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バトル・オブ・オリンピア⑩〜ビルドサバイヴ・セラフィム

#アスリートアース #バトル・オブ・オリンピア #バトロワ

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●クロッシング・バトロワ
 無人の孤島。
 それは言葉だけ聞けば文明社会とはかけ離れた場所であったことだろう。
 だが、今やそこはバトロワフィールドへと変貌を遂げていた。
 多くのダークリーガーたちが隠れ潜み、今か今かと無人島の無謀にも乗り込んでこようとしている猟兵たちを待ち伏せているのだ。

 その一角にダーク化アスリート『玩具遊戯能力者』たちはいた。
「いいか、これは『クラフトバトル』だ。打ち合わせどおりにやれば、俺たちが勝利することは確実なんだ」
「それにしても考えたな。俺たちならこの競技内容においては無敵だ!」
「だな。なんたって俺たちほどホビースポーツに精通した者もいない!」
 彼らは己のホビーを手にしている。
 だが、此処はバトロワ会場だ。
 大体がモデルガンで撃ち合う銃撃戦ゲームスポーツ用の装備を身に纏っている。

 確かに『玩具遊戯能力者』たちだってプロテクターやゴーグルは身につけている。しかし、彼らが手にしているのはモデルガンではなく、鉄球を打ち出すホビーであった。
「ふふふ……俺の締め撃ちはコンクリブロック塀だってぶち抜くぜ!」
「俺の連射速度はモデルガンより速い!」
「精密射撃ならロングバレル装備の俺にまかせな!」
 そう、彼らはこのバトロワ会場に降り注いだアイテムを組み換え、組み込み、己のプラスチックホビーをモデルガン以上の性能に仕立て上げて、このバトロワ会場に踏み込んでくる猟兵たちを待ち受けていたのだ。

「猟兵がどんなものだっていうんだ! 俺たちのホビーこそが最高なんだ!」
「この『鉄球バスター』で奴らを『キル』してやる!」
「来たぞ、猟兵達だ! ゴーゴー!!」
 彼らは己のホビーを手に、一気にフィールドを駆け抜けていく――。

●バトル・オブ・オリンピア
 グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのはナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)であった。
「お集まり頂きありがとうございます。大いなる戦い、バトル・オブ・オリンピア……戦争サバイバルの会場となっている無人の孤島に築かれたバトロワ会場にダーク化アスリート『玩具遊戯能力者』たちが皆さんを待ち受けています」
 彼女は玩具を手にしている。
 なんで?
 モデルガンじゃないのか、と猟兵達は言う。
 確かに、と彼女は深く頷いた。

「確かにバトロワは基本モデルガンを使用します。ですが、射出機構があって、相手に当てることができたのならば! この『鉄球バスター』でも構わないのです! いえ、むしろ、今回の『クラフトバトル』においては、このプラスチックホビー『鉄球バスター』こそが最適解であるのかもしれません……!」
 ナイアルテの真剣な表情に猟兵たちは、ちょっと引いた。
 急に玩具持ち出して、そんな事言われても……。
 だが、ナイアルテは退かなかった。
「いいえ、聞いてください。今回は『バトロワ』の『クラフトバトル』。島中に降り注いだアイテムを使って使用したユーベルコードの効果は『二倍』なのです! 無論、ダーク化アスリートたちも島中にばら撒かれたアイテムを己のホビーに組み込んできます」

 おいおいおい。
 それは大事ではないかと猟兵たちは思っただろう。
 ユーベルコードの効果が二倍? とんでもないことである。この戦闘の間だけの特別効果であるのだろうが、ダーク化アスリート『玩具遊戯能力者』たちもまたアイテムを活用できるというのであれば話は別だ。
「そうなのです。彼らは『玩具遊戯能力者』……己のホビーをアイテムでカスタム強化するなどお手のもの。むしろ、逆に大得意……!」
 強敵ということである。
 だが、逆に猟兵達もまたアイテムを活用すればユーベルコードの効果が『二倍』になるという恩恵を受けることができるということである。

 ただし、今回の『クラフトバトル』においてばら撒かれたアイテムの殆どは、プラスチックホビーのパーツばかりなのだという。
 これは困ったことになった。
 つまり。
「はい、皆さんもまたシューティングホビーやモデルガンを用意してバトロワに挑まねばならぬということです」
 これはかなり面倒だ。
 敵はすでにカスタムを終えている。
 フィールドに飛び込んでアイテムをかき集めて、組み合わせ、自分だけのシューティングホビーを作り上げなければ勝機がない、ということなのだ。

 だが、ナイアルテはニッコリ笑っている。
「ですが、皆さんならば出来ると信じております! 見せつけましょう、私達の燃えるアスリート魂を――!」


海鶴
 マスターの海鶴です。

 ※これは1章構成の『バトル・オブ・オリンピア』の戦争シナリオとなります。

 今回の戦争サバイバルの舞台である無人の孤島に築かれたバトロワ会場にてダーク化アスリート『玩具遊戯能力者』たちとの戦いになります。
『バトロワ』の一種『クラフトバトル』、このフィールドには大量のプラスチックホビーのパーツアイテムが降り注いでいます。
 これを素早く集め、組み合わせ、自分だけのシューティングホビーを作り上げて『玩具遊戯能力者』たちと戦わなければなりません。

 またこのアイテムを介したユーベルコードは、このシナリオの中だけで効果が『二倍』に増幅します。
 逆に言えば、このクラフトアイテムを利用しなければ、ダーク化アスリートたちとまともに戦えないということもであるでしょう。

 プレイングボーナス……配置されたアイテムを利用する。

 それではアスリートアースに巻き起こる熱きスポーツバトルの祭典を戦い抜く皆さんの物語の一片となれますように、たくさんがんばります!
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第1章 集団戦 『玩具遊戯能力者』

POW   :    愛機との友情「シンクロバースト」
全身を【黄金のオーラ】で覆い、自身の【操作・所持する玩具とのシンクロ】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
SPD   :    リミットブレイク
【自身が操作する玩具】で攻撃する。[自身が操作する玩具]に施された【リミットパーツ】の封印を解除する毎に威力が増加するが、解除度に応じた寿命を削る。
WIZ   :    俺が玩具で、玩具が俺だ!
【黄金】のオーラを纏い、自身の【玩具を使った】競技力と【玩具の動きを真似した場合の】競技力を2〜8倍にする(競技が限定的である程強い)。

イラスト:小日向 マキナ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

アイン・セラフィナイト
これUDCアースで見たことある……ホビーの胸からビー玉を……あれ? 鉄球だったっけ?
それじゃあ早速アイテム回収開始!

『神羅の鴉羽』で飛翔、アイテムを見つけたら回収するよ。
そうそう、装填数を増加させるロングバレルに、発射時の威力を上げる締め撃ちパーツ、あとはターゲッティング機能のあるパーツを……完成、僕のオリジナルホビー!

UCを発動、『アキレウス』のコードを使用してアスリートたちへ立ち向かうよ。
鉄球の運動法則を改変して鉄球を自動追尾させたり、超速連射したり、撃ち出される鉄球の運動量を高めたりして強化!

壁の後ろに隠れても無駄だよ!
僕の鉄球は……あ、これコンクリート以上のもの色々と破壊しそうかも。



 類似品というものは数多く存在するものである。
 似てるよな。あれに。いやどう見てもそうでしょ! となるものはいつだってどこにだって存在するものである。
 いわゆるパチもん。
 UDCアースにおいても、プラスチックホビーというものは一定数販売されている。
 少年たちの心をくすぐり、購買意欲を掻き立てるもの。
 それがプラスチックホビーである。

 アスリートアースにおいても同様だ。
 そう、『鉄球バスター』である。それは人型ロボットみたいな形をしたホビーの胸元から鉄球を打ち出すホビー。
 正直言ってモデルガンより危ないんじゃないかなってアイン・セラフィナイト(全智の蒐集者・f15171)は思ったが、それ以上に彼は『鉄球バスター』に見覚えがあったのだ。
「あれってUDCアースで胸元からビー玉を出すホビーじゃなかったっけ? え、鉄球だったっけ?」
 アインは手にした『鉄球バスター』を首かしげ記憶をたぐる。
 ビー玉だったはず。
 ビー玉を打ち出すから、ビーダマ……危ないので、そこまでにしておこうか。
 今更遅いのである。
 ビー玉を打ち出したほうが良いんじゃない? とか、ペットボトルのキャップを再利用できる方がいいんじゃない? とか!

 関係ないのである!
 アスリートアースにあるのは『鉄球バスター』!
 これしかないの! これがいいの! だから『鉄球バスター』が最高のホビーなんだ! とまあ、そんな感じでダーク化アスリート『玩具遊戯能力者』たちは一斉に無人の孤島たる『バトロワ』フィールドを駆け抜ける。
「早速だね。とは言え……おっと」
 アインをかすめる鉄球の一撃。凄まじい威力だ。
 こちらは空を飛翔しているっていうのに、空まで威力がまったく落ちない鉄球の一撃になるほど、と思う。
 これがばら撒かれたアイテムに寄る効果。
「これが『クラフトバトル』だ! 俺たちが作り出した、俺たちだけのホビー! これによって俺たちは猟兵だろうがなんだろうが!」
「たしかにすごいね……でもね、それは僕らだって同じなんだよ」
 アインは飛翔しながら島中にばら撒かれているアイテムを見つけ、回収する。

「ロングバレルに、締め打ちパーツ、ター^ゲッティング機能のあるパーツ……よし、これで完成、僕のオリジナルホビー!」
 アインは飛翔しながら、その瞳の輝きを解き放つ。
 ユーベルコード、天地の匣(ハッキングコード・ティアマト)。
 それより飛来した運動方程式改変術式『アキレウス』を手にした『鉄球バスター』へと装着する。
「ユーベルコードをホビーに……!?」
「だが、ホビーと一体化した俺たちならば!」
 放たれる『玩具遊戯能力者』たちの一撃。鉄球の一撃は凄まじい勢いとともにアインへと迫る。
 だが、彼のはなった鉄球は、運動法則を無視するかのように迫る鉄球を追尾し、横からぶつかることで鉄球の軌道をそらし、アインへと到達させないのだ。
「空中で鉄球同士をぶつける!?」
「いや、待て! 今、あの鉄球カーブしなかったか!?」
「そうだよ。僕のユーベルコードは運動方程式を改変する術式。その名も『アキレウス』。この力によって……」

 打ち出される鉄球が『玩具遊戯能力者』たちの、それとは比べ物にもならないほどの勢いで持って放たれ、無人島の地面をえぐる。
 土煙が立ち上り、『玩具遊戯能力者』たちはアインを見失う。
「煙幕……! 散らばれ! 狙い打たれるぞ! 遮蔽物を……!」
 利用して、と最期まで彼らは言えなかった。
 アインは急降下し、鉄球を打ち出す。
「壁の後ろに隠れても無駄だよ! 僕の鉄球は……!」
 放たれた一撃が遮蔽物ごと『玩具遊戯能力者』たちをぶっ飛ばしていく。
 
 その威力にアインはちょっと反省した。
 たしかにコンクリートの壁を破壊はできる。だが、それ以上に『玩具遊戯能力者』たちを盛大に空へとぶっ飛ばしてしまったのだ。
「……ユーベルコード『二倍』効果っていうのも考えものだね」
 想定以上の威力にアインは苦笑いしつつ、無人島のサバイバルを切り抜けていくのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

秋月・信子
●SPD

一応相手を無力化するゴムスタン弾や訓練用のペイント弾を所持していますが、競技のルールに則って私が所有する銃器は使用しません…そもそも危ないですし
去年の夏に作りました|姉さん《影》の水着とは色違いのジャケット付き競泳水着でのエントリーしましょう

得意な距離を取って撃ち合える狙撃銃が良いのですが…競争率の高さですぐ取られて部品が揃わない危険性もあるので、ここは手堅くハンドガン…部品が本体とシリンダーで別れているリボルバー系、それも玄人向けな西部劇なのを狙ってみます
リミットパーツは確かに射程を伸ばしますが本体への負担が大きい両刃の剣でもあるみたいなので、不具合が起きている隙を狙っての早撃ちです



 ダーク化アスリート『玩具遊戯能力者』たちは皆、『鉄球バスター』と呼ばれるプラスチックホビーを持って、この無人島の『クラフトバトル』に繰り出している。
 一見すると『バトロワシューター』とはあまりにもかけ離れた装備だ。
 まともじゃない。
 ふざけてやっているとしか思えない。
 玩具とは言え、鉄球を打ち出すだけなのだ。それでどうして本格的なモデルガンを使う者たちに勝てるというのだろうか。

 いや、勝てるのである。
 彼らは『玩具遊戯能力者』……そう、ホビーというものは使用する者が傷つかぬようにリミッターがついているものである。
 それを開放した彼らの鉄球は遮蔽物だろうがなんだろうが、盛大にぶち壊してしまうのだ。
「フハハハ! リミッターを外した俺達の『鉄球バスター』は無敵だ!」
「オラオラ! 猟兵がどこに隠れていようと壁毎ぶっ飛ばしてやるよ!」
 彼らは笑いながら鉄球を手当たり次第にぶち込みまくっている。
 凄まじい破壊の音と土煙がそこら中に立ち上っている。
 そんな凄まじい戦場にありて、秋月・信子(魔弾の射手・f00732)は少し考える。
 これは『クラフトバトル』である。
 バトロワにおいて、モデルガンはよく使われるものの一つだ。

 けれど、今回は無人島にばら撒かれたパーツをかき集め、己の銃器を生み出さなければならない。プラスチックホビーをつかってもよかったのあが、信子は自分では少し扱いづらいと思っていた。
 そもそも。
「私の銃器を使うわけにはいきませんし……」
 相手はダーク化アスリートだ。
 超人アスリートたちがダーク化されているだけなので、怪我はさせたくない。というか、そもそも超人アスリートなので、ちょっとやそっとでは倒れないと思うのだが、そこが信子の優しさだったのかもしれない。

 だが。
 信子はちょっと浮かれていたのかも知れない。
 夏に作った姉との色違いのジャケットを羽織った競泳水着姿で、このサバイバルにエントリーしているのである。
「ちょっと寒いですが、言ってられません」
 飛び出し、信子は鉄球打ち込まれる土煙の中を走る。
「なんか今水着のお姉さんがいたような気がするんだが!?」
「幻覚でも見てんのか!」
「いや、本当だって、いたってば!」
 そんな『玩具遊戯能力者』たちの声に信子は苦笑するしかなかった。
 彼女はフィールドに落ちていたパーツをかき集め、手堅くハンドガンを組み上げていく。どれもがプラスチック製。
 やはり、モデルガンなのだろう。

 本当は狙撃銃を、と思ったのだが、そうした安全地帯から打ち込めるパーツというのはまっさきに確保されてしまうというものだ。
「人気があって部品が揃わなくて、そもそも打てない、なんてことのほうがよほど問題ですからね」
 手にしたパーツはどことなく古めかしいパーツだった。
 リボルバータイプ。
 それも六発装填のシリンダー。
 玄人好みと言えばそうなのかもしれないが。段数制限がある、という点が難点だった。
「出てこい! いるのはわかっているんだぞ! このままだと俺が幻覚症状者みたいな感じになっちゃうだろ!」
 信子はなんのことだと思ったが、それは知る由もないことである。

 一気に飛び出し、信子は乱れ打たれる鉄球の最中を駆け抜ける。
「リミッターを外しているのに当たらねぇ……! やはり競泳水着だからか!?」
「関係はないと思いますが……!」
 信子の瞳がユーベルコードに輝く。
 早撃ち(クイック・ドロウ)の一射。
 それはあまりにも早く引き金を引くがゆえに銃声が一発分しか響かないほどの、圧倒的な速度を持って放たれる弾丸。
 放たれたのはリボルバーの弾倉全ての弾丸。
 それらは見事に六人の『玩具遊戯能力者』へと打ち込まれ、一瞬のうちに6キルを為さしめたのだ。
 見事な手前だったのだが、ジャケットに競泳水着姿という青少年の癖を捻じ曲げてしまったことに信子は気が付かぬまま、さらなる犠牲者を生み出すようにフィールドを駆け抜けていくのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊だが

陰海月「ぷきゅー」

…陰海月語を翻訳します…

組み立てならぼくなんだ!
えっと、この買ったモデルガンの素だけ持ち込んでっと。
あとは、連射機能パーツと、グリップパーツ?探してカスタムする!
ぼくが撃ちやすいようにね!

で、できたら…引き金と同時に光珠をばしゅーって飛ばすの!
ぼくは目立つからね、絶対に相手に見つかっちゃうし、攻撃されるだろうから。逆に利用しちゃえ!
威力高いっていうけど…あ、ゲーミングもいつもより激しめだ!
あと、競技力が高くても、目って光につられちゃうから…ぼくに当てるの、難しいよ?見切って避けちゃえ。


おじーちゃんたちは渋々買いました、モデルガン。教育に悪そう…



 四悪霊・『虹』(ゲーミングカゲクラゲノツヨサヲミヨ)というユーベルコードは『陰海月』と馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)が合体することによって力を発揮する形態である、とも言える。
 ただ、その。
「(ゲーミングカラーが強い…!)」
 四柱の悪霊は言えなかった。
 そう、『陰海月』はバトロワの『クラフトバトル』の説明を聞いた時、組み立てるなら自分の出番だと息巻いていた。
 たしかに頷けるところである。
 クラゲである彼は触腕を多数持っている。

 ならばこそ、その無数の触腕でもって島中にばら撒かれたパーツをかき集めることもできるであろうし、またそれを組み立てる速度だって速いはずだ。
 利点しか無い。
 だが、そんな甘い話が世の中にあるわけがない。
 そうなのだ。
 彼はユーベルコードに寄って合体する。ということはすなわち、四悪霊の呪詛を纏うということ。
 つまり、1680万色のゲーミングカラーに輝くということだ。
 それはつまり、このサバイバルたるフィールドにおいて、一等目立つということだ。
「おい、あそこだ! なんかすげー眩しいが、猟兵に違いない!」
「まぶしっ! 見えないが、打ち込め!」
 ダーク化アスリート『玩具遊戯能力者』たちが手にした『鉄球バスター』から鉄球をゲーミングカラーに輝く『陰海月』たちに叩き込む。

「ぷっきゅ!」
『陰海月』は一層ゲーミングカラーを強く輝かせ、光の中をぷかぷか浮かびながら集めたパーツを組み上げていく。
 モデルガンの素体を持ち込み、さらに連射機能パーツとグリップをかすたまいずしていく。
 触腕でも引き金を引けるように改造しているのだ。
「なんで当たらねぇ!?」
「眩しすぎるからか? いや、ていうか、これ、このシルエット本当に人か!?」
 そうなのである。
 合体しているため悪霊たちの姿形はなく、光の中に見えるシルエットは巨大なクラゲ。
 それ故になんかこう、視認性が悪いのかも知れない。
 あと、単純に眩しすぎる。
 色がやかましすぎる。

「ぷきゅー!」
『陰海月』は早速モデルガンの引き金を引く。
 放たれるはゲーミングカラーに輝く光珠。そう、このパーツを利用することに寄って本来のユーベルコードの二倍の効果を発揮するのだ。
 つまり!
 いつもの光量の更に二倍眩しい!
「ぐわー! 目が!」
「何も見えない! 眩しすぎて、わけわからん!」
「ぷきゅきゅ!」
 わーい、簡単ーと『陰海月』は次々と目眩ましに目を潰された『玩具遊戯能力者』たちをモデルガンでバスバス打ってキルを稼いでいく。

 四悪霊は其のさまをなんとも言えない心持ちで見守る。
 教育に悪そう……となんとも言えない顔である。だが、安心して欲しい。
 モデルガンが悪いのではない。
 モデルガンを使う者の心が悪いのである。モデルガンはただの道具。そこに悪性が宿るわけではないのだ。
 肝心なのは使う者の心!
 そう、常日頃から言って聞かせて、教育しているのならば、モデルガンはただの道具でしかない。
 ならばこそ、四悪霊は自分たちの教育に自信を持たねばならないのだ――!

大成功 🔵​🔵​🔵​

月夜・玲
鉄球バスターにおいて、最適とは何か?
先人達は常にギリギリを考え続けた
それはホビーの耐久力との勝負…
プラスチック用ホビーパーツが落ちているならきっとアレもあるはず
鉄球バスターの本体を大量に腰に巻き付け、連射体制

最も有効な射出機構は何か?
締め打ち?連射?それが押し出し型の射出機構を使用している時点で足元にも及ばない
そう、拳を叩きつけ90度の力の変換を行うハンマー型こそ最大威力
機体へのダメージや多少接地に気を使うけど余りあるパワー!
それを探し、装着
『念動力』で本体の接地をガッチリカバー
しっかり固定して【剣技・蒼嵐剣】を込めた鉄球をシュート!
本体が耐えられない?替えは沢山ある!使い捨てじゃい!



 求めるは威力か。それとも飛距離か。連射性か、正確性か。
 いずれにしてもシューティングホビーにおいて命題となりうる問題であろう。
 プラスチックホビー『鉄球バスター』もまたその命題を抱えたホビーであることは言うまでもない。
 テレーン。
 謎のサウンドエフェクトが響く中、無人の孤島、そのサバイバルバトロワフィールドにスポットライトが降り注ぐ。
 其処に居たのはスツールに腰掛け、背を向けた月夜・玲(頂の探究者・f01605)であった。
「!?」
 ダーク化アスリート『玩具遊戯能力者』たちは驚愕する。
 戦場たるフィールドにあって、何故か此方に背を向けている猟兵。その豪胆たる気概、胆力に彼らはたじろいだ。

「な、何故背を……!」
 その問いかけに玲はゆっくりと振り返る。
 いや、振り返っただけが。特に防御であるとか、こちらの虚をつこうだとか、そういう雑念の感じられない真っ直ぐな瞳でもって『玩具遊戯能力者』たち見つめていた。
「『鉄球バスター』において最適とはなにか?」
 なんか急に始まった。
 いい感じの効果によって玲の声はエコーが掛かったみたいにフィールドに響き渡る。

「先人たちは常にギリギリを考え続けた。それはホビーの耐久力との勝負……プラスチックホビーは劣化する。衝撃を加えれば白化し、微細なクラックから徐々に負荷がかかり始め、いずれは砕けてしまう。そんな命運を……」
 どうにかしたいと挑戦し続けた技術者たちがいた。
 プロジェクトJ――飽くなき挑戦者たち――。
 なんか始まった!
『玩具遊戯能力者』たちは困惑しきりである。
 このタイミングで鉄球ぶっぱするのは、なんか違うかも知んないと彼らは思ってしまっていたのだ。

「最も有効な射出機構は何か?」
「え、し、締め打ち?」
「片手打ちだよ。連射速度が必要なんだから」
 ノンノンと玲はスツールに腰掛けたまま頭を振る。
「それが押し出し型射出機構を使用している時点で足元にも及ばない」
「な、なら何が……!」
「ま、まさか、あれのことをいっているのか!?」
「勘の良い連中もいるようだね、少しは。そう、拳叩きつけ90度! この美しい直角の角度の力こそが最も力を生み出す! ロスがないということは、力をダイレクトに伝えられるということ、すなわち! ハンマー型こそ最大威力!」
 ばーん!
 玲の言葉に衝撃を受ける『玩具遊戯能力者』たち。
 いや、そんなに? そんなになのか?

 確かにハンマー型はパワーのロスがない。
 だが、そのパワーのロスがないということは力が機体から発散されないということだ。
 つまり、機体本体事態にたいしてのダメージが大きくなる。
 自壊するほどのパワー。
 そして、接地面にも気を使わなければならないのだ。
「まさか! お前は!」
「そのまさかだよ! 私がこの『クラフトバトル』で探していたのは、ハンマー型の射出機構! これを!」
 がっちょん、と玲は腰に巻き付けた無数の『鉄球バスター』の一体を手に取り、装着し、鉄球を打ち出す。
 其のパワーたるや!
 玲の細腕から繰り出されたとは思えぬほどの圧倒的な弾丸めいた一撃が『玩具遊戯能力者』たちのホビーをぶっ壊し、再起不能へと陥らせる。
 いちげきに寄る破壊。

「接地面がないのに、其のパワーは……!」
「接地面は念動力でカバー! しっかり籠めて、速度マッハ5.0! アイテムの効果でさらに二倍! マッハ10!」
 放たれる鉄球は風の刃をまとい、剣技・蒼嵐剣(プログラム・ストームソード)の力たるマッハ10という凄まじい速度で鉄球を打ち出す。
「こ、殺す気か!」
「だいじょうぶだいじょうぶ。ホビーアニメの常だよ。なんかこう絶対死んだなって感じになっていてもなんだかんだ生きてるでしょ!」
「アニメじゃあないんだぞ!」
「ええい、やかましい!」
 盛大な音を立てて玲の『鉄球バスター』が壊れる。しかし、代わりはある。そのために腰に巻き付けた無数の『鉄球バスター』があるのだ。
 彼女は一打で自壊した『鉄球バスター』を使い捨てにしながら、迫りくる『玩具遊戯能力者』たちを盛大にぶっ飛ばしながら、ソニックブームと共にフィールドを席巻するのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

李・玉明
WIZ アドリブ歓迎

鉄球バスター!
ふむふむ、斬新なデザインのアイテムなのじゃ!
ビー玉を射出するシューティングホビーに似ている気がするけど、気にしないのじゃ!
妾だけのカッコイイマシンを造るのじゃー!

孤島の中を探して、パーツを集めるのじゃ!
妾は空中浮遊できるから、高いところに引っかかってるパーツとか集めやすいのじゃ!
むっふっふ~♪ これは強そうなのモノができそうなのじゃ!
(ノーチラスポセ●ドンのようなロータリードライブシステムを搭載した速射性能のマシンができました)

仕上がったなら正々堂々勝負なのじゃ!
浮遊して、高さを活かした高所攻撃を放つのじゃ!
舞えや歌えや、大盤振舞! 桜桃の花弁シュート!



『鉄球バスター』、それは人型のロボットホビーめいた胴体に埋め込まれた鉄球を打ち出す
プラスチックホビーの一つである。
 ここアスリートアースにおいては『プラモーション・アクト』、通称『プラクト』でも使用できるプラスチックホビーなのだが、ダーク化アスリート『玩具遊戯能力者』たちは、こともあろうにバトロワの『クラフトバトル』のサバイバルフィールドにもこれを持ち込んでいた。
 周囲にばら撒かれたアイテムを組み込むことによって通常に二倍の性能を発揮する彼らの力。
 ハッキリ言って強敵である。
「ふむふむ」
 斬新なデザインのアイテムだ、と李・玉明(豪華絢爛西欧天女・f32791)は興味深げに『鉄球バスター』なるホビーを手に取っていた。
 人型ロボットみたいなデザイン。
 その腹部に鉄球が収められている。
 これが基本のスタイル。
 ここから周囲に散らばっているアイテムをかき集め、自分だけのシューティングホビーを作り上げていくのだ。

 玉明はなるほどなーと思う。
「なんとなくビー玉を射出するシューティングホビーに似ている気がするけど、気にしないのじゃ!」
 えー、そんなのあるんですかー知らなかったー。
 どこか白々しい雰囲気の天の声が聞こえてきそうであるが、気のせいである。ともあれ、玉明は張り切っていた。
 そう、自分だけのかっこいいマシンを作る。
 それは彼女の中の少年のハートがなんともウキウキしてしまうのだ。

 孤島の中を駆け回って迫りくる鉄球を躱しながら彼女はパーツを漁る。
 空中浮遊をして、孤島に群生している木々の枝や樹冠に引っかかっているパーツを手にとって確かめる。
「むっふっふ~♪ これは強そうなモノができそうなのじゃ! 見よ、このロータリードライブシステムを!」
「あ、あれはレアアイテム!」
『玩具遊戯能力者』たちは目を見張る。
 どんなに探しても見つからなかったレアアイテムを手に入れた玉明に対して羨ましそうな視線が突き刺さる。
 それもそのはずである。
 彼女がゲットしたアイテム、ロータリードライブシステムとは、2つのトリガーを交互に押すことでトリガーの戻り時間を待たずに連射出来る凄まじいシステムなのだ。

「だが、組み立て難易度は高かったはず! まともに組み上げられるわけが……!」
「そんなの問題なしなのじゃ! みよ、妾の超マシン! ノーチラスPを!」
 Pは危なかったので短縮しました。
 むしろ、グッジョブであろう。
「さあ、正々堂々勝負なのじゃ! オラオラオラなのじゃ!」
 空中に浮遊した玉明の『鉄球バスター』から放たれる猛連射。それはあまりにも圧倒的な連射性能であり、『玩具遊戯能力者』たちとは言え、それを防ぐことはできなかった。
 そして、鉄球は無数の桜桃の花びらとなって乱舞し、さらに彼らを追い込んでいく。

「なんという弾幕! み、見えない……! 敵の姿が!」
「舞えや歌えや、大盤振舞じゃ! さあ、この弾幕を前に生き残ることができるか! できるわけないのじゃ!」
 玉明の高らかな笑い声とともに放たれる鉄球の乱打。
 ただでさえ、その猛連射は凄まじいのだ。そこから鉄球が無数の花弁となって舞い散るのだから、辺り一帯が桜色に染まり、花弁の海に沈んだ『玩具遊戯能力者』たちの手や足があちこちに見えるばかりである。
「これぞ、歌踊三昧桜桃乱舞(ソンダンサマディ・ボイスタラス)なのじゃ!」
 玉明はごきげんにわらいながら、手にした己がマシンを天に掲げ、その猛連射の性能に満足気に笑うのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エミリィ・ジゼル
クラフトバトルだって……!?なんて楽しそうなことをしているんだ…!
これはわたくしも参加しなくっちゃ

というわけで意気揚々と戦場に駆け出してパーツを集めます。
欲しいシューティングホビーはマシンガンですね。できれば二挺。
都合よくパーツを見つけたら、それに今回のUCを組み合わせて

できた!アルティメットWマシンガンシャーク!

美しく輝く流線形のボディ、大空を自在に舞うのに適したぶっといヒレ。
鉄球をもかみ砕く鋭い牙、そして胸鰭の根本にとりつけた二丁のマシンガン

まさに優雅にして最強!
これが負ける光景がまったく想像ができません
自分のホビークラフトバトルセンスが怖い

いっけー!アルティメットWマシンガンシャーク!



 バトロワにおける一つの競技形態。
 それが『クラフトバトル』である。サバイバル会場となった無人の孤島。そこにばら撒かれたアイテムを組み上げることによって戦い抜くことを余儀なくされているとは言え、自分だけのアイテムをクラフトする、という要素はある種の醍醐味として猟兵たちに受け入れられていた。
「なんて楽しそうなことをしているんでしょう……!」
 エミリィ・ジゼル(かじできないさん・f01678)もまたその一人だった。
 ばら撒かれたアイテムを手に取る。駆け出し、さらに迫るダーク化アスリート『玩具遊戯能力者』たちの放つ鉄球を躱しフィールドを横断していく。

 兎にも角にもパーツを見つけ出し、確保しなければならない。
「奴らを止めろ! パーツを取らせるな!」
「猟兵たちはどんなパーツからでも活路を見出してくる。なら、奴らがパーツを確保する前にキルすればいい!」
『玩具遊戯能力者』たちも漸く猟兵という存在の戦い方を理解したのだろう。
 自分たちの常識の埒外たる戦い方をしてくるのが猟兵。ならばこそ、そもそも何もさせることなくキルしてしまえば良いと判断したのはあながち間違いではなかっただろう。
「むむ、土俵に上がる前に倒してしまおうなんて、面白みのないことをしてくれますね! ですが!」
 エミリィは駆け抜け、パーツを手に取る。
 彼女が手に入れたのはマシンガンパーツ。それを手にし、彼女はユーベルコードに瞳を輝かせる。

「出来た! これが!」
 煌めくユーベルコードに寄って生み出されたのは無敵のサメ!
 想像から創造することによって生み出されたサメは美しく輝く流線型のボディに胸鰭の根本に二丁のマシンガンを備えて空を飛ぶ。
 空を飛ぶ。
 空を……サメが、飛ぶ?
『玩具遊戯能力者』たちは首を傾げた。サメってあのサメだよな、と。
「飛ぶか、空を。サメが?」
「飛ぶに決まってるじゃあないですか。サメこそ世界最強の生物! なら、空くらい飛びますよ!」
 えっ! と『玩具遊戯能力者』たちはたじろいだ。
 エミリィの瞳は一点の曇もない瞳だった。己の生み出したサメに対する圧倒的な信頼。圧倒的な自信。それしかなかった。
 彼女がサメに対する疑念を抱くことはない。

 そう、彼女は信じている。
 サメに対して、己が思う以上にサメであると。何言ってるかわからないと思うが、兎にも角にもエミリィのちょー強いサメの術(チョーツヨイサメノジュツ)は何があっても揺らぐことはない。
「まさに優雅にして最強! これが負ける光景なんて全く想像できません!」
 エミリィの言葉とともにサメが空を飛ぶ。
 ぶっといヒレが唸るようにして風を斬り、一気に『玩具遊戯能力者』たちに襲い掛かる。
 絵面はB級クソ映画であるが、エミリィは満足だった。
「う、うわあああ!? さ、サメが飛んでるぅ!?」
「や、やめろ! 来るな、来るな!!」
 もしも、『玩具遊戯能力者』たちがチェンソーとか持ってたらヤバかったが、幸いにして彼らが持っているのはシューティングホビーだけである。

「鉄球と言えどサメを前にしてはただの豆鉄砲ですよ!」
 阿鼻叫喚地獄。
 それはそれは酷いものだった。サメが空を飛び、マシンガンをぶっ放してくる。チェンソーがなかったために『玩具遊戯能力者』たちはたただひたすらにマシンガンの餌食になるばかりであった。
「自分のホビークラフトバトルセンスが怖いです。さあ、遠慮なく、いっけー! アルティメットWマシンガンシャーク!」
 新しいサメ映画のタイトルはこれで決まりだ!
 そう言わんばかりにエミリィはサメと共にバトロワフィールドを喰らい尽くすようにダーク化アスリートたちをぶっ飛ばしまくるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

麻弓・夕舞
…ええ、ホビーに関しては否定はしないわ、色々競技があるから
でもそれを別ルールに持ち込んでも最高だって言い張るは、ちょっと|こちら側《バトロワ》舐め過ぎじゃない?
いちバトロワの競技者として、ちょっと本気で行かせてもらうわよ

武器に関しては問題なし、そもそも私の武器もモデルガンだし
アイテムに関しては…ちょっと出力を上げるとか弾丸に属性を付けるとかでいいわ
この戦いには…バトロワで培った腕で勝負したいのよ
今までの経験により見つからない様に高所を確保、そこから見つからないように狙撃するわ
使用するのは『狙撃』からの『昏黄の魔弾』、周囲の地形を利用して弾を跳弾、死角からヘッドショットよ
あまり競技を侮らない事ね



 物の考えようというのは、多くの場合において衝突を生むものである。
 しかし、それは人間であれば多種多様な考え方と生き方、文化があればこそ生まれる軋轢であり、摩擦であったことだろう。
 己が最高と掲げるものは、他者にとってはそうではない。
 そして、それを否定することも肯定することもあるだろう。
 だからこそ、麻弓・夕舞(逢魔時の狙撃手・f40004)はバトロワサバイバルの無人の孤島フィールドへと飛び込む。
 手にしたモデルガンだけではダーク化アスリート『玩具遊戯能力者』たちに勝利することは難しいだろう。
 彼らは、この『クラフトバトル』においてばら撒かれたアイテムでもってプラスチックホビー『鉄球バスター』を強化している。
 放たれる鉄球はホビーとは思えないほどに威力が底上げされている。
 ユーベルコードの効果も二倍になっているのだ。

「俺たちのホビーが最高なんだ!」
 その声を聞き、夕舞は眉根を寄せる。
「……ええ、ホビーに関しては否定はしないわ。色々な競技があるから。でも」
 彼女はフィールドに降り注ぐ『玩具遊戯能力者』たちの放つ鉄球の雨をかいくぐり抜ける。
 転がるようにして彼女は遮蔽物の中に逃げ込む。
 だが、遮蔽物さえぶち抜く威力で持って鉄球が叩き込まれている。
「でもなんだってんだよ! この威力を前にしても何か言えるものか!」
「いいえ、言えるわ。あなた達は別のホビーを持ち込んで最高だって嘯いているだえk。ちょっと|こちら側《バトロワ》舐めすぎじゃない?」
「なんとでも言葉では言えるものだ! だったら!」
 示してみせろよ、と『玩具遊戯能力者』たちは夕舞の隠れた遮蔽物に鉄球を次々と打ち込んでいく。
 このままでは彼女が潜む遮蔽物は完全に破壊されていしまうだろう。

 彼女は飛び出す。
 駆け出す先は、高所。
 フィールドの障害物となる建物の屋上だった。背後から迫る鉄球は確かに速いし、当たればひとたまりもないだろう。
 けれど、彼女はバトロワシューターだ。
 このような弾丸降り注ぐようなフィールドは経験済みだ。
「いちバトロワ競技者として、ちょっと本気で行かせてもらうわよ」
 彼女は走る。
 ジグザグに障害物を利用しながら走っていく。これはバトロワシューターであれば、当たり前の回避行動だ。
 うまく障害物を使うなんて、バトロワシューターにとっては朝飯前なのだ。
 一気に彼女は建物の中に飛び込み、破壊される壁の破片を振り払いながら屋上へと飛び出す。

「高いところを取ったところで!」
 放たれる鉄球。
 それを夕舞は見た。鉄球の軌跡。計算すれば、その先に敵がいる。
「いつものように狙うだけよ」
 夕舞の瞳がユーベルコードに輝く。
 彼女はただ闇雲に走っていたわけじゃあない。ただ鉄球を躱すためだけにジグザグに動いていたわけじゃない。
 そう、彼女はフィールド中にばら撒かれたアイテムを回収しながら建物の屋上へと駆け上がっていったのだ。
 
 手にしたアイテムは最小限だった。
 出力を上げる装置をサイレンサーのように銃口に取り付け、其の瞳輝くユーベルコードでもって敵を見つける。
「バトロワで培った腕の見せ所ね」
 狙撃(スナイプ)。それは引き金を引けば、放たれた弾丸が狙った場所に銃弾を必ず打ち込むことができる。
 その成功率はクラフトアイテムを使ったことによって二倍にまで引き上げられる。
 そうなれば、命中する確率はもはや百発百中の領域に達するだろう。

 そして、昏黄の魔弾(フライクーゲル)は舞うようにして飛ぶ。
「なっ!?」
『玩具遊戯能力者』たちは目を見開く。
 そう、彼らは夕舞を建物の中に追いやった。彼女だけだった。なのに、彼らの頭部に叩きつけられる一撃は完全に死角からだった。
 どう考えても彼女は打ち込めない位置。 
 なのに。
「跳弾……黄昏の魔弾は見えない」
 彼女の弾丸は地面を跳ねて木々にさえも反射して決して『玩具遊戯能力者』が捉えることのできない位置から彼らの頭部を撃ち抜くのだ。
「ばかな……こんな、ことが……!」
「あまりこの競技を侮らないことね」
 夕舞は静かに告げ、己を追い込んだ『玩具遊戯能力者』たちの全てを視覚外からの跳弾狙撃に寄って全滅させるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

空桐・清導
SPD
アドリブや連携も大歓迎だ

「鉄球バスターか。随分とイカしたホビーもあるもんだ。
面白そうじゃねえか!せっかくだ。存分に楽しませて貰うぜ!」
フィールドに乗り出したら[ダッシュ]でアイテムを確保
銃型のプラスチックホビーに装弾数を上げるアイテムや
威力を底上げするパーツをつけていく
射程距離はオレの足で補う!

「さあ、勝負だ!ダークアスリート!」
UCを発動して炎が固体化してブレイザインの武器らしくなった銃を構える
放たれる鉄球を粉砕しながらダークアスリート達を次々となぎ倒す
接近する弾は[気合い]で避けるか[オーラ防御]で堪える
「良いカスタムだが、闇に心を囚われている限り、
このブレイザインには勝てないぜ!」



 アスリートアースにおいてもプラスチックホビーは存在する。
 しかし、多くの場合対象年齢が低く設定されている。つまり、それは子供が遊ぶためのホビーであったことだろう。
 だが、だからといってそれが幼稚であるということには繋がらない。
 子供が楽しめるということは、大人もまた夢中になることができるということだ。
 そういう意味では『鉄球バスター』は興味深いホビーであったことだろう。
 空桐・清導(ブレイザイン・f28542)は手にした『鉄球バスター』の機構を確認する。人型ロボットめいたホビーの胴体には鉄球を装填するパーツがある。

「随分とイカしたホビーもあるもんだ。面白そうじゃねえか!」
 彼はせっかくだ、とホビーを手にバトロワフィールドへと飛び込んでいく。
 一気に駆け出す彼は即座に島中にばら撒かれたアイテムを手にする。一見すると何に使うパーツなのか清導には理解できない。
 けれど、それなくば『玩具遊戯能力者』たちのユーベルコードには敵わない。
 そう、それはユーベルコードの効果を二倍にするアイテムなのだ。ダーク化アスリートである『玩具遊戯能力者』たちは、このパーツを『鉄球バスター』に組み込むことによって、効果二倍のユーベルコードでもって猟兵たちを追い込もうとしているのだ。

「なるほど、これで装弾数をアップすることができるってわけか。こっちは威力底上げする……締め打ちパーツ……? まあ、よくわからねえが、存分に楽しませて貰うぜ!」
 自身の『鉄球バスター』にパーツを取り付けていく。
 はっきり言って清導は、このようなホビーに取り立てて経験があったわけではない。
 けれど、ホビーの楽しみは原始的なものだ。
 試行錯誤でパーツを組み込み、其の効果を確かめる。自分の手に馴染むことも大切な要素である。
 そうしたことを手で触って実感すること。
 さらに創意工夫すること。
「これは面白えし、奥が深いな」
「わかっていたとしても、俺達に敵うということではないだろう! 猟兵! ここでお前をキルして、ポイントを稼がせてもらう!」

 迫る『玩具遊戯能力者』たちの放つ鉄球が清導へと襲い掛かる。
「させるかよ、勝負だ! ダークアスリート!」
 清導の瞳がユーベルコードに輝く。
 彼が手にした『鉄球バスター』が炎に包まれる。
 それは彼の意志を受けて上昇する火焔。吹き荒れる焔は迫りくる鉄球を押し返し、さらには『鉄球バスター』と習得したアイテムでもって銃の形へと変化していく。
 吹き荒れる焔のファイアパターンを装飾とした銃より放たれる鉄球が炸裂する。
「フレイム・フルカウル!」
 焔がまるで羽撃く鳥のように飛翔し『玩具遊戯能力者』たちの体を打ち据える。

「なんだと!? この僅かな期間で此処までカスタムを……!」
「だが、俺たちのカスタムだって負けていないはずだ! 押し込まれるな! こちらも撃ちまくれ!」
『玩具遊戯能力者』たちの『鉄球バスター』から放たれる鉄球の連射。
 其の猛烈な雨のような鉄球を清導は裂帛たる気合と共にオーラでもって受け止める。
 きしむ。
 それほどまでに彼らの『鉄球バスター』の放つ一撃は重たいものだったのだ。
「良いカスタムだが、闇に心を囚われている限り、このブレイザインには勝てないぜ!」
 清導は吠える。
 手にした炎の銃身持つと、銃口に備えられた『鉄球バスター』が唸りを上げるようにユーベルコードの炎を解き放ち、迫りくる鉄球すら溶かし尽くしてさらに『玩具遊戯能力者』たちさえも吹き飛ばしていくのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

紫・藍
あやー!
自分だけのホビーを組み上げ対戦でっすかー!
それはなんとも面白そうなのでっす!
何せダークセイヴァーにおもちゃはありませんでしたのでー。
こうして遊べるの、嬉しいのでっす!
というわけで鉄球バスターを買ってきて組み上げたのでっすがー。
どうやってカスタムするか、アドバイスいただけまっすかー?
皆様の好きなパーツやおすすめのパーツなどあるでっしょうかー?
とコミュ力!
ホビー、それも競技系の方々は新規の方を沼に引き込みたがると聞くのでっす!
自分の大好きなものについては語りたくなりまっすし!
対戦相手と言えど好きだからこその想いは抑えれないのではー?
藍ちゃんくんとしましても改造失敗で壊しちゃうと悲しいですので。
教えてもらって完成したらバトルなのでっす!
ここまでお話した分、藍ちゃんくんの即興詩に乗せて放つ相棒の鉄球は超速なのでっす!
リミットブレイク重ねられる前に早撃ちで倒すのです!
作るのも遊ぶのもとっても楽しかったのです!
皆様のおかげなのです!
また遊んでくださると嬉しいのでっす!
ありがとなのでっすよー!



『クラフトバトル』、それはバトロワの競技形態の一つだ。
 フィールドにばら撒かれたアイテムを回収し、組み換え、組み込み、己だけのホビーを作り上げていく。
 元より持ち込んだモデルガンやホビーを使用してキル数を稼ぐことも良いだろう。
 だが、ばら撒かれたアイテムを活用することによってユーベルコードの効果が二倍にまで高められるのだ。
 これを活用しない手はないし、もっと言えばダーク化アスリートたちにもまたこのアイテムの恩恵はあるのだ。彼らの二倍効果ユーベルコードを受ければ猟兵たりとて勝利は難しいだろう。
 だからこそ、アイテムを回収し、活用することが求められているのだ。
「あやー! 自分だけのホビーを組み上げ対戦でっすかー! それはなんとも面白そうなのでっす!」
 紫・藍(変革を歌い、終焉に笑え、愚か姫・f01052)は思わず声を上げる。

 そう、藍の出身世界である常闇の世界ダークセイヴァーには、こうした玩具はなかった。
 ホビーという概念だってないだろう。
 藍にとって生きるということは余裕のないことだった。
 けれど、世界が変われば世俗も変わる。アスリートアースは確かに平和な世界なのだろう。
 オブリビオン、つまりはダークリーガーたちの存在はあれど、そこに生命のやり取り華い。敗北しても生命を取られることはなく、ただ配下になるだけだ。
 まるで違う。
 言ってしまえば、余裕があるかないかの違いなのだろうと思う。

 生まれ育った常闇を思い出せど、しかし今の藍は手にした『鉄球バスター』というホビーを掌の上で手遊びしながら笑う。
 楽しい。
 面白そうだと。そして、嬉しいのだと思う。
「これ、藍ちゃんくんが作ったんでっすよー!」
 藍色はアスリートアースの模型店で『鉄球バスター』を購入していた。とりあえず、説明書通りに組み立ててきたのだ。
 けれど、やっぱりこういうのはホビーに通じている者達にアドバイスを貰いたいものなのだ。
 だから、藍が近づいたのは、事もあろうに『玩具遊戯能力者』たちだった。

「どうやってカスタムするのかアドバイス頂けまっすかー?」
「な、なんで猟兵に俺たちが……」
「そ、そうだ! 俺たちは敵同士なんだぞ!」
「でもでも、同志でっすよねー! 藍ちゃんくんも『鉄球バスター』気に入ったんでっすよー! せっかくなので、皆様のお好きなパーツやおすすめのパーツなんかあるでっしょうかー?」
 藍はしかし、つっけんどんにする『玩具遊戯能力者』に構わずに近づいていく。
 ハッキリ言ってチャンスだった。
『玩具遊戯能力者』たちにとってはキル数を稼ぐ格好のカモ。
 けれど、どうしても彼らは藍に鉄球を打ち込めなかった。

 そう、打ち込めなかったのだ。
 なぜなら!
 初心者は囲って沼に沈めるのがホビイストたちの流儀であった。例え今は敵同士であっても同じものを好きな同志であることには変わりない。
「……こ、こっちのパーツなんかは鉄球をホルダーとして使えるマガジンにいいかもしれないな!」
「射程を伸ばしたいならバレルパーツがいいけど、重心が傾きやすいから必然片手打ちになる。パワー不足を解消したければ……」
「なっるほどでっすねー! ふんふん」
 藍は素直に頷く。

 趣味人においては、素直にこちらのアドバイスを聞いてくれる初心者というのは好ましく思うものである。
 例え、それが敵同士であっても。
 やっぱり嬉しいものは嬉しいのである! だからこそ、『玩具遊戯能力者』たちは藍の溢れ出るコミュ力に完全に負けてしまうのだ。
 藍としても改造失敗でせっかく購入したホビーを壊してしまうのは悲しいのだ。
 だからこそ、そこら中に散らばっているアイテムパーツを持ち寄って、あーでもないこーでもないと『鉄球バスター』談義に花を咲かせ、藍のホビーを完成させるのだ。

「ありがとうございますでっすよー!」
「ああ、なら遠慮はいらないな!」
「負けないぞ! 手加減なんてしないんだからな!」
『玩具遊戯能力者』たちとすっかり仲良くなった藍は笑顔で頷く。
「それはもちろんなのでっす! さあ、遊びましょう! バトルなのでっす!」
 ユーベルコードに輝く藍の瞳。
 そう、それは巡り藍(アイチャンクン・サプライズステーッジ)。即興詩であり、同時にユーベルコード。
 アイテムパーツに寄ってさらに二倍の効果を得る藍のカスタマイズされた『鉄球バスター』の一射。
 それはこれまでどんな『玩具遊戯能力者』たちも到達できないほどの神速地味た早打ちだった。
 そう、藍のユーベルコードは会話によって、さらに加速する一撃となっていたのだ。

「……こちらが打ち出す前に、打ち込んでいるっていうのか……!?」
「そうなのでっすよー! 皆様とのお話楽しかったのでっす! だから、こんなにも早く藍ちゃんくんは打ち出せることができたのでっす!」
 藍は笑って、打ち込んだ鉄球が『玩具遊戯能力者』たちにヒットしたことを告げる。
 彼らはリミットブレイクをする暇すら与えられなかった。
 それは全ては同好の士である『玩具遊戯能力者』たちとの会話あればこそであったのだ。
 これは確かに戦いだ。
 オブリビオン、ダークリーガーとの戦いだ。
 けれど、それ以上に遊びなのだ。ホビーなのだ。
 
 だからこそ、藍はあっさりとした笑顔で告げるのだ。
「また遊んでくださると嬉しいのでっす! ありがとうなのでっすよー!」
 そう、またね、と約束して別れることができる。
 それが命のやり取りのないスポーツというもののよいところだ。
 何も奪わない。
 互いに得難きを得るだけのこと。
 勝利者には勝利の美酒を。敗者には次なる機会へのリベンジを。
 そうやってアスリートアースは平和を勝ち取る。その一歩を藍は踏み出し、フィールドに駆け出していくのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

チェスカー・アーマライト
猟兵をキルだなんだと、随分なご挨拶じゃねーかガキ共
んな舐めた口きくようなヤツにはキッチリ灸を据えてやらねーとなぁ

まず足回りが最優先
次に装甲、頑丈そうなら別用途のパーツでも使う
動力は普段使いのホビーから持ってきた
武装を入手するまでは重量にモノを言わせた防御力とフルスロットルの突撃で応戦
壊れる端から直しまくって耐久しつつ、拾えるモンを片っ端から使う
ところで、相手のパーツを奪うのはルール的にどうなんだ?
コイツに鉄球の発射機構を積んだら中々面白くなりそーなんだが
……戦闘不能にした後なら大丈夫か?

アスリートだろ?
なあおい、ダーク化アスリートだろお前!
パーツ置いてけ!
(めっちゃ笑顔)
(妖怪パーツ置いてけ)



『バトロワ』競技において、敵にヒットさせることの単位を『キル』と呼ぶ。
 一人倒せば1『キル』、二人倒せば2『キル』というわけだ。
 しかし、その言葉は剣呑な響きであるし、聞くものが聞けば眉根をひそめたことだろう。
 だが、そんなことダーク化アスリート『玩具遊戯能力者』たちにとっては関係なかった。この無人の孤島にて彼らは猟兵たちを待ち受ける。
「どんどん猟兵たちが踏み込んできてやがる! 片っ端から撃ちまくれ!」
 彼らは手にしたホビー『鉄球バスター』でもって鉄球を雨あられのごとく放つ。
『バトロワ』フィールドに広がる凄まじい衝撃波と土煙。
 その向こう側に揺らめく影があったが、しかし、その影に向かってさえも『玩具遊戯能力者』たちの『鉄球バスター』は容赦しなかった。

 放たれ続ける弾丸。
 だが、時折甲高い金属音が響いてくるのだ。
「な、なんだ……? 何か、おかしな音がしないか……?」
「確かに……さっきから嫌に聞こえるこの音は……!」
 揺らめく土煙の向こうから現れたのは、フィールドにばら撒かれたパーツを片っ端から組み込んで巨大化した盾を構える二足歩行戦車地味たホビーだった。
 それはあまりにも巨大だった。 
 ホビーと言っても、ビッグスケールのホビーとも言うべき存在だった。
 それはもう『ミニタイガー』とも呼べない程の巨体でもって、チェスカー・アーマライト(〝錆鴉〟あるいは〝ブッ放し屋〟・f32456)に叩き込まれる鉄球の全てを集めたパーツアイテムでもって盾を構築し、彼女を守っていたのだ。

「猟兵をキルだなんだと、随分なご挨拶じゃねーかガキども」
 その声は底冷えがするほどに低い声だった。 
 辛うじて女性の声であるとわかったが、しかし、それが何の意味を為すだろうか。『玩具遊戯能力者』たちは戦慄する。
 これだけの手球の雨あられの中を、確実に己たちを追い詰めるように踏み込んできている猟兵がいる。その事実に彼らは戦慄し、土煙の中から姿を表すチェスカーを前に『鉄球バスター』を構える。
「んな舐めたクチきくようなヤツにはキッチリ灸を添えてやらねーとなぁ!」
 その言葉と共に『ミニタイガー』が走る。
 動力は普段の自前のホビーから活用している。すでに多くのパーツを彼女は集め、ビッグスケールにまで『ミニタイガー』に組み込んできたのだ。

 フルスロットルで飛び込む『ミニタイガー』は『玩具遊戯能力者』たちにとっては悪夢だっただろう。
 言ってしまえば、被弾してもキル扱いにならぬがゆえに突進してくる猛獣なのだ。
 そして、鉄球の一撃を受けても、止まらない。
 装甲が弾けとんでもサブアームが砕けた装甲をつかみ、さらに盾に組み込んでいくのだ。足回りは頑強そのもの。
 重量にまかせた突進能力は例え、ホビーと言えど、超人アスリートたる『玩具遊戯能力者』たちの体すらふっとばすのだ。
「ところで、相手のパーツを奪うのはルール的にも問題ねぇよなぁ?」
 ギラリと光るユーベルコード。
 そう、それはBLUE DAHLIA Re:BOOT(ツカエルモノハナンデモツカエ)。チェスカーのユーベルコードであり、彼女の技能を底上げし、アイテムを回収しているがゆえに二倍の効果を発揮しえるのだ。
 つまり。

 チェスカーの猟兵の技量✕アイテム効果。

 凄まじいまでの継戦能力を得た『ミニタイガー』の突進は止まらない。
 吹き飛ばした『玩具遊戯能力者』たちのホビーをサブアームがつかみ、砲塔へと組み込んでいく。
「俺たちのホビーを組み込んでいる!?」
「てめぇらのパーツは有効活用してやるよ。おもしれえと思っていたんだよ、『鉄球バスター』の発射機構を組み込んだらってなぁ!」
 獰猛に吠えるチェスカーは猛虎じみていた。
 貪欲に。
 あらゆるパーツを求め瑠葉にして彼女は『玩具遊戯能力者』たちの『鉄球バスター』に組み込まれていたパーツを取り込ませ、さらに砲撃を叩き込む。
 それはもう射撃という範疇から逸脱していた。
 だが、もうチェスカーは止まらない。

「アスリートだろ? なあおい、ダーク化アスリートだろお前!」
「ひっ」
 怯え、後退る『玩具遊戯能力者』たちは土煙を背にしてなお、眼光鋭く輝かせるチェスカーを前に足が震えてしまうのだ。
「パーツ置いてけ!」
 めっちゃ笑顔である。ただし、すこぶる周囲の子供らには評判の悪い、怖い笑顔である。その言葉に『玩具遊戯能力者』たちは命からがらといった体でパーツを置いて逃げ出してくのだ。
 そして、チェスカーはこの無人の孤島にて、妖怪パーツ置いてけとして悪名を轟かせるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

レジーナ・ビエルニィ
……。
(一応これでも本職のバトロワシューター選手である。
なわけでほら、プライドとかあるわけです。表に出さないけど)

『ぺんぺんくんシューズ』で滑りながら移動する。
移動は迅速に、パーツを回収したら身を隠して潜伏し組み上げ。
凝った事はできないけど仕方がない。『しろくまくん2号』とは別に持ち込んだ「ライフル」の方に手を加える
優先順位は射程強化>装弾数>連射性強化の順で。

カスタムをしたら身を隠しつつ一発スナイパーライフルで狙撃しておびき出し、
出てきたら【狙撃手の呼吸】状態で射程が長い人、射撃体勢に入ろうとするのを見極め、優先してライフル(カスタム)で手元を狙って撃ち、武器を取り落とさせてから仕留めるよ。



 ダーク化アスリート『玩具遊戯能力者』たちはバトロワのフィールドを駆け抜けている。
 確かに彼らは本来のバトロワシューターではないのだろう。
 けれど、彼らが使うシューティングホビーの威力はばらまかれたアイテムによって二倍の効果を発揮する。
 その力は言うまでもなく凄まじい破壊力を生み出している。
 己たちが最高だと誇る気持ちもわからないでもない。
 けれど、レジーナ・ビエルニィ(雪女のバトロワシューター・f37984)は言葉にこそ出さずとも、その心中では己のプライドが首をもたげる音を聞いただろう。

 彼女はバトロワシューターである。
 そこには矜持がある。
 口数少なくクールな印象を持つ謎多きバトロワシューター、というのが彼女である。クールな見た目で誤解されるかもしれないが、結構な負けず嫌いである。
「俺たちが最強なんだ! 猟兵たちに負けるものか!」
 その言葉を聞いて唇を薄く開きかけたレジーナは、言葉を発する代わりに息を吸い込む。
 呼吸を整える。
 思考が巡る。
 回転する思考。
 それは如何にしてこのフィールドを制圧するかを考えていた。
 
「猟兵だ! 打て打て!!」
 鉄球が迫る。
 その鉄球がヒットすれば、レジーナは『キル』されてしまうだろう。
 けれど、彼女の滑るような滑走でもって鉄球はレジーナの髪を掠めただけだった。迅速な移動と思考の回転。
 それによってレジーナは一気に地面に転がっていたアイテムを拾い上げて障害物の中へと飛び込む。
 組み込む。
 言葉はない。 
 言葉を発する必要はない。鉄球の乱打の音が耳を打ち据える。凄まじい轟音だ。これがアイテムに寄って二倍効果を得た『玩具遊戯能力者』たちのショットの威力なのだろう。
 
 だが、レジーナは構わなかった。
 手にしたライフル。
 ロングレンジバレルを装着し、装弾数を増加させるために弾倉パーツを取り付けたモデルガンを彼女は構え障害物から銃口を『玩具遊戯能力者』へと突きつける。
 スコープを覗く必要はない。 
 迫る鉄球。
 凄まじい速度のはずであるが、しかし、レジーナには鉄球の弾道、その軌跡さえも認識していた。
 銃器を構え集中している間、時間の流れが遅くなったかのような感覚を覚える。
 極限まで練り上げられ、研ぎ澄まされたコンセントレーション。
 それによって得られるのは、レジーナの視界に迫る鉄球の軌跡ではなく、己に向かってくる『玩具遊戯能力者』たちの姿だった。

「……捉えた」
 引き金を引く。
 次の瞬間、『玩具遊戯能力者』たちの手元にあった『鉄球バスター』が粉砕される。
「なっ!? なんだぁ!?」
「う、撃たれた!? この距離で、ホビーだけを!?」
「ぐわっ!?」
 次々とレジーナはライフルでもって『玩具遊戯能力者』たちのホビーを破壊し、ついで彼らを打ち据える。
 あまりにも見事な一瞬の銃撃。
 それは狙撃手の呼吸(バレットタイム)。彼女は極限の集中によって穿つ敵を見定め、バトロワシューターとしての矜持、そのプライドをもって彼らを打ち据える。
「……最強は程遠い。でも、近づいていける」
 それが自分だというようにレジーナは静かなる瞳でもって『玩具遊戯能力者』たちを見据え、その体を次々と打ち据え、『キル』スコアを更新していくのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ティグリ・ブリヤジール
あれー?「戦争」って聞いてた筈なのだー?
んー、でも「グリモア猟兵」の指示なのだしちゃんと言う事聞いて出撃するのだ―!

とりあえず駆け回っててきとーな銃器とこの部品を集めて……
あれ、確か「アイテムを使って使用したユーベルコードの効果は『二倍』」って言ってたのだ……
|💡《\ぴこーん/》!ならこうするのだー!敵兵を見つけたら拾った銃で及び腰で攻め込んで、これはダメそうって感じで早々に退却するのだ―

その際に【ぶーびーとらっぷ】で拾ったアイテムの偽物(爆発物)を落としていくのだー
向こうも条件が同じなら手を出すだろうから、そのまま爆発してもらって、そこを反転・強襲して銃撃、一気に仕留めちゃうのだー!



『戦争』とは、言葉のあやであったのかもしれない。
 数多ある世界において多くの場合『戦争』というのは悲惨なる争いのことを示すものであったし、猟兵にとっては世界の危機を救うための大いなる戦いでもあったことだろう。
 だが、此処アスリートアースにおける『戦争』こと『バトル・オブ・オリンピア』はティグリ・ブリヤジール(トラの戦闘猟兵・f40385)にとってゃ、あまりにも異なる様相であったことだろう。
 そもそもスポーツ。
 そして、生命のやり取りが発生しない。
 どんなに殺人的な競技であっても、強靭な肉体をもつ超人アスリートたちは敗北すれど死すことはない。
 それは、ティグリにとってはカルチャーショックとも言って良い光景であったことだろう。

「んー、でも、指示を受けたのでちゃんと言う事聞いて出撃するのだー!」
 わー! とティグリはフィールドを駆け抜ける。
 虎の下半身を持つ彼女は無人の孤島を走った。グリモア猟兵からの説明では、この島中にばらまかれたパーツを拾ってモデルガンを作り上げる、ということだった。
 えーと、とティグリは難しいことはよくわらなかったが、目につく明らかに人工物みたいなものを拾っては走る。
 その最中、ダーク化アスリート『玩具遊戯能力者』たちが彼女を追う。
「猟兵だ! パーツを回収させるな!」
 彼らが手にしたプラスチックホビー『鉄球バスター』から放たれる鉄球をティグリは下半身の虎の四足でもって縦横無尽に駆け抜け、躱す。
 それはしなやかであり、到底、人のできる動きではなかっただろう。
 獰猛な獣に人の知性が融合したような強靭な体躯は鉄球には捉えられなかった。

「えっと、確か『アイテムを使って使用したユーベルコードの効果は二倍』っtえ言ってたのだ……」
 手にもったパーツをティグリは見つめ、うんうんと唸る。
 えーと、こうしてこうして、こうなって、とモデルガンを組み上げて反転する。
「向かってくるぞ! 打て!」
「こ、コイツ速い……!」
「ばーん、なのだ! ……あれ?」
 カチンカチン、とティグリの手にしたモデルガンが悲しい音を立てる。撃鉄が何も叩かない音、とも言えただろう。
 勇んでパーツを組み上げたモデルガンを『玩具遊戯能力者』たちに向けたが、弾丸が発射されないのだ。

 カチンカチン。
 また音が響く。
「……」
「……」
「……だめなのだー!」
 わー! とティグリはまた反転し、『玩具遊戯能力者』たちから走り去ろうとする。だが、それを見逃すほど彼らも甘くはない。
「お、追えー! あいつ、銃が不発してる! 今なら!」
 逃げるティグリを追って走る『玩具遊戯能力者』たち。 
 だが、ティグリはひらめいていたのだ。
 己が仕掛けたのは敵へのフェイク。自分の銃が不発でちゃんと組み立てられていないと知れば、敵は必ず追いかけてくる。

 その時にこそ力を発揮するのが。
「じゃーん! ぶーびーとらっぷ(ブービートラップ)なのだー!」
「え」
 次の瞬間、ティグリがユーベルコードに寄って複製していたのは、見た目だけを似せた爆発物。
 アイテムによって効果は二倍。
 さらに言えば、島中にばらまかれたアイテムをもしていたのだ。
 パーツを組み込めば組み込むほどに『クラフトバトル』は己の得物が強化される。
 なら、それに手を伸ばさない手はないのだ。
 故に嵌る。

 ティグリのユーベルコードに寄って生み出された爆発物が盛大に炸裂し、『玩具遊戯能力者』たちがぶっ飛ぶ。
「やったーなのだー! それ、今のうちに一気に仕留めちゃうのだー!」 
 そう言ってティグリは不発に見せかけたモデルガンの引き金を引き、ぶっ飛ばされた『玩具遊戯能力者』たちへと弾丸を打ち込み『キル』スコアを重ねていくのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

朱鷺透・小枝子
戦いづらい!しかしやってみせましょう!
蝕せ、逆鱗抗体兵器!!

無数の機械鉄片を召喚し、【念動力】で操作。
周囲のパーツアイテムと融合、無差別に、無作為に、自身の元へ集め、
合体させ、武装化し、自身を覆い強化スーツとして成形、自身を強化!

貴殿らが友情で戦うならば、自分は己が闘争心を以て戦おう!
倒してみせろ、ダークリーガー!!

装甲で鉄球を【受け流し】、【戦闘知識】から動きを【見切り】
【推力移動】【早業】腕部ホビーバルカン斉射!
【継戦能力】受け流し切れなかったり戦闘に耐えきれず破損した端から、周囲のプラスチックホビーを取り込み戦闘続行。これが使い捨て戦法だ!!!

ララバイ『ねぇこれどっちがダークリーガー?』



 闘争を行うことは慣れている。
 いや、それ自体が己の存在意義であることを知っている。
 だからこそ、戦いに赴くことに勇気は必要なかった。恐れも得ることはなかった。
 だが、スポーツというものは戦いの代替でありながら、しかしそこに生命のやり取りはない。
 生死とは遠いところで行われる闘争。
 それを朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)は経験し、吠えた。
「戦いづらい!」
 そう、全てが模造である。
 偽物である。ダーク化アスリート『玩具遊戯能力者』たちが放つ鉄球は、どれも凄まじい威力であるが、死に至ることはない。
 これはあくまでバトロワというスポーツの形態の一つでしかない。

『クラフトバトル』――それはフィールドたる無人の孤島にて行われる、ばらまかれたパーツを集めて組み上げたモデルガンで敵を打倒し、『キル』スコアを競うスポーツだ。
『わからないでもないけれどね! 慣れないことでもやらなくちゃあならないのが猟兵の辛いところだろう!?』
 AIの『クレイドル』の声が響く。
 その言葉に小枝子は頷く。
「ええ、ですがやってみせましょう! 蝕せ、逆鱗抗体兵器(グレイブ・ローカスト)!!」
 小枝子の瞳がユーベルコードに輝く。
 無数の機械鉄片が召喚され、宙に浮かび、一気に周囲にばらまかれたパーツへと食い込み融合する。

「いたぞ、猟兵だ! 取り囲んで打ち込め!」
『玩具遊戯能力者』たちが小枝子を発見し、一気に鉄球を打ち出す。
 その鉄球はぐるりと小枝子を取り囲むものだった。
 躱せるものではなかっただろう。
 だが、小枝子が念動力で操った鉄片は空中で鉄球を受け止め、さらには周囲のパーツを無差別に、無作為に集めに集め続けている。
 それはまるで嵐の様相であった。

「な、なんだ、何をしているんだアイツ……!」
「慌てるな! 俺たちの連携を、友情を信じるんだ!」
「貴殿らが友情で戦うならば、自分は己が闘争心を以て戦おう!」
 嵐のなかに小枝子の瞳が輝いている。
 人口魔眼の炎が立ち上る中、小枝子が踏み出す。
 それは異様な姿だった。
 歪な鉄片を纏うボディースーツ。それ自体が流動的に蠢き、打ち込まれる鉄球のことごとくを弾いているのだ。

「な、なぁー!? ボディースーツ!? そ、そんなのありかよ!」
「それだけではありません」 
 小枝子の声が冷静に響く。
 掲げられた腕部。その装甲が展開し、砲身へと変形していく。
 バルカン。
 ガトリング銃へと変形した小枝子の腕部が凄まじい轟音を立てて弾丸をばらまく。それは融合し取り込んだパーツから得た力によって凄まじい連射性能を解き放ち、『玩具遊戯能力者』たちを圧倒していく。
 次々と吹き飛ばされ、宙に舞う彼らの体が地面に落ちる。

 例え、ガトリング銃の凄まじ連射速度に腕部の装甲が焼けただれても、即座に周囲に破壊したプラスチックホビーを取り込み再生していくのだ。
 そう、彼女にとって銃器は使い捨てでしかないのだ。
「倒してみせろ、ダークリーガー! 貴殿らがスポーツマンシップを持っているのならば! この自分を! 破壊の権化を倒してみせろ!!」
 轟音と共に叫ぶ小枝子。
 その姿はあまりにも恐ろしげな風体であったことだろう。
 AIである『クレイドル・ララバイ』は思った。
『ねぇ、これどちがダークリーガー?』
 その気持ちはよく分かる。
 だが、それ以上に小枝子の咆哮はフィールドの轟き、悪鬼羅刹の如く『玩具遊戯能力者』たちを次々と飲み込むように撃破していくのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シニストラ・デクストラ
【心境】
「今度の戦いは鉄球殺人バトルなの兄さま。」
『今度の戦いは鉄球デスバトルです姉さま。』
(注:たぶん違う)

【行動】
まずはホビーパーツを集めます。
「レアパーツとり放題なの兄さま。」
『レアパーツの価値暴落です姉さま。』
二人で連携しながらシューティングホビー(という名の人類が直視するには2万年早いナニカ)を作りつつ、UC:魔王シニストラ軍を発動します。
「四天王が倍で8人で四天王なの兄さま。」
『四天王が倍で8天王です姉さま。』
余ったパーツで防衛拠点を作るように命令し、拠点で待ち伏せて数で十字砲火で乱れ撃ち殲滅します
「戦いは数なの兄さま。」
『戦いは数だね姉さま。』



 シニストラ・デクストラ(双躰のラスボス・f31356)の二人は無人の孤島、バトロワのフィールドを走っていた。
 今回は『クラフトバトル』。
 兎にも角にもパーツを集めなければ始まらないのだ。
 鉄球が飛び交う中を走るのはとっても怖いことだと思ったけれど、お互いが手を繋いでいるのならば、へいきへっちゃらなのだ。
「今度の戦いは鉄球殺人バトルなの兄さま」
『今回の戦いは鉄球デスバトルです姉さま』
 二人はパーツを集めながら、鉄球を躱す。

 正直言って、彼らの言葉は間違っていないかもしれない。
 まあ、殺人とかデスとかそういう物騒な単語はただの装飾語っていうか。それくらい熾烈なバトルですっていう表現にすぎないのである。
 そう、これはあくまでスポーツバトル!
 如何に殺人的なスポーツであっても人の生死は関係ない。故に、アスリートアースにおいては、スポーツが発展しているのである。
「それにしてもレアパーツとり放題なの兄さま」
『レパーツの価格暴落です姉さま』
 そう言いながら二人はなんかよくわからんものを作り上げていく。
 人類が直視するにはちょっと二万年くらい速いなにか。何かが何かって言われても、何かってことしか説明できないほどの造形。 
 それを二人で作り上げつつ、彼らはユーベルコードを発動する。

「行くのよ私の部下」
『姉さまの部下はボクの敵なんだけど』
「細かいことはいいのよ、兄さま」
『これ、細かいことかな姉さま』
 魔王シニストラ軍(サタナ・エゼルチト)はそんな二人の言葉とは裏腹にすんごいことになっていた。
 そう、4つの属性を持つ戦闘力。
 魔王シニストラの四天王は、パーツに寄って二倍効果を得ている。 
 すなわち。

「四天王が倍で8人で四天王なの兄さま」
『四天王が倍で八天王です姉さま』
 いいのである。
 四天王は何百人いても四天王って名乗ることができるのである。
 ふふふ、やつは四天王の中でも最弱っていう小物ムーヴをしたいっていう願望を叶える素敵なユーベルコードなのだ。
 さらに呼び出された四天王はすぐさまパーツを回収し拠点を作り出す。
 言ってしまえば、それはトーチカめいたものだった。
 敵の鉄球を防ぎつつ、こちらは一方的に射撃することができる。
 蹂躙と言えば蹂躙である。

 一方的に打ち込めるのはとってもストレスフリー。
「戦いは数なの兄さま」
『戦いは数だね姉さま』
 二人はトーチカの中で組み上げた銃器の引き金を引く。
 振動が体に伝わり、放たれた弾丸が次々と『玩具遊戯能力者』たちを打倒していく。
 正直、気持ちいい。
『キル』スコアとかモウ数えてない。二人はどっちかというとトリガーハッピーになっていた。
 引き金を引いたら弾丸が出る。
 その心地よさになんというか、飽きるまで遊び倒してやろうという気概が見え隠れするようだった。
 だからこそ、二人は仲良く顔を見合わせトーチカの中からバンバン弾丸を打ち込みまくり、鉄球がいつのまに飛び交うことがなくても、とりあえず弾丸が尽きるまで引き金を引き続け、とても良い顔で言うのだ。

「これで終りね。兄さま」
『うん、これで綺麗さっぱりだね姉様――』

大成功 🔵​🔵​🔵​

菫宮・理緒
【サージェさんと】

ものづくり!
こういうことならわたしにお任せだよー!

せっかくだから、こちらも『大砲』でお相手しちゃおうかな♪
サージェさーん、わたし作るから、射手よろしく!

え? なにをつくる、って……もちろん荷電粒子砲だけど?
しかも【テスカポリトカの鏡】を使えば、威力2倍!

鉄球ごとき、瞬時に蒸発だよね! ね!

しかもこれを、サージェさんの分身で増やせば、
フィールドぜんぶを荷電粒子と熱線で埋め尽くせるよー♪

これぞ質と量のこらぼれーしょん!

クノイチが忍べてない?
いやいやいや。それはほら、いつものことっていうか、
どっちかといえば武将扱いだって言われてたしね!

さぁ、青少年の性癖と共に、敵を打ち倒すんだー♪


サージェ・ライト
【理緒さんと】
お呼びとあらば参じましょう
私はクノイチ、アイデンティティ失ってるとかそんなことないもんっ!
プラクト楽しんですけど、ちょっとクノイチムーブと相性悪い気がしてきました!!
というわけで私のトラメちゃんが疾走で敵の注意を引いている間に
理緒さんがクラフトするっていう寸法さ!
完璧なあるぅぇぇ!?私が撃ち手!?
じゃトラメちゃんの背中に
大砲乗せるパーツを装着しましてっと
これでUCの効果は2倍
つまり【かげぶんしんの術】の分身数も2倍です!
|フィールドを覆い尽くすトラメちゃんと理緒さんの理不尽《数の暴力》!
ただのりおりおとネコ、と侮ったうぬらが不覚よ!!
いえ、私どう見ても健全清純クノイチですよね??



 サージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)は最近思った。
 自分のアイデンティティというものに。存在意義というものに、一抹の不安っていうか影が落ちていることを思い知ったのだ。
 でもでも、関係ない。
 そこに世界の危機があって、自分が猟兵であるのならば!
 救いを求める人々がいるのならば!
「お呼びとあらば参じましょう。私はクノイチ、アイデンティティ失ってるとかそんなことないもんっ!」
 自分の不安を振り払うようにしてサージェは叫ぶ。
 わからんでもない。
 誰だって人生に一度は自分の存在意義が揺らいで不安になることって、あるものだから。
 しかし、サージェはちょっと持った。
 確かに『プラクト』は楽しい。プラスチックホビーを使った遊びっていうか戦いっていうか、スポーツは楽しいのだ。
 けれど、自分のクノイチとしてのアイデンティティと相性悪い気がするのだ。
 どうあってもクノイチムーヴできない。それはいつものことだけど。
 あいや。
 今のはツッコミじゃないです。ただの事実確認っていうか。

「ええい、そんな些細なことはいいんです! 理緒さん!」
「うん、お任せだよー! ものづくり! それはわたしの得意分野だもの!」
 サージェの言葉に菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)は頷く。 
 サージェのプラスチックホビー『トラメ』がダーク化アスリート『玩具遊戯能力者』たちを引き付けている間にサージェがクノイチムーヴでもってささっとパーツを集めてきて、そのパーツを理緒が組み換え組み上げ、『大砲』を作り上げて一網打尽にするっていう完璧な作戦なのだ。
「完璧ですね! これで!」
「うん、大砲作っちゃうから射手よろしくね!」
「あるぇ!? 私が射手なんですか!?」
「うん、だって 『トラメ』ちゃんにドッキングすれば安定感あるでしょ。四足だし」
「それはそうかもですが……」
「うん、荷電粒子砲作るから、ねー!」

 なんて?

 サージェも思った。後、それに聞き耳立てていた『玩具遊戯能力者』たちも思った。
 飛び交う鉄球が一瞬止まった。
 謎の空白時間。
 いや、理緒だけがせっせとクラフトしていた。
 今一番この無人孤島のバトロワフィールドでアスリートしていたのは理緒だった。
「なんて?」
「だから、荷電粒子砲だよー。はい、できたー! これでユーベルコード使えば、威力二倍! 鉄球如き、瞬時に蒸発だよね! ね!」
 それ本当に大丈夫?
 死んじゃわない? バトロワって人死がでないスポーツのはずなんですけど、それは。
「射線クリア。いっちゃえー!」
 テスカトリポカの鏡(テスカトリポカノカガミ)の効果を受けたクラフトアイテム。それを装着された『トラメ』。

 待って待って。
「待って待ってください! 得、それ大丈夫ですか?」
「へいきへいき。だってダーク化アスリートも超人アスリートだもの。熱線くら日焼けサロンくらいだよー」
 そうなの?
「ちょ、まっ!」
 あ、これ違うな、と誰もが思ったが関係なかった。
 サージェは理緒の言葉に簡単に納得し、かげぶんしんの術(イッパイフエルクノイチ)によって何処かのソーラーレイなシステムというか、月は出ているのかとグラサン掛けた人が言ったりする感じのあれそれな物量でもって理緒の謹製荷電粒子砲を『玩具遊戯能力者」たちに向けるのだ。
「それ人に向けていいやつか! 本当に!?」
「これが質と量のこらぼれーしょん!」
「忍べてないのが残念ですが、これが理緒さんの|理不尽《数の暴力》! ただのりおりおとネコと侮ったうぬらの深くよ!!」
「全然忍びじゃないっていうか、武将って感じだけど、ごー! 青少年の性癖と共に敵を打ち倒すんだー♪」
 理緒はノリノリである。

 いや、性癖破壊ってそういうことかなって思ったけれど、大量破壊兵器で荒廃した未来って男の子のロマンがあるよね。
 わかる。
「いえ、私どう見ても健全清純クノイチなんですが!?」
 それはない。
 その言葉と共に打ち込まれる荷電粒子砲の嵐。
『玩具遊戯能力者』たちは吹き飛び、フィールドもついでにぶっ飛ばされ、謎の顔面から地面に落ちていくダーク化アスリートたち。
 あれだけの熱量の中で蒸発するのではなく、本当にボンバーアフロと日焼け程度で済んだのは、彼らが超人アスリートだからであろう。
「本当に――!?」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ルクス・アルブス
【ステルク】

武器は自作ってことなんですね。
なら、わたしはもちろん、楽器を作りますよー!

ここは、やっぱりバイオリンでいきましょう。
それっぽい形を作って、弦を張れば、いけますよね。
それを【ソナーレ】に持たせれば完璧です!

とはいえ、ふつうに作ってもあれですし、ここはエレキバイオリンで、
アンプとスピーカーに直接接続できるようにしちゃいましょう!

これで、よりクリアな演奏をみなさまに楽しんでいただけます!

って、なんですかステラさん。
わたし今、いろんなアイディア閃いて、絶好調なんです!

なによりこれで演奏すれば、演奏の魅力がいつもの2倍なんですよね!
これはもう、わたしの名前が世界に轟いちゃうかもですー♪


ステラ・タタリクス
【ステルク】
セラフィムって聞こえたので馳せ参じましたが
|エイル様《主人様》の香りが微塵もしない件について
しくしく

まぁ『射出機構』があればいいということであれば
クリムゾンリッパーの【クリムゾンビット】で
え?『撃って』『当たれば』いいのでしょう?
【クリムゾンビット】を射出
攻撃を仕掛けつつ
その間に本体をアイテムで強化していけば勝ち確?
ルクス様さっくり終わらせて……え???
いま、なんて、いいました?
いえ落ち着きましょうルクス様
此処でルクス様の演奏とか|殺す気ですか《危険ですから》!?
っていうか2倍の|被害《感動》はこんな戦争の効果じゃなくて
ルクス様の|責任《実力》でやりましょう!?
えっちょやだぁぁ!?



 こんなの詐欺じゃあないですか、と慟哭が聞こえた気がした。
 無人の孤島。
 バトロワフィールドに響いたかも知れない叫びは、ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)のものあった。
「『セラフィム』って聞こえたので馳せ参じましたが|『エイル』様《主人様》の香りが微塵もしない件について」
 しくしく、とフィールドの片隅で出来るメイドはいじけていた。
 出来るメイドはいじけ方も出来るメイドなのである。
 この鉄球飛び交うフィールドにあってなお、彼女は敵に補足されることなくいじけ続けていたのである。
 流石は主人が絡まない時は完璧メイドである。
 スニーキングミッションも完璧である。

「ここって武器は自作ってことなんですね」
 そんな完璧メイドステラをよそにルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は周囲を見回して頷く。
 そう、此処はバトロワフィールドであるが、『クラフトバトル』と呼ばれる周囲にばらまかれたパーツを集め、組み換え、組み立てて武器として扱うことで『キル』スコアを競うスポーツなのだ。
「ええ、まぁ『射出機構』があればいいということであれば『クリムゾンリッパー』のクリムゾンビットで『撃って』『当たれば』いいのでしょうから」
「なら、わたしはもちろん、楽器を作りますよー!」
 なんで?
 ステラは思った。
 なんで楽器? え、今なんて言った? とステラはパーツ集めに走るルクスを引き止める。
「え、楽器です。バイオリンを作りたいです! それっぽい形を作って弦を張れば、いけますよね!『ソナーレ』に持たせれば完璧です!」
「お待ちになってください、ルクス様」
 ステラは駆け出そうとするルクスの肩を掴む。
 いやていうか力強いな、とステラは思った。

「いいえ、待ちません! とはいえ、普通に作ってもあれですし、ここはエレキバイオリンで、アンプとスピーカーに接続できるようにしちゃいましょう!」
 止まらない。
 ルクスの楽器への情熱が止まらない。
「いえ、落ち着きましょうルクス様」
 ステラはなんとしても止めなければならなかった。そう、これは自分だけの戦いではないのだ。
 このフィールドに集まった猟兵たちは元より、ダーク化アスリートたちの鼓膜が危ない。
 いやまあ、ダーク化アスリートはぶっ飛ばさないといけないので、いいかもしれないが、楽器を作るということは演奏をする、ということだ。
 なら、直近で聞く自分がどうなるかなど言うまでもない。
 そう、最近のルクスの演奏は凄まじい。
 耳栓してても突き突き破ってくる。
「此処でルクス様の演奏とか|殺す気ですか《危険ですから》!?」
 ルビが逆転していることも気がつけないほどに動転している。

「大丈夫です! よりクリアな演奏をみなさまに楽しんでいただきたいので!」
 すでにパーツは確保済みです! とルクスは息巻いている。
「ステラさん」
 ルクスはステラにむきなおって、とっても純粋無垢な瞳で見上げる。
「わたし今、いろんなアイデア閃いて、絶好調なんです!」
 なにより、とルクスは続ける。
「これで演奏すれば、演奏の魅力がいつもの二倍なんですよね! これはもうわたしの名前がアスリートアースに轟いちゃうかもですー♪」
 違う。
 轟くのは悪名である。
 ステラはなんとしても阻止しなければならないと思った。

「二倍の|被害《感動》はこんな戦争の効果じゃなくて、ルクス様の|責任《実力》でやりましょう!?」
「汎ゆる状況を活用してこそです! さあ、ステラさんいきますよ!」
 聞いてはくれない。
 今のルクスは無敵のキラキラスター状態である。
 どんな論理も通用しない。
 演奏する。ただそれだけのために彼女は障害のすべてを突破するだろう。
「えっほやだぁぁ!?」
 ステラの悲鳴が響く。
 誰も助けてはくれないだろう。だって、ここはバトロワ! サバイバルゲームの最先端! 自分の身は自分で守る!
 例え、それが耳栓をぶち抜いてくるような演奏であっても。
 それが二倍になっていようとも!
 それでも我が身を守れるのは自分だけなのだとステラは痛感しながら、ルクスの演奏に自分の鼓膜が死んじゃう気配に涙するのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

スリジエ・シエルリュンヌ
えっと…ここなら銃の試し打ちみたいなことができる、と聞きまして…。
(バトロワの銃タイプ玩具をそう解釈した)
『しずり』さんと一緒にパーツを集めましょう…いえ、詳しくないのでよくわからなくて…。

あっ、これならわかります。警察の方が持っている拳銃。
それを…拾ったグリップ(入る弾数アップ)と弾倉で改造しました。

さて、UCを使って攻撃力を上げてからの…射撃です!
撃ち出された鉄球は…あ、なんとか当たって砕けましたね。
すみません、ノーコンですみません、私、本当に普段が超近接特化なんです!
あの…『しずり』さんが相手を誘導してなかったら、結構悲惨だったと思います…。



 スリジエ・シエルリュンヌ(桜色の文豪探偵・f27365)はバトロワのフィールド、無人の孤島の雰囲気には一見すると似つかわしくない雰囲気を持っていた。
 彼女は隠れ里にて生まれた純血種。
 こうした世俗のことには疎かったのかも知れない。
 だからこそ、このアスリートアースのバトロワフィールドをみやり、一つ頷く。
「あの、もし」
「え、何!?」
 ダーク化アスリート『玩具遊戯能力者』たちは必死だった。
 フィールドにて戦う彼らは猟兵たちの奇想天外にいして埒外たるユーベルコードの乱発に寄ってひどい目にあっていたのだ。

 だからこそ、スリジエがあまりにも場違いに訪ねてくるものだから相手が猟兵であっても律儀に対応してしまっていたのだ。
「……ここなら銃の試し打ちみたいなことができる、と聞きまして……」
「いや、ここバトロワフィールドだぞ? 試し打ちは」
 できないっていうか、この人猟兵じゃん! と『玩具遊戯能力者』は気がつく。
 今ならこの猟兵を初心者狩りできてしまう。
 だが、『玩具遊戯能力者』は腐ってもダーク化してもアスリートなのだ。
 初心者狩りをするなんてだっせーことはできないのである。
「……詳しくないのでよくわからなくて……」

 初心者に優しくない界隈は廃れる。
 それは連綿と紡がれてきた歴史が証明している。だからこそ、『玩具遊戯能力者』たちはスリジエのもとに集まってきてあれこれレクチャーしてくれる。
「この中でわかるモデルガンはある? ピンと来たのでもいんだけど」
「あっ、これならわかります。警察の方が持っている拳銃ですよね?」
「そうそう。撃鉄を起こして引き金を引くだけね。安全装置とかもあるんだけど、モデルガンだから簡略されてるから」
 なるほど、とスリジエは『玩具遊戯能力者』たちからレクチャーを受けていく。
 いや、いま競技中なんだけど、と誰もがツッコミそうなものであるが、『玩具遊戯能力者』たちは誰もそんなことをツッコまなかった。

 初心者は囲って沼に沈める。
 それが熟練者のセオリーなのである。
 故に熱心にスリジエは『玩具遊戯能力者』たちからモデルガンのことをレクチャーされ理解を深めていく。
「では、このパーツはどのように使えば……」
「弾倉アップパーツだな。拳銃はコンパクトで扱いやすいけど、その分集弾性だったり、段数制限あるから、数打てるっていうのはメリットかも知れないな」
「そうそう、パーツを付けてるだけだから、やってみ」
「はい……あ、これで良いのでしょうか?」
 スリジエは作ったモデルガンを誇らしげに掲げて見せる。
 
 それを『玩具遊戯能力者』たちは見て、へへっ、となんかこっちも誇らしい笑顔を浮かべている。
 なんていうか、本当にダーク化アスリートか? と思うほどの光景であったが、仕方ないのである。
 初心者を前にした熟練者としては、初心者が楽しんでくれることが第一なのだ!
「じゃあ、撃ってみようぜ。ターゲットは……ないからまず俺で!」
「い、いいのですか?」
 では、とスリジエがユーベルコードを込めて弾丸を放つ。
 天月の魔力、石榴の魔力、桜の魔力を籠めた拳銃の一射は、パーツの効果も含めて二倍にまで膨れ上がり、光条となって放たれる。
 
 だが、その射撃はあらぬ場所へと飛んでいく。
 そう、スリジエはノーコンだったのだ! 近接特化だから、とスリジエはしどろもどろに言い訳していたが、『玩具遊戯能力者』たちは笑わない。
 むしろ。
「いや! いいよ! あれ炊け強力なユーベルコードを使っておいて反動を抑えられた!」
「才能あるよ! 自身持って! さ、次行こうぜ! 俺たち動くからさ!」
「で、では、『しずり』さん誘導してくださいます?」
 実戦さながらっていうか、実戦そのものなのだが『玩具遊戯能力者』たちはスリジエが呼び出した白い管狐に誘導されるように追い込まれるふりをしながらフィールドを走る。
 もはや戦いなんて関係ない。
 初心者をバトロワ競技という沼に沈めるためのチュートリアルであった。

 スリジエは固まった『玩具遊戯能力者』たちをユーベルコードの一射によってまとめて貫く。
 その時になって初めて『玩具遊戯能力者』たちは気がついた。 
 あ、と。
 これってチュートリアルのつもりだったが、猟兵とダーク化アスリートの間では特に関係なことだった。
 スリジエの一射が当たれば、それで彼らはぶっ飛ばされてしまう。 
 それを失念していた彼らは『しずり』に一塊に誘導され、スリジエのノーコンと言わしめた射撃にまとめてぶち当たり、盛大に彼女の『キル』スコアを増やすことになる。

 でも、これでいいのだ。
「た、楽しかった……?」
「楽しめ、た……?」
「ええ、もちろんです。ノーコンな私でもやれました……皆さんのおかげです」
 そのスリジエの笑顔に『玩具遊戯能力者』たちダーク化アスリートたちは浄化されるように満足気にサムズ・アップし、スリジエの健闘を称えるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年01月06日


挿絵イラスト