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兵は拙速を尊ぶRTA

#封神武侠界 #戦後 #『韓信大将軍』

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#戦後
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#『韓信大将軍』


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● 南蛮門近くの森の中
 南蛮門と呼ばれる巨大な門を、巨大な兵士の群れがいた。
 金剛将軍と呼ばれる見上げるような巨躯に堅牢な全身甲冑を纏う武将は、深い森に生える下草などものともせずに周囲を警戒している。
 韓信大将軍配下の物言わぬ巨人は、何人たりとも通さないという覚悟を持って南蛮門を警備するのだった。

● グリモアベースにて
「韓信大将軍の動向がつかめました!」
 真剣な目をしたアカネは、集まった猟兵達を見渡すと現状を確認した。
 韓信大将軍は『封人台』に全ての人仙を封印すべく、多数のオブリビオンに神器を与えて封神武侠界の侵略を進めてきた。だが、韓信大将軍は数多いる「三国時代の英雄達」のオブリビオンの中にも自身の主たりうる覇王を見つけ出せてはいなかった。
 そんな中、韓信大将軍はかつて『殲神封神大戦』の際に出現した南蛮門を再び人界に固定し、その奥より「南蛮仙界」の恐るべき魔獣、「南蛮王」達を呼び出そうとしているのだ。
「かつて名だたる「南蛮王」達が諸葛亮孔明の策略によって討伐され、南蛮門ごと封印されました。このうち兀突骨は殲神封神大戦で三皇「神農」と共に討伐されました。あのレベルの強力な魔獣を南蛮仙界から引きずり出すことで、人界を一挙に攻め落とそうとしているのです。これを許してはなりません!」
 アカネが予知した森の中には、南蛮門の警備として金剛将軍達がいる。ただでさえ強力なオブリビオンである金剛将軍だが、通常のユーベルコードに加えて神器【ユグドラシルブレイド】を与えられている。
 これは金剛将軍がいずれかのユーベルコードを使うたびに、追加で「木剣(疑似ユグドラシルブレイド)による高威力の近接攻撃」を放つというもので、必殺効果は無いがその威力は絶大だ。
 ユーベルコードの攻撃と同時に巨大な木剣の近接攻撃をされるため、対処する必要があるだろう。
「韓信大将軍を倒しきることができれば、封神武侠界の平和を保つことができます。どうか皆様のお力をお貸しくださいませ」
 頷く猟兵達を見渡したアカネは、グリモアを展開させ猟兵達を戦場へ送り届けるのだった。


三ノ木咲紀
 オープニングを読んでくださいまして、ありがとうございます。
 今回は韓信大将軍戦です。
 スケジュールの都合で、久しぶりにリアルタイム執筆をしたいと思います。
 そのため、いつもよりもリプレイが荒くなる可能性がありますので、あらかじめご承知おきいただければ幸いです。
 プレイングは12/2の8:31より受付開始。執筆は9時半か10時頃から開始します。
 途中昼休憩を挟みながら、6時過ぎくらいまでは書くと思われます。夜は時間があれば。
 プレイングが無い場合は、サポートで進めていきます。
 なるべくこの土日に執筆したいため、クリアギリギリか、少し多いくらいで次の章へと進みます。
 プレイング多数の場合は、書きやすいプレイングを優先します。返却が発生することもありますので、よろしくお願いします。
 基本は単独採用、合わせやすいプレイングは合わせることもあります。
 何かスケジュールが変わったりした場合は、タグにてご連絡いたします。

 それでは、良き戦いを。
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第1章 ボス戦 『金剛将軍』

POW   :    メガリス『三つ目巨人の肋骨』
【体内に埋めたバルバロス兄弟の遺骨に宿る力】を使用する事で、【三つの頭部に様々な武器を持つ六本の腕】を生やした、自身の身長の3倍の【金剛阿修羅】に変身する。
SPD   :    暴虐金剛乱舞撃
【方天画戟】を巨大化し、自身からレベルm半径内の敵全員を攻撃する。敵味方の区別をしないなら3回攻撃できる。
WIZ   :    召喚金剛神兵団
レベル×1体の【金剛神兵】を召喚する。[金剛神兵]は【鋼鉄】属性の戦闘能力を持ち、十分な時間があれば城や街を築く。

イラスト:はるまき

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は仇死原・アンナです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

大宝寺・朱毘
敵の神器が近接系なら、大人しく間合いの外からチマチマ攻撃してやっかね。
ロック魂的にどうかってーと微妙だが、封神武侠界、ひいては他の世界の危機にもつながる戦いだ。確実性のある戦術を採ろう。

使用武器はロックギター『スコーチャー』
可能なら【ザ・ライブ】で金剛神兵自体を舞台装置に変換できれば万々歳だが、敵ユーベルコード由来のものを直で弄くるのは流石に無理筋か?
まあその場合でも地面をステージに変え、音の衝撃波で範囲攻撃。近寄られる前に神兵を薙ぎ倒す。
あとは金剛将軍の間合いに入らないよう逃げつつ、やはり衝撃波で攻撃。
追いかけてきたら音響弾を置きボムとして転がしつつ後退。踏んづけてスッ転んでくれないかね?


楊・瑛
アドリブ・連携◎

好き勝手してくれやがってまあ……ここらで仙人のお灸を据えておくとすっか。
『仙術』を『多重詠唱』して『属性攻撃』の威力を高めてから【指定UC】発動だ。
この雷撃に兵と木刀は耐えられっかなぁ?
黒焦げになるまで痺れやがれよな!!


館野・敬輔
【SPD】
アドリブ連携大歓迎

ようやく、韓信まで手が届かせられそうだ
ならば、ここは意地でも押し通らせてもらう!!

指定UC発動
「ダッシュ、地形の利用」で出鱈目に走り回りながら金剛将軍を翻弄し
攻撃後の隙、ないしはこちらを見失ったであろうタイミングを見定めて一気に接近し
黒剣の「2回攻撃、怪力、鎧砕き」で両足を、そして頭を砕いてやる!

暴虐金剛乱舞撃の範囲攻撃に、追加で疑似ユグドラシルブレイドの高威力攻撃か
攻撃して来るタイミングを「視力、戦闘知識」で見極め、「第六感」も頼りにしながら攻撃の寸前を「見切り」、高速移動で「ダッシュ」しつつ回避だ
たとえ高威力であっても、当たらなければどうってことはないはず




 崖の上に隠れて金剛将軍の動向を探っていた大宝寺・朱毘(スウィートロッカー・f02172)は、木々をなぎ倒しながら進む姿に眉をしかめた。
 森の木々とも肩を並べるほどの巨体を誇る金剛将軍の周囲には、輝く大剣が浮いている。ユグドラシルブレイドと呼ばれる剣の複製木剣らしいが、木々を紙のように切り裂きながらも刃こぼれすらしない。
「敵の神器が近接系なら、大人しく間合いの外からチマチマ攻撃してやっかね」
「好き勝手してくれやがってまあ……ここらで仙人のお灸を据えておくとすっか」
 不敵な笑みを浮かべながら肩を鳴らす楊・瑛(アウトロー仙人・f42037)もまた、森を破壊しながら進軍を続ける金剛将軍の姿を挑発的に睨んだ。
 金剛将軍の周囲には、金剛神兵と呼ばれる兵士が多数付き従っている。もしこれが人里に現われでもしたら、ほんの一瞬で集落が全滅するだろう。
 一糸乱れぬ隊列で進軍する金剛将軍が守るのは、南蛮門と呼ばれる大渦。あの向こうに南蛮仙界が、そして韓信大将軍がいる。
 今まで所在の掴めなかった猟書家に、刃を突きつけることができる。静かな怒りと決意を湛えた館野・敬輔(人間の黒騎士・f14505)は、拳を握ると大将軍を睨みつけた。
「ようやく、韓信まで手が届かせられそうだ。ならば、ここは意地でも押し通らせてもらう!!」
 決意を新たにした三人は、作戦を確認し頷き合うと行動を開始した。


「たった今からこの場所は、あたしが支配するステージになる……ザ・ライブ!」
 崖の上に毅然と立った朱毘は、ロックギター『スコーチャー』をかき鳴らすとシンギングヘッドセット『抹茶クルーラー』に向けて魂の歌を響かせた。
 華やかなメロディラインが辺りに響き渡り、なぎ倒された木々がロック会場に変化する。ライトに照らされた金剛将軍は、崖上にいる朱毘に方天画戟を突きつけた。
 金剛将軍配下の金剛神兵達が、一斉に崖に向けて進軍を開始する。ユーベルコードで召喚された金剛神兵達は、そもそも有機物か無機物かも分からない。さすがに神兵をロック会場にできなかったが、それは織り込み済みだ。
「おら! ビリビリ痺れやがれ!」
 朱毘の奏でるロックに全身を沸き立たせた瑛は、窮奇羽扇を手に激しく飛び跳ねると神兵に向けて雷を放った。
 多重詠唱された仙術は属性攻撃を極限まで高める。しかも、神兵は鋼鉄の属性を持っていて、比較的電気を通しやすい。音楽に合わせて嵐のように叩きつけられる衝撃波に足を止めた神兵を、雷撃の渦が叩き壊していく。
「黒焦げになるまで痺れやがれよな!!」
 瑛のシャウトが現実になったかのように、雷に打たれた神兵達は黒焦げになりながら次々に倒れていった。
 神兵が倒れた時、金剛将軍がユグドラシルブレイドを手に猛然と崖を駆け上がってきた。
 木剣とはいえ、ユグドラシルブレイドを模したもの。威力を集中させていればあるいは破壊できたかも知れないが、全体に広げた雷撃では破壊するに至っていない。
 なぎ倒された神兵を踏みつぶしながら駆け上がる金剛将軍に、黒い影が躍りかかった。
「こっちだ!」
 黒剣を手に崖を駆け下りた敬輔は、挑発するように金剛将軍の注意を引き付けた。音楽に合わせて金剛神兵の残骸の上を駆け回り、金剛将軍の斬撃を視力と第六感で回避していく。
 いらだったように石突を地面に叩き込んだ金剛将軍は、方天画戟を巨大化させると大きく振り回した。轟音を立てながら全方位に向けて放たれる攻撃が、猟兵達に襲い掛かる。巨大化した得物による中距離攻撃に、朱毘は慌てて距離を取った。
「おおっと! ロックはお気に召さなかったかな? ならこれはどう?」
 後退しながら金剛将軍の足元に音響ボムを転がした朱毘は、そのまま衝撃波でけん制しながら最後のコードをかき鳴らし森の中へと撤退する。追いかけようとする金剛将軍は、ふいに足元で炸裂した音響ボムに一瞬足を止めた。
 その隙で十分だった。
 一息に間合いを詰めた敬輔は、金剛将軍の両足に衝撃波を放ち鎧を駆け上がると一気に頭を目指した。ユグドラシルブレイドが迫る気配を感じるが、刃が到達する前に黒剣を頭に叩き込む。
 高速移動からの怪力で振るわれた黒剣が、金剛将軍の兜をたたき割る。そのまま頭を砕かれた金剛将軍は、ゆらりと倒れると崖の下へと転がり落ちていった。
 森の中へ消える金剛将軍を見送った猟兵達は、遠く霞む金剛門へ向かい歩みを進めるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アス・ブリューゲルト(サポート)
「手が足りないなら、力を貸すぞ……」
いつもクールに、事件に参加する流れになります。
戦いや判定では、POWメインで、状況に応じてSPD等クリアしやすい能力を使用します。
「隙を見せるとは……そこだ!」
UCも状況によって、使いやすいものを使います。
主に銃撃UCやヴァリアブル~をメインに使います。剣術は相手が幽霊っぽい相手に使います。
相手が巨大な敵またはキャバリアの場合は、こちらもキャバリアに騎乗して戦います。
戦いにも慣れてきて、同じ猟兵には親しみを覚え始めました。
息を合わせて攻撃したり、庇うようなこともします。
特に女性は家族の事もあり、守ろうとする意欲が高いです。
※アドリブ・絡み大歓迎、18禁NG。




 崖から叩き落された金剛将軍の姿を、アス・ブリューゲルト(蒼銀の騎士・f13168)は静かに監視していた。金剛将軍にほど近い大木の枝に隠れ、息を殺して監視する。
 両足を砕かれ、雷に撃たれた金剛将軍はもはや虫の息だ。だが、消えてはいない。倒されれば消えることの多いオブリビオンだが、未だに健在だということは最後に何か仕掛けてくるかも知れない。
 監視するアスの目の前で、金剛将軍がピクリと動いた。怒りのオーラも露わに半身を起こそうとした金剛将軍は、アスの目の前でみるみる巨大化していった。
 体内に埋めたバルバロス兄弟の遺骨に宿る力が、金剛将軍に力を与えているのだろう。砕かれた頭が再生し、三つの頭部に様々な武器を持つ六本の腕を生やした異形の姿に変身した金剛将軍は、自身の身長の3倍の金剛阿修羅に変身すると猟兵達に復讐するべく立ち上がりかけた。
 それを許すアスではなかった。
「さて、始めるとしよう。……貴様の最後の幕引きをな」
 冷静に急所を見極めたアスは、両手に持ったブルーブラスターを金剛阿修羅の急所に向ける。未だ態勢を崩したままの金剛阿修羅に銃口を向けたアスは、殺気を押し殺したまま静かに引き金を引いた。
「撃ち貫け、イーグルショット!!」
 アスの放つ攻撃が、金剛阿修羅の急所を破壊する。態勢を崩していた金剛阿修羅は、より致命的な場所に受けた攻撃に体を震わせ、地に伏せた。
 そのまま灰になり消えていく金剛阿修羅を見送ったアスは、グリモアベースへと帰還した。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 冒険 『『南蛮王』を撃退せよ』

POW   :    苛烈に攻め立て、南蛮王の軍勢を後退させる

SPD   :    超強大な魔獣の僅かな隙や弱点を突く

WIZ   :    計略で敵の動きを誘導する

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 最前線に配置した金剛将軍の軍勢が敗れ去った。
 その報を南蛮門の奥で聞いた南蛮王の一人・孟獲は、くつくつと笑うと配下の南蛮軍を見渡した。
「金剛将軍が敗北したぜ。だが所詮、この孟獲様と軍勢には敵わねえよ!」
 見渡す限りを埋め尽くすような魔獣の大群。地を駆ける獣を混ぜ合わせたかのような群れに、孟獲は檄を飛ばした。
「さあ、野郎ども! 出撃だ! 南蛮門を抜け、人界も仙界も蹂躙しつくしてやれ!」
 孟獲の檄に応えた地を駆ける魔獣たちは、人界の森の中へとなだれ込むのだった。


 偵察に出た猟兵は、南蛮門を抜ける魔獣の群れに眉をしかめた。
 遠方から見ただけでも分かる。魔獣は一体一体が非常に強力で、しかも数が多い。これだけの軍勢を真正面から相手に倒しきるのは、いかに猟兵といえども荷が勝ちすぎる。
 猪突猛進に進む軍勢は、幸い人界からは遠く南蛮門に近い。どうにかしてこの軍勢を南蛮門に押し返すかを考えるのが得策だろう。
 作戦は、猟兵に託された。
館野・敬輔
【POW】
アドリブ大歓迎
可能なら単独希望(指定UCの都合)

…敵わねえ、と粋がる輩か
さて、本当にそう言い切れるかな?

囮も兼ねてあえて真正面から突っ込むか
一応、他猟兵に「俺に近づくなよ!」と警告を発した上で
指定UC発動し異形に変貌すると同時に狂戦士化

このUCは理性を失い、敵味方関係なく攻撃してしまうのが難点だが
魔獣が地を駆けて森になだれ込むような速さで移動するなら、先に魔獣たちに反応するよな?
というわけで「ダッシュ」で魔獣に接近し
「2回攻撃、怪力、鎧無視攻撃」で片っ端から引き裂きなぎ倒してやる
これで魔獣や孟獲とやらに「恐怖を与える」ことができれば
他猟兵達も動きやすくなる…と思いたい




 一人で南蛮門の偵察に立った館野・敬輔(人間の黒騎士・f14505)は、土煙を上げながら突進する魔獣の群れに眉をしかめた。
 土煙を上げながら突き進んでくる魔獣「孟獲」の群れ。ボスと思われる個体が上げていた声を思い出した敬輔は、不敵な笑みを浮かべた。
「……敵わねえ、と粋がる輩か。さて、本当にそう言い切れるかな?」
 勢いのまま突き進む孟獲達は脅威だが、それは統率が取れているからに他ならない。この統率を乱してやれば、後に続く猟兵もやりやすくなるだろう。
 ダッシュで進路上に躍り出た敬輔は、詠唱を完成させると黒剣を抜いた。
「彼の道人の力よ、今ここに! 立ち塞がる敵全てを蹂躙する力を!!」
 敬輔の四肢と腹、左目が鎧ごと白く硬化していく。まるで氷結するように変化した敬輔は、こちらに向けて突撃する魔獣・孟獲の姿に笑みを浮かべた。
 その笑みは渾沌の諸相の残滓か、ヴァンパイアの凄惨さか。理性を失い、動くもの全てを敵と見做した敬輔は、黒剣を抜くと孟獲に突撃した。
「どけどけ! 踏み潰すぞ小ぞ……ぎゃあっ!」
 先頭を走っていた魔獣・孟獲の鼻面に黒剣を叩き込んだ敬輔は、返す刀で次の孟獲を斬りつける。超攻撃力と超耐久力を得た敬輔は、孟獲の反撃をものともせずに攻撃を続ける。突撃する孟獲を次から次へと攻撃し続ける敬輔は、|狂戦士《バーサーカー》の形相で片端から孟獲を倒し続けた。
「なんだこいつ! 邪魔な小僧め!」
 敬輔の姿に恐怖を感じた孟獲に、敬輔はなりふり構わず攻撃を仕掛け続けるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

諏訪野・啓太郎(サポート)
『唯のろくでなしの旅烏ですよ。』
 スペースノイドのスターライダー×電脳魔術士、31歳の男です。
 普段の口調は「男性的(俺、呼び捨て、だ、だぜ、だな、だよな?)」、負傷した仲間には「元気に(俺、~くん、~さん、だね、だよ、~かい?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


数宮・多喜(サポート)
『アタシの力が入用かい?』
一人称:アタシ
三人称:通常は「○○さん」、素が出ると「○○(呼び捨て)」

基本は宇宙カブによる機動力を生かして行動します。
誰を同乗させても構いません。
なお、屋内などのカブが同行できない場所では機動力が落ちます。

探索ではテレパスを活用して周囲を探ります。

情報収集および戦闘ではたとえ敵が相手だとしても、
『コミュ力』を活用してコンタクトを取ろうとします。
そうして相手の行動原理を理解してから、
はじめて次の行動に入ります。
行動指針は、「事件を解決する」です。

戦闘では『グラップル』による接近戦も行いますが、
基本的には電撃の『マヒ攻撃』や『衝撃波』による
『援護射撃』を行います。




 魔獣の群れは森を抜け、草原地帯へと入っていく。暴走する魔獣孟獲の前に、二台の宇宙バイクが躍り出た。
 猟兵の攻撃で統率する魔獣孟獲を失い、あてもなくただ走る魔獣の群れ。その前に走り出した諏訪野・啓太郎(さすらいのライダー・f20403)は、愛車の宇宙バイクを吹かすと隣を走る数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)と共に群れを伴い走り続けた。
 地平線まで続く草原。今どこにいるのか狂わせるほどに目印が無い場所を走るのは気持ちがいい。後ろを走る魔獣孟獲を煽るように蛇行運転してやれば、躍起になった魔獣孟獲はテールランプを猛然と追いすがってくる。
 猪突猛進。その四字熟語がよく似合う魔獣孟獲は、基本的に四つ足の獣の姿をしている。まるでバッファロー群れのような先頭から離れた多喜は、魔獣孟獲と並走してその行動原理を理解しようと努めた。
 相手は魔獣。そもそも行動原理が理解できるのかも分からない。だが、理解しようとしないままに倒すのは多喜の信条に反するのだ。
 並走して魔獣孟獲を観察してしばし。分かったことは、魔獣孟獲は強大な力を持つがそれは突撃と突進により発揮されるだろうことだった。
 ありていに言えば、あまり頭は良くない。前を走る個体を追いかけて走る。止まれと言われれば止まる。蹂躙しろと言われればする。こいつらはそんな魔獣なのだ。
 理解したことを、猟兵ホットラインで啓太郎に伝える。頷いた啓太郎と打ち合わせをしてしばし。二人は魔獣と一緒にツーリングを楽しむことにした。
 封神武侠界の草原は、冬に入りかけたところだろう。冷たい風に身を晒しながら走るが、それがとても心地よい。
 起伏のない地形だが、それだけに不意打ちのようにある地面の凹凸に対応する力は問われる。重力下で運用する宇宙バイクは無重力空間とはまた違ったテクニックを要求されて、ライダー魂をくすぐられる。二人の走りが無言の言葉となったのか。後ろをひた走る魔獣孟獲も、気分よく走っているに違いない。
 やがて大きく弧を描くように駆け抜けた二人は、魔獣の群れを南蛮門へと誘導する。直前で魔獣孟獲の前から抜けたが、走ることに目的を見出した魔獣の群れは気づかない。
 そのまま南蛮門の中へと駆けこむ魔獣の群れを見送った二人はハイタッチでナイスツーリングを称え合うとグリモアベースへと帰還した。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『韓信大将軍』

POW   :    楽浪郡勇士集結
レベル×1体の【神器で武装した楽浪郡の勇士(異世界人)】を召喚する。[神器で武装した楽浪郡の勇士(異世界人)]は【他世界】属性の戦闘能力を持ち、十分な時間があれば城や街を築く。
SPD   :    南蛮魔獣集結
自身の【召喚した、南蛮界の魔獣の軍勢】に【背水の陣】を宿し、攻撃力と吹き飛ばし力を最大9倍まで強化する(敗北や死の危機に比例する)。
WIZ   :    三国武将集結
【偉大なる三国時代の武将達】の霊を召喚する。これは【生前に得意とした武器】や【韓信大将軍に与えられた『神器』】で攻撃する能力を持つ。

イラスト:瑞木いとせ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



「来たか、猟兵」
 猟兵達と相対した韓信大将軍は、ゆっくり立ち上がると語りだした。
「己の仕えるべき主を見つけることも叶わず、猟兵の侵入を許した。だが、私は負けぬ! ここで貴様らを打ち滅ぼし、究極神器『封人台』に全ての人仙を封印してみせよう!」
 大きく手を上げた韓信大将軍は、瞬時に詠唱を完成させると南蛮界の魔獣を召喚した。
「いでよ、雷霆竜! 猟兵どもを打ち滅ぼせ!」
 にわかに掻き曇った空より現れたのは、雷霆竜の群れ。金色に輝く蛇体をうねらせた雷霆竜は、雷鳴を轟かせると猟兵達を包囲殲滅せんと迫る。
 警戒する猟兵達に、韓信大将軍は速攻を仕掛けてくるのだった。

※ 韓信大将軍との決戦です。韓信自身は神器をひとつも装備していませんが、彼は卓越した軍略によって「必ず先制攻撃してくる」上、「雷霆竜の大軍勢」を率いています。
 通常のユーベルコードと同時に、この大軍勢による包囲攻撃も仕掛けてきますので、対処するとプレイングボーナスとなります。

雷霆竜
POW : 雷霆竜の嘶き
【激しい稲妻】を降らせる事で、戦場全体が【乱気流内】と同じ環境に変化する。[乱気流内]に適応した者の行動成功率が上昇する。
SPD : 龍燐鋼
自身の【強靭な鱗を頼った戦法】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
WIZ : 大回転攻撃
【全身をしならせた大回転攻撃】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
ウルスラ・ロザーノ(サポート)
いつもテンション高いとは言われるなー、確かに誰に対してもフレンドリーな対応しようと心掛けとる
といっても銀誓館の学生時代から能力者をしてきたんでな
救えるもんはできるだけ救う、でも倒すべき敵は必ず討伐すべしっちゅー方針や

戦法はヒット&アウェイ型、戦場全体を広く利用して戦うで
基本は中距離
レーザービット射撃やナイフの蹴り込みで牽制しつつ、
エアシューズで、地上は高速で駆け回り、空中も地形とか足掛かりに利用して軽業のように跳ね回るよ
敵からの攻撃は、すべて見切って受け流したりの回避で凌ぐよ

攻め込む機会を見つけたら奇襲を仕掛けるで
一気に接近して、蹴撃やその斬撃波を叩き込む!
サッカーボールのシュートは必殺技や!


神崎・伽耶(サポート)
『あたしに名案があるわ!』(明るくニヤリ)

アドリブ連携OK。
普段の口調は姉御肌(あたし、キミ、だ、だね、だろう)。
テンションが上がると、~や!、?が増加します。

通常は、後先考えず反射的に行動します。
身体張ることを厭わないので、いつも少しだけ薄汚れています。
年下や人外(?)には少しだけ優しく、フォローしたり庇ったりします。

行動原理は好奇心、攻撃よりは防御が得意で、遊撃的なポジションを好みます。
機動力、観察力を生かし、バフやデバフを多用した、トリッキーな攻めを得意とします。

常識のある奇人変人ムーヴで描いていただけると大変喜びます。
いっそNPCだと思っていただいてもヨシ!

よろしくお願いします。




 南蛮門で待ち構えていた韓信の姿に、ウルスラ・ロザーノ(鈴振り燕・f35438)は楽しそうな笑みを浮かべた。。
「猟書家の一人、韓信大将軍やね。またえらい大物やなぁ」
「相手にとって不足はない、ってね♪ あたしに名案があるわ!」
 楽しそうな戦場に楽しそうな笑みをニヤリと浮かべた神崎・伽耶(トラブルシーカー・ギリギリス・f12535)は、周囲の状況を見極めながら作戦を立てる。背中合わせになりながら作戦を打ち合わせた二人は、召喚される雷霆竜に得物を構えた。
「小娘二人が。いい気になるなよ! 出でよ、雷霆竜! 小賢しい猟兵を打ち砕け!」
 詠唱と同時に現れた雷霆竜の軍勢が、ウルスラと伽耶をを包囲殲滅せんと迫る。体当たりを仕掛けてくる雷霆竜にワイヤー付きナイフを蹴り込み牽制したウルスラは、エアシューズで地上を蹴り高速で駆けまわった。
 空中も地形も、全てを足掛かりに利用しながら軽業のように跳ね回る。敵の攻撃を身軽に回避しながらmeteoro negroを蹴り込むウルスラは、同じく戦場をトリッキーに駆け回る伽耶をチラリと見た。
 ウルスラの視線を受けた伽耶もまた、戦場狭しと駆け回っていた。エブリロードバイクに跨り異次元亜空間を纏った伽耶は、足元に強引に道を作りながら空を駆ける。雷霆竜の吹き飛ばしをギリギリで回避し、雷撃の余波で腕が痺れるが、そのスリルがたまらない。
 雷霆竜を引き付け、かく乱し、挑発しては指定のポイントへ追い込む。誘導に気づかれたら作戦失敗。そんなところも気に入っている。トラブルシーカー・ギリギリスの名に恥じない走りで戦場を駆けた伽耶は、ウルスラの視線に指定ポイントへと急いだ。
 再び背中合わせになる二人に、雷霆竜がとどめの体当たりを仕掛ける。身体能力を強化された雷霆竜の体当たりは、まともに食らえばひとたまりもない。突進する雷霆竜は、ふいに反対方向へと弾き飛ばされた。
「あたしを停めようってか?」
 包囲されたことにより行動制限を受けたと判定した伽耶は、全方位を浄め祓う蒼羽の乱舞を放つ。突進を反射された雷霆竜が四方に弾き飛ばされた時、その体が切り裂かれた。
「自由に舞え、大空を!」
 ウルスラが戦場を囲うように置いた丈夫な鋼糸付きの黒塗りナイフ群から放たれたサイキックの燕が、雷霆竜を切り裂いていく。サイキックの燕から放たれる真空の刃は、弾き飛ばされたことで近接範囲に入った雷霆竜をことごとく切り裂いていった。
「「作戦成功!」」
 ハイタッチで健闘を称え合った二人は、怒りに肩を震わせる韓信大将軍と改めて相対するのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

シェリー・クサナギ(サポート)
「美しくない世界なんて、生きるに値しないわ」
◆口調
・一人称はワタシ、二人称はアナタ
・女性的な口調
◆性質・特技
・血液の形状を自在に操作する能力を保有する
・可愛いものには目がない
◆行動傾向
・暴力と砂嵐が支配する狂気の世界において、美しいものと可愛いものこそが人の心を救うと信じ、それらを護るために戦ってきた歴戦の奪還者です。社会通念や秩序に囚われることなく、独自の価値観を重んじます(混沌/中庸)
・彼にとって『美しさ』は外見だけでなく、義侠心や献身的な姿勢、逞しく生きようとする精神の高貴さも含まれます。これを持つものは敵であっても尊重します(が、世界を脅かす存在は『美しくない』ので結局戦います)




 怒りに肩を震わせる韓信大将軍と相対したシェリー・クサナギ(荒野に咲く一輪の花・f35117)は、速攻で召喚された異世界の勇士達の姿に眉を顰めた。
「アナタ……美しくないわね」
「何?」
「美しさって、外見だけじゃないの。義侠心や献身的な姿勢、逞しく生きようとする精神の高貴さのことも言うの。アナタが召喚した異世界の勇士は、自分の意思で来たのかしら?」
「我が軍勢に、己の意思など不要! 最も優れた兵士とは、将の意思を正確に遂行する者のことを言うのだ!」
 手を広げた韓信大将軍が示す先にいるのは、【傾世元禳】で魅了され己の意思を失った勇士達。神器で武装した楽浪郡の勇士は、自分たちも手にした【傾世元禳】でシェリーを魅了しようと迫る。だが、そんな美しくも可愛くもないものに魅了されるシェリーではない。
「アナタ達も自由になるべきね」
「訳の分からないことを! 行け、勇士ども! 雷霆竜と共に猟兵を踏みつぶせ!」
 韓信大将軍の檄に従った勇士達が、雷霆竜と共にシェリーに迫る。己の意思を持たない敵軍に、シェリーは|血弾注入《ブラッド・ブレット・インジェクション》を放った。
「ノックもせずに失礼。さっそくお邪魔するわヨ~?」
 シェリーから放たれたナノマシン溶出性銃弾が、敵の頭に命中する。脳に直接弾頭からナノマシン入り血液を流し込まれた勇士達は、頭を抱えると次々とその場に倒れ伏す。
 ナノマシンを注入された雷霆竜は、頭を爆破されて地に落ちる。軍勢を撃破したシェリーは、韓信大将軍に相対すると不敵な笑みを浮かべるのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

館野・敬輔
【POW】
アドリブ連携大歓迎

本拠に猟兵の侵入を許しても、なお自信満々だな
封人台に人も仙も封じようとする野望、ここで阻止する!

先制の楽浪郡勇士集結と雷霆竜の嘶きは阻止しようがない
召喚された勇士が所持する神器の種類と性質と乱気流の流れを「視力、戦闘知識」で把握しつつ
勇士の攻撃を「見切り、武器受け」でさばきつつ、稲妻を「オーラ防御、電撃耐性」で耐える

凌いだら指定UC発動、聖戦士化
黒剣の間合いの外からの攻撃をUC効果で防ぎつつ
「武器で魔法を纏う」で黒剣に炎を宿し
勇士と雷霆竜を「属性攻撃(炎)、範囲攻撃」で排除しながら韓信に接近し
頭上から「2回攻撃、怪力」で両断だ!
その自信こそが、身を滅ぼすと知れ!!


森宮・陽太
【WIZ】
アドリブ連携大歓迎

負けぬと大口叩いておいて
三国武将集結で武将たちの霊を召喚しねぇと戦えねぇのか? あぁ?
雷霆竜の大回転攻撃は初動を「見切り」つつ
「地形の利用」で丈夫そうな壁に隠れて霊の攻撃ごと回避してやらぁ
無理な気もするが、南蛮門そのものを盾にしてもおもしれぇかもな

凌いだら指定UC発動し、黒雷で「範囲攻撃」
命中して生命力とサイキックエナジーを獲得したら
わざと雷霆竜や霊の群れに突っ込み、片っ端から触れてやらぁ

雷霆竜や霊の群れを洗脳し俺の支配下に置いたら
韓信を一斉攻撃するよう命じる
韓信が召喚された連中の総攻撃を受けている間に
俺は背後に回り「ランスチャージ、暗殺」で心臓をぶち抜く!




 余裕の笑みを浮かべた韓信大将軍を前にした館野・敬輔(人間の黒騎士・f14505)は、抜き放った黒剣を構えると韓信大将軍を睨みつけた。
「本拠に猟兵の侵入を許しても、なお自信満々だな。封人台に人も仙も封じようとする野望、ここで阻止する!」
「ほざくな矮小な猟兵ごときが! 我は負けぬ! 集結せよ、楽浪郡勇士達よ!」
 速攻の詠唱で召喚された異世界の勇士達は、うつろな目のまま神器【ユグドラシルブレイド】を構え間合いを測る。押し寄せる雷霆竜の群れともども警戒した敬輔は、隣に立つ森宮・陽太(未来を見据える元暗殺者・f23693)の姿に頼もしげな笑みを浮かべた。
「負けぬと大口叩いておいて。大軍の陰に隠れねぇと戦えねぇのか? あぁ?」
 小馬鹿にした笑みを浮かべる陽太に、韓信大将軍は自信満々に胸を張った。
「私は韓信大将軍。将たるもの、軍勢を率いて勝利することを求められるのだ! 出でよ、三国の武将よ!」
 韓信大将軍の召喚に応じた三国の武将が、それぞれの武器を構えてこちらに迫る。態勢を整えた韓信大将軍は、右手を翳すと敬輔たちに向け軍勢を差し向けた。
「行け、我が軍勢よ! 猟兵どもを根絶やしにせよ!」
「応!」
 一斉に答えた楽浪郡勇士達が、敬輔に向けて一斉に攻撃を仕掛ける。それに呼応した雷霆竜が激しい稲妻を放ち、乱気流を巻き起こす。まるで積乱雲の中に放り込まれたかのような錯覚を覚えながらも、乱気流の流れを注意深く読みながら影響を最小限に抑えようと絶妙に立ち位置を変える。
 稲妻を耐えながら雷霆竜の攻撃をいなした敬輔は、続くであろう勇士達の攻撃を警戒し黒剣を構えなおす。だが、予想した攻撃は無かった。
 神器【ユグドラシルブレイド】を与えられた勇士達は、雷霆竜の巻き起こす乱気流に対応できていない。動きを阻害された勇士達の間を黒い影が行き交うのを見た敬輔は、一つ頷くと詠唱を開始した。
「闇と光は表裏一体の存在。今こそ俺と魂たちの闇を光に変える時!」
 詠唱と同時に光輝く白鎧を纏った聖戦士に変身した敬輔は、淡く輝く黒剣に宿る魂に語りかけた。
「行くぞ」
 短い語りかけに、力強い賛同の意思が返ってくると同時に黒剣が炎に包まれる。炎の剣を手にした聖戦士の姿に警戒を露わにした雷霆竜は、雷の咆哮を上げると敬輔に向け放った。一瞬で黒焦げになる雷撃はしかし、敬輔をわずかに痺れさせたに過ぎない。射程外の攻撃はほぼ無効になった敬輔は、大きく踏み込むとその場にいる雷霆竜達に黒剣を叩き込み炎で焼きつくしていく。
 やがて堂々と姿を現した陽太に、敬輔はそっと気配を殺し息を潜めた。


 時は少し遡る。
 全身をしならせた雷霆竜が、蛇身で輪を描き大きく回転する。まるでチャクラムのように回転した雷霆竜達は、四方に散ると無差別に攻撃して回った。
 体を低くし攻撃を回避した陽太は、素早く物陰に隠れると柱と一体化した。息を殺し気配を殺し、無差別攻撃を仕掛ける雷霆竜の攻撃目標に入らないよう細心の注意を払う。南蛮門を盾にできれば良かったが、韓信大将軍が南蛮門を背に立っている以上、それは無理そうだ。
 周囲のものを無差別に攻撃する雷霆竜は、無論三国の武将達にも攻撃を仕掛ける。突然襲われた三国の武将達は、それぞれの得物を手にその対処に追われている。同士討ちの行方を注意深く観察しながら、陽太は詠唱を開始した。
「その力、そのいのち……奪わせてもらう!」
 巻き起こる雷霆竜の雷に紛れ、漆黒の雷が放たれる。三国の武将達と雷霆竜、そのどちらも巻き込むように不意打ちを仕掛けた陽太は、預けていた柱の影から躍り出ると戦場へ躍り出た。
 暗殺者の身のこなしで死角に回り込み、武将や雷霆竜たちにそっと触れて回る。攻撃ではないから殺気はない。触れたら即座に離れ、別の武将へと向かう。見れば異世界の勇士達が、雷に撃たれて動きを止めている。ニヤリと笑った陽太は、痺れる勇士達も触れて回った。
 漆黒の雷で手に入れた濃密な生命エネルギーとサイキックエナジーを再分配した陽太は、敢えて目立つように堂々と立つと韓信大将軍を指さした。
「さあ、お前たち! 韓信大将軍を倒せ!」
「ふ、何を馬鹿な……なにぃ!?」
 余裕の笑みを浮かべていた韓信大将軍は、一転表情を凍り付かせる。陽太が触れた武将たちや勇士たち、雷霆竜が一斉に寝返り韓信大将軍を攻撃し始めたのだ。慌てた表情を浮かべた韓信大将軍は、残った軍勢に指示を出した。
「ええい、お前たち! 裏切者どもを倒せ!」
 韓信大将軍の指示に応えた軍勢が、陽太配下の軍勢と激突する。突如始まる大乱闘に紛れた陽太は、一気に駆け寄ると韓信大将軍にランスチャージを仕掛けた。
「これがお前の最後だ!」
「馬鹿が! そう来ると思ったわ!」
「だろうな」
 ランスチャージを回避した韓信大将軍に、陽太はニヤリと笑った。不審そうな表情を浮かべた直後、韓信大将軍が凍り付く。
 陽太の後ろに隠れた敬輔が、地を駆け陽太の背中を蹴り大ジャンプする。大上段に振りかぶった敬輔は、炎の黒剣を韓信大将軍の頭上に叩きつけた。
 回避行動を取る韓信大将軍だったが、避けきれない。肩から袈裟懸けに斬られた韓信大将軍の心臓を、返す刀で貫き通す。
「そ……んな、あの攻撃が、囮、だと……!?」
「その自信こそが、身を滅ぼすと知れ!!」
 敬輔の言葉に、韓信大将軍は絶叫すると灰となって消える。
「やったな」
「ああ」
 同時に消えた配下たちを見送った陽太と敬輔は、南蛮門を見上げるとグリモアベースへと帰還した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年12月03日


挿絵イラスト