ディセントケイヴ探検記~初心者殺しの罠!
●初心者狩りの凶悪バグ!?
ディセントケイヴ。
降下する洞窟の名が示す通り、それは大地に空いた巨大な穴。内部には崖に沿う形で広い足場や小さな洞窟が存在し、奥へ進めば進む程に、強力なモンスターやレアな財宝が入手できるようになっている。
穴の奥に存在するのは、凶暴で強力なモンスター。しかし、反対に穴の入り口付近の階層にいるのは、冒険を始めたばかりの初心者でも倒せるような雑魚ばかり。
そういう意味で、この穴は初心者から上級者まで幅広く訪れるダンジョンであり、穴の比較的浅い部分は、初心者にとっての修行場兼稼ぎ場にもなっていたのだが。
「おい、なんかこれってヤバくないか!?」
「なんでパルニーがこんなに強いんだよ! ……ってか、いつの間にか囲まれてる!?」
その日に限って、なにやら少しばかり不穏な様子。穴の最浅部に広がる草原のような場所でモンスター狩りを続けていたプレイヤー達は、いつの間にか追い込まれてしまったのだ。
「ちょっと! なんか、私のハンマー、使えなくなってるんだけど!?」
「どんなバグだよ、それ! こうなったら、レアアイテムだけでもいただいて……って熱ぃ! なんだこりゃ!?」
武器の使用を封じられ、レアアイテムを回収しようと思えば、それも罠。あまりに凶悪過ぎる初心者殺しに嵌ってしまい、彼らは数分と持たずに全滅した。
●禁忌にして至高のゲーム
「ゴッドゲームオンライン、略してGGOってやつ? キタわ、キタわよ、こういうの! お祭り好きのゲーム好きとしては、遊んでみるっきゃないっしょ!」
新たに発見された世界にて、オブリビオンが事件を起こす。そんな話を伝えるために現れたパトリシア・パープル(スカンクレディ・f03038)だったが、何故か事件の内容そっちのけで興奮していた。
「あ……え~と、ごめん。なんかちょっと気合入りまくっちゃったわ」
まあ、それはそれとして、今回の舞台は電脳世界。より簡単に説明するならば、ゲームの世界であるとパトリシアは告げた。
「ゲームの世界っていっても、わたし達はなんでか生身の身体のままログインできるのよね~。その代わり、あっちの世界でいうところの『現実』に行くことは、残念ながらできないんだけど……」
とりあえず、今はゲーム世界でピンチになってしまう初心者プレイヤーを救うことが先決だとパトリシアは続ける。なんでも、この世界にはバグプロトコルという形でオブリビオンが出現し……そいつらに倒されたプレイヤーは現実世界における遺伝子情報を剥奪され、あらゆる人権を失ってしまうのだとか。
「要するに、ゲームで死んだらリアルでも社会的に死亡するってわけ。しかも、このバグプロトコルとかいう連中、ゲーム難易度を無視して現れるから性質が悪いわ」
パトリシアの言う通り、今回の事件で襲われるのはゲームを始めたばかりの初心者プレイヤー集団である。彼らはディセントケイヴという階層に分かれたダンジョンへのアタックを行っており、最も安全な第一階層にて戦っていたのだが……そこに現れるバグプロトコルに囲まれて、このまま放っておけば全滅してしまうのだという。
「こういうゲームって、普通は役割を分担して戦うのが基本っしょ? でも……このプレイヤー達はド初心者集団だから、あんまりそういうの分かってなかったみたい」
パトリシアの話によると、彼らは3人でチームを組んでいるようだが、その全員が聖剣士の職に就いているという。要するに、全員がアタッカーであり、しかも防御を削って攻撃力を上げるというロマン職。どう考えても上級者向けなパーティ編成なのだが、彼らは単に『なんかカッコ良さそうだから』という程度のノリで職業や役割を選んでいるので、戦略も戦術もあったものではない。
「ぶっちゃけ、相手が格上だったら、開幕5分で全滅するような人達ね。とりあえず、今からディセントケイヴの第一層に向かって、この人達を助けてくれない?」
第一層のフィールドは草原。出現するのは『パルニー』と呼ばれる雑魚モンスターだが、バグプロトコルと化した個体は初心者の手に余るので、猟兵達の方で早急に討伐する必要がある。
「パルニーを倒すと、今度はボーナスステージがスタートするわよ。……といっても、そこに現れるモンスターも、全部バグプロトコルなんだけどね……」
クエストで指定されるのは、なにやら金や経験値をガッポリ稼げるモンスターらしいが、こいつらもバグプロトコルなので、猟兵達で倒してしまった方が良さそうだ。このステージもクリアすると、最後に待っているのはボス戦なわけだが……このボスはバグプロトコルではないので、プレイヤー達に任せてしまっても大丈夫だろう。
「あ、でも、代わりにボスの周りをうろついている雑魚がバグプロトコルになってるから、あなた達はそっちをやっつけてね。もう、分かってると思うけど……こいつら、ボスより強いから、初心者集団に相手させちゃダメよ」
ボスより雑魚の方が強いとか、もはや完全にクソゲーだろう。だが、それもこれも、全てはバグプロトコルが悪いのだ。
未だ分からないことも数多くある世界だが、猟兵達が積極的にクエストへ参加することで、謎の答えに近づけるかもしれない。そう言って、パトリシアは猟兵達を未知なる電脳世界……ゴッドゲームオンラインの世界へと転送した。
雷紋寺音弥
こんにちは、マスターの雷紋寺音弥です。
新世界はゲームの世界……ということで、徐々にステージ難易度上げて行くような形で依頼を出せればと思っております。
●第一章(集団戦)
『パルニー』との集団戦になります。
バグプロトコルと化した個体は初心者プレイヤーの手に余るので、猟兵達で積極的に駆逐しましょう。
なお、どの個体がバグプロトコルなのかは、猟兵であればなんとなく直感で分かります。
●第二章(冒険)
ボーナスステージ……の皮を被った、初見殺しステージです。
金や経験値を大量にドロップするモンスターが現れますが、こいつらは全てバグプロトコルなので、迂闊に手を出すと初心者さん達は痛い目に遭います。
やはり、猟兵達だけで排除するのが正解でしょう。
●第三章(集団戦)
『ジェットソード』との戦いになります。
ステージのボスは、こいつらよりも弱いので、初心者さん達に任せてしまって大丈夫でしょう。
●初心者プレイヤー集団
ここ最近になってゲームを始めたばかりの初心者集団(男二人、女一人)。
ゲームシステムや戦略性をあまり理解していないため、ノリと勢いで突撃し、攻撃力に任せてガンガン殴ることしか考えていません。
全員がアタッカーであり、ロマン職に就いているという時点でお察しですね。
今回の依頼でジョブチェンジはできませんが、職業と役割の関係性など、今後のために説いてあげてもいいかもしれません。
第1章 集団戦
『パルニー』
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POW : とびつく
【とびつき】で近接攻撃する。低威力だが、対象が近接範囲から離脱するまで何度でも連続攻撃できる。
SPD : はねる
【飛び跳ねて】からレベル個の【レアアイテム「パルニーヘアバンド」の偽物】を召喚する。[レアアイテム「パルニーヘアバンド」の偽物]は誰かが触れると爆発し、【火傷】の状態異常を与える。
WIZ : いたずらパルニー
【バグテクスチャ】を纏ってレベル×5km/hで跳び回り、触れた物品や対象の装備を破壊、あるいは使用不能にする。
イラスト:仮名ゆたか
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
イリスフィーナ・シェフィールド
ガンゲイ(おっとそこまで)……もといゴッドゲームオンラインでしたか。
生身のままゲームに入れるとはサイバーザナドゥとは違って不思議な感じですわね。
ただゲームでやられたら現実での人権喪失とか恐ろしいですわね。
被害者がでないようにしなくては。
編成ですか……実はわたくしもこういうゲームには触れたことないのですわよね。
やられる前にやってしまうのはよろしいのでは。
(自分自身も防御捨ててではないが脳筋系ゆえの発想)
……あ、でもゲームだからって万一やられてよくはなかったのでしたわ。
分担できるなら頑丈な盾的な人がいるとよろしいかもですわね。
敵は近接攻撃しようとよってくるのを指定コードで迎え撃ってまとめて撃破。
メリーナ・バクラヴァ
まずは初心者チームのお三方に向かうバグ達、端からUCで縛って足止めします♪
跳ねる足元を制限すれば、偽アイテムも飛び散りにくいでしょう?
――ご機嫌麗しゅう、聖なる加護を得た剣士の皆様っ♪
(スチャっ、無駄にカッコつけて樹の上から登場しつつ)
とっても素敵な佇まいでいらっしゃったので、つい加勢してしまいました!
このままご一緒させて頂けませんか♪
私、ゲームって初心者なんですよー!
(…嘘ではないです。元旅役者、PCは旅路の資料を電子化する為の物でありゲームとか未知も未知!)
(普通に強いじゃん、と言われたら「運動神経です」で押し通します)
レアアイテム触りたそうな素振りあれば、先回りで私が触って罠と示します!
ティエル・ティエリエル
わーい! ゲームの中に飛び込めるなんて面白そう☆
ボクもさっそく飛び込んじゃうぞ♪
おっ、あれがピンチになってる初心者だね!
【ライオンライド】で呼び出した体長40cmほどの子ライオンくんに「騎乗」して突撃だ♪
うりゃりゃー、ボクが助太刀にきたぞー☆
オブリビオンっぽいパルニーだけを狙って攻撃するよ!
ライオンくんががぶがぶと噛んだり、ボクのレイピアでツンツン突いたりするね♪
オブリビオンじゃない普通のパルニーは任せて、けーけんちも稼いでもらおうかな?
※アドリブや他の方との連携も大歓迎です
●可愛くても油断は禁物です
GGOはゲームの世界。それは即ち仮想現実ということであり、本来であれば生身で入るなど不可能な場所。
だが、そんな場所に入り込めてしまうのが、世界の理をブチ壊すことのできる猟兵である。キマイラフューチャーやサイバーザナドゥといった世界にある限定的な仮想現実空間ではなく、世界そのものが仮想現実というのは類を見ないわけだが……今までになく異様な世界でありながら、そこに順応するのもまた早い。
「わーい! ゲームの中に飛び込めるなんて面白そう☆」
「生身のままゲームに入れるとは、サイバーザナドゥとは違って不思議な感じですわね。ただ、ゲームでやられたら現実での人権喪失とか恐ろしいですわね」
ゲームを楽しもうと張り切っているティエル・ティエリエル(おてんば妖精姫・f01244)と、冷静に状況を分析しているイリスフィーナ・シェフィールド(女神様の巫女兼|スーパーヒロイン《承認欲求の塊》・f39772)。果たして、襲われているプレイヤー達はどこにいるのかと周囲を探せば、草原の向こう側でなにやら色とりどりの塊が跳ねているのが目に留まった。
「ぱるー!」
「ぱるるー!」
奇妙な鳴き声を発しながら、ぴょんぴょんと飛び回るゆるキャラのような生物。本来であれば、初心者用のサンドバック兼経験値稼ぎに使われる目的で作られたはずの雑魚モンスター達。その中でもGGOのマスコット的な存在でもあるパルニー達は、ゲームを始めたばかりの初心者であっても、複数を同時に相手したところで心配ないくらい弱い相手。
だが、そんなパルニー相手に、プレイヤー達は目下苦戦中。まあ、パルニーはパルニーでも、バグプロトコル化しているのだから、仕方ない部分はあるのだが。
「おい、大丈夫か? もしかしなくても、受けるクエスト間違えたか?」
「いや、そんなはずないって! お前だって、ちゃんと確認しただろう!?」
全員が初心者でありアタッカー。しかも、大穴の付近にあったギルドで偶然に出会ってクランを組んだばかりとなれば、チームワークもへったくれもない。
「でぇぇぇい! もう、あったま来た! 武器なんか使えなくたって、こうなったらその辺の棒きれと石で殴り殺してやるぅぅぅぅ!」
ついに堪忍袋の緒が切れたのか、ハンマーを抱えた少女がその辺の石を棒きれにくっつけ、即席のハンマーを持って暴れ出す始末。無論、そんなことでバグプロトコルを倒せれば世話はないため、このままでは遺伝子情報削除待ったなしの大ピンチだ。
「ともあれ、まずは初心者チームのお三方に向かうバグ達を倒さなければいけませんね」
これ以上は眺めているのも危険だと、メリーナ・バクラヴァ(リスタートマイロード・f41008)が提案すれば、残る二人も頷いて、初心者達の救済に向かう。一流のゲームプレイヤー……もとい、数多の世界を旅して来た猟兵達の、実力を見せてやるとしよう。
●参上、最上級プレイヤー!?
ゲーム開始早々に、雑魚モンスターに追い詰められてしまった初心者達。まあ、実際はバグプロトコルによる不正なクソゲー化が原因なのだが、それを彼らが知る術はない。
だが、もはや絶体絶命という時、そんな彼らを救うべく、小さな旋風が舞い降りる。
「うりゃりゃー、ボクが助太刀にきたぞー☆」
子ライオンに騎乗したティエルが、突如として空中からパルニーの集団に奇襲を仕掛けたのだ。慌ててレアアイテムをばらまき、逃げ惑うパルニー達だったが、ティエルはそんなものには目もくれない。
「悪いモンスターにはお仕置きだ~!」
「「「ぱるぅぅぅぅ!?」」」
レイピアで突かれ、ライオンに噛まれ、その度にパルニー達が消滅して行く。バグプロトコルとはいえ、ベースになっているのは初戦雑魚だ。初心者には手強い相手だろうが、歴戦の猟兵を前にしては、単なる経験値稼ぎのカモでしかない。
「な、なんだ……あれ? 妖精?」
「エルフになれるのは知ってたけど、フェアリーなんてキャラスキンあったのか?」
呆気に取られる初心者達。そんな彼らを死角から別のパルニー達が狙うが、しかしそれらは咄嗟に切り込んだイリスフィーナとメリーナによって、瞬く間に退治されてしまう。
「卑怯な真似はさせませんわ!」
「ご機嫌麗しゅう、聖なる加護を得た剣士の皆様っ♪」
とりあえず、手近な敵を吹っ飛ばして改めて挨拶を述べる。剣士の少年二人は未だ茫然としていたが、即席のハンマーを片手に暴れ回っていた少女だけは、どこか不満げな表情で猟兵達に尋ねた。
「なによ、あなた達。上級者が見兼ねて助けに来てくれたってわけ?」
こんな敵、自分だけでも楽勝だと言いたいのだろう。実際、バグプロトコルではないパルニーであれば、彼女は即席ハンマーで一撃のもとに粉砕している。なかなかどうして素養はありそうな感じだが、危なっかしいのもまた事実。
「とっても素敵な佇まいでいらっしゃったので、つい加勢してしまいました! このままご一緒させて頂けませんか♪ 私、ゲームって初心者なんですよー!」
実際、GGOは初心者であることを良いことに、メリーナは自分も初心者ということで押し通した。それでは、その圧倒的な強さはどこから来るのかと問われれば、運動神経だといって誤魔化した。
「運動神経? ああ、そういうことか」
「GGOは初めてでも、他のゲームはやったことあるんだろ? 動体視力とかエイムの合わせ方とか、その辺が半端ないからな」
少年二人は、メリーナの強さを自分達なりに納得しようとしているようだった。普通に考えれば、そもそもレベルが低ければ身体能力も低いままなので、そんな凄いムーブができるはずもないのだが……それでも、ある程度はプレイヤースキルでどうにかなるよう設計されているので、メリーナのようなプレイヤーもいないわけではないのだろう。
とりあえず、これだけメンバーが集まったのだから、力を合わせて戦った方がよいだろう。普通はそう考えるものだが、しかし初心者軍団はガチガチの脳筋プレイヤーばかりであり、猟兵側にも脳筋な考えを持つ者がいたので、編成に関してはあまり改善が見られなかったのは悲しいところ。
「編成ですか……実はわたくしもこういうゲームには触れたことないのですわよね。やられる前にやってしまうのがよろしいのでは?」
殴れば解決。単純明快。イリスフィーナにとって、それは戦いにおける日常茶飯事。
もっとも、ここでやられたが最後、プレイヤー達は遺伝子情報を削除され、社会的に抹殺されてしまう。さすがに、それは可哀想なので盾役のできる者がいればと提案したところ……少年二人の視線は自然に、ハンマー少女の方へと向いていた。
「ちょっと! なんで、私が盾なのよ! 普通、こういうのは男がやるもんでしょーが!」
先程まで、独りで大暴れしていたことを棚に上げ、少女は猛烈に抗議している。やはり、即席のクランではチームワークなど期待できないか。こうなったら、後はそれぞれに全力を以て、バグプロトコルを排除するのみ!
「螺・旋・斬・刃、トルネード・シュレッダーですわっ!」
両手から放つ闘気の渦で、イリスフィーナは次々にバグプロトコルのパルニーを倒して行く。本来であれば武器を使った戦闘が当たり前のGGOで、これはとんでもない戦い方だ。
「す、凄ぇ……素手職なんて今じゃ産廃って聞くのに、なんだあれ……」
「ゲームやったことないにしちゃ、あり得ないくらい強いぞ……。もしかしなくても、最初から重課金してプレイしてるとか!?」
事情を知らない初心者達から、イリスフィーナは廃課金プレイヤーであると認識されてしまったようだ。その一方で、メリーナは敵の撒き散らしたレアアイテムっぽいブービートラップを、敢えて積極的に拾いに行き。
「あら、こんなところに良いものが……きゃぁっ!」
自ら身を以て、拾ってはいけないものであると初心者達へ伝えて行く。さすがに、目の前で何度もアイテムが爆発するような光景を見れば、彼らも迂闊に拾おうとは思わないわけで。
「あ、敵が逃げるよ! こら~、まて~!!」
残るバグプロトコルが一斉に逃げ出したのを見て、ティエルが慌てて後を追った。イリスフィーナとメリーナもそれに続く。残された初心者達は気を取り直して、バグプロトコルではない本物のパルニーを討伐することに専念し始めるのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
茅場・榛名
【ハウンド】
クラス:ロードブロック(TANK) キャラ名:Haru
「まったく、バトマスしかいない部隊とかイカれてるぜ!」
だがうちらが間に合えば必要な3ロールは出揃う。
開幕は【選択UC】で無理やり戦線に投入してヘイトをかっさらう。
『挑発』『激痛耐性』の防御スキルと『カウンター』の攻撃スキルを
組み合わせて戦ってやろう
ヘイト管理はタンクの役割だ。部隊に参加させてもらうぜ!
【台詞集】
「おーい、まだ生きてるか?その喧嘩に混ぜてくれ!」
「ドク、いつも通り頼むぞ!」
「諸君、各々のHP残量に気を配っとけ!ドクがちょんと管理してると思うがな!」
ドク=Doctorの略称。
スフィア・フローラ
【ハウンド】
クラス:ウィッチドクター(HEALER) キャラ名:Doctor
「気持ちは分からなくはありませんがね!」
ですがそれを支援するのが|医者《ドクター》の仕事でしょう?
タスクをこなすついでに、ちゃんと勉強していただきましょう!
ルーキーの3人の名前とHPを確認しながら戦います。
一度に受けるダメージ量と参照して50%を切ったら回復スキルを使います。
隊長に限っては戦に慣れてますので25%ぐらいまでは大丈夫でしょう
【台詞集】
「回復を雇わないのは、さすがに無謀が過ぎませんか?」
「下級素材集めのついでです、少し手を貸して差し上げますね」
「隊長、暴れすぎです!3人が若干引いてるじゃないですか!」
●編成は大事です
チームを組んで戦うのが前提のゲームで、アタッカーのみでクランを組む。確かに殲滅力だけは高くなるだろうが、それはあくまでスタンドアローンで支援なく戦える者だけが集まった際の話。
「まったく、バトマスしかいない部隊とかイカれてるぜ!」
傭兵小隊に所属していたこともある茅場・榛名(白夜の火狐・f12464)にとって、初心者集団の編成はナンセンスの極みだった。
これが普通のゲームであれば、ボコボコにされて敗北から学び、編成を考えるきっかけにもなるだろう。だが、相手がバグプロトコルでは、そうもいかない。敗北は即ちリアルでの死であり、命を奪われることはなくとも、社会的に存在を抹殺されてしまう。カッコイイから脳筋突撃かましましたでは済まない話なのだ。
「まあ、気持ちは分からなくはありませんがね!」
それでも、敗北に対する代償があまりに大き過ぎると、スフィア・フローラ(戦う衛生兵・f18744)はバグプロトコルを送り込んだ何処の誰とも知れぬ存在に怒りを覚えた。
もっとも、そういった不測の事態まで含め、対処して支援するのが医者の仕事。ここはひとつ、ゲームのタスクをこなすついでに、初心者達にもちゃんと勉強してもらわねばなるまい。
「おい、なんかまた敵が増えてないか?」
「ああ、もう鬱陶しい! こっちくんなぁぁぁっ!!」
見れば、初心者集団は再びパルニーの群れに囲まれており、バグプロトコル相手に絶賛苦戦の真っ最中。このまま眺めているわけにもいかないと、榛名は強引に敵との間に割り込んで、迫り来るパルニーを掴んで別のパルニーに叩きつけた。
「おーい、まだ生きてるか? その喧嘩に混ぜてくれ!」
「え……? だ、誰?」
突然の乱入者に、初心者集団は驚きを隠せない。先程もそうだったが、こうも上級者が助けてくれるなど、予想もしていなかったのだろう。
「回復を雇わないのは、さすがに無謀が過ぎませんか?」
目の前の危機が去ったところで、スフィアが尋ねた。しかし、初心者集団から返って来たのは、なんとも甘い見通しと、戦略性の欠片もない理由ばかり。
「いや、別にこれってそこまで難しいクエストじゃないはずでしょ?」
確かにそれはそうだが、そのクエストで死にかけているのは誰だろう。
「っていうか、回復なんてアイテムでやればいいのよ! その辺に生えてる薬草とか、そういうの拾って使えばいいじゃない!」
それも一理あるが、そういうのはソロプレイで戦えるようになってから……というか、それ以前に都合よく戦場に薬草が生えている方が珍しいわけで。
「どうせ雑魚しか出てこないんだし、3人で暴れれば一気に殲滅できるかなって思ってさ」
だからといって、全員が脳筋アタッカーで突っ込んで良いというわけではないだろう。三者三様、あまりに酷過ぎる理由の数々に頭が痛くなるスフィアだったが、ここで呆れていても仕方がない。
「ドク、いつも通り頼むぞ!」
再び現れたパルニーの群れに、榛名は素手のまま突っ込んで行く。武器など最初から使う必要などない。体当たりで攻撃して来るパルニーを掴んでは投げ、掴んでは投げ! パルニーをパルニーにぶつければ、その衝撃で二つとも纏めて散って行く。
「諸君、各々のHP残量に気を配っとけ! ドクがちゃんと管理してると思うがな!」
「は、はい……」
目の前で行われる投げ無双。その光景に、初心者達は少しばかり臆し気味。無双には憧れるものの、実際に目の当たりにしてしまうと、レベル差を生かした暴力による蹂躙でしかないわけで。
「隊長、暴れすぎです! 三人が若干引いてるじゃないですか!」
思わずスフィアが突っ込みを入れた。このままでは編成の大切さを教えるどころか、単に榛名が無双するだけで終わりそうだ。確かに、それでもクエストは攻略できるのかもしれないが、せめて役割分担の重要性……主にヒーラー職の大切さだけでも教えねば。
「下級素材集めのついでです、少し手を貸して差し上げますね」
そう言うが早いか、スフィアは素早く自分の周りに回復の魔法陣を描く。そして、突撃することしか知らない初心者3人組を、自分のところへと呼び寄せる。
「回復します! 総員私の元へ!」
「回復? よし、一度戻るぞ!」
二刀流剣士の少年を筆頭に、三人はスフィアのところへ戻って来た。すると、まずは敵から受けた負傷が回復し、ついでに武器の使用不能といったバグも解消されたではないか。
「やったぜ! これでまだ戦えるな!」
「見てなさいよ、あのプニプニども! 今度こそ、私のハンマーでペチャンコにしてやるんだから!」
回復が終わると同時に、再び突っ込んで行く初心者達。この様子では、まだまだ痛い目に遭わないと分からないのかもしれないが、それはそれ。
(「まあ、即死はしないでしょうし……残りHPが50%を割るようなら、また回復してあげましょう」)
死という代償さえ払わずに済むなら、痛みから学ぶこともある。その時は、また助けてやれば良いのだと、スフィアは生暖かい目で初心者達を見守っていた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ネッド・アロナックス
はじめてのぼうけん たのしいね
だから きけんは ヒヤリハットまでに してあげよう
(※セリフは↑こんな感じで、ひらがな+カタカナ+空白で話します)
初心者プレイヤーを敵が来ないところへ呼んで、おいしいみずを振舞う
回復アイテムは、敵が来ないところまで避難してから使うとイイよ
付与するのはパルニー耐性
少し触れた程度なら、大事なアイテムもそのまま使えるようにしておくよ
逃げ(だけは)達人の直伝、敵の動きには必ず法則があるから
よく見て覚えるのも大事だよ
仲間と背中合わせになるよう立たせて討伐を補助
彼らの死角からくるパルニーやバグプロトコルは
クリーピングコインをぶつけて、こっそりシャドウパリィするよ
●回復の基本
猟兵達の活躍によって、徐々にだが初心者集団も戦闘のコツがつかめ始めていた。
というか、実際はパルニーを倒しまくったことによってレベルが上がり、それに伴ってキャラクターのスペックも向上したので、思い通りに動けるようになっただけである。プレイヤースキルという点では未だ甘いため、彼らは力の使い方を碌に理解しておらず、だんだんとスタミナが枯渇し始めていた。
「はぁ……はぁ……。いい加減に……しろってのよ……」
ハンマーを抱えた少女は、既に限界寸前だ。HPに余裕があっても、戦い続けるためのスタミナが切れてしまっては元も子もない。
「できれば、ちょっと休憩したいところだけど……」
「どうやら、そうもいかないみたいだな」
残る二人もかなり疲弊している。そんな彼らに救いの手を差し伸べたのはネッド・アロナックス(ガムゴム人の冒険商人・f41694)。彼は初心者達が完全に囲まれてしまう前に呼びつけると、まずはおいしい水をふるまった。
「はじめてのぼうけん たのしいね だから きけんは ヒヤリハットまでに してあげよう」
回復アイテムは、敵が来ないところで使うのが基本。ゲームによっては敵の目の前で回復しながらガッツポーズなんか決めるのもあるが、はっきりいって自殺行為に等しいものだ。
なお、ネッドの与えたのはただの水ではなく、パルニーへの耐性を付与するものだった。
これで、もうパルニーが相手でも怖くはない。大事なアイテムを壊されることもないはずなので、ここから再び反撃開始だ。
「にげたつじんの じきでん てきの うごきには かならず ほうそくが あるから よくみて おぼえるのも だいじだよ」
基本は仲間と背中合わせで戦うように。それだけ言って、ネッドは初心者達を送り出す。
なお、死角からやってきたバグプロトコルのパルニーは、こっそりコインをぶつけて討伐しておいたのは、彼らには内緒だ。
大成功
🔵🔵🔵
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
役割分担も出来ていないとなりますと、先行き不安ですねぇ。
何とかしませんと。
『FLS』で『FPS』を召喚しパルニーさん達の動向と性質を探知、『刀』を抜き【剴畺】を発動して『斬撃結界』を形成、出来る限り『バグ個体』のみを対象に纏めて[切断]しますねぇ。
範囲外だった個体が『とびつく』為には接敵距離まで近づく必要が有る以上、確実に『斬撃結界』内に入ることになりますので、即[カウンター]で迎撃可能ですぅ。
初心者さん達に或る程度近づき、彼らの周囲が『結界』の内側に有る様にすれば『バグ個体』に叩かれる前に仕留められますので、『非バグ個体』は出来るだけ彼等に倒して頂きつつ護りましょう。
●いざ、稼ぎ時
回復を済ませ、本来の力を取り戻した初心者達。彼らは、なんやかんやあって今まで倒して来たパルニーのこともあって、微妙にレベルが上がっていた。そのせいで、ゲーム開始時点よりも強さを実感できており、戦いにも臆さず向かえるようになった……のは、良いのだが。
「おりゃぁぁぁぁっ! くたばれぇぇぇぇっ!!」
ハンマーを持った少女が、近づくパルニー達を豪快に打ち据えて行く。どうも、彼女が三人の中では、一番血の気の多い人物のようであり。
「……まとめて斬り捨てる!」
両手に剣を持った少年が、これまた次々とパルニーを斬り捨てて行く。攻撃に特化した職業の利点を生かしているといえば聞こえは良いが、実際は防御など考えずに突貫しているだけである。
「食らえ! 必殺の上段斬りぃぃぃぃっ!」
最後の一人は、これまた大仰な構えを取ると、手にした剣をパルニーへ叩きつけた。見た目はカッコいいが、どう考えてもオーバーキル。その分、隙を晒していることになるため、これはこれで色々と危ない。
(「役割分担も出来ていないとなりますと、先行き不安ですねぇ。何とかしませんと……」)
そんな彼らの様子を、夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)は心配そうに見つめていた。
レベルアップしたとはいえ、彼らの実力でバグプロトコルを倒すのは不可能。おまけに、今の彼らは完全に調子に乗っており、このままではいつ危険に晒されるとも限らない。
「大いなる豊饒の女神、あなたの使徒に『剣王の加護』をお与え下さいませ」
こうしてはいられないと、るこるは自ら脱力する代わりに、斬撃の結界を展開しつつ初心者達の前に降り立った。瞬間、本物に紛れて彼らに襲い掛かろうとしていたバグプロトコルだけが、無残にもバラバラにされて行く。
「大丈夫ですかぁ? 油断は禁物ですよぉ」
「なんだ!? また、上級者の助っ人か!?」
一度に複数のパルニーが粉砕されたことで、剣士の少年達は驚いていた。その一方で、ハンマー少女はるこるの胸元へ明らかな羨望の眼差しを向けていたが、それはそれ。
「くっ……わ、私だって、Tを稼いで課金しまくれば、バインバインのスキンに……」
どうやら、重課金した上でその全てを新スキンの入手に使おうとしているようだ。武器や防具の強化よりも見栄の方に意識が行ってしまう辺り、彼女もまたド初心者であることに疑いはないが。
「あのぅ……あまり、お喋りしている暇はないと思うのですが……」
そんな中、るこるは三人を制して改めて敵のいる方へ指を差す。彼女の結界は『バグプロトコルにだけ』効果を発揮するよう調整されたものなので、当然のことながら普通のパルニーは素通しなのだ。
「げっ……! もしかしなくても、討ち漏らしがいたってやつ!?」
「仕方ない。こいつらを全部片づけないと、次のクエストに進めそうにないしな」
ここから先は任せてくれと、初心者達は再び前に出た。もっとも、るこるも今回は止めなどしない。今までの戦闘でかなりのレベルアップを果たしていたので、本物のパルニーにやられるような冒険者ではないと判断したのだろう。
(「ここで手を貸すより、少しでも自分達の力で経験値を稼いでもらいませんと……」)
多少、心配な部分もあるが、それでもるこるは彼らを成長させる方へと賭けた。果たして、その判断は正しかったようで、バグプロトコルではないパルニーに達は初心者達の手により一匹残らず討伐されたのであった。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 冒険
『狩りに行こうぜ!』
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POW : 敵の群れに突っ込んでいき、一気に討伐ポイントを稼ぐ
SPD : 通常の戦闘だけでなく、トラップも併用する事で少しずつ討伐ポイントを稼いでいく
WIZ : 討伐ポイントの高いレアモンスターを探し、一発逆転を狙う
👑7
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●危険な黄金モンスター
パルニーの群れを一掃し、初心者達はようやく一息吐くことができた。
ここに来るまで、幾度となく彼らは猟兵に助けられた。まさか、最初も最初でここまで苦戦するとは思わなかったようだが、それでも経験値を稼いだ結果、彼らはステータスの上ではそれなりに強くなっていた。
「まあ、ここまで強くなれば、後は余裕かな? もう、パルニーなんかに負けないだろ」
「そうだな。この調子で、さっさとボスを倒してお宝をいただこうぜ」
既にバグプロトコルではないパルニーであれば一撃で倒せるまで成長したせいか、少年二人は先程までの情けない表情はどこへやら。それはハンマー少女も同様であり、もう何も怖くないといった感じで、さっさと先へ進んでいた。
「ほら! 『キリオ』も『しりねこ』も、二人とも早く来なさいよ!」
「ああ、分かった! どうやら、こっから先はボーナスステージみたいだしな」
ハンマー少女の言葉に、少年達も後に続く。名前が少しばかり妙なのは、ゲーム内で使用しているプレイヤーネームだからだろうか。
「そういう『あみゃね』も気をつけろよ。大振りかましたところに反撃食らったら洒落にならねぇぞ」
「はぁ? そんなもん、やられる前に一撃必殺で粉砕すれば余裕っしょ!」
仲間からの忠告を鼻で笑い飛ばし、ハンマー少女が自身に満ちた表情を浮かべる。だが、彼らは知らなかった。目の前に現れた新たなモンスターの中にもバグプロトコルが紛れていることを。そして、それは他でもない、討伐ポイントが最も高いモンスターであることを。
「くれ~、くれ~」
「かねくれ~」
全身金ぴかで袋を背負った、いかにも『倒せば大量のお金と経験値もらえるぞ!』みたいなモンスターが、初心者達を誘うかの如く挑発している。しかし、そんなボーナスモンスターの正体こそバグプロトコル! 調子に乗った初心者達が迂闊に手を出さないよう、彼らに先んじて仕留めてしまった方が良さそうだ。
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●初心者チーム
ここから先は、参照するステータスによって同行できる初心者が決まります。
彼らがやられないよう、彼らの性格や特徴をよくつかんだ上で、バグプロトコルだけを倒してください。
【POW】
ハンマー少女の『あみゃね』に同行します。
防御など考えず、豪快にハンマーをブン回して敵を粉砕しますが、短気で過信気味なところもあります。
【SPD】
二刀流剣士の『キリオ』に同行します。
チート無双に憧れており、攻撃とスピードに特化した戦い方をしますが、レベルが低いので思ったより無双はできないようです。
【WIZ】
『しりねこ』に同行します。
それなりに色々とゲームの知識はあるようですが、腕前は微妙。
武器も戦闘スタイルも平凡で、知識だけ先走っている感じです。
なお、なんやかんやでバグプロトコルは猟兵が殲滅することになるため、猟兵が同行しなかったメンバーが死ぬことはありません。
夢ヶ枝・るこる
■方針
・POW
・アド/絡◎
■行動
何やらあみゃねさんの視線が痛いですが。
『FLS』で|使用する『祭器』《非装備品含む》を召喚しまして。
『FPS』で敵味方の動きと「バグプロトコル(以下BP)」の位置を探知しますぅ。
そして『FTS』から取出した『飛礫』等の投擲武器複数を手に【斂抛】を発動し纏めて射出、軌道変更でBPのみを狙い撃ちしますねぇ。
後は探知を継続しBPの出現時は同様に対処、普通の相手はあみゃねさんに。
その上で、敵方の動きに合わせ『刀』による受け流しと[カウンター]で彼女をガードしつつ油断を指摘、守りの大切さを教えますぅ。
『回避』『銃装甲』等の具体的手段は、動きを見て向いた方法を探りますねぇ。
イリスフィーナ・シェフィールド
ふむ……あみゃね様は気が強そうなので普通に同行してボーナスキャラだけ倒すと独り占めしないでと食ってかかられそうですわね
ここはどちらが多く敵を倒してポイント稼げるかという勝負をもちかけましょう
前の戦闘で派手に倒してますので引かれる可能性もありますがその場合は自信ありませんかといえば乗ってくれる気がします
後はシャドウ・モードを発動してバグプロトコルだけを狙ってあみゃね様より先に撃破していきます
勝負ですものポイント高い敵を狙って撃破するのは当然ですわよね
それと固いので簡単に倒せる雑魚のほうが結果ポイント稼げそうですわよと助言もしておきましょう
納得しないなら即救助入れるようにして叩かせても良いですけど
●経験値はコツコツと
ボーナスステージにさえ潜む、危険なバグプロトコル。レベルこそ上がったものの、それでもまだまだ色々な意味で初心者な者達に、この難敵を相手にさせるのは荷が重い。
できることなら、早々にバグプロトコルだけを撃破したいものである。だが、厄介なのはバグプロトコルに変換されたモンスターに限って、ドロップする資金や経験値がやたら多いということだ。
「ふむ……あみゃね様は気が強そうなので、普通に同行してボーナスキャラだけ倒すと独り占めしないでと食ってかかられそうですわね」
「それに……なにやら、こちらへの視線が痛いですぅ」
イリスフィーナ・シェフィールド(女神様の巫女兼|スーパーヒロイン《承認欲求の塊》・f39772)と夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)の二人は、顔を見合わせてなにやら相談している。
今のところ、一番危なっかしいのはハンマー使いの『あみゃね』だ。先程から、彼女はどうも沸点が低く、おまけに猪突猛進なところがある。放っておけばバグプロトコルへ一直線に突っ込んで行くことは想像に難くないが、しかし彼女に先んじてバグプロトコルを倒すだけだと、本当に経験値泥棒扱いされるかもしれない。
おまけに、あみゃねは自分のスタイルに自信がないのか、どうにも自分より豊満な女性陣を目の敵にしている節もあった。スキン次第でどうにでもなるゲームの世界において、身体的特徴をあれこれ羨むのはナンセンスなのだが……スキンを購入するにしても金が必要になるため、どちらにせよ初心者にとって、スキンを変更できるだけでも羨ましいのだろう。
「くれ~、くれ~」
「かねくれ~」
そんな中、これみよがしに挑発的な態度を取りつつ、こちらを挑発して来る金ぴかモンスター達。彼らは金の入った袋を背負っており、その姿は泥棒さながらだ。ゲームに疎い素人でも、あれを倒せば大量の金が手に入ることくらいは用意に想像できるだろう。
「はぁ、金くれですって!? 残念だけど、金になるのはアンタ達の方よ!」
案の定、あみゃねがハンマー抱えて金ぴかモンスターに突っ込んで行った。これが普通のモンスターなら好きに狩らせて構わないが、しかし相手はバグプロトコル。どう考えても、あみゃねの勝てる相手ではない。
「あら、抜け駆けはよろしくありませんわ」
「こういうのは、早いもの勝ちですぅ」
あみゃねが攻撃するよりも、先に、イリスフィーナとるこるがすかさず金ぴかモンスターを撃破する。もっとも、そんなことをすれば、憤慨するのはあみゃねだ。彼女からすれば、自分の獲物を取られたに等しいわけで、怒り心頭なのも分かるのだが……それでも、ここで下手に突撃させて、彼女を死なせるわけにはいかないのだ。
「まあまあ……。そういうことなら、どちらが多く敵を倒してポイント稼げるか勝負いたしませんか?」
「はぁ? 勝負って……上級者に敵うわけないでしょ! 何言ってんのよ!」
ポイント稼ぎ勝負を持ちかけるイリスフィーナだったが、あみゃねは先の戦いで猟兵達との実力差を感じているのか、どうにも納得していない模様。しかし、実力が低いからこそ、稼がねばならないのは経験値。そして、経験値稼ぎというものは、そもそも地道にコツコツと行うものであると、今度はるこるがあみゃねを嗜めた。
「どれだけポイントが高い敵でも、倒せなかったら意味はないですよぉ」
「う……わ、わかったわよ! 私はとにかく、その辺の雑魚を倒せばいいんでしょ!」
どうやら自分の立場を理解したのか、あみゃねは金ぴかモンスターを諦めて、その辺に蠢いている有象無象の雑魚敵を倒すのに集中することにしたようだ。さすがに、バグプロトコルではない雑魚であれば、いかに素人といっても負ける方がおかしいわけで。
「てりゃぁぁぁぁっ! 潰れろぉぉぉぉっ!!」
今までの苛立ちを全てぶつけるかの如く、あみゃねは雑魚をハンマーで叩き潰して行く。それを見たるこるとイリスフィーナは、あみゃねには内緒でこっそりとバグプロトコルを始末することにした。
「大いなる豊饒の女神、あなたの使徒に『収縮の加護』をお与え下さいませ」
投擲攻撃と浮遊兵器の合わせ技で、るこるは的確にバグプロトコルの位置を把握し、それだけを排除していく。その一方で、イリスフィーナは影に溶け込み、相手の死角からバグプロトコルを狙う。
「闇夜に沈む黒い影、シャドウ・モードですわっ」
「……っ!?」
一度でも彼女の姿を見たが最後、その先に待つのは混乱のみ。哀れ、困惑して敵も味方も分からなくなったバグプロトコル達は、何が何だか分からないまま、二人の猟兵によって着実に数を減らされてしまうのであった。
大成功
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メリーナ・バクラヴァ
ストーップ、です♪
(ボーナスに飛びつこうとする初心者ーズを片手で制します!…前段のパルニーアイテム大爆発でコゲッコゲの片手で)
私、覚えました!「美味しそうな物ほど危ない」ですよ?
…慎重にいきましょう?ねっ!
(スピード特化なキリオさん、多分放っとくと突出しますね?釘はいっぱい刺しますね!)
さあ、同じく前衛の皆さんの傍で戦いましょう!
死角を守り合って戦えば、怖い物とかありません♪
(台詞通りに猟兵達と連携しつつ、#22と#78の短剣を両手に)
逆に、目立つのは「攻撃してきて下さい」ってメッセージなので――このように準備万端な状態でいきましょう♪
(頃合いで見斬りの反撃を展開し、初心者防衛&周囲の支援を)
ティエル・ティエリエル
ふむふむ、あの金ぴかで目立ってるモンスターがバグプロトコルだな!
キリオには悪いけど、ボクが全部狩っちゃうぞ☆
キリオが見つけた金ぴかモンスターを【妖精の一刺し】で横取りだ♪
ふふーん、まだまだだね。そんな動きじゃ閃光みたいなボクの動きにはついてこられないよ♪
二刀流を極めるなら反復あるのみ、だよ!
ボーナスモンスター狙いじゃなく、地道に数を倒すのが一番の近道だ☆
※アドリブや他の方との連携も大歓迎です
●二刀流は一日にして成らず
全身金ぴかの、いかにも金持ちそうなモンスター。さも『狩ってくれ!』と言わんばかりにプレイヤー達を挑発してくるが、猟兵達はそれが罠だと知っている。
「ふむふむ、あの金ぴかで目立ってるモンスターがバグプロトコルだな!」
雑魚に紛れて現れた金ぴかの数を、ティエル・ティエリエル(おてんば妖精姫・f01244)は物陰からそっと数えていた。
数は、全部で5体ほどだろうか。そこまで多くないのが救いだが、しかし初心者達にとってはそれでも強敵。数的有利が向こう側にある以上、下手な突出は厳禁である。
もっとも、そんなことを考慮できるほど、初心者達はゲームに慣れているわけではない。ボーナスモンスターの姿を確認するや否や、二刀流剣士のキリオが防御も考えずに突っ込んで行くが、そんな彼をメリーナ・バクラヴァ(リスタートマイロード・f41008)が慌てて止めた。
「ストーップ、です♪」
先の戦いでわざとブービートラップに引っかかって見せたので、メリーナの片手は真っ黒焦げ。さすがに、そんなものを見せられれば、キリオとて足を止めざるを得ないわけで。
「私、覚えました! 『美味しそうな物ほど危ない』ですよ? ……慎重にいきましょう? ねっ!」
「お、おう……って、あぁっ! 俺のボーナスモンスター!」
メリーナに釘を刺されて納得した素振りを見せた瞬間、キリオが何やら叫び声をあげる。見れば、メリーナに止められて攻撃を躊躇っている隙に、ティエルがキリオの狙っていた金ぴかモンスターを討伐していたのだ。
「ふふーん、まだまだだね。そんな動きじゃ閃光みたいなボクの動きにはついてこられないよ♪」
「くっ……!」
レベル差があり過ぎる以上、今のキリオにはティエルを言い負かすだけの根拠がなにもない。ただ、歯噛みして黙る他にないのだが、そうこうしている間にも、モンスターは続々と現れるわけで。
「さあ、同じく前衛の皆さんの傍で戦いましょう! 死角を守り合って戦えば、怖い物とかありません♪」
赤と青の短剣を抜き、メリーナもまた二刀流でキリオの死角を庇うように立ち回る。リーチは圧倒的に彼女の方が短いが、それでも手数の多さとスピードを駆使して、敵に反撃の隙を与えない。
「……す、すげぇ……。なんだよ、あれ……どんなスキル使ってんだ?」
呆気取られるキリオの頭の中からは、既にボーナスモンスターを倒すことは消えていた。舞うようにして距離を詰めながら戦うメリーナと、先を読めない変則的な動きで翻弄するティエルが相手では、バグプロトコルも何もできないまま狩られるばかり。
「本当に弱いのと、弱そうに見せているのは、似て異なります。目立つのは『攻撃してきて下さい』ってメッセージなので……」
敢えて敵の前で隙を晒しながら、メリーナはキリオの方を振り向いて告げる。そんなことをすれば、当然のことながらバグプロトコルから狙われてしまうが、それこそがメリーナの作戦である。
「……このように準備万端な状態でいきましょう♪」
ここぞとばかりに華麗なカウンターを決め、最後の金ぴかモンスターを討伐してみせた。相手がこちらを誘うなら、自分もまた相手を誘えばいい。ただし、それができるのは戦いに慣れた者だけなので、まずは地道にレベルを上げてスキルを入手するか、あるいはプレイヤーとしての腕前を磨くか、そのどちらかしかないわけで。
「二刀流を極めるなら反復あるのみ、だよ! ボーナスモンスター狙いじゃなく、地道に数を倒すのが一番の近道だ☆」
「お、おう、そうだな……」
ティエルのアドバイスに、キリオは頷くことしかできなかった。本当なら、クールな台詞と共にカッコよく反論したかったのだが、それを許してもらえそうにないほどに、あまりにも実力の差が違い過ぎた。
なにはともあれ、まずはレベルを上げなくては! 一足飛びに強くなれないのは、ゲームでもリアルでも同じこと。
覚悟を決め、キリオは残る雑魚を相手に、確実に1対1の状況を作りつつ奮戦して行く。身の丈に合わない捨て身戦法は封印され、少しは初心者としての自覚が芽生えたのは幸いだった。
大成功
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第3章 集団戦
『ジェットソード』
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POW : ソードアンドビーム
【原始的な形状の剣】が命中した敵を【宝石からの魔力光線】で追撃する。また、敵のあらゆる攻撃を[宝石からの魔力光線]で受け止め[原始的な形状の剣]で反撃する。
SPD : バグプロテクター
【弱点の宝石を覆うバグの塊】を召喚装着し、無敵になる。ただし視覚外からの攻撃は回避不能となり、防御力も適用されない。
WIZ : 超高速斬り
速度マッハ5.0以上の【斬撃】で攻撃する。軌跡にはしばらく【宝石色の輝き】が残り、追撃や足場代わりに利用できる。
イラスト:V-7
👑11
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●最弱を騙る悪魔
練習ステージとボーナスステージを攻略し、初心者集団はそこそこのレベルアップを果たしていた。
これで、後はボスを倒すのみ。ボスは草原の奥にある横穴……ディセントケイヴの岸壁に空いた洞窟に潜んでいるということで、彼らは躊躇うことなくダンジョンの中へと足を踏み入れる。
「おっ! あそこにいるのが討伐対象のボスだな」
「今までの敵と比べれば強そうだけど……それでも、倒せない相手じゃなさそうね」
キリオもあみゃねも、自分達が強くなったことを実感し、ボスに臆する様子はない。実際、彼らはボスを撃破するには十分な程にレベルアップしており、おまけに肝心のボスも大した強さは持っていない。体格こそプレイヤー達の3倍近くあるものの、手にしているのは木を削って作っただけの棒であり、それ以外は皮の腰巻を装備しただけの鬼だった。
「知能もそこまで高くなさそうだし、単にデカいだけのゴブリンってところか? それにしちゃ、周りに湧いている雑魚の方が、ちょっと面倒な感じだけど」
そう言って、しりねこが辺りを見回せば、なるほど確かに周囲には、剣を持った豚のようなモンスターが大量に湧いている。こいつらを倒しながらボスの相手をするのは面倒かもしれないが、それでも一点突破で撃破すれば、三人でも余裕でクエストをクリアできそうだ。
「よし! 行くぞ、二人とも! いつまでも上級者に甘えてちゃダメだ!」
「ええ、そうね。ボスくらい私達でやっつけなかったら、何のためにクエスト受けたのか分からなくなるわ!」
「確かに……手伝ってもらったお礼はしないとだけど、メインのクエスト報酬渡すわけにはいかないからな」
まずはキリオが先陣を切って突撃し、あみゃみとしりねこもそれに続く。だが、猟兵達は直感的に気づいていた。最後の最後で待ち構えていたバグプロトコルは、他でもない周囲の雑魚であるということを。そして、その戦闘力は正規のボスよりも強く、今の初心者達では束になっても敵わないということを。
「ギ……ギギ……」
「ココハ……トオサン……」
ボスを守るかのようにして、雑魚敵のふりをしたバグプロトコル達が集まって来る。彼らの相手を初心者達にさせるわけにはいかない。ボスを安全に初心者チームに撃破してもらうためにも、危険なバグプロトコルを撃破して、しっかり露払いしてあげよう。
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
さて、大詰めですねぇ。
「露払いは引受けますので、ボスをお願いします」と言う形で、初心者さん達に「周囲の相手」を引受けることを伝えまして。
『FPS』で相手の動きを把握、『FMS』のバリアを障壁に使い初心者さん達への干渉を妨害、私自身への攻撃は『FLS』の空間歪曲で防ぎますねぇ。
そして【乳霹宙】を発動、バグプロトコルのみを対象に、広域への[範囲攻撃]を行えば、『雷球』に捕えることでそれ以上の攻撃や干渉を防げますし、『雷』であれば『受けからの反撃』も難しく、仮に出来ても『光線』なら空間歪曲で逸らし易いですので。
後は各攻撃用『祭器』で[追撃]し、拘束が解ける前に排除しますねぇ。
メリーナ・バクラヴァ
よーしっ、これぞチームワーク、役割分担です!
ここは私達に任せて、先にお行きなさーいっ♪
(雑魚さん引き受けました!と、笑顔で初心者組は送り出し)
…さて。「本当に弱いのと、弱そうに見せているのは似て異なる」とはまさにこういう敵さんですね?
刃を携えて突っ込んでくる、つまり「私に注目して下さってる」敵さん達が相手です!
パッと両の短剣は手放して、UCを歌いましょう
単なる美しい舞であるかのように【演技】しつつ、斬撃や追撃をいなしながら、斬られようがニッコリ笑いかけ、彼らを圧倒してみせましょう!
…大丈夫ですよ?
歌ってるだけ。何もしませんよ?
|私は《・・》
では動きは鈍らせましたので、皆さんやっちゃって下さい!
イリスフィーナ・シェフィールド
アドリブ、合わせご自由に。
やる気満々でボスに向かう三人にそれでは露払いは
お任せですわと言ってバグプロトコルを相手しにいきます。
分身を呼び出して二人がかりでどちらかが死角から攻撃して取り巻きたちを撃破していきます。
また分身にきつめのお小言もらわないようにしっかり倒さなければと機を引き締めつつ挑みますわ。
ティエル・ティエリエル
ようし、あみゃね達に気持ちよくゲームを楽しんでもらうためにボス攻略のお手伝いだ☆
今までの冒険の経験を活かす時だよ♪
取り巻き達はボクにまかせろーとバグプロトコルを相手取るね♪
マッハで剣を振ってくる前に【妖精姫の括り罠】で転んじゃえー☆
倒れたところを「風鳴りのレイピア」で滅多刺しにしちゃうぞ♪
※アドリブや他の方との連携も大歓迎です
●最後は皆でカッコよく!?
ボスを守る取り巻きという体で、初心者チームに襲い掛からんとする雑魚集団……もとい、バグプロトコル達。
当然のことながら、彼らの攻撃を食らったが最後、初心者チームはその時点で昇天確実! もっとも、それを先んじて承知している猟兵達が、わざわざ見過ごすはずもない。
「露払いはお任せですわ」
「こちらで引き受けますので、その間にボスをお願いしますねぇ」
イリスフィーナ・シェフィールド(女神様の巫女兼|スーパーヒロイン《承認欲求の塊》・f39772)と夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)の二人が、咄嗟に敵の攻撃を受け止めた。確かに、強敵であることに違いはないが、それでも歴戦の猟兵達を前にしては、いかにバグプロトコルといえど分が悪く。
「すまない! そっちは任せた!」
「最後なんだし、美味しいところは私達で決めるわよ!」
初心者達は足を止められることなく、クエストのボスに一直線。こうなれば、後は勝ったも同然なのだが、しかし大量に湧いたバグプロトコルを放置しておくわけにもいかない。
「ようし、今までの冒険の経験を活かす時だよ♪」
「これぞチームワーク、役割分担です! ここは私達に任せて、先にお行きなさーいっ♪」
後方から初心者達を盛大に送り出し、ティエル・ティエリエル(おてんば妖精姫・f01244)とメリーナ・バクラヴァ(リスタートマイロード・f41008)もまた敵の足を止めるため前に出る。最後の最後で初心者達に華を持たせ、彼らにゲームの世界を安全に楽しんでもらうために。
●死亡フラグをブチ壊せ!
俺に任せて先に行け。大軍を前にそんな台詞を吐くことは、ともすれば分かりやすい死亡フラグになる展開。
だが、そんな安易なフラグを踏み抜くようなことは、今日に限っては決してない。なぜなら、個々の強さでは猟兵達の方が上回っているため、そもそもフラグの成立条件を満たしていないのだ。
「いつものような展開にはさせませんわよ! ……そこっ!!」
イリスフィーナの拳が、敵の弱点である宝石部分を正確に捉えて繰り出される。その攻撃を、バグの塊で弱点部位を覆うことで受け流そうとするジェットソードであったが、しかしそれはイリスフィーナにとっても織り込み済み。
「……っ! グゲェッ!?」
「ギャギャッ!?」
突然、バグプロトコル達が雄叫びを上げ、次々とその場に倒れ伏した。見れば、召喚されたもう一人のイリスフィーナによる攻撃か、死角から正確に急所を狙って炸裂していた。
「どうやら、今回はお説教せずに済みそうですわね。自分を囮にするとか、少しは立場も弁えられるようになったのかしら?」
「……っ! べ、別に、そのようなことは……! これは、たまたまですわ!」
もっとも、分身はあくまで冷めた視線をイリスフィーナに向けて、手厳しい言葉をかけてきたが、それはそれ。呼び出される度に本体のピンチを脱するための尻拭いをさせられる方からすれば、あまり考えなしに危険なことはして欲しくないのかもしれない。
「……さて。『本当に弱い』のと、『弱そうに見せている』のは似て異なるとは、まさにこういう敵さんですね?」
残る敵の集団を前に、メリーナの顔から一瞬だけ笑顔が消えた。
見れば、敵の繰り出す大半の攻撃は、るこるが正面から受け止めている。しかし、さすがに数が多過ぎるのか、彼女とて足止めで精一杯。雷球に閉じ込めて攻撃しようにも、ジェットソード達はその攻撃も剣で受け止め、謎の光線で反撃して来る。その光線を、るこるが空間湾曲で逸らすことで対応してはいるものの、このままでは余計な流れ弾が生じないとも限らないわけで。
「仕方ありませんね。ここは、私に注目していただきましょう」
そう言うが早いか、メリーナは手にしていた武器を放り投げ、唐突に歌を歌い始めた。乱戦の中においてはあまりに突拍子もない行動であり、これにはジェットソード達も面食らってしまったようで。
「聞いて? 優しい目をした子に出会えたの」
一斉に襲い掛かればよいものの、罠を警戒してなかなか一度には踏み込んでこない。
「それからいつも心が囁いてる」
歌い続けるメリーナの様子をじっくりと観察し、いざ斬り掛かろうと踏み込んでも、彼女はそれを躍るようにして難なく避ける。
「……皆は愛する人なしに生きられるの?」
モンスター相手には無意味とも思われる問いかけも、相手を戸惑わせるには十分なもの。そしてなにより、この歌を歌い続けることで、相手は既にメリーナの術中に嵌っている。
「……大丈夫ですよ? 歌ってるだけ。何もしませんよ?」
そう、自分は直接手を下さない。眩い笑顔と共にメリーナが告げれば、ジェットソード達は何故か彼女を斬れなくなっていた。改心したというよりも、笑顔の奥に潜んだ圧倒的な威圧感を感じ取り、身動きが取れなくなっていたといった方が正しいか。
「では、動きは鈍らせましたので……皆さんやっちゃって下さい!」
そう言ってメリーナが手を叩けば、ジェットソード達の動きが一斉に止まった。単に足を止めただけでなく、本当に指先ひとつ動かせなくなったのだ。
「ウ……ウゥ……」
「ギギ……ィィ……」
どれだけ優れた武器を持っていようと、まともに振れないのでは意味がない。それでも、中には拘束を振り切り、ヤケクソになって素手で突撃してくるような者もいるが、それはあまりに無謀な行い。
「そこだー! 引っかかっちゃえー☆」
間髪入れず、ティエルが発動させた括り罠のせいで、突撃してきたジェットソード達は一斉にバランスを崩して倒れてしまった。そこを逃さず、今度はるこるが追撃の稲妻を解き放つ。今度は拘束などという生易しいものではない。身動きの取れないところに雷を直撃させれば、受け身さえ取れずに真っ黒焦げだ。
「大いなる豊饒の女神の象徴せし欠片、その裁きの御印をここに」
「「「アギャァァァァス!!!」」」
凄まじい雷鳴が轟き、ジェットソード達の大半は物言わぬ消し炭と化して消滅した。オブリビオンとはいえデータ生命体なので、ドロップするアイテムや資金などを除けば、不要なデータ部分は倒された時点で消滅してしまうらしい。
「ギィ……ギギ……」
僅かに生き残った者は逃げの態勢に入ったが、当然のことながら逃げ場などない。素早く退路に回り込んできたティエルがレイピアを引き抜くと、ジェットソードの顔面を滅多刺し!
「そ~れ! 乱れ突きだ~☆」
いかに小さな剣先とはいえ、急所がいくつも存在する顔面を、四方八方から突かれれば堪らない。思わず武器を放り出し、顔面を覆うジェットソード。弱点の宝石は丸見えで、攻撃して下さんと言わんばかり。
「いきますわよ! 遅れたら承知いたしませんから!」
「ちょっ……! そ、それは、わたくしの台詞ですわ!」
左右から挟み撃ちを仕掛けるイリスフィーナと彼女の分身。どうも、分身に一番おいしい台詞を取られてしまったようだが、細かいことは気にしないでおこう。
「ぶるぎぇぁぁぁぁっ!!」
左右から同時に繰り出された拳に挟まれ、最後のジェットソードは汚い悲鳴を上げて消滅した。これにて、雑魚は全て掃討。猟兵達のミッションは完了し、後は初心者達の勝利を願うだけである。
●祝・初クエストクリア!
猟兵達がバグプロトコルを引き付けてくれたおかげで、初心者チームもまたボスとの戦いに専念できていた。今までの叩きで経験値を積んでいたこともあって、プレイヤーとしての腕前はともかく、ステータス的に彼らが負ける要素は皆無であった。
「ふんがぁぁぁぁっ!」
「甘いわよ! そんな木の棒切れ、弾き返してあげるわ!」
敵の繰り出してきた棍棒に対して、あみゃねがハンマーの一撃を合わせる。見た目に反して、パワーでは既にあみゃねの方が上になっていたのだろう。ボスは唯一の武器である棍棒を弾き飛ばされ、驚いた様子で後ろに下がり。
「逃がさないぞ! 怯んだ相手は隙だらけってね!」
間髪入れずに踏み込んだしりねこの剣が、ボスの腹に深々と突き刺さる。これでもう、相手のHPは憤然の灯! 後は逃さず止めを刺せば、それでクエストは完了だ。
「キリオ、任せた!」
「今回は美味しいところあげるわ! 感謝しなさいよね!」
最後の一撃は任せたと、あみゃねとしりねこがキリオを呼んだ。ともすれば厨二病を疑われるような服装の少年は、しかし二振りの剣を引き抜くと、そのまま高々と跳躍してボスの頭目掛けて振り下ろし。
「二人とも、助かる! よし……食らぇぇぇぇっ!」
盛大に敵の顔面を斬り裂いたところで、ついに限界を迎えたのかボスが倒れた。周囲にはボスの持っていたアイテムや金がバラ撒かれ、洞窟の奥にもいくつか宝箱が転がっているようだった。
「ふぅ……色々大変だったけど、なんとか有用なアイテムは手に入ったか?」
「あれ? そういえば、あの上級者さん達は?」
ふと、あみゃねが気づいて辺りを見回せば、そこにはもう猟兵達の姿はない。バグプロトコルを全て撃破した以上、ここから先は彼らのクエスト、彼らの物語。助っ人の自分達が最後まで残っていては無粋だろうと、早々に撤収していたようだ。
「誰だか知らないけど……今回は助けられちまったな。でも、俺達だっていつかは……」
自分も、いずれは上級プレイヤーとなって、困っている初心者達を助けられるほど強くなりたい。猟兵達と共闘した経験は、少なくともキリオの中では良い目標として刻まれたらしい。
大成功
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