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クリスマスなんて大嫌い! な~んちゃって

#ケルベロスディバイド #黄道神ゾディアック #プレイング受付中

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● 女性会社員・A子(仮名)の場合
 またダメだった……。マッチングアプリで知り合った男性とのやり取りは、結局盛り上がることもなく自然消滅した。そして遂に、今年もこの季節がやってきた。そう、12月といえばクリスマスだ。子供の頃は無邪気に楽しんでいたのに、年を取るにつれていつしか『誰かと一緒に過ごさなきゃいけない』という強迫観念に囚われるようになっていった。
 会社からの帰り道。街を煌びやかに彩るイルミネーションが、街頭ヴィジョンから流れる浮ついたクリスマスソングが、A子の神経を逆撫でする。
「パートナーがいなくて、悪かったわね!? どうせ私は今年も独りよ!」
 いつも仕事をきっちりこなしているし、空いた時間で自分磨きも頑張っている。なのに、どうして自分は報われないのだろう? 長らく恋人もおらず、寂しさは募るばかりだ。
「寒い……風邪でも引いたのかな……」
 唐突に、A子の体に悪寒が走った。今夜は薬を飲んで早く寝よう……そう思って帰路を急ぐA子だったが、時間が経つにつれて頭痛と吐き気までやってきた。これはまずいと思ったが時遅く、A子は遂に荒い息を吐きながら、路上に座り込んでしまった。
「……あの、大丈夫ですか?」
 座り込んだA子を見かねて、通行人の男性が彼女に声をかけた。思わず、そんな彼の方へ視線を向ける。ダークグレーのスーツが似合う、優しそうな人だ。顔もまぁ、悪くないかな――だが、男性の傍らには恋人と思しき女性がいた。仕立ての良さそうなベージュのコートを着たその女性は、不安げな面持ちでA子を見ている。
「ア……あぁぁぁぁぁっ……!!」
 もう、耐えられなかった。彼女の理性が限界を迎えたその時、A子の体がボコボコと膨れ上がり、体内から無数の肉瘤が飛び出ると、ヒトの腕のような奇怪な形状へと急成長した。
「う……うわああーーっ!?」
「キャアアーーーーッ!!」
 和やかなクリスマスの街並みは、恐怖と混乱の叫び声によって一変した。『悲腕症候群』と呼ばれる謎の奇病に冒されたA子は、ボロボロと涙を流しながら、異形の腕を地面に叩きつける。
『寒いヨ……だ、誰カ……私ヲ抱きしメて……!!』

「さて、そろそろ風邪やインフルエンザが流行り出す季節になってきたけど、体調管理は大丈夫かな? 健康の秘訣は、やっぱり十分な睡眠と栄養バランスのいい食事だろう。とはいえ、ケルベロスディバイドの『病気』は一筋縄ではいかないようだけど」
 12月のある日。グリモアベースに集合した猟兵に、ガーネット・グレイローズ(灰色の薔薇の血族・f01964)はいつものように落ち着いた様子で語り掛けた。12月に入り、世間は繁忙期やらクリスマス商戦やら忘年会やらで何かと慌ただしい。
「『恋の病』という言葉もあるように、常軌を逸した恋愛感情の暴走が、人の身体に思わぬ異変を起こすこともある……。今回向かってもらうのは、ある街に出現した病魔の討伐作戦さ」
 ケルベロスディバイドの世界には、デウスエクスと呼ばれる侵略者以外にも、人類に敵対する種族が多数存在する。人間の身体に潜伏し、様々な『症候群』を発症させて災いを撒き散らす『病魔』もその一種だ。
「クリスマスというのは、なぜか人を浮ついた気分にさせやすい。今回病魔の標的にされるのは、『恋がしたい』という感情を病的なレベルにまで拗らせた一般市民の女性たちさ。『悲腕症候群』に感染した人たちが、街で無差別に破壊活動を行い、人々を襲撃している。だが、治療法は意外と簡単だ。『殴って倒せばいい』。病魔には、ユーベルコードが効くんだよ」
 随分と乱暴な言い方だが、本当に病魔を直接攻撃することで患者を治療する医療従事者が、彼の世界には存在する。ウィッチドクターとよばれる病魔呪術の権威がそれだ。
「それから、現場で『悲腕症候群』の感染者を統率している、『謎の病魔』の存在も確認された。特務機関DIVIDEのデータベースには『竜墜症候群』という呼称で登録されているんだけど、罹患者や病魔の召喚者についての情報は一切得られていない。謎の多い敵だが、気を付けて対処してくれ」
 ただ、一連のデウスエクスによる民間人襲撃の影には、十二剣神の一柱『黄道神ゾディアック』の存在が噂されている。ゾディアックが病魔を利用して人類を殺害し、グラビティチェインを奪うつもりでいるのなら、説明がつく。
「それから、余談なんだけど……特務機関DIVIDEの職員の人達から、猟兵に向けて懇親会の誘いが来ているよ。年末だし、彼らも息抜きしたいんじゃないかな……ちなみに予算は全額DIVIDE負担だそうだから、猟兵のみんなは予算を気にせず好きなだけ飲食してもらって構わない……とのことだ。そっちの方も、作戦が終わったら楽しんでくるといいよ」
 ガーネットのグリモアが輝きを増し、猟兵たちは謎の病魔が待ち受けるケルベロスディバイドへと旅立っていく。クリスマスムードが流れる街を戦場に、決戦の火蓋が切られようとしていた。


弥句
 こんにちは、弥句です。今回は、ケルベロスディバイドにて発生する病魔事件の対処に向かっていただきたいと思います。
 第1章は集団戦で、病魔『悲腕症候群』に感染した民間人(一般人女性)との戦闘になります。こちらの攻撃はユーベルコードを含めすべて有効。病魔だけを撃破することにより、罹患した人々を完治させて助け出すことができます。
 第2章はボス戦。この『竜墜症候群』と呼ばれる病魔については、詳細不明となっております。罹患者についても情報が不足しており、特定できておりません。この病魔を撃破すれば、ひとまず作戦は成功です。
 第3章は日常パート。特務機関DIVIDEの手配で、繁華街の飲食店を利用して戦勝会が開かれます。居酒屋やダイニングキッチンなど、色々なお店で飲んだり食べたりして、皆で盛り上がりましょう。
 ここまで読んでいただき、ありがとうございました。それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 集団戦 『悲腕症候群患者』

POW   :    燃え上がる恋の痛み
【腕のような肉瘤】から、戦場全体に「敵味方を識別する【恋の炎】」を放ち、ダメージと【消えない炎】の状態異常を与える。
SPD   :    悲恋狂いの腕
【抱擁を求める腕】【愛情を求める腕】【永遠を求める腕】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ   :    肉瘤肥大
【急速に肥大化した腕状の肉瘤】が命中した対象を治療する。また、対象と【共感】で繋がっている場合、両者の攻撃力を大きく増加する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 猟兵が現地に着くと、街は既に『悲腕症候群』の患者が多数徘徊しており、不気味な光景が広がっていた。病魔に冒された女たちは何事か呻きながら、異形発達した多腕を振り回し、叩きつけ、手当たり次第に破壊活動を繰り返している。
「各員、配置につけ!」
 その時、逃げまどう人の波に逆らいながら、軍用車両が何台も現場にやって来た。車の中から降りてきたのは、戦闘服や防護服に身を包んだ屈強なDIVIDEの戦闘員たちだ。彼らも|決戦配備《ポジション》に就き、猟兵の戦闘を支援してくれるだろう。恐ろしい病魔を一刻も早く鎮圧し、街に秩序を取り戻さなければならない。
日下部・香
恋がしたくて悩みすぎる人もいる、ってことかな?
ま、私がやるべきは病魔の撃破。行動あるのみ、だな。

決戦配備・ディフェンダーを要請。民間人がケガしないよう守ってほしい。病魔はなるべくこちらで抑えるけど、仕損じた時は頼む。

この状況じゃ、地上じゃあ動きづらいか。建物とかの上から、【螺旋弓術・黒雨】で病魔を攻撃しよう。民間人に近いヤツを優先的に狙うよ。
民間人やDIVIDEの職員さんはもちろん、『悲腕症候群』の患者さんも傷つけないよう、狙いは正確に、な(【スナイパー】)

敵の膨らんだ腕……肉瘤? あれは自己強化もできるのか? 肉瘤には矢を射ち込んで、なるべく敵の強化を阻止したいな(【身体部位封じ】)



●ニンジャのお仕事
 暮れなずむ冬の街を、無数の異形の影があてどなく彷徨っている。その異様な光景を、忍装束に身を包んだ少女が雑居ビルの屋上から冷静に眺めていた。
「病魔か……さて、どう攻めていくべきかな」
 屋上を吹き抜けていく風を受け、真っ赤な首巻が躍る。ケルベロスと学生の二足の草鞋を履く日下部・香(断裂の番犬・f40865)は『悲腕症候群』の患者を観察しながら、その傷ついた女心に想いを巡らせた。
「恋がしたくて悩みすぎる人もいる、ってことかな? ま、私がやるべきは病魔の撃破。行動あるのみ、だな」
 既に特務機関DIVIDEには連絡を送り、ディフェンダーの|決戦配備《ポジション》を準備してもらっている。万が一自分が敵を討ち漏らした場合の保険だ。
「よし……!」
 香が得物として選んだのは、螺旋の力を内包する弓であった。より速く、鋭く目標を射抜くために改良された『螺旋弓・穿』は、見た目は無骨そのもの。だが、余計な装飾を排し、兵器としての性能を極限まで磨き上げた逸品は、香のユーベルコードにも耐えうる強度を誇る。
「射ち、写し、穿つ。天を衝き、地に降る」
 発動の言葉と共に、香の身体に封じられし膨大な螺旋の力が解き放たれる。右手で矢を番え、黄昏の空へ向けて力いっぱい弦を引き絞る。ギリギリと音を立てて弓が撓み、宇宙を揺るがす強大な螺旋のエネルギーが蓄積されていく。
「破ッ!!」
 そして天へ向けて放たれた矢は、1270もの『黒雨』へと分裂して地上へ降り注ぐ。そのひとつひとつが、あたかも意志を持ったかのように虚空を飛翔し、病魔へと襲い掛かった。ある者は空を旋回し、またある者は大きく逸れたように見せて直角に転進。複雑な幾何学模様を描いて民間人を護る弾幕となり、複数本を束ねて威力を増大させて巨大な腕を狙い撃つ。
「……私達の、邪魔ヲしなイで!!」
「あなたタチには、ワカらないでショウ! 何ヲやっても上手クいかない、こんな惨メな気持ちガ……」
 悲腕症に蝕まれた女性たちは、口々に悲嘆の言葉を吐きながら肉瘤を肥大化させていく。その肉瘤を接触させることで、互いを治癒しているようだ。奇怪な腕を振り回して暴れる患者たちを抑えようと、シールドを構えたDIVIDEの戦闘部隊が必死に抵抗している。
「敵の膨らんだ腕……肉瘤? あれは自己強化もできるのか?」
 傷の舐め合いといえばそれまでだが、香には彼女らを救う義務がある。ケルベロスとして。
「……私は、貴女たちの心まで救うことはできない。だけど、必ず病魔からは救ってみせます!」
 香は絶え間なく螺旋弓から矢を放ち、病巣と見受けられる奇怪な肉瘤をピンポイントで狙い、穿ち、射抜いていく。地面に倒れ伏した患者たちは、すかさずDIVIDEの戦闘員が取り押さえ、保護したうえで安全な場所へと回収していった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ポノ・エトランゼ
【星夜の森】

……うっ、この時期は寂しくもなるわよね
普段頑張ってる人ほど、人恋しくなるのは少し分かるかも
アミリアさんは?
うぐぅ、自由な時間……確かに

……きっと見られたくない姿だろうから、彼女たちの心境を思うと早くどうにかしてあげたいわ
私はUCの感電で一時的に動けなくしたり、続けて雷属性の攻撃も放っていくわ
コタマさん(ニワトリ)も部位破壊(病魔)をお願いね!
肉瘤は見切って確りいくわ
病魔が剥がれた人の処置はメディックの人に託すわね

決めた!
私、後日婚活パーティや合コンの幹事やってくから貴女達も参加よろしく!
美味しいご飯もあれば、友達もできちゃうかも!
……だから今しばらく辛抱してね


アミリア・ウィスタリア
【星夜の森】

寒いですし人恋しくなる季節かもしれませんね。
でも、恋人や結婚が全てじゃないと思いますよ?
結婚すると自由な時間は減りますし(無自覚『精神攻撃』)

恋がしたいと思う気持ちはとても素敵ですけれど。
病魔の所為で悪い方向へ増幅させられているのかしら?

寂しいのでしょう?
ほんの少しの間なら抱きしめてあげられるかも。
――可愛い子たち、彼女たちを止めてあげて?(UC)
『不意打ち』や『暗殺』に近いですが、抱きしめ返されるわけにはいきませんから。ごめんなさいね。

まあ、婚活パーティ!
それならきっと素敵な出会いもあるし、楽しそうですね!
お友達との時間も楽しいですもの!
早く皆さんから病魔を引き剥がさなくては!



●幸せってなんだっけ
 悲腕症候群とは、狂おしい恋を熱望する者に寄生した病魔が引き起こす感染症である。病巣から隆起した肉瘤は、患者の感情の昂りに呼応することで急成長。体の至る所からヒトの腕が生えたような奇怪な姿となる。
「ウウ……素敵な人ト、デートがしたイイイイイ!」
 猟兵が作戦現場に到着すると、既に多数の発症者が街を徘徊していた。異形発達した大きな腕を振り回し、周囲の物体を破壊したり、逃げまどう通行人に掴みかかろうとしている。
「……うっ、この時期は寂しくもなるわよね。普段頑張ってる人ほど、人恋しくなるのは少し分かるかも」
 悲腕症候群の感染者は、すべて未婚の女性である。エルフの娘ポノ・エトランゼ(ウルのリコ・f00385)は、病魔に冒され苦しむ彼女らにやや同情的な面を見せている。
「アミリアさんは?」
「そうですね、寒いですし人恋しくなる季節かもしれませんね。でも、恋人や結婚が全てじゃないと思いますよ? 結婚すると自由な時間は減りますし」
 ポノに同行する魂人、アミリア・ウィスタリア(綻び夜藤・f38380)はポノに同調はしていたが、一方で現実的な視点も含まれていた。確かに結婚すれば、様々な面で責任が生じてくる。
「うぐぅ、自由な時間……確かに」
 自由と冒険を愛するポノにとって、家庭と仕事(冒険)どっちを選ぶのと問われれば、今の彼女には決断が難しいところだろう。
「キイイイ! 贅沢な悩ミ言ッてんジャないわヨオオオ!」
「こちとらソノ相手もイナイッツ~~ノ!」
 二人の言葉に興奮した患者たちの一部が、痺れを切らして攻撃を開始した。彼女らは質が悪いことに、お互いの言葉に共感しあうことによって、攻撃性を高めあっている。どうやら、戦いは避けられないようだ。
「……きっと見られたくない姿だろうから、彼女たちの心境を思うと早くどうにかしてあげたいわ」
 エレメンタルロッドを手に取り、ポノは術の詠唱に意識を集中させはじめる。アミリアもまた、『夜色の本』のページをめくって浮かび上がる絵姿をイメージする。
「ぐっ……なんとしても持ちこたえろ! 市民に被害を出すわけにはいかん!」
 装甲服を纏い、大型シールドを構えて攻撃を防ぐDIVIDE隊員も、防衛線を維持するために必死だ。そんな彼らの隊列を縫うように、ポノの杖から電撃が迸った。
「痺れちゃって!」
 眩い紫電が敵群を打ち据え、感電させることで一瞬動きを封じる。その後に続いて、黒い塊がアミリアの本の中から飛び出した。
「――可愛い子たち、彼女たちを止めてあげて?」
 凝縮された闇の正体は、アミリアが使役する無数の吸血蝙蝠であった。蝙蝠たちは瞬く間に悲腕症候群の患者たちに群がり、鋭いキバで咬みつくことで血と戦意を奪っていく。
「コタマさんも手伝って!」
「コッコッ」
 ポノに呼ばれて飛び出てきたのは、バディペットのにわとり『コタマエッグランティア1世』。コタマはキラリとくちばしを閃かせ、病魔が巣食う部分を懸命につつきはじめた。
「決めた! 私、後日婚活パーティや合コンの幹事やってくから貴女達も参加よろしく! 美味しいご飯もあれば、友達もできちゃうかも!」
 何を思ったか、ポノは悲腕症候群の患者たちのためにパーティーを開くと宣言した。思いもよらぬ台詞に、蝙蝠から逃げていた女性たちの足がピタリと止まる。
「婚活……パーティー……?」
「まあ、婚活パーティ! それならきっと素敵な出会いもあるし、楽しそうですね! お友達との時間も楽しいですもの!」
 アミリアも、ポノの提案に賛成のようだ。そして、パーティーという言葉に反応したのは敵だけではなかった。
「……それは我々も参加してよいのか?」
 前線で戦うDIVIDEの隊員たちも、なぜか乗り気のようだ。職業柄、なかなか出会いがない環境なのかもしれない。
「じゃあ、決まりね! 戦いが終わったら、みんなでパーティーしましょ。……だから今しばらく辛抱してね」
 こうしてポノの発した一言から、婚活パーティーが開催されることになったのである。ちなみに病巣を破壊された女性たちは、その後メディックチームによって救助されて病院に搬送されたという。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

御梅乃・藍斗(サポート)
一人称:僕
二人称:君、あなた
他人にはさん付け
基本的に敬語(ですます調)、動揺した時など男子っぽい口調になるのも可
まじめで負けず嫌い
積極的に他人と親しくする方ではないが任務に必要であれば協力は惜しまない
必要時サバイバル、捕縛、居合、受け流しなど活用
敵からの攻撃には激痛耐性や狂気耐性で耐える
名家の出であり、力あるものはそうでないものを守る義務があると考えている
サキュバスだが種族ゆえに性的な要素を警戒あるいは期待されることを厭っており、下世話な話題には嫌悪感を示す潔癖な性格
UCは活性化した物をどれでも使用
迷惑行為や公序良俗に反する行動はしない




 クリスマスの過ごし方は、人それぞれだ。そもそも現代においてはキリスト教という地球のいち宗派の行事に過ぎないわけであり、キリスト教徒でもない人間がどう過ごそうが、まったく関係のない話なのである。
「独りぼっちは嫌ァァァ!」
「……あなた方はクリスマスをなんだと思ってるんですか。大人しく家で過ごせばいいじゃないですか」
 強力な魅了の力をもつサキュバスの御梅乃・藍斗(虚ノ扉・f39274)であるが、彼自身の考え方は実にストイックだ。
「とはいえ、病魔に冒された今のあなた方はこのままでは完全な怪物に成り果ててしまう。見過ごすわけにはいかない」
 三翼刀を抜き、藍斗は悲腕症候群に冒された患者の群れと向かい合う。醜悪な肉瘤がボコボコと盛り上がると、肥大化した異形の腕が藍斗に叩きつけられてきた。
「そこのアンタ! ワタシ達を慰めなさいヨォォォ!!」
「これは根が深いな……!」
 刀で切り払ったところで、肉瘤はすぐに再生してしまう。その上患者同士で痛々しいコミュニケーションをとることで負の感情を共有し、攻撃性を増大させてくるのだ。
「仕方がありませんね」
 危険を伴うが、病魔が巣くう病巣を直接取り除くしかない。そう判断した藍斗は、薙ぎ払われた異形の腕を搔い潜り、敵の懐に飛び込む。
「大丈夫です。もう寂しくありませんよ」
 そう言って藍斗は女の細い腰に手を回すと、そっと抱き寄せた。
「ァ…………」
 女を抱きしめつつ、藍斗は肉瘤の大元である患部に手で触れていたのだ。【妄執厭悪】による吸精の力を以て患部に巣食う病魔の生命力を奪い、患者には逆に病魔から奪った生命力を与えて、体力を回復させる算段だ。
「これでよし……」
 藍斗に生命を奪われた病魔が枯れ果て、女性はやがて元の姿へと戻っていく。会社員風の若い女性の身体を地面に横たえると、藍斗はそっと彼女の額を撫でた。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 ボス戦 『竜墜症候群』

POW   :    極めて緩やかな打撃
【拳】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
SPD   :    優しく撫でるような蹴り
【緩やかな歩み】で敵の間合いに踏み込み、【恐るべき「死の気配」】を放ちながら4回攻撃する。全て命中すると敵は死ぬ。
WIZ   :    ゆっくりと歩み寄る
【ただ歩いてくるだけの姿】を披露した指定の全対象に【根源的な「死への恐怖」の】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 ユーベルコードを操る猟兵、そして特務機関DIVIDEの精鋭たちによる連携が功を奏し、『悲腕症候群』の患者たちは短時間で鎮圧、救出することができた。彼女らは速やかにメディックの治療施設に搬送され、現場に居合わせた民間人の犠牲もゼロだ。作戦はこのまま、滞りなく進行するかと思われた。だが――
 ぬるり、と時季外れの生暖かい風が街を吹き抜けた。肌を撫ぜる言いようのない不快感に、猟兵たちは顔をしかめる。次の瞬間、異変は訪れた。
 ――ドゴオオォォォッ!!
 轟音を上げて上空から落下してきたのは、全身真っ黒い不気味な人型の影だった。
「…………」
 土煙の中から姿を現した人型のソレは、一切の言葉を発しない。その手足には、およそ地球上のどこにもない奇怪な文字のような印が刻まれ、朱い光を発しながら明滅していた。
 例えるならそれは、『死の具現化』。ソレを目にしたものは皆、直感的に死というモノを連想するであろう。この人型、『竜墜症候群』という病魔の一種としてDIVIDEのデータベースに登録されていること以外、すべてが謎に包まれている。
「…………」
 病魔は、無言のままゆっくりと距離を詰めてくる。この者を遣わせたのが十二剣神の一体「黄道神ゾディアック」だとするなら、まず考えられる目的は虐殺によるグラビティチェインの収集だろう。
 これまでの相手とは比較にならぬ、強いプレッシャーが押し寄せる。だが、猟兵もDIVIDE隊員も、その場を一歩たりとも退くことはなかった。今、この街の人々を護ることができるのは、戦場に集いしこのメンバーだけなのだから。
 ※第1章に引き続き、DIVIDEに対し|決戦配備《ポジション》による支援を要請することができます。ぜひプレイング作成にご活用ください。
鳶沢・成美(サポート)
『え、これが魔導書? まあどうしよう?』
『まあどうでもいいや、オブリビオンなら倒すだけですよ』

故郷UDCアースの下町の古書店でたまたま見つけた魔導書を読んで覚醒した自称なんちゃって陰陽師

昨今でいう陽キャラ? みたいな行動は正直よくわからないのでマイペースに行動
でも集団での行動も嫌いじゃないですよ
元ボランティア同好会でつい気合い入れて掃除しちゃったりしなかったり
一応木工好きでゲートボール好きキャラのはず……たぶん

例え好みの容姿だろうと、事情があろうと敵ならスパッと倒すだけですよ

実はシルバーレイン世界の同位体である自分と融合していたことが判明
三角定規型詠唱定規の二刀流で戦う様に

アドリブ・絡み・可




「人が空から落ちてきた! えーと……あなたは宇宙人ですか? 世にいうデウスエクス!?」
 ゆっくりと近づいてくる『竜墜症候群』に向かって、頭に白いタオルを巻き、二枚の大型三角定規を手にした男が先程から話しかけている。青年の名は鳶沢・成美(三角定規の除霊建築士・f03142)。
「……ううむ、コミュニケーションは取れそうにないですね」
「奴はデウスエクスではなく、病魔です!」
 戦闘服を着こんだDIVIDE隊員が、マシンガンを連射して『竜墜症候群』を足止めしようとしている。だが相手は一際強力な病魔らしく、銃撃を浴びせても効果が薄いようだ。
「…………」
 緩やかな歩みで接近していた『竜墜症候群』が、一切の予備動作なしでぬるりと動いた。瞬きひとつする間に、既に戦闘員たちとの間合いが埋まっていた。
「!?」
「危ないっ!!」
 撫でるような緩慢な、しかし迫りくる『死の恐怖』を帯びた蹴りが横薙ぎに放たれる。成美は咄嗟に飛び出すと、その回し蹴りを三角定規で弾いて隊員の窮地を救った。
「なるほど、病魔か……。それなら、学んだ医術が役に立ちそうだ」
 成美は黒い人型を観察して、どこを攻撃するか思案する。奴がなぜ人型なのかはわからないが、人のような動きをするのだ。ならば、急所と呼ばれる部位も人と同じではないのか。
「決まりましたね。神農さんの技、使わせていただきます」
 ユーベルコード【神農伝承術改】で三皇『神農』の技術を借り受けた成美は、二枚の三角定規を構えて『竜墜症候群』へと飛び掛かった。それに合わせて、病魔はゆっくりと構えて蹴りの動作に入った。
 例えるならそれは、スローモーションで歩道に突っ込んでくる大型トラックのようなもの。ひどく遅い動きだが、明確な死のイメージを突き付けてくる蹴撃だ。成美は死の恐怖を振り払い、左手の直角三角形型の『三角定規A』を盾代わりにして蹴りをガード。
 そしてすかさず、右手の直角二等辺三角形型の『三角定規B』の先端を、人体の正中線を通る急所へ向けて素早く突き込む!
「…………!!」
 目にも止まらぬ刺突を受け、『竜墜症候群』が墨で塗りつぶされたような体を大きく震わせた。どうやら、成美の読みは的中したようだ。
「ふむ、急所は人間と変わらないか。では、スパッと倒すだけですよ」
 そして三角定規を構えると、成美は不敵な笑いを浮かべた。勝てる見込みがあるのなら、死の恐怖などどこ吹く風だ。

成功 🔵​🔵​🔴​

マヤ・ウェストウッド(サポート)
「アタシの助けが必要かい?」
◆口調
・一人称はアタシ、二人称はアンタ
・いかなる絶望的状況におちいろうとも希望と軽口をたたくことを忘れない。だけどちょっとキザすぎるのが玉にキズ
◆癖・習性
・獣人特有の鋭い野生の勘で、危機を察知できる
・紅茶中毒
◆行動傾向
・おとぼけな言動や態度とは裏腹に、困っている人を放っておけず、たとえ秩序や慣習に背こうとも、自身の正義を貫こうとする
・弱者の盾になることに存在意義を見出しており、戦場では最前線で豪放に戦う。その形相は、まさに地獄の番犬
・医学に心得があり、人体の構造を知悉している。言い換えれば、人を効率よく「壊す」方法の専門家でもある
・パンジャンドラムは淑女の嗜み




 冷たい冬の空気を切り裂いて、大型の改造宇宙バイクがホバー走行で戦場にやって来た。そのシートから降りてきたのは、右目に黒い眼帯をつけたキマイラの女猟兵だった。風変わりな診察衣を纏い、手には戦闘用の点滴スタンド。
「あれかい、人を襲う病魔ってのは」
 マヤ・ウェストウッド(フューリアス・ヒーラー・f03710)は、戦場での人命救助を生業とする闇医者である。
「アンタらは下がってな。後で絶対治してやるから」
「くッ……頼む」
 負傷したDIVIDE隊員を後退させ、マヤは病魔『竜墜症候群』と対峙する。竜の頭をもつ漆黒の人型。武装したDIVIDE戦闘員を一蹴した病魔は、ひどく緩慢な歩みで距離を詰めてくる。進行は遅いが、確実に死に至る病を擬人化したようなものだろうか。
「人のカタチをしてるってんなら、むしろ好都合だよ。こっちは医者なんだ」
 磨き抜かれた手術刀『ソウル・ランセット』が冷たい輝きを放つ。手持ちの武器の中には、拳銃もある。だが、マヤは敢えて接近戦を挑むこととした。相手が病であるなら、執刀手術を行い病巣を摘出するまで。ユーベルコード【防弱武人】の効果もあり、敢えて不利な行動を取ることで彼女の戦闘能力は向上している。
「…………」
 彼我の距離は徐々に、そして確実に狭まった。マヤが病魔の身体に走る奇怪な紋様を視認できるほどに近づいたとき、病魔は拳を作り構えた。
「――来るっ!」
 キマイラに生まれつき備わった野性的な直感が、打撃モーションを瞬間的に読み取った。威力は破格だが、多少の格闘技経験がある者ならば見切りは難しくない。ウィービングで大ぶりの一撃を掻い潜り、マヤは無防備な胴体に狙いをつける。
「開腹!!」
 悪しき心をも切除する手術刀の斬閃が走る。病魔の左脇腹辺りが真横一文字に切り裂かれると、血液の代わりに漆黒の霧が勢いよく噴き出した。

成功 🔵​🔵​🔴​

日下部・香
な、んだアイツ……
見るからにヤバい。……だからこそ、私たちケルベロスが前に出ないとな。

敵の攻撃、4回全部当たったら死ぬのか。さすがに怖いな。
でも、1回でも避けられれば希望はある。一撃も喰らいたくはないが。
決戦配備・ジャマーを要請。死角から攻撃するとかして、少しでも敵の攻撃を妨害してほしい。
加えて、【残像】を残しながら緩急をつけて動くことで、敵に狙いを絞られにくくしたい。あとはもうよく見て避けるしかない。

敵はこちらの間合いに入ってくる……ってことは、こっちが無手ならそれなりに近づいてくるはずだ。【螺旋爆散掌】は近い方が使いやすい、その点は好都合だな。敵との距離が詰まったタイミングで一撃入れたい。




 ソレは、病という名の死の権化であった。『竜墜症候群』と呼称されるその病魔の形状は、竜の頭部をもつ黒い人の影。そいつは先程から緩慢な動きで、獲物を見定めるように歩き回っている。
「な、んだアイツ……」
 日下部・香(断裂の番犬・f40865)は、本能的に目の前の敵を『生命の脅威』と判断した。
「あいつは、見るからにヤバい奴だ……!」
 視線が合った。合ってしまった。心臓が早鐘を打つ。逃れられぬ死へのカウントダウンのように、ソイツは香に向かってゆっくりと近づいてきた。
「いや……だからこそ、私たちケルベロスが前に出ないとな」
 既にDIVIDEには支援を要請してある。上空に飛来した戦闘用ドローンが、搭載してある兵器で支援をしてくれるだろう。
「いくぞ!」
 斬霊刀・常切を抜き、香は駆けだした。それと同時に、病魔の頭上からドローンがフラッシュグレネードを投下し、周囲に閃光が迸る。次いで機銃が火を噴き、弾丸が五月雨のごとく撃ち込まれた。
「もらった!」
 獣のごとき身のこなしで背後に回り込み、常切で病魔の胴を薙ぎ払う。手応えは確かにあった。黒い霧のごとき体液のような何かが、勢いよく噴出する。
「…………!」
 だが、致命打ではなかった。ぬるりと、一切の予備動作なしで病魔が反撃を繰り出す。まるで撫でるような、まったくキレのない「ぬるい」蹴りが放たれる。だが、
「うっ……!!」
 言いようのない「死」の重圧が香を襲う。「死ぬ」という実感を、直接頭の中にダイレクトに刻み込んでくるようだ。それが、DIVIDEのデータベースに記された『竜墜症候群』が持つ能力の一つである。咄嗟にバックステップで距離を取る。
 そこに中段、下段と連撃が続く。脚の筋肉が引きつった瞬間、向こう脛を打たれた。たまらず腰を落とした状態となる。そこへ、追撃の足刀蹴り。
 ――落ち着け、日下部。ここで自分が死ねば、残された人達はどうなる!?
 病魔の動きが、ひどく遅く感じられた。例えるならば、スローモーションで見ている長い悪夢だ。迫り来るリアルな死の感触を前に、香の感覚は極限まで研ぎ澄まされていた。
「(慌てるな。既にこちらの間合いだ!)」
 香の顔の真横を、長い蹴り足が突き抜けていった。間髪入れず病魔の懐に潜り込み、掌を胸に押し当てる。
「……取ったぞ。螺旋爆散掌!!」
 香の体内を駆け巡る螺旋のエネルギーが、瞬間的に爆発を引き起こす。香の掌を通じて流し込まれた膨大な螺旋の力は、病魔の上半身を大きく捩じ上げながら勢いよく弾け、炸裂した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ポノ・エトランゼ
【星夜の森】
アドリブ歓迎

上空から!
なかなか強靭な身体をしてそう……!

アミリアさんの「死ねない恐怖」に一瞬心配が胸を過るけど――
うん、「死」を感じさせたくはないわね

アミリアさんのUCと連携して私もUCを
敵との彼我の距離を確り取って、光の矢を放ち続けるわね
DIVIDEのスナイパー班にも協力してもらって刹那に集中砲火できたらと思うわ
戦いで発生する光や土埃で敵を見失わないように意識していくけど
アミリアさんが降らせるソーダ水で戦埃は抑えられるかもだから、視界の維持はできるかも?
エルフボウでの通常攻撃も混ぜていくわね
越えさせてはいけない戦場の防波堤として頑張りましょう

ありがとう、アミリアさん!
心強いわ


アミリア・ウィスタリア
【星夜の森】
あれが竜墜症候群さん。
頭が竜のようですね!

死の気配、ですか。
確かに悍ましいものかもしれませんが……
ミラは死ねない恐怖を知っていますから。

ポノさんやDIVIDEの皆さんには近づけさせはしません。
『属性攻撃(水)』で周辺を荒らして相手が近づきにくい環境を作りましょう。
それに病魔といえど意思はあるはず。
融かしてしまいましょう!

UCを使いソーダ水の雨を降らせます。
病魔を越える『精神汚染』が出来れば、少しの間は近づいて来た理由を見失わせることができるかもしれません。
ポノさんなら相手が動いていても射抜けるでしょうけれど……
完全に動きを止められれば、より狙いやすくなるはず。
私、お役に立てました?




「上空から! なかなか強靭な身体をしてそう……! クリスマスに、とんでもない敵がやってきたわね」
「あれが竜墜症候群さん。頭が竜のようですね!」
 ポノ・エトランゼ(ウルのリコ・f00385)とアミリア・ウィスタリア(綻び夜藤・f38380)は互いに顔を見合わせ、各々『竜墜症候群』を迎え撃つ準備にかかる。
『先行した猟兵の情報によると、あの病魔は抗い難い「死の恐怖」を植え付けてくるそうです。お気をつけて』
 二人が装着したウェアラブル端末から聞こえてくるのは、猟兵をサポートするDIVIDEのオペレーターの声だ。スナイパーチームが後方に待機し、援護射撃を浴びせる体勢を整えている。
「死の気配、ですか。確かに悍ましいものかもしれませんが……ミラは死ねない恐怖を知っていますから」
 アミリアの身体に刻まれているのは、魂人の証たる『緋き苦痛の刻印』。そう、ダークセイヴァーの世界では死の先に『更なる苦痛』が存在するのだ。既に一度目の生を終えている、アミリアの境遇を知るポノの心中は複雑だ。
「アミリアさん……うん、みんなに「死」を感じさせたくはないわね」
 この世界の人々が平穏で暖かな聖夜を送れるように。決意と共にポノが弓を執り、アミリアが小さな藤の花飾りに祈りを込める。そして二人の戦意を読み取ったかのように、黒い病魔が歩み出した。
「|照準よし《ターゲットロック》。撃て――!!」
 魔術結界が構築され、DIVIDEスナイパーチームによる攻撃が始まった。魔法弾やビームライフルによる遠距離狙撃が、次々と叩き込まれる。
「少しだけ、落ち着いてくださいな」
 花の香を帯びた、薄紫色の不思議な雨が降り始めた。アミリアが降らせた光り輝くソーダの雨に打たれ、病魔が歩調を鈍らせた。そこへ、ポノの光の矢が立て続けに射かけられる。
「ありがとう、アミリアさん! 心強いわ」
 光の矢を間断なく撃ち込まれ、病魔の身体がボロボロと崩壊し始めた。しかし、綻ぶ体を引き摺りながらも、病魔はなおも前進を続ける。ゆっくりと迫りくる死の気配に、ポノとアミリアは戦慄を覚えた。
「(いい加減、倒れてよ……!)」
 足を止め、ポノは連射能力をさらに高めて攻撃を続ける。未知の組織で構成される病魔の左半身が、剛弓の一射でごっそりと削り取られた。
「オアアアアァァ…………」
 長く尾を引く、嗚咽のような不気味な声が病魔の喉から洩れる。そして湿度を伴った生暖かい風が吹き抜けた瞬間、異形の影は猟兵との距離を詰めていた。
「やばっ……!」
 ざらりと肌を撫ぜるような、ひどく緩慢な動作で蹴りが放たれる。蹴りそのものにはなんの技巧もキレもない。だが、「これをまともに喰らえば、死ぬ」。そう直感させるような、濃密な死の恐怖をポノに引き起こさせた。
「ポノさん、離れて!」
 アミリアが雨粒を打ち付けて地面に反射させ、ポノの姿をかき消した。その隙にポノはバックステップで素早く後退し、距離を取る。心臓がドクドクと早鐘を打ち、冬だというのにポノの肌からうっすら汗が滲んだ。
「あなた、名前はなんていうの? ……どこから来たの?」
 絶え間なく雨を降らせながら、アミリアは目の前の病魔に問いかけた。人のような姿をした病魔に、何らかの意思があるのではないかと微かな望みを抱いた彼女は、病魔の「内面」に向かってユーベルコードの力を働きかけた。
「…………」
 すると、蹴りを放った足を引き戻しながら、病魔が暫しの間体を硬直させたのだ。12月の空気に冷やされた雨が、真っ黒な体を静かに濡らす。
 そしてあろうことか、病魔は何かを掴むように虚空に手を伸ばすと、わなわなと体を震わせ始めたのだ。
「……よし、今よ!」
 DIVIDEの狙撃部隊と、ポノの連携攻撃が再び病魔を狙い撃つ。無数の銃弾と光芒が病魔の腹に大穴を空け、首から上を吹き飛ばす。身体の大部分をごっそりと削り取られ、遂に病魔は膝を付いて地面に倒れ伏した。
 シュウウウ……と、病魔の体表から黒いチリのような物質がボロボロと剥がれ落ちていく。正体不明の病魔『竜墜症候群』は、僅かな痕跡だけを残して討ち取られた。最終的にその残骸は、物々しい防護服を纏ったDIVIDEの隊員らによって回収されたという。
「ポノさん。私、お役に立てました?」
「危ないところを助けてもらってありがとう。アミリアさんのお陰だわ!」
 そして猟兵とDIVIDEの見事な連携により、病魔『竜墜症候群』の撃破が確認された。この時間を以て、病魔掃討作戦は終了である。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『美味しいお食事処』

POW   :    美味しいものはお腹いっぱい食べないと

SPD   :    色々なメニューを試したい

WIZ   :    隠し味とか調理法とか調べながら食べよう

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 街を襲った病魔軍団の討伐作戦から一夜明けて、猟兵たちを訪ねてきたのは特務機関DIVIDEの職員だった。
「猟兵の皆さん。この度は我々の作戦に協力いただきありがとうございました!」
 猟兵とDIVIDEの連携により、物的被害はあったものの人的被害はゼロに抑えることができた。なお、悲腕症候群の患者はあの後DIVIDEの医療施設に搬送されはしたが、その日のうちに快復したという。
「実はですね……今回の作戦の祝勝会を開きたいという声が上がっていまして。もしよろしければ、猟兵の皆様にも参加していただければと思っております。……ええ、もちろん皆様の費用はDIVIDEが全額負担いたします!」
 なお、お店の予約はDIVIDEのコネを使うことによってすぐに押さえることができるのだとか。繁華街は忘年会シーズンということもあり、様々な飲食施設が盛況のようだ。
「これをお渡ししておきます。お店選びに、ぜひご活用ください」
 猟兵に手渡されたのは、商店街のおすすめグルメスポットが紹介されたイラストマップであった。居酒屋やダイニングキッチン、ホテルのディナーバイキングなど、様々なジャンルのお店を一通り楽しむことができるだろう。さあ、どこへ食事に行こう?
 ※プレイングでご指定いただいたところへご案内いたします。なお、未成年の方は飲酒不可でございます。
日下部・香
患者さんたちも無事回復したそうだし、被害者もゼロ。一件落着だな。
えっ、好きなお店選んでいいのか!? うーん、迷うけど、ホテルのディナーバイキング行きたいなあ。

今日は早めに宿題終わらせておいたからな! 心置きなく存分に楽しめる。お気に入りのカワイイ服着ていこう。
料理もスイーツもとっても楽しみだ。お酒は飲める年じゃないけど、いつもは飲まないような飲み物があったら試してみたいな。フルーツティーとか。
せっかくの機会だし、DIVIDEの職員さんたちと話したいな。作戦お疲れさまと、あとは世間話とか色々。

あ、もちろん戦う準備はしてきてるからな! いつデウスエクスが出るかわかんないし、備えとかないと。




 祝勝会の会場となる大きなホテルは、クリスマス仕様のイルミネーションによってきらびやかに彩られている。今回の病魔討伐の功労者、日下部・香(断裂の番犬・f40865)はエレベーターに乗り、上層階のレストランへと向かっていた。
「悲腕症候群の患者さんたちも無事回復したそうだし、被害者もゼロ。一件落着だな」
 お気に入りのカワイイ服で着飾った今日の香は、作戦中の凜とした忍者の彼女とは違って、年相応の10代の少女であった。
「よ~し、今日は心置きなく存分に楽しめるぞ。早めに宿題終わらせておいたからな!」
 さて何を食べようかと、香はさっそく店内へと入っていく。今夜はクリスマス期間のディナーバイキングが開かれており、店は食事を楽しみに来た多くの客で賑わっていた。
「日下部様ですね。こちらへどうぞ」
 香がスタッフに案内されて通されたテーブル席には、この街の防衛を担う特務機関『DIVIDE』の関係者たちが揃っていた。笑顔で香を迎えた彼等と、まずは挨拶を交わす。
「どうも、こんばんは。ケルベロスの日下部・香です」
「日下部さん、この度は作戦へのご協力、ありがとうございました!」
 今回はDIVIDEが企画した食事会ということもあり、費用は全額DIVIDEが出してくれるという。そういうことならと、香は喜び勇んで料理が並ぶエリアへと向かった。
「さあ、何食べようかなー。料理もスイーツもとっても楽しみだ」
 そう言って香はトレイを手に取ると、さっそく食べる物を熱心に探し始めた。定番の洋食オードヴルはもちろん、世界各国の人気料理を豊富に取りそろえてある。食の博覧会といった様子だ。
「ローストビーフはこれぐらいイケるな……それからパスタと、ついでにピラフも取っちゃおう」
 シェフがその場で調理をしてくれるステーキやオムレツには、多くの人が順番待ちで並んでいた。ドリンクも充実している。普段はあまり飲まないものを楽しもうと考えた香が選んだのは、温かいベリー系のフルーツティーであった。

「日下部さん……香さんのようなお若い方でも、ケルベロスとして立派に活躍されているのですね」
「はい。今は17歳で、高校に通っています。もちろん今日も、戦う準備はできていますよ。いつデウスエクスが現れるか、わかりませんから」
「それは心強いですね……!」
 楽しく食事をしながら、香は普段の学校生活やケルベロスの任務について積極的に語った。学業と任務の両立は大変なのではと、心配する声も上がった。だが、香にとってそれは特に苦ではない。ただ、将来的にはケルベロス業に専念したいというのが彼女の本音だ。
「まぁ親からは、『将来のこともそろそろ考えなさい』ってよく言われるんですよね」
 若きケルベロスの悩みにも、DIVIDEの面々は親切に答えてくれた。そんな彼らと和やかな時間を過ごした香は、デザートのケーキまで堪能して満足げに会場を後にしたという。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ポノ・エトランゼ
【星夜の森】
悲腕症候群の患者さんは快復されたのね! よかったわ!
彼女達とDIVIDE隊員の方々も(婚活?)パーティを楽しんで頂きたいな
繁華街ということはストリートパークみたいになっている場所もあるかしら?
素敵な出会いがある事を願うわね

アミリアさんと私はキッチンカーに
チーズプレッツェルやキッシュが食べたいなぁ
アミリアさんは?
チーズがすっごく伸びるパン! 食べる食べる~♪
飲み物、私はホットチョコレートにしようかな
確かに。本格的なものは作らないかも! 二杯目はチャイを頂こうっと

オープンな場所でイルミネーションを楽しみましょう
どのツリーも綺麗ねぇ
私こそ、今日はどうもありがとう
メリークリスマス! ね!


アミリア・ウィスタリア
【星夜の森】
悲腕症候群の患者さん、快復したようで良かったです!
気持ちも晴れやかになっていれば良いのですが。
誰かと一緒に過ごすだけでもきっと違いますし、ね。
……いつの間にかお友達が特別な人になっていることもありますし!

キッチンカー、色々あって迷いますね……!
プレッツェルやキッシュ、美味しいです!
……あ、ポノさん、あれ!テレビで見たことあります!
チーズがすっごく伸びるパン!食べてみませんか?
私は折角ですからチャイを頂きましょう。
家ではここまで本格的な味はなかなか作りませんから。

イルミネーションもとても綺麗。
素敵な思い出がまた一つ増えました。
ポノさん、ありがとうございます。
うふふ、メリークリスマス!




 街を混乱に陥れた病魔は猟兵らによって討伐され、平穏な日常が戻った。そして今宵、アミリア・ウィスタリア(綻び夜藤・f38380)とポノ・エトランゼ(ウルのリコ・f00385)の姿は繁華街の一角にあった。気温は低いものの風はなく、穏やかな聖夜といえるだろう。
「悲腕症候群の患者さんは快復されたのね! よかったわ!」
「そうですね、気持ちも晴れやかになっていれば良いのですが」
 作戦後、ポノとアミリアの二人は悲腕症候群に罹った女性たちのために『婚活パーティー』を企画し、会場を手配していたのだ。そして、その招待を受けてやって来たのは勿論女性だけではない。
「いやー、この度は素晴らしい企画を発案していただきありがとうございました!」
 作戦当時現場にいたDIVIDEの戦闘員の中にも、独身男性は結構な数いたのだ。いつもの制服とは違う私服姿で着飾った若者たちは二人に会釈すると、女性たちが集まっている飲食店の方角へと歩いて行った。
「それぞれに素敵な出会いがある事を願うわね」
「誰かと一緒に過ごすだけでもきっと違いますし、ね。……いつの間にかお友達が特別な人になっていることもありますし!」
 ようやく肩の荷が下りた二人は、開放的な気分で夜の街を往く。街のメインストリートにはクリスマスツリーが飾られ、あちこちの建物にはクリスマス仕様のイルミネーション。そして人々が憩うイベント広場には、お菓子や料理を提供するキッチンカーが集まっていた。クリスマスの夜は人通りも多く、かき入れ時なのだ。
「ポノさん、お仕事も終わったし何か食べて帰りませんか? キッチンカー、色々あって迷いますね……!」
「あ、名案ね! 私はチーズプレッツェルやキッシュが食べたいなぁ~」
 猟兵女子二人は、軽快な足取りでそれぞれのキッチンカーを歩いて回っていく。ほうれん草とひき肉入りのキッシュに、チェダーチーズ味のプレッツェルなど、ポノはこれだと思ったフードを次々に購入していく。
「アミリアさんは何食べる?」
「そうですね……あ、ポノさん、あれ!テレビで見たことあります!」
 アミリアが指さしたのは、出来立てパンの焼けるいい匂いを放つキッチンカーだった。最近メディアでもよく取り上げられ、じわじわブームになりつつある菓子パンを売っている店である。
「チーズがすっごく伸びるパン! 食べてみませんか?」
「あっ、食べる食べる~♪」
 そのパンはいわゆる窯で焼くタイプではなく、鉄板の型に生地とチーズを流し込んで、鉄板を畳んで挟み焼きにするタイプのパンだった。パンというより今川焼のようなお菓子だろうか。それを仲良く二人で買い込み、ほくほくのポノとアミリア。
 食べ物はだいたい取り揃えた。そして勿論、飲み物も欠かせない。こう寒いと、体を中から温めるホットなものが欲しいところだ。
「さてと、あとは飲み物ね。私はホットチョコレートにしようかな」
「私は折角ですから、チャイを頂きましょう。家ではここまで本格的な味はなかなか作りませんから」
「確かに。家では手間もかかるし、本格的なものは作らないかも! 私も二杯目はチャイを頂こうっと」
 ちょうど二人掛けの木製テーブル席が空いていたので、二人はそこに腰かけて食べ物を広げた。キッシュにプレッツェル、そしてチーズパン。なかなかのご馳走だ。
「イルミネーションもとても綺麗。素敵な思い出がまた一つ増えました」
 ブルーや金、銀のイルミネーションが、街を神秘的にライトアップしている。若者のグループやカップル、家族連れが通りを絶えず行き交い、クリスマスの賑わいはいよいよ本格化するようだ。
「ポノさん、ありがとうございます」
 闇の世界に居た頃の辛い記憶も、今宵の幸せな思い出が上書きしてくれるだろう。満ち足りた気持ちで、アミリアはポノに感謝の気持ちを伝えた。
「私こそ、今日はどうもありがとう。さあ、食べましょう!」
 メリークリスマス! と二人の明るい声が重なる。ポノとアミリアのハッピーなクリスマスは、これから始まるのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年12月31日


挿絵イラスト