エンドブレイカーの戦い⑲〜猛毒一筋
●世界を殺す毒
滅びの大地東端の荒野に、空中に浮かぶ巨大な赤い蛇がいた。
それは見るだけでこの世界に存在させていてはならない存在と理解できる、11の怪物『バシュム』。
口を開き拡散性の高い毒液を周囲に緩やかに放出すれば、水は腐り、風が止み、大地は崩れ落ちていく。
怪物の中でも唯一、エリクシルを創造する力すら持たぬ無能。できるのはただ『毒液を吐く』のみ。
しかしただそれだけで、11の怪物の頂点に君臨するバシュムは、世界を自分のみが存在できる単一世界へと変えていくのだ。
グリモアベース。
「さて、エンドブレイカーの戦いもいよいよ終盤戦ですが11の怪物を確実に仕留めていきましょうか」
無表情なグリモア猟兵、マウザー・ハイネン(霧氷荊の冠・f38913)は集まった猟兵を前にそう語りかける。
「全ての支援は絶たれて『11の怪物』も半分近くが撃破されています。今回皆様に撃破しって頂きたいのは滅びの大地の東端、この世界を毒で殺そうとしている『バシュム』になります。バシュムは毒液を吐くことしかできません。ですが、それのみでエリクシルを従える11の怪物の頂点に立つ程の毒を周囲に放出し、バシュムだけしか存在できない領域『単一世界バシュム』を作り出し、それを広げているのです。具体的には弱い……威力そのものは変わらないのですがバシュムを殺せば消えるが拡散力の高い毒が既に広がりつつあります。それを僅かな時間でもいいので耐えて、バシュムを仕留める一撃を叩き込むのが今回の作戦になります」
非常に危険ですが、お願いしますとマウザーは語り、蝋燭の形をしたグリモアを取り出し転送の準備を開始する。
「このバシュムを撃破しても他の11の怪物はそれぞれの手段で目的を遂げようとするでしょう。すべて撃破することは難しいかもしれませんが……できるだけ撃破したいですよね。ペンペン草も残さぬ勢いで頑張りましょう」
そうマウザーは説明を締め括り、グリモアに火を灯した。
猟兵達が導かれたのは滅びの荒野、拡散し広がってくる猛毒の中心に見える宙に浮いた赤き毒蛇を討つべく猟兵達は行動を開始するのであった。ょう。
寅杜柳
オープニングをお読み頂き有難うございます。
一芸特化の恐ろしさ。
このシナリオはエンドブレイカー!の『滅びの大地東端』で『バシュム-単一世界バシュム』と戦うシナリオとなります。
拡散性が高くバシュムを撃破できれば消える弱い毒を戦場に放出し続けており、それを僅かな時間でも耐えて一撃を叩き込む必要があります。
下記の特別なプレイングボーナスがある為、それに基づく行動があると判定が有利になりますので狙ってみるのもいいかもしれません。
=============================
プレイングボーナス:僅かな時間でもバシュムの毒に耐える方法を編み出し、少しでも有効打を与える(敵は必ず先制攻撃してきます)。
=============================
それではご武運を。
皆様のご参加をお待ちしております。
第1章 ボス戦
『バシュム-単一世界バシュム』
|
POW : 単一世界バシュム
【口】から【毒液】を放ち、近接範囲内の全てを攻撃する。[毒液]は発動後もレベル分間残り、広がり続ける。
SPD : 単一世界バシュム
【口】から【毒液】を放ち、近接範囲内の全てを攻撃する。[毒液]は発動後もレベル分間残り、広がり続ける。
WIZ : 単一世界バシュム
【口】から【毒液】を放ち、近接範囲内の全てを攻撃する。[毒液]は発動後もレベル分間残り、広がり続ける。
イラスト:カツハシ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ルシエラ・アクアリンド
確かに昔から私達は怒涛の勢いで何とかしてきた事があったけど。
というか殆どかな
今回もそんな勢いで行ければ良いよね
毒対策としてはガルシェンの巨人さんと共同して作成した
マント着用主軸をとして、オーラ防御し
結界術と魔力溜めで強化したUCで防御結界で防御及び無数の光弾の攻撃力上げ
仲間を庇えるようなら庇う
とはいえ油断はせず更にUC蒼の天蓋で戦場全体への回復効果とバシュムへの嵐での攻撃と精神攻撃を行うね。
少しでも効果があれば有利に運べると思うので
魔導書事態にも魔力溜めした魔力を纏わせ
彼方の巨体を生かし空中機動や軽業、第六感駆使しながら常に避けつつも
死角からの風と羽と光弾で連続攻撃や二回攻撃等全力を持って攻撃
フェリチェ・リーリエ
おう、エンドブレイカーの名にかけて駆逐するだよ!
しっかし毒相手は農夫には厳しいもんがあるべなぁ…
けど、なんでも溶かす毒だとしても形のないもんは毒しようがねえべ!
ヴァルキリーの翼で飛翔、翼で突風を起こし【天候操作】。風のオーラを纏い【オーラ防御】で毒液を【吹き飛ばし】て対抗。
気休めだとしても【毒耐性】のあるハーブも食べて耐性をつけておく。
毒を僅かな時間でも耐えたら反撃開始、形のない音なら毒とか関係ねえべ!
ディスコード発動、音が届くぎりぎりの距離をとりなるべく遠くから遠距離攻撃。さらに音色を【音響弾】に変え【追撃】。
ぺんぺん草も生えんのはエンドブレイカーの専売特許、草も生えない大地にはさせねえべ!
●風は毒に抗う
「しっかし毒相手は農夫には厳しいもんがあるべなぁ……」
自由農夫のフェリチェ・リーリエ(嫉妬戦士さんじゅうはっさい・f39205)はハーブを食しつつ既に周囲を弱い毒で汚染した赤き大蛇を見上げる。
自由農夫としての知識で毒耐性を得られるハーブを選んできたのだが、あの規格外の毒に対抗しきれるかは未知数だ。
「ぺんぺん草も生えんのはエンドブレイカーの専売特許、草も生えない大地にはさせねえべ!」
「確かに昔から私達は怒涛の勢いで何とかしてきた事があったけど……というか殆どかな」
同じくエンドブレイカーとして戦ってきていたルシエラ・アクアリンド(蒼穹・f38959)も少し考えて、苦笑する。
彼女の纏う革のマントはガルシェンの巨人と共に作り上げた耐毒の装備――蜜蝋や血清を活用し僅かな毒の侵入すら防ぎ阻む逸品だ。
「今回もそんな勢いで行ければ良いよね」
「おう、エンドブレイカーの名にかけて駆逐するだよ!」
言葉を交わした二人は、同時にバシュムへと向かっていく。
毒により崩壊していく大地を冷静に見極め、ルシエラは無事な地面を蹴って、空中での巧みな身のこなしでバシュムから放たれる毒液を直に受けぬように回避していく。
纏うマントに更に重ねたオーラもあって、薄く拡散する毒による悪影響は酷くゆっくり。そして、淡い青のヴァルキリーの翼を広げたフェリチェが空へと飛翔し翼で突風を巻き起こす。
(「なんでも溶かす毒だとしても形のないもんは毒しようがねえべ!」)
ポイズンブレスであるなら魔法や超常の護りすら溶かす毒、されどこの薄く拡散した毒液ならば多少の時間は稼げるはずだ。
展開された単一世界の毒の領域が押し返されて、そこに風のオーラを纏うヴァルキリーは一気に突っ込んでいく。
纏う風のオーラが侵蝕せんとする毒液を押し返し、吹き飛ばして容易には彼女を毒に晒させない。
そして十分バシュムへと接近したルシエラが先に仕掛ける。
「思う侭に」
【elementum】を起動し防御結界を展開する。あらゆる事象に対抗する結界――魔法的な護りすら侵すバシュムの猛毒であっても、溜め込んだ魔力で強化されたそれは猟兵達の単一世界内での活動可能時間を引き上げる。
更に、
「どうか力を貸して頂戴ね」
ユーベルコードの効果により同時行使した【蒼の天蓋】により蒼い空間の檻を展開、何かに囚われた感覚を抱いただろうバシュムはされど毒を拡散させ続ける。
その毒は結界すら溶かすのだから混乱していようとやる事は一つ、恐れる必要はないという事だろうか。
だがルシエラが狙いは共に招かれた風と嵐。凄惨なる嵐はバシュムの確かに精神を苛んで、涼やかな風は毒の悪影響を和らげていく。
ここが音が届くギリギリの距離、そう見切った距離でフェリチェが20年以上愛用しているソードハープを構えると、ユーベルコード【ディスコード】を起動しかき鳴らした。
少々個性的な演奏――人によればいまいちと断言してしまう腕前ではあるが、その音色はバシュムに確かに届いて、その聴覚を雑音でかき乱す。
「形のない音なら毒とか関係ねえべ!」
更に気合を入れてハープをかき鳴らすフェリチェに、苛立たしげにバシュムは毒液を発射してくるが、展開された防御結界に阻まれてその間にフェリチェは翼を羽ばたかせて直撃を回避する。
(「……悪化を遅らせる事が精一杯ね」)
巨体のバシュムの死角に飛び込みながらルシエラは毒の影響を少しずつ感じ始めていた。
拡散している弱い毒、かつガルシェンの対毒装備と今も吹き続けている癒しの風があってこれならば、強い毒ならばどれほどなのだろう――これを大地に放たせる訳には行かない。
魔導書『碧咲の君』に纏わせた魔力を羽の形にして風と四属性の光弾と共に叩きつけつつ、第六感で感知した危険を軽やかな身のこなしで回避するルシエラ。
空を飛翔し毒液を風で退けながら、ハープの音色を変化させた音響弾を追撃で放ち続けているフェリチェも考えは同じだ。
決して逃しはしないと二人の猟兵はありったけの力を地を穢し殺す毒蛇の怪物へと叩きつけていくのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
エドゥアルト・ルーデル
毒が強ぇ敵なのか…?
敵から容赦なく毒液がブッパされる訳でござるが…『毒』と言えば状態異常の代表!ならそれは拙者を縛る物!跳ね返せぬ道理はねぇ!
しかし敵は仮にも毒一本でやっている相手でござる、ドエライ毒と言えど自分の毒では生半では死なないでござろう!
拙者の自由な心が潰えるのが先か、敵が自分の毒で死ぬか…どちらが…先かな?
だが拙者は拙者の自由を信じる!ただのフリーダムじゃねぇ!心の自由さで何度でも立ち向かう!
ド級のフリーダム、ドフリーダムだッ!
それはそれとして毒を反射してられるうちに銃撃するね!ついでに|ヌカ《Nuke》もどうぞ!高火力で焼けばいいのよ
戦い方を選ばないのも自由でござるゆえ…ネ!
●自由なる心
「毒が強ぇ敵なのか……?」
見るからに毒々しい警戒色の巨大毒蛇を見上げ、エドゥアルト・ルーデル(黒髭・f10354)は呟く。
世界を殺す程の毒を吐き続けるこの上ない害悪である11の怪物『バシュム』、既に周囲に拡散させている"弱い"毒液はこの世界の割と人間離れした冒険者ですら即死させるレベルだ。
その毒液は容赦なくエドゥアルトに放たれる。この毒液そのものは先制攻撃だから本来はユーベルコードなしで最初は凌ぐ方策がなければ割と大変な事になるのだが、エドゥアルトはそれをまともに喰らってしまう。
当然即死――とはいかず、意識が飛びかけた寸前で自動発動したのはユーベルコード【我が心は自由にあらねばならぬ】。
「ンンンンン! 美少女からの束縛とか独占欲とか悪くないんだけど今日はそういう気分じゃないから!」
毒蛇系美少女という訳ではなく毒蛇そのものではあるのだが、そんな事を宣いながら彼の自由でありたい心はその毒による汚染をバシュムへと弾き返した。
毒、それは状態異常の代表。つまりは死へと導き生の自由を束縛するものであるわけで、
「ならそれは拙者を縛る物!跳ね返せぬ道理はねぇ!」
バシュムの体が自身の放った猛毒に汚染される。だが、バシュム自身この毒のみで11の怪物最強の座にある存在、故に自身の猛毒で容易く倒れるような事はない。
精々眩暈程度だろうか。だが、さらに。
「だが拙者は拙者の自由を信じる! ただのフリーダムじゃねぇ! 心の自由さで何度でも立ち向かう!」
――拡散している猛毒へと躊躇いもなくエドゥアルトは突っ込んでいって、自身を襲う弱い猛毒を全てバシュムへと跳ね返していく。
「ド級のフリーダム、ドフリーダムだッ!」
マッチポンプという訳ではないが、流石に次から次に反射されているとバシュムも少しばかりダメージはあったようで、苛立ったかのように口からの毒液で直に汚染せんとする。
エドゥアルトを襲う毒は反射できてはいるのだが、流石バシュムも毒液のみで喰っているからかやはり毒は強烈である事に疑いはないわけで、ほんの少し反射しきれなかった毒が少しずつ、少しずつ積み重なって体調を悪化させていく。
ここからは我慢比べ、彼の自由な心が潰えるのが先か、敵が自分の毒で死ぬかの勝負。
「……どちらが……先かな?」
エドゥアルトが信じるのは彼の自由、自由であることからも自由にある無限大の自由さ――それがある限り毒などに決して負けるものか。
「それはそれとして毒を反射してられるうちに銃撃するね!」
反射しながら強引に近づいていた彼は『マークスマンライフル』の銃弾をありったけぶち込みながらついでに|ヌカ《Nuke》もどうぞ! と、特殊弾頭のロケットランチャーをヌカッと爽やかにぶち込んだ。
毒を反射する、などと受け身の姿勢は自由ではない。高火力、やはり高火力が正義である。
「戦い方を選ばないのも自由でござるゆえ……ネ!」
大地を殺す毒蛇を|救済の炎《Nuke》が焼いていく光景を見つめつつ、なおも怒り狂うバシュムに腐れ外道パイロットは毒を反射しつつ更なる追撃を仕掛けていく。
大成功
🔵🔵🔵
鍋島・小百合子
POW重視
他の猟兵との連携意識
ぐっ・・・臭いからして強烈な毒素か・・・
耐えねば・・・耐えねば!
敵の放つ毒液を直に浴びぬように薙刀の武器受けで風車の如く回して防御
少しでも体に受けた毒による痛みは激痛耐性と環境耐性、狂気耐性を以て耐え抜いてみせる(連戦に備え継戦能力併用)
敵の攻撃を乗り越えられればUC「精錬降魔刀」発動にて「聖光」と「虚無」の属性を込めた魔刀(野太刀型)を生成し薙刀の代わりに装備
一歩前に進み出ては先の「聖光」と「虚無」の属性と浄化の力を込めた一心不乱の剣戟を叩き込む(属性攻撃、乱れ撃ち、鎧砕き併用)
他の猟兵と連携を取る場合はその攻撃に合わせるようにして立ち回る
●単一世界に抗う
派手な大爆発を経て、なおもバシュムの赤き蛇身は悠然と空に浮かび続けている。
薄く、広く、されど自分自身以外のあらゆるものを殺害する猛毒の領域は風に抑え込まれながらも少しずつ周囲の領域を侵食していく。
「ぐっ……臭いからして強烈な毒素か……」
まだ相当の距離がある今の位置でさえ毒液――いや、殺された空気や魔法、大地からも放出される死の臭いを鍋島・小百合子(朱舞の女丈夫・f04799)は嗅ぎ取った。
この猛毒が広がってしまえば大地どころではない、オブリビオンすらも全て殺し尽くす猛毒の威を感じながら、小百合子は勇気をもってバシュムへと向かっていく。
近づいてくる小百合子に対し、バシュムは毒液を放つ。
バシュムを殺せば消える薄い毒――とはいえ、猟兵すら殺しうる強烈な猛毒であることには変わりないそれを、小百合子は愛用の薙刀『竜王御前』を風車のように回転させて防御する。
巨大なバシュムから放たれる毒液は一滴ですら巨大だけれども、そこは彼女の薙刀捌きで吹き飛ばすようにして安全な領域を作りながら前へ前へと進んでいく。
しかし、大気へと広がり充満していく毒は、少しずつ彼女を蝕んでいく。
――酷く距離が遠く感じる。この単一世界と変えられた空間は全力で猟兵達の侵入を拒絶するかのように、殺すように猛毒を浸透させているのだ。
一呼吸するたびに激痛が走る。常人なら発狂しそうな苦痛をその耐性と類まれな意志の強さで耐え抜きながら、前へ前へと進む小百合子。
(「耐えねば……耐えねば!」)
倒れればその時点でおしまい。少しでも耐えて一撃を刻み込む。その強い意志を胸にどうにか間合いまで接近する事に成功した。
「我は生む、世の摂理を体現せし降魔の刀……この手に!」
無敵の魔刀を想像より想像するユーベルコード【精錬降魔刀】を起動し、野太刀が小百合子の手元に生成される。
普段の日本刀よりも刀身が厚く頑丈なそれには『聖光』と『虚無』、二つの属性が宿っていて、それを薙刀の代わりに手にした彼女は空中のバシュムへと跳躍し、その胴に乗って赤き鱗に全力で斬撃を叩き込む。
バシュムの猛毒が野太刀に込められた二つの属性、そして小百合子が新たに込めた浄化の力に僅かに毒性を弱められ、それで稼いだ僅かな時間に一心不乱の剣戟がバシュムに傷を刻み込んでいって。
そして、ありったけの力を籠めて突き刺した一撃に、バシュムは悲鳴のような音を口から漏らした。
大成功
🔵🔵🔵
ヒエロニュムス・バインリヒ
この世界を自分のみが存在できる世界に変えるだなんて、最悪の最悪だね。この世界の人々の為にも、此華咲夜若津姫の想いに応える為にも、絶対に仕留めなきゃ。
毒は聖衣の【祈り】【浄化】で耐え、
UC『スカイステッパー』でバシュムの側まで飛び込むよ。
攻撃は骸殻工房ガルシェンで作って貰った対毒武器の出番だね。
ボクがガルシェンの巨人さんに作って貰ったのはナイフだ。小さい武器だけど、昔から使っている武器だから扱いやすいんだよね。
【ナイフ投げ】【急所突き】で頭を狙うよ。
痛くても苦しくても、耐えるんだ。
ここはボクらの世界だ。お前一人のものになんかさせない。
●貫く一刃
「この世界を自分のみが存在できる世界に変えるだなんて、最悪の最悪だね」
穏やかな雰囲気を纏うヒエロニュムス・バインリヒ(オラクルのスカイランナー・f39497)
「この世界の人々の為にも、此華咲夜若津姫の想いに応える為にも、絶対に仕留めなきゃ」
人類の魔女の『ぼうやたち』への深く優しい想い――それを胸に、青年は世界を殺す毒蛇へと挑む。
ユーベルコード【スカイステッパー】を起動して空中を跳ねてバシュムへと向かっていく。
周囲にばら撒かれる毒液を見切り、どうにか直撃は躱す。
しかし毒液は薄く広く拡散していく恐るべき猛毒、スカイランナーである彼でも逃れられないように、あっというまに大気を汚染してきて完全な安全地帯を見切る事は出来ない。
纏う聖衣にクレリックとしての祈りと浄化の力をありったけ籠めるが、それらを腐食し貫通するようにしてヒエロニュムスの体に激痛を走らせる。
(「……痛くても苦しくても、耐えるんだ」)
意識はまだある。ならばまだ進める。
懐に忍ばせたナイフに触れる。昔から使っている扱い易い形状のそれは、骸殻工房ガルシェンで作って貰った特注の対毒武器だ。
空中でも投げられるような軽さと、風に飛ばされない程度の重さを両立した芯のしっかりしたナイフ――このバシュムの猛毒はそれすらも溶かしてくる可能性は否定しきれない。
だから、できるだけ近づいて叩き込まねばならない。
一回跳ねるだけでも難儀で、朝飯前とはとても言い難いが。ヒエロニュムスの足は止まらない。
静かに、しかし強い|意思《ガッツ》を燃やした彼の歩みはやがてバシュムの傍に彼を導いた。
まさに今野太刀をバシュムの長大な胴体に振るい続けている武者が居て、彼女へと注意が向いている事も幸いしたのかもしれない。
ようやく間合いに至ったヒエロニュムスは空中を跳ね最適な位置へと回り込みながら、手慣れた手つきでナイフを抜く。
「ここはボクらの世界だ。お前一人のものになんかさせない」
毒蛇への拒絶の言葉と共にヒエロニュムスのナイフが投擲された。
その耐毒の刃は揮発した毒液が充満する単一世界をも耐えきり、通過。そして暴れるバシュムの巨体に巻き起こされる風にも流される事無く、毒の中心たるバシュムの右目を貫いた。
大成功
🔵🔵🔵
アルジェン・カーム
機神搭乗
世界を滅ぼす毒
とても…とても恐ろしいものですね
対毒
「それでも遅らせる事は出来るよ!」
ありがとうございますぷっさん
では行きましょう
【オーラ防御・念動力・弾幕】
オーラと念動障壁を展開
しかし浸食されるのは明白なので弾幕を広域展開して毒を吹き飛ばし少しでも遅らせる
UC発動
【二回攻撃・切断・怪力・串刺し・貫通攻撃】
破壊の波動を纏って毒を相殺しながら超高速で飛び一気に距離を詰めて
宝剣と聖刃による神速の連続斬撃から砲撃兵装を突き刺し
内側に破壊の波動を叩き込んで崩壊させる!
存在するだけで滅びを齎す存在!大空を覆うものをも超える恐るべき存在!
だからここで終わらせる!
単一世界という終焉…此処で破壊します!
●毒蛇と機神
「世界を滅ぼす毒……」
冥皇神機『プルートー』に騎乗したアルジェン・カーム(銀牙狼・f38896)はコクピットから呟く。
「とても……とても恐ろしいものですね」
ありとあらゆるものを殺すという毒液、拒絶の極致とも言えるだろうその存在に、歴戦のエンドブレイカーである彼の心に少しばかり不安が忍び寄っていた。
敗北すれば世界は殺される。故郷にいる愛した人々とも永遠に別れる事となってしまうだろう。
『それでも遅らせる事は出来るよ!』
そんな彼を鼓舞するのはこの機神からの声、いつもの調子で語る『ぷっさん』の声に、不安が解けていく。
「ありがとうございますぷっさん。……では行きましょう」
冥界の神の名を冠する機神が動き出す。
全身に纏うのはオーラと念動障壁――強力な守りではある、が。
(「浸食は防げませんね……」)
それを遅らせる事は出来ているようだが、オーラや念動障壁そのものの存在を否定するように毒が機神の装甲を侵さんとしている。
『ケルベロス』という名の三つの砲身を有する射撃兵装から弾幕を展開し爆破の衝撃で吹き飛ばすが、それで凌げるのも大した時間ではないだろう。
そんな中、急に毒液の拡散速度が緩まった。見れば、先行した猟兵が痛打を与えたようで怯んでいるようだ。
――この機を見逃すアルジェンではない。
「ぷっさん! その力……今こそ示しましょう!」
『ラジャー! 全開で行くよ!』
ユーベルコード【対神滅殺機構『冥界の神』】を起動し、キャバリアの全身に万物を分解崩壊させる波動を纏う。
「存在するだけで滅びを齎す存在! 大空を覆うものをも超える恐るべき存在!」
毒を斬り裂きウイングを広げた機神は空中を翔ける。その波動すら毒に浸食されているが、その前に機神がバシュムへと辿り着くだろう。
「だからここで終わらせる!」
超高速で飛びながら宝剣と縁の聖刃を抜いて、接敵即座に連続の斬撃を叩き込む。
狙いは既に女武者により刻まれた刀傷、赤き鱗を斬り裂き悲鳴を上げるバシュムに、更に傷口に槍型の兵装を突き込んだ。
「単一世界という終焉……此処で破壊します!」
叫びと共にありったけの波動を込めた砲撃を、アルジェンは叩き込んだ。
大成功
🔵🔵🔵
朱鷺透・小枝子
只一つの極限。それはすごいことだ。だが!
回点号【操縦】サイキックシールド展開【オーラ防御】そして、
ダブルブレード形態のBX変形フォースサーベルを【念動力】高速回転!メガスラスター【推力移動】、フォースの【斬撃波】で毒を【なぎ払い】ながら【継戦能力】可能な限り、バシュムへ肉薄!
打ち勝つのは、我ら猟兵だ!!
『巨人の打刀』発動。RX打刀を、バシュムへ振るい【切断】攻撃!
【追撃】刀身から超巨大斬撃波レベル数分、全てを召喚!
一太刀、そのひと振りで全部!叩き込む!!
刀を溶かし切られぬよう、超大斬撃波でその身を断ち斬りながら、さらに断面へ斬撃波を放ち、滅多斬りにする!!!
壊れろ、毒蛇ィイイイイイイイ!!!!
●妄執は毒に打ち勝つか
そしてもう一人、『回点号クロムキャバリア』に乗り込みバシュムに迫る猟兵がいた。
「只一つの極限。それはすごいことだ。だが!」
彼女、朱鷺透・小枝子(|亡国の戦塵《ジカクナキアクリョウ》・f29924)は展開したサイキックシールドで毒を防ぎつつ、ダブルブレード形態に変形させたフォースサーベルを高速回転して拡散する毒から機体を守っていた。
その状態でメガスラスターを全力で吹かし、ただただ前へと進むのは悪霊の如き執念すら感じられる。
僅かに漏れてきた毒が彼女自身を侵してくるが、まったく彼女に怯む様子はない。
「打ち勝つのは、我ら猟兵だ!!」
ユーベルコード【巨人の打刀】を起動し、召喚装備したのはキャバリアサイズの打刀。
ガルシェンで造られたそれを全力で振るい、斬撃波を放つ。その数144、それらすべてを一点集中させ、毒を吐き続けるバシュムの胴に叩きつけた。
斬撃の刃は赤き鱗を容赦なく切り刻み、その全身を崩壊させていく。毒による抵抗があるからか、その全身崩壊の状態異常さえ侵食されとかされてしまうが構うものか。
刀を叩きつけることができる、それだけで十分。超大型の斬撃波とともに刃を一閃、断面にまで放たれたそれにバシュムの絶叫は止まらない。
「壊れろ、毒蛇ィイイイイイイイ!!!!」
小枝子の絶叫、そしてバシュムの絶叫が単一世界に響き渡る。
――戦いの終焉まで、もう少し。
大成功
🔵🔵🔵
サツキ・ウカガミ
こういうタイプは得意じゃないけど、出来ることをやるしかないね!
毒の拡散自体を制御している訳じゃないなら
ボクが介入する余地もありそうかな。
先制攻撃は[見切り、軽業]で避けつつ
ボク自身の[毒耐性、オーラ防御]で毒が回るまで[時間稼ぎ]。
その間に【瞳術『忍夜皐曲者』】で視線の先を操作して
空気中の毒の拡散方向や濃度を制御できるか試してみよう。
放たれた毒液も、拡散を抑えるようにできるかな?
バシュムからの第二撃以降も、少しでも抑えられたら御の字だね。
後は、毒の薄くできたルートや攻撃を[見切り]、
[ダッシュ]で近づいて[居合]、[2回攻撃で急所突き]。
瞳術の効果時間内に撤退。
毒の世界には、させないよ!
●毒殺の終焉を打ち砕く
二機のキャバリアがバシュムへと高速で突撃し、余波の颶風が単一世界に吹き荒れる。
特に片方の、白と青の鮮やかな側の勢いは凄まじく、立ち込める単一世界の毒気に怯みもせずに盾とサーベルで毒液を弾きながら限界加速で突っ込んでいっている。
その勢いは搭乗者が異常な興奮状態に陥って暴走しているのではないかという程で、その後方からやや遅れ、サツキ・ウカガミ(|忍夜皐曲者《しのびよるめいはくせもの》・f38892)が地を蹴ってバシュムへと向かっていた。
(「こういうタイプは得意じゃないけど、出来ることをやるしかないね!」)
サツキが見る限り、毒の拡散自体はバシュムの制御にある訳ではないようだ。
毒液を中心に周囲に爆発的に広がって毒で満たし続けているだけで、それならば介入する余地はある。
二機のキャバリアへと向けてバシュムが口から放った毒液が小柄なサツキにも襲い掛かるが、忍者の身軽さと反射神経による見切りによりその直撃は回避する。
だが本当にまずいのはここからだ。広がり続ける毒素はすぐさま退路を埋め尽くし、バシュム以外何も存在できない単一世界へと戻そうとする。
サツキ自身のオーラで毒の回る時間をなるべく遅らせる――薄いとはいえ本来ならそうそう耐えられる筈のないものではあるが、他の猟兵の攻勢により毒蛇の体の毒のほんの一部が浄化、或いは無毒化され放たれた毒液も僅かに弱まっていたことが幸いした。
口に込み上げる血の味を堪えつつ、ユーベルコード【瞳術『忍夜皐曲者』】を起動して毒液とその周囲を視る。
「ボクのお願い、聞いてくれるかな?」
サツキ模様に変化した瞳の視線を受けたものは彼女の瞳術に囚われる――生命体であろうと、無機物であろうと、自然現象であろうと。
放たれた毒液そのものは術そのものが浸食されているのか無効化されているのか操れないが、揮発した毒やその周りの大気ならば十分に操れる。
毒液の拡散の方向を猟兵のいない位置へ、そして空高くへと拡散させて地上付近の濃度をできる限り薄めるように制御する。
今まさに同時に攻めかかっている他の猟兵――バシュムの右目を目指すスカイランナーや胴体目掛け聖光の野太刀を振るう女武者、キャバリア二機の搭乗者を襲う毒も、癒しの風で致命的にならない程度には薄められそうだ。
とはいえ長時間はもたない。この瞳術にも141秒という効果時間の限界があるのだから。
空を跳ねる金の髪のスカイランナーがナイフを投擲し、蛇の右目を潰した瞬間に毒液が一瞬止まった。その隙を見逃さずにキャバリア達が仕掛けていく。
先行する波動纏う黒紫のキャバリアが二振りの巨大な大剣でバシュムを斬り裂いて、
『断て』
もう一機のクロムキャバリから響く音声、同時に召喚されたのは巨大な打刀。
『この刃を以て!』
手にした刃がバシュムへと叩きつけられ、深々と毒蛇の肉に食い込み、斬り裂いた。
更に召喚された超巨大斬撃波の全てが刻まれた傷に滅多切りにする勢いで全て叩き込まれ続け、更に虚無の波動纏うキャバリアの槍から放たれた零距離射撃が胴を貫通しブチ抜いて。
「壊れろ、毒蛇ィイイイイイイイ!!!!」
打刀のキャバリアから絶叫が聞こえ、同様に毒蛇の方からも絶叫のような音が響く。
されどバシュムはまだ、空中でのたうつように暴れ続けている。あの怪物の生命力は、まだ自身の死を認めはしないようだ。
限界を超えてクロムキャバリアの刃が止まる――溶かされず、残っているガルシェン製らしい業物は対毒の武器としての役割を十二分に果たしていた。
それらの交錯を見届けつつ、サツキ自身はキャバリア達が飛び込んでいった道筋に毒が侵入しないようにサツキ模様の瞳で大気に瞳術をかけながら走る。
毒の薄い領域――バシュムが苦し紛れにばら撒いてくる毒液も、忍者の軽やかな身のこなしで躱しながら距離を詰めていく。
キャバリア、そして巨大な打刀の柄と刀身を足場に駆け上がり毒蛇の頭部へと一気に駆け上がって、
「毒の世界には、させないよ!」
――『月牙』が二度、閃いた。
鋭い白刃の太刀による連撃は、幾許か既にダメージを受けていた毒蛇の急所を更に正確に貫いて。
そして、それが11の怪物最強を黄泉路へと突き落す決まり手となった。
世界を殺す拒絶の毒蛇は力を失い、墜落した。
単一世界は成立せず、同時に大気を浸食し立ち込めていた猛毒が、嘘のように消失していく。
この戦場で戦った猟兵達を蝕んでいた毒が消え失せて、そして世界を殺す毒蛇が討ち果たされた荒野に、爽やかな風が一陣吹き過ぎた。
大成功
🔵🔵🔵