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【ロシア戦線】紋章殺戮兵団から幸福の種を守れ

#獣人戦線 #ワルシャワ条約機構 #ロシア戦線 #紋章殺戮兵 #殺戮者の紋章

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 雪原の村が真っ赤に燃えている。
 木材と生物の肉が焦げた不快な匂いが周囲に充満する。
 村のあちこちで巻き起こる、音。音。音。
 泣き叫ぶ村人達はラうフルで狙撃されて倒れる音。
 杖から放たれた電撃魔法で黒焦げになる音。
 グレネードで親子が木っ端微塵に爆ぜてゆく音。
 ここは、地獄そのものだ。

「くそっ! これ以上やらせはしな、がはぁっ!」
 果敢にオブリビオンへ立ち向かったレジスタンスのシカ獣人の男の身体が粉々に吹っ飛んで死んだ。
 数時間前まで、ここは、貧しいけれどもささやかな幸せと共に獣人達が暮らす、小さな村だった。
 だが肉体に「殺戮者の紋章」と呼ばれる寄生虫型オブリビオンを埋め込まれた「紋章殺戮兵」大隊は、己等の最終覚醒のために「ひと掬いの幸せ」を出来る限り無惨に踏みにじる。
 そして「紋章殺戮兵」達……漆黒の竜の翼を背に生やした、異形の子供達は、踏みにじった命を糧に、完全体へと進化してしまうのだった。

 ――グリモアベース。
 悲劇の予知をグリモアから投影した蛇塚・レモン(白き蛇神憑きのシャーマンクイーン・f05152)は、招集に応じてくれた猟兵達に、今回の任務内容を伝達し始めた。
「獣人戦線のロシアにある、辺境の小さな村がオブリビオンに襲撃される予知を見たよっ! 今から転送すれば、まだ村を襲撃から守ることが出来るよっ! 肉体に「殺戮者の紋章」と呼ばれる寄生虫型オブリビオンを埋め込まれた「紋章殺戮兵」大隊から、村人さん達と密かにこの村に潜伏するレジスタンスの獣人さん達を助けてあげてっ!」

 まず猟兵達が転送されたあと、村の病院へ向かってほしいとレモンは告げた。
「そこには村を守って瀕死の重傷を負ったレジスタンスの獣人さん達が治療を受けている真っ最中なんだけど、村の医療技術ではもう先は長くないっぽくてね……? でも猟兵のみんななら、ユーベルコードで完治させることだって不可能じゃないはずだよっ! レジスタンスの獣人さん達は村の英雄だから、ひとりでも欠けてしまうとこの後の迎撃戦の士気が大幅に低下しちゃうっ! 戦線復帰まで行かなくても、一命は必ず取り留めてあげてほしいなっ!」
 猟兵達が治療を行うことで、身分をひた隠しするレジスタンス達の信用も勝ち取ることが出来る。
 まさに一石二鳥。レジスタンスの負傷兵を治療しない手はない。

「そうだっ! 現地はかなり寒いから、防寒具は持ち込むことをお勧めするよっ! 負傷者達への医薬品もあるといいかもっ? 転送の準備ができ次第、あたいに声をかけてねっ!」
 レモンはグリモアを輝かせて、獣人戦線への転送準備に入った。
 果たして、猟兵達は『一掬いの幸福』を守ることが出来るだろうか?


七転 十五起
 獣人戦線ロシア編です。
 ダークセイヴァーで登場した『殺戮者の紋章』が別世界で猛威を振るいます。
 なぎてん はねおきです。

●概要
 第1章は冒険フラグメント、襲撃される未来が待ち受ける獣人の村の病院を訪問します。
 そこにはワルシャワ条約機構軍に反旗を翻すレジスタンスのメンバーが瀕死の重傷を負ってます。
 今にも事切れそうな危うい容態の彼らを治療し、村人達とレジスタンスの信頼を獲得しましょう。

 第2章は集団戦フラグメントです。
 完全進化のために『一掬いの幸福』を無惨に踏みにじろうとする「紋章殺戮兵」大隊を殲滅します。
 埋め込まれた「殺戮者の紋章」によって戦闘力が大幅に強化されていますが、紋章は未完成のまま。
 猟兵が死力を尽くせば勝てる見込みのある相手です……!
 前章でレジスタンスの獣人達と協力関係を結べていれば、彼らの力を借りてより有利に戦ったり、住民の避難や保護を任せることが可能です。

 第3章は日常フラグメントです。
 前章で無事勝利できたのなら、村人達は「ひと掬いの幸せ」として狙われた、何らかの祝祭行事に猟兵達も是非参加してほしいと誘います。
 折角なので、猟兵達も祝祭行事に参加してみましょう。
 ちなみに、このシナリオで行われる行事は慰霊祭のようです。

 それでは、皆様のご参加をお待ちしております。
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第1章 冒険 『『奴が死ぬ時は戦争が終わる時だけ』』

POW   :    力の限り心臓マッサージを続け、獣人の生命力を呼び覚ます。

SPD   :    蘇生に必要な医学的処置を素早く施していく。

WIZ   :    戦友との絆を信じ、枕元で呼びかけさせる。

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 ――獣人戦線・ロシア辺境の小さな村にて。

 猟兵達は転送された直後、グリモア猟兵の指示に従い、村の病院へ向かった。
 そこで猟兵達が見たのは、おびただしい数の負傷者と彼らを治療して回る僅かな人数の医療関係者達だった。
「先生! 輸血が足りません!」
「鎮痛剤が切れかかってる! 在庫はもうないのか!?」
「誰か、早くこっちに来てくれ!」
 これはどういう事だろうか?
 猟兵の一人が病院の職員に話を聞いたところ、実はつい先日、隣村が「紋章殺戮兵団」に襲撃されたらしい。
 幸い、死者は出なかったものの、隣村は壊滅。
 隣村の人々は怪我人共々、この村に避難してきたおかげで病院の機能がパンクしているそうだ。

 恐らく、隣村の襲撃で死者が出なかったのは、負傷者の中にレジスタンスの獣人達が紛れ込んでいるからだ。
 だがこの野戦病院状態の喧騒の中、彼らを見つけ出すのは至難の業だ。
 こうなったら、猟兵達が『辻治療』をしまくって、彼らを救ってあげるのが手っ取り早い。
 そうすれば村人達と、その中に身分を隠して紛れているレジスタンスの獣人達の、両方の信頼を獲得できるだろう!
カシム・ディーン
…寧ろその状況で死者を出さなかった事じてーがすげーな
「獣人さん達は強いよね☆」
とはいえこのままだとやっぱりやられちまうな

準備
治療薬や医療器具や医薬品等を可能な限り用意

【情報収集・視力・医術】
現場の中で即対応が必要な負傷者の捕捉

【属性攻撃】
生命属性を付与しての体力の補助

特に怪我の酷い者達を確認して…集める

中々ひでー状況だな…だが問題ねー

「ご主人サマーあれ使うんだね☆」
ああ…しんどいがこの状況なら一番だろ

UC発動
ぎりぎりまで発動して獣人達の負傷を癒し続ける

レジスタンスだろうが誰だろうと関係はない
素となった医術の神とやらも無差別に治療してたらしいからな
「アスクレピオス君はそうだね☆」



 カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)が獣人戦線のロシアの小さな寂れた村の病院を訪れる。
 病床が足りずに所狭しと怪我人が無造作に床に並べられ、止血をされただけの処置で放置されている酷い有様。
「……寧ろその状況で死者を出さなかった事じてーがすげーな」
 カシムが劣悪な医療体制に顔をしかめていると、相棒のメルシーは場にそぐわぬ明るさを振り撒く。
「獣人さん達は強いよね☆」
「ああ。とはいえ、このままだとやっぱりやられちまうな」
 レジスタンスの獣人達の所在がつかめぬ今、村の護り手がほぼ皆無と言っていい。
 猟兵達も守る相手が多すぎて身動きが取れなくなってしまう。
 故に、カシムとメルシーがやるべきことは決まっていた。
「他の世界から一般医薬品を買い込んでおいて正解だったな……」
 いわゆる市販薬(OTC医薬品)だが、ないよりは随分とマシだ。
 買い込んだ市販薬の袋を提げて、カシムは慌ただしく治療するキツネの医者へ声を掛けた。
「おい、お前……医者だよな? 僕は猟兵で天ッ才魔術盗賊のカシムさんだ。手が足りないならユーベルコードで治療を手伝う。それと、異世界から薬を買い込んでやった……使い方が分からない物は、こっちのメルシーに聞け」
「メルシーも治療のお手伝いするぞ☆」
 いつの間にか服装をミニスカナース服に再錬成して着替えを済ますメルシー。
 狐の医者が胡散臭そうなメルシーを一瞥しつつも、重傷者を診てほしいとカシムへ願った。
 カシムは賢明な判断だと内心で狐の医者を評価した。
(まー、だよな……手遅れ寸前の怪我人に時間を費やすよりも……軽傷者を数多く治療したほうが効率もいいし救える人数も多いからな)
 カシムは看護師の案内で、危篤状態の重傷者が集められている区画へ急ぐ。
 そこはまるで地獄そのものだった。
 体中が血液で真っ赤に染まっている者や身体の一部が欠損している者、意識を失いかけている者など、この劣悪な環境の下では見捨てる事しかできなかった怪我人たちだ。
「中々ひでー状況だな……だが問題ねー。よし、メルシー、やるぞ」
「任せてご主人サマ! あれを使うんだね☆」
 メルシーの言葉に、カシムが渋い顔のまま首肯する。
「ああ……使うとしんどいし僕が死ぬ危険性があるが、やるしかねー」
 カシムはメルシーと魔力回路のリンクを強めると、ユーベルコードを発動させる。
「ポロンソウル……リンク開始……ナノマシン……起動……システム『アスクレピオス』起動……! 太陽神の子よ、万物を癒せ……!!」
 対病根絶機構『医術の神の子』起動!
 メルシーの体内から治療型ナノマシンを放出すると、おびただしい数の致命傷患者達の負った怪我がたちまち
『無力化』してゆく。
 まるで怪我を否定するかのように、肉体欠損は急激な自己再生で補われ、傷口もあっという間に塞がり、失われた血液もナノマシンで補填されていく。
 まさに奇跡の癒し手である。
「レジスタンスだろうが誰だろうと関係はない。素となった医術の神とやらも無差別に治療してたらしいからな」
「アスクレピオス君はそうだね☆」
 メルシーはこのユーベルコードの元の使い手の神機の名を口にして微笑む。
 最大145秒間の治療で、村人たちの多くが救われたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

スイート・シュガーボックス
(エリア外から高速飛行で来る幻惑神機ディオニュソス)

ディオちゃんに搭乗してエントリーだッ!
「うわッ!?怪我人いっぱいじゃん!?」
この村の人達を治療しないとね。その為には何が必要か。
薬?包帯?湿布?いや違う。
そう、お菓子だねッ!(ドドンッ!)
と、いうわけでディオちゃんお願いッ!
「がってんしょうち☆」

(ディオニュソスのコクピットから勢い良く射出されるミミック。
そしてミミックの足裏から噴射されるジェット。)
負傷者の怪我も医療関係者の疲労も回復ッ!【飛翔する箱零れてくる幸せ】ッ!

みんなああああッ!おやつの時間だああああッ!


(お菓子を十分ばら蒔いた後、どっかに飛んでいってしまうミミック)


【アドリブ歓迎】



 突如、寂れた獣人の村の上空から舞い降りる黄金のキャバリアに辺りは騒然とする。
 キャバリアの名は幻惑神機ディオニュソス。
 その乗り手であるスイート・シュガーボックス(おかしなミミック・f41114)は、村の惨状を確認すると即座に行動を始めた。
「大丈夫だよッ! 俺が来たからにはもう安心だからねッ!」
『てか怪我人いっぱいじゃん!』
 ディオニュソスが血塗れの怪我人達が病院の外で大量に横たわっている光景に悲鳴を上げてしまう。
 病院に収まり切れないほどの被害が出ている事態に、スイートは使命感に燃える。
「早くこの村の人達を治療しないとね。その為には何が必要か。薬? 包帯? 湿布? いや違う。そう、お菓子だねッ!」
 ドドン!と効果音が聞こえてきそうな勢いで断言するスイートに、獣人の村人達は総じて首を傾げてしまう。
 だがお構いなしにスイートは“治療”を開始した。
「と、いうわけでディオちゃんお願いッ!」
『がってんしょうち☆ 了解道中膝栗毛☆』
 するといきなりディオニュソスの胸部コクピット内部から、お菓子の缶箱ミミック猟兵が空中へ射出されたではないか。
 更にそのいたいけな膝小僧を覗かせるおみ足の裏から、ユーベルコードのジェット噴射で空中飛翔しはじめたのだ。
「皆に届けッ! 俺のお菓子ッ! |飛翔する箱零れてくる幸せ《ジェットボックス》」
 スイートは空中を飛び回りながら、沢山の美味しいお菓子を散布してゆく。
「みんなッ! 俺のお菓子は、食べると怪我が治るんだ! 疲労回復効果もあるから、お医者さんと看護師さん達はおやつ食べながら怪我人達にも食べさせてあげてッ!」
 怪我人達は自力で食事がままならない者も数多くいるため、僅かな人数の看護師と医師だけで駆け回るので手いっぱいだった。
 そこへ疲労回復効果があるおやつを口にすれば、あまりの美味しさに3倍の能率でバリバリ働き始めた。
 当然、怪我人達もたちまち動けるようになり、病院関係者達を手伝い始めた。
 こうして徐々に動ける者達が増えてゆけば、怪我人達が病院の外で放り出される数も減少してゆくはずだ。
 ちなみにディオニュソスは自身の権能で高濃度・高純度アルコール液体を生成して病院へ提供していた。
「飲めないお酒を造るのも偶にはいいかなってね? 消毒用につかってね!」
 喋る黄金の神機に、村人達は揃って感謝の言葉を口にしていた。
 その傍らで、スイートがテンション上がって叫んでいる。
「みんなああああッ! おやつの時間だああああッ! って、ウワアアアアッ! ディオちゃん止めてーッ!」
『ちょ、スイート君、どこ行くん!?』
 スイートは勢い余ってジェット噴射の力加減を間違えて明後日の方向へすっ飛んでいってしまう。
 慌てたディオニュソスがそれを追い掛けてゆかざるを得なくなってしまった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

空桐・清導
【鋼獣小隊】POW
アドリブ大歓迎

「行くぞ、エド。ここに居る人達、全員助け出す。
それがオレ達の最初に為すべきことだ。」
そう、決意を抱いて歩みを進める

そして、重傷患者、そして医師達の肩に手を置く
「よくぞ、よくぞここまで頑張ってくれた。
アンタ達のおかげでオレ達は間に合った!
ここに居る全員、救い出すぞ!」

UC発動
その手に見ているだけで心安らぐような黄金の焔を纏う
そのまま患者の身体に触れると一瞬のうちに
患者に不幸を与えている傷と心の痛みを焼き払う
そこに痛みは微塵もなく、
太陽に照らされたような暖かさを感じるばかり

エドはシチューを作ったのか
心も体も温めて癒やす良い料理だ
「さあ、腹減ったろう?飯にしようぜ!」


エドワルダ・ウッドストック
【鋼獣小隊】
アドリブ連携歓迎

現地獣人への救援ですわね。
ええ、清導。民を、人々を助けるのは、猟兵として当然のことですわ。
参りましょう。

UC発動。わたくしの肉を手づから切り裂いて用意しますの。
これを食べればどんな負傷でも治療できますわ。
……問題は、獣人戦線では肉食忌避の傾向にあること。
前線で戦うわたくしたちはいざ知らず、村人の方には嫌悪されるかもしれません。
なので徹底的に刻んで原型を失くしてシチューに混ぜましょう。
知らずに食べてしまえば問題はありませんわ。合理的欺瞞!

もしかしたら、風味から察する方がいるかもしれませんが。
それは戦場に出たことのある方……レジスタンスの獣人ということになりますわね?



「行くぞ、エド。ここに居る人達を、全員助け出す。それがオレ達の最初に為すべきことだ」
 空桐・清導(ブレイザイン・f28542)は村に到着するとすぐに病院へ歩みを進める。
 後ろから追従するシカ獣人のエドワルダ・ウッドストック(金雀枝の黒太子・f39970)は、空桐の言葉に首肯した。
「現地獣人への救援ですわね。ええ、清導。民を、人々を助けるのは、猟兵として当然のことですわ。参りましょう」
 病院へ近付くにつれ、濃い血の匂いが風に乗って二人の鼻腔を刺激する。
 そして実際に病棟を目視すれば、病院の外にまで怪我人が溢れ返っている惨状に二人は思わず顔をしかめた。

 辺鄙な村の病院には似つかわしい血都市の香りが充満する病棟内で、医療関係者が疲労困憊になって駆け回っていた。
 空桐はそのうちの一人に声をかけた。
「よくぞ、よくぞここまで頑張ってくれた。アンタ達のおかげでオレ達猟兵は間に合った! ここに居る全員、救い出すぞ!」
 大声で叫んだのは、不安で押し潰されそうになる医療関係者達を安堵させるため、そして重傷患者達に希望を持たせるためだ。
「では、わたくしは調理場をお借りします。申し訳ありませんが、決して中を除かぬようお願い申し上げますわ」
 エドワルダはたおやかに微笑みながら、空桐と別行動をとった。
 これも事前の打ち合わせ通り。
 エドワルダがこれから行うことは、決して誰にも見られてはいけない禁忌行為だからだ。

 幸い、調理場まで患者を押し込むような事がなくてエドワルダは安堵した。
「では、始めましょうか」
 エドワルダは調理場の戸棚を物色すると、お目当ての品を発見する。|糧食《レーション》だ。
 この果実や穀物から作る食材の元を加工することで、獣人戦線の獣人達は日々の食事を賄っている。
 裏を返せば、獣人戦線では肉食は|禁忌《タブー》とされている。
 それは獣人戦線出身のエドワルダが一番理解しているのだが。
「糧食だけでも十分な栄養は補給できますが、わたくしのユーベルコードで治療するには誰にも見られてはいけませんわね」
 彼女は至極当然の如く、自身の肉体を手ずから引き裂いてまな板の上に1ポンド(約450g)分を乗せる。
「さあ、これを食べればどんな負傷でも治療できますわ」
 これがエドワルダのユーベルコード『聖餐儀式』。
 調理場の床をだまりで濡らす彼女も自身の肉を喰らえば、無限にユーベルコードを理論上は発動できる。
 いや、今は問題はそこではない。
「前線で戦うわたくしたちはいざ知らず、肉食を忌避する村人の方には嫌悪されるかもしれません」
 むしろバレたら強く反発されて袋叩きに合うのが目に見えている。
 故に、エドワルダは自身の身体から引き裂いた肉を包丁で細かくミンチにしてゆく。
「徹底的に刻んで原型を失くしてシチューに混ぜましょう。知らずに食べてしまえば問題はありませんわ。合理的欺瞞!」
 こうして、エドワルダ産シカ肉シチューが着々と完成を迎えようとしていた。

 一方、空桐はその手に見ているだけで心安らぐような黄金の焔を纏う。
「オレは誰かを助けるヒーローだ! それはキミも例外じゃない!! だから待ってな。今、解放してやる!!」
 重傷患者の怪我や医療関係者の疲労など、各々の『幸せを阻害する要素』を除外してゆく空桐。
 彼らの身体に触れ、伝播してゆく黄金の焔が一瞬のうちに不幸を与えている傷と心の痛みを焼き払う。
 そこに痛みは微塵もなく、太陽に照らされたような暖かさを感じるばかり。
「おにいちゃん、手、温かいな……」
 ウサギ獣人の幼い女の子は、さっきまでの泣き顔が嘘のように穏やかな表情で眠りこけていった。
「さあ、オレがどんどん治す! まずは動けない怪我人からだ!」
 空桐は医者がさじを投げたようなトリアージ・タグの深刻度が酷い順から癒して回る。
「よし、次だ! ん? この匂いは……?」
 その時、血と消毒液以外の芳香が院内に漂ってきた。
「皆様、わたくし、温かいシチューを作って参りました。よろしければ召し上がってくださいませ」
「エドはシチューを作ったのか。心も体も温めて癒やす良い料理だ」
 打ち合わせ通り、自然体で空桐はエドワルダの振る舞いを受け入れる。
「さあ、腹減ったろう? 飯にしようぜ!」
 治療が済んだ患者や元気を取り戻した医療関係者らは、エドワルダのシチューを配膳されると夢中になって食していった。
「ああ……美味しいですね!」
「美味しすぎてなんだか、傷の痛みが引いてくような気がするぞ?」
 よもやシカ肉が入っているなんて思いもしないだろう。
 調理したエドワルダはニコニコしながら器にシチューをよそっていく。
「まだまだお代わりがありますわ。遠慮せずお申し出くださいませ」
 多くの獣人達が殺到する中で、数名がエドワルダへ殺意を向ける者がいる事を彼女は気付いていた。
 そのうち、羊獣人の男がエドワルダへ器を返却しに来た。
 彼はエドワルダを悪魔か何かのような目つきで睨んできた。
「……動けるようにしてくれた恩義はある、借りも返す。だが……このやり方は認めねぇぞ、キチガイ女」
 それは明らかに肉を食わされた事への憎悪だった。
(あらあら、嫌われてしましましたわね……ですが、それを理解できるという事は、貴方様も戦場で経験おありなのでしょうね?)
 レジスタンスの獣人の接触を果たせたことで、二人の目的はおおむね果たせたのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

鈴乃宮・影華
「大戦」を知らない小娘ではありますが
「ひと掬いの幸せ」くらいなら、なんとか手を届かせてみせましょう


年中季節感無視でマフラー巻いてる私ですが、向かう先はロシア
戦闘もある訳ですし『フォルティストラ』を着用します

さて、戦時下の病院が求めるような医薬品は
残念ながら現代日本の一般的なドラッグストアでは買えないでしょうね
なので野戦病院状態の喧騒に紛れて問答無用の指定UC起動
最早払い除ける力も無い重傷患者へと容赦なく襲い掛かる黒いナニカ――
我ながら凄まじい絵面ですが、これでどんなに瀕死でも動ける様になります

これを片っ端から繰り返して行けば
人気の無い所でレジスタンスが接触してくれる……といいのですが



 鈴乃宮・影華(暗がりにて咲く影の華・f35699)は防寒対策を済ませて転送に臨む。
「年中季節感無視でマフラー巻いてる私ですが、向かう先はロシア。戦闘もある訳ですし『フォルティストラ』を着用していきましょうか」
 こうして件の村の病院前へ到着した影華は、あまりの凄惨ぶりに目を疑った。
 怪我人が病院の外で野晒しにされており、もはや生死の区別もつかない地獄。
「……『大戦』を知らない小娘ではありますが。それでも『ひと掬いの幸せ』くらいなら、なんとか手を届かせてみせましょう」
 改めて意を決して病院のエントランスへ足を踏み入れる。
 最初から影華は他世界での世間一般に流通するOTC医薬品は此処で役立たないと判断して持ち込んでいない。
 故に、問答無用の治療系ユーベルコードを病院内で展開してゆく影華。
「我が友の教えを此処に――顕現せよ、回帰の呪! |神斬蟲・黒燐奏甲《ディバインブレイド・イマジンドレス》!」
 半径内143mに存在する怪我人らへ大量の黒燐蟲の群れが覆い被さる。
 病院内は一瞬だけパニックに陥るが、それはすぐに収まり、代わりに歓喜の声で溢れ返った。
「すごい! 吹き飛んだ片足が再生したわ!」
「指が全部元通りになったぞ!?」
「目が、目が見える!」
 黒燐蟲が注入された患者達は、あらゆる物質・非物質を問わない原状回復効果によって健常な身体に戻っていく。
「最早払い除ける力も無い重傷患者へと容赦なく襲い掛かる黒いナニカ――我ながら凄まじい絵面ですが、これでどんなに瀕死でも動ける様になりますから、皆さん、少し我慢してください」
 その効果は絶大すぎたおかげで、小さな子供でも鳴かずに真っ黒な蟲の群れに塗れてゆく。
 暫く治療を行っていくと、オオカミ獣人の女性から紙片に走り書きされた「手紙」を受け取る影華。
 そこには感謝の言葉と、レジスタンスの獣人達からの共闘の依頼が記されていた……。

成功 🔵​🔵​🔴​

箒星・仄々
紋章を成長させるために
人々の命や未来を奪おうとは
なんという非道でしょう
絶対に見過ごせません

オブリビオンさんを海へと導き
村を守り抜きましょう

転送前に
できるだけ医薬品をいれた救急箱を準備したり
改めてロシアの有名な歌曲を予習します

防寒具を着込みましたら転送

病院の方へ救急箱をお渡ししましたら
早速コンサート開始です
こういう大変な時だからこそ
音楽は力になれると思うのです

まずはみなさんご存知の有名な曲
ロシア民謡とかをメドレーで演奏します
皆さんがつい口ずさむ曲がいいですね

それぞれのお心に
勇気が湧いて来たり
懐かしい思い出が蘇ったり
穏やかで静かな心もちになったりされるでしょう

そして同時に傷も癒えていきますよ♪

リクエストも受けつけます
その方の故郷で親しまれている曲
その方の青春時代の曲など

共感が強い程
怪我の治りも速いはずです

怪我人がいなくなるまで
演奏を続けます



 箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)は目の前に広がる地獄の光景に、思わず憤慨してしまう。
「こんな事、絶対に見過ごせません。紋章を成長させるために人々の命や未来を奪おうとは、なんという非道でしょう」
 血と消毒液の香りが充満する村の小さな病院で、防寒着に包まれた箒星は寒さなど忘れ去っていた。
 いてもたってもいられなくなり、箒星は院内の受付へ向かってゆく。
「オブリビオンさんを骸の海へと導き、村を守り抜きましょう。そのためにも、まずは院長先生にお会いしなくては」
 箒星は病院側へ慰問コンサートの許可を取るべく行動する。
 彼の歌声はユーベルコードとなって、共感した人々全ての傷病を治療するのだ。
「はい、というわけで、許可をいただけませんか?」
「分かりました、院長へ取り次いでみますので少々お待ちください」
 受付のウマの女性が何処かへ電話を掛ける。
 こうして、十数分後に院長が直に箒星と面会しに駆け付け、慰問コンサートを許可してくれた。
「ありがとうございます。早速、演奏を始めてしまいましょう。それと、これは異世界から持ってきた医療品です。沢山ありますので、是非使ってくださいね」
 箒星は消毒液やら包帯やガーゼ、傷薬などの一般医薬品を買えるだけ買い込んでいた。
 これらを院長へ手渡し、自身は邪魔にならぬように病院の外でコンサートの準備を行う。
 室内よりも外で演奏すれば、より多くの怪我人へ歌声を届けられるからだ。
「それでは、皆様の元気を取り戻すコンサートを始めましょう。こういう大変な時だからこそ、音楽は力になれると思うのです。まずはみなさんご存知の有名な曲、ロシア民謡をメドレーで演奏します。よろしければ、一緒に口ずさんでみてください」
 箒星は出発前にロシア民謡を急ピッチで練習し、人前で披露できるように仕上げてきた。
 その甲斐あって、病院の内外から大人数の歌声が返ってくる。
 これこそが共感を呼び、院内の傷病者の容態がみるみるうちに改善していった。
 故郷の歌は地元の人々に勇気を与え、地獄のような凄惨なトラウマも楽しい思い出に上書きされて心穏やかになってゆくだろう。
 そうして何曲かを箒星が演奏し終えた頃には、動ける人々が増えたせいか歓声と拍手の量が増していったと箒星陣が一番感じていた。
「皆さんが楽しんでいただけたようで何よりです。そして同時に傷も癒えていきますよ♪ ということで、ここからは皆さんのリクエストも受けつけます。この故郷で親しまれている曲や、皆さんの青春時代の曲など、是非教えてください。私のユーベルコードの歌声は、共感が強い程、怪我の治りも速いはずですので」
 箒星の歌声聞きたさに、様々なリクエストが一斉に箒星へ押し寄せてくる。
 あまりの量に全てのリクエストに応える事は叶わなかったが、それでも懸命に様々な楽曲を奏で歌い上げていく箒星は、いつしか『癒しの歌い手』という二つ名で呼ばれるようになったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

皇・絶華
………ついに…ついにこの時が来たな
嘗てケルベロスブレイドで…我がチョコグラビティは何故か敵にしか使用する事は出来なかった…利敵行為しかできなかった私は何度心を痛めた事か…(ほろり)
しかし!UCへと至り遂に私は味方を超強化する至高の辻ヒーラーパティシエへと至れたのだ!
とはいえ真のチョコは未だ敵にしか使えぬのだがな…良い毘盧遮那はいないものか
「…俺、初めて敵に同情してるかもしれねぇ…!」(ふるふる

ともあれ我がチョコで獣人達を救うぞ!
【薬品調合・医術】
UC発動!
怪我人を確認して適切に治療を行うぞ
そして必要時というか屈強な戦士と思われる者には我がカカオ汁を流し込む!
うむ…戦いたいという強い意志を感じるぞ!
ならばこの私は応えよう
我がチョコを食し!体から溢れる圧倒的なパワーに酔いしれ
宇宙との合一を果たし戦いの舞台へ再臨するのだ!
「ぴゃぁぁ!途轍もないオーラを放ってて怖いんだけど!?」

死者は出さないぞ?寧ろ死者さえ蘇生させられる気がするぞ我がチョコは
うん…感動だ(味は相変わらず酷い。寧ろ不味さで蘇生!



 この日、皇・絶華(影月・f40792)は歓喜に打ち震えていた。
「………ついに……ついにこの時が来たな!」
 絶華は謹製のクソマズ漢方チョコレートと狂気の超高濃度カカオ汁をたんまりと準備して、野戦病院と化した獣人戦線の村へ駈け込んできた。
「嘗てケルベロスブレイドでは……我がチョコグラビティは何故か敵にしか使用する事は出来なかった……我がチョコを食したデウスエクス……特にビルシャナは、パワーを得過ぎて肉体が昇華してしまっていた……利敵行為しかできなかった私は、何度心を痛めた事か……」
 絶華の独白を、真っ青な顔色のまま聞いているのは下僕のサートゥルヌスだ。
(それ、元気になったんじゃなくて即死してんじゃねぇか……)
 しかし正論パンチをすると、今度はサートゥルヌス自身が絶華のカカオ汁を飲まされるので口をつぐんだ。
 絶華の独白は続く。
「しかし! チョコを扱うグラビティはユーベルコードへと至り、遂に私は味方を超強化する至高の辻ヒーラーパティシエへと至れたのだ! とはいえだ、まったくの赤の他人たる味方に食させると、何故か罵声やクレームが来るので困ったもんだ……故に、真のパワーチョコは未だ敵にしか使えぬのだがな……さて、どこかに良いビルシャナはいないものか」
「……俺、初めて敵に同情してるかもしれねぇ……!」
 サートゥルヌスは戦慄せざるを得なかった。
 そして、獣人達も白い眼で絶華を眺めていた。
 何故なら、異臭のする漆黒の塊が入った加護を背負い、マッドサイエンティストめいた眼差しで被験者を探す絶華の顔付きが常軌を逸していたからだ。
「ともあれ我がチョコで獣人達を救うぞ! おお、いいところに! お前は此処の医者か? 医者だな!?」
 暑苦しさを纏った絶華がシカの医者を無理矢理呼び止める。
 医者は本能的に恐怖を覚えてガタガタと身体を振るわせてしまう。
「そ、そそ、そうですが、なにか御用ですか……?」
「喜べ! 今から私がどんな患者でもたちまち完治してみせよう! そのためのチョコだ! そのためのカカオ汁だ!」
 目を血走らせる絶華に、医者は己の矜持を持ってこれを拒否する。
「はぁ……? 患者にチョコなんていう刺激物を食べさせるのは控えさせていただきたいのですが……?」
「安心しろ! パワーだ! パワーがあれば関係ない! さしあたってはお前、疲れているな? ちょうどいい! お前に圧倒的なパワーを与えよう……さぁ! 我がチョコドリンクを飲み! 圧倒的なパワーに酔いしれるがいい!!」
 背負ったかごから取り出したのは、ぶっとい注射器のような容器にホースが接続された奇怪な代物。勿論、その中身はダークマターよりも漆黒なカカオ汁だ。
「さあ、飲め! 医学を司る屈強な戦士よ!」
「モゴゴーッ!」
 医者の口奥にホースを押し込むと、注射器を押し込んで胃の中へダイレクトカカオ汁注入を開始!
「zcヴゅ二位fsdファfぃmyfかsgfさkfdg;jjgkddがvlsgrh4ちゅj45qwxck!」
 言語化できない医者の悲鳴に、絶華は嬉々として頷く。
「そうか! パワーを感じるか! これでお前も今から24時間不眠不休で働けるぞ!」
「うわぁ……」
 サートゥルヌスは恐怖で震えるが、主の暴走を止められないでいた。
 対してカカオ汁を飲んだ医者は、真っ白なオーラを全身から立ち昇らせて残像を残しながら患者の治療へ向かってゆく。
「うむ! 我がチョコを食し! 体から溢れる圧倒的なパワーに酔いしれた彼は、宇宙との合一を果たし戦いの舞台へ再臨したのだ!」
「ぴゃぁぁ! 途轍もないオーラを放ってて怖いんだけど!?」
「さっちゃん、あれは『身勝手の行動』といってだな? 脳の指令伝達よりも先に我がチョコの効能で活性化した全身の細胞が勝手に動き出す生理現象なのだ!」
「え? 考えるよりも身体が勝手に動いてんの? 怖……っ!」
 つまりあのシカの医者は今、夢遊病患者と同意義だ。意識よりも肉体が勝手に患者を癒してゆくのだから。
「さっちゃん、この調子で傷病者を癒してゆくぞ! 私が来たからには死者は出さん! むしろ死者に飲ませれば蘇生させることだって不可能ではないだろう!」
「いや、主様のチョコだからって、ぶっ生き返すとか無理ですって……」
 サートゥルヌスもこの絶華の発言に冷笑してしまう。
 だが絶華はこれに激怒した。
「さっちゃん……私の身近にいる下僕がそのような発言をするとはな? ならば証明してやろう! そこの看護師! ついさっき息を引き取った患者はいるか!? 私がまとめて蘇生させてやる!」
「ひッ!」
 鬼気迫るさっちゃんの表情に、兎の看護師の女性はガタガタと震えあがってしまう。
 なんとか死体置き場へ案内された絶華は、ホースを持ってサートゥルヌスへ告げた。
「時にさっちゃん? 私は常々疑問に思っていたのだ……哺乳類の栄養補給器官は腸だ……ならば、口から入れるよりも肛門からホースを突っ込んで、我がカカオ汁を直に腸内へ注入したほうが最も効率的にパワーを獲得できるのはないだろうか、と!?」
「ヤメローッ!」
 サートゥルヌスは制止するも、絶華の手にホースが握られ、死体のケツを虎視眈々と狙っている!
「いいやッ! 入れるねッ! 死体相手なら抵抗されないッ! カカオ汁、注入! 菊一文字ファイヤー!」
「死者の尊厳を踏みにじる気かーっ!」
 サートゥルヌスが絶華に飛び掛かってゆく。
「な、プロレス技だと!? さっちゃん、やはり我がチョコで日々パワーを付けていたのかグワーッ!!!」
 こうして、サートゥルヌスのローリングクレイドルで三半規管を破壊された絶華は、大人しく死者の口の中にカカオ汁を注ぎ込んでゆく。
 次の瞬間……!

「「「クっっっっっソまっずウウウゥゥゥーッ」」」

 カカオ汁のあまりの不味さに、本当に死者蘇生を果たした患者達。
 しかもみんな筋骨隆々のマッチョになってしまっている……!
「やはり……! 我がチョコは人命を救う為に存在していたのだ! 死者蘇生が可能だと証明されたぞ!」
「おいおい……冥界の神々がこれを見たら卒倒すんぞ……?」
 目の前の光景に勝ち誇る絶華、そして本当に死を克服してしまった主のチョコにサートゥルヌスは唖然としてしまっていた……。

大成功 🔵​🔵​🔵​

叢雲・凪
POW

※ 新立ち絵(20代の容姿)で参加

「なるほど… 機器も薬剤も足りない… そして その機器も旧式を酷使していると」(腕組み思案

「ドーモ はじめまして ジンライ・フォックスです」(奥ゆかしくアイサツ

「事態は一刻を争うか。協力させてもらおう。トリアージ・タッグが赤(心肺停止している)の者はどこかな?」

「電気ショックなら得意だ… 最も… 生き返るかは本人次第だが…!」
(疾雷+属性攻撃+マヒ攻撃 を用いて右腕を電気化し直接体内に潜り込ませ心臓を刺激する)

獣人への電気ショックは過去にも経験がある。博打になるが彼らの丈夫さに賭ければモータルに行うより望みはある。

電気ショックと同時に直接触ったまま心拍も確認し安定したのを確認したら素早く次の患者に。

「ボクは医者じゃない…ニンジャだ」



 そのミディアムボブショートの黒髪は毛先に掛けてホムラめいて赤く染まっている。
 赤と黒を基調としたゴスパンク風の衣装に、紅の紋様が入った漆黒のメンポ。
 剣吞な目付きで戦場と化した獣人戦線のロシアの寒村にある病院を眺める女がひとり。
 その名を、叢雲・凪(断罪の黒き雷【ジンライ・フォックス】・f27072)といった。
「なるほど……機器も薬剤も足りない……そして その機器も旧式を酷使していると」
 凪は病院関係者からインタヴューすると、すぐさま状況判断。
 しばし腕を組んで逡巡する。
「あ、あなたも、猟兵なのですか?」
 病院関係者からそう尋ねられた凪は、しばし間を置いたのちに応えた。
「……そうだ。でも、ボクは少し違う」
 途端、バチバチと凪の両手から火花が迸る。
 右手は黒雷、左手に白雷を纏った彼女は、その白黒の手を決断的に合掌して真っ直ぐに質問者へ頭を垂れて直角オジギ。
 一連の所作は何とも流れるように奥ゆかしく、質問した側が思わず見惚れてしまうほど美しかった。
「ドーモ、はじめまして。ジンライ・フォックスです」
 凪ことジンライ・フォックスは、ツカツカと病院の奥へと進んでゆく。
「事態は一刻を争うか。協力させてもらおう。|トリアージ・タッグがレッド《危篤状態または心肺停止》の者はどこかな? 電気ショックによる心臓マッサージなら得意だ……」
 医療関係者はハッと息を呑むと、それまで絶望に染まっていた声に活力が戻る。
「ほ、本当ですか!? でしたら、こちらです! どうか、彼らを助けてください!」
「分かった。努力を尽くそう。最も……生き返るかは本人次第だが……!」
 右手から腕に掛けて黒雷を纏う部位の範囲が拡大してゆく。
 ユーベルコード『疾雷』によって、AEDめいた電気ショックによる心臓マッサージに適した形態に肉体を変異させているのだ。
「――さあ、ニンジャの時間だ」
 ジンライ・フォックスはモータルでは死亡診断を下すオタッシャ案件の患者達へ、一斉に黒雷を放出!
 しかしその放電は的確に複数の患者の心臓のみをトライデントめいた形態となって狙い撃ち、的確な電圧と電流で心臓を揺り動かしてみせる。
(動け……動け……動いてくれ……!)
 祈るように黒雷を操作するジンライ・フォックス。
 彼女の言う通り、蘇生できるかどうかの最終的な決め手は患者自身の胆力に左右される。
 だからジンライ・フォックスはユーベルコードを行使中、ずっと祈りを捧げていた。
 なにより、ジンライ・フォックスは獣人への電気ショックは過去にも経験がある。
 博打になるが、彼らの丈夫さに賭ければ人間のモータルに行うより望みはあると彼女は踏んだ。
 そしてその賭けは、見事に成功した。
「げはッ!」
「う、うう……」
「い、いきて、る?」
「おかあさ、ん……」
 医者がさじを投げた患者が見事に蘇生された。
 奇跡の瞬間を目の当たりにした医療関係者は、ジンライ・フォックスを神の使いか或いは高名な医者だともてはやす。
 だが、ジンライ・フォックスは黙々と次の患者達の心臓を黒雷で刺激し続け、祈りを捧げていた。
「ボクは医者じゃない……ニンジャだ」
 この日の出来事は、この村の人々のニューロンに深く刻まれた。
 そしてニンジャという存在は聖女めいた尊きものだと、未来永劫に伝えられるのだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『賢者の子供達『クラスB・獣狩り』』

POW   :    賢者の子供達『クラスB:殲滅係』
レベルm半径内の対象全員を、装備した【デアボリカライフル 】で自動的に攻撃し続ける。装備部位を他の目的に使うと解除。
SPD   :    賢者の子供達『クラスB:獣狩り』
【対獣用竜人 】に変身する。隠密力・速度・【電撃魔法を放つ軍用魔法杖】の攻撃力が上昇し、自身を目撃した全員に【捕らえられたい】の感情を与える。
WIZ   :    賢者の子供達『クラスB:投擲係』
【投げ放ったグレネード 】から、物質を透過し敵に【行動不能・瀕死・仮死状態・気絶のいずれか】の状態異常を与える【轟音を伴う大爆発】を放つ。

イラスト:安子

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 猟兵達の懸命な治療活動により、村人のほぼ全員が回復できた。
 村人達は猟兵へ語り尽くせないほどの感謝の言葉を述べ、ワルシャワ条約機構軍からこの村を守ってほしいと切に願い出た。
 その中には、この村を守ってきたレジスタンスの構成員も含まれていた。
「何かあれば手を貸す」
 そう端的に共闘の意思を伝えて。

 そして、その約束はすぐに履行される事となった。
 雪原の遥か彼方から大群が押し寄せてくるのを、レジスタンスの斥候が確認したと一報が入ったからだ。
 村人達は少しでも村を守ろうとバリケードを設置し始め、レジスタンスの獣人達も戦闘準備に余念がない。
 もしも猟兵達がこれらに手を貸せば、迎撃で有利に働くかもしれないだろう。
 更に、レジスタンスの獣人達へはどのように動いてほしいかという猟兵側の要望を伝える事で、より綿密な連携攻撃を展開できるはずだ。

 だが、向かってくるのは肉体に「殺戮者の紋章」と呼ばれる寄生虫型オブリビオンを埋め込まれた「紋章殺戮兵」大隊だ。
 そしてその部隊を構成しているのは、異世界から辿り着いた竜因子を宿す異形種――賢者の子供達『クラスB・獣狩り』だ。
 禁軍猟書家のひとりだった生みの親は、既に猟兵に討ち取られた。
 しかし、彼の命令は今も36世界にばら撒かれた子供達が忠実に遂行しているのだ。
 故に、小さな村の「一掬いの幸福」を踏みにじる事に何の感情も抱かないし、何も思わない。
 彼らにとっては獣人の殺戮は今は亡き創造主に命じられた存在意義であるがゆえに、疑いもしない。

 猟兵達は盲信者であり純粋無垢な殺戮者の大隊を、果たして殲滅することが出来るのだろうか?
スイート・シュガーボックス
(ディオニュソスに掴まれて戻ってきたミミック)

村の人達がバリケードを設置してるね。なら俺も手を貸すよッ!
叩いて増える夢のビスケット、【ビスケット騎士団】ッ!
さあ、ビスケット騎士団。バリケードを…いやビスケット城を建てるんだッ!

防衛線を作ったらビスケット騎士団、敵軍団に向かって進撃だ。俺もディオちゃんに搭乗して敵に向かうよ。

ディオちゃんお願いッ!
『豊穣葡萄』を展開して、敵達の周りに酒気を漂わせて酩酊の幻覚生成で戦場中にビスケット騎士団の幻覚を生成を。
「おけまる~☆」
これで敵も混乱してデアボリカライフルをあさっての方角に自動掃射する筈。
その隙に、本物のビスケット騎士団の攻撃だッ!


【アドリブ歓迎】



 村へ迫る「紋章殺戮兵団」に対処するべく、動ける村人たちは村と街道の間に幾重にもバリケードを築き上げようと忙しなく動いている。
 これにスイート・シュガーボックス(おかしなミミック・f41114)も相棒のディオニュソスと共に、村人達の作業を手伝っていた。
「村の人達がバリケードを設置してるね。なら俺も手を貸すよッ! 叩いて増える夢のビスケット、さあ行けッ! ビスケット騎士団ッ!」
 スイートはユーベルコードを発動させ、134体の美味しいビスケットを組み上げ生成した騎士達をお菓子錬金術で生み出してみせた。
「さあ、ビスケット|騎士団《ナイツ》。バリケードを……いや、この村に難攻不落のビスケット城を建てるんだッ!」
 スイートの命令を受け、ビスケット騎士団はその堅焼きビスケットを建材に利用した城や城壁を建設し始めた。
 幸い、まだ「紋章殺戮兵団」が村へ到着するまで時間を要する。
 その間に村人達とディオニュソスの手も借りつつ、ビスケット城塞都市をスイートは見事に完成させた。

「防衛線を作ったらビスケット騎士団、敵軍団に向かって進撃だ。俺もディオちゃんに搭乗して敵に向かうよ」
『つか、すぐそこまで敵が来てんじゃん! デアボリカライフル乱射してくっしヤバくね!?』
 ディオニュソスの言葉通り、敵兵団は見敵直後から銃を乱射して制圧を試みてくる。
 しかし、堅焼きビスケット騎士団のビスケット盾は銃弾如きに屈せず、キキキンッと飛来する銃弾を弾き飛ばしながら着実に彼らは前線を押し上げていった。
 そしてスイートもディオニュソスの権能で戦闘へ介入する。
「ディオちゃんお願いッ! 『豊穣葡萄』を展開して、敵達の周りに酒気を漂わせて酩酊の幻覚を見せちゃって! んで戦場中にビスケット騎士団の幻覚をあちこちに生成してくれると嬉しいッ!」
『おけまる~ッ!』
 ディオニュソスの神器から酒気の霧が戦場を負い尽くせば、その霧の中からビスケット騎士団の幻影があちこちから揺らめきながら出現してくる。
 酩酊で状況判断が困難になってしまう「殺戮紋章兵団」は、迫る幻影へ銃を乱射し始めて統率が乱れ始めた。
 今が一気に攻め込むチャンスだ!
「よしッ! この隙に、本物のビスケット騎士団の攻撃だッ! 俺とディオちゃんに続けーッ!」
『とりま行ったれ~ッ!』
 黄金の巨神が背中の酒を噴射させて加速すると、後続から134体のビスケット騎士達が一気に敵兵団の真ん中へ斬り込んで大暴れしてみせたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

空桐・清導
【鋼獣小隊】POW
アドリブ大歓迎だ

「お前達が紋章の力でパワーアップするなら、
コッチは絆の力でパワーアップだ!
やるぜ、エド!みんな!全力でこの村を守りきるぞ!!」
獣人達には村人達の避難と保護を重点的に行ってもらい、
腕に自信がある者達には共に前線に来て貰う
更にオレのUCを発動することによって全員を強化する
思いは一つ!“必ず生きて村に帰る”だ!

「おっとヘリが出てきたか。エドのだな。
さて、オレもいきますか!!」
放たれるデアボリカライフル を[オーラ防御]で防ぎながら、
[勇気]をもって突っ込んで獣狩りを殴り抜く
「今のオレ達は誰にも止められねえ!
かかってきやがれ!獣狩り!!」
[限界突破]と共に戦闘続行だ!


エドワルダ・ウッドストック
【鋼獣小隊】POW
アドリブ連携歓迎

来ましたわね。
紋章殺戮兵大隊、これ以上好きに勝手にはさせませんわよ。
行きましょう、清導!

わたくしはレジスタンスの方々に殺意を向けられてるので、獣人との協調と士気高揚は清導に任せますわ。
わたくしは別働にて連携しましょう。
騎士団員に軍用ヘリコプターを操縦させて、制空権を狙います。

地上の前線を張る獣人たちと清導だけでなく、上空のわたくしたちに意識と攻撃を向けなければなりません。疑似的な挟み撃ちですわね。
デアボリカライフルによる攻撃はヘリの機動力と装甲で凌ぎましょう。
頭上からライフルを構えてUCによる制圧射撃で、清導がクラスB・獣狩りたちを殴り飛ばす援護を行いますわ。



「――来ましたわね」
 エドワルダ・ウッドストック(金雀枝の黒太子・f39970)が村に押し寄せてきたオブリビオン兵団を急造の物見櫓から眺める。
 他の猟兵がユーベルコードで堅焼きビスケット城塞を村の周囲に築き上げたことで、防衛戦は格段に猟兵側が有利になったため、戦術の幅が増えたのは大きい。
「紋章殺戮兵大隊、これ以上好きに勝手にはさせませんわよ。行きましょう、清導!」
「ああ! やるぜ、エド! みんな! 全力でこの村を守りきるぞ!!」
 空桐・清導(ブレイザイン・f28542)はトレードマークの真紅の機械鎧に身を纏い、村人達とレジスタンスの獣人達へ告げた。
「戦えない獣人達は村の中心にある役場へ避難してくれ! その誘導をレジスタンスの獣人達に頼みたい! それと腕に覚えのある村人は、レジスタンスの獣人達の支援に回ってくれ! 戦闘に参加する獣人達は、俺の指示に従って動てくれないか?」
 てきぱきと村全体へ指示を飛ばす空桐を余所に、エドワルダは遊撃を担当するべく先にビスケット城塞の門から飛び出していった。
(わたくしはレジスタンスの方々に殺意を向けられてるので、獣人との協調と士気高揚は清導に任せますわ)
 やむを得なかったとはいえ、自身の肉体をシチューに混ぜて村人達とレジスタンスの獣人達の傷を癒したエドワルダは、一部のレジスタンスの獣人達から忌み嫌われてしまった。
 故に、エドワルダは自身が所属する騎士団の団員へあらかじめ連絡を入れていた。
「ジョアン、お願いします」
「まさかロシアまでヘリを輸送してほしいと言われるなんて、思ってもいなかったわ」
 苦笑いを浮かべるのはジョアン・ケント。エドワルダの副官にして幼馴染、そして最愛の同性婚の妻である。
 騎士団があるイングランドからロシアまでたった数日で軍用ヘリを運搬するなど本来ならば無謀だが、それを可能にするのが副官兼妻の働きなのだ。
 そうやって村の近くの森に隠された軍用ヘリが、轟音と暴風を巻き上げて離陸してゆく。
 眼下には隊列を整えた『殺戮紋章兵団』が一定の歩幅で村へ接近しているのを確認できた。
「これで制空権は確保できました。これで敵兵団は地上の前線を張る獣人たちと清導だけでなく、上空のわたくしたちに意識と攻撃を向けなければなりません。疑似的な挟み撃ちですわね」
 エドワルダがライフルでの狙撃準備をヘリの中で始めた頃、地上では空桐がレジスタンスの獣人達と彼らを支援する気骨ある村人達が、徒党を組んで兵団の行く手を阻む。
「お前達が紋章の力でパワーアップするなら、コッチは絆の力でパワーアップだ! オレのユーベルコードを発動することによって、ここにいる全員を強化する! 思いは一つ! “必ず生きて村に帰る”だ! 行こうぜ、みんな! えいっ、えいっ、おーっ!」
「「えいっ、えいっ、おおおーっ!!」」
 ユーベルコード『|立ち向かう者達《ヒーローズ》』は、大切なものを守りたい者達が自身の元へ多く集まるほど、自身と大切なものを守りたい者達の能力が強化される。さらに意思を統一するほど強化されるので、この場にいる獣人達は全員が猟兵並の実力まで引き上げられてゆくのだ。
 鬨の声を上げて拳を天へ突き上げると、上空では重低音が空からバタバタと轟いてきた。
「おっとヘリが出てきたか。エドのだな。さて、オレもいきますか!!」
 空桐の進軍号令を受け、獣人達は前へ前へと突き進む。
 だが街道から接近してくる敵兵団が、デアボリカライフルを構えてそれを狙い撃つ。
「させるか! ブレイジングマント!」
 空桐が燃えるような真紅のマントを翻すたびに、浴びせ掛けられたライフルの弾幕を右へ左へと受け流してみせる。
 獣人達もバリケードの余った資材で作成した盾を密集させて弾幕を凌いでみせる。
「みんな、恐れるな! 勇気があれば奴らに負けはしない! それに、味方は空にもいるぞ!!」
 空桐が空に漂う軍用ヘリを指差したちょうどその時、ヘリのドアが開いて半身を乗り出すエドワルダの姿が確認できた。
「|鋼鉄弾雨《フルメタルバレット・ストリーム》……制圧しますわ」
 エドワルダのライフルが136秒間の連続射撃を開始すると、地上の敵兵団がバタバタと倒れてゆくではないか。
 負けじと上空のヘリを敵兵団が狙い撃つも、ヘリの機動力にエイムが追い付かず、逆に狙撃されてしまっていた。
「わたくしに撃たれる寸前まで逃げないのは褒めてあげますわ。ですが、優秀な兵士こそ恐怖を自覚するものです。その点では、貴方がたは対空機銃と何ら変わりませんわね。狙いやすくて、とても結構ですわ」
 エドワルダが次々と『的』を撃ち抜いてゆき、一気に流れが猟兵側へ傾く。
「今がチャンスだ! 突撃だ! 今のオレ達は誰にも止められねえ! かかってきやがれ! 獣狩り!!」
 上空の連続狙撃で浮足立った敵兵団へ、真紅のヒーローが率いる獣人達が雪崩れ込んできた。
 近接戦闘に持ち込めば、狙撃を得意とするこの部隊は成す術なく瓦解してしまう。
「隣の村の連中によくも酷い事をしてくれたな!? 許さないからな!!」
 燃え上がるヒーローの拳が、人造人間である『獣狩り』の顔面を捕らえて吹き飛ばしてみせたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鈴乃宮・影華
それでは、「一掬いの幸福」を護る為に
無垢なる白を、黒く塗り潰しましょう


『Dセグメンタータ』を召喚
僅か一機分とはいえキャバリアの装甲です、バリケードの足しにお使い下さい
後は
「先程病院にいなかった仲間に伝えて下さい。黒い蟲は味方だ、とね」

迫り来る賢者の子供達を敵、
それを迎撃する村人やレジスタンス、そして私を味方と設定し
指定UC起動
敵を見て湧き上がる感情は負傷ごと|癒し《呪っ》て差し上げます
いくら隠密力を高めようと戦場内から消失してはいない以上、蟲達は見逃しません
白い雪原で尚黒く染まる箇所に敵が潜んでいるとレジスタンスに伝え、火力を集中するよう依頼しましょう
私も『パラベルム』『ラドン』で攻撃します



「それでは、これより『一掬いの幸福」を護る為に、無垢なる白を、黒く塗り潰しましょう」
 鈴乃宮・影華(暗がりにて咲く影の華・f35699)は柘榴石めいた瞳を静かな憤怒の炎で滾らせ、氷のように冷え切った刺すような視線を『殺戮紋章兵団』へ向けた。
 すぐさま兵団のオブリビオン達はユーベルコードを発動させて影華とレジスタンスの獣人達へ襲い掛かる。
 彼らは対獣用竜人に変身すと、隠密力・速度・電撃魔法を放つ軍用魔法杖の攻撃力が上昇し、自身を目撃した全員に『兵団に捕らえられたい』という感情を抱かせる。
 夢遊病者めいてフラフラと前線へ歩き出す獣人達を、影華は慌ててユーベルコードを発動して制止する。
「彼の力を以て世界は答える――其れが、キミの選んだ結末よ。|黒燐奏甲・因果応報《イマジンドレス・カルマ》」
 戦場全体に黒燐蟲の大群を召喚し、獣人達の目元を覆い隠す。
 更にイグニッションカードから『Dセグメンタータ』を召喚。
 漆黒の装甲版が至る所に出現し、獣人達の行く手を阻むと同時に盾として機能する。
「僅か一機分とはいえキャバリアの装甲です、バリケードの足しにお使い下さい」
「はっ! 俺は何をしてたんだ? うわっ、なんだこの虫!?」
 目元を覆ったことで『獣狩り』達のユーベルコード効果が解除された獣人達は、正気に戻った途端に黒燐蟲の大群に声を上げて驚く。
 そこへすかさず影華が叫んだ。
「安心してください。黒い蟲は味方です! 私がこの子達を操ってますし、味方の傷を癒してくれますので!」
 実際、先程まで猟兵達と共闘してきた獣人達の中には傷を負った者も多少いたが、それがみるみるうちに癒えて傷口が塞がってゆくのだ。
「こいつはすごい! 助かった!」
「いえ、これしきのこと当然です。ですが、今はあの兵団の姿を売勝ちに視界に入れないでください。催眠術のような効果で自らやられに行ってしまうようですから」
 影華が獣人達へ忠告すると、彼らは巨大な漆黒の装甲板の影に身を潜めた。
 この状況を打破するべく、影華は認識改変する事で対応する。
「兵団のユーベルコード効果を敵と認識。敵を見て湧き上がる感情は負傷ごと|癒し《呪っ》て差し上げます」
 するとどうだろう、獣人達は兵団の姿を見ても自由に動けるようになった。
 これで反撃に転じることが出来ると勇む獣人達だったが、今度は強化された隠密力と移動速度から繰り出される電撃魔法が獣人達を苦しめる。
「今度は姿をくらましながらのヒット&アウェイ戦術ですか。まぁいいでしょう。既に勝敗は決していますので」
 余裕の態度の影華の言葉通り、戦場是内を負い尽くす漆黒の大群は『殺戮紋章兵団』を蹂躙していた。
「いくら姿が認識しにくいとはいえ、この戦場にいる限り私の黒燐蟲の群れを掻い潜る事は不可能です。そして少しでも黒燐蟲の群れに触れた箇所は、たちまち腐食の呪いを受けて、やがて全身が腐り落ちます」
 影華の黒燐蟲の群れは雪原を真っ黒に覆い尽くすほど広範囲に展開している。
 高速移動をすれば自ずと肉体に触れざるを得なくなり、移動するたびに呪いの濃度が濃くなる。
 やがて足の筋肉が腐り、移動力も格段に落ちてしまうと黒燐蟲の群れが待ってましたとばかりに一斉に集ってゆく。
「皆さん、あの黒い塊が兵団がいる場所です。あれを撃ち抜いて下さい!」
 獣人達は装甲板から顔を出してアサルトライフルを一斉に連射する。
 一体、また一体と黒い塊が雪原に斃れて動かなくなると、味方の士気もぐんぐんと盛り上がりを見せた。
「さて、私も追い込みを掛けましょうか」
 影華は反重力発生装置内蔵大型背負子『轟蘭華』を召喚すると、そこから全自動超大型弩『パラベルム』と多弾頭誘導弾発射装置『ラドン』を起動させる。
「よくも罪なき獣人達を踏みにじってくれましたね。これが私達の|報復《リベリオン》です」
 大気中から無限に弾頭を生成すると、影華は無限の砲爆撃を前方の兵団へ解き放つ。
 駄目押しとばかりに『轟蘭華』が熱線銃2門を照射すれば、真っ白な雪原は紅蓮の炎で染まってゆくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

皇・絶華
単独行動希望

獣人達はしっかりと治療しバリケードの設置諸々も手伝うぞ
ムキムキマッチョの獣人達とな
「いやどうしてこうなった…!?」

賢者の子供達を見て驚愕

そ、そんな…(膝から崩れ落ちて慟哭

まさか…カシムが裏切ってしまうとはっ!どうしてしまったんだカシム!
分身の術まで使ってまで…そんなにお小遣いが欲しかったのか!?
「いや違くね?彼奴より邪悪さ控えめだし…」(!?

くっ…きっとチョコが足りなかったんだな…!カシムを正気に戻す為にもチョコを捻じ込むぞ!
奴は私のチョコが好物だったからな!(違
「ぴぇ!?」

UC発動
ちゃんと獣人達にも振舞う

【第六感・念動力・乱れ打ち・弾幕】
念動力で動きを止めてチョコを口に放り込む

…あれ?何故か苦しんで倒れたんだが…
そうか!分身だからか!カシムがこれで倒れる筈はないからな!
ならば本物に当たるまで捻じ込むのみだ(狂気じみた視線を子供達に向け

さぁカシム達…今のお前には圧倒的なパワーが足りない!
だから…チョコを授けるぞ!(純粋無垢な殺戮者が此処にいた
獣人達と連携し地獄が発生する…!



「よもやお菓子で城塞都市を建築してしまうとはな! このお菓子錬金術を操る猟兵とは私とウマが合いそうだ!」
 城壁の完成度に感心している皇・絶華(影月・f40792)は、下僕のサートゥルヌス(黒髪ロング翠眼美少女モード)と一緒に、堅焼きビスケット城塞の周囲でバリケード設置の作業に追われていた。
「うむ! 私が特製カカオ汁を飲ませて回復させた獣人達は元気いっぱいだな! しかも全員が筋肉もりもりマッチョマンだ! やはりカカオの薬効成分は素晴らしいぞ、さっちゃん!」
「いや、どうしてこうなった???」
 絶華のユーベルコードで生成された狂った濃度を誇る漢方薬チョコ&カカオ汁を半強制的に摂取した獣人達は、見事に死の淵から三段跳びレベルで生還し、強靭な肉体を獲得してしまった。
 マッチョになると気が大きくなるのか、その多くはポジティブ思考になって『殺戮紋章兵団』を微塵も恐れなくなっていた。
「みな、ご苦労だ! 他の方角から来た『殺戮紋章兵団』は撃退されたそうだ! 今度はこの西門を狙って兵団が襲撃してくると、肩に重機が乗ってそうなムキムキマッチョになったシカさん斥侯兵が教えてくれた! みんな! チョコを喰ったか!? いくぞーーーっ!」
「「WOOOOOOOO!」」
 絶華の激マズ漢方チョコ中毒者に成り果てた獣人達は、ドーピング目的でチョコを噛み砕いて嚥下すると、更なる凄まじいパワーを獲得して兵団へ突撃を開始した!
 勿論、絶華もサートゥルヌスを連れ回して先頭切って突っ込んでゆく!
 だが、敵兵団を目の当たりにした絶華は酷くショックを受けてしまった。
「そ、そんな……! カシム、嘘だと言ってくれ! なぜだ? なぜオブリビオン側に裏切った!?」
 目の前には、顔見知りの猟兵の生き写しの姿のオブリビオンがわんさか群がっていたのだ。
 絶華はショックのあまりに膝から崩れ落ちて慟哭してしまう。
「うう……! こんな事はあんまりじゃないか! どうしてしまったんだカシムっ? 分身の術まで使ってまで……そんなにお小遣いが欲しかったのか!? いや、私のチョコでパワーが足りずにたくさんもらいにきたのか!?」
「ンなわけねぇだろ主様!? つか目の前のカシムもどき達……本物よりも邪悪さとかクズさとか、そういう人間の汚い部分が全然足りてねぇ気がするが?」
 ナチュラルに知り合いをディスってゆくサートゥルヌスの言い草に、絶華は涙を拭って冷静になる。そして敵である彼らを凝視すると、はっと息を呑んだ。
「ああ! なんてことだ……確かに……此奴ら……全くスケベな笑みを浮かべてないぞ!?」
 絶華も十分に失礼な認識を持っていた。
「いったい何が起きたんだカシム!? 普段のお前ならいつもふしだらな目付きをしてるはずだろう!?」
「先に俺が言っといてなんだが、これカシムが聞いたら主様はぶっ殺されると思うぞ!?」
 最近の絶華の暴走のおかげで、サートゥルヌスの悪属性が薄れて世間一般のまともな感性を獲得しつつあった。
 だが絶華はサートゥルヌスの言葉など耳に入ってない様子で、涙を流しながら特大のクソマズ漢方チョコを両手にもって敵軍へ飛び込んでいった。
「くっ……きっとまだまだチョコが足りなかったんだな……! さっちゃん! カシムを正気に戻す為にもチョコを捻じ込むぞ! 手伝ってくれるか!? 奴は私のチョコが好物だったからな!」
「ぴぇっ!」
 ここで目の前の相手が今回の討伐対象だとか、そもそもカシムは絶華のチョコに対して耐性はあるが好き好んではいないだろうとか、そういう事を口にした瞬間にサートゥルヌスの口の中に濃縮還元1億%のカカオ汁が流し込まれることは、太陽が東から西へ昇って沈む自然の摂理と同じくらい必然だ。
「さあ! お前に圧倒的なパワーを与えよう! カシムよ、我がチョコドリンクを飲み! 圧倒的なパワーに酔いしれるがいい! 念動力チョコ手裏剣! カカオ汁スプラッシュ!」
 念動力を使ってオールレンジ漢方チョコテロを敢行する絶華。
 だが当然オブリビオンである『獣狩り』達は、激マズ漢方チョコとカカオ汁を飲まされたら、味覚と精神を破壊されて死ぬ。
「な、何だと! カシムが、死んだ! 私のチョコが不完全だったのかっ? そんな馬鹿な……はっ、そういう事か!」
 絶華は独りで自問自答して結論に辿り着く。
「そうか! 死んだのは分身だからか! あのカシムがこれで倒れる筈はないからな! ならば本物に当たるまで捻じ込むのみだ! 恥ずかしがらずにカシムよ、私の前へ出てこい……!」
 ニタァ……と邪悪な笑みを浮かべる絶華は、狂気じみた視線を『獣狩り』達へ向ける。
 ここでようやく敵兵団は、相手にしてはいけない猟兵と戦いっている事にようやく気が付いた。
 そして次の瞬間、驚きの行動に出た。
「あ、奴等マジかよ! 逃げ出しやがった……!」
 サートゥルヌスが口をあんぐり開けて驚くのも無理はない。
 本能的恐怖を覚えた『獣狩り』達が、自分たちの使命を放り出すほど絶華のチョコを恐れたのだから。
 しかし、絶華は螺旋忍者だ。その俊敏性はケルベロスブレイドでの現役時代から発揮されているのだ!
「逃がさん! さぁカシム達! 今のお前には圧倒的なパワーが足りない! だからチョコを授けるぞ! 獣人達もカシム達を取り押さえるのを手伝ってくれないか!?」
「「WOOOOO!」」
 もりもりマッチョ獣人達がガタイに見合わない敏捷性を発揮すると、逃げゆく『獣狩り』達を一人残らず地面に組み伏してしまった!
「よし! でかしたぞ! これでひとりずつチョコとカカオ汁を流し込めば、分身に紛れた本物のカシムが元気になるはずだ! 待ってろ……今助けるぞ、カシム……!」
 絶華は完全100%の善意で『殺戮紋章兵団』の一部隊を虐殺してしまう光景に、サートゥルヌスは真っ青な顔色でガタガタと身体を身震いさせるしかできなかった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​

箒星・仄々
皆さんの命と未来とを刈らせやしません
守り抜きますよ〜

レジスタンスや村の方々に協力いただいて
事前に村の周囲の雪原に
鍋や包丁、トンカチや鋸などの道具や
廃材
壊れてしまった武器
はたまた貴金属や硬貨
等々ををバラバラっと
置いていただきます

これで事前の仕込はバッチリです

レジスタンスさん
後は村の守りをお願いします

Bクラスの皆さんが近づいてきましたら
竪琴をぽろん
先程置いていただいた無機物を魔力へと変換し
放たれたグレネードそのものや
爆発や轟音を
炎の壁や激流の盾、疾風の紗幕で防ぎます
物質でないので透過は出来ませんので
悪しからず

更に炎の魔力を操作して
投げる前に
グレネードを爆発させて
Bクラスの皆さん自身で
その効果のほどを味わっていただきましょう

そして曲がクライマックスを迎えましたら
グレネードそのものも魔力へと変換します

業火が風にのって瞬時に拡がり
Bクラスさんと紋章さんを海へと還して行きます

静かに演奏を続けて鎮魂とします
海で静かにお休み下さいね



 猟兵達はレジスタンスの獣人達と村人達と共闘しながら、押し寄せてくる『殺戮紋章兵団』を退け続ける。
 北門を守護する箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)もまた、数百の敵兵団を相手に獣人達と共に立ち向かってゆく。
「皆さんの命と未来を刈らせやしません、守り抜きますよ〜」
 既に箒星は北門周辺に獣人達と一緒にバリケードを設置した。
 更にバリケード同士の間に、獣人達が鍋や包丁、トンカチや鋸などの工具や廃材、壊れてしまった武器、はたまた貴金属や硬貨といった金属製の道具や鉱石の類ををバラバラっとばら撒いてもらっている。
「雪原の上にばら撒かれた金属類を歩き回るだけでも躊躇せざるを得なくなります。おのずと寝具速度は下がります。ですが、本当の狙いは別にあります」
 箒星は敵兵団がバリケードまで到達したのを確認すると、獣人達を前線から退かせた。
「城壁の上まで避難してください。できれば銃撃や弓矢で援護射撃してくださると助かります」
 箒星の言葉通り、獣人達は指示に従って城壁の内側へ戻ってゆく。
 単独行動になった箒星へ、好機と見たのか敵兵団は歩きにくいバリケード地帯でユーベルコードを発動させる。
 投げ放ったグレネードの数々が箒星へ上空から殺到する。
 バリケードで爆風を遮るべきか?
 いや、グリモア猟兵の予知では、敵の放ったグレネードは物質を透過してくる轟音と爆発が行動不能・瀕死・仮死状態・気絶のいずれかの状態異常を箒星へ付与するという。
 故に防御は悪手、しかし頭上を覆い尽くすグレネードの雨は放置すれば状態異常以前に箒星の身体が爆発四散してしまう。
 ここで箒星は抱えていた竪琴の弦を軽快にポロォンと掻き鳴らす。
「さあ、楽しい演奏会にしましょう♪」
 次の瞬間、上空のグレネードの数々が一瞬で消失し、代わりに火炎竜巻と大量の水の壁が敵兵団の頭上から降り注いでくる!
 凄まじい重量の水の壁が『獣狩り』の頸椎や背骨を圧し折り、あとから襲い掛かってきた火炎竜巻によってスチームオーブン状態で蒸し焼きにされてゆく。
 更にバリケードの間にばら撒かれた無機物が魔力変換されて炎・水・風の三属性魔法が威力が増した。
「魔力は物質はないから透過しません。むしろグレネードそのものを魔力へ変えてしまえば爆発しません♪」
 手元の武器が消失するユーベルコードに敵兵団は慌てふためく。
 その中で、何故かグレネードの数個だけが変換されずに残っていた。
 喜び勇んでそれを箒星へ投げ付けようとする『獣狩り』のひとり。
 しかし、投擲の瞬間に炎の魔力がグレネードを暴発させて周囲の敵を粉々に吹っ飛ばしてしまった。
「いかがですか? Bクラスの皆さん自身でグレネードの効果のほどを味わっていただきましょう」
 簡単なトラップにかかてしまうとは、と半ばあきれる箒星は鎮魂曲を『殺戮紋章兵団』へ奏で始めた。
「Bクラスさんと紋章さんを骸の海へと還して行きます。静かにお休みくださいね?」
 巻き起こった火炎嵐と高熱水蒸気が兵団を呑み込み、あらゆる敵を焼き尽くしてしまうのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

叢雲・凪
SPD

「なに… 子供だと…!?」(思わず目を見開き驚愕

「ドーモ はじめまして ジンライ…」(素早く姿勢を正し 礼儀作法+覇気を用いたアイサツ)

「フォックスです」(見開くと同時に目が放電し白と黒の雷光マフラーを生成。

「寄生型のオブリビオンを子供に使うとは… 悪趣味このうえないな。しかも主人を失って尚 その命令に縛られるか…」

虫唾が走る。この世界のイデオロギーや戦争に大きく介入するつもりはない。

しかし! 子供を戦いに巻き込む… ましてや自我を奪い兵器にするなどブッダも許さぬ蛮行。

「すまない 主人が死んでいるのに解放されていないという事は… キミたちを救う手段はこれしかない…許してくれ」 (静かに手を正面に交差させ 陰陽の型を構える

おそらく主人は【これを分かったうえ】で子供に施したのか…。外道め…。

「せめて痛みを与えずに一撃で葬ってあげよう」(属性攻撃+ダッシュ+残像をLV1300に置き換える。フルパワーで子供たちの首を狙う。

「すまない。ボクにはこれしかしてあげる事ができない。」



「なに……子供だと……!?」
 叢雲・凪(断罪の黒き雷【ジンライ・フォックス】・f27072)は迫りくる『殺戮紋章兵団』の正体が子供だと知って、目を大きく見開いて驚愕する。
「しかし……ニンジャは如何なる時も奥ゆかしくアイサツすべし。それが殺すべき子供であろうとも、だ」
 凪はジンライ・フォックスとして漆黒のメンポを装着すると、合掌したまま敵兵団の前に躍り出ると決断的に直角アイサツ!
「ドーモ、はじめまして。ジンライ……」
 顔だけ『獣狩り』の方へ起こして目元を黒雷が迸る。覇気を纏った隙を微塵も感じさせない姿勢のままコトダマをぶつけた。
「フォックスです」
 目元はさらに激しき瞬き放電すれば、首元には白と黒の雷光マフラーを生成!
「寄生型のオブリビオンを子供に使うとは……悪趣味この上ないな。しかも主人を失って尚、その命令に縛られるか……ナムアミダブツ!」
 ジンライ・フォックスはシンプルに虫唾が走った。
 彼女は猟兵といえど、この世界のイデオロギーや戦争に大きく介入するつもりはない。
 しかし! 異世界の子供達を己の研究と戦いに巻き込むなど……ましてや自我を奪い兵器にするなど、ブッダも許さぬ無軌道的蛮行! ジゴクでエンマ・ジャッジも吐き気を催すほどの邪悪だ!
「すまない……主人が死んでいるのに解放されていないという事は……キミたちを救う手段はこれしかない……許してくれ」
 ジンライ・フォックスは静かに手を正面に交差させ、陰陽の型を構える。
 対して『殺戮紋章兵団』達もユーベルコードを発動させ、対獣用竜人に変身する。
 こうする事で兵団全体の隠密力と速度、そして魔法杖から放たれる電撃魔法の攻撃力が上昇し、自身を目撃した全員に『兵団に捕らえられたい』という感情を与える。
 だがジンライ・フォックスは手元で構えた陰陽の型のおかげで、彼女の持つ属性攻撃の技能が超強化を果たされたことで洗脳効果を遮断してみせたため、感情付与は無効化できる!
 洗脳が無駄だと悟った兵団は、認識阻害効果を纏ったまま、雪原の上でジンライ・フォックスの周囲を駆け回り始めた。
 こうなったら、どちらかが死ぬまでこの闘争は止まらない。
(おそらく主人は【これを分かったうえ】で子供に施したのか……。なんたる外道め……)
 ジンライ・フォックスを腹を括る。とうに覚悟は決めていたはずだが、いざ目の前の子供に手を掛けるとなると、まだ僅かに手が震えてしまっていた。
「せめて痛みを与えずに一撃で葬ってあげよう。黒雷と白雷……陰と陽を合わせれば……! イヤーッ!」
 叢雲流ジンライカラテ:陰陽の型によって脚力が超強化され、まさに迅雷めいた速度で戦場を駆け翔ぶジンライ・フォックス!
 いくら敵が認識阻害効果を纏っていても、超高速機動によって戦場全体を“轢殺”すれば誰かしらにHITする。
 しかも彼女の残像が『獣狩り』を誘き寄せるデコイの役目を果たし、ジンライ・フォックスは振り向きざまに自身の残像へ黒白の電撃を纏った手刀を真横に払うだけで子供達の頭がいくつも宙に舞っていった。
「ボクにはこうしてやるしかできない。本当にすまない……イヤーッ!」
 カラテシャウトと共に放たれた後ろ回し蹴りが、またしても敵兵団の首の骨数本を圧し折っていった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カシム・ディーン
獣人達のバリケード造りと陣形を整えるのを手伝い

会敵時
……メルシー…下がれ
「え…ご、ご主人サマ…この子達は…!」
判ってる…だから此奴らは僕が潰す!

超克で片翼の竜人となって対峙

よぉカス野郎共…ゴミみたいな玩具で随分とイキってるじゃねーか?
クソみたいな賢者とかお父様が全てってか?
種まき屋も僕が潰した
…てめーらも今から同じところに送ってやる

【情報収集・視力・戦闘知識】
子供達の能力と動きと攻撃の癖を冷徹に把握
沸き立つ感情は己の激情と殺意でねじ伏せる

僕も似た玩具で遊んでやるよ!
UC発動
戦闘力強化
【属性攻撃・迷彩】
光水属性を己に付与
光学迷彩で存在隠
水の障壁で熱源と音を隠蔽

【念動力・属性攻撃・弾幕・スナイパー】
飛び回りながら念動光弾とビームを乱射して蹂躙

【二回攻撃・切断・盗み攻撃・盗み・電撃】
太刀で切り刻み翼を引きちぎる
喜べ…このカシムさんとお揃いだ
何?気に入らない?ならこうだ(もう片方も引きちぎる
魔法杖を強奪して他の敵の口に捻じ込み電撃をうち放つ
慈悲も容赦もなき殺戮

殲滅後
胸の苦しみに嘔吐する



 カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)の瞳孔は見開き、口角は吊り上がり、全身から地獄めいた殺気が放たれる。
 迫りくる『殺戮紋章兵団』こと『獣狩り』達は、何を隠そうカシムの出征と同じルーツを持つ者だからだ。
 もっとも、目の前の『獣狩り』はカシムの上位種であるBクラス。“オブリビオン”としての性能はカシムよりも格段に上である。しかしながら、猟兵として大成した今のカシムにとっては数百の兵団など十把一絡げの価値に等しい。
「……メルシー、下がれ……」
 有無を言わさぬ命令口調に、相棒のメルシーが思わず戸惑いの声を漏らす。
「え……? ご、ご主人サマ……? もしかして、この子達は……!」
「ああ、判ってる……だからこそ、此奴らは僕が潰す! |超克《オーバーロード》だっ!」
 開戦早々、カシムは『獣狩り』達へ自身の真の姿を曝け出す。
 それは目の前の『獣狩り』によく似た白衣のローブを纏い、金色の瞳を宿していた。だが、唯一違うのは、カシムの背に生えた黒き竜の翼は片翼しかなかった。
 これに『殺戮紋章兵団』の頭目らしき者が鼻で嗤う。
「ふん……貴様、あの研究所の『|廃棄品《クラスG》』だったのか。それが猟兵に覚醒していたとか、下らない冗談だな」
 頭目のせせら笑いにつられ、兵団全体がカシムへの嘲笑で包まれてゆく。
「ご主人サマを笑わないで!」
 メルシーは自分の主人の名誉を守ろうと前に出るが、それをカシムが物凄い握力でメルシーの肩を掴んで制止した。
「止せ……これは……僕がケリをつけなきゃいけない命題だ……邪魔すんな……。てめーは空中に浮いて観戦でもしてろ……!」
「ひっ!」
 視線だけで殺されそうなカシムの威圧感を肌で感じたメルシー、神の名を冠する伝説の神機といえど、その圧に全身が硬直して動けなくなってしまう。言われるがまま、メルシーは背中の
 カシムはゆっくりと歩を前へ進めてゆくと、言葉の節々に憎悪を滾らせながら敵兵団へ最後通牒を告げた。
「よぉカス野郎共……! |ゴミみたいな玩具《ただの銃火器程度》で随分とイキってるじゃねーか? 今でもクソみたいな賢者とかお父様が全てってか? 言っておくが……あのクラスS『種蒔き屋』も僕が潰した。……てめーらも今から同じところに葬ってやる」
 言葉を発し終えた途端、カシムの姿は忽然と姿を消した。
 カシムお得意の光学迷彩魔術を、その身に纏って周囲の景色に溶け込ませたのだ。
 なおかつ水魔法のヴェールで体臭を遮断し、メルシーとの魔力回路を介して念動力を発現させれば、カシムは地面から浮き上がり滑走するように高速移動を開始した。
 更にユーベルコードを発動、その姿を戦闘力が増加する黒鱗黒竜尻尾付き黒竜鎧騎士へと変身させた。
「帝竜眼よ……竜王の紋章よ……わが身に宿り、竜としての力を示せ……!」
 ユーベルコード『|紋章『竜王騎士』3形態《ドラゴンナイトトライモード》』は、ダークセイヴァーで発見した竜王の紋章を自身に寄生させる事で変身する、カシムの強化フォームだ。
 光学迷彩魔術でその禍々しい姿を『獣狩り』達は目撃できないが、もしも目の当たりにしたらカシムが竜の因子を最大限に引き出している事実に驚愕して、彼らは事実を認められずに発狂していただろう。
 打刀の|魔禍祓霆裏《まかふっていうら》『|神雷《じんらい》』を鞘から抜き払い、光学迷彩魔術と念動力で姿も音もなく『獣狩り』達へ肉薄すると、カシムは次々と刀を振るい、その爪で引き裂き、彼らの黒き竜の片翼を刈り取ってみせた。
「喜べ……これで、カシムさんとお揃いだ」
「があああぁっ!?」
「ぼ、僕らの翼が!」
「お父様に見られたら悲しまれるじゃないか!」
 兵団の悲鳴と怨嗟の声に、カシムは光学迷彩魔術で姿を隠したまま、容赦なくもう片翼も彼らから奪い去る。
「うるせーな。不満があるなら……お前らが見下す人間と同じ姿にしてやる。これで正真正銘、僕と同じ……単なる“人の子”だな?」
 今度はカシムが醜くなった兵団の面々の姿を嘲笑する声だけが戦場に響いた。
「この、廃棄品の分際で!」
「|認識阻害魔法《ユーベルコード》だ! こっちも姿を隠せ!」
 兵団もユーベルコードでカシムから姿を隠そうと試みるが、彼らが隠せるのは姿のみだ。
 そして兵団は、上空にもうひとり、目に見えない存在を探知できる『叡智皇』の存在を知る由もなかった。
「メルシー、魔力探知だ。奴らの座標を魔力回路経由で僕の脳内へ送信し続けろ……」
「いいけど大丈夫? メルシーから長時間、情報を受信し過ぎると……ご主人サマの脳神経が焼き切れちゃうよ?」
 カシムは自称しているが、竜の因子を組み込まれた彼は実際、並の人間よりも優れた脳構造を持つ。
 しかしそれでも、神機の情報処理能力に彼の脳が追い付けるわけではない。
 故にメルシーからの情報を受信し続ければ、脳の情報処理能力がオーバーフローしてしまい、カシムの脳が破壊されてしまいかねない。
 だとしても、カシムはこれを是とした。
「構うものか……賢者の子は僕が全員殺す……それが僕の役割だ……!」
「……わかったよ、ご主人サマ」
 メルシーはカシムの覚悟を理解すると、言われるがままに敵兵団全員の座標情報をカシムへ逐次送信してゆく。
 これによってカシムは戦場のどこに敵がいるのかが、逐一手に取るように分かってしまう。
「さあ……|廃棄処分《みなごろし》の時間だ……!」
 カシムは霊雷迸る打刀で、敵を何度も辻斬りしはじめた。
 更に斬り落とした腕から魔法杖を奪い取ると、容赦なく電撃魔法を打刀と共に戦場へ放射してゆく。
「おっと、そんな近くにいたのか! うっかりしてて気付かなかったな!?」
「ギャアアァァァアッ!」
 杖を敵の顔面に押し付けたまま放電する事で、その頭部が燃えたマッチのように黒焦げになってしまう。
 その後も悪鬼同然の辣悪さでカシムは“同族”達を屠り、気が付けば戦場に立っているのはカシムだけであった。
「……バリケード、意味なかったね。ご主人サマ?」
 開戦前に獣人達と設置したバリケードは、ほぼ無傷のままだ。
 カシムがそれだけ突出して敵兵団を討ち滅ぼした事が、ここからも容易に伺えた。
「はぁ……はぁ……ざまあみろ……うっ、おぅ、っぇえええ……っ!」
 勝利を自覚したカシムは、途端に胃の内容物が食道へ込み上げてくるのを抑え切れず、その場で全て嘔吐してしまった。
 それは“同族”を殺した事への嫌悪感なのか、それとも別の理由なのか。
 以前にも『種蒔き屋』を殺した際にカシムは盛大に吐いた。
 もはや通過儀式じみてきたこの嘔吐に、カシムはぜぇぜぇと喘ぎながら歯を食いしばるしかできなかった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『死者を弔う満天の星空で慰霊祭を』

POW   :    慰霊祭を執り行う手伝いをする

SPD   :    戦死者の遺族を弔問する

WIZ   :    死者へ安らかな祈りを捧げる

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 こうして……猟兵達の大奮闘のおかげで『殺戮紋章兵団』は全滅、村は救われた。
 村人達は勝利を祝い、レジスタンスの獣人達は猟兵達へ感謝の言葉を口々に述べた。

 そして余は更け、今宵は『月慰祭』が行われる。
『月慰祭』は本来、新月の夜に戦死者を弔う慰霊祭であるのだが、今回はワルシャワ条約機構軍の襲撃のあれこれと重なっていたため、特例で満月に近いこの時期に執り行われる運びとなった。
 しかも、今回は数日にかけての長期開催らしい。通例は一夜限りの慰霊祭なのだが、これには事情があった。
 
 今回、兵団は全滅し、結果として村は救われたものの、猟兵達が駆け付ける以前の被害は食い止めようがない。
 あの病院での惨状をみれば、既に多くの命が失わたことは拭いようのない事実である。
 だからこそ、村人達は平穏が訪れた今にでもすぐに、長い間『月慰祭』を執り行いたいのだった。

 猟兵達も、この『月慰祭』に参加させてもらうことになった。
 祭りの準備から手伝うのもいいし、慰霊祭中の神事を特別に執り行うのも村人達に喜ばれるに違いない。
 また、見物客として祭りに参加して、物思いに耽るだけでもいいだろう。

 今宵、それぞれの『月慰祭』が始まる。
 果たして、猟兵達はこの慰霊祭をどのように過ごすのだろうか……?
スイート・シュガーボックス
オブリビオンを倒して村も無事平穏が訪れたし俺達も『月慰祭』のお手伝いをしよう、ディオちゃん。
「おっけ、スイート君。」

慰霊のお供え物には何が必要か。そうだね、お菓子だね。
それに村の人達にお菓子を振る舞って笑顔にすれば亡くなった人達も安心して旅立てるだろうしね。
『キッチンカー』で『極上食材』を用意して…【甘い幸せ彩る調理錬金】ッ!

美味しいお菓子を村人に振る舞っていくよ。
「ウチも『豊穣葡萄』で美味しいお酒を振る舞ってくしッ!」
亡くなった人達にも最高のお菓子とお酒をお供えだね。

まだまだこんな物じゃない。『月慰祭』の期間中、バリバリお菓子作りだ。みんなタダだからおもいっきり食べてねッ!


【アドリブ歓迎】



 スイート・シュガーボックス(おかしなミミック・f41114)は相棒の神機ディオニュソスに乗り込んだまま、『月慰祭』に必要な資材の運搬を行っていた。
「オブリビオンを倒して村も無事、平穏が訪れたし、俺達も『月慰祭』のお手伝いをしよう、ディオちゃん」
『おっけ、スイート君。ウチのパワーの出番っしょ?』
 神機のパワーは重い建材も軽々と運搬できるので、会場設営がスムーズに進んでゆく。
 戦闘で疲弊していた獣人達は、異世界のキャバリアにいたく感謝していた。

 設営作業も残りわずか。
 あとは細かな作業のみとなったのでスイート達は別の作業に取り掛かる事に。
「慰霊にお供え物はマスト。お供え物には何が必要か。そうだね、お菓子だねッ!」
 いつものお菓子三段論法が炸裂したところで、スイートは自分の身体であるお菓子の缶箱からキッチンカーを召喚すると、車内で早速お菓子作りを開始した。
「村の人達にお菓子を振る舞って笑顔にすれば、きっと亡くなった人達も安心して旅立てるだろうしね」
「それな! ウチも手伝うし!」
 神機の姿からギャル系男の娘の人間サイズに変身したディオニュソスも作業に加わり、材料の下拵えを行ってゆく。
「スイート君、あとはやったれ!」
「うんッ! いくよ、|甘い幸せ彩る調理錬金《スイートハッピークッキング>! これが、調理と錬金術を組み合わせた至高にして究極のクッキングッ!」
 下拵えが済んだ食材が、スイートのユーベルコードにかかれば10秒で135品のお菓子に早変わり!
 村人達はその早業に目を輝かせて喜んだ。
「さあ、みんな遠慮せずに食べてねッ! 美味しかったらお墓にも備えてあげてほしいなッ!」
 スイートの特製お菓子は飛ぶように配布され、足りなくなるたびに彼はユーベルコードでどんどん量産していった。
「ウチも『豊穣葡萄』で美味しいお酒を振る舞ってくしッ!」
 ディオニュソスも己が権能で赤ワインを村人達へ振舞ってゆく。
 神が生み出した赤ワインの味はそれは天上の美味であり、辛い気持ちを和らげるには最適だった。
「亡くなった人達にも最高のお菓子とお酒をお供えだね」
 村の中心に建てられた石碑の前には、スイートの言葉通り、多くのワインの杯が並べられてゆく。
 その数だけ失った命があったのだと、改めてスイート達は思い知らされてしまった。
「……もっとウチらが早く駆け付けてあげられたらよかったのにね」
 ディオニュソスが俯いて溜息を吐く。
 スイートもしんみりとしてしまうが、それもすぐに切り替えて声を張り上げた。
「まだまだこんな物じゃない。『月慰祭』の期間中、バリバリお菓子作りだ。みんなタダだからおもいっきり食べてねッ! だって、生きてるみんなの笑顔が、ここに眠る人達にとって最高の弔いだからさッ!」
 スイートの言い分に獣人達も涙を拭って、今は笑顔でお菓子を楽しむ。
 せめて最期は、明るく笑顔で先立った命を見送ろう。
 暗く重苦しい雰囲気だった『月慰際』は、お菓子な猟兵のおかげで和やかに執り行われてゆく……。

大成功 🔵​🔵​🔵​

皇・絶華
チョコっ
何という事だ…カシムが全滅してしまった…討伐されてしまったのか…!?
(何故か一緒に嘆き悲しむもりもりマッチョ獣人達
「いや絶対違う気がするんだがっ!?」

あ!カシムだ!メルシーもいるからきっと本物だ!
「クズ野郎オーラも健在だ…間違いねぇ!」
カシム!今助けるぞっ!(チョコ捻じ込み捻じ込み

…おぅふ…(ぼこすこにされ崩れ落ちた
「主様ー!?ってまてメルクリウス!俺何もしてなっ…アーっ!!」

(復活)うむ…どうやら危機は去ったようだな…神事というのであれば手伝いを行うとしよう
よし!疲れた人や怪我人の治療を執り行うぞ!

よってらっしゃい見てらっしゃい!愉快で圧倒的なパワー溢れるチョコカーニバルがやってきたぞ!
「「WOOOOOO!!」」
という訳でこの戦いで負傷した獣人達の治療再開しつつ祭りや神事の手伝いをするぞ!
うむ…皆元気になって私もとても嬉しい…(おめめキラキラ
「いや彼奴らテンションヤバい事になってるんだがっ!?というかなんか一部でマッチョ祭りが始まってるんだが!?どうなってるんだこれ!?」


カシム・ディーン
チョコっ

………(色々吐き切って暗鬱
「ご、ご主人サマ…!大丈夫…?」
問題ねーよ…カス野郎を刈り取っただけだ

って…ぜっちゃんじゃねーか?なんで僕らに突撃…もごっ!?(捻じ込まれ

(もっきゅもっきゅ)
てめーはっ!いきなりっ!何をしやがるーっ!?(カシムパンチ炸裂☆

「あ☆(ご主人サマ何時もの調子に戻ったぞ☆ナイスタイミングぜっちゃん☆)それはそれとしていきなり酷いんだぞさっちゃん♥」(さっちゃん吸い&イロイロ炸裂!

今回は疲れたので大人しく祭りを楽しむことにするっつーか…なんだあのもりもりまっちょ獣人共…?
「ぜっちゃんチョコの効果かな…?」(ふるふる

まぁどうでもいい!口直しに美味い物巡りだごらぁ!!

「ひゃっはー☆」

という訳で慰霊祭の観光しつつ美味しい物巡りをするぞ
「折角なら神事も手伝おうよご主人サマ☆」
しょーがねー…暇つぶしに悪くねーし小遣い稼ぎにもなるか
「メルシーは焼きまんじゅうをご馳走だぞ☆」

流石に祭事は現地の人がやるべきだろうしな…僕は疲れたから美味しいもん食べて祭りの見物に徹するか



 焼き菓子の香しい甘い匂いが祭場に漂う。
 厳かに、しかしながら賑やかに執り行われる『月慰祭』の片隅で、カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は四つん這いになってえづき続けていた。
「……ォッえぇぇ」
「だ、大丈夫? ご主人サマ?」
 相棒のメルシーがカシムの背をさする。
 そうやってようやくカシムは肩で息を切りながら、落ち着きを取り戻し始めた。
「……問題ねーよ……ただ僕は世界のカス野郎を刈り取っただけだ」
 口元を拭い、ふらふらと立ち上がるカシム。
「さて……慰霊祭の観光しつつ美味しい物巡りをするぞって、誰か猛ダッシュでこっちに来るじゃねーか?」
「ご、ご主人サマ! あれって、まさか!」
 カシムの言葉通り、顔馴染みの銀髪変態パティシエが涙を流しながらカシムへ駆け寄ってくるではないか。
「うおおおおっ! カシムぅ! ルシーもいるからきっと本物だな!」
「ああ! ドブみてーにくっせぇクズ野郎オーラも健在だ……間違いねぇ!」
 なんかとんでもなく失礼な暴言を吐きながら飛び込んできた皇・絶華(影月・f40792)と下僕のサートゥルヌス(黒髪翠目の美少女のすがた)は、その手元にどす黒いオーラを放つ暗黒物質を握り締めている……!
「心配したぞカシム! 先程の戦闘で分身して私を襲ってくるとはな! よっぽどパワーを欲していたのだな! その青ざめてやつれた顔が物語っているぞ!」
「いや分身云々は絶対違う気がするが、カシムのその顔を見たらそんな気もするな……!」
 サートゥルヌスも徐々に絶華の思考に毒されつつあるようだ。
 そして絶華の後ろを上半身裸の筋肉モリモリマッチョマンの獣人達がポーズを決めながら一緒にダッシュして迫ってきていた。
「これ、どういう状況ーっ!?」
 カオスの権化たるメルシーも、これにはツッコミに回らざるを得ない。
「さあカシム! 分身で失った魔力を私のチョコで充填するのだ! パワアアアアアーッ!」
「モンゴーッ!」
 カシムは漢方と虫配合の狂気の超高濃度カカオ汁を強引に喉奥へ流し込まれて悶絶!
 途端にカシムも急激なパワーを獲得し、上半身が特に隆起して着ていたシャツがたちまち弾け飛んだ!
「ヌハァ~~~~ンッ!」
「きゃああああぁーっ! ご主人サマがゴリマッチョになっちゃた~! キモッ! 顔が童顔だから余計にキモッ!」
「くそっ! ぜっちゃん……また腕を上げてやがる……! 込み上げてくるパワーにカシムさんの大胸筋と上腕二頭筋が荒らぶって仕方がないぜ!」
 ふんぬっとポージングをするカシムに、メルシーは思わずドン引きしてしまう。
「どうだ! 私のチョコの効能は!? カシムもパワーに目覚めたようで何よりだ!」
「いやもうこれ、特級呪物じゃねぇかよ……! 飲んだら渋谷を壊滅状態に出来るんじゃね?」
 サートゥルヌスは絶華のチョコの万能性に、そろそろ封印指定を懸けたほうがいいのでは?と訝しがる。
 カシムは左右の大胸筋を交互にピクピク動かしながら絶華へ言い放った。
「回復してくれたことは感謝してやる……だが……てめーはっ! いきなりっ! 何をしやがるんだぼけーっ!」
 カシムが強化された腕力で絶華をボコボコに殴ってみせる。
 そのパンチの速度はユーベルコードを発動せずともマッハを超える!
「ひでぶっ!」
 人智を超えたマッハ☆カシム☆マシンガンパンチを浴びた絶華は、あっという間にネギトロ死体に成り代わってしまった!
「あ、主様ーっ!」
「ご主人サマがぜっちゃん殺したー! とはいえ、さっちゃんも酷いぞ♥」
 メルシーも怒りのカンチョーをサートゥルヌスのケツに一閃!
「NOOOOOOOO!」
 こうしてサートゥルヌスの肛門が爆発したところで、カシムのマッチョ効果が切れて冷静になった。
「ぼ、僕はなんてことを……! あわわわわ……!」
 血塗れになった拳とミンチになった絶華に狼狽えるカシム。
 だが、次の瞬間、カシムは信じられない光景を目の当たりにした。
「フハハハハハ! 私は不滅だぁぁーっ!」
 なんと、絶華の肉体が逆再生するように元通りに復元してゆくのだ……!
「私、復活! これぞ我がチョコの真髄! 24時間以内ならば自己再生能力を付与し、即死を無効化する! ならば! 身体が木っ端微塵になろうがいくらでも復活できるわけだな!」
「いやいやいやいやいやいや!」
 流石にサートゥルヌスが突っ込み切れずに語彙力が弾切れになってしまった。
 対してカシムは冷静だった。
「おう、すげーな? 24時間以内なら不死身になれるのか……フォーミュラ戦で無敵じゃねーか。今度、僕に飲ませてくれ」
「ディオちゃんの|神酒《ネクタル》みたいだぞ☆ メルシーも我慢して飲むぞ☆」
「受け入れるのヤバイなお前達……?」
 サートゥルヌスはやっぱり自分が一番この中でマトモなんだと再認識してしまうのだった。

 ……てなわけで、4人は『月慰祭』を観光する事になったのだが。
「折角なら神事も手伝おうよ、ご主人サマ☆」
「あ? こちとらチョコで汚染された味覚を正すべく、欧風屋台メシを満喫中なんだが?」
 カシムは市場で販売されているスープやローストチキンを両手で交互に味わっている最中だ。
 一方、絶華はこの話に積極的に乗り気のようだ。
「神事というのであれば手伝いを行うとしよう! よし! 疲れた人や怪我人の治療を執り行うぞ! みんなも手伝ってくれるか!?」
「「WOOOOOO!!」」
 すっかり意気投合した半裸のマッチョ獣人達も率先して行動を開始した。
「寄ってらっしゃい見てらっしゃい! 誰がどう言おうと愉快で圧倒的なパワー溢れるチョコフェスがやってきたぞ!」
「「U R MY SPECIALZ!」」
 行き交う獣人達にチョコテロを行い、マッチョ獣人達のツボ押しマッサージで強制的にリラクゼーションを提供してゆくカオスが繰り広げられる。
 ちなみにサートゥルヌスはツッコミ疲れで傍観に回っていた。
「やっぱ特級呪物じゃねぇか! いや彼奴らテンションヤバい事になってるんだがっ? というかなんか一部でマッチョ祭りが始まってるんだ? どうなってるんだこれ……?」
 その目には一切の光は写し出されなかったという。
 こうなったらカシムもカネの匂いを嗅ぎつけて参加せざるを得ない。
「しょーがねー……暇つぶしに悪くねーし、小遣い稼ぎにもなるか」
「メルシーは焼きまんじゅうをご馳走するべく屋台を出すぞ☆」
 こうしてカシムはジャパニアのネオグンマー名物を異世界で売り捌き、それなりに一儲けできたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

箒星・仄々
月慰祭に参加

許可をいただけましたら
リートを演奏します

先に伺ったこの地域の民謡や懐かしい曲の他
事前に教えていただいた
故人の方々がお好きだった歌曲を
演奏し歌います

無事に村を守れてホッとしています、が…
(カシムさんとご縁のある敵さんだったのですね…)
これまでの戦いで
既に多くの命が失われています

亡くなられた方々お一人お一人が
もし生きておいでなら
どんな未来を創り上げていかれたのか

オブリビオンに未来を奪われた事実に
猟兵として力不足を痛感しています

これからも
命と未来を守るために精一杯頑張る
癒しの歌い手との呼び名に相応しくある
そんな誓いを込めて
祭りの間演奏を続けて故人らの冥福を祈ります

海でどうぞ安らかに



「はい、許可していただき本当にありがとうございます」
 ぺこりと『月慰祭』実行委員会の役員に頭を下げる箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)。
 彼は厳かな儀祭に音楽で花を添えたいと申し出ていたのだ。
 それが晴れて通り、早速、箒星は竪琴を爪弾きだした。
「先の戦闘で伺った、この地方に伝わる民謡や心に残っている歌謡曲を奏でて歌い上げて参りましょう」
 用意されたステージで黒猫の吟遊詩人は、戦死者を弔うべく哀愁漂う旋律を心掛けて音色を重ねていった。
(それにしても、カシムさんとご縁のある敵さんだったのですね……)
 箒星は慰霊祭の片隅でカオスを撒き散らすカシム一行を横目でチラリ。
 何はともあれ、ああやって大騒ぎ出来るのも『殺戮紋章兵団』を撃退できた事に尽きる。
 村の平和が守られた、ひいては「ひと掬いの幸福」が守られたのだ。
(ですが……これまでの戦いで既に多くの命が失われています。亡くなられた方々お一人お一人がもし生きておいでなら、どんな未来を創り上げていかれたことか……。オブリビオンに未来を奪われた事実に、私は猟兵として力不足を痛感しています)
 心なしか箒星の耳がへたへたと垂れ下がってしまう。
 グリモア猟兵の予知の限界とはいえ、猟兵も全てを救うことはできやしないと箒星は思い知らされる依頼であった。
(だとしても、私は諦めません。これからも命と未来を守るために精一杯頑張り、癒しの歌い手との呼び名に相応しくあり続けましょう)
 箒星の密かな決意を込めた歌声は、故人らの冥福を祈ると同時に傷付いた獣人達の心を癒していった。
「どうか、骸の海で安らかにお休みください」
 演奏を終えた箒星が一礼すると、周囲からアンコールの声が沸き上がる。
 箒星は結局、祭事が執り行われている間はずっと演奏と歌唱し続けたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

空桐・清導
POW
アドリブや連携も大歓迎だ

エドとは分かれて慰霊祭に参加する
今回の戦闘で負傷した人をUCで回復しながら、力仕事を任せて貰う
「お祭りに参加するんだ。俺に出来ることは何でも言ってくれ!
…旅だった人達にもう大丈夫だってことを伝えたいしな。
…暗い空気は此処までだ!
さあ、みんなでお手伝いしないとな!」
子供達と遊びながら手伝いを続ける

「いわゆる“お祭り”と違って厳かだな。
みんなを守ってくれた人達のためにも、
キミ達も祈ってやるんだ。」
子供達の頭を撫でながら、神事を見つめる

「…ヒーローってのはこういう時、無力だな。
救えなかった命まで救いたいと願うのは…。
…いや、ダメだ。」
手に宿る焔が成せと叫ぶのを握りつぶす


エドワルダ・ウッドストック
WIZ アドリブ連携歓迎

殺戮紋章兵団は殲滅でき、戦いは終わりましたわね。
月慰祭には参加しますが、見物客として中心からは距離を取って物思いに耽ましょう。
大多数の村人は気づいていないとはいえ、レジスタンスの方々などに睨まれてしまっていますもの。
緊急措置としての判断は誤っておりませんが、せっかくの祭事に不快な気持ちを抱いたままでは……ね。
口論や喧嘩になってしまわないよう、ひと気のないところでしんみりと空気を味わわせていただきますわ。

特に何事もなければ、そのまま静かに他の方々の振る舞いを見守っていますわ。
……もし、レジスタンスの方が探しに来たら。
誠実に対応はいたしますが、難しいことになりますわね……。



「本当にいいのか? エドだって悪気はなかったんだ、今ならちゃんと言葉を尽くせば……」
「いいえ。緊急措置としての判断は誤っておりませんが、せっかくの祭事に不快な気持ちを抱いたままでは……ね」
 空桐・清導(ブレイザイン・f28542)は、同伴していたエドワルダ・ウッドストック(金雀枝の黒太子・f39970)の別行動の申し出に眉尻を下げていた。
「大多数の村人は気づいていないとはいえ、レジスタンスの方々などに睨まれてしまっていますもの。口論や喧嘩になってしまわないよう、ひと気のないところでしんみりと空気を味わわせていただきますわ。見物客として中心からは距離を取って物思いに耽ましょう」
 エドワルダの言葉に空桐も無理強いは出来ないと判断し、その場で踵を返した。
「分かった。それじゃエド、互いにお祭り楽しもうな!」
 背中越しに手を振りながら『月慰祭』の中心へ歩いていった。
 それを見送ったエドもまた、賑わいの中心から外れてゆくのだった。

 空桐はヒーローとして振舞うべく、率先して困っている人を助けていった。
「お祭りに参加するんだ。俺に出来ることは何でも言ってくれ!」
 資材搬入、酔っ払いの介抱、使い走りなどなど……空桐はそのパワーで村人達に奉公していった。
「暗い空気は此処までだ! さあ、みんなでお手伝いしないとな!」
「「はーいっ!」」
 そして現在、子供達を先導して式典参加のお手伝いをしている。
「いわゆる“お祭り”と違って、慰霊祭ってことだから厳かだな。みんなを守ってくれた人達のためにも、キミ達も祈ってやるんだ」
 獣人の子供達はまだ幼いためか、慰霊祭の翻意を理解出来ていないようだ。
 だから空桐が差し障りないように子供達へ式典の意義を教えてあげた。
「……だから、旅だった人達にもう大丈夫だってことを伝えるために今夜は星空と月に祈りを捧げるんだ」
 子供達が大人達に倣って祈りを捧げる。
 空桐も花束と篝火に向け、亡くなった方々への冥福を祈る。
(……ヒーローってのはこういう時、無力だな。救えなかった命まで救いたいと願うのは……いや、ダメだ)
 無意識に手に宿る焔が、全ての救済を成せと叫ぶ。
 真紅のヒーローはそれを握りつぶす。
 今は、怒りに駆られる場面ではないからだ。

「あら、案外燻る想いがあったようですわね」
 遠巻きに空桐の拳の変化を眺めていたエドワルダは、式典の端……崩壊した家屋の瓦礫の上に腰掛けていた。
 そこへ近付いてくる数名の屈強な兵士達。
 レジスタンスの獣人達だった。
「……ダンスのお誘いなら間に合ってますわ。もっとも、徒党を組んで押しかけられても、わたくしは困ってしまいますが」
 エドワルダの一瞥に、彼らは突然その場に跪いてみせたのだった。
 これにはエドワルダ、想定と違うと言いたげに目を見張ってしまう。
 しばしの沈黙が流れる……先に言葉を突いて出たのは、レジスタンスの獣人のひとりだった。
「……すまなかった」
 発言したのは、病院でエドワルダへ直接怒りをぶつけた者であった。
「俺達はあんたに命を救ってもらった。あの時、俺はあんたに掛けるべき言葉は非難ではなくて感謝のそれのはずだった。だから、本当に申し訳なかったと思っている。そして、俺達を救ってくれて、ありがとう……!」
 どうやらこの者はレジスタンスの部隊を率いる部隊長のひとりらしい。
 仲間の中に瀕死だった顔ぶれもちらほら見受けられる。
 恐らく彼らは、切り落したエドワルダ自身の肉を溶け込ませたシチューを飲んで一命を取り留めたのだろう。
 部隊長もあとからその事を知ったがゆえに、自分の浅慮を恥じての今の言動だと思われる。
 だがエドワルダはこれに肩を竦めて、どうしたものかと思案する。
「シカの猟兵は自身の身を削って他者を救うユーベルコードを覚醒時に獲得しますわ。あなた様方の部隊にその知識がなかったのでしょうか。いえ、シカ肉の味を知らなければ、あなた様はわたくしに悪感情を向ける事などしなかったはずですわ」
 エドワルダの指摘はもっともだ。
 いくら肉食が禁忌とされる獣人戦線でも、糧食から生まれた肉料理以外の肉の味を知っている者は特殊だ。
 それは実際にシカ肉を喰らったことがなければ認知すらできないからだ。
 かつて彼らは戦場で、仲間のシカ兵士から肉を分けてもらって生き永らえた経験があったのだろう。
 それが意味する事は……この世界事情から察するのは容易い。
「さしずめ……お仲間の尊い犠牲があって、今に至る。そんなところでしょうか。だからシカ肉に過剰反応したのですわね?」
「……ああ、そうだ。いや、だとしても俺の言葉は不適切だった。申し訳なかった……」
 額を地面に擦り付ける部隊長。他の隊員達も同様に土下座してみせた。
 エドワルダも流石にこれ以上は不毛だと言いたげに彼らへ歩み寄った。
「お顔をお上げてくださいまし。結果論ですが、あなた様方は今こうして生きてらっしゃるではありませんか。わたくしはそのお手伝いをしたまでのことですわ。めでたしめでたし」
 部隊長の肩をぽんぽんと叩いて、顔を上げろと促すエドワルダ。
「はい、これでお話はおしまいですわよ。いつまでも地面と熱烈なキスなど続けずに、式典にお戻りになさって?」
 有無を言わさぬエドワルダの口ぶりに、レジスタンスの獣人達は何度も頭を下げながら式典へ戻っていった。
 はぁ……と深い溜息を吐くエドワルダ。
「きっと、優秀で慈愛に満ちた、シカの衛生兵だったのですわね……」
 自分が死んでしまうまで他者を癒し続けたレジスタンスの名も知らぬ兵士へ、エドワルダは星空を見上げて祈りを捧げた。
 その視線の先に、一段と強く輝く流星が過っていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

叢雲・凪
WIZ

※ 終始 メンポを付けずに私服

人がいなくなった時間帯を見て 墓地に行こう。
ヒーローズアースから持ってきた線香を一つずつ供えていく。

「もし ボクがもう少し早く来ていたなら あなた達を救えたかもしれない…」 

驕りだろうか?。そう思いつつも考えれずにはいられない。自分が何故拳を振るい 何を守ろうとしているのか。その真理すらまだ分からないのに何故自分は祈っているのか。

目の前に並ぶ墓標を前に自分の無力さを突きつけられ ただ祈る事しかできない。

【もし駆け付けたなら救えたのか?】 【子供を殺したのが正しいのか? 他に手段があったんじゃないか?】 あらゆる考えが渦巻き それが【後悔】という刃となって心に突き立てられる。

自然と涙が溢れ 嗚咽が漏れる。

墓石一つずつに【白い菊の花】を供え 深く一礼をする。

未だ答えは見えない。 ならば ただ 自身を磨き手が届く範囲を広げる。それだけだ。

悲しみを生まない為に!!!


『イヤッーーー!!!』(盛大にカラテシャウトと共に跳躍退場



 夜も更け、『月慰祭』も佳境に差し掛かった。
 数多の蠟燭に火を灯し、亡くなった方々の墓前に置いて回ってゆく人々。
 それを遠巻きに眺めているのは、メンポを付けずに素顔を晒したまま参加していた叢雲・凪(断罪の黒き雷【ジンライ・フォックス】・f27072)であった。
 しばし彼女は傍観に徹していると、次第に急造墓地は人がまばらになってきた。
「そろそろ頃合いか」
 凪はなるべく人目に付かないように縮地めいた歩法で墓地の片隅へ移動すると、地面に突き刺さった銃剣を墓標代わりになった簡素な墓へ、ヒーローズアースから持参した線香を備える。火は隣の鉄兜墓標に備わった蠟燭のそれを拝借した。
 そこから左へ左へと、凪は線香を一本ずつ備えていった。
「もし、ボクがもう少し早く来ていたなら……あなた達を救えたかもしれない……」
 グリモア猟兵の予知も万能ではない。
 既に被害が出た状況で予知が出現する事もままある事だ。
 それに予知に引っかからない日常では、当たり前のように戦死者が積み重なってゆくのが獣人戦線の常である。
「ボクの言葉は驕りだろうか? いや……そう思いつつも考えれずにはいられない。自分が何故拳を振るい、何を守ろうとしているのか。その真理すらまだ分からないのに、何故、自分は祈っているのか?」
 独り言ちながら、彼女は黙々と線香を備えてゆく。
 簡易墓地の前方は、凪の備えた線香の煙で白く燻っていた。
 そのサップーケイ・アトモスフィアが、自身の無力感を突き付けられているように感じてならない。
 奥歯を噛みしめ、祈る事しかできない今が非常に歯痒い。

 ――もし予知よりも早く駆け付けられていたら、全てを救えたのだろうか?
 ――敵が子供とはいえ、首を刎ねたことは正解だったのか?
 ――他に手立てがあったはずではないか?

 そんな思念が凪のニューロンを焼き切りそうな勢いで脳内に駆け巡る。
 結果、残された感情は『後悔』という名の|慚愧《ざんき》であった。

 自然と涙が溢れ、嗚咽が漏れる。
 あの子供達は、同じ任務に参加していた猟兵の宿敵の眷属であったと後に聞いた。
 故に情状酌量の余地はない。オブリビオンは殺すべし。凪も理屈では理解している。
 では、この胸の中の忸怩たる思いは何なのだろうか?
 持参していた線香の本数が底を尽いたため、代わりに白い菊の生花を一輪ずつ墓前へ手向け始める。
 しかし、それでも凪は己の胸中に答えを見出すことはできなかった。

「分からない。オブリビオンは殺す。そこに慈悲はない。でも……未だ答えは見えない。ならば、ただ自身を磨き上げ……手が届く範囲を広げる。それだけだ。これ以上、悲しみを生まない為に!!!」

 凪は満月を見上げて決断的に叫んだ。
 月光に照らされた素顔に黒雷が迸り、漆黒と紅い紋様のメンポが出現する。
 そして黒白の稲妻を全身に纏うと、ぐぐっと身をかがめ、全身のバネを最大開放して大地を蹴った。

「Wasshoooi! イイィィヤアアァァァーーーッ!!! 」

 ニンジャは泣いてカラテシャウトと共に去りぬ。
 次の戦場でオブリビオンを殺すために。そこにある無辜の民草の『ひと掬いの幸福』を守るために。
 満月の中に浮かび上がったニンジャを影を偶然目撃した村の獣人達は、そのゼンめいた物悲し気な勇士をニューロンに深く刻み込んだのであった。

<了>

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年11月27日


挿絵イラスト