「皆様、今ケルベロスディバイドで起きている『姿の見えない連続殺人事件』についてご存知でしょうか」
猟兵を緊急で呼びつけたルウ・アイゼルネ(滑り込む仲介役・f11945)は重々しい口調で話を切り出した。
「事件の概要としては簡単で他殺体が1人分、毎日どこかに現れるという物です。死亡推定時刻は前日の夜か当日の夜。……ただこれは単純に死体が発見されたタイミングが殺された直後か翌日の朝になってからか、の違いでしかないです」
殺され方も、出勤してこないことを不審に思った上司が住んでいるマンションを訪問したら自室で爪のような刃物で心臓を一突きされていたパターンや、飲み会中に突然宙に吊り上げられて集団監視の元で絞殺されたパターンなど一定しない。
ただ調べが進んでいく中で殺された被害者の共通点が1つだけ見つかった。
「全員が全員、何かしらの犯罪に手を染めていた者達……いわゆる『咎人』と呼ばれる人間でした」
殺人だろうと強盗だろうと誹謗中傷だろうと罪の大小は問わず、一部の界隈では「天誅」だの「ダークヒーロー」だのと変な盛り上がりを見せているらしい。
「まあ、警察とDIVIDEの調査によると盛り上がっていた人も何人か殺されているそうです。たとえ自分の信者だったとしても容赦はせず……ということですね」
新聞や週刊誌、テレビのワイドショーにSNSを大いに騒がせているこの事件に人々は「本当に自分は罪を犯してないのか」疑念を持ち始める。
そして真っ当な人生を送ってきたと信じている人々は事件そのものだけでなく「毎日殺すことが出来るほど身の回りに犯罪者がいること」にも、脛に傷持つ者達は「自分の番がいつ来てしまうか」「恐怖」を感じているという。
「話はこの連続殺人事件に留まりません。この事件に乗じて、十二剣神『原罪蛇メデューサ』が自分の配下をどんどん地球に送り込んでいることが明らかになりました」
メデューサは|小剣《グラディウス》を使わずとも人間の「おそれ」を触媒として配下を地球上に召喚することが出来る。
おそれ、恐れ、怖れ、畏れ———つまり、恐怖。
何者かの手によって恐怖が蔓延している現状は……メデューサにとっては願ってもない好機。
「送り込まれたメデューサ配下のデウスエクスがまた別の事件を引き起こすことで極めて大量の『おそれ』を追加で得るようなことがあれば……」
おそれが十分な量溜まってしまえば、配下を差し向けるだけでなくメデューサ本人が地上に降り立つこともあり得なくはない話。
狡猾に潜伏している犯人の正体を暴き、事件に終止符を打たなければならないのは勿論、可能な限り迅速にこの事件を収束させなければ「極めて強力な状態のメデューサの降臨」を許すことになってしまうだろう。
「まずはメデューサ配下のデウスエクス『断片竜ページドラゴン』を狩ってもらいます。このページドラゴンは世の中に出回っている『姿の見えない連続殺人事件』にまつわる新聞や雑誌を媒介として生まれ、運悪く周辺にいてしまった人々に襲いかかっています。現在DIVIDEの|決戦配備《ポジション》が対応してくださっておりますので、すぐに援護に向かってください」
平岡祐樹
今年の事件、今年のうちに。お疲れ様です。平岡祐樹です。
当シナリオにはシナリオギミックが2つ存在します。
①「事態の早期解決」
第1章完結までにかかった「実際の日数」に応じて第3章で登場する「原罪蛇メデューサ」の強さが変化します。
完結までに時間がかかるほど、敵が「おそれ」を集めて強化されてしまいますのでご注意ください。
なお平岡が故意に採用を引き延ばして強化させる……ということはしませんのでご安心ください。
②「『|決戦配備《ポジション》』の発動要請」
プレイング中に「決戦配備」「ポジション」「クラッシャー」等と書かれていた場合、猟兵とは別に指名された部隊の描写が発生し、敵との戦いが有利になることがあります。ご一考くださいませ。
第1章 集団戦
『断片竜ページドラゴン』
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POW : 飛び舞う断片の竜
対象の攻撃を軽減する【全身がバラバラに舞い散る魔導書の頁】に変身しつつ、【自身を構築する魔導書の頁に記述された魔術】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
SPD : 叡智を略奪する竜牙兵
自身が【知識欲】を感じると、レベル×1体の【知識や情報を略奪する竜牙兵】が召喚される。知識や情報を略奪する竜牙兵は知識欲を与えた対象を追跡し、攻撃する。
WIZ : カオスドラゴンブレス
詠唱時間に応じて無限に威力が上昇する【自身を構成する全頁の魔術を合成した禁術】属性の【ドラゴンブレス】を、レベル×5mの直線上に放つ。
イラスト:ひゃく
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
皐那・薫
◉アドリブ・絡み歓迎
「虎の威を借る…とは若干違いますけどぉ、恐怖を奪うって割にはメデューサちゃんも案外セコくないですかぁ?」
「とは言っても野放しには出来ませんのでぇ、きっちりバッチリ狩らせていただきますよぉ。」
魔導書の頁、竜牙兵の複数相手には『怪奇術・無法乱れ泡』の破壊属性の黒泡で対処しつつ黒色という見難さを利用して【闇に紛れ】て【斬撃波】を混じえた【死角攻撃】を与える。攻撃して間合いを取るを繰り返す戦法。
ドラゴンブレスは一番に警戒。【残像】を駆使して回避、最悪ブレスを受ける【覚悟】はしておこう。
「まさか卑怯なんて言いませんよねぇ?」
「虎の威を借る……とは若干違いますけどぉ、恐怖を奪うって割にはメデューサちゃんも案外セコくないですかぁ?」
ページドラゴンを前にした皐那・薫(『泡姫』の薫・f25605)は片手で口元を隠しながら肩を震わせる。しかし口から漏れる声を誤魔化すことは出来なかった。
自らの主人が侮辱されたという事実にページドラゴンは大口を開き、体中に書かれた禁術の呪文を読み取り出す。
「とは言っても野放しには出来ませんのでぇ、きっちりバッチリ狩らせていただきますよぉ」
口を隠していなかった方の手で結んでいた印により【怪奇術・無法乱れ泡】が発動する。
破壊属性を持つ黒泡がページドラゴンの体に張り付き、濡らし、ふやけさせて文字を不明瞭な物へさせていく。
同時に黒色という見難さを利用して薫は闇に紛れつつ、斬撃波を交えた死角からの攻撃を与え始めた。
「まさか卑怯なんて言いませんよねぇ?」
他人の褌で相撲を取っているメデューサ陣営が、きちんと自分の1人の力で戦っているこちらを非難することは出来まいと薫は挑発しつつ、深追いはせず区切りの良いところできちんと距離を取る。
するとこれ以上の充填は利敵行為だと判断したページドラゴンは何もなかった口の中からありとあらゆる属性が重なって混沌としたブレスを吐き出した。
直線上に伸びるそれを薫は全力で横に逸れることで避ける。もし必要以上の追撃を図っていたら、避け切れずに飲み込まれていたことだろう。
「受ける覚悟をしていたとしても、受けていいわけではありませんからねぇ」
直接受けてないにも関わらず、息がこびりついた地面から発せられる熱気が肌を焼く。そしてページドラゴンは薫に当たってないことに気づくとすぐに次弾を放ってきた。
薫は残像を生成して囮にしつつ回避する。残像を飲み込んで消滅させた二度目の息からは一度目に感じた圧は感じられなかった。
「威力は下がるけど、ゆっくり読まなくても撃てるのですねぇ。ならもう読めないようにしてあげましょう」
ページドラゴンの息のカラクリを把握した薫が指を鳴らすとまとわりついていた泡が立て続けに割れ出し、呪文が刻印された紙には小さな穴が開いていった。
成功
🔵🔵🔴
皇・絶華
UC常時
「くそ…この俺がこんな美少女モードなんてよー…!」
ははは!その割りには嬉しそうだなさっちゃん!
「んなことねーし!(むきー)」
ポジション
メディック
敵は一般人を狙うので救出と保護や避難をお願いする
残念だ…へリオンデバイスであれば我がチョコのパワーを強化できるだろうに
「ひぇ…!な、ないものねだりしても仕方ないですよ主様!(ほっ)」
件の事件の雑誌や新聞等を扱ってる場所をピックアップし事件の発生を察知
その後即転移して
【二回攻撃・切断】
次元切断や武器による猛攻で切り刻み粉砕する
【弾幕・乱れうち・念動力】
クロノスチャクラム展開
念動光弾を乱射して動きを止めて切り刻む
尚本は強奪
現れた竜牙兵も次元切断!!
「くそ……この俺がこんな美少女モードなんてよー……!」
ギリギリと鮮明に聞こえるほどの歯軋りを立てる長い黒髪の少女の姿に皇・絶華(影月・f40792)は腹を抱えて笑っていた。
「ははは! その割りには嬉しそうだなさっちゃん!」
「んなことねーし!」
さっちゃんことサートゥルヌスは顔を真っ赤にしながら地団駄を踏んだ。
その横を絶華の召集に応じたメディック隊の人員が必要な装備が入った箱を抱えて駆け抜けていく。
「敵は一般人を狙うので救出と保護や避難をお願いする」
「かしこまりました!」
「それにしても残念だ……へリオンデバイスであれば我がチョコのパワーを強化できるだろうに」
この世界にはヘリオライトがない故にメディック隊にサーヴァントのように意思疎通でき、硬い装甲を持ち、最大8人まで運搬して静かに飛べるドローンは配備されていない。故にチョコの出番も無さそうだ。
「ひぇ……! な、ないものねだりしても仕方ないですよ主様!」
サートゥルヌスは絶華の呟きを聞いて一転して青い顔になる。しかしそれが絶望からではなくどこか安心している素振りに見て取れる様に内心首を傾げつつ、絶華はメディック隊から渡された地図を広げた。
それは件の事件の雑誌や新聞等を扱ってる場所をピックアップした物。全国区の事件故に、書店やコンビニだけでなく美容院や学校にも印はつけられていた。
「これはだいぶ……骨が折れそうだ」
何かを察知したサートゥルヌスは即座に鎌を振るい、次元の狭間を形成する。絶華はその行動に驚くことなく狭間に飛び込み、一瞬で別の場所に転移した。
飛んだ先には全身に書き記した禁術の力をまとめた息を放とうとするページドラゴンの姿があった。
「遅いか、いや、まだ間に合う!」
即座に手裏剣を投げ込み、ページドラゴンの体を形成する紙束を散らしていく。
我が身を傷つけられたページドラゴンは狙いを一般人から絶華へすぐに切り替え、強烈なブレスを放つ。しかし間に入ったサートゥルヌスの次元切断によって絶華のいる所まで届くことはなかった。
「クロノスチャクラム展開!」
サートゥルヌスの周りに三つの円環が展開され念動光弾の乱射が開始される。
一方向にしか放たれないブレスと違って全方位から取り囲むように襲いかかる光弾に身動きが取れなくなったページドラゴンに絶華は肉薄し、その全容を理解する。
「なるほど、デウスエクス自体が本なのか。ならば強奪は難しそうだ!」
清浄なる霊力を纏う美しい刀で、心臓部に位置する場所に描かれた魔方陣を切り裂く。すると爛々と輝いていたページドラゴンの瞳が消え、裁断された雑誌の頁が辺り一面に散らばった。
成功
🔵🔵🔴
四王天・燦
報酬(売掛金の手形?)を袖に収めていざ出陣
変なテンションでビルやら家屋の屋上をジャンプで移動し…ってもうドラゴン来てるし、雰囲気台無しだな
高所の陣取りは索敵効率を高めるためだよ
見つけ次第フォックスファイア発射準備…補足された瞬間にぶっ放すよ
燃えてページ数が焼却されるほど威力も落ちるはず
稲荷符を結界術とオーラ防御で覆って、ブレスを空へと向けて受け流していなすぜ
どっせーい
神鳴に余す狐火を纏わせ武器改造で火属性攻撃を付与する
キャスターあたりにバイクを一台手配してもらいブイブイ言わせて街区を疾走
交通規制はされてるだろうし反対車線に飛び出してブレスを避けて断片竜に突撃かまして斬り抜けてやる
ひゃっはー♪
「うえっへへへ……」
思わぬ臨時収入の手形を袖に収めて、四王天・燦(|月夜の翼《ルナ・ウォーカー》・f04448)は上機嫌で住宅の屋根の上を飛び移っていく。
「……ってもうドラゴン来てるし、雰囲気台無しだな」
高所の陣取りは索敵効率を高めるため、決して浮かれ切って宙に浮かんだわけではない。
美容室の窓を突き破って出てきたページドラゴンを見つけた燦はすぐさま【フォックスファイア】の発射準備をし始め、捕捉された瞬間にぶっ放した。
「どっせーい!」
燃えて体を織り成す頁が焼却されればされるほど紡げる禁術の量も減り、威力が落ちていく。
それでもページドラゴンはかき集めた魔力で作り出した息を燦に向かって放つが結界術とオーラ防御で覆われた稲荷符によって、空へ受け流された。
その間に全身に燃え広がった火によって真っ黒になったページドラゴンの体は崩れ落ち、灰の山となっていく。未だに燻るその上に着地した燦の元へ一台のトラックがやってきた。
「四王天さーん、キャスター便のお届け物ですー」
中から出てきた運転手の手で荷台が開かれると中から出てきたのは真っ白な車体のバイクだった。
「おお、意外と大型」
「なるべく馬力があるものを、と伺いましたので」
「イメージしてたよりも最高だ」
キャスター隊にサムズアップをした燦はふと視線を横に逸らす。
「ついでにさ、さっきのページドラゴンがぶっ壊したあの美容院の修繕もお願いできるかい?」
「もちろん、すでに手配済みです」
「仕事が早くていいねぇ」
そうしてキャスター隊と別れて車上の人となった燦はブイブイ言いながら街区を疾走する。
すでにメディック隊の手によって交通規制がされているが、猟兵である燦はフリーパスである。
普段は車が絶え間なく行き交っているであろう大通りを我が物顔で進んでいると、街道沿いにある全てのコンビニから大量のページドラゴンが現れた。
混雑してる状況なら直線上に伸びるブレスを避けることは出来なかっただろうが、完全に貸切状態の大通りでは何をしようと迷惑がかかることはない。
反対車線に飛び出してブレスを避けた燦はハンドルから片手を離して抜いた神鳴に余す狐火を纏わせ、火属性攻撃を付与させた。
「シューティングゲーム風も面白かったかもしれねぇが、バイクに乗ってるならやっぱこれだよなぁ!」
さらにアクセルを踏み込んで轟音と共に加速した燦は神鳴でページドラゴンの体を切りつけていく。
「ひゃっはー♪」
まるで流れ作業のように切り捨てられたページドラゴン達はバラバラに崩れ落ちながら黒ずんで、焼失していった。
大成功
🔵🔵🔵
月隠・新月
妙な事件だとは思っていましたが、十二剣神の差し金ですか。
対処が遅れれば一大事ですね。
まずは配下の殲滅からですね。【降魔真拳】で鬼爪のオーラを纏って敵を攻撃しましょう。
敵はバラバラの魔導書の頁になるようですね。核などあればそれを攻撃したいところですが、無ければ片端から頁を攻撃していきましょう。
敵の攻撃に対しては、俺自身は鬼爪のオーラで自動反撃できますが……周りに人間がいるかもしれないことを考えれば、あまり強力な魔術を使わせたくはありません。
決戦配備・キャスター要請。敵の魔術を減衰させる魔方陣の展開をお願いします。それでも奴らの魔術が人々に向かうようであれば、俺が喰らいましょう(【魔喰】)。
「妙な事件だとは思っていましたが、十二剣神の差し金ですか。対処が遅れれば一大事ですね」
日下部家のリビングで報道を眺めていた月隠・新月(獣の盟約・f41111)は合点がいったように何度も頷いた。
ルウの掴んだ情報では巷を騒がしている連続殺人事件とメデューサ陣営に直接的な関わりはないというが……そんなことはどうでもいい。間接的にも関係が出来てしまったのなら、一まとめに喰らってしまえばいい。
「まずは配下の殲滅からですね」
かつて喰らった降魔鬼の気を纏い、新月は最も近くにいたページドラゴンの背に飛びかかる。
そして鬼爪のオーラでビリビリに破り捨てた紙束の奥に光り輝いていた魔方陣が描かれた頁を咀嚼すると残りの部位は糸が切れたかのように、元となった書物の頁になりながら飛散していった。
その姿を見た他のページドラゴン達はひとりでにバラバラになり始める。
しかしそれは創造主を失って存在意義を失った使役獣が消えるのとは異なる物。バラバラになった紙束はそれぞれの頁に印字された魔法を発動させ、周囲の建物や人々に無差別な攻撃をし始めた。
当然その攻撃対象には新月も含まれていたが、襲いかかる者全てに反撃する鬼爪のオーラが容赦無く引きちぎり、愚かな紙片に鉄槌を下していた。
しかし新月一体だけでは追いつけない。こうしている間にもあるページが発動した風の力で他のページははるか彼方に飛んでいき、被害を与える範囲をどんどん広げていく。
だからこそ、彼らを召集しておいたのだ。
「減衰魔方陣展開!」
すでに街中に配備されていたキャスター達が魔方陣を一斉に展開することで、ページ1枚1枚が持つ魔力の大部分が霧散する。
「周りに人間がいるかもしれないことを考えれば、あまり強力な魔術を使わせたくはありません。出来ますか?」
「もちろんです」
そんな新月からの要請を受けたキャスター隊による妨害はそれだけに止まらない。
魔力を復活させるためにページが再集合を始める前に魔力を編み込んで作った投網で捕獲し、万が一の事故を防ぐために網ごと破り捨てる。
流石に魔導書と化した書物が何十冊も合わさったページドラゴンを押さえつけるにはどれも力不足だが、バラバラになった1ページ程度なら十分である。
なおも単独で暴れて一般人を巻き添えにしようとするページに対しては新月が躍り出て、物質に限らず概念すらも喰い千切る牙で魔力ごと噛み砕いた。
「高いティッシュは甘い味がしますが、そこら辺の新聞は美味しくないですね」
早く片をつけて美味しい食事でお口直しがしたいと思いつつ、新月はなおも空をひらひらと舞い続けているはずの残りのページを探すべく走り出した。
成功
🔵🔵🔴
ロウガ・イスルギ
アドリブ・連携歓迎
死んだ方がいい、ってヤツは確かにいるが……ちょいとばかりやり過ぎだ。
お仕置き、だな。
「てか、本が飛んでんじゃねえよ!読まれてナンボだろうが!」
魔術攻撃は【残像】【早業】で躱しつつ【カウンター】として
【ロープワーク】【破魔】を駆使したグレイプニルによる牽制で
頁を纏めUC絶冥拘縄使用
「どっからでもかかってきな、|グレイプニル《俺の相棒》にゃあ
隙も死角もありゃしねえ!」
もし竜形態に戻ったなら好都合、拘束からのUC連発で
始末してやる
|土は土に、灰は灰に、本は本に《earth to earth, ashes to ashes, books to books》、ってな。まあもう読めねえが
「死んだ方がいい、ってヤツは確かにいるが……ちょいとばかりやり過ぎだ。お仕置き、だな」
風切り音をたてながら先端にフックのついた頑丈かつ軽量なワイヤーを回していたロウガ・イスルギ(白朧|牙《我》虎・f00846)は目当ての物を見つけると大声で叫んだ。
「てか、本が飛んでんじゃねえよ!読まれてナンボだろうが!」
ひらひらと宙を舞っていたページはロウガの文句を掻き消すように雷や風の魔法を放ってきた。
「やっぱり自分の体を傷つけかねない属性の攻撃は使ってこねぇか!」
無駄撃ちさせるために残像をあえて作りつつ、ロウガはカウンター気味にフックを投げ放つ。
ページはフックが飛んできたことで生じた風の流れに身を任せてひらりと避ける。しかしロウガが手元で細かくワイヤーを調節するとフックはくるりと方向を変え、ページを取り囲むように落ちてきた。
『パズルは得意か?貴様がピースになる方の話だがな!』
そしてワイヤーで出来た円の中にページを入れるとロウガは手元にまで落ちてきたフックを掴み、両手をクロスさせるように引く。
すると円はどんどん収縮し、圧迫されてシワをつけながら絞られたページは真っ二つに裂かれた。
不完全な形でしか再生出来ない状態になったからか、紙片は微弱な魔法を発しながら段々降下し始める。すっかり動きが鈍くなったことを良いことにロウガは再びフックを投じて、地面に落ちるまでに紙吹雪に使うぐらいの大きさにまで細断した。
「どっからでもかかってきな、|グレイプニル《俺の相棒》にゃあ隙も死角もありゃしねえ!」
その挑発に乗るかのように周囲に散らばっていたページが一塊になってドラゴンの形を取り直す。
それにより魔力や魔法の威力は増したが、当たらなければどうってことはない。むしろ集まったことの方がロウガにとっては重要であった。
ニヤリと口角を上げたロウガは的確にページドラゴンの胸の辺りで輝いている魔方陣を捉えるように投じる。
図体が大きくなると同時に重くなったページドラゴンは風圧だけで避けることが出来ず、すぐにぐるぐる巻きに捕縛される。捕まった後に慌てて翼をはためかせたところでもう遅い。
「|土は土に、灰は灰に、本は本に《earth to earth, ashes to ashes, books to books》、ってな。……まあもう読めねえが」
力任せに引っ張ったことで乱雑に切り刻まれた紙吹雪を浴びながらロウガは肩をすくめた。
成功
🔵🔵🔴
バーバラ・ナノシュタイン
アドリブ/連携可
決戦配置:クラッシャー(火炎放射器部隊配備)
ドーピングでナノマシンペーストを摂取、能力を一時的に強化。
「アンタ達、死にたくなかったら全員風上に回りなさい」
薬品調合で作った特製ゾンビ化薬をパンデミック・マシンで風下に噴射しUC発動。
「あなたの敵はこっちじゃなくてあっちよ」
ゾンビ化した敵に対し、同士討ちを誘うようおねだり。
「私が封じ込めるから、トドメはアンタ達お願い!」
残った敵は医療用ノコギリで引き裂き+部位破壊+身体部位封じで詠唱と動きを封じ、火炎放射器部隊に焼いてもらう。
「恐怖を与えるって言っても大したことないじゃない。メデューサ、恐れるに足らずよ!」
他のどんなナノナノよりも真っ赤なナノナノ、バーバラ・ナノシュタイン(マッドサイエンティストなの・f41701)は口に含んでいたチューブの中身を飲み干すとその場に吹き捨ててから、呼び寄せていたクラッシャー隊に確認を取った。
「この区画にもう要救助者はいないのね?」
「はい、報告では生体反応は我々と件のデウスエクス以外にはいないと」
「分かったの。じゃあアンタ達、死にたくなかったら全員風上に回りなさい」
他のナノナノよりも理知的な言葉にクラッシャー隊はバーバラの横に鎮座している、あからさまにヤバそうな色の液体が入った容器が挿入されている機械に視線をやる。
予想通りやっぱりヤバい奴だったか……と口には出さないものの普通に命は惜しいので大人しく引き下がる。
バーバラはクラッシャー隊の面々がでしゃばってこないことを確認すると、自分の顔面に合ったサイズで作られたガスマスクを装着してから機械のスイッチを入れた。
すると元の液体よりも毒々しい色のガスが排気口から噴き出し、近くにいたページドラゴンを飲み込んだ。
声帯のないページドラゴンがガスの中で苦しそうにもがいているうちに真っ白だった紙がどんどんガスと同じ色に変色し出す。
「あなたの敵はこっちじゃなくてあっちよ」
バーバラが小さな羽で別のページドラゴンを差すと、変色したページドラゴンは一切の躊躇なくブレスを吐き出した。
数秒後にガスの色がひとりでに抜け落ち、正気に戻った時にはブレスに飲まれたページドラゴンはボロボロに劣化して、からっ風に吹かれた途端にボロボロに崩れ去っていった。
同士討ちをさせられたページドラゴンは怒り狂ったように暴れ出す。しかしガスを発生させる装置の中身はもう空っぽだ。
「私が封じ込めるから、トドメはアンタ達お願い!」
再び吐き出されたブレスを浴びた機械が爆散する裏でバーバラは医療用のノコギリでその体をバラバラにしようと挽き出す。
だがあまりに小さな体躯と弱い力ではナノマシンによるブーストがかかっていても完全に切る前に気づかれて、振り返った動きで生じた風圧に吹き飛ばされてしまう。
しかしバーバラに完全にヘイトが向いたことでフリーになったクラッシャー隊がその背中に火炎放射を浴びせかけた。
背後からもたらされた熱源を消そうとページドラゴンの挙動が激しさを増すが、消した分よりも多くつけられた炎にまかれて灰と化していく。
「恐怖を与えるって言っても大したことないじゃない。メデューサ、恐れるに足らずよ!」
木の枝に引っかかりながら勝ち誇るバーバラを救出すべく、クラッシャー隊の面々は踏み台を取りに走った。
成功
🔵🔵🔴
政木・朱鞠
命を狙われている側には自業自得なんて思っちゃうところもあるけど、災禍の種として利用されるのはちょっと癪に障るね。
不安と死を撒き散らす恐怖のお伽話はさっさと幕引きして、速めにメデューサちゃんを舞台に引きずり出さないとね。
戦闘【WIZ】
一体一討での対応になるけど、UC『忍法・狐龍変化身』で真の姿を前借りして火力底上げで行くよ…。
隙を作るのはちょっと厄介だし、決戦配備はジャマーを要請して相手の知覚を鈍らせて畳みかけるよ。
距離を取り手数の多い攻撃を優先して忍者手裏剣『鳳仙花』をチョイス、関節の隙間を狙って【鎧砕き】や【鎧無視攻撃】の技能を使いつつ【傷口をえぐる】でダメージを与えたいね。
アドリブ連帯歓迎
猟兵やDIVIDEの進撃によってどんどん同胞が葬り去られているという事実に、残されたページドラゴン達は彼らを倒すための知識を欲し始める。するとあらゆる知識や情報を略奪する竜牙兵の大軍がその場に召喚された。
この竜牙兵達と共に戦え、というお言葉だと判断したページドラゴン達はメデューサを崇めるようにその場で翼をはためかせた。
「命を狙われている側には自業自得なんて思っちゃうところもあるけど、災禍の種として利用されるのはちょっと癪に障るね」
その様子を政木・朱鞠(狐龍の姫忍・f00521)は口を尖らせながら最寄りの建物の屋上から眺めていた。
「不安と死を撒き散らす恐怖のお伽話はさっさと幕引きして、速めにメデューサちゃんを舞台に引きずり出さないとね……」
とはいえ追加の竜牙兵が配備されてしまった今、相手に隙を生ませるのはちょっと厄介である。そこで朱鞠はDIVIDEのとある部隊から預かった通信機を起動させて声をかけた。
「もしもし。2丁目にいる軍勢にちょっとちょっかいをかけてもらってもいいかしら?」
『了解!』
すると「JAMMER」と機体に印字された一台のヘリコプターが飛んできた。
ローターが回る音に気づいたページドラゴンと竜牙兵が視線を上に向ける中、ヘリコプターは攻撃される前に機体の下部に搭載していた大量の白い薬剤を振りかけた。
『とりあえずこの薬剤は吸い込んでも人体に影響はないので、奴らの視界が不鮮明なうちに片付けちゃってください!』
「ありがと、あとは任せて。『抑えし我が狐龍の力…制御拘束術第壱式にて…強制解放!』」
【忍法・狐龍変化身】で真の姿の力を前借りすることで火力を底上げした朱鞠は飛び降りながら刃に特殊な返しが施された手裏剣を次々に投じる。
視界を真っ白に染め上げられただけでなく、関節にある僅かな隙間に一度刺さったら中々抜けない異物を差し込まれて明らかに精細を失った竜牙兵の間に着地した朱鞠は青い狐火がついた鎖を振り回して一網打尽に葬り去る。
プロペラから発せられていた風切り音によって朱鞠の着地音や振り回した鎖の音に気づかなかった竜牙兵はもし返し刃が刺さっていなかったとしても、防御の体勢を取ることは出来なかっただろう。
一方で煙たい視界を晴らすべくページドラゴンはブレスを吐いて、自分の口から直線上にある薬剤を一掃した。しかし息を吹きかけた先にはもうすでに竜牙兵も朱鞠もいない。
「一体一討での対応になるけど、竜殺しとなれば当然よね?」
背後から聞こえてきた自嘲するような笑みの混ざった呟きが、そのページドラゴンが最後に知覚した物となった。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『犬村・大嚇』
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POW : 闘技・船虫
【闘気を込めた拳】でダメージを与えた対象を【念力の糸】で捕縛し、レベル秒間、締め付けによる継続ダメージを与える。
SPD : 闘技・偽赤岩一角
【鋭く伸ばした爪】を使って「どのように攻撃するか」を予想できなかった対象1体に、【急所への刺突】の一撃が必ず命中する。
WIZ : 闘技・雛衣
【自傷で流れた血】が命中した生命体・無機物・自然現象は、レベル秒間、無意識に友好的な行動を行う(抵抗は可能)。
イラスト:えんご
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「政木・朱鞠」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「ありがとうございましたー!」
夜の繁華街で最後の客を見送った男は、1日の疲れが溜まった体を思いっきり伸ばす。
その姿を視認した女性は、男が行った罪状を淡々と読み上げる。
「未成年者飲酒禁止法違反及び恐喝」
「ん?」
客に付き合って酒を飲んでいた男はその声を空耳だと早合点し、店へ戻ろうとする。
しかし建物の中に戻る前に女性は男の首に念力の糸を巻きつけると、街灯を支点として一気に吊り上げた。
「ぐえっ」
突然宙に吊り上げられた男は脚をバタつかせながら首に巻きついた何かを剥がそうと足掻く。しかし実体のないそれを人の力で掴み取ることなど出来ない。
圧迫され、顔が酒精以外の原因でみるみる赤くなったところで女性はさらに引っ張る力を強める。しかしその瞬間、腕が感じ取っていた重みが消え去った。
重たい物が落ちる音の後に必死に酸素を取り込もうとする咳が聞こえる。
女性は身動きがしばらく取れそうにない粛清対象から一旦視線を離し、邪魔をしてきた招かれざる客を睨みつけながら問いかけた。
「私の仕事の邪魔をするとは……あの咎人に縁ある者か?」
皐那・薫
アドリブ・絡み・仲間との連携歓迎
「どーもぉ、邪魔者でぇす。貴女みたいな頭のおかしい輩がいると迷惑なんですよぉ、正義の味方のつもりでしたら恥かく前に現実見てくださぁい。」
ポジションはメディック、負傷した男性の救護や店内の一般人の避難を要望。出来る限り被害は最小限に留めておきたいところ。
夜ならば【闇に紛れ】て【忍び足】で敵を撹乱しながら【死角攻撃】、最優先に『活〆』で攻撃力低下、ユーベルコード封印を狙う。
敵の攻撃に対しては【残像】【武器受け】で防御。念力の糸は怪刀『解体真書』で【切断】して対処、万が一相手の血に触れたら【覚悟】を決めて自傷して気付けをする。
「どうですぅ、命乞いしたくなりましたぁ?」
月隠・新月
咎人……俺の認識では、殺人は相当に罪が重かったはずだが。まあ、罪も罰も人間の尺度次第。曖昧なものだ。
何より大切なのは、この地球を侵略者から守ることですね。
決戦配備・メディックを要請。被害者の保護と、この辺りの人払いをお願いします。
敵から急所に一撃貰うのは避けたいですね。召喚した【ブランクオベリスク】で敵の動きを観察して、できる限り敵の攻撃を予想して回避しましょう。
加えて、オベリスクを敵の周囲に展開して動きを制限したいですね。これは脆いので敵の攻撃で簡単に砕けてしまうでしょうが……砕いた敵の動きが鈍るよう、呪いをかけておきましょうか(【マヒ攻撃】)
敵に隙があれば、オベリスクで攻撃しましょう。
ロウガ・イスルギ
アドリブ・連携歓迎
|決戦配備《ポジション》ディフェンダーにて|要救護者《ホストのニィちゃん》の避難及び治療を任せる
咎人だあ?その辺はお門違いってヤツだ。しかしまあ……
俺も傭兵、殺しが生業みてえなモンだがな、筋だけは通してきた積りだ。
お前さんのやり方はどうにも気に入らねえ、腑に落ちねえ!我慢ならねえ!
だから止める、それだけだ!
敵の攻撃及びUCは【残像】【カウンター】で回避
当たらなければなんとやら、だ
焦りや隙を誘ったらコチラもUCにて反転攻勢に出よう
いつまで|俺の残像《そんなモン》と遊んでやがる?コッチも
身体は温まってきたぜ、覚悟しな!
|貪る者《グレイプニル》の名が伊達か、その身で確かめるがいい!
「どーもぉ、邪魔者でぇす」
手の内に残った念力の糸を弄って挑発するような口調と笑みを交えつつ、鍔を一度鳴らした薫は乗っていた街灯の上から飛び降りる。
着地した先には薫の後を追ってきた新月とロウガの姿もあった。
その背後では駆けつけたメディック隊とディフェンダー隊による、周囲にある居酒屋の中で飲んでいた客やら店員やらの避難が行われていた。
出来る限り被害は最小限に留めておきたい、それは全員の共通認識であった。
「被害者の保護と、この辺りの人払いをお願いします」
「了解しました!」
「よろしくねぇ」
「にぃちゃん、今度からは脅しのない真っ当な接客をするんだな? 今の職場がそれが出来るほど真っ当なとこかは知らねーが」
女性に殺されかけて腰が抜けた様子の男は両脇にそれぞれ入ったメディック隊の手によって運ばれていく。
その後ろ姿に思い思いの言葉をかけていると怪訝そうな表情を浮かべる女性が口を開いた。
「私の仕事の邪魔をするとは……あの咎人に縁ある者か?」
「咎人だあ? その辺はお門違いってヤツだ」
「咎人……俺の認識では、殺人は相当に罪が重かったはずだが。まあ、罪も罰も人間の尺度次第。曖昧なものだ」
女性の問いかけに新月は首を傾げながら答えを返したのに対し、ロウガは眉間に皺を寄せた。
「しかしまあ……俺も傭兵、殺しが生業みてえなモンだがな、筋だけは通してきた積りだ」
理由は違えどこれから殺人を犯そうとした者と殺人を犯した者を殺したことはある。それは自らそういう立場になることを選んだからだ。
だからこそロウガは女性の問いかけに対する答えを一言で済まさずに、吠えた。
「お前さんのやり方はどうにも気に入らねえ、腑に落ちねえ! 我慢ならねえ! だから止める、それだけだ!」
「そうか。……残念だ」
そう言って女性は姿を消した。まるでロウガ達と戦う必要を全く感じていないかのように。
「……まずい!」
これから女性がやろうとしていることに気づいたロウガが視線を移すとほぼ同時に遠方にいたメディック隊の面々が糸が切れたかのように倒れていく。
そして担架に載せられて搬送されようとしていた男のそばに移動していた女性は一瞬で伸ばした鋭い爪をその心の臓に突き立てようとしていた。
「貴女みたいな頭のおかしい輩がいると迷惑なんですよぉ、正義の味方のつもりでしたら恥かく前に現実見てくださぁい」
振り下ろされた瞬間突き出された薫の刀が交錯し、激しく擦れ合う。その存在に女性は舌打ちしつつも納得したかのように頷いた。
「流石に忍びの者を誤魔化すことは出来ぬか……」
「元同業者か知らないですけどぉ……私達の技術をこういうのに使わないでほしいでぇす」
そう呟いて薫はお留守になっていた手で素早く別の刀を抜いて刺突を繰り出す。しかし女性は素早く避け、薫と担架から距離を取り直した。
『現れ、写し、砕く。此方は白紙のオベリスク』
倒れたメディック隊が気絶しているだけだと確認した新月は即座に女性の周りに100個以上のオベリスクを形成した。
「人によって大切な物が違うのは重々承知しているが……俺にとって何より大切なのは、この地球を侵略者から守ることですね」
「甘いな。とっくのとうに侵略者は身の内に潜り込んでいるというのに、まだ外から来る新手に意識をやっている余裕があるというのか? ……だからこそ押され続けているのだよDIVIDEとお前達ケルベロスは」
新月の意見を鼻で笑い、女性は可動範囲を狭めてくるオベリスクを刃物のように扱う爪で裁断していく。
「結構用意したはずなんだが……これは攻勢に転ずることは厳しそうだ」
それは女性の持つ爪が金属と鍔迫り合いしても欠けないほど硬く、オベリスク自体の耐久性が見た目ほどではないからであったが……だからこそ新月は二の矢を仕込んでいた。
新月の指示に従ってDIVIDEに繋がる道を塞ぐオベリスクの妨害を物理的に打ち破った女性は自分の四肢の痺れに気づく。
「砕いた敵の動きが鈍るよう、呪いをかけておいたかいがありました」
オベリスクへの対応で予測していたとはいえ、本来の動きのままでは避け切れなかっただろうと思いつつ、女性が苦無のように放ってきた爪を後ろ跳びで避けた新月は路上に突き出していた椅子やテーブルに当たらない位置へ滑り込む。
「敵から急所に一撃貰うのは避けたいですね」
「確かに。だが当たらなければなんとやら、だ」
そして新月が生み出した隙を狙い、入れ替わるようにロウガがグレイプニルを放った。
「|貪る者《グレイプニル》の名が伊達か、その身で確かめるがいい!」
女性は爪で薙ぎ払うことでそのフックを受け流す。しかし薫との鍔迫り合いと新月のオベリスクとの交錯でダメージを貯めていたのか、爪が中程で折れた。
「なるほど、高らかに豪語するだけの腕はあるようだ。だがさっき見ただろう? 私にはこれだけではないと」
女性は痛い素振りを見せることなく飄々と念力の糸を編むと宙に舞ったままのグレイプニルを絡め取りにかかった。
だが確かに巻きついたはずのグレイプニルは霧散し、捕縛すべき物を失った糸は闇に紛れて忍んでいた薫の手によって切断された。
「いつまで|俺の残像《そんなモン》と遊んでやがる? コッチも身体は温まってきたぜ、覚悟しな!」
そうしてロウガは素早く手元に巻き戻していたグレイプニルを再び放つ。
女性は爪の刃がまだ残っているもう一方の手で弾き返したがその代償として無手になってしまう。
『少し静かにしてくださぁい。』
そこへ舌舐めずりを浮かべた薫に突っ込まれた。
曲げながら捩ってきた体を絶対に逃さぬよう薫は横薙ぎに刀を振るう。そしてその切先が脇腹をしっかり掠めた。
だが紙で指を切ってしまった時のようにじんわりと染み出すような物ではなく、しっかりと鮮血が飛び出す傷である。
とはいえ戦うのに支障が出る痛みではないと思いながら女性は爪を再生しようとする。だがその速度は先程よりもはるかに鈍いものとなっていた。
「どうですぅ、命乞いしたくなりましたぁ?」
代わりに入ったディフェンダー隊の手によって男の隔離は終わった。惨めに失敗した暗殺者を煽る薫の声に、女性は鼻で笑って答えは否であることを示した。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
バーバラ・ナノシュタイン
アドリブ/連携可
決戦配備:ジャマー(煙幕)
「しょっぱい罪人をいちいち自分で始末するとかアンタ、ここがサイバーザナドゥなら過労死してるわ」
血液のついた街路樹が妨害してくるので、医療ノコギリで引き裂き。
「なるほど、自分の血液が付着したものを操るのね。だったら!」
「まず、その傷口を封じる!」(UC発動、敵の傷口が塞がっていく)
一旦物陰に隠れて薬品調合、ナノマシンペーストを改造する。
「今よ!」
ジャマー発動、煙幕で敵の視界をふさぐ。
「これでも喰らいなさい!」
敵の口にナノマシンペーストをぶち込む。むせる敵。と、敵が突如苦しみ始める。
「ナノマシンに毒性を持たせたの。一滴の血も流さずに死になさい」
「しょっぱい罪人をいちいち自分で始末するとかアンタ、ここがサイバーザナドゥなら過労死してるわ」
ケルベロスと名のつく世界がルーツであるナノナノであるが、犯罪上等な者たちによって牛耳られたサイバーザナドゥの流儀に慣れてしまっていたバーバラは呆れた様子で肩をすくめた。
「だからこそ1日に1人なのだ。私の存在が罪を犯すことへの抑止力となれば、対象が寿命や自死で減ることはあれど増えることはなくなる。この世界を平和にするのに兎になる必要はない、亀の歩みで十分だ」
そうして女性は脇腹を抑えていた手を広げ、自信満々に言い放つ。
しかし丸暗記した台本の内容を読み上げたかのような印象を得たバーバラは心底思っているかどうか怪しいわね、と胡散臭げな視線を送った。
そんな中人の身長よりもはるかに低い街路樹がまるで触手のように蠢き出してバーバラやDIVIDEの面々を捕まえにかかった。
「おおっと!?」
バーバラは即座に医療用ノコギリを構えて、伸びてくる枝葉を引き裂いていく。重なり合ったページ全ては破き切れなかったが、いくら伸びても太さは細いままの枝ならどうとでもなる。
そして地面に転がった枝にはまだ乾き切ってない赤い液体が付着していた。……この場で赤い液体を出したのは1人しかいない。
「なるほど、自分の血液が付着したものを操るのね」
街路樹の豹変の原因をすぐに突き止めたバーバラはハートを見せつけるように胸を張る。
「だったら! まず、その傷口を封じる!」
放たれたビームを受けた女性の脇腹の傷が埋まる。同時に受けたことで女性が視線を逸らした隙をつき、バーバラは一旦物陰に隠れて薬品を調合する。
そして再び飛び出すと女性の視線はバーバラに釘付けになり、爪を伸ばすことも念力の糸を紡ぐこともなくまるで抱きつきにいくかのように飛び込んできた。
「今よ!」
バーバラの合図に従い、物陰に控えていたジャマー隊が煙幕弾を放り込むと爆音と共に視界を塞がれる。
「これでも喰らいなさい!」
抱きつきが空振りに終わり、煙の中で起き上がろうとする女性の口にバーバラはナノマシンペーストの入ったチューブを丸のままぶち込んだ。
突然の固形物にむせ返りながらも、女性は可愛らしいナノナノからもらった物を躊躇なく飲み込んだ。
しかし夢見心地な上機嫌はそう長くは続かない。
「うっ、ぐっ……?」
女性は腹を押さえ、苦しみ始める。脂汗をかきながら口に手を突っ込み、飲み込んだばかりの何かを吐き出そうとするが出てくるのは胃液だけ。
「ナノマシンに毒性を持たせたの。一滴の血も流さずに死になさい」
どれだけ吐いてももう手遅れだと、自らの体すらも実験材料にするマッドサイエンティストは冷めた目で眺めていた。
成功
🔵🔵🔴
レラ・フロート
私たちの「ケルベロスディバイド」は
応援してくれる一般の人がいる世界
それでも罪を犯す人はどうしても現れるとしても
罰を下すべきのはデウスエクスじゃないッ
ケルベロスからDIVIDEへ
「スナイパー」を要請します!
一緒に狙い撃とう!
初撃は狙われていた人から注意を逸らすよう
エネルギー充填からの斬撃波
以後は敵の隙を伺いつつ、援護を受けられる位置を取り
剣を振るいダメージを重ねていくよ
拳を体に打ち込めれれば呻いちゃって
念力の糸で捕まえられれば悲鳴も上げちゃいそうだけど
でも心に落ち着きは消さない
しっかり怪力で引きはがしてから
全力で《フロート・コンビネーション》を決めるね
格闘攻撃のお返しにビームッ、これでどうだー!
ケルベロスディバイドは応援してくれる一般の人がいる世界。それでも罪を犯す人はどうしても現れるとしても。
「罰を下すべきのはデウスエクスじゃないッ」
そう叫んだレラ・フロート(守護者見習い・f40937)は未だに避難を終えていない人々からから注意を逸らすべく、フル充填した自慢の剣からの斬撃波を放つとそのはるか後方から一筋の光線が飛ぶ。
胃壁から血管に侵入したナノマシンによる体調不良に苦しんでいた女性は近くにあった建物を殴ることで念力の糸を生成し、引っ張られる形でそれらを半ば強引に避けた。
遠方から支援射撃を行うスナイパー隊はすぐに銃口の角度を上げ、特殊な弾で念力の糸を撃ち抜く。
3階ほどの高さにまで達していた女性は手足3点で着地すると、荒い息を吐きながら訴えかけてきた。
「そうだな、罰を下すべきはデウスエクスだ。だが奴らはお前達が思っているよりも狡猾に私達の生活に溶け込んでいる。例えばそうだな……そこの車で呑気に座っている者全員が、本当に地球人だと君は断定できるか?」
罪を犯した者———それは地球人ひいては地球に害を与える存在であり、デウスエクスと同義。いや、デウスエクスそのものであるかもしれない。
「さっきから言っているであろう、私や私に呼応した者が抑止力になれば真っ当な地球人なら罪を犯さなくなる。それでもなお罪を犯す者は全員デウスエクス、何の躊躇することなく殺せばいい! なぜそんな単純なことが分からない!」
「分からないよ」
そんな恐怖政治じみた戦略で解決出来るなら、ありとあらゆる問題はとっくのとうに終わっているはずだ。
レラは隙を伺いつつ、常にスナイパー隊からの援護を受けられる位置に陣取って剣による打撃を加えていくが女性は顔を顰めながらも手甲でしっかりと防御していく。
しかし輝きを帯びた強固な太刀筋によって手甲に大きなヒビが入り、そのまま砕け落ちる。
即座の防衛策を失った女性は手脚を折られる前に、逆に距離を詰めてレラの腹部に強烈なアッパーを喰らわせた。
金属製の体を揺さぶる衝撃にレラは思わず呻き声を上げる。だが闘気で拳を強化しつつ防御していた女性は一切痺れを得ていない手でレラの体を念力の糸で捕縛する。
「普通の糸なら金属は切れぬが、私の念力の糸にその常識は通用せぬ。そうだ、元ダモクレスならばお前は確実にデウスエクスか。なら確実に1体消すことが出来る。さっきの男は明日に回してお前でお茶を濁すとするか」
これでまた1つ平和に近づくと上機嫌な女性の締め付けに悲鳴を上げそうになるが、必死に噛み殺して心から落ち着きを消さないよう心がける。
そこへ同士討ちを厭わぬスナイパー隊の銃撃が轟き、レラを絞めつける糸が緩んだ。
「信じてくれてありがとうね!」
未だに体にまとわりつく糸をしっかりレプリカント特有の怪力で引き剥がしてからレラは目前にいた女性の額に強烈な頭突きをかます。
硬く重い一撃に頭を押さえてよろめいた女性に向け、レラは続け様に気合の入ったポーズを取る。
「これでどうだー!」
その行動がトリガーとなって放たれた光線が女性の全身を容赦なく飲み込んだ。
成功
🔵🔵🔴
皇・絶華
決戦配備
クラッシャー
…貴様の行為は私人逮捕の条件を満たしていない
故に…殺人未遂の現行犯かつ連続殺人の容疑がある
「主様主様、此奴デウスエクスですよ?此方の法に適用されないのでは?」
…そうか。では討伐させて貰う
【戦闘知識・念動力・第六感】
之までの戦いと動きから敵の爪の攻撃を分析し予測
更に薄く念動力を展開させて肉体の動きと動作から読み切る!
それでも読み切れない時は第六感!
【バーサーク・乱れ打ち・二回攻撃・空中機動・切断】
UC発動
超絶速度で襲い掛かりTCによる連続刺突と斬撃による怒涛の猛攻
「ぬ、主様ってまともに戦えたんですか!?」
さっちゃんは何を言っているんだ
格闘戦闘はチョコパティシエの嗜みだとも
「……貴様の行為は私人逮捕の条件を満たしていない。故に……殺人未遂の現行犯かつ連続殺人の容疑がある」
絶華が澄まし顔でそう告げるとサートゥルヌスから真面目な指摘が飛んできた。
「主様主様、此奴デウスエクスですよ? 此方の法に適用されないのでは?」
「……そうか。では討伐させて貰う」
そんな訂正も大して気にせず刀を抜いていると、話の外にいたはずの女性があっという間に顔面を真っ赤にさせて喚き始めた。
「私を、私をあんな奴らと同じにするなぁぁぁぁぁ!!」
全身に浴びたばかりの火傷も内臓から蝕むナノマシンの痛みも全て忘れたかのように女性は両手の爪を一気に伸ばし、何もかも置き去る勢いで絶華達の元へ走り込んでくる。
之までの戦いと動きから爪を用いた攻撃を分析し予測した上に、薄く念動力を展開させて女性の体の動きと動作から次の動きを読み切った絶華は自分の真横を通り過ぎてサートゥルヌスに襲いかかろうとした女性の背中を蹴り飛ばした。
「ナイス囮ださっちゃん」
「それはそれでいいんだが……なんでこっちに来たし」
行動原理が読めない女性の動向にサートゥルヌスが困惑する中、まるで弾かれたかのように起き上がった女性は血走った目で引っ掻きめいた斬撃を繰り返してくる。
怒りに満ち満ちた攻撃は段々と今まで取ってきた情報から逸脱した内容が増えてきて、絶華とサートゥルヌスは第六感を駆使して初見の攻撃を紙一重のところで躱すようになっていた。
そこへ飛び込んできたクラッシャー隊の放った砲弾による爆風が女性だけを吹き飛ばす。
第三者の横槍で生まれた隙をついて、絶華は理性で封印していた「門」を解き放った。
『四門…『窮奇』……開門!!…グ…ガ…ガァァァァァ!!!!』
銀の瞳が濁り、全身が黒い靄に包まれた絶華から獣の雄叫びのような声が漏れる。
そして受け身の体勢から起き上がろうとしていた女性に向けて絶華は超絶速度で肉薄し、ジャマハダル状の短剣による連続刺突と斬撃による怒涛の猛攻をお見舞いした。
女性は反比例的に熱情が冷め、襲いくる困難に両の指を使って必死に受け流して耐えようとする。
しかし正気を失った苛烈な暴力の嵐に晒され続けた爪は根元から剥がされ、真っ赤に染まった両手を弾き飛ばしてから振るわれた一撃は女性の体を深々と抉り取った。
「ぬ、主様ってまともに戦えたんですか!?」
門が閉じ、正気に戻った絶華へサートゥルヌスは問いを投げかける。すると絶華はさも当然の如くこう言い放った。
「さっちゃんは何を言っているんだ……格闘戦闘はチョコパティシエの嗜みだとも」
「いや、普通パティシエは戦えないから」
サートゥルヌスは納得せず、速攻で否定した。
大成功
🔵🔵🔵
四王天・燦
断片竜が燃える炎の中から特撮ヒーローの如くバイクで飛び出して大嚇の前に立つぜ
アタシは暗殺業はしてねーが裏社会は嗜んだシーフだ
馬鹿みてえに表の世界を刺激する狂人は放置はできねえな
内緒だけどね
アークウィンド振るって牽制がてら機会を伺うぜ
風の衝撃波を起こした時にこっそりデストラップを落としておく
真威解放で密かに鋼糸の網を作ってかかる
爪に何か仕込んでいると見えれば、刺すとは想像できるよ
ンなもんで振って切りつけたら爪か指が折れるっての
狙うは喉か眼球か
殺気を感じた瞬間、試すように残像を囮にして見せてもらいましょ
デストラップで搦め取ったら一応頼み人は聞いておくぜ
後は縛って警察なり然るべき組織に任せるわ
猟兵・DIVIDE連合軍と女性がぶつかり合う最中、ページドラゴンが突然現れる。
しかしページドラゴンは暴れることなくひとりでに燃えて巨大な火の玉になる。そしてその中から特撮ヒーローの登場シーンの如く1人のライダーが飛び出してきた。
「馬鹿みてえに表の世界を刺激する狂人は放置はできねえな」
ヘルメットの外へ漏れ出ないほど小さな声で呟きつつ、ドリフトしながら着地した燦は絶華の一撃を喰らって腹から血をとめどなく流す女を睨みつける。
同僚どころか身内にも内緒の機密事項だが、燦は裏社会を多かれ少なかれ嗜んだシーフである。ただ彼女のように暗殺業には手を出してなかったが。
「デウスエクスと一緒にされたくない理由は分からねーが、とりあえず今日でお縄についていただくとしますか」
燦は牽制がてらアークウィンドを振るって風の衝撃波を起こしつつ、機会を伺う。すると女性は自ら向かい風の中に飛び込んできた。
その間にも赤く染まった指からは新たな爪が生えて硬くなりながらどんどん伸びていく。
「爪に何か仕込んでいると見えれば、刺すとは想像できるよ。ンなもんで振って切りつけたら普通は爪か指が折れるっての」
どんな修行をすればあんな変幻自在に爪を扱えるのか。内心舌を巻きつつ女性から殺気を感じた瞬間に燦は残像を作り出して囮にする。
狙うは喉か眼球か。そう予測していた燦はお手並み拝見とばかりに密かに作っていた鋼糸の網をその部位に仕込んでおく。しかし女性が選んだのは心の臓で、貫かれた瞬間に空振りに終わったデストラップが舗装された地面の上を跳ねた。
「それ以外にも罠は仕掛けた。KO捕縛ってやつさ」
アークウィンドの風に乗り、街のあちこちに引っ掛かることで張られた糸のうちの1つが残像を消し飛ばしたばかりの爪の先端に引っかかって切れる。すると抑えを失って飛んできた別の糸が女性の脚を捉えて絡み取って宙にぶら下げた。
女性は腹筋を使って体を曲げて足の糸を切ろうとするが、次いで喉に巻きついてきた糸がそれを許さない。
「ところでさ、頼み人はいたのかい?」
脱出しようと首と糸の間に爪を潜らせる女性へ問いかける。返ってくる答えの想像はつくが万が一の可能性を加味して念のためだ。
「いるわけがなかろう。これは私の、世界を守るための戦いだ」
「ですよねー」
予想通りの展開に肩をすくめつつ、燦は視線を明後日の方に向けた。
「後は警察にと思ってたけど然るべき組織が来てくれたみたいでね? そっちに全部任せるとしますかね」
成功
🔵🔵🔴
政木・朱鞠
別にあの三下とは何の義理もないさ…むしろ、私に縁があるのはあなたの方なんだよね…。
死の味を覚え闇に堕ちた危険な咎人とはいえ、里のお伽話で語られる英傑に逢えるなんて光栄だよ。
邪な欲望を満たすために非道を行なう悪い先輩はその歪んだ心ごと斬り伏せてあげるよ…お覚悟よろしくって?
戦闘【WIZ】
長年追っていたターゲットの一角に手が届くこの大チャンスを逃すわけにはいかないもんね…。
もちろん、強敵相手にリスクは負わないなんて安い賭けじゃ済まないよね…。
せめて『忍法・鋳薔薇姫』でほんの数秒だけど動きを封じて隙を作って、得物は急所へ迫るための手数を狙って双刃『狐剃刀』をチョイスして【鎧砕き】や【鎧無視攻撃】の技能を使いつつ【傷口をえぐる】【生命力吸収】の合わせで間を置かずダメージを与えたいね。
アドリブ連帯歓迎
「別にあの三下とは何の義理もないさ……むしろ、私に縁があるのはあなたの方なんだよね……」
自分にしか聞こえないほどの小さな声で呟き、1人の妖狐が歩み寄る。
「初めまして犬村大嚇。次期頭主候補が筆頭、政木朱鞠よ」
「政木……なるほど、確かに『然るべき組織』だ」
名乗った覚えのない名前を呼ばれたことに目を見張った女性———大嚇は続けて告げられた朱鞠の姓を聞いて納得したように不敵な笑みを浮かべた。
古来より邪な異世界の住人と結託する組織や闇の勢力を討つために組織された忍者軍団の一門の1つ、犬村家に産まれた大嚇は幼少期から両親に虐待されて育った。
しかし実の両親は彼女がまだ物心がつかぬうちにデウスエクスに暗殺されており、虐待を行っていた育ての親は殺した相手の姿を模して組織に潜入していた親の仇であった。
デウスエクスが化けた偽物だったと偶然知った彼女はその日のうちに2人を討ち取り、仇討ちを成した。
しかし共同訓練などで大嚇への冷遇や痣の存在を知りながら何の対処も行わず、デウスエクスに潜入されていたこと自体気づいてなかった組織との間には修復不可能なまでの溝が開いており、大嚇は追手が差し向けられる危険を承知の上で自ら組織を抜けた。
この出来事は「無関心が時に大きな過ちを招く」という教訓として組織の家に生まれた者達全員に語り継がれている。……これが|表向き《・・・》の話だ。
「死の味を覚え闇に堕ちた危険な咎人とはいえ、里のお伽話で語られる英傑に逢えるなんて光栄だよ」
しかしその実態は|両親の仇《デウスエクス》を徹底的に甚振り、公然の場で命乞いをさせてから惨たらしく殺し、それだけ止まらず家の使用人や共同訓練に同席していた教官、同胞までも殺傷して追われる身になった咎忍だ。
この世界を平和にだとか、自分が抑止力になるとか宣っているが、それらはどうせ後付けの理由。
ここにいるのは無関心が生んだ哀れな復讐鬼ではない。甘美な復讐の味に依存したただの快楽殺人鬼だ。
「邪な欲望を満たすために非道を行なう悪い先輩はその歪んだ心ごと斬り伏せてあげるよ……お覚悟よろしくって?」
鋼の糸を断ち切った大嚇が片膝をつく形で着地する。長年追っていたターゲットの一角に手が届くこの大チャンスを逃すわけにはいかない。
しかし教官どころか曲がりなりにも一族の当主を倒したデウスエクスを惨殺できた強敵相手にリスクは負わずに勝つなど、安い賭けじゃ済まないことも承知している。
「【忍法・鋳薔薇姫】」
故に長時間は発動できない、自らの身を削る奥義を朱鞠は一番手に持ってきた。
クリスマスから年末年始にかけて行われるイルミネーションで伸びた大嚇の影を朱鞠が踏んだ瞬間、あらゆる攻撃的行動を抑圧する金属鎖状の触手が大嚇の動きを封じつつ十指から伸びる爪をへし折っていく。
『ちょっとの間だけ、大人しくしていてくれるかな……』
そして急所へ迫るための手数を増やすために朱鞠は一対の双刃・狐剃刀を抜き払い、一気に距離を詰めて切りかかる。
すでに手甲を壊され、肌の露出面が多くなっていた大嚇の体から血が迸る。しかし自傷ではなく他傷でついた物には十分な魔力を込められず、周囲の生命体を自分に都合が良いように行動させることは出来ない。
万が一操れたとしても、鋳薔薇姫の鎖が攻撃の命令を喚くことを防ぐために口に巻きついていただろう。
「一応世間様を納得させるために『虐待されていた』ってことにしてるけど、あなたより厳しい修行を受けた人は組織にごまんといるわ。もちろん私もよ」
もし犬村家を潰すだけなら、大嚇を訓練に出す前に虐待で済まないほどの暴力を与えてさっさと殺せば済んだ話だ。
ならなぜあのデウスエクス達は大嚇を生かしたのか。……それについては大体の予測がついている。
デウスエクスの狙いはお家乗っ取りではなく「大嚇を復讐の鬼にする」ことこそが本命で、本人が普通の訓練を虐待だと思い込むように教育し、自分達が大嚇の標的の1番手となって殺されるまでが計画の内だったら。
「確かにあなたはデウスエクスではない。でも、デウスエクスが作り出した立派な尖兵よ」
朱鞠の命の灯火が蓋され消える前に鎖が引っ込んだことで大嚇は自由を取り戻す。
「あなたは育ての親の望み通りにこの世界を引っかき回した。口では憎い憎い言ってるくせに、なんて孝行娘なのかしらね」
「ふざ、けるなぁ!」
自分が断ち切ったはずの鎖に未だに囚われているという挑発に乗せられ、丸腰のまま突っ込んできた大嚇の胸に大きな罰印がつけられる。
様子見の浅い切り傷とは違い、臓器にまで達する深い一撃の痕からは一滴二滴程度では済まない量の鮮血が噴き出し、大嚇は口を開けたまま倒れ伏した。
「あれだけ他の人達に削られてたのにこんなにまだ動けるなんて……とっておきをさっさと切っておいて正解だったわ」
だらしなく伸ばされた死体の手の先には、脂肪を貫いて心の臓にまで届くのに十分な長さの爪がすでに生えていた。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『十二剣神『原罪蛇メデューサ』』
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POW : 蛇蛇獄魔獄狡兎殺
【全身から染み出す「超次元の蛇」】で近接攻撃し、与えたダメージに比例して対象の防御力と状態異常耐性も削減する。
SPD : 朧朧蛇蝎奇霊夜行
自身が対象にとって未知の存在である限り、通常の行動に追加して「【広域感染型の金縛り】」「【鎮火できず永遠に追尾する鬼火】」の心霊現象を与える。
WIZ : 歓歓禍禍大虞呪咒
【底知れぬ恐怖をもたらす笑い声】を放ちダメージを与える。命中すると【「おそれ」】を獲得し、自身が触れた対象の治癒or洗脳に使用できる。
イラスト:カス
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
恐怖とは、栓をつけられない風船のような物だ。
供給があり続けば無尽蔵にいくらでも増え、無くなった瞬間に萎みながら明後日の方向へ飛んでいく。
ケルベロスディバイドを騒がせていた連続殺人犯が討たれたことは絶対に夜のニュースのトップで流される。今作り出された「おそれ」の風船が最大の大きさであるのは今、この瞬間まで。
「呼呼呼、しもべ達が呼んでいる……爻爻爻、ならばそろそろ収穫にゆこう」
愛し子の「おそれ」だけでは足りないが、愛し子に討たれたしもべが感じた「おそれ」も加えれば触媒にはなるだろう。
「無無無、いらない、私に|小剣《グラディウス》はいらない。咒咒咒、愛し子が『おそれ』を抱くなら、私はそこに現れる」
愛し子の世界では間もなく「年」が終わるという。全力を出すには足りないが「ご挨拶」をするには十分だ。
「禍禍禍、誰にも、誰にもやらぬ、愛し子達は皆私の飯なのだから」
十二剣神「原罪蛇メデューサ」は虚空に伸ばした両手を握って強引に裂け目を作る。
そして身を乗り出して、年末の浮かれた空気に乗せられた愛し子を食らうべく顕現した。
バーバラ・ナノシュタイン
アドリブ/連携可
決戦配備:ジャマー(笑い声を打ち消す)
「こっちも色々忙しいから早く帰って。てか帰れ」
医療ノコギリで斬撃波を放つ。確かに傷を与えたことを確認。
敵の笑い声に一瞬恐怖を感じ、耳を塞ぐ。と、敵の傷が塞がっていることに気づく。
(あの笑い声はこちらに恐怖心を起こさせる。その恐怖心を糧に傷を回復した?それなら)
「ったく、煩い笑い声ね。やってちょうだい」
街中に仕込まれたスピーカーから敵の笑い声を打ち消す周波数の音を流す。
「タネの割れた|奇術師《マジシャン》なんて大したことないのよ」
UC発動。めろめろになった隙に懐に飛び込み、医療ノコギリの部位破壊で喉を引き裂く。
「これでもう笑えないでしょ」
何の変哲もない街並みが突然裂け、狭間からメデューサが顔を出す。
大嚇による今宵の騒動の後始末の最中、その姿を偶然にも真っ先に捉えてしまったバーバラは、面倒くさいイベントが追加されてしまったと眉間に皺を寄せて冷たくあしらった。
「こっちも色々忙しいから早く帰って。てか帰れ」
医療ノコギリで斬撃波を放てば、メデューサの肌に傷がつく。何もしてないのに会って早々牙を剥いてきた愛し子に、メデューサは愉しげに笑い始めた。
「禍禍禍、禍禍禍、禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍!」
メデューサの笑い声に恐怖を感じ、バーバラは耳を塞ぐ。しかし目は閉じておらず、メデューサについていた傷が塞がっていくことに気づいた。
(あの笑い声はこちらに恐怖心を起こさせる。その恐怖心を糧に傷を回復した? それなら)
「ったく、煩い笑い声ね。やってちょうだい」
耳を塞ぎながら通信機越しにジャマー隊へ指示を出す。すると有事に備えて街中に仕込まれたスピーカーからメデューサの笑い声を打ち消す周波数の音を流され始めた。
「タネの割れた|奇術師《マジシャン》なんて大したことないのよ」
耳から羽を離せばスピーカーから発せられる大音量の音で鼓膜が吹っ飛びそうになるが、構わずバーバラは胸のハートから光線を発する。
それを食らったメデューサが自分にめろめろになった隙に懐に飛び込み、医療ノコギリで喉を引き裂いた。
「これでもう笑えないでしょ」
喉を押さえ、パクパクと口を開け閉めしたメデューサは頭が真っ二つに裂けそうなほど口角をつり上げると最寄りにあったスピーカーを叩き壊す。
その破片で傷ついたはずの手は喉と一緒にじわじわと治っていく。
「咒咒咒、愛し子が『おそれ』を抱く限り、私が傷つくことはない」
未だにあるスピーカーに打ち消されないよう、地を這うような低音で告げたメデューサが身をより出している狭間はほんの少し小さくなったように見えた。
成功
🔵🔵🔴
月隠・新月
愛し子と呼ぶ対象を喰らおうとするとは、さすがは十二剣神。悍ましい限り。
決戦配備・メディック要請。人々の避難をお願いします。
オルトロスチェインを使い【猟犬縛鎖】で敵を捕縛しましょう。敵の心霊現象は通常の行動に追加されるもの、行動を抑制すれば効果を抑えられるでしょう。
とはいえ完全に抑えるのは難しそうです。金縛りで動きが制限されそうですし、鬼火は受けましょう。逃げて周りに被害を広げるよりはマシです。
俺の【火炎耐性】で耐えきれればいいのですが……鬼火を喰らうことも視野に入れておきましょう(【魔喰】)
一番いいのは敵を未知の存在ではない状態にすることですね。【魔力吸収】を行って魔力を分析してみましょうか。
「愛し子と呼ぶ対象を喰らおうとするとは、さすがは十二剣神。悍ましい限り」
十二剣神の到来という非常事態を前に、新月はより広い範囲の避難をメディック隊に依頼する。
先程の女とは違い、メデューサがもたらす被害は一区画では済まされない。しかもここで自分達が止めなければ倍々ゲームで増えていく「おそれ」でどんどん真の力を発揮してしまう。
ならば自分達の支援を行ってもらうよりも「おそれ」が生まれるまでの時間をギリギリまで稼ぐことを選択したのだ。
ご武運を、という言葉と共に切られた通信機から顔を上げると両手を広げたメデューサの周りから青白い火の球が大量に湧き上がった。
『殖え、絡め、滲む。神をも縛り、神をも侵す』
魔力によって操作される、伸縮自在の黒き鎖がメデューサの体を捕縛する。
しかし本体が雁字搦めにあっても鬼火はひとりでに動き出し、周囲の建物に引火しながら新月にも襲いかかってくる。
メデューサが放つ圧によって体が強張っているのを感じていた新月は無理に逃げて周りに被害を広げるよりも、その場で受け止めることを選んだ。
完全に抑えることは難しそうだとは、十二剣神の名を冠している時点で察しがついている。
ここで一番いいのはメデューサを未知の存在ではない状態にすること。あの火の球から魔力吸収を行って魔力を分析すれば、未知の敵を相手取ることへの「おそれ」は発生しなくなるはずだ。
「ガ、アッ……!」
激突した火の帯が新月の全身を焼く。持ち前の火炎耐性のある毛皮が燃え尽きることは無いが、火の球がもたらした灼熱が肌を引き攣らせ、口に含んだ炎が喉を焦がす。
しかしそれでも新月は自分の周りに蔓延る鬼火を喰らい続ける。
「歓歓歓、内も外もこんがり焼けなさい、ちょうどいい焼き加減で止めて、美味しく喰らってあげるから」
剥ぎ取られないように肌に食い込ませた鎖の先端にある刃から神殺しの毒が注ぎ込まれているにもかかわらず、メデューサは心底楽しみそうに笑っている。
反射的に憎まれ口を叩こうとした途端、吸い込まれた空気が発声器官を焼き、激しく咳き込んでしまう。そのため、咽せて涙が浮かんだ目で睨みつけるのが精一杯だった。
苦戦
🔵🔴🔴
四王天・燦
先ほど仕置したねーちゃんより生命として綺麗な輝きしているねと口笛一つ
さて喰わなきゃ腹は減ると分かってやれるが喰われてやるわけにもいかね
|狐狐狐《コココ》、生存競争といきますか
金縛りがきっついな
ある程度は呪詛耐性で耐える
神鳴で鬼火を切って受け流すけど追尾されりゃ足は動かんしこんがりアフロですわ
火炎耐性で辛抱しつつもローストフォックスになりながら、原罪って何なのか問うてみよう
アタシにとって恐怖ではなく好奇心がメデューサを未知たらしめているんだわ
知恵を与え家畜を人間に昇華したことが罪なのか
愛することは罪なのか
愛と知恵をくれたことが原罪と思わない
空腹だって生理現象だ
姿形や能力まで見切り、彼女の本質を愛と豊穣と独占欲と捉えりゃ未知はない
アタシは原罪を赦すぞ
蛇髪や蛇身の打ち据えを残像を囮に最小限の動きで開始しながら神鳴を納刀して悠々自適に力溜めし抜刀一閃
断理の剣の衝撃波で斬るぜ
ちと痛いけど自傷して倒れたメデューサに血を注ぐよ
死なれる前に少しくらいは満たしてあげたい
愛し子たちの生きるこの星で眠りな
「先ほど仕置したねーちゃんより生命として綺麗な輝きしているね」
縛られてもなお余裕の構えを見せるメデューサの姿に燦は口笛一つ鳴らす。
「さて喰わなきゃ腹は減ると分かってやれるが喰われてやるわけにもいかね。|狐狐狐《コココ》、生存競争といきますか」
メデューサの笑い方を真似しながら、燦は神鳴を抜いた。
メデューサが笑い、嗤い、破顔う。すると新たに浮かんだ鬼火が全方位に向かって放たれる。
「金縛りがきっついな……!」
ある程度は持ち前の呪詛への耐性で耐えられるが、物には限度という物がある。
神鳴でひたすら迫り来る鬼火を切って受け流していた燦であったが、思うように足は動かない上に炎は延々と追尾するように迫ってくる。
そして手にまで痺れが及んだ瞬間、燦の体は払い切れなかった鬼火に包まれた。
ローストチキンならぬローストフォックスになっていくのを感じつつ、最小限の動きで神鳴を納刀し、袖で口に炎と煙が侵入しないように塞ぎながら燦はメデューサへ叫び、問いかける。
「なあメデューサ、お前にとって原罪って何なんだ?」
知恵を与え家畜を人間に昇華したことが罪なのか、愛することが罪なのか。
その問いかけに、メデューサは律儀に答えた。
「虞虞虞、愛し子の罪は、知恵の果実を喰らったこと。摩摩摩、それは私が命じたから、喰らう為に愛したから。正正正、これが私の答え、愛し子の罪」
愛と知恵をくれたことが原罪と思わない。
空腹だって生理現象、姿形や能力まで見切り、メデューサの本質を「愛と豊穣と独占欲」だと捉えれば未知ではない。
燦にとっては恐怖ではなく「好奇心」がメデューサを未知たらしめていたのだ。
「なら、アタシは原罪を赦すぞ!」
一方的に赦されたメデューサは愉快そうに笑いながら自分に巻きつく鎖を引きずりながら大きく腕を振りかぶって燦の体を潰そうとする。
しかしずっと捉えていた燦の姿は残像であり、凹んだアスファルトに血溜まりは出来上がらない。
メデューサを一方的に理解したことで金縛りと鬼火から開放された燦は長い髪の毛をチリチリにさせながらもメデューサの姿が見える位置に陣取る。
問答の間に十分な量の闘気と妖力は悠々自適に溜め切った。
『此れなるは森羅万象、即ち理を断つ剣。御狐・燦の全霊を込めて――斬る!』
抜刀一閃、断理の剣の衝撃波がメデューサの頭と左腕を切り裂いた。
「破破破、お前のユーベルコードは、素晴らしい! 感感感、私の体に、これだけ大きな傷をつけるとは!」
地面に転がったメデューサの頭が笑う。燦は自ら鬼火で焼け焦げた表層の肉を神鳴で抉り取ると、溢れ出るように出てきた血をその口に流し込んだ。
「せっかく来たんなら少しくらいは満たしてやるよ、よければ愛し子たちの生きるこの星で眠りな」
「禍禍禍、非常に美味である。無無無、でもいらない。非非非、私はこの程度では死なない」
頭部を取られたにも関わらず、左腕を受け止めていた右手が断面同士を貼り合わせる。すると傷口がそもそも無かったかのように消滅した。
片腕から両腕に戻したメデューサの胴体が燦の血で唇を彩った頭部を両手で拾い上げ、首と接着させる。
「……まじかい。それなら冥土の土産にって傷を広げるんじゃなかったぜ」
血を短時間で大量に流したことによる立ちくらみで燦は膝をつく。
大物か馬鹿者か判断しかねるその立ち振る舞いに、メデューサは笑いながら狭間から飛び出ている自らの立ち位置を修正し出した。
成功
🔵🔵🔴
政木・朱鞠
十二剣神『原罪蛇メデューサ』、貴方には悪いけど歪んだ収穫祭なんて面白くないからね…中途半端な熟し具合でも「おそれ」の果実のお裾分けすらもあげないよ!
残念ながら、無作法な異神様には骨折り損のくたびれでお帰りして貰うよ…。
戦闘【POW】
今度は十二剣神か~…まあ、強敵との連闘に命を賭けるのもまた一興…。
決戦配備はクラッシャーを要請、思いっきりミサイルの火力で押し切る脳筋系で派手に叩いてもらおうかな?
一気に相手を討つために『忍法・禍神合身』で能力の底上げして全力でぶつかって行くよ。
得物は急所への【貫通攻撃】を狙って刑場槍『葬栴檀』をチョイスして【鎧砕き】や【鎧無視攻撃】の技能を使いつつ【傷口をえぐる】【生命力吸収】の合わせで間を置かずダメージを与えたいね。
アドリブ連帯歓迎
「今度は十二剣神か~……」
裏切り者の大嚇を討ち取って一息つきたいところに現れたメデューサの姿に朱鞠は思わず天を見上げる。
「まあ、強敵との連闘に命を賭けるのもまた一興……残念ながら、無作法な異神様には骨折り損のくたびれでお帰りして貰うよ……」
苦笑いしつつ、咎人の体を確実に貫くために長く鋭い形状になった長槍を取り出して構える。
「十二剣神『原罪蛇メデューサ』、貴方には悪いけど歪んだ収穫祭なんて面白くないからね…中途半端な熟し具合でも『おそれ』の果実のお裾分けすらもあげないよ!」
そこに要請を受けたクラッシャー部隊によるミサイルの雨霰がメデューサへ直撃する。
派手ながらも単純に重い火力で思いっきり押し切らんとする脳筋系の打撃にメデューサはどこからともなく取り出した短剣片手に笑い出す。するとメデューサの全身から血や汗の代わりに超次元から呼び出された蛇が流れ始めた。
「禍禍禍、しもべ達よ私に飯を、愛し子達を運んでおくれ、いくらでも仔を産んでやろう」
メデューサの演説を認識した蛇達が毒で湿った牙を見せつけながら這いずり寄ってくる。
「『命を削るスリルを楽しむ訳じゃないけど…ここが使い時だからしょうがないよね…。』【忍法・禍神合身】」
数を増やしてきた相手を一気に討つために朱鞠は異空間に封印した危険極まりない禍神を自らの身におとす。
「はは、あはははは!」
そして急激に湧いてきた闘争心に身を任せ、朱鞠は蛇の頭の後ろ辺りを的確に貫いていく。それだけで蛇達は皆絶命し、抵抗して槍に絡みついたり全身を振り回したりして攻撃の邪魔をすることはなかった。
「苦苦苦、しもべ達が死んでゆく。褒褒褒、それでこそ、食べ応えがあるという。非非非、それでも私には及ばない」
メデューサの体を守るように蠢く蛇諸共、葬栴檀の刃が貫く。しかしついたばかりの傷から新たな蛇の群れが噴き出した。
至近距離にいた朱鞠はすぐさま槍を引き抜いたが突いた瞬間に現れたその奔流に応戦が間に合うわけがなく、蛇の群れが立て続けに防具のない露出した肌に噛みついていく。
防御力と状態異常への耐性を弱める毒が朱鞠の全身に注がれ、回っていく。しかし今の朱鞠は朱鞠であって朱鞠ではない。
「まさかその程度で、私を止められると思ってるの?」
全く毒など効いていないかのような態度で朱鞠は蛇の頭を鷲掴んで強引に剥ぎ取り、力任せに握り潰す。その動きは噛まれたことに対する激痛でのたうち回るはずの愛し子の姿からは遠くかけ離れていた。
そんな勇ましき立ち振る舞いにメデューサは口角をつり上げ、ゆっくりと手を伸ばしてくる。
合体を解除した後にやってくる後遺症のことなど頭の片隅からも追い出した朱鞠は正面からその掌を貫き、押し返した。
「撃てー!! 効かぬなら効くまで撃てー!!」
装填が終わったクラッシャーによる砲撃が再開され、視界が灰色の煙に包まれる。メデューサはその煙たさに咳き込むことなく、槍を抜いて姿を晦ました朱鞠の姿を手がかりなしで追い求めた。
成功
🔵🔵🔴
皐那・薫
◉アドリブ・味方との連携歓迎します
ようやく蛇の頭がお出ましですかぁ、こんな忙しない時期に来られると困るんですよぉ。
来て早々ですが、辰年に蛇は場違いですしお引き取り願いましょうねぇ。
ポジションはスナイパー。金縛りで動けなくなった時や笑い声を発動しそうになった時、狙撃で一瞬でも妨害する助力を求める。
攻撃は怪刀での【切断】や、妖刀の【鎧無視攻撃】を込めた「死狂」で回復封じ。危険と感じたら【武器受け】【残像】で回避、【火炎耐性】で鬼火対策。
自身や味方の攻撃が当たりダメージを与えられるたびに、未知の恐怖が同等の敵へと【落ち着き】【集中力】を持って認識させる。痛みがあるなら私たちと一緒で殺せますよねぇ?
「ようやく蛇の頭がお出ましですかぁ、こんな忙しない時期に来られると困るんですよぉ。来て早々ですが、辰年に蛇は場違いですしお引き取り願いましょうねぇ」
忌々しさを隠そうともしない薫が煙の中から飛び出し、メデューサへ躍りかかろうとする。
「禍禍禍、禍禍カッ!」
臆することなく向かってくる愛し子達の姿を前に笑い出したメデューサが突然身を反らせて、息を切った。
「……いくら煙に包まれたって根元さえ動いてなきゃ大体の位置は予測出来んだよ」
スナイパー隊が作り出した隙を突き、薫は刹那的快楽に飢えた妖刀でメデューサの胸から腹までを切り開き、自らの身に刻んで覚えさせる怪刀で伸ばしてきた手に生えた指を撫で切る。
メデューサは痛みで身を捩らせることなく淡々と地面に転がった指を拾い上げて掌にくっつけていく。一方で胸から腹にまでかけてついた傷は腐敗と再生を繰り返していた。
「奇奇奇、愛し子よ、その刀のせいか?」
地面に着地した薫はその問いに答えない。……否、答えられなかった。
口は勝手に強張って、喉は声帯を震わすことなく空気だけを発し、踏み出したいはずの足は一向に前に進まない。
そんな背中に強烈な衝撃が襲った。
「金縛りで動けなくなったらぁ、妨害してくれって頼みましたけどぉ……これはないですよぉ」
強烈な痛みに顔を歪ませた薫は当たった箇所を摩りつつ、地面に転がったゴム弾を睨みつける。ケルベロスが耐えられるのだから猟兵も耐えられるだろう、と楽観視しすぎではなかろうか。
そう憤ってる間に治癒力が妖刀の毒を上回り始めたメデューサが大量の鬼火を生み出してゆっくりと周囲に撒き散らし出す。
正面から受けた同胞達の苦しむ様から危険だと感じた薫は残像を作りながら一気に後退するが、すでに放たれた物によって炎上した建物から散った火の粉がその頭上に降りかかってきた。
「痛みがあるなら私たちと一緒で殺せますよねぇ?」
未知の恐怖への評価が同等の敵へと落ち着かせ、集中力を持って認識した薫はそれらを両手にそれぞれ握った刀で振り払い、熱気を全く感じてないように振る舞う。
「禍禍禍、禍禍禍、禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍禍!」
メデューサは薫の言葉に腹を抱えて笑い出す。そして落ち着いたところで髪に隠れて見えない目の辺りを拭った。
「禍禍禍、愛し子よそれを言える胆力があると分かっているから、私はずっと見守れたのだ」
成功
🔵🔵🔴
皇・絶華
決戦配備
キャスター
メドゥーサの動きを止める封印術式を要請
…ああ…そうか…お前は人類を愛し子と呼ぶのか…!(感涙している
私は理解したぞメドゥーサよ!(きらきらおめめで見ている
お前は…人類の為の糧…即ち!私のチョコの材料になってくれるという事だな!(恐るべき狂人が此処にいた
UC準備開始
【戦闘知識】
敵の動きと超次元の蛇の攻撃パターンを把握
【第六感・空中戦・薬品調合】
飛び回りながら直感で回避しつつパワーあふれるぜっちゃんチョコを摂取して耐性強化
【二回攻撃・切断・バーサーク・念動力・弾幕・乱れ打ち】
念動光弾を撃ち込みつつ距離を詰めTCで怒涛の猛攻を仕掛け
UC発動
【爆破】
容赦なくチョコを捻じ込み捻じ込み
「……ああ……そうか……」
突然滂沱の涙を流して感動する絶華にサートゥルヌスは思わず二度見する。
「お前は人類を愛し子と呼ぶのか……!」
涙で潤んだだけとは言えないほどのきらきらおめめで一点を見つめ、絶華は叫んだ。
「私は理解したぞメデューサよ! お前は……人類の為の糧………即ち! 私のチョコの材料になってくれるという事だな!」
その言葉を一言一句聞き逃さなかったメデューサが笑い声を止めて固まる。
「ゼッカ? イマナント?」
同じく思考を停止させたサートゥルヌスがカタコトで問いかけると、絶華は感無量の面持ちで胸に手を当てた。
「チョコの材料になるためにメデューサは顕現してくれたのだろう? チョコにブランデーを入れるのは割とポピュラーだ。ブランデーがいけるなら当然ハブ酒もいけるだろう、ハブ酒を混ぜたチーズケーキが売られていることだしな。唯一懸念点とするならハブとデウスエクス、蛇の種類は違うことだが……まあ、なんとかなるだろう!」
この場にいる者達は皆察した。恐るべき狂人が此処にいることを。
そんな絶華の背後から茶色い植物の芽が生えてくる。しかし1人と1機がちょうど壁になっていてメデューサの位置からその存在は見えない。
だがとにかく嫌な予感だけはしたメデューサはすでに展開していた蛇達を絶華達の元へ差し向けた。
チョコのことで頭が一杯になっていても、メデューサの動きと蛇の群れの攻撃パターンをしっかり把握していた絶華は蛇の牙が届かない高度まで飛び出すとメデューサが苦無のように投じてくる蛇も直感で回避しつつ、超高濃度カカオと漢方が配合されたお手製チョコを頬張り、パワーをチャージする。
そして念動光弾を撃ち込むことで蛇を撃ち落としつつメデューサの視界を遮ったところで絶華は距離を詰め、TCで怒涛の猛攻を仕掛けた。
しかしメデューサの体についた傷はすぐに塞がり、材料として使えそうなほどの収穫を得ることは出来ない。
「メデューサよ申し訳ない、今の私ではお前を調理するには力不足のようだ。だからその代わりに手持ちにあるとっておきのチョコを試食してくれ! 遠慮はいらんぞ!」
心底申し訳なさそうに謝ってから、名誉挽回とばかりに絶華が叫ぶ。
すると蛇だった肉片に取り囲まれていた謎の植物が自らメデューサの口に飛び込んでいった。
舌に触れた瞬間、地獄のような味が口内と喉を駆け巡り味覚が破壊される。メデューサが声にならない悲鳴を上げる中、胃にまで達した植物は消化液に反応して爆発した。
そんな代物のどこがチョコなのだとサートゥルヌスはハイライトの消えた目で天を見上げる。
一方で口から煙を吐いて失神したメデューサの様子を、あまりの美味に絶頂したのだと好意的に解釈した絶華はさらに上機嫌になった。
大成功
🔵🔵🔵
レラ・フロート
ケルベロスからDIVIDEへ
「クラッシャー」を要請します!
全力で勝利を掴む、気力で負けられないもの
原罪蛇様
私は元連合軍所属のダモクレス、レラです
地球の人達を守り抜くを使命を胸に、いざ勝負です!
相手の全身から染み出す蛇に細心の注意を払い、
エネルギー充填からの斬撃波で少し遠い間合いをキープし攻撃
ヒットアンドアウェイで戦っていくね
それでも逃げきれず、捕まることがあるとしても
完全でない「おそれ」であれば、
捕まっても脱出してみせるっ!
こう見えても怪力だし!何より、
人々に平和な年末年始を届けたいものっ
んんんんっ!
――振りほどいたら想いをめいっぱい込めた
《閃光烈波》を撃ち込むよっ
私のすべて、もっていけーっ!
「ケルベロスからDIVIDEへ『クラッシャー』を要請します!」
あの植物が一体何だったのかは分からないけど完全に魂が抜けている今こそ好機だと、レラは手に持った無線機に大声で呼びかける。
全力で勝利を掴むためには、気力で負けてはいられないもの。だからこそ小声でも通じると分かっていても全力を出していく。
そうして放たれたクラッシャー隊の砲撃で意識を取り戻したメデューサに向けて、レラは胸を叩いて言い放った。
「原罪蛇様、私は元連合軍所属のダモクレス、レラです。地球の人達を守り抜くを使命を胸に、いざ勝負です!」
「苦苦苦、ダモクレス、愛し子に寝返ったしもべよ。非非非、しもべはしもべが、食べなさい」
メデューサから譲られたことに歓喜するように大量の蛇の群れが押し寄せてくる。
レラは細心の注意を払い、エネルギーを充填し終えた剣から放つ斬撃波で少し遠い間合いをキープしつつ、ヒットアンドアウェイで戦っていく。
しかし一方向だけではなく全方位から輪をジリジリと狭めるように近づいてくる群れに逃げ道はどんどん塞がれていく。まだ鬼火で焼け落ちていない壁を足がかりにして空に逃げても重力を全く感じさせない挙動で直角の壁を登ってくる。
そうして屋上にまで登り詰めたレラの着地した先には、階段かエレベーターを使って先回りしていた蛇達が待ち構えていた。
レラは反射的に床を蹴って飛び降りようとするが蛇が巻き付く方が速く、力任せに屋上へ引き戻される。
そして蛇達は人肌のようにしか見えない金属製の体に向かって毒を帯びた牙を次々に突き立てていく。牙は折れることなくまるで豆腐に箸を刺し入れるように入り、どんどん内部から劣化させていく。
「完全でない『おそれ』であれば……捕まっても脱出してみせるっ! こう見えても怪力だし!」
そう叫びながらレラは屋上を転がって周りで蠢いている蛇を轢き潰し、なおもしがみついてくる物の頭部を掴んでは強引に外してそのまま握り潰す。
「何より……人々に平和な年末年始を届けたいものっ、んんんんっ!」
最後の一匹を振りほどいたレラは間近に見えるメデューサを向きながら力を込める。
「私のすべて、もっていけーっ!」
そしめ想いをめいっぱい込めた全身全霊の閃光のオーラがメデューサの姿を一時的にかき消した。
成功
🔵🔵🔴
ロウガ・イスルギ
アドリブ・連携歓迎
アイサツが大事ってのは同意だが……ソレ以外はお断りだ!
決戦配備はスナイパーで距離を取って支援してもらおう
近付かせるにはヤバい雰囲気だし、な
超次元の蛇は【残像】【早業】にて回避、【カウンター】で反撃だ
ガンディーヴァによる【誘導弾】、グレイプニルの【ロープワーク】
【怪力】による捕縛拘束、牽制で場のペースをこっちの物にしていくぞ
只のワイヤーと思うなよ?俺が「|命《銘》じ」たらコイツは
神話の武器になる……『|貪る者《グレイプニル》』ッ!!
頃合いを見てアイテム「ZIカード」に収納していた「ムゲンストライカー」を展開し搭乗
どうせならこのまま年末の大掃除と行こうか、出番だぜ!
俺の愛車、いや相棒!
|降臨《Calling》!ムゲンストライカー!!
未来型戦闘機を思わせる|特攻形態《mode:Rushing Attack》に変形飛行し
体勢が崩れた敵をUC超鋼砕破にて仕留めて行こう
最期に教えてやる、|巳《ヘビ》年は再来年だ。フライングお疲れさン!
あばよ!!
「近付かせるにはヤバい雰囲気だし、な」
どんどん押し寄せてくる蛇の群れを的確にスナイパー隊が撃ち抜いていく。
そうして足の踏み場が無かった群れの合間に出来た空白地帯へロウガは残像を作りながらグレイプニルを用いたロープワークも駆使して飛び移っていく。
ピット器官によって時が経つにつれて冷めていく残像と温かいままの本物を見分けることは出来ても、出来た直後に即座に判断して追いかけ続けることは難しい。
それでも偶然近くにいたなどで本物に襲いかかれた物もいたが、傭兵生活の中でジャングルを進んでいた時に経験した毒蛇への対処を応用して振るわれるロウガの怪力によって返り討ちにあった。
「アイサツが大事ってのは同意だが……ソレ以外はお断りだ!」
さらにガンディーヴァによる誘導弾での牽制で場のペースをこちらの物にしていく。
「只のワイヤーと思うなよ? 俺が『|命《銘》じ』たらコイツは神話の武器になる……『|貪る者《グレイプニル》』ッ!!」
そしてフィナーレとばかりに振り回されたグレイプニルは遠心力によってその長さをどんどん大きくさせ、地を這うように薙ぎ払われたそれで蛇達を一掃させてみせた。
周囲に動ける蛇がいなくなったところでロウガはZIカードを掲げる。
「どうせならこのまま年末年始の大掃除と行こうか、出番だぜ! 俺の愛車、いや相棒! |降臨《Calling》! ムゲンストライカー!!」
すると光り出したカードの中から、はるかに巨大なUFOが飛び出してきた。
『Change mode:RA』
ムゲンストライカーはひとりでに未来型戦闘機を思わせる|特攻形態《mode:Rushing Attack》に変形し、ロウガの隣に横づける。
ムゲンストライカーに飛び乗ったロウガはメデューサに向かって投げつけたスレイプニルがメデューサの体に引っかかったのを見届けてから持ち手をコクピットに引っ掛け大きく迂回する。
「亜亜亜、強引であるが、それでは私の体はちぎれない」
先程まで見せていた伸縮性はどこへやら、急に固くなったスレイプニルに引っ張られメデューサの体が近くにあったビルに軽くぶつかる。しかしロウガの狙いはメデューサの体を傷つけることでも引きちぎることでもない。
『ロックオン完了!ブッ飛ばせ相棒!的がデカけりゃデカい程当てやすいってモンだ!!』
体勢が崩れたのを見てロウガはムゲンストライカーを急旋回させ、メデューサの巨体に体当たりを仕掛ける。
張っていた鎖が緩んで体を起き上がらせられるようになった時にはもう戦闘機は目前に迫っていた。
「呼呼呼、しもべ達よ、私を守れ」
蛇達がメデューサの全身に巻き付いて急拵えの鎧を形成するが衝突の衝撃を緩和し切ることは出来ず、メデューサは裂け目の中に全身をすっぽりと入れてしまう。
猟兵達の猛攻によって傷ついた体を治すために消費されていた「おそれ」はとっくのとうに尽き果てていて、メデューサの体が挟まることで何とか形を保っていた裂け目は急激に萎んでいき、メデューサの姿が見えなくなっていく。
「最期に教えてやる、|巳《ヘビ》年は来年だ。フライングお疲れさン! あばよ!!」
そしてロウガはメデューサを地球に繋ぎ止めていた鎖を解いて巻き戻す。
悲鳴にも歓声にも取れる不快な笑い声は裂け目が閉じると同時に絶えると、辺りには台風一過の時のような静寂がやってきた。
だがメデューサの置き土産たる蛇の群れが未だにあちこちに蠢いている。
「さあて、第4ラウンドと洒落込むとするか」
ロウガはそれらを1匹残らず駆逐すべく、ムゲンストライカーから飛び降りてスレイプニルによる捕獲を開始した。
大成功
🔵🔵🔵
最終結果:成功
完成日:2024年01月05日
宿敵
『犬村・大嚇』
を撃破!
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