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メガリス「どこでもコタツ」を回収せよ!

#シルバーレイン #戦後 #メガリス

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●某家具メーカーの店頭にて
 店主は困り果てていた。これからは寒さが募り、どこにいても温もりが恋しくなる季節だ。だがその分、暖房器具や冬向け寝具の類は激しい商戦となる。
 だから、たまたま露天商で見つけた素晴らしいお守りの、ルビー色をした硝子細工に見える「どこでもコタツ」を店頭に展示して客の目を引くことで、コタツからヒーターから寝具の類やら……単独勝ちを狙うつもりだったのだが。
「もきゅー☆」
「もっきゅ〜ぅ♪」
 その素晴らしいお守りの傍に展示しているコタツやらお布団やらは、今や野良モーラットたちの巣窟になっていた。ぬくぬくと暖をとってご満悦、移動しようという気配は微塵も見当たらない。
 事情を知らない一般の人が見たら単なる可愛いぬいぐるみの飾りに見えたかも知れないが、明らかな異常現象だ。そして店主は危機感を覚え、母校の銀誓館学園へ一報を入れたことで、グリモア猟兵の土御門・泰花(風待月に芽吹いた菫は夜長月に咲く・f10833)へ連絡が来た。

●グリモアベースにて
 「……と、このようなわけでして、シルバーレインにて少々お手伝いをお願いしたい所存です。なお、『どこでもコタツ』は私も今まで見たことの無いメガリスですが、メガリスです。安置しておくことで適度な温度と湿度を周囲に集め、真冬でも快適に過ごせるようにする効果があるのだとか」
 泰花は、メガリスのそんな効果のゆえに、野良モーラットが快適な居場所を求めてその店先にたむろしてしまっているのだと語る。
「幸い、今回は被害らしい被害はなく、オブリビオンとの戦闘も必要ない依頼です。その代わり、いつも以上にお知恵をお貸しくださいませ」
 家具メーカーの店長は、引退した能力者で銀誓館学園の卒業生だそうだ。だからメガリスのことも野良モーラットのことも何となくピンと来たらしい。

 「転送先は、野良モーラットが基地代わりにしているお店です。そこで上手いこと野良モーラットたちの関心をひき、店頭から離れさせ、捕獲してください」
 そうしないことには、メガリス「どこでもコタツ」の回収も、店長への代案提示もままならないことだろう。
 メガリスの影響は今は野良モーラットの巣窟化だけで済んでいるが、ずっとそのまま店頭にあっては予期しない悲劇を招いてしまうかもしれない。だから、猟兵による回収は必要なのだ。

 泰花がグリモアベースに映し出す店頭風景の中で、可愛らしい鳴き声を上げながらつぶらな瞳を輝かせるモーラットたちが1,2,3……9,10,11……うん、たくさんいる。

 「野良モーラットたちをすべて捕獲して頂きましたら、あとは私が銀誓館学園へお送りして保護をお願いします。皆さんはメガリス回収に専念してくださいね。もし必要なものがありますなら、お貸ししますので、出発前にお声掛けください」
 安心させるように泰花が告げると、彼女は手のひらに淡く輝くグリモアを浮かべ、転送陣を展開した。
「それではご用意の整いました方から転送致します。よろしくお願いします」


月影左京
 こんにちは、または初めまして。マスターの末席に連なる月影左京です。
 すっかり冷え込むようになりましたね! そんなわけで今回は「あったかい」もののお話です。シルバーレインでのお話です♪

 ※私のシナリオへ初参加なさる方や久々にご参加くださる方は、MSページにお目通しいただくと思わぬ事故を防げるかと存じます。

 とにかくモーラットをどうにかなだめすかしてお店から捕獲し、保護。その後は店の売れ行きを心配する店主からどうやって"素晴らしいお守り"たるメガリス「どこでもコタツ」を回収するか、です。
 メガリスである以上、迂闊なところへ安置させておくのは危険ですからね。回収した時も、何が起こるやらです……。

 各章とも👑を🔵か🔴が満たすまで、プレイングを受け付けます。
 皆さんのもふもふ満喫&ぬくぬく満喫なプレイング、お待ちしております!
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第1章 冒険 『野良モーラットをつかまえて!』

POW   :    走り回ってつかまえる

SPD   :    罠をしかけてつかまえる

WIZ   :    お菓子でおびきよせる

イラスト:RAW

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

高崎・カント
カントもおこたは大好きなのです
でも今日は我慢なのです
ゆーいっちゃん(カントの主)のために頑張るのです!

「もーきゅ!」
おこたにはやっぱり蜜柑なのです!
ころころ~と野良達の前に転がして、カントも一緒に転がって踊るのです!(UCウィッシュダンス使用)
野良モラは楽しいことが大好き。美味しい蜜柑の香りで誘い出すのです
一緒に踊って仲良くなったら、蜜柑を抱えて走って店から離れるのです!
「もきゅもきゅ! きゅいきゅぴ!」
さあ、この蜜柑が食べたければこっちに来るのです

……おいしそうなのです(じゅるり)
一口、一口だけなら囓っても許されるのです
は!? 野良達のスピードが上がってる!?
これはカントのなのですー!


アーネスト・シートン
モーラットってものすごく可愛いんですよね。
現実世界の齧歯類に近い感じのせいか、可愛らしさがアップしてるんですよね。
んで、炬燵に集まっていると…
寒さに弱いんですかと…多分、違うと思いますね。
おそらく、去年のクリスマスの時期もそうだったのですが、狭い所に入るのが好きって話だったと思うのですが。

まずはこたつを回収する前にモーラット保護と行きましょう。
たしか、モーラットの性質的に食べ物が好きって話があるようですし、ここは果物を用意しておきますね。
そのままで食べれそうなの(りんごとか)はそのままで、切る必要性(パインとか)があるのは私が切ってから差し出しますね。
そのまま来て来れば、捕獲して保護しますね。



 「もきゅう〜」
 高崎・カント(夢見るモーラット・f42195)は、誘惑に負けじと今1度気合いを入れ直した。カントもまたモーラット、おこたに群がっている野良の仲間たちに混ざりたくて仕方ないが、主である「ゆーいっちゃん」の為にも、依頼の為にもぐっと我慢だ。
 アーネスト・シートン(動物愛好家・f11928)はそんなカントや野良モーラットたちの様子を見て、心和みながらも観察と分析を欠かさない。モーラットはものすごく可愛い存在だ。一般的な|齧歯類《げっしるい》に近いものがあるからか、余計に親近感だの愛着だのが湧きやすいのだろう。
「んで、炬燵に集まっていると……。寒さに弱いんですかと……多分、違うと思いますね」
 冷静に分析をするアーネストの傍ら、野良モーラットたちへとカントが飛び込む。
「もーきゅ!」
 野良モーラットたちが戯れるその中へ、カントは美味しそうなみかんをそぉれ!と転がした。

 店先は、美味しそうな瑞々しい香りと楽しそうなモーラットたちの鳴き声と踊りとで、さらに賑やかなことになっていた。それをアーネストが見守っているので、さながら不思議な人形劇がアーネスト主導で開催されているかのようだ。
 だが、まだ今は開店時間前。幸か不幸か、一般人観客は居ない。開店時間には店主も店先を整えてしまいたいだろうから、それまでにこの野良モーラットたちを捕獲・保護してしまわなければ。
 カントは野良モーラットたちを美味しいみかんの香りと楽しいダンスとで誘い、一緒に楽しく踊っていた。モーラットは楽しいことが大好きだし、コタツといえばみかん! なのだ。案の定、野良モーラットたちの多くはカントと一緒にやんややんやと踊って跳ねて楽しそうだ。
だがカントはただ踊りに誘った訳では無い。その踊りはユーベルコード【ウィッシュダンス】によるものだ。楽しんで踊って、対象も楽しめば楽しむほど、カントのお願いを聞いてくれやすくなる。
「もきゅもきゅ! きゅいきゅぴ!」
 頃合いを見計らって、カントは手際よくみかんを回収! 食べたければこっちに来るんだ! よーいどん!
 そんなカントに、野良モーラットたちはあっさりついて行き、一転してみかん争奪戦のかけっこが始まった。店頭に残る他の個体も、わくわくソワソワと見守っていたり、アーネストへみかんをねだるようなつぶらな瞳を向けたり。

 「ふーむ、みかんだけじゃなくてこんなフルーツもいかがです?」
 アーネストが用意していたのは、みかんの他にりんごやパイナップルなどなど、新鮮な果物たち。アーネストの経験からして、確かモーラットは狭いところに入るのが好きだったなと分析しており、ならばそれより魅力的な美味しさで釣り出そうと考えたのだった。
 案の定、店先に残ったモーラットの多くは、アーネストの果物に釘付けだ。アーネストは商品の寝具や暖房器具を傷めないよう留意しながらモーラットたちを店の外へ誘い出し、みかんやリンゴ、パイナップルを、皮を剥いたりちょうどいい大きさにカットしたりして食べやすく提供していく。
 だが、何やら向こうからモーラットの騒がしい鳴き声が聞こえてきた。先程野良モーラットを踊って引き付けていたカントのものだな?とアーネストが目線をやれば、何と野良モーラットたちはカントの分までみかんを狙って高速追いかけっこを始めているではないか。
「も、もきゅー!? きゅぴぃー!?」
 カントはどこか何となく涙目で、これはカントの分なのですー!? と、やがて助けを求めるようにアーネストの元へ。アーネストがカントに着いてきた野良モーラットたちへも持参していた果物をお裾分けすれば、ほかほかほっこり、モーラットたちは幸せな心地で果物を満喫する。
「モーラットの性質的に食べ物が好き、と……どうやらその通りでしたね」
 アーネストは果物を満喫する野良モーラットたちや、ちゃっかり自分もひとつみかんを味わっているカントを眺めながら、目を細めた。

 あと一息、マイペースにまだ寝具類で遊んでいる個体を引き離せたら、いよいよメガリスの回収ができそうだ。
 ひとまずアーネストとカントは、捕獲・保護した野良モーラットの対処をする為に一旦店先から野良モーラットたちを連れて離れるのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

真宮・響
夫の律(f 38364)と参加

何度かモーラット関連の依頼に律と関わったが、やんちゃで好奇心がある悪意のない子達だ。子育て経験のある律とアタシにしてみれば手のかかる子供みたいに感じてしまう。

まあ、冬に炬燵は必須だ。ただ、野良モーラットがいつまでもたむろしてるろなると店の営業に影響が出てしまう。害がほぼないとはいえ、モーラットは妖獣だからねえ。

赫灼のアパッショナートを歌って野良モーラット達の気を引いたら手作りのクッキーとマカロンを渡す。愛情込めたとびきりの奴だ。捕まえる時は子供を抱っこするように優しく。律の方はどうだい?子育ての経験を活かせば、こういう子らの世話は慣れたものだ。


真宮・律
妻の響(f00434)と参加

何回か響とモーラットに関わったが、無邪気で悪意がなくて、好奇心旺盛だ。子育て経験者の俺と響にしてみれば手のかかる子供を見ている感覚だ。

この冬の寒さに炬燵は盛大な暖かさを齎す魔力がある。モーラットが集まるのもわかるな。ただモーラットはただのぬいぐるみじゃないしな。事故が起こる可能性も考えて炬燵から離しとくのが賢明だ。

白銀のトランペットで白銀の行進曲を高らかに吹き鳴らし、野良モーラット達を引き寄せて、手作りのマカロンとフルーツケーキを渡す。とびきりの奴だ。美味しいぞ。ああ、捕獲する時は抱っこはもちろん、頭や肩にも乗せるぞ。ああ、首尾は上々だ、響。子育ての苦労を思えばな。



 果物や踊りで賑やかに保護されて行ったあとも、まだ野良モーラットの一部はこたつやらお布団やらから離れようとしない。そんなところへ新たに転送されてきたのは、真宮・響(赫灼の炎・f00434)とその伴侶、真宮・律(黄昏の雷鳴・f38364)だった。2人は育児のベテラン、この野良モーラットたちのことも手のかかる分愛らしい子どものような感覚であり、まるで幼稚園や保育園のお迎えに来たような感じを覚えているようだ。
 「何回か響とモーラットに関わったが、無邪気で悪意がなくて、好奇心旺盛だ」
「ああ、やんちゃで好奇心がある悪意のない子達だ」
 何度かモーラットの依頼に参加したことがあることもあってか、そろそろ開店時間が近くなってきて店主がソワソワしていても泰然自若とした風に2人は動揺しない。軽く店主を諭し、他の商品や展示品の点検をしてもらうよう促して離脱させ、その間に響と律は残りの野良モーラットを保護する作戦を決行した。

 「害がほぼないとはいえ、モーラットは妖獣だからねえ」
 冬にコタツは欠かせないことに同意しつつも、響は万が一を想定する。律もまた、この季節のコタツには強力な魔力が宿る――いつまでもぬくぬくコタツムリしていたいという欲が宿る――のを承知の上で、響に同意した。
「そうだね。事故が起こる可能性も考えて炬燵から離しとくのが賢明だ。……では、手筈通りに」
 律は、この世界に戻ってきて始めて家族から贈られた、大切な白銀のトランペットを手に取る。それを高らかに奏れば、見事な歌唱力がメロディーを乗せて舞うように流れる。律の【白銀の行進曲】と響の【|赫灼《かくしゃく》のアパッショナート】の合わせ技だ。
 アップテンポで元気が出る曲におおらかで明るい歌声がのれば、野良モーラットたちの視線や関心を一身に引きつけるのは容易い事だった。
「おっ、きたね。ほら、とびきりの奴だ。美味しいぞ」
 野良モーラットたちがぴょこぴょこ、もきゅもきゅと寄ってきたところへ、律はそう語りかけて手近なモーラットたちへ可愛らしいマカロンやフルーツケーキを差し出した。むろん市販品ではなく、とびっきりのお手製だ。
 もちろん、響も同じようにお手製のお菓子をたくさん用意してきた。
「愛情をたっぷり込めた、美味しいお菓子だ。でもここで食べたら汚れちゃうからね、ほら、こっちにおいで」
 響は幼子をあやして抱っこして行くように、優しくも確かに、腕に抱いたり背中に乗ってきたモーラットをそのままおぶったり、園長先生のように手際よく野良モーラットたちを捕獲し保護していく。
「律の方はどうだい?」
「ああ、首尾は上々だ、響。子育ての苦労を思えばな」
 応える律は、頭にも肩にも野良モーラットを乗せ、さながら体育の先生のように捕獲と保護を成功させていた。
 イヤイヤ期や反抗期のある子どもを育ててきたからこそ、やんちゃで手間のかかることをするものの素直なモーラットは、まだまだ可愛い盛りの子どものようなものなのだろう。
 髪の毛や服の上に食べかすを零されつつも、満足気な野良モーラットをもれなく連れて、2人は一旦銀誓館学園へ送り届けてもらうために店を離れる。

 だが、店主に心配をかけないよう、またその「素晴らしいお守り」であるメガリス・どこでもコタツを元・能力者とはいえ既に一般人として暮らす店主から引き離すために、すぐみんなでまた戻る旨を伝えておく。
「そ、そうか……何だかよく分からないが、この冬の商戦に負けるわけには行かないんでな、開店時間のあと少しまでの間に、頼むよ」
 店主は了承の意を示してはくれたが、やはりどうにも落ち着かない様子でいる。
 折角「素晴らしいお守り」として露天商からいい値段で買った|これ《メガリス》がなんの恩恵も無いとか一方的に持ち去られるかもしれないとか想像すれば、無理もないことなのかもしれない。

 さて、そんな店主に猟兵たちはどう対処して、メガリスを回収するだろうか……?

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 日常 『太陽花の白昼夢』

POW   :    向日葵畑で遊ぼう

SPD   :    暑さを忘れてのんびりしよう

WIZ   :    向日葵畑を眺めよう

イラスト:もちつきかがみ

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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 店主はメガリスを残して一旦皆がはけてしまったあと、気もそぞろに待っていた。不安な中の時間はたとえ数分でももどかしいもの。
 結局あれやこれやと商品の配置換えをしたりメガリスを触って移動させたり……なんてしているうちに。
「え、ええ……!?」
 なんと、店内は最早販促ポップどころではなく、辺りがポカポカ陽気で向日葵まで咲いているでは無いか!

 もちろん、これは店主の不安がメガリスと変な共鳴を起こしてしまったがための一時的な現象。
 無事にメガリスを回収できればこの幻影も消える。

 「た、確かに夏の心地よい暑さくらいにあったかくなれる! という謳い文句ではいたが……」
 流石にもうそれ以上何か触るのは躊躇ったようだ。店主はまだお客さん向けのシャッターは開かないまま、猟兵たちを待っている……。
高崎・カント
「もぎゅーう」
暑いのです
こんなにポカポカならおこたは要らないのです
こたつと布団を押し退けて向日葵で遊ぶのです
茎をよじ登り、花から花にジャンプしたり、葉っぱにじゃれつくのです
UCを使い、カントも向日葵に負けないくらいピカピカになって飛び回るのです(人間が歩く位の速さで飛ぶモーラットヒーロー)

向日葵の種は食べられると聞いたのです
おいしいものは何でも食べたいのです!
一番大きい花にダイブです!
「もっきゅー!」

遊んだらお仕事なのです
向日葵の季節は暑くておこたは売れませんと店主さんにアピールなのです
「きゅきゅぴ? もっきゅきゅぴ!」
おかね?
きっと学園(銀誓館)が出してくれるのです!


アーネスト・シートン
季節外れの夏ってところですかね??
今、冬間近で、この格好だと暑く感じますが…
モーラットが去ったからには炬燵を回収する方向で行きますかね。
このままではメガリスが暴走なんてことにもなりかねませんからね。
たしか、モーラットが集まっていた炬燵はこれでしたかな??
とりあえずは、触れてみて変化がなければ回収ってところになるでしょうね。
大きさが変わらなければ車を用意した方がよさそうですかね??


真宮・響
夫の律( f 38364)と参加

おや、メガリスと共鳴するとこんなに影響が出ると。流石に寒いとはいえ、あれだけ季節外れだとねえ・・・

まあ、店主の真剣な気持ちは良くわかるので、代替案を。最近はテーブルタイプの炬燵があるという。リビングこたつとかいうね。一人で座るタイプとかもあるのでバリエーション増やすだけで違う。それに湯たんぽや着る毛布、ホットカーペットなんか暖房器具は色々ある。バリエーション増やすだけで大分違うんじゃないかい?

シンフォニック・キュアで穏やかな歌で店主を和ませながら説得する。店の売上は工夫次第でなんとでもなる。応援するよ。頑張ってくれ。


真宮・律
妻の響(f00434)と参加

おや、メガリスって心に共鳴しただけで、こんなに極端な状況になるのか?流石に周りが夏になっちゃ売上げ激減どころじゃないだろうな。

まあ、リビングこたつもあるようだし、寝具も色々進んでいるようだぞ?肌触りのいい布団、発熱素材、もこもこした毛足。色んな形の着る毛布もあるらしい。ファミリーサイズのホットカーペットもあるらしい。バリエーション増やすだけで大分違うぞ?

この現象は店主の思いの強さ故だからな。応援してるぞ。本当、商戦は厳しいんだな・・・



「もぎゅーう……」
「おや……」
「メガリスって、共鳴しただけでもこんなことになるのかい?」
「これは、なかなか極端な現象だね……」
 野良モーラットたちを保護し終えて戻ってきた猟兵たちは、店主と店の激変ぶりに皆異口同音の感想を抱いていた。暑い、と。
 特にカントは毛玉で全身が包まれているから、余計に暑くてならないだろう。モーラットに換毛があるのかは定かでは無いが、冬毛と夏毛とを切り替えるような生態なら、恐らく間違いなく冬毛の今、この状況は暑い。
 だがそこは前向きなカント。へこたれてしまわず、まずは遊ぶことにした。お布団たちを押し退けて向日葵へ一直線。茎をよじ登り、花から花へ、葉から葉へ。【スーパー・ジャスティス】によってカント自身も黄金色に輝きながら、|人が歩くような速さ《アンダンテ》でルンルンと飛び跳ねる。そういえば向日葵の種は食べると美味しいのだ! と思い出せば、もっとも大輪の向日葵へと躊躇いなく突撃。
 そんなカントの無邪気さを、動物が好きで獣医志望でもあるアーネストは目を細めて見守っている。とはいえ季節外れの夏の中では、冬支度をした格好のアーネストだって暑い。残された課題はこの現象を起こしてしまった一因のメガリスを回収することだけ。
(「店主の熱意が後悔に変わらないうちに完遂させてしまいましょうか……」)
「確かくだんの炬燵は、これでしたかな?」
「う、あぁ。それで間違いない……んだが……本当に持って行ってしまうのか……?」
 アーネストが手を伸ばしたのはメガリスの炬燵、どこでもコタツ。触れて小さくならないのなら車を用意して搬出しなくてはならないかなんてアーネストが懸念するような見事なメガリスだ。
 ただ、店主だって違和感を覚え、こんな現象を目の当たりにしてそのままありがたく店頭に展示しておく気は無いようだが、その声音にも表情にも困惑というのか不安というのか、何とも言い表し難い感情を滲ませていた。
「それを持って行かれてしまうと、他店の華やかさに敵う気がしないんだ……特に大手チェーンの店舗なんか、安さ勝負じゃとてもじゃないが……」
 そうしょんぼりとボヤく店主に応えたのは、軽やかな音楽だった。

 トランペットの軽快なファンファーレの後、語りかけたのは響と律の2人だった。
「進む道は間違っちゃいないよ。話を聞いたり店頭を見たりする感じ、商戦っていうのはこうも激しいんだな……そうなれば、決定的な差別化が欲しくなるのも当然だ」
 律の語りかけに続いて、ミュージカルのように響が【シンフォニック・キュア】を用いて代案を提示する。
「店主の情熱は応援するところだよ。こんな共鳴を起こしてしまうほどなんだ。本当に熱い思いでいるんだね。ただ、他店との差別化は物珍しいだけがやり方じゃあないさ」
 たとえばリビング炬燵なるもの。本格的でなくても、珍しくはなくても、使い易いサイズやカラーリングなら需要は高い。おひとり様の多い現代にあっては、ひとりで快適な時間を過ごせるものだって求められる。様々な肌触りの寝具、身に付けるだけでまるで炬燵を着ているかのような温もりを感じられるルームウェアのラインナップ、他にもファミリーサイズのお手軽なホットカーペットも。
「つまりは、バリエーションで勝負さ!」
 クライマックス、響の歌声を盛り上げるように、律も自然と伴奏に添えていたトランペットを吹き鳴らす。【残照のサンクトゥス】を用いた効果もあって、2人の思いは店主の心意気にもう一度明かりを点した。
「バリエーション……! だがそうなると在庫品をどこに置くか……限られた店舗じゃそんなに多種多様なものを展示なんて……いやしかし……」
「もきゅ! きゅぴきゅぴ!」
 そこへ、向日葵の種を心行くまで満喫したカントが戻ってきた。寒いのを嫌う人は少なくは無いけれど、向日葵の季節にあったかグッズは欲しがられないよ、と頑張って鳴いて訴える。
 だから、色んなものを仕入れて売った方がきっとお客さんも来るよ、と。お金ならきっとこの炬燵を|買い取ってくれた《安全の為に回収した》銀誓館学園が出してくれるって! と……いや、それは本当にそうなのかちゃんと確かめないことには……まぁいいや、きっと猟兵の要請ならば前向きに検討してくれるだろう、そう信じよう。
「バリエーション豊かな展示が難しいなら、目玉商品か売れ行きが良いも商品を店頭に展示して、あとはタブレットや大きめのディスプレイモニターでデジタルサイネージらしく入れ代わり立ち代わり見せてはどうですかね? あと、在庫品の保管ですが、物流倉庫によっては、小口のロット……つまり個人通販に対応するような小規模の在庫の保管にも相応の低価格で貸出をしてくれるところもあるとのことです」
 アーネストもささっと思い浮かんだことを提案。メガリス搬出の為の車を手配したついでに入手した物流業の豆知識も添えれば、店主は目を輝かせた。
「そうか……それだ!! 皆さん、ありがとうございます! 何とお礼をすれば……ああ、そうだ!」
 店主は、最後にもうひとつだけワガママを聞いてほしいという。できることであれば、と皆が耳を傾ければ、それは彼らにこの店のデジタルサイネージをプロデュースして欲しいとのことだった。
 見事な即興ミュージカルで巧みに提案をしてくれた真宮夫婦に音楽監修を、愛らしいモーラットであるカントにマスコットキャラクターを、その"家族"役で実際に商品を堪能してくれる役をアーネストに。そしてそれをこの店の皆で一丸となって動画に完成させ、店頭に流したいというのだ。
「どうか、お願い致します……!」
 店主は、勢いよく頭を下げた。

 結局、メガリス「どこでもコタツ」は多少想定外な事態を引き起こしつつも無事に回収され、銀誓館学園が保管するところとなった。もう野良モーラットたちが根城にしに来る気配もない。
 そして……。
「あっ、見てみてあのお店!」
「わぁぁ……可愛い♪」
「え! ここ、あの値段であれ売ってるよ!?」
「見てこ、見てこ☆」
 軽やかなトランペットと女声の歌に、店員たちがハーモニーを添える中、ぴょこぴょこ跳ねて愛嬌をふりまく毛玉状のペットへ"家族"がぬくぬくしながら愛情を注ぐ。
 陽だまりのように暖かいお布団。ふわふわ発熱素材のルームシューズ。天板をひっくり返せばテーブルゲームのボードにも早変わりするゲームテーブル兼用のリビング炬燵。お湯の交換が楽ちんな最新式の湯たんぽ……目まぐるしく様々な商品がモニターを彩れば、店頭には体験用の見本しかなくとも欲しい欲しいと歓声は広がった。
「ありがたいなぁ……頼るべきは正体不明の御守りよりも、人の温かさだなぁ……ありがたい」
 ようやくその日の店じまいの時間を迎え、店主は忙しくて滲んだ汗を拭いながら、しみじみとそう呟いたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年12月09日


挿絵イラスト