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バトル・オブ・オリンピア⑲〜コーヒーを一杯

作者：黒代朝希

「ふぅー、ふぅーッ……！　落ち着け、いつか完成させれば……その時は世界間オブリビオン連合組織の盟主にこの私が成れるのだ」
　そんな風に心を落ち着かせながら『ガチデビル』――『勇者リリリリ』の肉体に憑依して生きながらえていたデビルキングワールドのオブリビオン・フォーミュラは、マグカップにコーヒーを注いだ後に『六番目の猟兵』との戦いに持ち込むKING宝珠……新生フィールド・オブ・ナインの能力を模倣したが、未完成状態のそれを見繕っていく。
「無難に考えて、『ウィリアム・ローグ』か『エル・ティグレ』、そして『時宮・朱鷺子』と『Mr.ホームラン』の宝珠が比較的使いやすいか」
　そんな風に宝珠を選んだあと、リリリリの肉体を使い食事を済ませていくガチデビル。
　――そこに、KING宝珠達が合図する様に入れ替わるのであった。

「クソッ！　このバカ宝珠共め！」
　お陰様でリリリリの肉体に憑依したガチデビルは実質自身のユーベルコードであるKING宝珠を封印されている。
　そのアドバンテージは当然『六番目の猟兵』優位に傾く。
「そもそもなぜ私のユーベルコードであるのに叛逆する！　私以降のデビルキングも！　新生フィールド・オブ・ナインも！」
　ブチ切れながら美味しいコーヒーを出すだけのKING宝珠を『六番目の猟兵』に向けて投げ捨てるガチデビル。
　見た目が可憐な『勇者リリリリ』に憑依しているから様になっているが、中身はオッサン……？である。
「もういい……その宝珠諸共、貴様ら縊り殺しくれるわ！」
　絶叫し、リリリリの肉体を操作してデビルキングワールドのオブリビオン・フォーミュラは再び『六番目の猟兵』に襲い掛かるのであった。

第1章 ボス戦 『勇者リリリリ』

POW   :    5thKINGブレイド 霊力を帯びた【斬霊刀 】で斬る。対象にこの斬撃を防ぐ装備や能力があれば、全て無効化し、更に威力を増大する。 SPD   :    堕天シールド（ガチデビル形態） 【宝珠のついた盾 】から、斬撃・投擲・盾受けに使える【小さなガチデビルの顔がついた空飛ぶ小型盾】を具現化する。威力を減らせばレベル×1個まで具現化可能。 WIZ   :    大罪魔法「六つの大罪」 戦場全体に【大罪を司る無数の祭壇 】を発生させる。レベル分後まで、敵は【祭壇より現れる『六大罪獣』】の攻撃を、味方は【祭壇より放たれる『闇色の炎』】の回復を受け続ける。 イラスト：hoi 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

「バ美肉ガチデビルか……有りね」
「貴様は変わらんなぁッ！」
　ブチ切れながら『ガチデビル』は先制攻撃を開始。
　アリス・セカンドカラー（不可思議な腐敗の｜混沌魔術師《ケイオト》艶魔少女・f05202）へと向かってユーベルコード『大罪魔法「六つの大罪」』によって召喚された『六大罪獣』を嗾けていく。
「私の領域に入った――エナジードレインよ」
　しかしいきなりの頭セカンドカラー？……によってガチデビルをゲンナリとさせていた事が原因だったのか。
　其れともユーベルコードの域に到達した技能に寄るものか――『六大罪獣』は即座にやせ細って行き……最終的にアリス好みの男の娘へと変貌する。
「馬鹿なッ！？」
「ハイハイ、絶対悪の時間はここまで――ここからはセカカラちゃんの法が支配しまーす♪せっかくおいしいコーヒーが出せるのだからお茶会にしましょ♪」
　そうして『勇者リリリリ』の左肩から『ガチデビル』の貌を引き剥がすアリス。
　その笑みは――捕食者のそれであった。
「な、何を――」
「ただし、頭セカンドカラーなお茶会なのでリリリリさんから引き剥がしたガチデビルは……化術に肉体改造で――」
　以下は頭セカンドカラーなお茶会の時間となります。

「人造生命の創造した男の娘の肉体にバ美肉ガチデビルよ♪……では」

　その言葉の直後に……男の娘化した『ガチデビル』と『六大罪獣』の絶叫が『諸悪の根源』に響き渡るのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

「所詮一度他の世界で敗退して女性に憑依して生き延びた奴……例えオブリビオン・フォーミュラであっても、その事実は変わらない」
　痛烈な言葉を5thKING『勇者リリリリ』の肉体に取り憑いて『7th KING WAR』を生き延びたデビルキングワールドのオブリビオン・フォーミュラ『ガチデビル』に浴びせるのは真宮・律（黄昏の雷鳴・f38364）。
　瞬間、怒声と共に先制ユーベルコード『堕天シールド（ガチデビル形態）』が発動――そのまま、律に向かって『小さなガチデビルの顔がついた空飛ぶ小型盾』の群れを差し向けていく。
「そう簡単に｜他の世界《アスリートアース》で思う通りに力振るえると思ったか？――世界は世界独特のルールがある。ルール守れない奴に従う謂れはないだろう……これ以上悪さはさせないぜ」
　刹那の間に思考を加速させ、殺到する盾の群れを見切りながらKING宝珠の美味しいコーヒーを飲み干していく律。
「できればクッキーを添えたいが……その暇はないな」
　しかし美味なコーヒーによって活力と気力は湧いて出てくる。
　その活力と気力を用いてユーベルコード『紫電の一撃』を発動……被弾を覚悟して10秒間集中して『ガチデビル』を狙い――そのまま10秒後に赤銅の両手剣『クレプスキュル』を律は振るう。
　――ユーベルコード『紫電の一撃』の能力とは、射程の拡大。
「ぐぼぁッ！？」
　約21キロメートルまで斬撃の射程を拡大するユーベルコードにより、『ガチデビル』は両断寸前まで追い込まれるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

「人望がないからじゃないかな？」
　KING宝珠の叛逆に対して怒り狂うガチデビルへと、容赦なくアリス・フォーサイス（好奇心豊かな情報妖精・f01022）は真実を告げた。
　そもそも、かつてのデビルキングワールドの核となっていた『デビルキング法』……『ワルい事を善とする』という法律は、このガチデビルによって魔界の悪魔が皆殺しにされかけた時に制定された経緯を持つ。
「だったら、完成品のデビルキングのKING宝珠も叛逆するってもんだよねー」
　刹那に、アリスに殺到する様に投擲されていく小盾の群れが迫る――しかしアリスは威力を殺すように受け流し、どこからか取り出したカップにコーヒー……キャンプ・フォーミュラ『キャンピーくん』の未完成KING宝珠から美味しいコーヒーを注いでリラックスしていく。
「ふざけているのか貴様！」
「ふざけているのはノリと空気の読めない君の方じゃないかな？」
　ユーベルコード『｜性質変化《モードチェンジ》』で文字通りに『変身』し、モード『｜悪戯伸《ロキ》』の力でカップに注いだコーヒーが『勇者リリリリ』の漆黒のバトルドレスを汚さない様、精密に『ガチデビル』の頭に注がれていく……だけでなく、強制的に口の中へとコーヒーは入り込み、『ガチデビル』の喉の奥へと熱湯に近い温度の液体が注ぎ込まれていく。
「いらいらしてないで、コーヒーでも飲みなよ」
「ゴバァッ！ノドファッ！」
　気管が熱した珈琲で焼かれていく激痛に悶え苦しむ『ガチデビル』に、アリスは追撃として『｜天使《エンジェル》』のモードで反撃を躱し、『｜戦乙女《ヴァルキリー》』のモードで『ガチデビル』の頭上から魔法の槍を突き刺すのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

「やれやれ……５番目と最初のデビルキングとかよぉ……キング元候補としてはやらずにはいられねぇよなぁ！」
『負けちゃったけど健闘したんだぞ☆』
　かつての『7th KING WAR』の果てに『7th KING』の地位は『六番目の猟兵の全員』に与えられた。
　その名代となる猟兵の候補の一人であったのがカシム・ディーン（小さな竜眼・f12217）――彼は『ガチデビル』に憑依された5th KING『勇者リリリリ』の動きを随時観察しながら先制攻撃に対応。
　勇者の動きと攻撃の癖を冷徹に分析し、水属性と光属性を操作して光学迷彩を自らに付与していく。
「これでこっちの動きは見切れねぇよなぁ！」
　存在を隠し水の障壁で匂いや音を隠蔽した上で、宝箱や壺――そして小さなメダリオンの幻影を無数に展開させる事で攪乱し『小さなガチデビルの顔がついた空飛ぶ小型盾』の群れに対応。
　そのまま『キャンピーくん』のKING宝珠も拾い、珈琲を入れて『勇者』に進呈していく――
「あ、どうも」
「お構いなく、今から寄生虫退治するからな」
　瞬間、マッハ30を軽く超える速度でカシム達は連携攻撃を『ガチデビル』に仕掛ける。
　ユーベルコード『｜メルシー＆カシム『ロバーズランペイジ』《キシントトウゾクノダイジュウリン》』の効果により通常の加速ユーベルコードの3倍の加速を以て、カシム達は『ガチデビル』を切り刻んでいく。
「名代候補の意地と責任ってもんがある――お前はここで終わっておけ」
　短剣をガチデビルの左のこめかみに突き刺し、真の邪悪が発する絶叫をカシムは引き出していくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

「あー、ガチビビルだっけ？間違えたガチデビルか、元キングだかなんだか知らんけども……エリクシルすら支配下においてた大魔女に比べたら全然大したことねえべなー」
　デビルキングワールドにおいて唯一真正の邪悪であり、他の悪魔を皆殺し一歩手前まで追いつめた当世界のオブリビオン・フォーミュラ――1st KING『魔王ガチデビル』。
　卑小な嫉妬心のみでエンドブレイカー世界の全ての悲劇を生み出し、エリクシルの盟主『11の怪物』が一柱をその心の醜さのみで食い殺した大魔女『スリーピング・ビューティー』。
　どちらも唾棄すべき真正の邪悪であるが――エンドブレイカーのフェリチェ・リーリエ（嫉妬戦士さんじゅうはっさい・f39205）にとってはやはり大魔女に軍配が上がるらしい。
「自分のユーベルコードにまで反逆されて今どんな気持ち？」
　挑発を精神攻撃の域にまで達させ、そのまま先制攻撃の精度をブレさせていくフェリチェ。
　攻撃は最大の防御、回復力を上げるハーブを摂取する事で継戦能力を高めつつ、エンドブレイカーの一人はソードハープの音色を音響弾に変えて弾幕を張っていく――
「先制攻撃を凌いだら……お待ちかねのコーヒーブレイク！」
「ふざけているのか！」
　しかしフェリチェは真面目だ――ユーベルコード『ウォー・アイ・満漢全席！』により10秒でコーヒーに合うサンドイッチ等の軽食や焼きマシュマロなどのスイーツを作り削られた体力を回復し、そのまま活力が漲ったところで反撃を。
「元々アビリティを使って戦っていたのがおら達エンドブレイカー……こうしたユーベルコードを補助に使って地力で戦うのは十八番だべ！」
　ソードハープの斬撃波を見舞いながら、フェリチェは『ガチデビル』を攻め立てていくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

「マスター、コーヒーを一杯お願いするのじゃ！」
　李・玉明（豪華絢爛西欧天女・f32791）は羽衣人としてふわふわ飛翔し、喚く『ガチデビル』の手が届かない位置を常にキープしながら未完成KING宝珠から美味しいコーヒーをもらっていく。
「半端な攻撃だと闇色の炎で回復してしまうからのぅ……『六大罪獣』を近づかせないよう芭蕉扇の突風で追い払うにとどめるのじゃ！」
　更に先制ユーベルコードによって召喚された『六大罪獣』を扇ぐことで風や雲や雨を呼ぶ、芭蕉の葉に似た形状の美しい中国扇によって生じさせた突風で追い払い、空中でコーヒーを楽しんでいく。
「いただきます！……ん～、とてもいい香りなのじゃ！　苦くとも砂糖やミルクで整えれば飲みやすいのう。お見事なのじゃ、キャンピーくん！」
「きっさまらぁっー！！」
　その光景に遂に『ガチデビル』の脳内欠陥……もとい動脈や静脈等の血管が限界を迎えたらしい。
　血走った左目でユイミンを睨みつけるが――既に彼女は、ユーベルコードを発動させている。
「さて、そろそろよいかのぅ？……芭蕉扇はもともと、火焔山の炎を消すためのもの！」
　瞬間、かの魔王がアスリートアースに作り上げた拠点である『諸悪の根源』が――火焔山の炎で『勇者リリリリ』諸共吹き飛ばされていく。
　その余波をユイミンは芭蕉扇で掻き消して行き、そのまま『諸悪の根源』の跡地を観察する――
「あいたた……あ、でもスッキリと取れました『ガチデビル』」
「良かったのじゃ」
　そこには、吹き飛ばされた『ガチデビル』から解放された『勇者リリリリ』の姿だけが存在していたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

最終結果：成功 完成日:2024年01月27日