオンが輝く店内には無数に並んだスロットマシンやルーレット、レプリカントがディーラーを務めるカードゲームなど、カジノでよく見るゲームは一通り揃っているが、この全てがイカサマAIで勝てないように仕組まれているのだ。
実にタチが悪いと言う他あるまい。
まずはここで勝ち続け、用心棒からマークされるのが最初の目的である。
せっかくの機会だ、カジノを潰すついでに一稼ぎするとしよう!
暁星・輝凛
「いやあ、ホワラビちゃんが居てくれてよかったよ」
彼女のおもちゃの力を借りて、スロットマシンにチャレンジするよ。
まずは小手調べ、少額でスロットを何度か回す。
絵柄の変化を大まかに捉えて、ボタンを押してから止まるまでの間を把握する。
3つのリールの回転を【見切る】ってわけ。
なんてことはない、所謂目押しってやつだね。
狙いはスリーセブンひとつだ、ドカンと当てていく!
「僕にとってウサギの女の子っていうのは、勝利の女神なんだよ。ほら、この通り!」
一度コツを掴めさえすれば、もう逃がさない。
胴元がゾッとするくらい、一気に頂いちゃおうかな!
「はい、じゃあご一緒に声高に! 『ボーナス倍点、スゴーイ!』」
●フィーバータイム突入
「いやあ、ホワラビちゃんが居てくれてよかったよ」
暁星・輝凛(|獅輝剣星《レディアント・レオ》・f40817)はホワイトラビットから件のおもちゃを受け取ると、彼が大勝ちを狙う得物――スロットマシンの前に座る。
大当たりが出ると、時折発生するダブルアップチャンスで更に払い戻し金額が倍増する反面、失敗すると全てを失うと言うハイリスクハイリターンな賭けが出来るのがこのマシンの特徴だ。
……もっとも、全てのマシンにイカサマAIが働いている以上、ダブルアップチャンスで勝てる確率は皆無と実際ボッタクリもいいところなのだが。
「にはは、もっと褒めてもいいんですよ? ……イカサマは機能しないはずので、ここから先は自分の腕次第ですけど、お兄さんはどうやって勝つつもりなんです?」
輝凛の隣の台に座ったホワイトラビットが小声で尋ねる。
彼女は凄腕のハッカーである事から、マシンそのものにハッキングを仕掛けて当たりが出やすいようにイカサマを仕掛ける訳が、輝凛はどうするのか?
そこが気になるようだ。
「まずは軽く様子見ってとこかな」
そう言うと輝凛はクレジットを少額投入し、何回かチャレンジして感覚を掴む。
超高速で回転するリールの絵柄は常人では見切る事は極めて難しく、サイバーザナドゥで流通しているサイバーアイの機能をフル回転しても解析は困難だ。
(コイン、スイカ、テング、バー、チェリー、コイン……7が通って次のパターンと)
だがそれは常人に限った話で、猟兵である輝凛の見切り能力ならば絵柄を把握する事など容易い事であった。
次にボタンを押し、リールが止まるタイミングを図る。
イカサマAIが働いている状態ならば、いいところで絵柄が滑ってハズレとなる訳だが、それが無効化されている今、止まるタイミングさえハッキリ分かってしまえば、後は楽勝……いわゆるボーナスゲームモードだ。
(押した瞬間、リールが二つか三つ滑ってから止まる感じかな? ここはまだハッキリしないけど、大体は分かったかもしれないね)
そうして最低限の経費で攻略法を一通り見出した輝凛は、いよいよ勝負に出る。
狙いは一つ、大当たりだ。
「えーと……行けそう、ですか?」
真剣な表情でスロットと向き合う輝凛を見て、ホワイトラビットが改めて尋ねる。
本当に勝てるのかと、少し心配そうな様子だ。
「問題ないよ、ここからドカンと当ててみせるさ!」
自信満々に答えた輝凛がクレジットを最大まで投入。
リールが超高速で回り始める。
「僕にとってウサギの女の子っていうのは、勝利の女神なんだよ。ほら、この通り!」
タンタンタン、と流れるような動きでボタンを押した直後、横一列に7が揃う。
いきなりの大当たりだ。
「わ、ホントに当てちゃいましたよ!? 私、ホントに勝利の女神なんです!?」
「まだまだ、ここからだよ!」
驚くホワイトラビットを尻目に、一度コツを掴んだ輝凛は止まる事なく連続してスリーセブンを叩き出す。
初期投入したクレジットが一気に1000倍以上に跳ね上がると、払い戻し金額のカウントが一気に増えていく。
「ひゃー、お兄さん凄いですよー!」
「はい、じゃあご一緒に声高に! 『ボーナス倍点、スゴーイ!』」
「ボーナス倍点、スゴーイ! にはははー!」
隣のホワイトラビットも輝凛には負けられないとばかりに大当たりを弾き出し、電子合成音声と共にハイテンションな声を上げた。
用心棒がこの異常に気付くまで、あとどれだけ稼げるか見物である。
大成功
🔵🔵🔵
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
成程、確かに腕利きですが、危なっかしい方ですねぇ。
【豊饒宿霊】を発動、[幸運]を指定し強化しておきまして。
ラビットさんの『機械』を借りて向かいましょう。
護衛を考えると近い位置が良いですが、「データが取りたい」との要望もあわせますと、比較的近い位置で同様に設置されていることの多い『ビデオポーカー』を選ぶのが良いでしょうかぁ。
彼女が視界に入る位置のマシンを選んで、遊戯を始めますねぇ。
『機械によるフラットな勝負』+『強化した幸運』の合わせ技であれば、相当な効果が見込めるでしょうから、敢えて『大物手狙いのカード選択』で一気に勝つことを狙いましょう。
無事に何とかなると良いですが。
●イカサマと豪運と
(成程、確かに腕利きですが、危なっかしい方ですねぇ)
ホワイトラビットとの遭遇後、夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)はそんな事を思う。
るこるはカジノに入る前、何故今回ここを選んだのかを聞いてみたところ……
「いやあ、メガコーポのAIを安全に破れるか試してみたいと思ったんですよ。それと研究資金の調達もしたかったので!」
……と、ホワイトラビットは答えた。
本来メガコーポが作ったイカサマAIは非常に高度な技術で組まれており、ハッキングに対する防御策なども完璧と、一見して隙が見当たらないように出来ている。
にも関わらず、彼女はその防御策を破った上でイカサマを検知されない装置を作ったのだから、腕前は確かなようだ。
(ラビットさんはデータを取りたいと言っていましたし、この装置を試すとして……出来れば、用心棒に襲われてもすぐ助けに入れるようにしたいですねぇ)
カジノ内に入ったるこるは辺りを見渡し、なるべくホワイトラビットに近い場所のゲームはないかと探す。
既に彼女はゲームを始めたらしく、出来ればこちらの視界に入る物が望ましいだろう。
「んー、何か面白そうな物は……あっ、これにしましょう」
るこるが足を止めた場所はビデオポーカーが多数立ち並ぶエリア。
ホワイトラビットからおよそ十数メートル以内の範囲と、何かあってもすぐに駆け付けられる距離だ。
「それでは、やるとしますか」
るこるは一つの台の座席に座り、クレジットを多く投入すると勝負を始める。
既に衣服のポケットには、ホワイトラビットから借りた例の装置が入っている事からイカサマAIは機能していないはずだ。
ともなれば、ここから先は己の運が勝敗を分ける事になるのだが……
「ダイヤが二つ……となれば、三枚カードを交換しましょう」
配られたカードを見てどうするかを判断した後、るこるは液晶画面をタッチし交換するカードを選択。
伏せられた三枚のカードがオープンすると、三枚ともダイヤのカードが出た。
全て同じマークが揃う役、フラッシュだ。
「まずはこんなところですねぇ。おっと、ダブルアップチャンスも来ましたが……もちろん、やりますよぉ」
初手からそこそこの役を引き当てたるこるは、迷わずダブルアップチャンスに挑戦。
……結果は成功、払戻金がグッと増加する。
「いい調子ですぅ。では、次は……なるほど、でしたらこれとこれで……勝負!」
早くもギャンブラーの目付きになってきたるこるがニヤリと笑い、カードをオープン。
今度はフォーカードと、またまた当たりを引き当て、ダブルアップチャンスで更に勝利し収入を増やしていく。
るこるの幸運は勝負に挑む前に『|豊乳女神の加護・豊饒宿霊《チチガミサマノカゴ・ホウジョウノミタマ》』で大幅にブーストしている事から『何があっても最低限そこそこの役が当たる』ようになっているし、その後に来るダブルアップチャンスも確実に勝てる程だ。
むしろ、これだけの豪運があればホワイトラビットから装置を借りるまでもないような気もするが……装置によるイカサマAIの妨害はしっかり出来ている、と言う事にしておこう。
「おや、エースとキング、ジャックが同じスペードですねぇ。では、二枚交換からの……はい出ましたぁ、ロイヤルフラッシュですぅ」
そして遂には大当たり中の大当たりが出ると、台から過剰なネオンライトが輝き、ファンファーレが鳴り響く。
これだけ派手に当たれば、用心棒からマークされるのも時間の問題だろう。
大成功
🔵🔵🔵
暗都・魎夜
【心情】
こういう世界だから、企業に反発することを願うはねっかえりは出て当然だよな
むしろ、この最悪な世界を自分なりに変えようとしている辺り、大したもんだと思うぜ
だが、それで死んじまったら元も子もねえ
メガコーポの連中にやらせはしないぜ
【行動】
不用心なんだか何だか
まあ、こっちとしては願ったりだ
データ収集がてら、稼がせてもらうぜ
「ホワイトラビットの力、試させてもらうぜ」
「勝者のカリスマ」「悪目立ち」で派手に遊ぶ
「索敵」は怠らずに
こういうのは本来、嫁の方が強いんだが、とんでもねえな
「ホワイトラビット、思っていた以上の実力だな」
●派手に勝ちまくれ
(こういう世界だから、企業に反発することを願うはねっかえりは出て当然だよな。むしろ、この最悪な世界を自分なりに変えようとしている辺り、大したもんだと思うぜ)
カジノの中を進む暗都・魎夜(全てを壊し全てを繋ぐ・f35256)はホワイトラビットについて、なかなか勇気のある奴だと感心する。
何せ彼女は悪しきメガコーポへ挑もうとしているのだ……それだけ無謀な事をやろうとする者は、レジスタンスか命知らずのどちらかだろう。
(だが、それで死んじまったら元も子もねえ。メガコーポの連中にやらせはしないぜ)
予知によればホワイトラビットは調子に乗って荒稼ぎし続け、カジノの用心棒であるオブリビオンに殺されてしまう訳だが、当然そんな事を許す訳にはいかない。
巡り巡って、結果的にメガコーポに打撃を与えようとしている者を助けるのが猟兵の役目なのだから。
(正直、今回も上手く行くか分からねえけど、ホワイトラビットを信じるしかねえな)
魎夜は以前にもこの世界でとある豪運のギャンブラーを助けるため、カジノに赴き勝負に挑んだのだが、その時はギャンブラーの運を分け与えてもらった事もあり、無事に大勝する事が出来た。
だが今回はそう言った運のブーストはなく、カジノ側のイカサマを無効化した状態で真っ向から挑まねばならないのだ。
「ホワイトラビットの力、試させてもらうぜ」
早速、魎夜はスロットマシン……それも他の客が集まっているであろう席を意図して選び、勝負に挑む。
彼のポケットには件のおもちゃが入っており、準備は万全だ。
まずは様子見として、少額のクレジットを投入。
どんな具合かを確かめてみるのだが。
「んー……なかなか当たらねえな」
やはりそう上手く事は運ばない物なのか、思うようにいかず魎夜は渋い顔をする。
何度かやって分かった事だが変なところでリールが滑らない辺り、イカサマAIは機能していないと見ていいようだ。
(いや、お膳立てはしてもらってるんだ。ここは決めねえとだ)
例え困難な状況でも臆せずぶつかっていけ。
魎夜は敬愛する師匠の言葉を思い出し、気を引き締める。
そうして再び勝負に挑まんとした時、流れが変わり出した。
「レンゾクアタリ! ワオワオーッ!」
……これは一体どういう事なのだろうか?
先程までまるで勝てなかったのが嘘のようにアタリが出始め、払戻金が増えていく。
「へへ、掴んだぜ、勝ち運……! ここからは俺のターン、ベットはフルで行くぜ」
もしかしたら自分にも運が向いてきたのかもしれない。
ここが好機とばかりに魎夜は勝者のカリスマと悪目立ちを駆使して派手に遊び出す。
「おい、あいつ連勝してるぞ」
「ヤベえな……どんな豪運だ?」
ここでは滅多に見られないであろう連勝を間近で目にした事で、周囲の客からも羨望の視線を向けられ、悪目立ちは更に加速。
念のためにと魎夜は稼ぎつつも索敵で周りを警戒しているが、今の時点で警備員から目を付けられているような事はなさそうだ。
(お、また当たりか。こういうのは本来、嫁の方が強いんだが、とんでもねえな)
急に勝てるようになった理由がいまいち掴めず、多少困惑する魎夜。
何度かやってスロットに慣れてきたのもあるだろうが、それ以外にもホワイトラビットの作った装置が『何かしらのこちら側が有利になるであろうイカサマ』を引き起こしているのではないか? そう推測する。
「ホワイトラビット、思っていた以上の実力だな」
実際のところ、彼女に聞いてみない限り真相は不明だが勝てているのならば今はそんな事を気にしている場合ではない。
この機は逃さないとばかりに、魎夜は更なる勝ちを拾い続けていくのであった。
大成功
🔵🔵🔵
黒木・摩那
ザナドゥ世界の賭場はいかがわしさが他の世界と比べても飛び抜けてますね。
ストレスMAXなだけにギャンブルで日々のウサを晴らそうとする、
というのはわからないではないですが、
後が怖いですね。
潰して良い賭場ということですから、遠慮なくやらせてもらいましょうか。
勝って勝って勝ちまくって、賭場を破産させましょう。
やるのはルーレット。
もらったウサギのおもちゃで、イカサマAIのセキュリティに沈黙してもらって。
あとはルーレットの球を【念動力】で操作すれば、1点賭けで連勝街道爆進ですよ。
●36倍ラッシュ
(ザナドゥ世界の賭場はいかがわしさが他の世界と比べても飛び抜けてますね)
カジノ内を見渡しながら黒木・摩那(冥界の迷い子・f06233)が思わず顔をしかめる。
血走った目で博打に挑む者の他にも、とても言葉に出来ないようなおぞましい光景を見てしまったようだ。
(ストレスMAXなだけにギャンブルで日々のウサを晴らそうとする、というのはわからないではないですが、後が怖いですね)
ふと、近くの換金所に目を向けてみれば、必死の表情で自らの体の一部を担保にしようとする者の姿があった。
……なるほど、ああやってこの世界の住民は破滅していくのか。
(一刻も早く、ここを叩き潰さなければなりませんね)
あんな邪悪なカジノは今日限りで閉店させねば。
これ以上、新たな犠牲者を出さないためにも摩那は勝負に挑む。
「只今、ルーレットの参加者のエントリー受付中でーす!」
「すいません、まだ参加は出来ますか?」
ルーレット台の前で呼び込みを行っているレプリカントを目にした摩那が尋ねる。
どうやらこのゲームで大稼ぎするつもりのようだ。
「はい、あと一分ほどでエントリーを締め切りますのでお早めにどうぞー」
レプリカントの付けているサイバーグラスが『ウエルカム!』の文字を横に表示しつつ、問いに答える。
「では、私も参加します」
迷う事なく、ルーレットのゲームに参加を決めた摩那が席に着く。
彼女の周りには一攫千金を狙わんと、他の参加者も数名エントリーしているようだ。
「それでは今回のゲームを始めます。今から二分以内にベットを済ませて下さいね」
ディーラーのレプリカントがそう告げると、装着しているサイバーグラス上に残り時間が表示される。
各々がどこに賭けるかを悩む中、摩那は即座にベットする場所を宣言した。
「赤の7番に手持ちを全部」
ドンッ、とクレジットを7番にベットすると周囲がざわめく。
摩那がベットしたのはインサイドベットのストレートアップ……一点のみに賭けると言う物で、もし当たれば配当倍率は36倍だが、手持ち全部と言う事は負けた時点でゲームオーバーも同然だ。
一見すれば無謀としか思えない賭けではあるが……?
「ベットタイム終了です。それでは、ルーレットを回します」
ディーラーのサイバーグラスに『グッドラック!』の文字が流れ、ルーレットが高速で回り出す。
本来ならばここでイカサマAIが機能し、参加者が賭けた場所にボールが落ちる事は絶対にない(当たりやすいアウトサイドベットならば多少は違う)のだが、今はホワイトラビット手製のおもちゃで無効化されている。
だとすれば、やる事は一つだ。
(むんっ)
摩那は念動力でウィールの中を走るボールを軽くコントロールすると、急に勢いの落ちたボールが赤の7番に吸い込まれる。
「赤の7番……お、大当たりです!」
ディーラーが信じられないと言った様子で勝ちを告げると、まさかの大当たりに周囲がどよめき出す。
全額賭けたクレジットが36倍になって帰ってきた事に摩那がニヤリと笑った。
「これは幸先いいですね。では、続けましょうか……00番で一点勝負、全部です」
再び迷わず全額ストレートアップを狙う摩那。
二度目の回転もボールの念動力コントロールを駆使し、狙った数字に転げ落ちた。
「00番……ま、またまた大当たりです!」
そして二度目の大当たりで36倍の稼ぎが更に36倍に増えた。
サイバーグラス上に『マジで!?』と言う文字が表示されている辺り、ディーラーも驚愕しているようだ。
(潰して良い賭場ということですから、遠慮なくやらせてもらいましょうか。勝って勝って勝ちまくって、賭場を破産させましょう)
厄介なイカサマがなければこっちの物。
情け容赦ない摩那の荒稼ぎタイムはまだまだ始まったばかりだ。
大成功
🔵🔵🔵
ブリュンヒルデ・ブラウアメル
フム、カジノか……
いや、我はその玩具はいらんエンドブレイカーである我にはな
やるのはルーレット
数百万を複数個ベットした上でこう提案する
複数回に分けてルーレットを行う
一つでも外したら掛け金は0
しかし全部当てたなら36のn乗数の掛け金を齎す……
どうだ?面白いと思わないか?
そんな風にギャンブルを提案し、相手が乗ったならUCを発動
『終焉』を破壊する
それが我らエンドブレイカーの唯一にして最大の武器
歪められた因果を正した後、因果を繋ぎ直す
それが我らエンドブレイカーなのだ
全部当てた事で天文学的な支払金を貰い、その内2割はカジノの全員に分けてあげるぞ
これで今借金している全員がチャラになったぞ
良かったな
●博徒達の|終焉《エンディング》をブチ壊せ
「フム、カジノか……」
メガコーポのカジノを叩くのはこれが二度目となるブリュンヒルデ・ブラウアメル(蒼翼羽剣ブラウグラムの元首『剣帝』・f38903)は、一人呟く。
この世界には人々を堕落させ、何もかもを搾取する悪しきカジノが山のように存在している事から、ここも氷山の一角でしかないのだ。
(それでも、ここを叩き潰せば確実に救われる人々がいる。ならば、やるまでだ)
強い決意と信念を胸に、ブリュンヒルデはカジノの入口へと足を踏み入れる。
「ところで、私の装置は……」
「いや、我はその玩具はいらん。エンドブレイカーである我にはな」
その際、ホワイトラビットからの問いをブリュンヒルデは不要と即答する。
最悪の|終焉《エンディング》を叩き潰す事の出来るエンドブレイカーである彼女からすれば、その身一つあれば十分と言う訳か。
「……なるほど、その顔は勝算アリって事ですね。なら、期待してますよ」
自身に満ち溢れた表情をしているブリュンヒルデを見て、『彼女は只者ではないな』と察したホワイトラビットは笑顔で送り出す。
「ああ、見ているといい。エンドブレイカーの力をな」
ブリュンヒルデはそう返し、勝負の場へと赴く。
彼女が向かう先はルーレット台だ。
「さて、始めるとしようか」
ルーレットの席に着くと、以前にカジノを叩き潰した事で稼いだ大金を迷わず複数個ベットするブリュンヒルデ。
その額は一つにつき数百万と、ここにいる博徒達が見れば驚愕する程だ。
「ええと、ベットは済みましたね? それではルーレットを……」
「ああ、ちょっと待った。一つ提案なんだが、いいか?」
予想外の額を賭けた事にディーラーのレプリカントが驚きつつも、ゲームを始めようとしたところでブリュンヒルデが声を掛ける。
「複数回に分けてルーレットを行う。一つでも外したら掛け金は0、しかし全部当てたなら36のn乗数の掛け金を齎す……どうだ? 面白いと思わないか?」
「え、えぇ……? しょ、少々お待ち下さい」
荒唐無稽な提案に固まるディーラーだったが、通信機で確認を取る。
おそらくはカジノ支配人に許可を得ようとしているのだろう。
「……はい、はい。分かりました、ではそのように。……提案に乗りましょう」
そこらの金欠のマケグミ共とは違って、余程の金持ちがイカサマで金をドブに捨ててくれるのなら、願ったり叶ったり。
きっとそんな会話があったのだろう、ディーラーはブリュンヒルデの提案を飲んだ。
「よし、では勝負と行こう」
ブリュンヒルデがニヤリと笑うと、一か八かの特別ルールのゲームが始まった。
結果だけ言えば、勝負は信じられない事になった。
――ブリュンヒルデの全勝である。
賭けた数百万クレジットの36倍重ねもあり、その払い戻し金額は天文学的なレベルにまで至り、カジノ内が騒然となったのは言うまでもない。
本来ならばイカサマAIが確実な勝ちを拾うところであったが、エンドブレイカーであるブリュンヒルデは『|蒼翼の終焉破壊・終焉破壊の基礎たる我が瞳《ブラウアフリューゲル・イェソドアイズ》』を使い、敗北と言う|終焉《エンディング》を叩き潰したのだ。
歪められた因果を正した後、因果を繋ぎ直すエンドブレイカーにイカサマAIごときは通用しないと言う事か。
「払い戻し額は……ふむ、上々だ。では、この内の二割をカジノの全員に分けてあげるとしようではないか」
「えっ、そ、それは……」
まさかの提案にディーラーも困惑する。
そんな事をされてしまえば、こちらの商売あがったりだ。
「我が勝って得た金だ、どう使おうと自由だろう? ……さあ皆の者、これで借金はチャラだぞ」
「「「ウオォォォーッ!!」」」
正論を前に言い返せないディーラー、思わぬ大金が転がり込んで借金はおろか、臨時の大金が入ってきた事に歓喜する博徒達。
これでここにいる彼らは救われたと言ってもいいだろう。
……そしてこれだけの騒ぎになれば、用心棒も黙ってはいまい。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『マフィア・トルーパー』
|
POW : 暗黒街の襲撃者
戦場の地形や壁、元から置かれた物品や建造物を利用して戦うと、【サイボーグアームと一体化した機関銃】の威力と攻撃回数が3倍になる。
SPD : 裏社会の惨殺者
【ブッチャーナイフを何度も叩きつける攻撃】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
WIZ : 鉄の掟
自身の【組織からの命令を絶対に遂行するという掟】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
イラスト:滄。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●マフィア・アタック
猟兵達とホワイトラビットが短時間で稼いだ額は凄まじい物であった。
総額は実に億単位に届くかどうかと言う程で、このカジノからすれば大損害レベルだ。
「支配人、イレギュラーです! それも異常な額を稼がれています!」
「ええ、こっちからも見えてるわ。一体どんな手を使ったのかは知らないけど、これ以上好きにさせる訳にはいかないわねェ……コードイエロー発令、直ちに始末なさい」
「イエスマム!」
忌々しげにモニターを眺める支配人は、即座に用心棒の派遣を命令する。
これだけの額を稼がれた上、もし勝ち逃げされたともなれば親会社――ミカド・ザイバツから大目玉を喰らう事は避けられまい。
「逃がさないわよイレギュラー、アンタ達は眠れるタイガーの尾を踏んでしまった……その事をアノヨで後悔なさい」
支配人がそう呟くと、余裕たっぷりで特等席からカジノ内の様子を見る。
用心棒の仕事ぶりを観戦しようと言うつもりのようだ。
「いやー、皆さんとんでもないですねぇ……もしかして賭けの天才なんです?」
払い戻し金額のカウンターが遂にはストップしてしまい、暇を持て余したホワイトラビットが猟兵達の稼ぎっぷりを称賛する。
正直、ここまでやるとは思ってもいなかったのだろう。
そしてこれだけ派手にやってしまえば、カジノ側から目を付けられるのも当然であり……
「おっと、遊びはそこまでだ。大人しくした方が苦しまずに済むぞ?」
そう告げられると同時に、黒服の男達――マフィア・トルーパーに包囲される。
予知にあった用心棒とはこいつらの事だろう。
「ちょ、なんですかいきなり!? 私達は普通にゲームを楽しんで……」
「シラを切る気か? ……とっくにバレてんだよ。やりすぎたんだ、お前達はな」
連中の右腕と一体化した機関銃は全てこちらに向けられており、ここから逃がすつもりはないようだ。
「ア、アワワ……」
この危機的状況を即座に察したホワイトラビットは恐怖のあまり、縮こまってしまう。
例えるならば失禁寸前だ。
いくら超天才ハッカーのホワイトラビットであっても、戦闘能力は皆無なのだから仕方ないと言えば仕方ないのだが。
「あ、あの、私、安全なところに隠れてますので、後はお願いします……」
ホワイトラビットは震える声でそう言うと、間近のゲーム機の下に隠れる。
少なくとも戦闘中はそこから動く事はないはずなので、邪魔にはなるまい。
ならば早速用心棒を迎え撃ち、支配人をこの場に引きずり出してしまおう。
派手なパーティーの始まりだ!
暁星・輝凛
どうやら餌に釣られてくれたらしい。
じゃ、敵陣一掃と行こうか!
ホワラビちゃんの隠れ場所を背に床を横一閃。
挑発のためと【覚悟】を決めるために、ラインを作る。
「ここまでだ。ただの1人も、ここから先には進ませない」
敵の攻撃は【見切り】【受け流し】、しばらくは守りに徹する。
要は体に命中させずに捌くんだ。そうすれば敵の能力も発動しない。
凌いでるだけじゃ敵も調子づいてくるだろうけど、それが僕の狙いだ。
「――このくらいか。お集まりいただき感謝するよ」
UCを発動し、集めた敵を、一気に光エネルギーの奔流で吹き飛ばす!
あとは簡単、残って狼狽えてる敵を倒していくだけでいい。
「僕、団体さんのおもてなし、得意なんだよね」
●ただ一人のための絶対防衛線
「ここまでだ。ただの1人も、ここから先には進ませない」
大勢の用心棒に囲まれているにも関わらず、輝凛は全く物怖じする事なくマフィア・トルーパーの前に立ちはだかると、気高き獅子座の煌星剣『レグルス・レガリア』を床に一閃し、一本のラインを刻む。
このラインの後ろにはゲーム機の下に隠れて震えているホワイトラビットがおり、彼女には指一本触れさせまいと言う輝凛の覚悟が感じられる。
「なんだ? あの小娘を庇うつもりか?」
「ハッ、大した度胸じゃあねえか。これだけの数を前にいつまで持つか見物だな」
「小娘は後回しだ、先にこいつをバラしちまうぞ!」
マフィア・トルーパーが一斉にブッチャーナイフを取り出し、構えた。
これまでこのカジノに発生したイレギュラーを切り刻んできたと思しき刃はギラリと鈍い輝きを放ち、獲物の血を求めているようにも見える。
「三人、四人と言わず、まとめてかかってくるといいよ。全員相手するからさ」
レグルス・レガリアを手にし、マフィア・トルーパーを挑発する輝凛。
彼には勝算があるのか、一人で多人数を相手にするつもりのようだ。
「ほう、そうかい。なら望み通り、俺達がもてなしてやろうじゃねえか」
「アノヨで後悔するなよ? ……ヤッチマエー!」
その直後、マフィア・トルーパーがブッチャーナイフを握り締め、襲い掛かってきた。
奴らはサイボーグである事から身体能力は高く、速い動きで輝凛に肉薄する。
「オラァッ!」
サイボーグのパワーも込めたブッチャーナイフが振り下ろされる。
機械化義体をも易々と切断するであろう一撃が放たれるが、そこは猟兵である輝凛。
持ち前の戦闘力の高さを生かし、攻撃を見切りつつレグルス・レガリアで受け流す。
「死にやがれ!」
更に別の方向からもブッチャーナイフの叩き付け攻撃が飛んでくるが、この攻撃もやはり難なく受け流される。
「なんだい、全然大した事ないね? そんなんじゃ僕に傷一つ付けられやしないよ?」
「野郎、言ってくれるじゃねえか。畳みかけるぞ!」
輝凛の挑発を受け、苛立ったマフィア・トルーパーが数を生かして猛攻を仕掛ける。
激しい攻撃が嵐のごとく飛び交い輝凛を切り刻もうとするが、その全てが彼の体に触れる事すら出来ないまま、幾度となく捌かれていく。
驚くべきは、彼が戦いの前に刻んだラインを相手側が一歩も超えられていない事だ。
「……こいつ、一体どこに目が付いてやがるんだ!?」
「だが、防戦一方なら俺達に勝ち目はある」
「なかなかしぶといが、お前もここまでだ」
輝凛が反撃してこない事に調子付いたか、マフィア・トルーパーはフォーメーションを組んで、じわりじわりと近付き、一斉に飛び掛かった。
……それが彼の狙いである事にも気付かずに。
「――このくらいか。お集まりいただき感謝するよ」
「何? ……グワーーーッ!?」
そしてこの時を待っていたとばかりに、輝凛が『|獅輝吼牙・眞月《レディアント・レオ・ルナヴァース》』で全身から月光の魔力と同調した金色の光の粒子を放出。
そこから光エネルギーの奔流で飛び掛かってきたマフィア・トルーパーを一気に……吹き飛ばした!
「なッ、なんだ!? 今のは……」
「戦闘中によそ見は命取りだよ、っと!」
「ぐあァッ!?」
仲間が数体一気に吹き飛ばされたのを目にし、狼狽する別のマフィア・トルーパーを容赦なく斬り捨てる輝凛。
数の差など物ともしない戦いっぷりだ。
「僕、団体さんのおもてなし、得意なんだよね」
輝凛はまだまだ余裕だとばかりに、残ったマフィア・トルーパーを見据える。
彼が刻んだ防衛線を奴らは1ミリも超える事すら出来ないだろう。
大成功
🔵🔵🔵
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
おや、結構掛かりましたねぇ。
参りましょう。
『FMS』のバリアをWラビットさんの隠れた機体周囲に展開し保護、自身の周囲には『FLS』の空間歪曲障壁と『FAS』の防壁を展開しますねぇ。
【襲撃者】は『機関銃』、空間歪曲で命中を避ければ暫くは問題有りませんので、そのまま【尅譴】を発動して戦場内の『全オブジェクト』を支配下に置き、利用出来ない様変形&操作しましょうかぁ。
同時に、その『オブジェクト』と『祭器』による攻撃は、サイボーグの皮膚装甲を無視する『内部破壊』と『治療不可状態の付与』が可能ですので、変形したテーブルや絨毯で押え込み、各『祭器』による[追撃]で一気に叩きますねぇ。
●オブジェクト・トラップ
「おや、結構掛かりましたねぇ」
マフィア・トルーパーに包囲された事に気付いたるこるは、先程まで稼いでいたビデオポーカーの台からそっと立ち上がると、素早く周囲の状況を確認する。
(ふむ、右腕に機関銃……攻撃はあの武器が主体になりそうですねぇ)
るこるは長年培ってきた戦闘勘を生かし、マフィア・トルーパーを分析する。
危険を察し、真っ先に隠れたホワイトラビットには戦う力がない事を奴らも理解しているのか、優先すべきターゲットからは外したと見ていいだろう。
しかし、戦闘中に流れ弾が飛んできて被弾・負傷の危険性は十分に考えられる。
向こうは自分達を抹殺するためならばカジノ内の被害は考慮せず、容赦なく鉛弾をこちらに浴びせてくるに違いない。
「では、参りましょう」
るこるは真面目な表情に切り替わると、装備している『祭器』を周囲に展開。
遊びはここまでだとばかりに戦闘体勢に移行する。
「なんだ? こいつが見えないのか?」
「構う事はねえ、半殺しにして使える部分だけは剥ぎ取らせてもらうぜ」
マフィア・トルーパーが好き勝手な事を口にすると右腕の機関銃を構え、発砲する。
見た目こそアンティークな機関銃だが、その威力は紛れもなく本物だ。
もし、まともに当たってしまえば文字通り蜂の巣にされてしまう事だろう。
「確かに当たれば痛いどころの話ではありませんが、当たりませんよぉ」
だが、るこるに向けて放たれた無数の鉛弾は自身が周囲に展開した祭器『FLS』の空間歪曲障壁があらぬ方向へと弾き、更には『FAS』の防壁が万一の被弾を防ぐと言う鉄壁の防御体勢によって、あっさりと無効化される。
「わひゃあぁっ!?」
その弾かれた鉛弾の一部が流れ弾として、ゲーム機の下に隠れたホワイトラビットのところにも飛んでいくが、その事も織り込み済みなのか『FMS』のバリアがしっかりと受け止め、事無きを得る。
……とは言え、間近に飛んでくる弾丸を目の当たりにする彼女からすれば、心臓に悪いと言うレベルでは済まされないのだが。
「こいつ……!? ただのオモチャと思っていたが、厄介だな」
「焦るな、俺達の戦い方をすれば負ける気はしねえ!」
こちらの機関銃が当たらない事に気付いたマフィア・トルーパーは『暗黒街の襲撃者』でゲーム機や柱、オブジェクトの影へ素早く転がり込むと、地形を生かした戦法に切り替える。
「ふむ? 地形を生かして戦うつもりですか。戦術としては悪くはありませんが」
向こうは機関銃の威力・攻撃回数が三倍になった事で、一気に攻めてくるかもしれないと踏んだるこるは『|豊乳女神の加護・尅譴《チチガミサマノカゴ・ゲンコクナルショケツ》』を発動。
その直後、マフィア・トルーパーの隠れている地形が全てぐにゃりと歪み、隠れていた姿を晒してしまう。
「えッ!? 柱が」
「見つけましたよぉ、そこですぅ」
「ぐぁッ!? う、腕が……ッ!」
そこへるこるは『FSS』の射撃を叩き込むと、右腕を無慈悲に粉砕する。
サイボーグの皮膚装甲を無視する攻撃は一発でも重傷レベルに等しい威力だ。
「マズい、移動を……な、なんだこれは!? テーブルが……わぁッ!?」
「じゅ、絨毯に飲み込まれる!? どうなってるんだ!!」
このままでは危険だと察し、慌てて移動しようとするも、歪んだテーブルや絨毯に抑え込まれ混乱するマフィア・トルーパー。
戦場内全てのオブジェクトを自在に操作・制御する尅譴の効果は、地形を利用するはずであった向こうの戦法を無残にもひっくり返した。
「逃がしませんよぉ、これで一網打尽ですぅ」
そして、最早まともに動けないマフィア・トルーパーに向け、祭器による追撃が叩き込まれると邪悪な用心棒は悲鳴にも近い叫び声を上げ、次々と爆散するのであった。
大成功
🔵🔵🔵
黒木・摩那
さて、予定通り怖い人達が出てきましたね!
しかし、こんな下っ端を出しても、お金は返ってきませんよ。
もっと偉い人を出したくなるような状況にしないといけませんね。
そのためには下っ端には早々に退場してもらいましょう。
ヨーヨー『エクリプス』で戦います。
賭場の防犯カメラを【ハッキング】します。
機関銃はテーブルの影でやりすごしつつ、
防犯カメラの画像から、マフィア達の居場所を特定します。
特定できたところからUC【七星八極】を発動。
【電撃】も籠めたヨーヨーで倒していきます。
●ヨーヨーは機関銃よりも強し
ルーレットで荒稼ぎをしていた摩那の元にもマフィア・トルーパーがやってくる。
一人に対して十数人、半ば過剰な戦力を投入するとは向こうも本気のようだ。
(カジノで勝ち続けたら怖い人達が出てくる……実際に起きる物なんですね)
現れた敵を迎え撃つべく、摩那は席から立ち上がる。
先程まで同席していた客は身の危険を感じたか、既にその場から逃げ去った後だ。
「……随分と大勢でのお出迎えですけど、そんなに稼がれるのが嫌なんです?」
「これだけ派手に稼がれたんじゃ、ここが傾いちまうんでな。ま、そう言う事だ」
奴らの口ぶりから、自分以外にも仲間達が相当な額を稼いだ事は容易に想像出来る。
元より客を勝たせる気のない、イカサマAIを破られて荒稼ぎされたともなれば尚更だ。
「しかし、こんな下っ端を出しても、お金は返ってきませんよ」
「フン、お前達がここで死ねば稼ぎはチャラだ。それくらいの事は俺達にも出来る」
そう言うと、マフィア・トルーパーが右腕の機関銃をこちらに向ける。
言うまでもないが向こうはやる気だ。
「仕方ありませんね。下っ端には早々に退場してもらうとしましょう」
ここで用心棒を倒し、支配人を引きずり出せねばカジノを叩き潰す事は出来ない。
摩那は愛用のヨーヨー『エクリプス』を取り出し、構える。
「なんだ、そんなオモチャで俺達と戦うのか? 余程の自信か、或いはただのバカだな」
「ならば試してみますか?」
「……面白え、出来る物ならやってみな!」
マフィア・トルーパーの一人が左手を上げると同時に、右腕の機関銃が一斉に火を噴く。
向こうが発砲する直前、摩那は前転でルーレットから隣の台へと転がり込むと、その少し前まで彼女がいた場所に、間一髪で無数の鉛弾が地面を抉る。
同じ頃、ちょうど射線上にいた運の悪いルーレットのディーラーであったレプリカントが鉛弾の餌食となり、バラバラに破壊された。
「……カジノ従業員をも犠牲にするとか血も涙もありませんね」
転がったレプリカントの残骸を目にし、摩那は用心棒の無慈悲さを改めて知る。
だからこそ、こちらも容赦せずに戦えると言う物ではあるのだが。
「さて、どう反撃を……っと、そろそろこのテーブルも持ちそうにありませんか。急がないと」
鳴り止まない機関銃の銃声の中、その場に釘付けにされた摩那は自身が隠れているテーブルの耐久度が限界を迎えている事を察し、いかに反撃するかを急ピッチで考える。
「何は手は……そうだ、確か監視カメラが……!」
ゲームを始める前にカジノ内を見渡した際、当然のように備え付けられていた監視カメラの存在を思い出した摩那は直ちにハッキングを仕掛けると、スマートグラス『ガリレオ』に映像を映し出す。
どうやらマフィア・トルーパーは広範囲に展開しつつ、半包囲気味の陣形を組んでいるようだ。
「……よし、相手が見えた。目標設定、軌道計算完了……シュート!」
敵の位置が把握出来ればこっちのもの。
摩那はその場で『|七星八極《グラン・シャリオ》』を発動すると、エクリプスが不可解な軌道を描きつつ放たれる。
エクリプスは遠回りしながらマフィア・トルーパーの足元を這うように進み、ワイヤーが脚に絡み付くと別のマフィア・トルーパーの脚にも次々と絡まっていく。
「ん、なんだ? 今、脚に何か絡まったぞ?」
「気にするな、それよりもあの女の隠れた場所……アッバババババーッ!?」
……次の瞬間、マフィア・トルーパーが一斉に凄まじい電撃に全身を焼かれ、絶叫!
そしてその場にバタバタと倒れ、二度と動かなくなる。
摩那のエクリプスをただのオモチャと侮りすぎた事が原因で、奴らは一網打尽にされたのであった。
大成功
🔵🔵🔵
暗都・魎夜
【心情】
ま、この辺は命知らずなハッカーとかじゃなくて、年相応って感じだな
虎の尾を踏みに行く度胸は大したもんだが、引き際を間違っちまったってところだ
安心しな
これを次回に活かせるように、この場は必ず帰してやるさ
【戦闘】
敵の練度は決して低くねえし、サイボーグ化しての戦闘力は実際脅威だ
なによりマフィアとしての組織への忠誠心は侮れねえ
「その物騒なもの仕舞ってくれねえか? 姫様が怖がってるだろ?」
「天候操作」のUCを用いて、戦闘力を無害化
ラビットを「武器受け」「かばう」のと並行しつつ、「グラップル」で「気絶攻撃」
どんだけ無茶な動きしても、そもそもこの霧の中で俺らを傷つけることは出来ねえよ
●霧の中で
「うあぁぁぁー、なんでこんな事になっちゃったんですかぁぁぁ……!」
ゲーム機の下に隠れたホワイトラビットは小動物のように怯えていた。
そもそもにしてメガコーポに対し、このような事をしてしまったのだ。
根本的に命を狙われるリスクを考えすらもしなかったのだろう。
(ま、この辺は命知らずなハッカーとかじゃなくて、年相応って感じだな。虎の尾を踏みに行く度胸は大したもんだが、引き際を間違っちまったってところだ)
そんなホワイトラビットの様子を見た魎夜は思った事を口にはせず、敢えて心の中だけに留めておく。
「わ、私ここで殺されちゃうんですか……? まだやりたい事が山ほどあるのに……」
恐怖のあまり、気絶寸前のホワイトラビット。
武器を構えたマフィア・トルーパーに囲まれ、絶体絶命の危機に瀕した今の状況をどうにかしない限り、ここでゲームオーバーである。
「安心しな。これを次回に活かせるように、この場は必ず帰してやるさ」
魎夜はホワイトラビットにそう告げる。
彼女を生かして帰すのも猟兵の仕事の一つなのだから。
「……ホントですね!? もし死んだら呪いますよ!? 化けて出ますからね!?」
ホワイトラビットが半ギレ気味に返した様子を見て苦笑しつつ、魎夜はマフィア・トルーパーへと向き直る。
「その物騒なもの仕舞ってくれねえか? 姫様が怖がってるだろ?」
「姫様とは大きく出たな。これだけの数を前に余裕そうじゃあないか、ええ?」
数によるアドバンテージはこちらにあるのか、機関銃を下ろす事なくマフィア・トルーパーが上から目線で言い返す。
実際、すぐにでも発砲してイレギュラー共を蜂の巣にしてしまえばそれで済む話ではあるが、そうしてしまっては面白くない。
たっぷり恐怖を与えた上で、自分達のやった事を後悔させつつ死なせる……それが支配人から受けた絶対的な命令なのだ。
「やれやれ、交渉決裂か。……ま、こいつら相手に話が通じるとも思っちゃいねえが」
魎夜がそう口にした直後、カジノ内で異変が起きる。
彼の周囲に霧が突然発生し、辺りを少しずつ飲み込んでいくと、マフィア・トルーパー達もすっぽりと霧の中に包み込まれてしまったではないか。
これは一体……?
「なんだあ、こりゃあ? ミストか?」
「目眩ましのつもりか知らんが、そんな物が通じるとでも思ったか、マヌケめ!」
マフィア・トルーパーのサイバーアイがモードを切り替えると、霧の中に隠れた魎夜とホワイトラビットの姿が映し出す。
サイボーグ相手にこの程度の目眩ましなど効果はないようだ。
「すぐには殺さん、じっくり痛め付け……んッ?」
ターゲットを見つけ、機関銃を発砲しようとするが何かがおかしい事に気付く。
弾が……出ない?
先程、魎夜の放った『|魔蝕の霧《マショクノキリ》』が超武器封じの効果を発生させた事に、奴らは気付いていないようだ。
「機関銃がイカれたのか? 弾が出ねえぞ!?」
「クソッ、俺もだ! どうなってやがる……チッ、こうなりゃあ!」
訳も分からず困難するマフィア・トルーパー。
だが武器はまだあるとばかりにブッチャーナイフを取り出すと、霧の中の獲物に向けて襲い掛かる。
「死にやがれーッ!」
「そうはさせねえってよ!」
「グ、ワッ……!?」
ホワイトラビットへ襲い掛からんとしたマフィア・トルーパーの攻撃を難なく受け止めると、魎夜はそのまま重い一撃を叩き込み昏倒させる。
魔蝕の霧で戦闘力を無害化されている今となっては、赤子の手をひねるような物だ。
「そら、よっと!」
「ぐ、がッ!?」
「どんだけ無茶な動きしても、そもそもこの霧の中で俺らを傷つけることは出来ねえよ」
また一人、マフィア・トルーパーを叩き伏せる魎夜。
まともな力も発揮出来ず、何故やられたのかも分からないまま、奴らの意識は闇の中へとただ落ちていくのみである。
大成功
🔵🔵🔵
ブリュンヒルデ・ブラウアメル
面白い事を言う
不当な仕組みを用いたギャンブルで貧民を搾取し続けたのは貴様らの方
それを我らは奪い返して再分配しただけの事
まぁ、それに文句があるならば……かかって来るが良い
瞬間――『地水火空風の五大属性の戦略破壊級魔導剣』が振るわれ、ブッチャーナイフ諸共相手を消滅させるぞ
何せ『都市破壊』ですらなく『戦略破壊』――強化されたフォーミュラ能力を、我は振るっている
恐らくは、ミカド・ザイバツの君臨者――|CEO《オブリビオン・フォーミュラ》も持っているだろうが
――勝つのは、我らだ
そう言って銅像諸共オブリビオンの群れを吹き飛ばしていく
●カジノに吹き荒れる嵐
「お前か、マケグミ共に余計な真似をしたのは!」
「お前のせいでこのカジノは破滅寸前だ、この落とし前は付けてもらうぞ!」
ルーレットで途轍もない勝ちを得て、その稼ぎの二割をカジノ内で決して勝つ事の出来ないゲームに挑み続けてきた者達へ分配・借金を全て帳消しした事から、抹殺対象として狙われたブリュンヒルデの元にマフィア・トルーパーが駆け付ける。
……話し合いは無用、即座に殺せと言う命令でも受けているのだろう。
こちらに向けられた殺意は相当な物だ。
「面白い事を言う。不当な仕組みを用いたギャンブルで貧民を搾取し続けたのは貴様らの方
。それを我らは奪い返して再分配しただけの事」
当のブリュンヒルデはと言うと、まるで動じる事なく毅然とした態度で応対する。
その余裕さがマフィア・トルーパーをより苛立たせるのは言うまでもない。
「ええい、バカなマケグミ共から搾取する事の何が悪い!」
「メガコーポは力だ! この世界を大きく繁栄させてきたのだ! 我々が!!」
組織に対する忠誠心が自我に深く刻み込まれているのか、マフィア・トルーパーが声を張り上げて言い返す。
「まったく、話にならんな。まぁ、それに文句があるならば……かかって来るが良い。我を殺せば、少なくとも幾分かは戻ってくるぞ?」
もっとも、それが出来ればの話だがな。
ブリュンヒルデはそう付け加え、相手を(敢えて)煽る。
「好き勝手言いやがって、この小娘が……」
「ならお望み通り、八つ裂きにしてやるぜ!」
当然、そうまで言われてはマフィア・トルーパーも黙ってはいられない。
ブッチャーナイフを取り出し戦闘体勢へと移行すると、ブリュンヒルデを包囲し一切の逃げ場を無くした上で、じわりじわりと近付いていく。
何分これだけの数だ、一人で相手をするのは厳しいに違いない。
ミカド・ザイバツを舐めた罰を徹底的に体に刻み込んでやろう。
奴らはそう思っていたのだが。
「ふむ、数だけは多いな。では、我の力を見せてやるとしようか」
ブリュンヒルデがそう口にした次の瞬間、何かがブンッと振るわれる。
何かをたった一振り……それだけで、そこにいたはずのマフィア・トルーパーが『文字通り』消えていた。
数人がごっそりと、まるで最初から存在していなかったかのように。
「……え?」
「あ?」
仲間が一瞬で消滅したと言うあり得ない光景を目の当たりにし、マフィア・トルーパーが唖然とする。
今のは一体?
何が起きたんだ?
「骸の海に還る前に教えてやろう。我のこの剣は『戦略破壊』――強化されたフォーミュラ能力を、我は振るっている」
その言葉と共に剣を振るうと、その先にいたマフィア・トルーパーが再び消滅する。
ブリュンヒルデが振るったのは『|蒼翼の終焉破壊・戦の理を破壊する五輪なる魔法剣《ブラウアフリューゲル・オリンピアブレイド》』、彼女が言うように強化されたフォーミュラの力だ。
この程度の相手には些かオーバーキルもいいところではあるが、相手は邪悪なオブリビオン……情けも容赦も一切不要である。
「こ、こいつ! よくも仲間を……」
「恐らくは、ミカド・ザイバツの君臨者――|CEO《オブリビオン・フォーミュラ》も持っているだろうが――勝つのは、我らだ」
仲間をやられ、逆上したマフィア・トルーパーが無謀にも襲い掛かるが、ブリュンヒルデは再び剣を振るい、跡形もなく消し去る。
最早相手にすらならない、と言ったところであろうか。
「どれ、行き掛けの駄賃だ。ここの破壊を手伝うとしよう」
まだ生き残っているマフィア・トルーパー諸共、カジノ内を破壊するブリュンヒルデ。
剣風がゲーム機やカジノ内の至るところに置かれた悪趣味な銅像、メガコーポの腐敗と繁栄を象徴した黄金像を吹き飛ばしていく
……この光景を目にしているであろう支配人は、きっと発狂寸前に違いあるまい。
大成功
🔵🔵🔵
ベティ・チェン
「出遅れた、けど。パーティには、間に合った」
「よっしゃよっしゃ、こーゆう依頼に喚べよなぁ、ベティ。っかー、オレっちのテンション爆・アガ・リぃ!」
「お宝全部、|異次元潜航《ねぐら》にしまっていい、から。換金は、後で手伝う」
「おぅ、コイン1枚残さねぇよ!」
2m超えドラゴニアンに人化していた次元潜航型30m級竜型巨神G-O-リアス|四龍《スーロン》を巨神形態に戻らせコイン景品クレジット等換金可能な物全ての強奪を許可
スーロンの好きに暴れさせる
「ドーモ、ジマワリ=サン。ベティ、デス。キリステ・ゴーメン!」
足を止めずヒット&アウェイ
自分の身長ほどある大剣(偽神兵器)振り回し敵のブッチャーナイフを握った腕ごと爆砕していく
敵の攻撃は素の能力値だけで回避
「スーロンは、竜の本能が爆発してる、から。ねぐらに持ち込んだお宝は、もうこの世には、出て来ない。あの金が、経済回すことは、もう、ない」
「フロッグ・イナ・ウェル。このカジノは、今日、終わった」
監視カメラの向こうにいる支配人に向けて、惨殺サインしつつ薄く笑う
●カジノ・ランペイジ
マフィア・トルーパーが猟兵達とホワイトラビットを包囲し、戦闘が始まった頃。
グリモアベースからゲートを抜け、サイバーザナドゥへとやってきた一人の猟兵がカジノに向けて全力疾走する。
遠目から見るに、どうやら中にいた客は粗方逃げ出した後らしく、別のマフィア・トルーパーが数人ほど入口を固め、侵入者を入れないようガードしているようだ。
「止まれ! 今、このカジノは立ち入り禁止……おい、突っ込んでくるぞ!?」
マフィア・トルーパーは右腕の機関銃を構えて威嚇しつつ、こちらへやってくる者に警告を発するが、そんな事は知った事かと向こうは走る速度を緩めない。
……よくよく見れば、武器を持っているではないか!
「もしかしたら火事場泥棒か中にいる協力者かもしれん、撃ち殺……グワーッ!?」
「「「アバーーーッ!?」」」
乱入者を直ちに迎撃しようとしたマフィア・トルーパーであったが逆に瞬殺され、入口ごと吹き飛ばされてしまう。
……奴らの不運は、向かってきたのが猟兵であると知らなかった事であった。
「出遅れた、けど。パーティには、間に合った」
邪魔者を吹き飛ばし、ようやくカジノ内に突入する事が出来た猟兵――ベティ・チェン(|迷子の戦闘犬《ホームレスキリング》・f36698)が口を開く。
最初の荒稼ぎにこそ間に合わなかったものの、その後の用心棒との戦闘にはちょうどいいタイミングでやってくる事が出来たようだ。
「よっしゃよっしゃ、こーゆう依頼に喚べよなぁ、ベティ。っかー、オレっちのテンション爆・アガ・リぃ!」
時を同じくして、ベティの隣にいる身長2m超えのドラゴニアンに人化していた巨神G-O-リアス『スーロン』が吠える。
ここで好きなように荒稼ぎ出来るともあって、やる気は十分。
今すぐにでも大暴れしたいと言ったところか。
「お宝全部、|異次元潜航《ねぐら》にしまっていい、から。換金は、後で手伝う」
「おぅ、コイン1枚残さねぇよ!」
そして主から許可をもらうや否や、スーロンが巨神形態に戻ると一足早くカジノ内へ突っ込んでいく。
この時を待っていたかのようなハイテンションっぷりだ。
「さあ、ボクも始めるとしよう」
ベティが一言呟くと、武器を手にしてスーロンの背を追うようにカジノ内へと突撃を開始する。
さあ、大暴れの時間だ。
「ハッハァー! 食べ放題だぜぇ!!」
スーロンはスロットマシンやゲーム機を一気に破壊すると、内部に貯め込まれていたクレジット素子をごっそり奪い取る。
当然それだけでは飽き足らず、破壊と略奪を繰り返しながらクレジット素子の他にも換金価値の高いゴールドコインや、純金製の彫像をも強奪していく。
「ワッザ!? なんだあれは!?」
「カ、カジノが破壊されて……う、撃て! 撃てェーッ!」
一方で、突然乱入してきた|謎の巨体《スーロン》を前に驚愕するマフィア・トルーパーであったが、無慈悲な破壊行為を行っている事もあり、それを止めようと機関銃を放つ。
……だが、豆鉄砲ごときであれだけの巨体に傷を付ける事など出来る訳がない。
「あーん? 邪魔臭い奴らだなぁ。ベティ、片付けといてくれよぉ」
「くそッ、全く効いていない……こいつはグワーッ!?」
かったるそうにスーロンが呟いた直後、機関銃を打ち続けていたマフィア・トルーパーが腕ごとまとめて吹き飛ばされる。
その直後、空中でクルリと一回転からの着地を決めた後でベティが武器を一度下ろしてアイサツをする。
「ドーモ、ジマワリ=サン。ベティ、デス。キリステ・ゴーメン!」
アイサツから0.3秒後、ベティは自分の身長ほどある偽神兵器を振り回し、マフィア・トルーパーに『|偽神侵食《ギシンシンショク》』を込めた攻撃を放つと、刃が接触した次の瞬間……屈強なサイボーグボディが爆砕!
あれだけの獲物を軽々と扱うとは、何たるワザマエか!!
「ド、ドーモ、マフィア・トルーパーです。あのデカブツもお前の差し金か!」
仲間が数人やられた後、アイサツを返すマフィア・トルーパーは忌々しげに叫ぶ。
例えいかなる相手であっても、アイサツはされたら返さねばならないのだ。
「そうだよ。ここが、邪悪なイカサマカジノと、聞いている。だから、潰しに、来た」
「ヌゥーッ、メガコーポに盾突く気か! ならば死ぬがいい!」
マフィア・トルーパーがブッチャーナイフを取り出す。
もし機関銃で戦ったとしても、近接武器を使う機動力の高い相手では近付かれた際に不利だと悟ったようだ。
「ヤッチマエー!」
「「「ウオォォォー!!」」」
そうして数に物を言わせ、マフィア・トルーパーが攻めてくる。
だが、ベティはニンジャ……素の機動力はすさまじく、向こうの攻撃を躱す事などあまりにも、容易い。
「遅い。イヤーッ!」
「「「グワーーーッ!!」」」
まるで風のような速度で相手の斬撃を回避し、スルリとマフィア・トルーパーの背後を取ると、振り向き様に偽神兵器の一撃を叩き込む。
その直後、偽神のエネルギーが相手のサイボーグボディに注ぎ込まれ、あっと言う間にキャパオーバーすると体の耐久力が耐えきれず、そのまま全身が爆砕した。
最早戦闘力は歴然だ。
「な、なな、なんたる事なの……ア、アタシのカジノが……!」
その頃、カジノ支配人は悪夢のような光景に気絶寸前であった。
自慢の用心棒達はその大半がやられた上、贅を尽くしたカジノが目の前で破壊されているどころか、現在進行形で略奪されている真っ最中なのだ。
損害額は……言うまでもあるまい。
「スーロンは、竜の本能が爆発してる、から。ねぐらに持ち込んだお宝は、もうこの世には、出て来ない。あの金が、経済回すことは、もう、ない」
そこへ支配人室のモニター越しにベティが監視カメラから支配人に向けて無慈悲な言葉を放つ。
おそらく彼女の声は、奴に届いている事だろう。
「フロッグ・イナ・ウェル。このカジノは、今日、終わった」
惨殺サインしつつ薄く笑うベティ。
いよいよこの邪悪なカジノにも最後の時が迫ろうとしていた……。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『重装型頭脳戦車『タヂカラオ』』
|
POW : 絶対防御形態『イワト・ディフェンス』
全身を【絶対防御形態】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
SPD : 三兵器『サンゴッド・ウェポン』
【超電磁砲『ムラクモ』】【ガトリング砲『ヤサカニ』】【エネルギーシールド『フツカガミ』】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
WIZ : 小型頭脳戦車『スクナビコ』
レベル×5体の、小型の戦闘用【頭脳戦車『スクナビコ』】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
イラスト:V-7
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「仇死原・アンナ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●オウゴンキョウ・ファイナルショーダウン
「……お、終わりました、よね……?」
戦いの後、隠れていたホワイトラビットがゲーム機の下から這い出てくる。
彼女が目にしたのは、激しい戦いで破壊され尽くしたであろうカジノの内部や、そこら中で無残な屍を晒しているマフィア・トルーパーの姿であった。
あれだけ騒がしかったカジノも大分静かになってしまった、と言ったところか。
「う、うひゃあぁぁぁ……とんでもない事になっちゃいましたねぇ。……わ、私達に盾突くからこうなるんですよ! バーカバーカ! ポンコツ! センス無し!」
命の危機を脱する事が出来て安堵しつつ、死体に向かって悪態を吐くホワイトラビット。
死にそうな目に遭っても、調子に乗る性格は変わらないようだ。
「……おほん、後はここから脱出するだけですね! 幸い今回の稼ぎは」
咳払いの後、ホワイトラビットが言いかけた次の瞬間、突然耳障りなブザー音が鳴り響き、カジノ内が回転赤色灯の光に包まれる。
と、同時に出入口や非常口、窓の全てがシャッターに閉ざされ、一行は完全に逃げ場を失ってしまう。
「え、えぇっ!? こ、今度は何ですかぁ!?」
これで生きて帰れると思っていたホワイトラビットが再びビビり出す。
どうやら最後に討つべき敵が現れるようだ。
「……逃がさないわよ、ネズミ共がァ!」
突然カジノ内へと鳴り響いた野太い声と共に、エントランスから全長5mはあろうかと言う大型の頭脳戦車が壁を突き破って、その姿を現した。
一体どこにあんな物が?
……もしや、あの|悪趣味な彫像の中《エントランスに鎮座していた像》に仕込まれていたのか?
いずれにせよ、カジノ支配人をここに引きずり出す事が出来たのは確かだ。
「よくもアタシのカジノで好き放題やってくれたわねェ。生かして帰さないわよォ!」
現れた重装型頭脳戦車『タヂカラオ』に搭乗しているカジノ支配人が、スピーカー越しに吠える。
表情は見えないが、これだけ派手にやったのだ……激怒しているのは想像するまでもあるまい。
「ぴゃあぁぁぁ!? も、もうおしまいですーーー!?」
タヂカラオから発せられる怒声に、ホワイトラビットが思わず腰を抜かす。
あの威圧感を前に彼女もチビってしまったようだ。
「あ、えと……私、また安全なところに隠れますので……後はお願いしますね……」
そして、そのまま情けない姿勢で離れた場所……トイレに隠れるホワイトラビット。
少なくとも先程同様、戦闘の邪魔にはならないようだ。
「フン、逃げ場なんてないのに無駄な事を。ま、あのネズミは最後になぶり殺しにするとして……まずはアンタ達からよ、覚悟はいいわねェ!」
ホワイトラビットの事など眼中にないのか、支配人はこちらに狙いを定めた。
……ならば好都合だ。
ここでタヂカラオ諸共、支配人を倒してカジノにトドメを刺そう!
ブリュンヒルデ・ブラウアメル
虚空から現れる『空間に刻まれた斬撃』よ…切り刻め
砲撃を翼を広げて掻い潜り、そのまま肉薄してからUC発動
黒騎士アンヘルのUCが一つをお見舞いしてやろうじゃないか
我とて、過去属性アンヘルブラックの力を振るう事は可能
そのまま三兵器『サンゴッド・ウェポン』の兵装を斬滅して破壊
しかしあの悪趣味な像に隠してあったとはな…
ム?なら先程の攻撃でダメージがあるやもしれぬ
なら、そこを攻撃だ!
脆弱性が生まれた所を集中的に攻撃し、そのまま追撃
あの金塊は我が頂こうーーこのカジノを終わらせてな
虚空より浮かび上がる斬撃でトドメを刺してそう告げる
●対決、タヂカラオ
「ようやく黒幕のお出ましか、図体だけは無駄に大きいものだ」
最後に倒すべき相手を前に、ブリュンヒルデは武器を構える。
こいつが数多の人々を破滅に導いた元凶ともあれば、一切の慈悲は不要だ。
「フン、そう言ってられるのも今の内よ! このタヂカラオはミカド・ザイバツのテクノロジーをふんだんに投入した頭脳戦車、戦闘力は折り紙付きなのよォ!」
そうタヂカラオの力を豪語する支配人。
実際、このタヂラカオは払い下げになった軍の旧式多脚戦車ではあるが、それをメガコーポが買い取り、最新技術による改造を施した事で現行の兵器にも匹敵する程の戦闘力を得たのだ。
それ故、侮れない相手なのは確かだろう。
「さあ、まずはアンタからよ! こう言うやり方はアタシの趣味じゃないけど、跡形もなく消し去ってやるわァ!!」
ガコンッ、とタヂカラオの巨体からガトリング砲『ヤサカニ』が現れると、盛大に火を噴き無数の弾丸がブリュンヒルデを襲う。
更にそこへ機体下部にある超電磁砲『ムラクモ』が光を収束し、光条を放出。
いきなりの高火力攻撃が炸裂する。
「黒騎士アンヘルのUCが一つをお見舞いしてやろうじゃないか……切り刻め」
だがブリュンヒルデは翼を広げて弾幕を掻い潜り、肉薄。
そのまま『|蒼翼の終焉破壊・消える事無き過去の黒刃《ブラウアフリューゲル・ノワールアンジュ》』による空間に刻まれた斬撃で反撃すると、ガトリング砲の砲身が切り落とされた。
「んなッ!? そんな攻撃、フツカガミで……!」
思わぬ攻撃を受けたタヂカラオはエネルギーシールド『フツカガミ』を瞬時に展開。
次に来るであろう斬撃を防がんとする。
「そんな物でアンヘルブラックの力を止められると思ったか」
しかし、フツカガミ程度でブリュンヒルデの空間に刻まれた斬撃を防ぐ事など出来はしなかった。
シールドは易々と破られ、シールド発生装置に大きく傷が刻まれる。
この様では直ちにシールドを再度展開する事は出来まい。
「そしてもう一つ!」
「あ、あぁぁぁーッ!? 武装が……なんて事なのッ!?」
更に斬撃が叩き込まれ、ムラクモが破壊された事で三兵器『サンゴッド・ウェポン』が機能不全に陥ってしまう。
これには搭乗している支配人も驚愕する他あるまい。
(しかしあの悪趣味な像に隠してあったとはな……木を隠すなら何とやら、か)
まさかエントランスにあった、あの巨大な彫像の中にタヂカラオを隠してあった事まではさすがに読めなかったらしく、その辺りだけは支配人が一枚上手であったか、とブリュンヒルデは思う。
「ム? なら先程の攻撃でダメージがあるやもしれぬ」
そんな中、マフィア・トルーパーとの戦いの最中、カジノ内の破壊行為を行っていた際にエントランスの彫像にも多少なりともダメージが行っていたのではないかと直感したブリュンヒルデは、タヂカラオの巨体を観察する。
……よくよく見れば、ごく小さな部分だが破損個所のような物があるのを彼女は見逃さなかった。
「あの金塊は我が頂こう――このカジノを終わらせてな」
そう言い小さな破損個所に追撃を仕掛けるブリュンヒルデ。
狙い通り、更なるダメージを与える事に成功したらしく、タヂカラオの損傷度は確実に上がっていく。
「さて、我がこのまま叩き潰してもいいが、それでは面白くない。……我々、第六の猟兵の力を存分に味わった上で骸の海へ還るがいい」
「な、生意気をぬかし……ア゛ァ゛ァ゛ーッ!? き、緊急修復を……!」
その言葉と共に脚部へ斬撃を叩き込むとタヂカラオがバランスを崩し、転倒した。
……支配人はブリュンヒルデの言葉をこの後、嫌と言うほど思い知る事となる。
大成功
🔵🔵🔵
暁星・輝凛
まず後の布石として、挑発しておくよ。
「やあどうも、元締めさん。稼がせてもらったよ……ま、僕には端金だけど」
気軽に手なんか振ってやろう。
「店内の清掃はなってない、接客態度もお粗末で、支配人には品がない。ほんとご立派なカジノだね?」
絶対防御形態は厄介だけど、全く動けないなら攻撃もできないだろう?
僕を仕留めるために、一度必ず解除する筈だ。
そのタイミングを導くために、僕は暫く攻撃し続ける。
そしてわざと疲弊してみせるんだ。
頭に血が上ってれば、すぐにも僕を殺そうとするだろう。
そこを【見切って】UCを発動する。
攻撃を【受け流し】、返す刃で装甲ごと叩き切るのさ。
「彼女は殺させないし、僕も死ぬつもりはないね!」
●一瞬に『賭けろ』
「やあどうも、元締めさん。稼がせてもらったよ……ま、僕には端金だけど」
自己修復機能をフル稼働させ、転倒から立ち上がったタヂカラオの前にはフレンドリー(?)に手を振る輝凛の姿があった。
実際のところ彼は相当なまでに稼いだ訳だが、ここで敢えて『端金』と口にする辺り、何かしらの狙いがあるようだ。
「は、端金ですって……!? あれだけ稼いでおきながら、よくも……」
「店内の清掃はなってない、接客態度もお粗末で、支配人には品がない。ほんとご立派なカジノだね?」
そこへ更に容赦のない言葉を支配人へと浴びせる。
表面上はクリーンで清潔、そして客に対する態度も優良と言うイメージを大事にしている当カジノに対し、そんな事を言われて黙っていられるはずもない。
「アンタ……今、なんて言った? アタシのカジノがなんだって?」
「おや、聞こえなかったのかい? なら分かりやすく言ってあげるよ、『ここはロクでもない、ゴミのような薄汚いカジノ』だね」
更に火に油を注ぐような言葉の追撃。
これには支配人の怒りが即座に爆発する。
「……ンだとゴラァァァッ!?」
抑えていた本性を露にし、激怒する支配人。
タヂカラオに搭乗しているため表情は見えないが、さぞ醜い顔をしているに違いない。
「さて、こんなひどいカジノは今日で終わりにさせてもらうよ」
レグルス・レガリアを構え、輝凛がタヂカラオに飛び掛かると斬撃を放たんとする。
だが、タヂカラオは彼の攻撃に対し、素早く全身を可変させると防御形態に変化。
攻撃をあっさりと弾いてしまう。
「なっ!? これは……!」
「フフン、これがタヂカラオの絶対防御形態『イワト・ディフェンス』よォ! いくらアンタ達の攻撃が苛烈であっても、このディフェンスを破る事は出来やしないわッ!」
無敵の防御形態に勝ち誇る支配人。
奴の言うように、この形態を破る事は猟兵とて極めて困難だろう。
「……なるほど、これは少しばかり手応えのある相手って訳だね」
ならば押し通すまでだとばかりに、輝凛は攻撃を続ける。
レグルス・レガリアの他にも『AL015RD ムラマサエッジ・ハイカスタム』の二刀流を用いて手数を生かした攻撃を仕掛けるが、やはり攻撃が通じている様子はなく、体力を浪費するばかりだ。
「く……これだけやっても攻撃が通らないなんて……」
連続攻撃の嵐を前にしても、タヂカラオに傷一つ付いていないのが信じられないと言った様子の輝凛。
ここまでのラッシュで息も上がっているようだ。
「あら、もう終わりかしら? それじゃあアタシの番ねェ……このカジノを愚弄した罪は償ってもらうわよォ!」
タヂカラオがイワト・ディフェンスを解除し攻撃体勢に移行、超電磁砲『ムラクモ』にエネルギーがチャージされる。
疲弊していれば躱す事も出来ないと踏んだのだろう。
「チャージ完了、消えなさ」
「……――|噛み《神》殺せ、輝きの牙!」
そしてムラクモを発射した直後、疲弊していたはずの輝凛が動いた。
光の奔流を見切り、受け流したと同時に『|獅輝剛双牙《レディアント・オーバーファング》』によるカウンターが叩き込まれる。
最初に挑発をしたのも、連続攻撃で疲弊したのも、全てはこの時のための布石であったのだ。
「なッ、なんですってェェェッ!?」
強固な装甲ごと脚部を叩き斬られ、支配人の叫びと共に倒れ込むタヂカラオ。
――無敵の防御を破るなら、その解除した瞬間を狙うしかない。
そのために相手の頭に血を上らせておけば、最大の隙を晒してくれる。
全ては輝凛の仕組んだトリックに奴はまんまと引っかかった、と言う訳だ。
「彼女は殺させないし、僕も死ぬつもりはないね!」
相手を手玉に取った輝凛が不敵に笑う。
この賭けは僕の勝ちだ、と。
大成功
🔵🔵🔵
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
中々面白い手ですねぇ。
『FLS』で全『祭器』を展開後、空間歪曲障壁を展開しまして。
『FMS』のバリアと『FES』の対物結界を重ねれば、通常砲撃程度は問題有りません。
また【絶対防御形態】に変化した場合は、無視して入口等のシャッターを破壊し始めれば、逃がすわけにいかない敵機は解除して動かざるをえないですぅ。
そして【垩畃】を発動、『祭器』強化と共に『戦場内の時空間に接するもの』を支配しますねぇ。
ええ、密着する『空間』自体も内部に攻撃を送り込む『武器』と出来ますし、周囲には先程のマフィアさん達が遺した多数の武器が転がっておりますぅ。
さて、各『祭器』と共に一斉攻撃と参りましょう。
●裏切りの銃弾
(ホワイトラビットさんは、思った以上に荒事に慣れていなかったみたいですねぇ)
るこるはふと、トイレに逃げ込んだホワイトラビットの事を思う。
超天才ハッカーと謳われるだけの事はあって、これまで彼女が主な活動の場としているであろうサイバースペース内で遭遇した危機は持ち前のテクニックで上手く切り抜けていたのだろうが、何分ここは現実世界。
おそらくは向こうのノリをそのまま持ってきて、色々上手く行って調子に乗ってしまったが故、脅威に気付く事が出来なかったと考えるべきか。
「お、思ったよりやるようね……けど、アタシはまだまだ戦えるわよォ!」
支配人の声が聞こえ、るこるはタヂカラオに視線を戻すと向こうはちょうど再起動が済んだのか、倒れ込んだ状態から復帰する。
緊急自己修復機能が備わっているのか、奴はまだまだ戦えると言った様子だ。
「では、もう一仕事と行きますか」
いずれにせよ、あのタヂカラオを撃破しない限り、この事件は解決しない。
るこるは祭器『FLS』で全ての祭器を召喚・展開すると、戦闘体勢を整えるのであった。
「そら、弾け飛びなさいッ!」
早々にガトリング砲『ヤサカニ』を展開したタヂカラオがるこるに向け火を噴く。
旧式であるが軍用の武器と言う事もあって威力は強烈だが、るこるの展開した『FMS』のバリアと『FES』の対物結界の二重防御が大口径弾を弾き、カジノ内に弾痕を残す。
「そのくらいの攻撃なら効きませんよぉ。今度はこっちの番ですぅ」
すかさずヤサカニの切れ目を狙い、るこるが反撃の砲火を放つ。
カウンターショットでダメージを与える算段のようだ。
「甘いわよォ!」
だがタヂカラオはそのカウンターショットをも見切ったのか、絶対防御形態に変化すると砲撃を無傷で防ぐ。
そこから更にるこるに追撃を浴びせられる事になるも、絶対防御形態の守りはあまりにも強固で決定打を得られない。
……もっともそれはタヂカラオも同様であり、奴の攻撃はるこるのバリアを破る事すら出来ない訳だが。
(こちらの攻撃は全て防がれる。けれど、その間は向こうは動けない……なら)
決め手に欠ける今、次の一手はどうした物かと考えていたるこるだったが、何か妙案が浮かんだのか、思い付いた事をすぐさま行動に移すと砲撃を放つ。
タヂカラオは絶対防御形態を維持したまま……だが、砲弾は奴の横をすり抜け、後方へと着弾する。
「あら、もうアタシに攻撃を当てられなくなったのかしら?」
「いいえ、別の場所に当てましたが?」
「何ですって? ……ハッ!?」
ここで支配人は何かに気付く。
タヂカラオの後方にはシャッターで閉鎖した出入口がある。
そこへ着弾したともなれば、破壊されて逃げ道が出来たも同然だ。
「私達が戦っている間、誰かがそこから逃げ出してしまうかもしれませんねぇ?」
「……ッ、こいつ!」
慌てて絶対防御形態を解除するタヂカラオ。
ここで一人でも逃げられてしまえば、大金を持ち逃げされてしまう事を意味する以上、守りに入っている場合ではない。
「隙を見せましたねぇ」
そしてこの時を待っていたとばかりに、るこるは『|豊乳女神の加護・垩畃《チチガミサマノカゴ・クンリンシャノシキョウ》』を発動。
展開している祭器を強化すると共に『戦場内の時空間に接する物』を支配すると、その場に死体となって転がっていたマフィア・トルーパー達がゾンビめいて立ち上がる。
「ア、アンタ達……生きてたの!? よし、直ちにあのネズミを殺し……」
立ち上がった部下が生きていたと勘違いし、歓喜した支配人は命令を下そうとする。
……だが、当の部下達は腕の機関銃をタヂカラオに全て向けていた。
「ナンデ!? アタシの事が分からないの!?」
「それでは皆さん、一斉射と行きましょうか」
「ノ、ノオォォォォーーーッ!!」
そのまま四方八方から射撃を受け、絶叫する支配人。
絶対防御形態に移行する事も忘れるほどに、忠実であった部下の裏切りがさぞ衝撃的であったようだ。
大成功
🔵🔵🔵
黒木・摩那
いよいよ出ましたね、支配人。
あなたを倒して、この賭場も終わりにします。
とは言え、戦車の中とは困ったことになりました。
さすがに戦車をぶっ壊す武器は持ち込んでなかったですね。
向こうも守りを固めて、手が出せないようですし。
ここは先に賭場からぶっ潰して、向こうから出てきてもらいましょう。
ヨーヨー『エクリプス』で戦います。
ヨーヨーで賭場をぶっ壊していきます。
果たして、賭場の崩壊を黙ってみていられるでしょうか?
というか、亀のままなら出て来た意味ないし。
しびれを切らして動いたところを、改めてヨーヨーで頭脳戦車を巻いて、
UC【獅子剛力】を発動。
頭脳戦車で大車輪でぶん投げます。
●正義の破壊工作
「あなたを倒して、この賭場も終わりにします」
ヨーヨー『エクリプス』を構えた摩那がタヂカラオに向けて宣言する。
既にここは壊滅的打撃を受けたも同然ではあるが、支配人を倒して完全にトドメを刺さなければ意味がない。
もしも奴が万一逃げ延びたのなら、(これだけの大損害故に降格は免れないだろうが)また別の場所で再起を図るに違いないのだから。
「終わりですって? フン、終わるのはアンタ達よ!」
これまでの戦闘で傷付いたとは言え、未だ戦闘可能なタヂカラオに搭乗している支配人が強気のまま言い返す。
こいつに乗っている限り、自分に負けはないとでも思っているのだろう。
(……とは言え、戦車の中とは困ったことになりました。さすがに戦車をぶっ壊す武器は持ち込んでなかったですね)
タヂカラオと対峙する摩那はどうした物かと考える。
まさか5mほどはあろうかと言う頭脳戦車を隠しているとは思わなかったし、それに乗って出てくるのも予想外だったようだ。
「そうはいきません。いざ、参ります」
だからと言って逃げ出す訳にもいかない。
摩那はエクリプスを手にすると、果敢にタヂカラオへと挑む。
「はぁっ!」
早速エクリプスが唸りを上げてタヂカラオに向けて放たれるも、向こうは絶対防御形態に変化し攻撃を易々と弾いてしまう。
そもそもあれだけの巨体を前に、ヨーヨーの攻撃は蚊に刺されたようなレベルだ。
「やはりそう簡単にはいきませんね、ならば」
ここで発想を転換する。
頭脳戦車が相手ならマフィア・トルーパーを葬った電撃で攻めれば機械部分にダメージが行くのではないかと思い、ワイヤーを絡ませて激しい電流を流すも……
「オホホホホ! この絶対防御形態の前に、そんな物が通じる訳がないでしょォッ!!」
耳障りな野太い声で高笑いする支配人。
奴の反応から見ても、こちらの攻撃がまるで通っていないのは明らかだ。
(これは思った以上に厄介ですね。あの防御形態を何とかしない限り、こちらの攻撃が通りそうにありません……どうすれば)
摩那は何か利用出来そうな物がないかと周りを素早く見渡す。
向こうは絶対防御形態を解かず、こちらの出方を伺っているようだ。
(先の戦いでカジノ内部は派手にやられていますが、まだ無事な場所も結構残っていますね。……これは使えるかもしれません)
ふと、何か策が浮かんだ摩那は敵に背を向け走り出す。
それを罠か何かと警戒し、その場から動かないタヂカラオ。
……この選択が最大のミスであるとも気付かずに。
「おっと、まだ壊れていないゲーム機が!」
摩那はエクリプスを放ち、損壊を免れたスロットマシンやゲーム機に容赦ない攻撃を仕掛け、破壊を行いつつカジノ内を駆け回る。
「お、VIPエリアなんてのもありましたか。壊し甲斐がありますね!」
破壊の最中、一段高い場所にあったVIPエリアを見つけた摩那は狙いを変える。
壁をブチ抜き、豪華な調度品も打ち壊し、バーカウンターに置かれていたグラスや超高級オーガニックワインの瓶が次々と砕け散る。
「なッ、何て事をするのよアンタはーッ!? やめ、止めなさいッ!!」
大金を注ぎ込んだ豪華絢爛な自慢のカジノが破壊されている。
それを目にした支配人が真っ青になりながら、絶対防御形態を慌てて解除。
無慈悲な破壊を行う摩那を止めようと動き出す。
「……かかりましたね。せやっ!」
狙い通りだとばかりに、こちらへやってくるタヂカラオに向けてエクリプスを放ち捕縛すると『|獅子剛力《ラ・フォルス》』で盛大にブン回し、カジノを更に破壊していく。
「アーッ!? ヤメロー、ヤメローッ! オボボボーッ!!」
タヂカラオの内部で支配人はサイバー三半規管に多大なダメージを受け、コクピット内で嘔吐する。
よもや自分も色々な意味でダメージを受けるとは思いもしなかっただろう。
大成功
🔵🔵🔵
暗都・魎夜
【心情】
俺もガキの時分には相手が弱けりゃ調子に乗ったし、いざ強くなればビビったもんだ
誰だってそうやって失敗して成長していく
失敗のケツ拭いてやるのは大人の仕事ってことだ
「(誰何に対して)俺は通りすがりの能力者さ、覚えておきな! イグニッション!」
【戦闘】
サイバーザナドゥらしい大物だな
装甲も武装も、カジノに置いておくにはもったいない程だぜ
「リミッター解除」して「天候操作」「全力魔法」のUCで吹き飛ばす
「(静かに)…天雨豪流」
あの装甲とはまともに戦ってられねえな
「(ホワイトラビットに)次も俺みたいなのがいるとは限らねえし、あんま無茶はするなよ?」
「天候操作」でホワイトラビットも巻き込んで雨を降らせる
●カジノに雨が降る
(俺もガキの時分には相手が弱けりゃ調子に乗ったし、いざ強くなればビビったもんだ。誰だってそうやって失敗して成長していく、失敗のケツ拭いてやるのは大人の仕事ってことだ)
ホワイトラビットにかつての自分を想起したのか、魎夜は一人思う。
今、危機に瀕した彼女を救えるのは自分達……即ち猟兵しかいないのだ。
「サイバーザナドゥらしい大物だな。装甲も武装も、カジノに置いておくにはもったいない程だぜ」
そして、そのためには目の前のタヂカラオを倒すしかない。
確かに奴は強敵だが、これまでの戦闘でダメージは蓄積している。
このまま行けば、撃破も時間の問題だろう。
「こ、このタヂカラオが押されているだなんて……い、一体……アンタ達は何者だって言うのッ!?」
一方で予想以上の苦戦を強いられているタヂカラオに、支配人の表情にも焦りの色が見え始め、錯乱のあまり叫ぶ。
こいつらは並大抵の相手ではない、と。
「俺は通りすがりの能力者さ、覚えておきな! |イグニッション《起動》!」
支配人の言葉にそう返した魎夜はイグニッションカードを取り出し、叫んだ。
「……今度は何が来ようとも、絶対に守りは解かないわよ! さあ、どこからでもかかっていらっしゃい!!」
自分のミスで無敵状態を二度も解いてしまった事で、思わぬ痛手を被ってしまったのを反省してか、今度は鋼の意思を持ってタヂカラオは絶対防御形態に変化する。
言葉通り、この状態から決して動くつもりはないようだ。
「出たな。あの状態じゃあ俺達の攻撃はまともに通りそうにもねえな……」
武器を構えつつ、どう戦うべきかを考える魎夜。
向こうは一切動かないと宣言しているのなら、この隙にホワイトラビットだけを先に逃がす事も出来るのではないか、とも思う。
(……いや、万一って事もあるか。俺達と違って一発が致命傷になりかねねえ)
何せ相手はメガコーポの大悪党……追い込まれたら何をするか分からない。
もしもの事を考えると、先に逃がすのは得策ではないと判断する。
では、どうすれば?
「……|天雨豪流《ヘヴンリィ・レイン・プレッシャー》」
この状況ならこの手しかない。
魎夜は静かに右手を天へ掲げ、ユーベルコードの名を口にする。
その次の瞬間、何十メートルも上にあるカジノの高い天井から雨……否、強大な水流が滝のごとく降り注いだ!
「な、何なのこれは!? 火災消火機能が壊れ……ア゛ァ゛ァ゛ーッ!?」
突然、上からのアラートに反応した支配人がコンソールに目を向けた直後、タヂカラオが水流に吹き飛ばされる。
山のごとき守りでその場に鎮座していても、どうやら強大な水流だけはどうにもならなかったようだ。
「……えっ、ちょっ、なんですかこれ!?」
その時、カジノ内の異常を察してかホワイトラビットがトイレから出てきた。
彼女が目にしたのは、水浸しになったフロアに水流で吹き飛ばされ、逆さまの状態で倒れたタヂカラオの姿。
あの状態なら、復帰まで少し時間がかかる事だろう。
「おっと、まだ危ないから出てこない方がいいぜ」
「あ、いえ、まだ私にはやる事がありまして……」
「次も俺みたいなのがいるとは限らねえし、あんま無茶はするなよ?」
何かやろうとしているホワイトラビットに向け、魎夜が釘を刺す。
あれだけ酷い目に遭ってさすがに懲りた事だろうが、念のためと言う奴である。
「は、はい、それは今回の件で十分学びましたので……」
「ならいいが……と、せっかくだ。カジノ内に雨を降らせようと思うんだが」
「ふむふむ。でしたら、これをこうして……はい!」
ホワイトラビットがカジノ内を瞬時にハッキングしたのか、天井のプロジェクションマッピングが煌びやかな物から淀んだ雨雲に切り替わる。
雨を降らせるには丁度いい背景だ。
「へえ、こんな事も出来るのか。じゃ、降らせるぜ」
天候操作で魎夜がカジノ内にしとしとと雨を降らせる。
それは彼が生まれ育った世界、シルバーレインでかつて目にした銀の雨を思わせる光景であったと言う。
大成功
🔵🔵🔵
ベティ・チェン
「スーロン。戦闘終わったら、すぐ逃げる、から」
「りょ♪オレっちのハイパー華麗な強奪がマッハで加速ぅ♪」
ゴキゲンな強奪竜放置し敵へ
「ドーモ、シハイニン=サン。ベティ、デス。キリステ・ゴーメン!」
自分の身長ほどある大剣(偽神兵器)振り回し吶喊
UC振るい敵の腕や背中、足を爆砕して砲や盾を使用できない状態に
敵の攻撃は素の能力値だけで回避
敵をダルマ状態にしたら最後にコクピットごと敵を爆砕
「インガオホー。キミ達が、食い物にした、オキャク=サン、と。同じになった、気分は」
「ハイク詠め、サンシタ」
「急ぐよ、スーロン。カジノ強奪が、伝わったら。足元見られて、換金率が、落ちる」
「…マ!じゃぁ次も強奪依頼呼べよぅ」
●オウゴンキョウ・オブ・ジ・エンド
「スーロン。戦闘終わったら、すぐ逃げる、から」
「りょ♪ オレっちのハイパー華麗な強奪がマッハで加速ぅ♪」
未だ楽しそうに破壊と略奪を続けるスーロンはそのままに、ベティがタヂカラオの元へ走る。
ここまでの戦いで奴は相当なまでに傷付いており、あと一押しと言ったところまで追い詰めたと言ってもいいだろう。
「こ、こんなバカな事があっていい訳がないわ……アタシのタヂカラオは無敵だったはずよ……それなのに、なんで、なんでこんな事に……!」
体勢を立て直し、再び立ち上がったタヂカラオの中で支配人は信じられないと言った様子で狼狽える。
こうなった原因はただ一つ、猟兵の存在を甘く見過ぎていた。
これに尽きると言ってもいいだろう。
「せめて一人でも多く道連れにしなければミカドに合わせる顔がないわね。これだけは使いたくなかったけれど……」
そう呟くと、タヂカラオ内部に備わったセーフティカバーの付いたボタンを押さんとする支配人。
これは最悪の事態になった際に起爆するための、自決用自爆装置……起爆すればカジノは崩壊、猟兵達を道連れに出来ると言う算段だ。
「ミカド、バンザイ……!」
「イヤーッ!」
だが、起爆の寸前で死神の足音が迫ってくる。
派手な回転ジャンプから華麗にタヂカラオの前に着地した猟兵、ベティである。
「ドーモ、シハイニン=サン。ベティ、デス。キリステ・ゴーメン!」
アイサツを済ませ、その0.3秒後にベティは動き出した。
先の戦闘でマフィア・トルーパーを大勢葬り去った偽神兵器を振り回し、吶喊!
「グゥーッ!? やらせないわよッ!」
ベティの超スピードに追従するかのように、サイバネ化した頭脳をブーストすると目にしたターゲットを即座にロックオン。
自己修復を済ませた三兵器『サンゴッド・ウェポン』を起動、迎撃する。
そのコンマ数ミリで瞬時に火を噴くヤサカニとムラクモ。
射撃速度を例えるならば西部劇のガンマンよりも早く、並大抵の相手であれば一瞬で蜂の巣か消し炭にされていたであろうが、ここもベティの機動力が一枚上手であった。
「イヤーッ!」
ベティがカラテ・シャウトと共に、飛び交う鉛弾や光条を紙一重で避け、タヂカラオに……肉薄!
接敵からほんの数秒もしない内に自身の射程範囲内に入ると、偽神侵食を乗せた斬撃を振るい金属同士が激しくぶつかり合う音が響く度にタヂカラオの腕部や背部、脚部が一つずつ爆砕し、サンゴッド・ウェポンが物理的に潰されていく。
最早自己修復モードを行っても間に合わないレベルの損傷具合だ。
「せ、戦闘不能ですって!? う、動きなさいタヂカラオ! 動け……」
そしてダルマ状態にされたタヂカラオはただの鉄の塊となり、パニックを起こした支配人がコクピット内でガタガタと暴れる。
この時点で自爆装置を起動さえしていれば、少なくとも猟兵達を道連れに出来た事だろうが、パニックでそこまで頭は回らなかったようだ。
「インガオホー。キミ達が、食い物にした、オキャク=サン、と。同じになった、気分は」
そこへベティが偽神兵器をコクピットへ突き付ける。
死神の大鎌を前にした、オーテ・ツミ状態だ。
「ハイク詠め、サンシタ」
「み、認めない、こんなの絶対、認めないわ!」
「……イヤーッ!」
ベティは支配人の最後の言葉を聞き届けた直後、偽神兵器を深々と突き刺してコクピットごと爆砕すると、連鎖してタヂカラオは盛大に爆発四散した。
今この瞬間、邪悪なメガコーポのカジノは完全に終わりを迎えたのであった。
「マズい、カジノに、火が回り始めた。スーロン、引き上げ、だよ」
タヂカラオが爆散した事で、カジノ内が炎上し出した事に気付き、ベティがスーロンに撤収を告げる。
「なんだ、もう終わりか? まだ残ってるとこがあるってのに……しゃーないか!」
「みんなも、早く、脱出するよ」
同じ猟兵の仲間やホワイトラビットにも伝えると、閉ざされた非常口を破壊しカジノから速やかに撤収する一行。
……脱出から数分後、カジノ『オウゴンキョウ』は盛大に燃え上がり、崩れ落ちていく様が見えた。
「急ぐよ、スーロン。カジノ強奪が、伝わったら。足元見られて、換金率が、落ちる」
「……マ! じゃぁ次も強奪依頼呼べよぅ」
そして任務を終え、今日の稼ぎを換金しようとその場から立ち去ろうとするベティとスーロン。
カジノが崩壊したともなれば、この情報が伝播するのも時間の問題だろう。
「あ、ちょっと待って下さい!」
そこへホワイトラビットに呼び止められる。
「何? ボクは、急いでるんだけど」
「いえ、今回の皆さんの稼ぎを均等に分けた分のクレジットが、このカードに入ってまして。今日助けてくれたお礼です、どうぞ!」
足が付かない細工済なので安心して使えますよと言う言葉と共に、多額のクレジットが入ったカードを受け取る。
他の猟兵達にも同じカードを配っている辺り、割と律儀な性格のようだ。
「あと、私の連絡先も記録してありますので、もしハッカー仕事が必要ならいつでも呼んで下さいね! このご恩はいつかお返ししますので!」
本当に本当に、今日はありがとうございました!
猟兵達に礼を述べると、ホワイトラビットは都市の雑踏へと消えていった。
今回は命の危機に陥った事もあり、彼女も暫くは大人しくする事だろう。
「おー、臨時収入が入ったな? これ、どうするよ?」
「それより、今は、換金が、最優先。その後は、美味しい物でも、食べに行く」
「ま、それもそうかぁ。じゃ、急ぐぜぇ」
思わぬ収入が入った事に、少しだけ嬉しさを噛み締めつつ、ベティはスーロンと共に風のような速さでその場から去っていくのであった。
大成功
🔵🔵🔵