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キャバリア研究施設襲撃

#獣人戦線 #クロムキャバリア #ヨーロッパ戦線 #ゾルダートグラード

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「『獣人戦線』でオブリビオンの出現を予知した。場所はヨーロッパ、攻撃目標はゾルダートグラード軍のキャバリア研究施設だ。諸君らにこの研究施設を強襲し、開発中の超大型キャバリアを破壊してもらいたい」

 ウォーマシンのグリモア猟兵、ルンバは厳かに猟兵達に告げた。獣人戦線は比較的最近発見された世界だ。クロムキャバリアとの関係性は不明だが、この世界もクロムキャバリア世界同様、全長5メートルほどのロボット兵器『キャバリア』が主力兵器となっている戦乱の世界である。ただ、獣人戦線の世界はクロムキャバリアほどには科学技術が発展しておらず、無骨な戦車をベースにした『パンツァーキャバリア』が主流である。そして、獣人戦線の世界では現地の獣人達とオブリビオンの国家との激しい戦いがもう百年ほど続いている。

「現地の少年兵・少女兵レジスタンス『|邪悪なる反逆児《イビル ・チルドレン》』もキャバリア研究所の存在を掴んでおり、研究所への自爆特攻作戦を計画している。だが、特攻作戦などで幼い命を散らせるわけには行かん。そこで、俺達がレジスタンスに代わって研究所に乗り込み、研究施設もろとも新型超大型キャバリア『ヴァルヴァラ』を破壊する」

 ルンバはディスプレイに現地の映像を投影した。ディスプレイには木々が|鬱蒼《うっそう》と茂る山岳地帯と、巨大なダムが映し出されている。

「研究所の入り口はこのダムの底に隠されている。水中に潜れば秘密の通路が見つかるはずだ。だが、ダムの周辺には迷彩塗装が施されたカマキリのような形状のパンツァーキャバリア達が巡回している。研究所に近づくためには、連中を排除する必要があるだろう。こいつが研究所周辺を警備している試作兵器実験用パンツァーキャバリア……開発コード『|Mantis《マンティス》』だ」

 ルンバはリモコンをいじり、映像が切り替える。映し出されたのは四本の脚と|単眼《モノアイ》を持つ多脚型のパンツァーキャバリアだった。ルンバの言うとおり、機体には迷彩塗装が施されており、索敵が甘ければ先制攻撃を許してしまうかもしれない。

「レジスタンス達はすでに研究所に接近しつつある。だが、彼女達の装備では研究所に侵入する前に排除されてしまうだろう。もしダムの付近でレジスタンスを発見したら、どうか助けてやってくれ。では、武運を祈る」

 ルンバは一礼すると、獣人戦線への転移ゲートを開いた。

●ラスト・ブリーフィング
 猟兵達が転移を開始する少し前、レジスタンス『|邪悪なる反逆児《イビル ・チルドレン》』は最後のブリーフィングを行っていた。
「全員、聞こえていますか? アネモネです。初めに断っておきますが、この作戦は片道切符です。作戦の成否にかかわらず、全員死にます。気が変わった方は除隊を許可しますので、連絡を。3分待ちます」
 アネモネは3分間待つ。しかし、その間誰も発言することはなかった。アネモネはハァ、とため息を吐き、ブリーフィングを続ける。
「先日の作戦失敗で我々は仲間と戦力の大半を失いました。残ったのはわずかなメンバーと、オンボロのパンツァーキャバリア、そして食料のみ。このままでは死を待つばかりです」
 アネモネはそこで言葉を切り、失ったものを思い返す。師父であった厳しくも陽気な老兵、ガラハッド。女癖が悪い癖に、少女兵わたしたちには指一本触れようとしなかったろくでなしのコンラッド。泣き虫のレイノーラ。戦友たちは――愛しい人達はここにいるわずかなメンバーを残してみんないなくなった。

「--ですが、黙って奴らに殺されるのも、餓死するのも、私達の性に合いません。なので、最後にゾルダートグラードのクソ野郎共に思い切り嫌がらせをしてやろうと思います。奴らがダムの地下の研究所に隠している新型の超大型キャバリア……そいつを道連れにしてやります。奴らが大枚をはたいて作った新型が、闇市で一山いくらの私達と一緒に木端微塵に吹き飛んだら、さぞかしいい気分だと思いませんか?」
 アネモネは演説を続ける。だが、誰も本当に新型を破壊できる、などとは考えていない。これは侵略者達に黙って殺されることをよしとしなかった悪童たちの最後の悪あがきなのだ。
「では、ご武運を。……次に会ったら酒でも飲み交わしましょう。あの世なら、未成年の飲酒を咎める大人もいないでしょうし」
 アネモネは自嘲気味に呟いた後、アクセルペダルを踏んだ。


大熊猫
 行くぞ! 命知らず共! 愉快な遠足の始まりだ! お久しぶりです。大熊猫です。今獣人戦線のシナリオとなります。3章構成のシナリオですが、3章全部相手はキャバリアです。思う存分メカアクションして下さい!

●プレイングボーナス
 一章 レジスタンスに加勢する。または、隠れている敵の奇襲に対応する。

 二章 地形(研究所内部)をうまく利用する。

 三章 敵キャバリアの弱点を突く。
 ※二章終了時に地形が屋内から平地に変化します。

●友軍『|邪悪なる反逆児《イビル・チルドレン》』について
 獣人戦線世界のレジスタンス組織。ゾルダートグラードからの脱走兵や戦災孤児がメンバーの中心で、数はそれほど多くない。侵略者達への最後の嫌がらせとして、キャバリア研究所への自爆特攻作戦を決行した。
 レジスタンスはゾルダートグラード軍から奪ったパンツァーキャバリアや歩兵用の兵器、装甲車などで武装しているが、戦闘力は『試作兵器実験用パンツァーキャバリア』に遠く及ばない。リーダーは『階梯5』の獣人の少女、アネモネ。
 ※リーダー以外のレジスタンスNPCはプレイングに合わせていい感じに登場します。

●文字数省略用記号
 アドリブ歓迎→☆、連携歓迎→★、何でも歓迎→◎(☆★と同じ)、ソロ描写希望→▲。

●合わせプレイングについて
 グループ参加の場合は、迷子防止の為プレイング冒頭にグループ名をご記載下さい。

●受付について
 OP公開時より受付開始いたします。
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第1章 集団戦 『試作兵器実験用パンツァーキャバリア』

POW   :    試作型荷電粒子砲収束式
敵を狙う時間に比例して、攻撃力・命中率・必殺率が上昇する【荷電粒子】を武器に充填し続ける。攻擊すると解除。
SPD   :    試作型荷電粒子砲連射式
レベルm半径内の対象全員を、装備した【大口径荷電粒子砲】で自動的に攻撃し続ける。装備部位を他の目的に使うと解除。
WIZ   :    近接防御火器システム
【全身に装備されている対空機関砲】で射撃している間、射程範囲内の味方全員の行動成功率を若干増やし、敵全員の成功率を若干減らす。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

クロククルロク・カーペンター
ソロ参加だけど◎よ

幼子が犠牲になる戦いは、あってはならないの。絶対、絶対にね。だから手の届く範囲だけでも救わないと。

レジスタンスの子供達に加勢していくわよ。ただ特攻は許さない。前線に立って皆を護るように動くわぁ
どうしても一泡吹かせたいなら、|貴方達《子供達》の出番はまだよ。だから今は守られておきなさい!

キャバリアは全長5m程なのよね?普段の私じゃ及ばないかもしれないけれど、トランスフォームしたらどうかしらねェ?
目立って結構!戦うのは兵器として生まれた私の役目!道を切り開くのも年長者の役目よ!

とにかくヘイトを買っておけば他の人はやりやすくなるでしょう?タンクとして敵を誘き出したいわぁ


シルヴィ・フォーアンサー


……死ぬの前提なんだね。
『希望がなければ人は生きていけない、昔の君もそうだったろう』
ああ、そうだね……私はヨルが助けてくれたけど。
『なら今回は君が彼らの私になれば良い』
……わかった。

向こうが迷彩塗料ならこっちは透明
『化かしあいだ、補足するのが早いほうが勝つ』

索敵掛けつつ移動の痕跡で気づかれないように。
発見したら先制攻撃、ロケットパンチを誘導弾としてコントロールしガトリング砲で攻撃。
ハイペリオンランチャーとミサイルで追撃。
不意打ちから肘からビームサーベルの接近戦で乱戦に。
ロケットパンチと合わせて違う方向から多面的に攻撃。

レジスタンスが近くにいるなら攻撃しながら敵がいることと敵じゃないこと通達。




「ひゃはは! どうした、反応が鈍くなっているぞ。もう降参か!?」
「くそっ! くそ!」
 それは、戦いとは言えない一方的な展開だった。レジスタンスの少年、アルバは試作兵器実験用パンツァーキャバリア『マンティス』に捕まり、攻撃を受けていた。すでに両腕はもぎ取られ、残る武装は胴体の主砲のみ。しかしそれも、周囲の風景に溶け込みながら移動する相手のキャバリアが相手では意味がない。ゾルダートグラードのパンツァーキャバリアは未だ無傷のまま、アルバを嬲り続けていた。

「貴様では新兵器のテストには役者不足のようだ。そろそろ死ね」
 キュウウン……。『マンティス』が肩の荷電粒子砲のチャージを開始する。もはやアルバは機体ごと蒸発する運命かと思われた矢先。
「そこまでよ!」
 野太い合成音と共に横合いから放たれた銃弾の嵐が突然オブリビオン機を殴りつけ、機体を激しく揺らした。

「くそっ増援か!」
 オブリビオンの機体は直ちに回避を優先し、木々の陰へと身を隠す。それと同時に、機関銃の音がした方へとチャージしていたビームを発砲。ビームは木々をなぎ倒し、その陰から黄色い、キャバリアよりは幾分小さな影が飛び出してきた。それは、キャバリアではなく、工事現場で使われるような建設用重機によく似たマシンだった。しかし、それは機械であって機械に|非《あら》ず。『ガテン系マシンナーズオネェ』の猟兵、クロククルロク・カーペンターだ。

「幼子が犠牲になる戦いは、あってはならないの。絶対、絶対にね。だから手の届く範囲だけでも救わないと」
「重機……? 誰が乗ってるの?」
「私は猟兵のクロククルロク。レジスタンスのあなた達に助太刀するわ。どうしても一泡吹かせたいなら、|貴方達《子供達》の出番はまだよ。だから今は守られておきなさい! ゾルダートグラード、この子達に代わって私が相手よ! トランスフォーーム!!」
 勇壮な叫び声と共に、クロククルロクの全身が光り輝く。その瞬間、オブリビオンの荷電粒子砲が発射され、クロククルロクはプラズマの爆風に呑まれた。

「死んだか?」
「あら、そいつはどうかしら」
 爆風を切り裂いて飛び出した、重機のハンマーがオブリビオンのキャバリアを殴りつける。その凄まじい運動エネルギーは一撃で敵機をひしゃげさせ、中破させた。

「普段の私じゃキャバリアに及ばないかもしれないけれど、トランスフォームしたらどうかしらねェ? これならキャバリアにも見劣りしないのではなくて?」
 不敵に告げたクロククルロクの姿は、8メートル近い巨大な機械の巨人へと変化していた。クロククルロクは己の内に眠る超機械エネルギーを爆発させ、人型機械生命体へと変身したのだ。

「重機の大型キャバリア!? あんな機体、初めて見た!」
 クロククルロクを(人が乗った)キャバリアだと勘違いしたアルバは感嘆の声を上げた。だが、こんな派手な機体と戦闘音に周囲の敵が気づかぬはずもなく、あっという間にクロククルロクは大量の敵キャバリアに包囲された。
「なんだ、あのデカいキャバリアは!? 撃て! 撃て!」
「目立って結構! 戦うのは兵器として生まれた私の役目! 道を切り開くのも年長者の役目よ!」
 四方八方から荷電粒子砲の嵐が降り注ぎ、クロククルロクの装甲を溶解させていく。しかし、クロククルロクは敵の注意をレジスタンスから逸らすべく、不利を承知でハンマーを振り回し、機関銃を乱射し、見栄を切った。
「さあ、かかってらっしゃい、ボウヤ達。まとめてスクラップにしてあげる!」


「……死ぬの前提なんだね」
 クロムキャバリア『ミズガルズ』のコックピットにて。シルヴィ・フォーアンサーはぽつりと呟く。すると、機体に搭載されたサポートAIのヨルムンガンドが話しかけてきた。
『希望がなければ人は生きていけない、昔の君もそうだったろう』
「ああ、そうだね……私はヨルが助けてくれたけど」
『なら今回は君が彼らの私になれば良い』
「……わかった」
 シルヴィは短く返答すると、機体のユーベルコード増幅機能をオンにし、精神を集中した。すると、ミズガルズはみるみるうちに不可視の氷で覆われていき、カメレオンのように周囲の風景に溶け込んでいく。
「向こうが迷彩塗料ならこっちは透明だ」
『ああ、化かしあいだ。捕捉するのが早いほうが勝つ』

 機体のレーダーで敵機の位置を探りながら、シルヴィは人気のない山を駆けていく。こうしている間にもレジスタンスが殺されているかもしれない。そんな焦燥を抑え、シルヴィは極力物音を立てないように注意しながら、ダムへと近づいていった。
 ウーウーウーウーウー!
 遠くの方からサイレンの音と機関銃の射撃音が聞こえてきた。
「今の音は……」
 シルヴィの問いに、索敵範囲を限界まで広げたヨルが答えた。
『近くで猟兵が戦っている。どうやらレジスタンスを庇いながら、多勢相手を強いられているようだ』
「……急ごう」


 ズドン!
 突然、二体のオブリビオンの機体の腹に穴が空き、直後、爆散した。クロククルロクの攻撃ではない。レジスタンスの攻撃でもない。攻撃したのは――戦闘音を聞いて駆けつけてきたシルヴィの『ミドガルズ』だ。戦いの騒音に紛れ、不可視の氷で姿を覆ったまま戦場に密かに忍び寄っていたミズガルズは、オブリビオンのセンサーに全く気付かれないまま奇襲を仕掛けることに成功した。

「レジスタンス、聞こえる? シルヴィは敵じゃない。加勢するよ」
『マルチロックオン』
 シルヴィは|レジスタンスの少年《アルバ》にも聞こえるようにスピーカーに向かって宣言すると、両腕に固定したガトリングキャノンと背中の大型ビーム砲、そして両肩のミサイルポッドで周辺の敵機をまとめて攻撃し始めた。高火力のキャバリアが参戦してきたことで、たちまち戦場は蜂の巣をつついたような騒ぎになった。

「また新型……! なんて火力の機体だ! それに、とてつもなくかっこいい!」
 この世界の多くのキャバリアとは異なり、洗練されたフォルムを持つ『ミドガルズ』に思わず見惚れるアルバ。
「だってさ、ヨル」
『……今は戦いに集中したまえ』
 
「ありがと! 助かるわ!」
 まだ余力を残していたクロククルロクはシルヴィに礼を言い、すぐさま攻勢に転じた。遠心力をたっぷり乗せたハンマーで鉄機を粉砕し、キックで敵を吹き飛ばし、シャベルユニットを振り回して敵を叩き斬る。レジスタンスの少年もクロククルロクの陰から、主砲で援護射撃を始めた。

「くそ、至近距離からなら……」
 乱戦の最中、試作兵器実験用パンツァーキャバリアの一機がミドガルズのロケットパンチを装甲の厚い部分で弾き返し、シルヴィの懐に飛び込んできた。密着状態なら誘爆を恐れ、火器は使えないだろうという読みだ。
『甘い』
 しかし、シルヴィは腕を一閃し、敵キャバリアを真っ二つに切り裂いた。拳を取り外したミドガルズの手首からは、いつの間にかビームサーベルが生えていたのだ。

「いい感じね。このままダムまで突破しましょう!」
「わかった。あなたも、シルヴィ達についてきて」
「わ、わかった! 助けてくれてありがとう!」
「なんだこいつら!? どこかの超大国の送り込んだ特殊部隊か!?」
「強すぎる! まるで歯が立たん! うわああああッ!」

 クロククルロクとシルヴィはレジスタンスの少年を連れたまま、襲い掛かってくる敵機を蹴散らし、研究所の入り口を目指して進んで行くのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

バロメリアン・マルゴール

目的:敵の攻撃を友軍から逸らす
行動:範囲攻撃で攻撃し目立つ

歌唱兵の仕事は仲間の士気高揚
今日はその仕事を果たしに来たぜ
諦めそうになってる連中に、希望の光を灯すための歌を届けにね
|助け求める声《m'aider》には、応えなきゃな

オレの攻撃は歌に乗って広がる魔術だ
潜伏してそうな辺りへ撃ち込めば高確率で巻き込めるだろうし
音だから装甲も貫通して乗員を攻撃出来るハズさ
友軍前方に適当に狙いを定めて…

さ、ゲリラライブの時間と行こうか!

今回の敵は単眼
その目を惹きつけりゃオレ以外への攻撃は盲撃ちさ
さぁ、ムッシュー&マドモアゼル。キミ達の出番だ!
トドメは任せた!

アーティストソウルや木々を遮蔽に耐えつつ歌い続けよう


陸郷・める

め:める。戦車乗りの少女。操縦専念中は無口
7:7号。搭載偽神兵器の生体コアにされた元ヒャッハー

め:……助太刀、するよ…!!UC【タンクアサルト】を使って、6号戦車改で前線に飛び込んで…戦車の「脚」で思いっきり蹴っ飛ばす、よ……!

7:こっちは強化された機動力で常に移動を繰り返し、狙いはつけさせねぇ。装甲はそこそこあるからな、機関砲だけでどうにかできると思うなよォ?
……もしこっちを狙わず、ガキどもを狙うようなら遠慮はナシだ、跳躍して上に飛び乗り踏みつけてから、ドリルアームでその脳天に大穴開けて、穴の中に特製グレネード(高圧縮特製胡椒弾)を放り込んで悶絶させてやるぜェ……!




「どうやら、ここまでみたいね」
「そうだね……」
 頭部の装甲が剥がれ、コックピットが剥き出しとなったキャバリアを駆っていたシャーダとソリンは諦観の籠もった声で呟いた。二人はレジスタンスの仲間とはぐれながらも勇敢に戦っていた。否、戦っていたと言うには、二人はあまりに無力だった。実際には二人は敵の居場所を特定することすら敵わず、一方的にやられていただけだ。だが、敵地で補給もなく、ここまでも持ち堪えられたのは奇跡と言っていいだろう。

「投降しろ。仲間の情報を吐けば命だけは助けてやる」
 どこからか、敵の降伏勧告が聞こえてきた。だが二人の中に投降するという選択肢はなかった。二人にはレジスタンスの誇りがある。先に逝った仲間の命に報いるためにも、ゾルダートグラードに屈服することなどできない。ならば、残る選択肢は――。

「……」
 シャーダは、手元に残った最後の武器である拳銃をじっと見つめた。弾は二発。これは|リーダー《アネモネ》に渡された自決用の弾だ。シャーダがふと顔を上げると、ソリンも自分と同じような顔をしていた。
「ねえ、ソリ――」
 シャーダが相棒に声をかけようとしたその時だった。

「諦めるにはまだ早いぜ、ムッシュー&マドモアゼル」
 どこからか、透き通るような声が聞こえてきた。
「え?」
 その瞬間、森の奥から二つの影が飛び出した。一つは琥珀色の毛並みを持つ、ヒツジの獣人。もう一つは、明らかにゾルダートグラード軍の兵器とは異なる、戦車ともキャバリアとも判別つかぬ、異様な風体のマシンだった。

「……助太刀、するよ……!」
「ヒャッハー! 汚物はスクラップだー!」
 コックピットでぼそりと呟く|陸郷《りくごう》・めると、ハイテンションに叫ぶ生体部品『7号』。二人の駆る六本脚を持つ不気味な戦車はガシャガシャと音を立てて敵機へと近づいていく。

「歌唱兵の仕事は仲間の士気高揚。今日はその仕事を果たしに来たぜ。諦めそうになってる連中に、希望の光を灯すための歌を届けにね。助け求める声m'aiderには、応えなきゃな」
 ヒツジの猟兵バロメリアン・マルゴールはレジスタンスの二人にウインクすると、すう、息を吸い込んだ。

「敵増援を確認。排除しろ!」
「こいつら、レジスタンスじゃない! 妙な気配だぞ、気を付けろ!」
 オブリビオン達はただちにバロメリアンと6号戦車改への攻撃を開始する。四方八方から|荷電粒子砲《ビーム》が雨あられと降り注いだが、めるの戦車『6号戦車改』は巨体に似合わぬ俊敏さで、荷電粒子砲の嵐をかいくぐった。
 バチチチチッ!
 バロメリアンは回避が間に合わなかったが、ビームはバロメリアンの体に触れる前に、光の壁に阻まれて消えていた。この障壁は『アーティストソウル』。バロメリアンのシンガーとしての煌めきが具現化したものだ。

「さ、ゲリラライブの時間と行こうか!」
 バロメリアンは喉を震わせ、救済の旋律を高らかに歌う。すると、前方に光輝く音符が出現し、森へと飛び込んでいく。音符が木に当たって破裂し、木々が吹き飛んだことで、主砲を放つ準備をしていたオブリビオン達の機体が次々と露わとなる。

「やかましい! さっさとあのヒツジを殺せ!」
 バロメリアンの歌『ユーベルコード(スタッカートバージョン)』の爆風を浴び、バロメリアンに釘付けになったオブリビオン達は、バロメリアンだけを集中攻撃し始めた。バロメリアンはさっと林に飛び込み、『アーティストソウル』を全開にして攻撃に耐える。

『ヒャッハー! 隙だらけだぜェ……!』
 今、敵はバロメリアンだけを見ている。めると7号が操る6号戦車改は六本の脚で跳躍し、敵機の頭を踏みつけた。そのまま頭を六本の脚でホールドして取り付いた7号は、ドリルアームを振り上げ、敵機のコックピットへと振り降ろす。
 ガガガガガガガガ!
『そら、プレゼントだ!』
 7号はコックピットにこじ開けた穴に特製スタングレネードを放り込む。パン、と音を立ててグレネードが炸裂し、オブリビオンの操縦兵はぶちまけられた大量の|胡椒《こしょう》で悶絶し始めた。
「邪魔だァ、どきな!」
 7号はハッチをこじ開け、もだえ苦しんでいるオブリビオンを外へと放り出した。
『|マンティス《こいつ》は後でテメェらにくれてやる!』
 7号はレジスタンス達に向かってそう叫ぶと、再び跳躍した。7号はバロメリアンと常に反対側になるように意識しながら、高速で戦場を駆け抜け、敵機を思い切り蹴飛ばし、次々と倒していく。

「さぁ、ムッシュー&マドモアゼル。キミ達の出番だ! トドメは任せた!」
 歌で敵の注意を引きつけながら、バロメリアンが叫ぶ。

「ありがとう! 今なら行ける!」
 レジスタンス二人のキャバリアはボロボロだが、まだ主砲は生きている。オブリビオン達はカメラをバロメリアンの方に固定されたまま、6号戦車改に蹴り倒されており、回避行動がとれない。

『そうだ! やっちまえ! 汚ねェ花火になれや!』
「しまっ……!」
 ドンドンドンドン! パンツァーキャバリアの主砲が火を吹く。直撃を受けた敵機たちはコックピットを撃ち抜かれ、次々と大破していった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ユキト・エルクード

意気軒高なのは実に結構だが、無計画に命を散らすのだけはいただけないな
無謀な真似をしてカッコいいなんて思ってるガキには、戦争なんてさせられない
身体の小さい弱者の戦い方って奴を、特別にロハで教えてやる

【戦術】
周囲を警戒しつつ、既に戦闘を起こしているであろう味方やレジスタンスが引き起こす騒音や閃光に紛れて移動
位置的優位を確保し、攻撃のチャンスを見つけ次第、UCを起動して地形ごと相手機体を連鎖爆破
その間に本体である俺もUC【刻影蝕】を使いつつ接敵し、隙を見てコックピットやエンジンといった急所を狙う

上等なオモチャに隠れてイキり散らしていたパイロットは全身へし折ってボコボコにした後、ガキ共へくれてやるさ


飛・曉虎
◎POW

ムハハハ!
|邪悪なる反逆児《イビル・チルドレン》とは何とも傾いた名よ!
だがしかし、死に急ぐというのは我輩には些か理解できぬ
封神武侠界では「子は宝」
小児の事を|宝宝《バオバオ》とも呼ぶが、やはり果てのない戦乱は人心の荒廃を招くものか
ぬぅらば!
辺都のガキ大将をも務める、白虎の神将たる我輩がひと肌脱ぐまでよ!!

遠からん者は音にも聞け!
近くば寄って目にも見よ!
これこそ悪童の中の悪童、大力無双の暴れん坊神将よ!!

ムハハハ!
救援に駆けつけての名乗りは、何とも胸がすくものよ!
死に急ごうとした童も鳩は豆鉄砲を食らったような顔をしておる
荷電粒子砲など何たるものぞ、我輩の渦輪粉碎鐵拳にて打ち砕いてやるわ!




「たった数人で攻めてくるとはな、愚か者共め!」
「ひゃはは、逃げろ、逃げろ! 死にたくなけりゃな!」
 試作兵器実験用パンツァーキャバリア『マンティス』の荷電粒子砲が唸りを上げ、レジスタンスの少年少女達を攻撃していた。彼らはすでに乗っていたキャバリアを破壊され、生身で山の中を逃げ回っていた。その気になれば一撃で周囲の地形ごとレジスタンスを蒸発させることも可能なはずだが、狩りを楽しんでいるのか、ゾルダートグラード軍のオブリビオン達はわざと狙いを甘くし、レジスタンス達を追い立てていた。

「ぐっ!」
 荷電粒子砲によって爆ぜた木の枝が足を掠め、脚をもつれさせたレジスタンスの少年、カインが転んだ。
「俺はもうダメだ、お前は行け!」
「そんなことはできない!」
 マリオラはそう叫ぶと、拳銃を抜き、マンティスへと構えた。それはキャバリアの装甲に凹みすら付けられないであろう、小さなピストルだった。

「勇敢だよ、お前らは。だが、頭は悪かったようだな!」
 マンティスのパイロットは躊躇なく主砲の発射ボタンを押した。たちまち凄まじい熱量が砲門に溢れ出し、超高熱の弾丸がレジスタンスの二人を焼き尽くさんと射出された。
 カァン!
 しかし、荷電粒子砲はレジスタンスの二人には届かなかった。放たれた凶弾は、すんでのところで割って入った|飛《ふぇい》・|曉虎《しゃおふー》の闘気弾によって弾き飛ばされたのだ。

「ムハハハ! |邪悪なる反逆児《イビル・チルドレン》とは何とも|傾《かぶ》いた名よ! だがしかし、死に急ぐというのは我輩には些か理解できぬ」
 二人を庇うように前に立った曉虎は豪快な笑い声を上げた。その直後、大地から火柱が噴きあがり、三機のキャバリアが爆破炎上した。
「は?」
 生き残ったキャバリアのパイロットは困惑し、きょろきょろと周囲を見渡す。すると、いつの間にか後方に銀髪の青年が立っているのが見えた。

「意気軒高なのは実に結構だが、無計画に命を散らすのだけはいただけないな。無謀な真似をしてカッコいいなんて思ってるガキには、戦争なんてさせられない。身体の小さい弱者の戦い方って奴を、特別に|無料《ロハ》で教えてやる」
 ユキト・エルクードはそう呟くと、地面に手掌を当てた。すると、再び地面から火柱が噴き出す。火柱はまるで生き物のようにのたくり、敵機へと襲い掛かった。キャバリア達は炎に動力炉を誘爆させられ、ことごとく塵となっていく。
『|神火分霊葬送陣《ジンカブンレイソウソウジン》』。先ほど三機のキャバリアを葬った技の正体は、龍脈から呼び起こされた|霊峰天舞《アマツカグラ》の分霊だったのだ。

「封神武侠界では『子は宝』。小児の事を|宝宝《バオバオ》とも呼ぶが、やはり果てのない戦乱は人心の荒廃を招くものか。ぬぅらば! 辺都のガキ大将をも務める、白虎の神将たる我輩がひと肌脱ぐまでよ!!」
 曉虎は挨拶代わりとばかりに近くのキャバリアに駆け寄ると、|発頸《はっけい》でキャバリアを吹き飛ばし、後続のキャバリアにぶつけた。

「な、なんだこいつら! 未確認の脅威出現! ポイントA-15に増援を頼む!」
「ムハハハ! ユキト! 半分は任せるぞ!」
「問題ない」
「遠からん者は音にも聞け! 近くば寄って目にも見よ! これこそ悪童の中の悪童、大力無双の暴れん坊神将よ!!」
 二手に分かれた曉虎とユキトはキャバリアもかくやという速度で戦場を駆け回り、オブリビオン達を攻撃していく。

「悶え苦しめ」
 一瞬でパンツァーキャバリアに懐に潜り込み、カメラの死角に潜り込んだユキトは、口から黒い針を吐き出した。ユキト自身の影で練り上げられた含み針はマンティスのコードが剥き出しになっている部分に突き刺さり、みるみるうちにドス黒いオーラに包まれていく。
「くそ! 機体が動かん!」
 ガチャガチャと操縦桿を引くパイロット。しかし、機体は全く応答しない。オブリビオンがもたついていると、突然機体のハッチがメキメキと音を立てて外部からこじ開けられた。
「上等なオモチャに隠れて、イキり散らすのは楽しかったか?」
「がぐっ!」
 ユキトの痛烈なパンチを喰らわされたパイロットは背骨をへし折られ、外へと無造作に投げ捨てられた。

「あの人達、生身でキャバリアと戦ってる!?」
「いえ、それどころか圧倒してるわ……」
 戦車以上の戦闘力を持つパンツァーキャバリアを、生身で圧倒する。埒外の生命体である猟兵としては特段珍しいことではないが、この世界に生きるレジスタンス達には、それは衝撃的な光景であった。

「ガキ共。こいつはくれてやる」
 ユキトはカインとマリオラに声をかけると、機体を蹴って死角へと滑り込んだ。
「えっ!? あ、ありがとう!」
「そら! |童《わっぱ》らに|あの男《ユキト》から贈り物だぞ!」
「おわー!?」
 一瞬でレジスタンスの二人の前へと移動した曉虎は二人まとめて抱え上げると、空席となったマンティスのコックピットへと放り込んだ。

「ムハハハ! 救援に駆けつけての名乗りは、何とも胸がすくものよ! 死に急ごうとした童も鳩は豆鉄砲を食らったような顔をしておった。荷電粒子砲など何たるものぞ、我輩の『|渦輪粉碎鐵拳《スパイラル・マグナム》』にて打ち砕いてやるわ!」
 曉虎はまだ残っている敵のキャバリア達に向け、両腕に付けていた銅の輪を射出した。

「唸れ、|乾坤圏《けんこんけん》!」
 陰と陽、反発する二つのエネルギーを宿した二つの輪は空中で激しくぶつかり合いながら乱回転し、荷電粒子砲を弾きながら戦場を縦横無尽に荒れ狂う。超高速で回転する|宝貝《パオペエ》に巻き込まれたパンツァーキャバリア達は紙屑同然に引き裂かれ、パイロットもろとも、爆散して果てていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

セレーネ・ジルコニウム

【ガルヴォルン】
「こちら、私設軍事組織ガルヴォルンのセレーネ大佐です。
邪悪なる反逆児の皆さん、これよりガルヴォルンは皆さんの支援に入ります。
要件はそれだけです。それでは」

機動戦艦ストライダーの艦橋から邪悪なる反逆児の皆さんに通信をおこない、錫華さん、メサイアさんに出撃の合図を送ります。

理緒さんからの収容要求に応え、ストライダーのキャバリア格納庫を解放しましょう。
邪悪なる反逆児の皆さんの直接支援は理緒さんに任せます。

私はストライダーを指揮し、敵の試作型パンツァーキャバリアに攻撃をおこないましょう。

「四脚型の巨大キャバリアですか。
ですが、こちらはそれを超える戦艦級!
ストライダー、長距離弾道ミサイル発射です!」

ストライダーに搭載した弾道ミサイルで遠距離攻撃をおこないます。
敵の対空機関砲は『EP光学迷彩バリアユニット』による電磁バリアで防ぎましょう。
まあ、その程度の攻撃、当たったところでストライダーの装甲は破れませんが。

「邪悪なる反逆児の皆さん、絶対に死に急がないでくださいね……」


菫宮・理緒

【ガルヴォルン】

今回はストライダーのクルーで参加。

さて、と。
索敵もだけど、レジスタンスの位置も把握しないとね。

お、メサイアさんのステルスブレイクすごーい!
『希』ちゃん、【Density Radar】で捕捉したら、追跡とデータの共有よろしく!


それと、レジスタンスに連絡取れるかな?
できるならストライダーに収容してメンテしたいんだけど……。
セレーネさん、ミスランディアさん、支援、どのくらいまでおっけー?

わ、セレーネさんありがと!
それじゃレジスタンスのみなさま、ストライダーに来てー。
補給と整備、させてもらうから!

……わたしの前で不完全なキャバリアで戦闘とか認めないからね?(圧

とりあえずわたしはレジスタンス側のフォローに回るから、
ガルヴォルン側は、『希』ちゃんに任せた!

セレーネさん、ストライダーの火力で敵の行動範囲を制限して、
いっきに殲滅してもらうっていうのはどうかな?

って、いっきに、とは言ったけどもー!?

ミスランディアさん……。
そろそろセレーネさんにも遠隔操作ユニットつけたほうがよくないかな?


メサイア・エルネイジェ

【ガルヴォルン】
本日はガルヴォルンの皆様のお流儀をお勉強致しますのよ〜!
愉快な遠足の始まりですわ〜!
本日のヴリちゃんはシャドウプレデターですわ〜!
ストライダーから発進致しますのよ〜!

おジャングルみてぇな場所ですわねぇ
お敵様はどちら?こちら?
もしー!お敵様ー!
お返事がありませんわねぇ……かくれんぼなさっておりますわ!
こんな時は……ハイパースキャンですわ〜!
これでお隠れになられていても丸見えでしてよ〜!
お理緒様〜!お敵様の隠れんぼモードを解除致しましたわ〜!
次はわたくしが隠れる番ですわ〜!
おジャミングでおレーダーとお通信を妨害するのですわ
さらに!スモークディスチャージャーで煙幕展開ですわ!
こちらを見失っている内にこっそり近付いて……EMPガンを連射ですわ〜!
動けなくしたらヴリちゃんキック!ヴリちゃんパンチ!ヴリちゃん噛みつき!

あら〜?でっけぇミサイルですわねぇ
綺麗なお花火ですわ〜!


支倉・錫華

【ガルヴォルン】

搭乗機は【ナズグル】

ストライダーから発進するのは久しぶりだね。
なんていうか、いろいろちゃんと直っててよかった。

今回は森の中での戦闘がメインになりそうだね。
なら、移動力5倍、射程半分のチューンでいいかな。

アミシア、みんなとデータリンクして、位置情報もらって。
いまの戦力を考えると、敵……『Mantis』だっけ?
できればレジスタンスのほうには行かせないようにしたいかな。
もし接触できるなら、戦闘は補給だけでも受けてもらってからって説得しよう。

ストライダーの火力で敵はまとまりつつあるから、
こっちは外側から削っていけばいいね。
みんなでダムへ追い込んでいって、最終的には殲滅しちゃいたいな。

さーてそれじゃ森林ゲリラ戦いってみようか。

アミシア、【Low Observable Unit】準備。
相手の探知範囲に入る直前で作動させて、歌仙で潰していくよ。
なるべく音立てないようにしていこう。

えーっと大佐? ゲリラ戦のつもりだったんだけど……。
まぁいいか。とりあえずダムだけは壊さないでね。




「――ここまでですか」
 三機の『マンティス』に囲まれ、|私《アネモネ》は呟いた。ありったけの弾薬を使った最後の賭けだったが、残念ながら、レジスタンスの牙は研究所の入り口にさえ届かなかった。恐らく、他の仲間ももう全滅しているだろう。

「パイロットをコックピットから引きずり出せ。仲間の居場所も吐かせねばならん」
「了解」
 マンティス達の主砲の周りで電気が弾け、エネルギーが充填されていく。もはや逃げ場はない。三機の荷電粒子砲に狙われた状態から回避することができるほど、アネモネの機体は高性能機ではなかった。
「畜生……!」
 アネモネがやぶれかぶれの特攻をかけようとしたその時だった。落雷のような凄まじい音が上空で炸裂し、マンティス達の機体が揃ってアラートを鳴らした。

「あれはなんだ……?」
 マンティスのパイロット達が空を見上げると、そこには、ワームホールのような黒い穴がぽっかりと浮かんでいた。
 ヴヴヴヴヴ……。
 低い振動音と共に、穴から飛び出してきたのは機動戦艦ストライダー。クロムキャバリアの私設軍事組織『ガルヴォルン』の保有するワダツミ級強襲揚陸艦だ。


「|邪悪なる反逆児《イビル・チルドレン》の皆さん、絶対に死に急がないでくださいね……」
 戦艦ストライダーごとこの世界に転移してきたセレーネ・ジルコニウムはぽつりと呟いた。

「空飛ぶ、戦艦!?」
 マンティス達は虚空に出現した謎の戦艦を最大限に警戒し、主砲を空へと向ける。その時、戦艦の外部スピーカーから、少女の声が聞こえてきた。
「こちら、私設軍事組織ガルヴォルンのセレーネ大佐です。『|邪悪なる反逆児《イビル・チルドレン》』の皆さん、これよりガルヴォルンは皆さんの支援に入ります。要件はそれだけです。それでは」

『研究所より通達。直ちに上空に出現した戦艦を迎撃し、可能ならば鹵獲せよ』
 こんな巨大なものに気付かないはずもなく、直ちに敵の管制室は周囲に配置されていたキャバリア達にストライダーの迎撃指令を出した。たちまちマンティス達は戦闘態勢に入り、ストライダーを撃ち墜とさんと、|荷電粒子砲《ビーム》で撃ってきた。しかし、|夥《おびただ》しい数のビームはストライダーの装甲に触れる前に空中で掻き消えた。

「錫華さん、メサイアさん、出撃して下さい!」
「ストライダーから発進するのは久しぶりだね。なんていうか、いろいろちゃんと直っててよかった」
「本日はガルヴォルンの皆様のお流儀をお勉強致しますのよ〜! 愉快な遠足の始まりですわ〜!」

 セレーネの合図と共に、甲板で待機していた|支倉《はせくら》・|錫華《すずか》の『ナズグル』とメサイア・エルネイジェの『ヴリトラ・シャドウプレデター』は甲板を蹴って降下し、アネモネの機体を庇うような位置取りで着地した。突然の闖入者に困惑しているマンティスをよそに、二機はすぐさま視認できている敵機に向けて攻撃を開始した。

「そこだね」
 黒い機体が踊り、マンティスの一機に肉薄した。バンカーナックルを叩きつけ、一瞬でマンティスをボコボコにした錫華機は、敵機を蹴って跳躍。空中でカタツムリ型のレーザマシンガンを抜き、もう一機に銃口を向けた。圧倒的な連射力を誇る制圧用レーザーは数秒でマンティスをハチの巣にし、エンジンタンクを撃ち抜かれたマンティスは爆炎に包まれた。

「おジャングルみてぇな場所ですわねぇ。お敵様はどちら? こちら?」
 ガシャガシャと森の中を疾走しながら周囲の風景を確認していたメサイアは、機体を急加速させると、大きな爪でコックピットを刺し貫いた。これで三機目撃破。最初から見えていた機体はひとまず全滅した。

「もしー! お敵様ー! お返事がありませんわねぇ……かくれんぼなさっておりますわ! こんな時は……ハイパースキャンですわ〜!」
 ヴリトラの背中の剣山のようなパーツが赤く明滅し、周辺に電磁波を放射した。この電磁波によって隠れていたマンティス達は居場所を丸裸にされ、ヴリトラのレーダーにハッキリと映った。数は全部で、十二機。

「これでお隠れになられていても丸見えでしてよ〜! お理緒様〜!お敵様の隠れんぼモードを解除致しましたわ〜!」
「お、メサイアさんのステルスブレイクすごーい!」
 メサイアは直ちにストライダーに探知した敵機とレジスタンスの位置情報を送る。すると、すぐさまオペレーターの|菫宮《とうみや》・|理緒《りお》がその情報を錫華にも送った。

「さて、と。索敵もだけど、レジスタンスの位置も把握しないとね。『|希《まれ》』ちゃん、【Density Radar】で捕捉したら、追跡とデータの共有よろしく!」
『了解しました』
『メサイアさん、ありがと! 敵と友軍の位置、レーダーに出すよ!』
 理緒は錫華とメサイアに敵とレジスタンスの位置を統合したデータを送信する。ストライダーの高性能レーダーをリアルタイムで送信しているので、これで錫華とメサイアは敵の居場所を常に把握できるはずだ。

『データ受信完了』
「ありがと、メサイア」
 周辺に敵はあと9機。レジスタンス達はどうやらここにいるアネモネ以外はみな他の猟兵に既に保護されたようだ。

「次はわたくしが隠れる番ですわ〜! おジャミングでおレーダーとお通信を妨害するのですわ」
 ヴリトラの背中のブレードアンテナからまた別の種類の電波が放出される。『ヴリトラ・シャドウプレデター』は電子戦に特化したキャバリア。電子技術の平均値がクロムキャバリアより遥かにが劣るゾルダートグラード軍の貧弱なECSは、ヴリトラのジャミングに晒された瞬間、ポンコツと化した。

「なんだ、レーダーから全ての機体の反応が消えたぞ!」
「くそっ! 無線が使えん! 何が起こっている!?」
「さらに! スモークディスチャージャーで煙幕展開ですわ!」
 ヴリトラは背中の両翼から黒煙を吐き出した。たちまち戦場は濃い煙幕が立ち込め、視界はほぼゼロになった。

「こちらを見失っている内にこっそり近付いて……EMPガンを連射ですわ〜!」
 頭が地に擦れそうになるほど姿勢を低くしたヴリトラはレーダーが示す敵機の位置に向かって大地を疾走し、獰猛に『マンティス』へと襲い掛かる。昆虫界では無双の狩人である『|蟷螂《マンティス》』であっても、相手が|恐竜《ダイナソー》であっては分が悪い。ただ|蹂躙《じゅうりん》されるのみだ。ヴリトラは両腕の爪から青い稲妻を連続発射し、次々と敵機を撃ち抜いた。電磁波で内部の回路を焼き尽くされ、棒立ちになったマンティスへと、ヴリトラは飛びかかり、噛みつきで首をもぎ取り、キックで胴体をねじ切り、パンチでコックピットをぶち抜いて、あっという間に五機のマンティスを破壊した。

『ヴオオオオオオオオオオオオ!!』
 破壊の権化たる姿を見せつけ、ヴリトラは天に向かって咆哮する。
「あらあら、ヴリちゃんもご機嫌ですわ~!」


「あそこに一機レジスタンスの機体がいる……ストライダー、回収急いで。回収までの時間は私が稼ぐよ」
「了解! アンカー準備するね!」
「レジスタンス、聞こえる? 私達は友軍だ。補給の用意がある。一度あの戦艦と合流してくれるかな」
 錫華がアネモネ機に無線通信で呼び掛けると、返答があった。

「いいでしょう。貴方達を信用します。私をだましたところであなた方に何か益があるとは思えませんし」
「いい子ね。あなた、名前は?」
「アネモネです」
「わたしは錫華。ストライダー、アンカー降ろして! 
『了解』
『希』はアネモネの機体を回収すべく、ワイヤーを射出した。アネモネ機にぐるりと巻き付いたワイヤーはウインチによって巻き取られ、アネモネ機は空へと上昇していく。

「レジスタンスが逃げるぞ!」
「逃がすか! 撃ち落とせ!」
「おっと、あなたたちの相手は私だよ。アミシア、『Low Observable Unit』準備」
『了解、フレーム換装します』

 スピード重視のフレームに一瞬で換装を終えた錫華のナズグルはアネモネを守るべく、マンティスへと疾駆する。大地に深々と足跡を刻んで飛び出したナズグルは、一瞬でマンティスの一機へと肉薄した。マンティスは慌てて主砲を向けるが、エネルギーが充填されるよりも早く、ナズグルは|片刃の実体剣《歌仙》を抜いていた。
 一閃。
 ナズグルは横一文字にマンティスのコックピットを切り捨てると、次の獲物を狩るべく跳躍した。『|幽鬼《ナズグル》』の名を冠するキャバリアは山に迷い込んだ旅人を死の世界に誘う亡霊の如く、音もなく次々とマンティスを狩りながら、発電所へと迫っていった。


「レジスタンスの子、回収したよ! お名前はアネモネさんだって」
「了解、アネモネさんの着艦を許可します」
 理緒の言葉に頷いたセレーネは、ハッチを開き、素早くアネモネ機をキャバリア格納庫に収容した。
「ガルヴォルン側は、『希』ちゃんに任せた!」
 理緒はセレーネのサポートはAIに丸投げし、自分はキャバリア格納庫へとスキップしていった。

「妖精さん! アネモネさんこっちまでお連れして!」
『アネモネさん。我々はあなた方の味方です。どうぞこちらへ」
「え? 何コレ? まあ、ついていくしかないか……」
 理緒がユーベルコードで呼び出した電子の妖精の一体が梯子を用意しながらアネモネに呼び掛けるとアネモネはおっかなびっくり機体から降りてきた。

「その、助けてくれてありがとうございます」
 アネモネはキョロキョロとストライダーの内部を見回しながら、理緒に礼を言った。
「いいよ、気にしないで! それよりさっそく機体を見せてくれるかな!? さっそく整備するから。セレーネさん、ミスランディアさん、支援、どのくらいまでおっけー?」
「直接支援は理緒さんの判断に任せます」
 理緒の問いに、セレーネが館内放送で答えた。
「わ、セレーネさんありがと! それじゃ、補給と整備、させてもらうから!」
 理緒は電子の妖精を召喚し、さっそくアネモネ機の検分を開始する。

「ゾルダートグラートのパンツァーキャバリア『グレムリン』か。けっこう古いモデルだね。アンテナとかは正規品じゃないけど現地改修したのかな」
「はい、あり合わせのもので修繕を重ねたり、少年兵でも扱えるようにペダルの位置を変えたりしています」
「了解。とりあえず摩耗しているパーツは全とっかえするね。武器は、『ナズグル』の武装を流用できるかな……」

 理緒は電子妖精達と打ち合わせし、アネモネ機の強化改造プランを超スピードで練っていく。あまりに至れり尽くせりな待遇に逆に不安に思ったのか、アネモネは理緒に声をかけた。

「あの、高額の改造費とか後で要求されても支払い能力はないんですけど……」
「お金などいらぬ!……わたしの前で不完全なキャバリアで戦闘とか認めないからね?」
「あっ、はい」
 理緒のただならぬ圧に負け、アネモネは黙った。

「初めまして、アネモネさん。ようこそストライダーへ。当艦は貴方を歓迎します」
 セレーネは艦内放送でアネモネに挨拶した。その時、ストライダーのサポートAI『ミスランディア』がアラートメッセージを出した。
『セレーネ、レーダーに反応あり。ダムの底から増援が来ます』
「四脚型キャバリアですか。ですが、こちらはキャバリアを超える戦艦級! ストライダー、長距離弾道ミサイル発射です!」

 |敵艦《ストライダー》を撃ち落とさんと、『マンティス』の対空機関砲が流星群の如く放たれる。しかし、ストライダーを覆っていた電磁バリアは無傷で機関砲による攻撃を防ぎ切った。

「まあ、その程度の攻撃、当たったところでストライダーの装甲は破れませんが」(ドヤァ)
「セレーネさん、ストライダーの火力で敵の行動範囲を制限して、いっきに殲滅してもらうっていうのはどうかな?」
 理緒は携帯デバイスで外の様子を確認しつつ、無線でセレーネにアドバイスした。

「了解です、ついでに発電所の入り口ごとこじ開けてしまいましょう。ターゲット座標指定。長距離弾道ミサイル発射準備!」
「って、いっきに、とは言ったけどもー!?」
 セレーネがミサイル発射の準備を開始したことで、理緒は血相を変えた。水力発電所なので、放射線が漏れたりはしないだろうが。

「|発射《ファイア》!」
 ボシュッ!
 セレーネの|命令《コマンド》と共に、ストライダーから拠点制圧用に用いる大型のミサイルが発射され、凄まじい轟音が山中に響き渡った。音速を超えて飛ぶミサイルは一度垂直に上昇すると、鋭角に急降下し、ダムへとまっすぐに襲い掛かった。

『大型ミサイル接近』
 ヴリトラとナズグルが同時にアラートメッセージをディスプレイに表示する。
「総員、衝撃に備えてください!」
「アネモネさん、何かに捕まって!」
 セレーネの警告を聞き、理緒は咄嗟にアネモネに覆いかぶさる。直後、激しい振動と熱風がストライダーを叩いた。
 
「ゲリラ戦のつもりだったんだけどな……」
「あら〜? でっけぇミサイルですわねぇ」
 錫華とメサイアはとにもかくにも防御態勢を取った。数秒後、貯水槽に突っ込んだミサイルがダムの底に命中し、大爆発を起こした。爆風は直径200メートルを超える大火球となって炸裂し、ダムを木端微塵に粉砕した。ゲリラ戦とも|潜入《ステルス》ともほど遠い、派手な宣戦布告を独断で行った指揮官の蛮行を見て理緒と錫華は言葉を失う。

「綺麗なお花火ですわ〜!」
 が、客分のメサイアは無邪気にはしゃいでいた。

「あれがキャバリア研究所の入り口ですね! 計算通りです!」
 ミサイルがもたらした大破壊の痕を見て、セレーネはえへんと(ない)胸を反らした。粉砕された貯水槽に溜まっていた水は小さな川となり、盛大に流れていく。しばらくすると、干上がったダムの底に、溶解した大穴が見えた。あれが研究施設への入り口だろう。正規の入り口であるかはさておき。

「ミスランディアさん……。そろそろセレーネさんにも遠隔操作ユニットつけたほうがよくないかな?」
 起き上がった理緒はぽつりと呟く。

『……前向きに検討しようかの。そろそろ放し飼いはやめて首輪付きに……』
「しないで下さいっ!」
 |非情なサポートAI《ミスランディア》の意見に、セレーネは思わず抗議したのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『パンツァーキャバリア『アイアン・サム』』

POW   :    ファイヤフライ
【17ポンド対戦車砲】から【激しい閃光と共に放たれる砲弾】を放ち、レベルm半径内の敵全員を攻撃する。発動前の【装填時間と狙撃】時間に応じて威力アップ。
SPD   :    イージーエイト
自身が操縦する【パンツァーキャバリア】の【主砲威力】と【装甲】を増強する。
WIZ   :    スーパーサム
自身の【パンツァーキャバリア】を【多連装ロケット砲モード】に変形する。変形中は攻撃力・射程が3倍、移動力は0になる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



「アルバ! シャーダ! ソリン! カイン! マリオラ! 全員無事でしたか!」
 レジスタンスのリーダー、アネモネは奇跡的に全員生存していた同志たちとの再会を喜び合った。半壊していた自前のパンツァーキャバリアや、猟兵が|鹵獲《ろかく》したキャバリアも修復・調整が完了している。猟兵達の援護射撃ぐらいはできるだろう。

「正直、ここが我々の死地だと思っていましたが……猟兵達は我々に『生きろ』と言ってくれました。今だけは神に感謝したい気分です」
「リーダー! さっさと追いかけないと置いて行かれるよ! いい話は後!」

 ぷっぷー、とクラクションを鳴らし、カインがアネモネを急かすと、アネモネはハッとなった。
「そうですね! すぐに彼らを追いましょう!」
 
 レジスタンスを乗せたキャバリア達は激しいエンジンの騒音を奏でながら、猟兵達を追って研究所の入り口へと飛び込んでいった。


「この研究所が攻撃を受けている、ですって?」
 キャバリア研究所の所長は部下の報告を聞き、目を丸くした。
「はい、所長、連中、とんでもない手練れで……次々と防衛部隊を撃破しながら、研究所の中枢まで向かっています」
「それは困りましたね。どこの超大国の所属ですか?」
「それが、どうも別口のようで……奴らは『猟兵』と名乗っているようです」
「ふむ、猟兵ですか。他の地方でもたびたび被害を出している異世界からの殺戮者たちですね……厄介な奴らに目をつけられたものだ……」
 所長は監視カメラに映る猟兵達の暴れっぷりを見ながら、対処方法について考える。すると、入り口付近の監視カメラに、ずいぶん古いモデルのパンツァーキャバリアと、外を警備しているはずの試作兵器実験用パンツァーキャバリア『マンティス』が映っていることに気付いた。

「彼らは?」
「あれは、レジスタンスのガキ共のようです。『|邪悪なる子供達《イビル・チルドレン》』とか名乗っている……猟兵達はあのガキ共の加勢に来た模様」
「ふむ、使えそうですね。警備キャバリアを下げて、ルートCに誘い出しなさい。猟兵と一まとめにして、『アイアン・サム』で叩きます。周りに『守るべきもの』がいる状況の方が戦いにくいでしょうからね。施設の損害については、ある程度は許容します。なんとしても、中枢コンピューター室に辿り着かれる前に奴らを叩き潰しなさい!」
「「サー・イエス・サー!」」


『アイアン・サム、全機起動』
 研究所内にメッセージが響き渡ると、壁に鎮座していた巨大なパンツァーキャバリア達のカメラアイに光が灯った。そのキャバリア達は巨大だった。全高は20メートル近くはあるだろう。通常のキャバリアの4倍にも達するその巨体は、無骨ながらもある種の神々しささえ備えていた。

『侵入者の排除を開始せよ』
 激闘が始まろうとしていた。
シルヴィ・フォーアンサー


……おっきいのがいっぱい来たね。
『本気で撃退に来たということだろう』

アネモネ達に派手に攻撃するから巻き込まれないよう施設の影に下がっててと指示。
自分も施設を影に移動しながら複数を巻き込めるようにパラライズ・ミサイルを発射。
動きが止まってるうちにシルエット・ミラージュからの分身達とグラビトン・ミサイル。

大きくて装甲が頑丈な分関節への負荷も大きいよね……増大した負荷で潰れちゃえ。
……まぁそれ以前に中に人がいたらそっちが先に潰れるかもしれないけど。


クロククルロク・カーペンター


探索は子供達の壁になれるように動いて、邪魔なものは地形破壊で無理矢理ね

にしても研究施設ねぇ
なら事前にコレ【トラッキングポインター】(ダーツ状ビーコン)を同行者や子供達にいくつか渡しておくわ
なにか大事そうな場所があったらこれを突き立てて、すぐ離れなさい?
オネェサンが地形破壊でぶっ飛ばしてあげるわ
くれぐれも射線には気を付けること、良いわね?

戦闘は後方からUCで狙おうかしら。痛そうな敵主砲を潰せるように狙って撃ちたいわ
ポインターが外れても威嚇射撃以上にはなるはずよ

口径砲身とか細かい事はUCだしどうにかなるわよ

参考までに80cm列車砲は現実に存在する
物理には質量。UCをぶちかましたい!(全ての本音)




「コレを渡しておくわ」
 クロククルロク・カーペンターは合流した『|邪悪なる反逆児《イビル・チルドレン》』にダーツのようなものをクレーンにぶら下げて差し出した。

「なんです? これ」
 アネモネの問いに、クロククルニクが答える。
「ビーコンよ。なにか大事そうな場所があったらこれを突き立てて、すぐ離れなさい? オネェサンが地形破壊でぶっ飛ばしてあげるわ。くれぐれも射線には気を付けること、良いわね?」
 クロククルロクはカメラアイをチカチカと明滅させた。ウインクのつもりらしい。

「ありがとう! お姉さん!」
「いいのよ。貴方達も頑張りなさい」
 アルバの元気のよい返事に、クロククルニクは優しい声(低音)で答えた。

「あのキャバリア、どこにコックピットあるんだろうな」
「それより、あの人女の人でいいのか? 俺には男の声に聞こえるんだけど」
「男だったらそう言うだろ……失礼だぞ。声の低い女の人なんだよ。たぶんマウンテンゴリラみたいな」
「私語は慎んでください。ここは敵地ですよ。油断した者から死ぬんです」
「「イエス、マム!」」

 後ろからついてくる子供達の会話に微笑みながら、クロククルロクはガシャガシャと四本脚を動かし、先頭を走る。
「おかしいわね……迎撃部隊がさっぱり出て来なくなったわ。戦力切れかしら?」
 無人の研究所を進みながら、クロククルロクは|首《クレーン》を捻った。すると。

「うおぁああ!! 落とし穴!?」
 バァン! 突然すさまじい音と共に床が抜け、レジスタンス達は真っ逆さまに下の階へと落下していった。
「やられた! やっぱり罠だったのね!」
 クロククルニクはすぐに子供達を追おうとしたが、落とし穴は既に閉じており、すぐに子供達を追うことはできそうにない。
「やってくれたじゃない……」
 クロククルニクの全身から、ぼしゅううううと、蒸気が噴出した。
「私が行くまで子供達を死なせないでね? シルヴィ」


「……おっきいのがいっぱい来たね」
『本気で撃退に来たということだろう』

 レジスタンス達と一緒に落下したシルヴィ・フォーアンサーは地下で待ち受けていた巨大キャバリア『アイアン・サム』を見上げながら呟いた。敵キャバリアのサイズはこちらの4倍以上ある。おそらく本来は拠点制圧用の重火力機だろう。

「アネモネ達は下がってて。遮蔽物の影に」
「でも」
「アネモネ達がいると、大技を撃ちにくい」
「! 分かりました! みんな、後退しましょう!」
 アネモネの指示で下がっていくレジスタンス達。

 ドンドンドンドン!
 アイアン・サム達の主砲が一斉に火を吹いた。シルヴィはスラスターをフルパワーで吹かせ、ジグザグ軌道で設備の影に滑り込み、死の砲弾の嵐を回避する。レジスタンス達も施設の資材や壁を盾にし、なんとか爆風を凌いでいた。

『あの分厚い装甲を突破するのは骨だぞ。どうする』
「頑張ってみる」
 |サポートAI《ヨルムンガンド》に短く返答すると、シルヴィは両肩にマウントされたミサイルポッドを敵機に向け、発射モードをユーベルコードに切り替えた。

「……ビリビリってするよ」
 バシュバシュバシュバシュ!
 ミサイルランチャーから稲妻を纏った多弾頭ミサイルが発射され、空中で弾がいくつもに分離した。細かく分かれた『パラライズ・ミサイル』はこちらに迫っていた『アイアン・サム』達に命中し、高圧電流で敵のシステムをダウンさせ、機能不全に追い込んだ。

「よし、次は……」
『シルヴィ、討ち漏らしがいるようだ。気を付けろ』
「!」

 ズシン、ズシン!
 しかし、味方を盾にしてミサイルを凌いでいた一機がシルヴィを無視し、レジスタンス達へと17ポンド対戦車砲を向けた。

『迎撃を――いや、待て』
「目標座標の指定開始。安定化完了。戦闘プログラムとのデータリンク……誤差無し。射撃準備、LADY。さぁ、逝っちゃってちょうだい!!」

 シルヴィは咄嗟にレジスタンスのカバーに入ろうとしたが、その時、シルヴィの後ろの隔壁をぶち破り、巨大な砲弾が部屋に飛び込んできた!
 ドンッ!
『アイアン・サム』の上半身に突き刺さった巨大砲弾は大爆発を起こし、コックピットを跡形もなく吹き飛ばした。胴体に大穴を穿たれたアイアン・サムは仰向けに倒れ、メラメラと炎上している。

『ずいぶんと無茶をする。こちらは助かったが』
「なんとか、間に合ったわね。シルヴィありがと!」

 砲弾が飛び込んできた先には、大砲のように腕を変形させていたクロククルニクの姿があった。どうやらレジスタンスがいつの間にか敵に打ち込んでいたビーコンを頼りに、隔壁ごしの狙撃を敢行したらしい。

「アネモネ達はもう大丈夫そうだね」
 ブウン、という振動音と共に、ミズガルズが突然十五機に増えた。ミラージュユニットの立体映像投影機能による、分身能力だ。正体は残像なのだが、ユーベルコードを介しているので、攻撃力もちゃんと備えている。

「……行くよ」
 ミズガルズは分身達と共に、一斉にミサイルを発射する。ミサイルはまだ機能不全から立ち直っていなかった敵機たちに命中し、黒い力場で包み込んだ。

「大きくて装甲が頑丈な分、関節への負荷も大きいよね……増大した負荷で潰れちゃえ」
 シルヴィの言葉通り、アイアン・サム達は高重力で増加した自重に耐えきれず、ベキベキと音を立てて崩壊を始めた。

「ぐああああー!
「ぎゃあああああ!」
 骨が砕ける生々しい音と共に、オブリビオン達の悲鳴が聞こえた。100倍の重力の負荷に、パイロットの肉体が耐えられなかったのだろう。

「……まぁそれ以前に中に人がいたらそっちが先に潰れるかもしれないけど」
『やはり無人機ではなかったようだな』
「危なかった……! ありがとう、二人とも」
「うん、行こう」
「いいのよ。さあ、先に進みましょう」

 数機のアイアン・サムを退けた猟兵達とレジスタンスは、さらに先へと進んでいった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

バロメリアン・マルゴール

目的:敵命中率を減らして一方的に攻撃する
行動:フラッシュバン(歌版)

彼らに元気が戻ったのは何より
それじゃ、キビキビ戦ってもらうよ
『猟兵』の歌唱兵は、「多人数戦における支援役」、あくまで攻撃はムッシュー・シャーダ達の力が必要なのさ

ヒャッハー戦車のマドモアゼルや若作…忍者のムッシューと行った心強い仲間が居る以上、火力不足にはならないだろう

さ、光遁の術ならぬライブの時間だ

今回のコードはざっくり言えば戦場全体目潰しの歌
当たらない火力には意味が無いし、移動が出来ないならむしろいい的さ

事前に伝えておくコトで仲間に連携を取って攻めてもらいつつ
砲撃を光纏ったマイクスタンドで叩き落としたりと防御でも貢献しよう


陸郷・める

(※めるは忙しいので、全編7号担当です)

戦車が問題なく動ける施設か。できるなら馬鹿正直に通路なんか通らず壁に穴開けて(地形破壊)無理やり通るが……まあデカブツの戦闘用に装甲が厚くて無理とかなら諦めるぜ!

で、あれが番犬か。出会い頭に特殊グレネード(閃光・目潰し)を発射、UCで呼び出した『AI戦車隊』による集中砲撃を浴びせるぜェ……!特に腰から脚にかけての関節部位を狙ってなァ!
こっちが十分動き回れるなら足元に無限軌道推進で突っ込み、
ドリルアームで膝の裏に大穴開けてやらぁ!
装甲を強化できたところでそもそも立つのにバランスが大事なヒト型なのは変わらねェ、膝をヤっちまえば立つもの辛いって、なァ!


飛・曉虎
◎POW

ほう
新手のパンツァーキャバリアが出てきたと思えば、天を衝くような山の如し鉄巨人であるまいか
うんうん、コレが相手では『|邪悪なる子供達《イビル・チルドレン》』などひとたまりもあるまい…であるが、我輩にかかれば木偶の坊に等しいわ!
ムハハハ!!

地面に着弾すれば炸裂する砲弾なぞ恐れるに足らず!
何故ならば…今は足輪状の飾りとなっている車輪型宝貝の風火輪にて飛翔し、我輩の剛拳にて殴り反らして見せるのであるからな!!

しかし、これだけ巨大であると我輩とて少々骨が折れるのである
さすれば手短に行かせて貰おうか
ぐるぐると旋回する砲塔の下、そこが弾薬庫ならば…我が『白虎絶命拳』で纏めて爆破してくれようぞ!


ユキト・エルクード

現場を知らない頭でっかちのバカが考えそうなことやり方だ。
まっ、こっちとしてはそっちの方がやり易いがね。

【戦術】
とにかく懐に取り付くまでは隠密に徹し、物陰や砲の死角を伝って速やかに移動。
標的に到達次第、UC【刻影蝕】で動きを封じつつ、砲手やパイロットが存在する場所(いなければそれらに相当する部位)に潜り込み、UC【奉魂忍殺】を叩き込んで内部から敵機体を破壊する。

外部から手出しが出来ない場合は関節部やカメラといった脆い部分へ【奉魂忍殺】を叩き込み、動きを封じる。

見つかった際には手近の個体に急いで駆け上がり【電撃】や【爆破】属性を付与した【投げナイフ】で迎撃しつつ、同士討ちを狙う。

とにかく迅速に。




 アイアン・サムを退け、猟兵達とレジスタンスはさらに研究所の奥へと進んでいく。しかし、まだ敵の戦力は尽きていなかったのか、通路の奥からまた巨大なキャバリア達が迎撃に出てきた。

「ほう。新手のパンツァーキャバリアが出てきたと思えば、天を衝くような山の如し鉄巨人であるまいか。うんうん、コレが相手では『邪悪なる子供達イビル・チルドレン』などひとたまりもあるまい……であるが、我輩にかかれば木偶の坊に等しいわ! ムハハハ!!」
 |飛《ふぇい》・|曉虎《しゃおふー》は敵の巨体を見上げながら呟くと、すっと空へと浮かび上がった。通常のキャバリアの4倍ほどもある巨体は、生身の猟兵からすればまさしく巨人なのだが、曉虎の闘志は衰えるどころか、むしろ昂っていた。

「現場を知らない頭でっかちのバカが考えそうなことやり方だ。まっ、こっちとしてはそっちの方がやり易いがね」
 同じく生身のユキト・エルクードはすぐさま敵機へと走り、距離を詰める。その直後、アイアン・サム達が17ポンド対戦車砲をこちらに向け、砲撃してきた。
 ドンドンドンドン!
 火山の噴火の如き轟音が研究所の通路に響く。しかし、放たれた砲弾が猟兵達に届くことはなかった。その前に、曉虎が全て叩き落としたからだ。

「地面に着弾すれば炸裂する砲弾なぞ恐れるに足らず!」
 曉虎は|宝貝《パオペエ》・風火輪の力で飛翔すると、秒速1800メートル優に超える速度で飛来した砲弾の一つに狙いを定め、勢いよく拳を叩きつけた。
 ガィン!
 思い切り殴りつけられ、軌道を逸らされた砲弾は地面に叩き落とされ、大爆発を起こした。爆炎が他の砲弾にも誘爆し、ドカンドカンと、猟兵達の遥か手前で紅蓮の華が咲いていく。

「|彼ら《子供達》に元気が戻ったのは何より。それじゃ、キビキビ戦ってもらうよ」
 バロメリアン・マルゴールは愛用のマイクを握り、喉を震わせた。威厳に満ちた旋律が空間に満ちると同時に、天井から光の音符が降り注ぎ始めた。

「な、なんだっ!? 前が見えん!」
 みるみる内に通路の光量が上がっていき、スタジアムの照明のような輝きが戦場を照らし出す。眩しすぎる光はキャバリアのカメラをも焼き、オブリビオン達から視界を奪った。恐慌に駆られたオブリビオン達は出鱈目に戦車砲をぶっ放したが、こちらが相手より遥かに小さいことが裏目に出てしまい、ろくに当たらなかった。たまに命中しそうな弾も出るものの、バロメリアンは光が漏れ出ているマイクスタンドを振り回し、砲弾を弾き返してしまった。

「さあ、今の内に。『猟兵』の歌唱兵は、『多人数戦における支援役』、あくまで攻撃はムッシュー・シャーダ達の力が必要なのさ」
 バロメリアンが合図をすると、後ろに控えていたレジスタンスのキャバリア達が一斉に動き始めた。
「さ、光遁の術ならぬライブの時間だ」
(当たらない火力には意味が無いし、移動が出来ないならむしろいい的さ)

「よし、今です!」
 アネモネの合図と共に、レジスタンスのキャバリア達がアイアン・サムへと照準する。バロメリアンが生んだ光はレジスタンス達にも影響を与えているが、事前に閃光を目くらましにすることを聞かされていたレジスタンス達は、遮光ゴーグルを機体に装備することで対策をしていたのだ。
 ドンドンドンドン!
 次々と火を吹くパンツァーキャバリアの主砲。サイズが大きい分、動きが遅かったアイアン・サム達はあっという間に砲塔を潰され、大きな案山子へとなり果てた。

「いいぞ。拳法家のマドモアゼルや若づく……忍者のムッシューと行った心強い仲間が居る以上、火力不足にはならないだろう」
 サングラスをかけたバロメリアンの視線の先には、キャバリアへと肉薄していく二つの影があった。

「ガキ共、上出来だ!」
「ムハハハ!! やるではないか!」
 バロメリアンの生み出した閃光に紛れてアンアン・サムに近づいていた曉虎とユキトはすぐさまアイアン・サムに取り付く。飛翔している曉虎はそのまま旋回する砲塔の下へ。ユキトはアイアン・サムの体の凹凸を足掛かりにして機体を駆け上がり、コックピットブロックまでよじ登った。
「これだけ巨大であると我輩とて少々骨が折れるのである。さすれば手短に行かせて貰おうか」
 曉虎は全身の気を練り上げる。そして、高めた気を拳へと集中させた。
「ぐるぐると旋回する砲塔の下、そこが弾薬庫ならば……我が『白虎絶命拳』で纏めて爆破してくれようぞ!」
「でかくなっても基本的なキャバリアの構造は変わらんだろう。パイロットはこの奥だな」
 ユキトはばたばたと暴れるキャバリアに含み針を吐きかけ、その運動機能を奪った。そして、分厚い装甲の裏にいるパイロット目掛け、電撃を纏った掌底を叩きつけた。

『白虎絶命拳!』
『|奉魂忍殺《シノビエクスキューション》』
 ドンッ!
 バチチチチチッ!
 曉虎の拳打と共に叩きつけられた気の塊は、アイアン・サムの装甲の奥まで浸透し、キャバリアの内部で炸裂した。その衝撃は弾薬庫に誘爆し、アンアン・サムは内側から大爆発を起こした。同時に、ユキトの掌底を食らったアイアン・サムは、装甲を貫通した電撃によってパイロットが黒焦げにされ、力を失ってガクン、と脱力した。

「ナハハハ! みな、似たようなことを考えるものよ!」
「この手の奴らは内側から破壊するに限る」
 曉虎が呵呵と笑うと、ユキトもフッと口元を緩めた。

「おのれ、化け物共め! これ以上先には進ませんぞ!」
 ズシン、ズシンという地響きと共に、また新たな敵増援が現れた。ユキトは舌打ちすると、爆薬を括り付けたナイフを次々とキャバリアのカメラに向けて投げつけ、視界を封じて牽制した。

「ナハハハ! 続々と来るな! まだ余力は残っているか?」
「問題ない。とはいえ、さすがにこの数は面倒だな」
『ヒャハハハ! ずいぶん派手にやってんなァ!』
 その時、敵の背後から聞き覚えのある声がした。
 ガシャン!
 屋根裏に巣を張った蜘蛛よろしく、|陸郷《りくごう》・めるの乗る戦車が天井から降ってきた。生体コアの『7号』は敵に奇襲を仕掛けるため、お行儀よく通路は通らず、屋根裏を移動し、ドリルで穴を開けて敵の背後に着地したのだ。この研究所はキャバリアが出入りすることを前提に通路はかなり広く作られていたため、キャバリアよりは幾分小さい戦車にとっては広々とした快適な道のりだった。

『なんだ、ピカピカじゃねぇか! じゃあスタングレネードは不要だな! で、あれが番犬か。おっしゃあ出番だお前ら! 狩りの時間再び、ってなァ!』
「レーダーに多数の反応! 一体どこからこれだけの敵が現れた!?」
『ターゲット、確認。排除開始』
『7号』の呼びかけに応え、『鋼鉄戦車団』が召喚された。大量に出現したAI戦車隊はアイアン・サムの膝の裏側の関節を狙い、主砲の集中砲火を浴びせた。ドンドンドンドン、と花火大会のような爆発音が響き、アイアン・サム達は爆炎に包まれていく。

「装甲を強化できたところでそもそも立つのにバランスが大事なヒト型なのは変わらねェ、膝をヤっちまえば立つもの辛いって、なァ!」
 前後を猟兵に挟まれたアイアン・サム達に逃れられる場所などない。キャバリアの脚の構造上どうしても脆くなっている箇所を攻撃された敵機たちはなすすべもなく、次々と転倒していった。
「ヒャッハー戦車のマドモアゼル……どこに消えたのかと思っていたら、あんなところにいたのか」
 バロメリアンは鮮やかな奇襲に成功した仲間の姿を見て、クスリと笑った。

「そら、トドメだ! その図体で、一度倒れたら起き上がれるかァ?」
 ギャリギャリギャリギャリ!
 |無限軌道《キャタピラ》で高速移動した『7号』は倒れた敵機に近寄ると、敵の機体に飛び乗った。
 ギュイイイイインン!
 猛回転するドリルで狙うのは敵の泣き所――。コックピットであった。

「ナハハハ! 我輩らもトドメをくれてやるとしよう!」
「よじ登る手間が省けたな」
 ドンドンドンドンッ!
 猟兵達の攻撃が炸裂し、アンアン・サム達は次々と鉄くずへと変わっていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

セレーネ・ジルコニウム
◎【ガルヴォルン】行動は仲間に合わせます

「研究所内部ですか、さすがにストライダーでは入れませんね。私もスティンガーで出ます!」

ストライダーの艦長席から立ち上がり、格納庫に向かいます。
閉所での戦闘なので、スティンガーは近接フレームに換装しておきましょう。

「私設軍事組織ガルヴォルン大佐セレーネ、スティンガーで出ます!」

ストライダーのカタパルトデッキから発進です。

「って、ミスランディア、貨物ではないんですから、もっと加速度下げてくださいーっ!?」

さて、敵は巨大兵器ですね!
ならば、後衛はメサイアさん、防御は錫華さん、補助は理緒さんに任せ、私は前に出て攻撃です!
敵のロケット砲の射程が伸びても、近づいてしまえば意味はありません!
攻撃力アップも当たらなければどうということはありません!
キャバリアブレードの他、近接フレームに装備された実体剣やビームブレードなどの近接武器を使って、高機動攻撃です!

『セレーネよ、天井が崩れてくるぞ!』
「えええっ、私、今、敵キャバリアと近接戦闘中なんですけどー!?」


メサイア・エルネイジェ

【ガルヴォルン】
今度のヴリちゃんはガンフューラーですわ〜!
おストライダーでお着替えしてまいりましたのよ

あら〜!
でっけぇのがワラワラ出てまいりましたわ〜!
育ち過ぎのおキャバリアですわ〜!
しかもバカスカロケット砲を撃ってきましたわ〜!
おデンジャラスですわ〜!
室内なので柱や壁に隠れてやり過ごすのですわ〜!
しっかし見れば見るほどでっけぇですわね!
そんなお図体では天井に頭ぶつけてしまいますわよ…ん?
天井?
閃きましたわ!
ヴリちゃん!おサムの頭の上に向けてブレイクブラストのビームキャノンをおシュートですわ!
ここは室内!
しかも地下!
天井をぶっ壊したらすんげぇ重いお瓦礫がドングラッシャー!ですわ〜!
しかもおサムは変形中は動かない!
これで埋めてしまえばよろしいのですわ!
皆様〜!身動きできなくなっている今がおチャンスでしてよ〜!
ヴリちゃんもビームキャノンをおぶっぱ致しますのよ〜!
なんですヴリちゃん?
お大佐が埋もれてしまう?
お大佐に降り掛かる瓦礫もぶっ壊せば解決ですわ〜!
わたくし天才過ぎますわ〜!


支倉・錫華

【ガルヴォルン】

引き続き【ナズグル】でいくね。
今回はチューンを装甲5倍、攻撃回数半分にするよ。

こんな狭いとこで、あんなの使う……?
『力はパワーな司令官なのでしょう』

それじゃわたしは一回ナズグルから降りて、
【ワイヤーハーケン】でブービートラップ仕掛けてこようかな。
アミシア、相手の行動予測よろしく。

【クーリエポーチ】の爆薬と合わせて爆破トラップといこう。
壊れなくても転がしたりできたら、身動き取れなくなるよね。

……あれ?
『錫華、天井が崩れてきます。ナズグルに戻ってください』

びっくりした。さすがにダメかと思ったよ……って、
大佐、だいじょうぶかな?

理緒さんが支えてくれてる間に大佐確保しないと。
瓦礫は装甲任せでいいから、スティンガーⅡ保護するよ。

【天磐】を頭上に掲げて、まずは瓦礫から防御。
崩落が落ち着いてから反撃だね。

大佐、だいじょぶ?
落ち着いたら反撃行くから、準備お願い。

瓦礫が落ち着いたら大佐と連携して、
【歌仙】で砲塔を斬り落とし、まずは火力を沈黙させてから、
手足も斬り落として行動不能にいこう。


菫宮・理緒

【ガルヴォルン】

ストライダーで研究所に突入は無理かな。
わたしも【lanius】で出ることにしよう。

あ、セレーネさんも出るんだよね。首輪着けた?

わ、またおっきいのが出てきたね。
っていうか、なんで地下であんなの運用するかな。
しかも遠慮なく撃ちまくるとか、瓦礫に埋まりたいのかなー?

しかたない。
『希』ちゃん、研究所をスキャン、崩れないようにバランスとるよ。
ここ崩れたらみんな埋まっちゃうからね。

って、メサイアさんー!?
だからそれ、わたしたちも埋まるからね!?

『希』ちゃん、瓦礫の落下速度と場所、計算して!
みんなに当たりそうなのから、わたしが消してく!
消しきれなかった瓦礫の処理は任せたー!!

『メサイアさんは乳揉みの刑だね。おねーちゃんの怖さを味わってもらおう』
いや、『希』ちゃん? それどういう意味かな? わたし怖くないよ?

って、わわわわ……瓦礫の数が多い!
セレーネさん、錫華さん、なるべく当たらないようにするけど、気をつけてー!

メサイアさんはこれ以上撃ち込まないで!?
埋まる、埋まっちゃうからー!




「お待たせ! 換装終わったよ!」
 キャバリアのメンテナンスを終え、|菫宮《とうみや》・|理緒《りお》がアナウンスすると、待ってましたとばかりにメサイア・エルネイジェの『ヴリトラ』、|支倉《はせくら》・|錫華《すずか》の『ナズグル』、そして、さらに二機のキャバリアが甲板に姿を現した。

「研究所内部ですか、さすがにストライダーでは入れませんね」
 セレーネ・ジルコニウムは戦艦のことは|AI《ミスランディア》に任せ、今度は自らもキャバリア『スティンガーⅡ』で出撃することにした。
「私設軍事組織ガルヴォルン大佐セレーネ、スティンガーⅡ、出ます!」
 勇ましい名乗りと共に、カタパルトデッキに収まるスティンガーⅡ。『ミスランディア』の操作により、セレーネの機体はぐんぐん加速していく。

「って、ミスランディア、貨物ではないんですから、もっと加速度下げてくださいーっ!? 胸が! Gで胸が潰れてしまいますっ!」
『ハッ』(冷笑)
「ミスランディア、今、笑いましたね!?」

 ぽーん。エビ反り状態で空中に投げ出された『スティンガーⅡ』は、なんとか空中で機体の制御を取り戻し、研究所の通路に着地した。セレーネは気を取り直してスラスターを吹かし、滑るように研究所の通路を駆けていく。

「あ、セレーネさんも出るんだよね。首輪着けた? わたしも【lanius】で出るね」
 理緒も先に出撃した仲間を追い、自ら設計したクロムキャバリア『MotorVehicle Type-lanius -R.I.O』、通称『lanius』で発進する。ちなみに首輪とは、研究所突入前に大佐が作戦を無視し、弾道ミサイルを発射したペナルティだ。

「今度のヴリちゃんはガンフューラーですわ〜! おストライダーでお着替えしてまいりましたのよ」
 メサイアのヴリトラは研究所に突入する前に、電子戦仕様から砲撃戦仕様にカスタマイズされている。4人で小隊を組み、研究所を進んで行く『ガルヴォルン』。やがて、レーダーに敵機の反応が現れた。

「敵機接近! 大型キャバリアです!」
 セレーネの警告とほぼ同時に、通路の奥から全長20メートルはあろうかという大型キャバリアが三機出現した。

「あら〜! でっけぇのがワラワラ出てまいりましたわ〜! 育ち過ぎのおキャバリアですわ〜!」
「敵は巨大兵器ですね! ならば、フォーメーション・スクエアです!」
「「了解!」」
「了解ですわ~!」
 セレーネの号令と共に、散開するガルヴォルン。フォーメーション・スクエアは後衛はメサイア、防御は錫華、補助は理緒に任せ、セレーネは前に出て攻撃する陣形である。

『アイアン・サム』達は多連装ロケット砲モードへと変形し、大量のロケット弾をばらまいてきた。
「バカスカロケット砲を撃ってきましたわ〜! おデンジャラスですわ〜!」
 メサイアは研究設備の裏にすばやく身を隠し、ロケット砲を凌ぐ。命中したロケット砲の威力で設備が次々と吹き飛ぶ中、メサイアは必死にキャバリアから遠ざかり、直撃を避け続けた。

『セレーネよ、狙われているぞ』
 セレーネが敵機に向かって突進すると、ディスプレイの警告アラートが点灯した。前方からロックオンあり。セレーネが素早く機体を横っ飛びさせると、1秒前にスティンガーがいた場所をロケットが三発通過し、壁に当たって大爆発した。セレーネは稲妻のようなジグザグ機動で敵のロックオンを振り切り、アイアン・サムへと迫っていく。ロケット砲は高火力だが、ミサイルと違い、追跡機能はない。左右の動きには弱いのだ。

「敵のロケット砲の射程が伸びても、近づいてしまえば意味はありません! 攻撃力アップも当たらなければどうということはありません!」
 戦車形態となったアイアン・サムの眼前まで到達したセレーネは、右手で腰に装備されていた『RXキャバリアブレード】を抜き、さらに追加兵装のビームブレードを左手で構えた。さらに、口に増設されたハードポイントに実体剣をマウント。近接特化フレームだからこそできる『三刀流』だ。
「行きます!」

 セレーネは機体を轢き潰さんと放たれた突進をジャンプで回避し、砲塔の上に飛び乗った。セレーネがアイアン・サムへと三本のブレードを一閃すると、敵機は凄まじい馬力で突進し、セレーネを振り落とした。すかさず放たれたロケット砲を、セレーネは射角の外側に逃れることで回避する。

「これでとどめですっ! ガルヴォルン流キャバリア剣術奥義――」
 セレーネがぶんぶんと両手の剣を回転させ始めた時、ミスランディアが警告を発した。
『セレーネよ、天井が崩れてくるぞ!』
「えええっ、私、今、敵キャバリアと近接戦闘中なんですけどー!?」


「こんな狭いとこで、|あんなの《巨大キャバリア》使う……?」
 アイアン・サム達の巨大な姿に、錫華は呆れていた。明らかに施設防衛向けの兵器ではない。研究所の通路がこのキャバリアが通れるサイズになっている以上、この研究所への配備も見越して開発されていたのだろうが……。

『力はパワーな司令官なのでしょう』
「嫌だな、脳筋の司令官なんて……いや、ガルヴォルンも似たようなものか」
 |AI《アミシア》が淡々と答えると、錫華は先ほどの|大佐《セレーネ》の暴走を思い出し、深い溜め息をついた。

「それじゃわたしは一回『ナズグル』から降りて、トラップ仕掛けてこようかな。アミシア、相手の行動予測よろしく」
『|了解《ラージャ》』

 機体を自動操縦モードにし、錫華はコックピットハッチを開けてナズグルから飛び降りた。ハッチが開いた瞬間にアイアン・サムが主砲をぶっぱなしてきたが、アミシアは操縦者不在のまま回避行動を取り、戦車砲を回避した。ナズグルはハッチを開けたまま遮蔽物の陰へと走る。操縦者の帰還を待つ。出撃時のチューニングにより、ナズグルの装甲強度は攻撃力と引き換えに5倍になっている。1発2発ぐらいは主砲が直撃しても耐えられるだろう。

「さて、急ごう」
 しゅたん、と着地した錫華は砲弾の飛び交う中、生身でアイアン・サムの一機に取り付いた。狙うは攻撃の起点となっている砲塔部分。錫華は素早く|爆導索《チェーンマイン》を足に巻き付け、すぐにその場を離れた。

「起爆」
 錫華が起爆スイッチを押すと、砲塔を破壊されたアイアン・サムは火を吹いて炎上した。コックピットはまだ生きているだろうが、パイロットはただではすまない。中で蒸し焼きになるか、外に出て撃ち殺されるかの二択である。

「よし、うまくいった。次は――」
 錫華が次のターゲットを見定めようとした時、アミシアから通信が入った。
『錫華、天井が崩れてきます。崩落まで約40秒。急いでナズグルに戻ってください』
「え」


「わ、またおっきいのが出てきたね。っていうか、なんで地下であんなの運用するかな。しかも遠慮なく撃ちまくるとか、瓦礫に埋まりたいのかなー?」

 アイアン・サムの暴れっぷりに理緒は首を捻る。敵の戦法は明らかに施設防衛の戦い方ではない。まるで研究所が吹っ飛ぶことを恐れていないかのようだ。
「しかたない。『希』ちゃん、研究所をスキャン、崩れないようにバランスとるよ。ここ崩れたらみんな埋まっちゃうからね」

 理緒は近いうちにフロアが崩落すると予想し、周囲の地形のスキャンを開始した・もし天井が抜けてしまえば、この区画にいる『ガルヴォルン』は全員生き埋めになってしまうだろう。一足先にさらに奥まで進んだ他の猟兵達やレジスタンスは巻き込まれなさそうなのが救いだが。
「うーん、この作りなら、天井に主砲が直撃したりしなければ大丈夫かな?」


 ロケット砲を回避し、踊るように高速機動を続けていたメサイアは敵の動きをよく観察していた。
「しっかし見れば見るほどでっけぇですわね! そんなお図体では天井に頭ぶつけてしまいますわよ……ん? 天井? 閃きましたわ!」

 その時、メサイアに稲妻走る! 

「ヴリちゃん! おサムの頭の上に向けてブレイクブラストのビームキャノンをおシュートですわ!」
 ギィン。操縦者の命令を受け、ヴリトラのカメラアイが妖しく光る。ヴィリトラは即座に|命令《コマンド》を実行せんと、背部の大型ビームガンを構えた。

「ここは室内! しかも地下! 天井をぶっ壊したらすんげぇ重いお瓦礫がドングラッシャー! ですわ〜! しかもおサムは変形中は動かない! これで埋めてしまえばよろしいのですわ!」

 それは正に悪魔的発想! 残存する敵機をまとめて葬る壊滅的な計略だった。だがそれは、パイロットの生存どころか自機の生還すら度外視する、理外の心中作戦!

「って、メサイアさんー!? だからそれ、わたしたちも埋まるからね!?」
 天井に向けられた照準と高エネルギー反応に気付き、理緒が警告を発するが、時すでに遅し。ヴリトラは最大出力で天井に向けてビームキャノンを発射し、赤黒い光線が研究所の天井を貫いた。ヴリトラの放った『ブレイクブラスト』は射線上にあった全てを吹き飛ばし、一瞬、青空が覗く。そしてその直後、ガラガラと上層階が崩落し、この世の終わりみたいな量の瓦礫が降ってきた。

「皆様〜! 身動きできなくなっている今がおチャンスでしてよ〜! ヴリちゃんもビームキャノンをおぶっぱ致しますのよ〜! なんですヴリちゃん?」
 その時、メサイアはヴリトラが警告メッセージをディスプレイに表示していることに気付いた。
『|指揮官機《セレーネ》が危機的状況』
「きゃああああっ!」
 絹を裂くような悲鳴が研究所に響く。アイアン・サムの一機と白兵戦を繰り広げていたセレーネにも、瓦礫は容赦なく降り注いでいた。


「びっくりした。さすがにダメかと思ったよ……って、大佐、だいじょうぶかな?」
 間一髪、ナズグルのコックピットに滑り込み、瓦礫の落下範囲から逃れた錫華は周辺の状況を確認していた。ふと見ると、振り続けている瓦礫を理緒がユーベルコードで必死に消去し、腰まで瓦礫に埋もれたスティンガーⅡを守っていた。

「『希』ちゃん、瓦礫の落下速度と場所、計算して! みんなに当たりそうなのから、わたしが消してく! 消しきれなかった瓦礫の処理は任せたー!!」
 理緒は『|虚実置換《キョジツチカン》』を発動し、落下してくる瓦礫を空間ごとをタブレットの画面と入れ替えることで消し去っていく。だが、落下してくる瓦礫の量があまりに多く、理緒の処理スピードが追いつかない。

「て、わわわわ……瓦礫の数が多い! セレーネさん、錫華さん、なるべく当たらないようにするけど、気をつけてー!」
「お大佐が埋もれてしまう? お大佐に降り掛かる瓦礫もぶっ壊せば解決ですわ〜!
わたくし天才過ぎますわ〜!」
「メサイアさんはこれ以上撃ち込まないで!? 埋まる、埋まっちゃうからー!」
「……これはひどい。急いで大佐を回収しないと」
 錫華は半ばまで瓦礫に埋まり、身動きが取れなくなっているスティンガーⅡに接近すると、腕を強引に掴んで引っ張り上げた。ついでに瓦礫に埋もれているアイアン・サムの砲塔をキャバリアの刀で斬り落とし、無力化しておく。危うく敵と心中しかけたが、これで敵部隊は全滅だ。

「はあ、はあ、なんとか助かりました……」
『メサイアさんは乳揉みの刑だね。おねーちゃんの怖さを味わってもらおう』
「いや、『希』ちゃん? それどういう意味かな? わたし怖くないよ?」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『ヴァルヴァラ』

POW   :    超大型回転掘削装置
自身の【何者であろうとも打ち砕く野心】を籠めた【障害物の破砕に適した超大型のドリル】を用い、通常移動と同速度で地中を掘り進む事ができる。装甲破壊にも使用可能。
SPD   :    熱線照射穿孔装置
【頭部ドリルが展開して露わとなる大型レンズ】から【強固な岩盤をもどろどろに溶かす熱線砲】を放ち攻撃する。その後、着弾点からレベルm半径内が、レベル秒間【熱せられた溶解】状態になる。
WIZ   :    近接防御陽電子砲
【接近された際に迎撃を行う為に使用する副砲】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠サブリナ・カッツェンです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 巨大パンツァーキャバリア『アイアン・サム』を撃破し、さらに研究所の奥へと進んでいく猟兵と『邪悪なる反逆児』たち。そして施設中枢にあるコンピュータールームに到達した時、施設全体にけたたましいアラート音が鳴り響いた。

『当研究所は機密保持のため、最終防衛システムを発動します。研究員各位は1分以内に施設から脱出してください。繰り返します。研究員各位は――』

 これはやばい。そう悟った猟兵達は急いでレジスタンスの子供達を連れて研究所から脱出した。全員が脱出した直後、研究所から巨大な火柱が噴き上げ、研究所は跡形もなく吹き飛んだ。
 まるで巨大隕石の落下地点のような有様となった研究所を猟兵達は注意深く見守る。なぜなら、グリモア猟兵が言っていた超大型キャバリア『ヴァルヴァラ』の破壊がまだ確認できていないからだ。
 ドンッ!
 砂漠化した研究所跡地の大地を割り、全長100メートルを超す巨大兵器が姿を現した。明らかに『獣人戦線』世界の科学力を上回る技術によってつくられた巨大兵器は、ぐりん、と|大蛇《ワーム》のように鎌首をもたげた。

「やってくれましたね、皆さん。まさか、このヴァルヴァラの出番が来るとは。コレを見られたからには、一人も生かして帰すわけにはいきません。猟兵達も、レジスタンスのガキ共も、一人ずつ丁寧にすり潰して差し上げましょう」
 頑丈なコックピットの中から、研究所の所長は敵の殲滅を宣言した。

「なに、あれ……まさか、キャバリア……?」
「デカすぎんだろ……もしかして、あの馬鹿デカいビーム砲が研究所を吹き飛ばしたのか?」
「いくら何でも勝てっこねえよ……パンツァーキャバリアがまるでネズミみたいじゃねえか……」

 レジスタンスの子供達はヴァルヴァラの威容に圧倒されていた。研究所を襲撃していた彼らも、ゾルダートグラード軍の重要機密であるこの兵器については知らなかったらしい。
「皆さん、怯まないで下さい! どんな機体にも、弱点は必ずあります! それに、戦ってくれるのは私達だけではありません!」
 しかし、レジスタンスのリーダー・アネモネは闘志を失わず、仲間達を鼓舞した。果たして猟兵達はこの巨大兵器を撃破し、レジスタンスを全員生還させることができるのか。最後の戦いが始まろうとしていた。
シルヴィ・フォーアンサー


……機密保持のために機密で襲いかかってくるとかわけわかんないね。
『宣言通り生かして返すつもりはないと思えばわかりやすいぞ』

隠す所もなさそうだし前に出て注意を引くよ、レジスタンスの皆は今回も下がってね。
……サイズ差とかありすぎてよっぽど精密射撃通さないと有効打にならなさそうだし。

今回もパラライズ・ミサイルからのシルエット・ミラージュ。
今回はそこからアブソリュート・キャノン。
そっちが熱線砲ならこっちは絶対零度の冷気ビーム×15で迎え撃つよ。
カチンコチンの木っ端微塵にしてもう機密守らなくても良いようにしてあげる。


飛・曉虎
◎POW
おお、これまた天にまで聳え立つ巨塔の如し地龍…ではなく蚯蚓の怪物であったか
新型超大型キャバリアと聞き胸を弾ませておったが、何とも拍子抜けする話である(くぁっと猫科らしいあくび
…であーるが、乗り掛かった船から降りて此奴を野放しにするのも我輩とて些か夢見が悪いのであーる
それにそんな大それた真似をすれば、兄者からのゲンコも必然であるしのぅ(ガクブル

ムハハハ、決めたぞ!
鉄蚯蚓のバケモノなど、この大力無双たる神将の我輩めが調伏してみせるわ!!
まずは臆病風を吹かれおっている悪童共の奮い立たせねばなるまいな
風火輪で飛翔し、我輩の怪力をてっぺんの頭に喰らわせてみせるわ
こうも図体がデカければ大したダメージも入っておらんが、生身のは我輩めが鉄蚯蚓に引けを取らぬと示せば重畳よ

弱点と思わしき節々の繋ぎ目に我が剛爪を振るうが、小癪にも地中へと逃げおったか
何処からともなく出てくる奇襲よは芸がないのである
さぁ悪童共よ、我を讃えるが良い!
穴に潜った鉄蚯蚓など、天より降った『炎の審判』で穴ごと焼き裁いてみせるわ!




「……機密保持のために機密で襲いかかってくるとかわけわかんないね」
『宣言通り生かして返すつもりはないと思えばわかりやすいぞ』
 シルヴィ・フォーアンサーのつぶやきに、サポートのAI『ヨルムンガンド』が淡々と答えた。ついに姿を現した超弩級サイズのキャバリア『ヴァルヴァラ』は獲物を殲滅せんと、唸りを上げている。

「おお、これまた天にまで聳え立つ巨塔の如し地龍……ではなく|蚯蚓《みみず》の怪物であったか。新型超大型キャバリアと聞き胸を弾ませておったが、何とも拍子抜けする話である」
 |飛《ふぇい》・|曉虎《しゃおふー》は、くぁっと猫科らしいあくびをした。拳士の彼女としては、手足のある巨人と殴り合いがしたかったのかもしれない。
「……であーるが、乗り掛かった船から降りて此奴を野放しにするのも我輩とて些か夢見が悪いのであーる。それにそんな大それた真似をすれば、兄者からのゲンコも必然であるしのぅ」
 曉虎は「途中で飽きたのでオブリビオンに襲われている孤児達を見捨ててきた」と兄者に報告した時のことを想像し、身震いした。そんなことをすればきっと兄者は激怒し、鬼神と化すだろう。

「隠す所もなさそうだし、前に出て注意を引くよ、レジスタンスの皆は今回も下がってね。……サイズ差とかありすぎてよっぽど精密射撃通さないと有効打にならなさそうだし」
 シルヴィは『ミドガルズ』を前進させながら、レジスタンスに退避を促す。しかし、敵から目を逸らせないのか、レジスタンス達の後退の動きは鈍かった。

「ムハハハ、決めたぞ! 鉄蚯蚓のバケモノなど、この大力無双たる神将の我輩めが調伏してみせるわ!! まずは臆病風を吹かれおっている悪童共を奮い立たせねばなるまいな」
 曉虎はふわりと宙に浮き、ミドガルズと並ぶ。その直後、二人を叩き潰さんと『ヴァルヴァラ』が動いた。
「さあ、捻り潰して差し上げましょう!」
「それ!」
「ぬぅん! 無駄無駄ァ!」
 宝貝『風火輪』の力で飛翔した曉虎は一気にヴァルヴァラの眼前まで踊り出ると、頭部のドリルを思い切り殴りつけた。すると、殴られた衝撃でヴァルヴァの体が少し後ろに動いたものの、ドリルそのものにはほとんど傷がついていなかった。
「……やはり硬い。こうも図体がデカければ大したダメージも入っておらんが、生身の我輩めが鉄蚯蚓に引けを取らぬと示せば|重畳《ちょうじょう》よ」
 曉虎は構わず宙を飛んでヴァルヴァラの叩きつけを躱しつつ、装甲が薄い関節のつなぎ目の部分に拳や脚を叩きつける。ドリルへの打撃とは異なり多少手ごたえはあったものの、いかんせん敵の質量が大きすぎて、あまり有効打にはなっていない。

「フフフ、だから無駄だと……ムッ!?」
 その時、研究所の所長は多数のミサイルが自分目掛けて飛来していることに気付いた。空飛ぶ曉虎に気を取られている隙に、シルヴィが『パラライズ・ミサイル』を発射していたことに気付かなかったのだ。
「……ビリビリってするよ」
 バチチチチチチチッ!
 着弾と同時に高圧電流がまき散らされ、ヴァルヴァラの動きが停止する。極めて強固な装甲を持つヴァルヴァラだが、全身が金属で出来ている以上、内部まで浸透する電流までは防げなかったのだ。

「おのれ、よくも! この程度でこのヴァルヴァラは……!」
 だがコックピットは電流から保護されていたのか、所長は高圧電流でダウンした機体の制御システムを再起動させようと試みていた。シルヴィは畳みかけるように、さらなる追撃を試みる。
 ブンブンブンブン。青白い残像を撒き散らしながら、ミズガルズの像が幾重にも分裂した。

「ほほう、残像による分身術か! 鋼の人形の身でよくやる! ……何!?」
『シルヴィ、敵のユーベルコードが来るぞ』
 気を練り上げながら、ヴァルヴァラの関節部分を殴りまくっていた曉虎が感嘆の声を上げた。その時、電撃による|機能停止《スタン》から回復したヴァルヴァラの頭部ドリルが花弁のように開き、内側にあった巨大レンズから、赤い閃光が溢れ出す!

「おのれ、ゴミカス共め! 熱線照射穿孔装置を喰らうがいい!」
 ヴァルヴァラから研究所を破壊した三条の熱線が放出され、曉虎とシルヴィはすさかず回避行動を取った。曉虎は敵機の側に近寄り、死角である花弁の外側へと滑り込む。シルヴィはハイペリオンランチャーを構え、熱線砲の相殺を試みた。

「カチンコチンの木っ端微塵にしてもう機密守らなくても良いようにしてあげる」
 キィン……。大気を震わせ、凍てつく冷気を帯びた十五の光線が三条の火柱と交錯する。スタンからの強引な再起動のせいで本来の出力を出せなかったヴァルヴァラの熱線は、ミズガルズの『アブソリュート・キャノン』に押し負け、ヴァルヴァラは周囲の空気ごと氷結し、巨大な氷の中に封じられた。

「うおおおお! この程度でヴァルヴァラは落ちませんよ!」
 所長は内側から熱線で氷の檻を破り、態勢を立て直すべく地中へと逃れる。地面の中を掘り進んだヴァルヴァラが目指したのは猟兵ではなく、レジスタンスの子供達であった。

「! 全員、下がりなさい!」
 強襲に気付いたアネモネが叫ぶが、すでにヴァルヴァラは射程圏内に『邪悪なる反逆児』たちを捉えていた。
「もう遅い! まずは貴様らから始末してくれる! 死ねぇ!」
「小癪にも地中へと逃げおったか。何処からともなく出てくる奇襲は芸がないのである」
「!? 貴様、ヴァルヴァラが空けたトンネルを……!」
 背後からの音声を拾い、狼狽する所長。そう、曉虎は地中へと逃げたヴァルヴァラを追い、トンネルにまで侵入していたのだ。

「チッ! 回避を……! くそ、機体が思うように動かん! さっきの氷結が、まだ……!」
「遅い! さぁ悪童共よ、我を讃えるが良い!」
「「しゃおふー!!」」
「うむ!」
 子供達の声援によりパワーアップした曉虎は巨大な燃え盛る獅子となり、天に向かって咆哮した。ヴァルヴァラはなんとか地中から脱出しようと身をよじるが、シルヴィの氷結の影響でまだ機体の反応が鈍くなっており、回避は間に合わなかった。
「喰らえ! 『炎の審判』!」
「う……うおおおおおおっ!!」
 天から降り注いだ裁きの炎はヴァルヴァラを飲み込み、戦場に巨大な縦穴を穿った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

メサイア・エルネイジェ
【ガルヴォルン】

んぎゃー!
なんかでっけぇのが出てきましたわ〜!
育ち過ぎたミミズのお化けですわ〜!
これは伝説のクロムキャバリアデスワームですわ〜!

こういうでっけぇのにはでっけぇ火力をぶつけるのですわ〜!
化物には化物のお理論ですわ〜!
ヴリちゃん!ジェノサイドバスターのおチャージ開始ですわ〜!
時間を掛けてたっぷりおチャージ致しますのよ
その間はイオンスラスターで逃げ回るのですわ〜!
接近しないよう射程外に逃げるのですわ〜!
錫華様も撹乱してくださいますわ〜!
スロー スロー
クイッククイックスロー
素敵なステップですわ〜!

十分おチャージ致しましたらいよいよ発射ですわ〜!
どこを狙うかは理緒様が教えてくださるので楽ちんですわ〜!
それではジェノサイドバスター!わっしょい!


菫宮・理緒
【ガルヴォルン】


ヴァルヴァラ?
それってカニっぽいもびるあー
『おねーちゃん、すとっぷ。それ以上いけない。それにそれヴァル●ァロ』

『希』ちゃんのほうが危険度高くない?

それにしてもおっきい……。
アネモネさんたちも、怯まなくてもいいけど無理はしないでねー。

ま、大きさはパワーだとは思うけど、すごいっていうより、開いた口が~的な方向だよね。

でも強力なのは間違いないか。
こんなのに少しずつ攻撃当ててもあまり効果はなさそうかな。

みんなも同じような思いみたいだね。
それなら、思いっきり大きいのをどーんといっちゃえるようにしよう。

セレーネさん、メサイアさんと集中砲火はどうかな?

『希』ちゃん、ミスランディアさんと協力して、みんなの機体をリンク。
セレーネさん、メサイアさん、ポイント送るから、照準は各自でお願いね!

錫華さんはちょっとだけ時間稼いでー。

わたしがなんとか足鈍らせるから、トリガータイミング、任せるよ。
失敗したら罰ゲームだから、ねー♪

絶対逃がさないからね!
【白の天蓋】でヴァルヴァラの速度を極限まで落とすよ!


支倉・錫華
【ガルヴォルン】

なにあれ……超大型ではあるけど、
あれってキャバリアのカテゴリーに入れていいものなのかな?

アミシア、あれスキャンできる?
『全体は無理ですが、コックピットはあの中央ドームと思われます』

さすがアミシア。
なら、とりあえず情報はみんなで共有しないとね。

っと、コックピットに集中砲火するの?
まぁそれくらいしか倒しきる方法はないか。

ならわたしも【B.C.L】……え? わたし|そっち《囮》?
ん、おっけー任された。

アミシア、相手の攻撃予測演算、お願い。
『了解です。全力演算に入りますので、機体のコントロールはお任せします』

【スラスター】を噴かしてヴァルヴァラの周囲を飛び回りつつ攪乱して、
みんなの攻撃準備が整うまでは、こっちに注意を向けさせよう。

でも、相手がこちらを舐めてくるなら、
そのときはきっちりいろいろ潰させてもらうよ。

狙えるなら、【Low Observable Unit】でステルスして、取りつけたら、
相手のビーム砲を潰せるといいな。
巨大な相手には、取りついちゃうのがいちばん、ってね。


セレーネ・ジルコニウム
【ガルヴォルン】

「ス、スティンガー、なんとか帰還しました……」
『瓦礫に埋まって機体がボロボロじゃな。これは修理するまで出撃できんぞ』

ストライダーのデッキでスティンガーの操縦席から降りると、ミスランディアの呆れ声が聞こえてきました。

仕方ありません。それでしたらストライダーの艦長席から、ガルヴォルンの大佐として指揮をとるまでです!

「ミスランディア、前線の理緒さんのAI、希さんとデータリンク開始。
送られてくる情報から精密に敵の位置を把握してください」

理緒さんと錫華さんが時間を稼いでくれている間に、こちらは攻撃の準備です!

「ミスランディア、ストライダーの主砲、超重力波砲発射準備!
メサイアさんが敵の動きを止めてくれた隙に、敵の頭部装甲を撃ち抜きます!」

あの硬そうな外装さえ破壊できれば、あとは前線の皆さんの集中砲火で撃破可能なはずです!

「エネルギー充填完了、超重力波砲、発射!
皆さん、今です、集中攻撃開始!
そのような破壊兵器――この世界にあっていいものではありません!
必ず破壊してください!」




「んぎゃー! なんかでっけぇのが出てきましたわ〜! 育ち過ぎたミミズのお化けですわ〜! これは伝説のクロムキャバリアデスワームですわ〜!」
 メサイア・エルネイジェは敵の巨体に目を剥いた。さっきまで戦っていたアイアン・サムも大きかったが、『ヴァルヴァラ』はそれ以上だ。キャバリアというよりも、むしろ戦艦であるストライダーに近いサイズである。

「なにあれ……超大型ではあるけど、あれってキャバリアのカテゴリーに入れていいものなのかな?」
|支倉《はせくら》・|錫華《すずか》は首を捻る。敵はロボット兵器の一種であることは間違いないが、人型でも戦車でもなく、|蛇か長虫《ワーム》のような形状をしている。あれを果たして『キャバリア』と呼んでいいのかは微妙である。

「ヴァルヴァラ? それってカニっぽいもびるあー」
『おねーちゃん、すとっぷ。それ以上いけない』
 |菫宮《とうみや》・|理緒《りお》が|危険な単語《アニメで見た機動兵器の名》を口にしようとすると、AIの『|希《のぞみ》』が理緒の言葉を遮った。


「ス、スティンガー、なんとか帰還しました……」
『瓦礫に埋まって機体がボロボロじゃな。これは修理するまで出撃できんぞ』
 その頃、なんとか母艦のデッキまで帰還したセレーネ・ジルコニウムがスティンガーの操縦席から降りると、ミスランディアの呆れ声が聞こえてきた。

「ぜえぜえ。仕方ありません。それでしたらストライダーの艦長席から、げふげふ、ガルヴォルンの大佐として指揮をとるまでです! はぁはぁ」
『誰か、セレーネに水をやってくれ』

 大急ぎでストライダーのブリッジに駆け込んだセレーネは艦長の椅子に座り、呼吸を整える。さっきまで乗っていた『スティンガーⅡ』は破損が大き過ぎてこのミッションではもう使えない。

「ミスランディア、前線の理緒さんのAI、『希』さんとデータリンク開始。送られてくる情報から精密に敵の位置を把握してください」
『了解じゃ』


「それにしてもおっきい……。アネモネさんたちも、怯まなくてもいいけど無理はしないでねー」
 理緒が声をかけると、リーダーのアネモネが応答した。
「はい、お気遣いありがとうございます。しかし元々、これは私達の戦いですから。ギリギリまで一緒に戦います」
「そっか、じゃあ一緒に頑張ろう!」
 理緒はえいえいおー、と、コックピットで拳を振り上げた。

「アミシア、あれスキャンできる?」
『やってみます』
 錫華が『ナズグル』の|AI《アミシア》に尋ねると、ナズグルから不可視の電磁波が飛び、とりあえずのスキャンを終えたアミシアが答えた。

『全体のスキャンは無理ですが、コックピットは頭部にあると思われます。コックピットは熱線砲を使用する時以外は、堅牢なドリルの内側に守られているようです。|動力炉《ジェネレータ―》は連結している『節』にあるようです。おそらく、全ての節に動力炉が存在すると考えていいでしょう。狙うなら、コックピットか動力炉かと』
「さすがアミシア。なら、とりあえず情報はみんなで共有しないとね」
 その時、ガルヴォルン機の通信を繋げていたストライダーから、セレーネの通信が入った。

「180秒、時間を稼いで下さい! 理緒さんと錫華さんが時間を稼いでくれている間に、こちらも攻撃の準備をします! あの硬そうな外装さえ破壊できれば、あとは前線の皆さんの集中砲火で撃破可能なはずです!」
 ストライダーの主砲が輝き、エネルギーの充填が開始される。充填完了までの時間は最速で約3分。その間、リソースを主砲に全て回しているストライダーはほぼ無防備になる。

「まぁそれくらいしか倒しきる方法はないか。ならわたしも【B.C.L】……え? わたしそっち囮? ん、おっけー任された」
 錫華はナズグルを前進させ、敵機へと近づいていく。
「アミシア、相手の攻撃予測演算、お願い」
『了解です。全力演算に入りますので、機体のコントロールはお任せします』

「さあ、捻り潰して差し上げましょう!」
 機体をぐねぐねとくねらせながら、ヴァルヴァラが突進してきた。機体のあちこちに付けられたビーム砲が励起状態となっており、すれ違いざまに猟兵達に夥しい数のビームを浴びせてきた。敵にとっては副砲に過ぎないのだろうが、サイズがあまりに大きいので、猟兵達にとっては、たとえキャバリアに乗っていたとしても、直撃すれば全身が飲まれる大きさの死の洗礼である。

「よっ、ほっ、はっ、っと」
「ええい、ちょこまかと……!」
 ヴァルヴァラまで到達した錫華のナズグルはスラスターで全力で噴かせ、ヴァルヴァラの『顔』の周りを飛び回る。ヴァルヴァラはナズグルをうっとおしがり、迎撃の陽電子砲を大量に発射する。しかし、密着状態のナズグルを狙える砲門の数はかなり限られている。錫華はビームの嵐を凌ぎながら敵の周りをぶんぶんと飛び回り、敵の注意を引きつける。

「お~ほほほほ! サプライズですわ~!」
 ガシャン!
 盛大に火炎を噴射しながらヴァルヴァラへと勢いよく突っ込んできたヴリトラはジャンプキックを叩きこみ、ヴァルヴァラの近くへと着地した。ヴリトラはスラスターを噴かせてヴァルヴァラに密着し、ガシャン、ガシャンと何度もキックを浴びせまくる。

「スロー スロー、クイッククイックスロー、素敵なステップですわ〜!」
「ええい、うっとおしい! 離れんか!!」
 大して効いてはいないものの、メサイアの煽りとも相まって、この挙動はパイロットを大いに苛立たせた。

「巨大な相手には、取りついちゃうのがいちばん、ってね」
「貴様、いつの間に……!」
 ヴリトラに気を取られていた隙を突き、錫華はヴァルヴァラにしがみつくと、レーザーマシンガンを零距離で叩きこみ、ヴァルヴァラの副砲の一基を潰した。

「ま、大きさはパワーだとは思うけど、すごいっていうより、開いた口が~的な方向だよね」
 理緒はヴァルヴァラが乱射するビーム砲の流れ弾を避けながら、試しにヴァルヴァラに向かってミサイルランチャーを撃ってみた。しかし、案の定ミサイルに対して敵機が大きすぎるせいか、装甲の表面がわずかに焦げた程度だった。

「でも強力なのは間違いないか。こんなのに少しずつ攻撃当ててもあまり効果はなさそうかな」
「こういうでっけぇのにはでっけぇ火力をぶつけるのですわ〜! 化物には化物のお理論ですわ〜! ヴリちゃん! ジェノサイドバスターのおチャージ開始ですわ〜!」
 ビームの嵐を鋭角な機動で回避しながら、メサイアはヴリトラの切り札の大型ビーム砲のチャージを開始した。彼女は敵の分厚い装甲を貫くため、一撃必殺の大技に賭けることを選んだようだ。

「『希』ちゃん、ミスランディアさんと協力して、みんなの機体をリンク。セレーネさん、メサイアさん、ポイント送るから、照準は各自でお願いね!」
『了解だよ!』
 希はデータリンクを開始し、レーダーで収集した敵の位置をリアルタイムで友軍が把握できるようにした。

「この……うっとおしい蠅共が!」
 所長は仕切り直しを図り、ドリルでヴァルヴァラを地中へと穿孔させる。
 ゴゴゴゴゴ……。
 地中深くまで潜ったヴァルヴァラがどこに移動しているかは、肉眼では追えない。ヴァルヴァラは地中から奇襲をかけ、ガルヴォルンのキャバリアを一機ずつ始末する作戦にシフトしたようだ。ヴァルヴァラは『R.I.O』の足元から、ドリルでの奇襲をかけてきた。

「死ねぇええええええ!!」
「甘い。こっちのレーダー技術を侮ったね!」
 しかし、『R.I.O』のレーダーは、敵機の移動の軌跡をはっきりと捉えていた。データリンクをしている、ストライダーやナズグル、ヴリトラもだ。予測演算で敵の攻撃をドンピシャのタイミングで躱した理緒は、敵機が空振りした瞬間、純白の壁で敵機をすっぽり覆った。

「クロック、アジャスト。『白の天蓋』」
「なんだ……!? 敵機が、速く……?」
 理緒のユーベルコードに捕らえられたヴァルヴァラの時の流れが緩慢になる。理緒たちが加速したのではなく、ヴァルヴァラが遅くなったのだ。理緒の『白の天蓋』は、範囲内の敵の時の流れを一時的に減速できる。
「今だよ! メサイアさん! セレーネさん! 失敗したら罰ゲームだから、ねー♪」


「いよいよ発射ですわ〜! どこを狙うかは理緒様が教えてくださるので楽ちんですわ〜! 
 主の名を受け、ヴリトラの眼がギラリと輝く。データリンク機能により、すでにロックオンは完了している。
「それではジェノサイドバスター! わっしょい!」
 カッ!
 その瞬間、一国をも焼き滅ぼす死の閃光がヴァルヴァラを貫いた。
 ヴリトラが口から放った極大荷電粒子砲はヴァルヴァラに直撃し、尻尾のドリルを灼き切った後、百メートル以上ある巨体を宙へと浮かせた。装甲の一部が溶解したヴァルヴァラは逆さになったまま地面へと叩きつけられ、干上がったミミズのごとく、のろのろともがく。

「さあ、3分経ちましたわ! 丁度カップ麺も出来上がりましてよ、セレーネ様! おトドメの時間ですわ~!」
「ミスランディア、ストライダーの主砲、超重力波砲発射!」
『撃つぞ!』
 ストライダーの主砲が光って唸り、空間が歪むほどの高エネルギーがヴァルヴァラに向かって放出される。仰向けの状態でひっくり返っていたヴァルヴァラは回避が間に合わず、頭部のドリルの先端に主砲は命中した。
 ドゥン!!
 大爆発が起こり、ヴァルヴァラは大きく吹き飛んでいく。
「なんとか、堪えましたよ……驚かせやがって……」

 ストライダーの主砲の直撃を受けたヴァルヴァラのドリルは花弁の二枚を失い、コックビットブロックを露出させていた。

「皆さん、今です、集中攻撃開始! あのような破壊兵器――この世界にあっていいものではありません! 必ず破壊してください!」
「了解」
「りょうかいー!」
「了解ですわ~! お花火大会ですわ~!」
 セレーネの号令と共に、ガルヴォルンはヴァルヴァラへと一斉攻撃を開始した。ミサイルとビームが飛び交い、性懲りもなくまたセレーネが弾道ミサイルまで発射し(罰ゲームが確定した瞬間である)、爆炎と熱風が戦場に吹き荒れた。

「うおお……! コックピットだけはなんとしても……!」
 ヴァルヴァラは、胴体を盾にし、ガルヴォルンの集中砲火に耐える。そして、大爆発。爆炎が晴れた後には、バラバラになったいくつもの連結ユニットと、深い縦穴が残されていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

陸郷・める


め:……くるよ…!『Vエンジン』、リミッター解除……出力全開……!!
7:ちっ!移動しながら機銃からトリモチ弾をばらまいて野郎の意識をこっちに向けさせっぞ!
あの形状からすりゃ十中八九「頭」に一番ヤベェ武器を積んでる。ガキ共でも奴の頭が向く方向を避けりゃあの光には早々焼かれねぇはずだ、残る問題は地面に潜行された場合だが……!
め:……邪魔が、できればいいんだよね?……みんなは…やらせ、ない……!
7:(……胞子?いやめるの体に仕込まれてる「偽神細胞を融合させた生体兵器」って奴か!)
……オイガキ共、野郎の動きはこっちで邪魔する!一発ぶち込む気ならそこを狙え!当然こっちも遠慮なく砲弾ぶち込みまくるぞ!!


ユキト・エルクード
貴様らの身の丈に合わないものだ。
ここで欠片も残さず叩き壊してやろう。
人をひき潰すだけの玩具なんぞ、この世界には不要だ。

【戦術】
戦闘開始時は手を出さず、敵の注意が味方に向かうまでは潜伏しつつ接近。
相手が地上に姿を表すと同時にUCを使用。敵装甲を溶融させつつ味方を回復させて戦線を援護。
自分から攻撃する際にはUC使用時に発生した雲に紛れて強襲し、UC【刻影蝕】を使って相手を拘束。
【電撃】や【爆破】属性を付与した【投げナイフ】でカメラやセンサーなどを破壊しつつ牽制し、溶融した装甲の隙間から潜入。
パイロットや研究員、もしくは操縦に関連する機関を直接攻撃し、内部からの制圧を敢行。

目的を達成次第、脱出する。




「おのれ! ゴミ共がちょろちょろと……!」
 怒りに満ちた声を上げ、再び鎌首をもたげるヴァルヴァラ。命からがら猟兵たちの包囲網から脱出した研究所長は怒り心頭だ。すでに機体は半壊して長さも半分ほどになり、最大の特徴であった展開式のドリルも花弁を二つ失い、コックピットブロックが露出している。このまま逃亡しようかと考えたが、それでは気が収まらない。

「跡形もなく、砕け散りなさい!」
 頭部のドリルを回転させたヴァルヴァラは、一直線に突進を開始した。狙われたターゲットは――『邪悪なる反逆児』のリーダー、アネモネだ。

「まずは貴方からです! 場違いなガキどもの親玉め!」
「く、回避が――!」
 アネモネは必死に回避行動を取るが、いかんせん敵が巨大過ぎる。キャバリアの機動力ではとても振り切れる速度ではない。

「死ねぇえええええ!!」
 ヴァルヴァラは猛回転するドリルを叩きつけんと、アネモネに迫る。

「……させない……! 『Vエンジン』、リミッター解除……出力全開……!!」
 だが、その時横から|陸郷《りくごう》・めるの駆る戦車『6号』が割って入った。める自身の魂の衝動を電流に変換した6号は、稲妻と見紛うほどの速度でヴァルヴァラへと突進し、敵の巨体を強引に弾き飛ばした。

「ぬうっ……!?」
「た、助かりました!」
『さっさと行け!』
 6号はヴァルヴァラに向かって生体電流を帯びた機銃を乱射した。弾丸はトリモチ弾。その大きさは敵の巨体を押しとどめるにはあまりにも心元ない大きさだったが、関節に詰まったトリモチが吹き飛ばされるまでの間にアネモネは離脱し、ヴァルヴァラの間合いから逃れていった。

「くそ、余計な真似を……! だが諦めんぞ!」
 しかし、なおも所長はアネモネを追撃せんと再びドリルをアネモネ機に向ける。

「まだ、諦めてない、みたい……!」
『あの形状からすりゃ十中八九「頭」に一番ヤベェ武器を積んでる。ガキ共でも奴の頭が向く方向を避けりゃあの光には早々焼かれねぇはずだ、残る問題は地面に潜行された場合だが……!』
 焦燥を感じているめるを落ち着かせるようにに、『7号』が答える。

「地上がダメなら次は地中から仕掛けてやる!」
その時、ヴァルヴァラは7号が危惧した通り、地中に潜ろうとし始めた。地上からの攻撃ならば先ほどのようになんとかカバーができるが、地中からの奇襲となると、戦車である『6号』が割って入れるタイミングなどない。――だが。

「……邪魔が、できればいいんだよね? ……みんなは……やらせ、ない……!」
 チカチカと、6号戦車の周りに光る粉のようなものが散布され始めた。『7号』はその時、めるの全身に奇妙な紋様が浮かび上がっていることに気付いた。
(……胞子? いや、めるの体に仕込まれてる「偽神細胞を融合させた生体兵器」って奴か!)
 一瞬で増殖し、空気中に拡散した胞子は霧のように広がり、ヴァルヴァラの周囲に立ち込め始めた。

「なんだ!? この霧は……? 毒ガスか……? そんなもの、機械であるヴァルヴァラには……くそ、なんだ! ヴァルヴァラが腐食していくだと!?」
 機械工学には明るくとも、細菌兵器についてはよく知らなかった所長は狼狽した。めるによって、敵だけを襲うようにコントロールされている『細菌兵器偽神細胞融合型生物兵器実験体17号』は獰猛にヴァルヴァラの表面に広がり、その装甲を蝕んでいく。関節部分も腐食しているのか、ヴァルヴァラの動きが止まった。

『……オイガキ共、野郎の動きはこっちで邪魔する! 一発ぶち込む気なら今がチャンスだ!』
 7号は外部スピーカーに向かって怒鳴る。するとレジスタンスがその声に反応し、ヴァルヴァラに向かって一斉に砲撃を開始した。
『当然こっちも遠慮なく砲弾ぶち込みまくるぞ!!』
 ほぼゼロ距離から主砲を乱射する6号。ヴァルヴァラのコックピットの周辺は爆炎で覆い尽くされたが、突然ヴァルヴァラの全身に仕込まれていた副砲が一斉に発射され、装甲に纏わりついていた偽神兵器菌類を吹き飛ばした!
「おのれ! 何度言えば分かる! 貴様ら程度にこのヴァルヴァラは墜とせん!!」


 ざああああああ。その時、いきなり集中豪雨が戦場に降り注いだ。降りしきる雨は敵味方おかまいなしにその体を濡らしたが、雨の効果はヴァルヴァラと猟兵達で異なっており、ヴァルヴァラだけが、酸性の雨に侵され、さらに機体の腐食が進んだ。逆に、めるは先ほどヴァルヴァラの突進を阻止した時にできた戦車の装甲の凹みが治り、消耗しためるの体力も回復しつつあった。

「なんだ、雨だと!? 今度は何だ!?」
 しゅるしゅる。集中豪雨に紛れ、黒い影がヴァルヴァラの関節に突き刺さる。装甲の隙間から露出した回路に針を打ち込まれたヴァルヴァラは電気信号を狂わされ、コックピットの電気系統さえも麻痺してしまった。
 
「なんだ! 何が起こっているのだ!?」
 こうなっては超巨大兵器も、もはや鉄の棺桶に過ぎない。そしてとうとう所長に、断罪の刃が迫る。

「貴様らの身の丈に合わないものだ。ここで欠片も残さず叩き壊してやろう。人をひき潰すだけの玩具なんぞ、この世界には不要だ」
「な――」

 溶解した装甲の隙間から、コックピットブロックへの侵入を果たしたユキト・エルクードはそう告げると、所長に向かってナイフを投げつけた。ナイフは所長の心臓に突き刺さった瞬間に爆発を起こし、所長を木端微塵に吹き飛ばした。ユキトはヴァルヴァラのコンソールにも電撃ナイフを投げつけて完全に破壊したあと、炎上する機体からすぐに脱出した。


 ドォン……。
 メインジェネレーターまで火が回ったヴァルヴァラは、内側から大爆発を起こし、バラバラに粉砕された。猟兵達はヴァルヴァラが骸の海へと還っていくのを見届けた後、『邪悪なる反逆児』たちに別れを告げた。

「ありがとう。猟兵たち。貴方達のことは決して忘れません」
「「ありがとう!」」
 レジスタンスの子供たちが見せた年相応の屈託のない笑顔に見送られ、猟兵たちはグリモアベースへと帰還した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年10月30日


挿絵イラスト