エンドブレイカーの戦い⑭〜絢爛旋風
●道程は幾度となく
手にした剣の意味を私は知っている。
『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』は知っている。
この時至るまで己が経験してきた生と死は得難いものであった。革命聖女として生きて死に。そしてキマイラフューチャーにて怪人と化した人類とともに滅亡した。
オブリビオンとして蘇生し、友人を得た。
だが、彼女は再び敗北に塗れる。
一度の敗北は死を。
二度目の敗北は喪失を。
しかし、ドン・フリーダムのCGに『11の怪物』、『ウシュムガル』を移植されたことで、本来ならば果たすことのできないはずの『オブリビオンの死』すら克服している。
「ヒャヒャヒャ、まさかお前が再び、この俺『嗤う剣ダイアモード』を手に取るとはなあ!」
手にした剣が奇妙な声を上げている。
懐かしさすら覚える声。
嗤う。嗤う。嗤い続ける。その様子に自分も知れず、笑む。
「求めるものがあるのです。そのためならば如何なる力だって私は手に取るでしょう」
彼女の言葉に『嗤う剣ダイアモード』は、さらに愉快そうに嗤った。
「ヒャヒャヒャ、昔より躊躇が感じられねえのは、長い人生を経たせいか!?」
『嗤う剣ダイアモード』にとって、その変化は驚くべきことであった。
いや、変化、と呼ぶにはよそう。
それは成長とも言えるものであったからだ。
そして、その成長を如実に示すように『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』は言い切った。
「違う。私には蘇らせたい人達がいるんだ。怪人として、オブリビオンとして、ともに歩んだ大切な友達。私の大切な、友達。『ラビットバニー』と『エイプモンキー』」
「ヒャヒャヒャ! 誰だか知らねえが、そご友人のためにまさかお前はあの猟兵たちに戦いを挑むってのか?『ウシュムガル』と融合して気が大きくなっちまったなあ!」
その言葉に『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』は肯定する。
確かにその通りだ。
己は弱い。
友人である二人よりも弱い。『ラビットバニー』と『エイプモンキー』は強大すぎるオブリビオンだ。故に『ウシュムガル』の力では自分だけしか蘇生できなかった。
だが、今の彼女にはやれるだけの算段があった。
そして、何より理由がある。
「それは認める。けれど、やれないことはない。他の『11の怪物』とたくさんの『エリクシル』を手に入れれば、あるいは……!」
届くかも知れない。いや、届かせる。
己は今、最大の目的を持っている。二人の友人を蘇生させる。そのためならば如何なる敵とも戦う覚悟がみなぎっていた。
「ギャハハハ! お前正直、今、イイ目をしてるぜえ!!!」
「エリクシルを掌握するには時間が必要だから、猟兵に邪魔される訳にはいかない」
「かつては革命に生きていたってのになあ!」
「それでも。私は私のエゴで、彼らをこの世界から放逐する。なんと謗られようとも私は止まらない」
『嗤う剣ダイアモード』は笑っている。
愉快だった。
嘗て革命に生き、死に、そして幾度かの生と死を経験した彼女の生き様が、やはり変わっていないことが愉快だったのではない。
迫る猟兵達は当然のように拒絶の壁すら破ってくる。
あまりにも尋常ならざる敵だ。
そんな敵に『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』は怯むことすらなかったからだ。
みなぎる闘志にあるいは、と期待してしまうのもまた事実。
「ヒャヒャヒャ、だが、連中マジで強えぞ!」
「構わない。この願いは、これは! 誰にも、邪魔は、させないッ――!」
●エンドブレイカーの戦い
グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのはナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)であった。
「お集まり頂きありがとうございます。『11の怪物』の一柱、『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』は復興した都市国家『天翔回廊ヘイズワース』を占領しています。ですが、彼女は、かつて『バトルオブフラワーズ』にて滅ぼしたはずなのです」
だが、現実に彼女は『11の怪物』、『ウシュムガル』と融合し、さらに『嗤う剣ダイアモード』を携え、猟兵たちを世界から放逐せんとしている。
彼女の恐るべきところは迷いがないことである。
躊躇いなく、その超スピードでもって襲いかかってくることだろう。
如何なる者も彼女の速度を上回ることはない。
「ですが、皆さんの攻撃は彼女に対して致命傷となるでしょう。ですが、その速度故、『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』は必ず先制攻撃を叩き込んできます。言うまでも在りませんが、速度に乗った彼女の一撃は凄まじい超威力を誇ります」
そして、その超スピードは減速しない。
彼女が駆け出した瞬間にトップスピードに到達する。
すなわち、動き始めなどの僅かな隙すら存在しない。
つまり先制攻撃に対処し、かつ『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』の超スピードに対応する手段を講じぬ限り、一撃を与えることすらできないのだ。
「彼女の意志は固く鋭いものです。嘗ての友、『ラピッドバニー』、『エイプモンキー』を蘇生するためならば、如何なる障害も打ち倒す覚悟があります」
そう、『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』の超スピードが恐ろしいのではない。
彼女の覚悟こそが、猟兵たちを殺す刃なのだ。
故にナイアルテは、この戦いが見た目以上の脅威に対するつもりで当たらなければならないのだと説明し、旋風吹き荒れる戦場へと猟兵たちを送り出すのであった――。
海鶴
マスターの海鶴です。
※これは1章構成の『エンドブレイカーの戦い』の戦争シナリオとなります。
『天翔回廊ヘイズワース』を占拠した『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』との戦いになります。
彼女は大量のエリクシルと他の『11の怪物』を取り込むことによって、己の願いである『ラピッドバニー』と『エイプモンキー』の蘇生を目論んでいます。
彼女の超スピードは凄まじい能力です。
トップスピードに至るまでの時間はほぼ、ゼロに近い上に、どんな状況にあってもスピードが減速することはありません。
その上で先制攻撃の超威力たる攻撃を皆さんに叩き込んできます。
シンプルですが、この超スピードによる先制攻撃に対応できなければ、ただいたずらに撃破されるだけであり、消耗も望めないでしょう。
プレイングボーナス……敵の「超スピード」と先制攻撃に対処する。
それでは、エンドブレイカー! 世界から猟兵たちを放逐せんとする『11の怪物』と対決する皆さんの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
第1章 ボス戦
『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』
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POW : アクセラレイト・デザイア
全身を【エリクシルの輝き】で覆い、自身の【誰に邪魔はさせないという意志の強さ】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
SPD : ゼファー・タイフーン
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【嗤う剣ダイアモード】から【勢いを増し続ける竜巻】を放つ。
WIZ : 嘲笑せし斬風
【嗤う剣ダイアモードから放たれる衝撃波】を【スピード怪人の加速能力】で加速し攻撃する。装甲で防がれた場合、装甲を破壊し本体に命中するまで攻撃を継続する。
イラスト:藤本キシノ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
アルジェン・カーム
革命聖女ゼファー…
僕達終焉破壊者がラッドシティにたどり着く前に戦い続け…革命を成し遂げた聖女
貴女の戦いを忘れはしません
そして…僕達エンドブレイカーの無力も…
あ、戦う前に…クロノスメイズのグルメフェスティバルでは貴女好みを用意できず申し訳ございませんでした(生ジャガイモ進呈)
対先制と超速
【オーラ防御・戦闘知識・武器受け・念動力・弾幕】
速さで及ぶことはできません
オーラを広範囲で展開し捕捉し攻撃の狙う場所を把握
宝剣と聖刃に更に念動障壁で直接攻撃を受け流し
竜巻は念動光弾で消し飛ばす!
【空中戦・二回攻撃・切断・怪力・貫通攻撃】
UC発動
超速で舞い
肉体の限界を超え
全霊の斬撃を彼女に叩き込む!
貴女はとめる!
「革命聖女ゼファー……」
それは『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』が怪人化する前の、それこそ他世界に転生を果たす前の名前であった。
その音の響きに彼女は懐かしさを覚えない。
彼女にとっての名は『ウインドゼファー』の方が通りがいい。
少なくとも、猟兵たちにとってはそうだった。
「僕たち終焉破壊者がラッドシティにたどり着く前に戦い続け……革命を成し遂げた聖女」
アルジェン・カーム(銀牙狼・f38896)は『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』の姿を捉えることはできなかった。
圧倒的な速度。
超スピードによる撹乱めいた動き。
それに視線が追いつかない。
だがしかし、アルジェンは思う。
過去を思う。
例え、目の前の存在がオブリビオンであろうと『11の怪物』と融合を果たしていようと、彼の中には革命聖女ゼファーの姿が焼き付いている。
「貴女の戦いを忘れません」
そして、己たちの無力も。
救うことができなかった。致命的に掛け違えられたボタンを修正する術をエンドブレイカーは持ち得ていない。
できることは終焉を破壊すること。
それだけだったのだ。
故にアルジェンは目にもと成らぬ速度で走り抜ける旋風に告げる。
「……クロノスメイズのグルメフェスティバルでは貴女の好みを用意できず申し訳ございませんでした」
その謝意すらも意味をなさないだろうということはアルジェンにも解っていた。
眼の前に迫る超スピードの『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』が手にした『嗤う剣ダイアモード』より放たれる竜巻。
それが一瞬で己に迫っているのだ。
オーラでもって己の体を覆った瞬間、それは顎のように変貌を遂げ、アルジェンの体を食い破る。
痛みが走る。
手にした宝剣と聖刃、さらには念動障壁をも食い破る一撃に受け流しきれない痛みが走り抜ける。
「ヒャヒャヒャ! 今のこいつを止められるものかよ! 以前と違って躊躇いも何もねえんだからよ!」
「その通り。あなたが何者であろうとも。邪魔は、させないっ!」
振るう剣よりさらに竜巻が生み出される。
放たれる念動光弾がぶつかり、相殺される……よりも早く竜巻が渦巻き、成長し在るジェンに迫っている。
「玄武門…開門…朱雀門…開門…白虎門…開門…青龍門…開門……四門開門!!」
最早、猶予はなかった。
己の身体能力を強化開放する蒼きオーラを纏い、アルジェンは飛ぶ。
『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』の速度は圧倒的だった。比類無き速度だった。しかし、アルジェンは己の肉体の限界を超える。
嘗て取ることのできなかった手。
しかし、それはオブリビオンとなっても、蘇ってもなお、取ることのできない手であると知るだろう。
それを悲しいと思うことは己達だけの感情だろう。
『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』は、己たちではない者の手を取ったのだ。それを大切に思う心を否定はできない。
故にアルジェンの瞳はユーベルコードに煌めき、その手にした宝剣と聖刃でもって『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』に肉薄する。
「貴女は、止める!」
絶・四門開門(ゼツ・シモンカイモン)に得られた超高機動連続攻撃の剣閃が『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』の放つ竜巻と激突し、剣戟の音を響かせる。
それは、嘗て在りし戦いの輪舞曲。
されど、終焉が訪れることを知る懐かしさすら思わせる戦場の音――。
大成功
🔵🔵🔵
セリカ・ハーミッシュ
アドリブ、連携歓迎
かつてのゼファーとは思うわない方が良さそうだね
相変わらずスピードのようだし気の抜けない相手だね
まともにスピード勝負をしても不利だろうし
どうにか動きを封じるようにしたいかな
それでも思考の速さで負けられないよ
ソード・ミラージュでゼファーを撹乱するよ
ただ闇雲に放っても避けらるだろうし
ゼファーが走る方角を予想して分身と一緒に攻めるよ
基本的には走る時は一直線だろうから
進む先は予測しやすいかな
嗤う剣ダイアモードとかからも気配を察知しやすそうだね
少しでも動きを封じて捕まえられそうなら
分身と共に光翼閃で一気に大ダメージを狙うよ
「躊躇ったりなんかしないよ!もはや倒すべき相手でしかないのだから」
エンドブレイカーとして嘗て在りし日々を思い起こさせる名であった。
『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』。
かつて『革命聖女ゼファー』としてエンドブレイカーと袂を分かつに至った少女は、最早別者であった。
他世界に転生し、二度目の死を経験し、人としてではなく怪人としてオブリビオンへと至る。オブリビオンとしてもまた猟兵に敗れ、今再び『オブリビオンの死』さえ克服して、エンドブレイカーであった猟兵、セリカ・ハーミッシュ(氷月の双舞・f38988)の眼の前に立っている。
いや、違う。
圧倒的な速度で持って彼女の視界から一瞬のうちにかき消えている。
「かつてのゼファーとは思わないほうが良さそうだね」
相変わらずの超スピード。
視界から一瞬で消えるのは『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』としての力の発露。あまりにも早すぎるが故にセリカは己のユーベルコードが煌めくより先に、一撃wお叩き込まれるであろうことを理解する。
まともにスピード勝負をしようという思考すら捨てる。
ならば、どうにか動きを封じられないか。
一瞬でセリカは思考する。すでに『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』は懐かしきあの日々の『革命聖女ゼファー』ではない。
ならばこそ、彼女は思考する。
敵と認識した『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』の速度は圧倒的だ。だが、思考の速度で負けては居られないのだ。
「ヒャヒャヒャ! 何か考えているようだが、こいつの速度に間に合わせようっていう思考自体が間違いなんだよなあ!」
「黙って。その力を今は使いなさい」
『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』の腕が掲げられた瞬間、その剣より放たれるは、竜巻。それは勢いを増し続け、巨大な顎のようにセリカへと襲いかかる。
その一撃はセリカの体を強く打ち据えるだろう。
痛みが走る。強烈なまでの力。確実に猟兵を排除せんとする彼女の意志を感じさせる強大な力だった。
だが、セリカだって負けては居られない。
「負けてられないよね! なら!」
セリカの瞳がユーベルコードに輝く。
己が生み出すのは精巧なる残像の分身。ソード・ミラージュによって生み出された分身達が一気に戦場に駆け出す。
どれが自分かわからないだろう。
となれば、狙いをつけるのが煩雑になり、大雑把な攻め方しかできなくなるはずだ。
「分身……!」
「そうだよ、どれが私かわからないでしょう!」
一斉に駆け出すセリカの分身たち。
本体であるセリカもまた駆け出し、迫る竜巻を躱しながら『天翔回廊ヘイズワース』の街中を駆け抜ける。
この縦に積み上げられた精霊建築の都市国家の中こそ、ヴァルキリーたる己の本領である。
彼女は戦場を駆け抜ける。
顎のごとき竜巻が迫るのだとしても、それでも駆け抜ける。迫る『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』の速度は未だに己を上回っている。
けれど、狙いが雑になっている。
分身が多く存在しているのならば、纏めて吹き飛ばそうとしているのだ。
「なら、この一撃が届くよね!」
二刀の魔剣を抜き払う。
その刀身に宿るのは翼の形をした強大な光の魔力。発露するユーベルコードの輝きとともにセリカは『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』に迫る。
「ギャハハハッ! 虚を突いてきたぜ! どうするよ!」
「防ぐまで!」
掲げた『嗤う剣ダイアモード』の刀身とセリカの持つ二刀の魔剣の剣閃が交錯……しない。彼女のユーベルコード、光翼閃(パニッシュブレイカー)はあらゆる物質を透過する。それは『嗤う剣ダイアモード』も例外ではない。
防御を、と選択した時点で、この結末は決定づけられていたのだ。
「これがわたしの必殺の一撃だよ、ゼファー!」
十字に放たれた剣閃が『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』の魂魄を切り裂き、セリカは竜巻あふれる空を舞うようにして飛ぶのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ルシエラ・アクアリンド
もう十分。貴女は人の為に生きすぎた
思う通りにすればいいよ
但しそれに対して私も相応の想いで応えるから
純粋に想いをぶつけ合おう?
絶対先制攻撃に対して
オーラ防御と結界術で防御強化
気配察知、第六感で攻撃方向に備え攻撃がきた瞬間影縛り少しでも阻害となればいい
魔力貯めと魔力を纏わせた魔導書で攻撃を受け流すと同時に空中機動で宙へ避け同時にUC展開
私も風の力を借りてあらゆる状況に備える
少しでも行動阻害が出来たらすかさず魔導書の魔力で生まれた風と羽根舞わせ
不意打ち、範囲攻撃、1回目は囮とした二回攻撃を宙も利用し隙を作り攻撃
身軽さ生かし避けつつ、先に剣を手放せさせたいけれど無理はせず着実にダメージを蓄積させて行く
革命を為すのならば、無私にならなければならない。
誰かの声を、孤独を、葛藤を代弁しなければならない。
故に嘗て『革命聖女ゼファー』と呼ばれた少女は、そうあるべきという己を形成したのだろう。
「もう十分。貴女は人の為に生き過ぎた」
だから、とルシエラ・アクアリンド(蒼穹・f38959)は旋風が、目も眩むような輝かしさでもって目の前を駆け抜け、そして迫る巨大な竜巻を見上げた。
それは『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』のはなったユーベルコード。
勢いを増す竜巻は巨大な顎のようにルシエラを飲み込まんと迫っている。
「私のこの願いは、誰にも、邪魔を、させない!」
振るう『嗤う剣ダイアモード』より放たれた竜巻は、それ自体が強烈な勢いを持っていることを知る。
そして、ルシエラは己が『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』を目で捉えられぬことを知っている。
防ぐしかない。
敵の疾風のような速さに対処できないのならば、耐えるしかないのだ。
張り巡らせたオーラの防御と結界術を重ね、積み重ね、己の防御を重ねていく。研ぎ澄ます。
気配を察知せんと彼女は瞳を閉じる。
視覚を封じる、聴覚を捨てる。
ただ己の肌に迫る殺気を感じ取る触覚にのみ感覚を振り絞る。
「ヒャヒャヒャ! 目なんか閉じてよお! 勝負を捨てたかい、猟兵!」
「そんなわけがない。猟兵というものは、エンドブレイカーというものは、これしきの脅威で足を止める存在じゃない。油断なく、押しつぶす! 私の! エゴで!」
「そうね。思う通りにすればいいよ。私も」
ルシエラは呟く。
己は相応の思いを持っている。それで答えなければならないと理解している。
故にこの戦いの勝敗は、己の持つエゴ――想いの純粋さでもって勝敗が決するのだ。
魔力を貯め、まとわせた魔導書が巨大な顎の如き竜巻の勢いを受け止める。旋風が肌を切り裂き、血潮をほとばしらせる。
痛みが走る。
けれど、ルシエラは開眼し、竜巻を蹴るようにして空へと舞い上がる。
受け流し切れない。
手傷を追うのは覚悟の上だった。
「『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』! 私も風の力を借りるわ!」
ルシエラの瞳がユーベルコードに輝く。
瞬間、『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』の周囲に蒼い空間の檻が発生する。
それは彼女の感覚を捕縛するユーベルコード。
如何に超スピードで動くのだとしても、ルシエラのユーベルコードの及ぶ範囲は戦場たる『天翔回廊ヘイズワース』すべてに及ぶ。
故に彼女のユーベルコード、蒼の天蓋(ウィンディテイル)は天網恢恢疎にして漏らさずを地で行くように『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』を捉えるのだ。
「……これは!」
「ヒャヒャヒャ! まずいぜ、こりゃあ! 竜巻を前にして嵐で対抗してくるかよ!」
涼やかな風が戦場を駆け抜けた。
それは魔力の羽を回せる魔導書の力。
降り注ぐ一撃が『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』の頭部を覆うエリクシルを砕きながら、ルシエラより放たれる。
「貴女はそれをエゴだと言った。でも、貴女はいつだって誰かのために戦っている。それはエゴなんかじゃあないよ。友達を蘇生したいという想い。けれど、それは世界を壊す想いだから」
だから、とルシエラはその一撃と共に『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』の願いを打ち砕く――。
大成功
🔵🔵🔵
ガイ・レックウ
【POW】で判定
『どれだけ速くても斬る!』
【オーラ防御】を多重に重ね、【見切り】、【武器受け】と積み上げてきた【戦闘知識】による勘でダメージをギリギリまで抑えて、カウンター気味に【怪力】と【限界突破】した踏み込みからのユーベルコード【機甲剣術・奥義『神断』】を叩き込んでやるぜ!
『もとより傷を負う覚悟はあるんだよ!』
「誰にも、私の、邪魔は、させない!」
『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』のユーベルコードが煌めく。
彼女の体を覆う『エリクシル』は意志に反応するように輝きを増していく。
強烈な輝き。
その赤い閃光が戦場に走り抜ける。
軌跡を追うことはできても、しかし、その閃光を生み出す『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』を捉えることはできなかった。
あまりにも速い。
誰にも彼女を止められない。
彼女は己の願望を叶えるために、その意志を発露させている。
「ヒャヒャヒャ! こうなったら誰もこいつは止められんねえぜ、猟兵!」
手にした『嗤う剣ダイアモード』が心底愉快そうに嗤う。
それは当然であろう。
猟兵という生命の埒外を相手どって戦う以上、劣勢は当然であっただろうから。
しかし、『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』の力は『エリクシル』でもって増強されている。
圧倒的な速度は目にも止まらぬ閃光を戦場に刻むばかりであった。
「どれだけ速くても斬る!」
手にした刀を構え、ガイ・レックウ(明日切り開く流浪人・f01997)はそれが事実難しいことを悟る。
視界に収められない。
赤い閃光だけしかわからない。
どれだけ積み上げてきた戦闘技能や知識があるのだとしても、『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』の速度はこれまで経験したこと無い速度域に到達していたのだ。
「やれるものなら、やってみせてよ、猟兵! それを私は、乗り越えて、いく!」
手にした『嗤う剣ダイアモード』の剣閃が煌めき、ガイの体躯を切り裂く。
血潮が舞う。
さらに加速していく。血潮の飛沫が地面に落ちるより速く、さらに斬撃が舞う。
ガイが今だ倒れていないのは勝負勘があったからだ。
ギリギリを耐える。
カウンターを放つ、その一つのことだけに注力しているからこそ、未だ倒れない。
その代償はあまりにも大きいものだった。
血を失い過ぎている。
けれど、ガイの瞳にユーベルコードが輝く。
二振りの『ヴァジュラ』を構える。
荒れ狂う獄炎と迅雷が迸るようにして刀身に纏われる。無防備。されど、脱力の後に放たれる刃の一閃は、閃光じみた『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』の速度を捉える。
「元より、傷を負う覚悟はあるんだよ!」
首元に迸る血潮をガイは気にも止めなかった。
例え、血にまみれようとも己の放つ機甲剣術・奥義『神断』(キコウケンジュツオウギ・カンダチ)は止まらない。
瞬時に放たれた一撃は、神速の斬撃となって『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』の体を切り裂く。
袈裟懸けに放たれた一撃。
それは確かに閃光の如き彼女の体躯を捉えていた。
飛び散る赤い宝石『エリクシル』の破片が舞う中、ガイは見据える。
「これが神を断つ……ただそのために生み出された師の奥義……!」
届いた斬撃の軌跡をガイは血にまみれながら見やり、旋風舞う戦場に獄炎と迅雷をほとばしらせるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
カシム・ディーン
機神搭乗
ウィンドゼファー…僕は結局戦わなかったんですけどね?
「メルシーは戦いたいぞー☆」(荒ぶる鶏立体映像)
対先制超スピード
【情報収集・視力・戦闘知識】
その神速先制を視認!
その速さの世界は知ってるんだよ!
【武器受け・弾幕・念動力・空中戦】
念動光弾の弾幕展開し竜巻相殺
直接攻撃は鎌剣で受け流す!
UC発動!
「ウィンドゼファーちゃん☆メルシーねー君と戦いたかったんだ☆さあいこうぜ☆スピードの向こう側へ☆」
動かすの僕だがな!だが…超スピードだあ?上等だ!堂々勝負するのも悪くねー!
【二回攻撃・電撃・属性攻撃・切断・盗み攻撃・盗み】
超絶速度のドッグファイト開始!
何度も念動光弾と電撃を放ちながら
鎌剣と嗤う剣をぶつけ合う!
友達の為ってのは否定しねーよ!
おめーが革命やら何をしたかも僕は知らねーし今はどうでもいい!
「今君がやることはメルシー達とスピード勝負だぞ☆」
風を纏って更なる加速!超高速の世界…音さえ置き去りにする世界で何度も何度だってぶつかり合う
もう何も考えられないぐらい純粋な速さと武の極致…!
赤い閃光が戦場を走り抜ける。
それは対峙する猟兵を尽く切り裂く刃そのものだった。『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』は猟兵達に引けを取らない戦闘能力を有していた。
それは『11の怪物』と融合を果たしたからではない。
彼女の覚悟こそが、彼女の尋常ならざる戦闘能力を発露させていたのだ。
「『ラビットバニー』、『エイプモンキー』……二人を蘇生するためなら、私は、どんなことだってやってみせる……!」
「ヒャヒャヒャ! 覚悟決まってんのは良いが、来てるぜ! また新たな猟兵ってのが!」
『嗤う剣ダイアモード』の笑い声と共に『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』は見やる。
そこにあったのは機神の姿。
キャバリアと呼ばれる戦術兵器の一種。
「一気に決める! どんな敵だろうと! 私の! 邪魔は、させない!」
みなぎる意志と共に放たれる竜巻が一瞬で、機神――『メルクリウス』と呼ばれたキャバリアへと放たれる。
カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は、その圧倒的な速度でもって放たれる竜巻の顎のごとき一撃を前にして叫ぶ。
「その速さの世界は識ってるんだよ!」
鎌剣で竜巻をの顎を受け止める。念動光弾を放つも竜巻を相殺するには至らなかった。竜巻の勢いは更にましているのだ。
機体をきしませる竜巻は刃をはらむようにして迸る。
『メルシーの装甲に傷ついたー☆』
「掛け値なしの強敵ってわけだ!『ウインドゼファー』!」
かつてオブリビオンとして存在していたキマイラフューチャーの怪人。
カシムは戦ったことはなかった。
しかし、この神速の領域での戦いであるというのならば、二の足を踏む理由などない。
煌めくユーベルコードに『メルクリウス』のアイセンサーが煌めく。
「『ウインドゼファー』ちゃん☆ 『メルシー』ねー君と戦いたかったんだ☆」
「どんな者が相手だろうと!」
生み出される竜巻がさらに勢いをまして『メルクリウス』へと迫る。
その強烈な一撃を前に『メルシー』は嗤う。
「さあいこうぜ☆ スピードの向こう側へ☆」
「簡単に言ってくれる! 動かすのは僕なんだがな! だが、上等だ!」
カシムはみなぎる力と共に飛ぶ。
「加速装置起動……『メルクリウス』、お前の力を見せてみせろ……!」
『メルクリウス』の機体が超加速を掛ける。
通常の三倍にまで引き上げられた速度による、光速にも至らんとしているかのような『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』との空中戦。
明滅する空。
激突する鎌剣と『嗤う剣ダイアモード』の剣閃。
火花が散っている。
「ヒャヒャヒャ! こいつはいい! やりあえてやがるじゃあねえか! おい!」
「黙っていないと舌を噛む。無駄口を叩くのなら!」
「ヒャヒャヒャ!」
「余裕ぶってられんのも今のうちだぜ!『メルシー』!」
放たれる念動光弾と雷撃が何度も空で激突する。
互いに決め手に欠ける状況だった。
「友達の為ってのは否定しねーよ! おめーが革命やら何をしたかも僕は知らねーし、今はどうでもいい!」
「なら邪魔しないで!」
「今君がやることは『メルシー』たちとのスピード勝負だぞ☆」
「勝負なんてやってるつもりはない! 私は、私の邪魔をするものを、切り裂くのみ!」
鎌剣と激突する剣。
竜巻が『メルクリウス』の機体を包み込む。
だが、それを利用するように『メルクリウス』は風を纏って飛ぶ。
神速戦闘機構『速足で駆ける者』(ブーツオブヘルメース)。
それは風と共に歩む者のユーベルコード。
超高速の世界に、空気の壁を打ち破る轟音さえも追いつけない。
「メルシーは他の何も考えさせてあげないから☆ 今だけはわすれなよ☆ お友達のこともさ」
「そのつもりはないよ!」
故に、その一欠片こそが、純粋さを分かつ。
友の蘇生のためにと戦う者。
そして、純粋に速度のためにこそ戦う者。
そこに貴賤はない。
けれど、純然たる違いが生まれた瞬間、『メルクリウス』の一撃が『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』の身を覆う赤い宝石『エリクシル』を切り裂き、砕くのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
リゼ・フランメ
貴女の譲れない想い、確かに受け取ったわ
けれど、切実なる祈りは私たちもまた同じく
結ばれた世界という縁、喪う訳にはいかないの
かつてあった眸の為に戦う貴女と
或いは、まだ見ぬ誰かの為にと戦う私
とてもらしい戦いでしょう
超スピードには攪乱の動きを以て対応
ダッシュにフェイントを織り交ぜ、減速と加速を繰り返す不規則な動きと速度
更には軽業も絡めた蝶の瞬きに似た掴めぬ動きで、残像と共にゼファーを幻惑させて攻撃の的を絞らせない
幾ら超スピードでも、その感覚までは鋭くなっていないでしょう
私へと迫る攻撃を、『視る』ではなく迫る威と意思を肌で感じて見切り、破魔の炎纏うカウンターよ
貴女の友が眠る場所へ、さあ、おやすみなさい
砕ける赤い宝石『エリクシル』の破片の最中を『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』は飛ぶようにして駆け抜ける。
目にも止まらぬ超スピード。
彼女は止まらない。決して止まらない。
何故なら、彼女は友のために戦っている。失われたオブリビオン『ラビットバニー』、『エイプモンキー』を蘇生させるためだけに彼女は己のエゴを持って『エリクシル』の持つ願望叶える力を発露させ、迫りくる猟兵たちを退けんとしていた。
「私の、邪魔は、させない!」
「ヒャヒャヒャ! 猟兵、こいつを止められるとは思わねえことだぜ! 何せ、不退転の覚悟ってもんがあるんだからな!」
『嗤う剣ダイアモード』が嗤う。
嘗ての『革命聖女ゼファー』を嗤ったのではない。
この状況を愉快だと笑ったのだ。
尋常ならざる敵、猟兵を相手どって此処まで戦えている。ともすれば、『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』の願いは叶えられるかもしれないと期待させる程の鬼気迫る様相を見たからだ。
「貴女の譲れない想い、確かに受け取ったわ。けれど――」
赤い瞳が見据える。
閃光を認め、そして鮮やかな赤い髪が燃えるようにして旋風に揺れていた。
リゼ・フランメ(断罪の焔蝶・f27058)は告げる。
軽やかな声は、可憐に舞うようにして赤い閃光たる『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』へと届いたことだろう。
「切実なる祈りは私達もまた同じく。結ばれた世界という縁、喪う訳にはいかないの」
彼女の言葉に『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』は答える。
その手にした剣を振るいながら、剣閃はリゼ目掛けて振り下ろされた。
だが、その一撃は撹乱織り交ぜた蝶舞うかのようなステップでもって躱された。
「……外した!?」
「ヒャヒャヒャ! 違え! 外された、だ!」
「かつてあった眸の為に戦う貴女と、或いは……まだ見ぬ誰かの為にと戦う私」
対極。
己のエゴと他者のための天秤は揺れない。
故にリゼは、それをとてもらしい戦いだと思ったのだ。減速と加速を繰り返すステップは、これまで猟兵と戦ってきた『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』にとって緩急つけた動きであり、幻惑させるものであった。
「貴女の速度は恐るべきもの。一気に最高速度に到達し、変わらない速度で走り続けることができる。けれど、それは……」
一辺倒であるという意味でしかないとリゼは残像生み出しながら『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』へと踏み込む。
恐るべき超スピードを持つのだとしても、緩急生み出す幻惑のステップに対応できるとは限らない。
どんなに優れた速度を持つのだとしても、感覚までは鋭くなっていない。
故に、リゼは劫火剣『エリーゼ』を構える。
優美にして鋭き刃。
尽きぬ祈りと願いが己の中にある。劫火は罪咎を斬る。故に、劫火剣。
「その罪が、命の裡にあるならば、炎と刃にて清められる」
「私の願いが如何に罪であると言われようとも、邪魔はさせない!」
振るう『嗤う剣ダイアモード』の刀身が煌めく。
振り下ろされた一撃は神速。
されど、リゼはユーベルコード煌めく瞳でもって見つめる。
存在すること事態が罪過であるというのならば、それはなんと悲しきことだろうか。
故に、リゼは断罪の天焔剣(ガーネット・ブレイズ)を振るう。
神霊力を籠めた火焔纏う刃の一閃が『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』の体を透過し、その罪と霊魂を切り裂く。
「貴女の友が眠る場所へ、さあ、おやすみなさい」
リゼは告げる。
世界に存在し続けることで世界そのものを破壊するオブリビオンにとって、安寧は骸の海しかないと。
故に彼女は送るように劫火剣の切っ先でもって迸る火焔と共に『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』の体を貫くのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
紫・藍
超スピードの超威力でっすかー!
藍ちゃんくん、歌ってる間も踊ってる間もないのでっす!
ですから、ええ。
ゼファーのお嬢さん自身にどうにかしてもらうのでっすよー?
早着替え、いえ、この速度の前には実質空蝉の術が関の山でっしょうが――お嬢さんが刃を突きつけたそこにはエイプモンキーがいらっしゃるのでっす!
藍ちゃんくんの変装と、催眠効果のあるお洋服というかロボ装甲の合わせ技なのでっす!
無論、ええ、お嬢さん方の友情ならすぐに見抜けはするでっしょう。
でっすが、その“すぐ”というのはお嬢さんの超スピードに比べたらずっと遅いのでっす!
一瞬の間隙、ほんの僅かな意思の乱れは、刹那の時だけ戦闘力強化を途切れさっすのでっす!
強化されてたからこそ耐えられた速度の反動が未強化の身を襲ったのなら藍ちゃんくんのパッションも相まって吹っ飛び自滅待ったなしなのでっす!
だまし討ち?
いいえ、違うのでっす。
弱点を想像し、創造してつく。モンキーさんの得意技なのでっす。
お嬢さんはお嬢さんが自分より強いと誇ったモンキーさんに破れたのでっす。
火焔吹き荒れる一撃を受けてなお、『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』は咆哮する。
赤き宝石は『エリクシル』。
願いを叶える万能の宝石は、『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』の願いを叶えるために明滅して煌めく。
「私の、邪魔を、するな!」
彼女の願いは『ラビットバニー』、『エイプモンキー』の蘇生。
友達であるから。
その理由だけで彼女はどこまでも利己的になれる。
暴風纏う姿は、あまりにも速かった。
紫・藍(変革を歌い、終焉に笑え、愚か姫・f01052)には、その速さに対応する術がなかった。
歌うことも。
踊ることも。
すべてが刹那の間に。
「ですから、ええ」
しかし、藍は退くことをしない。そうすることは意味のないことだったからだ。
「私の前からいなくなれ、猟兵!」
「ヒャヒャヒャ! 躊躇いなく狙えよ! 猟兵ってのは何をしでかすかわかんねーんだからよお!」
『嗤う剣ダイアモード』の言う通りだった。
藍は己の一手が果たして正しく機能するのか半信半疑であった。そもそも通用するのかという懸念もあった。
だが、やらなければ、そもそもなし得るかどうかというスタートラインにすら立てないことを知っているからこそ、躊躇わずに藍は早着替え、もとい空蝉の術めいた一瞬の変装を遂げる。
催眠効果のある洋服と装甲の合わせ技。
それにおって『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』の眼前にあるのは、『エイプモンキー』の姿だった。
「なっ――!?」
「ギャハッ、何を止まってやがる!?」
『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』は目を見開く。
それは彼女が求めて止まない友人の姿だった。何故、と一瞬彼女は考える。考えてしまった。そして、振るう剣の手が一瞬でも止まってしまったのだ。
だが、それ自体はそうさしたる意味を持たないはずだ。
何故なら、彼女の速度は0と1。
一瞬でトップスピードに到達する。ならば、刹那であっても、速度を緩められたことにはならない。意味がないことだった。
「ですが、止まりましたね! ええ、一瞬でも!」
「あなたは、私の友人の姿を私に……!」
「ええ、見せました! お嬢さん方の友情ならすぐに見抜けるであろうこともわかっていたのでっす!」
だが、その“すぐ”は、『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』の持つ超スピードに比べたのならば、ずっと遅いのだ。
つまり、藍が得たのは一瞬の間隙。
わずかでも『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』の意志を乱すには十分だった。纏う暴風は消え、さらけ出される『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』の体。
身を覆う『エリクシル』の輝きは喪われている。
「それでは、お嬢さん! ごいっしょに!」
藍の瞳がユーベルコードに輝く。
わずかであっても隙は隙である。この機会を藍は逃さなかった。
騙し討ちだと謗られようとも構わない。
だって、藍は知っているのだ。
「弱点を想像し、創造して突く……」
「『エイプモンキー』の……!」
「そう、得意技なのでっす! これが藍ちゃんくんパッショネイトステージ!(エキサアアアアアアイットォォォッ)でっすよー!!!」
叫ぶ。
それはパッションあふれる熱狂の叫び。
絶叫と言ってもよかっただろう。
本来ならば『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』に、この叫びは当たらなかっただろう。
けれど、藍は『エイプモンキー』の幻影を見せることで、『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』の動揺を誘ったのだ。
放たれる熱狂の一撃は『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』を吹き飛ばし、その身にまとった『エリクシル』の宝石を砕く。
「お嬢さんはお嬢さんが自分より強いと誇ったモンキーさんに敗れたのでっす」
そう、自分にではないと藍は告げる。
自らだけでは勝利もできなかった。ただ為す術もなかったはずだ。
けれど、藍は知っていたのだ。
『エイプモンキー』のことを。そして、その経験こそが今『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』を打ち砕いたのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
朱鷺透・小枝子
……友の為か。その願いは、そう悪くは思わない。
だが、どうであれ、貴様は敵だ。壊すべき、大敵だ!!
【闘争心】から生成したサイキックエナジーでサイキックシールドを展開【オーラ防御】竜巻から身を守り、【瞬間思考力】シールドが破壊される前に、剣を騎兵刀で【武器受け】、身を捩じり、致命傷を躱す。
オブリビオンは、敵は!壊せ!!それが自分の使命だ!!!
だから!
【継戦能力】『禍葬天間接』発動。空間を歪め、竜巻の影響を遮断!
【早業】騎兵刀を振るい、距離を無視して刃を届かせる【空間属性攻撃】
兄弟の名誉の為、仲間が生きる為、なにより己が為に!自分もまた躯を積み上げてきた!!今までも、そしてこれからも!!だから!!!
だから、|此処に居るなら《邪魔をするなら》、|壊してやる!!!《殺してみろ!!!》
【フェイント】攻撃の間隙、奴が刺し込んでくるであろう箇所の空間を予め歪め、【カウンター】剣攻撃を反射し、刺し返す。最速の一撃、自分で喰らえ。そして今度こそ──
【追撃】呪詛物質を開放した騎兵刀で、断ち壊す!!
壊れろ!!!
『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』は止まらない。
何故なら、その胸には願いがあったから。
友を蘇生したい。
ただそれだけのことを、彼女はエゴだと言った。
それは彼女がこれまで多くのことのために戦っていたことを示していた。滅私すること。無私であること。
彼女のすべて。
故に、得た大切なものを取り戻したいと思う願いは強烈なものだった。
「私の、邪魔は、させない! 誰にも! 猟兵だろうと! 乗り越えて見せる!」
「ヒャヒャヒャ! まだまだやる気十分見てえだな! それでこそだぜえ!」
『嗤う剣ダイアモード』より放たれる竜巻は巨大な顎のように猟兵たちに襲いかかる。勢いが落ちない。
速度もまったく落ちる気配はなかった。
それほどまでに『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』の持つ能力、超スピードは圧倒的だったのだ。
躱すことはできない。
少なくとも、朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)はそう判断した。
「……友の為か。その願いは、そう悪くは思わない。だが、どうあれ、貴様は敵だ。壊すべき、大敵だ!!」
みなぎる闘争心がある。
生み出されるサイキックエナジーでシールドを展開する。
竜巻から身を守ろうというのだろう。しかし、それは無策無謀というものだった。勢いを増した竜巻は止められない。鋭い牙のように小枝子へと襲いかかるだろう。
「無駄だよ! この竜巻は、私は、止められない! 猟兵、どこまでも私を敵と認識するのならば、ここで私が排除する!」
竜巻が小枝子の張り巡らせたサイキックシールドを砕かんと迫る。
それは違えることなく容易く砕き、小枝子へと迫る。
吹き荒れる風が小枝子の体を吹き飛ばす。
血潮が舞う。
痛みが走り抜け、五体の全てを砕くかのような痛みが小枝子の中に生まれる。
痛み、苦しみ。
それは戦いにあって常に訪れるものだ。だからこそ、小枝子は覚悟していた。
そして、竜巻の奥底にて輝くものを『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』は見ただろう。それは潰えぬユーベルコードの輝き。
「オブリビオンは、敵は! 壊せ!! それが自分の使命だ!!! だから!」
接げろ、と小枝子は小さく呟く。
己の周囲の空間を歪める怨念結界が迸る。
オブリビオンは壊す。
ただそれだけのために己はいる。
それだけが存在意義だ。故に小枝子は、己の身を打つ竜巻を反射する。
「どうなっている! 私の竜巻が何故……!」
「反射してやがるんだよ、奴は! 言っただろう、マジで強えってな!」
竜巻は跳ね返されながらも、『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』は竜巻を相殺させて踏み込む。
倒せる。
今なら猟兵を倒せる。
確信があった。
だが、『嗤う剣ダイアモード』の一閃に叩きつけられる騎兵刀があった。
「……兄弟の名誉の為、仲間が生きる為、なにより己が為に! 自分もまた躯を積み上げてきた!! 今までも、そしてこれからも!! だから!!」
裂帛の気合と共に小枝子は『嗤う剣ダイアモード』を跳ね上げる。
ガードをこじ開ける。
「遅い!」
しかし、こじ開けたガードは即座に閉じられる。
切り返す刃の一撃が小枝子の体に袈裟懸けに傷跡を残す。血潮が吹き荒れ、鮮血が戦場に舞う。
しかし、小枝子の瞳は死んでいなかった。
致命傷ではなかった。
外されている。何故、と『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』は目を見開く。
それは、禍葬天間接(ディスアーク)によって空間を歪めた小枝子の力。何故、空間が歪められている?
「だから、|此処に居るなら《邪魔をするなら》、|壊してやる!!!《殺してみろ!!!》」
叫ぶ。
そう、小枝子の斬撃は空間を歪める。
斬撃は届かないはずの距離を届かせる。空間が歪めば、必ず斬撃の軌跡は歪む。カウンターめいた剣の一撃。
小枝子に繰り出せる最速の一撃。
呪詛物質を開放された騎兵刀の切っ先が迫る。
「壊れろ!!!」
如何なる超スピードであろうと不可避の一撃が『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』の体を『エリクシル』ごと砕くようにして切り裂いた――。
大成功
🔵🔵🔵
バーン・マーディ
そうか…お前は我と戦う前から叛逆に全てを尽くしていたのだな
良い
我は貴様の革命を祝福しよう
そして友の為に嘗ての信念を捨てる覚悟も
だが…それでも尚貴様の信念に抗う者がいることを知るがいい
対先制
【オーラ防御・武器受け・怪力】
装甲ではなく我が魔剣と…奴の嗤う剣と同じ名前の車輪剣で受け流す
貴様と戦うのは我ではない
UC発動
悪神の祝福発動
但し封じるのは絶対先制のみ
車輪剣を黒風に授け
我が配下よ
貴様の相手は真の貴様よ
今こそ奴が捨てた|叛逆《革命》を示せ
黒風
「私は…!|貴女《私》を止める!|貴女《私》に殉じた革命政府!紫の兄弟!|貴女《私》を支えてくれた皆が残した物を!」(慟哭。革命聖女の記憶が流れ)
再臨車輪剣発動!
ゼファータイフーンに対抗!
【空中戦・鎧無視攻撃・鎧破壊・二回攻撃・怪力】
超高速の対決!相手の竜巻に黒き竜巻をぶつけ肉薄して
何度も嗤う剣と車輪剣をぶつけ合う!
「ごめん…ごめんねエイプモンキー君…ラビットバニーちゃん…!それでも|貴女《私》は…!革命を…叛逆を捨てちゃいけないんだーー!!!」
切り裂かれ砕かれた『エリクシル』の赤い破片を撒き散らしながら『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』は走る。
超スピードのまま戦場を駆け抜ける。
傷は浅くない。
猟兵達のこれまでの攻勢に圧倒されていた。
だが、それでも彼女はくじけない。心が折れることはなかった。
「私は、私の願いのために、私のエゴのために戦うと決めた。それは変わらない。依然、私の心は、彼らの為にこそあるのだから! 邪魔を、させない!」
「ヒャヒャヒャ、イイ顔してやがるぜえ。なら、俺様もやるっきゃねえよなぁ!」
『嗤う剣ダイアモード』より放たれる斬撃の衝撃波がほとばしり、さらにその斬撃は『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』の加速の力を得て、圧倒的な速度で持って猟兵たちを切り裂かんと戦場に解き放たれる。
その斬撃は不可視だった。
見ることはできない。それほどまでの速度で放たれた斬撃を真っ向からバーン・マーディ(ヴィランのリバースクルセイダー・f16517)は受けた。
受け流すつもりで構えた魔剣は、意味をなさなかった。
超スピードを得た不可視の斬撃を受け流すことはできなかったのだ。血潮が噴出する。だが、それでも痛みに呻くどころか、バーンは満足げにうなずいた。
「そうか……お前は我と戦う前から叛逆に全てを尽くしていたのだな」
「革命こそが私の全てだった。けれど、今は違う。私の大切な友達のために!」
力を振るうのだと斬撃がほとばしり、バーンの体を切り裂く。
血潮が溢れながらも、バーンは、やはり満足げにうなずいた。
「良い。我は貴様の革命を祝福しよう。そして、友の為に嘗ての深淵を捨てる覚悟も」
だが、とバーンは瞳を見開く。
ユーベルコードに輝く。
「だが……それでもなお貴様の信念に抗う者がいることを知るがいい」
来たれ、と掲げた掌に暴風があふれる。
「デュランダルスピード怪人『黒風』(スピードカイジン・ブラックゼファー)……過去の己を超え、顕現せよ!!」
現れるは、振り切られたスピードメーターを持つデュランダル怪人『黒風』であった。
車輪剣を手渡し、バーンは告げる。
「我が配下よ。貴様の相手は真の貴様よ。今こそやつが捨てた|叛逆《革命》を示せ」
「私は……! |貴女《私》をと止める! 貴女《私》に準じた革命政府! 紫の兄弟! |貴女《私》を支えてくれた皆が残したものを!」
それが如何なる記憶であったのかを知る者は、彼女以外にいなかっただろう。
放たれる黒い暴風が『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』と激突する。
暴風と旋風。
その二つの激突は相反するようでいて袂を分かつものであった。
「私は止まらない」
「私の邪魔をさせない」
「私は、私の大切なものの為に戦うと決めた。なら」
「そのために何もかも捨てて良いわけじゃない」
撃ち合う刃と刃。
風と共に火花が散って、舞い散る。
「ごめん……ごめんね『エイプモンキー』くん……『ラビットバニー』ちゃん……! それでも|貴女《私》は……!」
「私を語るな。私は、私の意志で此処にいる。私を否定するな。私を肯定するな。それができるのは私だけだ。私の大事な友達のために戦う今を!」
「ヒャヒャヒャ! まるで二人芝居見てえだな!」
だが、と『嗤う剣ダイアモード』の剣閃が迸る。デュランダル怪人『黒風』の躯体を切り裂く衝撃波。
しかし、『黒風』はそれでも肉薄する。
旋風を吹き飛ばす暴風でもって。
嘗て胸に抱いたであろう最初の想いを持つがゆえに、成長をもたらさず。さりとて停滞であるわけでもなく。
歩み続けることを選んだ者の刃が掲げられrう。
「それでも、革命を……本逆を捨てちゃいけないんだー!!!」
放つ斬撃が『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』の体へと叩き込まれる。
それは嘗て在りし者の残滓。
嘗ての己を超えるということ。
歩み続けることだけが、それを為すというのならば、バーンは見上げた空にて激突する二つの風が奏でる剣戟の音を瞳伏せて聞くのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ワルルーナ・ティアーメル
これもしや怪物ども全員融合先に主導権取られているのでは…?
しかし、情報さえあればそやつらとそっくりな|悪魔《コピー》を創る事はできるかもしれぬが……そういう話ではないのであろうな
……ならば我にできるのは、貴様の願いを終わらせてやる事のみだ、故に、全力で行くぞ!!
奴の速度に対抗する武器は3つ!
1つ!突撃を待ち構えるように怠惰(やる気鈍化+眠り)と嫉妬(催眠で都合のいい幻覚を見せる)ブレスを噴く!
2つ、いつもの魔王結界!
3つ!激痛耐性で我慢し肉体改造で負傷を誤魔化し!
後は傷やリスク無視でUCを使い、同等の強化と飛び道具捕食を得て奴に食い下がり、近距離から残る全首からの属性複合ブレスを叩き込むぞ!!
『11の怪物』たちは、二柱を除き、その全てがオブリビオンと融合を果たしている。
しかし、その主導権めいたものは、全て融合を果たした者の側にあるようにワルルーナ・ティアーメル(百胎堕天竜魔王(自称)・f31435)には思えてならなかった。
『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』においてもそうだ。
嘗て『革命聖女ゼファー』と呼ばれ、スピード怪人としてオブリビオンとなった『ウインドゼファー』……彼女が融合した『ウシュムガル』の意志は感じられない。
あるのは力のみ。
圧倒的な超スピード。
目にも止まらず、そして、誰に求められない速度を持つ『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』は猟兵達のユーベルコードに消耗させられてなお、その速度を緩めることはなかった。
変わることのない速度。
それを前にワルルーナは驚嘆するしかない。
「しかし、情報さえあれば奴らとそっくりな|悪魔《コピー》を創ることはできるかもしれぬが……そういう話ではないのであろうな」
『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』の目的が友である二人のオブリビオンを蘇生することであるのならば、ワルルーナにもできるのではないかと思ったのだ。
けれど、コピーでは意味がない。
その願いの本質を知るからこそ、ワルルーナは頭を振る。
それは己が叶えられることない願い。
故に、彼女は求めているのだろう。多くの『11の怪物』を、『エリクシル』を。
「……ならば、我にできるのは、貴様の願いを終わらせてやる事のみだ。故に、全力で行くぞ!」
「望むところ! 私は止まらない! 私は必ず、二人を!」
『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』の放つ竜巻が勢いをましてワルルーナへと迫る。
その一撃は圧倒的な速度でもってワルルーナを吹き飛ばさんとしている。
だが、ワルルーナもまた負けるつもりはなかった。
怠惰と嫉妬のブレスを解き放つ。しかし、それは竜巻の巻き上げる風によって届かなかった。舞い上がるブレス。勢いで完全に押し負けていると理解できてしまう。
ならば、と張り巡らせた魔王結界すら打ち砕かれた。。
「ぬぅ……!」
「ヒャヒャヒャ! そんなんで防げるものかよ! こいつの顔を見ろよ! いい顔してんだろうが! こんな顔したやつが負けるものかよ!」
『嗤う剣ダイアモード』の哄笑が迸る。
だが、ワルルーナは止まらなかった。痛みは無視できる。己の肉体を改造しながら傷を誤魔化しながらワルルーナは飛び込む。
「私の、邪魔は、させない!」
「……ならば、我は答えよう。その本気に。その心意気に。その想いに!」
ワルルーナの瞳がユーベルコードに輝く。
嫉妬の力によって、ワルルーナは『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』と同様の超スピードを得て、並走する。
並び立つようにして走る姿に『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』は目を見開く。
己の速度域に到達する猟兵がいるとは思わなかったのだ。
だが、現にワルルーナは追走どころか、兵装して見せているのだ。
「凄まじい速度だ! だが!」
さらにワルルーナは憤怒の力によって己の力を強化し、さらに放たれる竜巻を下半身の竜たちの顎でもって噛み砕き、捕食する。
暴食後からでもって強化を取り込み、さらには回復してみせたワルルーナは、謂わば、大罪の百胎堕天竜魔王ver.1(ハイパーワルルーナソノイチ)!
みなぎる力に寄って体のあちこちから、誤魔化していた傷跡より血が噴出する。
だが、構わなかった。
「貴様の願いは世界そのものを破壊する。それは捨て置けぬ。他の多くの願う者がいる故な……! これが我の全力だ!」
受け取るが良い、と三魔将の力を束ねたブレスが『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』の願いを砕くようにして戦場に吹き荒れた――。
大成功
🔵🔵🔵
ハロ・シエラ
ウィンドゼファー……また戦う事になるとは。
あなたとの戦いで思い付いた技は重宝していますが、お礼を言っている状況ではありませんね。
とにかく相手は疾い。
目よりも【第六感】に頼らざるを得ないでしょう。
こちらは動かず、周囲の大気の流れに集中しながら敵の攻撃を待ちます。
敵の武器も剣、今ならきっと斬りかかって来るはず。
それを第六感で察知して回避し【カウンター】で斬り返します。
ただ、これだけ速く動かれると深く斬り込むのは難しいでしょう。
当てるのが精一杯かも知れません。
なので【全力魔法】のユーベルコードで敵に魔力を流し込み、爆発で追撃します。
二撃目が来る前に済ませられるかは【瞬間思考力】頼みですね。
「『ウインドゼファー』……また戦うことになるとは」
ハロ・シエラ(ソード&ダガー・f13966)は嘗ての戦いを胸にて反芻する。
スピード怪人『ウインドゼファー』。
その速度は圧倒的であったが、『11の怪物』、『ウシュムガル』と融合を果たした『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』の速度は、さらにそれを上回るものだった。
「あなたとの戦いで思いついた技は重宝していますが、お礼を言っている状況ではありませんね」
暴風吹き荒れる戦場。
それは『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』が超スピードでもって戦場を駆け抜けているがゆえに生まれる余波だった。
「猟兵は排除する。私の願いを妨げる者だから!」
「ヒャヒャヒャ! その通りだぜ。そのためにやらなければならねえことはわかっているよなあ!」
「倒す! 完膚なきまでに!」
血潮をほとばしらせ、赤い宝石の破片を撒き散らしながらも『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』はハロに迫っていた。
傷をどれだけ負うのだとしても関係なかった。
速度はまるで落ちていない。ハロは動きを止める。次の瞬間には、『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』の一撃が己に叩き込まれるだろう。
わかっている。
だからこそ、彼女は第六感に頼る。
暴風吹き荒れる戦場の大気は乱れに乱れている。集中は、長く保つものではないし、悠長にコンセントレートを高める暇もない。
故に彼女は一瞬に全てを賭けた。
明滅する光を見た。
それは『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』の放つ剣の一撃。
『エリクシル』によって強化された暴風の如き一撃をハロは己の体を切り裂く一瞬に身を捩りながら、手にした刃を降るう。
カウンターを狙っていた。
だが、身に刻まれる痛みはそれが完全になし得なかったことを示していた。
強烈な痛みと共に血潮が迸る。
当てることしかできない。それでもハロは構わなかった。ただ一撃。たった一撃。それだけでよかったのだ。
己の初撃は、一度外すと二度と当たらない。
故に彼女はカウンターという方策を取り、されど身を切り裂く一撃に顔を歪めることはなかった。
踏み込む。
ただそれだけの意志でもって彼女は手にした剣の切っ先を『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』へと叩き込む。
「浅い!」
「ヒャヒャヒャ! これで……!」
「いいえ、これは、オマケです!」
ハロの瞳がユーベルコードに輝く。全力の一撃。身に宿る魔力の全てを『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』へと叩き込む。
それは、ハロの全て。
叩き込まれた魔力は『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』の内部で膨れ上がっていく。
「体内で、魔力が、暴れて……!?」
「こいつあ……まさか! 二撃目が本命だっていうのかよ!」
「そうです、如何なる城塞も内部よりの一撃を前に陥落(ダウン・イン・フレイム)する他無い。故に」
友のためにと願った『ウシュムガル・ザ・ウインドゼファー』の想いをこそハロの一撃は砕く。
炸裂する魔力は爆発を引き起こし、願いと想いを砕く。
それは願いの残滓をも打ち砕く力。
「ああ、その願いは決してエゴと卑下されるべきものではないでしょう」
そう告げ、ハロは砕けゆくエリクシルの破片と共に霧散する絢爛たる旋風を見上げ、送るのだった――。
大成功
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