エンドブレイカーの戦い⑬〜灼熱閉ざす殺戮劇場
●破れ、灼熱の封殺領域
「御機嫌よう。各地で激戦の続くエンドブレイカーの戦い、集まってくれた皆に感謝を」
グリモアベースにある作戦会議室、招集に応じた猟兵たちをカタリナ・エスペランサ(閃風の舞手・f21100)は一礼で出迎えた。
大地母神を殺害し世界と猟兵達のつながりを絶たんとする|エリクシル《万能の魔神》の大攻勢。
主犯格に当たる『11の怪物』も序盤から大きく動く中、彼女が予知したのもその中の一柱――『ウガルルム・ザ・グランギニョール』との戦いであるとグリモア猟兵は告げる。
「相手は『11の怪物』ウガルルムと嘗ての“アルダワ魔王戦争”で存在を確認された戦略級殺人鬼『グラン・ギニョール』が合体した存在だ。純粋なスペックの高さ以外にも、特に気を付ける点が二つある」
一つ、敵はウガルルムの放つ「世界破壊の灼熱」に紛れて此方の五感を完全に封じた上で襲い掛かってくる点。
一つ、敵は主武装の「超重量・超破壊力のハンマー」と「無数に分裂し、無限に弾丸を放つ拳銃」の二形態を使いこなし自らに有利な間合いで攻め立ててくる点。
これらの要素を突破する事が36世界随一の暗殺者を撃破する為の鍵になるだろう。
例えば五感以外の感知能力、或いは知覚を封じられても戦える攻撃・防御手段。
此方の有利な間合いを相手に押し付ける、或いは遠近両方に対応可能な戦闘手段。
千差万別の手札が猟兵の強み、装備やユーベルコード等を活かせば勝機は掴めると有翼の人狼は指折り数える。
「あぁ、ちなみに五感の封じられる戦場だけど相手の声や表情はなんとなく察せそうだね。今回は」
敵の位置や挙動を直接探るといった戦闘面での恩恵こそ無いが、会話くらいは成立するようだ。グリモアパワー。
猟兵によっては――難易度は低くないだろうが――挑発や誘導等に間接的に活用できるかもしれない。
「今回も過酷な戦いになるけれど、キミたちの勝利と無事を祈っているよ」
常のように締め括ればグリモアが輝き、豪奢な装飾の施されたゲートが開いて。
ふーみー
当シナリオをご覧くださりありがとうございます、ふーみーです。
エンドブレイカーの戦い、今回は11の怪物『ウガルルム・ザ・グランギニョール』とのボス戦になります。
プレイングボーナスは『「世界破壊の灼熱」による五感の喪失に対処する』『敵の武器の形態変化に対応する』の二つ。
それでは皆様の健闘をお祈りしています。
第1章 ボス戦
『ウガルルム・ザ・グランギニョール』
|
POW : ウガルルム・リコシェ
【無数の拳銃】から発射した【致死量の「世界破壊の灼熱」を封入した銃弾】を、レベル回まで跳弾できる。跳弾回数に比例して命中率・致死率が向上。
SPD : ウガルルム殺戮劇場
【無数の拳銃の弾丸、または超重ハンマー】が近接範囲の対象に絶対命中する。元々の命中率が低いと威力減。
WIZ : ウガルルム・ハンマーインフェルノ
高速で旋回する【「世界破壊の灼熱」の渦】を召喚する。極めて強大な焼却攻撃だが、常に【ハンマーの回転】を捧げていないと制御不能に陥る。
イラスト:片吟ペン太
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●絶望織り成す三位一体
「ゴキゲン麗しゅう猟兵ども!!」
『飛んで火に入る夏の虫とはこの事だね』
「っつーかこれで勝率が|五分《フィフティ》割るとか可笑しいだろ! 連邦の猟兵は化け物か?」
『言ってる場合かい。ウガルルムの旦那も――いやお嬢ちゃんかもしれないが――すっかり御冠だよ』
転移した猟兵を出迎えるのは「世界破壊の灼熱」による五感の封印。
戦場に身を潜めた11の怪物『ウガルルム・ザ・グランギニョール』の声が響く……ような気がする。
何時、何処から仕掛けてくるのかも定かではないが、殺気の高まりは否応なく感じ取れる事だろう。
『それじゃ、例の台詞で開幕を告げるとしようじゃないか』
「来いよ猟兵! 五感なんて捨てて掛かってこい!!」
『違う』
苛立つように苛烈さを増す灼熱の向こう側、咳払い一つ挟んでテイク2。
「『光も闇も、そんなに違いはないだろうよ!』」
白石・明日香
無関係な奴ら同士で合体とはな・・・・どちらも節操がないというべきか?ま、どうでもいいか・・・・
五感が失われようものならめんどくさいことこの上ない・・こうなれば奴と嘗て戦った経験を生かして第六感で奴の挙動を把握するしかないな・・・・・・
奴との戦いで得た戦闘知識を併用して攻撃のタイミングを読みハンマーの一撃は残像で撹乱し狙いを定めさせず弾丸の嵐は先制攻撃、範囲攻撃、鎧無視攻撃で弾丸諸共奴を吹き飛ばす!
間に合わない場合はオーラ防御、激痛耐性で耐えてやっぱり吹き飛ばす!
残念だな。脱いだら強くなるとは限らねえんだよ!!そこんところよく覚えておきなデカ乳!
●灼熱と狂騒の渦中にて
「無関係な奴ら同士で合体とはな……どちらも節操がないというべきか?」
|過去の亡霊《オブリビオン》と|万能の魔神《エリクシル》、特に縁も無いように見える両者の利害の一致による合体。
紅蓮渦巻く戦場、白石・明日香(|欠片が集う《十字卿シュラウド》・f00254)の独白は世界破壊の灼熱が奏でる轟音に掻き消えて。
「ま、どうでもいいか……」
「なんだよやる気の無ぇヤツだな! んじゃ、さっさとくたばっちまいな!」
「五感の喪失……めんどくさいことこの上ないな……」
声は聞こえる(気はする)が姿は見えず、その声もまた殺人鬼の居場所を教える手掛かりにはなり得ない。
或いは恫喝めいて叩きつけられる殺気さえもが感知を狂わせるまやかしか。
「こうなれば……」
「はん、ヤケになったか? いいぜ精々逃げ回りなぁ!」
超重量と超破壊力、まさに一撃必殺のハンマーが打ち砕いたのは明日香の残像。
直感と戦闘経験を頼りに大振りの打撃を回避、更に無数の残像を生み出すところまでが彼女の策。
『まんまと乗せられるんじゃないよ』
「分かってるよババア!」
「分かってるよデカ乳!」
そう――読み通り。
狙いを分散させれば敵は攻め手を無限の弾丸に切り替えてくる事は想定内、故に明日香が一歩先んじる。
「残念だな。脱いだら強くなるとは限らねえんだよ!!」
「なん……だと……!? じゃあ着込めばいいのか!? 次はババアサンタとクリスマスか!?」
『言ってる場合かい。けど、向こうにこっちの居場所を当てる手段は――』
「――【大地噴出陣】ッ! 纏めて吹っ飛べぇ!!」
足元の灼熱へと突き立てた刃から力が流れ、『ウガルルム・ザ・グランギニョール』の足元から迸るは衝撃波。
五感は未だ閉ざされたまま、だが研ぎ澄まされた直感が確かな手応えを感じ取る。
「グワーッ!? ちっくしょう、ちゃんと仕事してんだろうなウガルルム!」
「何言ってんだ。カンだよ」
『これだから猟兵は始末に負えないんだよ。あと濡れ衣着せたウガルルムには謝りな』
「そうだぞ謝れ」
「いや乗っかってくんなよ敵だろてめぇ!? だぁぁぁもう、アレだ! あたしもまぁ悪かっ、」
「いいから纏めて吹っ飛べぇ!!!!!」
「てめぇフザけんなぁーーーー!?」
やいやいと騒ぎつつも立て直し反撃に移ろうとする殺人鬼たちの動きは淀みなく……故に容赦する理由も無い。
一度手繰り寄せた流れのまま、繰り返される衝撃波は標的の沈黙まで絶える事無く。
大成功
🔵🔵🔵
ディッセンバー・クレイ
(【目立たない】【忍び足】スキルで極力死角から接近し、気づかれたらにこやかに挨拶)
「お初にお目にかかります
私、見ての通りの執事でございますが…世界の異物を掃除しに参りました」
【WIZ】連携・アドリブ歓迎
五感封鎖には【クロックマネージャー】を【深遠の納骨庫】の影に潜ませて外部を観測してもらったり、UC【執事の千里眼】を使い五感を補う
武器の変形にはこちらも【千万変化】の変形で対応して【見切り】、【受け流し】
灼熱攻撃は影に収納しておいた【ダモクレスアーム】を召喚して防ぎつつ動きを止めようと試みる
「ご老体に手荒な事はしたくないのですが、これも戦場の習い…お二人ともそろそろ墓場へ入る頃合いですよ?」
●戦闘執事の清掃術
『世界破壊の灼熱』――視界は紅蓮に染まり、絶える事無い爆風の轟きがあらゆる音を掻き消す。
鑢で削るように暴力的な高熱は嗅覚や触覚さえ痺れさせ、その領域は戦場というより処刑場の方が近いだろう。
絶対的に有利な条件を揃え待ち構えていた『ウガルルム・ザ・グランギニョール』は、猶も警戒を怠っていなかったが故に死角より迫る“それ”に気付いた。
「お初にお目にかかります」
ウガルルムの放つ灼熱が殺人鬼たちの感覚を阻む事は無い。
だというのに、にこやかに挨拶してみせるディッセンバー・クレイ(自由気ままな戦闘執事・f36957)の気配は幻のように希薄に揺らめいて。
『お目に、ねぇ』
「おいおいおいおい、なんだよてめぇ視えてやがんのか!?」
「私、見ての通りの執事でございますが……世界の異物を掃除しに参りました」
千変万化の片手剣が鋭く閃けば、殺人鬼たちは大げさに飛び退き間合いを開けて。
「執事たるもの、五感だけに頼って「視て」いる訳ではないですよ」
トレードマークの喋るハンマーは無数に分裂、無限に弾丸を放つ拳銃へと変形。
クレイもまた片手剣を盾へと変幻させて殺人鬼たちの猛攻に対応する。
重力波により半径117mの行動を感知する超常の【|執事の千里眼【偽】《レーダーセンス》】。
影と同化した|深遠の納骨庫《シャドウカタコンベ》、領域を席捲する灼熱と隔てられた空間からの時間竜の観測。
要領良く積み重ねた技術と連携は束の間、世界破壊の灼熱さえ上回り殺人鬼たちの動きを読み切ってみせた。
「ちぃっ、埒が明かねぇな! アゲてくぞバアア、ウガルルムッ!」
『仕方ないね。一か八かだがやるしかないか』
「『[これがあたしらの三位一体! 無明の灼熱に抱かれて消えなぁ!!]』」
【 ウガルルム・ハンマーインフェルノ】――殺人鬼たちの武装は再びハンマーへと変形。
弾丸が途絶えたぶん接近は容易になるが……荒々しい回転により世界破壊の灼熱が渦となり、全てを焼却せんとする方が速い。
「滅相も無い。掃除対象に掃除されてしまうなど、執事の名折れというものです」
無論、執事たるもの打つ“手”はある。
滑らかに距離を詰め射程圏、影より現すは巨大な|機械腕《ダモクレス・アーム》。
……狙うべきは超重量のハンマーを回転させる手元。
兎角、耐久性に優れた頑丈な機械腕はクレイを焼却から護る盾となり、強引にその回転を食い止める。
「ご老体に手荒な事はしたくないのですが、これも戦場の習い……お二人ともそろそろ墓場へ入る頃合いですよ?」
「こんにゃろ、最後まで涼しいカオしやがって……!」
その力は極めて強大ゆえに制御難度も最上級、回転が止まれば即座に暴走が始まり殺人鬼たち自身にも牙を剥く。
荒ぶる猛威は鉄壁の機械腕さえ焼き尽くし……行使者の消滅に伴い灼熱の渦が鎮まるのもほとんど同時。
「|予定《スケジュール》通りですね」
戦闘執事は事も無げに呟き、静寂に包まれた戦場を後にするのだった。
大成功
🔵🔵🔵
アリス・セカンドカラー
お任せプレ、汝が為したいように為すがよい。
|タイムフォールダウン《高速詠唱早業先制攻撃》で|時間質量《重量攻撃》を自身の身に詰め込み|マイクロブラックホール《多重詠唱拠点構築結界術》に|変身《化術》♪
わははは、|大食い《ワンダーグラトニー》たるこの姿になってしまえば五感を喪失しようが関係ないわ。
どんだけ無数の銃弾を撃ちこまれようが事象の地平面に呑み込むだけよ。
うんうん、序列1位と2位のコンビだもの、概念すら殺せるわよね?でもごめんなさいね、私|カートゥーンキャラ《継戦能力》なの。ぺちゃんこされても|ペラペラになる《化術肉体改造》だけですぐ回復するわ♪
|えっちなのうみそおいしいです❤《大食い》
●曰く、あらゆることは真実であり可能なれば
目には目を、無法には災厄を、理不尽には規格外を。
五感を封殺する『世界破壊の灼熱』に満たされた戦場を、新たな脅威が掻き乱す。
即ち。
極大重力の化身、等身大マイクロブラックホールと化したアリス・セカンドカラー(不可思議な腐敗の|混沌魔術師《ケイオト》艶魔少女・f05202)の襲来である。
「ウワーッなんか来た! ババアなんだアレ!?」
『決まってるさね。|猟兵《バケモノ》だよ』
「【|大食い《ワンダーグラトニー》】たるこの姿なら五感を喪失しようが関係ないわ。わはははー!」
それは遍く“喰らう”という概念を為す魔術、|混沌魔術の実践者《ケイオト》の手練手管が一端。
機敏に距離を取った殺人鬼たちは無数の拳銃を展開して即応するが、嘗て|異界のフォーミュラ《マザー・コンピュータ》の用いた|時間操作戦闘《タイムフォール・ダウン》より成る力は伊達ではない。
無限に放たれる弾丸は悉く|事象の地平面《event horizon》へと消え去り、重力の波動は殺人鬼たち諸共に戦場領域を軋ませる。
「しゃらくせぇ、手数でどうにかなるモンじゃねぇなこれ!」
『いいからシャキシャキ動きな。逃げも隠れもしない相手に手詰まりなんざ暗殺者が廃るよ』
そもそもが|極小《マイクロ》だとしても天体規模の暴威、尋常の手段では防ぐ事も逃れる事も叶わない不条理の顕現。
手を拱く余裕など一秒も無く、故に得物をハンマーへと変形させた殺人鬼たちは超重力に身を委ね最高速でアリスへと迫る。
「そっちが引き寄せてんだ外しようが無ぇよなぁ! 最大威力の【ウガルルム殺戮劇場】、とくと味わいやがれ!」
「うんうん、序列1位と2位のコンビだもの、概念すら殺せるわよね?」
『おや……懐かしい肩書だね』
アリス自身の重力が吸い寄せているのだ。回避の叶うものではないし、元よりそのつもりも無い。
述懐を他所に振るわれる超重量・超破壊力のハンマーは豪快かつ盛大にブラックホールを砕き殺して。
ぺらり、そこに残されたのは哀れ二次元の平面になったアリス。
「でもごめんなさいね、私カートゥーンキャラなの♪」
「おいこいつ無敵だぞどうすんだよババア!」
『どうもこうも無いだろ。ツーアウトってところか?』
「はい、ゲームセット♪」
PON! とコミカルな音を立ててアリスが復活すればブラックホールの猛威も元通り。
銃弾は無為に消し去られ、戦槌の一撃は凌がれた。二手も後れを取って巻き返せるほど超越者の戦闘は甘くない。
再び戦槌を振るうより速く――呑み込まれ、磨り潰され、混ざり合う。
「えっちなのうみそおいしいです❤」
大成功
🔵🔵🔵
シモーヌ・イルネージュ
うーん、見えない、聞こえない。匂いもしないし、肌に触れる感覚もないね。
五感が無いって、すごいな。
だけど、ここで戦うのはちょっとつまらないんだよね。
相手も見えないし、こっちも当たったかどうかわからないし。
やっぱり戦うからには、当たったときの感触とか、血が出るとかあって、
始めて、たぎるものなんだよな。
こういうところは、早々に切り上げたいところだね。
遠近両用で殴ってくる敵にはこれだね。
UC【ライトニングスピリット】を発動。
スピリットバードになるよ。
これで殴られるのは心配ない。
あとは雷鳴攻撃で、ガンガン攻め立てよう。
隠れても無駄だよ。
でも、こういうの趣味じゃないんだよなー
●雷鳴は死闘を求むれど
「うーん、見えない、聞こえない。匂いもしないし、肌に触れる感覚もないね。五感が無いって、すごいな」
五感封殺という圧倒的な窮地に、寧ろシモーヌ・イルネージュ(月影の戦士・f38176)は物珍しさを感じたか。
『世界破壊の灼熱』に満ちた戦場では自らの呟きさえ炎の唸りに搔き消され、得物を握る感覚さえも覚束無い。
「はっ、呑気なもんだな! 冥途の土産は堪能したかよ!」
「だけど、ここで戦うのはちょっとつまらないんだよね」
初見の新鮮さが通り過ぎてしまえば飽きが来るのも早い。
敵は既に仕掛けてきたのか、まだ様子を窺っているのか、それさえも定かでないのだ。
「やっぱり戦うからには、当たったときの感触とか、血が出るとかあって、初めて、たぎるものなんだよな」
『気分のノった戦士は面倒だからね。不完全燃焼のまま死んじまいな』
「御免被るよ。でもこういうところは、早々に切り上げたいところだね」
野生の本能が警鐘を鳴らす。
月影の戦士は今一つ熱の入らない心を気合いで奮い立たせて。
「敵は遠近両用で殴ってくるんだっけ。なら、これだね」
【ライトニングスピリット】――雷文明の申し子を象徴する異能が彼女の身をスピリットバードへと変化させる。
「稲妻の身体か!」
『だが物理無効くらいなら――』
「うん。|アンタたちの身体は電気を通すだろ《・・・・・・・・・・・・・・・・》?」
目を眩ませる雷光も千鳥の囀るような火花散る音も感じ取れないが、爆ぜるような放電は灼熱を貫いて確かに殺人鬼たちを捉える。
雷鳴電撃は莫大なエネルギーの塊であり、取り憑かれるだけで総身を焦がす。
「無駄だよ。灼熱は電気を遮らないし……」
「こっ、の……離れやがれ……!」
「零距離未満のこの間合い、ハンマーでも銃弾でも狙えないだろ」
一方的な攻撃の返礼とばかり、更に雷電の威力を高めれば知覚は出来ずとも効果は覿面。
殺人鬼たちが振り払おうとする抵抗よりもその身が崩壊する方が早い。
「でも、こういうの趣味じゃないんだよなー」
『ま……相手が、悪かったと……諦めるんだね』
血沸き肉躍るとは叶わず、死闘は手応えの無い儘に幕を下ろして。
大成功
🔵🔵🔵
フェリチェ・リーリエ
なんか喋る武器って既視感あるべな…
こっちの五感を潰してくるべか…なんか腹立つべな、こっちもそっちの感覚ひとつくらい潰してやらぁ!
つーわけで希少植物の出番だべ、出でよスーパーメーサーロータス!くらえ目潰しビーム!
『敵に』目潰しの状態異常くらわせる光線だから誤爆の心配はねえしあらゆる物資を透過すっから防ぎようもねえ!
自由農夫なんで【植物と話す】のは朝飯前、五感はなくても意思疎通すんのは問題ねえはず。
奴の位置とか動きとか教えてくんろ!
希少植物に頼りきらず自分でも自然相手に培った【野生の勘】で【気配感知】に務めるべ。
銃弾や熱は【気合い】の【オーラ防御】で耐えつつ、ハンマーの攻撃は大包丁で【武器受け】。
●農夫の逆襲~奪う者は奪われるの巻~
「なんか喋る武器って既視感あるべな……」
そこはかとない心当たりと共に戦場へと転移したフェリチェ・リーリエ(嫉妬戦士さんじゅうはっさい・f39205)を出迎えるのは『世界破壊の灼熱』の洗礼。
視界を覆う紅蓮、轟く炎の唸り、突き刺すような高熱の暴力は瞬く間に猟兵の五感を奪い去る。
「ま、タネが分かってたって何の役にも立ちゃしねぇんだけどなぁ!」
『さっさと済ませるよ。何か考えてるようだが思い出す前に死んじまいな』
「んだども、そうはいかねっぺ!」
『……とはいえ流石に猟兵か。そう容易くは落ちないね』
飛来した銃弾を受け止めたのはオーラの護り。
無限に押し寄せる弾丸の嵐に正面から立ち向かう事を良しとせず、その猛威を野生的な直感で感じ取ったフェリチェはオーラへの負荷が最小限になるよう駆け回る。
「こっちの五感を潰してくるべか……なんか腹立つべな」
ところでフェリチェは嫉妬魂を合言葉とする嫉妬戦士である。
嫉妬。
即ち自身より優位にある相手への果敢にして不屈なる闘争心……というのは美化した表現だが、さておき原動力になるのは間違いない。
「つーわけで出番だべ、出でよスーパーメーサーロータス! くらえ目潰しビーム!」
「はん、真正面からのビーム程度――」
『馬鹿だね避けな。猟兵のユーベルコードはあたしらの知ってるアビリティとは一味違、』
「ウワーッ!? 目が、目がーー!?」
『言わんこっちゃない。遊んでる場合じゃないだろ』
「うっせ! ババアうっせ!! あいつの切り札がこれで終いなら、このままぶっ飛ばせば済む話だろ!」
光を溜め込む巨大蓮から放たれた物質を透過する光線は防御を貫いて視覚を奪い、しかし殺人鬼たちは怯む事なく更なる攻勢を仕掛ける。
オーラ諸共に打ち砕かんとする超重量・超破壊力のハンマーが振るわれ――寸前、肉厚の大包丁に受け止められた。
「なっ!?」
「破壊力は重さ×スピード。勢いが乗る前に抑えちまえば防げねぇもんじゃねえべ!」
「いやそこじゃねぇ! ババアを受け止めるポイントとタイミングの見極め……てめぇ視えてやがんのかズリぃぞ!」
『成程そうか。この猟兵、自由農夫なら――』
此処一番の攻防を制したタネはフェリチェが意識を通わせた希少植物たちの後押し。
36世界随一の暗殺者と言えど視界を奪われた直後の動きは僅かに精彩を欠き、農夫の絆はその隙を最大限活かすには十分な成果を発揮してみせた。
「あぁもう面倒くせぇ! ババア、ウガルルム、最大火力でぶっ飛ばすぞ!」
「手元がお留守だっぺよ! その技は使わせねぇべ!」
グランギニョールとウガルルムの力を合わせた三位一体の【ウガルルム・ハンマーインフェルノ】だが、ハンマーの回転が始まる前に抑え込まれれば発動は叶わない。
好機――後退しようとする殺人鬼たちを逃がすまいとフェリチェも更に踏み込んで。
「くらうべ目潰しビーム!!!」
「うおっまぶし……あたしもう視えてないっつってんだろやめろよ!?」
「問答無用だっぺ!!」
そして諸々の戦意を込めた大包丁の斬撃が殺人鬼へと叩き込まれるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
黒影・兵庫
(「ここまでお膳立てしてもらえるんならまぁ勝つわね。普通」と頭の中の教導虫が話しかける)
ではその結末を壊してやりましょう!せんせー!
(「そうね。さてどう戦う?」)
まずUC【煉獄蛍】で火計兵さんに
俺に常温の炎を
周囲には銃弾が瞬時に蒸発する温度の炎を着火してもらい
さらに『衝撃波』も使って一気に延焼させます!
これで銃弾を防ぎます!
(「敵が突っ込んで来たらどうする?」)
着火前に{蜂蜜色の靄}を媒体に『結界術』で『気配感知』を付与した結界の構築を『早業』で行い
感知した瞬間に『衝撃波』で逃げます!
そして{蜂蜜色の靄}の結界を『オーラ防御』の応用でオーラの檻に変えて敵を閉じ込めそのまま焼きます!
●斯くて暗殺者は煉獄に沈む
(ここまでお膳立てしてもらえるんならまぁ勝つわね。普通)
「ではその結末を壊してやりましょう! せんせー!」
(そうね。さてどう戦う?)
『世界破壊の灼熱』に満たされた実験都市――猟兵の五感を一方的に封じる暗殺者の狩場へと踏み込んで猶、黒影・兵庫(不惑の尖兵・f17150)に怯懦の色は無い。
親にも等しい教導虫スクイリアと脳内で交わされる会話は数多の戦場で的確な解を弾き出してきた、彼ら独自の武器の一つと言えるだろう。
「何かと話してやがんな。けどあたしらに感知できねぇなんて事があるか?」
『トンカチが喋るんだ、そういう事もあるだろうよ』
「んじゃ、やるか! あたしらの【ウガルルム・リコシェ】で蜂の巣だ!」
朧にとはいえスクイリアの存在を感じ取ったのは殺人鬼たちの暗殺者としての才ゆえか。
それでも教導虫が兵庫の|脳内に《・・・》巣食っている事までは測りかねたようで――訝ったのは一瞬。
戦槌は拳銃へと形を変えて無数に分裂し、致死量の「世界破壊の灼熱」を封入した銃弾となって一斉に放たれる。
「それならまずは――火計兵さん! 燃やし尽くしてください!」
呼び声に応じ現れたのは700と5体の【煉獄蛍】、その光は温度自在の炎を翠玉色に燃え上がらせる。
衝撃波と共に薙ぎ払えば迫る無限の弾丸を蒸発せしめる獄炎の波濤に。
無害な常温として兵庫自身に纏わせれば蒸発した弾丸から溢れ出す灼熱から身を護る迎え火に。
森羅万象に着火する翠玉の炎は知覚こそ出来ずとも、全方位から絶え間なく襲い来る致死の弾幕の第一波を凌ぎきってみせた。
「こいつ虫使いか! なら炎には大人しく焼かれてりゃいいのによ!」
(敵が突っ込んで来るわよ。どうする?)
「逃げます!」
「逃がすか!!」
すぐさま無数の拳銃は再び統合され超重量・超破壊力のハンマーへと形を変える。
瞬時に肉薄した殺人鬼たちは物理も道理も打ち砕く必殺の一撃を放たんとして――仇になったのはその破壊力。
兵庫が薄く展開していた蜂蜜色の靄は媒体、瀬戸際で展開の間に合った気配感知の結界が絶大な暴力を感じ取る。
ハンマーを受け止める事は至難を極めただろうが、それを振るう本体であれば話は別だ。
少女の身体へと強烈な衝撃波を叩き込んでバランスを崩し、兵庫自身は反動を活かして後退。
空間が粉砕される余波を結界越しに感じ取りながら蜂蜜色の靄を変形させる。
「それで、こっちは、逃がしません!」
「オーラの檻だぁ? 幾ら硬かろうが今のあたしらを抑えるにゃ――」
「――一瞬で十分! 火計兵さん!!」
形状はハンマーを振るう動きの阻害を最優先に。
読み通り敵は先ず拘束の破壊を試み、故に取り囲んだ煉獄蛍が光を放てば殺人鬼たちの身体は最高温度の翠炎に呑み込まれ……幾百の蛍の集中砲火、まともに受けては36世界随一の暗殺者とてひとたまりもない。
「これで俺たちの――あ、五感も戻ってきましたせんせー!」
(無事にこちらの勝利ね。よろしい)
斯くしてウガルルム・ザ・グランギニョールは討たれ、世界破壊の灼熱より解き放たれた実験都市には静寂が降りるのだった。
成功
🔵🔵🔴
カイム・クローバー
ハッ、こっちは五感が封じられてるってのに……良く喋るモンだ。
聴覚もクソほどの役に立たないってのに、頭に響くような声にウンザリする。
各地で猟兵が暴れてる事もあって、煩い婆さんもこの分だと愉快な道化野郎と仲良く一緒に骸の海で遅めの海水浴になりそうだ。
だから挨拶の一つくらいはしておこうと思ってね。
五感を封じられた状態でも、指を鳴らせば俺の声に応える優秀な番犬が呼べる。悪意を追跡し、その存在を俺に教えてくれる。
番犬は仮の姿。その正体は――36世界最高位の暗殺者とお近づきにしてくれる鎖ってワケだ。
ぎゃあぎゃあ喚くなよ。俺だって好きでアンタみたいな女と鎖で繋いでるワケじゃない。
銃撃には【クイックドロウ】で弾落とし、ハンマーには魔剣で対処。
黙ってたら死ぬ病気なのかね?騒がしい声でぎゃあぎゃあ喚くモンだから、攻撃のフリが分かり易くて助かる。
隙を【見切り】、魔剣で【串刺し】。捉えるのは超重量のハンマーごと。
――言い忘れてた。
大事な彼女が送り出してくれたんでね。ダサい所は見せられないんだ。悪いな?
●紫雷と黒銀のカーテンコール
「ハッ、こっちは五感が封じられてるってのに……良く喋るモンだ」
カイム・クローバー(UDCの便利屋・f08018)の声もまた、戦場に満ちる『世界破壊の灼熱』に塗り潰される。
喧しい声は少女とハンマーで2倍、聴覚も例外なく封じられているというのに頭の中に響くようなそれは聞く者を辟易させるには十分で。
「各地で猟兵が暴れてる事もあって、煩い婆さんもこの分だと愉快な道化野郎と仲良く一緒に骸の海で遅めの海水浴になりそうだ。だから挨拶の一つくらいはしておこうと思ってね」
「あぁん? 誰が道化野郎だこの野郎!」
『そいつは殊勝な心掛けだね。遠慮する事は無い、一足先にあの世に送ってやろうじゃないか』
舌戦の応酬と同時、無造作に|双魔銃《オルトロス》をクイックドロウ。
敵が接近してくるなら牽制に……或いは殺人鬼たちの攻め手が分裂した無数の銃に依るものならば。
「ハッ、あたしらの無限弾幕にたかだか二丁拳銃で太刀打ちできるかよ!」
『いや。これは……ただの鉛玉じゃあ無いとは思っていたが』
【ウガルルム・リコシェ】は一つ一つが致死量の「世界破壊の灼熱」を封入した暴虐の嵐。
一方――カイムの放つ弾丸もまた、内なる邪神に由来する紫雷を宿した尋常ならざる超越の牙。
両者の衝突は内包した力を炸裂させ、無限を誇る弾幕をして束の間相殺してみせた。
まずは一当て、殺人鬼たちの声を聞き流しながら指を弾く。
「一方的に五感を封じて安心してるとこ悪いが……狙った獲物は逃がさねぇのさ」
無限弾幕を凌いだ隙を逃さず呼び出すは【|迅雷の猟犬《ライトニング・チェイサー》】。
稲妻の速度で駆ける追跡者は五感封じる灼熱の中だろうと隠しようのない悪意を正確に感じ取る。
世界破壊の灼熱に潜む殺人鬼たちを捉えた猟犬は爆発、その身をカイムと繋ぐ鎖へと変えて。
「こ、んにゃろ……っ! ちぃっ、鬱陶しいな!」
「番犬は仮の姿。その正体は――36世界最高位の暗殺者とお近づきにしてくれる鎖ってワケだ」
『ご無体だね。相手を束縛する男は嫌われるよ』
「ぎゃあぎゃあ喚くなよ。俺だって好きでアンタみたいな女と鎖で繋いでるワケじゃない」
「はぁ!? それはそれでムカつくな贅沢な奴!」
「にしても黙ってたら死ぬ病気なのかね?」
紫雷の鎖を通じた感知、そして|声《思念》の調子から感じ取れる殺意の波。
ダンスのリズムを読むように、卓越した洞察力で最適なタイミングを見切る。
超重量・超破壊力のハンマーを軽々と振るう膂力は伊達ではないが、カイムの怪力も後れを取るものではない。
鎖を引いてバランスを崩し、猶も強力無比な一撃に魔剣を合わせて受け流す。
「――言い忘れてた」
喋るハンマーとそれを操る少女、どちらも逃がしはしないと狙いを定めて。
「大事な彼女が送り出してくれたんでね。ダサい所は見せられないんだ」
「ンだよ、キザ男が……っ!」
神殺しの魔剣の刃は曇りなく、合体した|万能の魔神《エリクシル》と|過去の亡霊《オブリビオン》を串刺しに貫く。
引き抜けばその身を焼き払う黒銀の炎が世界破壊の灼熱さえも駆逐して。
悪いな? と最後に手向け代わりの軽口一つ。
斯くして灼熱の殺戮劇場に幕は引かれたのだった。
―― ウガルルム・ザ・グランギニョール、撃破 ――
大成功
🔵🔵🔵