3
つちねこと新鮮生トマトのバーガー

#UDCアース

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#UDCアース


0




●トマト様が見てる
 雲ひとつ無い快晴の空の下では、今日も今日とて何ら変わらない風景が広がっている。
 肥沃な土に乾いた風、暦の上では春ではあるものの、まだまだ寒い日が続くだろう冷えた空気に包まれた畑に人の気配はない。昔は新鮮な野菜を届けていたのだろうが、放棄されてからもう数年が経っていた。
 だが、今その畑には青々と生い茂る赤い果実が鈴なりになっている。それは独特の濃い緑の匂いを漂わせ、今まさに収穫期といった様子だ。人の手が入っている様子が無いにも関わらずまっすぐと天に向かって生えるのは、一般的には夏が旬とされている美味しい野菜。

 にゃーん、にゃーん。

 どこからともなく聞こえる猫の鳴き声が、吹き抜ける風と混じって空へと伸びる。まるで平和な、何の変哲もない、どこにでもあるような風景がそこには広がっていた。
 ――畑の中央に鎮座する、全長およそ7メートルほどの巨大なトマトを除けば。

●冬のトマトは皮が硬いものがある
 目についた猟兵達を集めたユア・アラマート(ブルームケージ・f00261)が言うには、UDCアースにてこれから悪しき企みを実行しようとする邪教の拠点が予知されたらしい。具体的に何をするのかと言うと、人々をさらって来てトマトを食わせて洗脳し。更にはトマトを市場に流通させ、被害を拡大させようという企みとのこと。
 幸い予知が早期に行えたため、今から向かえば誘拐事件が起きる前に全てを片付けることができるという。

「まあ、ある程度予想はしていたが、その訝しげな顔を私に向けられても困る」

 予知をした当人が一番困惑しているのだと、被害者フェイスでユアは視線を逸らす。
 現場はとある廃村。数年前に最後の住人がいなくなっており、それまで管理されていた広大な畑も今では手付かずとなっているのだが、現在そこには大量のトマトが栽培されている。赤みが濃く、丸々として糖度も高い。
 本体は畑の中央に鎮座している巨大なトマトなのだが、その周辺を守るように大量のつちねこと呼ばれる怪異がうろついているので、まずはそいつらを蹴散らす必要がある。

「トマトとはいえかなり攻撃的な性質のようだから、甘く見ていると怪我をするぞ。ただトマトなので自分から動くことはできない」

 ものすごく当たり前のことを言われているはずなのだが、なんとも言えない気持ちになる猟兵達。つまり7メートル級のトマトに見守られながらつちねこを倒し、その後は7メートル級のトマトを倒さなければいけないということか。
 手のひらに浮かぶ月下美人の花弁が空間を裂き、現場への道を開きながらユアは思い出したように猟兵達を見る。

「今回もUDCの職員が色々と根回しをしてくれるようだから安心して戦うといい。片付いたら、彼らが情報収集のために運営している店に招待するそうだ。……それと」

 何か言いにくそうに口ごもり、数秒間黙り込むユア。しばらくして顔を上げた彼女は、なんとも複雑そうな表情を浮かべて、一言。

「つちねこなんだが、食べるとかなり美味しいらしい。それを聞いたUDC職員たちが興味を持ってな。あと、トマトも本体が倒されれば特異性が消失して普通のトマトになるから」

 えっ、食わされるの?
 そう誰かが口にするよりも早く、周りの風景は一気に寂れた廃村へと移り変わっていくのだった。


藍月
 こんにちは、トマト好きです。藍月です。
 今回はUDCアースにてジビエと無農薬野菜を楽しんでいただこうかと思います。

 第一章は大量のつちねこを退治するターンです。
 第二章ではトマトを収穫してください。7メートルの巨大トマトなので、攻撃時のトマト汁飛散にお気をつけを。
 第三章ではUDC組織が運営しているファーストフード店でつちねこトマトバーガーをお楽しみください。

 深く考えず楽しんで参加していただければと思います。それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
60




第1章 集団戦 『つちねこ』

POW   :    ちょこまかちょこまか
【超スピードで走った際に出来たカマイタチ】が命中した対象を切断する。
SPD   :    ささささーっ しゅばばーっ
【相手の脳波・筋肉運動・その他予備動作から】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ   :    ぬるりとだっしゅつ
【捕獲されない為に】、自身や対象の摩擦抵抗を極限まで減らす。

イラスト:sy

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●ぬるりと動く
 現場に到着すると、まず何よりも真っ先に赤々とそびえ立つトマトが視界を引き付けるだろう。インパクトがあまりに強すぎて、むしろトマトだという確認の気持ちしか出てこないほどにそれは違和感を持ちながらも風景に溶け込んでいる。不自然なはずなのに自然すぎて、少しばかり認識がおかしくなりそうだ。
 このトマト、気の弱い者は見ただけで発狂してしまうこともあるらしく。その影響が若干ではあるものの猟兵たちにも出ているようだ。ひとまず、あれの相手は後回しにするとして。

「にゃーん」

 まずは、その眷属らしき怪異の退治をしなくてはいけない。巨大トマトの周囲を取り囲むように栽培されているトマト、更にそれを守るかのように見つめてくるつちねこが、じわりじわりとその数を増やしながら近づいてくる。顔は可愛らしい猫の形をしているし、鳴き声も猫そのものなのだが首から下がどうにもおかしい。
 四足を持っているが動きは蛇にも似て、長い体をぬるりぬるりとくねらせるように撓ませて動く様は、なんというかこれもまた脳みそと常識と認識にダメージを与えてくる。
 早く片付けよう。そんな無言の思いを胸に、猟兵達は武器を握り直した。
太刀川・明日嘉
えぇ……なにこの生き物
顔だけ見ればかわいい……けど
いや、やっぱこれダメ!
うひゃあするっと動いた!
生理的に無理!

かわいい(?)見た目してても邪教関係だら?
なら、私の敵ね
とはいえ……ああもう、ぬるっぬるするっするして!
どうしたものかな

ユーベルコード――黒剣解放・桜
触れたものを崩壊に導く炭化した桜で、まとめて消し去ってあげる
斬ったり殴ったりは避けられちゃいそうだけど、これなら避けられないら

ここタバコ吸っていい?
だめ?



「いや、やっぱこれダメ!」

 太刀川・明日嘉(色を失うまで・f01680)が上げた声は、残念ながらとてもまっとうな感想だ。
 顔だけ見れば可愛いと思いきや、その可愛さではフォローしきれないほどの違和感を首から下に認めてしまえば、あとはもう負の面ばかりが目についてしまって離れない。目を逸らそうにも相手は敵で、黒い瞳と外界の間に立つメガネのレンズは壁になるどころかより明確に見たくもないものを見せてくる。
 具体的になにかといえば、長い体を匠に動かしするりと彼女の足元をすり抜けている所だとかだ。

「無理!!」

 再度、今度はより悲鳴めいた声が上がる。生理的にこの形状を受け付けないという人は多いだろう。こればかりは明日嘉に非はない。しかし、このまま立ちすくんでいてはその無理みの強い生き物に周りを包囲されるばかりか攻撃も食らってしまう。一見(外見が与える精神不可はさておき)害のなさそうな生き物だが、これも立派な邪神の眷属。

「私の敵なら戦うまで……ああもう、ぬるっぬるするっするして!」

 素早さもさることながら、つちねこには自身の体やそこに接触するものが持つ摩擦抵抗を極限まで減らす力があり。それがよりぬるぬるさとするするさに拍車をかけている。武器で攻撃する事が不可能ではないが、それよりも有効な手段を思案した明日嘉は、口に咥えていた煙草をふっと横に吐き捨てた。白く長い煙を伴って落ちていく吸いかけが地面に辿り着く頃、何もなかったはずの彼女の周囲には黒色に染まった軽い花弁が舞い散って。

「これなら避けられないら。――ほら、花も、灰も」

 お前達も。全て散って消えてしまえばいい。彼女の持つ黒剣はまるで空気に解けていくように溶け、黒い影を帯びたかと思えば炭化した桜の花弁に姿を変えて明日嘉を守る軍勢へと加わる。それは彼女を害しようとするつちねこを威圧し、今にも崩れてしまいそうな脆い体をぶつけ合ってカロカロと軽い音を奏でていた。
 明日嘉の指先がつちねこ達を差し、それを導に周囲で吹き荒れ始めた花嵐は次々につちねこの体を花弁で覆い、包み、そして自分と同じものへと変えていく。
 花弁が吹き飛んだ後に残されていたのは、まるで一瞬にして高熱で焼かれたかのように炭化したつちねこの姿。事切れたことにも気づいていないかのような棒立ちの姿は、やがて風に煽られて転がり、ボロボロに崩れて跡形もない灰となった。

「ふー、これならあんまり姿を見ないでもいけそうら」

 吐き捨てた煙草を拾い直し、新しいのを咥えて火をつけかけて止まる。煙草を吸ってもいいだろうか、ふと疑問に思った明日嘉は空を見上げ、周りをぐるっと見渡してからうん、と頷く。

「平気、平気」

 オイルが燃える香りに混ざり、新しい紫煙が空へと伸びた。

成功 🔵​🔵​🔴​

虚偽・うつろぎ
うねうね
ほほう、つちぬこかね
UMAだねUMA
殲滅しちゃうZO

じりじりと匍匐前進でつちねこ達に近づいていくよ
ユーベルコードの効果範囲内に何匹か納めるまで静かに近づく
仲間と連携可能なら
仲間の反対側に行き、仲間の攻撃で逃げる敵を待ち構えるスタイル
我輩は罠である

そして複数匹を巻き込めそうなら即座に技能:捨て身の一撃を駆使したジバクモードを発動
つちねこ達を自爆に巻き込むよ
対象は範囲内にいる全てのつちねこ

攻撃はこの一撃のみ
自爆後はその辺でピクピクしながら転がっていると思います
後でスタッフに回収されるかと


ペイン・フィン
……おいしいもの、食べれると聞いて、きたよ。
……これが、つちねこ。
可愛いけど……。ごめん、ね。

コードを使いながら、調理の準備。
なるべく素早く、その場で捌いた方が、蛇はいいらしい?
あと、肉は固めだから、きちんと叩いて柔らかくしないと、ね。

使用する拷問具は、ナイフ“インモラル”、
スタンガン“ニコラ・ライト”、
石抱き石“黒曜牛頭鬼”の3つ。
スタンガンでマヒさせて、
石抱き石でしっかり叩いて(潰しすぎないように、特に内臓を潰さないように)
最後にナイフで捌くよ。

捌いた肉は、きちんと持ち帰り、だね。
…………おいしく食べるから、ね。



「ほほう、つちぬこかね。UMAだねUMA」

 もしも、つちねこがこの台詞を聞くことができていたのだとしたら、おそらくこう考えたのではないだろうか。「じゃあお前はなんなんだ」と。
 虚偽・うつろぎ(名状しやすきもの・f01139)の姿を一言で表現するのであれば、黒いうねうねとしたものといったところだろうか。うっかり敵と間違えて攻撃されても文句が言えなさそうなビジュアル系だが、彼もれっきとした猟兵の一人である。その証拠に今彼は、地面とほぼ一体化する勢いの匍匐前進を用いてつちねこに近づくスニークミッションを実行中だ。さながら、何も気づいていないつちねこを捕らえようと迫る黒蛇の群れのようである。

「ふっふっふ……殲滅しちゃうZO~」

 ものすごく怪しげだが、意外にもつちねこ達がうつろぎに気づく様子は見られない。彼が地面の上を物音一つ立てずに這いずっているのもあるが、気がついていないどころかどんどんうつろぎの周りにはつちねこが増えている。一様にどこか顔を青くして、何かから距離をとって逃げてきたといった素振りである。若干恐怖で潤んでいるような円な瞳が見つめる先では、赤髪の少年が表情一つ変えずに一匹のつちねこを掴み上げていた。

「これが、つちねこ。可愛いけど……。ごめん、ね」

 つちねこが逃げる前に手早くスタンガン【ニコラ・ライト】で電流を流し、動きを封じ込めたペイン・フィン(“指潰し”のヤドリガミ・f04450)は身動きの取れなくなったつちねこを見下ろして片手をふわりと持ち上げた。その動きに追従するように浮かび上がった石抱き石【黒曜牛頭鬼】は彼が腕を振り被るのに合わせてつちねこに叩きつけられ、水気と質量を感じさせる物が潰れた音が響き渡る。
 拷問具のヤドリガミであるペインが使い慣れた道具を用いて行っているのは討伐だが、それと当時に食肉処理でもあり。現に叩きつけるにしても内蔵を潰さない程度の力加減を絶妙に心がけている。

「蛇はその場で捌くといいらしいから。あと、肉が硬いから、しっかり叩かないと」

 ある程度叩き終え、もはやぴくりとも動かなくなったつちねこの腹を斬り開くのはナイフ【インモラル】の仕事だ。丁寧に内蔵を取り出し、皮を剥げば綺麗なピンク色の肉質が美しいつちねこの開きが完成する。するとまた次の一匹を掴み、抜け出される前にスタンガンを押し付けるのだ。あまりにも手際がよく、完全に自分たちを食料としてしか見ていないペインの黙々とした対応につちねこもビビり気味である。

「ちゃんと、捌いた分はおいしく食べるから、ね」

 感情は抑え気味に、けれど安心させるような喋り方で語りかけつつ彼の頬につちねこの血しぶきが飛ぶ。ぐちゃりとなった仲間の姿を見て、完全に戦意を喪失しそうになっているつちねこ達だが、身に迫っている脅威はそれだけではないことに気がついていない。

「いい具合に集まってきたね……これでこそ罠として百パーセントのパフォーマンスを発揮できるというもの……」

 にゅい、と地面からうつろぎは腕をいくつか伸ばす。高く上げたそれにペインが気がつくと、更ににょい、にょいっとハンドサインで何事かを訴え始めた。どうやらそれは、ここから離れるようにと訴える簡単なハンドサインだったようだ。
 処理の終わったつちねこの肉を抱えたペインがその場から距離を取ると、つちねこのほっとした空気がその場を包む。
 だが、それこそ、その一瞬の油断こそがうつろぎの狙いだったのだ。

「我が身は神風なり……! ゴッドうつろぎアタック!!」

 これはうつろぎが持つユーベルコードの中でも抜群の破壊力を持つ攻撃である。自らの攻撃範囲にいるつちねこ全てに対し、極限にまで高めた捨て身の攻撃をぶつけることで必殺とする。そのかわり自身も決して無事では済まされないという、正に諸刃の刃だ。
 要するに高威力の自爆技である。
 ちゅどーんという爆破音に揺れる地面と土煙。爆発に巻き込めれ、粉々になっていくつちねこ達。ペインが恐怖でもってつちねこをうつろぎが潜伏していた方へ押しやっていたおかげで、かなりの数がこの爆発に巻き込まれたようだ。

「……大丈夫?」

 衝撃が去った後、爆心地に近づいたペインが見下ろしてみると、そこにはえぐれた地面の上でひしゃげたうつろぎがピクピクと痙攣していた。なんとか名前部分は崩壊せずに読める状態だ。

「フ……」

 声だけはやたら余裕ぶって、ぷるぷるしながらうつろぎが手の一つを持ち上げて親指を立てる。とりあえず大丈夫らしい。
 なお、その後うつろぎはUDCの職員に邪神と間違われかけながらも無事に回収されたそうだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

高坂・透
わぁ、猫だ
かわいい……
……
……?かわ、いい……?
ああ、うん、にゃーんって鳴くし、足も4本あるし、しっぽもあるし、猫……だよね?
まぁいいや
背景のおっきいトマトも気になるけど気にしないでおこう……

まずは【先制攻撃】
仕込みナイフを【範囲攻撃】で【投擲】【一斉発射】
攻撃されたら【武器受け】

遠距離からの攻撃で牽制しながらカマイタチを避けて
懐まで潜り込めたら
……あとは頑張って、『俺』!


……っておおおおおい!?
こういう変な依頼の時だけすんなり体渡すんじゃねーよ『もう一人の俺』ェ!
くそ、しゃーねェ倒してやるよォ
そういえばコイツ旨いンだってなァ?
後で腹一杯食わせてもらうからよォ
『もう一人の俺』になァ?ヒャハハ!



 にゃーん、にゃーん。
 鳴き声を上げて周囲を走り回るつちねこを見て、高坂・透(白薔薇とパラドクス・f09810)は判断に困っていた。魅惑的かつ冒涜さも感じさせるフォルムを前にして、どう評価を下したものかを決めあぐねている様子だ。

「かわいい……かわいい……?」

 眉をひそめて首を傾げ、暫しつちねこを見つめる透を、つちねこもまた見つめ返してくる。無言のままに重なる視線。一瞬とも永遠ともつかない間を置いてから彼が出した答えは、「まぁいいや」である。細かいことを考えると負けな気がしたのだ。にゃーと鳴くし四足だし尻尾もあるのだから、ざっくり猫でいいだろう。そして猫は可愛いものだ。だからあれも可愛い生き物のはず。

「どちらかと言うとあのトマトの方が気になるしね……」

 その場にいるだけで威圧感を醸し出し、けれど一切動く気配のないトマトから視線を地面に戻す透が翻した手には、色とりどりのサインペンが指間に挟み込まれている。それはサイキックを込めることで鋭いナイフへと変わり、彼が腕を素早く振るうことで次々に打ち放たれてつちねこの体を貫く。

「ギャニャアアアア!!」

 獣じみた声を上げたつちねこがのたうち回り、それに気がついた仲間たちが一斉に透を攻撃対象として認識。猛スピードで走ることで鎌鼬を起こして襲いかかってくるのを、攻撃を見極めやすい遠距離からの投擲で牽制しながら的確に避け。慎重に間合いを測りながら透は徐々につちねこに近づいていく。

「見て避ければ、なんとか……っと!」

 死角から迫ってきていた鎌鼬を小刀で受け流し、その衝撃を利用して一時的に自らの速度を上げた透の踏み込みは大きく、一息の間につちねこ達との距離を縮めて近接攻撃の範囲内へととびこんでいく。ここまで近づけば、後は一方的に殲滅を振るうのみだが。それを行うのは「彼」の役目ではない。

「僕はここまで。あとは頑張って、『俺』!」

 目を閉じた透の右手から、鎌鼬を纏ったつちねこが迫る。けれどその攻撃は彼に届くことは無く、開眼と同時に素早く抜き放ったナイフがつちねこの胴体を貫き。「彼」は一息で地面にナイフを振り落とすことで痙攣する小動物の体を土の上へと叩きつける。

「……っておおおおおい!? こういう変な依頼の時だけすんなり体渡すんじゃねーよ!!」

 絶叫を響かせたもう一人の「高坂・透」が叫び声を上げる。叫びながらもその体は本能に従うように靭やかに動き、次から次へと襲いかかる敵を切り裂いて無造作に投げ捨てていく。まるで羽虫がたかってくるのをうざったそうに払い、叩き潰しているかのような気軽さだ。

「くそ、しゃーねェ倒してやるよォ。……お、そうだ」

 血飛沫を飛ばし、千切れた肉塊を踏みしめた透が何かを思い出す。出立の際、この生き物が食べられるという話を聞いていたのを思い出したのだ。にたりと、悪戯を思いついたような性質の悪いその顔に、先程までの眠たげだった少年の面影は薄い。

「俺様を働かせたんだ、『もう一人の俺』に後で腹一杯食ってもらわねぇとなァ!?」

 途端に楽しげな笑い声を上げた透の動きは、益々洗練されていくようにも見える。いい仕返しのネタを見つけた彼の暴風は、今暫く止みそうにない。

大成功 🔵​🔵​🔵​

イリーツァ・ウーツェ
肉が食えると聞いて。
こいつらがつちねこか。ずいぶんたくさん居るな。
なるほど……つまり、これは実質バイキングなわけだな?
ちょうどいい。そろそろ干し肉を補充したかった所だ。ここで材料を集めていこう。

【POW】
まずは走れないように足場を崩す。
次に衝撃が走るように地面を殴り、地に接している足を砕いて逃げられないようにしようか。
後は手で捕まえて血抜きまで済ませてから回収しよう。
確か車の中にクーラーボックスがあったはずだ。
酒の肴が増えるな。楽しみだ。


穂積・直哉
(アドリブ・連携OK

…トマト。
おぉ、おトマトだなぁ
で。
つち、ねこ?
あれ身体がちょっと気持ちわる、いやでも顔はかわい…んんっ?(混乱
…で、食える? んんんっっ?(さらに混乱

(こほん)
うん、なんかすっげーすばしっこそうなんで
…マタタビとか猫じゃらしは効くのか試してみよう
脱いだジャケットの上にマタタビ置きつつ
猫じゃらし揺らして誘ってみる

ほーれほれほれ…
おーい、あーそぼー
最初はゆっくり、だんだん(早業)で素早くぶんぶん
(フェイント)も使って翻弄してく

遊んでるだけだって?
いやいやちゃんと退治するよ、ほら
とりゃーおりゃー、えいやっ
(遊んでる最中に【シーブズ・ギャンビット】でサクッと



「ほーれほれほれほーれ」

 しゅんしゅんしゅんしゅん。

「にゃあああああん!!」

 つちねこは、白熱していた。抗いがたい、酩酊を呼ぶ香りと眼の前で魅力的に揺れる猫じゃらしの魔力に捕らわれた体は既に理性を離れ。刺激される本能のままに猫じゃらしをおいかけて右へ左へと集団移動を繰り返している。
 眼帯に隠れた左目ごと、はしゃぐつちねこを微笑ましく見つめる穂積・直哉(人間のスカイダンサー・f06617)の猫じゃらしさばきは巧みで、絶妙に捕まえられそうで捕まえられない距離を保つことで次々とつちねこを虜にしていた。

「いやーやっぱ猫はかわい……かわ、かわい、いな……?」

 じゃれつく様子は猫そのものだが、ふっと我に返って見つめるつちねこはなんというか、長い胴体がくねくねとしていて正直気持ち悪いような気がしてくる。しかし顔は可愛いので、そこだけ集中していればなんとかセーフだ。巨大トマトに見つめられ(ているような気がし)ながら、直哉が脱ぎ捨てた自らのジャケットにまぶすマタタビの効果もあってうようよとたかるつちねこは、じゃれついたり伸びたりとフリーダムに振る舞っている。

「……そういや、こいつら食えるんだよな」

 そう考えるとせっかく鳴りを潜めていた混乱がじんわりと湧き上がってきてしまい、直哉は首をぶんぶんと横に振る。振ると同時に猫じゃらしの動きが益々冴え渡り、もはや猫じゃらしと言うよりは別の生き物のように素早く華麗に動き回って、気がつけば周りはつちねこの興奮で熱気が立つほどに埋め尽くされていた。勿論、ただじゃらしているばかりではない。適当に楽しみつつも隙を突いては捕らえたつちねこをシーブズ・ギャンビットで仕留め、後ろに放り投げている。

「とりゃーおりゃー……っと、さすがに増えてきたか」

 ヒートアップした様子のつちねこは猫じゃらしとマタタビに夢中になっているが、一匹ずつ倒していくには少し数が集まりすぎている。が、それもしっかりと直哉の中では計算された事。頃合いを見計らった所で徐に立ち上がると、上着を引っ掴んでぶんぶんと上空で振り回す。

「……頃合いか」

 それを確認したのは、離れた所から様子を見ていたイリーツァ・ウーツェ(悪竜の末裔・f14324)だ。長身かつガッシリとした精悍な顔立ちの男は、一度深く息を吸い込んでから同じように吐き出し、全身に力を漲らせて走り出す。速度はそこまで速いわけではないが、一歩一歩が力強く。土を確実に踏みしめて接近する姿を確認した直哉は、その場から飛び退るように退避した。
 つちねこを集めるだけ集めながら捌き、各個撃破が難しくなるまで増えた所で一網打尽にするというのが、即席で彼らが編み出した連携。

「これだけいれば獲り放題だな。そろそろ干し肉を補充したかった所だ」

 ちょうどいい。と口端を釣り上げたイリーツァと直哉の立ち位置が交換される。UDCアース出身の男性と比べれば平均以上の身長を持つ影を、はたしてつちねこはなんだと思っただろうか。感覚的にはいきなり巨木が走り込んできたのと同じような感じだろう。しかし、それは巨木ではなく圧倒的な力を身に宿した荒ぶる竜人だ。

「悪いが、狩らせてもらうぞ。喰らえ……っ!!」

 豪腕一撃。大きく振りかぶり地面に叩きつけられた竜の拳は地面を揺らし、土を上空に舞い散らせて地形を無理矢理に変えてしまう。【不羈奔放・竜殴撃】の威力は凄まじく、つちねこが走り回る暇すら与えないままに地面を崩し。その衝撃が伝搬した小さな四足は負荷に耐えきれず破壊されるか、痺れて素早い動きを封じられてしまう。
 最終的にはその場に深いクレーターが刻まれ、イリーツァの周りは身動きが取れなくなったつちねこ達でいっぱいになっていた。

「さて、今のうちに捌いていくか。酒の肴が増えるな」
「うひゃー、すっげえな。オレも手伝うわ」
「……そうか? では、頼む」

 つちねこを持ち上げ、血抜き処理をするイリーツァに直哉が明るく話しかける。初対面相手では硬くなってしまいがちなイリーツァがぎこちなく礼を言うのを、気にするなというようにぱたぱた手を降ってナイフを閃かせる。結果、二人が作業を終える頃にはかなりの量のつちねこが綺麗に下処理をされて積み上がることになった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

皐月・灯
【SSFM】

アンタ何言ってんだ? あっあの女転送しやがった。

……本当に馬鹿デカいトマトがありやがる。
もうアレが邪神じゃねーのかよ。
周りに妙なヤツらも跋扈してるし。おい邪神もう復活してんぞ。

分類なんぞ簡単だ。要するに肉だろ。
……んな騒ぐほどか?
リュシカを見てみろよ、花雫。もう順応してんぜ。

けど、……殴りづれーな……。
マジで殴りづれーぞ。何だこのぬるっとした動き!

けど、やりようはある。
シャルが追い込み、花雫が巻き上げる。
オレはうまく風を【見切り】、リュシカの爆風を利用して高く跳び、
【全力魔法】からの《轟ク雷眼》だ。

任せとけ。拳に触れさえすりゃ、十分だ。

あとは迸る迅雷が、空中にいるヤツらを伝い撃つ!


リュシカ・シュテーイン
【SSFM】
はあぁ、はあぁ、トマトぉ、それにつちねこぉ、ですかぁ
それをぉ、UDCの職員の方のぉつちねこばぁがぁですかぁ……
へえぇ、何かこうぅ、お金の流れをぉ、感じますねぇ

さてぇ、トマトの前にぃ、あのつちねこ達をどうにかしないとぉ、ですかねぇ
私は今回はぁ、連携の繋ぎ役ぅ、お手伝いといった役割でしょうかぁ?
シャルさんが牽制でうちねこを追い込んでくださるみたいですのでぇ、私は花雫さんの打ち上げの補助としてぇ【視力】【スナイパー】【援護射撃】を用いてつちねこの足元にぃ、衝撃力を強めた爆破の法石を複数いれた革袋などを打ち出しましてぇ、一気に破裂させましょうぅ
たぁまぁやぁ、灯さんぅ、後はお任せいたしますぅ


霄・花雫
【SSFM】

食べっ、えっ、……え、これ食べるの!?
なんかすごい鳴いて、ぬるっとしてるぅ!何このぬるっと!
オブリビオン!これオブリビオンだよ灯くん!なんかシュールかわいいけど!シャルちゃんもこれワニと同類にしちゃダメだと思う!
リュシカおねぇさん商売のコト考えるの一旦置いとこう?ね?

うぅ、おっきなトマトが見てる……状況にも同行者にもツッコミが足りないよぅ……姫ねぇさまぁ……。
シャルちゃんが牽制して一箇所に集めてくれた敵達を、風の精霊姫に竜巻きで上空に打ち上げて貰うよ。
幾ら摩擦抵抗がなくたって、飛ばしちゃえばそう簡単に回避行動はとれないでしょっ!【空中戦、毒使い、誘惑、全力魔法】
あとはお願い灯くん!


シャルロット・クリスティア
【SSFM】

あのですね。
一応私、好き嫌いは無いと自負してるんですよ。大切な食材は、何でも美味しく食べるのが大事だと思ってますし。
……ですが、どうなんですかアレ。
いやでも、ワニとか食べれるらしいですし、意外と行ける……?
そもそも爬虫類か哺乳類かどっちなんでしょうね。生態が全く想像できないから、罠を張るのも難しそうですし……。

……と言うか速いですね!?目では追えても、銃では捉えるのも一苦労です……。
ここは援護に徹しましょう。
散開しようとする個体の先を狙うようにすかさず銃弾を撃ち込んで牽制、密集させるように誘い込みます。
密集さえさせれば、あとは策があるようですし。

(スナイパー、援護射撃、視力、早業)



 皐月・灯(喪失のヴァナルガンド・f00069)、シャルロット・クリスティア(マージガンナー・f00330)、霄・花雫(霄を凌ぐ花・f00523)、リュシカ・シュテーイン(StoneWitch・f00717)の四人は、まず転送されて即目に飛び込んできた光景への感想を分かりやすく表情に出していた。
 一人は憮然と、一人は思案げに。更に一人は唖然として、最後の一人は眼鏡が光る。

「あの女、こっちが何か言う前に転送しやがった」

 転送間際に見た、どこか死んだ目のグリモア猟兵を思い出しながら灯は巨大トマトを見る。つちねこ達は相変わらずトマトへ接近しようとする猟兵を警戒しており、おい邪神もう復活してんぞと心の中で静かにツッコミを入れつつ両手を握りながら一歩前に進む。

「一応私、好き嫌いは無いと自負してるんですよ。大切な食材は、何でも美味しく食べるのが大事だと思ってますし」

 ただあれはどうなんだろう。シャルロットは伸びやかにうねりまくっているつちねこを見て、まずあれが爬虫類に分類されるのか哺乳類に分類されるのかという疑問に直面する。生態がよくわからないので、罠で誘き寄せるのも難しそうな気がするのだ。

「いやでも、ワニとか食べれるらしいですし、意外と行ける……?」
「これワニと同類にしちゃダメだと思う! なんかすごい鳴いてるし、なんかすごいぬるっとしてるし!」
「はあぁ、はあぁ、つちねこばぁがぁですかぁ……。何かこうぅ、お金の流れをぉ、感じますねぇ」
「リュシカおねぇさん商売のコト考えるの一旦置いとこう?」

 状況にも同行者にもツッコミが少ないため、メンバーの中で一番カロリーを使う役目を負う羽目になった花雫が祈るように空を見上げる。見上げるとトマトが入ってくるので視線を下げる、下げるとつちねこ。逃げ場がない。

「とりあえず肉は肉だろ、深く考えんな。リュシカを見てみろよ、もう順応してんぜ」

 指差す先ではリュシカが巨大スリング型の杖の先端で、つちねこをあやしながらさり気なくつついて肉質を確認している。伝わってくる感触は、思いの外ぷにっとしていて柔らかくも程よい弾力を感じさせる肉質だ。

「なるほどぉ……これは確かに良い肉が採れそうですねぇ」
「だから商売の事は一旦横に置いてってば! 早く倒しちゃおうよ!」

 このままではリュシカの商売心に完全に火がついてしまうと花雫が叫ぶ。するとその意味を察したのか、つちねこ達は一斉に動きをすばやくして四方八方に散らばろうと騒ぎ始める。

「何だこのぬるっとした動き!」
「は、速いですね。目では追えても、銃では捉えるのも一苦労です……。では」

 ぬるぬるするする縦横無尽に動き回る敵に命中させるのは骨が折れそうだと考えたシャルロットは、構えたマスケット銃の照準をあえてつちねこから外す。放たれた銃弾はまっすぐ飛び、つちねこの足元に命中して進路を妨害する。動くものに当てるのではなく、敵の進行方向を瞬時に見抜き散開するのを防ぐ彼女の目論見は見事に成功し。つちねこ達はじりじりと一箇所に押し込まれるように追い詰められていく。

「よし、これだけ集まれば……いけますよ!」
「うんっ! さあ、みーんな吹き飛んじゃえ!」

 シャルロットの合図に元気よく頷いた花雫が喚び出したのは風の精霊姫。渦巻く激しい風が更につちねこ達の動きを阻んで密集させ、必死に踏ん張る足元を掬い取るようにして空中へと浮き上がらせる。摩擦抵抗を減らすことができるとはいえ、相手が物質ではなく風ではその性質も役に立たず、つちねこ達は上空へと飛ばされておぶおぶともがいている。

「ではぁ、私もお手伝いしましょうかぁ」

 おっとりした調子でリュシカがスリングを構え、ギリギリとゴムを引き伸ばす。セットされているのは一見普通の革袋だが、中には彼女お得意のルーンが刻まれた爆破の法石が詰め込まれている。狙い定め、風が渦巻いているつちねこ達の中心点を見極める彼女の目つきは、普段のぽんやりとした雰囲気にそぐわず鋭い。限界まで伸ばされたゴムから手を離すと、革袋は反動を利用して高速で放たれ――それと同時に灯が駆け出す。

「ふふぅ。灯さんぅ、後はお任せいたしますぅ」
「ああ、任せとけ」

 フードの下から色違いの双眸を光らせた灯よりも一瞬早く、着弾した革袋の中で法石が爆ぜてつちねこ達を更に上空へ打ち上げ。同時に風の動きを見極めて爆風に乗った灯の体をも、高く高く青空へ吹き飛ばしていく。安定感を失い、寄る辺の無いまま手足を暴れさせるつちねこに狙いを定めた灯の腕で、ガントレットが雷光を纏いばちりと爆ぜる。

「逃げられねーよ。喰らいやがれ!!」

 それは、すべてを見通し貫く【轟ク雷眼】。
 灯が叩きつけた雷撃の拳はつちねこを貫き、同時に発生した迅雷が四方八方へと伝い周りにいた他のつちねこ達の体をも捕らえていく。真昼の快晴に場違いな落雷音を響かせて、雨の代わりにつちねこをぼたぼたと降らせながら着地した灯の周りには、肉の焦げた匂いが立ち込めて。

「うまくいきましたね、お疲れ様です」

 つちねこを踏まないように足元に気をつけつつ、近づいてきたシャルロットが笑顔を向ける。爆心地に近いつちねこは炭化しており、そこから離れていけばいくほど体に通った熱の具合は変わっているようで。花雫はじっとそのうちの一匹の亡骸を見つめ、複雑そうな顔をする。

「……この、つちねこ。いい匂いがする」

 ぼそりと漏れた声に顔を見合わせた三人が花雫の周りに集まってみると、焼き加減で言えばミディアムレアくらいだろうか。こんがりと焼けたつちねこがそこにいた。漂ってくる匂いは、確かに。

「……おいしそうですねぇ」
「……うまそうだな」
「……おいしそうです」 

 これならイケる気がすると、誰かが呟いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

パーム・アンテルシオ
UDCアースの教団って、こう…怪しくて醜悪で、恐ろしいものだと思ってたんだけど…
…いや、見た目で油断するのは、いけない事だよね、うん。

さて、最初はツチノコ…いや、ツチネコ…だよね。
UDCアースの、ゆるキャラ…っていうのかな…あれみたいだよね…
…後で食べるのなら、あまり派手にやりすぎない方がいいのかな?
ふふふ。私は、食べるのに抵抗はないよ。どんな姿であれ、獲物は獲物だからね。美味しいとわかってるのなら、尚更。

中々にすばしっこそうだから…私は、足止めを。トドメは、誰かにお任せしようかな。
それじゃあ…九ツ不思議、妖狐。
あなたたちに、お願いを一つ。
…逃げないで。避けないで、欲しいな?
ふふふ。なんてね?


琥珀川・れに
カモがネギと共にやってきたと聞いて。
ネコとトマトか。

僕は未知の味なら試してみたいよ。
炎で焦がしてしまうよりも【クィニティエンハンス】で氷魔法の攻撃力を強化。
冷凍保存して色んな調理方法を試したいね。


カマイタチがやっかいだ。
技能【かばう】で誰かを守りたいね。

僕のほうは、ギリギリで回避することになると思う。
少しマントや服や髪が切れるのは仕方ないさ
スマートにかっこよく回避したいね。

「よく見るとじわじわくる顔をしているな…ぷくく」

※アドリブ大好き&楽しみ。追加省略アレンジもご自由に。



「ちょっと失礼するよ」
「えっ、っとと……」

 後ろから伸びてきた手指が両肩にかかり、パーム・アンテルシオ(写し世・f06758)の体がくるりと反転する。そのまま柔らかく押されてたたらを踏み、振り返った所で今度は視界全てをはためく青色が覆い隠した。
 パームを後ろに押し出して立ち位置を入れ替わった琥珀川・れに(男装の麗少女 レニー・f00693)が素早く前に跳ぶのとほぼ同時、つちねこの鎌鼬が地面を砕いて土を飛び散らせる。パームを攻撃から遠ざけた彼女の退避行動は必然的にギリギリとなり、吹き荒れる斬風の余波を食らって後ろ髪の一部が切り飛ばされてしまい。紫色の細い毛先が太陽の光を反射して煌めきながら散っていく。

「ふう、うまく避けられたな。君、大丈夫か?」
「私も平気だよ。助けてくれてありがとう」

 お礼を言いながら近づいてきたパームに笑いかけ、れには距離を作りつつも二人を囲んで警戒してくるつちねこを改めて見やる。警戒とはいったものの、その表情に大きな変化はない。それっぽい空気を感じはするものの、顔は相変わらずどこか間の抜けたような点と曲線から動かない。

「よく見るとじわじわくる顔をしているな……」
「UDCアースの教団って、こう……怪しくて醜悪で、恐ろしいものだと思ってたんだけど」

 ぷくく、と口元に手の甲を当てて笑いを押さえるれに。一方のパームは、今までの邪教観をひっくり返されて少し戸惑い気味だ。見た目で判断することは良くないと知りつつも、邪神がトマトで配下がゆるキャラもどきというのはなんともインパクトが強すぎる。その上美味しいのだから、もはやツッコミが追いつかないのだ。

「けど、食べるのに抵抗はないよ。どんな姿であれ、獲物は獲物だからね。美味しいとわかってるのなら、尚更」
「僕も未知の味なら試してみたいよ。カモとネギならぬ、トマトとネコだ。どんな味がするのか胸が踊るな」

 そのためにも、まずこのつちねこ達を仕留めてしまわなければいけないのだが。数が多い上に捉えにくく、隙あらば鎌鼬を飛ばしてくるので思いの外手を焼かされる。背後からの気配に二人が素早く回避をすれば、パームの背を覆う豊かな尻尾からも少しばかり桃色の毛並みが奪われる。

「それじゃあ、足止めは私が。……ふふふ、逃げないで。避けないで、欲しいな?」

 甘い声に誘われて、どこからともなく桃色の靄が降ってくる。【九ツ不思議・妖狐】の力で生まれた春色の空気は風が吹いても四散せず、まるで雪のようにその場に降り積もってはつちねこ達を包み込み。その術中へと容赦なく呑み込んでしまえば、不可思議な生き物たちは邪神への忠誠心も猟兵への敵意も忘れてパームの意のままに操られる傀儡となる。
 暴れまわっていた事が嘘のように大人しくなり、彼女に魅せられたままふらふらと近づいてくる姿は無防備極まりない。

「これはすごい。なら僕は、この子達をまとめて凍らせてしまおう」

 今が好機だと口端を上げるれにの周囲を、冷気が包み込む。鞘から抜き放った細身の刺突剣で空気を薙ぐように振り払うと、パキパキと何かが凍るような音色で空気が鳴き。鞭にも似た撓りを走らせた刀身から、冷たい空気を切り裂く鋭い音が聞こえた途端、彼女とパームがいる地点を中心に円形の冷気が外に向かって放たれた。
 冬の寒さでも足りず、全ての生命を拒絶するかのような極寒の風。【クィニティ・エンハンス】で強化された氷の魔力はつちねこの体を一気に凍りつかせ、血流と心音を瞬時に停止させていく。

「冷凍保存しておいた方が、色々な調理法を試せそうだからね」

 静止したつちねこを見渡し、れにの視線は靄の向こう側へ伸びる。今だたむろするつちねこの数は多く、同時に更なる食料確保も容易なようだ。

「まだまだたくさんいるな。……よければもう少し僕に付き合ってもらっても?」
「私でいいなら、喜んでお供するよ」

 顔を見合わせて微笑み合う二人。了承の言葉を合図に走り出せばつちねこ達が襲いかかり、誘惑の靄と絶対零度の風に見舞われて物言わぬ体をその場に晒す。
 楽しいダンスになりそうだ。悪戯な笑みを零すれに頷くパームの進撃は、目につくつちねこ全てが動きを止めるまで終わりそうにない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

花邨・八千代
【未夜と】
なんつーかすげー冒涜的な見た目してんな、希少性と愛くるしさを足して割ってキモさをスパイスにした感ある。
いや美味けりゃ別に良いんだけどよ、俺は。
みや的にアレはどうよ?許容範囲?

◆戦闘
とりあえず逃げるらしいし、みやに追い込んでもらうぜ。
俺は南天に血を吸わせて大鎌に、【ブラッド・ガイスト】だ。
何匹か纏めて追いこんで貰ったら一気に回り込んで「なぎ払い」だ。
「怪力」まかせに首をずぱっと一文字、逃げる先を「第六感」で予測しつつ「2回攻撃」で出来るだけ多くを巻き込むぞ。

血抜きは肉の質を左右すっからなァ。
狩るだけ狩ったら尻尾から吊り下げとくぞ、あと可能なら内臓抜いておきてぇ。
時間経つと臭くなるしな。


三岐・未夜
【八千代と】

……あー……えぇっと、これ食べ物らしい、ね……?(宇宙猫の顔でガン見)
……あれ、でもこれちょっとかわいい……?(シュールかわいい好きの琴線に触れる)
う、わ、ぬるってした!これぬるってしたぁっ!
えっ、これ哺乳、爬虫、え、そこはかとなく動きはキモいんだけど……!

火矢と【誘惑、催眠術、おびき寄せ、誘導弾、操縦】で八千代の方へ敵を追い込んで、回避されないように誘導するよ。
下手に焼いて良いか迷うから誘導役、だってこれ一応食ざ、……食材だし……。
八千代にすっぱりやって貰お。

物さえ見なければ完全にジビエ肉の下処理だよね……。
……八千代すっごく頼もしい……今日八千代と来て良かった僕……。



「なんつーかすげー冒涜的な見た目してんな」

 希少性と愛くるしさを足して割ってキモさをスパイスにした感と評したつちねこを見つめ、花邨・八千代(可惜夜エレクトロ・f00102)は傍らで呆然と立っている三岐・未夜(かさぶた・f00134)の顔を見上げる。身長差のせいで容易に覗き込めてしまう顔は、目の前の現実を受け入れきれず宇宙空間に放り出されたネコのような表情をしていた。

「みや的にアレはどうよ? 許容範囲?」
「……あー……えぇっと、これ食べ物らしい、ね……?」

 まずあの生物が食用だという事実がうまく飲み込めない未夜。猫の顔に蛇のような長い体を有するつちねこは、子供が考えた落書きか高熱でうなされたときに見る夢のような造形をしていて。実在のもとして受け止めるには少々、難易度が高いビジュアルパワーを発している。

「俺は美味けりゃ別に良いんだけどよ。お、こっち来た」

 なーんなーんとつちねこが一匹、二人の足元に近づいてつぶらな瞳で見つめてくる。こちらが無理にトマトに接近しようとしたり攻撃をしなければ、一部のつちねこは興味本位で猟兵を観察しに接近を試みてくるようだ。

「あれ、でもこれちょっとかわいい……?」

 シュール可愛い好きの琴線に触れたのか、試しに片膝を着いた未夜が手を伸ばす。しかし。
 ぬるり。

「ぬるってした! これぬるってしたぁっ!」 
「おいおい、あんま不用意に触んなよ? いくらかわ……かわいい? からって」

 手をばたばた振ってぬるりとした感触の残滓を必死に振り落としながら立ち上がる未夜に、肩をすくめた八千代はしっしとつちねこを一旦追い払った。これから狩る対象になるのだから、変に馴れ合っても罪悪感が出てしまう。

「とりあえず追い込みは任せたぜ」
「う、うん」

 そこはかとなくキモい動きで逃げていくつちねこの後ろ姿を見送り、気を取り直した未夜が八千代から離れていく。つちねこ達が固まっている一角に目をつけると、ぶわりと彼の体を魔力が駆け抜けた。右手を横に斜め上に、角度を変えて空を切る動きに合わせて空中に浮かぶ五芒星からは。赤く燃え盛る破魔矢がいくつも飛び出してきてつちねこに迫る。
 何本かはそのまま直撃してつちねこを焼き尽くすが、本来の仕事は誘導。まっすぐ飛んでいくだけと見せかけて、未夜の指先一つでそれはどこまでも追い詰めるホーミング弾にもなり。矢の軌道に翻弄され、逃げ惑い行き着く先には立ちはだかるような八千代がいる。

「い、一応食材なら、色々処理できたほうがいいと思うから」
「おー、いい感じだぜみや。後は」

 進路方向にいる八千代を厭うたか、鎌鼬が飛んでくる。
 それを見た彼女はなんてことのないように手を伸ばし、ぐっと硬めた拳で鎌鼬を掠らせ、破れた皮膚が鮮血を滴らせるのを見てニヤリと笑った。

「――俺に任せとけ」

 掌には南天紋の描かれた印籠が握られていた。指の隙間から流れ込んだ血流に濡れ、印籠が形状を変えていくのを感じながら八千代は一息につちねこ達の視界から姿を消し、土を靴先で刳りながら横合いに回り込み口端をより強く引き上げる。
 彼女の手にあるのは既に印籠の形をしたものではなく、持ち主の血を代償に曝け出された禍々しい姿の大鎌。
 まず一閃。薙ぎ払われたつちねこ達は小さな首を玩具のように飛ばして倒れ込み、返す手が更に一閃。初撃の範囲から逃れたつちねこの動きを予測した凶刃が、その場に集まっていた殆どの首を刈り取った。

「……今日、八千代と来て良かった僕」

 頼もしいことこの上ない。首がなくなったことにより、益々何かわからないことにはなってしまったけれど。不思議とこうなってくるとジビエめいた雰囲気も出てくる。

「血抜きは肉の質を左右すっからなァ。あー、内蔵も今なら抜けるか。みや、手伝え」
「はーい、分かった」

 今だ暖かさを残しながらわずかに痙攣するつちねこを拾い上げ、手早く内蔵を取り去っていく八千代とそれを近くの木に逆さに吊り下げる未夜。
 鈴なりに下がってぽたぽたと血を滴らせる様はどう贔屓目に見てもホラーだったが、できる限りそちらを見ない方針で手を動かしていた未夜の精神ダメージはそれほど多くはなかったという。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『正気を奪う赤い果実』

POW   :    硬化する赤い果実
全身を【硬質の物質】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
SPD   :    振動する赤い果実
【高速で振動することで衝撃波】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    空腹を満たす赤い果実
【空腹】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【無数のトマトの塊】から、高命中力の【トマト弾】を飛ばす。

イラスト:井渡

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠赤城・傀です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●赤い巨影
 つちねこの脅威は去った。あとUDCの職員たちも無事に食肉を確保できてしまったらしい。
 トマト畑を分け入って猟兵達が辿り着いたのは、7メートル級トマトのお膝元。近づくとただただ赤くて青臭い壁が目の前にあるようにしか見えない。
 事前の説明にもあったように、このトマトは自らの身体を硬質化させて対抗してくるが、他にもいくつか攻撃手段を持っているという。
 例えば高速で震えることで衝撃波を出したり、空腹の感情を覚えた相手にトマト弾を召喚してくる等の行動が報告されている。

 つまり、最後の最後までこのトマト自体が畑から動くことはない。

 対抗手段を取ってくるのは面倒だが、要するにこの刃の通りが悪いトマトを少しずつ破壊していけばいつか自壊を始めてそのまま滅び去るということだ。
 ただしトマトなので、皮を破って果肉を削り取れば果汁(無害)が飛んでくるし、更に奥へ切り込めばあのどぅるんとした中身(無害)が出てくる。
 その辺りを被ってしまわないような立ち回りも、もしかすれば必要になってくるかもしれない。
ペイン・フィン
……さて、
残りは、トマト、だね。
……綺麗な赤色で、みずみずしいね。
これは、とても、おいしそう……。かな。

コードを使用。
ナイフ“インモラル”以外の拷問具は装備から外すよ。
そして、硬化の隙を突いて、素早く接近して、切り刻む。
衝撃波や弾も、加速状態をうまく使って、避けていこう。

それにしても……。
果汁や果肉、すごいね。(全身にかかっている状態)
……まあ、後で洗えば、良いかな。(そのまま気にせずに攻撃する)

アドリブや他の猟兵達との絡みもOKだよ。



 天高く、トマトが聳えて動かない。
 サイズ感のせいで無駄なほどに威風堂々とした赤い巨体を見上げて、ペイン・フィン(“指潰し”のヤドリガミ・f04450)の手には、十得ナイフにも似た形状の小型拷問器具が握りしめられいた。本来の十徳ナイフであればやすりや鋏などの機能が盛り込まれているが、【インモラル】に収納されているツールは全てが拷問に使用される道具ばかり。その中でも一番基本なナイフの刀身を選択する彼の体からは、つちねこ討伐に用いた他の拷問器具は外されている。

「……綺麗な赤色で、みずみずしいね」

 大きさという違和感を気にしなければ、赤々しい果実部分と新鮮さを失わないヘタ部分の緑色とのコントラストは美しく。食欲をそそられても仕方がない。ただし、当のトマト自体はそう簡単にはやられはしないと不動ながらに猟兵達と戦う意志を見せている気がする。気がするだけかもしれないが。

「普通に斬っても硬いなら、そうじゃない所を狙えばいい」

 小さな呼気を漏らしたペインの瞳が黒い光を宿す。殺気に気がついたのか、トマトの表面が一瞬ブレたように見えたかと思うと高速振動からの衝撃波が周囲にいる敵を打ち据えようと放たれた。だが、それは同時にトマト本体の硬度が鋼鉄のようだったそれから一気にダウンしたことを表している。硬化以外の能力を使えばその間は防御力が下がり、その隙を突くことが可能となるのだ。
 向かってくる衝撃波を間合いから遠ざかって避け、好機を見出したペインが駆ける。

「――、遅い」

 目標を定めた彼の動きは風のように素早く、刹那の合間にトマトとの距離を詰める。
 彼の使用するユーベルコードは自身の速度を飛躍的に強化するが、必要最低限の装備だけを持った状態でなければ真価を発揮しない。そのため、必要なのは今の状況に最も適した拷問具ただ一つ。選ばれたのは、高速行動とも相性がいい斬り裂くためのナイフだった。
 一気に肉薄したペインの手が奔り、トマトを細切れに斬りつける。皮と身を鋭く抉られたトマトに悲鳴をあげる口はないものの、声にならない衝動のような気配が周囲の空気をビリリと震わせていく。

「トマトでも、痛いものは痛いのかな。それにしても……」

 ある程度予想はしていたが、斬り跡からは汁が飛んでくる。その上、深く傷をつければ今度は中に入ってるゼリーめいた部分まで溢れ出してペインの体や衣服を容赦なく汚してしまい、気がつけば全身をトマトの香りが覆う有様だ。
 とはいえ、ペイン本人はその辺をあまり気にしていないらしく。ザクザクとトマトを切り刻んでいく。
 崩れていく果肉が足元にたまり、それに応じて噴き出す果汁も益々多くなる。見た所、外見と同様中身もなんの変哲がないトマトにしかみえなかった。

「……まあ、後で洗えば、良いかな」

成功 🔵​🔵​🔴​

皐月・灯
【SSFM】

来た瞬間からアイツの圧すげーんだよな……。
微妙に嫌なんだよな、アレに近づくの。
……まあいい。
リュシカ達は遠距離でいけるが、オレにゃ突っ込むしかねーからな。

【全力魔法】の【属性攻撃】で、《焼尽ス炎舌》を打ち込むぜ。
硬度が上がったとしても、炎への耐性はどうかな。
じっくり焙って焼きトマトにしてや……熱っち!

……これか、トマト汁とあの、何かどぅるんってしたヤツ。
くそ、加熱されてっから無駄に熱いじゃねー……熱ち!

おい、当てる場所気をつけろよ!
オレがコイツの何かを思いっきり……うっ!

……おい、顔面来たぞ。
わざとやってねーか。絶対わざとやってるだろ!
あとで覚えてろよ……!


シャルロット・クリスティア
【SSFM】

さて、ずっと主張しているあれもどうにかしなくては、と。
しかし、その場から動かないのであれば話は簡単です。私やリュシカさんで、射程外から撃ち抜けばそれで終わりです(カーン!)
……終わりで……(カキーン!)

……。……固いですね???
これ、後で食べるとして歯ぁ通るんですかね。皮剥けば大丈夫でしょうか。
どう思います花雫さん?

とはいえ、このままでは埒があきませんね。
仕方ありません、迅雷弾を使いましょう。
いくら固いトマトだろうと、この貫通力であれば表皮を食い破るくらいならできる筈……ですよね?

……あっ果汁が灯さんに。

脆い場所を狙ってるんだから仕方ないじゃないですか!無理言わないでください!


霄・花雫
‪【SSFM】‬

‪…で、トマトなんだけど‬
‪やっぱりあのずっとあそこに鎮座してるヤツだよねー…
‪焼けたつちねこいい匂いしちゃったし、トマトも完熟そうだし…うわあすっごく複雑…

‪えっ‬
‪硬いの!?トマトなのに!?‬
‪…あー、えっと、あ!ユーベルコードなら、倒せば柔らかくなったりしないかな?ね?‬

‪わ、わ、めっちゃトマト飛んでくる!‬
‪え、やだ被りたくないし!‬
‪姫ねぇさまに風の防護壁を作って貰って、全部ぶん投げ返しちゃえ!【全力魔法、早業】‬

‪女の子の服って高いんだから!‬
‪クリーニングとかも結構高いよねー……って、わあっ!?灯くんごめーんっ!!‬
‪うっわあ、ごめんねごめんね灯くん大丈夫!?‬


リュシカ・シュテーイン
【SSFM】
……ううんぅ、流石に大きいですねぇ
あの大きさは流石にぃ、UDCアースで持って行ってというには怪しまれますねぇ……
あらぁ、シャルロットさんの射撃が通りませんかぁ、私の持っている並の法石でもぉ、効果は若干薄いやもしれませんねぇ……(さっとジュエルを隠して)
頼りっきりになってしまいますがぁ、灯さんにぃ、お任せしてしまってもよろしいでしょうかぁ?

ひゃあっぁ、さぁ、流石にアレを被ってしまうとぉ、くりぃにんぐ代も洒落にならなさそうですねぇ
花雫さんとご一緒にぃ、熱量を抑え爆風を強化したぁ、爆破の法石で跳ね返しましょうかぁ
……わっぁ!灯さぁんぅ、大丈夫ですかぁ!?



 どーん。
 カーン!
 どどーん。
 カキーン!

「……固いですね???」

 シャルロット・クリスティア(マージガンナー・f00330)は銃の構えを一旦解除しながら不思議なものを見るような目で首を傾げた。話には聞いていたが、巨大トマト、かなり硬い。

「あらぁ、シャルロットさんの射撃が通りませんかぁ、私の持っている並の法石でもぉ、効果は若干薄いやもしれませんねぇ……」
「リュシカ、お前今何か隠さなかったか」

 術の触媒の中でもより高威力を保証する代わり、お値段もただの石とは比べ物にならないくらいお高い宝石類をそっと隠して鳴らない口笛を鳴らすリュシカ・シュテーイン(StoneWitch・f00717)に半眼を向けた皐月・灯(喪失のヴァナルガンド・f00069)の表情は若干硬い。トマトの圧が強すぎて、近づくのに若干のためらいを感じるレベルなのだ。

「トマトなのに硬いの!? あ、でもトマトの能力なんだよね。倒せば柔らかくなったりしないかな?」

 霄・花雫(霄を凌ぐ花・f00523)の言う通り、倒しさえすればおそらく普通のトマトになるのだろう。普通と言うにはあまりにもでかいが、トマトはトマト。シズル感満載の赤い表面が、やたらと人目と食欲を誘う。

「最悪皮を剥けばなんとか食べられそうですし、ここは遠距離から安全に攻撃しましょうか」
「灯さんにぃ、お任せしてしまってもよろしいでしょうかぁ?」
「オレにゃ突っ込むしかねーからな。まあいいぜ」

 他の三人と違い、灯の基本戦法は接近戦が主なもの。近づきたくないと思っていても仕方がないと、掌を拳を打ち合わせつつ一歩前に出ると。気配を察知したトマトは表皮を硬く強張らせて鉄壁の守りを作り上げていく。
 だが、その程度で怯む灯でもない。逆に、動きもせずにただ硬くなるだけというのであれば、むしろ好都合だ。

「硬度が上がったとしても、炎への耐性はどうかな。――アザレア・プロトコル、2番」

 トマトに向かって走る灯の拳が熱を孕む。眼の前に迫った赤い壁に向かい、大きく開いた両足を地面に食わせながら腰を捻り。全力を込めて振り抜いた殴打は物理ダメージを与えると同時、【焼尽ス炎舌】で付与された業火の術式を叩き込まれたトマトの表皮を燃やし果肉にまで熱を浸透させる。

「じっくり焙って焼きトマトにしてや……熱っち!」
「あ、焼けた皮が弾けて果汁が灯さんに。けど、今なら硬さも問題なさそうです!」

 術式弾を装填したシャルロットが再びマスケット銃を構えて狙いを定める。先程の様子見での射撃とは違い、今度は確りと本気だ。それが証拠に、引き金を引かれた銃口から飛び出した弾丸は周囲の空気にスパークを走らせ。電磁加速による瞬きすら許さぬほどの超速度でトマトに迫り、強い貫通力のスナイプが果肉が露出された部分へと突き刺さる。
 それは深く食い込み、貫通すらしてみせるほどの力を持ち。衝撃で飛び散ったあつあつの果汁は満遍なく灯にぶっかかる。

「あっちい!! おい、当てる場所気をつけろよ!」
「脆い場所を狙ってるんだから仕方ないじゃないですか! 無理言わないでください!」

 叫ぶ灯に返すシャルロット。しかしトマトの方も黙ってはいない。どこからともなく通常サイズのトマトが無数に召喚され、香ばしい匂いを漂わせる巨大焼きトマトにうっかりと空腹を感じてしまった花雫へといくつものトマト弾が打ち出されてきたのだ。サイズは普通だし焼けてもいないが、ぶつかればそれなりに痛い上に服が確実に汚れる。隣にいたリュシカも当然射程範囲内におり、狙われた二人は慌ててそれを回避しようと行動を起こす。

「わ、わ、めっちゃトマト飛んでくる! え、やだ被りたくない!」
「ひゃあっぁ、さぁ、流石にアレを被ってしまうとぉ、くりぃにんぐ代も洒落にならなさそうですねぇ」

 素早く術式を展開させる花雫の前に、風の防壁が現れてトマトを受け止める。渦巻く風圧で飛んできた方向へ吹き飛ばされるまでの僅かな瞬間、服が汚れる危機となれば本気にならざるを得ないとばかりに手首を撓らせたリュシカが爆破の法石を投げつけると、二人の視界を一瞬風が覆い尽くした。熱を抑えた代わりに爆風を強化した法石の勢いは凄まじく、防壁と一体化することで後から飛んでくるトマトの勢いすら跳ね除けて押し返す。

「あ、おい、当てる場所気をつけろよ! オレがコイツの何かを思いっきり……」

 風鳴りにまじって聞こえた灯の声は、すぐに硬いものが柔らかいものにぶつかって盛大に潰れる水音で聞こえなくなった。
 真正面へと打ち返されたトマトが彼に当たることはなかったが、射出時以上の速度で舞い戻ってきた小さなトマト達は大きなトマトに次々とただいましていき。迎え入れるしかなかった邪神トマトの皮を破くと、果肉を砕いて中のどぅるんとしたものを盛大に撒き散らす自爆オチへとコンボを繋げる。
 そしてすぐ近くにいた灯を、丁寧にトマトでデコっていく。

「わあっ!? 灯くんごめーんっ!!」
「わっぁ! 灯さぁんぅ、大丈夫ですかぁ!?」

 服が無事だと一安心するもつかの間、灯の事をうっかりと忘れていた二人が声をかけると、そこにはリコピンやビタミンを多く含んだ灯が震えながら立っていた。全身しとどに果汁やどぅるんとしたもので濡れているが、寒がっているわけではなさそうだ。それが証拠に、彼の背後で赤らんだ金剛力士が仁王立ちで立っている幻が見える。

「……おい、顔面、ってか全身来たぞ! 絶対わざとやってるだろ! あとで覚えてろよ!」
「あ、あの……大丈夫ですよ! なんかこう……すごい、自然派って感じで」
「フォローになってねーーよ!!」

 トマトまみれの少年の雄叫びが、広い畑に響き渡った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

琥珀川・れに
〜トマトの下ごしらえ〜
1、まず【クィニティエンハンス】でトマトを氷漬けにします
2、トマトは無敵になりますが氷は残るのでそのまま放置
3、トマトが動き出したら頃合いです。今度は炎の【属性攻撃】
4、炎で氷が溶けてお湯になります
5、後は剣を使って、トマトの湯むきの完了です
6、スライスしてお召し上がりください(味見)


貴族としては食事マナーも気になる。汁やらは回避したいね。
貴族力で鍛え抜かれた【見切り】を多用して貴族の威厳を保つよ
でも、もし被ってしまっても…血まみれの吸血鬼らしく見えるかな【(敵か味方に意味もなく)恐怖を与える】

※アドリブ大好き&楽しみ。追加省略アレンジもご自由に。



「それでは、トマトの下ごしらえを始めるとしよう」

 琥珀川・れに(男装の麗少女 レニー・f00693)が瞳をキラキラとさせながら宣言する。明らかに楽しそうなその頭の中には、三分で料理を作っちゃう系テレビ番組のテーマ曲が軽快に流れていた。食材は目の前の巨大トマト。包丁はないがエピがあるし、ガス代や水道の代わりはユーベルコードが勤めてくれる。
 彼女に限らず、既に殆どの猟兵達が自分を食材としか見ていないことに怒っているのかプライドを傷つけられているのか。威圧感と心の壁を高めるかのような緊張感が場を占めるが、れには気にすることなく優雅な動作で肩にかかったマントをはねのけ、トマトを見据える。

「ステップその一、まずはとびきり冷やしてやる」

 れにの声に喚ばれて巻き起こる冷たい息吹が、トマトへと襲いかかる。攻撃に対して自らを硬質化させるトマトだが、彼女からそれ以上の追撃はない。ただ冷凍庫よりも冷たい温度で冷やされ、急速に果肉に含まれる汁が凍りついてしまった表面は薄っすらと白く霜を下ろし。止まらぬ温度低下で更に分厚い氷で覆われることで、冷凍保存の上をいくカチンコチンな冷気を漂わせている。
 暫くすると水分を失った皮がぴしりとひび割れ、連鎖的に裂けて巨体に一本大きな縦線を走らせていき。それを見たれには次の段階へと進むために指を鳴らす。

「ステップその二、今度はとびっきり熱くする」

 パチンと響く音を合図に、今度はトマトの下側から這い上がるような炎が発生する。キンキンに冷やしたトマトを強火で炙れば氷は溶け、水から熱湯へと変わっていくことでトマトを茹でながら地面へと染み込んで土を湿らせていくが。こうなってくると先ほどの裂け目に限らず、湯がかれたトマトの表面にはいくつもの亀裂が走って皮がめくれそうになっていく。完全に普通サイズのトマトを相手にご家庭がやっているいつものやつだ。

「仕上げに皮を――剥く!」

 満を持して接近戦へと持ち込むれにの姿に、はたしてトマトは何を考えたか。間合いに入ってきて勝負をしてくれることに喜んだのかもしれないが、細身の刺突剣を振り上げ刃先を巧みにめくれた皮と果肉の間に滑り込ませ華麗に剥き上げる彼女からは、邪神退治の真剣さよりも食材と向かい合う真摯な態度のほうが明らかに強く感じられる。無常。
 湯剥きされた果肉は炎の影響が奥まで浸透しているせいか湯気を立てている。表面を撫でるように剣を走らせ、何枚かスライスした果肉を指で摘んで口元に伸び、ホットなトマトを噛み締めたれには目をカッと見開いた。

「うわっ、おいし、あま……おっと――あっつ……!」

 味見したトマトの美味しさに驚いていた所に、ぐつぐつと何かが煮立つ音と同時に奥側から熱された果汁や中身が吹き出してくる。
 炎の高温にさらされ、ダメージを負ったトマトのせめてもの成功なのか単に偶然なのか、破裂した水道管のような勢いで噴出したものを華麗に避けるれに。だが大量のお湯で周辺の土が泥のようになってしまったことで足場が悪くなり、顔面に避けきれなかったトマト汁が直撃。火傷するほどではないが、熱さに頭を振った彼女の髪から赤いものが飛び散る。

「……くく、やってくれたな……?」

 ドロリとした赤い液体が、白い肌にやたらと映える。できれば汚れたく無い所ではあったものの、こうも赤い液体をかけられてしまったのでは少し遊んでみたくもなってしまったらしい。
 顔面を片手で覆い、指間から眼光を強めるれにからは血に耽る吸血鬼のような気迫が漂う。影になった前髪の下から向けられる視線に、ここで始めてトマトは明確な意思のあるリアクションをしてきた。
 怯えているのだろうか、ぶるぶると大きく震えたかと思うと頂点から血の気が引くように青く青く……実の色が変わる。

「ストップ!! それはだめだ糖度が下がる!!」

 ――理不尽すぎる。トマトに口があればこう言っていたかもしれない。

成功 🔵​🔵​🔴​

パーム・アンテルシオ
…何度見ても、トマト、だよね…
えっ、トマトに足が生えて襲ってきたり、口が開いて噛み付いてきたり、
そういうのってわけでもないの…?このまま…?

…ま、まぁ…油断しちゃいけないよね、うん…
きちんと警戒して…
…警戒…
…尻尾に、トマト汁が飛ばないように…とか…?

ユーベルコード…白桃火。
あなたが正気を奪うのなら、私はあなたの思考を奪い取る。
あなたが硬くなるのなら…そのまま炎で覆ってしまおう。
じっくりと焼いて…いや、煮込んで…?表面が硬くなるのなら、中身を蒸すみたいな感じになるのかな…?
ふふふ。汁が飛んでくるのもイヤだから、このままぐつぐつしてあげる。
さて、いつまで保つかな?ふふふふ。

…お腹空いてきたなぁ。


イリーツァ・ウーツェ
近接で破壊すると、果汁を頭から被ることになる。
洗うのに困るな。仕方ない、遠くから攻撃しよう。
【POW】
コードを使い、筋力を竜のそれに戻す。医術の知識からもっとも力が減衰せず伝達するよう構え、怪力・力溜めを使用して、目の前の空気を殴りつけて飛ばす。
要は強力な空気砲だな。
だが、曲がりなりにも竜の本気で撃ったエアバズーカだ。岩を砕く程度の威力はある。
いわんやトマトともなれば、いくら堅くなろうとダメージは入るはず。
鎧を砕いたり、内側にダメージを通すやり方も知っている(鎧無視攻撃+鎧砕き)。
自身の体を一個の武器として扱えばなんとでもなるだろう(操縦)。



「……お腹空いてきたなぁ」

 猟兵達の攻撃で所々が焼けたり剥けたりしているトマトを見つめ、パーム・アンテルシオ(写し世・f06758)は空腹感に襲われていた。足が生えて襲ってきたり、口が生えて食らいついたりもしてこない相手は大きいという違和感を除けばただの野菜と変わりなく。全体的に火を使っての攻撃をする仲間達が多いおかげで辺りには焼きトマトのいい匂いが漂っているのだから、緊張感も保ちにくい。
 油断や警戒を疎かにしては勿論いけないのだが、思い浮かぶ心配事が尻尾に汁が跳んでくるくらいしか考えつかず。パームはまあいいやと唇に指を当てる。

「遠くから攻めるのは私の得意だからね。さあ、甘い炎を届けよう」

 一瞬、周囲に漂ったように感じられた果実の甘い香りが熱気でかき消される。押し寄せていく桃色の炎は大きな津波のようにトマトを覆い隠し、どんなに表面を硬くさせようとも奥側に熱さを伝えて柔らかい果肉部分を煮立たせる上。思考を奪い取るような甘味でトマトの対抗心をじわじわと削ぎ落としてく。
 それは同時に守りを緩める原因にもなり、硬さの和らいだ皮に炎が燃え移っては焼け焦げて。香ばしい香りが更に強くなってきた。

「ふふふ。表面が硬いなら蒸しトマトかなと思ったけど、案外焼きトマトにも向いていそうだね。……おや」

 後ろからの気配に気がついたパームが振り返ると、つちねこの処理を終えたイリーツァ・ウーツェ(不死盾・f14324)がちょうどトマトに向かって近づいてくる所だった。血抜きを終えた肉の一部をUDC職員に渡し、残りを自前の車に詰め込んできたイリーツァにも、バーベキューめいた匂いは確り届いている。

「随分と美味そうなことになっているな」
「今なら表面もそこそこ柔らかくなってそうだよ。ただ、近くで殴るとなると……」
「ああ、ひどい目には合いそうだ」

 直接至近距離から攻撃をすれば、今ならもれなく茹だった果汁を頭から浴びることになる。その上汚れるとなれば、進んで近付こうという気にもなれない。となれば遠距離からの攻撃が好ましいが、新手の出現を感知したトマトの表皮はなんとか硬さを取り戻そうというかのような収縮を繰り返していた。

「往生際が悪いな……もう少し、炙っていてもらえるか」
「いいよ。さて、頑張ってるようだけどいつまで保つかな?」

 イリーツァの要望に応え、パームの炎は更に火力を上げていく。ぶし、ぶしと音を立てて中身を吹き出していくトマトの中はかなり茹だりきっているようで。その間にイリーツァは構えを取る。全身から捻り出す力を一番ロスが少ない形で放出できるよう足を大きく地面に踏ん張らせ、長い息を吐き出した体に力を蓄えた彼の眼光は鋭く。獲物を見る目でトマトを照準に入れる。
 やがて長時間の炎と思考を奪い取る甘味に晒され続けたトマトは再び緩み、硬かった表皮がぐずぐずと崩れ始めてきた。

「頃合いだな。いくぞ……!!」

 硬さが消え、柔らかくなった瞬間をイリーツァは見逃さない。握り込んだ拳を振り上げ、目の前の何もない空間を殴りつける刹那、そこにいるのは正しく竜種の存在であった。溜め込んでおいた力を乗せるのは竜の筋力。彼が使用したユーベルコードは、本来であれば超近接型タイプなのだが。瞬速で突き出された拳は空気をとらえ、空気砲となって自らが接近する事を必要としないままトマトに着弾。
 パームの炎すらかき消す勢いの圧に貫かれた体は、大きく抉れると同時に不動だった体を本体の意思とは関係なしに後ろへと大きく押しやった。地面には数メートル分、巨体の擦れた跡が残る。

「わ、すごいなあ。まさかあの大きさを動かすなんて」
「これでも本気で撃ったからな。でかくともトマトはトマトだ」

 肩を回して満足げなイリーツァ。大きく体を損失したトマトは中身を晒し、まるで血液のように果汁を垂らしながらわずかに微震を繰り返す。あともう一息といったところか。決着の時は、確実に近づいてきていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

花邨・八千代
【未夜と】
青臭ぇ…、いや別にトマト嫌いじゃねーから良いんだけど流石にデカすぎねぇ?
何にせよ喰うならカットは必要だろ、サクッと良い具合に切ってやろうぜ。

◆戦闘
え、近付きたくねーの?しっかたねーなー、俺の後ろに居ろよー。
南天を大包丁に変えて【羅刹旋風】でぶった切るぜ。
さて、動かねーなら良い的だ。たっぷり振り回すぜ。
「怪力」で勢い任せに袈裟切り、返す刀で「2回攻撃」だ。
同じ場所を切りつけて「傷口をえぐる」ぞ、一度でダメなら何度でも!
飛沫でべっちょりしようが関係ねぇぜ。

ってトマト!トマト飛んできたー!みーやー!頼む!
あ、でも一個か二個はこっちにプリーズ!味見だ味見!
喰えるなら食ってみたい!


三岐・未夜
【八千代と】

んで、……あのバリバリ存在感主張して来るトマトどうにかしなきゃいけないんだよねー…… アレ切り分けて食べる、の……?
えーと、ってことは燃やしちゃダメな感じ?
八千代ー……僕アレ近付きたくない……どぅるんしてしっぽとか耳べっしゃあしたら泣く……。

八千代前行くの?
んん、じゃあ、せめて飛んでくるやつだけでも燃やしちゃおうかなあ
灰にしちゃえば果汁とか気にしなくて良いし……うん、そうしよ
あんまりこう、女の子の服汚れてるのに僕だけ後ろにいるのもちょっと、だし……八千代にトマト弾が当たらないよう、狐火で焼き尽くすよ【属性攻撃、操縦、誘導弾、援護射撃、見切り】

大丈夫、シューティングは得意だよ僕。



「青臭ぇ……」

 乾き始めた血濡れの印籠を片手でこねくりながら、花邨・八千代(可惜夜エレクトロ・f00102)はわりとひどい目に遭い続けているトマトを見上げて呟いた。トマト自体は嫌いではないものの、流石にこれはでかすぎる。

「ま、何にせよ喰うならカットは必要だろ」
「八千代前行くの? 切り分けるなら燃やしちゃダメな感じ?」

 飛び散る中身で耳や尻尾を濡らしたくない三岐・未夜(かさぶた・f00134)がへしょんとする。実際の所、他の猟兵達が遠慮なく燃やしているので火気厳禁というわけでもないのだが。トマトを燃やしてしまうと接近戦を臨もうとしている八千代が動きにくくなる可能性がある。

「八千代ー……僕アレ近付きたくない」
「え、近付きたくねーの? しっかたねーなー、俺の後ろに居ろよー」

 一歩前に踏みでた八千代が印籠を上に放る。生乾きの血液がベッタリとついたままだったそれは空中で膨張し、爆ぜるように形状を変えることでマグロや鯨を捌くのにも使えそうな大包丁となって彼女の元へと戻り。ヘリのプロペラのようにブンブンと頭の上で振り回しながら、ゆっくりとトマトに向かって八千代は近づいていく。

「動かねーならいい的だぜ」
「八千代。でも油断しちゃ……あ」

 未夜の心配は的中した。切り分けられたトマトを想像した彼がうっかり空腹感を刺激され、それにより歩き続ける八千代とトマトの間を阻むように無数のトマトで構成された塊が召喚されてしまったのだ。砲台となったトマト達はそれ以上彼女を近づけまいと、自らを武器としたトマト弾の集中砲火を浴びせかけてくる。

「トマト! トマト飛んできたー! みーやー! 頼む!」
「うわわっ! 分かった!」

 自分より前にいるせいで一気に狙われることとなった八千代の姿に、驚きに尻尾を膨らませた未夜が指先を向ける。空気と擦れあったかのように火花を散らし、放たれるのは黄昏色の寂しくも柔らかい色合いの炎。汚れるのが嫌とはいえ、先をゆく八千代にばかりその役目を背負わせるのも心苦しいという想いを乗せた未夜の炎はトマト弾に殺到し、彼女にぶつかる前に高熱を齎し尽くを灰にした。

「助かったー……あ、いや待てみや! 喰えるなら食ってみたい! 一個か二個はこっちにプリーズ!」
「えええ! この状態で食べるの!?」

 大丈夫かなあ、と心配げな雰囲気で耳をへならせる未夜だが、彼女がそう言うのであれば一つくらいは逃しても平気だろうかとあえてトマトの一つを野放しにする。ちょうど八千代の顔面に向かってきていたトマトに向けて八千代が首を引き気味に口を開けることで、方向転換などという器用な真似ができない悲しき果実は見事彼女の口でキャッチされた。
 ぎざぎざの歯を速攻で突き立て、大包丁を回していない方の手で掴み。そのまましゃぐしゃぐと咀嚼して飲み込む。

「ど、どう?」
「おー、これ美味いな。よっしゃ、充電もできたし一気に行くぜ!」

 完熟トマトを一つ食べきり、舌なめずりをした八千代が走り出す。トマト弾は雨あられと降り注いでくるが、それらは全て未夜が焼き払い。燃え落ちていく灰と火の粉を突き破って駆ける足は、すぐさま本体である巨大トマトの前へと躍り出た。回転を乗せた大包丁から溢れ出しそうな力はすべて切れ味へと変わり、勢いを利用して振り上げた柄を両手で掴むと体重も乗せた一撃がまず袈裟斬りにトマトを引き裂く。

「おらおら! 細切れになっちまえ!!」

 返す刀がもう一度食い込み、斬撃に合わせて果汁や中身を撒き散らしたもので八千代の体が濡れるがその程度で止まる彼女ではない。
 傷跡を更に深め、よりダメージを浸透させる包丁さばきは何度も何度も繰り返し行われる。徐々に、あんなに大きかったトマトの高さが低くなってきた。あちこちから燃やされ削られ、形を殆ど保てなくなってきてしまったのだ。
 それは、最後の一刀で決定的なものとなり。ぐらりとバランスを崩したトマトは、地面にぐちゃりと潰れて完全に沈黙した。

「ふー、中々うま、じゃない手強いトマトだったな」
「あー、びしょびしょだよ八千代。大丈夫?」

 頬についた果汁を舐めつつご満悦の八千代に、タオル片手で駆け寄る未夜。
 妙な生き物&やたらとでかいトマトとの攻防戦は、ここに終わりを告げるのだった。 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『ファーストフードパーティー』

POW   :    ファーストフードは量を食え! 食べられるだけ食べる

SPD   :    パーティーは戦場だ! 好きなものを素早く確保し食べる

WIZ   :    カロリー計算は大事です! 量や種類を気にしながら食べる

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●ご注文はつちねこトマトですね(半強制)
 邪神の企みを討ち破り、とあるファーストフード店へと招待された猟兵達。
 ここはUDC職員が世間からの情報収集をするために経営されている、表向きは個人営業のハンバーガーショップだ。
 今、この店の厨房には大量のつちねこと特異性の消えたトマトが運び込まれている。料理自慢の職員が腕をふるっているらしく、注文すればハンバーガーやサンドイッチ等が無料で食べ放題らしい。ポテトやオニオンリング、ドリンクもあれば成人に限りビールも飲み放題だ。

 ただし全ての食べ物にはつちねことトマトが入っている。

 例外があるとすれば、つちねこ抜きかトマト抜きを注文した時のみ。一応他の肉もあるので普通な食事も楽しめる。
 頼めばつちねこステーキや唐揚げなどといった、通常メニューにはない物も今日は作ってくれるそうだ。
 店も貸し切り、好きに騒いでくれていいとのこと。

 さあ、食べますか? 食べませんか?
ペイン・フィン
服とかは汚れてしまったから、予め着替えておくね。

注文は、ハンバーガー、つちねこのナゲット、トマトジュースでお願いね。
じゃあ……。食べようか。

(以下無言。言葉にする時間すらもったいない)

(これは……。うん。おいしいね)
(ジューシーなつちねこの肉が、甘みがありながらもさっぱりとしたトマトに合っているよ)
(ナゲットも、いいね)
(いつまでも、いくらでも食べたくなるよ)
(飽きてきても、トマトジュースでさっぱりと口直しできるし)
(これは、いいものだ……)
(あ、おかわりください)

お持ち帰り、できるならしようかな。
できるなら、仲間と、今回送り出してくれたグリモア猟兵の分、持って帰るよ。



「いただき、ます」

 汚れた服を取り替えてきたペイン・フィン(“指潰し”のヤドリガミ・f04450)は行儀よく椅子に座り、目の前に並べられたメニューを見下ろした。本日のメニューは混じりけなし、全てつちねこ肉で作られたパテを使用したハンバーガーとつちねこのナゲットに、飲み物は新鮮な元邪神トマトのジュースだ。
 なお、現場には悪巧みのために栽培された通常サイズのトマトもあったのだが、回収したUDCの職員曰く猟兵達の攻撃で少なからず傷ついた巨大トマトの方を早めに片付けてほしいらしい。

「……これから、食べようかな」

 うっすら、とてもうっすらだが嬉しそうな雰囲気を醸し出しながらペインがハンバーガーを掴む。事件解決へのお礼も兼ねて、結構な大きさでボリュームも満点だ。
 口を開け、がぶっと一口。口を動かしている最中も、二口目にいく瞬間も無言のままだが。決して味に不満があるというわけではない。どちらかと言うと、逆だ。

「(これは……。うん。おいしいね。ジューシーなつちねこの肉が、甘みがありながらもさっぱりとしたトマトに合っているよ)」

 このようにとても好評なのだが、いかんせん顔に出ないし声にも出ない。むしろ声を出して喋っている間すらもったいないとばかりに次々と目の前の食べ物を口に入れている。
 つちねこの肉は肉汁がたっぷりで、齧れば程よい硬さの歯ごたえが楽しめ。肉を食べている、という実感がとても感じられるし。トマトはその糖度の高さを遺憾なく発揮し、あまずっぱさと新鮮なシャキシャキさでつちねこの旨さを更に引き立てる。

「(ナゲットも、いいね。いつまでも、いくらでも食べたくなるよ)」

 ひょいぱくひょいぱく。淀みのない手付きでナゲットを口に入れ、しっかり味わうための咀嚼も素早くかつサイレンス気味に行うペインの表情はやはり少し、嬉しそうに見える。
 揚げ物で少し油っこくなった口の中を綺麗にしてくれるのは、巨大トマトをミキサーにかけた自然そのままの味わいをしたトマトジュースだ。箸休めにはちょうどよく、目の前にあるものを全てノンストップで食べきったペインは幸せそうに息をつく。

「(これは、いいものだ……)」

 満足気に頷いて、視線はテーブルの拭き掃除をしている店員(UDC職員)に向けられる。

「(あ、おかわりください)」
「い、今あちらのお客さから脳内に直接注文が……」

 聞こえぬ声を察知した店員がかしこまりましたーとキッチンに消えていく。
 その後もたらふくつちねことトマトを堪能し、最後には大量のお土産も包んでもらったペイン。内訳は仲間と、今回の仕事を振ってきたグリモア猟兵の分。
 帰還後、もらったお土産を口にしたグリモア猟兵は不思議そうな顔しながらも大変美味しくそれを頂いたとか。

大成功 🔵​🔵​🔵​

イリーツァ・ウーツェ
よし食うぞ。そのために来たのだから。
揚げ物と炭酸と酒を除き、メニューを上から一個ずつ頼む。
一度には頼まない。食べ終わってから次に進む。
UDC職員も猟兵もお疲れ様、だ。


太刀川・明日嘉
トマトはともかく、つちねこってさっきのあれよね
ねこもつちのこも食べられないと思うんだけど……いや、つちのこはどうか知らないけど
えっ、ビール飲んでいいの!? やったー!

(一気飲み)
(真っ赤になる顔)

\ 酔ってなんにもわからない /

具はなんでも良いけどサンドイッチとオニオンリングと……あとビールもう一杯!
あー、サンドイッチなに頼んだっけ……よくわかんないけどおいしー!
えへへこれ何のお肉?
つちねこ? へー!
私つちねこ好き~
(翌日思い出してブルーな気持ちになる)



 つちねこバーガー、つちねこダブルチーズバーガー、つちねこてりやきバーガー、つちねこライスバーガー……などなど、トレイにこれでもかという量のつちねこ系バーガーの包み紙を丁寧に折りたたんで重ね、イリーツァ・ウーツェ(不死盾・f14324)は次の獲物をどうしようかといった顔でコップの水を飲む。
 一つ味わっては次の一つを頼み、ゆっくと味わってから次のできたてに臨み続けてはや数十分。既に結構な数を胃に収めているが、まだまだ余裕はありそうだ。
 店内では酒類も無料でサービスされていたが、そちらには手を付けず黙々と食にだけ集中するイリーツァ。

「さて、次はなにを食べるか」

 注文をしようと近くに店員がいないかを探す視界に、制服姿の女性が映る。そちらに声をかけようとした瞬間、彼の視界には何やら黒くてふわふわとしたものが飛び込んできた。

「あー、ごめーん。ちょっと椅子借りるね~」

 癖のある黒髪を揺らして、イリーツァの対面に座ったのは太刀川・明日嘉(色を失うまで・f01680)だ。頬は赤く、大きな眼鏡は軽くずり落ちて、その手には中身が空になった緑色のビール瓶がしっかりと握りしめられている。
 店に来た当初はつちねこが食べられるという事実を前にかなり迷っていた彼女だったが、お酒が飲めると聞いた途端一気にテンションがアップ。提供されたビールを一気飲みした数分後には、立派な酔っ払いとなってしまっていた。

「……随分、飲んでいるようだが、平気か?」
「大丈夫だぁいじょうぶ。っあ、おねーさーん!」

 陽気な声で明日嘉が声をかけたのは、先程イリーツァの目に止まっていた女性店員。ビールだけでは少し物足りなくなったのか、彼女は虚空を眺めてふんふんと何やら頷いてからオーダーを始める。

「具はなんでも良いけど、サンドイッチとオニオンリングと……あとビールもう一杯!」
「すまない、私にもサンドイッチを貰えるか」

 注文を受けた店員が頭を下げて注文を伝えにいく。この店は本来、一般市民からの情報収集を目的とした店ではあるが。違和感のないように働く職員たちは一通りの接客技能を習得し、キッチンスタッフも資格を持った職員が丁寧に素材の厳選から行っているこだわりの店だ。
 飲食店の評価サイトでの星は4.2。結構評判がいい。
 程なくして、二人のもとにはサンドイッチが。それに加えて明日嘉の前には揚げたてのオニオンリングと新しいビール瓶が届けられる。

「ありがとー。えー……サンドイッチなに頼んだっけ」

 まあいいか、と彼女がかぶりついたサンドイッチの中身は勿論、つちねこである。
 薄切りにしたつちねこ肉を濃いめのタレで焼き、レタスに巨大トマトの果肉とゆで卵を挟んだ一品。パンは軽くトーストされており、ザクッとした食感が楽しめる。

「ん、このつちねこサンドイッチ、中々美味いな」
「へー! これつちねこっていうんだー」

 酔う前のためらいはどこへやら。酒の魔力に完全にやられてしまっている明日嘉には、もうこれがただの美味しいお肉が入ったサンドイッチにしか感じられない。その上、少し辛味のあるタレを使用しているせいかビールによく合う。素面になるタイミングはどんどん遠ざかる。

「おいしー! 私つちねこ好き~」
「あまり、飲みすぎると後が……いや、働いた後の酒は格別か」

 ふにゃふにゃ笑い、陽気に酔っ払う明日嘉を見て、イリーツァは少し微笑ましそうに目を細める。猟兵としての本分を果たした後なのだから、少しくらいの無礼講は可愛らしいものに映ったのだろう。
 ――彼は知らない。
 この翌日、酒が抜けた明日嘉が自分が何を食べていたのかを思い出してしまい、一日ブルーになっていたことを。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

三岐・未夜
【八千代と】

八千代八千代、タオル
どぅるん拭いて。赤い

……まあ、ここまで来たら食べよう……おなかすいたし……

ハンバーガーとポテトとオレンジジュースの一般的なセットを頼んで、八千代と席に着く
んん、食べ切れるかなあ……
少食ゆえの、若干の不安
ポテトは好きだから食べたい
でもハンバーガーも興味はある
結果両方頼んだ訳だが、胃の容量はそんなにない

八千代食べてくれるの?
じゃあ、はい、はんぶんこ

ハンバーガーを半分にして八千代のトレイに
指先に溢れた肉汁をぺろりと舐めて目を瞬いた
…………おいしいかも
わしゃりと噛み付いて、もぐもぐとよく咀嚼
ぱあっとする表情、振られるしっぽ
八千代、これおいしい!
わーびっくり、おいしい……


花邨・八千代
【未夜と】
食べ!!!ます!!!!
腹ぁ減ったァー!なーみやー!全品制覇しようぜー!

あ、そういや着替え…着替えしねーとどぅるんしたままだったわ…。
俺が青臭い…、すげー髪ばりばりいう…。
職員に着替え借りとくかー。

さて飯!飯!全種類もって来い!あるだけ喰うぞ!
いやー自分で仕留めたつちねことトマトは格別にうめーなー。
やっぱ血抜きと腑分け、大事だな!
なーみや、うめーだろ?
みやが残す分は俺が喰うぞ。勿体ねーし。
そういやつちねこの頭部分は何か料理になんの?出汁でもとんのかね。

土産に肉持って帰れねーかなー、団地の土産にしてぇ。
灯人ならまた何か作ってくれんだろ。
しかし楽しい依頼だったな、また来ようぜ!



 ――つちねことトマトを。

「食べ!!! ます!!!!」

 ドンっとSEが付きそうな勢いで腕組み仁王立ちの花邨・八千代(可惜夜エレクトロ・f00102)はご機嫌だ。待ちに待った食事の時間ということで、うきうきと席に座ろうとする。だが、それを寸前で止めるように後ろから駆け寄ってきた三岐・未夜(かさぶた・f00134)がタオルを彼女の肩に置きがてらにぽんと叩く。

「その前に拭いて八千代。赤い」

 巨大トマトに最後の一刀を叩き込んだ八千代の体は、全身見事なまでにトマトの果汁とどぅるんとしたもので汚れていた。あまりしっかりと拭いもせずにここまで来たので、時間経過により渇いた汁が彼女の肌や髪にも満遍なくへばりついてしまっている。その上、青臭い。

「あ、そういや着替え…着替えしねーとどぅるんしたままだったわ……」
「職員さんに着替え借りられるんじゃないかな」
「おっ、確かに。ちょっと聞いてみるから、その間にみやは注文頼むぜ。とりあえず全種類な」

 寄り固まってしまった髪を弄る八千代をぴんと弾き、早速八千代は近くにいた店員に声をかける。その間、未夜は言われた通りに注文を通し、待っている間に二人が座るテーブル席がみるみる間につちねことトマトを使った料理で埋め尽くされていくのを見ていた。かなりのバリエーションがあるようで、まさに圧巻である。
 それから三十分後。

「悪い、待たせたな」
「あ、おかえり八千代ってええええええええ!?」

 聞き慣れた声に顔を上げた未夜の目が、長く伸びた前髪越しでも分かるくらい大きく見開かれる。そこに立っていたのは、赤いストライプの白シャツと黒いタイトスカートに臙脂のショートエプロンを装着した八千代の姿。店内を行き来している女性店員と同じ服装だ。
 ここにある貸し出せる着替えとなると、必然的にこうなってしまうらしい。元の服は食事の間に洗濯と乾燥をするそうで、髪や顔も濡れタオルで綺麗に拭いてある。

「よっし! さっぱりしたし改めて食おうぜ!」
「う、うん。ああ待ってそんな足開かないで八千代!?」

 慌てる未夜を意に介さず、八千代の手がハンバーガーを掴む。豪快にかぶりついて咀嚼すると、前評判の通り肉汁溢れるジューシィなつちねこ肉の旨味が口の中に広がっていき。そこにあのトマトの爽やかな甘味と酸味がいい具合に混じり合って彼女の味覚を刺激する。

「うめー! いやー自分で仕留めたつちねことトマトは格別だな」

 しっかり血抜きと腑分けをしておいたこともあり、いい状態で肉を保つことができたと早々に一つ食べ終えた八千代の手が次に伸びる。山のように積まれた食事は殆どが彼女用で、少食な未夜はつちねこバーガーにポテトとオレンジジュースといったオーソドックスなセットを自分用に確保している。

「ポテトは好きだから食べたいんだけど、ハンバーガーも興味はあるんだよね。でも全部食べきれるかな……?」
「残しそうなら俺が喰うぞ。勿体ねーし」
「いいの? じゃあ、はい、はんぶんこ」

 半分にちぎったハンバーガーを八千代に渡し、指先についた肉汁を試しに舐めてみる未夜の耳がピンと立ち上がる。つちねこのビジュアルを見た後だったので若干恐る恐るだったのだが、少し口に入っただけのそれは確かに美味しい。
 思わず勢いよく噛み付いて、もぐもぐと口を動かすのに合わせて尻尾も徐々に横に揺れ始める。咀嚼し終えたものを飲み込むと、若干興奮気味に未夜は八千代を見つめながら口を開いた。

「八千代、これおいしい!」
「なー、うめーだろ? つちねこの肉、土産に持って帰れねーかな」

 二人が住む団地にいる世話焼きな仲間を思い、八千代は口端を釣り上げて笑う。料理上手な彼のことだから、きっとつちねこでおいしい食事を作ってくれるだろう。

「しかし楽しい依頼だったな、また来ようぜ!」
「また同じような生き物が出てくるのかと思うと複雑だけど……うん!」

 両手でハンバーガーを持った未夜も笑顔で頷き、次の一口へと齧りつく。なお、お土産分に関しては二人が捌いて処理をしたつちねこを、好きなだけ持っていってもいいということで。乾いた服に着替えてたくさんの肉を抱えた二人は、これで何を作ってもらおうかと楽しげに相談しながら帰路についていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

琥珀川・れに
一度食べてみたかったんだよ
基本的にはナイフとフォークでいただくよ。貴族だからね。

まずは生の味を【吸血】でいただこう
※美味しいかどうかはダイスかアレンジ次第

顔の部分だけで出てくるとつぶらな瞳すぎてちょっと食べづらいな

メインディッシュはつちねこトマトバーガー
うん、バーガーは頬張るのが最高

後世の為に食レポを残しておこう
とろみがあって香ばしくてえもいわれぬ香りとコクがある…
例えるなら…なんだ?

ファーストフード店…シェイクとかは出せたりする?

※アドリブ大好き&楽しみ。追加省略アレンジもご自由に。



 琥珀川・れに(男装の麗少女 レニー・f00693)の前には、大きな白いお皿とその上に寝転がるつちねこの躯がある。頭と身体は切断されており、体の横にそっと飾りか何かのように置かれた頭はつぶらな瞳を開いたまま。元々どこを見ているか分からなかったが、今はその空虚さをより前面に押し出している。

「うん、さすがに見つめられると少し食べづらいな」

 そっと見つめ合い、とりあえずくるっと後ろを向かせてみるがなんだかより圧を感じる結果になってしまう。頭部の部分は可食部がそう多くなさそうだが、キッチンではいい出汁が出るかもしれないと煮込み作業をしているらしい。
 そちらもどんな味になるのか気になるところではあるが、まずは目の前の食事を楽しもうとれにの持つフォークがつちねこの体を軽く押さえる。

「まずは生の味を確認しよう。一度食べてみたかったんだよ」

 唇の端に尖った牙を覗かせて、調理された味の前に素材そのものが持つ風味を味わってみようとつちねこの血を吸い上げる。
 まず口の中に入ってきたのは、さらりとした滑らかな感触。喉の滑りも良く、鼻に抜けていく香りにも獣臭さは皆無だ。オブリビオンとはいえおそらく何かしらの食事をしていたと思われるのだが、少なくともその血に肉食動物のような雑味はない。もしかすれば、このつちねこ達は巨大トマトの周りに生えていたトマトを主食にしていたのかもしれない。

「……どうしよう。普通に予想の範疇を超えてきて美味しい」

 飲み込み、少し真剣な顔でつちねこ肉を見下ろすれにの表情は、美味しかったことへの喜びとその美味しさが少し想定の範囲外だったことへの戸惑いで複雑そうだ。
 口の中に残る後味もくどくなく、舌の上にはただ深みのある味が心地よく後を引く。ダンピール特有の味覚なのかもしれないが、少なくとも不味いと感じる要素は無い。

「とりあえず生はこんなものか……よし、それじゃあメインディッシュだ」

 ナプキンで口元を拭い更にワクワクと瞳を輝かせるれにの前に、今度はできたてのつちねこトマトバーガーが提供される。やはり白いお皿の上に結構なサイズ感で鎮座する丸い物体にナイフとフォークを向け、ホールケーキを切り分けるかのように綺麗な三角形にすると、突き刺したハンバーガーを頬張るように齧りついて分厚いパティを噛みしめた。
 先程は血が溢れていた口の中を、今は肉汁とトマト果汁がじゅわっと溢れてまた別種の充足感で満たしていく。
 
「んん、これは美味しい。生もいいけど、温かく調理されてるのは格別だ」

 もぐもぐとよく噛んで、初めてのつちねこトマトバーガーを味わうれにはすっかりご満悦だ。苦労して戦った後の食事ということもあるだろうが、念願だったつちねこにありつけたという喜びのほうが大きいのかもしれない。
 この感動と味を忘れず、また後世に伝えようと食レポを考え始るのだったが。少しすると難しい顔で腕組みをして唸り始める。

「とろみがあって香ばしくてえもいわれぬ香りとコクがある……例えるなら……なんだ?」

 考えてはみるものの、近い味の他の生き物が中々出てこない。つちねこの味はあくまでつちねこなのか、例えるに値するものがすぐに浮かばないというのもまた特徴の一つかもしれない。
 とにかく美味しい。それだけははっきり分かる。

「これは更なる詳細を詰めるためにもおかわりが必要だな。……あ、そうだ」

 ぴこん、と頭上に電球マークを浮かべて分かりやすく何事かを思いついた様子のれにが、通りがかった店員を呼び止める。

「ここ、ファーストフード店なんだよね。シェイクって出せたりする?」

 ……はたしてそれが、トマトのシェイクなのかつちねこのシェイクなのか。
 答えは彼女だけが知っている。

大成功 🔵​🔵​🔵​

パーム・アンテルシオ
狩った以上は、使える部分は使う。必要な事だよね。
そういえば、皮とかどうなるんだろう…私が気にする事じゃないかもしれないけど…

それにしても…自分の獲ったものが、食卓に並ぶ。
この感覚、懐かしいな。

●POW
メニューは…シェフのお任せで。
お肉メインの方が嬉しいかな?
ふふふ。こう見えても、肉食系女子だからね、私。
不味いものが出てくるとは、思ってないから。そこは信用してるよ?
折角だし、食後のデザートもお願いしちゃおうかな、なんて。

量もお任せにしちゃうけど…
多いからって残すのは、失礼だし。
奥の手は、用意しておこうかな。
九ツ不思議…土蜘蛛。
お持ち帰り…タッパかな?ふふふ。こっそりね。

【アドリブ・連携など歓迎】



「へえ、それじゃあ皮の一部は研究に回されるんだ」

 パーム・アンテルシオ(写し世・f06758)の質問に答えてくれた店員ことUDC職員が言うには、つちねことトマトの一部は今後何かの役に立つかもしれないということで研究所に回されるらしい。その中にはつちねこの処理をした際に出てきた皮も含まれるそうで、そこからも余ってしまった分に関しては何かしらの利用法を模索するそうだ。

「触り心地はいいから、財布や鞄に? ふふ、逞しいことだね」

 薄い体毛の生えているつちねこの皮は、蛇めいた長さではあるものの触り心地は猫のそれに近い。うまく使えば商品化もできるのではと希望を見出す職員は、なかなかに商魂もあれば胆力もある。長い間この世界で邪神と戦い続けているだけあって、ハングリー精神が養われているようだ。
 そうして雑談に花を咲かしていると、ふいにパームの嗅覚に香ばしい香りが届いてきた。
 何を食べるかはお任せにした彼女の元に届けられたのは、つちねこの肉を使ったステーキである。熱した鉄板の上で音を立てて焼かれながら提供され、その上にさっぱりとしたわさび醤油のソースをかけることで更に美味しそうな匂いが辺りに漂う。

「不味いものが出てくるとは思ってなかったけど、これは予想以上かな」

 嬉しそうな顔で呟き、ナイフとフォークで肉を一口大に切り分けると、レアさの残る断面を眺めてからぱくりと食いつく。濃厚な肉汁がさっぱりとしたソースとうまく調和して、柔らかい肉が口の中で蕩けるように消えていくのを噛みしめるパームの表情は満面の笑顔。背中に広がる大きな尻尾達も、ふさふさと機嫌の良さを訴えるかのように揺れている。

「それにしても……自分の獲ったものが食卓に並ぶって、なんだか懐かしいな」

 狩りをして、捕らえた獲物を糧として食べる。
 かつてそうして生きていた頃の記憶が蘇ってきたのか、どことなく懐かしそうな表情でパームはするするとつちねこステーキを胃に収めていく。
 あらかた食べ終えて一息つく頃、次に待っていたのはあのトマトを使用したシャーベットだ。
 ひんやりと冷たく、トマトの糖度を最大限に活かした味のデザートは口の中をさっぱりと洗い流してくれ。濃いめだったステーキの後に食べることで両者の味をより強く、深く印象づけるのに一役買っている。

「なんだか至れりつくせりで贅沢な気分だよ。……とはいえ」

 味は美味しく文句はないのだが、なにせかなりの匹数を討伐したせいでまだまだ食材は余っている。パームがトマトシャーベットに舌鼓を打つ間にも、店員達が新しい料理を進めてくるのだ。
 食べられる量にも限界があるが、かといって断ったり残すのも心苦しい。なにより、まだステーキも残っている。基本的に、作られる料理はどれも量がそれなりに多い。

「……これは、お持ち帰りかな?」

 こっそり呟き、フォークをとったパームがステーキを一口。一見普通に食べたように見えるが、実際は彼女のユーベルコード【九ツ不思議・土蜘蛛】により別の場所へと送られており。転送された先でしっかりと保存されている。
 こうして、今食べ切れない分は後に回してゆっくりと消費していく作戦だ。

「余分に狩った獲物は、保存しておくのが基本だし、ね?」

 パームの口元が微笑み、次の肉片をフォークで刺す。
 小柄な少女が食べるには過ぎたる量を平然と片付けていく様子に、配膳をした店員は不思議そうな顔をするのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

霄・花雫
【SSFM】

かんぱーいっ!(※林檎ジュース)
灯くんほんっとごめんねぇ、お水とハンカチくらいしかなくて……
でも怪我なく終わってよかったねぇ、みんな

んーっと、……これが、うん、あの、アレ……
た、食べるよ?だってみんな食べるし……お、思い出さない、思い出さない……

あ、あれ、おいしい……?
すっごい脂がじゅわってするけどほんのり甘くて、お肉の味も濃いんだけどしつこくないって言うか。口の中に脂が残らないからすっごく食べやすい
一緒に挟んであるレタスとトマトも肉汁でおいしくなってて、すごいねこれ

……え、そんなに違うの?
???
ね、灯くん一口ちょうだい?
………………お魚……?
えっ、あれ?

????????(増える)


皐月・灯
【SSFM】
ひどい目に遭った……。
んな気分じゃねーっての、ったく。(乾杯に合わせてグラスを指で弾き)
……このトマトの匂い、厨房からか? まさかオレからじゃねーだろーな。
くそっ、鼻がおかしくなってやがる。

とりあえずバーガー頼むぞ。
散々な目に遭ったんだ。美味いもん食う権利くらいあんだろ。
……見た目は意外と普通だな。トマトもつちねこも。
肉のほうは、流石にあのつちねこの面影はねーみてーだ……。
まあ、こうなりゃただの肉だな。

ただの肉だろ。

……肉だよな?

……歯ごたえは肉だが、なんか……魚の匂いがすんな。

……やめとけリュシカ。
美味いけど、予想外の味に当たったときのショックは……割とデカいぜ。


リュシカ・シュテーイン
【SSFM】
いやぁ、とても大変でしたねぇ、灯さんにはとっても感謝なんですよぉ
ではではぁ、乾杯ぃですよぉ(※水)
ははぁ、これがあのつちねこのぉ……こう見るとぉ、普通にはんばぁがぁって感じぃ、ですねぇ

これはぁ……お肉自体がぁ、なんだかふるぅてぃなぁ……じゅうしぃなぁ?
照り焼きぃ、というような味なんでしょうかぁ、トマトと合いますねぇ
一度だけ奇跡でそういったお肉を食べたことがあるんですけどもぉ、ソースは無いのにそんな気分を感じますねぇ

わあぁ、皆さんはそんなに違うのですかぁ?
……やっぱりぃ、らんだむばぁがぁとしてぇ、儲けがぁ……でも材料の在庫がぁ……つちねこ討伐の出費ぃ……(100円電卓を取り出し)


シャルロット・クリスティア
【SSFM】

ではでは、本日の勝利……勝利?
まぁ、勝利で良いですか。祝して、乾杯!(※オレンジジュース)
一部(主に灯)に被害こそ出ましたが、問題なく終われましたね。

と言うわけで、サンドイッチでも頼んでみましょうか。
……加工されてると分かりにくいですけど、あれの肉なんですよねぇ、コレ。

……ん。美味しいですね。
思ったよりも淡白で、癖も無い。鶏ささみに近い感覚です。ヘルシーですね。
トマトやレタスとも合っていますし……マスタードかバジルソースあたりかけたくなりますね、これは。

皆さん、どうですか?
……。
……??感想がてんでバラバラですね?
ちょっと一口頂いてみても?

(齧る)(違う味がする)(疑問符が増える)



「ではでは、本日の勝利……勝利? まぁ、勝利で良いですか。祝して、乾杯!」
「かんぱーいっ!」
「乾杯ぃですよぉ」
「……」

 シャルロット・クリスティア(あの雲の向こう側へ・f00330)の高らかな宣言に、霄・花雫(霄を凌ぐ花・f00523)とリュシカ・シュテーイン(StoneWitch・f00717)の声が続く。
 グラスの重なる音は三つ、そこにプラスしてローテンションの皐月・灯(喪失のヴァナルガンド・f00069)が指でグラスを弾いた音が混ざってなんとか四人分の乾杯の音となる。
 ちなみに乾杯はしているもののリュシカ以外は未成年なのでジュース。唯一の成人であるリュシカも、無料だと聞かされているのにも関わらずつい水でグラスを満たしており普段の節制した生活の影響が色濃い。

「灯くんほんっとごめんねぇ、お水とハンカチくらいしかなくて……」
「ひどい目に遭った……このトマトの匂い、厨房からか? まさかオレからじゃねーだろーな」

 四人の中で唯一トマト汁爆弾を頭から食らった灯の服は、全体的にベタッとしていてトマト臭い。厨房で調理されているトマトの匂いなのか、はたまた自分から出ている匂いなのかの判断が一切つかず。机に突っ伏しながら低く唸る様子に、リュシカが申し訳無さそうに眉を寄せる。

「いやぁ、とても大変でしたねぇ、灯さんにはとっても感謝なんですよぉ」
「一部に被害こそ出ましたが、問題なく終われましたね」
「こっち見ろ」

 視線を反らしながらオレンジジュースを傾けるシャルロットに噛みつかんばかりの灯だったが、気を取り直したのかのろのろと頭を上げて店員を呼ぶ。ここまで来たのだし、散々な目にもあったのだから美味しいものを食べる権利はあるだろうと早速注文。程なくして四人の前には、ハンバーガーが三つとサンドイッチが一つ。見た目は何の変哲もないようで、つちねこの面影は当然のようにない。

「加工されてると分かりにくいですけど、あれの肉なんですよねぇ、コレ」
「こう見るとぉ、普通にはんばぁがぁって感じぃ、ですねぇ」

 後ろや横から様子を見て、リュシカとシャルロットがまず一口。

「肉のほうは、流石にあのつちねこの面影はねーみてーだ」
「んーっと、……これが、うん、あの、アレ……」

 突付いてみたり揉んでみたりしてから、後を追うように灯と花雫もぱくり。
 咀嚼のために暫し無言の時間が過ぎ、徐々に四人が四人とも、自分以外の表情を伺い見るように視線を走らせ始める。誰が最初に感想を口にするのか、まるでタイミングを見極めようとする無言のやり取りは一分ほど続き。

「……肉だよな?」

 ぼそりと、灯が漏らした言葉にリュシカがこくこくと頷く。

「お肉自体がぁ、なんだかふるぅてぃなぁ……じゅうしぃなぁ。照り焼きぃ、というような味なんでしょうかぁ、トマトと合いますねぇ」
「……歯ごたえは肉だが、なんか……魚の匂いがしないか?」
「えっ」

 全く違う感想が出てきたことに、顔を見合わせて不審げな顔をする二人。その視線を対面にいるシャルロットと花雫に向けると、こちらはこちらで不思議そうな顔で口を動かしていた。

「すっごい脂がじゅわってするけどほんのり甘くて、お肉の味も濃いんだけどしつこくないって言うか。口の中に脂が残らないからすっごく食べやすい」

 間に挟まっているトマトやレタスにも肉汁が染み付いていて食べやすく、恐恐と食べた割には予想以上の美味しさだと訴える花雫。美味しいという点においては同意をするものの、灯は自分が食べたハンバーガーをまじまじと見つめて花雫の感想にあったような味があったかと思い出そうとする。

「……やっぱりそんな味しなかったぞ。本当に同じ生き物の肉か?」
「私の方は思ったよりも淡白で、癖も無い。鶏ささみに近い感覚です。ヘルシーだと思うんですが」
「わあぁ、皆さんはそんなに違うのですかぁ?」
「ちょっと灯くん一口ちょうだい?」

 誰一人として味の感想が被らず。とりあえずと自分以外が食べた物を少しずつ齧らせてもらう面々。中に使われているのは確かにつちねこの肉で、それは間違いないはずだというのに夫々が持つ味の個性がバラバラだという。もはやミステリーの勢いだ。どうやら、つちねこの味には大なり小なり個体差があるのではないか、というのが四人の導き出した答えだ。

「味がてんでバラバラですね……」
「……やっぱりぃ、らんだむばぁがぁとしてぇ売り出すのがぁ、いいんじゃないかと思うのですがぁ」

 百円電卓を取り出しぽちぽちと計算を始めるリュシカ。在庫の費用や材料であるつちねこの討伐にかかる諸経費等など、零が増えていくばかりの計算をやめさせるよう、灯は液晶に手を差し出して数字を隠しながらゆっくり首を振る。

「やめとけリュシカ。美味いけど、予想外の味に当たったときのショックは……割とデカいぜ」

 博打感の強さは売りになるかもしれないが、ひょっとすればとんでもない味に出くわす可能性もある。流石にそれでは安定した儲けを出すのは難しいだろう。
 改めて、手元のハンバーガーを齧る花雫。食べさせてもらった他の人のつちねこ肉は自分が食べているバーガーとは全くの別物ではあった。けれど。

「でも……とりあえずは美味しかったし、それは良かったかな」

 あの見た目からは想像できなかったと続け、それには全員同意する。
 細かいことを気にしては負けだということか。四者四様の味を楽しみながら今日一日のことを話し合う四人の姿を、茜色に染まり始めた空が労うように照らしていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年03月18日


挿絵イラスト