バトル・オブ・オリンピア⑲〜こいつだけガチバトル!?
●ガッチガチのガチバトル!
ライトもダークも関係なく、互いに頂点を極め合うスポーツの祭典。だが、そんなバトル・オブ・オリンピアにおいて、唯一異質な存在がいる。
その名も『勇者リリリリ』こと『魔王ガチデビル』だ。彼はかつての『5thKING』が一人、堕天使の勇者リリリリに貼り付いて、肉体と自我を乗っ取ることで生き延びていたのだ!
「……まあ、そういうわけで、ゴキブリ並にしぶとい魔王を倒して欲しいってわけ。他の試合と違って、これはガチの殺し合いだからね。超人選手にしろダークリーガーにしろ、スポーツでしか戦えない人達には荷が重いって感じ?」
こういう話こそ猟兵の出番……というか、いよいよ本領発揮といったところだと、パトリシア・パープル(スカンクレディ・f03038)は猟兵達に告げた。ちなみに、ガチデビルも本来であればダークリーガーの力を利用し、なんやかんやで数多の世界を侵略しようとしていたようだが、ダーク化していてもスポーツにしか興味のない彼らは、侵略の手駒になどならなかった。
故に、ガチデビルは本気で猟兵を潰しにかかってくる。なにしろ味方がいないので、ガチで孤軍奮闘するしかないのだ。当然、その戦闘力は極めて高いが、しかし本来の自分の肉体でないことも相俟って、ガチデビルは調子を取り戻しきれていないという。
「他の世界に現れたフォーミュラと同じで、こいつも先制攻撃して来るんだけどね……リリリリの洗脳が完全じゃないから、途中で一時的に解除されちゃうみたい」
勝負を仕掛けるならそこが最適だとパトリシアは続けた。ガチデビルは力押しに対しては防御無視の斬撃で、瞬発力で勝負するなら攻防一体の無数の盾で、魔術や搦め手で勝負するなら攻撃と回復を両立させたフィールド呪文で攻撃してくる。この先制攻撃に先んじてユーベルコードを使うことはできないため、なんとかやり過ごして機会を伺い、リリリリの洗脳が解除された際に攻めるのが理想的だ。
「洗脳解除されると、リリリリはこっちの体力を回復させてくれる上に、防御力までアップさせてくれるわ。だから、とりあえず生き残ることさえ考えておけば、回復手段までは考えなくてもいいかもね」
一風変わったスポーツ勝負から、いつもの戦いに戻るだけだ。スポーツは苦手でも、バトルが得意な者達よ……今こそ、猟兵の|本気《ガチ》モードを解放し、無粋な悪魔にご退場願おう!
雷紋寺音弥
こんにちは、マスターの雷紋寺音弥です。
このシナリオは戦争シナリオです。
1章で終了する特別なシナリオになります。
以下の条件を満たすとプレイングボーナスが得られます。
先制攻撃への対処と仕掛けるタイミングを間違えなければ、実力差を引っ繰り返して有利に戦えるでしょう。
●プレイグボーナス
1.敵の先制攻撃に対処する。
ユーベルコードでの対処は間に合いませんので、それ以外の対処法を考えましょう。
2.リリリリの洗脳解除タイミングを活用する。
洗脳解除されるとリリリリは一定時間無防備になり、盾から回復及び防御力アップ効果のあるビームを発射してくれます。
第1章 ボス戦
『勇者リリリリ』
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POW : 5thKINGブレイド
霊力を帯びた【斬霊刀 】で斬る。対象にこの斬撃を防ぐ装備や能力があれば、全て無効化し、更に威力を増大する。
SPD : 堕天シールド(ガチデビル形態)
【宝珠のついた盾 】から、斬撃・投擲・盾受けに使える【小さなガチデビルの顔がついた空飛ぶ小型盾】を具現化する。威力を減らせばレベル×1個まで具現化可能。
WIZ : 大罪魔法「六つの大罪」
戦場全体に【大罪を司る無数の祭壇 】を発生させる。レベル分後まで、敵は【祭壇より現れる『六大罪獣』】の攻撃を、味方は【祭壇より放たれる『闇色の炎』】の回復を受け続ける。
イラスト:hoi
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
夜刀神・鏡介
倒した敵が再登場する例は枚挙に暇がないが
他者に寄生するしぶとさは中々見ないかもしれない……いや、なんにせよ倒すがね
利剣を抜いて敵と相対。剣術勝負で遅れは取らないと言いたいが
防御無視がどれほどの能力を持つか分からない。一筋縄ではいかなそうだ
刀で受け止めるのは間違いなく無理だろうが、避けきれるような攻撃ではあるまい
相手の斬撃を此方の斬撃で少しだけ軌道を逸らし、致命傷にならない部位で受ける――受けるのだから、防いではいないだろう?
生き延びれば回復してもらえる、と知っているから出来る事ではあるが
回避と受けを織り交ぜつつ、此方からも斬撃を返していく
防御力が上がった分、受けにも多少の余裕が生まれるな
●肉を斬らせて好機を待つ
倒した敵が復活する。オブリビオンを相手にしている猟兵からすれば、それは珍しいことではない。
そもそも、骸の海より現れしオブリビオンは、全て過去の存在なのだ。そういう意味ではフォーミュラが復活することも理論上ありえるわけだが、それにしてもガチデビルのしぶとさはゴキブリ以上。
「他者に寄生するしぶとさは中々見ないかもしれない……いや、なんにせよ倒すがね」
利剣を抜いて、夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)はガチデビルの憑依した勇者リリリリと相対した。剣術勝負で遅れは取らないと言いたかったが、なにしろ相手はかつての5thKING。その実力は猟兵個人で抗えるようなものではなく、まともに戦えば苦戦は必至。おまけに、相手は防御を無効化するユーベルコードを持っているのだから、迂闊に受け太刀することさえ不可能である。
(「……来るか! こちらに構える余裕も与えないとは……だが!」)
刀で受け止めるのは不可能だが、それでも斬撃をいなすことは可能だろうと考え、鏡介は相手の剣と刃を重ねた。その上で、敢えて致命傷にならない部位で攻撃を受ければ避けたことにはならないと……そう、考えていたのだが、しかし勇者リリリリの剣は鏡介の手にした刀をすり抜ける形で、彼の目の前に迫っていた。
「……っ!?」
咄嗟に身体を捻って致命傷こそ避けたものの、それでも想像していたよりも深いダメージを食らってしまった。直撃していれば、間違いなく一撃で絶命ものだ。
リリリリの使用するユーベルコードは防御無視の能力を持つが、その発動に必要な条件は極めて単純。『斬撃を防ぐ装備や能力』があれば自動的に無効化する……それだけだ。そこに所持者の意思は関係ないため、こちらが防ごうと思っているか否かは重要ではない。ただ、リリリリの攻撃の邪魔になるものは、その全てを無力化して攻撃を当てたい相手にだけ命中させることができるのだ。
「これは……思った以上に、厳しい戦いになりそうだ……」
斬られた肩口を抑え、鏡介は痛みを堪えて歯噛みした。刀を握る右腕はもはや使い物にならず、斬り落とされなかったのが幸いと思う他にないほどの重症。仮に刀を構えられたとしても、そもそも邪魔者は全て無効化して攻撃を当ててくるのだから、受け太刀どころか刃を重ねる形での斬り合いもできない。剣術の腕前云々以前に、接近戦では勝負にさえならないのだ。
「ふはははは! どうした、どうした! 私を倒すのではなかったのか?」
調子に乗ったガチデビルが、リリリリの身体を使って鏡介に連続攻撃を浴びせて来た。今の鏡介にできることは、相手の攻撃を食らわないように逃げることだけ。それでも、ともすれば追いつかれて全身をズタズタに斬り裂かれてしまうが、それでも首を刎ね飛ばされず、心臓を貫かれなかった時点で勝機は残されていた。
「あれ? な~んか、また自我が戻ったっぽい?」
突然、ガチデビルの攻撃が止み、勇者リリリリが意識を取り戻したのだ。
ここまで来れば、鏡介にも勝機は見えていた。リリリリが盾から放つビームを受ければ、鏡介の受けた傷は全て回復し、神経まで断裂されていたであろう腕も元通り。おまけに、なにやら全身が恐ろしく硬くなっており、それこそ全裸で戦っても生半可な攻撃では傷一つ付かない程に防御力もアップだ。
「……ぶはぁ~! 驚かせおって! 残念だが、ここからは再び私のターンだ!」
そうこうしている内にガチデビルが意識を取り戻してしまったが、鏡介も傷は全回復している。おまけに、防御力の上昇効果も利用すれば、今度こそ本当に相手と斬り合える。
「なにやら復活したようだが、貴様の防御など紙切れ同然! 今度こそ、その首を刎ね飛ばしてくれるわ!」
何も知らないガチデビルが、再び鏡介に斬り掛かる。当然、その攻撃に鏡介は刀で触れることさえできないが、しかし身体が鋼鉄の如き硬さになっていたため、首に直撃を受けたにも関わらず、ミミズ腫れ程度の負傷しかしなかった。何らかの装備や能力を使って妨害するのではなく、純粋な防御力の上がった肉体で攻撃を直に受けたので、敵のユーベルコードも満足に能力を発揮しなかったのだろう。
「それで終わりか? ならば、次は俺の番だな」
|壱の型【飛燕:重】《イチノカタ・ヒエン・カサネ》。下段から放たれる必殺の一撃が、リリリリの身体諸共にガチデビルを斬り飛ばす。敵のユーベルコードは『攻撃の邪魔をする存在』を全て無効化できるが、しかし『自分が攻撃された場合』には何の効果も発揮しないため、咄嗟に放たれた鏡介の一撃を防ぎ切ることは不可能であり。
「ぐぅぅぅぅ! な、なんだ、この硬さは!? 貴様、本当に人間か!?」
「さあ、どうだろうな? 答えはリリリリにでも聞いてみればいいんじゃないか?」
形勢逆転。一気呵成に攻め立てる鏡介を前に、ガチデビルは防戦一方となってしまった。リリリリの与えた防御強化がどこまで続くかは分からないが、少なくとも効果が継続している間は、鏡介は一方的に相手を追い詰めて行くのであった。
苦戦
🔵🔴🔴
空桐・清導
POW
アドリブや連携も大歓迎だ
「ぶっちゃけお前のおかげで面白い奴らと会えたんだよな。
だが!カタストロフが起こるのは本当にまずい!
ので!全力でぶちのめすぜ!ガチデビル!」
[力を溜めて]構えて振るわれる剣を回避する
身体が完全に統一されていないからか、明確な隙がある
そこを見逃すブレイザインじゃないぜ
そして、隙をみてガチデビルの顔をぶん殴って彼女の覚醒を促す
覚醒したら回復と防御UPを受け取ってUC発動
「さあ!此処からはコッチが攻めるぞ!」
炎の剣を両手に握りしめて一点攻勢
[気合い]と[根性]、防御UPによって護らず一気に攻めまくる
「超必殺!プロミネンス・ライザー・ブレード!!」
天高く伸びた炎剣で一刀両断
●勇気受け継ぎし者
魔王が勇者に憑依して、洗脳悪堕ちさせた挙句に好き放題。あまつさえ多数の世界を侵略しようとしているとなれば、ヒーローとしては見逃せない。
「ぶっちゃけお前のおかげで面白い奴らと会えたんだよな。だが! カタストロフが起こるのは本当にまずい!」
そういうわけで、全力で倒すと宣言する空桐・清導(ブレイザイン・f28542)。次の瞬間、勇者リリリリの持っている剣が彼の頭上目掛けて振り下ろされるが、清導はそれを持ち前の瞬発力で回避した。
(「よし、身体が完全に統一されていないから、明確な隙があるな!」)
そこを見逃すほど、超鋼真紅ブレイザインは甘くない。確かに、それはその通りだったのだが……しかし、力を溜めての瞬発力頼みは、連続で使えないのが欠点だ。
「舐めるな! 私の攻撃は、まだ終わっておらぬぞ!」
斬撃が一撃とは誰も言っていないとばかりに、返す刀で勇者リリリリの身体に憑依したガチデビルが斬り上げてくる。さすがに力を溜めている時間はなく、清導は身体を後ろに反らすことで急所への一撃を回避したが、それでも敵の剣先が胸元を掠めてしまった。
「……っ! なんという破壊力だ!!」
自慢の鎧が全く意味を成していないどころか、現状ではむしろ邪魔にしかなっていないことで、思わず清導の額に冷や汗が流れた。本来ならば鎧で剣を弾けるはずだが、しかし敵はユーベルコードの効果で鎧の防御力を無視して来る上に、鎧を纏っているせいでダメージも却って増加する始末。
攻撃を受ける前提であるなら、下手をすれば全裸で戦った方がマシな状況だった。ガチデビルも、それは分かっているのか、殆ど狙いなど定めずに、無茶苦茶に剣を振り回して手数を稼いできた。
「ふはははは! ヒーローというのはその程度か? 世界を救うと豪語するには、実力不足だったようだな!」
「……まだだ! そう簡単に諦めるほど、俺の心は柔じゃない!」
そう言いつつも、現状の清導では逃げるのが精一杯。もっとも、ここで下手に受けることを選択せず、少しでも避ける方に集中したのはむしろ正解だ。
「いい加減に、目を覚ませ! アンタは勇者だろう!」
いよいよ相手の攻撃が激しさを増してきたところで、清導はいきなり攻勢に出た。それも、武器を持たずに素手で相手の顔面を狙い、相討ち上等でブン殴ったのだ。
「……っ!?」
「おのれ……やってくれるではない……か……?」
肩を貫かれてしまった清導だったが、それでもここまで耐えた意味はあった。彼の拳を通して想いが伝わったのか、ガチデビルの意識が明らかに遠のいて行くのが分かり。
「あぁ、痛いなぁ……。でも、なんか今ので目が覚めた? お礼に回復してあげるね」
衝撃で目を覚ました勇者リリリリが、盾から回復光線を発射する。それを浴びたことで清導の傷は全て回復し、おまけに防御力も超絶アップだ。
「さあ! 此処からはコッチが攻めるぞ!」
炎の剣を握り締め、清導は改めて勇者リリリリと対峙した。今の彼女は意識が戻っているが、それが再び乗っ取られる前に、少しでもガチデビルにダメージを与えなければ。
「超必殺! プロミネンス・ライザー・ブレード!!」
「ぶはぁ……! ようやく意識が戻……って、なんだとぉぉぉぉっ!?」
天高く伸びた炎の剣が、再びリリリリの意識を乗っ取ったガチデビルを真っ向から両断する。このタイミングでは、回避も防御も間に合わない。いや、仮に防御が間に合ったとしても、とてもではないが受け止められる攻撃ではない。
「ぐぎゃぁぁぁぁっ! おのれぇぇぇぇっ!」
真正面から焼かれて斬られ、ガチデビルは悲鳴を上げた。勇者の勇気を受け取ったヒーローの強さは2倍ではなく無限大。そのことを、ガチデビルは身を以て知ることになったのであった。
成功
🔵🔵🔴
リリエッタ・スノウ
今回はスポーツをしなくていいんだね。リリ、戦う方が得意だよ。
でも、相手は勇者リリリリ? むぅ、リリよりリリが多いね。
リリよりリリが多いから、リリより2倍以上強いはずだね。慎重に戦うよ。
神器の魔力から身体能力を強化しつつ、先制攻撃に対応するよ。
クイックドロウで二丁拳銃を構え、弾幕を張って飛んでくる小型盾を打ち落としていくね。
全部は打ち落とせないのは想定済み。致命傷になりそうなものだけを見切って、打ち落とすよ。
洗脳の解けたリリリリに回復してもらったら、こっちの反撃。
【ストーム・バレット】を発動して、リリの本気の弾幕を見せてあげるよ。
※アドリブ連携大歓迎
●リリ☆リリ☆リリリリ?
ガチデビルとは、スポーツ関係なしのガチバトル。久しぶりに純粋な戦いができると知って、リリエッタ・スノウ(シャドウエルフのガンスリンガー・f40953)は少しばかり安心していた。
「でも、相手は勇者リリリリ? むぅ、リリよりリリが多いね」
自分よりもリリの数が多いから、きっと相手は自分の2倍以上の実力なはず。そんな斜め上の理屈を考えつつも、リリエッタは冷静に2丁拳銃を構え。
「貴様の武器は、その銃か? だが……攻防一体の、この攻撃には耐えられまい!」
そんな彼女に、ガチデビルから差し向けられる無数の小型盾。威力を減らして手数を重視した攻撃だが、それでも斬撃・投擲・盾受けに使える優れ物であり、これい対処するのは至難の業だ。
「ん……確かに速いけど、見切れない動きじゃないね」
自身の肉体に埋め込まれた神器の魔力を解放しつつ、リリエッタは迫り来る小型盾を自慢の早撃ちで撃ち落として行く。もっとも、数が多いので致命傷になる部分に当たらないよう迎撃するのが精一杯。手や足、果ては頬や脇腹を掠める盾は全てまともに食らってしまうが、それでも時間は十分に稼げた。
「どうした、その程度か? 私の攻撃に対抗するには手数が足りな……な……」
「あ~、よく寝たら、また意識取り戻せた感じ? 時間稼ぎ、お疲れ様~」
ガチデビルから一時的に肉体の主導権を取り戻した勇者リリリリが、リリエッタに回復ビームを発射する。それを浴びた瞬間、リリエッタの傷は全て癒され、更には防御力まで劇的に上昇だ。
「ん、今度はこっちの番だね。リリの本気の弾幕を見せてあげるよ」
「小癪な! やれるものならやって見せ……って、なんだそのスピードは!?」
今までとは桁違いな速射性能に、驚愕の言葉を放つガチデビル。足を止めて放つリリエッタの攻撃速度は通常時の3倍。それでなくとも、早撃ちはリリエッタの十八番なのだ。そんな彼女がフルスペックで速射に走れば、もはや拳銃でさえマシンガン以上の殺戮兵器になるわけで。
「リリリリの力をもらったから……リリとリリリリで、リリが3つ……速度も3倍だね」
「そんな理屈があってたまるか……ぶべらっ!?」
哀れ、ガチデビルはリリエッタの制限時間が尽きるまで弾をブチ込まれ、徹底的にハチの巣にされたのであった。
大成功
🔵🔵🔵
アリス・セカンドカラー
お任せプレ、汝が為したいように為すがよい。
んじゃ、まぁ、本気を出していきましょうか。
|タイムフォールダウン《高速詠唱早業先制攻撃、リミッター解除、限界突破》、多重詠唱拠点構築鉄壁結界術で|天変地異を起こし堕天シールドを薙ぎ払う《天候操作、電撃、地形の利用、属性/重量/凍結攻撃、暴力、爆破、爆撃》。さらに空間を|切り刻んでから再構築《ハッキング切断解体、切断部位の接続、回復力》で|位相ずらし《仙術》回避。
凌ぎきったら|ガチデビルにアレな妄想を流し込んで精神的負荷で脳破壊を狙ってリリリリさんの覚醒をアシストしつつ《欲望開放、情報伝達、精神汚染》、生命の歴史と希望を込めた必中必勝の剣を放つわ
●汚染は続くよ、どこまでも♪
実力の上では猟兵を上回る勇者リリリリ。そんな彼女の身体に憑依しているガチデビルと、真っ向勝負で勝つのは至難の業。
だが、そんな強敵を前にしても、アリス・セカンドカラー(不可思議な腐敗の混沌魔術師ケイオト艶魔少女・f05202)は実に落ち着き払っていた。
「んじゃ、まぁ、本気を出していきましょうか」
まずは強引に先手を取る……と行きたいところだが、残念ながらこれは上手く行かなかった。フォーミュラ級のオブリビオンが放つユーベルコードは絶対先制なので、どれだけ先手を取るための技量を高め、組み合わせたところで、覆すことはできない。
「無駄だ! 貴様が動くより先に、この盾で全身を切り刻んでくれるわ!」
無数の盾を生成し、ガチデビルはそれをアリス目掛けて飛ばして来た。咄嗟に結界を展開して勢いを弱めるものの、なにしろ相手の技の威力が高過ぎるので、勢いは殺せても完全には防げない。
ならば、そのまま次なる呪文を唱え、アリスは天候さえも操作する。雷撃、突風、吹雪に豪雨。とにかくメチャクチャな天気にしてしまえば、とりあえず勢いの殺せた盾だけでも吹き飛ばせるわけで。
「おのれ、小癪な! だが、まだ私の攻撃は終わっていないぞ!」
それでも性懲りもなく残りの盾を飛ばして来るガチデビル。結界は破られ、大嵐だけでは完全に無効化はできない。残された手段は回避しかないが、果たしてどこまで避けられるか。
「そうね……できれば、サッと避けたかったけど……」
ここがヴァーチャル空間ならいざ知らず、さすがに現実空間をハッキングして改変するというのは、その手のユーベルコードでもなければできない所業。
なに? これはそもそもゲームなんだから、なんだってハッキングできるはずだって?
いやいや……いくらなんでも、さすがに第四の壁を越えてはいけません。それが許されるのは、アメコミの不死身超人か、あるいは無敵のリス女くらいです。
そういうわけで、まともに使えたのは仙術を使った幻惑術程度。まあ、それでも攪乱には効果あるわけだし、あまり大仰にしなくても良かったんじゃないかな?
「さて、それじゃここからは反撃ね。まだ、勇者は意識を取り戻していないみたいだけど……」
持てる限りの手段を尽くし、なんとか掠り傷程度のダメージに抑えたアリスは、ここぞとばかりにガチデビルの脳内へ自分の妄想を流し込む。無論、それが一般的な妄想であれば、大したダメージもなかったかもしれないが。
「ぬぉぉぉぉぉっ! なんじゃこれはぁぁぁぁっ!?」
妄想が流れ込んだ瞬間、ガチデビルは絶叫して苦しみ始めた。まあ、それも無理のない話。アリスの流した妄想は極めてアレな酷過ぎるものであり……ぶっちゃけ、その辺の変態を自称する者でさえ、裸足で逃げ出すレベルのものだったのだから。
それは喩えるなら、ガチホモに襲われながら尻以外の穴という穴を触手で侵された状態で、ゴキブリ風呂に入れられるような妄想である。しかも、それを眺めている女性達が、こぞって発情した挙句、自分もゴキブリを食べだしたり、触手になりたいと願ったり、果ては美少女のアイデンティティまで投げ捨てて脂ぎったオッサンに転生し、自らプレイに混ざろうとしたりしているとしたら、どうだろうか。
はっきり言おう。こんなもん見せられて耐えられるのは、S級変態の中でも最上位に分類される連中だけである。そんな妄想が、ともすれば非力で無害そうな少女の脳内から流れてくるのだ。
「うがぁぁぁぁぁ! や、やめろ……やめてくれぇ!」
もはや耐えることはできず、ガチデビルは頭を抑えて苦しんでいた。決して触れてはいけない、関わってはいけない存在を目の当たりにしてしまった代償。それは宇宙規模の神話生物の深淵を覗き込んだに等しいものであり、いかにガチデビルといえど、これ以上は限界だった。
「……あれ? な~んか、凄く嫌な夢を見ていた気がするんだけど……まあ、いいか♪」
そして、ガチデビルから一時的に解放された勇者リリリリが、間髪入れずにアリスを回復。彼女の脳内にまで、あの妄想が伝播していなかったのは幸いであり。
「過去に生きた者、今に生きる者、未来に生きてる者、そのすべての歴史、そのすべての積み重ね……その重み、受け取りなさい」
「ま、待て! 貴様……こんな毒電波を流すとは……卑怯だぞ!」
抗議するガチデビルだったが、アリスはそれを完全に無視! 全ての時間に存在する、生きとし生ける者の希望と想いを乗せた必殺の剣で、ガチデビルを真っ向から一刀両断!
「ぐわぁぁぁぁぁっ! 頭と体がバラバラになりそうだぁぁぁぁぁ!」
脳内だけでなく肉体的にも浅からぬダメージを受け、ガチデビルは一気に追い込まれてしまったようだ。
成功
🔵🔵🔴
カシム・ディーン
「ご主人サマ☆勇者だよ☆勇者様がいるよ☆」(銀髪少女
ノリとしてはあのアウィンっぽいが…妙に力が抜けるなおい!
【情報収集・視力・戦闘知識】
勇者の動きと洗脳解除タイミング
更に戦い方を冷徹に分析
対先制
【属性攻撃・迷彩・武器受け】
光水属性を己達に付与
光学迷彩で存在を隠蔽し勇者の本能を刺激する無数の割りたくなる壺を展開
その上で逃げ回り洗脳解除のタイミング見計らい
洗脳解除時
【念動力・弾幕・空中戦】
UC発動
超絶速度で飛び回りながら念動光弾を叩き込み小型盾も防御に集中させるか撃墜させる
【電撃・二回攻撃・切断・盗み攻撃・盗み】
鎌剣と打刀で切り刻み電撃を流し込んでから武装強奪!
悪いな勇者!後で返すからよ!!
●勇者的行動とは?
勇者。それは世界を救う英雄であり、勇気を武器に巨悪へと立ち向かう存在。何も知らない者に勇者とは何かと尋ねれば、だいたいそんな答えが返って来るだろう。
「ご主人サマ☆勇者だよ☆勇者様がいるよ☆」
その例に漏れず、なにやらはしゃいでいる銀髪少女の横で、カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は溜息を吐きながら顔を叩き、自ら気合を入れ直した。
「ノリとしてはあのアウィンっぽいが……妙に力が抜けるなおい!」
まあ、勇者は勇者でも、デビルキングワールドの勇者だからねぇ。善悪の価値観とか、勇者としての在るべき姿とか、そういう部分が他の世界で一般的に勇者とされる者達とは、壊滅的に噛み合っていない。勇者リリリリは悪ではないのだが……出身が出身だけに常識も斜め上過ぎて、どうにも理解の範疇を超えている。
正直、存在そのものがギャグと言っても過言ではない相手だった。だが、それでも実力は本物であり、油断すれば瞬く間にこちらが肉塊と化す。仕方がないので、カシムは万全を期して自身の身体を光学迷彩で覆ったが、そんなことはお構いなしに、ガチデビルは多数の小型盾を召喚して一斉に周囲へと拡散し始めた。
「ふはははは! どこへ逃げようと、隠れようと関係ないわ! 手数で全てを圧倒してくれる!!」
狙いなど殆ど付けず、あちこちを好き勝手に蹂躙し始める無数の盾。出鱈目な攻撃なので挙動を見切るのは容易いが、これでは迂闊に身を晒すわけにもいかない。
(「ご主人サマ、どうするの?」)
(「慌てるな……まずはこれで様子を見る」)
小声で話しながら、カシムが取り出したのは壷だった。サイズは大きめだが、どう見ても安物。しかし、ともすれば中に何かのアイテムが隠されているのではないかと、疑わせてしまうようなデザインセンス。
「あ~、なにあれ~。なんか割ってみたいかも~」
「なっ……! おいこら、勝手に出てくるな!」
勇者といえば、民家のタンスを漁り、壷を割り、アイテムを強奪するものだ。そんな、どこぞのゲームでしか通用しないアホ理論は、しかしデビルキングワールドの勇者にとっては当たり前。善行をしつつ、しかし善を行うための必要悪として悪を成す。なんとも無茶苦茶な勇者理論が勇者リリリリの魂を刺激し、予定よりも早く洗脳が解けてしまった。
「加速装置起動……メルクリウス……お前の力を見せてみろ……!」
今こそ人機一体を見せるとき。銀髪少女が本来の姿であるキャバリアへと転じ、それに乗り込んだカシムは超絶速度からの念動光弾を連射した。小型盾を少しでも撃墜できればと思ったが、そもそも勇者リリリリの意識が覚醒した時点で相手は無防備状態になるので、あれこれ策を講じなくとも、武器を強奪するのは簡単だった。
「悪いな勇者! 後で返すからよ!!」
とりあえず、剣と盾を奪っておいたカシムだったが、果たしてそれがどこまで意味があったのかは別の話。そもそも、剣がなくとも勇者リリリリには、小型盾やら六大罪獣やらといった存在を召喚し、相手を攻撃させる術があるわけで。
「あ~、できれば今すぐに返してもらわないと困るかも~」
せめて盾だけでも返してもらわないと、回復ビームも放てなくなる。ここでガチデビルを倒せなかった場合、それは却って困ったことになるのではないかと、リリリリから至極真っ当な突っ込みが入ってしまった。
「えぇい、仕方がない。だったら……せめて、ガチデビルのやつに返してやるよ!」
奪った剣と盾を、カシムは力任せに投げつけた。それらは勇者リリリリの顔面を直撃し、彼女に憑依していたガチデビルに、追い打ちで脳震盪を起こさせたのであった。
成功
🔵🔵🔴
エリン・エーテリオン
デビルキング法とかいう意味分かんねえ法律作りやがって!覚悟しろ!
先制攻撃の対処について
相手のUCは防御出来ないからクイックドロウの要領でヴァルカライナーからマヒ属性攻撃の光線を放つ
視力で相手の剣の動きを見てから推力移動で回避する(縦か横向きに回避します)
『サポートするよ、マスター!』
エキドゥーマも素早く電撃の衝撃波を放つ
『チャンスだよ!マスター!』
エキドゥーマがリリリリの洗脳が解除されたタイミング知らせてくれたらUC発動
『ハッピーセットヲアゲマショウ!』
ブラッドムーンも斬撃波を放つ敵に攻撃
てめぇが作った法律で苦しんでいる人達もいるんだ…そのツケを今払いやがれ!
原子核の破壊エネルギーを敵に放った
●正義と悪の境界線
種族を存続させるために、積極的に悪事を働け。そんな悪事推奨法であるデビルキング法は、魔界においては悪魔達の滅びを防ぐための必要な法律。
だが、それでも悪事推奨法である以上、一般的な価値観からすれば嫌悪感を覚える者がいるのも事実。そもそも常識も価値観も異なる魔界に異世界の常識を当てはめるのがおかしい気もするのだが、己の正義を純粋に信じるエリン・エーテリオン(邪神龍と虹炎の神と共に世界を駆ける元ヤンの新米猟兵・f38063)にとっては、それは些細なことである。
「デビルキング法とかいう意味分かんねえ法律作りやがって! 覚悟しろ!」
「ふん……勘違いも甚だしいな! あの法律がなければ、今頃悪魔どもは自らの善性が理由でとっくに滅びていただろうに!」
悪事を働かなければ存続できないにも関わらず、その善性が災いして滅びる一歩手前までクソ真面目に良い子で居続けた悪魔たち。そんな彼らを救った自分こそが真の勇者であると、ガチデビルは自信満々で言い返す。
まあ、確かにそれも一理あるのかもしれない。そもそも魔界の悪魔はガチデビルの言う通りな存在なわけで、悪事を法で縛って禁止すれば、その先に待っているのは滅亡しかない。カタストロフを待つまでもなく、悪魔の全てが死滅して、程なくして全員がオブリビオンになってもおかしくはない。
そういう意味では、真に糾弾すべきはデビルキング法の是非ではなく、絶対悪であるガチデビルそのものだろう。必要悪として悪事を働いている魔界の悪魔との違いは、彼が根っからの悪であるということだけ。その点を突けば、あるいは少しばかり効果的だったかもしれないが、エリンの指摘はデビルキングワールドの住人達にとって、完全にズレまくったものだった。
「御託は終わりだぁ! その減らず口ごと、叩き斬ってくれる!」
勇者リリリリの身体を乗っ取ったガチデビルが、真正面から一気に距離を詰めてくる。咄嗟にロケット砲から麻痺弾を放つエリンだったが、それを以てしてもガチデビルの攻撃を視認してから避けようという考えは甘過ぎた。
(「……っ! 速い!?」)
そもそもの実力が違い過ぎるため、多少の牽制程度では完全に止められない。おまけに、相手はこちらにユーベルコードを使用する暇さえ与えず攻撃して来るのだから、その攻撃に合わせて二手も三手も繰り出せるはずもない。
このままでは、回避が間に合わない。横に飛んでも腕の一本は奪われるしかない間合いだったが、それでもエリンにはまだ希望が残されていた。
「サポートするよ、マスター!」
なんと、彼女の懐にあったスマホが、突如として電撃を放ったのだ。それに目が眩んだことで目測が狂い、ガチデビルの放った攻撃が微かに逸れた。それでも片腕を深々と斬り裂かれてしまったが、腕を失わなかっただけで十分だ。
「牽制ハ、コッチデシマショウ!」
「逃げることに専念して、マスター!」
受け太刀どころか斬り合いさえできない中、エリンの装備している剣やスマホが次々と喋り出す。何を隠そう、彼らは全て自立した意思を持つ存在。故に、エリンが直に動かさずとも、勝手にサポートしてくれるのが最大の強み。
「そうは言っても……早く洗脳が解除されないと、かなりヤバいぜ……」
装備品達が勝手に攻撃してくれる中、逃げ回るエリンだったが、それでも不利であることに変わりはない。勇者の意識を刺激して覚醒を早められればと思ったが、そんな余裕も当然のことながらないわけで。
「グハハハハ! もう逃げられんぞ! その首、もらっ……た……?」
ついに追い詰められてしまったかと思われた瞬間、ついにガチデビルの動きが止まった。
「チャンスだよ! マスター!」
「ああ、任せろ! ようやくこっちの番だ!」
剣を掲げ、エリンは一気に力を高める。勇者リリリリからの回復など待つ必要もない。チャンスがあるならそれを無駄にせず、全て攻撃に振り切るのみ。
「ハッピーセットヲアゲマショウ!」
チャージ中にも剣から斬撃波が飛び、勇者リリリリの中にいるガチデビルにもダメージを与えて行く。
「てめぇが作った法律で苦しんでいる人達もいるんだ……そのツケを今払いやがれ!」
「ふざけるなぁ! 貴様の勘違いと独善で滅ぼされてたまるか! ……というか、少しは人の話に耳を貸さぬかぁぁぁぁぁ!」
振り下ろされた剣の一撃が原子核をも破壊する虹炎となり、ガチデビルは抗議も空しくズタボロにされてしまった。正直、悪魔の方が正論を言っているようにも聞こえ、果てはエリン自身もボロボロだったが、それでも勝ちは勝ちである。
「ぬぅぅぅぅ……貴様、下手すると私よりも魔王だぞ! やっていることが、魔王そのものだぞ!」
満身創痍のガチデビルが思わず叫んでいたが、エリンはそれにも耳を貸さなかった。彼女はその身に邪神竜を宿す元ヤンの正義。実際にラスボスであり魔王なんだから、自身が悪と見做した者を徹底的にブッ飛ばしても、なにも問題はないのだと。
成功
🔵🔵🔴
四王天・燦
オリンピア中ですしギャラリーは多いに越したことない
ドローン中継手配しておくぜー
敵は乙女を弄ぶ腐れ外道ガチデビルって触れ込みです
神鳴抜いて扱き下ろしながら切り結ぶぜ
受け流し重視で防戦一方OK
乙女を人質にされて反撃できないってことにして視聴者のガチデビルヘイトを稼ぐぜ
六大罪獣は全部凌ごうなんて欲張らず何匹かはカウンターで斬り、後はオーラ防御と根性で耐える
痛いけど演出演出―
リリリリの正気の際にこっそりカンペで『ウソ泣きで自己犠牲の演技をしてください』と指示する
健気な少女を助ける力が欲しいと視聴者に呼びかけ、願いを叶える【断理の剣】で憑いてるガチデビルだけ斬り滅ぼすぜ
悪魔も真っ青な|台本《計画》通りよ
●全ては計算通り?
一進一退の攻防を見せる、勇者リリリリの身体を乗っ取ったガチデビルとの戦い。
だが、そもそも考えて欲しい。この戦いが行われているのは、バトル・オブ・オリンピアの真っ最中。猟兵にとっては純粋な殺し合いかもしれないが、しかしアスリートアースの住人からすれば、スポーツマン精神を無視した場外乱闘に他ならない。
こんな戦い、一刻も早く終わらせて、本来のスポーツの祭典を盛り上げねば。だが、それだけで終わるのも勿体ないと、四王天・燦(|月夜の翼《ルナ・ウォーカー》・f04448)は敢えて多数の中継用ドローンを展開していた。
「オリンピア中だし、ギャラリーは多いに越したことないからな」
実況中継のタイトルは『乙女を弄ぶ腐れ外道ガチデビル』。果たして、こんな殺伐とした動画をスポーツ愛に満ちた人々に流して大丈夫なのかと思われるが……それらも踏まえ、燦にはしっかりとした勝算があった。
「ふん……戦いの様を全世界に中継か? その余裕がどこまで続くかな?」
そんな燦に、ガチデビルは六大罪獣を召喚し、自らは黒き炎の回復を受けられる状態にして攻撃を仕掛けて来る。多勢に無勢で、おまけに自分だけ自動回復とか、さすがは魔王! やることが汚い!
「くそっ! 乙女を盾にしやがって……卑怯だぞ!」
六大罪獣の攻撃を捌きながら、燦が叫ぶ。正直、受け流すだけで防戦一方な挙句、ともすれば何発かは手痛い攻撃を食らってしまっているが、それでも目の前の乙女……勇者リリリリを盾にしていることを強調して戦えば、動画を見ている者にはガチデビルへの悪い印象ばかり与えられる。
『おい、なんだよこれ!』
『これはスポーツの祭典なんだぞ! 正々堂々と戦いやがれ!』
人質作戦とは、ダークリーガーでさえやらない非道な手段。当然、アスリートアースの住人達から受け入れられるはずもなく、動画のコメント欄はガチデビルへの批判でいっぱいに!
「ぐはっ! こ、この野郎……やってくれるじゃねぇか……」
六大罪獣の攻撃を防ぎつつ、しかし反動で盛大に吹っ飛んだふりをして、燦は刀を杖代わりに立ち上がった。闘気の防御と根性で辛うじて耐えていたが、やはり痛いものは痛い。もっとも、敢えて過剰に演出すればするほどに、ガチデビルへのヘイトは堪って行くのだから、それでよい。
『卑怯者! 自分の身体で戦えねぇのか!』
『さっさと乙女を解放しろ! っていうか、勇者なら乙女も頑張れよ!』
動画のコメント欄が、ガチデビルへの暴言と、勇者リリリリへの叱咤激励で溢れて行く。それこそが、燦の狙っていた展開だ。リアルタイムで表示されるコメントに勇気づけられたのか、ついに勇者リリリリが意識を取り戻し。
「あ~、なんか応援してくれる? だったら、声援に応えないといけないよね~」
盾からビームを発射して、燦を回復させてくれるまではお約束。しかし、燦はそれで満足せず、更にガチデビルを追い詰める演出を。
「え……? あぁ、そういうことね。それならいいわ。やってみる」
動画に映らない角度から燦の記したカンペを見て、勇者リリリリは静かに頷いた。そこに書かれていたのは『ウソ泣きで自己犠牲の演技をしてください』という指示だ。
「うぅ……もう……もう止めて! 私はどうなってもいいから……私と一緒に、私の中にいる悪魔をやっつけて!」
指示通りに、勇者リリリリが嘘泣きを交えた演技をした。台詞は棒読みで、視線もカンペを追っているのが丸出し。はっきり言って役者としては大根そのものだったが、既にガチデビル憎しになっている視聴者達には、そんなことは関係なかった。
「みんな……力を貸してくれ! あの悪魔だけを倒し……健気な乙女を助けるための力を……!」
そんな中、燦がよろよろと立ち上がりながら、画面の向こうにいる視聴者達に呼びかける。お前、さっき回復ビーム受けただろという突っ込みは……残念ながら、盛り上がりまくったガチデビルへのヘイトによってかき消されてしまった。
『うぉぉぉぉ! 俺は全力で応援するぜぇ!』
『俺達の力が必要なら、全部持って行ってくれぇ!』
コメント欄に溢れ返る、熱い応援メッセージの数々。それらは全て、燦の技を強化するための力となる。なぜならば……。
「此れなるは森羅万象、即ち理を断つ剣。御狐・燦の全霊と、人々の想いを込めて――その理不尽を断つ!」
彼女の放った一撃は、戦闘圏内にある理不尽な事象そのものを討つという願いを、事象に関わる全ての人たちに呼びかけた上で、『賛同人数÷願いの荒唐無稽さ』の度合いに応じた範囲で実現するというもの。つまり、応援してくれる者が多ければ多いほど、不可能を可能に変えることができるわけだ。
「なっ……貴様、最初からそれを狙って……おのれぇぇぇぇぇっ!!」
ガチデビルが燦の狙いに気づいた時には既に遅く、彼は勇者リリリリの身体から引っぺがされ、今度こそ本当に消滅した。後に残されたのは、解放された勇者リリリリのみ。力を使い果たし、気を失っている(実際は疲れたので寝ているだけの)勇者リリリリの身体を抱き起しつつ、燦はカメラに映らない角度で、不敵な笑みを浮かべたのであった。
「ふっ……悪魔も真っ青な台本計画通りよ」
大成功
🔵🔵🔵