アートマンの合一は火を炎へと変ずる
ジェラルド・エルネイジェ
ジェラルドがソフィアの監督の下、サラマンダーでキャバリアファイトするノベルをお願いします。
アドリブ・改変歓迎です。
困難・不明な点の解釈はお任せします。
●場所
クロムキャバリアならどこでもOKです。
海鶴マスター様のシナリオで登場した舞台だったりNPCが登場したりしても楽しいかも知れません。
海鶴マスター様のPCに登場頂いてもOKです。
●友軍と敵軍
特に指定はありませんのでいい感じに見繕ってください。
●その他
以下は執筆時の参考資料としてください。
●ジェラルド
エルネイジェ王国の第一皇子です。
ソフィアの双子の兄に当たります。
一人称は俺だったり我だったり安定しません。
サラマンダーの継承者です。
●性格
冷静ながら正義感が強く誇り高い騎士です。
しかし戦事では割り切った考え方をします。
「騎士の決闘と国の戦では道理が異なる。ただ敵を討ち払い、名誉を示すだけという訳にも行くまい」
現女王の待望の第一子として産まれたので、国中から愛を受けて育ちました。
その結果、自分には生まれながらにして世界に愛される能力があると思い込むようになりました。
「生まれ。サラマンダーとの出会い。そして猟兵の開眼。これらを全て偶然と片付けられようか? 否。全て世界が与えた寵愛に他ならない」
以上の思い込みにより自分に絶対の自信を持っています。
上手く行かない事があれば、それは世界が自分を愛するあまりに課した厳しい試練なのだと思い込みます。
「獅子は我が子を谷に突き落とす。愛とは時にそういうものなのだ」
「庇護ばかりが愛とは限るまい?」
「愛とは即ち試練だ」
「お前には聞こえんのか? 俺には聞こえるぞ? 世界は我にこう告げた。この試練を乗り越えてみせよと」※幻聴です。
●ソフィアとの関係
双子の兄です。
呼び方は「ソフィアよ」「我が妹よ」「お前」
国をより強靭にしたい、失墜した王家の権威を取り戻したいという考えで一致しています。
幼少期より同じ環境で学び、共に技を研鑽し合っていました。
武人として、好敵手として信頼しています。
後方兄貴面しています。
「我が妹達は兄が支えてやらねば立てないほど弱くはない」
●王位継承権
エルネイジェの王家では女性が優先されるのでメサイアより下です。
「王位に執着が無いと言えば嘘にもなろう。世界も高みを目指せと告げている」※幻聴です。
「だがソフィアが玉座に就くのならば、それもよかろう。目指す理想は変わらんのだからな」
●役職
エルネイジェ王国軍の聖竜騎士団の副団長です。
指揮系統的にはソフィアに従う義務があります。
「ソフィアよ、騎士団の長はお前なのだ。俺という炎を操ってみせろ」
軍籍上の階級は大尉です。
●サラマンダー
エルネイジェ王国に伝わる機械神(巨神とほぼ同義)の一機です。
分類はサイキックキャバリアです。
自我があります。
一応女の子らしいです。
性格は熱血で血気盛ん。我は獄炎の竜帝なり。
継承者とは意思疎通が可能です。
「往くぞサラマンダー! 俺とお前! 二つの火を合わせて一つの炎だ!」
アーレス大陸では特定の宗派を持たないものの、炎の象徴として広く認知されています。
●サラマンダーの性能
高速格闘戦型です。
積載容量の大半を格闘戦に必要な機動力と装甲の確保に費やしています。
四肢の爪と牙、尻尾を使った激しい格闘戦を得意とします。
熱を吸収して硬質化・再生する炎竜装甲で機体全体を覆い、更に両腕部には炎竜装甲製のシールドを搭載して防御力を高めています。
その分重量が増大してしまいましたが、背面に搭載した大型ブースターと各部の補助ブースターが補って余りある機動性を発揮します。
しかし面制圧力は低く、尾部のビームカノンと口腔内のバーニングバスター以外の火器を搭載していません。
発熱量が凄まじく、連続稼働時間が短いという欠点を抱えていました。
ですが排熱装置のブレイズディスチャージャーを搭載する事で克服し、更に発生する熱を攻防、使い方次第で加速に転用可能となりました。
●サラマンダーの戦闘方法について
強襲と暴力的な格闘戦が基本です。
まずブレイズディスチャージャーを起動して炎の障壁を展開します。
これにより防御効果を得て、炎竜装甲の強度と再生力を高めます。
ストライクバックラーで正面を防御します。
シュトゥルムイオンブースターとイオンスラスターを全開にして突撃します。
シールドを使用した体当たりと同時にヒートエッジファングで噛み付きます。
ユーベルコード【炎竜爆砕破】で噛み付いた敵諸共に周囲を爆破します。
残存した敵にヒートエッジクローで飛び掛かり、スマッシャーテイルで薙ぎ倒します。
敵の残存数が多い場合はバーニングバスターの火炎放射で焼き払います。
受ける攻撃は炎竜装甲と盾、ブレイズディスチャージャーで発生させた炎の障壁の三重に防ぎます。
被弾時の衝撃はスマッシャーテイルで姿勢を制御し、足のヒートエッジクローで踏ん張りを効かせて耐える事で、素早く反撃に繋げます。
背後を取られた際にはテイルビームカノンを積極的に使用します。
ソフィア・エルネイジェ
ジェラルドの戦いを監督するソフィアのノベルをお願いします。
どちらも同背後PCなので文章量の公平性などは気にしないでください。
アドリブ・改変歓迎です。
困難・不明な点の解釈はお任せします。
●何人合わせ?
ジェラルド
ソフィア
以上の二名です
●監督?
猟兵化して日が浅いジェラルドの戦いを監督する為に付いてきました。
「心配な訳では無いのですが……念の為です」
インドラに乗って戦闘に参加しますが、あまり手出しはしません。
脇役でOKです。
●ジェラルドとの関係
双子の妹です。
呼び方は「ジェラルドお兄様」「兄上」「我が兄」
ソフィアは聖竜騎士団の団長なので役職上ではジェラルドに命令を下せる立場にあります。
「兄上、よろしいですね?」
軍籍上の階級もジェラルドと同じ大尉です。
●兄への認識
「ジェラルドお兄様は気持ち悪……いえ、少々変わり者でして」
変な兄だと思っています。
「兄は昔からご覧の通りなのです」
ジェラルドの変な思い込みの事は知っています。
「お兄様は……ある種の病気を患っておられるのです」
それはそうと武人として、好敵手として信頼しています。
「腕は確かなのですが……」
●幼少期の頃について
兄妹共に2年間程王立魔術学園に在籍していました。
しかし2人とも魔法の素質は今ひとつでした。
一方で身体能力が優れていたため、本人達の希望もあって騎士学校に編入されました。
●戦い方
インドラ・ストームルーラーで殲禍炎剣の照射判定域より低い高度から航空支援します。
とは言ってもあまり手出ししません。
ガンポッドとミサイル時々格闘で適当に戦うか、殆ど見ているだけな感じです。
●熾火
炎が吹き荒れている。
それは己に利するところのものであった。
炎竜装甲と呼ばれる超耐熱装甲。機神の一騎『サラマンダー』にとっては外殻のようなものであったが、同時に力の源でもある。
炎を吸収することで硬質化し、例え傷をつけられるのだとしても高速再生することができる。
敵はいなかった。
吐き出す獄炎は万物を焼き尽くす。
あらゆる敵を打ち倒すには、それで十分だったのだ。
だが。
迫りくるキャバリアは陣城ならざる動きをしていた。
二騎。たった二騎のキャバリアが己の放つ炎を躱しながら、迫っているのだ。
「『アハト』!」
青いキャバリアのパイロットの言葉に応えるように黒いキャバリアが手にした銃火器から弾丸を放つ。
いや、それはブラフであると『サラマンダー』は理解していた。
同時に無意味であるとさえも。
そう、己の放つ炎は熱を吸収する。吹き荒れる炎は、己の戦場にあって敵を害すると同時に己を助けるものであった。
そもそも超高温の炎に阻まれ、弾丸は空中で溶け落ちる。
無意味。
己の爪の一撃で終わりだ、と思った瞬間、己の装甲を貫き、フレームへと到達する手傷を負わせるものがあった。
それは水晶の輝き。
クリスタルビットと呼ばれる遠隔弾幕兵器。それが己の炎をかいくぐるような精緻なる操作でもって飛来し、正確に装甲の間隙を突いていたのだ。
「今だよ。『フュンフ』。あの機神を討て、滅ぼせ!」
迫るは二刀のプラズマブレイドを携えた青いキャバリア。
交錯された斬撃をスマッシャーテイルエッジが薙ぎ払う。だが、青いキャバリアは意に介していない。
それさえも、ただの予備動作であるかのような凄まじい剣速でもって翻った斬撃が己の尾を分断する。
咆哮が轟く。
爆発に飲まれながらも『サラマンダー』は後退る。
後退る?
この己が?
怒りが芽生える。許されないことだ。
この獄炎の竜帝たる己が、後退を? 怒りが吹き荒れる。炎が噴出し、迫るクリスタルビットを溶解させる。
侮るな。舐めるな。この我を。
己が骨身を穿つだけに飽き足らず、尾すら傷つけた者たち。
万死に値する。
吹き荒れる炎に二騎のキャバリアは一歩前に踏み出し、そして、何故か後退していく。
臆したか! と『サラマンダー』は怒り迸る。
だが、理解する。
黒いキャバリア……駆る『あれ』もまた己と同じ問題を抱えているのだと。
己の骨身、フレームより発せられる発熱量。
これが自身の連続稼働時間のネックになっている。
同様のことがあの黒いキャバリア『熾煌』の搭乗者にも起こっているのだろう。だが、それで何の問題がある。
己たちは戦っているのだ。
まだ戦える。
戦って散るつもりなど毛頭ない。だが、己の全力を持って燃え尽きるまで戦うのが、誠であろう。
故に青いキャバリア『熾盛』が黒い『熾煌』を押し止めるようにして後退していったことに、怒り狂う。
戦う者の矜持を阻んだあの『熾盛』に対して並々ならぬ怒りを放つ。
だが、吹き荒れる炎の戦場には――。
●兄妹
兄のことですか?
ソフィア・エルネイジェ(聖竜皇女・f40112)は猟兵へと覚醒した双子の兄、ジェラルド・エルネイジェ(炎竜皇子・f42257)のことをグリモア猟兵に問いかけられ、僅かに難しい顔をした。
「ジェラルドお兄様は、気持ち悪……いえ、少々変わり者でして」
今、気持ち悪いって言おうとした?
ソフィアはなんでもない、というように頭を振った。
有無を言わさぬ笑顔が其処に在った。
下手に突こうものなら、こう、並々ならぬ膂力でもって黙らされる気配があった。
そう、ソフィアにとってのジェラエルドという兄は、『変人』という認識であった。
ジェラルド・エルネイジェ。
ソフィアの双子の兄であり、エルネイジェ王国においては王位継承権は低位に位置する。
エルネイジェ王家において王位の継承権は女子が優先されるが故である。
そのことについて問われた時、ジェラルドは闊達に笑って言ったのだ。
「王位に執着が無いと言えば嘘にもなろう。これは否定しようのないことだ。だが、我が心に二心はない」
彼の言葉はハッキリとしていた。
己の双子の妹、ソフィア。
彼女が王位を継承し、玉座に就くのならば、それでよいと思っているのだ。
なぜなら、彼女は己の双子の妹。
そして、目指す理想もなんら変わらないのだ。
ならば、王位への執着など些細なことなのだ。
「それにな、世界も高みを目指せと告げている」
薄紅色の髪をかきあげ、無駄に清涼感を発揮しながらジェラルドは言い放ったのだ。
その時、ソフィアは思った。
世界が、何? と。
もしかして、我が兄は何か得体の知れぬ者と交信しているのではないか。
そう思うほどにジェラルドは前向きであったし、ひたむきであった。
共に魔術学園に入学し、しかして、魔術への適正というか素質がいまいちであったときも、彼は言ったのだ。
「魔術が微妙? いまいち? 王家として恥ずかしくないのか、だと? フッ、これもまた世界がわれに与えた試練の一つに過ぎぬ。ソフィアよ、我らは国をより強靭なものとしたいと願ったな。失墜した王家の権威を取り戻したいと」
「それは、そうです。戦って、勝つためには」
魔術を学ぶことは益である。
だからこそ、と己達の身に魔術への適性がないことを彼女は憂いた。
だが、その憂いを吹き飛ばすようにしてジェラルドは言ったのだ。
また髪をかきあげ、無駄に清涼感を発揮していた。なんかこころなしかキラキラしていたが、ソフィアは微妙な顔をしていた。
この兄はいつもこうだった。
なんていうか、ある種の病気を患っているとしか思えない。
けれど、彼の言葉はいつだって力強かった。自身に満ち溢れていた。
「獅子は我が子を谷に突き落とす。千尋の谷にな。愛とは時にそういうものなのだ」
「愛? 急にまたどうして愛だと……」
「庇護ばかりが愛とは限るまい? 愛とは即ち試練だ」
ソフィアは理解できなかった。
兄が何を見て、何を想い、何を考えているのか。
いや、わかっている。
彼と己は同じ場所を目指している。
敗北し他国に領土を侵略されている状況。奪われたものを奪い返すこと。そうしたことをひっくるめて互いに同じ場所を目指していると理解している。
だが、この兄は何を言っているのだ?
「お前には聞こえんのか? 俺には聞こえているぞ? 世界は我にこう告げた」
また無駄に清涼感を振りまいている。
さっきから何なんだこの兄は、とソフィアは思ったが理性在る狂戦士としての本能が告げていた。今此処で突っ込むのは野暮だと。
むしろ、その時の判断が未来の頭痛の種、その一つに連なっていくと知っていたら、全力で突っ込んでいただろう。
だが、そうはならなかったのである。
「この試練を乗り越えて見せよ、と。ソフィア、我が妹よ。お前は兄たる俺が支えてやらねば立てないほど弱くはないのだ」
手を差し伸べるのかと思ったら、また髪をかきあげた。
だから、なんだその清涼感は。
ソフィアはちょっと、むっとした。
さっきまでは確かに魔術への素養がないと嘆いていたのだが、無性に兄の態度に腹が立ってきた。
「魔術がダメならば、なんとします」
「決まっている。他の道をたどるのみ。我らが肉体は頑強にして精強。素養無くば磨くことのできぬ魔術ではなく、己の持てるすべてを持って練磨すれば肉体は応えよう」
「つまり」
「ああ、騎士学校への編入を望もう。何、身一つからでも志あれば如何ようにでもなるというものだ」
ゆくぞ! とジェラルドと決断し、ソフィアもまた騎士学校へと編入を果たす。
二年間ほどに満たぬ魔術学校の生活は彼らに挫折を味あわせた。
いや、ジェラルドにとっては挫折とも言えぬ程度の事でしかなかったのかもしれない。
己が持ち得たものを如何にして磨くか。
それをジェラルドは幼き頃より理解していたであろう、ということをソフィアはしみじみと今も思い出す。
あの日の兄はたしかに無駄な清涼感に満ちていた。本当に無駄だなって思っていた。だが、その瞳に宿る炎の苛烈さを誰よりもソフィアは理解していたのだ。
故に彼女は兄が、その、なんていうか、聞こえない声を聞く可哀想な病気を患っていると思っていても、嫌いにはなれなかったし、厭う気持ちもなかった。
あるのは同志として、好敵手として、武人として、騎士としての信頼だけだった。
「……まあ、その兄は昔からご覧の通りなのです」
ソフィアは『インドラ・ストームルーラー』を駆り、低高度の空を飛ぶ。
暴走衛生『殲禍炎剣』の感知高度よりも低い空は、空とも呼べぬものであったが、しかし、今彼女が見ているのは炎渦巻く戦場だった――。
●『サラマンダー』
「ソフィアよ、あれがそうなのか!」
ジェラルドは己の乗騎『サラマンダー』のコクピットの中で腕組み、地平の彼方より土煙を上げて迫るキャバリア『イカルガ』を率いる一騎の『インドラ・ナイトオブリージュ』の姿を認める。
『インドラ・ナイトオブリージュ』――それは己の妹であるソフィアの乗騎『インドラ』を模した機体である。
流通していることは知っていたが、しかし、どういうことか。
「『フルーⅦ』と呼ばれる小国家においてのオブリビオンマシン絡みの事件で姿を現し、妹よ、お前が撃破したと聞いたが?」
「それとは異なる個体のようです……」
ソフィアは『インドラ・ストームルーラー』のコクピットから兄と対峙するキャバリアの群れを認める。
どうやらオブリビオンマシンではないようであるが……しかし、『エルネイジェ王国』の国境に接近している時点で己たちの領土を侵害していることにほからない。
所属を問いかけても応答はない。
「問いかけに答えぬとは無礼な。だが、これは騎士の決闘ではない。それは許そう。だが……」
「お兄様、今暫くのご辛抱を」
「ソフィアよ」
ジェラルドは静かに告げる。
「騎士団の長はお前なのだ。わかっている。承知している。だがな、あれらは戦火の飛び火だ。我らに降りかかるのならば跳ね除けるだけでよかろう」
しかし、とジェラルドの瞳は見開かれる。
そこにはユーベルコードの輝きが在った。
「しかし、あれらは我が国、我が民に降りかかろうとしている。これを払わぬして何が騎士団か」
「わかっております」
「ならば、俺という炎を操ってみせろ」
その言葉と共に『サラマンダー』が弾かれるようにして飛ぶ。
吹き荒れる炎を引き連れるようにして、尋常ならざる加速で持って迫るキャバリア群との距離を詰めるのだ。
嵐の名を関するブースターとスラスターの噴射によって距離を詰めた『サラマンダー』に『イカルガ』たちは即応することができなかった。
あまりにも速度が違いすぎる。
踏み込みの速度においては『インドラ』さえも上回る。
その烈火の如き進撃を前に『イカルガ』たちは銃口を向ける。しかし、その銃火器は『サラマンダー』の爪の一閃によって溶断され、爆発を生み出す。
だが、次の瞬間爆発を貫くようにしてスマッシャーテイルの一閃が『イカルガ』の頭部を破壊し、その機体を仰向けに転倒させる。
「見よ、これが俺と『サラマンダー』である! 二つの火をあわせて一つの炎と成さしめる化身と知るが良い!」
ジェラルドの駆る『サラマンダー』は『イカルガ』の群れを即座に分断する。
この群れを率いていた『インドラ・ナイトオブリージュ』は交錯するようにして『サラマンダー』と距離を離されていた。
反転し、迫ろうとした瞬間、ソフィアの『インドラ・ストームルーラー』の放ったミサイルによる支援でもって足止めされる。
「兄上、よろしいですね?」
「此度は監督と言ったはずだが?」
「兄上の技量を軽んじているわけではございません。あれなる『インドラ・ナイトオブリージュ』……機体の仕様は変わらずとも、しかし、搭乗者は」
「『エース』であると言うか」
「はい」
「ならば、従おう」
『サラマンダー』が反転する。
そう、『サラマンダー』は面制圧に向かぬ機神である。
対する『インドラ・ストームルーラー』は他を圧倒する力を保つ。ならば、騎士団長であるソフィアの判断が正しい。
「騎士として名乗ろう。我が名はジェラルド・エルネイジェ。騎士とお見受けするが」
「……」
反転し、対峙する『インドラ・ナイトオブリージュ』の搭乗者は応えない。
だが、ジェラルドは確信する。
他の『イカルガ』がソフィアに抑えられているとは言え、この『インドラ・ナイトオブリージュ』に搭乗している謎の存在は騎士だ。
サブアームが保持するランスが空に掲げられる。
「答えられぬか。『黒』騎士よ。ならば!」
踏み込む。
互いに格闘機。
炎吹き荒れる戦場にあってジェラルドは笑う。
熾烈なる戦いの気配。両腕に配された盾と槍とが打ち合う。火花散り、一合で互いの力量が知れる。
その間にも『イカルガ』は次々とソフィアによって討たれていく。
「……」
「決着の場は今ではないと」
「……」
「よかろう。この荒野の一戦はすでに決した。ならば、此処に名誉を示すだけの道理はない」
ジェラルドの言葉に『インドラ・ナイトオブリージュ』は後退していく。
お兄様、とソフィアの咎める声が届く。
だが、ジェラルドは無駄に清涼感を発揮し、髪をかきあげた。
「よいのだ。あれなるは騎士であった。ならば、再び必ず相見えよう。妹よ、お前も御婦人を共にしては戦いづらかろう。ならば」
此度はこれにて、とジェラルドは『黒』騎士との再戦に臨む未来に笑むのだった――。
成功
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