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イカ湧く森の隠しバグ

#ゴッドゲームオンライン

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●エリア・森
 スクイード・フォレスト。
 地上生息型イカモンスター『ラングスクイード』の討伐クエスト発生地点として知られるフィールドの1つだ。
 今日も、多数のゲームプレイヤーが、イカ退治のために|集まって《ログインして》くる。
 イケメンに全身鎧に、なんか小獣人。剣に銃、さすまたまで。外見も武器も種々雑多。
 チーム……クランのメンバーとして参加している者達も見受けられる。
 クエスト開始前、プレイヤー達は、穏やかに談笑している。これは、初心者から参加できる難易度のクエストだ。肩ひじを張る必要などない。
 そもそも、討伐数を稼ぐためのクエストであり、プレイヤーが負ける事自体、想定外なのだ。
 そして、クエスト開始のブザーが、プレイヤー達の足を動かす。
 しかし、今日のラングスクイードが一味違う事など……誰一人として知る由もない。

●エリア・グリモアベース
 タビタビ・マタタビ(猫勇者一歩手前・f10770)は、新たな世界『ゴッドゲームオンライン』でのクエスト……依頼を説明し始めた。
「この世界には、『討伐クエスト』っていう『指定された条件のモンスターを規定数倒す』クエストがあるんだけど、出現するモンスターの中に『バグプロトコル』……オブリビオンが混じってる事が予知されたんだ」
 『討伐クエスト』は、GGOの戦闘に慣れることを目的とした初心者から、レアアイテム狙いの廃人まで、幅広いプレイヤーが参加するクエスト。
 このままだと、初心者をはじめとして多数の犠牲者が出てしまい、|遺伝子番号《ジーンアカウント》を奪われてしまうことになる。それはすなわち、社会的な死を意味する。
「ゲームプレイヤーさん達を助けるために、猟兵の皆にも討伐クエストに参加して、バグプロトコルを退治して欲しいんだ!」

 討伐クエストの開始と同時に、討伐対象となるモンスター『ラングスクイード』 がフィールドのあちこちに出現してくる。
 この通常モンスターに混じって、多くのバグプロトコルが存在しているのだ。
 増援も含めれば、それこそ数え切れないほど出現するラングスクイードを殲滅するのが、任務の第一段階となる。
 猟兵ならば、どれがバグプロトコルかは一目でわかる。通常のモンスターは、他に参加しているGGOプレイヤーに任せればいいだろう。あくまで『普通の』討伐として。

 ある程度『ラングスクイード』を一掃出来たら、クエストエリアである森の奥部に隠れ潜む、1体の強力なバグプロトコルと|接触《エンカウント》する。
 いわゆる『隠しモンスター』扱いの敵、『バグ・ノーブル』こそが、今回のバグプロトコル大量発生の元凶だ。
「つまり、光と闇が合わさって強そうに見える感じのこいつを倒しちゃえば、バグプロトコルの無限湧きを止める事が出来るってことだよ!」
 あとは、ボーナスモンスターとして出現するバグプロトコル『パルニー』を、クエストの制限時間終了までに撃破するだけだ。

「隠しモンスターを倒すと、なんか称号が貰えるみたい! 一般プレイヤーさん達が安全にクエストをクリアできるように、頑張ってほしいんだ」
 そして、タビタビは、ゲートを開く。ゴッドゲームオンライン……新たな世界への。


七尾マサムネ
 新たな世界はゲームの世界!

●第1章
 大量のバグプロトコル『ラングスクイード』を退治します。
 地上でも活動できるタイプのイカで、連携を地味に得意とします。
 周りには、バグじゃない普通のモンスターもいます。そちらは普通のGGOプレイヤーさん達でも倒せるので放っておいても大丈夫です。

●第2章
 森の深部に隠れ潜み、バグプロトコルを大量発生させていたボス級『バグ・ノーブル』と戦います。
 これを倒すと『隠しモンスター撃破』の称号が手に入ります(※フレーバー扱いです)。

●第3章
 無限湧きを停止させた後、クエストのボーナスタイムに出現するバグプロトコル『パルニー』をかたっぱしから討伐します。

 それでは、皆さんのご参加、お待ちしております!
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第1章 集団戦 『ラングスクイード』

POW   :    スクイッド・スロー
掴んだ対象を【烏賊】属性の【触腕】で投げ飛ばす。敵の攻撃時等、いかなる状態でも掴めば発動可能。
SPD   :    スクイード・スピン
自分の体を【墨を吐きながら高速回転】させる攻撃で、近接範囲内の全員にダメージと【盲目】の状態異常を与える。
WIZ   :    スパイニー・テンタクル
対象の【胴体】を【棘の生えた触腕】で締め上げる。解除されるまで互いに行動不能&対象に【貫通】属性の継続ダメージ。

イラスト:滄。

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

御園・桜花
「食材討伐…|殺《や》る気と食い気が漲る依頼ですね、ふふふ」
桜鋼扇ブンブン振り回しウォーミングアップ

「イカ焼き!ゲソ焼き!イカソーメン!イカ飯!パエリア!煮物にサラダにガーリック炒め!雲丹焼きバタ焼きイカ団子!パスタに沖漬けゲソ天麩羅!其れから其れから…」
先頭で突貫しUC「食欲の権化」
敵の攻撃を第六感や見切りで躱しながら桜鋼扇で敵の触腕や本体バシバシ叩き食材化

「美味しくなぁれ、美味しくなぁれ!勿論全力で美味しく頂きますとも!」
生身で行ってるのでケータリングカーも勿論持込み
敵を殲滅したら即食材集め車内に持込み手早くイカ団子
揚げたて3個ずつ串に刺しマヨネーズつけどんどん配る
手が回らない分は冷蔵する



 クエスト開始の合図とともに、一般ゲームプレイヤー達に混じって、御園・桜花(桜の精のパーラーメイド・f23155)も駆けだしていた。
「食材討伐……|殺《や》る気と食い気が漲る依頼ですね、ふふふ」
 ブンブン。桜鋼扇を振り回すのも、殺気の現れ……もとい、ウォーミングアップの一環だ。
 飽くなき食への欲求は、駆け出し冒険者はもちろん、廃人級のプレイヤー達をも追い抜く速さを、桜花に与えた。
「なっ、なんだあいつは!」
「速すぎる! チートか?!」
 あっけにとられるプレイヤー達をよそに、桜花は、|湧出《ポップアップ》してくるモンスター達にまっしぐら。
 ぎょろぎょろり。
 複眼を不気味に蠢かせ、桜花を視界に収めるラングスクイード。その多くが、バグプロトコルだ。
 だとしても、桜花の食い意地の荒ぶりは、一切とどまるところを知らぬ。
「イカ焼き!」
 ぱぁん!
「ゲソ焼き!」
 ぱぁん!!
「イカソーメン! イカ飯!」
 ぱんぱぁん!!
 桜花のユーベルコードと食欲の籠った扇が振るわれるたび、イカ型モンスターが、美味しい食材の姿へと変化する。
 しかも相手は、頼まなくても湧いてくる。好都合。
「パエリア! 煮物にサラダにガーリック炒め! 雲丹焼きバタ焼きイカ団子! パスタに沖漬けゲソ天麩羅! 其れから其れから……」
「鬼神だ……」
 周囲のゲームプレイヤーが桜花の熱意に引く中、次々とラングスクイードが食材化されていく。
 無論、ラングスクイードとて、食べられる前提で襲ってきてはいない。目を怪しく光らせると、複数で連帯。桜花を囲み始めた。
 おぞましさすら漂う触腕が、桜花を絡め取ろうとする。だが、桜花には、食材の活きが良いとしか映らない。
 第六感や見切りを駆使して躱しながら、絶好調で桜鋼扇を食材候補に叩きつけていく。
「美味しくなぁれ、美味しくなぁれ! 勿論全力で美味しく頂きますとも!」
 敵を殲滅したそばから即食材回収。素早くケータリングカーに持込み、手早くイカ団子に仕立て上げる。
「はい召し上がれ! 消費したカロリーを補って、どんどんイカ漁しましょう!」
 揚げたてのイカ団子串を、どんどん配る桜花。添えられたマヨネーズの香りが、食欲を誘う。
 次第にキッチンカーの前には、プレイヤーの列ができた。のちにこの件は、都市伝説的に広まったとか広まらなかったとか。
 ちなみに、手が回らない分のイカは、速やかに冷蔵された。

大成功 🔵​🔵​🔵​

コウタ・ニイロ
カルミア(f41695)と
GGOにログインしたてで迷ってた所を拾って知り合った
いきなりパーティ組まされたが、流れでついてきてる

あのイカはあくまでモンスター風にデザインされてるんだが
ほんとのイカは目は二つだぜ
地上を歩いたりもしねーよ、海の生き物だぜ
……なんかこいつ世間知らずだな
クエストに支障はないからいいが
楽しそうだし

カルミアが敵を抑えてる間に俺はどんどん攻撃しよう
猟兵になって使えるようになった蟲……黒燐蟲だっけか
こいつで敵を爆撃していくぜ
敵が纏まっている地点や狭い地形を優先的に攻撃、継続ダメージを狙っていく

カルミアのスキルも俺のスキルもGGOには未実装のやつ
猟兵の力って訳だな
悪くない、楽しいな


カルミア・ローレンス
コウタさん(f41814)と
知り合ったばかりだけど友達だと思ってる

ウワーッ!イカってアタシ初めて見た!
え、イカってあんな不気味じゃないの?
地上を歩かないの?
コウタさん物知りー
ゲームの世界でも色んなことを知れて楽しいな

悪イカ退治も頑張らないとね
アタシは出来るだけ多くのイカを止めれるように頑張ろう
という訳でサイコキネシス!
サイキックエナジーの見えない手を作り出し、それをイカにけしかけていくよ
触腕をむぎゅっと掴んじゃう!
エナジーなら相手に掴まれようと、投げ飛ばされないよね?
もし万が一投げ飛ばせる凄イカがいても、合わせてエナジー解除すればいいし

さあイカさんは抑えた!
コウタさん、どがーんと決めちゃって!



 討伐クエスト、スタート!
 カルミア・ローレンス(空を見上げて・f41695)と、コウタ・ニイロ(足元の蔓・f41814)が、スクイード・フォレストを駆ける。
 カルミアとコウタが知り合ったきっかけは、GGOにログインしたてで迷っていたカルミアをコウタが拾った件だ。
 いきなりパーティを組まされたコウタだが、流れで今もこうしてついてきている。
 カルミアの方も、コウタと知り合って時間はさほど経っていないが、しっかり友達だと思っている。
 そんな凸凹?コンビの前にも、敵は立ちはだかった。
「ウワーッ!!」
 木の陰からコンニチハ。カルミア達の行く手に、ラングスクイードが出現した。
 かと思えば、地面からにょっきり生えるような出方をするヤツもいる。こいつは十中八九バグ。
「イカってアタシ初めて見た! 目がたくさんあって便利そう!」
「そこかよ」
 突然の不気味な襲撃者にも、むしろ感激するようなカルミアに、コウタは若干呆れつつも、庇うように前に進み出た。
「あのイカはあくまでモンスター風にデザインされてるんだが、ほんとのイカは目は二つだぜ」
 戦闘態勢を取りながら、カルミアに説明するコウタ。
「え、イカってあんな不気味じゃないの? 地上を歩かないの?」
「しねーよ、海の生き物だぜ」
「コウタさん物知りー」
 きらきらとしたまなざしで、コウタに尊敬の念を向けるカルミア。
「ゲームの世界でも色んなことを知れて楽しいな」
(「……なんかこいつ世間知らずだな」)
 カルミアのリアクションに、調子を狂わされるような感覚を得ながらも、コウタは無意識に笑みを浮かべている。
「ま、クエストに支障はないからいいが。楽しそうだし」
 おっといけない。感激しているばかりでなく、悪イカ退治も頑張らないと。
 カルミアは、クエスト攻略に集中する。相手はバグプロトコル……要するにオブリビオン。
 ゲーム世界には不慣れでも、猟兵としての本能が、戦いへと導いてくれる。
 にょろにょろと、触腕を蠢かせるラングスクイード。あれに捕まれば厄介そうなことは、カルミアにもわかる。
 よく見れば、触腕には、何やら怪しい色のトゲトゲも付いている。触れられたくはない。
 カルミアは、コウタのためにも、出来るだけ多くの敵の動きを押さえられるよう、奮起した。
「という訳でサイコキネシス!」
「!?」
 むぎゅっ。突然、イカボディが何かにつかみ上げられた。
 しかし、目の全てを動員しても、そこには何もない。サイキックエナジーによる見えざる手がそこにあるなど、わからないのだ。
 ラングスクイード的には、反撃のチャンスなのだが、相手はサイキック『エナジー』。投げ飛ばすことは難しい。
 何より、見えていないので、自分の身に起こった現象が理解できず、混乱するばかり。
 だが、普通と違うからバグなのだ。
 もがくバグの一体が、ふんぬっ、と不可視の腕を握り返すと、ぶうん、と念動の手を投げ飛ばしてみせたではないか。
「えっ、凄イカ!」
 もっとも、はたからは、ひとり相撲しているようにしか見えない。
 だが、ラングスクイードは、ずざざーっ、とその場に横転した。カルミアがタイミングを合わせて、エナジーを解除したのだ。そして改めて捕縛。
「さあイカさんは抑えた! コウタさん、どがーんと決めちゃって!」
 カルミアが作ってくれたチャンスに、コウタは攻撃にうってでた。
 他の冒険者の使う、剣や弓矢や魔法とは一線を画した技で。
「猟兵になって使えるようになった蟲……黒燐蟲だっけか」
 黒の蟲の塊が、森に投下される。狙いは、カルミアが抑えた敵の密集地帯。
 |炸裂《どがーん》!
 蟲の爆撃を受けたラングスクイード達は、肉片となって散っていく。しかし、なんかモザイクがかかっている。優しい。
 コウタの攻勢を受けたラングスクイード達は、複数の目を点滅させ、四方に散った。
「こいつら、なんか知恵があるみたいだな」
 まとまっていれば一網打尽にされてしまう……と、即座にコウタの戦法を読み取ったのであろう。生存本能の為せる業かもしれないが。
 しかし、他の個体と連携されるとなると、少々厄介かもしれない。
 コウタは、逃げたラングスクイードの一団を追撃した。その行く先は……袋小路。
 狭い地形に逃げ込んでしまったのが、運の尽き。そこに黒燐蟲を投じてやる。
 この爆撃は、それが着弾した後も、新たな黒燐蟲を生み出し、ラングスクイードの肉体を蝕み続けるのだ。
 コウタは、戦果に満足しながら、カルミアを振り返る。
 そこには、やりましたね! と得意げな笑顔が。
 今発動させた、カルミアのスキルもコウタのスキルも、GGOには未実装。
「これが猟兵の力って訳だな。悪くない、楽しいな」
 次々ドロップするアイテムを回収しながら、コウタは、イカ退治を満喫するのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

真宮・響
ふむ、ゲームの中の世界。色々物騒な噂も聞くが、生身でゲームの世界に入れるのも不思議な感覚だね。でも純粋にゲーム楽しんでいる人達がいる世界で、社会的な死は放って置けないね。一肌脱ぐか。

アタシもそうだったが、どの戦士にも初心者の時代がある。無事に乗り越えてこそ熟練になるからね。連携得意とするイカか。厄介だね。【残像】【見切り】【心眼】でなるべく掴まれないよう回避したいが、掴まれて投げ飛ばされたら、スーパー・ジャスティス発動!!湧き上がる黄金の闘志と共に空中で一回転、そのまま【気合い】【怪力】を込めてイカを【串刺し】していくよ。

楽しげな冒険の世界に潜む闇。まずは犠牲者を減らそうかね。



 ゲームプレイヤー達に混じって、真宮・響(赫灼の炎・f00434)も、討伐者の一員に加わっていた。
「ふむ、これがゲームの中の世界。色々物騒な噂も聞くが、生身でゲームの世界に入れるのも不思議な感覚だね」
 実際、普段と変わりなく挙動出来ている。これも、猟兵の力の為せる業であろうか?
「でも純粋にゲーム楽しんでいる人達がいる世界で、社会的な死となれば放って置けないね。一肌脱ぐとしようか」
 さっそく響も、バトルフィールドである森に飛び込んだ。
 周囲では、既にモンスターとプレイヤーが交戦中。
 響の近くでは、動きのぎこちないビギナー達が、1、2体の敵に苦戦していた。
 敵がバグプロトコルならば加勢する事も選択肢の内だったが、幸い、通常モンスターだったので、響は、あえて助力を控えた。
「アタシもそうだったが、どの戦士にも初心者の時代がある。無事に乗り越えてこそ熟練になるからね」
 頑張れと心の中で応援する響の前にも、ラングスクイード達が出現する。こちらは間違いなくバグプロトコル。
 不気味極まりない多数の目をぎょろつかせて、響へと触腕を蠢かせる。
 しかも、アイコンタクトを使って、歩調を合わせるような様子さえ見せる。
「連携を得意とするイカか。厄介だね」
 響が地を蹴るのと、触腕が伸びてくるのは、ほぼ同時だった。
 敵は、ゲーム内モンスターという形を取っているが、れっきとしたオブリビオン。
 しかし、対する響も、歴戦の猟兵だ。
 その身のこなしは、ベテランゲームプレイヤーに匹敵……あるいは凌駕する。
 敵に、自分の残像をつかませながら、前進する響。しかし、相手もさるもの。自慢の触腕を、複数の個体で一斉に繰り出し、逃げ道を封じてきた。
 やがて、その一本が、響の足をつかんだ。
 想像以上の剛力で、響の体を上方へと投げ飛ばす。だが!
「スーパー・ジャスティス!!」
 響の発した黄金の輝きが、ラングスクイード達の目を焼いた。
 湧き上がる黄金の闘志と共に、空中で一回転。地上へと加速した響は、気合いと怪力を込め、ブレイズランスでラングスクイードを串刺しにした。
「楽しげな冒険の世界に潜む闇……まずは犠牲者を減らそうかね」
 敵を仕留め、華麗に着地する響に、拍手が浴びせられる。
 その勇姿を、初心者プレイヤーが目撃していたのだ。
「見とれてないで、アンタらも頑張んな」
 未来の|勇者候補《ハイランカー》達へと、声援を飛ばす響だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アイ・ノルマレイス
うむむー、本職の仕事の方は誰も利用してくれないし、
このままでは飢え死にするですー。生きる為にもご飯を狩るですー

イカさんがたくさん…って早速触腕来たですー!このままだと捕まって投げ飛ばされるですー!
だったらこうしてやるですよー!両手を封印解除して【奈落の怪物】を発動、触腕を逆に包み込むように『黒蝕の欠落』へと変異した両手で食べちゃうですー!
一部でも食べることに成功したら片方の『黒蝕の欠落』を棘の生えた触腕へと変異させて、相手のUC【スパイニー・テンタクル】を使用、
胴体を締め上げて弱らせてから、もう片方の『黒蝕の欠落』化した腕で……今度は全部を捕食しちゃうのですー!

※アドリブ他歓迎ですー


レジーナ・ビエルニィ
…ん。分かった
(勝利条件はバグプロトコルというのの全撃破、敗北条件は私のダウン…違うか。あの言い方だと他のプレイヤーがやられてもダメ、と)
まあいつも通りにすればいっか……イカだけに

少し開けた場所に陣取る。それで敵をこの『しろくまくん2号』で……
けど、少しでも有利に運ぶには……うん。味方全体に支援を掛ける方がいいかも
そういう訳で、【氷雪地獄】。イカはまとめて凍えさせて、味方には雪だるまアーマーをつける…うん。白と黒だし、見やすくなって丁度いい
後は集団から離れてフリーになってる相手から撃つ。近寄られたら『ゆきだまグレネード』を投げ、ライフルで攻撃しながら後退。後は繰り返し

※アドリブ他歓迎です



 スクイード・フォレスト。
 GGOの世界に|転移《ログイン》したレジーナ・ビエルニィ(雪女のバトロワシューター・f37984)は、討伐クエストの『ルール』を把握した。
「……ん。分かった」
 今回の勝利条件は、バグプロトコルの全撃破。敗北条件はレジーナのダウン……。
(「違うか」)
 後は、バグプロトコルに一般ゲームプレイヤーがやられてもアウトだろう。社会的に死ぬ。
「まあいつも通りにすればいっか……イカだけに」
 他のプレイヤーがレジーナの呟きを拾って二度見してきたような気がするけれどそこはスルー。
 一方、同じく討伐クエストに参加するアイ・ノルマレイス(知らない記憶、胸に空いた奈落・f41788)は悩んでいた。
 というか困窮していた。
「うむむー、本職の仕事の方は誰も利用してくれないし、このままでは飢え死にするですー」
 窮状を打破するため、アイが白羽の矢を立てたのがこの討伐クエスト。イカとトリリオンの一挙両得狙い。
「生きる為にもご飯を狩るですー」
 クエスト・スタート!
 フィールドに足を踏み入れた途端。アイの視界に、森を構成する木々と、それに匹敵する数の『ラングスクイード』が飛び込んできた。
 レジーナは、敵が本格的に増殖するより先に、手早く移動した。森の中でも、少し開けた場所に陣取る。
 作戦は、『しろくまくん2号』で、出現するラングスクイードを迎撃する、というシンプルなもの。
 それだけでなく、レジーナには、より戦闘を有利に進めるための策もある。
 そこに、ぬるっ、と出現するラングスクイード。1体出たら10体は出ると思え。
 そんなわけで、イカが連鎖する。ぬるぬると現れる敵群を確認したレジーナは、視界の端に味方の姿を捉えつつ、【氷雪地獄】を発動した。
 ひゅごう、と氷雪の風が吹く。
 猛烈な吹雪をまともに浴びた敵は、まとめて凍えて、冷凍イカに変えられていく。その影響は、近くにいたアイや、ゲームプレイヤーにも及ぶ。
 が、氷雪は雪だるまアーマーになって、アイにバフ効果をもたらした。ありがたい。
 味方のステータスを底上げすることで敵に対抗する、レジーナの作戦である。
「……うん。白と黒だし、これで見やすくなって丁度いい」
 黒の敵は、動きも遅延し、連携もままならない。
 レジーナは、そこをロックオン。
 集団から離れた、フリー状態の個体から優先して狙撃していく。自身も雪だるまアーマーで強化されている。ライフルの弾丸の威力も上昇し、敵の防御を貫く。
 ゾンビのように低い移動力のイカ達は、レジーナにとってかっこうの的だった。
 次々と撃ち抜かれ、アイテムをばらまき消滅していくラングスクイード達。
 とはいえ、敵は増える。
 接近してきたラングスクイードが、触腕を伸ばしてくる。狙いはレジーナの胴体。棘の生えた触腕は、色も形状もおぞましい。
 餌食になってはたまらない。レジーナは、『ゆきだまグレネード』を投じた。
 炸裂。
 新たに生じた冷気がイカを包み、全身が氷結。そこに、後退しながらライフルを撃ち込み、粉砕する。
 リズムよく討伐数を稼いでいくレジーナ。その視界を、白……雪だるまアーマー姿のアイと、黒……ラングスクイードが駆け抜ける。
「イカさんがたくさん……って」
 ぎゅうん!
「早速触腕来たですー! このままだと捕まって投げ飛ばされるですー!」
 しかも触腕の先には、ちょっとえげつない色をした棘。これをとっかかりにして無茶な態勢からでも対象を投げ飛ばすという荒業の使い手だ。
「だったらこうしてやるですよー!」
 アイが、両手を広げた。封印解除。
 突き出されてきた触腕を、反対に、包み込むように迎え入れた。するとどうしたことか。
 『黒蝕の欠落』へと変異した両手は、バグプロトコルの触腕を捕食してしまったではないか。
「!?!?」
 本能的に危険を察知したラングスクイードは、とっさに触腕を引っ込めるが、その時には半ばまで喰われた後だ。
 これはいかん。イカだけに。
 ちかちか、と目を点滅させて、周囲のモンスター達に、危険を伝える。
 しかし、ラングスクイード達に恐怖が伝播する間にも、アイの変異は続いていた。
 片方の『黒蝕の欠落』が、棘の生えた触腕へと変じる。そのまま、ラングスクイードの胴体に接触、体を締め上げた。
 スパイニーテンタクル……自らのユーベルコードを身を以て味わい、混乱するラングスクイード。
 双方動きは取れないが、ラングスクイードの方は、棘による継続ダメージ。しかも吹雪のデバフ付き。
 敵の抵抗が弱まったとみるや、アイは、もう片方の『黒蝕の欠落』化した腕で、残りの部位も一気に捕食した。
 けぷっ。と腕が音を立てる。
 見れば、周囲のラングスクイード達が引いている。こわっ……という感じで。
 しかしそんな事情には構わず、バグプロトコルは湧き続ける。
 哀れな『食材』達は、アイによって次々と美味しくいただかれていくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『バグ・ノーブル』

POW   :    ノーブル・レイピア
【細剣型トリリオンソード】に【貴族の資金力】を注ぎ込み変形させる。変形後の[細剣型トリリオンソード]による攻撃は、【服従】の状態異常を追加で与える。
SPD   :    ノーブル・ドミナント
【貴族社会】に密着した「己が武器とみなしたもの」全てを【口頭の命令】で操作し、同時一斉攻撃及び防御に利用できる。
WIZ   :    貴族私兵団
【配下の傭兵団の中】から1体の強力な【バグプロトコル化した伝説的な傭兵NPC】を召喚する。[バグプロトコル化した伝説的な傭兵NPC]はレベル秒間戦場に留まり、【設定された武器とスキル】で攻撃し続ける。

イラスト:落葉

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 猟兵達によって、バグプロトコル達は大いに狩られ、出現の波もひと段落したようだ。
 一般プレイヤー達も、無事生き残っている。獲得したレアアイテムを確認しつつ、回復アイテムでコンディション整え中。
 このクールタイムがチャンス。猟兵達は、森の深部、グリモア猟兵の予知にあった隠しエリアへと急ぐ。
 一見、行き止まりに見えた木々……幻影だ……を、するりと透過した向こう。
 前情報なしでは辿り着けないようなポイントに、『それ』はいた。
「この俺を見つけるとはな」
 白と黒、二色の装備に身を包んだ青年。『バグノーブル』。
 一見、ゲームプレイヤー側とも見まごうような……先ほどまでの敵がイカにもモンスターらしい外見だった反動もあるだろう……その優美な姿。
 しかし、間違いなく、バグプロトコルだ。
「この世界は|俺《バグプロトコル》が破壊する」
 透き通った美声で、宣言するバグノーブル。その足元の地面に、ノイズが走る。またモンスターが湧き出そうとしているのだ。
 そうはさせない。ならば、戦闘だ。
カルミア・ローレンス
コウタさん(f41814)と

この人がバグの親玉?
悪いことしてるならやっつけないとね!
頑張ろうねコウタさん!

それで、この人は貴族?で貴族っぽいものを操ると
だったら貴族っぽくないものを取りだそう
出でよ、レプリカクラフト!
仕掛け罠をいっぱい作ってどんどん設置していくよ

トラバサミとか足引っ掻ける縄とかそんなのをどんどん作って
時には分かりやすい位置にも置いちゃう
見えてる以上近付くのは躊躇するよね?
相手の動きを少しでも制限したい
それにこういう罠って貴族っぽくはないと思う!
アタシは庶民派だから!
え、そういう問題じゃない?

と、とにかく相手が困ればそれでいいの
またしてもドカーンと決めるのはコウタさん!
がんばれ!


コウタ・ニイロ
カルミア(f41695)と

隠しボスか
倒せば称号が貰える……悪くない
そうじゃなくても倒さないとバグ増殖を続けられちまうからな
ああ、頑張ろう

カルミアが罠を作って相手を追い込むなら、俺は積極的に攻め込む
「現実世界では出来ない大暴れができる」
その欲望を開放していけばグリード・サインも輝くだろう
どんどんパワーアップしつつ徒手空拳で攻撃していく

カルミアの罠も使わせてもらう
見えにくい罠の位置に相手を追い込んだり
見えてる罠を避けさせて体勢を崩させたり
ここぞというタイミングでUCを使いマキシマムカウンターを決めてやる

……罠に庶民派とか貴族とかあるか?
そういう問題じゃねー気がするけど
……勝てるならなんでもいいか!



 森の深部にて。
 カルミア・ローレンス(空を見上げて・f41695)達は、白と黒の衣に身を包んだ青年と対峙した。
「この人がバグの親玉? 悪いことしてるならやっつけないとね! 頑張ろうねコウタさん!」
「ああ、頑張ろう」
 コウタ・ニイロ(足元の蔓・f41814)が、不敵な笑みを浮かべた。
 こいつはただのモンスターではない。GGOプレイヤーとしての性が疼く。
「隠しボスか。倒せば称号が貰える……悪くない」
 もちろんゲームプレイヤーとしてのみならず、猟兵としても、この討伐は達成しないとならない案件。
「倒さないとバグ増殖を続けられちまうからな」
 コウタ達や他の猟兵の奮戦により、ラングスクイードの出現は、沈静化状態にある。だが、いつまた再・増殖が始まってもおかしくはないのだ。
「それで、この人は貴族?で貴族っぽいものを操ると」
 だったら貴族っぽくないものを取りだそう、と、カルミアはユーベルコードを発動した。
 カルミアの作戦を聞いたコウタは、仕込みを行う時間を稼ぐため、バグ・ノーブルに攻めかかった。
「今のうちに! 出でよ、レプリカクラフト!」
 カルミアのコードに導かれ|創造《クリエイト》されたのは、仕掛け罠。それも、至極精巧なもの。
 コウタがバグ・ノーブルの注意を引いてくれている間に、カルミアは仕掛け罠を次々と作り、どんどんと設置していく。
 バグ・ノーブルと拳を交えるコウタ。その勢いは、次第に増していく。
 『現実世界では出来ない大暴れができる』……その欲望を開放することで、コウタの背後に浮かぶグリード・サインは、より強く、確かな光を放つ。
 時間経過とともに輝きを増すコウタに対し、バグ・ノーブルは、反撃の糸口を見いだせずにいた。
 掌握すべき貴族的なものが存在しないからだ。
 何せ、コウタは、徒手空拳。せめて剣でも持っていれば話は違ったかもしれないが。
「もっと高貴なものを身に着けたらどうだ」
「余計なお世話だ」
 バグ・ノーブルは、コウタに貴族的要素を見出すのを諦めた。
 代わりに、自分の持っていたソードを放り投げると、それを不可視の力で操ることを選んだ。
「奴を狩れ」
 バグ・ノーブルの命令に従い、飛空する剣。
 正直、自分で振るった方が強いし脅威なんじゃないかと、コウタは思ったが、わざわざ助言してやるほどお人好しではない。
「やるな」
 あえてコウタは、追い込まれている演技をしながら、剣を回避していく。
 バックステップで後退するコウタを追って、バグ・ノーブルも前進する。
 操剣に口頭での指示が必要な以上、こちらとあまり距離を取ることはしないはず。
 そうしてバグ・ノーブルを誘導した先は、カルミアの罠の上。
 地面すれすれに張られた縄が、バグ・ノーブルの足を取った。
 だが、バグ・ノーブルには物品を使役する技がある。縄を操ろうと、すっ、と細腕を上げ……。
「そのようなモノ、俺の手足とするには相応しくない」
 降ろした。仕掛け罠など、貴族の高貴さには反すると判断したのか。
 確かに、貴族が狩りをするにしても、用いるのは弓矢か、せいぜいハンティングソードくらいだろう。
 と、いうより、単にバグ・ノーブルの美的センスには合わなかったという事かもしれない。
 いずれにせよ、敵の支配の魔手は及ばずに済んだ。カルミアの思惑通りになったわけだ。
「…………」
 バグ・ノーブルがとりわけ険しい顔をしたのは、トラバサミだ。
 ちょこん、と草の上に置いてあるカルミア謹製の罠は、「さあ! おいで!」と手招きしている。
「行くものか」
 だが、その反対側に本命の仕掛けがあるかもしれないし、そもそも、罠が見えている以上、それを考慮して立ち回らなければならない。
 精神的な圧という意味で、見せ罠は十分に機能しているといえた。
「予想的中! こういう罠って貴族っぽくはないと思ったんだ! アタシは庶民派だから!」
 えへん、と胸を張るカルミアに、ぽそり、とコウタがツッコミを入れた。
「……罠に庶民派とか貴族とかあるか? そういう問題じゃねー気がするけど」
「と、とにかく相手が困ればそれでいいの」
 そうこうしている間にも、次々とカルミアの罠が発動。トラバサミに捕まり、紐を引いて籠に捕らえられ、陥没する地面に飲み込まれた。
 カルミアのトラップとバグ・ノーブルの貴族のプライドが、火花を散らす。……前者の一方的な蹂躙のような気もするが。
「またしてもドカーンと決めるのはコウタさん! がんばれ!」
 カルミアの声援と推薦を受けて、コウタは、一気に勝負を決めにかかった。
「……ま、勝てるならなんでもいいか!」
 気を取り直し、飛んできた剣をかわすと、コウタは一気にバグ・ノーブルに踏み込んだ、
 唸る拳に、光輝が宿る。
 マキシマム・カウンター!
 スキル【カウンター】とスキル【捨て身の一撃】。
 その二つを合一させたコウタのオリジナル・スキルが、バグ・ノーブルの防御力を凌駕したのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

御園・桜花
「まあ。猟書家でなくても、世界自体を敵とするのですね」
「世界の敵になって。望みは此の世界を滅ぼす事でしょうか。其れとも此の世界を自らの思う儘にするのをお望みでしょうか」
「確かに何方であっても共存出来ぬ願いです。必ず何方かは散る
|運命《さだめ》でしょう。其れでも、貴方が只の定められたプログラムから逸脱した自由意志を持つなら、私は貴方を、貴方達を理解したいです。何時か貴方達にも、転生が訪れるかもしれませんから」
UC「侵食・幻朧桜」
自分は制圧射撃で敵の行動阻害
その間に転生可能の概念侵食を両者に叩き込む
敵の攻撃は第六感や見切りで躱す

「プログラムだからではなく、また見える何時かをお待ちします」
鎮魂歌歌う



 御園・桜花(桜の精のパーラーメイド・f23155)は、エンカウントした敵……隠しボスであるバグ・ノーブルの存在に興味を抱いていた。
「まあ。猟書家でなくても、世界自体を敵とするのですね」
「それがこの世界でのオブリビオンの在り様だ」
 素っ気なく答えるバグ・ノーブル。
「世界の敵になって。望みは此の世界を滅ぼす事でしょうか。其れとも此の世界を自らの思う儘にするのをお望みでしょうか」
 桜花の問いに、バグ・ノーブルは、冷徹なまなざしで応える。
「俺にとっては破壊こそが目的。存在意義だ。ゆえに、猟兵と相容れる可能性はない」
「確かに何方であっても共存出来ぬ願いです。必ず何方かは散る|運命《さだめ》でしょう」
 其れでも、と、桜花は思いを紡ぐ。
「もし貴方が只の定められたプログラムから逸脱した自由意志を持つなら、私は貴方を、貴方達を理解したいです。何時か貴方達にも、転生が訪れるかもしれませんから。影朧のように」
「理解だと? 俺はバグプロトコル。それ以上でもそれ以下でもない」
 頑として、桜花の意志を跳ねのけるバグ・ノーブル。
 だとしても、バグプロトコルが影朧と同じオブリビオンであるのなら、いずれは輪廻の道をくぐり、新たな存在として生まれ変わる事もある、のかもしれない。
「侵食・幻朧桜」
 森が、書き換えられる。桜花の呼び出した桜の木々によって。
「これはなんだ……だが、俺の目的は変わらない」
 バグ・ノーブルが構えた剣が、高貴な光輝を放つ。
 顕現したのは、鳥人の騎士。バグプロトコル化した伝説の傭兵NPCを呼び出したのだ。
 大斧で舞い散る桜を斬り裂き、鳥人騎士が、バグ・ノーブルとともに進撃する。
 しかしその足を、桜花の制圧射撃が止めた。そこに、叩き込まれる概念侵食。
 バグ・ノーブル達の視覚に焼き付けられる、幻朧桜。
 オブリビオンであるならば、影朧の如く転生可能であるという概念が、バグ・ノーブル達を侵食する。
「く、バグプロトコル以外の俺が存在する世界線があるというのか……?」
 混乱するバグ・ノーブル。
 鳥人の騎士は、概念攻撃の負荷に耐えきれず、一足先に消失している。
「プログラムだからではなく、また見える何時かをお待ちします」
 いつしか戦いの音に、桜花の鎮魂歌が重なる。
 バグプロトコルもまた、転生するときが来ると信じ、祈って。

成功 🔵​🔵​🔴​

真宮・響
外見だけでは本質は分からないものだ。たとえ立派な身なりしていても結局は自分勝手な蹂躙者にして破壊者。これがバクプロトコプルってやつか。ここはアンタ個人の理由で破壊していい世界じゃない。ぶち倒してやるか。

無数の武器の展開が厄介だね。一般プレイヤーに当たるといけないので真紅の騎士団を発動。半分を攻撃に半分を一般プレイヤーの護衛に回す。

【オーラ防御】【残像】【見切り】【心眼】を駆使して武器を回避しながら真紅の騎士団と駆ける。回避し切れなかったら【衝撃波】で武器を吹き飛ばす。

本体に接近できたら、容赦無くブレイズランスを【怪力】【気合い】を入れて【串刺し】してやるよ。手を抜くつもりはない!!



 真宮・響(赫灼の炎・f00434)は、猟兵達の攻撃を切り抜け、なおも戦闘を継続するバグ・ノ-ブルと邂逅を遂げた。
 一見、ゲームプレイヤーやNPCと変わりない、風格在る戦士めいた装備。しかし、その正体はバグプロトコル……オブリビオンなのだ。
「外見だけでは本質は分からないものだ。たとえ立派な身なりしていても結局は自分勝手な蹂躙者にして破壊者」
「貴様らプレイヤーが『レベル上げ』にまい進し、『レアアイテムの収集』に没頭する。その対象が『世界の破壊』に置き換わっただけにすぎん」
 響の指摘を一蹴するバグ・ノーブル。
「あいにくとここはアンタ個人の理由で破壊していい世界じゃない。ぶち倒してやるから覚悟しな」
 響への返答は、もはや行われなかった。
 いや、正確には形を変えて行われた。ユーベルコード、という。
「森よ、貴族の領地に土足で立ち入る者を排除しろ」
 バグ・ノーブルの命令に応え、動き出したのは、響の周りの木々だった。
「森や林とは貴族にとっては狩場。糧を得る為でなく、たしなみとしてのこの場所は、貴族と切っても切れない、というわけだ」
「ずいぶんとこじつけたもんじゃないか」
 しかし、事実、バグ・ノーブルの能力は発動し、木剣や木槍と化した木々が、響へと襲い掛かった。
 森を味方……しもべとした敵に対し、響は、多勢に無勢……いや。
「厄介なのはお見通しさ」
 数には数。
 響は、真紅の騎士団を召喚した。
 槍や剣を手にした勇猛果敢な一団が、飛来する森の武器群に立ち向かう。
 万が一にも、流れ弾が一般プレイヤーに当たってはいけない。響は、騎士団の人員を、戦場を遮る壁として配置。残る面々を率いて、バグ・ノーブルへと攻め込んだ。
 バグ・ノーブルの指示に従い、自在に飛んでくる木々の軌道を心眼にて見切り、かわし、オーラで防ぎ、進軍する響達。
 露払いは、騎士団が担った。無数の『武器』を打ち払い、響に道を付ける。
「見えた」
 視界をふさいでいた木々が晴れ、白と黒の姿が明らかとなる。
 その時既に、響はブレイズランスを構えていた。とっさに木々をより集め、盾とするバグ・ノーブル。
 ここまで来たら、響も、小細工無用。
「手を抜くつもりは、ない!」
 容赦無く全力で突き出されたランスが、バグ・ノーブルを串刺しにした。
 盾とした木々さえ、悠々と突き抜けて。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アイ・ノルマレイス
むむー、世界を壊されたらボクもお仕事ができなくて困るですー
遠慮なくやっつけるですー

袖の中の腕を『黒蝕の欠落』に変え、同時に背後に『聖冥の福音』が出て光を浴びせるですー

ボクの「これ」を「貴族社会と関係がある」って主張されるのもなんかアレですし、向こうが操れる武器はあまりなさそうだけど、動かれても厄介だから早速成長の成果を見せるですー

【Mスキル:テンタクルバインド】ですー!『黒蝕の欠落』を触腕化、とりあえずどっか適当なとこに巻き付かせて締め上げるですよー、喋れないように先っちょで口も塞ぐです―

そういえば、姿は|冒険者《プレイヤー》さんに似てても悪いバグなら

……食べちゃっても問題ないですよねー?



 GGO世界を破滅に導きたいバグプロトコル。
 スクイード・フォレストの隠しボスとして出現したバグ・ノーブル討伐に、アイ・ノルマレイス(知らない記憶、胸に空いた奈落・f41788)も|参戦《エントリー》した。
「むむー、世界を壊されたらボクもお仕事ができなくて困るですー。遠慮なくやっつけるですー」
 ずるり……。
 アイの袖の中の腕が、|黒蝕の欠落《オプトゥニール》へと変容する。
 それと同時に、背後に『神聖な』紋章……|聖冥の福音《アンスタン》が浮かび上がる。
 異形化に呼応し、深まる黒。その輝きに照らされたバグ・ノーブルが、腕をかざす。
 しかし、支配のユーベルコード【ノーブル・ドミナント】が、その制約の力をアイに及ぼす時は訪れなかった。
「こんなもの、高貴と呼ぶには程遠い……不浄の光だ」
 アイは安堵した。
 『これ』を『貴族社会と関係がある』と主張されるのは、なんかこう腑に落ちないというかアレだったので。
 しかし、バグ・ノーブルとて、武器無しでは戦えぬ。
「ここは森……森は貴族の狩猟場……つまり……武器!」
「連想ゲームにも程があるですー」
 アイのツッコミは無効化された。
 バグ・ノーブルが使役した森の木々が、木の幹を巨大こん棒、あるいは枝を槍や剣に見立てて、アイに襲い掛かってきたのだ。
 これは厄介な気配。アイは、早速|成長《レベルアップ》の成果を見せることにした。
「【Mスキル:テンタクルバインド】ですー!」
 ぞわっ。
 『黒蝕の欠落』が触腕化する。武器として押し寄せてきた木々を跳ねのけ、バグ・ノーブルへと逆襲した。
 防御壁代わりにした木々をものともせず、バグ・ノーブルの体に巻き付くと、ぐい、と締め上げる。
 無慈悲に関節部位を砕き、生命値を侵食していく。
「おのれ、このような無様なモゴッ」
 触腕の先端が、すかさずバグ・ノーブルの口を塞いだ。
「そういえば」
 反撃も反論も叶わず、身もだえするバグ・ノーブルをじいっ、と見つめたアイは、ある発想に至る。
「そういえば、姿は|冒険者《プレイヤー》さんに似てても悪いバグなら……」
「|むぐぐ《何を考えて》……」
「……食べちゃっても問題ないですよねー?」
 アイの言葉の意味するところを、バグ・ノーブルが理解すると同時。
 聖冥の福音がいっそう深き闇を放ち、触腕が妖しく蠢いた。

成功 🔵​🔵​🔴​

レジーナ・ビエルニィ
……ん。あれが相手の大将
こっちは大将を倒せば勝ち、そっちは……世界を壊せば勝ち?
じゃあ勝負と行こう

基本の動きはさっきと一緒。距離を取ってスナイパーライフルでの狙撃。
…大将ってだけはあるみたい、指揮をとらせると厄介そう
こういう時は足止め、よく狙って……【シールショット】
この場合は……(瞬間思考力)多分足、口、目かな。銃弾に冷気を込めて撃つよ

一発撃ったら即移動、『ぺんぺんシューズ』で足元を一時的に凍らせて、
氷の上のようにつーっと滑りながら距離を取る。追いつかれそうなら『ゆきだまグレネード』を投擲してからアサルトライフルでの弾幕を撒きながら後退、距離を取って再度狙撃を狙っていく

※アドリブ連携歓迎です



「く……貴族たる俺がこのような醜態を晒すとは……」
 レジーナ・ビエルニィ(雪女のバトロワシューター・f37984)がエンカウントしたバグ・ノーブルは、猟兵達との交戦で心身ともに損耗した状態であった。
「……ん。あれが相手の大将。こっちは大将を倒せば勝ち、そっちは……世界を壊せば勝ち?」
 互いの勝利条件を確認すると、レジーナは、ちゃきっ、とスナイパーライフルを構えた。
 バグ・ノーブルも、スマートに武器を掲げて、挑戦に応じる。
「最後に立っていた者が勝者。至極シンプルな話だ」
「じゃあ勝負と行こう」
 バトル・スタート。
 敵は、周囲の物品を貴族的なものとみなすことで、武器に変えるユーベルコードの使い手。
 他者を従える、貴族としての権能だ。
「……大将ってだけはあるみたい、指揮をとらせると厄介そう」
 ならば、それを使われる前に、封じてしまうのが最良だ。
 とはいえ、レジーナの|戦法《バトルプラン》は、先ほどのラングスクイード戦のものから変更はない。
 相手から距離を取り、スナイパーライフルでの狙撃。フィールド上の木々を遮蔽に利用して、対象を殲滅する。バトロワシューターとしての戦い方。
 対するバグ・ノーブルも、度重なる戦闘で、対猟兵の経験を積んでいるのか。
 すぐには攻めかからず、好機をうかがっている。高貴なだけに。
 しばし、読み合いの時間が続く。だが、レジーナは、粛々と戦闘を遂行するだけだ。
 元々少ない口数が、ゼロになる。
(「こういう時は足止め、よく狙って……」)
 トリガーを引く。
 【シールショット】。
 瞬間的に、対象の狙撃部位を判断。冷気をこめた弾丸で、バグ・ノーブルを撃ち貫く。
「ッ!!」
 バグ・ノーブルの体が跳ねた。
 一発目は命中。敵が睨んだ先は、無人。レジーナは既に、狙撃ポイントから移動している。それも、『ぺんぺんシューズ』で足元を凍結させ、つーっ、と地面を滑って、優雅に。
「待て……く、足が!」
 銀盤上の雪女・レジーナを追走しようとするも、弾丸に脚部を封じられ、バグ・ノーブルはその場に縫い留められていた。
 そこに続けて、二射目。
「……く……?!」
 今度は、口……発声器官を封じる。口頭での命令を発動条件とする【ノーブルドミナント】にとっては致命的だ。
 そして、仕上げにもう一発。
「……!」
 視覚の喪失と同時。
 バグ・ノーブルの意識、そして存在もまた、消失を遂げたのであった。
 断末魔すら、この世界に残せずに。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 集団戦 『パルニー』

POW   :    とびつく
【とびつき】で近接攻撃する。低威力だが、対象が近接範囲から離脱するまで何度でも連続攻撃できる。
SPD   :    はねる
【飛び跳ねて】からレベル個の【レアアイテム「パルニーヘアバンド」の偽物】を召喚する。[レアアイテム「パルニーヘアバンド」の偽物]は誰かが触れると爆発し、【火傷】の状態異常を与える。
WIZ   :    いたずらパルニー
【バグテクスチャ】を纏ってレベル×5km/hで跳び回り、触れた物品や対象の装備を破壊、あるいは使用不能にする。

イラスト:仮名ゆたか

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


『「バグ・ノーブル」は討伐されました』
 何処からともなく響いた、女声のシステムボイスが、隠しボスの撃破を報せた。
 討伐に参加した猟兵達に、『隠しモンスター撃破:「バグ・ノーブル」』の称号が付与される。
 これで、もうこのエリアにバグプロトコルが無限発生する事はないだろう。
 だが、バグ・ノーブルは、この地に置き土産を残していた。

 元の森エリアに復帰した猟兵達が目撃したのは、ラングスクイードとは違うモンスターと、それを追いかけるゲームプレイヤー達の姿だった。
「『パルニー』狩りだあああ!」
「経験値! 経験値!」
 一般のゲームプレイヤー達が、競って、可愛げのあるモンスターを討伐している。
 モンスター・パルニー。経験値や討伐数稼ぎにうってつけな敵が湧き出す、いわゆるボーナスタイム中らしい。
 だが、猟兵は気づいた。愛らしい色とりどりのパルニー達の中にも、バグプロトコルが混じっている事に。バグ・ノーブルが、撃破される前に発生させたものだろう。
 仕方ない。このパルニー達を倒し、バグ掃除を完了させようではないか。
真宮・響
ふむ、経験を積むのに適した相手。まあ、外見通り弱い奴もいるようだが、アタシは今までの戦場の経験から可愛い外見に反して凶暴な奴もいる事を知っている。

全く厄介な置き土産を残して行ってくれたものだ。一般プレイヤーが存分に経験を積めるように危険な種類は駆除しとくか。

【オーラ防御】【残像】【心眼】を駆使してパルニーの攻撃を回避しながら【目立たない】【忍び足】で敵の死角に移動。一般プレイヤーや森を巻き込まないよう注意しながら、【死角攻撃】で赫灼の闘気で危険なパルニーのみを攻撃。

一般プレイヤーの狩りを邪魔しないように死角からこっそりと。経験を積むのは大事だしね。



 勝利と称号を手に、隠しエリアから帰投した真宮・響(赫灼の炎・f00434)を待っていたのは、新たな戦いであった。
 敵は、森を跋扈する、パルニーの群れ。
「ふむ、経験を積むのに適した相手か」
 一見、パルニーは、先ほどのラングスクイードやバグ・ノーブルよりずいぶんと愛らしく、人畜無害。
「けど可愛い外見に反して、実際強くて凶暴な奴もいるからね」
 響の戦場の経験が、それを教えてくれる。弱小モンスターと侮っていれば、思わぬ形で足をすくわれかねない。
 実際、このパルニーには、バグプロトコルが混じっているのだ。
「全く、厄介な置き土産を残して行ってくれたものだ」
 嘆息する。
 しかし、これも乗り掛かった|舟《クエスト》。響は再度、一肌脱ぐ。一般プレイヤーが存分に経験を積めるよう、危険なバグの駆除に取り掛かった。
「にしても、様々な色のがいるもんだね」
 響は、一般プレイヤーが手を出す前の、バグ・パルニーの群れとエンカウントした。
 パルニーのつぶらな瞳に、殺気が宿る。
『ぱるっ』
「……こいつら鳴くんだね」
 これもバグプロトコル化の影響か? 少なくとも、狂暴化がそれに起因しているのは、間違いないだろう。
 響目掛けて飛び掛かってくるパルニー達。文字通り、【とびつく】攻撃だ。
「これは……油断しても仕方ないかもね」
 その仕草は、凶暴ながら、愛らしい|もの《モーション》だったので、響は、思わずこれが敵であることを忘れそうになる。
「おっと、アタシが油断してちゃいけないね」
 軽く頭を振ると、響は数々の技能……【オーラ防御】や【残像】、【心眼】を駆使して、パルニーの殺到を切り抜けていく。
『|ぱるっ《どこっ》!?』
 響の華麗な躍動に、パルニーが、その姿を見失う。右往左往。
 敵の視界から外れた響は、そのままアタックを仕掛けた。【赫灼の闘気】。
 制御された闘志の炎は、一般プレイヤーや森を巻き込むことはない。バグプロトコルのみを対象として、的確に燃え上がった。
『ぱるー』
 ぷしゅー。
 空気が抜けた風船のようにしぼみながら、消えていくパルニー。
 そうして、次々と危険パルニーを退治していく響。一般プレイヤーの狩りを邪魔しないよう、あくまでも、死角からこっそりと。
「経験を積むのは大事だしね」
 一般プレイヤー達の奮戦を、母性のこもるまなざしで見守りながら、響はバグ退治に勤しんだのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

御園・桜花
「可愛くて美味しそうなテクスチャが飛び回っているのですけれど…」
困惑した目で眺め

「…そうです、此処は元々ゲェムの世界。正常なプログラムならばPLに倒され経験値になるのが役目。つまり…美味しそうと感じたら、食材化するのが正義という事ですね?」
プログラム転生にぐるぐる悩み頓痴気理論に

「可愛くて美味しそうは正義です!御餅でしょうかマシュマロでしょうか綿菓子でしょうか上生菓子でしょうか?きっと美味しいに違いありません!お任せ下さい!」
UC「食欲の権化」
敵に突っ込み桜鋼扇乱打
敵の連続攻撃をお菓子になりたい情熱と判断
第六感や見切りで躱したり盾受けして桜鋼扇で殴り返して食材化

戦闘後勿論参加者にお菓子振舞う



『ぱるっ』
『ぱるるっ』
「なんだか可愛くて美味しそうなテクスチャが飛び回っているのですけれど……」
 御園・桜花(桜の精のパーラーメイド・f23155)は、フィールドを埋め尽くす色とりどりを、困惑した目で眺めていた。
 鳴いている。大量発生したパルニーが鳴いている。
 ずばっ!
「経験値!」
 一般ゲームプレイヤーが、パルニーを一刀両断。
 するとどうしたことでしょう。データの粒子に変わっていくモンスター。
 その光景を目にした途端、桜花は我に返る。
「……そうです、此処は元々ゲェムの世界。正常なプログラムならばPLに倒され経験値になるのが役目」
 つまり……つまり?
「美味しそうと感じたら、食材化するのが正義という事ですね?」
 ぐるぐるぐる。桜花の両目が回る。
 プログラムの転生という概念と解釈にぐるぐる悩み、思考の果てに辿り着いた答えは……頓痴気理論。
「可愛くて美味しそうは正義です! 御餅でしょうかマシュマロでしょうか綿菓子でしょうか上生菓子でしょうか? きっと美味しいに違いありません! お任せ下さい!」
 どどど!
 突如ユーベルコードをまとって突撃してきた桜花に、パルニーが一斉に振り返った。
『ぱるるっ!?』
 食・材・化!
 グミを思わせたり、同じ色で一定数集まると消えたりしそうなモンスターの群れが、宙を舞った。
 桜鋼扇の乱打の数だけ、パルニーが食材に変わっていく。いわばアイテムの強制ドロップ。
 なおパルニーは色とりどりのぷにぷにした塊だったので、食材化してもほぼほぼ見た目はそのままだった。
 それでも敵はバグプロトコル。可愛くみえても狂暴だ。
『ぱるっ』
 四方から、パルニー達が、桜花に殺到した。目の色を変えて飛びついてくるその攻撃を、桜花は、お菓子になりたい情熱の発露だと判断した。
 パルニー乱舞を、ひょいひょいひょい、と舞い踊るようにかわしながら、桜鋼扇で殴り返し、食材化を続ける。
「ふうっ、とりあえず第一陣としてはこのくらいでしょうか?」
 晴れやかな笑顔で、額の汗をぬぐう桜花。
 いつしかお菓子の材料がたんまりと。早速ケータリングカーに運んで、成形、仕上げ。
「パルニー饅頭にパルニー団子、パルニー綿菓子もありますよ! 討伐後の糖分補給にいかがです?」
「あ、さっきのお姉さんだ!」
「今度はスイーツ! いただきます」
 わいわい。
 再びのプレイヤー行列。お菓子処・御園、盛況であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アイ・ノルマレイス
冒険者さんがいっぱいですけど、みんなパルニーに夢中ですー
確かにかわいいから追っ掛けたくなる気持ちはわかるですー、ほら向こうからもじゃれつきに来……いたいいたい!
むー、これはわるいこパルニーですー!他の冒険者さんが痛い思いをする前にお仕置きするですー!

両腕を『欠落』化させて向こうから来るのを待ち構えるですー!
飛びついてきたら両手の欠落で受け止めて、そのままUCで包むように呑み込んじゃうですー(変異=パル耳が生える)
後はこっちからもわるいこパルニーに【とびつく】!飛びついて両手の欠落で捕まえたらそのまま生命力を奪って弱らせ『欠落』に吞みこみ、避けられたら距離を取られる前に再ダイブするですー!



 跳ねるパルニー、追うゲームプレイヤー。
 通常フィールドに復帰したアイ・ノルマレイス(知らない記憶、胸に空いた奈落・f41788)には目もくれず、皆忙しそうに駆け回っていた。
「冒険者さんがいっぱいですけど、みんなパルニーに夢中ですー」
「経験値! 経験値!」
「レアドロ! レアドロ!」
 パルニー退治に没頭する、一般ゲームプレイヤー達。
「確かにかわいいから追っ掛けたくなる気持ちはわかるですー、ほら向こうからもじゃれつきに来……いたいいたい!」
『ぱるるるっ』
 ニヤリ。
 アイに絡んできたパルニーは、凶悪な笑顔とともに跳び去った。これは知らない顔。
「むー、これはわるいこパルニーですー! 他の冒険者さんが痛い思いをする前にお仕置きするですー!」
『ぱるっ』
 パルニーは仲間を呼んだ!
 ぴょんぴょんぴょん。
 木々の陰から、次々と姿を現すパルニーの群れ。いくら集まっても合体してキングなパルニーにはならないみたいだけれど。
「わるいこ……でもでも、さっきのイカさんよりずっとメルヘンですー」
 だとしても存在はメルヘンではない。
 バグ・パルニーに取り囲まれたアイは、両腕を『欠落』化させた。パルニーが向こうから攻撃して来るのを待ち構える。
 しばし、にらめっこの時間。
『ぱるるー!』
 パルニーはそんなに我慢強くなかった。助走をつけて、ジャンプ!
 その一匹が合図になって、四方から色とりどりのパルニーが、アイ目掛けて飛び掛かった。
 ユーベルコード【とびつく】。シンプルなUCだ。何より、使い手が愛らしい。
 しかしアイは、そんなラブリーアタックを、両手の欠落で受け止めた。瞬間、ユーベルコードを発動。ぶわっ、と包むようにパルニーを呑み込んだ。
 ぴこん!
 アイの身に変異が起きる。生えたのは、可愛いパル耳。
 変化したのは、目に見えるファンシー部位だけではない。アイは、お返しとばかり、こちらから【とびつく】!
『ぱるっ!?』
 両手の欠落で、パルニーをキャッチ。
 そのまま生命力を奪取してへなへなと弱らせると、『欠落』に吞みこんだ。
 これはヤバい気配がするぱる。耳を伏せ、後退しようとするパルニー達。
 しかし、アイがとびつく方が早かった。よしんば逃げられても、距離を取られる前に、リ・ダイブ。
 こうしてアイとパルニーのとびつき合戦が、しばし繰り広げられたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カルミア・ローレンス
コウタさん(f41814)と

ウワーッ可愛い!
アタシ知ってる、あれウサギって言うんだよね
え、ウサギじゃない?
じゃあネズミ、でもない?
可愛いからなんでもいいやー

パルニーは可愛いけどバグは可愛くない
悪い子はさくっと退治しちゃおう
UCでどんどんパルニー達を攻撃
『ミラージュ・ケイオーン』からの2回攻撃でこう、キラキラ爆発!
コウタさんが動きを鈍らせてくれてるし、狙いやすい子を優先的に攻撃するよ

なんか……テンション上がってきた!(コウタのUCのせい)
周りのみんなも元気いっぱい!
もしかしてこれがお祭り……ってコト!?
アタシお祭りに参加してる!うひょー嬉しい!
コウタさんも一緒に盛り上がろう!
フェスティバルだーッ


コウタ・ニイロ
カルミア(f41695)と

よし、称号ゲット
パルニー狩りなら経験値も美味そうだ
……ウサギじゃないぞ、尻尾の形が違う
ネズミとも違うと思う
結局なんでもいいのかよ

UC発動で範囲攻撃だ
パルニーにはマヒ攻撃を浴びせて動きを鈍らせよう
周りの治癒も出来るし便利なスキルだな
……あれ、もう一個効果あった気がするけどなんだっけ

カルミアや周囲のプレイヤーの様子で思い出す
しまった!これ興奮作用がある!
しかも今、みんなパルニー狩りでテンション上がってる!
大惨事にならなきゃいいんだが……
あ、駄目だカルミア壊れてる
やらかしたのは俺だ
怪我させねぇように気をつけよう

危ないパルニーは黒鎖で積極的に攻撃
確かに祭りっぽくはある、かも?



 コウタ・ニイロ(足元の蔓・f41814)は、ステータスに討伐称号が登録されたのを確認し、にっ、と笑う。
「よし、称号ゲット。それで次は……」
 パルニー退治。
「パルニー狩りなら経験値も美味そうだ」
「あのモンスターのこと、コウタさんは知ってるんだね。あ、もしかして、あれかな?」
 カルミア・ローレンス(空を見上げて・f41695)は、ラングスクイードとは異なる野生モンスターとの遭遇に、瞳を煌めかせた。
「ウワーッ可愛い! アタシ知ってる、あれウサギって言うんだよね」
「……ウサギじゃないぞ、尻尾の形が違う」
 未知の『可愛い』との遭遇にテンション上がるカルミアに、コウタはあくまで冷静に指摘した。
「え、ウサギじゃない? じゃあネズミ、でもない?」
「違うと思う」
 ウサギ説とネズミ説。
 どちらでもないと言われたカルミアは、しばし、跳ね回るパルニーを見つめていたが、
「可愛いからなんでもいいやー」
「結局なんでもいいのかよ」
 いいらしい。
 ぎらっ。
 若干のんきに観察していたコウタ達を、パルニーのつぶらな瞳が捉えた。
『ぱるっ……』
 にやり。
 うって変わって邪悪な笑顔。
 カルミアは理解した。これはパルニーはパルニーでも、バグプロトコルのパルニーである、と。
「パルニーは可愛いけどバグは可愛くないもんね。悪い子はさくっと退治しちゃおう」
 と、いうわけで、カルミアは、パルニー退治に着手した。
 やっていることは普通の討伐と一緒なので、他のゲームプレイヤーから怪訝がられることもない。ごく自然に、猟兵のお仕事が出来るというわけだ。
 魔法少女ちっくな杖で標的を指し示すと、サイキックエナジー発射!
 着弾、からの、キラキラ爆発!
 ずばずばっ、と、二連射で、パルニーを仕留めた。
「結構容赦ないな……」
 カルミアが素早い敵を狙いやすいよう、コウタは黒い霧を操作した。
『ぱるるっ!?』
 自由に跳ね回っていたパルニーが、びたん、と地面に伏せて停止した。コウタの黒霧の麻痺効果が表れたのだ。
 一方で、カルミアや、周囲の一般プレイヤー達の傷が回復していく。
 コウタの【黒い霧牢】は、周りの味方の治癒効果も備えているのだ。
「これ、便利なスキルだな。……あれ、もう一個効果あった気がするけどなんだっけ」
 すぐに思い出せないという事は、そこまで致命的なデメリットではないはず。
 コウタは、とりあえずそう納得して、戦闘を継続した。
「全部倒しちまえば、問題無いだろう」
 コウタが、黒霧を駆使して、敵の動きを鈍らせてくれている。感謝しながら、カルミアは、狙いをつけやすい個体から優先的にアタックを仕掛けていく。
「なんか……なんかテンション上がってきた!」
 討伐カウントが上昇するにつれ、カルミアの精神も昂揚していく。パルニー・ハイだろうか?
 みれば、周りの一般プレイヤー達も、カルミアと同じように、勢いを増している。
「ウラララララー!」
「いくぜパルニー100体斬り!」
「わ、周りのみんなも元気いっぱい! もしかしてこれがお祭り……ってコト!?」
 その結論に到達したカルミアが、謎のオーラをまとう。だがそれは幻だ。
 カルミアや周囲のプレイヤーの異変が、コウタに、UCの副次効果を思い出させた。
「しまった! これ興奮作用がある!」
 しかも今は、パルニー狩りの真っ最中。元々昂揚しているところに、ユーベルコードの興奮効果が加われば……。
「大惨事にならなきゃいいんだが……」
 不安に満ちたコウタの視線が、ぴた、と止まる。
 テンション爆上げシスターの前で。
「アタシお祭りに参加してる! うひょー嬉しい!」
「あ、駄目だカルミア壊れてる」
 パルニー側にはデバフがかかっているので、そうひどいことにはならないだろうが、この状況自体が軽く惨事では。
 コウタは嘆息した。
「確かに祭りっぽくはある、かも? ……とか言ってる場合じゃねえ。やらかしたのは俺だ。怪我させねぇように気をつけよう」
 一度火がついてしまった以上、始末は自分でつけるしかない。
 コウタは、黒鎖を振るって、バグプロトコルの駆除に邁進した。
 通常個体なら、今の戦闘意欲マシマシの一般プレイヤー達が根絶やしにしてくれるだろう。
 実際、討伐速度にブーストがかかっているので結果オーライ。
「問題はカルミアか……」
「コウタさんも一緒に盛り上がろう! フェスティバルだーッ」
「ヒーハー!」
 お祭りモードのカルミアは、ハイテンション・一般プレイヤー達とともに、パルニー達を狩りまくったのであった。存分に。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

レジーナ・ビエルニィ
うん?延長戦……?
そうだね、勝敗は終わってみるまで解らないし、こっからがラストスパート
……負けるつもりはないけど。

『ぺんぺんくんシューズ』の力で移動して距離を取り、遠距離から『しろくまくん2号』で狙撃の構え。
勿論バグプロトコルや、危険な状態の他の参加者のカバーを優先、普通のパルニーは後回し。

狙うのは【シールショット】
……確かにちっちゃいし跳ね回ってるけど、形状は大体わかるし、むしろ……挑戦し甲斐があってやる気が起きるかな

脚は難しいかもしれないけど、目と耳ならはっきりとわかるし、
「攻撃手段」なら判りやすいのをばら巻いてくれてる。
危ないものらしいし、撒いたそばからそっちも撃ち抜いていこう。



 討伐クエスト、アディショナルタイム。
 レジーナ・ビエルニィ(雪女のバトロワシューター・f37984)は、戦場を継続している森フィールドを見渡した。
「うん? 延長戦……?」
 ボーナスクエスト、パルニー達を追いかけて、一般ゲームプレイヤー達が奔走している。
「そうだね、勝敗は終わってみるまで解らないし、こっからがラストスパート。……負けるつもりはないけど」
 レジーナも、最後まで手を抜くつもりはない。たとえ標的が可愛らしいビジュアルだったとしても。
『ぱるっ!』
 プレイヤーあるところモンスターあり。
 レジーナの周囲にも、色とりどりのパルニーがポップアップしてくる。バグ・ノーブルの置き土産。最後の挑戦状ともいえる。ならば受けて立とうではないか。
 ぴょんぴょん飛び跳ねて、レジーナを包囲してくるパルニー。
 標的は、確かに小さい。しかも常に跳ね回り、狙いを定めさせないが、
「形状は大体わかるし、むしろ……挑戦し甲斐がある」
 レジーナのシューター魂に火が点いた。
 脚……は判別不能だが、特徴的な目と耳ならはっきり認識できる。それに何より、『攻撃手段』として、判りやすいものをばら巻いてくれる。
『ぱるっ』
 パルニーのジャンプに合わせて、ぽろり、と何かがドロップ……いや、召喚される。
 パルニーヘアバンド。このレアアイテムを狙って討伐するプレイヤーもいるようだ。
 だが。
 どぉん!
 レジーナの『しろくまくん2号』で撃ち抜かれたヘアバンドが、爆発した。
「……やっぱり偽物」
 『ぺんぺんくんシューズ』で地面を滑り、パルニーから距離を取る。
 厄介ヘアバンドも、触れずに離れさえすれば、危険はない。遠距離から狙撃するのが吉。
 様々な能力を封じる【シールショット】が、パルニー達から戦う力を奪い、撃破していく。
『ぱるー!』
 おかわり! 新たなフェイクヘアバンドがばら撒かれる。
 一般プレイヤーがそれにつられて巻き込まれないよう、撒かれたたそばから撃ち抜いていくレジーナ。
「ワワーッ!?」
「何このパルニー、攻撃が効いてない!?」
 悲鳴。
 振り返ったレジーナの視界に映る、一般プレイヤー達。バグプロトコルに囲まれて。
 即座にターゲットを変更し、撃つ。
「た、助かりました!」
 プレイヤー達の感謝に、すっ、と手を挙げて応えるレジーナだった。クールに。

 かくして、バグプロトコル爆湧き事件は解決した。
 レジーナ達猟兵の奮戦により、一般プレイヤーの大半は、危険にさらされていた事実など知る由もない。
 人知れず、GGO世界の危機を救う。それも猟兵の|役目《クエスト》の1つなのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年12月02日


挿絵イラスト