●The Horrible venom
「御機嫌よう、皆。よく来てくれたね」
グリモアベース作戦会議室にて、常通り招集に応じた猟兵たちに一礼したのはカタリナ・エスペランサ(閃風の舞手・f21100)。
ケルベロスディバイド世界を襲う|十二剣神《グラディウス・トゥエルヴ》の侵略……此度は『原罪蛇メデューサ』との戦いを予知したのだと彼女は告げる。
「まず重要な点として、今回の戦いは時間との勝負になる。タイムリミットの迫る中での戦いならこれまでも多々あったけれど……今回は“速ければ速いほど良い”という類だ」
順を追って説明しよう、と有翼の人狼は指を立てて。
「メデューサは|小剣《グラディウス》を使わずとも人間の『おそれ』を触媒として配下を地球上に召喚する能力を持つ。そして最終的には大量の『おそれ』を触媒としてメデューサ自身が地球に出現する、という筋書きだね」
『おそれ』を集める手段として、敵は高度な擬態能力を持つデウスエクスを市井に潜伏させ「姿の見えない殺人」を繰り返すという手段をとった。
このデウスエクス、及び集まった『おそれ』を触媒に召喚されるメデューサの撃破が今回のミッションとなる。
手筈としては三段階。
既に送り込まれているメデューサ配下、その第一波の殲滅。
「姿の見えない殺人」実行犯であるデウスエクスの撃破。
そして集まった『おそれ』を触媒として召喚される『原罪蛇メデューサ』の撃破。
時間を掛けるほど万全のメデューサを相手取るリスクは高まるが、裏を返せば速攻を掛ければ此方に有利な形で強敵を叩く好機でもある。
民間人の犠牲を食い止める為にも力を貸してほしいとグリモア猟兵は締め括った。
「今回もキミたちの勝利と無事の帰還を祈っているよ。いってらっしゃい」
送り出す言葉と共にグリモアが輝き、豪奢な装飾の施されたゲートが開いて。
ふーみー
当シナリオをご覧くださりありがとうございます、ふーみーです。
今回はVS十二剣神《グラディウス・トゥエルヴ》『原罪蛇メデューサ』!
一章は『GLMストーク』との集団戦。
本シナリオのギミックとして「第1章完結までにかかった実際の日数」に応じて第3章で登場する『原罪蛇メデューサ』が強化される仕様となっています。
二章は『英雄神ペルセウス』とのボス戦。
三章は『原罪蛇メデューサ』とのボス戦になります。
また、試験的に難易度オプションも始めました。
興味のある方はMSページをご覧ください。
それでは皆様の健闘をお祈りしています。
第1章 集団戦
『GLMストーク』
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POW : プラズマキャノン
【胴体上部に展開した砲台】から【高密度プラズマ弾】を放ち攻撃する。その後、着弾点からレベルm半径内が、レベル秒間【超高熱】状態になる。
SPD : OCSミサイルランチャー
【胴体側面のミサイルポッド】からレベル個の【光学迷彩機構搭載型ミサイル】を射出する。射出後も個々の威力を【光学迷彩の精度】で調節でき、低威力ほど視認困難。
WIZ : 制圧射撃
【胴体下部の機銃】から無限に供給される【高貫通力の弾丸】を、レベル分間射撃し続ける。足を止めて撃つと攻撃速度3倍。
イラスト:Hispol
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●Murder machines
存外に数が多い――そして|巨大《でか》い。
決戦都市の夜闇に暗躍していたのは機械型デウスエクス「ダモクレス」の一種、GLMストーク。
二脚で俊敏に動き回り高火力兵装で殺戮を為す全高5m程の刺客は既に都市中に放たれていた。
姿なき殺人犯を捉えるべく、鋼の走狗を掃討せよ。
※人気の無い路地裏や地下水道に潜伏している敵を狩る場合もあれば、
民間人を襲撃しようとする市街地での戦いになる場合もあるでしょう。
戦闘エリアやシチュエーションはプレイング内である程度指定可能。
特に指定無ければ周辺被害の心配は少ない路地裏での戦闘となります。
暗都・魎夜
【心情】
恐れを媒介に召喚とは、随分とえぐい真似しやがるぜ
それで今までブイブイ言わせてきたんだろうが、俺が来た以上、そう簡単にやらせはしねえよ
【決戦配備】
ジャマー:不意打ちのため、付近にレーダーの妨害などを依頼
地下水道などで出撃準備をしているGLMストークを襲撃
【戦闘】
「地形を利用」「闇に潜む」で奇襲を仕掛ける
この戦闘力を持ったロボットが、数をそろえて街中に配備されている
それだけでも十分な脅威だぜ
「先制攻撃」で「斬撃波」による攻撃
敵のUCが発動したら、こちらもUCを発動し、反撃する
「吹き飛ぶのはてめえらの方だ!」
まずは緒戦
まだまだ勝負はこれからだ
ここから忙しくなってくるぜ
●闇を砕くは太陽の爆炎
突如として轟音が響く。
決戦都市の地下水道――人々のインフラを支える基盤であり、何処か神殿のようにも見える広大な地下空間。
駆動音だけが微かに響く不気味な静寂は力強い斬撃の一閃に破られた。
『――――』 『攻撃感知』 『敵性反応無し。センサー修復開始』 『迎撃せよ』 『迎撃せよ』 『迎撃せよ』
「恐れを媒介に召喚とは、随分とえぐい真似しやがるぜ」
人目に付かない領域を我が物顔に占拠していた殺人機械の一群に強烈な奇襲を叩き込み、魔剣を担いだ暗都・魎夜(全てを壊し全てを繋ぐ・f35256)は残る獲物に視線を走らせる。
レーダーを無力化するジャマーの支援により先手は完璧な形で決まった。
そのまま畳み掛ける魎夜に対し、ストークも不完全ながら強引に逆襲を図る。
「それで今までブイブイ言わせてきたんだろうが、俺が来た以上、そう簡単にやらせはしねえよ」
『否定』 『任務継続』 『暗殺遂行』 『恐れを』 『怖れを』
「甘ぇな。やらせはしねえ、って言ったんだぜ!」
柱を遮蔽に機銃を躱し、図体に見合わぬ機敏さで駆ける機兵を滅びの業火より放たれる斬撃波で叩き斬る。
歴戦の能力者なればこそ一撃一殺の勢いで圧倒しているが、火力と装甲に機動力まで兼ね備えたストークの性能にはシンプルに隙が無い。これだけの性能を持つ機兵が既に街中へ配備されている状況は脅威と呼ぶに十分過ぎる。
一体も逃す事無く迅速に、確実に仕留めなければならない。
『脅威度更新』 『優先目標変更』 『抹殺せよ』
「同士討ちも厭わねえつもりか。碌に態勢も立て直せないまま半分に減っちまったもんな?」
残されたストークは大きく回り込むように襲撃者を取り囲み一斉に砲台を展開。
戦場を生命活動困難な超高熱に侵蝕する【プラズマキャノン】、集中砲火をまともに受ければ魎夜であっても無事には済まないだろう。
「師匠が言ってたぜ! 「戦いに敗ける側はいつだって理解も遅けりゃ反応も遅いんだ」ってな!」
『『『主砲、最大火力――|発射《Fire》』』』
やってみろと獰猛に口の端を吊り上げる。
直後、人体一つを蒸発させるには過剰な灼熱が一点に集中し――嘘のように消え失せた。
心を持たない機械であっても理解の及ばない事象を前にすれば隙は生じる。
まるで怯むように動きを止めた砲口の先にはプラズマを喰らい尽くした青年の姿。
「ごちそうさん。全力で行くぜ、吹き飛ぶのはてめえらの方だ!」
『追撃せよ』 『回避せよ』 『回避――――』
魎夜の全身が赤熱し浮かび上がる。
自分自身を「|太陽の爆弾《レッドダイナマイト》」と化した吶喊は戦場を揺るがし、溢れ出す爆炎が残るストークを一網打尽に焼き尽くして……
静寂の戻った地下水道、デウスエクスが灰さえ残さず消し飛んだのを確かめ頷き一つ。
まずは緒戦、恐らく他の猟兵たちも各地のストークを駆逐している頃だろう。
「まだまだ勝負はこれからだな。ここから忙しくなってくるぜ」
よし、と太陽の余韻も冷めやらぬままに気合いを入れる。
暗躍する姿無き殺人鬼、そして裏で糸を引く原罪蛇との邂逅は刻一刻と迫っていた。
大成功
🔵🔵🔵
日下部・香
『おそれ』を集めるために人を殺す……胸糞悪い話だが、まあ今更だ。
被害が出ないよう、そしてメデューサに力を与えないよう、対処を急ごう。
私は街に潜伏してる敵を探して叩こうか(【索敵】)。大きい敵だからな、隠れられる場所は限られる。ある程度場所を絞って、片っ端から探そう。
敵を見つけたら【絶空斬】で攻撃しよう。刀じゃ斬れそうもない硬い装甲だけど、そんなものは関係ない。むしろ斬りやすいというものだ。
見た感じ胴体部がこの敵の要か? 脚部を斬って転ばせてから、胴体部を攻撃するのがいいだろうか。
敵のミサイルも斬って落としたいけど、見えなくなるのは厄介だな。
決戦配備・ジャマーを要請。敵の光学迷彩を弱めてほしい。
●絶技、悪しき鋼を断ちて
「『おそれ』を集めるために人を殺す……胸糞悪い話だが、まあ今更だ」
敵の悪辣さに眉を顰めながら日下部・香(断裂の番犬・f40865)は決戦都市の夜闇を駆ける。
人々の被害もメデューサの強化も決して看過できるものではない。
広大な決戦都市に潜むデウスエクスを見つけ出すのは難題だが、しかし彼女には一日の長がある。
巨人並の体躯を備えたストークの群れが隠れられる場所は流石に限られるものだ。
ある程度の見当を付ければ忍の健脚がストークたちを探し当てるのにそう時間は掛からなかった。
「成敗……!」
護りの悉くを断つ【絶空斬】――常切の銘持つ斬霊刀の一閃が機兵を斬り裂く。
不意を打たれたストークの反応には数秒の|停滞《ディレイ》。
ダモクレスの例に漏れずGLMストークの頑健な装甲は並みの攻撃を寄せ付けない。
戦術の前提を覆す斬撃は合理を旨とする機兵を|混乱さ《バグら》せるに十分な不条理を突き付ける。
「確かに硬い装甲だけど、関係無い。むしろ斬りやすいというものだ」
『解析不可』 『メソッドを更新』 『迎撃せよ』 『迎撃せよ』
「お粗末な動きだな」
鋼の巨躯を躍動させる逆関節脚の機動力は侮れないものだが、回避を目的とした動きには粗がある。
無理もない事だ。ストークからすれば矮小な刀の一振りが致命傷になり得るようなイレギュラーまで想定に含めていてはキリが無い。
脚部を薙ぎ体勢を崩した胴体の機関部を断てば、また一体のストークが爆散する。
『展開完了』 『標的捕捉』 『制圧せよ』 『『『【OCSミサイルランチャー】――|発射《Fire》』』』
「迷彩か。見えないのは厄介だな」
奇襲の利を活かした香が何体ものダモクレスを葬るまでが僅か数秒の出来事。
残るストークが一斉に放ったミサイルは空間に溶けるように視界から消え失せる。
威力と引き換えのカモフラージュだが、弾数と制圧範囲で押し切る算段か。
無論、手はある。
「|決戦配備《ポジション》・ジャマーを要請する。敵の光学迷彩を弱めてほしい」
『要請を受諾しました。御武運を、ケルベロス』
「感謝を。見えていれば此方のものだ」
応答は迅速。
空間にノイズが走り、所在を暴かれた弾頭は渾身の一振りに纏めて薙ぎ払われる――これで詰みだ。
爆炎を突っ切って肉薄し、|超級兵装《ユーベルコード》行使直後の隙を見せたストークへと縦横無尽に刃を振るう。
「斬り、破り、断つ――我が常切の露と消えろ」
残心を取る香の背後、機関部を破壊された最後のストークが崩れ落ちる。
鋼の尖兵悉くを斬り捨て、その刃には些かの曇りも無く。
大成功
🔵🔵🔵
皇・絶華
機神搭乗
「何だ彼奴ら…キャバリアじゃねーのか?」
あれはダモクレスだぞさっちゃん
基本的に乗ってる人はいないので容赦はせずに済むな
決戦配備
メディック
市街地の敵を捕捉
【戦闘知識】
市街地の状況と構造
一般人の避難経路を把握してメディック部隊と情報共有
部隊に一般人の避難を任せ
UC発動
【念動力・乱れ打ち・空中機動・第六感・武器受け】
高速で飛び回りながらも次元転移を繰り返して翻弄して念動光弾を乱射
敵のミサイルは迎撃
光学迷彩で見えないのは…直感で蹴散らし
【二回攻撃・切断】
敵機の空間毎鎌剣で切り刻みバラバラに
更に襲われる一般人が察知されれば次元転移で飛んで敵機に襲い掛かり蹂躙する
うん、こういうのも新鮮だな
●敵うもの無き人機一体
不吉な殺人事件の恐怖を振り払うように年の瀬に賑わう市街地、繁華街。
突如現れた機兵がその営みを踏み躙らんと強襲を仕掛け――寸前、次元を飛び越え顕現した神機に薙ぎ払われる。
動揺の走る人々を背に庇い、神機の従える無数の円環が街の灯りを反射して煌めいた。
『何だ彼奴ら……キャバリアじゃねーのか?』
「あれはダモクレスだぞさっちゃん。基本的に乗ってる人はいないので容赦はせずに済むな」
『へぇ、そいつはやり易いぜ!』
神機――連環神機『サートゥルヌス』を駆るは皇・絶華(影月・f40792)。
守るべき民間人と共に無数の|殺戮機兵《GLMストーク》に取り囲まれた難局に於いても、ふたりの様子に気負いは無い。
神機のセンサーが捕捉した戦場の条件を絶華が解析、速やかに|特務機関《DIVIDE》へと通信を繋ぐ。
「こちら影月、割り出した一般人の避難経路を送る。避難誘導は任せた」
『要請を受諾しました。御武運を、影月』
「任せとけって。さぁてさっちゃん! お前の力を見せる時が来たぞ!」
『承知致しました主様!』
開幕の一蹴など挨拶代わり、アイレンズを輝かせるは【亜空間戦術級制圧機構『巨神の王』】。
超高速に加速した神機の乱射する念動光弾は瞬く間に無数のストークをスクラップへと変えていく。
『迎撃せよ』 『撃墜せよ』 『殺戮の恐怖を』 『『『弾幕展開――【OCSミサイルランチャー】』』』
『こんにゃろ、無茶苦茶にばら撒きやがって!』
僅か数秒の蹂躙劇を経てストークの初動は漸く追いついた。
100を超えるミサイルを残存する機兵が一斉に解き放つ様は何処か終末をさえ連想させる。
或いは神機であれば幾千の弾頭をも耐えきれるかもしれないが、今その背には無防備な生身の人々。
『……ちょうどいい、お前らに見せてやる……時空を統べる俺こそが最強って事をよぉ!』
「見えないミサイルは任せろ、蹴散らすぜさっちゃん!」
威力重視のものをカモフラージュに織り交ぜた不可視のミサイル、その全てが民間人には致命傷となる死の脅威。
無差別の悪意が街を絶望に染め上げんとして……しかし、その悉くは水際に阻まれる事になる。
『クロノスチャクラム、全展開! そんで、こいつが……!』
「次元転移のちょっとした応用ってヤツだな!」
絶華の研ぎ澄まされた直感が不可視の弾頭さえ捕捉、誰一人犠牲にさせない最善手を導き出す。
展開された全十二の円環が膨大なミサイルを迎え撃ち、抉じ開けたごく短い猶予に神機の機体が次元転移を繰り返す――転移の度、僅かに周囲の時空を歪めながら。
『「絶望を絶て、ハルペー2ッ!!」』
時空歪曲に巻き込まれ、或いは円環の迎撃に押し込まれ、刹那にして一纏めにされた幾千の弾頭を絶つは鎌剣一閃。
夜天を爆炎が彩り、|超級兵装《ユーベルコード》行使直後の隙を晒したストークを照らし出す。
音速さえ遥か置き去りにする今の絶華たちにとって数秒の|硬直《スタン》は悠長に過ぎるというもので……
不死をも殺す神器の切れ味の前では機兵の装甲も紙切れに等しく、殲滅は滞りなく完遂された。
『やれやれ、メディックが一般人逃がしきる前に片付いちまったなぁ』
「うん、こういうのも新鮮だな」
姿無き殺人の主犯、原罪蛇との激突を前にしてウォーミングアップは順調に。
大成功
🔵🔵🔵
レラ・フロート
私は元連合軍所属のダモクレスだから
十二剣神の恐ろしさは知っているよ
でも引かない
私達を心から信じ協力する地球の人々を守り抜くと決めたから!
ケルベロスからDIVIDEへ
「メディック」を要請します!
避難誘導と救護をお願いして
民間人を襲撃しようとする敵を市街地で迎撃するよ
「さぁ、ケルベロスはこっちだよっ!倒してみろっ!」
数を惹きつけるように動き、挑発する声をかけつつ
パワー全開で敵陣になぎ払いで攻撃
敵のプラズマキャノンは必ず人のいない方に撃たせるよう誘導するね
もしDIVEDEの避難誘導も間に合わず
取り残される人がいたら身を張って庇うよ
そして、必殺の《雷穿》で敵殲滅だっ
もう大丈夫! ケルベロスは負けないよ
●守護の誓いは鋼より硬く
「|十二剣神《グラディウス・トゥエルヴ》が、来る……」
レラ・フロート(守護者見習い・f40937)はレプリカント、即ち心を得て地球に帰化したダモクレスだ。
デウスエクスの首魁である十二剣神の恐ろしさはよく理解している。
「……でも、引かない」
吐息と共に零れた意思は冬の冷たさにも負けないほど熱く。
息せき切って駆け付けた市街地には人々の平穏を蹂躙せんとするGLMストーク部隊の機影。
「私達を心から信じ協力する地球の人々を守り抜くと決めたから!」
嘗ての同族にも怯む事無く、滾る誓いを胸に機兵の前へ立ちはだかる。
「ケルベロスからDIVIDEへ、「メディック」を要請します! 避難誘導と救護を!」
『要請を受諾しました。御武運を、ケルベロス』
特務機関の対応は素早く、市民も動揺はあれど速やかに避難を開始する。
後は彼等に被害を出さないよう、鋼の侵略者を打ち払うのみ。
「さぁ、ケルベロスはこっちだよっ! 倒してみろっ!」
『レプリカント……|裏切者《ダブルクロス》の妨害を確認』 『シークエンス移行』 『撃滅せよ』
威勢よく名乗りを上げたレラの存在はストークの注意を引き付けるに十分なものだった。
彼女が侵略者の恐ろしさを知るように、地球の側に立った|嘗ての同族《レプリカント》はデウスエクスにとっても脅威だという話。
閃翼を輝かせ飛翔するレラを追い、機兵たちの銃口も一斉に上空を向く。
『撃滅せよ』 『撃滅せよ』 『撃滅せよ』
「負けるもんかっ! パワー全開だぁあーっ!!」
白き閃光の軌跡を残して縦横無尽に宙を駆け攪乱。幾らかの被弾は持ち前の頑健さで突っ切り、渾身の力を込め振るう斬撃は巨人じみたストークの躯体さえ薙ぎ払ってみせる。
逆関節脚で三次元的に躍動するストークも俊敏な部類だが、この戦場での機動力は飛行能力を持つレラに分がある。
巧みなヒットアンドアウェイを繰り返す彼女は数の差をものともせずストークを圧倒していた……が。
不意に、まるで指令でも受けたかのようにストークの動きが変わる。
胴体上部に展開した砲台の照準は飛び回るレラでなく避難を完遂しようとしていたメディック。
民間人の避難・救護を役割とする彼らもある程度の自衛能力は備えているが、|超級兵装《ユーベルコード》の集中砲火を受ければ無事では済むまい。
『『『主砲展開、【プラズマキャノン】最大火力――』』』
「っ! させない……!!」
『『『――――|発射《Fire》』』』
迷いは無かった。
射線を遮るように飛び込み甲冑を展開、自慢の剣を盾のように構えプラズマ弾の集中砲火を正面から受け止める。
人間の少女と然して変わらない姿は着弾と共に拡散する超高熱の煉獄に呑み込まれ……
「必、殺……!」
声が微かに空気を揺らす。
無傷では無くとも闘志は揺るぎなく、爆炎を斬り裂いて光刃が閃く。
「雷穿ッ……貫けぇえーーーーっ!!」
|特務機関《DIVIDE》のコートを爆風に翻し、その斬撃はデウスエクスの機体を滑らかに断ち斬った。
崩れ落ち爆散するストークから、護り抜いた人々の無事を確かめるべく振り返って。
「もう大丈夫! ケルベロスは負けないよ!」
人々を護り勇気づける、守護者の笑みは太陽のように眩く。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『英雄神ペルセウス』
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POW : 太陽の杖
【輝ける星の魔力を秘めし杖】に【公転の力】を籠めて近接攻撃し、ダメージを与えた対象をレベル×1回転させる。
SPD : 老婆の眼球
【巨大な眼球】を召喚する。300km/hで飛翔し、【呪いの凝視】による攻撃や、召喚者との【視覚】共有が可能。
WIZ : 鏡の盾
【召喚した「鏡の盾」】に【遠隔攻撃反射】のルーンを宿して攻撃する。対象が何らかの強化を得ていた場合、それも解除する。
イラスト:片吟ペン太
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●Falling Hero
「……厄介だな。こうも容易くストークを蹴散らすか」
決戦都市中に潜んでいた機兵の群れを殲滅し、突き止めた姿無き殺人犯の正体は英雄神ペルセウス。
UDCアースやヒーローズアースの物語ではメデューサを討伐した英雄と同じ名を持つ彼が今、メデューサ降臨の為に暗躍しているのは何の皮肉か。
「だが此処まで手を汚して何の成果も得られない等と、それこそ認められるものではない。……此度こそ、この|侵略《悪行》にケリを付ける……!」
“英雄神”の肩書はデウスエクス「エインヘリアル」の中でも最高戦力とされる一柱の証。
宝物庫の番神とも呼ばれるペルセウスは数多の宝物を振るい、あなたたちを葬らんと立ち塞がる。
堕ちた英雄神を討ち、その非道に終止符を打て。
暗都・魎夜
【心情】
見たところ、こいつが計画のリーダー役ってところだな
こいつさえ倒せば、状況はずいぶん楽になるってことだ
【決戦配備】
クラッシャー:ロボなどで近接戦闘を行い、こちらのUCを決める隙を作ってもらう
【戦闘】
「どうだい、兄さん。殺人鬼作戦は不発だ。ここらで痛み分けってことにして、帰ったらどうだ?」
俺の知っている伝承との違いは気になるが、英雄神って言うのは伊達じゃねえな
どの宝物も強力な力があるし、油断は出来ねえ
「行くぜ、イグニッション!」
決戦配備と連携して攻撃
攻撃は「見切り」「武器受け」で防御
隙が出来たら「リミッター解除」「捨て身の一撃」のUCで貫く
上司が来るまで石になって待っててもらうぜ
●英雄墜つ
「見たところ、こいつが計画のリーダー役ってところだな」
圧倒的な存在感を放つ英雄神を前にしても気圧される事無く、暗都・魎夜(全てを壊し全てを繋ぐ・f35256)は肩に担ぐように魔剣を構え相対する。
「こいつさえ倒せば、状況はずいぶん楽になるってことだ」
「やってみるがいい。君に出来るものならば」
「言われるまでもねぇな。さぁ、やるぜクラッシャー!」
『要請を受諾しました。我々の手に、勝利を』
魎夜の合図に応え|特務機関《DIVIDE》の戦闘ロボが出動する。
タイミングを合わせ仕掛けた鉄拳と魔剣の連携が、迎え撃つペルセウスの杖と火花を散らした。
「どうだい、兄さん。殺人鬼作戦は不発だ。ここらで痛み分けってことにして、帰ったらどうだ?」
「退いて如何する」
激突のたび荒れ狂う余波に戦場の空気を震わせながら、魎夜の軽口にペルセウスは憮然と応じた。
杖の打ち込みを受け流し、そのまま一挙動で魔剣を叩き込――罠だ。真紅の瞳が狙いを見切る。
すんでのところで手を止めれば衝撃波さえ伴う剛脚の蹴りが顔のすぐ傍を撃ち抜く。
間断なく続く追撃に合わせ退いて仕切り直し、ロボの突撃を皮切りに再びぶつかり合う。
荒々しくも危うい均衡を保ち続ける彼らの動きは何処か舞踏にも似て。
「英雄神を冠する者として、俺には同胞を生かす責務がある。侵略戦争など一刻も早く終わらせねばならん」
「外道に堕ちてもか?」
「我らに選択の余地は無い。誰かが手を汚さねばならないのなら、それは力ある者が背負うべきだ」
「そうかい。どんな事情があろうと、お前らの侵略は見過ごせねぇ――止めるぜ」
撃ち合わせた魔剣と杖に込めた力は渾身、轟音と衝撃が大地を揺るがす。
「俺の知っている伝承との違いは気になるが、英雄神って言うのは伊達じゃねえな!」
「無論だ。故に此処で足を止めてはいられん」
『ッ――来ます、警戒を!』
刹那、援護に入った戦闘ロボが纏めて打ち砕かれた。
もしも有人機であれば――費用の面では無人機でも大概とはいえ――惨劇は免れ得なかっただろう。
魎夜が警戒し続けていた無数の宝物、勝負を付けるべくペルセウスが解放したのは【鏡の盾】。
召喚された宝物は絶対的な硬度を矛へと転じさせ、今も衛星めいて英雄神の傍らに浮遊している。
脅威の程は見ての通り。
手数と破壊力の圧倒的な増強、最早これまでのような拮抗は続かないだろう。
望むところだと魔剣を握る手に力を込める。
「決めに行くぜ。悪いな、無理させる」
『要請受諾。市民や貴方を喪う以上の損失はありませんので』
「代わりと言っちゃなんだが、絶対に勝つ。任せろ」
先陣を切ったのは残存していた戦闘ロボ。
彼等もれっきとした対デウスエクス戦力とはいえ|真価を発揮した宝物《ユーベルコード》を相手取るには分が悪く、ペルセウスに触れる事さえ敵わず蹴散らされていく。
「……無謀、そして失策だな。囮としても些か役者不足だ」
「どうだかな。甘く見てると怪我するぜ!」
クラッシャーの特攻が隙を作る為の陽動だという事は相手も見抜いている。
魎夜がそうだったように未だ見せていない|切り札《ユーベルコード》を警戒しているのはペルセウスも同じ事。
鏡の盾に杖と体術も組み合わせ攻防一体に立ち回る英雄神に隙を作らせる事は一見して不可能にも見えた。
だが。
「いいぜ、十分だ!」
「勝負に出た以上退く事は出来ないか。いいだろう、引導を渡してくれる」
迷わず踏み込む魎夜の判断を手詰まりと捉え、英雄神は確かな勝算を持って迎え撃つ。
「行くぜ、イグニッション!」
キーワードと共に現れるは魔剣ではなく小さく偽装された鉄傘。
予測できる不意打ちではないが備えてはいた。
クラッシャーの妨害もあり紙一重とはいえ、対処は出来る。
|その筈だった《・・・・・・》。
「師匠が言ってたぜ――」
「な、に……!?」
「――「迷う奴は、弱い」ッ!!」
それはペルセウス自身も自覚していない僅かな揺らぎ。
本来なら一瞬の隙にもならないようなその揺らぎが紙一重を覆す。
英雄神を貫いた鉄傘から衝撃波が突き抜けた。
「てめえの呪いは自分で喰らいな」
「ぐっ……この力は……!」
これ以上ないタイミングで叩き込まれた【退魔呪言突き】がその一撃を決定打にした。
鉄傘に込めた凝縮された恨みの念は英雄神でさえ抗し得ない強力な石化を強いる。
「上司が来るまで石になって待っててもらうぜ」
「……不覚、だな。見誤ったか……」
「簡単な話だ。どれだけ覚悟を決めてようが、英雄に悪行なんざ似合わねぇのさ」
如何な理由があれど非は|侵略者《デウスエクス》にある。
迷わない筈が無いのだ。
無数の駆け引きと覚悟の果て、勝敗を分けたのは押し殺されたその迷い。
つまるところ――正義は勝つというありふれた一幕。
大成功
🔵🔵🔵
日下部・香
エインヘリアル、それも“英雄神”か……姿無き殺人犯の正体にしては大物だな。
敵の太陽の杖、あれで攻撃されたらタダじゃ済まなそうだ。杖での攻撃は近接攻撃みたいだし、最大威力の【グラビティ・フェノメノン】で遠距離から攻撃しよう。
敵に近づかれないようダッシュで逃げながら攻撃を続けたいけど、遅かれ早かれ追いつかれそうだ。その時は最小威力でグラビティ・チェインを放って、相手に『後ろにいるぞ』とかって伝えて気を逸らしたい。まあ小細工だし、何度も通じる手じゃないが。
となれば、やられる前にやるしかない。
決戦配備・クラッシャーを要請。砲撃で敵を攻撃してほしい。
私も同時に攻撃して、できる限り敵にダメージを与えよう。
●譲れぬ未来を背負う者たち
「エインヘリアル、それも“英雄神”か……姿無き殺人犯の正体にしては大物だな」
「“|十二剣神《グラディウス・トゥエルヴ》”を完全体で地球に送り込めば侵略戦争も終わりに近づく。その為なら低劣な策に手を染めもしよう」
「猶の事捨て置けないな。その企て、此処で挫かせてもらう」
日下部・香(断裂の番犬・f40865)は牽制に穿の銘持つ螺旋弓を放ちながら距離を取る。
ペルセウスの手にする得物こそ【太陽の杖】、輝ける星の魔力を秘めし宝物の一つ。その力は瞬時にして優に百を超える超回転の渦へと標的を叩き込むのだという。
生半可な装甲を無に帰す内部破壊、それ以前に下手をすれば生身が捩じ切れる。螺旋の力を扱う香と言えど喰らえば一巻の終わりだろう。
「流石に一筋縄ではいかないか」
「巧く立ち回るものだ。ならば力尽くで捻じ伏せるとしよう」
矢継ぎ早の速射を無造作に叩き落とし、ペルセウスが攻勢に移る……その瞬間を見極める。
時間にして数秒にも満たない牽制の意味は確かにあった。
「封じ、伝い、繋ぐ。解き放つは我が命――心して臨むがいい」
「ッ、この力はまさか……君のグラビティ・チェインか!」
最大威力の【グラビティ・フェノメノン】にペルセウスが瞠目する。
彼等デウスエクスが枯渇の危機に瀕している生存エネルギーであり侵攻の目的であるグラビティ・チェイン。
その価値を知るからこそ、命の源そのものを用いた攻撃は英雄神をして動揺せしめた。
叩きつける衝撃は宝物に守護されたペルセウスの身体をも揺るがす。
「切り返す暇は与えない。このまま押し切る……!」
「ぐ、おおおおお……ッ!」
並のデウスエクスであれば消し飛び得る一撃をまともに受け、追撃をその身に浴びながらも立ち続けるのは英雄神として最高戦力に数えられる所以か。
連撃を放ちきった直後のインターバル、深手を負いながらもペルセウスは一歩踏み込む。
「まだ動くか……!」
「当然だ。俺は……同胞の、未来を……!!」
再び放つ螺旋弓の速射、先のように全弾捌き切る程の余力はペルセウスに残されていない。
代わりに鬼気迫る闘志を燃やし地面を踏み砕く程の勢いで戦場を駆ける。
杖の直撃を受けた香の姿は残像、すり抜け打ち据えられたビルが根本から圧し折れ砕け散った。
恐らく次は無い。
香の俊足を以てしても追いつかれるのは時間の問題だ。
「……そうだな。私|たち《・・》も、この地球を守らねばならない――勝利は譲らん」
「――――ッ」
瞬間、ペルセウスの動きを止めさせたのは条件反射。
声に依らずして意思を伝えるという【グラビティ・フェノメノン】が備えたもう一つの力……《後ろにいるぞ》という思念の不意打ちは精神力で身体の限界を超えている今の彼に覿面だった。
「今だ……! クラッシャー、砲撃を頼む!」
『要請を受諾しました。最大火力を投入します……!』
一度限りの奇策が生み出した好機、通信に応じてありったけの|火砲支援《ミサイル》が飛来する。
後退は考えない。
再び全身全霊のグラビティ・チェインを解き放ち、ミサイルに合わせて叩き込む。
「これが……世界と共に戦う守護者の力、か……」
グラビティ・チェインに打ち据えられ、爆炎に呑まれ、遂に英雄神は膝をついて。
大成功
🔵🔵🔵
皇・絶華
機神搭乗継続
「ペルセウスだぁ?ミネルヴァ…いや…この場合はアテナか。あのクソ女の傀儡かよ!」
知ってるのかさっちゃん?
「俺の知ってるのとは別だろうが神話系列は一緒って奴です主様。そもそも彼奴の扱ってる目玉…多分メドゥーサの姉のもんですよ!」
成程…さっちゃんは後れを取るか?
「んなわけねーですよ!!」
【戦闘知識】
敵の戦い方と動きと眼球の動きも分析
【空中戦・念動力・弾幕・乱れ打ち】
UC発動
超絶速度で飛び回りながら念動光弾を乱射して動きを乱して
【二回攻撃・切断・爆破】
次元転移を繰り返し空間毎鎌剣で切り刻み蹂躙
お前にはパワーが足りない!だから…圧倒的なパワーを与えるぞ!
真・ぜっちゃんちょこを口に捻じ込み
●嗚呼、祖にして暴虐なる|混沌《カオス》の戯れ
『ペルセウスだぁ? ミネルヴァ……いや……この場合はアテナか。あのクソ女の傀儡かよ!』
「知ってるのかさっちゃん?」
『俺の知ってるのとは別だろうが神話系列は一緒って奴です主様。そもそも彼奴の扱ってる目玉……多分メドゥーサの姉のもんですよ!』
コクピットで首を傾げる皇・絶華(影月・f40792)に神機サートゥルヌスは簡単な概要を共有する。
多くのエピソードに於いて彼は神から授かった宝物を用い怪物たちを討って名を挙げた。
それに倣えば無数の宝物を所有する今のペルセウスはいわばエンディング後、逸話のどの状態より強いと言えるか。
「成程……さっちゃんは後れを取るか?」
『んなわけねーですよ!!』
焚き付けるような主の問いには即答で返す。
召喚した【老婆の眼球】を足場にペルセウスの姿は上空、空中戦に誘うような位置取りにも上等だと駆動音を響かせ神機は蒼穹へ飛翔した。
「中々の機動力だな。さて、何処まで逃げ回れるか」
『上から目線でモノ言ってんじゃねーぞ! お前がトロいんだよ!』
クロノスチャクラムの展開する次元障壁で呪いの凝視を食い止め、視界に収められないよう飛び回っては念動光弾を乱れ撃つ。
対するペルセウスは手にした杖で光弾を打ち払い防御、視界の外側を維持しようとする神機を追跡しジリジリと障壁を削っていく。
ある種の膠着状態は敵に抵抗の余地を与えない為のもの。
一手許す事が盤面を覆し得ると理解しているが故に、攻勢に出れば確実に詰ませるべく分析を重ねる。
(……ってのがこっちの狙いなんだが。あっちも嫌に悠長なのが気になるな)
「単純に攻めあぐねてるだけならいいんだが……」
『どうしました主様?』
「解析完了だ。決めに行くぞ」
『承知致しました主様!』
ともあれ今ペルセウスにこれ以上の札を晒す意図は無いらしい。
そしてストークこそ迅速に殲滅し力を大きく削いだとはいえ、メデューサの顕現は未だに控えている事を考えればこの戦いに長く時間は掛けられない。
【亜空間戦術級制圧機構『巨神の王』】は再びその真価を発揮し、15000km/hに迫る超高速の果てへ至る。
敵もその瞬間をこそ狙っていたのは案の定と言うべきか。
「真価を見せる時だ、グライアイ――」
「ッ、跳ぶぞさっちゃん!」
眼球の死角に回り込んだ神機を|ペルセウスの眼が捉えた《・・・・・・・・・・・》。
致命傷を避ける的確な防御行動を取れたのは絶華の研ぎ澄まされた直感、そして事前の警戒ゆえだろう。
咄嗟に超遠距離の次元転移で離脱、その一瞬で次元障壁に掛かった負荷は先程と比べものにならない。
「厄介だな。ペルセウスのユーベルコードはこっちがメインか」
『視る事をトリガーにした邪視だから視覚共有に伴って付与できるって? そんなんアリかよ!』
凝視を受けない距離からでも攻撃は出来るが英雄神相手の有効打になる見込みは薄い。
さりとて接近すれば老婆の眼球にペルセウス自身の力も上乗せした凝視の攻撃を受ける事になる。
飛行速度自体に圧倒的な差があろうと、眼球本来の視界に加え次元転移さえ知覚するペルセウスの反応速度が合わされば死角を取るのは現実的でない。
「よし……さっちゃん、次元障壁を全開に。野放しにして健在のまま召喚進められる方が最悪だ、転移で跳ぶぞ」
手札は有限、策を練る時間も無い。
だというのに何を思いついたか悪童めいた笑みを口の端に刻み、絶華は序盤のフレーズを再び口にする。
「それともさっちゃんは後れを取るか?」
『んなわけねーですよっ!!』
以心伝心、躊躇い無く転移した絶華たちはペルセウスの至近に出現。
「お前にはパワーが足りない! だから……圧倒的なパワーを与えるぞ!」
「は?」
「バレンタインに先駆けて真・ぜっちゃんチョコをシュゥゥゥーッ!!」
障壁が砕け散るまで数秒の猶予、手にした狂気の塊を顔面目掛けて捻じ込むように投げつける。
|配合された超絶濃度カカオと漢方や十二剣神が織り成す《トンチキ特有の》絶大な力は呪いの凝視などものともしない。
すわ隠し玉かと抜け目なく太陽の杖で迎え撃てば合わさった物理的破壊力によりチョコは砕け欠片が飛び散る。
チョコである。
それは武器ではなく、攻撃ではなかった。本当か?
だがペルセウスにとって不幸な事に――少なくとも今回は――それは宝物の護り悉くを素通りしたのである。
戦闘演算の粋を凝らした奇策。
付着した部分から怪しげな煙が噴き上がる程のチョコ、そのほんの一欠片でも口の中に入ってしまえば……
「うぐぅ……ッ!!?」
『R.I.P.……じゃねぇや、目ぇ閉じたな?』
チョコの一番の被害者として思わず同情を禁じ得なかった神機だがそこはそれ。
老婆の眼球は爆発四散、立て直す事も儘ならず墜落するペルセウスを見逃す理由など何処にも無い。
『小賢しい真似してくれた礼だ、たっぷり蹂躙してやるぜ!』
鎌剣と円環より繰り出す空間をも断つ斬撃は狙い過つ事無く獲物を斬り刻んで。
大成功
🔵🔵🔵
レラ・フロート
↑
“英雄神”強敵だよ…それでも、負けない!
ポジション効果はディフェンダーを要請
狙うは近接戦
受け切り、そして勝つ!
障壁を展開してもらい、敵の杖を防いでからこちらの剣を――
ぐえぇ…っ☆
敵の攻撃は強烈で障壁が砕かれ、
腹筋を撃ち抜かれると呻いちゃうかも
でも気を張りながら勇気を胸に切り込みを続け、
敵必殺の公転の力を籠めた一撃を
武器受けで凌ぎつつダメージを重ねていく
けれど、ついに叩き込まれたら
ああぁぁぁっ!
浮き上がった体が錐揉みして――
ううん、倒れないっ!限界突破して着地、
満身創痍でも技後の英雄神に全身全霊の一打を
《フロート・コンビネーション》をお返しするよッ
私の背後には人々の営みがある、負けるもんかぁ!
●消えること無き勇気を灯して
「“英雄神”。強敵だよ……それでも、負けない!」
「ダモクレス……いや、レプリカントと呼ぶのだったか」
デウスエクスの頂点に立つ|十二剣神《グラディウス・トゥエルヴ》に立ち向かおうと言うのだ。
英雄神を前にしてもレラ・フロート(守護者見習い・f40937)の闘志に影が差す事は無い。
「正義に背こうとも同胞を生かす事を選んだのが俺たちなら、良心を裏切らず地球の命を生かす事を選んだのが君たちだ。惜しくは思うが責めはしない」
侵略を良しとせず地球の側についたデウスエクス、その一人であるレラにもペルセウスは淡々と。
一歩たりとも歩みを止める事なく、接近戦の構えを取るレラへと無造作に距離を詰める。
「……そして、容赦も出来ない」
「ッ、ディフェンダーを要請します! 障壁展開を……!」
『要請受諾。硬度最大――』
そもそも決戦都市そのものがデウスエクスの侵略を迎え撃つ為の戦場だ。
英雄神という脅威を前に採算も度外視で瞬間展開された魔術障壁の護りは城塞にも引けを取らない。
それが……
ばきん、と呆気なく砕ける音。
「ぐえぇ……っ☆」
ペルセウスが杖を二度振るうだけで、その打撃は障壁を貫き剣を振るおうとしていたレラを捉えた。
威力の大部分が障壁に殺されたとは思えないほど重い衝撃が全身を揺さぶり、意思とは無関係に呻き声が零れる。
「……俺も時間に余裕は無い。君が退くなら追いはしない」
「まだまだ……! 私だって、守護者なんだ! 甘く見るな!」
英雄神の力は一撃で身を以て理解した。
だが、胸に宿る勇気を一層燃やして侵略者を睨み返す。
「ケルベロスからDIVIDEへ、追加の障壁を要請します!」
『要請を受諾しました。硬度最大を維持、幾度でも再展開を実行します――勝ちましょう、ケルベロス』
「許せ、つまらない事を言った。……打ち砕いて進むとしよう」
公転の力を込めた【太陽の杖】は一振りごとに障壁を粉砕してレラに迫る。
即座に貼り直される障壁が威力の大部分を減衰し、それでも猶防御する剣を伝って腕から身体の芯へ響くような痺れが重なっていく。
軋み罅割れるような痛みと引き換えに自慢の剣もペルセウスを斬りつけるが、流れる血とは裏腹に英雄神は小揺るぎもしない。
……その瞬間が訪れるのは時間の問題でしかなかった。
杖を受け流そうとした剣が空を切る。
「フェイント――っ」
「終わりだ」
声は妙にゆっくりと聞こえた。
呻き声も出ない程の衝撃に息が詰まり、遂にクリーンヒットを叩き込まれた事を悟ると同時に視界がひっくり返る。
回る。回る。スローモーションじみた錯覚は不意に解け、動体視力の限界を超えて視界が意味を為さなくなる。
瞬時にして優に百を超える回転が引き起こす遠心力の暴力に五臓六腑を蹂躙され、身体の内と外を激痛が劈く。
「――――――――――――」
恐らく叫んでいるのだと思う。自分の叫び声さえよく分からない。
無茶苦茶に振り回される思考の中に死の一言が過ぎる。自分が此処で斃れれば、どうなるか。
「――――――――ああぁぁぁっ!」
それは悲鳴ではなかった。
力の限り吠え、慣性で回り続ける脚を振り下ろす。
甚大なダメージを受けた五感では感じ取れずとも、その足は確かに地面を踏みしめる。
「なにっ……!」
「お姉ちゃん、力を貸して……!」
かつて姉から授かった剣が呼応するように輝きを帯びた。
がむしゃらに放った斬撃が尚早に戦闘を切り上げようとしていたペルセウスを斬り裂く。
「全身全霊……! お姉ちゃん直伝のラッシュでお返しするよッ」
続けて限界以上の怪力を振り絞った一打が英雄神を打ち倒し、そして。
「私の背後には人々の営みがある……! 負ける、もんかぁぁぁぁぁッ!!」
溢れ出すのは満身創痍の身体を突き動かす意思そのもの。
その輝きは何よりも鮮烈に、侵略者を焼き尽くした。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『十二剣神『原罪蛇メデューサ』』
|
POW : 蛇蛇獄魔獄狡兎殺
【全身から染み出す「超次元の蛇」】で近接攻撃し、与えたダメージに比例して対象の防御力と状態異常耐性も削減する。
SPD : 朧朧蛇蝎奇霊夜行
自身が対象にとって未知の存在である限り、通常の行動に追加して「【広域感染型の金縛り】」「【鎮火できず永遠に追尾する鬼火】」の心霊現象を与える。
WIZ : 歓歓禍禍大虞呪咒
【底知れぬ恐怖をもたらす笑い声】を放ちダメージを与える。命中すると【「おそれ」】を獲得し、自身が触れた対象の治癒or洗脳に使用できる。
イラスト:カス
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●Medusa,the Goddess of sin
「……認める他、無いな。俺とした事が……敗北を喫するか」
致命傷を受けたペルセウスは咳き込み、だが、と虚空を睨みつけた。
魔力、呪力、そうした概念に当て嵌められるのかも分からない不吉な力が場に満ちていく。
「万全には程遠いか。だとしても……恨むがいい守護者たち。俺が招き入れるのは災厄だ。来い、メデューサ―――」
最期の声は途中で遮られた。
瀕死のペルセウスを虫でも踏むように圧し潰し、“おそれ”の権化が顕現する。
「亞亞亞 愛し子よ よく育った
爻爻爻 はじめよう 収穫をはじめよう
禍禍禍 おそれるがいい 抗うがいい そして最後は喰らわれるがいい
禍禍禍 皆 愛し子達は皆私の飯なのだから
禍禍禍 禍禍禍 禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍!」
其はデウスエクスを統べし|十二剣神《グラディウス・トゥエルヴ》が一角、知恵の実を与えしもの。
原罪蛇メデューサ――討ち果たせ。
日下部・香
↑
愛し子とは言うが、要するに家畜ってトコか? さすがは十二剣神、趣味の悪さも一級品だな……!
決戦配備・キャスターを要請。もし私が洗脳されたら魔術で叩き起こしてくれ。敵に回るのだけは避けたいからな!
敵の笑い声は耐えがたい。だが、戦いが怖いのはいつものことだ。それを抑えて戦わなければ未来はない(【覚悟】)
【螺旋弓術・氷雨】で敵の口から喉にかけてを凍らせて、笑い声を封じたい。加えて、敵に触れられないよう【地形の利用】をしつつ距離を取ろう。
この氷がもつのは2分ちょっと。敵が自身を治癒すればもっと短いかもな。氷が融ける前に次の矢を放って、凍結状態を維持したい。続けていればダメージも蓄積するだろう。
●おそれを射抜け
「愛し子とは言うが、要するに家畜ってトコか?」
顕現した|十二剣神《グラディウス・トゥエルヴ》、原罪蛇メデューサの物言いに日下部・香(断裂の番犬・f40865)は眉を顰めた。
喰らう為に成長を促し、機が熟せば己の都合で刈り取ろうとする。
嘗て与えられた恩恵が事実だとしても、喰らわれる側からすれば堪ったものではない。
「さすがは十二剣神、趣味の悪さも一級品だな……!」
「爻爻爻 理解したか 己の存在意義を」
原罪蛇が嘲う。
不規則に蠢く蛇髪の影から、その視線が自分に向いたのを感じ取る。
「歓歓歓 嗚呼 嗚呼 よく育った」
ぞわり、と怖気が走る。
そこに込められた意思は――信じ難い事に――紛れも無い“愛”だ。
今日この時まで鍛え上げ、磨き抜かれた香の力を評価しての純粋な歓喜。
骨の髄まで味わい尽くす未来を疑いもしない、滂沱と涎を垂らすような期待。
決して逃がしはしないという、十二剣神という格に根差した執着。
……これ程にまで悍ましい愛が存在し得るのかと。
空気までもが粘つき身体を絡め取るような錯覚にさえ襲われる。
「咒咒咒 甘美 愛し子の甘露 一滴たりとも無駄にするものか ――――|おそれたな《・・・・・》」
「ッ……」
「禍禍禍 禍禍禍 禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍!」
【歓歓禍禍大虞呪咒】……メデューサにとっては戦闘行動でさえない愉悦の爆発、ただの哄笑。
ケタ違いに圧を増したギラつく愛欲の衝動は並の生命であれば狂い死ぬ程の呪詛となり戦場を埋め尽くす。
香がまだ生命活動を続けていられた事そのものが飛び抜けた力量の証左には十分だろう。
だが、蛇の哄笑をまともに浴びた影響は単なる|硬直《スタン》の域に収まらない程に重篤だった。
「禍禍禍 捧げよ その肉と おそれを 全て 余すこと無く 私に味わわせておくれ」
ずるりとにじり寄ったメデューサの手が無遠慮に香の顎を持ち上げる。
接触した箇所から無防備な心身に流れ込んでくるのは抵抗を奪い去る絶望的な恐怖の奔流。
頭から一飲みにせんと開く蛇の大口が視界いっぱいに広がって――
『――|今です《・・・》、ケルベロス!!』
「ああ、任せろ……!」
身体を電流の駆け抜けるような感覚。
予め備えていたキャスターの術式が獲物の全てを掌握せんとするメデューサの洗脳を僅かに退ける。
「覆い、奪い、縛る。凍らせ封ずる氷結の矢」
詠唱はある種の合図となって強張る身体を突き動かす。
齎された恐怖は耐え難いものだった。だが、戦いが怖いなどいつもの事だ。
それを抑えてでも戦場に立つのは何故か?
決まっている。
未来を掴む為だと、共に戦う|仲間《DIVIDE》の声に覚悟を奮い立たせる。
「そろそろ黙ってもらおうか……!」
「――――――――――!」
的なら眼前に迫っている。
恐怖を振り払うように叩き込んだ【螺旋弓術・氷雨】は蛇の喉を凍てつかせ、声の途絶えた隙に後退。
音の無い叫びを上げて猶も迫るメデューサから立ち並ぶビルの間を縫うように距離を取り、二度とは触れさせるものかと射放つ氷の矢は治癒の上からその身を凍らせ砕いていく。
「……これで終わりだ」
狙い澄ました一矢は穿の銘に違わず、最期まで貪欲に手を伸ばす原罪蛇の眉間を貫いて。
大成功
🔵🔵🔵
暗都・魎夜
【心情】
多分、てめぇは何の気無しに言ってるんだと思う
ただ、その『収穫を』って言い方は、俺の宿敵、原初の吸血鬼『伯爵』と同じ言い回しでね
極めて私的な話だが、何があっても負けてやるわけには行かねえんだ
【決戦配備】
スナイパー:遠距離攻撃を当てて隙を作って欲しい
【戦闘】
「(誰何の声に)俺は通りすがりの能力者さ、覚えておきな!」
「心眼」「見切り」「武器受け」で防御しつつ、攻撃の隙を窺う
決戦配備との連携で隙が出来たら、「リミッター解除」「限界突破」して「捨て身の一撃」のUCを放つ
タイミングをミスれば不味いが、ディバイドを信じてる
「師匠が言ってたぜ、"悪事ってのは失敗するようにできてる"ってな!」
●紅蓮の信念は神をも砕きて
「多分、てめぇは何の気無しに言ってるんだと思う」
暗都・魎夜(全てを壊し全てを繋ぐ・f35256)は魔剣を握る手に力を込める。
強く、握りしめる。
「ただ……その『収穫を』って言い方は。俺の宿敵、原初の吸血鬼『伯爵』と同じ言い回しでね」
琴線に触れたと言ってもいい。
宿敵の同類。この相手は決して看過できないのだと、闘志は限界を超えて燃え上がる。
ただそこに存在するだけで伝染病のように恐怖を撒き散らす原罪蛇を正面から見据えて。
「極めて私的な話だが、何があっても負けてやるわけには行かねえんだ」
「疑疑疑 においが違う 異界の|客人《まろうど》か」
僅かに首を傾げるような素振りを見せたメデューサに然したる感慨は読み取れない。
同じ餌には違いないという傲慢な無関心であり、獲物の|名札《ラベル》くらいは見ておきたいという一方的な好奇心。
戯れのようなものだとしても、問われた以上は答えてやろうと笑ってみせる。
「俺は通りすがりの能力者さ、覚えておきな!」
「禍禍禍 構うものか 人の子 愛し子 愛し 喰らい 味わってやろう」
「っ、と……!」
踏み込み斬撃を放つ魎夜に対し、迎え撃つメデューサは悠然と。
【蛇蛇獄魔獄狡兎殺】――頭部に蠢くのみならず、その全身から染み出す超次元の蛇は滅びの業火さえ受け止め、絡め取らんとする。
振るう腕は怪物の剛力を以て大地を砕き、不規則に染み出し伸び上がる超次元の蛇は変幻自在に軌道を読ませない。
心眼を凝らして一手先を見切り、一撃一撃が致命的な攻撃を受け止め凌ぐ。
メデューサの全身を包み物理法則を狂わせるような超次元の蛇は長距離からスナイパーの放つ援護射撃を気にも留めず広がり続ける。
「咒咒咒 抗うがいい そして無為を悟り 絶望し おそれるがいい
爻爻爻 全て その全てを私が味わい尽くしてくれる」
「まるで際限無しだな……!」
攻防一体の超次元の蛇はじわじわと広がり続ける。
速度こそ緩やかだが一向に勢いを緩めない――決戦都市全てを覆い尽くす腹積もりかと疑う程に。
完全な降臨こそ阻めた十二剣神だが、時間が過ぎる程にその力は増していく。
「……なら、この手に限るな。こいつの威力は一味違うぜ!」
「無無無 直ぐには殺さぬ その血を 肉を 魂を 絞り尽くし 喰らい尽くそう
禍禍禍 禍禍禍 禍禍禍禍――」
滅びの業火に凝縮された炎の妖気を纏い、大上段に構え力を溜める魎夜の晒した隙は無防備そのもの。
十二剣神を前に許される隙ではなく、捕食を始めようと超次元の蛇が一斉に首を伸ばし――
砲撃に等しい大火力の援護射撃がメデューサを押し返した。
ダメージそのものは碌に通ってもいない。
構わず魎夜に迫ろうとした捕食者の足元が砕かれ、更に幾許かの時間を稼ぐ。
それだけの猶予があれば十分。
刹那、【紅蓮撃】の一閃が燃え盛る軌跡を焼き付けた。
必殺と呼ぶに相応しい破壊力を備えた切り札は超次元の蛇の防護をも打ち砕いてメデューサ本体を叩き斬る!
「――――禍、禍…………」
「師匠が言ってたぜ、"悪事ってのは失敗するようにできてる"ってな!」
魔剣を振り抜いた魎夜にそれ以上迫る事も敵わず、原罪蛇の総身は燃え尽きて。
大成功
🔵🔵🔵
レラ・フロート
↑
お姉ちゃん、ありがとう……
でもまだ終わってない!倒れこみたい体を起こし
ケルベロスからDIVIDEへ
「クラッシャー」を要請!
全てを出し切り勝利を掴むっ
原罪蛇さま
私は元連合軍所属のダモクレス、レラです
人々を守り抜く今の使命を果たします!
エネルギー充填からの斬撃波で機先を制し、
相手の全身から染み出す蛇に細心の注意を払いつつも
以後は懐に飛び込み剣を振るうよ
本来なら到底叶わない相手
でも、「おそれ」を集めていない今なら!
「超次元の蛇」を受ければ
意思とは無関係に悲鳴が上がっちゃうと思う
でも諦めない!
人々の笑顔が先にあるんだ!乗り越えるっ
限界突破し、想い全開の《閃光烈波》を撃ち込むよ
私の全て、もってけぇー!
●闇はひかりの前に去り
「お姉ちゃん、ありがとう……」
英雄神ペルセウスを打ち倒したレラ・フロート(守護者見習い・f40937)の手の中で、かつて姉から授かった自慢の剣は未だ仄かな輝きを灯し続けている。
気を抜くには早いと告げるような光に頷き顔を上げた先には|十二剣神《グラディウス・トゥエルヴ》、原罪蛇メデューサの姿。
「でもまだ終わってない……! ケルベロスからDIVIDEへ、「クラッシャー」を要請します!」
『要請を受諾しました。ミッション最終段階――目標、十二剣神メデューサの撃破』
「全てを出し切り、勝利を掴むっ!」
今にも倒れ込みそうな身体に力を込め、駆け付けた戦闘ロボたちの先頭に立つ。
「原罪蛇さま。私は元連合軍所属のダモクレス、レラです」
胸に宿した意思は譲れない。袂を分かった敵同士と言えど、それでも彼女にとって眼前の相手が|デウスエクス《自分たち》の頂点に立つ一柱である事は変わらないからこそ真っ直ぐに。
「人々を守り抜く今の使命を果たします!」
「咒咒咒 いいだろう 私に従わぬお前などしもべに非ず
禍禍禍 そちらに立つと言うなら愛し子と同じ 同じように愛してやろう 喰らってやろう
禍禍禍 禍禍禍 禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍!」
にたりと口の端を歪め原罪蛇は哄笑を上げる。
彼女に愛し子と見做されるのは凡そ喜べる事ではない。
よく育った餌に対する歓喜、期待、執着。
じっとりと纏わりつくような“愛”は生半可な呪詛より余程悍ましく心身を竦ませる。
「エネルギー充填っ……!」
後手には回れない。
怯むなと自分に言い聞かせる。共に戦う|特務機関《DIVIDE》の、守るべき人々の存在を思い起こす。
渾身の斬撃波を放ち、レラは果敢に先陣を切った。
「本来なら到底叶わない相手……でも、「おそれ」を集めていない今なら!」
「爻爻爻 味わうとしよう 美味なる絶望 おそれの甘露
虞虞虞 肉を抉ろうか |腸《はらわた》を啜ろうか 魂を潰そうか
禍禍禍 禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍!」
「ゃ、あ……っ……、ぁああああああ……っ!」
それは【蛇蛇獄魔獄狡兎殺】の只中に自ら飛び込むという事。
原罪蛇の全身から滲みだす超次元の蛇に物理法則は通じない。
その身は盾となって斬撃を阻み、その牙は|ダモクレス《レプリカント》の堅牢さえ突き破る。
喰われていく。
傷を負うごとに抵抗力も削ぎ落とされ、ただ存在するだけでメデューサの搔き立てる恐怖が心まで蝕んでいく。
完全な形での降臨を阻止した事も、力の大きく衰えた今なら勝機はある事も、レラの見立てに誤りは無い。
こうして受ける苦痛が長引く事になるならそれも失策だっただろうか。
必死に抗戦を続けるクラッシャーの戦闘音が遠ざかる。
筋を千切られ垂れ下がった手から剣が滑り落ちる。
少女と然して変わらない姿は蠢く蛇の群れに沈み、見えなくなって。
「でも……諦めない……!」
それでも、と声を振り絞る。
五体が言う事を聞かなくなっても屈するものかと、抗う事をやめはしない。
「人々の、笑顔が……先にあるんだ……! 乗り越えるっ」
「歓歓歓 まだ囀るか まだ絞れるか まだ味わわせてくれるのか!」
ばちり、と火花が散る。
限界を超え今にも壊れそうな身体と心から|閃光《想い》が溢れ出す。
めいっぱいの意思を込めた【閃光烈波】はレラに残された全て。
恐怖と苦痛と絶望に呑まれ、罅割れ、それでも決して消える事のない魂の輝き。
「私の……全て……ッ! もってけぇぇーーーーーーーッ!!」
「禍禍禍 禍禍禍 禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍――――――」
その結末は奇跡か、それとも必然か。
メデューサさえ喰らい尽くせぬ閃光は、遂にその脅威を焼き払う……!
大成功
🔵🔵🔵
アンゼリカ・レンブラント
↓
遅参となったが、猟兵の1人として
十二剣神の侵略は阻止しよう
堂々と正面から歩んでいくぞ
「超次元の蛇」が身を十分に包んだタイミングで
覇気を全開に――《クラッシュ成功!》。ノーダメージだ
お前さんに「おそれ」やらが集められれば分からなかったがな
侵略を許さぬ猟兵はいるものさ
この世界にも、どの世界にもな!
再び蛇を集められる前に押し込ませてもらおう
怪力を生かし相手の体を持ち上げ地面に叩き落したら
光の属性攻撃を全開に、創世の斧剣を振るう
昨年10月末に現れたハロウィンもそうだが、
デウスエクスを滅ぼす手段は現在ないんだろう
幸運だ、次は手を取り合えるかもな
そんな道を得る為にも、今はな
気合い十分の一撃で勝利を掴むぞ
●燦然たる黄金の王道
|十二剣神《グラディウス・トゥエルヴ》の降臨した決戦都市に呵々大笑が響き渡る。
爆発するような愉悦、圧倒的な食欲と執着。それに付随する身の毛もよだつような禍々しさ。
不完全な実体化の窮屈さなど些事とばかり、原罪蛇はその意思一つさえ呪詛となり世界を侵していく。
「……ふむ。遅参となったが……」
――立ち込める暗雲を散らすように黄金の覇気が吹き抜けた。
「猟兵の1人として、十二剣神の侵略は阻止しよう」
深淵の如き脅威にも天光の瞳は泰然と、アンゼリカ・レンブラント(黄金戦姫・f38980)は正面から歩を進める。
「歓歓歓 眩いな 愛し子よ 私をおそれぬか
禍禍禍 向かってくるか いいだろう 嗚呼 実に 実に旨そうだ
禍禍禍 禍禍禍 禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍!」
「成程な。これが「超次元の蛇」とやらか」
メデューサの全身から染み出す超次元の蛇――【蛇蛇獄魔獄狡兎殺】に抗する手段を持たねば原罪蛇との白兵戦闘はまず成立しない。
物理法則の通じない死角無き無尽の牙を前に、しかし猶も堂々たる歩みは止まらない。
ずぶりと蛇の群れに身体が沈み込む。
「咒咒咒 我が牙に抗うか
無無無 されど無意味 如何に硬い殻を持とうとも愛してやろう 喰らってやろう」
「確かに、いつまでも防御を許すような能力ではないようだ」
獲物を求め絡みつき噛みつく蛇は即ち決して逃がさないという愛と食欲、メデューサの|意思《呪い》そのもの。
いわば絶対防御ならぬ絶対攻撃にまで昇華されたそれを――
「――頃合いだな。それは、砕く!」
パァンッ!! と音を立て闇が弾けた。
全ての攻撃を受け止める無敵の肉体が想像を現実と為す【クラッシュ成功!】、解き放たれた覇気が群がる蛇を吹き飛ばす。
流石に意表を突かれたか、メデューサの動きが僅かに止まる。
「お前さんに「おそれ」やらが集められれば分からなかったがな。侵略を許さぬ猟兵はいるものさ」
蛇髪に隠れた素顔が一瞬ちらりと見えたような見えなかったような。
それはそうとおもむろに腕を伸ばし、再び超次元の蛇を滲ませつつあるメデューサをがしりと掴む。
「この世界にも、どの世界にもな!」
「歓歓歓 |好《よ》い 実に好い その金剛の如き肉と心 嗚呼 全て 全て味わわせ――」
「ふんっ!」
原罪蛇の巨躯を力任せに持ち上げ、そして叩き落とす。
絶える事無く溢れ出す呪詛の如き声が衝撃に途切れ、体勢を立て直すに先んじて手にした創世の斧剣が輝く。
「昨年10月末に現れたハロウィンもそうだが、デウスエクスを滅ぼす手段は現在ないんだろう」
永遠不滅の|神々が如き存在《デウスエクス》、その脅威たる性質の一つを口ずさむ表情は晴れやかに。
「幸運だ、次は手を取り合えるかもな」
常人であれば恐怖と絶望を抱かずにはいられない不吉の捕食者を前にしているとは思えない程の綺麗事。
その言葉に負けないほどに黄金の斧剣を輝かせるは究極の光。
「そんな道を得る為にも、今はな――」
「禍禍禍 次か それは好い ならば次こそは愛し子よ その甘露 余すことなく絞り尽くしてくれよう
禍禍禍 禍禍禍 禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍!」
「――勝利を掴もうか! 土産代わりだ、鱈腹喰らっていけ!!」
振り下ろす刃より叩き込むは斧剣に宿る天地開闢の力。
降臨した時と同じ呵々大笑を斬り裂き、降りかからんとしていた十二剣神の脅威は此処に打ち払われる。
大成功
🔵🔵🔵
皇・絶華
決戦配備
キャスター
メドゥーサの動きを止める結界展開
おお…そうか…お前は私達を愛し子と呼ぶのか…(きらきらおめめ
私は理解したぞメドゥーサよ!
お前は…我がチョコの素材となって数多の世界に圧倒的なパワーを与える使者となるのだな!
「ぴぇぇぇ!!」(がくぶる機神
よろこぶがいい 受け入れるがいい そして最後は喰らわれるがいい
皆 十二剣神は皆私のチョコなのだから
【戦闘知識】
敵の攻撃や動きの癖を把握
お前は未知ではない!我がチョコとなって世界にパワーを届けるハッピーチョコスネークだ!(狂気的理解
【念動力・弾幕・空中機動】
UC発動
超絶速度で飛び回りながら転移を繰り返しながら念動光弾を叩き込みその動きを止める
【二回攻撃・切断・乱れ打ち】
巧克力 はじめよう 収穫をはじめよう
鎌剣で次元切断も交えて切り刻み素材を採集していくぞ!
喜ぶがいい
お前もまた素晴らしきパワーを秘めている!
そして真・ぜっちゃんチョコを口に捻じ込み
グラビティチェインの代わりに我がチョコでパワーを得ればデウスエクスも戦争をやめるに違いない!!!
●狂気錯綜 ~ 地獄のWin & Win ~
実体化を果たし欲望の儘に侵略を開始せんとする原罪蛇メデューサ。
迸る歓喜と食欲そのものが呪詛となり世界を蝕む――|十二剣神《グラディウス・トゥエルヴ》を取り囲むように魔法陣が展開された。
おそれの蒐集を阻まれ不完全な形での降臨となったメデューサには行動阻害を誘発するキャスターの支援も相応の効果を発揮するらしく、蛇の動きが僅かに鈍る。
だが、メデューサが顔を上げたのは新たに課せられた枷が理由ではない。
蛇髪の影から向けられる視線の先には上空より見下ろす神機と皇・絶華(影月・f40792)。
「虞虞虞 抗うがいい愛し子よ その力 その心 その全てが私の飯なのだから」
「おお……そうか……お前は私達を愛し子と呼ぶのか……」
『……あのー、主様?』
執着、歓喜、食欲――人類すべてに向けられた歪な“愛”。
本能的な嫌悪と恐怖を呼び起こすに十分なそれを受けながら、しかし絶華の瞳は感動に煌めいている。
「私は理解したぞメドゥーサよ!」
ででんっ!
「お前は……我がチョコの素材となって数多の世界に圧倒的なパワーを与える使者となるのだな!」
『ぴぇぇぇ!!』
一番の被害者であるが故に神機が真っ先に震えあがった。
現時点でさえ絶望的な味とパワーを持つ主のチョコが更に|余計な素材《ゲテモノ》を取り込めばどうなる事か。
想定される被害とそれを超えてくるであろう現実をひしひしと感じながら止められない従者の悲哀である。
「よろこぶがいい 受け入れるがいい そして最後は喰らわれるがいい
皆 十二剣神は皆私のチョコなのだから」
「縫縫縫 愛し子が囀るか この私を喰らわんと欲するか
摩摩摩 いいだろう その酔狂も喰らってくれよう」
ともあれ不完全であれど相手は十二剣神、|食わ《やら》ねば|食わ《やら》れる弱肉強食。
【亜空間戦術級制圧機構『巨神の王』】は|三度《みたび》その真価を発揮し蒼穹に舞う。
「お前は未知ではない! 我がチョコとなって世界にパワーを届けるハッピーチョコスネークだ!」
「禍禍禍 味わわせておくれ 私を欲するその眼も舌も 健気に飛び回るその翼も
禍禍禍 禍禍禍 禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍!」
『俺まで巻き込んでんじゃねぇぞお前フザけんなよ!?』
視る事をトリガーとした呪いへの対処は先の老婆の眼球で飽きる程に学習済みだ。
禍々しい大笑の引き起こす呪詛も同様に次元障壁でカット、人間離れした怪物の膂力で振るわれる剛腕は挙動を油断なく解析し此方も理外の速度に物を言わせ回避。
加えて襲い掛かる【朧朧蛇蝎奇霊夜行】は|さっちゃん《神機》が物凄く頑張って対応する。
連続転移で攪乱し叩き込む念動光弾の弾幕は返礼とばかり原罪蛇に突き刺さり、キャスターの結界と併せその体内から動きを縛り。
「巧克力 はじめよう 収穫をはじめよう
|議決開始《ディシジョンスタート》――是は|素材を刈る戦い《採集決戦》である。承認っ!!」
『はっはっは、終わりの始まりだぜぇ……』
金縛りも鬼火も喰らった事に気付かなければ喰らっていないも同じ事。
常軌を逸したテンションの向こう側、未知の脅威はいつしか知らぬ間に無と消えて。
二人も最早正気ではないが亜空切断の切れ味は寧ろ冴え渡るようで、メデューサの蛇髪に血肉……素材は順調に集まっていく。
そしておもむろに取り出すは先刻も|英雄神《ペルセウス》に悲劇をもたらした|真の一文字を冠する《更にやばい方の》チョコ。
「喜ぶがいい、お前もまた素晴らしきパワーを秘めている!」
……ところで。
メデューサの行動原理は人類への|愛《食欲》である。
まさか、と思うか、やはり、と思うかは人それぞれだろうが――そう。
原罪蛇は突き出されたそれに嬉々として食らいついたのである……!
「まぁまぁまぁ! なんて素晴らしい|刺激《パワー》かしら 喜びなさいな愛しい子 やっぱりあなた達は最高のご馳走よ――」
『おい壊れたぞ』
やたら流暢な言葉を最期に、まるで液化するように蛇の全身が蕩ける。
その身はものの数秒で不気味に泡立つ粘ついた毒沼と化し、悪霊の呻くような音を上げながら空気に溶けて。
……消え去った。
理解不能の死に様だがしかし、どうやらメデューサの撃破には成功したらしい。
「グラビティチェインの代わりに我がチョコでパワーを得ればデウスエクスも戦争をやめるに違いない!!!」
そして誰も居なくなった戦場に響くは忍者の勝鬨。
その先に待ち受けるのは地獄か、それとも地獄か――
―― 十二剣神『原罪蛇メデューサ』、撃破 ――
大成功
🔵🔵🔵