バトル・オブ・オリンピア⑭〜アルカディアの彼方
●Entreaty of SpeedKing
「御機嫌よう。各地で熱い戦いの続くバトル・オブ・オリンピア、集まってくれた皆に感謝を」
グリモアベースにある作戦会議室、招集に応じた猟兵たちをカタリナ・エスペランサ(閃風の舞手・f21100)は一礼で出迎えた。
古代バトリンピア時代より蘇った祭典……オブリビオン、否、ダークリーガーたちと繰り広げられる激突。
此度はレース・フォーミュラ『ウィリアム・ローグ』との戦いを予知したのだと彼女は告げる。
「今回の勝負はウィリアムとの純粋な戦闘になるね。相手は速さを極める事に生涯を捧げたレーサーだ」
戦闘に於けるポイントは2点、と有翼の猟兵は指を立てる。
一つ、その速度を活かした絶対先制。
ウィリアムのユーベルコードによる攻撃に猟兵側のユーベルコードで対抗する事は出来ない。
まずは技術やアイテム・仲間との連携等により先制を凌いで初めて反撃が可能となる。
一つ、速さを極める生涯の果てに得たという「アルカディア・エフェクト」による攻撃。
嘗てのアルカディア争奪戦を知る者なら聞き覚えのある単語だろう。
ウィリアムはドリルや銃器などを満載したエアカー「ローグ・インターセプター」を駆り、触れた者を消滅させる|拒絶の雲海《アルカディア・エフェクト》を機体から噴出させながら襲い掛かってくる。
「それと……もう一点、気になる事があってね。ウィリアムはこのアルカディア・エフェクトの継承を望んでいる」
カタリナの予知によれば彼に勝利した猟兵は「アルカディア・エフェクトの後継者」となるらしい。
いますぐ使用できるわけではないが、いずれ覚醒する事があるかもしれないのだとグリモア猟兵は語った。
「どうにも物騒というか、似つかわしくないような気はするけれど……まぁ憶測さ。この戦いに直接関係する訳でもなし、ウィリアムのスタンスだけ頭の片隅に留めておいてくれればいい」
少なくともウィリアム自身に悪意の類は無さそうだ。
折角の勝負に余計な懸念は無用だろうと継承の件は切り上げ、有翼の人狼はグリモアを輝かせた。
「それじゃ、今回も思いっきりぶつかってくるといい。いってらっしゃい」
にこりと浮かべた微笑と共に、豪奢な装飾の施されたゲートが開いて。
ふーみー
当シナリオをご覧くださりありがとうございます、ふーみーです。
駆け込みでお送りするバトル・オブ・オリンピア!
レース・フォーミュラ『ウィリアム・ローグ』とのボス戦。
このシナリオでのウィリアムとは純粋な戦闘になります。
プレイングボーナスは「敵の超高速先制攻撃に対処する/アルカディア・エフェクトの噴出に対処する」事。
ウィリアムの先制UCに対し猟兵側のUCを対策とする事は出来ないのでご留意ください。
このシナリオに参加し成功した人は「アルカディア・エフェクトの後継者」となります。
いますぐ使用できるわけではありませんが、いずれ覚醒する事があるかもしれません。
また、試験的に難易度オプションも始めました。
興味のある方はMSページをご覧ください。
それでは皆様の健闘をお祈りしています。
第1章 ボス戦
『ウィリアム・ローグ』
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POW : アルカディア・エキゾースト
レベルm半径内を【アルカディア・エフェクト】で覆い、範囲内のあらゆる物質を【何者にも縛られぬ風】で加速、もしくは【置き去りにされた過去の光景】で減速できる。
SPD : ブラック・インフェルノ
【レーシングマシン】から、戦場全体に「敵味方を識別する【漆黒の炎】」を放ち、ダメージと【強制進化】の状態異常を与える。
WIZ : ヴォイド・リフレクション
【超加速能力】を宿した【車載兵器からの一斉砲撃】を射出する。[車載兵器からの一斉砲撃]は合計レベル回まで、加速・減速・軌道変更する。
イラスト:秋原 実
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●最果ての景色
「よく来てくれたな。私がレース・フォーミュラ『ウィリアム・ローグ』だ」
生前は富や栄光をかなぐり捨て、速さだけを追い続けたという伝説のレーサー。
共にあらゆるモータースポーツの頂点に君臨してきた愛車を傍らにウィリアムは猟兵を待ち構えていた。
「私は死後に漸く何者も追い付けぬ『アルカディア・エフェクト』に至った……しかしこれは死者には無用の長物」
その声に宿るのは最速に至った者としての自負か、或いは遂に得たそれが自身には無意味だった無念か。
熱を帯びた口調で語る彼の心情は推し量る他無いが、その望みはハッキリしている。
「命ある者達が纏いし時のみ光輝くこの力を、私は君達に伝えたい……」
究極のエアカーとして自ら開発したのだという「ローグ・インターセプター」に乗り込めば、ウィリアムの渇望が血潮となって巡るようにマシンが熱く唸りを上げる。
「さぁ……全力で私に挑み、私を越えてゆけ……!」
宇宙空間対応型・普通乗用車
↑
触れた者を消滅させるか…
全然理屈がわからん…防げる気がしねぇ…こわ…
こりゃもう初手は全力でバックダッシュ決めて逃げ一択だな!
陸海空宙あらゆる環境で快適な走りをお届けするこのオレは!
スペシにおける最新の科学技術の申し子!
速さを極めたアンタ相手にレース勝負で勝てる気はしねぇが!
そう簡単に追いつかれるほど遅いつもりもねぇ!
そうして時間を稼ぎつつ万有斥力バリア起動ー!
雲海の正体はよくわからんが!
上に吹っ飛んでねぇってことは引力の影響を受けているということ!
てことは当然斥力の影響だって受けるよなぁ!?
その雲海も漆黒の炎も何もかも吹き飛ばして!
華麗に|カウンター《轢き逃げ》ぶちかましてやんぜ覚悟しろァ!
●Show me your brave heart!
「触れた者を消滅させるか……」
究極のエアカーを駆るレース・フォーミュラを前に、宇宙空間対応型・普通乗用車(スペースセダン・f27614)は。
「全然理屈がわからん……防げる気がしねぇ……こわ……」
|震えて《ブルって》いた。
同じ|乗り物《ヴィークル》カテゴリだから感じ取れるものもある。そう、レジェンドと普通乗用車の格の違い。
「では行くぞ、猟兵……ッ!」
「こりゃもう初手は全力でバックダッシュ決めて逃げ一択だな!」
両|者《車》は殆ど同時に動き出した。
初手からアクセルを全開に踏み込みトップスピードまで加速するウィリアム、そして向き合った構図のまま全力で後方へ疾走する普通乗用車。
絵面はともかく唸りを上げたエンジンが高らかに吼える。
「陸海空宙あらゆる環境で快適な走りをお届けするこのオレは! |スペシ《※スペースシップワールド》における最新の科学技術の申し子!」
「ほう……面白い……!」
此度の戦場はレースサーキットではなく平坦に開けたフィールド、更にはレース・フォーミュラの速度が活きるよう十分な広さが確保されている。
故にこそ成り立つ、ドライビングテクニックの影響が極限まで抑えられた純粋なマシンスペックの勝負。
「速さを極めたアンタ相手にレース勝負で勝てる気はしねぇが! そう簡単に追いつかれるほど遅いつもりもねぇ!!」
「異世界のテクノロジーか……ならばその性能でいつまで逃げる……!」
ローグ・インターセプターの速度を乗せた【ブラック・インフェルノ】が一足先にスペースセダンへ迫る。
そうでなくとも高性能車の全力疾走、一直線では幾ら広大なエリアとはいえ外壁へのクラッシュは時間の問題だ。
外装を漆黒の炎が炙る。普通乗用車が強制進化したら高級車にでもされてしまうのだろうか。理不尽!
「いつまでェ? ンなもん逆転の準備が整うまでに決まってんだろ【万有斥力バリア】起動ゥー!!」
「むっ……!」
「雲海の正体はよくわからんが!」
全方位に展開されたバリアが押し寄せる漆黒の炎と火花を散らす。
僅かな拮抗、時間を稼げるという事実こそが重要だ。
「上に吹っ飛んでねぇってことは引力の影響を受けているということ! てことは当然斥力の影響だって受けるよなぁ!?」
それまでのバックダッシュから急反転、迫ってきていたウィリアムの速度も利用し放つは全力の反転激突。
「その雲海も漆黒の炎も何もかも吹き飛ばして! 華麗に|轢き逃げ《カウンター》ぶちかましてやんぜ覚悟しろァ!」
「良い気迫だ……相手になろう……!」
……実のところ。エネルギー量と強度の問題、先に削り切れ消えるのはバリアの方。|ちょっと《結構》掠った。
それはそうと|死な《消え》なければ安いの精神、質量×速度の|破壊的衝撃《クラッシュ》は天地を揺るがし炸裂する。
|拒絶の雲海《アルカディア・エフェクト》継承に強制進化。普通乗用車の未来はどっちか……それは未だ誰にも分からない。
大成功
🔵🔵🔵
ロジャー・カニンガム
勿論です、ローグ=サン。
何度だって乗り越えてみせましょう!
先制攻撃や拒絶の雲海は[音響弾]の音圧や[砲撃]による爆風、[地形破壊]によってめくれ上がった地面を盾にして少しでも遮断
防げなかった分は[スライディング][ジャンプ]の機動で回避します
次はこちらからお返しです
[索敵]でセンサーに捉えたローグ=サンが通過するであろう地点を[瞬間思考力]で予測し、そこに向けて搭載火器を叩き込みます
当然、あらゆるレースを極めたレジェンドのスピードはこの弾幕も凌駕してくるでしょう
故に彼が回避行動を取った瞬間、射撃に紛れ込ませていた【インテリジェントキャノン】の砲弾の軌道を曲げる…これが本命の一発です!
●たった一つの冴えた切り札
「勿論です、ローグ=サン。何度だって乗り越えてみせましょう!」
奥ゆかしいお辞儀を一つ、真っ直ぐな闘志と共に軽いステップを踏むのはロジャー・カニンガム(兎型歩行戦車RIT-17/S・f36800)。
バトル・オブ・オリンピアを通じ一段と進化した実力は最速を掲げるフォーミュラにも決して届かぬものではない。
「ならば見せて貰おう……私の【ヴォイド・リフレクション】、此度はどう制する……!」
ただでさえ加速力・最高速度ともに超高性能なローグ・インターセプターは瞬時にしてトップスピードに至る。
|拒絶の雲海《アルカディア・エフェクト》を噴出しながら、まず襲い掛かるのはその速度を上乗せした車載兵器の一斉砲撃。
生半可な対戦者を開幕で篩い落とす絶対先制の洗礼、しかし後手に回れば磨り潰されるのみ。
ロジャーもまた自らの備えた性能の限りを尽くして対応に動きだしている。
「兵装限定解放。迎撃行動を開始します!」
凌ぎきる事を目的とするなら一斉砲撃を火力で上回る必要は無い。
重要なのは迎撃として成立し得るラインを満たす火力と範囲。
砲撃である以上危険域の外側で炸裂させれば無力であり、一斉砲撃はその密度ゆえに誘爆で生じる穴も大きい。
……尋常の攻撃であれば、そうだろう。
「では、これならどうだ……!」
「特別仕様のカニンガム、その本体性能を御覧に入れますよ」
射出後もその速度・軌道を多段階変化させる【ヴォイド・リフレクション】は超火力を備えながら変幻自在。
弾丸・弾頭そのものが迎撃を掻い潜って迫り……これをロジャーは兎らしく飛び跳ね躱してみせた。
元はレースに適した平地と言えど、繰り広げられる砲撃戦は地形を荒らして余りある。いや、そうなるように意図して迎え撃ったと言ってもいい。
障害物の乱立する環境下での俊敏さでは立体的な動きを得意とする|機械兎《ロジャー》に分がある。
捲れ上がった地面を遮蔽に事実上の追尾砲撃と雲海の侵蝕を凌ぎ、速度を落とす事なく駆け抜けたウィリアムの姿をセンサーに捉える。
「次は此方の番です。全兵装、解放!」
「大した搭載兵装だ……ならば今度は私が超える番だな……!」
一斉砲撃を撃ち尽くした直後、マシンとエフェクトこそ健在とはいえ仕掛けるには又とない好機。
キャノン砲にガトリングにレーザーに手榴弾、膨大な火力が惜しみなく叩き込まれる。
凡そ機械の手に負えない感覚的要素までも計算に組み込み機械の精密性を以て出力するロジャーの制圧射撃はプロフェッショナルのドライビング・テクニックだろうと上回る。
「確かに……読まれていようと私にはこのコースを進む他無い。突破は不可能と言っていいだろう……」
それを。
「生前、幾度も乗り越えてきた言葉だ……!」
究極のエアカーだというローグ・インターセプターの超性能にウィリアムの絶技が生み出す相乗効果、最早それを以てしても説明のつかない奇跡の如き神業。
詰んでいた筈の盤面を貫いてレース・フォーミュラは好敵手を捻じ伏せるべく更に加速する。
「……当然、これさえ凌駕してこそのレジェンドでしょう」
回避行動はとらない。
「これが……本命の一発です!」
「グ、ッ……!?」
轢殺の寸前――完全な意識の死角を突き、不意の砲弾がウィリアムの横腹を撃ち抜いた。
弾幕に紛れさせていた【インテリジェントキャノン】、軌道を曲げるただ一度の奇襲。
「み……見事……!」
刹那の誤差も許されない乾坤一擲の大博打。
動きを止めるエアカーの中、最後にドライバーが|死闘《デッドヒート》を制した勝者へと親指を立てて。
大成功
🔵🔵🔵
数宮・多喜
↑
ウィリアム……
伝説に残るレーサーのアンタに、こんな形で会う事になるとはね。
できるなら生前にレースをしたかったけれど、生まれた時代も世界も違ったからね。
最大限の敬意をもって始めようじゃないか……分かりあうための戦いをさ!
彼が愛車を駆るんなら、アタシも宇宙カブに乗る以外ありえないね。
アルカディアエフェクトと漆黒の炎、両方を捌き切るのは厳しいから衝撃波で吹き散らすのはアルカディアエフェクト。炎は覚悟と根性決めて受け、サイキックの進化に賭ける!
限界ギリギリの速度の世界で彼が見た光景をテレパスで共有し、アタシも同じ境地へ至らんと必死で走り、炎を突き抜けローグ・インターセプターに届かせんと電撃を放つよ!
●征け、伝説を超えて
「ウィリアム……伝説に残るレーサーのアンタに、こんな形で会う事になるとはね」
数宮・多喜(撃走サイキックレーサー・f03004)の声には一人のレーサーとして言いようのない感慨がある。
頂点に名を刻む強者との競演に心躍るのはアスリートの性というものだ。
その相手が既にこの世を去ってしまった故人だとしても。
「最大限の敬意をもって始めようじゃないか……分かりあうための戦いをさ!」
今はただ、時代も世界も超えて巡り合えた奇跡を味わい尽くすまで。
「良い気概だ……ならば先ずは私が伝えよう、生涯を掛け追求した境地を……!」
触れた者を消滅させる|拒絶の雲海《アルカディア・エフェクト》と戦場全体を制する【ブラック・インフェルノ】、二つの超常がローグ・インターセプターから溢れ出す。
それ自体が摂理の具象に等しい絶対的な力、そして広大なフィールドさえ覆い尽くす大規模能力はウィリアム自身の象徴と言っても過言ではない。
「そうかい、これがアンタか! アタシの全力で応えようじゃないか……!」
ウィリアムの愛車に並ぶは宇宙カブ、多喜にとっては究極にも勝るとも劣らない相棒。
二つの能力による先制、いずれも必殺に相応しい力だが片方であれば。
多喜の扱う念動力は衝撃波となって拒絶の雲海を打ち払う。
直後……強制進化を引き起こす漆黒の炎が多喜を呑み込んだ。
「ッ……上等! 覚悟の上さ……!」
「無謀だな……だが、称賛に値する覚悟だ……!」
全身を襲う突き刺すような灼熱に歯を食い縛る。
一秒が遥かに引き延ばされたような極限状態……今更だ。
此処で勝機を掴めなければ焼け死ぬより早く、勢いを取り戻した拒絶の雲海に溶ける事になるだろう。
賭けたのは黒炎が呼び起こす進化の可能性。
「見せて、もらうよ……! アンタの見た光景……アンタの至った境地を……!」
「スリップストリームでついて来い……! そして見せてくれ、君の命の輝きを……!」
見える。否、感じる。五感を超え、第六感さえ超えて感覚がスピードの世界に溶けていく。
炎の熱など比べ物にならない激痛が頭に突き刺さり全身を揺さぶる。
処理限界を超える情報の荒波に【|過去に抗う腕《カウンターパスト》】を伸ばしながら、頭の片隅に過ぎるのは綱渡りにも似た錯覚。
一歩でも踏み外せば暴走する進化に身体を引き裂かれるのだろう。
構うものかと我武者羅に駆ける。
突き抜ける!
「――視えたぁっ!」
快哉はどこか産声にも似て響いた。
サイキックレーサーを焼き尽くさんとしていた黒炎が|拒絶の雲海に消し去られる《・・・・・・・・・・・・》。
|先を行く者《ウィリアム・ローグ》と|それを追う者《数宮・多喜》、もはや隔てるものは何も無い。
「届かせる……超えていくよ、ウィリアムっ!」
「ああ……! 駆け抜けろ、何処までも……!」
見掛けには変わりなく、しかし確かに一つの殻を破った多喜の放つ電撃。
それは真っ直ぐにレース・フォーミュラを貫き、天へと昇る軌跡を刻み付けた。
大成功
🔵🔵🔵
アポリト・アペルピシア
ククク…伝説と謳われしレーサーの王よ、はじめまして。
汝に敬意を表し、全力で相手をしよう
だが、その力は汝が伝えるのではない……我が奪い取るのよ!(そういう体の方がワルいから)
噴出されるアルカディア・エフェクトは羽ばたきで[吹き飛ばし]、更に[結界術]を展開する事で周囲へ流れ込む事を阻む
一斉砲撃は我が[念動力]を以てすれば、投げ返すまではいかずとも、受け流す事くらいはできるだろう
次はこちらの番、雲海に触れても消滅せぬよう[オーラ防御]を纏った『魔王千手』によって、どれだけ速くとも捕えてくれる
汝の気高き意思は無駄にせぬと、魔王アポリトの名において誓おう
故に安心して後進に道を譲るがよい!
●|速度の最果て《アルカディア・エフェクト》で捕まえて
「ククク……伝説と謳われしレーサーの王よ、はじめまして」
「はじめまして」
うむ、と鷹揚に頷きアポリト・アペルピシア(魔王アポリト・f31726)は改めて魔王のオーラを溢れさせる。
「汝に敬意を表し、全力で相手をしよう。だが、その力は汝が伝えるのではない……我が奪い取るのよ!」
「ほう……我らダークリーガーにも通じる|貪欲《ワル》さだな……いいだろう……その手を届かせてみせるがいい……!」
開戦の合図と同時、ウィリアムの技量と愛車の超性能が合わさり繰り出される絶対先制がアポリトを襲う。
触れる者を消滅させる|拒絶の雲海《アルカディア・エフェクト》、そして車載兵器を加速させ放たれる【ヴォイド・リフレクション】の波状攻撃。
対するアポリトは迅速に、しかし悠然とその翼を羽ばたかせた。
「|拒絶の雲海《アルカディア・エフェクト》……確かに大した力だ。だが我はその脅威さえ拒絶してくれよう!」
取り囲まれる事の無いよう抜け目なく結界の補助と併用し、巻き起こす強風を以て押し寄せる雲海を退ける。
だがそれ自体が凄まじい|加速力《エネルギー》を宿した一斉砲撃が強風を貫き――アポリトを捉える事無く後方へ流れていく。
如何に強力な威力を秘めていようと強大な魔王の念動力とて伊達ではない。
一瞬の交錯で膨大な弾頭を受け流したアポリアの周囲、浮かび上がるは無数に複製された特徴的な巨腕。
「流石だな……これを捌くか……!」
「クックック……次はこちらの番だ。どれだけ速くとも捕えてくれる」
「望むところだ……本番は此処からだとも……!」
【|魔王千手《ヘカトンケイレス》】に偽りなく、複製された実に千と百九十のアームが全方位からウィリアムを追う。
彼の言葉は単なる意気込みに留まるものではない。
疾走こそレーサーの本領であり、一度は受け流された【ヴォイド・リフレクション】もその軌道を変え再びアポリトに牙を剥かんと迫っている。
或いは隙を見せればローグ・インターセプタ―の|直接攻撃《ダイレクトアタック》さえ虎視眈々と狙っている事は明らかだ。
……|故にもう一手《・・・・・・》。
物量の暴力に紛れさせた本命、複製アポリトアームの一つが拒絶の雲海へ突っ込み、突き抜ける。
「なん、だと……ッ!?」
「魔王とは狡猾なものなのだよ。ククク……」
幾つかのアームを敢えて雲海に溶かし有用な防御であると誤認させるのが罠。
雲海が攻防一体の強力な力である事は事実だが、触れるもの「全て」に反応する性質上……オーラを纏わせる事で消滅までの時間を稼ぐ事は不可能ではない。
意識の死角を突く奇策、僅か数秒の間に繰り広げられる超高速戦闘の中で生み出した一瞬の好機は勝敗を決して余りある。
「汝の気高き意思は無駄にせぬと、魔王アポリトの名において誓おう」
全開にした念動力でヴォイド・リフレクションを今一度振り払い、残存するアームの補助に回す。
崩れた体勢をウィリアムが立て直すに先んじ、オーラを纏う魔王千手が一斉にレース・フォーミュラへと殺到する。
「故に安心して後進に道を譲るがよい!」
「嗚呼……礼を言おう、猟兵――否、魔王アポリト……!」
決着、然る後には……如何にも尊大な魔王の哄笑が高らかに響き渡るのだった。
大成功
🔵🔵🔵
オリバー・ハートフォード
お会いできて光栄だぜミスター・ローグ。死人のオレでも、アンタへの挑戦権を貰ってもいいか? アンタと一度、こうして走ってみたいのさ!
降り注ぐ炎と霧を、愛車とオレ自身に纏った黒色粒子を〈硬化〉させて防ぐぜ。防ぎきれなくても消滅する先から復元させて攻撃まで〈時間稼ぎ〉さえできればいいさ。
炎と霧を切り抜けたらUC発動、愛車をフルスロットルでかっ飛ばして反撃開始だ。肉薄したらこっちのモン、拳銃の〈クイックドロウ〉と柳葉刀の〈切り込み〉でウィリアムに銃弾と斬撃を叩き込むぜ。
オレは既に死人だが、それでもアンタを越えるぜウィリアム。オレにはまだ、見たい景色ってのがあるからさ!
(アドリブ負傷等々歓迎)
●いのちは輝くが如く
「お会いできて光栄だぜミスター・ローグ。死人のオレでも、アンタへの挑戦権を貰ってもいいか?」
そう声を掛けたオリバー・ハートフォード(|殉職巡査《ワイト・コップ》・f39597)はスケルトン。
|ダークリーガー《オブリビオン》と猟兵、一度死を以て生涯を閉じた両者が対照的な立ち位置で|見《まみ》えたのは如何な縁によるものか。
「アンタと一度、こうして走ってみたいのさ!」
「だが、君にも確かに命の輝きがある……私には分かる。無論、全力を以てお相手しよう……!」
ローグ・インターセプターが音高く嘶いた。
生涯を捧げ神業に至ったウィリアムの技術と彼の手による彼の為だけの愛車が備える超性能、その結実は瞬時にして彼等をトップスピードへ羽ばたかせる。
消滅をもたらす|拒絶の雲海《アルカディア・エフェクト》と強制進化を促す【ブラック・インフェルノ】、逃げ場無き波状攻撃は自らの生をも焼き尽くした速さへの渇望そのものか。
「ヒュウ、流石|レース・フォーミュラ《レーサーの頂点》だけはある! けどな、オレの魂も負けちゃいねぇぜ!」
呼応するようにオリバーの全身から溢れ出すのは染み付いた|黒色粒子《ダークマター》。
雲海と黒炎を受け止めたそれは瞬く間に溶け消え、或いは燃え尽きていくが……十分。
元より超高速に相応しい数秒の短期決戦、ただ相手の先んじた一瞬を凌げればそれでいい。
一度たりともスピードを落とす事なく雲海と黒炎を突っ切った先には疾走するウィリアムの後姿。
彼我の距離は未だ遠く、手を拱けば一度切り抜けたとはいえ雲海と黒炎が再び猛威を振るう事は考えるまでもない。
「よく切り抜けたものだ……だが、こんなものではないだろう……!」
「当然! |風《最速》をブチ抜いてやろうぜ!」
尽きる事を知らず溢れ続ける黒色粒子がオリバーと白バイを包む。
【Lightning Speed】――ウィリアムとは異なる、それでいて遜色ない人騎一体の境地。
爆発的な加速がオリバーを黒き流星に変え、両者を隔てていた距離を一気に突き破る。
「ほう……此処まで迫るか……!」
「捉えたぜ! 後はこっちのモンだ!」
数多の栄冠を恣にしてきたマシンは伊達ではなく、肉薄したオリバーを出迎えるのは無数の兵装。
銃機の射撃やドリルの刺突は標的を|大破《クラッシュ》させるに十分な威力と精度で襲い掛かるが……
「そこで後れを取るようじゃ白バイが泣くってな!」
|拳銃《オートナイン》の早撃ちが銃口を打ち払い、|青銀の柳葉刀《ブルーリーフ・ランセット》が回転する凶刃と火花を散らしながら受け流す。
まだだ。
欲するはその先――もっと速くなれる――!
「オレは既に死人だが、それでもアンタを越えるぜウィリアム!」
「ッ……!」
「オレにはまだ、見たい景色ってのがあるからさ!」
「……嗚呼、そうだ。命とは……それでこそ……!」
青銀の煌めきと共に黒き一閃の軌跡が焼き付く。
レース・フォーミュラを斬り裂いたオリバーは速度を緩める事なく駆け抜け……|最速《ウィリアム》を超え、その先へ。
大成功
🔵🔵🔵
ミア・ミュラー
ん、速かったからわたしは逃げられて、生き残れた。今ではみんなを助ける力にも、なってる。だからあなたの速さも、知りたいな。
速くなったり曲がるなら、ただ避けるだけじゃ厳しそう、だね。けど、自分もそれだけ速く動きながら操るのは大変、だよね。惑わせる本の景色を見せてから、そよ風の腕輪でわたしの姿を隠せば狙いづらくなる、かな。
一度避けたら、アルカディア・エフェクトを風のバリアで受け流しながら、砲撃を引き離してダッシュであのひとを、追いかける。わたしのスピードも見せて、あげる。見えてきたら【風槍】で雲海を晴らして、槍を持ってさらに、スピードアップ。その勢いで車ごと吹き飛ばして壁にぶつけて、あげよう。
●遥かなる風と共に
「ん、速かったからわたしは逃げられて、生き残れた。今ではみんなを助ける力にも、なってる」
ミア・ミュラー(アリスの恩返し・f20357)は嘗て助けられた恩返しとして、人助けの為に戦う猟兵だ。
オブリビオンとの戦いは時に厳しく、力はどれ程あっても足りるという事は無い。
「だからあなたの速さも、知りたいな」
「いいだろう……私が生涯を捧げた『スピードの向こう側』、その境地……全霊で伝えよう……!」
かつて最速に焦がれ続けたレーサーの意思は、今は継承への渇望となって燃え上がる。
乗り手の魂と同調するようにエアカーが嘶き、人機一体の様相を呈して瞬時にしてトップスピードまで駆け上がった。
解き放たれる【ヴォイド・リフレクション】は速度と軌道の超多段階変化を可能とする事実上の追尾弾幕。
触れた者全てを消滅させる|拒絶の雲海《アルカディア・エフェクト》と波状攻撃を形成し、一切の手心無くミアへと襲い掛かる。
「速くなったり曲がるなら、ただ避けるだけじゃ厳しそう、だね」
速度に火力、制圧範囲と精密性をも兼ね備えたそれはそのままウィリアムの技巧の現れと言えるだろう。
着弾までのごく僅かな猶予、ミアが素早く取り出したのは一冊の薄い絵本。
「けど、自分もそれだけ速く動きながら操るのは大変、だよね」
「むぅっ……!」
高い技量を前提とした高難度の大技であれば、制御を乱す|攪乱《デバフ》に脆いのは自明の理。
惑わせる本からは見る者を混乱させるトリックアートの風景が飛び出し、そよ風の腕輪は魔力を受けてアリスの姿を隠れさせる。
ウィリアムもまた即座に一斉掃射の性質を逃げ場無き広域制圧へと切り替えるが――まして幻惑に目の眩んだ状態では――標的に狙いを定めている時のようにはいかない。
少女の小柄な体躯と幾度の戦いで磨かれた身のこなしが合わさり、相手にはそうと悟らせぬまま弾幕を掻い潜る。
「わたしのスピードも見せて、あげる」
「なんと……身一つで私に食らいつくか……!」
拒絶の雲海は触れる全てを消滅させるが故に、バリアも一時的な遮蔽には十分。
隠密が剥がれ落ちる。
そよ風のヴェールが隠していたのはミアの姿だけでなく、軌道を変え追い縋る砲撃を引き離す程の少女の健脚。
猶もウィリアムとの間を隔てる雲海を見据え、少女の傍らに魔力が逆巻く。
「其は風……穿ち、吹き荒べ」
結実する141の【|風槍《ウィンド・スピア》】は行く手を切り拓く刃にして|翼《アクセル》。
あらゆる環境を飛翔する力が拒絶の雲海にさえ一筋の活路を作り出す。
それ自体が推進力を備えた風槍を握り更に加速、此処までが初手の交錯から僅か数秒。
「車ごと吹き飛ばして、あげる……!」
「ぐぅ、オオオ……ッ!」
迷いの無い心が速度の全てを威力に変える。
その疾走は一つの巨大な槍の如くレース・フォーミュラを捉え、吹き飛ばした。
大成功
🔵🔵🔵
天宮・紫苑
アドリブ・連携:可
ウィリアム・ローグ、最速の相手ですか。
まぁ、競技ではなく純粋な戦闘なら負けられません。
「勝たせて頂きます」
相手の先手に関しては、真正面からやるしかないでしょうね。
心を【落ち着け】、【覚悟】を決め、【気合い】を入れて【受け流し】てみせましょう。
とにかく、ダメージが減るように対処します。
「先手を凌げば、勝機はいくらでもあります」
相手の先手を凌いだらUCを発動し、アルカディア・エフェクトを押しのけます。
最悪、相殺できれば良いでしょう。
あとは、エフェクトを抑えている間に、
発動したUCの【闇に紛れ】、【目立たない】様に【忍び足】で行動し、倒せるまで攻撃を重ねます。
「このまま仕留めます」
●闇纏う魔剣の闘技
速さの追求に生涯を捧げたレース・フォーミュラ、ウィリアム・ローグ。
天宮・紫苑(人間の魔剣士・f35977)はレーサーではないが、純粋な戦闘であれば遅れは取れないとの自負がある。
「勝たせて頂きます」
「迷いの無い、良い瞳をしている……我が願いを託すに不足は無い……!」
静けさの中に鋭く研ぎ澄まされた闘争心は臨界に達し、戦いの火蓋が切られる。
「これがアルカディア・エフェクト……死後に漸く得られたスピードの向こう側……!」
「……対処してみせましょう」
人機一体の境地が織り成す超高速、【アルカディア・エキゾースト】は実に半径150m近い広域を|拒絶の雲海《アルカディア・エフェクト》で覆い尽くす。
触れた時点で消失に直結する死の領域を纏うようにしてエアカーの速度で突っ込んでくるのだ、まず距離を取らねば始まる前に全てが終わる。
ウィリアムの動きを見極め後退する紫苑だが、フォーミュラの攻勢は更に苛烈さを増していく。
「至高の速度、その真髄が一端を此処に……!」
紫苑の鋭敏な感覚は雲海の向こう側で発射された幾つもの弾丸・砲弾の存在を感じ取る。
感覚を狂わせるように絶妙なタイミングで牙を剥くのはギリギリまでその位置を掴ませない雲海の遮蔽、そして加速効果を与える何者にも縛られぬ風に後押しされた凄まじい迄の砲撃。
「とはいえ……この先手を凌げば、勝機はいくらでもあります」
死線など数えるのも億劫な程に潜り抜けてきた。
一度は本来の力を失い戦場を離れた事もあった。
それが今、再び全力を振るえるようになり戦場に立っているのだ。
臆する理由も、負けてやるつもりも欠片とて有りはしない。
「ッ……!」
覚悟を力に変え、押し寄せる弾幕を斬り払う。
致命傷は避けた。爆風に身を炙られながらも歯を食い縛り、強く足元を踏みしめる。
「次は此方の番です――闇よ……ッ!」
【黒影の領域】は半径138mを闇で覆う制圧型のユーベルコード。
拒絶の雲海を放つ【アルカディア・エキゾースト】とぶつかり合えば……対消滅は必然。
闇はウィリアムに届く事無く、しかしウィリアムもまた紫苑の姿を見失う。
掻き消えたのは闇と雲海の重なり合った空間であり、残存する闇を遮蔽とする事など紫苑からすれば造作も無い事もまた必然。
「――このまま仕留めます」
「成程……君はそう超えるか……!」
どれ程の速度を誇ろうと進むべき進路を定められなければ意味を為さないのは自明。
闇雲な加速は賭けの域を出ず、ハズレを引けばこの通り。
大太刀一閃、すれ違い様の斬撃は死角よりレース・フォーミュラを薙ぎ払った。
大成功
🔵🔵🔵
仲佐・衣吹
悪足掻きならお手のもの!
鈍足な生者の泥臭い戦いをお見せするよ!
僕ことベストが対峙
絶対に後攻になるにせよ目一杯急ぐよ
ウィリアムが構えるのを[見切り]
ルーンカルテから水と風の魔法を纏って後ろへ飛ぶ
一瞬でも発動時間が稼げれば良いからね
[高速詠唱]でUCを発動
残像分身が扱うはフリーダムブレイズ
状態異常をお返しさせてもらうよ
半人前達でも数が集まれば脅威でしょ?
それが僕達猟兵さ
せっかく伝説の強者と対峙できるんだ
無理矢理成長するのでなく
このままの僕で君を見たい
かつて格好良いレーサー達に憧れて強さと速さを追い求めた
少年達みたいにね
氷魔法のルーンソードで[属性攻撃]
胸を借りるつもりで
最高の一撃をお見舞いするよ
●憧れは時を超えて
「悪足掻きならお手のもの! 鈍足な生者の泥臭い戦いをお見せするよ!」
「そうか……感謝し、そして歓迎しよう。その輝きを見せてくれ……!」
朗らかに笑ったのは仲佐・衣吹(多重人格者のマジックナイト・f02831)が備えた人格、賑やかな好青年ベスト。
開戦の合図と同時、ウィリアムの駆るローグ・インターセプタ―は音さえ置き去りに最高速度へ加速する。
「わ、流石のスピードだ。でも負けないよ!」
「望むところだ……さぁ、先ずはどう凌ぐ……!」
圧倒的な速度はそれ自体が攻防一体。
|拒絶の雲海《アルカディア・エフェクト》と【ブラック・インフェルノ】、いずれもまともに浴びれば即死級の大技が立て続けに襲い掛かる。
……攻撃が放たれてからではとても間に合わない。
故に、猟兵はその前から行動を開始している。
「ルーンの護りよ……!」
ウィリアムが攻撃を仕掛ける瞬間を見極め、その身に纏うは水と風の魔法。
流動するバリアは迫る雲海と黒炎を受け流し、消し去られるまでの刹那に反撃の手を打つ。
「分身展開っ、椀飯振舞! 派手に一花咲かせて魅せよう!」
「「「ハイウェイスターの走り屋魂、いざ燃え盛れ自由の炎!」」」
「むぅ……ッ!」
生きるか死ぬかの瀬戸際、14の【|ソード・ミラージュ《残像分身》】が繰り出したユーベルコードは【フリーダムブレイズ】。
状態異常を反射するオーラが迎え火となり、全方位から呑み込まんとしていた強制進化の黒炎を巻き込んで跳ね返す!
「半人前達でも数が集まれば脅威でしょ? それが僕達猟兵さ」
死者であるウィリアムに強制進化は意味を為さないが、漆黒の炎の持つ純然たる熱量が脅威になる事は変わらない。
分身の跳ね返す炎一つ一つの威力と精度は半減するが、本体と併せ15人ぶんともなれば話は違う。
「せっかく伝説の強者と対峙できるんだ。無理矢理成長するのでなく、このままの僕で君を見たい」
視界を埋め尽くさんばかりの黒炎の波濤を突き抜けローグ・インターセプタ―が飛び出す。
相手は新生フィールド・オブ・ナインの一画たるレース・フォーミュラ、即ちこの世界最高のレーサーだ。これだけで終わらない事など百も承知。
「かつて格好良いレーサー達に憧れて強さと速さを追い求めた……少年達みたいにね」
ルーンソードに宿す属性は氷雪の凍気、黒炎の灼熱を斬り裂いてウィリアムへと踏み込む。
役割を果たした分身は消え去った。後は実力勝負。
「胸を借りるよ、ウィリアム・ローグ!」
「――ああ……私の追い続けた速度の最果て……その先へのバトンを君たちに託そう……!」
幕引きは最高のレーサーへと捧げるに相応しい最高の一撃で。
大成功
🔵🔵🔵
シーザー・ゴールドマン
【ステラと】アドリブ歓迎
「アルカディア・エフェクト、興味深いね。じっくりと観察したい。戦いは任せたよ」
ステラの『アルブス』に同乗して戦場へ。
先制の敵UC対策はステラに任せてアルカディア・エフェクト対策を。
完全障壁(オーラ防御×結界術)をアルブス周囲に展開してエフェクトを遮断。
「まあ、こちらのUC発動までは持つだろう」
初撃を凌いだら『アイオーンの隔絶』を発動。アルブスを覆う。
青と赤が混ざって紫のオーラがアルブスを纏う感じに。
あとはアルカディア・エフェクトすら戦闘力に変換してアルブスに送り込みながら戦闘を観戦。
「ただただ速さを極めた果ての姿。見事だったよ」
ステラ・リデル
【シーザーと】アドリブ歓迎
キャバリア『アルブス』に搭乗して戦場へ。
シーザーと同乗。
(コックピットはサイキックキャバリアなので不思議空間のイメージで)
「任されました」
アルカディア・エフェクト対策はシーザーにお任せ。
敵先制UCの一斉砲撃は可能な限り回避を行い、(第六感×見切り)残りは機体から全周囲に衝撃波(×範囲攻撃)を放って着弾するまでに爆破。
初撃を凌いだら『青い光の衣』をアルブス全体に発動。
それ以降の攻撃は全て吸収して戦闘力へ変換。
「お終いです」
十分に戦闘力を増強させた後、キャバリアサイズの『オーラセイバー』を展開。真っ二つに斬り裂きましょう。
●死せども、最期まで閃光のように
「アルカディア・エフェクト、興味深いね」
ウィリアムのエアカーから噴出する|拒絶の雲海《アルカディア・エフェクト》にシーザー・ゴールドマン(赤公爵・f00256)は薄い笑みを浮かべる。
それは|果てなく蒼穹の世界《ブルーアルカディア》で確認された災害の名だ。
今は触れる者を消滅させる脅威として猛威を振るい、彼の世界では資格無き者を阻む障壁として立ち塞がった。
雲海自体の性質は勿論、ウィリアムが追い求めた速度の果てに至ったのは“何故”この雲海だったのか。
「じっくりと観察したい。戦いは任せたよ」
「任されました」
端的に応じたのは藍色の長髪を靡かせるステラ・リデル(ウルブス・ノウムの管理者・f13273)。
純白のキャバリア“アルブス”内の特殊空間から二人は今まさに超高速の先制を放たんとするレース・フォーミュラを見据える。
「キャバリアと呼ぶのだったか……|大物狩り《ジャイアントキリング》は久しぶりだな……!」
溢れ出す拒絶の雲海は波濤の如く押し寄せ、見通せぬ雲海の向こうから超加速を宿した車載兵器が火を噴いた。
全てを無に帰さんとする程の極大威力で迫る制圧火力に――アイコンタクトさえ不要。以心伝心、二人は既に手を打っている。
「――届かせはしない」
激しい舞踏のようにアルブスを駆りながら、ステラの表情は怜悧に冴えて。
優に百を超える回数だけ速度と軌道を変化させる事実上の変幻自在に等しい砲撃、卓越した洞察力を以て掻い潜る。
砲撃を操作するウィリアムと繰り広げる読み合いの果て、遂にその機体を射抜かんとした詰めの一手は衝撃波に捻じ伏せられた。
「さて……何処まで蝕めるか。まあ、こちらのUC発動までは持つだろう」
指を弾く音一つ、アルブス周囲に展開されるは概念的不可侵の絶対障壁。
接触した拒絶の雲海は平然と侵攻を進め、しかし目に見えて速度を落とす。
赤公爵の宿す無限の魔力……全てを消し去る拒絶の雲海であろうと、容易く喰い尽くせるものではない。
「成程……強いな……! それでこそインターセプターも昂るというものだ……!」
「なに、本番は此処からだよ」
「――覆え」
刹那、赤と青のオーラがアルブスの内側より溢れ出し機体を包んだ。
混ざり合う【|アイオーンの隔絶《デウス・アルムム》】と【|青い光の衣《ブルー・アーマー》】は神秘を宿した深い紫の色彩を宿す。
そも、ユーベルコードとは単独で世界の理をも塗り替えるポテンシャルを宿した埒外の御業である。
それが二つ合わさった際に成し得る事象は果たして如何な領域にまで及ぶのか。
「……驚いたな……よもや……!」
それまでのような消滅に伴う疑似的な相殺とは違う。
完全障壁にさえ牙を立てた拒絶の雲海は紫妖のオーラに吸収され、戦闘力に変換されアルブスへと送り込まれていく。
「吸収型の防御と言えば……容量限界、或いは機構の要となる弱点が定番だが……」
「無駄ですよ」
切って捨てるような言葉に対し、ウィリアムは――笑ったのだ。ヘルメットの下で、確かに。
拒絶の雲海さえ逆に喰らう程の護りを貫く術などそう都合よく存在はしない。考えるまでもなく分かる事だ。
だが。
「……懐かしいな。最速に焦がれた日々の中で……何度も聞いた言葉だ……!」
際限なく溢れる拒絶の雲海が押し寄せ、残存する【ヴォイド・リフレクション】が軌道を変えて食らいつく。
その全てがアルブスの戦闘力として取り込まれながら、ローグ・インターセプターは一瞬たりともその速度を緩めはしない。
「……お終いです」
戦闘力の十分な増強まで然したる時間を要する事は無かった。
全てを断ち斬る魔神の利剣、オーラセイバーはキャバリアの規格に比肩するほど強大に光り輝く。
ウィリアムの振り絞る全霊の力を取り込んだのだ。彼がどれほど疾く駆けようとも、もはや逃れる術はない。
一閃が地形諸共にレース・フォーミュラを叩き斬る。
「ただただ速さを極めた果ての姿。見事だったよ」
最期まで――或いは彼の生涯と同じく――駆け抜け、燃え尽きるように。
その幕引きは一部始終を見届けた赤公爵の賛辞で締め括られた。
―― “レース・フォーミュラ”ウィリアム・ローグ、撃破 ――
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵