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【サポート優先】回帰日蝕

作者：絵琥れあ

　これはサポート参加者を優先的に採用するシナリオです（通常参加者を採用する場合もあります）。

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　月色の眼差しが、眩げに細められる。
　秋晴れの空は爽やかで、明るく清々しかった。
　けれど、胡・麟星（きりん座・f36862）は言うのだ。
「……眩しすぎるのも、考えもの……ね」
　そして、猟兵達を見る。
「いにしえの、桃源郷……滅ぼされたそこに、向かって欲しい……の」
　桃源郷。
　人界と繋がる、神仙の住まう理想郷。
　しかし中には、生命の気配なく。寂れ、廃れた過去の楽園が、打ち捨てられた場所がある。
　嘗て、何者かに滅ぼされて。
「そこに、その場所を……滅ぼした、存在が……いる」
　蘇って。
　オブリビオンと化して、再び。
「……金烏の帝。太陽の化身。旱魃の簒奪者。……民は、道端に生える草。有象無象の……取るに足らぬ存在。……それでも、嘗て君臨したのは……圧倒的な光と、熱の力。蘇った今も……王位を、狙ってる……」
　今は嘗て平定――否、蹂躙した地で力を蓄えている、といったところか。
　ならば、寧ろ好都合ではないか。人界に出してはならない。
「今は、兵の代わりに……虎を、従えて……いにしえの、桃源郷を……照らしている。望む人も、花も……枯れ果てる生命すらも、もうない筈の……その場所で」
　虎もまた、オブリビオン。
　暴君共々、遠慮は要らない。
「まずは、洞窟の虎を……殲滅して。そのまま、桃源郷へと……抜ければ。すぐに、敵は……太阳上帝は、見つかる筈……だって、眩しいもの」
　逃げも隠れもしないのだろう。
　意味がないのだ。敵など全て、蹴散らせばいいのだから。暴力的なまでの、太陽の力で。
「沈まない陽を……沈ませて。かの地に夜を……永遠の、眠りを」
　｜星《グリモア》が、静かにひとつ瞬く。

第1章 集団戦 『虎』

POW   :    虎視眈眈 予め【敵を睨みつけて唸る】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。 SPD   :    猛虎幻翼 空中をレベル回まで蹴ってジャンプできる。 WIZ   :    三回攻撃 【爪・爪・牙の連続攻撃】が命中した対象を捕縛し、ユーベルコードを封じる。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。 イラスト：史牙空兎虎 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

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「……んんぅ……」
「……大丈夫か？」
　眠気の残る眼を軽く擦る四条・眠斗（白雪の眠り姫・f37257）に、アス・ブリューゲルト（蒼銀の騎士・f13168）が声を掛ける。
「はぁい、大丈夫ですよぉ……早く終わらせて、ゆっくり休みましょうねぇ〜」
「……ならいい」
　碌に準備も出来ないまま、手違いで転移してしまったのであれば、眠斗のことは護らねばならないかと考えていたアスであったが。どうやらそういうわけではないようだ。
　勿論、いざとなれば庇いに入ることも考慮に入れるが、気にしすぎずとも大丈夫そうだと判断する。
　そして、丁度その時。
「……グルルゥウアァ……」
「来たか」
　聞こえた。
　獣の唸り声だ。
　このような食料もなく、狩りの獲物もいないであろう寂れた洞窟に棲まう獣など、オブリビオン以外の何者でもあり得ない。
　アスは静かに、二丁の蒼き銃を引き抜く。
　直後だった。
「行きますよぉ〜」
　その脇をすり抜けるようにして。
　眠斗が、軽やかに駆け出した。
　そして、襲撃の予備動作として姿勢を低くしていた虎の一匹、その尻尾を掴むと。
「そぉ〜れぇっ」
「グルァ！？」
　豪快に虎を振り回し、周囲の虎の群れを薙ぎ払っていく！
　まさか頭から丸齧り出来そうな、おっとりとした小柄な少女にここまで圧倒されるとは虎も想像していなかったのだろう。寧ろ獣ということを差し置いても、一方的に嬲り殺しにする未来しか見ていなかった筈だ。
　そして、アスですらも僅かながらに目を丸くしていたが。
　猟兵ならば珍しいことではない。その事実がアスをすぐに切り替えさせた。
（「敵の体勢が大きく崩れた。仕掛けるなら今だ……！」）
　薙ぎ払われたまま未だ立ち直れていない虎を狙って、その銃口を向けて。
「撃ち貫け……イーグルショット！」
　蒼きの弾丸が、猛禽の如く鋭く虎へと突き刺さる！
「ガアアァァッ……」
　断末魔は低く重たい咆哮。
　どさり、どさりと倒れてゆき、その度に骸は消えてゆく。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

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「虎さんって、子供の頃は可愛いんですけどねぇ……」
　しかし、成長すればあれである。ギロリと睨まれ、杉崎・まなみ（村娘・f00136）はバルタン・ノーヴェ（雇われバトルサイボーグメイド・f30809）の背後に隠れた。
「HAHAHA！　猫科故に大きくなろうと変わらぬ愛を注ぐ方もいらっしゃいマスネー！」
　牙と爪が鋭くなければ最高なんですけどねえ。猫の甘噛みとかなら可愛いものだけれど、成長した虎は洒落にならないので。
「全く友好的ではないのも明らかデスシ、遠慮なく片付けてしまいマショー！　レッツゴー、バルタンズ！」
「バル！」
「バルバルバル！」
　ミニ・バルタンが指揮官となり、バルタンズを率いて出撃。なおお駄賃はバルタンから出る模様。
　だが虎の方もそう易々とやられはせんぞと言わんばかりに鋭い爪と牙を見せ、飛びかかってくるが。
「させません！　地の神よ……その慈愛で迷える獣に導きを……！」
「……ガウッ！？」
　ぴこんっ。
　まなみが祈りを捧げると、今にも飛びかからんとした虎の頭上に、何かが落ちてくる。
　……ピコピコハンマーだ。どうやら洞窟の岩をピコピコハンマーに変換しているらしい。
　ダメージはほぼないに等しいが、虎の意識を逸らすには、少なくともバルタンズにとっては充分だったようで。
「バルルー！」
「バルッバルゥー！！」
「グガアァ！？」
　虎一匹に複数体のバルタンズが群がりふるぼっこ！
　何せ数が多いのでね。戦いは数であるというやつだ。
「敵は既に過去の虎、何に気兼ねすることもありまセーン！」
　亡霊みたいなものである。遠慮は要らない！
「この世界の大地を脅かす者をお静めください……！」
　まなみと地神も、バルタンズの物量に負けじといつもより多くピコハンラッシュしております！
　ぴこっぴこっと音が鳴る度に硬直する虎。そこに殺到するバルタンズ。なかなかに賑やかな画。
「これでここの群れは最後デース！」
　そしてバルタンの言葉通り、現在視認出来ている最後の一匹を倒すと。
　二人は奥へ、いにしえの桃源郷へと急ぐのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

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「シートベルトしっかり締めてね！　さあ、今日もぶっ込んで行くわよー！！」
「ええええええぇぇぇぇぇぇ？？？？？？」
　ニコリネ・ユーリカ（花屋・f02123）の愛車――Floral Fallalの助手席に同乗させて貰ったアンガンチュール・アルヴィトル（ブロウクンハート・エンジェル・f34491）だったが、早速とんでもない目に遭っていた。
　何と運転したまま、かつ角度をつけて洞窟内へ突撃。そのまま流れるようなヒール＆トゥーで減速、ほぼ同時に近い直後に加速。アクセルでリヤを流して、ハンドルでフロントを流せば、ドリフトしたまま高速回転で洞窟内を駆け抜けていく！　よく真っ直ぐぶつからずに進むなコレ！
　あ、ちゃんと他の猟兵を巻き込まないようにルートを確保しています。安全運転を心がけてドリフトしていきましょう（？）
　そして悉く向かってきては跳ね飛ばされていく虎の群れである。これ自分来る必要あったかなと一瞬アンガンチュールは思ってしまったが。
　それでも何とか堪えて立ち上がる虎もいるし、何せちゃんと依頼を受けてここに来たものだから。
「あっあの……！　僕は、どうすればっ……！」
　ニコリネに判断を仰いでみた。心的外傷の為、自分の意志で何かを決定するのがどうしても怖いのだ。
　すると、ニコリネは少し考える素振りを見せて。
「そうねー、援護射撃的な？　残った虎を倒し切ってくれると嬉しいかしら！」
「わっ、わかり、ました……っ！」
　答えを得られたことに、アンガンチュールはほっと安堵して。
「お、お願いっ、言うこと、聞いて……っ」
　何とか己の影を制御しようと念じながら。
　すらりとした体躯の狐に似たバロックレギオンが、跳ねるように立ち上がった虎へと突撃していった。
「ガウッ！？」
「よ、よかった、動かせる……」
　敵味方の識別はするものの、アンガンチュールの意思とは無関係に動く時もあるから。制御が出来たことに、またひとつ安堵しつつも。
　残る虎を蹴散らしながら、花車は洞窟を突破したのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

第2章 ボス戦 『太阳上帝』

POW   :    宝貝「神火尖鎗」 自身が装備する【神火尖鎗】から【高熱線による大爆発】を放ち、レベルm半径内の敵全員にダメージと【火傷】の状態異常を与える。 SPD   :    宝貝「火鴉」 自身の【戦闘力】を代償に、1〜12体の【宝貝「火鴉」】を召喚する。戦闘力は高いが、召喚数に応じた量の代償が必要。 WIZ   :    宝貝「十金光」 攻撃が命中した対象に【十の太陽のうち一つ】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【高温の光と渇き】による追加攻撃を与え続ける。 イラスト：山神さやか 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

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　眩い。
　洞窟を抜けて、猟兵達は思った。
　暗い場所から抜け出たことだけが、理由ではない。すぐ眼前にて光を放つ男が、余りに眩しすぎるのだ。
「跪け」
　感情なく、太阳は告げる。
「そして、頭を垂れるがいい」
　当然であるかのように。
　生命枯らす光と熱に、平伏す草を見るかのように。
「我が活人剣とは対極の存在」
　網野・艶之進（斬心・f35120）の手が、伝家の退魔刀へと添えられた。
「無益な殺生は好まぬ。だが、お主が無辜の民を苦しめる暴君であるのならば……その悪心、拙者が斬り捨てるでござる！」
　刀が断つは生命のみに非ず。
　それを今、この刃で証明せんと猛る！
「徒労よ」
「！」
　鎗が輝く。
　穂先は黄金に。炎天の如くに。
　放たれた一条の光が、猟兵達を巻き込み爆発炎上する！
「地の神よ……過ぎたる光より私たちをお守りください……！」
　杉崎・まなみ（村娘・f00136）が祈る。荒れ狂う風雨が、今は熱と炎を消し飛ばして、悪しき太阳と競り合い、抗う。
　黄金の瞳がまなみを、そして猟兵達を睥睨した。まなみは一瞬びくりと肩を跳ね上がらせたが、祈ることをやめなかった。
　魔法学園で治癒魔法、神学を学ぶ彼女は献身を重んじる。癒し手たるものそうあれと、己に課してきた。故に、退かない。譲れない！
　煩わしげに、浮かぶ阳光のひとつが天へと昇り輝きを強めた。暴風雨ごとその熱で、渇きで干上がらせんと、猛威を振るっている。
「ルノ、頑張ってください！　負けないで！」
　妖精の名を呼ぶ。リィンティア・アシャンティ（眠る光の歌声・f39564）の、相棒とも呼ぶべき存在を。
　光にも熱にも負けず、ルノは癒しを与え続ける。強烈ではなく、優しい光で。猟兵達の力を奪う熱を和らげていく。
　とは言え、まなみの慈雨の祈りも、リィンティアとルノの癒しの光も長くは持つまい。やはり、大元たる太阳を叩かねば。
「ここから反撃だ……行くぞ……！」
　ごう、と。
　燃え盛る。
「私は……処刑人！！」
　錆色の乙女が、煉獄を齎す。
　仇死原・アンナ（処刑人、地獄の炎の花嫁、焔の騎士・f09978）の振るうままに。
　目には目を、歯には歯を。
　炎には、炎を。
「小賢しい」
　敵が全て灼き尽くす太阳の炎なら、こちらは遍く灰燼に帰す地獄の炎。
　眉を顰め、それを鎗にて振り払った、その眼前に躍り出る。
　鉄塊の刃が、アンナの手から太阳を狙う！
「チ」
　舌打ちひとつ。
　金烏が飛び込んだ。両断されて燃え上がり、消える。
　鎗の穂先がアンナを狙う。その直後。
「隙ありぃ！！」
「！」
　更にその背後。陽環・柳火（突撃爆砕火の玉キャット・f28629）が飛び込んだ。
「大盤振る舞いだ、全部受け取りなァ！！　マタタビ丸も俄然やる気だぜ！！」
「……下草共め」
　短時間に怒涛の勢いで繰り出される、名刀マタタビ丸――折れても安心の量産品だ――による連撃。当然その間にも、アンナの大振りの一撃も挟んでくる。流石の太阳も口汚く猟兵達を謗る。
　だが、それこそが追い詰めている証拠。太阳からも余裕が徐々に、しかし確実に失われつつある。彼らはただ、頭を垂れ、踏み躙られ、枯れ果てるばかりの民草とは違うのだと。その身を以て、思い知りつつある。
　畳み掛けるなら、今しかない。まなみとリィンティアが熱に抗い、アンナと柳火の絶え間ない連撃とコンビネーションが続いている、今しか！
「薄紅の嬰児よ、風に舞い、命の導きを……」
「……ッ！！」
　振り上げた杖は春霞・遙（子供のお医者さん・f09880）のもの。
　杖を目印にして集い、放たれた光を目掛けてふわり、太阳の周りへ広がった。桜吹雪にも似た薄桃の護送花。
　鎗を振るえば風が巻き起こる。花弁が巻かれ、絶対の光に呑まれて熱に灼かれていく。
　だが、それでよかった。遙は静かに確信していた。
　通り抜ける影がある。花に導かれ、吹き抜ける花がある。
　はらり、本物の桜が舞った。
「斬り捨て御免」
　その剣術は、人を斬る業に非ず。
　輝き続ける太阳へと、久遠丸を閃かせれば。
　一筋の銀は破邪の一刀。その悪心のみを斬り捨てる！
「ぁ」
　不意に。
　かくりと、太阳がその膝を、折った。
「余は、」
　急速に、その光が失われていく。
　沈みゆくようにして。
「余は……」
　残る九つの冠の光は、全て消え失せた。
　項垂れる。地に膝を着いて。
　そして、瞑目し。
　眼の阳も消え。
　そのまま。
　二度と、目を覚ますことは、なかった。

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　桃源郷は枯れ果てた。
　花は燃え、緑は死に絶え、水は枯れ果て、生命は実らない。
　この地に満ちていた筈の、清浄な気も今や澱み重く漂うばかり。
　理想郷は死の大地へと変貌を遂げ、嘗ての夢は見る影もない。
「……酷い。どうしてこんなことに」
「地神様の力も行き渡らないほど、この地には死が根づいてしまっています……ああ……」
　心優しいまなみとリィンティアは、やはりその心を痛めずにはいられなかった。艶之進もまた、拳を固く握り締める。
「この世に生を受ける以前のことはどうにもならぬ。解っているでござるが……！」
　桃源郷に暮らしていた筈の神仙達は、太阳に殺された。他の場所でも、太阳のように絶対的な力を持った過去の存在に、成す術もなく命を奪われたのだろうか。それは余りにも多すぎる犠牲だ。
「……過去に何があったのかも、滅ぼしたオブリビオン達の目的もまだ、解りませんが」
　何かがある。大きく、不吉な何かが。
　その予感に、遙は足元へと視線を落とした。きっと、この幾つも存在するという、滅びた桃源郷の謎を追うだけでは終わらないのだ。その先に、どんな真実が待ち受けているのか。
「……今は、追い続けるしかない」
　アンナは言う。
　そして事実、その通りだった。
　決戦の日も、刻一刻と近づいてくる予感がする。
　それまでに、どれだけのことが出来るかは解らないが、出来ることをするだけだ。
「ありがとな、マタタビ丸」
　そんな中、柳火は真っ二つに折れてしまったマタタビ丸をそっと撫でた。
　代わりはある。それは事実。だとしても、今この時を共に、命を懸けて戦ってくれた一本だ。労わない理由はなかった。
　そう、ひとつの大きな戦いを、無事に終えた事実がここにはある。勿論、猟兵達の勝利で。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

最終結果：成功 完成日:2023年10月12日