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【妬鬼姫戦線A2】第2話 いくつもの選択肢

#アナザープレヱス・リフレイン #妬鬼姫戦線A2

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#妬鬼姫戦線A2


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 多くの避難民を収容した迎賓館であったが。
「皆さん、聞いてください。申し訳ないのですが、ここでの収容人数が多いようです。ぐっすり休めなかった方々も多いでしょう。先ほど連絡を受けて、帝国ホテル、学校、百貨店にて、受け入れが可能な事が判明しました。可能な方はそちらの移動をお願いします。その代わり、我々、桜塚特務部隊が責任もって、現地まで送り届けます」
 特務部隊を指揮する隊長、|神崎重造《かんざきじゅうぞう》からの要請で避難民の移動が始まる。
 それだけではない。
「誰か、私と一緒に来てくれる人はいるかしら? 私の家には不思議な物があるの。一緒に来てくれるなら、それをあげるわ! だから、来てくれる人を求めるわ」
 キヨからの提案により、新たな物資を得るべく動き始める……。
 事件は、また一段階先へと進んでいく。

「皆様、先日の事件解決……お疲れさまでした。前回のリフレインにて新たな動きがありましたので、そちらをまとめてお知らせしますね」
 そう告げるのは、グリモア猟兵の響納・リズ(オルテンシアの貴婦人・f13175)。
「まず、一つ目は……一回目のリフレインで脇差しの刀であった月詠が、聖なる弓矢へと変わり、また安置されている場所が、帝都から離れた山奥へと変更されました」
 重要な武器が変化した。これは由々しき事態だろう。それを調べるためにも、新たな月詠を回収するのも悪くない。
「二つ目です。早めに皇居に向かうことで、死ぬ間際の皇后と接触ができました。その際、皇后が持つ八尺瓊勾玉の回収は終わっております」
 これは願ってもない効果でもある。前々回と前回と、回収が遅れた八尺瓊勾玉の回収が、こんなにも早くできたことは朗報であるだろう。ならば、もっと早く動けば、もしかしたら……。いや、既に終わってしまったことをこれ以上追及すべきではない。
「三つ目です。太助様のお陰で、既に迎賓館でのゾンビ化の悲劇を回避することができました。これもまた良き効果の一つですね」
 そうなれば、後はこれから起きることに対応しつつ、また変わっていることがないかを調べるのが大切になってくるだろう。
「それを踏まえて……迎賓館では抱えきれない避難民の方々を別の避難所へと移送する作戦が行われるようです。その時代のキヨ様も自ら所持しているアイテムを有効活用すべく動き出しています。歴史が変わらぬよう、彼らの護衛をお願いします。そのうえで、また以前と変わったことがないかなどの調査をお願いします。それと」
 リズは続ける。
「既に皆様の手には、妬鬼姫討伐に必要なアイテムが揃っています。一気に決戦を挑むことも可能ですので、そちらも考慮の上、次の一手を進めてくださいませ」
 そういって、リズは現地へと向かう扉を開くのであった。


柚葵チハヤ
 こんにちは。柚葵です。遅くなりましたが、二度目のリフレイン。第2話のお届けです。
 第2話ということで、【コンバート】【猟兵】の方、優先シナリオとなっています。一応、【アナザー】【イマジン】の方も参加はできますが、英雄(猟兵化)ができませんので、ご了承ください。

 (1)避難民移送に参加する。
 桜塚特務部隊と共に、避難民移送の護衛や、移送に協力します。
 参加する方は、帝国ホテル、学校、百貨店のいずれかの目的地の指定をお願いします。ちなみにホテルには、例の方がいらっしゃいます。

 (2)キヨの護衛。
 キヨを護衛して、キヨの持つ天からの落とし物(未来のアイテム。但し武器は、ショックガンやモデルガン止まり)が得られます。プレイングにて、欲しいものを申請してください。場合によっては、似たようなものになるかもしれませんが……。

 (3)新たな月詠を手に入れる。
 帝都を離れ、山奥にある月詠を確保します。未知の状況なため、不測の対応に迫られる可能性があります。
 それも踏まえて、プレイングをお願いします。

 (4)妬鬼姫決戦!
 必要なアイテムが、一つでもあれば、決戦を挑むことができます。但し、アイテムが少ない場合は、撃退ではなく封印となりますので、ご注意ください。殲滅に必要な個数は、「5個」となります。二人、鬼切丸を所持している方がいたら、それは「2個」とカウントします。
 また、この選択肢を選んだ場合は、この決戦をもって、今回のリフレインが終了しますので、こちらもご注意ください。

 (5)その他。
 上記の選択肢にないことはこちらで。詳しい内容をお願いします。

 一応、注意点として、【アナザー】【イマジン】の方は、選択肢のうち(1)と(2)のみ参加可能です。それも踏まえて、ご参加をお願いします。

 複数名で参加する方は、お相手の名前やID、グループ名もお忘れなく。
 それでは、今回のリフレインでも良き選択を、お待ちしています!!
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第1章 日常 『プレイング』

POW   :    肉体や気合で挑戦できる行動

SPD   :    速さや技量で挑戦できる行動

WIZ   :    魔力や賢さで挑戦できる行動

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

御薬袋・彩葉
【行動】
(1)でホテルへの移送を手伝う
食糧を確保しつつ物資の確保を行いながら安全に道につく

ふむ、私は一般人(?)だから全力で逃げますね!
私をなんだと思ってるんですか!
料理人ですよ!?
違うモガでスタァでした!
まぁ、でもホントに私が戦いに参加しても足でまといだと思うんですよねー
そして行くなら…帝国ホテルですかね
厨房がありそうですから
学校はあるか微妙そうですし
百貨店は多分無いですよね

という事で、ご飯作りに行きますよ!
皆、ご飯の材料持って待ってて下さいね!頑張って私も作りますから!

【PL意図】
食糧確保はいつもの事ながら一応籠城する為の用意なので道中引きこもりに使えそうな物資は確保したい



◆腹が減っては戦はできぬ?
 いよいよ、帝国ホテルへと移動する者達が出発する時が来た。その中に見知った顔がひとり。
「行くなら……やっぱり、帝国ホテルですかね。厨房がありそうですから」
 そう、御薬袋・彩葉(自称『モガ』・f39642)だ。その背には大量の食糧を入れた大きな風呂敷を背負っている。
 ちなみに補足しておくと、小学校と百貨店にも、厨房は存在する。小学校では、厨房というよりは家庭科室にあたるだろう。そして、百貨店には、レストランが常備されているので、そこで料理をすることが可能だ。というわけで、どちらでも厨房には困らない。そうでなければ、避難民を受け入れることは難しいだろう。

 さて、彩葉達の方へと視点を戻そう。
 道中、かなりの数のゾンビ達が襲ってきてはいるが、護衛を務める桜塚特務部隊がしっかり守ってくれていることと、あらかじめワクチン等を配布していたお陰で、あまりゾンビを恐れることは少ない。が、危機感は無いわけではない。
「お母さん、怖いよー!」
 子供達はやはり怖がるし、一般の者達も怖がるものも多い。
 程よい緊張感に安心感が加わり、意外と順調に進んでいる。
「たのもー!! ちょっと見させてもらいますよー!!」
 道中、食料がないかそれっぽい店に入っては、回収しようとするが……どうやら、この辺りは既に回収済みのようだ。目ぼしい食料はあまり見つからない。
 だが……。
「あれ、こんなところに杖? って、わああ!!」
 持ち手を引いたら、杖から細い刃が現れた。どうやら、仕込み杖のようだ。
「え、えっと……」
 うーんと悩みながら、まずは危ない刃を杖にしまい込んだ、その矢先のことだった。
「ううう……」
「ああああ……」
 ゾンビ達が部屋の奥から続々とやってきた。
「わわわ!! 私は一般人(?)だから全力で逃げますね! 私をなんだと思ってるんですか! 料理人ですよ!? 違うモガでスタァでした!」
 急いで店から飛び出し、待っていた部隊の一行と無事合流。何とかゾンビ達を撃退することができた。
 ちなみに、彩葉は自分のことを一般人だと言っているが、神通力を使えることで、既に一般人を超えている。……本人の自覚がないだけで、戦闘力や度胸は、そこら辺の一般人よりは高い。

 少々、ゾンビに襲われることはあったが、大したけがもなく、一行は無事に帝国ホテルへとたどり着くことができた。
 さっそく、彩葉は背負ってきた食料を厨房へと運び込み、作るのはお馴染みのおにぎり。
「みなさーん、美味しいおにぎりできましたよー!!」
 いつもの元気な笑顔で、今日もまた、ホテルで美味しいおにぎりを配り、人々に喜ばれるのであった。


※称号「帝国ホテルの厨房係」と、アイテム「仕込み杖」を獲得しました。後ほど、獲得リストをご確認ください。

大成功 🔵​🔵​🔵​

役所・太助
(3)月詠捜索

特務部隊から数名同行を神崎隊長に依頼
知恵袋として海斗に同行依頼
依頼の諾否はGMに一任
たとえ単独でも行く
帝都庁から詳細な現地地図を借り出す

戦闘は避ける方針
神通力は自分と味方の危機回避に使用

負傷や遭難にはI0085アイテム思い出のキャラメルを噛み締めて乗り切る
味方が死にそうなら同アイテムを食べさせて励ます

大局を見る目(文字通り)を発揮し、月詠の捜索、見つけた帰り道の考察に全力を尽くす

月詠の状態や発見場所の状況、これまでの経過も考え合わせ、リフレインが終わらせるヒントを探す
つまり、何が、リフレインの終わりを阻んでいるのか…
何があるからリフレインするのか…
わずかな違和感も見逃さない!



◆もう一つの月詠
「まさか、お二人にお願いできるとは思わなかったでござるよ」
 そう言いながら、役所・太助(人間の公務員・f39613)は、共に同行してくれる海斗(まだ見習い)ともう一人。
「えー、俺じゃあ、アレだった?」
 ちょっぴり涙目になっている涼介(まだ見習い)を見て太助は笑顔を見せる。
「いえいえ、そうではないでござるよ。お二人の協力が得られて、感慨深いというかなんというか……」
 英雄の二人ではないが、若い二人と共に月詠探しに出かけられることを太助は嬉しく思う。
 そういえば、と思う。
 前回はこんな風に二人と一緒に出掛けることなんてできなかった。
「これもまた、『りふれいん』とやらの恩恵でござろうか」
 射的で手に入れた思い出のキャラメルを仲良く分け合いながら、目的地へと向かう。
 何があるか分からないので、太助は|大局を見る目《リフレイン・サイト》を使って、危険を回避していく。
 その中で分かったことが一つ。
「ゾンビがいるのは、帝都の周辺だけでござるな……」
「うん、そのようだね……」
 だからこそ、帝都以外の村々や街は、混乱に陥らなかったのだろうか。
 帝都から離れるにつれて、ゾンビの数は減っていき、相手にするのは、偶然出会ったイノシシや熊を相手取ることが多い。それも頻度は少なく、予想よりも早く月詠が安置されている神社に向かうことが出来た。
「たのもーでござるよ! 誰かいるでござるか?」
 太助が声を掛けてみるが、誰も出てこない。
「太助さん、どうやら、ここは無人みたいだね……」
 海斗が眼鏡を直しながら、そう告げる。
 おんぼろとは言え、本殿の中はまだ、しっかりしているようだ。その中央に……やはり刀ではなく、弓の月詠が置かれている。その弓からは神秘的な何かを感じるように思えた。
「できれば、許可を頂きたかったのでござるが……」
「けど、この神社、すんげーおんぼろだし、さくっと持ってっても怒られないんじゃねーの?」
 涼介がそう、辺りを見渡しながら言う。
「んー、でも黙って持って行くのはいかんでござるよ」
 予め持ってきた筆と紙を取り出し、月詠を借りていく旨をしたためて、月詠が安置されている台に、そっと置いておいた。
「太助さんって、真面目なんだね」
「そうでござるか?」
 海斗の言葉にきょとんとしながらも、はっと思い出したように太助は、神社の周辺を探してみる。
(「何か、異変があれば……」)
 しかし、めぼしいものはなく、何者かの足跡のみしか見つけることはできなかった。
「これって、神社の人の足跡じゃね? 中は意外と綺麗だったし」
「そうかもしれないね……」
 涼介の言葉に海斗が告げる。
「ともかく、無事に月詠を得ることができたでござる。これならば、すぐに帝都へ戻れるでござるな」
 とはいえ、帝都からの電車は止まっているので、山から戻るには、数日かかる。山に向かう時も同じ時間がかかっていた。

 ――何が、リフレインの終わりを阻んでいるのか……。何があるから、リフレインするのか……。

 新たに手に入れることが出来た月詠をそっと、大切そうに触りながら、太助は急ぎ、帝都へと戻るのであった。


※アイテム「月詠(弓)」を手に入れました。後ほど、獲得リストをご確認ください。

大成功 🔵​🔵​🔵​

クレセント・ブライト
(1)避難民移送
合わせ歓迎
さすがに出来ることは限られているし、僕はこっちを担当しよう
前に治療した人居たら安心してくれるかも?
一応僕も例の予防接種とやらをして、避難民にも確認(可能ならしていない人に施す)
避難場所は帝国ホテルだ
桜塚特務部隊と連携する
避難民にも『できるだけ静かに動く事』と『桜塚特務部隊の指示に従う事』をお願いするよ

道中は常に警戒
前に『怪しい影をみた』と聞いたし、一応それにも警戒するよ
怪我人は生まれながらの光で治癒
笑顔で対応すれば、みんなも落ち着いて動けるかな?
帝国ホテルについたら避難民全員いるか、ゾンビに噛まれていないか確認

使用:I0076、I0077



◆一緒に避難して
「みんな、準備はいい? それじゃあ、いっくよぉ!」
 笑顔で対応しているのは、可愛らしい中華風の服を着た、クレセント・ブライト(たぶん魔剣・f06868)だ。
「あ、あのときのおねーさんっ!!」
「いや、僕は男なんだけど……」
「ええええ、おねーさんだよーっ!! こんな可愛いおにーさん、見たことない!!」
 前にクレセントが世話をした子供と親に出会ったが……なんだか誤解が解けなかったようだ。とにかく、見知った顔があるというのは心強い。お陰で、彼らを中心にクレセントの指示をしっかり聞いて、移動することができている。これも笑顔で対応しているお陰と言えよう。パニックも起こさずに行えているので、特務部隊の隊員も楽に移動できているように感じられる。
 クレセント達が向かうのは、帝国ホテル。既に彩葉達が向かって到着している、そのホテルだ。
「先に戦ってくれたお陰かな。ゾンビはあんまりいないようだねぇ」
 同行してくれる桜塚特務部隊と協力して、クレセントは比較的安全な道中を楽に進むことができた。
「そのようですね。こちらも気が楽です」
 部隊の一人がそういうと、部隊をまとめる隊長が眉を顰める。
「それならいいのですが……まさか、ゾンビ達が他のところに向かったってことは、ないですよね?」
「……えっ!?」
「あ、いえ、気にしないでください。やはり、前部隊が頑張ってくれたお陰だと思います」
 その隊長の言葉に、クレセントは少しの引っ掛かりを覚えたのだった。

 帝国ホテルへの移送は、あまり時間をかけずに、進めることができた。
 道中、『怪しい影』の情報もあり、警戒していたのだが……言われていたその影を見ることはなかった。
「うーん、怪しい影さんは、別のところに行っちゃったのかな?」
 転んで怪我した子供を治療しながら、クレセントは頭を捻る。
「あ、あなたですか。迎賓館から来てくださった英雄は」
 と、そこに特務部隊とは違う軍服を着た青年がやってきた。
「僕は、英雄じゃなくて、猟兵だよ」
「どちらでもかまいません。あのゾンビを倒せる方で、年の近い方なら問題ありません」
「年の近い……?」
「あなたにお願いしたいのです。今回の事件で精神的に参ってしまっておられる陛下の話し相手になれる方は……」
「えっ!? 陛下って……」
「このホテルの最上階に居ります、幼き帝……第50代帝様が……」
 その青年の言葉に、クレセントは驚き、目を見張るのであった。


※許可「帝との謁見」を獲得しました。後ほど、獲得リストをご確認ください。これにより、次回からいつでも帝と謁見することができます。
 また、今回はプレイングを優先しましたが、プレイングとキャラクターシートとの一人称の相違があるようです。お手数ですが、一度ご確認の上、必要であれば修正をお願いします。(一人称の修正は、いつでも無料でできます)

大成功 🔵​🔵​🔵​

ベスティア・ジェヴォーダン
皇居へ行き、妬鬼姫を呼び出す。
自分の持っている草薙と鬼切丸の二刀流を見せ、
自分たちが繰り返しの中に捕らわれていること、
そして、すでに妬鬼姫を倒した経験があること、
さらに繰り返しのたびに神器が増えていくことを告げ、
何度も倒され続けるのもばかばかしいだろう、
こっちも何度も不毛な戦いをするのはうんざりだ。
この時間の檻を抜け出せば、妬鬼姫にも幸せな未来があるだろう。
と、つき子ルートの可能性を示唆。
協力して、リフレインを打ち破ろうと同盟を申し出る。
断れれば、防戦のみを行い退却。
OKしてくれたら向こうの言い分も聞き、仲間のもとにそれを伝えに戻る。
「どこかで見ている悪趣味な神様に一泡吹かせてやるのだ!」



◆妬鬼姫との邂逅は
 一足先に皇居に来たのは、ベスティア・ジェヴォーダン(動物使いの調査員・f39599)。
 その目的とは……。
「妬鬼姫、ここにいるんだろう?」
 皇居の最奥の部屋、そこでベスティアは呼び掛けた。
「驚いた。ここまで来る者がいるとは、ねぇ」
 煙管を吹かしながら、赤い角を持った妬鬼姫が姿を現した。
「何用か。ことによっては貴様を斬り捨てる!」
 大きな薙刀を手に、妬鬼姫は睨みつけてきた。しかし、ベスティアは臆することなく。
「これを知っているか?」
 取り出したのは、鬼切丸と草薙の剣。それだけで、妬鬼姫を封印することはできる。
「ほう……」
 嫌そうに目を細める妬鬼姫。ベスティアは続ける。
「ベス達……いや、妬鬼姫! お前もまた、『リフレイン』の中にある。既にベスは妬鬼姫を二度、殺してきた」
「嘘か誠か……」
「それに、繰り返しごとに神器は増えていく……何度もやられるのは嫌だろ?」
 そのベスティアの言葉に、妬鬼姫は口を閉ざす。
「何度も倒され続けるのもばかばかしい。こっちも何度も不毛な戦いをするのはうんざりだ。……この時間の檻を抜け出せば、妬鬼姫にも幸せな未来があるんじゃないのか!」
 そういって、最初の事件で見たハッピーエンドを思い浮かべる。それはそれは幸せな世界を……。
「……ほう、貴様もそのような摩訶不思議な話をするのじゃな」
「なっ!? 妬鬼姫、お前……誰かからそのことを聞いたのか!?」
 驚くベスティアの言葉に妬鬼姫は楽しそうな笑みを浮かべた。
「じゃが、お主らに言う必要もないだろう? それに……お前の話を聞いたとて、妾にメリットはあるのかえ?」
 煙を吐き出す煙管をベスティアにつきつけ、妬鬼姫は言う。
「そ、それは……だが、どこかで見ている悪趣味な神様に一泡吹かせてやれる! 同盟を結べば……」
「娘はそっちにいるし、愛しき人もいない。こんな世界など破滅がお似合いじゃろう? 消えるのが道理というものじゃ。用件はそれだけか?」
 そう、妬鬼姫に言われて、ベスティアは何も言えなくなる。
 この世界は妬鬼姫にとって、辛い世界なのだろうか……。
「今回は見逃そう。じゃが、この次は……ないぞ。それを肝に銘じて置け」
「……わかった」
 妬鬼姫と協力関係を結ぶのは、難しい。だが、彼女にとって有益だと感じる何かがあれば……いや、相手は世界を滅ぼそうとしている鬼だ。果たしてどれだけ話が分かるというのだ……。
 ベスティアの頭がぐるぐるしていく。
「難しい……でも、話は聞いてくれた」
 それだけが分かっただけでも進歩かもしれない。
 妬鬼姫の言葉通り、ベスティアは後ろから斬りつけられることなく、皇居を後にすることが出来た。
 しかし、この先のことを考えると少し頭が痛くなるのであった。

※称号「妬鬼姫と対話を求める者」を獲得しました。後ほど、獲得リストをご確認ください。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年02月15日


挿絵イラスト