バトル・オブ・オリンピア⑬〜マキシマム・チャンピオン
●~デスリング・デスマッチ受付中~
「御機嫌よう。各地で熱い戦いの続くバトル・オブ・オリンピア、集まってくれた皆に感謝を」
グリモアベースにある作戦会議室、招集に応じた猟兵たちをカタリナ・エスペランサ(閃風の舞手・f21100)は一礼で出迎えた。
古代バトリンピア時代より蘇った祭典……オブリビオン、否、ダークリーガーたちと繰り広げられる激突。
此度はプロレス・フォーミュラ『デスリング総統』との戦いを予知したのだと彼女は告げる。
「今回のバトルはプロレス形式になるね。ポイントは主に二つあるよ」
一つ、デスリング総統の絶対後攻能力――果たして能力だろうか。
ともあれ総統は猟兵のユーベルコードを受けきった上で勝つと宣言している。
基本ハンデとなる条件を自ら負っているのだ、この宣言に応えずしては勝負自体が成立しない。
先手で如何にダメージを与えるか、或いは勝利への布石を打てるかが戦いの行方を左右する事になるだろう。
一つ、戦場となるバトリンピア遺跡のプロレスリングのギミック。
この時点では予知なので実際の試合が始まるまでには少し猶予がある。
事前に申請しておけば試合の際に活用できるようスタッフが実装してくれるという訳だ。
ギミックは総統も活用してくる可能性がある点は留意しておくべきだろう。
「敵味方ではあるけれど、最高の試合の為にサポーターまで一丸となって……というのはこの世界ならではだね」
もちろん相手はルール無用のダークリーガー、この試合に通常のルールは意味を為さないのだが。
至高のファイトへの渇望はアスリートアース全体に共有された正義であるとも言えるだろうか。
「今回もキミたちの鮮やかな勝利を祈っているよ。……ああ、総統の|必殺技《ユーベルコード》はどれも凶悪だから気を付けて」
何やら最後に物騒な事を一つ付け加え、豪奢な装飾の施されたゲートが開く。
|ルール《仁義》を守って|楽しく《激しく》デスマッチ!
ふーみー
当シナリオをご覧くださりありがとうございます、ふーみーです。
駆け込みでお送りするバトル・オブ・オリンピア!
プロレス・フォーミュラ『デスリング総統』とのボス戦。
プロレス形式のバトルですがルール無用のデスマッチになります。
プレイングボーナスは「プロレス技でデスリング総統を上回る」「リングのギミックを利用し、華麗な試合をする」事。
リングのギミックはプレイング内で指定したものを利用する形式です。
デスリング総統は猟兵に対し先制攻撃を仕掛けてくる事はありません。
UCを用いた猟兵の攻撃→受けきった総統のUC→防御or回避して猟兵側のトドメという流れの想定。
また、試験的に難易度オプションも始めました。
興味のある方はMSページをご覧ください。
それでは皆様の健闘をお祈りしています。
第1章 ボス戦
『デスリング総統』
|
POW : デスリングスープレックス
掴んだ対象を【四次元】属性の【骸の海送りのデスリングスープレックス】で投げ飛ばす。敵の攻撃時等、いかなる状態でも掴めば発動可能。
SPD : デスリングスイング
自身の【四本腕で相手の体を掴んで】から極大威力の【骸の海送りのジャイアントスイング】を放つ。使用後は【マイクパフォーマンス】状態となり、一定時間行動できない。
WIZ : デスリングラリアット
【四本腕を伸ばしての高速回転】からレベルmまでの直線上に「神殺しの【骸の海送りの四次元竜巻】」を放つ。自身よりレベルが高い敵には2倍ダメージ。
イラスト:雲間陽子
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●腕力・剛力・怪力無双
「グロロロロ、遂に相見えたな、猟兵共よ!」
転移した猟兵を出迎えるは4本腕の巨漢、プロレス・フォーミュラこと『デスリング総統』。
プロレスリングを照らすスポットライトを一身に浴び、ダークレスラーの総統は高らかに名乗りを上げた。
「そう、ワガハイこそがダークレスラーの総統、その名も『デスリング総統』である!」
マイクパフォーマンスに沸き立つ会場。
デスリング総統を称えるダークリーガー側のサポーターも居れば、猟兵たちに期待と信頼の喝采を送る者も居る。
リングに実装されたギミックの挙動も順調、後は雌雄を決するのみ。
「さぁ、何処からでも掛かってくるがいい! 貴様らの全力を受けきり、そしてワガハイの四次元殺法で葬り去ってくれるわ! グロロロロロロ……!」
今、開戦を告げるゴングが鳴る。
ディアーネ・モルガナイト
私なりに正々堂々戦わせていただきますよ。
ユーベルコード「ガレオンチェンジ」で全長18mの飛空艇に変身。
予め用意してもらったリングのギミック「天井開放」を利用して、私は空から艦載砲による攻撃や1000km/hの飛翔による回避などで攻防を試みます。
デスリング総統の技は掴まれなければ発動しない。
これが私の全力の応えです。
●怪奇! 空飛ぶデスリング!
「グロロロロ、ワガハイの前に単身で立つ度胸は褒めてやろう小娘よ!」
「はぁ、どうも。私なりに正々堂々戦わせていただきますよ」
大人と子供ほどの体格差、暑苦しい程に鍛え上げられたデスリング総統の肉体が放つ威圧感はそれ以上か。
哄笑と共に見下ろし待ち構える総統に対し、ディアーネ・モルガナイト(ガレオノイドのギターヒーロー・f41224)は人差し指で天を示す。
「高度限界解放――光あれ」
ゴゴゴゴゴ、と会場を揺るがし遺跡の天井が二つに割れる。
冷たく冴えた冬の外気が会場に流れ込み、中天の太陽がギラついたスポットライトに取って代わった。
大仰なギミックだがそれ自体はプロレスに影響を与えるものではない。
何が起きる、と会場に集ったサポーターたちが固唾を吞む。
どちらかと言えば小柄な一身に注目を集め、少女は小さく呟いた。
【ガレオンチェンジ】、と。
ディアーネの本質は戦場を故郷とする|飛空艇《ガレオン》の変異種、ガレオノイドである。
全長実に18m、本来の姿に回帰した彼女は高空へ舞い上がり一身に日差しを受け止める。
「グロロロロ! そう来たか! そう来たか小娘ェッ!」
『これが私の全力の応えです』
雨あられと降り注ぐ艦載砲の掃射は遮るものの無いリングを蹂躙する。
絶体絶命のデスリング総統は……スッと四本腕にランチャーを構えた。
「ならば恐怖のデスリング凶器攻撃を見せてくれよう! ワガハイの四次元殺法に不可能は無ぁい!」
『…………。理解できません。通常の兵装が|超常《ユーベルコード》の砲撃に敵う訳がない』
そもそもが射程外だろう。
絨毯爆撃の火力に耐え得る肉体こそ脅威だが、このまま削り切るまで――
そう判断したディアーネの直下、ロープに足を掛けたデスリング総統が反動を活かし跳躍する。
「さぁ恐れ戦くがいい! デスリングランチャアアアアアッ!!」
『それが狙いですか……!』
「グロロロロ避けられまい! その図体で水平方向に動けば容易くリングを超えてしまうからなぁ!」
なんて卑劣な……! いや卑劣か……? という動揺が観客席に広がる中、デスリング総統の巨体が宙を舞う。
逃れるなら垂直方向。だが砲撃射程の都合上、予め隔てられる距離にも限界があった。
一斉に放つランチャーの反動で急上昇、更に撃ち終わったランチャーを投げ捨てる勢いで更に加速。
あまりに力尽くの荒業で彼我の間合いは瞬間的に捻じ伏せられ。
(追いつかれる――――――!)
「グロロロロ! プロレスの全力と言えばそう! 己が肉体のぶつかり合いよォッ!!」
『――……そうですね』
腹を括る。
如何な状況であろうと全力で応じる、その事はディアーネとて変わらない。
『足場の無い空中。まして異形の巨漢と言えど飛空艇には遠く及ばないその身体で、お得意の四次元殺法は使い物になるでしょうか』
「果たして通じるか通じないか、その身で試してみるがいい! グロロロロ!!」
掴む事に成功した以上【デスリングスープレックス】の発動は絶対だ。
対するディアーネに出来る事は|飛空艇《ガレオン》の馬力と質量で立ち向かうのみ。
逃れる為ではなく、捻じ伏せる為に動力炉が唸りを上げる。
歪に組み合う両者は一歩も譲らぬまま重力に引かれて――さながら流星の如くリングへと突き刺さった。
成功
🔵🔵🔴
高崎・カント
↑
「きゅ⁉ もきゅ」
対峙するだけで恐ろしいのです
これがプロレスフォーミュラの強さ
今のカントの付け焼き刃な技では通じるか微妙……
それなら小細工よりも全力をぶつけるのです!
コーナートップからロープに飛び、反動を利用して上昇!
【UC使用】で全力で加速し続け【リミッター解除】、マットギリギリに当たりそうなところで軌道変更して急上昇
総統さんの顎を下から【不意打ち】で狙うパチパチクロスチョップなのです!
「もぎゅう⁉」
カントの全力でもダメなのです⁉
がっちり掴まれていて離脱は難しそうなのです
こうなったら投げ飛ばされる前にダメージを与えるしかないのです
【オーラ防御】で堪え、掴まれたままパチパチ火花を放つのです!
●モーラットは小粒でもぴりりと辛いの巻
「きゅ!? もきゅ」
常人の優に倍以上はあろうかというデスリング総統の巨躯、その前に相対するは身の丈30cmにも満たない高崎・カント(夢見るモーラット・f42195)。
誤ってリングに迷い込んだマスコットにも思えるが否である。
彼女も正式な手続きを踏んでエントリーした一人のファイターとして此処に立っている。
「|きゅぅ、もきゅもっきゅ《対峙するだけで恐ろしいのです》。|もきゅ、もきゅきゅう……《これがプロレスフォーミュラの強さ……》」
「グロロロロ! どこからでも掛かってくるがいい! ワガハイの前に立つ以上容赦はせんぞぉ!」
「もきゅきゅ……もきゅう……《今のカントの付け焼き刃な技では通じるか微妙……》」
余裕たっぷりに待ち構える総統が|ヒール《悪役》らしく慢心している事は確かだが、その肉体は伊達でない。
重厚なプレッシャーに晒されながら、カントは凛々しく戦意を奮い立たせる。
「|もきゅっ! ももも、もっきゅもっきゅ!《それなら小細工よりも全力をぶつけるのです!》」
軽やかに弾んだ毛玉はコーナートップからロープに飛び移り反動を活かして更に跳躍。
降り注ぐスポットライトを浴びながらその身はパチパチの静電気を宿し加速する。
【|超電磁モーラット砲V《モーラットレールガン・ビクトリー》】――射出するのはカント自身。
「|もっきゅ! もきゅきゅきゅきゅ!!《カントの全力! 受けてみるのです!!》」
「グロロロロ! さぁ来い、その小さな体にどれ程のパワーが秘められていようと全て受け止めてくれよう!」
最大143段階の加速、一つを残してその全てを|唯《ただ》一撃に注ぎ込む。
限界を超えたありったけ、カントは流星と化して駆け抜け――
「|きゅきゅっ! もっきゅーーーーー!!《ここでっ……パチパチクロスチョップなのです!!》」
「な、なにィッ!? グロロロロォォーーーー!!」
最後の一段階は軌道変更に。
マットギリギリに直撃する寸前、殆ど直角に急上昇したカントは真下からデスリング総統の顎を狙う。
直撃を受けた総統の巨体はカントの勢いに押されるままロープ際まで追いつめられる。
「やるではないかぁぁ……しかぁし! 恐怖のデスリングショーは此処から始まるのだ! グロロロロ!」
「もぎゅう!?」
リングアウトまであと一歩のところで総統の四本腕がモッフゥゥ……とカントを捕え、【デスリングスープレックス】の構えを取る。
「|きゅうう……もっきゅう……!?《カントの全力でもダメなのです!?》」
「このまま骸の海まで投げ飛ばしてくれるわ! 一世一代のツアーをとっくと味わうがいい! グロロロロ!」
「|もっきゅ……! もっきゅもっきゅ、もっきゅうう……!《こうなったら投げ飛ばされる前にダメージを与えるしかないのです……!》」
僅か数秒の猶予が最後のチャンス。
決着のゴングが鳴るその瞬間まで諦めはしないと、全身全霊のパチパチ火花で抵抗する。
「グロロロォ!? おのれ、悪足掻きを……!」
「|もっきゅ……もっきゅもっきゅ、も、も、もっきゅ……!!《カントは……最後まで戦い抜くのです……!!》」
「グロロロロロォ……!!」
地響きと共にデスリング総統の巨体がマットに沈み、満身創痍のモーラットもころころと転がる。
すかさずカウントに入るレフェリーを前に立ち上がったのは小柄なチャレンジャーの方。
不屈の勇気が掴み取った勝利を、会場の声援が祝福した。
大成功
🔵🔵🔵
アニカ・エドフェルト
↑
なるほど、ユーベルコード、使うまで、待ってくれるの、ですね。
…使うまでの、過程も、あってもいい気が、しますが…あまり、待たせても、いけないので、いきなり、いっちゃいましょう、《撃地天使》っ
…あ、リングのギミックは、デスマッチらしく、電流爆破でも、お願いしておきます、ね。
ロープに、直接落として、爆破します、が…
…うん、まだ、立ち上がってきます、よね。
返しの相手の技で、わたしも、ロープに飛ばされて、爆破、させられちゃい、ます。
何度も、繰り返され、全身を焼かれ、もうぎりぎりに…
でも、相手を一度、一度だけでも掴めればっ
リングのど真ん中に《撃地天使》、お願い、これで、沈んで、ください…っ
(勝敗お任せ)
●戦慄! 地獄の極限デスマッチ!
「なるほど、ユーベルコード、使うまで、待ってくれるの、ですね」
プロレス・フォーミュラ、遂に現れた悪のダークプロレスラーの元締めらしい横綱相撲だとアニカ・エドフェルト(小さな小さな拳闘士見習い・f04762)は一つ頷く。
「よろしく、おねがいします」
「グロロロロ! その小さな身体でどこまでワガハイに立ち向かえるか、試してみるがいい小娘!」
カァン、と音高く開戦のゴングが鳴る。
「……使うまでの、過程も、あってもいい気が、しますが……」
初手から狙うは圧倒的な体格差をも覆す一撃必殺の大技だ。
故にこそ当てるまでの駆け引きがあるのだが、全て受けきる構えを見せているデスリング総統相手には無用。
臆せずして踏み込み、捉える。
「あまり、待たせても、いけないので、いきなり、いっちゃいましょう、《|撃地天使《スラミングエンジェル》》っ」
「グロロロロ! 何をするかと思えば――ば、馬鹿な!? このワガハイを持ち上げるだとぉぉッ!?」
倍では効かない体格差、まして要塞めいた巨体を誇る異形の巨漢である。
そのデスリング総統をホールドし持ち上げる少女のパワーに会場が沸き上がった。
えいやっと気合いを込めて放つは破壊属性のパワーボム、ロープへ飛ばされたデスリングの巨体が爆ぜる。
「しまった、今回のリングは電流デスマッチ仕様……ッ! グロロロロォオオオ!!」
凶悪な音と共に火花が弾け、黒煙を上げながらマットに倒れるデスリング総統。
すかさずレフェリーがカウントに入り……2カウント、プロレス・フォーミュラはむくりと立ち上がる。
「……うん、まだ、立ち上がってきます、よね」
「グロロロロ……中々良いマッサージではないか! おかげでワガハイのパワーも高まってきたぞぉ……!」
「っ……!」
猛然と迫るデスリング総統の返しの技は奇しくもアニカの技と類似した【デスリングスープレックス】。
だがリングという限定された空間、体格差に加え異形の四本腕からのアプローチを捌くのは困難を極める。
防御の上からアニカの細腕を捕まえ瞬く間にホールド、総統は必殺の構えを取った。
「冥途の土産に格の違いを教えてやろう! 骸の海まで吹き飛ぶがよいわぁッ!」
「く――っ、ああぁッ……!」
本来デスリング総統の|四次元殺法《ユーベルコード》はまともに受けてはならない文字通りの必殺。
骸の海送りの超パワーを相手に現世へ踏み止まった事が奇跡と言っていい。
だが、ロープの電流爆破ギミックは触れた者に等しく牙を剥く。
「グロロロ、少しは頑張るではないか! だが限界なのはお見通しだぞ? 素直に参りましたと言うがよい!」
「まだ、まだ……わたしは、負けません……っ!」
「ほぉう……? その痩せ我慢がいつまで続くか見てやろうではないか! グロロロロ!」
受けたダメージは甚大、既に立っているのがやっとの状態で回避など叶う筈もない。
再び炸裂する四次元殺法、しがみつくように骸の海送りだけは耐えるが電流爆破は容赦なく襲い掛かった。
遠くに聞こえるレフェリーのカウントが3を数える寸前、震える身体に鞭打って起き上がる。
「おとなしく降参すれば楽になれるものを、流石は猟兵と褒めてやりたいところだ! グロロロロ!」
「あきらめ、ません、絶対に……!」
デスリングスープレックスは繰り返しアニカを襲い、電流が爆ぜるたびに観客席から悲鳴が上がる。
頑健を売りにするプロレスラーの一人である彼女をして電流爆破の洗礼に全身を焼かれては、限界など疾うに超えている。
それでも、と霞む視界に対戦相手の姿を見据える。
乱暴に掴みかかってくる四本腕の一つを、もはや殆ど力の入らない手で掴み返す。
「小娘がいくら頑張ったところでワガハイを超える事は出来ぬぅ!」
「一度、一度だけでも掴めればっ……!」
「なにィッ!? なんというやつだ! お……オオオッ……!?」
鍛えてきた身体と磨いてきた技がアニカに応えた。
デスリング総統の巨体が再び持ち上がり、しかしロープまで投げ飛ばす程の力はアニカにも残っていない。
命と魂を振り絞るように、ありったけのパワーを掻き集める。
「《撃地天使》……、お願い、これで、沈んで、ください……っ」
「グロロロロォ!? ば、馬鹿なぁあああッ!?」
いつしか会場を揺るがす程の声援が降り注ぐ中、泣いても笑っても最後の一撃。
撃地天使のパワーボムがリングのど真ん中へとプロレス・フォーミュラを叩きつけた。
大成功
🔵🔵🔵
ディアーネ・モルガナイト
プロレス技を受けたディアーネは飛空艇の姿から人型に戻り【真の姿】を覚醒させる。
「受けて返すがプロレスならば、私もあなたの技を受けて返すわ」
ユーベルコード「ダーク・ヴェンジャンス」を発動。
デスリング総統の「デスリングラリアット」を受ける覚悟で臨む。
技を受けた後に立っていられるかどうか分からないけど、それでも意地で返してあげる。
「さあ異種格闘技戦を制するのは私よ!」
●起死回生の最終決戦
墜落と轟音。|戦場《リング》が震え、衝撃波が駆け抜ける。
果たして【ガレオン・チェンジ】が解け人型に戻ったディアーネ・モルガナイト(ガレオノイドのギターヒーロー・f41224)、そしてデスリング総統は未だ健在だった。
「グロロロ! ワガハイのデスリングスープレックスを喰らって立つとは大したものだが、もう限界のようだな!」
「まさか。本番は此処から……猟兵としての“真の姿”でお相手しましょう」
|飛空艇《ガレオン》と人型、二つの在り方を持つガレオノイドという変異種。
次は人の形を保ったまま、ディアーネはその真の姿を解放する。
「何をしようがこのワガハイには通じぬという事を教えてやろう! 何処からでも掛かってくるがいいわ!」
「枯れ落ちろ命の大樹――逃れ得ぬ死を知りなさい。纏え、【ダーク・ヴェンジャンス】」
音も無く滲み出しディアーネの全身を覆うは生命力を吸収する漆黒の粘液。
やはり待ち構える姿勢をとったデスリング総統へと無造作に距離を詰め、鋭く連撃を放つ。
一撃ごとに伝わるのは断崖絶壁を相手にしているかのような重い手応え。
漆黒の粘液から常人であれば一人や二人では済まない量の生命力を奪い、猶も総統の底は見えない。
「グロロロロロ! 戦いの中で成長とは粋な真似をする! 褒美にワガハイの更なる奥義をお見舞いしてやろう!」
「ッ……」
豪快かつ強引な大振りのカウンター、飛び退き躱して構え直す。
呵々大笑を響かせたデスリング総統が取るのは先刻のスープレックスとはまた別の構え。
プロレス・フォーミュラは伊達ではなく、並のファイターなら迸る闘志だけで身動きさえとれなくなるだろう。
「どうだ恐ろしかろう! また|飛空艇《ガレオン》に|変身《チェンジ》してもよいのだぞ、グロロロロ!」
「受けて返すがプロレスならば、私もあなたの技を受けて返すわ」
「ほぉう、なら我が四次元殺法に散った事、骸の海で自慢してくるがよい! 【デスリングラリアット】ォォッ!!」
広げた剛腕は常人の二倍の四本腕で200万パワー、いつもの二倍の力を込めて400万パワー。
そしていつもの3倍の回転力が加わって1200万パワーとなった四次元竜巻がディアーネに迫る。
数字はともかく打撃としては最大威力と呼ぶに不足の無い|奥義《ユーベルコード》……直撃の瞬間に感じたのは身体から魂を弾き出されるような衝撃。
「これが、骸の海送り……!?」
未知のダメージに目を瞠り――否、朧げにだがこの感覚は知っている。
一度は不完全な形で受けた【デスリングスープレックス】の記憶を呼び起こし、現世から吹き飛ばされそうな存在を直感的に繋ぎ止める。
身の凍るような一瞬を間一髪に凌ぎ、直後に物理的なダメージが焼けるような痛みと共に襲い掛かった。
少女の華奢な身体は物理法則に従って宙を舞い、そしてマットに叩きつけられて。
1……2……レフェリーのカウントが3を数えんとする瀬戸際、強引に身を起こす。
「グロロロロ! よく頑張ったがとうとう終わりの時が来たようだな。もはや指の一本も動くまい!」
「……言ったはず、よ……返してあげる。意地でもね……!」
デスリング総統の見立ては概ね正しい。ディアーネの受けたダメージは限界に達している。
そして――ダーク・ヴェンジャンスは負傷を受ける程に力を増す。
ディアーネの総身を覆う漆黒に宿る力もまた最大値を叩きだしているという事に他ならない。
「さあ……異種格闘技戦を制するのは、私よ……!」
「あ、有り得ん……なんという力だ……! グロロロロォォオ…………ッ!」
最後の攻防の果て、鈍い音を立てて異形の巨体が崩れ落ちる。
遂に鳴り響く決着のゴングと共に、万雷の拍手が会場を揺るがした。
大成功
🔵🔵🔵
草剪・ひかり
POW判定
ピンチ・敗北・お色気等キャラ崩し描写歓迎
プロレスラー以外を相手にするなら、その「絶対後攻」というポリシーもわかるけど
あなたの前にいるのは、他でもないプロレスラー!
しかも、あらゆる次元を探してもここにしかいない最高の上玉
さぁ、私とやろう、プロレス!
さて、体格差もだけど、腕四本とか……格闘に有用すぎね!?w
けど私もプロレスラーの頂点を自負する身
そんな事は楽しみに変換しちゃうよ
まずは相手の格に敬意を表し、爆乳を思いきり揺らしつつ強烈な逆水平チョップでご挨拶
一発お見舞いしたら「やり返して魅せろ」と手招きで挑発
折角の「プロレスラー」同士の闘いなんだし、プロレスで“会話”しよう
不利は承知で真っ向から受けるプロレスに拘るけど、流石に余分な二本の腕が邪魔!
投げても飛んでも極めても普段の様にはいかなくて、タフネスに自信のある私も疲労困憊
だけど……これだけどうにもならない相手と闘うなんて、若手の頃以来でワクワクしちゃう!
全力でも壊れないなら、久々に必殺のスープレックスを加減抜きで掛けちゃおうかな!
●スペシャルマッチ~ 女帝 VS 総統 ~
「プロレスラー以外を相手にするなら、その「絶対後攻」というポリシーもわかるけど……」
戦いの舞台となるバトリンピア遺跡。彼女の登場にざわめきが広がる。
金王冠を戴き、チャンピオンベルトを巻いて――本場アスリートアースのプロレスリングともなれば、草剪・ひかり(次元を超えた絶対女帝・f00837)を知らぬ者はこの場に居ない。
「あなたの前にいるのは、他でもないプロレスラー! しかも、あらゆる次元を探してもここにしかいない最高の上玉!」
リングに立つ両者をスポットライトが照らし出す。
ダークレスラーを統べるプロレス・|フォーミュラ《頂点》を前に自然体で向かい合い、快活な笑みを浮かべ。
「さぁ、私とやろう、プロレス!」
「グロロロロ……! 望むところだ! この総統に挑むと言うならば貴様の力を見せてみるがいい、女帝よ!」
傲岸不遜に待ち構えるデスリング総統の威圧感はただ立っているだけでも物理的な重圧を感じさせる程のもの。
加えて仕掛けるにも隙を潰しているのが異形の四本腕。
筋力だけでなく技量も鍛え上げられている事が|否《いや》が応でも伝わってくる。
「さて、体格差もだけど、腕四本とか……格闘に有用すぎね!?w」
「グロロロロ、四本腕はかくとう最強の証! 初代からの常識よッ!」
「あー、懐かしいな……ゴホン」
「ゴッホン!」
「閑話休題、私もプロレスラーの頂点を自負する身! まずはこっちから挨拶といこうか、総統っ!」
ひかりとて伊達や酔狂で女帝を冠している訳ではない。
逆境も楽しみに変え、挨拶代わりの逆水平チョップを叩き込む。
「グロロロロ……ッ! ほぉう、中々のパワーではないか!」
込められた威力を物語るように激しい打撃音が響き、デスリング総統は一歩の後退を余儀なくされる。
無傷で済まずとも未だ余力を見せるデスリング総統に対し、ひかりは「やり返してみせろ」と手招きで挑発。
総統は見せつけるように両腕を交差させ、大振りの一撃を繰り出した。
「良い度胸ではないか! ならばワガハイも礼をしてやろう、グロロロロロ!」
「ぐぅ……っ! 気前がいいじゃない!」
ひかりもデスリング総統と同じように正面から受け止めるが、やはり純粋な筋力の差は小さくない。
威力に押し出されるようにロープ際まで追いやられ、全身には突き抜けた衝撃が重い余韻を残す。
「グロロロ……貴様の強さも本物のようだな。その闘気、練り上げられている。至高の領域に近い」
「そりゃどうも……! 流石に邪魔ね、この余分な二本の腕……!」
身体的な全盛期は幾らか過ぎたひかりの本領は技術と経験。
鍛錬と戦いの中で磨かれてきた技の数々を繰り出すが、しかし今一つ決定打には届かない。
「素晴らしい提案をしてやろう。貴様もダークレスラーに」
「ならないッ!」
「判断が早いッ!」
(|デリケートなネタ《加齢や性別》は掘り下げてこないタイプの|ヒール《悪役》か……!)
言葉の応酬と同時に繰り広げられる激しい攻防、互いに相手の技を受けきるプロレスの流儀に倣う以上どうしてもフィジカルの差が顕著に現れる。
一瞬でも気を抜けば崩れ落ちそうになる膝。
ダメージの蓄積は頑健を売りにするプロレスラーの肉体さえ限界まで追い詰めつつある。
「どうした、ウォーミングアップでもう膝を屈するか? グロロロロ……!」
「まさか……! これだけどうにもならない相手と闘うなんて、若手の頃以来でワクワクしちゃう!」
此処からが本番だと言外に告げる煽り文句には当然と破顔一笑で応える。
踏み込みは鋭く、それでいて軽やかに。待ち構える異形の四本腕、その一つを無造作に掴む。
『絶対女帝の新たな象徴! 全てが平伏す権威の証! 女帝の逆鱗に触れた者が、怒りの嵐から逃れる術は存在しない!』
「全力でも壊れないなら、久々に必殺のスープレックスを加減抜きで掛けちゃおうかな!」
「バカな、まだこれ程の力を残していただとぉ!? グロロロロォッ…………!」
デスリング総統の巨体を豪快に投げ飛ばすは受身不可能とされる究極のスープレックス。
宙を舞いマットに叩きつけられた衝撃はリングを揺るがし、決着を確信したギャラリーの歓声が遺跡を満たす。
……ガシリ、と荒々しい手応え。
今にもホールドされんとしていたデスリング総統の四本腕、その一つがひかりを掴み返す。
「グロロロロロロ……! 言った筈だぞぉ……貴様らの|必殺技《ユーベルコード》ごとき、全て受けきってくれるとなぁ……!」
「しまった……! こ、のぉ……っ!」
【デスリングスープレックス】は掴みさえすれば逃れる術のない一発逆転の荒業。
4本の巨腕にホールドを返され、一転して絶体絶命に追い込まれたひかりの姿に観客席から悲鳴が上がる。
「滅びよ……そして蘇るのだ! 骸の海の洗礼を受け、新たなるダークレスラーとしてなぁ!」
「マズっ――」
全力をぶつけ、受けきられた。
相手はダークレスラーの頂点、このまま終わっても悔いは無い――等という思考が僅かにでもよぎったのはデスリング総統の気迫に|中《あ》てられたか。
骸の海送りに投げ飛ばされるまさにその瞬間、ひかりに届いたのは女帝の名を叫ぶ観客の声。
「……なぁんて。応援してくれる人が居るなら、最後まで足掻かなくちゃね……!」
「なにぃっ!? ワガハイの四次元殺法を堪えるだとぉ……!?」
鍛え上げられた技と培われたセンスが身体を突き動かす。
本来なら生じ得ない筈の僅かな隙を突き、自身を投げ飛ばそうとしているデスリング総統の腕を掴み返す。
「なによ、結構効いてるじゃない?」
【|エンプレス・トルネード・スープレックスホールド《ジョテイノゲキリンニフレタモノハスベテガヒレフス》】、奇しくも【デスリングスープレックス】と類似したそれが備えるのはノックアウト属性。
デスリング総統とて限界は近いのだ。
この一発で勝負を付けんと、最後の力を振り絞ってデスリング総統を投げ飛ばす――スピードと技のキレなら負けはしない。
「これで決まりっ……だぁあああああああああっ!!」
「グロロロロォォオオ………………!?」
すかさずレフェリーがカウントに入る。
1、2、、、跳ね起きようとして、しかし叶わない。
3カウント。
限界を振り絞った死闘の果て、勝者を称える決着のゴングが高らかに鳴り響いた。
―― “プロレス・フォーミュラ”デスリング総統、撃破 ――
大成功
🔵🔵🔵