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エンドブレイカーの戦い⑱〜ザ・リア充ブレイカー(違)

#エンドブレイカー! #エンドブレイカーの戦い #楽園組曲ハーティタウン #クサリク・ジ・エンドブレイカー! #アウィン

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●この話を聞いて似たような発想に至る者は他にいると思いたい
 最強の力を持った|勇者《ラズワルド》がいた。彼は未来を見通す事はできたが、それを変える力を持たず、そのため最強の力を有していながら世界の危機に対して立ち上がる事をしなかった。既に滅びの運命が見えていたからだ。
 だがその時、|ひとりの少年《アウィン》が勇者に問いかけた。
「それを決めたのは、誰なのですか?」
 そして勇者と少年は他5人の勇者たちとともに滅びの運命に立ち向かうも勇者と仲間たちは敵の虜となって人類に敵対する事となり、帰還した少年には自らと同じ力、すなわち未来を変える力を持つ者を増やす役割を与えられた。そしてアウィンの力と意思を受け継ぐものたちが滅びの未来を変え、6人の勇者たちの中でラズワルドのみが生還を果たす事となった。
 ここまでが巷間伝えられている物語だ。だが、よもやこの話に怒りを持つ者がいるとは誰が思っただろうか。しかも、それは討伐されたマスカレイド側の視点ではないのだ。

「なるほど理解した」
 グリモアベースにて、不破・静武(人間の非モテの味方・f37639)は怒りに燃えた目を猟兵たちに向けた。
「つまり今回はそのアウィンとか言う腐れリア充をぶっ殺せばいいわけだな!」
 違う。即座に総ツッコミが入った。
 改めてになるが今回の敵は11の怪物の一柱『クサリク』だ。体内に大量のエリクシルを保有するクサリクはその力をもって大地母神を葬りさろうとしていたのだが、それを予知したアウィンがいかなる手段を持ってか復活し、クサリクの力を封じているのだ。猟兵たちが攻撃するなら今こそまさにチャンス、なのだが……。
「でもねえ。そのアウィンてのが、むちゃくちゃ重婚してるっていうじゃないか!どう見てもリア充の権化だろう!」
 まあ、そうらしい。というのもアウィンには自身の力を多くの者に継がせる使命があったわけで。で、その最善の方法は、結局いっぱい子供をこさえる事なわけだ。あとはわかるな?で今回、アウィンと一緒にそのいっぱいいる奥さんたちも一緒に復活したらしいということで……。
「やっぱり討伐すべきじゃないか!」
 違う、違うのだ!違うのだッッッ!!

 今回本当に討伐すべき方であるクサリクの能力は以下の3種類だ。
 【ライフイレイザー】は極大威力の知的生命体抹殺光線なるじつにストレートな光線を放つものだ。極大威力と豪語するぐらいだから直撃すれば最悪グリモアベース即送還の可能性だってあるだろう。攻撃後はアウィンによって動きが一時的に封じられるらしいのでこちらの攻撃のチャンスだが、そのためにはこの極悪な攻撃を全力で防御なり回避なりしなくてはなるまい。
 【バビロニアンドラゴン】はエリクシルの力で巨竜を召喚し、それに騎乗するというものだ。クサリクが巨竜に乗った状態では高速移動に加えて攻撃が万物破壊属性とかいう実にわかりやすい属性を持つらしい。万物破壊というぐらいだから直撃すれば最悪グリモアベース即送還の可能性だってあるだろう(2回目)。アウィンがわずかな隙を作ってくれるらしいが、それまでは自力で持ちこたえねばなるまい。
 【エンドブレイカーブレイカー】は、自身の力を制限しているアウィンの力を弱めるためにアウィンに対して特効の力を持つ槍を創造するものだ。仮にアウィンの力が弱まったら大量のエリクシルが出現してしまう。そうなる前に槍をどうにかしなければなるまい。幸いにも槍をどうにかできれば防げるらしいが、そう簡単に壊せる槍でもないだろう。それでも破壊を狙うか、他に方法があるのか。

「とりあえず言える事は、その腐れリア充は」
 その言い方やめろ。猟兵の総ツッコミが入った。
「……アウィンってやつは復活した理由も方法もわからないらしいんで助ける事はできないらしいから、もう気にせず全力で攻撃するしかないらしいね。だからきみたちはがんばって腐れリア充をぶっ殺してくれ!」
 いやだからぶっ殺すべきはアウィンじゃなくてクサリクの方ですから。
「それを決めたのは、誰なのですか?」

 ……なんか最悪の引用が為されたような気がした。

「……まークサリクってやつもたぶん腐れリア充なんだろう!なんかえらそうだし、名前からして腐リクだし!ともあれリア充をぶっ殺してくれ!頼んだ!」
 なんか多少の不安(とりわけグリモア猟兵の精神面において)はなくはないけれど、ともあれ猟兵たちはあくまでクサリクの方を倒すべく、エンドブレイカー世界へと向かうのだった。


らあめそまそ
 らあめそまそです。戦争シナリオをお送りいたします。
 今回のシナリオにはプレイングボーナスが存在し、これをプレイングに取り入れる事で判定が有利になります(というより取り入れなければ勝てないと思っていただいた方が良いかと)。

 プレイングボーナス……真っ向勝負で倒す。

 グリモア猟兵も述べておりましたが、今回の戦いではアウィンを救出することはできないらしいです。またクサリクの動きを封じるので手一杯なので何か質問に答える事もないと思われます。クサリク打倒に全力を尽くしていただければ良いかと考えます。
 それでは皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『クサリク・ジ・エンドブレイカー』

POW   :    ライフイレイザー
自身の【体表面に露出させたエリクシル 】から極大威力の【知的生命体抹殺光線】を放つ。使用後は【アウィンがガッツで動きを封じた】状態となり、一定時間行動できない。
SPD   :    バビロニアンドラゴン
【エリクシルの巨竜 】を召喚する。騎乗すると【アウィンが僅かな隙を作る時以外は無敵】状態となり、【万物破壊】属性とレベル×5km/hの移動力を得る。
WIZ   :    エンドブレイカーブレイカー
【自身の体内 】から、対象の【アウィンの力を弱めエリクシル軍団を放つ】という願いを叶える【アウィン殺しの槍】を創造する。[アウィン殺しの槍]をうまく使わないと願いは叶わない。

イラスト:波留川

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

アイ・リスパー
「ふっ、知的生命体を抹殺する光線ですか。ならば!
オベイロン、パワードスーツモードに変形です!」

機動戦車オベイロンをパワードスーツとして装着します。
そう、オベイロンは知能はありますが、あくまで機械!
生命体ではないので光線は効かないはずです!

敵は光線を撃った直後は行動不能なようですから、そのまま一気にレーザーガトリング、ミサイルランチャー、大型荷電粒子砲で押し切りますよ!
真正面からオベイロンの強さを見せてあげましょう!

『アイの論理で防げるか疑問を感じますので、EMフィールドを全開にして全力防御しておきましょう。光線というくらいですから、レーザーを減衰させる効果も持つフィールドで弱められるはずです』



●知的生命体の範囲
『……グゴゴゴ……』
 水陸両用の機動戦車オベイロンIIIを伴い【楽園組曲ハーティタウン】に足を踏み入れたアイ・リスパー(|電脳の天使《ドジっ娘電脳魔術師》・f07909)の前に、早速クサリクが現れた。クサリクは実にストレート極まりない名前の必殺技【知的生命体抹殺光線】を使う相手だ。わかりやすい名前なだけにその威力も計り知れないだろう。だがアイは自信ありげな笑みを浮かべた。
「ふっ、知的生命体を抹殺する光線ですか」
『アイ、何か考えがあるのですか』
「要するに生命体じゃなければいいのです!」
 オベイロンに搭載された同名のサポートAIの問いに、アイは胸を張って答えた。
「ならば!オベイロン、パワードスーツモードに変形です!」
『了解。変形します』
 機動戦車オベイロンIIIは変形する事でアイの全身に装着され、体長約3mのパワードスーツとなるのだ。アイの狙いは自らの身ではなくパワードスーツをもって光線を受け止める事であった。
「そう、オベイロンは知能はありますが、あくまで機械!生命体ではないので光線は効かないはずです!」
『……確かに理屈としては正しいですが』
 自信満々に言い放つアイに、だがオベイロンは異議を唱えた。
『本当に機械は生命体でないと言えるのでしょうか?例えばウォーマシンとか』
 スペースシップワールドにルーツを持つ、ロボットでありながら知能を持ち人権も認められている『種族』の名を挙げた。言われてアイも思い出すことがあった。
「そういえば最近も何やらバイクっぽい機械が種族として認められてましたね」
『ライドキャリバーですね』
 これらの『種族』が知的生命体抹殺光線をくらったらどうなるのだろうか?むろん、じゃあ試しにくらってくれ、とはなかなか言いづらいが、そうなった場合少なくとも筆者の世界では普通に通じるような気がした。実例を挙げられてはアイもさすがに逡巡した……が。
「オベイロンはきっと大丈夫です!私が大丈夫って言ったら大丈夫なんです!」
『……わかりました』
 それでもアイは断言した。そこまではっきりと断言されたら、さすがにオベイロンに反論の余地はない。改めてオベイロンを装着したアイはクサリクに相対した。
『……そのような鎧ごときで我の必殺光線が防げると思うたか!』
 クサリクの一部が光り輝くのがはっきりと見える。例の光線の合図だろう。
『アイ、来ます』
「受けきったらすかさず反撃です!用意はいいですね!」
『はい、全武装使用可能です』
 そして凶悪極まりない光線が発射され、巨大な光がアイを飲み込んでいった。

『やったか!』
 勝利を確信したクサリクだったが、爆風のむこうからは傷一つないパワードスーツが現れた。これにはクサリクも驚愕した。
『……ば、馬鹿な!』
 猟兵というやつは今クサリクの動きを止めているアウィンとかいうやつと同じくらいに理屈も道理も通らぬというのか。対してアイは当然と言わんばかりの満面の笑顔でオベイロンに指示を出した。
「思ったとおりでした!私はこの通りピンピンしています!オベイロン!反撃です!真正面からオベイロンの強さを見せてあげましょう!」
『了解。全武装フルバースト』
 アイの指示で、動きが止まったクサリクにレーザーガトリング、ミサイルランチャー、大型荷電粒子砲が次々に撃ち込まれた。

(……どうやら、うまくいったようですね)
 内心、オベイロンは安堵していた。アイには黙っていたが、実はオベイロンがこっそりEMフィールドを全開にして光線を防御していたのだ。なにせオベイロンの装甲が抜かれたら中にいるアイも危ないのである。それは主人を守るためには当然の判断であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

四王天・燦
全員おっぱいでけえなオイ
いい趣味してんぜ

将を射るにはまず馬からってことで稲荷符から火属性攻撃×範囲攻撃で爆裂火球をぶっ放すよ
巨竜の翼か足を損傷させて機動性を落としておく

ブレスかエリクシル弾か分からんが、初動を見切って残像出して攪乱しながらダッシュ・ジャンプで避けるのみ
万物破壊の名に物怖じせず落ち着いて対処する
只の過剰威力攻撃だ

良い感じに土煙上がって目潰し効果が効いてきたら納刀して力溜め
視界が通らば、体幹崩す為に適当に暴れてくれとアウィン達に頼むぜ
一瞬で上等
【断理の剣】で巨竜諸共クサリクを斬り捨ててやる

嫁さんたちだけ助けたかったが上手くいかないだろうなぁ
愛があるならあの世でハーレムしていてくんろ



●剣の道そしてそれぞれの道
 クサリクの中にいるのはアウィンだけではない。何百人といるらしいアウィンの妻たちもまたクサリクを止めるべくこれと融合しており、そんな妻たちの姿が入れ代わり立ち代わりクサリクの表面に出てきているのを見て、四王天・燦(|月夜の翼《ルナ・ウォーカー》・f04448)はつぶやいた。
「全員おっぱいでけえなオイ、いい趣味してんぜ」
 たしかにイラスト見ると、ちょうど表に出てる女性はグラマラスな人ばかりであるようだ。実際の所、アウィンは未来を変える力は持っていたものの、それを実行するだけの戦闘力を持っていなかったそうな。一方で妻たちは戦闘力が高い人がそろっていたという話があるので、俗にいう『おねしょた』というものの構図に当てはめるならスタイルいい女性の方が似合ってはいるのかもしれない……むろん、それはあくまで典型例の話なので、もっとつつしまやかなスタイルの娘さんだっていたのかもしれないが。ちなみに本当にどうでもいい事だが燦自身はつつしまやかな方であるようだ。
『グゴゴゴ……新手か……今度はぬからぬぞ』
「おっと、こんな事言ってる場合じゃなかったぜ」
 クサリクが燦の姿を認め、エリクシルの巨竜を召喚した。それに飛び乗るのを見て、燦はお手製の霊符『四王稲荷符・桃華絢爛』を構えた。巨竜に乗ったクサリクは攻撃面では万物破壊、防御面では無敵、しかも動作は俊敏と、はっきり言って反則だ。時間が経てばアウィンがその力を封じてくれるらしいのでその時が狙い目だが、それまでは燦は自力でどうにか耐えなければならない。
『行くぞ、我の攻撃に耐えられるものなら耐えてみろ』
 燦は巨竜の攻撃を予測した。まずはその巨体そのものが質量兵器として十分に機能するだろう。また竜というならブレス攻撃が来てもおかしくあるまい。あるいはエリクシル弾かもしれないが、いずれにせよ恐るべき威力である事は想像に難くない。
「じゃま、将を射るにはまず馬からってことで!」
 まずは近接戦を防ぐことからだ。燦の手にした符から巨大な爆裂火球がぶっ放され、巨竜の足を襲った。多少なりとも機動力を奪う事ができただろうか。あとはとにかく間合いを離すべく、燦は走った。むろん敵の動きを観察する事は忘れない。大切なのは万物破壊の名に物怖じせず落ち着いて対処する事だ。そして燦は確かに見た。巨竜が大きく口を開け、その中に光るものがある事を。
「……来る!」
 万物破壊属性を持つ光のブレスが燦目掛けて飛んできた。だが燦はそれを冷静に回避すると、土煙を上げつつさらにダッシュの速度を上げた。土煙に残像が反射し、疑似的な分身効果となって巨竜の目をごまかしてくれた。
「当たりさえしなければ、只の過剰威力攻撃だ……さて、そろそろかな」
 十分に時間は稼いだ。アウィンの力が巨竜に作用してくれる頃だろう。燦は刀を納めて静かに闘気と妖力を溜める。
(体幹崩す為に適当に暴れてくれ、一瞬で上等だ)
 内心でつぶやきつつ、その時を待つ……そして土煙が晴れ、視界が開けた時、巨竜はその動きを止めていた。燦は刀に手をかけた。
「此れなるは森羅万象、即ち理を断つ剣。御狐・燦の全霊を込めて……」
 その技の名は【四王活殺剣『断理の剣』・未完成】。いまだ燦自身の中では満足する領域に達していない必殺剣だ……が、それでもなお世の理に対して、それを決めたのは、誰なのですか?と突きつける事ぐらいはできる。
「――斬る!」
 狙いすました斬撃波の一閃は、距離も力も関係ないとばかりに巨竜とクサリクを両断していた。

「嫁さんたちだけ助けたかったが……」
 それは女の子を救う事が宿業である燦らしい感慨であった。だが妻たちとてアウィンを残して自分たちだけ助かる事は望むまい。結局燦はこう結論づけるしかなかった。
「全部終わったら、愛があるならあの世でハーレムしていてくんろ」
 だが、まだクサリクは健在だ。そうなるにはいま少し、時間がかかりそうではあった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

夜刀神・鏡介
……なにやら一部で色々と大変な事になっているような気はするが。そこは一旦置いといて
とにかく、やるべき事は明確だ。真正面から戦って、クサリクを倒す。それだけだろう

利剣を抜いてクサリクと相対。まずは少し距離を取って回避に注力しつつ、相手の動きを確かめるところから
特に殺人光線だか抹殺光線については要確認。エリクシルが露出してから光線が放たれるまでの時間、光線自体の速度や射程などを把握しておこう

とはいえあまり時間をかけてアウィンに負担をかけるのもなんだし、早めに攻撃に移ろう
射線を定めづらくする為にできるだけ至近距離に取り付き、一撃離脱で細かく削っていく
念の為、アウィン達には当たらないよう注意しておくぞ



●同じ技は二度も通じぬ 今やこれは常識
 愛用の利剣【清祓】の準備をしつつ、戦いに際してグリモアベースで行われたブリーフィングの様子を思い出し、夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)はつぶやいた。
「……なにやら一部で色々と大変な事になっているような気はするが……」
 たしかに、重大な戦いに際してあれだけ変な方向にハッスルしてるグリモア猟兵はそうはいないような気はする。鏡介とはある意味において対極にある人物ということなのだろうか。ただ、少なくとも今この時点であまり気にしてもしょうがないようには思えた。
「そこは一旦置いといて、とにかく、やるべき事は明確だ」
 重要なのはグリモア猟兵の人柄ではなく、それがもたらした情報だ。とにかくクサリクは強いらしい。それはもう、反則的な程に。ただその強さを打ち破る助力が存在するという情報は与えられた。あとはそこを突くだけだ。そのために鏡介がすべきことは……。
「真正面から戦って、クサリクを倒す。それだけだろう」
 利剣を鞘に納め、鏡介はつぶやいた。彼がすべきことは、まさにそれであった。

『グゴゴゴ……来たな猟兵』
 緒戦で受けたダメージは決して小さくはないが、それでもクサリクの戦意はまだまだ軒昂だ。
『今度こそ、我の知的生命体抹殺光線で葬ってくれよう』
 現れた鏡介を前にクサリクは意気込んだ。先ほど必殺光線を防いだ猟兵は何やら分厚い鎧を着こんでいたが、軍装姿の鏡介にそのような防具の着用は認められない。ならばそんな布切れ程度で極大威力の光線が防げるはずはない。そう見込んでいた。
 クサリクから距離を取り、鏡介は利剣を抜いた。そして戦闘の方針を改めて脳内で反芻する。
(当たりさえしなければ、大丈夫だ)
 むろん光線を防御できるとは思っていない。鏡介の選択は全力での回避だった。それに必要なのは情報だ。相手の動き、エリクシルが露出してから光線が放たれるまでの時間、光線自体の速度や射程などについては先刻の猟兵の戦いをチェックする事で、大体の把握はできていた。あと必要なのは実戦でのすり合わせだ。
(そのためには一度俺自身の目で殺人光線だか抹殺光線を確認しなければならない)
『来ないのか?ならばこちらから行くぞ』
 相手が間合いを詰めてこないと見てクサリクは光線の発射体制に入った。鏡介はタイミングを脳内で計り、慎重にその時を待つ。そして、その時が来た。巨大な光線が飛んできたのだ。
「……見えた!」
 全力の回避で即グリモアベース送還を免れると、鏡介は一気に間合いを詰めた。光線を発射した事でクサリクはアウィンのガッツによる行動阻害を受けている。攻撃するなら今がチャンスだ……が。
『小癪な!距離を開け過ぎたようだな!』
 鏡介の剣がクサリクを捉えるより早く、クサリクはアウィンの妨害をはじき返し、その動きを取り戻していた。必殺の一撃を回避すると、すぐさまクサリクは再度の光線発射準備に入る。だがそれは鏡介にとっても計算の範疇だった。間合いを離したのも、攻撃のチャンスを一度逃すリスクを負ってでも、可能な限り安全に直に光線を見る事を重視したためであった。
「お前の光線についてはだいたいわかった。もはや当たる事はない」
『ほざくがよい!』
 鏡介はクサリクの至近距離を取ると、細かい斬撃を当てては離脱しての一撃離脱を繰り返した。アウィンの妨害がない状況では大したダメージにはならないが、クサリクの光線の狙いを外す効果はある。そしてこれ以上アウィンに負担をかけるわけにはいかないため、次の攻撃を確実に当てられる距離を選んだのであった。
『ちっ、おのれ!』
 鏡介の動きに苛立ったクサリクは至近距離で殺人光線を撃ち込んだが、これは明らかに『撃たされた』光線になってしまった。既に一度見ていた事もあり、鏡介はやすやすとこれを回避すると、アウィンによって再度動きが止められたクサリクに急接近した。
「勝負を焦ったようだな……我が太刀は流れる水にして、鏡の如く――捌の型【水鏡:流】!」
 それは本来は敵の動きを誘い、それに対応して先々の先を決める剣技だった。今回は先々の先ではなく後の先の形にはなったが、必殺の一撃はアウィンをうまい事避けるように的確にクサリクの急所を捉えたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

イリスフィーナ・シェフィールド
グリモア猟兵様、錯乱してるように見えましたがお疲れなのですね。
エンドブレイカー世界に次から次へと厄介なオブビリオンやエリクシルが現れてるからでしょうか。
敵を処して憂いを晴らしてあげないといけませね(おおっと勘違い)

……ハーレムどう思うかですか?
凄いと思いますわ、複数の方とお付き合いして皆満足させるなんて。
やむえぬ理由で義務的関係とかもあるかもしれませんけど。
わたくしは自分一人を見てくれる方が良いですわね。

抹殺光線とは名称は凄いですが攻撃力高いだけで付随効果はないようですわね。
シルバリオン・アーマーで防御後反撃しようと思いますわ。
一定時間行動できなくなるようなのでボコボコに叩きのめしましょう。



●たぶんアウィンはそれができる子だとは思う
「グリモア猟兵様、錯乱してるように見えましたが……」
 エンドブレイカー世界に転移される前のグリモア猟兵の様子を思い浮かべ、イリスフィーナ・シェフィールド(女神様の巫女兼|スーパーヒロイン《承認欲求の塊》・f39772)は思わずつぶやいた。
「きっとお疲れなのですね。エンドブレイカー世界に次から次へと厄介なオブビリオンやエリクシルが現れてるからでしょうか」
 仮に本人にそれを伝えたならば果たしてどう反応するだろうか。「そんなことはない、ボクはあくまで真面目だ」と言い張るか。それとも「い、いや、そうなんだよ疲れてたんだよ心配してくれてありがとうハハハ」か。それとも他の何かか。正直筆者にも判断がつきかねるところであった。ともあれ、イリスフィーナの出した結論はこれだった。
「敵を処して憂いを晴らしてあげないといけませんね」
 ええ子や。実にええ子や……まあ、とんでもない勘違いから来てる事ではあるんだけど。

 で、グリモア猟兵がぶち切れてたアウィンについて思う事といえば。
「ハーレムは……凄いと思いますわ、複数の方とお付き合いして皆満足させるなんて」
 これは確かにそうだ。というのも、一夫多妻制な制度は世界中にあるけど、おそらくハーレム(ハレム)という言葉の原点(本来は『禁じられた(場所)』という意味で女性の居室を指す言葉らしい)となったイスラム教においては「妻全員を平等に愛する事」という規定があるのだ。日本の大奥みたく、正妻と側妻と愛人が夫の寵を争って骨肉の争いをしたりは……たぶんないんじゃないかな。
「やむえぬ理由で義務的関係とかもあるかもしれませんけど」
 それは難しい所である。とりあえずアウィンについて言うなら、あのグリモア猟兵は嫉妬するほどにうらやましがってはいたけど、子作りはエンドブレイカーを増やすための義務っていう面もあったから、もしかしたら望まぬ相手ともという事はあったかもしれない、が、まあ、基本的にはこうして世界の危機に時間も空間も世の理も全部ぶっとぱして駆けつけてくれたほどにはいい子だし、完全に義務的な相手はいなかった……と思いたい。我らが家光公とかもね。まあ本人に聞けることじゃないし、聞いたところで回答できるような状況じゃないけど。
「わたくしは自分一人を見てくれる方が良いですわね」
 それはそれとして、特に子作りの義務を負っているわけではない現代の人間としては、イリスフィーナの考えは、もっとも多数派なものではあっただろう。

 なんてことを考えつつ進むイリスフィーナの前に、ついにそれは現れた。
『……グゴゴゴ……来たな猟兵め』
 相当のダメージを負ったとはいえ、いまだクサリクは健在だ。その攻撃力や防御力はほぼ万全のまま残っており一点の陰りすら見せていない。必殺の一撃は直撃すれば即猟兵を戦闘不能にして強制送還にもっていくことができるだろう。だがイリスフィーナは真っ向からこの強敵に対峙した。それどころか。
「来なさい化け物!その抹殺光線とやらを撃ってみなさいな!」
 必殺の一撃を受けきると堂々と宣言したのである。これにはクサリクも怒りを見せた。
『小賢しい真似を!その傲慢、地獄で後悔させてやろう!』
 そして極大威力の【|知的生命体抹殺光線《ライフイレイザー》】が発射された。しかしイリスフィーナとて全くの勝算なくこれを受けるわけではない。
(抹殺光線とは名称は凄いですが攻撃力高いだけで付随効果はないようですわね)
 そう。確かにそれは食らった者にバッドステータスを付随させることのない純粋なダメージ技である。なのでダメージを防げても追加効果でひどい目にあう事はない。ならば純粋にダメージのみをカットする技を使えば良いのだ。
「絶対防御っ、シルバリオン・アーマーですわっ」
 イリスフィーナの全身が銀色のオーラで覆われた。機動力を完全に捨てて防御力に全振りする技だ。そして超威力の光線がイリスフィーナに直撃する……轟音と閃光、大爆発。
『やったか!?』
 歓声を上げたクサリク……だが、その笑顔はすぐに凍り付いた。爆風のむこうから無傷のイリスフィーナが出てきたのだ。最強の矛と最強の盾のぶつかり合いは、今日は盾の勝利だったようだ。
「今度はこっちの番ですわ!」
 そしてクサリクの動きはアウィンのガッツで封じられ、両手剣を持って突っ込んできたイリスフィーナの攻撃を防ぐことあたわずボコボコにされるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アリス・セカンドカラー
転送前に静武さんにおねだりしてエネルギー充填をしたいところ。私は元気溌剌になる、静武さんは|賢者《リア充》になれる、Win-Winでしょ?ダメ?
|転送されるやいなや《高速詠唱早業先制攻撃》|カートゥーン《継戦能力》属性の|マイクロブラックホール《大食い、重量攻撃、多重詠唱拠点構築結界術》に|変身《化術》よ♪私自身がエレメンタル・ファンタジアになってみたわ✩
重力圏に捉えたアウィン殺しの槍は事象の地平面に|吸い込みましょう《かばう》。
ところでブラックホールの先は異世界に繋がってるらしいので、クサリクをアウィンの嫁として|異世界転生な自然現象《化術肉体改造召喚術で萌擬人化》をですね?



●そう簡単に属性を変えるわけにはいかないという何者かの意志力
 グリモアベースより転送されるに先立ち、アリス・セカンドカラー(不可思議な腐敗の|混沌魔術師《ケイオト》艶魔少女・f05202)はグリモア猟兵に何やらおねだりをしていた。
「ねえ、これから戦いになるわけでしょ?だからその前に『エネルギーの充填』がしたいのよね」
「え?エネルギー?」
「そ。それで、静武さんに手伝ってもらいたいんだけど」
「……手伝い?うん、ボクにできる事なら、やぶさかじゃあないけど、何をすれば?」
「ふふ、それは……」
 何やら薄笑いを浮かべつつグリモア猟兵に迫るアリス。ちなみにアリスは他者に寄生しそのエナジーを糧に生きるサイキックヴァンパイアであり、他者に快楽を与えて代償としてエナジーをもらう存在だそうだ。つまりは、だ。
「私は元気溌剌になる、静武さんは|賢者《リア充》になれる、Win-Winでしょ?」
「り、|賢者《リア充》……そ、それってつまり……」
「……ダメ?」
 アリスは女の子と男の娘が『好物』らしいが、実は中年のおっさんもいけるらしい。で、はっきり言ってそっち方面に免疫のない40代後半がこんな風に迫られて抵抗できるはずが……。
「え、え、えっと……ふ、ふ、ふおおおおおおおおッッッ」
 ……残念ながらグリモア猟兵にはちょっと免疫がなさすぎたようだ。なんやかやの想像力を働かせすぎたのか、七孔噴血して床に倒れ伏したのであった。それは、そう簡単にリア充にはせんぞというなにかしらの強い意思であろうか。
「……んもう」
 この結末にちょっとぷんむくれのアリス。この後、どこまで『エネルギー充填』をしたのかは、わっふるわっふると書いても出ては来ません。

 ともあれエンドブレイカー世界に降り立ったアリス。目の前には既にクサリクがいた。
『やはりこのアウィンとかいう化け物をどうにかするのが先なようだな』
 これまでクサリクは猟兵に対して後れを取っていた。それは猟兵たちがクサリクの攻撃に対して巧妙にかつ真っ向勝負で立ち回った事も大きかったが、それと同じくらいにアウィンがクサリクの動きを封じ、致命的な隙を作りだしている事も非常に重要であった。そもアウィンがいなければ、クサリクはとうの昔にエリクシルの力で大地母神を討ち取り戦いを勝利で終えていたはずなのだ。
『ならばこの【エンドブレイカーブレイカー】でこいつの力を弱めてくれよう!』
 クサリクが体内から取り出したのは一本の禍々しき槍。アウィンに対して特効の力を持つ槍をもってすれば、アウィンを殺すところまでいかなくとも、クサリクを拘束する力を弱める事はできるだろう。そうなったらクサリクの体内より大量のエリクシルが発生してしまい、猟兵たちは危機に陥ってしまうだろう。
「残念だけどそうはいかないわね」
 エンドブレイカー世界に到着した時点でアリスはその姿を変えていた。真っ黒な体を宇宙空間としたら、その中にちらばる光点の数々は夜空に輝く星であろうか。その光点で目鼻口を形作られているその姿は、カートゥーンのキャラクターのようにも見えた。
『な、なんだこいつは!?』
「|属性《アリス》な|自然現象《私》、それは|『夜』《デモン》。世界を構成する|現象《エレメンタル》。彩るは|幻想《ファンタジア》」
 それはアリス自体が世界と化して超常現象を起こすというとんでもない技であった。そしてマイクロブラックホールと化したアリスはクサリクの持つ『アウィン殺しの槍』をシュワルツシルト半径の範囲内におさめ、事象の地平面に吸い込んでいった。
『ぬうっ!?おのれ!』
 さらに、アリスの狙いはこれだけではなかった。クサリクをもブラックホールに吸い込んでしまう事を狙っていたのである。
「ブラックホールの先は異世界に繋がってるらしいので、クサリクをアウィンの嫁として萌擬人化して異世界転生な自然現象を……」
 だが。
「……それは、やめてください」
 クサリク封じに全力を傾けているために外部の動きに反応できないはずのアウィンが、はっきりと言った。
「さすがにそれを嫁にするのは、ちょっと」
 同様に、アウィンの嫁たちも拒絶反応をありありと示している。
「あら、残念ねえ」
 そこまで言われてはさすがにアリスも案をひっこめないわけにはいかなかった。まあ槍は封じ、自分の役割は果たした。戦果としては十分であろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルミネラ・ジェムジェム
アドリブ連携歓迎

ちくしょう、よりにもよってちちのでかい女ばっかり侍らせやがって……。
ぼくへの当てつけかっ、そうなのか!敵だ!ほろぼせーっ。

でもぼく弱いしな……このまま知的生命体抹殺光線食らって死ぬしな……。
あ、なんか全部いやになってきた。視界におっぱいちらつくし……ウッ(手首カーンカーン)

!この光は!?URオブリビオンフォーミュラ確定演出の光!?
こい!真っ向勝負であいつらをボコボコにしてくれるフォーミュラこい!
ヴァルギリオスとかスーパー戦車とか!ここオブリビオンいないから張角だけはやめて!
アウィンと奥さんたちの幸運もオールイン!いけーっ!
(召喚対象・戦闘内容はすべてお任せ。ガチャガチャ……)



●花京院の「魂」も賭けよう
 クサリクの体の表面に出ては消えていく女性たちの姿。彼女らは皆、エンドブレイカーの祖たるアウィンに嫁ぎ、エンドブレイカーの力を後世に受け継ぐ多くの子を産み育て、長い年月ののちに大魔女を打倒するためのいわば礎となった、まぎれもない英雄たちだ。普通はそういう観点で彼女ら、そしてアウィンを見るものだが、時としてまったく違った観点で彼らを見る者が存在する……例えば今回猟兵たちを導いたグリモア猟兵のように。そしてここにもひとり。
「ちくしょう、よりにもよってちちのでかい女ばっかり侍らせやがって……」
 そういえばつい先刻もルミネラ・ジェムジェム(身体はガチャで出来ている・f41085)と似たような事を考えた者はいたようだが、怨念の成分は明らかにルミネラの方が強いように見えた。
「ぼくへの当てつけかっ、そうなのかッッッ」
 つまりはルミネラもグラマラスな女性に嫉妬の感情を抱くような、そういう体型なわけだ。まあまだ13歳だしこれから成長期が来るかもしれないという望みがなくはないが、生来の後ろ向きな性格に加え、戦場という空気も相まってか、今はそこまでの事を考えられる余裕はちょっとないようだ。
「敵だ!ほろぼせーっ」
 ただどこぞのグリモア猟兵と違い、その戦意はどうやらクサリクに向かってくれたようだ。まあリア充飲み込んでるからリア充と一緒に滅ぼそうぐらいの気持ちなのかもしれないけど。

「でも……」
 と、意気込んでクサリクに相対したルミネラだったが。
『……グゴゴゴ……鉱石の肉体だろうと我が光線の前には無力だ!』
「だよね、ぼく弱いしな……」
 すぐに弱気になってしまった。ルミネラはクリスタリアンだ。体を作る材質は人間とは違えど知的生命体には変わりはなく、クサリクの必殺技『知的生命体抹殺光線』をまともに受ければ即グリモアベース送還となるのも一緒である。
 そこで問題だ!どうやってあの攻撃をかわすか?3択!ひとつだけ選びなさい。答え1・2は略。答え3:かわせない。現実は非情である。
「……答え3……このまま知的生命体抹殺光線食らって死ぬしな……あ、なんか全部いやになってきた。視界におっぱいちらつくし……」
 無意識のうちにルミネラはノミとハンマーを握りしめると、リストカット、ならぬロックカットをしていた。カーンカーンと音がするたびに手首が傷つけられ、鉱石のかけらが地に零れ落ちる。だがその時。
「!この光は!?」
 地面に落ちたルミネラのかけらから光が放たれ、それが魔法陣を構成したのだ。しかもこの光り方は……。
「……URオブリビオンフォーミュラ確定演出の光!?たたたたた単発でフェス限!??!?????!?」
 ルミネラはただのクリスタリアンではない。その体はなんとブルーアルカディアで召喚系ユーベルコードを使う時の媒体となる召喚石で構成されていたのだ。そして単発で最高レアが出るというのは、その手のゲームをやった事ある方ならいかにうらやましい事なのかおわかりであろう。というか裏山鹿根すぎる。しかし本当に重要なのはここからだ。
「こい!真っ向勝負であいつらをボコボコにしてくれるフォーミュラこい!ヴァルギリオスとかスーパー戦車とか!ここオブリビオンいないから張角だけはやめて!」
 確かに呼ばれたのが張角だったら、仮に配下のオブリビオンが一緒だったとしても知的生命体抹殺光線の前に配下もろともまとめて潰されかねない。ここが幸運の使いどころだ。そう、ルミネラだけでなく、ここにいる者全員の幸運の……。
「アウィンと奥さんたちの幸運もオールイン!いけーっ!」
 幸いにもアウィンたちはクサリクを封じるのに精いっぱいでこの言葉は聞こえなかったようだ。そして出てきたのは……。

『ギャーッハッハッハッ!』
 超巨体。漆黒の鎧。胸にはめ込まれた大穴のような装置。そしてこの嘲るような高笑い。
「く、クライング・ジェネシス!?」
『な、なんだこいつは!?』
 かの『アースクライシス2019』のラスボスの登場に、ルミネラとクサリクがそれぞれのやり方で驚愕を表した。
『なんだテメェ?俺とやろうってのか?』
『生意気な!いかな巨体といえど、我の必殺光線に耐える術はなし!』
 ガンを飛ばすクライング・ジェネシスに対し、クサリクは知的生命体抹殺光線をクライング・ジェネシスに叩き込んだ……が。
『無駄無駄ぁ!俺が最強のオブリビオン・フォーミュラだ!ギャーッハッハッハ!』
 あまりにあっさり、それは弾き飛ばされた。そして動作不能となったクサリクに、クライング・ジェネシスの胸部に装着された『骸の海発射装置』より発生したオブリビオン軍団が一斉に襲い掛かったのだった。
「……だ、大丈夫かな、これ」
 あまりの惨状にさすがに唖然としたルミネラだったが、おそらくユーベルコードの効果が切れるとともにクライング・ジェネシスもオブリビオン軍団も消えるから大丈夫でしょう、たぶん。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エドゥアルト・ルーデル
殺してやる…殺してやるぞアウィン!!
誰が決めたかって?拙者がそう判断した

どうでもよくないクサリクなんて?!いや…貴様もリア充の一部なのか?
なんてこった敵しかいねぇ、もう防御も回避も一切捨てて銃弾を叩き込み続けるしかない
当然【抹殺光線】なんか耐えられないので残念拙者の冒険はここで終わってしまった!…と思うじゃん?

即その場復活でござる!地獄から帰ってきたぜ!残念だったな|凌駕《リスポーン》だヨ
貴様らを殺しつくすまで何度でも還ってくる、拙者がそう決めた
これが拙者の|意志《ガッツ》でござる

どんなに|苦しくても《リア充を見せられても》|や《殺》り遂げる
死んでも
死んだ後も
これはお前らが始めた戦争だろ?



●踏まれた花の名前も知らずに
「殺してやる…殺してやるぞアウィン!!」
 やはりあのグリモア猟兵の案内で戦場に来たからには、エドゥアルト・ルーデル(黒髭・f10354)のような反応をする者はもっといてもいい。ちなみに幸いな事にアウィンはクサリクの力を封じるのに精いっぱいでエドゥアルトの言葉は届いていないので、すさまじい顔をしながら飲んでいたコーヒーを吐き出すような事はなかった。
「あれはリア充だ。それを決めたのは誰なのですか、って?拙者がそう判断した」
 じゃあしょうがねえや。少なくともグリモア猟兵はおもいっきり同意するだろうし、今回参加した猟兵の中にも幾人かは同意する人もいるだろう。ただ一応今回倒すべき派アウィンじゃなくって……。
「どうでもよくないクサリクなんて?!」
 おお。グリモア猟兵でさえ一応クサリクは倒すべき相手だって認めたというのに。そこを完全に否定するとは、さすがに肝が据わっていると言えばいいのだろうか。たださすがにそれだと赤丸3個になってしまうので、一応妥協案(?)は提示してくれたようだ。
「いや…貴様もリア充の一部なのか?」
 |リア充《アウィン》を含んでいるからにはリア充の一部である。よって打倒すべき。割とこの論理使ってた人は見受けられたかもしれない。まあなにはともあれやる気になってくれたならば何より……と、思っていたのだが。
「なんてこった敵しかいねぇ、もう防御も回避も一切捨てて銃弾を叩き込み続けるしかない!リア充は爆発しろぉ!」
 エドゥアルトの選んだ手段はクサリクにひたすらに機関銃を撃ち込む事であった。むろん、そのような無策な攻撃がクサリクに通るはずはない。
『なにをわけのわからんことをほざくか!我が知的生命体抹殺光線でその口きけぬようにしてくれるわ!』
 クサリクの必殺の光線が一閃すると、エドゥアルトの体はあっという間に消滅した。おそらく死神がまたかという顔をしてエドゥアルトを迎えてくれたことであろう。ざんねん!!せっしゃの ぼうけんは これで おわってしまった!!
『……そうだ、普通はこうなのだ!これまでこれが通じなかった猟兵がおかしいのだ!』
 ようやっと得た勝利に、歓喜というよりは安堵の方が先に立つような顔を見せたクサリク。だが、その喜びはすぐに打ち砕かれる事になる。

「せっしゃこそ しんの ゆうしゃだ!」
『!!??』
「地獄から帰ってきたぜ!」

 まさかまさか。たった今消滅したばかりのエドゥアルトがすぐさま現れたのだ。
『猟兵!我が殺したんじゃ!?』
「残念だったな、トリック……もとい|凌駕《リスポーン》だよ」
 それは瀕死になるとすぐに復活する凄まじいユーベルコードであった。瀕死というより完全に死んでるよね、というツッコミは入りそうだが、いんだよ細けえ事は。あれだ。一応真っ向勝負を挑んだという事でプレイングボーナスという名の幸運があったのだろう。たぶんね。
「貴様らを殺しつくすまで拙者は何度でも還ってくる!」
『馬鹿な……オブリビオンでも無い者が、どうやって蘇ったというのだ!?エンドブレイカーといえど、猟兵とやらといえど、そんな力は無い筈だ!』
 さすがにこれにはクサリクも愕然とした。対称的にエドゥアルトは傲然と胸を張った。
「それを決めたのは誰なのですかって?拙者がそう決めた!これが拙者の|意思《ガッツ》でござる!」
 そう。振り向かず歩くのさ。猟兵には無限の力がある。何度でも試すのさ。
『……理屈も道理も通らぬ化け物め!』
 アウィンの妨害を振り払い、クサリクは再度殺人光線を放つが、やはりエドゥアルトは死んだそばから復活し、アウィンによって動きを止められたクサリクに銃弾を叩き込む。あとはこの繰り返しであった。勝敗を左右するのはもはや戦闘力ではない。精神、|意思《ガッツ》だった。

 11の怪物は世界を求め その代償はエリクシルが支払った
 そのツケを払う方法はひとつしかない
 その行いが報われる日まで進み続けるんだ 死んでも 死んだ後も

「これはお前らが始めた戦争だろ?」

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴァニス・メアツ
案内の方にツッコミ入れてたらそれだけで終わりそうだ
その内エンパイアの将軍に喧嘩売りそうですねあの人

で、クサリク本体も竜の如きシルエットなのに竜に騎乗、と
絵面凄い上に無敵なのは狡い

幸い戦場は都市国家
スカイランナーは捕まらない
対空戦とばかりに立体機動力を見せ付けながら攻撃を避けつつ隙生じるの待ちましょう

始祖アウィン、貴方の…いえ、ラズワルド始めとした勇者達の献身のお陰でこの世界が今ここにある
御照覧あれ、貴方の子孫たる私達の戦いを!

向けるは大魔女との戦い往時より愛用する紫煙銃
UC発動
|気合《GUTS》を篭めてぶっ放つ
これが私の全力全霊!
精も根も尽きるまで、全て注ぎ込んで怪物に一矢喰らわせましょう



●偉大なる始祖の前で
 ヴァニス・メアツ(佳月兎・f38963)はエンドブレイカー世界のもともとの住人として、かの大魔女スリーピング・ビューティとの一連の戦いを戦い抜いてきた。戦場が他世界にまで広がった今もエンドブレイカー世界での活動が中心ではあるが、時たま他世界に足をのばして元の世界で磨いたスカイランナーとしての腕を存分に発揮しているようだ。
 な、ものだから、今回案内してくれたグリモア猟兵には思うところが大だったようで。
「案内の方にツッコミ入れてたらそれだけで終わりそうだ」
 まあ、アウィンは全てのエンドブレイカーの祖であり、同時に遠い先祖でもあるわけで。当然ヴァニスもアウィンの血を引いている。で、アウィンの何百人といる妻の中のひとり(あるいは複数)もまたアウィンに繋がっていると思えば、先祖に対してあれだけ悪し様に言われる事は決して気分の良い事ではないだろう。まあ、先祖でなくなって普通はいい気分はしないものだ。正直300字使ってグリモア猟兵に全力でのツッコミを入れる光景もかなり興味深いものはあるが、まあそれはまた次の機会にという事になるだろう。今はそんな事よりも大事な事があった。
「その内エンパイアの将軍に喧嘩売りそうですね、あの人」
 それは……売る気がする。間違いなく売る気がする。

『……グゴゴゴ……これ以上の不覚は取らぬ!来るが良い猟兵とやら!』
 度重なる猟兵との激闘でクサリクのダメージは大きい。だが油断する事はできない。今のクサリクは瀕死の獣ではない。むしろ手負いの虎として猟兵を待ち構えている。
「クサリク本体も竜の如きシルエットなのに竜に騎乗ですか」
 |エリクシルの巨竜《バビロニアンドラゴン》に騎乗するクサリク。それはまさに異形ではあるが、それがゆえの迫力、威圧感は群を抜いていた。そしてそれだけではない。
「絵面凄い上に無敵なのは狡いですね」
 ヴァニスはグリモア猟兵の言葉から必要な部分のみを取り出して脳内で反芻した。巨竜に乗ったクサリクは攻撃は万物破壊、防御は無敵、さらに機動力まであるという。狡いとしか言いようのない性能であった。だが付け入る隙はあった。
「幸いにも戦場は都市国家」
 戦場は『楽園組曲ハーティタウン』なる、スリーピング・ビューティとの戦いの後で復興された都市国家だった。闘いに先立ち住民は全て避難しているが、星霊建築による建造物は全て残されている。すなわち、都市における軽業に熟達したスカイランナーにとってはまさにホームグラウンドである。スカイランナーにとっての都市国家はクサリクにとっての巨竜に等しいのだ。かつての戦いよりずっと愛用している紫煙銃を握りしめ、ヴァニスはクサリクに対峙した。
「ずいぶんと荒ぶってますね、私がお相手しましょう」
『なめるな若造!ひねり潰してくれる!』
 万物破壊属性の巨竜の突進がヴァニスを襲う。しかし力任せの攻撃など都市国家のスカイランナーを捕らえられる道理はない。立体機動力を見せつけながら建物から建物に身軽に移動しつつ、超一流の闘牛士のごとくに華麗に苛烈きわまる攻撃を回避していった。巨竜はブレスを吐くも、これも当たらない。
「スカイランナーは捕まりませんよ」
『なるほど、貴様のからくりはどうやら建物にあるようだな』
 とはいえ、そこはさすがに11の怪物だ。どうやらヴァニスの得意分野を見抜いたらしい。
『ならばこのあたり一帯を更地にしてくれる!それなら自慢の足も活かせまい!』
「……どうやら脳筋ではなかったようですね」
 これにはさすがにヴァニスも内心焦りを生じた。破壊された建物は戦後に星霊建築の力ですぐに復興するだろう。だがスカイランナーとしてはこれをやられるとちょっと困る。平地でもその脚力は活かせないでもないが……。建物が全て破壊されるのが先か、アウィンの力が発揮されるのが先か。
「始祖アウィン」
 自らに気合を入れるように、全ての始まりであり、そして今もなおクサリクの中でその動きを必死で封じてくれている偉大な先祖に、ヴァニスは呼びかけた。
「貴方の…いえ、ラズワルド始めとした勇者達の献身のお陰でこの世界が今ここにあります。御照覧あれ、貴方の子孫たる私達の戦いを!」
 その時であった。クサリクの動きが、止まったのだ。
「……始祖アウィンよ!感謝します!」
 それは本当に偶然のタイミングに過ぎなかったのかもしれない。だが、自分の言葉がアウィンに届いたかのように、ヴァニスには感じられた。そしてヴァニスは紫煙銃を構え、|気合《GUTS》を篭めて引鉄をひいた。必殺の技【|塔《TOWER》の|崩壊《DEMOLITION》】。
「壊れぬ存在などありえない……これが私の全力全霊!」
 ありったけの精神力を込めた強大な魔力の奔流がクサリクに叩き込まれる。明らかに限界を超えた精神力が体の奥底から引き出されたような気がしたのは、始祖の前だったからだろうか。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カナギ・アマツカグラ
らあめそまそマスターにおまかせします。かっこいいカナギ・アマツカグラをお願いします!

『ボクに何か出来ることはあるかな?』

 神楽巫女のアビリティを中心に使って戦うよ!
 まずは神楽巫女のアビリティ「バルカンの詔」でLv体のバルカンを呼び寄せて護衛を頼むよ!あとは神降ろしで自己強化したり、各アビリティで回復とかも出来るよ!


 UCは指定した物を。アビリティや武器はご自由にご使用ください。多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



●ユーベルコードじゃなくてアイテムで作る発想はなかった
 カナギ・アマツカグラ(扇の神楽巫女・f39117)の姓のアマツカグラといえば、エンドブレイカー世界における都市国家のひとつ『霊峰天舞アマツカグラ』を想定させるものであるが、まさにカナギはエンドブレイカー世界で女神『火那山津見神』……現在では亡き『此華咲夜若津姫』と同一のものである事がほぼ確実視されている……に仕える神楽巫女であった。なおカナギはエルフであるが、いかなる経緯でエルフがアマツカグラに赴き火那山津見神を信仰する事になったのかはなかなか気になるところである。またその姓も、基本的に『永遠の森エルフヘイム』に多く住むとされるエルフにアマツカグラという姓があったのか、もとは違う姓だったけど神楽巫女になった、あるいは志した時点でアマツカグラを名乗る事にしたのか。もしかして妖精騎士の寝所なる所で後天的にエルフになったのか……いろいろ興味深いが、そのあたりはいずれ語られるものと期待しよう。それよりも、だ。
「アマツカグラの|神楽巫女《カンナギ》として、世界の危機は放ってはおけないよ!」
 今最も重要なのはこれだ。カナギはエンドブレイカー、すなわち今まさにクサリクの内部で戦っているアウィンの遠い子孫なのだ。遠い先祖のため、この世界のため、何ができるかと考えた結果、気が付いたらこの場所に駆け付けていたのだった。
「火那山津見神様!御先祖様!ボクの戦いぶり、見ていてください!」

『グゴゴゴ……戦況は不利か、それは認めねばなるまい』
 クサリクは苦しんでいた。当然だろう。体内のアウィンによって動きが大いに制限され、そこを猟兵たちに突かれる形で多大なるダメージを受けていたのだ。いかな強敵といえど、弱点を攻められ続ければいつかは倒れるのだ。
『……やはり、まずはこの厄介な化け物を処理するのが先決か』
 自らの力を封じているアウィンの|意思《ガッツ》を少しでも削るのが先決と、クサリクは体内から【|アウィン殺しの槍《エンドブレイカーブレイカー》】を取り出した。とにかくアウィンの力を抑える事ができれば、体内に蓄えられたエリクシルを放出する事ができる。そうなれば今の苦境は一挙に覆されるだろう。まさに逆転の一手だ。だが、その槍がアウィンを突き刺そうとした、まさにその時であった。
「バルカン!やっちゃえ!」『にゃー!』
 握られた槍に何十発もの火炎弾が叩き込まれた。その攻撃は槍そのものを破壊するには至らないようだが、クサリクの手を止める効果は確かにあった。
『ふん、エンドブレイカーか!それとも猟兵か?』
「両方だよ!」
 クサリクの視線の先に立っていたのは、尾の先に炎をともす黒猫のような星霊バルカンを100匹弱ほど伴ったカナギだった。瞬間、カナギは自分のなすべきことを悟っていた。あの槍は危険だ。なんとしても排除しなくてはならない。しかし今の様子だと、バルカンの火力では多少の時間稼ぎにしかならないようだ。槍そのもの、あるいは槍を持った手を破壊する事は難しいだろう。ならばとカナギは自らの体に神を降ろす。なおこの場合の神とはヒーローズアースの神々やカナギが信仰する火那山津見神等とは違う、『カミ』という一種のエネルギー体を指すらしい。
『まあなんだって良いわ!貴様は幸運だったな!破滅が訪れる瞬間を特等席で見る事ができるのだからな!』
「そうはさせないよ!」
 今度こそアウィンに槍を突き刺そうとするクサリクの前で、神を降ろしたカナギは体を激しく動かした。クサリクに突進するのではなく、まるで優雅なダンス、あるいは舞踏のような動き。それは信仰する神……今度は『カミ』ではない……に奉納するための舞であった。
「火那山津見神様、ボクに……御加護を!」
 そしてその舞は確かに誰かに届いた。クサリクの周囲を壮絶なる炎の渦が取り囲んだのだ。高速で旋回するは創世記の炎。それは火那山津見神こと此華咲夜若津姫が|棘《ソーン》に取り憑かれた時、抵抗の際に漏れ出た力の一端だとされている。神火大嵐舞……まさにそれは神の助けであった。
『……くっ、おのれ!邪魔な炎め!』
「……はぁ、はぁ、はぁ……でも、まだまだ!」
 必死で炎に抵抗するクサリク。だがカナギの疲労も頂点に達していた。だが疲労に負けて舞を止めた瞬間に炎は制御不能となり霧散してしまうだろう。クサリクが槍を失うのが先か、カナギの|意思《ガッツ》が尽きるのが先か……。

『……うわっ……ちいっ!』
 クサリクの手から槍が離れた。それは炎に巻かれ、いずこへと消えていった。ほぼ同時にカナギの動きも止まり、炎の渦は消滅した。そのまま地面に大の字となるも、カナギの顔はやり切った者の笑顔であった。
「……しゃあ!!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
戦闘能力は不足していた代わり、それ以外の様々な能力が凄まじかったのですねぇ。

『FAS』を使用し飛行、『FLS』の空間歪曲障壁と『FMS』のバリアを展開しまして。
『FPS』で相手の行動を探知、【抹殺光線】を放つタイミングで射線から外れる位置(エリクシルを露出させていない方向等)へ『FIS』で転移すれば、回避は可能でしょう。
そして、発射後の隙をつき【夐獮】を発動、飛行手段を召喚した「フロートボード」に切替え、各『毎秒Lv|哥《グロス》発』の攻撃回数強化を施した『FRS』『FSS』の[砲撃]と『FDS』の[爆撃]、『FAS』の羽弾に『FES』の魔力矢も併せ、一気に叩きますぅ。



●格上キラー
 太古の昔、大魔女スリーピング・ビューティを討伐に旅立った勇者はアウィンとラズワルドを含め四百名。うち、大魔女の城に辿り着いたのは七名。生還したのはアウィンひとり(のちにラズワルドも帰還したが)。戦闘力が七勇者、いや400勇者の中でも間違いなく最弱、それどころか一般人の中にあっても劣るレベルかもしれないアウィンが帰還したのはなんという運命のいたずらと言おうか。
「戦闘能力は不足していた代わり、それ以外の様々な能力が凄まじかったのですねぇ」
 夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)はアウィンをそう評した。確かにアウィンには唯一無二の力、エンドブレイカーとしての力があり、それが故に勇者たちが彼を生還させたのだ。そしてその力を後世に残す事に多くの女性たちが喜んで協力してくれたのは、間違いなくアウィンの人間的魅力によるもので、これもある間違いなく能力に入るだろう。そして今回の一件。正直こんな能力があるとは誰も思いもしなかったに違いない。まだ何か隠れているのだろうか、今後に期待……していいのかどうかはわからない。

 早速『FAS』で発生させた3対6枚の光の翼で戦場へと急行したるこるの前にクサリクが現れた。
『……グゴゴゴ……だが我の知的生命体抹殺光線の力には一点の陰りもないぞ』
 蓄積したダメージは大きいが、それでも当たれば一撃必殺の威力には変わりはないだろう。るこるの体は豊満だが、さすがにそれで防御力が増加することは……あるいはるこるならありうるかもしれないが、今回敵の必殺光線回避のために採用した手段はそれではなかった。
「FPS!FIS!発動ですぅ!」
 FPSは探知用の神器だ。これでクサリクが必殺の光線を発射する兆候や方向等を確認するのが目的であった。既にクサリクは発射準備を整えている……そして、来た。だが必殺の光線は空を切った。FPSで得た情報に基づき攻撃の方向……同時に攻撃が来ない方向を察知し、FISを用いた瞬間移動でそこに避難したのである。念のためFLSによる空間歪曲障壁とFMSによるバリアで防御を固めてはいたが、今回はそれに頼らねばならない事態は避けられたようだ。そして攻撃の反動で、クサリクの動きはアウィンによる妨害を受けたようだ。
「今こそ攻撃のチャンスですぅ!大いなる豊饒の女神の象徴せし欠片、その征討の理をここに!」
 るこるが発動させたユーベルコードは【|豊乳女神《チチガミサマ》の加護・|夐獮《トコシエノマキガリ》】というものであった。『夐』は『はるか』、『獮』は『狩』だ。すなわち『トコシエノマキガリ』とは『|永久《とこしえ》の巻狩り』ということになろうか。巻狩りとは勢子と呼ばれる者たちが動物を一か所に追い込み、そこを武士が矢を射かける狩猟の形態である。三国志における『許田の巻狩り』や、源頼朝が行った『富士の巻狩り』などが有名であろうか。そしてその能力は……説明するよりも実際にその効果を見てもらった方が速いであろう。
「やはり、狩りともなれば翼よりも乗り物に乗った方がそれらしいですねえ」
 大規模な狩猟において、古来の武者は馬に、近現代の者は四輪駆動車にと時代によって差異はあるが、やはり運転や騎乗しながら猟銃や弓を撃つのが正統なスタイルと言えた。で、るこるもその伝統にならったわけだが、選んだフロートボードは狩猟スタイルとしてちょっとレアかもしれないのはまあおいておこう。そしてFRS、FSS、FDS、FAS、FESといった遠距離攻撃の手段を持つ祭器を一気に出撃させた……この時、恐るべしはその攻撃回数だ。なんと毎秒LV×|哥《グロス》発である。念のため、1グロス=12ダース=144だ。すなわち毎分144×144=20736発!!そしてさらに恐ろしいのがこの一節だ。

『自身より【攻撃回数が少ないか、総Lv】が大きい(高い)敵への射程とダメージが増大する。』

 クサリクの攻撃回数は1回だ。なので当然攻撃回数はるこるを下回るだろう。ただ光線技の場合、多段ヒットするなら複数回攻撃に含まれるかもしれない。で、仮に知的生命体抹殺光線のヒット数がるこるの総攻撃回数を上回るとしても、一説によればボスキャラのLVは猟兵の最大レベルの倍だという。11の怪物級ならもっと上かもしれない。すなわち、るこるの攻撃力上昇はほぼ確実なのだ。
「全砲門、ふぁいやーですぅ!!」
 るこるの指示であっという間に祭器は動けぬクサリクを取り囲み、全方位からの猛攻を仕掛けた。それはまさに、巻狩りで一か所に追い詰められて矢を射かけられるあわれな獣の姿そのものであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

母理・愛美
|ミーム汚染《情報伝達》で“ママ”と認識させる|みんなの“ママ”《国民的スタア》
全肯定あまやかしでクサリクちゃんの|戦闘意欲《ガッツ》を盗み、アウィンちゃんが隙を作るまで耐え凌ぎましょう。“ママ”たるもの乱暴な子供を|あやす《おねだり、奉仕》のも慣れたものですから。
アウィンちゃんが隙を作ったらクサリクちゃんをよしよしぎゅーして依存させにいくわ。そして能力/経験/ユーベルコードを取り上げるわ、こんな危ない玩具で遊ぶにはやめましょうね?
クサリクちゃんが完全にオギャり始めたら精を喰らってとどめよ。



●あくまで一般論だと言い張ります
「あらあらうふふ」
 なんとなくだが母理・愛美(全肯定合法ロリママ妖狐・f41233)の登場シーンにおいてはこの言葉がもっとも相応しいような気がした。なんというか、称号からして、わかるっしょ?わかってくれ。100歳を超える妖狐とのことだが、とにかく目にした者に対して片端からママと名乗り甘やかそうとするらしい。しかも甘やかされた側もいつの間にか(場合によっては一目見た瞬間から)愛美の事をママと認識してしまうらしい。しかし世の中甘やかし系母親キャラといえばスタイルの良い女性が圧倒的な気もするのでこういうのはなかなかレアな部類かもしれない。あるいはろりきょも考えられるがそれなら紹介欄に明記がありそうなものだ。ただまあ愛美のこの行動はただの人類愛ではなく、甘やかした結果エナジー的なものを吸いとる目的があるらしいのだが。いったい全体愛美の100年を超える人(狐?)生で何があってこんな風になったのかは……まあ今後の報告待ちということで。

 ともあれ、愛美はクサリクの前に降り立ったわけだが。
『……グゴゴゴ……来たな猟兵とやら』
 死にかけてはいたが、そこはさすがに11の怪物の一柱である。常人とは違い、一目でミーム汚染をくらいバブみに堕ちるようなやわな精神はしていない。さっそく巨竜を召喚し、攻撃力防御力機動力の全てを超絶強化して情け容赦なく愛美を抹殺にかかった。一方、いかな巨大な相手であっても、愛美も母性だけならまったく負ける気はしていない。
「あらあら、クサリクちゃんは反抗期の中学生なのでちゅかねー」
『違う』
「それじゃあイヤイヤ期でちゅかー?困った赤ちゃんでちゅねー」
『ええい物狂いめ!もはや語る言葉すら惜しいわ!万物破壊してくれるわ!』
 ついに完全にぶち切れたクサリクは巨竜を駆って愛美目掛けて突撃してきた。見た目幼女な愛美との体格差は大人と子供などというレベルではない。まともにヒットどころか、わずかにその巨体をかすらせただけでも即グリモアベース送還となるような致命傷になりかねまい。
「おーよちよち、いいこでちゅねー」
 だがそこ愛美とてただのママではない。いかなる暴れ者であってもあやしてきた歴戦のママなのだ。育児は戦争だ。世界中で戦ってきた歴戦の傭兵も、子育て以上に大変な戦場はこの世にはなかったと言っているぐらいである。そんな戦場をおそらく何十年と生き抜いてきたのである……あれなんかおかしいな。ともあれママの愛は巨大ではない。無限なのだ。クサリクの猛烈な突進を、ブレスを、かわし、いなし、やり過ごしてきた。むろんそれはこの強大な敵に対してはもっとも有効な方法だ。いずれクサリクの中のアウィンがその動きを止めて隙を作ってくれるまでひたすら耐久する事。それはすなわち、怒り泣きじゃくり暴れる幼児が暴れ疲れて動けなくなるまで耐久するママの姿に似ているような似ていないような。
「いやいやしちゃ、めーでしょー。ママがよしよしして、いっぱいぎゅーってしてあげまちゅからねー」
『まだほざくか!だがいつまでもその虚勢が続くものか!……!?』
 ……先に動きを止めたのはクサリクの方であった。アウィンの力が働いたのである。
「さ~て……」
 身動き一つとれないアウィンに、ゆっくりと愛美は近づいていった。その顔は……あくまで慈愛に満ちた母親のものであった。そう、例え世界を終わらせんとする11の怪物であっても、愛美にとっては愛すべき我が子であり、全力をもってあまやかす対象なのだ……本当に何がどうなってこの領域に達したのかは今後の報告待ちということで(2回目)。ともあれ、クサリクの巨体に愛美は小さな体を抱き着かせた。最初は綿のようにふわりと、やがて温かく包み込むように、ぎゅーっと。
「よしよし、いいこでちゅねー、もうなーんにもかんがえなくてもいいんでちゅよー」
 その言葉は相手の心を砕き、能動的な思考を奪い去り、完全に愛美に依存させてしまう、あまりに危険きわまりないものだ。いずれ精神のみならず、身体能力や技能すら全て失い、完全なる赤子へと退行させてしまうだろう。そしてそのための最後の鍵となるものは……。

『……ええいやめんか!』
「あらん、残念だわねえ」
 時間切れであった。残念ながらクサリクを完全に堕とす前に、アウィンの妨害の効果が切れたようだ。
『そも我は完全なる魔物!子孫や仲間などいらない!頂点は常にひとつ!それがゆえに貴様の望む物はハナから手に入る事はありえんのだ!』
「あらん?なにがいいたいのかちょっとわからないわねぇ」
 ……もしかしたら単純に喰らうのは精神なのかもしれないしな!まあ今後の報告待ちということで(3回目)。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鹿村・トーゴ
慕った勇者に死ぬ限界まで種蒔き放浪が人生の使命、なんて言われたらりあ充ってゆーかシンドいよーな…
いくらルール無視能力持ちでも好き勝手と違うしなー

当たれば即死なら【視力、聞き耳】で敵の動向監視【追跡】
大威力なら多少の前動作があるはず
発動を【野生の勘】で察知
確か光線て基本は直進だよな
ありったけ【念動力】で敵本体僅かにでも押し向きズラして光線逸らし自分も【軽業】で躱し、敵の行動不可確認の前に【カウンターで投擲】するのはUCへ繋ぐ為棒手裏剣で【串刺し/暗殺】→UC→可能なら七葉隠で渾身の一撃

難儀な題目を律義に果たして、世界や子孫を徹底的に護るって腹を括った英雄のにーさんだ
助力は最大限活かすよ

アドリブ可



●それぞれの役割
 勇者たちが大魔女討伐の旅に出るきっかけを作り、それに同行し、結果としてただひとり(のちもうひとり)生還し、役割を背負う事になったアウィンについて、鹿村・トーゴ(鄙村の外忍・f14519)はこう称した。
「慕った勇者に死ぬ限界まで種蒔き放浪が人生の使命、なんて言われたらりあ充ってゆーかシンドいよーな……」
 種蒔き放浪って。言い方……と思ったけど、実際の所よくよく考えてみればれっきとした使命であり、自分を活かしてくれたラズワルドはじめとする勇者たちのためにも、世界のためにも、なんとしても成し遂げなければならない事であった。その重圧たるや、到底ひとりの少年に背負わせて良いものではない。また世界を救うために子孫を増やす事は、逆に言えば自身は生きて世界の平和を見る事ができないという事だ。そういった面の苦悩もあるいはあったかもしれない。到底リア充などと呼んでいいものではないわけだ。聞いてるかグリモア猟兵。
「いくらルール無視能力持ちでも好き勝手と違うしなー」
 これも存外重要な観点だ。アウィンはかつての自身の力のみで大魔女を倒す事はできず子孫に託すことになり、今はクサリクの力を封じてはくれているが、これを完全に滅ぼすには猟兵の助けを必要としている。それでもまあ、危機に際して自分に何かできるというのは、ある意味幸運な事なのかもしれず。
「難儀な題目を律義に果たして、世界や子孫を徹底的に護るって腹を括った英雄のにーさんだ。助力は最大限活かすよ」
 そしてそれはトーゴに関しても同じことであった。アウィンにはできない、クサリクを直接叩くという役割を果たせる猟兵として、こうして最前線に立っているわけである。

『……グゴゴゴ……』
 クサリクへのダメージの蓄積はかなりの総量に達している。それに伴い自らの内部にいるアウィンの妨害はさらに激しさを増している。それでもなお、いまだにクサリクの危険度合いについては減少する気配を見せていない。このあたりはさすがは11の怪物の一柱であろうか。
『我はまだ負けてはおらぬ……貴様ら全員我の必殺光線で葬り去ってくれるわ!』
「当たれば即死か……」
 むろんトーゴとて命中すれば即グリモアベース送還となる必殺の攻撃に対して気を抜くような事はまったくない。早速、事前に練って来た対策を脳内で繰り返した。
(大威力なら多少の前動作があるはずだよな)
 これはまああり得る話だ。例えばボクシングでノーモーションで撃つパンチのジャブはそれでダメージを与えるのではなく間合いを図るためのものであり、ストレート、アッパー、フックといった決め技になるパンチは腕のみでなく体全体を使うために必然的に見切られやすい。光線だってそうだろう。ノーモーションで大技が出せるならこれほどに恐ろしいものはない……あるいはボス級だとそういう事やる可能性だってなくはないのだが、合図的なものがあるならそれは見逃さないようにしたい。トーゴは五感をフルに使って敵を観察した。
(あとは……確か光線て基本は直進だよな)
 これもまあそうだろう。直進ということはその軌道から外れれば回避は可能ということだ。ただし、それには動くタイミングも重要になるだろう。光線が発射される前に動いたのでは相手は射撃の方向を変えてしまう。なるべく発射と同時に近づけるようなタイミングで高速移動しなくてはならない。遅れたらむろん死だ。あと直進というのも『基本は』とつけなければならない辛さはある。たまに光線曲げてくる奴もいなくはないのだ。まあそん時はそん時だと割り切るしかないだろう。
『死ねぇ!』
「なんとぉ!!」
 観察力と直感をフル稼働させて、トーゴは発射のタイミングとほぼ同時に動いた。思い切り飛びのくと同時に、攻撃が通じないとはいえ多少動かすぐらいは可能だろうと、渾身の念動力でクサリクの射線をずらせないかと試みる……確かに感じられた猛烈な熱気は、しかしトーゴの皮膚の一枚をわずかにあぶったにとどまった。同時に、アウィンがクサリクの動きを封じたのを確認する前に、トーゴは攻撃に移っていた。
「降りて隠形呼ぶ細声の糸を辿れや爪月の……」
 投擲されたそれはただの棒手裏剣のように見えた。だが狙い違わずクサリクに突き刺さったそれには禍言が込められており、強烈な毒針を正確に導くガイド、呼子の役割をするのだ。
「……追って貫け隠形鬼!」
 呼子に導かれて魔をも殺す毒針が急所に叩き込まれた。さらにとどめとばかりにトーゴは巨大な忍者刀を振り下ろす。それは深々とクサリクに突き刺さった……まるでトーゴの思いが中のアウィンに届けとばかりに。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フェリチェ・リーリエ
アウィンー!!死してなお大勢の奥さん連れて蘇ってくるとか非リアへの当て付けだべか!?
自分がとんだハーレム野郎の血を引いてると知った時は愕然としたけどもまさか猟兵になって戦場でアウィンハーレムを見せつけられる羽目になるとは…くっ、なんたる屈辱!許さんぞアウィン爆発しろ!ついでにクサルク(違)も爆発しとけ!

リア充爆破に槍なんぞ邪道!
パンプキンボムの蔓を伸ばしアウィン殺しの槍を【捕縛】、ほんの一瞬でも動きを止め槍を使われる前にひたすらパンプキンボムを投げつけ【部位破壊】で槍の破壊を狙う。
リア充ときたら爆破がセオリー、これが嫉妬戦士の真っ向勝負のやり方だべ!
アウィン巻き込むのは特に気にしない方向で。



●ぶれない姿勢
 エンドブレイカーの遠い先祖が自分たちを助けに来た。
 この事実に驚愕しつつも感謝の意を覚えない猟兵は通常存在しないだろう。とりわけエンドブレイカー世界に住んでおり、エンドブレイカーとして戦ってきた者たちにとっては。自分たちが今存在し、かの大魔女スリーピング・ビューティを滅ぼし世界を救い、そして今また猟兵としてエンドブレイカー世界や他世界で戦い続けられるのはみなアウィンのおかげだ。そして自分がアウィンの血を引いている事を誇りに思う……ものなのだが、世の中には確かに例外が存在した。
「アウィンー!!」
 例えばこのフェリチェ・リーリエ(嫉妬戦士さんじゅうはっさい・f39205)のような。アウィンの登場という大事件を聞き、まっさきに示した感情は怒りであった。
「死してなお大勢の奥さん連れて蘇ってくるとか非リアへの当て付けだべか!?」
 グリモア猟兵や一部の猟兵が聞いたら首が取れんとばかりに首の前後運動を繰り返した事であろう。
「自分がとんだハーレム野郎の血を引いてると知った時は愕然としたけども……」
 親の因果が子に報い、というが、リア充を憎む自身の先祖が超絶級のリア充であるという事実。嫉妬戦士としてはたしかに愕然とせざるをえまい。まあ子供だからといって親を尊敬しなければならないというものではなく、それがいわゆる毒親というやつならむしろ憎んだ方がいいのだ……とはいえよもやアウィンもそんな理由で憎まれる事になるとは思いもしなかっただろう。
「まさか猟兵になって戦場でアウィンハーレムを見せつけられる羽目になるとは……くっ、なんたる屈辱!」
 しかも本人だけではなく奥さんも一緒に来た!ちなみに今回は奥さんたちは単なる演出だけだが、他のクサリク戦ではちゃんと奥さんたちも役に立っているので無駄に来たわけではない……が、見せつけてるよね。うん、わかる、わかるぞ、とグリモア猟兵なら言うだろう。当然、嫉妬戦士としては、次に来る言葉は決まっていた。
「許さんぞアウィン爆発しろ!ついでにクサルクも爆発しとけ!」
 ……あ、腐るく、もといクサリクにも触れられてた。ついでとはいえメインターゲットを間違わなかったのはさすがはアウィンの子孫
「今度それ言うたらお前を爆破するべ」
 ……ごめんなさい。

 で、その腐るくもといクサリクは『アウィン殺しの槍』を手に、体内のアウィンを少しでも弱らせようとしていた。
『グゴゴゴ……我の傷は確かに浅くはない、が、それでも万全の力を取り戻す事ができれば、この程度の傷は問題などなくなるはずだ、そうなれば猟兵も大地母神もまとめて吹き飛ばしてくれよう!』
 フェリチェがぶれないのと同様、クサリクもなかなかどうしてぶれない。
「ちょっと待つだよ!」
 だがそこにストップをかけた者が現れた。むろんフェリチェだ。当然そんな事で止まるクサリクではない。
『ふん、猟兵とやらか。幸運だったな、この我が真の力を取り戻し、世界を滅ぼすさまを特等席で見られるのだからな!貴様が何をしようとアウィンとやらを我が倒す事を止める事などできぬ!』
「いや、倒してくれる事自体はおおいに歓迎なんだけど」
『何?』
 あまりに事もなげにとんでもない事を言うフェリチェに、さすがにクサリクも驚愕した。だがそこはフェリチェである。
「リア充爆破に槍なんぞ邪道!」
『……何?(2回目)』
 まあ確かにリア充は爆破するものであり、爆破する槍もたまにはなくはないだろうが、今回は普通にぶっ刺すものだったようで。ただクサリクとしては、お前は何を言ってるんだ、という目でフェリチェを見るのはまあ仕方のない流れではあった。
「こうやるだよ!」
 フェリチェは早速希少植物から瞬間的に生った大きなカボチャを【スーパーパンプキンボム】として連続投擲した。槍を使われる前に爆破してしまおうという狙いだ。ついでにカボチャの蔓を槍に伸ばして動きを抑えるという小技も使っているあたりは、ただのリア充死ねな勢いのみではないクレバーさも感じられる見事なものであった。
『貴様、アウィンとやらを殺したいのか救いたいのかどっちなんだ!?』
「だから爆破してるだよ!リア充ときたら爆破がセオリー、これが嫉妬戦士の真っ向勝負のやり方だべ!」
 まあ、一応建前としてはアウィンを巻き込む事を厭わずにクサリクを攻撃しているという事になるのだろうか。ともあれフェリチェの猛攻にクサリクはついに槍を手放し、そのまま槍は爆破されたのであった。
「……ちっ、中にいるアウィンまでは届かなかったべか……ま、また次の機会を待つだべ」
 そういやタイムパラドックスとかどうなるんだろう。まああまり深い事考えなくてもいいか。

大成功 🔵​🔵​🔵​

空桐・清導
POW
アドリブや連携も大歓迎だ

「ブレイザイン見参!
クサリク!アンタを倒しに来たヒーローだ!
そしてアウィン。アンタの覚悟を継ぐ者でもある!」
そう強く宣誓して[勇気]を滾らせる

「奴は強敵だ!こっちも切り札をきる!
いくぜ!ブレイザイン・ギガース!!」
見上げる程の機神が炎の中から出現!
放たれる抹殺光線を胸部から放たれる火焔光線で相殺する
そして、アウィン達が動きを止めてくれた瞬間、
炎から巨大な剛剣を創造する
「機神闘剣!ダイナミック・ギガント・ブレード!!」
構えると同時に[ジャンプ]して全力で振り下ろす!

「クサリク!覚悟!
超機必殺!ダイナミック・ブレイズ・フィニッシュ!」
[限界突破]した一刀でぶった斬る!



●最終回じゃないぞよ もうちっとだけ続くんじゃ
 空桐・清導(ブレイザイン・f28542)は全猟兵の中でももっとも多くクサリクと戦っているひとりであろう。その数なんと15回だ。一体何が清導をしてここまでのクサリクへの闘志を駆り立てるのかは大変興味深いところではある。大量のエリクシルを擁して一気に大地母神の首を取ろうとした危険なところか、攻撃防御機動力の三拍子がそろった超絶的な強者である事か、あるいはエンドブレイカーの始祖アウィンが時空を超えて助けに来てくれた事だろうか(清導はヒーローズアースの出身なのでアウィンの子孫の可能性はゼロではないにせよかなり少ないとは思うが)。いずれにせよ、清導はこの大敵に対し、今まさに16回目の戦いを挑もうとしているのであった。

『……グゴゴゴ……来たな猟兵とやら』
 清導と何度も戦っているクサリクではあるが、その特性上、このクサリクは今まで清導が戦ってきた同様の個体と同一怪物であって同一怪物ではない。すなわちこのクサリクにとっては清導は初対面の相手なのだ。一方、清導にとっては何度も戦った相手ではある、が。
(ちっ、何度戦っても、慣れるっていう事はねえな)
 その戦いの全てに持ち前の正義感と熱血魂をもって挑んでは来たが、実際その全ては激戦であり、全てを生き抜いてきたとはいえ、一歩間違えればグリモアベース強制送還となるほどの紙一重の勝負であっただろう。それでも清導はその魂の全てをクサリクにぶつけるのである。
「ブレイザイン見参!クサリク!アンタを倒しに来たヒーローだ!」
 強敵を前に勇気を振り絞り、堂々と名乗りを上げる。清導は軍人ではなくスーパーヒーローであり、古来よりヒーローの戦いは宣誓から始まるのだ。そしてもうひとつ。
「そしてアウィン。アンタの覚悟を継ぐ者でもある!」
 直系の子孫ではないかもしれない。だがアウィンは間違いなく多く(全て、ではなさそうだが)の猟兵にとって多大なる敬意を払うべき存在であり、それは清導にとってもなんら変わりのない事であった。
『生意気な!我が知的生命体抹殺光線を食らってもまだでかい口が叩けると思うてか!』
 早速必殺光線の準備に入るクサリク。一方で清導もまた戦闘準備を整える。
「奴は強敵だ!こっちも切り札をきる!いくぜ!炎を纏い、勇気は鋼となる!!『また』頼むぜ、ブレイザイン・ギガース!!」
 清導の全身が炎に包まれる。業火の中でブレイザインの姿が巨大になる……いや違う。それは清導が勇気の精神で作り出した巨大ロボだ。コックピットで操縦するタイプか、はたまたもとの鎧にかぶせるような形で装着するタイプか……いずれにせよ、正義が折れぬ限り、ブレイザイン・ギガースは無敵の力を発揮するのだ!
『見掛け倒しが!我が必殺光線を受けて鉄くずとなるが良い!』
「させるか!火焔光線!」
 両者が必殺の光線を発射したのはほぼ同時だった。強大なる破壊の奔流がブレイザイン・ギガースとクサリクのちょうど中央でぶつかり合い、余波を周囲にまき散らせながら押し合いとなる。
「うおおおおおおおお」
『無駄な悪あがきはよせ!』
 ブレイザイン・ギガースにクサリク、互いに相手を圧倒すべくさらに力を込めるが、過剰の力が一点に集中しているところにさらにパワーを送り込まれては安定する道理もなく、次の瞬間、両者を巻き込んで大爆発となった。
「……くっ!」
 爆発の余波に耐えるブレイザイン・ギガース。だが少なくとも敵の殺人光線を耐えきった事は事実だ。そして敵の方を見ると、アウィンの|魂《ガッツ》が働いたのか、その動きを完全に停止させていた。
「今こそチャンスだ!機神闘剣!ダイナミック・ギガント・ブレード!!」
 高々と上げた手に炎が集中して渦を巻き、それが消えた時、手には巨大な剛剣が握られていた。やはり巨大ロボットの最強武器は大剣というのが昔からの伝統である……というのはいささか偏った認識な気もするし、実際はビーム兵器の方が採用率高い気もするが、でもやはり剣は映えるのも確かだ。
「クサリク!覚悟!超機必殺!ダイナミック・ブレイズ・フィニッシュ!」
『お、おのれええええええ』
 勇気と正義を込めて全力でジャンプし、両手で構えた大剣を大上段に振り上げ、限界突破の一撃がクサリクの脳天に叩きつけられた。そしてクサリクに背を向け、ポーズを決めて剣を振り下ろした瞬間、クサリクの体は大爆発を起こしたのであった。

「……アウィン……ありがとうな、アンタの魂は、たしかにこの俺が受け継いだぜ」
 夕陽を浴びながら、|清導《ブレイザイン・ギガース》は改めて悪と戦い続ける事を誓ったのだった。世界に平和が訪れるその時まで!戦え清導!戦えブレイザイン・ギガース!

大成功 🔵​🔵​🔵​

リカルド・マスケラス
「あれがアウィンっすか。全てのエンドブレイカーの祖」
自分が猟兵になれたのも、あるエンドブレイカーの覚醒がきっかけみたいなもんすからね。今回はちょっとシリアスに行かせてもらうっすよ

「どもっすよー、アウィンさん。って言っても喋ってる余裕はないっすよね」
真の姿で少年のような姿で登場する
「ま、これは個人的なこの世界への恩返しみたいなもんっすから、聞き逃してもらっていいっすよ」
鎖鎌の分銅でクサリクを【捕縛】し【怪力】を引っ張って光線の方向をズラす。無理そうであれば、無生物であるアルタイルを自動【操縦】で呼び出し盾にする
「自分がこうしているのもエンドブレイカーがいたからっす」
一定時間高度いできなくなっているのであれば、【虚空弾】の超重力の一撃を叩き込む。鈍重なまでに重力を増幅させても、相手が動けないなら関係ない
「だから、ありがとう。それだけは言っておきたかったんすよ」

「そういえば、自己紹介がまだだったっすね。自分はリカルド。今はヒーローマスクをやってるっすよ。絶望でなく希望を届ける仮面であるために」



●ありがとう
 さてはじまりのエンドブレイカー、アウィンの此度の活動もそろそろ限界が近づいてきたようだ。それは言うまでもなく今回のクサリクの最期を意味するものである……が、おそらくクサリクが登場を続ける限り、アウィンもまた現れるのだろう。そんなアウィンの姿には猟兵ならば誰もが感服し、その志に心打たれるものであろう……一部の例外(例えばグリモア猟兵や参加者数名)をのぞいて。とりわけ彼の子孫であるエンドブレイカーたちはアウィンに対する敬意を新たにした事であろう(ごく一部の例外を除いてであるが)。だがリカルド・マスケラス(希望の|仮面《マスカレイド》・f12160)の場合は、事情は多少……いや、きわめて特殊であった。
「あれがアウィンっすか。全てのエンドブレイカーの祖」
 リカルドはエンドブレイカー世界の出身の猟兵であった。しかし彼はエンドブレイカーではない。それどころか、かつてはエンドブレイカーと敵対する立場……マスカレイドの仮面だったのだ。それが……。
「自分が猟兵になれたのも、あるエンドブレイカーの覚醒がきっかけみたいなもんすからね」
 とあるマスカレイドとなっていた者が解放され、エンドブレイカーとなった時、どういうわけだかその仮面は邪悪な役割から解放され、別の世界に転移していたのである。リカルドを名乗るようになった仮面は今やこうして猟兵としてかつて自らが邪悪を働いていた世界で正義を示している。なんという運命のいたずらであろうか。すなわち今リカルドがここにこうして存在しているのも、全てアウィンのおかげなのだ。
「今回はちょっとシリアスに行かせてもらうっすよ」
 ならばそういう心境になるのも当然の流れというものであった。

「どもっすよー、アウィンさん」
 戦場に現れたリカルドは日常生活におけるヒーローマスクがそうであるような、狐面のみが浮かんでいる形態ではなく、青い髪の少年に被られている姿をとっていた。
「……って言っても喋ってる余裕はないっすよね」
 アウィンはクサリクの動きをを最後の最後まで封じるために全力を尽くしている。リカルドの声に返事ができないのは当然としても、そも声が届いているかすら定かではない。
「ま、これは個人的なこの世界への恩返しみたいなもんっすから、聞き逃してもらっていいっすよ」
 それでもリカルドは呼びかけずにはいられなかった。大恩ある人物を前に、その思いの丈を告げずにはいられないのであった。代わりに答えた(?)のはクサリクであった。
『……グゴゴゴ……貴様、この我を前にしてその態度、不遜極まれり!』
 既に死に体とはいえ、その戦闘力および、見る者に恐怖を与える威圧感についてはいささかの衰えも感じさせない。で、あってもリカルドには恐れの気持ちは全くなかった。自分はひとりで戦っているのではない。エンドブレイカーの祖がついている。何より戦闘力そのものに乏しい身でありながら、時空を超えて助けに来たアウィンの前で、自分がみっともない姿を見せるわけにはいかないだろう。
「あ、そういえばあんたもいたっすね、すっかり忘れてたっす」
『ほざいたな!我が|知的生命体抹殺光線《ライフイレイザー》で塵も残さず抹殺してくれるわ!』
 人を喰ったようなリカルドの態度にクサリクはぶち切れた。表面に現れたエリクシルが光り輝く……必殺光線が、来る。
「今っす!」
 リカルドは鎖分銅を投げるとクサリクに絡みつかせると、体格に見合わぬ怪力で思い切り引っ張った。必殺光線の射線をずらすのが目的だった。
『馬鹿め!そのような浅知恵で我が光線の射線を変えられるとでも思うたか!』
 だがクサリクは体表のエリクシルの位置を変える事で照準を合わせてくる。ならばこの方法で射線をずらすとすれば、発射の瞬間に思い切り引っ張るしかない。だが、そのような事ができるのか……。
(……やるしかないっすよね)
 念のため、宇宙バイクのアルタイルを盾にした。知的生命体を抹殺する光線ならば、無生物には効かないだろうという判断だった。だが例えば対戦車兵器といっても人間に撃てば普通に効くし死ぬ。そういう類のネーミングだったらどうしようか。アルタイルが壊れるだけで済めばいいが、最悪貫通などされたらリカルド自身が危ない……。ならば、一瞬に賭けるしかない。全力を傾け、発射のタイミングを計るのだ。そして勇気をもって鎖を引く。目の前で今も奮闘しているアウィンのように。
『死ねぇ!』
「今っす!!」

 ……そして光線は狙いを大きく反らし、はるか空へと飛んでいった。

「……自分がこうしているのもエンドブレイカーがいたからっす」
 そしてアウィンのガッツによって動きを止めたクサリクに対し、リカルドは高重力の闇弾を手に一気に躍り掛かった。もてる力全てで作り出した【虚空弾】の重さはリカルド自身の動きをも制限させるものであったが、それでも動けない相手に叩きつけるだけと力を振り絞る。
「だから、これだけは言っておきたかったんすよ」
 自分を救ってくれた事に。こうして今生きて戦えている事に。そして、今もこうして助けてくれた事に。
「……ありがとう、って」
 周囲にクレーターを作り出すほどの強烈な一撃は、いかに11の怪物の一柱といえど、既に多大なダメージを受けた状態な上に、その力をアウィンに封じられていたは、さすがに耐える事はできなかった。
『……お……おのれ、この我が……』
 この戦場におけるクサリクの最期であった。そして既に他の戦場でも十分すぎるほど滅んでいる。もはや生き返る事はないだろう。

「そういえば、自己紹介がまだだったっすね」
 消えていくクサリクとともにその姿を消しつつあるアウィンに、改めてリカルドは語り掛けた。果たしてアウィンはどこに行くのだろうか。遥か太古の世界に帰るのだろうか。それとも、あの世とやらに行くのだろうか。
「自分はリカルド。今はヒーローマスクをやってるっすよ。絶望でなく希望を届ける仮面であるために」
「……」
 完全に消滅する間際、アウィンは確かに、微笑んでいた。
 そしてリカルドは、猟兵たちは、アウィンの最後の声を聴いたような気がした。

 僕はここに来て、みんなに会えて、本当に良かった、ありがとう……と。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年09月19日


挿絵イラスト