バトル・オブ・オリンピア⑫〜強制オフサイドトラップ〜
グラウンドに選手達が散り、ホイッスルが鳴るのを待っていると突如として辺りが闇に包まれる。
何事かと不意に空を見上げると巨大な隕石がこちらに迫ってきていた。
いくら超人的なサッカー選手でも直撃したらひとたまりもないと敵味方関係なく最寄りのベンチに逃げ帰る。
しかし隕石は衝撃波もクレーターも生むことなく減速し出し、グラウンドの上に着地する。
外周で選手達が固唾を飲んで見守る中、隕石の表面が剥がれ落ちる。するとその裏には段がついており、隠されていた内部には扉がついていた。
煙と共に扉が開かれる。そこから現れた女性は左腕を横薙ぎに振るい、高らかに叫んだ。
「我らはギャラクシィリーガー! この星をもらいに参上した!」
彼らの到来はまるでバトル・オブ・オリンピアの開催に呼応するかのようであった。
「彼らは一方的に、銀河の支配権を争うサッカー勝負『ギャラクシィリーグサッカー』の開催を宣言しました。これこそあの『Mr.ホームラン』が言っていた『侵略者』の例でしょう」
そう言ってルウ・アイゼルネ(滑り込む仲介役・f11945)はテーブルの上に広げられた紙のグラウンドの上に人型の駒を配置していく。
「この勝負に負けるとは、超宇宙のパワーによって『負けた星の知的種族全員が、勝者の配下になってしまう』という、恐るべき能力を持っています。この能力は試合放棄でも発動する為、アスリートアースの人々を守るためには、戦って勝つしかありません」
この能力はギャラクシィリーガーだけでなく猟兵達にも有効で、勝負に猟兵達が勝てばギャラクシィリーガーは猟兵達の傘下に降ることになるという。
「今回我々が相手取るギャラクシィリーガーチームは、ダークリーガーの1人『颯爽菱子』のクローンが鍛え上げた11人が相手となります」
ダークリーガーの名コーチのデータに基づいた特訓を受けたとはいえ、その実力はダークリーガーよりもはるかに上。しかも彼らは「宇宙サッカー戦法」なる特殊なユーベルコードを使ってくるという。
「それが『強制オフサイドトラップ』です」
オフサイドトラップとは、相手チームの選手をオフサイドポジションに誘い込むことで、相手チームにオフサイドの反則を取らせるプレー。
ディフェンダー間の連携が重要になり、ディフェンスラインを横一直線の状態にし、相手がパスを出す瞬間にディフェンスラインを少し引き上げ、パスを受ける相手をオフサイドポジションに置き去りにして、オフサイドにするというやり方が一般的である。
「彼らが使ってくるユーベルコードはいわゆる転移系。パスを受ける選手とボールを自分達の後ろに一瞬で転移させることでオフサイドラインを踏ませてゴールを防ぎつつマイボールにしてしまう……といった内容になります」
さらにベンチにいる颯爽菱子も平気な顔でユーベルコードを使ってくるため、出場する猟兵は2種類のユーベルコードを常に受けることとなる。
「ですが2種以上のユーベルコードを浴びるなんてここよりも熾烈な戦場でもあったことです。この戦法への対抗策を編み出し、勝利しましょう! 皆様、よろしくお願いいたします!」
平岡祐樹
お疲れ様です、平岡祐樹です。
このシナリオは戦争シナリオとなります。1章構成の特殊なシナリオですので、参加される場合はご注意ください。
今案件にはシナリオギミック「宇宙サッカー戦法『強制オフサイドトラップ』に対抗する」がございます。
これに基づく対抗策が指定されていると有利になることがありますのでご一考くださいませ。
第1章 集団戦
『やって来た万能のコーチ・菱子イレブン』
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POW : いくぞお前達!颯爽菱子優勝クラブ、ここから勝つぞ
【誰よりも強く勝利を掴み、勝ち抜いて見せる】という願いを【自分達の仕合を見ている全ての存在】に呼びかけ、「賛同人数÷願いの荒唐無稽さ」の度合いに応じた範囲で実現する。
SPD : 私と、こいつらが相手だ!
指定した対象を【特訓に耐え、必殺技を授けた愛弟子達】にする。対象が[特訓に耐え、必殺技を授けた愛弟子達]でないならば、死角から【厳しい特訓により開花させる専属コーチ菱子】を召喚して対象に粘着させる。
WIZ : 私が、私達が!アスリート・アースだ!?
召喚した【自分達や教え子、所属選手やかつての強敵達】と寝食を共にする。信頼度に応じ、注意を逸らす【ラフプレイ、守りを固めるスクラム】や治療能力【等を発現した必殺SYOWAユーベルコード】を自主的に使用する。
イラスト:番場たくみ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
空桐・清導
POW
アドリブや連携も大歓迎だ
「まさか宇宙からの侵略者がやってくるとは。
なんでもありだな、この世界。というか、この戦争。」
準備運動をしながらぼやくぞ
さて、まずは「 いくぞお前達!~」のUCについて
「奴らはこの世界を奪おうとする宇宙人達に操られている!
オレが必ずこの世界を守る!だから、応援頼むぜ!!」
そういう感じで賛同者をコッチに引き込む
更にオレのUCの効果を高めることもできるぜ
そして、問題の『強制オフサイドトラップ』
対処方法はシンプルだ
要するにパスをしなければ良い!
ディフェンスラインに近づいたら
ボールを受け取ってUCを発動して一人で突っ込む
UCの効果で敵をぶっ飛ばしながらゴールにぶち込む!
「まさか宇宙からの侵略者がやってくるとは。なんでもありだな、この世界。というか、この戦争」
丁寧に準備運動をしつつ、空桐・清導(ブレイザイン・f28542)は思わずぼやく。
『いくぞお前達! 颯爽菱子優勝クラブ、ここから勝つぞ!』
「応!」
その反対側ではギャラクシィリーガー達が自ベンチの前で円陣を組み、誰よりも強く勝利を掴み、勝ち抜いて見せるという願いをこめた号令を発していた。
選手全員生まれは宇宙だが、その見た目は毎日のようにアスリートアースで行われている試合に出ている選手達と何ら変わりがない。
「奴らはこの世界を奪おうとする宇宙人達に操られている! オレが必ずこの世界を守る! だから、応援頼むぜ!!」
だからこそ、清導の放つ言葉は観客によく響いた。ほんの少し嘘や認識違いが混じっていても大部分が真実なら全て正しく見えてしまうのだ。
ただの猟兵連合軍対ダークリーガーの試合だと思っていたサポーターの大半の応援のベクトルが猟兵側による。しかし清導———猟兵の言うことは全部誤りだと信じ切っている者はギャラクシィリーガーの応援に固執した。
どれだけ偉大な実績を残したヒーローでも少なからずアンチがいることを重々承知していた清導はショックを受けることなく、応援してくれる人達に応えることだけを考えてピッチに出た。
そして、試合の開始を告げる笛が鳴る。
猟兵連合軍のキックオフで始まった試合で、ギャラクシィリーガー達は問題の『強制オフサイドトラップ』の仕掛けどころを見計らってくる。流石に敵陣の内で回している間にオフサイドにさせるほどの大移動はさせないらしい。
そんな中で前線に上がり、ディフェンスラインに近づいた清導は相手MFとDFが入り混じり、一直線に並んでいないのを確認してからボールを受け取る。
「対処方法はシンプルだ、要するにパスをしなければ良い!」
相手のディフェンスラインに近付いていたとはいえ、中央の線から少し先に進んだ位置からゴールまではまだまだ相当な距離がある。
それでも清導は空から照りつける冬の太陽の光と熱を吸収して増大した炎を纏ってドリブルによる強行突破を図った。
万が一こぼれ球が出た時に拾うために追随する者もいるが清導は一切振り返らず歩調も緩めず、ただひたすらにゴールだけを目指す。
その行く手を敵DFが止めようと割って入ってきたが、舞い踊る炎の渦がその体を絡め取って吹き飛ばした。
『この炎は俺一人のものじゃない!!仲間や信じてくれた人達、全員の炎だ!!!』
ゴールに近づいていくにつれてサポーターの応援や歓声もどんどん大きくなり、それに呼応するように炎の勢いも増していく。
シュートが飛んでくるのを待ち構えていたGKも吹き飛ばした清導は足元を狂わせて蹴り上げることを避けるため、あえてボールごとゴールラインを駆け抜けてネットにダイブした。
大成功
🔵🔵🔵
豊川・広宣
アドリブ/連携可
「あいつらの言う宇宙って、もしかしてスペースシップワールドじゃねーの?」
疑問に思いつつもオフサイドトラップ対策。勝負勘が閃きを与える。
「普通のフットボールなら勝ち目ねーけど、ルールにも穴があるんだよな。という訳でちょっと全員集合!」
作戦会議。そしてキックオフ。
敵UCに悩まされつつも試合は進み、猟兵側のスローイン。投げるのは広宣。
「みんな!作戦行くぞ!」
敵も味方も敵ゴール前に集まる。敵UCで召喚された菱子もいる。
「これが!必殺!ロングスロー!」
軽業を駆使してハンドスプリングスローを放つ。幸運にも味方が合わせてヘディング。
「これがアンチフットボール?勝ったら聞いてやるよ」
「ヘイ、そこのコーチ! 終わったらオレとお茶しにいかない?」
「すまんな少年、この試合が終わったらこの子達に夕飯を作ってやらねばならないからな! それともキミも我々の仲間になるか!」
ナンパをするもさらりと躱され、カウンターに勧誘をかけられた豊川・広宣(フィールドの運び屋・f41336)は苦笑いしつつ自軍ベンチへ戻っていく。
「あいつらの言う宇宙って、もしかしてスペースシップワールドじゃねーの?」
暫定的にそこの出身者を基準に考えれば、普通に互角以上の勝負になるのは頷ける。
「普通のフットボールなら勝ち目ねーけど、ルールにも穴があるんだよな。という訳でちょっと全員集合!」
そうして広宣はアップをしていた仲間に招集をかけた。
開始を告げる笛が鳴り、試合は早速動き出す。
一点取られたら一点返す、という殴り合いの中、ベンチに座ってられず立ち上がった菱子が声を張り上げる。
「右がお留守になってるぞ! 目の前のことで頭いっぱいにするな、特訓で教えたこともう忘れたか!」
しかし菱子が言うほど右のラインが手薄にはなっておらず、敵選手が慌ててそのポジションに入ろうとする動きもない。しかも菱子は急かすことなく次のアドバイスを発している。
おそらく自軍の選手の至らなさを叱責してるのではなく、これを聞いている敵選手を錯乱させるために声を出しているのだろう。
まるで耳元で囁かれ続けているような大声に悩まされつつも試合は進み、敵がクリアしたボールがラインを割る。
「みんな! 作戦行くぞ!」
ピッチ外に出た広宣へボールが投げ渡される。
受け取った広宣はラインから距離を取るとボールを持ったまま助走をつけると、持ったボールを一度地面に押し付けて支点にしながら前方に転回する。
そしてその前転の反動を利用し、地面から離れたばかりのボールを体全てを使って投じた。
「ハンドスプリングスローだと!?」
菱子はサングラスの奥にある目をひん剥かせる。流石はコーチ。その技についての知識はあったようだ。
勢い余ってタッチラインの内側に入る、投球時に足が地面から離れる、体勢を崩し頭上からボールを投げられない等、スローの正確性に欠きファールを取られやすいだけでなく、何よりも非常に危険で失敗すれば大怪我をしやすいなどデメリットは多すぎるが、その代わりに普通にスローインするよりも距離ははるかにのびる。
「これが! 必殺! ロングスロー!」
スローインにオフサイドなどない。曲芸めいた動きからゴール前まで飛んでいったボールをゴール前まで上がっていた味方が頭で合わせる。
しかしとにかく長い距離を飛ばすだけに特化した動きから投じられたボールの描くラインから、それに届く選手の位置を算出していたGKは強烈なヘディングシュートを真正面から受け止めた。
菱子をはじめとする敵軍ベンチからは歓声が上がったが、スタンドの一部から「あれは反則じゃねーのか」という罵声が飛んでくる。
「これがアンチフットボール? 勝ったら聞いてやるよ」
スポーツマンシップのカケラもない存在を鼻で笑い、広宣はカウンターを警戒して自軍ゴール前に走っていった。
成功
🔵🔵🔴
ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード
アドリブ・連携歓迎
なんか急に毛色の違う連中が来たねえ。
まあ結局やる事は変わらないからいいんだけどさ。
さて、パスを受ける選手とボールがオフサイドポジションに転移するねえ。
つまり発動したらボールがゴールまでにDF一人とキーパーしか居ない場所まで行くって事かな。
それならあたしがパスを蹴って転移を誘って、
ボールが転移したら【閃迅雷駆】で自分が蹴ったボールに即座に追いついて、
残り二人を回避してゴールを狙おうか。
いくらユーベルコードで強化されてても二人くらいなら何とかなるだろうし。
まったく、オフサイドなんてややこしいルール持ち出さないでほしい。
実際の試合よりオフサイドのルール調べる方が面倒だったよ。
漁夫の利を狙ってやってきた第3陣営、ギャラクシィリーガー。
しかしその目的は世界征服。下手すればダークリーガーにのさぼらせるよりも厄介な相手である。
「なんか急に毛色の違う連中が来たねえ。まあ結局やる事は変わらないからいいんだけどさ」
しかしダークリーガーとやるのと全く同じスポーツ勝負で挑んでくるなら、お望み通りそのルールに則って止めてやろう。
相手のシュートを止めたキーパーからのボールを受けたペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード(混沌獣・f07620)はマークについた選手を見ながらボソッと愚痴を吐いた。
「まったく、オフサイドなんてややこしいルール持ち出さないでほしい。実際の試合よりオフサイドのルール調べる方が面倒だったよ」
逆に面倒くさいルールだからこそ、実戦に投入するのに相応しいと思ったのかもしれないが。
「さて、パスを受ける選手とボールがオフサイドポジションに転移するねえ。つまり発動したらボールがゴールまでにDF一人とキーパーしか居ない場所まで行くって事かな。それなら……」
そうしてペトは前線に上がろうとしている味方へクロスのパスを上げる。すると宙にいたボールもその先にいた味方の姿も一瞬で消え、敵のディフェンスラインの後ろへ転移していた。
いくら事前に敵の策略を聞かされていたとはいえ、目前に広がっていた景色が消えたことに対する驚愕によって味方の足が止まる。あとはフラッグが上がってホイッスルが鳴るのを待つだけだ。
「『こっからは全速力だよ。』いくらユーベルコードで強化されてても二人くらいなら何とかなるだろうし」
しかし青い雷光をその身に纏ったペトはボールに意識が行った選手の横を抜けて、オフサイドの旗が上がる前に跳び、空中で自らボールを受けた。
ボールを上げたのは味方へのパスではなくドリブルの邪魔になった敵選手を避けるため……という論理がここで完成し、線審の持つフラッグは下げられたままになる。
「違う、パスじゃない! シャペウだ!」
ペトのプレーの意図を察した菱子の指示に敵選手達が顔色を変えて戻り始める。しかしその時にはすでにペトはGKとの1対1に持ち込んでいた。
「よいしょ」
のんびりとした話し方からは想像し難い、目にも止まらぬ速さで振るわれた足に乗ったボールがゴールを襲う。
しかし菱子との特訓であらゆるボールに反応して受け止める術を磨いてきたキーパーはパンチングでその一発を弾いてみせた。
「OKOK! ナイスキーパー! 他! 1人に任せないで守りに入って! 早く!」
転々と転がるボールを素早く拾った時には敵DF陣がゴール前に辿り着いている。
「流石はギャラクシィリーガー……だったっけ? そう簡単にはやられないかあ」
ここまで下がってきたらオフサイドも何もない。ペトは躍起になって無理に突破しようとせず、敵と一緒に上がってきた味方へ冷静にパスを出した。
成功
🔵🔵🔴
国栖ヶ谷・鈴鹿
平岡祐樹マスターにおまかせします。かっこいい国栖ヶ谷・鈴鹿をお願いします!
◎
ハイカラさんの天才発明家&パテシエイルの多才なパーラーメイド。
お手製の二挺銃の扱いと、小回りの利くフロヲトバイの紅路夢、空鯨型航空巡航艇ヨナ、ワンオフのスーパーキャバリア阿穹羅と、守護稲荷きこやんの護法術、ハイカラさんの後光のパワーを駆使した、発明と天性の才能を武器に明るくも自信に溢れた心持ちで挑みます。
◎
勝つ事がオーダーだね。
よし、オフサイドはぼくも知ってる。
ドリブルで上がれば良いんだよね!(残像と受け流し、衝撃波を纏った運搬スキルを駆使して、敵もまとめて吹き飛ばして前進!)
つゆ払いありがとうね!
華麗に決めるよ!
「勝つ事がオーダーだね」
そう呟いた国栖ヶ谷・鈴鹿(命短し恋せよ|乙女《ハイカラさん》・f23254)の背中にパーフェクト・フォースローダーが展開される。
「よし、オフサイドはぼくも知ってる。ドリブルで上がれば良いんだよね!」
敵ゴール前からクリアされてハーフラインを越えたボールをトラップした鈴鹿は、競り合ってきたFWも跳ね返りを奪おうとしてきたMFも全部まとめて吹き飛ばした。
その原動力となった傑作がさらに出力を上げて鈴鹿の動きを加速させる。
鈴鹿の動いた後には残像が生まれ、前に立ち塞がろうとした選手は鈴鹿が分裂したように見えて混乱し、立ちすくんでしまい、呆気なく衝撃波に飲まれた。もはやプレスをかける以前の問題だった。
「お前達! 何を圧倒されているんだ!」
猟兵達による徹底的なドリブル突破策を全然止められず、敗戦ムードが早くも漂い始めていた選手達に向かって菱子のゲキが飛ぶ。
「ただ漫然とプレイするな! オフサイドトラップに頼りすぎるな! それだけでティグレを止められるわけがないと何ヶ月何年とかけて教えたのをたった数分で忘れるのか!」
その言葉がこの選ばれし菱子イレブンに残るために乗り越えてきた地獄のような特訓を思い出させる。
「吹っ飛ばされてしまう原因は何か! 冷静になって考えろ! 種類によっては無視できる克服する術があると私は教えたぞ! 止められなかった時点で思考までも止めるな!」
潰れかけていた自信が膨らみ直し、目に光が戻り出す。
「そうだ! 何をすべきか、私はお前達の脳と! 心に刻み込んだはずだ! さあ、やれ!」
ゲキに応えるように、敵選手が真横からのスライディングタックルを試みてきた。
なるほど衝撃波を受ける面積を屈んで縮めれば影響は少なくなる。現に滑り込んできた選手の勢いは削がれても全身を吹き飛ばされるまでには至っていない。
「いい監督さんみたいだね。……でも、甘いよ!」
しかし【超越万能の天才】はその一撃を軽く受け流し、ボールを奪われることなく邁進し続ける。
残りのMFやDFは他の選手にパスが渡ることを警戒してか遠方にいて、鈴鹿があと相対するのはGKただ1人のみ。
「つゆ払いありがとうね! 華麗に決めるよ!」
まるで漫画のような大振りはせずに放たれたシュートは緩やかな弧を描き、同じ方向へ飛んだキーパーの手の先を僅かにすり抜けてゴールネットを揺らした。
大成功
🔵🔵🔵
国栖ヶ谷・鈴鹿
平岡祐樹マスターにおまかせします。かっこいい国栖ヶ谷・鈴鹿をお願いします!
◎
ハイカラさんの天才発明家&パテシエイルの多才なパーラーメイド。
お手製の二挺銃の扱いと、小回りの利くフロヲトバイの紅路夢、空鯨型航空巡航艇ヨナ、ワンオフのスーパーキャバリア阿穹羅と、守護稲荷きこやんの護法術、ハイカラさんの後光のパワーを駆使した、発明と天性の才能を武器に明るくも自信に溢れた心持ちで挑みます。
ロスタイムを知らせる看板が掲げられる。
それを見ずともギャラクシィリーガー達の動きは明らかに急いており、どうにかして同点にしようとこちらが転移せずとも前に出たらオフサイドを取られてしまいそうなほどの攻勢に転じていた。
激しい接触があってもファールという選択肢を初めから除外しているかのように倒れず、そのまま押し切るようにドリブルをした選手が目前でジャンプしても届かないほどのクロスが上げる。
そして反対側に待ち構えていた選手にパスが通ると、そこから単独で切り込んでいってシュートを仕掛ける。
脚から伝わった特殊な気によってボールは抑えようとしたGKの手元でまるでエアバッグのように急激に巨大化し、両手を物理的に弾き飛ばす。しかしGKに当たったことでゴールには入らない。
気が抜けることで縮小しながら転がるこぼれ球を押し込もうと別の選手がすぐさま突っ込んでくる。しかしその脚が届く前に割って入ってきた鈴鹿が蹴り出した。
その軌道は外にボールをクリアする物ではなく、ほぼ真上に打ち上がってしまう。選手達は我先にボールに触ろうと落ちてくる位置を予想して、そこに集い出した。
『大丈夫!ぼく天才だから!』
まるで見えないスイッチを持っているかのように鈴鹿は立てた親指をグッと押し込む仕草をする。
するとその瞬間、ボールの一方向から煙が噴き出して相手ゴールへ勢いよく飛んでいった。
天才を自称して憚らない天真爛漫で大胆不敵なハイカラさんは、あの僅かな瞬間で|特殊な推進機関《パーフェクト・フォースローダー》をボールに取り付けていたのである。
「普通にクリアするだけじゃすぐに返ってきちゃうけど、こうすればワンチャンゴールも出来るし時間も稼げるよね?」
その後を追って選手達が慌てて駆けていくが、ボールはどんどん離れていく。
そして万が一を恐れて唯一ゴール前に陣取り続けていたGKはゴールの上の方を狙って突っ込んできたボールをパンチングすることで軌道を変えさせ、ゴールポストに跳ね返らせる。
跳ね返ったことで推進機関の向きが変わったボールは今度こそラインを割り、外に出た敵選手へ新たなボールが渡される。
そして間髪入れずにピッチ内に蹴り入れたが、無情にも攻勢を止ませる笛が審判の手によって鳴り響いた。
成功
🔵🔵🔴