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エンドブレイカーの戦い⑫〜暗謝肉祭

#エンドブレイカー! #エンドブレイカーの戦い #ムシュフシュ・ザ・カーニバル #ジェスター

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●ラズワルド・ウォール
「愉快なカーニバルがやってきたよ!」
 不気味な仮面が暗闇に浮かぶ。
 それは無数の『マスカレイド』たちであり、まるでカーニバルを行うかのように愉快に、盛大に、それこそ、笑い声さえ絶えぬ劇場めいた騒々しさを撒き散らし、敵の侵攻を食い止めんとしていた勇士たちに襲いかかっていた。
「いはやは、勇者『ラズワルド』、懐かしい顔ぶれデスなあ、『ムシュフシュ』どの! はるか昔を思い起こさせるものがあります! あれはそう、大魔女と七勇者とが『永遠に繰り返す戦い』をハジメタ頃でしたか」
『11の怪物』の一柱、『ムシュフシュ』と融合を果たしたオブリビオン『ジェスター』は愉快そうに笑っていた。

「アナタをお探しするたびに向かうタメ、カーニバルとなったワタシ! この身は既にオブリビオンですが、『ムシュフシュ』どのを見つけ、合体できました!」
『ジェスター』は内なる声に従うように仕切りに頷く。
 彼の身はオブリビオン。
 それは言うまでもない。
 これまでの戦いにおいて猟兵達はオブリビオン『ジェスター』の姿を認めていた。
 ヒーローズアースにおける戦いがまさにそれである。
 大量に呼び出した『マスカレイド』の壁は、彼の手にした杖から止めどなく溢れ続け、彼を守っていた。

「確かに猟兵に目をつけられたのは面倒この上ないことです。『ムシュフシュ』どのを始めとする『11の怪物』の目的、『知的生命体の捕食』。そのためにはこの世界からエンドブレイカーと猟兵を排除しなければならない。いやぁ、感服いたしました! この世界の大地そのものたる『大地母神』を殺すことを考えなさるとは!」
『ジェスター』は融合した『ムシュフシュ』の言葉にいたく感嘆しているようだった。
 そう、このエンドブレイカー世界の大地は『大地母神』と呼ばれる存在の肉体。そして、『世界の瞳』と呼ばれるものは彼女の眼球。
 すなわち、彼女が、『大地母神』が死ねば世界移動能力は喪われ、同時にこの世界の理を乱すものは全て排除される。
 すなわち、エンディングを壊す能力を持つエンドブレイカーも、猟兵も異物として排斥できるということだ。

「逆に『エリクシル』は他世界に移動できるのママなのですから、圧倒的な地の利を得ることになりましょう! 任せてくださいマセ! カーニバルの名にかけて、確実にやり遂げてミセマショウ!」
 そう高らかに宣言し、『ジェスター』……否、『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』は大量の『マスカレイド』の壁に守られながら、己に迫るであろう猟兵たちを迎え撃つために、不気味に、そして愉快そうに笑うのだった――。

●エンドブレイカーの戦い
 グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのはナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)であった。
「お集まり頂きありがとうございます。『11の怪物』の一柱、『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』が軍団を率いて『ラズワルド・ウォール』を突破しようとしています」
 それは如何に勇者たちが強いのだとしても、じりじりと消耗を強いられる戦いであることを示していた。
 そう、如何にエンドブレイカー世界の勇者たちが強大な力を持っていても、『エリクシル』にトドメを刺すことができない。
 猟兵達が駆けつけなければ、彼らは消耗のうちに打倒されてしまうだろう。

「それはさせてはなりません。そして、『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』は、嘗て確認されたオブリビオン『ジェスター』と『11の怪物』、『ムシュフシュ』が合体を果たした敵であるとされています」
 それだけではない。
『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』は、その手にした杖から『マスカレイド』と呼ばれる敵を無尽蔵に溢れさせる『マスカレイドの壁』を生み出し、その向こう側から一方的に迫る猟兵達へと攻撃を仕掛けてくるのだという。

 つまり、絶対的な先制攻撃に加え、敵を守る防壁を突破しなければならないのだ。
「……強力な敵であることは認めます」
 ナイアルテの言葉に猟兵達は頷く。
 しかし、ここで足を止めては『ラズワルド・ウォール』にて戦う勇士たちの戦いに報いることができなくなってしまう。
 なんとか『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』の先制攻撃を凌ぎ、『マスカレイドの壁』を突破しユーベルコードを叩き込むしかない。
 この壁を突破するなんらかの手段を講じるのは、難しいことだろう。
 けれど、やらなければならない。

「まさに矛と盾を両方持っている存在と言えるでしょう。先制攻撃は重たく、皆さんの身を苛むでしょう。マスカレイドの壁は皆さんのユーベルコードを『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』へと届かせません……ですが」
 ナイアルテは最早疑うことをしない。
 案ずることをしない。
 どれだけの困難を前にしても猟兵達はいつだって、その創意工夫とユーベルコードの力を組み合わせて打ち勝ってきたのだ。
 ならば、そこに己が疑念を挟むことはないと示すように、微笑み猟兵たちを送り出すのだった――。


海鶴
 マスターの海鶴です。

 ※これは1章構成の『エンドブレイカーの戦い』の戦争シナリオとなります。

『ラズワルド・ウォール』に迫るエリクシル軍団を率いる『11の怪物』と合体したオブリビオン『ジェスター』……『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』との戦いになります。
 厄介なことに彼は先制攻撃を持ち、さらに杖より無尽蔵に現れる『マスカレイドの壁』を有しています。
 皆さんへの先制という矛とユーベルコードを届かせない盾を持っているわけです。
 これを如何にしてか乗り越えなければ、有効打を与えることは難しいでしょう。

 皆さんのユーベルコードと工夫が勝利の鍵となります。

 プレイングボーナス……敵の先制攻撃に対処し、マスカレイドの壁を突破する。

 それでは、エンドブレイカー! 世界から猟兵たちを放逐せんとする『11の怪物』と対決する皆さんの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
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第1章 ボス戦 『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』

POW   :    デモニックアルター
自身が【悪事】で使用した道具全てをレベル秒間【ジェスターズ・マスターデモン化】し、[悪事]の腕前に比例した強さで戦わせる。
SPD   :    デモニックエクリプス
【漆黒のマスターデモン形態】に変身する。隠密力・速度・【超重力を放つハンマー】の攻撃力が上昇し、自身を目撃した全員に【恐怖】の感情を与える。
WIZ   :    ムシュフシュフォール
戦場にレベル×5本の【エリクシルの槍】が降り注ぎ、敵味方の区別無く、より【正義の心を持つ】対象を優先して攻撃する。

イラスト:シャル

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

リーベ・ヴァンパイア
ジェスター。……アースクライシスの際に世界と人々を恐怖に陥れた一人

……当時の俺はまだ猟兵でなかったゆえに会うことはなかった
だが、貴様によって苦しみ恐怖した人々がいた事は知っている

ーーゆえにその人達に代わり、貴様を倒し、この世界の人々を守らせて貰うぞ

この大群の中で奴の攻撃を避けるのは、厳しいだろうな。
となれば、……避けずに耐えて、マスカレイドを抜けるしかないな。

奴の攻撃をシールドガントレットで防ぐ。……この程度の痛み、貴様の被害に遭った者達の苦しみに比べれば痛くはないーー!【ジャストガード、盾受け】

凌いだらバットグライダーとジェットオー、その二台を乗り継ぎながら大群を抜け、奴へと接近しUCを放つ



 まるで濁流の如き暗黒だった。
 戦場となった『ラズワルド・ウォール』。溢れる『マスカレイド』たちを操る『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』は、その異形なる姿を持って猟兵たちに迫る。
「『ジェスター』……アースクライシスの際に世界と人々を恐怖に陥れた一人」
 迫りくる『マスカレイドの壁』と『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』の姿を認め、リーベ・ヴァンパイア( Notwendigkeit ・f37208)は即座に臨戦態勢を取る。
 この『マスカレイドの壁』という大群を前にして『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』の先制攻撃を躱す、というのは至難の技だった。
 どうあがいても先制される。
 そして、『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』の手にしたハンマーが跳ね上がる。

「その名も懐かしいと言わざるを言えマセンね! あの時は退けられマシタガ! あのときとは違うということをお見せしマショウ!」
 漆黒のマスターデーモン形態へと変貌をした『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』はリーベへとハンマーの一撃を叩き込む。
 シールドガントレットが砕ける。
 骨が砕けた、とリーベは即座に理解するだろう。
 激痛が走る。
 見上げる先にあるのは異形の頭蓋。
 炎が立ち上るように眼窩には邪悪な意志が見え隠れする。真性の邪悪。そこにあるのは、弱者を嘲笑う感情だけだった。

「なぜ笑う」
「可笑しいからに決まっているデショウ。ブルブルと体を震わせ、勝ち目など無いのに立ち向かってくる者など滑稽で愉快だと思うのが当然というものデショウ?」
「そうか、俺はお前に恐怖しているように思えるのだ。この震えを、怯えと」
 ハンマーの一撃はリーベに超重力の一撃を与えていた。
 体が震える。
 わかっている。自覚している。これは……。

「いいか、これは武者震いだ。貴様は人々に恐怖を与えた、苦しみを与えた、それを俺は知っている」
「だったらなんだというノデス!」
 叩きつけんと迫るハンマーの一撃をリーベは見た。
 砕けたシールドガントレットを掲げる。砕けた骨身。されど、しかしためらいはない。
「砕けた腕で!」
「――故に、その人達に代わり、貴様を倒し、この世界の人々を守らせてもらおうぞ」
「抜かしますネェ! 恐怖に震えているくせに!」
 リーベのユーベルコードが瞳に輝く。

 砕けた腕で受け止めたハンマーとの接点。溢れる血潮。
 瞬間、その血潮は刃へと形成される。
「これは武者震いだ」
 リーベの言葉と共に煌めくはBlood magic(チノテジナ)。
 血によって生成された刃は、瞬時にハンマーが己の腕に当たった0秒という刹那にも満たぬ瞬間によって繰り出される一撃。
『マスカレイドの壁』を乗り越えてくる『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』の打撃に合わせたカウンターの一閃。
「痛みに震えているのではアリマセンデシタカ!」
「……この程度の痛み、貴様の被害にあった者たちの苦しみに比べれば痛くはない!」
 放たれる血の刃。
 迸るようにして赤き切っ先が『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』へと走る。

 それは『マスカレイドの壁』すら縫うようにして『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』の体へと千枚通しのように鋭く突き立てられ、リーベは己の意志を示すように、その悪意を貫くのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

風車・拳正
……薄気味の悪い奴だな。(ま、その方が殴りやすくていいけどよ。……とはいえ、殴るためにはまずこの壁をどうにしか乗り越えねぇとな)

……まあ、ーーやってやろうじゃねえか…!

先制攻撃
デモニックアルターの攻撃は【衝撃波】で威力を軽減させたり、【グラップル】からの【マヒ攻撃】で不発を狙って凌ぐ【激痛耐性】
ーーヘッ、この程度の攻撃、受け馴れてるんだよーー!

そうして先制攻撃を凌ぎながら、マスカレイドの大群に【衝撃波】を放って蹴散らす

ーーショック・ザ・インパクト! 最初から飛ばしてくぜーー!


ムシュフシュの野郎の前までこれたらUCを放つ!

ーーよう、来てやったぜ。テメェをぶっ飛ばす為によ! おらぁーー!!



「存外やりますネェ、猟兵!『11の怪物』と合体したワタクシに手傷を与えるとは! ですが、これはドウデス?」
 ばらまかれる無数の拷問器具。
 それらがいっせにマスターデーモンへと姿を変え、猟兵たちに襲いかかる。
 それだけではない。
『マスカレイドの壁』は今だ健在であり、溢れるようにして猟兵たちと『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』との間を隔てるように立ちふさがっている。
「……薄気味悪い奴だな」
 風車・拳正(衝撃の鉄拳・f41386)は迫りくるマスターデーモンたちの攻勢をステップを踏みながら拳を叩きつけ、衝撃波でもって吹き飛ばす。
 
 だが、数で押される。
「それは光栄なことデス。薄気味悪い、とはワタクシのようなものにとっては褒め言葉ですから!」
「へっ、言ってろよ。だがまあ、この程度の攻撃!」
 拳正のこめかみを打ち据えるマスターデーモンの一撃。
 ぐらつく視界。
 強烈な当たりだった。腹部に叩き込まれる襲撃。
 吐き気が込み上げてくる。だが、それでも拳正は倒れることはなかった。痛みには慣れている。
 いつだってそうだ。
 耐えて。
 耐えて。耐えて。耐え続ける。どんな痛烈な一撃にだって耐えなければならない。わかっている。
 それがどういう生き方なのかなんて言わなくたってわかっている。

 その道はもう諦めたはずだ。
 ならば、己が拳を握るのは何のためだろうか。
「やられっぱなしデスネェ!」
「ハッ……受け慣れてるんだよ!」
「言うに事欠いてやせ我慢トハ! まったくもって理解し難い! いいのですよ、降参してくださるのなら、見逃して差し上げてもよろしいかと」
 マスターデーモンの一撃に拳正は吹き飛ばされる。
 放つ拳の衝撃波も勢いが足りない。敵の攻撃を振り払えない。けれど、彼の瞳はユーベルコードに輝く。

 見据えていた。
 己が倒すべき敵を。
 確かに己は、『そう』生きることを諦めた。
 けれど、今、己が取っているポーズはなんだ。そう、ファイティングポーズだ。己は『そう』あれなかったが、しかし、『そう』ありたいと願ったことは間違いではない。
 踏み込む。
 間隙を縫う用にして『マスカレイドの壁』を上体を揺らしながら、飛び込む。
 眼前には『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』の姿があった。
「よう、来てやったぜ。降参って言ったか。するわけねぇだろ! 俺は!」
 テメエをぶっ飛ばすために拳を握りしめたのだ。
「のこのことやられにきて、その言いぐさは笑えないデスネェ!」
 振るい上げられたハンマーの一閃が拳正へと振り下ろされる。その一撃は確かに彼の頭蓋を割るだろう。

 わかる。
 けれど、己にも見えているものがある。閃光のように煌めくものを。一筋見える光を。
 放つクロスカウンターの一撃。
 それは、ショック!(ヒッサツノイチゲキ)そのものとなって己の体の中を電流でもって駆け抜けるようであった。
 踏み込んだのはこのときのため。
 交錯するハンマーと拳。 
「――ブッ飛べッ!」
 放たれた拳の一撃が『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』の頭蓋を捉え、衝撃にその頬骨が砕ける音を拳正は聞くのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ハロ・シエラ
なるほど、確かに厄介な相手です。
とにかく相手が多いですが……やるしかありません、正面から突っ込みます。
マスカレイドの壁と道具から作られたマスターデモン、全てを倒す余裕はありません。
まずは【敵を盾にする】ように、マスカレイドに紛れてマスターデモンの攻撃をいなします。
ただそのままでは大群に埋もれてしまうだけでしょう。
【カウンター】で邪魔する者を最低限倒しながら前進します。
恐らくはマスカレイドの方が個々としては倒しやすいはず。
剣と【グラップル】を駆使して、主にマスカレイドを斬ったり【吹き飛ばし】たりしながらムシュフシュに近付き、ユーベルコードで一気に【切断】してしまいましょう。



 己の悪事に用いた道具を『マスターデーモン』へと変貌させるユーベルコード。
 それによって『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』は杖より溢れる『マスカレイドの壁』以上の手駒をもって猟兵たちを圧倒する。
 砕けた頬骨をさすりながら彼は笑う。
「なんというコトデショウ! やはり猟兵は侮れマセンネ! ここまで数で圧倒してもなお、迫るトハ!」
 彼の言葉通りだった。
 猟兵という生命の埒外たる存在への評価は依然変わるものではなかった。
 慢心なくとも猟兵達は止まらない。
 その程度で止まる理由など持ち合わせていないとでも言うかのように『マスカレイドの壁』を突破せんと今も一人の猟兵が迫っている。

「なるほど、確かに厄介な相手です」
 ハロ・シエラ(ソード&ダガー・f13966)はひたすらに『マスカレイドの壁』の陣中にて、戦う。
 マスターデーモンは確かに厄介な敵だ。
 しかし、その全てを倒す必要はない。
 いや、余裕がない、というのが正しいだろう。ここに来て数を繰り出してくる『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』は掛け値なしの強敵であると言える。
 敵に先制されることもまたハロにとっては手痛い遅れであった。
「ですが、やれないことはありません」
「強がりデスネェ! ですが、それで痛い目を見るのもまたワタクシ! ならばこそ、此処は油断なく数で圧殺させて頂きマショウ!」
 マスカレイドたちが一斉にハロを襲う。

 その一撃をハロは身を翻してかわし、そして敵自体を盾にするのだ。躱しきれないのならば、敵事態を盾にする。
 それだけの敵がこの場にいるのだし、また壁のように溢れているのならば尚更だろう。
「そのまま埋もれていればいいのデス!」
 さらにマスターデーモンたちがハロを襲う。
 確かに致命傷は避けられている。けれど、そのまま数に圧砕されることは目に見えていた。故にハロは前に進む。

 それしか道はない。
 敵は壁の向こう。そして、壁事態が意志を持って己を打倒しようとしてきている。ならば、前に進むしかない。
 どんなに苦しくても、前に。
「ウーム、ジリジリと近づいてきていマスネェ……まさか、一撃を狙っておられマス?」
「ええ、そのとおりです。時間は掛かっても、必ずあなたに近づきます。それが私達というものです」
 ハロは剣と拳でもってマスターデーモンたちをいなし、傷つきながらも前に進む。
 それがどんなに困難な道であったのだとしても、確実に続いているというのならば、ハロはためらわない。踏み出すことを恐れない。
 血に塗れ、傷に刻まれながらも、ただひたすらに進むのだ。

「なんとも気の長くなる道のりデショウ!」
「ですが、届きます。届くのならば、剣を振るうのみ!」
 煌めくハロの瞳。
 ユーベルコードの発露。横薙ぎに振るった剣刃一閃たる一撃は、剣に触れた者全てを切断せしめる。
 例え、それがマスカレイドであろうと、マスターデモンであろうと関係ない。
 そう、『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』であっても、だ。
 放たれた剣閃は、その一撃で持って『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』の体を捉え、その体より血潮めいた炎を噴出させるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エスカ・ブランシェール
久しぶりだな、ジェスター……っていっても、直接やり合うのは初めてか
昔はギガンティアで、てめぇの影を何度もブッ飛ばしてやったけどな!

敵の武器は空から降る槍
だったら、敢えてマスカレイドの軍勢に飛び込んで、降ってくる槍を【敵を盾にする】ことで少しでも防ぐ
「迂闊に密集なんかしてやがるからだぜ

頃合いを見計らってUC発動
100m級の火竜になったLouiseに火炎放射で雑魚を薙ぎ払わせつつジェスターに肉薄
Louiseの巨体を盾に残りの槍を防ぎつつ、敵を食らわせて体力回復

ジェスターには打撃ラッシュの【連続コンボ】からの、野太刀による【叩き割り】で攻撃
「その仮面、何度でもブチ割ってやるぜ、イカレ道化師野郎!



 斬撃が『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』の体を捉えた。
 炎の如き血潮が噴出する。
 しかし、それでもなお、『マスカレイドの壁』が彼を覆うようにして立ち塞がる。一撃。ただ一撃叩き込めたとて、すぐさま『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』は杖より噴出するようにして現れる『マスカレイド』たちによって己の身を守る。
 それは嘲笑うようであった。
 奇妙なステップを踏みながら『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』は跳ねる。
「なんとも猟兵というのはしつこいものでございますな! いやはや、ワタクシ、感服しておりますとも!」
 その態度に覚えがあるのだろう、猟兵の一人、エスカ・ブランシェール(跳ね馬の群竜士・f39110)は戦場に踏み込む。

「その悪辣な態度、久しぶりだな『ジェスター』……って言っても、直接やり合うのは初めてか」
「おや、その口ぶり! もしやエンドブレイカーであった猟兵でありマショウか! ああ、なんともまあ、奇縁と申しまショウカ!」
 掲げられた腕の先で天がきらめいたのをエスカは見ただろう。
 降り注ぐは槍。
 赤き明滅は、それが万能宝石『エリクシル』の槍であることを示すものであった。
「ハッ! 昔はギガンティアで、てめぇの影を何度もブッ飛ばしてやったけどな!」
「そういうことでございましたカ!」
 降り注ぐ槍。
 逃げ場はない。けれど、エスカは『マスカレイド』を盾にする。『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』に敵味方の区別など無い。
『マスカレイド』は壁でしかないのだ。
 ならばこそ、猟兵諸共に攻撃できるのならば、攻撃してしまおうというのが彼の悪辣なところであった。

「ったく、本当に遠慮ってものがないのかい」
「いやぁ、褒められたものでありますな! 少々のマスカレイドの犠牲で猟兵が討てるのならば、安いくらいでありまず」
「盾にされてりゃ世話ないぜ!」
 踏み込む。
 敵の攻撃は槍による攻撃。天より降り注ぐ槍はやっかいそのものであるが、先制攻撃を凌ぐ事ができたのならば、話は別だ。
 エスカは己の瞳をユーベルコードに輝かせる。
「行くぜ、相棒! 火竜転身だ!」
 その言葉と共に彼女が、嘗て大魔女との決戦の後に拾った大トカゲの名を呼ぶ。次の瞬間、吹きすさぶような炎と共に現れるのは巨大な火竜であった。
 咆哮が轟く。

「愚かな! 槍の的を増やしただけに過ぎないデショウ!」
「そうかな! ルイーズをあんま舐めてっと痛い目にあうぜ!」
 エスカは巨大な火竜の背に乗り、迫るやりを弾きながら『マスカレイドの壁』を食らわせる。巨大な顎が神悪。
 あらゆるものを捕食することによって、打ち込まれた槍の傷は一瞬で癒える。
 それこそが、ドラゴニック・オーバーロード。
 火竜へと変貌したルイーズを駆るエスカは『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』へと飛び込むようにして、その野太刀による斬撃を叩き込む。
 杖と打ち合い、火花散る最中、エスカは睨めつける。
「その下面、何度でもブチ割ってやるぜ、イカレ道化師野郎!」
「できないご相談でありますな。ワタクシの求めた『ムシュフシュ』殿と合体することができたのでございますから! そのための旅路! そのためのカーニバル!」
「んなら、その旅路は此処で終いにしな!」
 エスカの裂帛の気合と共に放たれたルイーズの蹴撃と太刀の一撃は『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』の頭部に亀裂を走らせる――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルジェン・カーム
機神搭乗

ムシュフシュ…いえジェスター

貴方は知っていますか?

58人

嘗て貴方がクトラさんを浚い
その結果…僕らに刃を向けて戦い…戻ってこなかったエンドブレイカーの数です

それは彼らの選択の果てだとしても…

その中には戦友もいました
従姉妹と懇意にしているものもいました

…貴方を彼らの下に送ります

【戦闘知識】
ムシュフシュと壁の動き
突破するためのルート
敵の攻撃の癖や立ち回りを此までの交戦の経験からも分析

対先制
【オーラ防御・勇気・念動力・武器受け】


オーラ広域展開
闇に紛れた敵の位置を性格に捕捉

恐怖は彼に対する怒りと勇気でねじ伏せる!
念動光弾でハンマーを迎撃


【空中戦・弾幕】
UC発動
ぷっさん!
「任せて!!」


超高速で飛び回り
破壊の波動を弾幕として展開して壁とジェスターを蹂躙
【二回攻撃・切断・串刺し】
宝剣と巨大化したディアボロスブレイドで切り刻み
バイデントで貫いて零距離で破壊の波動を叩き込む!

貴方のカーニバルはここで終わりです!
もうこれ以上!悲劇の|終焉《エンディング》は起こさせない!
須く僕らが破壊し尽くす!



 野太刀の一撃が『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』の頭蓋めいた仮面に亀裂を走らせる。
 眼窩より立ち上る炎が揺らめきながら、しかし、手にした杖より『マスカレイドの壁』が生まれる。圧倒的な数だ。
 これが『11の怪物』と合体した者の力であるというのならば、なんたる強大さであろうか。
「これが『ムシュフシュ』殿の力、いやぁ、しかし、たまらないものがありますな。嘗てのエンドブレイカーまでも猟兵に覚醒するとは!」
「ムシュフシュ……いえ、『ジェスター』」
 本心か、それとも虚偽かわからないが『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』は驚嘆したように手を叩いている。
『マスカレイドの壁』に囲われながら、飛び跳ねている様は此方を小馬鹿にしているようにも思えただろう。

 その様をアルジェン・カーム(銀牙狼・f38896)は知っている。
「貴方は知っていますか?」
「フムン? 何をでございましょう。知っていることは知っていますが、知らないことは知らないでありますからな」
「嘗て貴方が興した戦い……戻って来なかったエンドブレイカーを、その名を知っていますか」
 その言葉に『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』は漆黒のマスターデモンへと変貌し、笑う。
 それが応えだとアルジェンは識るだろう。
 戦友もいた。
 親類縁者の懇意している者もいた。
 多くがいたのだ。もう戻らぬ時の中にこそ、それは在るのだと識る。過去の堆積に歪むのオブリビオンであるというのならば、アルジェンは言う。
「……貴方を彼らの元へと送ります」
「それはできますまい! いえ、もう叶っているのでは? 過去になったものは、すべからく骸の海へと向かうのですから!」

 冥皇神機『プルートー』を駆るアルジェンへとハンマーの一撃が叩き込まれる。
 オーラの防御、念動力。
 そうした力を持って受け止めてもなお、そのハンマーの持つ超重力の一撃は重たく、オーラを砕き、念動力さえ無意味なものとしていた。
 武器で受け止めれば刀身が軋む。
 凄まじいまでの力。
「恐怖したデショウ! 力を前に! どんな心も、恐怖を持つ。勇気をもつが故に恐怖は表裏ナノデスから! ハハハハッ!」
 打ち据えられるハンマーの衝撃に機体が揺れる。
 さらに機神を取り囲むマスカレイドたちが『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』の姿を覆い隠す。
 以前の『ジェスター』との戦いなど意味をなさない。
 跳ねるように、嘲笑うようにして『マスカレイドの壁』の最中に消えていく道化師を在るジェンは睨めつける。

 恐怖がある。
 確かにそれは真実だ。
 けれど、これまでも在るジェンはそれを怒りと勇気でねじ伏せてきたのだ。念動光弾を打ち放ちながらマスカレイドの群れの中を縫うようにして機神が飛ぶ。
「ぷっさん!」
『任せて!!』
 超高速で飛び回り『プルートー』のアイセンサーが煌めく。
「対神滅殺機構『冥界の神』(スピアオブハーデス)……!」
 機体より放たれるは万物を分解崩壊させる波動。
 例え、『マスカレイドの壁』が『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』を守るのだとしても、機体から発せられる波動は、それらさえも分解してみせるのだ。

「ホッ、なんと!」
「この波動は万物を分解崩壊させる! ならば!」
 機神が握りしめる宝剣が『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』を捉える。斬撃を叩き込めば、分解崩壊の波動が体を打ちのめす。
「貴方のカーニバルは此処で終わりです!」
「いいえ、無論、終わるつもりなどありマセンよ!」
「もうこれ以上! 悲劇の|終焉《エンディング》は起こさせない!」
「果たして、そうでしょうか? ワタクシたちがいなくても悲劇は起こるのでは?」
「その須く僕らが破壊しつくす!」
 振るう斬撃がユーベルコードの輝きを湛えながら、描く軌跡をアルジェンは見ただろう。
 多くの悲劇を見てきた。
 多くのエンディングを見てきた。

 そして、それが多く悲しみを生むのならば、そうならぬようにと打ち砕いてきた。
「僕らの戦いがまだ終わっていなくても」
 それでも戦うのだと示すようにアルジェンの瞳が煌めく――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

紫・藍
あや~、人気者は辛いのでっす!
光の槍さんまで追っかけになろうとは!
ですがそれなら好都合なのでっす!
敵味方の区別がない槍なら透過能力や識別能力はないでしょうから!
これでもかとおびき寄せて、踊るのでっす!
マスカレイドの皆様の合間を縫うように!
次々とパートナーを変えていくように!
大きな大きな輪をかいて!
自然と槍も藍ちゃんくんに振り回される軌道で降り注ぎ、壁を巻き込みまくってくださるのではないでっしょうかー!
敵を盾にするというやつなのでっす!
いえ、むしろ!
ダンスでファンにしちゃうのでっす!
壁を突破するどころか味方につける!
それが藍ちゃんくんでっすよー!
そのまま皆さんと津波の如く飲み込んじゃいましょう!



 天を覆うは『エリクシル』の槍。
『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』が投げはなった槍は、天より無数に分裂して飛来する。雨のように降り注ぐ槍を躱しながら、紫・藍(変革を歌い、終焉に笑え、愚か姫・f01052)は戦場を走る。
「あや~、人気者はつらいのでっす!」
 エリクシルの槍は自分目掛けて飛んできている。
 正直に言って、これはしんどいことこの上ない状況である。けれど、こんな状況であるとも藍は笑っていた。
 笑顔を絶やさぬことが藍ドルの絶対条件である。
 戦場はいつだってオンステージ。
 なら、笑うのだ。
「なんとも愉快なお方ダ! この状況をご理解頂いておられない?」
『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』は『マスカレイドの壁』の奥で猟兵達によって刻まれた傷跡を抑えながらおどけてみせた。

「あや~、だって、藍ちゃんくんを槍さんさえ追っかけてくるのでっす。ですが、それなら好都合なのでっす!」
「どういうことなのです?」
「踊るのでっす!」
『ムシュフシュ・ザ・マスカレイド』にも藍の言葉は理解できなかったことだろう。
 藍は踊る。
 それは最高のパフォーマンス。
 ステップを足先が刻む。踵が旋律を奏でる。
 すると、降り注ぐ槍たちが藍の元で止まるのだ。

「ムッ!? どういう……!?」
「踊るのでっす! 皆様! レッツ・ダンシングなのでっすよー!」
 煌めく。
 煌めき続ける瞳があった。ユーベルコードによって、此処はすでにオンステージだというのならば、有機物無機物を問わずに魅了してみせるのが藍である。
 さらに『マスカレイドの壁』たちさえも藍の言葉に誘われるようにして、藍のダンスを見様見真似で踊りだすのだ。
 まさに藍ちゃんくんと愉快な観客達!(リー・アー・アイチャンクーンッ)とでも言うべき光景に『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』は驚愕するしかない。
 自分さえもついつい踊ってしまいそうになる。
 いや、足がすでに勝手にもう動いていることを自覚し、戦慄する。

「このユーベルコードは……!」
「あや~『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』さんも、踊りたいご様子。いいでしょう。ともに踊るのでっす!」
 ステップを踏む。
 有無を言わせる旋律が『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』の体を突き動かす。
「な、なんということでありましょう! ワタクシが踊らされるとは! 踊ろらせるのが信条でありますのに!」
「踊るのでっす。踊れば何もかもどうでもよくなるのでっす! 藍ちゃんくんに敵は存在しないのでっす。さあ、踊りましょうな、なのでっす!」
 藍は笑む。
 このリズムはまるで津波。
 すべての戦いを飲み込む大波だ。敵も味方もない。藍のユーベルコードが瞳に輝いている限り、それは終わりを見せるダンスミュージック。

「マスカレイドの皆さん、このまま『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』さんを飲み込んじゃいましょう!」
 藍は指を打ち鳴らす。
 それが合図になって『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』は己が生み出した『マスカレイドの壁』に飲み込まれて押し流されるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルトリウス・セレスタイト
勇者の道のりに苦難は付き物か
俺は特にこの世界に縁もないが。介添人くらいは務まるだろう

状況は『天光』で逐一把握
守りは煌皇にて
纏う十一の原理を無限に廻し害ある全てを世界の外へ破棄
要らぬ余波は『無現』にて消去
全行程必要魔力は『超克』で骸の海すら超えた“世界の外”から常時供給

絢爛を起動
起点は目の前の空気
破壊と因果の原理にて戦域の空間を支配
破壊の原理を斬撃に変換
因果の原理にてマスカレイドと『11の怪物』のみを対象とし、戦域全てを「斬滅した後」と化す

斬撃を放つのではない
開始した時点で既に終わっている
万象一切に終わりを刻む破壊の原理に例外はない
尽くが「斬られた後」である以上壁は無意味
等しく刻まれる程度にしかならぬだろう

色々と悪巧みがあるようだが
世界を沈める脅威に猟兵は敏感だ
お前たちには行き止まりしか残されていないぞ

○真の姿
本人の背後に僅か裂けた空間の向こう、果てなく続く透明な“全なる空虚”がその本質

※アドリブ歓迎



 裂ける空間。
 その向こう側に果てなく続く透明な何かがある。
 アルトリウス・セレスタイト(忘却者・f01410)の背後に広がるそれを判別できる物はいなかっただろう。
 すべては空に。
 ならば、そこにあるのはすべてであって、同時に空である。故に『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』を前にしてもそれは変わることなく、そこに在るという事事態認識できないものであったことだろう。 
「勇者の道のりに苦難はつきものか」
 アルトリウスにとって、この世界は縁のないものであった。
 けれど、苦難に満ちた道のりを歩もうという者の介添えはできる。

「猟兵というのは何処からでも湧き出してくるものデスネ!」
『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』の杖より溢れるは『マスカレイドの壁』。無尽蔵の如き数でもってあふれかえるマスカレイドたちは敵意そのものだった。
 さらに天より飛来するはエリクシルの槍。
 無数に、それこそ空を埋め尽くすかのように放たれる。
「無駄なことだ」
「そうでありましょうな。ですが、足は止められるというもの」
 先制攻撃の槍の雨にアルトリウスは軽く頭を振る。
 降り注ぐ槍は無差別に放たれ、『マスカレイドの壁』ごと敵を射抜く。いや、射抜いているのではなく、そのまま世界の外側へと放出されていく。
 無意味な行いだった。
 先制する『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』にとって、それは予想外のことだったのだろう。道化師の仮面が歪むことなく、その奥にあるであろう本質的な何かが訝しむ。

 理解できないものに出会った時の反応だった。
「それは一体何なのデス?」
「答える理由はない。煌めけ」
 アルトリウスの指先が空間を指差す。
 絢爛(ケンラン)によって、起点となった周囲の空間を完全に支配する。原理で無機物を斬撃に変換した後、『斬滅した後』へと変換するのだ。
 切り裂かれ、両断された『マスカレイドの壁』。
 崩れ落ちるマスカレイド達は、何事が起こったのかも理解はできないだろう。

「斬撃を放つのではない。開始した時点で既に終わっている。万象一切に終わりを刻む破壊の原理に例外はない」
「ハハァ、射る前から当たることが決定していた因果律的ナ」
「故に尽くが『斬られた後』である以上、壁は無意味と知れ。等しく刻まれる程度にっしかならぬだろう」
 アルトリウスはさらに溢れる『マスカレイドの壁』を切り裂く。
 踏み出すたびに斬撃されたという結果だけが世界に刻まれていく光景を視界の端にすら移さず、アルトリウスは前に進む。
 彼のユーベルコードは変換し、操作するもの。
 大気を掌握し、斬撃へと変えるのならば、周囲に在る大気すべてが己の刀剣となすのだ。

「色々と悪巧みがあるようだが」
「エエ、それはもうたくさんご用意してオリマスよ!」
「ならばお前たちには行き止まりしか残されていないぞ」
「ホホッ、骸の海に何れ流れ着くのならば、前向きのほうがよろしいデショウ。何処まで行っても人生お先真っ暗! ご自分が前を向いているのか後ろを向いているのかわからないのが人間というものでありましょうから!」
『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』は笑う。
 どんな存在も時間を排出して進む以上、骸の海へと到達する。
 滅びが必定であるのならば、それもそのはずであろう。
 不滅の存在がいるのならば、そもそも骸の海に沈むことも過去の化身となることもないだろう。

「世界を沈める脅威に猟兵は敏感だ」
「堂々巡りデスな!」
 振るう大気の斬撃が『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』の体へと斬撃を防ぐ、という発想すら許さぬままに、その道化師服を切り裂くのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

朱鷺透・小枝子
オオオオオオオ!!!

サイキックシールドをハルバードへ展開【切断力強化】
メガスラスターで自身を【吹き飛ばし】、同時にハルバードを【怪力】で振るい、回転!
壁を、寄るもの全てを【なぎ払い】ながら進撃し、マスターデモンのハンマーと打ち合って、超重力で吹き飛ばされながら、その姿を目撃する。壁も、恐怖も、闇も!全て!!

『壊し、埋め尽くせ!!!』

『覩剣所丁式』発動、恐怖や超重力、壁による行動制限を反射。
体を割いて、破壊を成す無数の刃群を放出!
壁を押し返し、【闘争心】≪破壊衝動≫を、刃群を叩きつけ返す!

貫き、抉り、壊せ!!

プラズマシューズで跳びメガスラスター【推力移動】
人工魔眼【第六感暗視】漆黒の道化師を捉え【追撃】
全身から刃を生やし、道を塞ぐマスカレイドを壊し抜け、
その先にいるマスターデモン、ムシュフシュへ、刃群を放ち【貫通攻撃】
超重力を【念動力】と刃群で反射し、ムシュフシュを固定!

オブリビオン、ジェスタアアアア!!!

纏わせたサイキックシールドを発光させ、
ハルバード振り下ろし【重量攻撃】闇を両断する!



 戦場に咆哮が迸る。
『マスカレイドの壁』は迫りくる猟兵を『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』へと近づけさせない。
 そして、『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』は必ず先制してくる。
 煌めくユーベルコードの輝きを朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)は見ただろう。しかし、彼女の瞳に映るのは、ユーベルコードの輝き、その脅威ではなかった。
 眼の前のものを破壊する。
 それが彼女の行動原理だった。
 壊すこと。
「オオオオオオ!!!!」
 ハルバードの刃にはサイキックシールドが展開され、その刃の鋭さを増す。踏み込むたびにメガスラスターの噴射が小枝子の体を吹き飛ばすように前に、前に踏み込ませる。

「なんという自棄っぱちなのでしょう。それでは身が保たぬと思うのですが」
『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』のハンマーの一撃が小枝子の体を横薙ぎに吹き飛ばす。超重力の一撃。
 骨身にしみるような痛みが一気に全身を駆け抜け、骨と肉との間を引きはがすかのようだった。
 痛烈な痛みに喘ぎながらも、しかし、小枝子の瞳は『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』を認めていた。
 恐怖が心の奥底から湧き上がってくるのを感じる。
 絶対的な力の差というものがあるのならば、このことを言うのだと悪霊たる小枝子は自覚させられたかもしれない。
 しかし、その瞳は見ていた。
 己が討たねばならぬ敵の姿を。
 あれこそが壊さなければならない存在であると。

 故に、彼女は己の心の中に溢れたものを『壊す』。
 迫る『マスカレイドの壁』も。心から湧き上がる『恐怖』も。己の道行を阻む『闇』めいた敵も。
 すべて。
「すべて!! 壊し、埋め尽くせ!!!」
 小枝子の瞳がユーベルコードに燃える。
 炎めいたゆらめき。
 それは、覩剣所丁式(エグリプランタ)。己の心に生まれた恐怖が身を縛るというのならば、己の手足は自動的になる。
 そう、どんなに恐ろしくても、人は戦わねばならぬ時がある。
 小枝子にとって、今がそうであった。
 超重力の檻めいた力が体を大地に縛り付けるのだとしても関係ない。

 小枝子の体の内側から引き裂くようにして無数の刃が飛ぶ。
 血潮が噴出し、痛みが走る。
 しかし、己の中にある闘争心という名の破壊衝動が止まらない。吹き荒れるようにして放たれた無数の刃が『マスカレイドの壁』を切り裂き、さらに吹き飛ばしていく。
「貫き、抉り、壊せ!!」
 命じる。
 己の中にある闘争心を、破壊衝動に従えと叫ぶように放出された破壊の刃たちに小枝子は命じる。
『マスカレイドの壁』は破壊の刃によって寸断され、『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』へと迫る。しかし、その一撃をハンマーで薙ぎ払いながら道化師は笑う。
「ムホッ、なんとも豪胆。ハハァ、なるほど。こうした状況に至ることを見越しての自動的なユーベルコードの発露でありますか。なんともまあ、人道に悖る行いを仕込むものですなぁ」
「黙れ」
 小枝子は人道であるとか王道であるとか、正道であるとかを気にしていない。
 底に在るのは破壊だけだ。
 破壊するというものだけが、己の根底にある。故に、大地を蹴って飛ぶ。己の体を吹き飛ばすほどの衝撃でもって戦場を一直線に『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』へと迫る。
 人口魔眼の炎のゆらめきが、敵を捉える。
 あれを貫き、抉り、壊すこと。それが己であると示すように叫ぶのだ。

「オブリビオン、ジェスタアアアアア!!!」
 吹き荒れる光。
 サイキック纏うハルバードの穂先、それが明滅し、闇を切り裂きながら『ムシュフシュ
・ザ・カーニバル』の体を袈裟懸けに切り裂く。
 それは己の中にある闘争心を具現化したものであり、また己の存在意義そのものであった。
 吹き荒れるサイキックの渦が無数の刃を伴って、己の眼前覆う道行の闇を振り払う――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

播州・クロリア
他者を害し愉悦に浸る悍ましいリズムが蠢きながら近づいてくるのを感じます
戦いをカーニバルとほざく連中らしいリズムですね
非常に不快です
(敵に向けて微笑みながら翅をゆっくりと震わせ軽い足取りでステップを踏んだ後{桃花の旋律}で『ダンス』を始める)
ですので貴方達を使って私も勝手に楽しませていただきます
({蜂蜜色の陽炎}で作った障壁でエリクシルの槍を『オーラ防御』し勢いを削いだ槍を『念動力』で束ねて盾にする)
勝利を確信し油断しきったその顔が驚愕に染まる、その光景を堪能させていただきますよ
(UC【蠱の眠り】でマスカレイド達を眠らせ『衝撃波』を使った跳躍で敵ボスに接近して『斬撃波』を纏った蹴りを叩きこむ)



「非常に不愉快です」
 天より降り注ぐエリクシルの槍を前にして播州・クロリア(踊る蟲・f23522)は呟く。
 他者を害し、愉悦に浸るおぞましいリズムが戦場に響いている。
 うごめいている。
 それが己の肌の下を這う感覚をクロリアは覚えた。
 これが『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』の悪辣たる所以。
「楽しいカーニバルを不愉快とはどうしてでしょう! 如何してそのように思われるのデショウカ!」
 笑う道化師。
『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』は猟兵達のユーベルコードを前に消耗していたが、しかし、今だ先制する力を残し、また杖から無限に溢れる『マスカレイドの壁』を持って己の体を守る。
 移動する城塞めいたものだった。
 それに加え、エリクシルの槍は、猟兵に迫る『マスカレイド』毎、無作為に放たれているのだ。リズムも何もあったものではない。

「戦いは素晴らしいデショウ。心が踊るデショウ。ワタクシ思うのです。戦いこそが、生命体の本質なのだと。知的生命体であればあるほどに争いとは乖離できないものなのだと。争いながら、他者と己を分たねば、個すら分別できぬ生き物なのだと!」
『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』の言葉に黒リアは微笑む。
「その理屈。非常に不快です」
 オーラが砕ける音が聞こえた。
 エリクシルの槍の一撃は凄まじいものだった。身を穿つ痛みが走る。血潮が溢れる。

 傷口は浅いものではなかったが、しかし、黒リアはほほえみながら、翅をゆっくりと震わせながら軽い足取りでステップを踏む。
 それは芳しいそよ風と心安らぐせせらぎ、心地よい大地の柔らかさを思わせるリズムであった。まるで夢を見ているような、そんな心持ち。
 痛みが走ってもクロリアには関係がなかった。
「それを独りよがりの理屈と呼ぶのです。あなたはそう思っても、他の誰もがそう思うとは限らないように」
 故に、とクロリアの瞳がユーベルコードに煌めく。
「ですので、あなたたちを使って、私も勝手に楽しませて頂きます」
「そんな、皆で楽しみマショウ!」
 エリクシルの槍が放たれる。

 その一撃をオーラで防御するのではなく、念動力で持ってクロリアは束ね、さらに迫りくる槍を防ぐ。
 砕け散る破片の最中、クロリアは軽やかなステップを踏む。
 蠱の眠り(コノネムリ)。
 それは、ずっと震わせていた翅より放たれていた鱗粉。
 マスカレイドたちは気がつくこともできなかっただろう。それが眠りを誘うユーベコードであると。
「眠りにつくまで私のダンスをご堪能ください。あなたは勝利を確信していますね?」
「それはそうでしょう。だって、私はオブリビオン。あなた方は生きている猟兵。となれば、今回負けたとしても、次また負けるとは限らないじゃあないですか。時間は有限であれど、ワタクシ共には無限めいたものがありますから」
 だから、と『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』は笑う。
 これは勝利のための一歩でしかないのだと。

 だが、クロリアは頭を振る。
「どんなものにも終わりは来るのです。ダンスにも終焉が来るように」
 故に、とクロリアは眠りに落ちたマスカレイドの体を蹴って飛翔する。翅が震える。衝撃波を伴った蹴撃の一撃が『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』の仮面に叩き込まれ、亀裂を走らせる。
「あなたの言うところの勝利など終焉を前にしては意味のないもの。オブリビオンにも破滅は在るのです」
 打ち込まれた蹴撃と共にクロリアは衝撃波をほとばしらせ、その嘲笑する仮面を砕くのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ワルルーナ・ティアーメル
貴様かー!あの|悪質同業者《エリクシル》の親玉は―!!
行くぞ者共!我が魔王軍の総力をもって悪徳業者は残さずやっつけてくれるわー!

敵の初撃は魔王的な結界にワルルンガーの両腕でガードし、踏みつけや蹴とばしで反撃だ!勿論これでは足りぬしワルルンガーの受けたダメージを考えれば前には出せぬ……ならば我自らが出るまで!!
UCを使用、ワルルンガーの反撃で出来た隙に付け込むように分裂した我全員でワルルンガーより飛び出し突撃を掛けるぞ!
我同士で盾にしあったり踏み台にしあったり一緒に幻惑ブレスを吹いたりしながら、減ったら再変身で補充し敵陣突破を図るぞ!
突破したら突破できたもの全員で奴本体にブレスを浴びせてやるぞ!



 ワルルーナ・ティアーメル(百胎堕天竜魔王(自称)・f31435)の欲望は『他者の欲望を満たす』ことである。
 故に誰かの願いを叶えることは彼女のライフワークそのものであった。
 願いは正しく受理されなければならない。
 過不足があってはならない。
 人はいつだって願いを持って生きている。
 それが生命の目的であるというように。だからこそ、ワルルーナは叶えてあげたいと思うのだろう。
 だが、万能の魔神『エリクシル』は違う。

 願いを歪めて叶える。
 必ず破滅させる。それがどんなにワル……いや、ワルすぎるな、とワルルーナは思った。ワルいことはクールであるが、それとこれとは全く持って問題が別である。
 願いを叶えるのならば、ちゃんと叶える!
 間違っても歪めてはならない。
「貴様かー! あの|悪質同業者《エリクシル》の親玉はー!!」
 迫るマスカレイドの壁とマスターデモンを前にしてワルルーナはお冠であった。起こっていた。
 願いを叶えるのは良いことだ。だが、歪めて求めてない結果を齎すなど、願いを叶える者として最も悪質なことだった。許せぬ。許しておけぬ。
「ムホッ、その内の一柱とでもいいマショウカ!」
「認めおったな! ならば、行くぞ者共! 我が魔王軍の総力をもって悪徳業者は残さずやっつけてくれるわー!」
「できますかな? 如何に最強の種族、悪魔とて……!」
「やっかましいわー! いけ、『ワルルンガーΣ』!!」

 ワルルーナの言葉と共に機動魔王城『ワルルンガーΣ』が巨腕を叩きつける。『マスカレイドの壁』とマスターデモンたちの一撃と、ぶつかりあって凄まじい力の奔流をほとばしらせる。
 巨体であることを良いことに『ワルルンガーΣ』は踏みつけ、蹴飛ばす。
 だが、マスターデモンたちの一撃は苛烈だった。
 装甲に亀裂走り、フレームにまで損傷が及んでいる。
「ムッ、下がれ、『ワルルンガー』! それ以上は危険である!」
 ワルルーナは『ワルルンガー』の肩を蹴って飛ぶ。

「自ら出ますカ!」
「無論! 我自ら成敗してくれるわ!」
「デスガ、どうします。この圧倒的な数の差を、どう埋めるというのデス!」
「そんなもん、何の問題にもならぬわ! 見晒せ、我が無尽の堕天竜魔王・改(ワルルーナレギオンプラス)!!」
 その瞳がユーベルコードに煌めく。
 瞬間、無数のちびワルルーナたちが群体として戦場に飛び出す。しかし、ちびワルルーナたちは初期レベル。
 マスターデモンたちの敵ではない。
 次々と撃あhされてしまうのだが、その都度変身していくのだ。数が二倍になる。身長が二倍になる。さらには負傷すら回復していくのだ。

 つまりマスターデモンたちは、一撃でワルルーナを打倒しなければならず、今はそれが出来ているが、時間経過と共にそれが難しくなっていく。
「ふはははは! 馬鹿め! この我を前に物量を説くだと!」
「ひゃくまんねんはやいわー!」
「せんそーはかずだよ!」
「じつはわれひとりなんだけどきにしなーい!」
 ちびワルルーナたちは最早、ちび、とは言えないワルルーナへと変貌を遂げ、その幻惑ブレスでもってマスカレイドの壁を吹き飛ばしながら、圧倒的な数で持って『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』へと迫る。

 それは大津波めいた進撃であったことだろう。
「なんということでしょう! それは些か反則では?」
「悪徳業者の親玉の言う事なんぞ聞かぬ!」
 おらー! とちびではないワルルーナたちは一斉にブレスを浴びせかけ、その身を焼き滅ぼすように灼熱の業火でもって責め立てるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友

第四『不動なる者』盾&統括役武士
一人称:わし 質実剛健古風
武器:黒曜山(刀)

ふむ、噂は聞いている。ろくでもないとな。
なればこそ、いこうぞ。

先制攻撃と同時にくるは敵の壁か…。ならば、その敵を減らすまでよ!
その攻撃は武器で受け、カウンターのように斬り捨てる。
…何故か陰海月も張り切っとるが、死角が無くなるのはいいことである。

そのまま斬り捨てていき、斬ると見せかけて、影から出てきた霹靂に乗ろう。
そうして距離を詰めてからのUCであるよ。


陰海月、張り切ってカウンターパンチしている。
霹靂、タイミング計って影から出てきて飛ぶ!



 溢れるブレスが『マスカレイドの壁』を吹き飛ばし、『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』の体を焼き焦がす。
 しかし、それで終わる『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』ではなかった。
 ばらまかれる拷問器具に殺人道具、さらには無数の道具がばらまかれ、それぞれがマスターデモンへと変貌を遂げて、猟兵たちに襲いかかる。
 杖から溢れ出す『マスカレイドの壁』だけでも圧倒的な数であるというのに、これまで働いてきた悪事の数を示すようにマスターデモンたちが戦場を飛ぶ。
「ふむ、噂は聞いてる。ろくでもないとな」
 馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の一柱『不動なる者』は、押し寄せる数という名の敵を前に漆黒の剣を抜き払う。

 迫りくる敵の攻撃を受け流し、さらにカウンターを叩き込む。
 しかし、数が多すぎる。
「ぷっきゅ!」
 影より飛び出す『陰海月』の触腕が『不動なる者』と同じようにカウンターの要領で背後から迫っていたマスカレイドを叩きのめす。
「うむ、心強い。死角を頼むぞ」
「きゅい!」
 何故か張り切ってる『陰海月』に『不動なる者』は頷く。迫りくる無数の攻撃を凌ぎ切るのは難しいことであった。
 圧倒的な数であるからだ。
「数とはやはり良いものデス。こうして面倒な猟兵を押しのけてることができるのでございますからな」
『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』は笑う。

 確かに時折猟兵が『マスカレイドの壁』を乗り越えてユーベルコードを叩き込みに来るが、それでも数は己に有利するところである。
 どれだけ猟兵が結集するのだとしても、己には無尽蔵のマスカレイドがいるのだ。
 負ける道理はない。
「であろうな。だが」
 振るう剣を振るい、『不動なる者』は『マスカレイドの壁』を切り裂く。いや、瞬間、陰から飛び出してきたヒポグリフ『霹靂』にまたがり、『ムシュフシュ・ザ・カーニバルをへと距離を詰めるのだ。
「油断したな。数を頼みにすれば確かに有利であろうよ」
「デスガ!」
 さらにマスターデモンたちが立ち塞がる。

 手にした黒曜の剣が斬撃を描く。
 いや、何かが可笑しいと『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』は思っただろう。
 己の体を守るマスターデモンたち。
 それは見えているはずだ。なのに『不動なる者』は笑む。その瞳にはユーベルコードが輝いている。
「これなるは父の技よ。ここに再現せん」
 それは斬撃であったとしても、未来への視認不可なる斬撃。
 つまり、今此処で振るった斬撃は、既に未来で振るわれた斬撃そのもの。
 因果を逆転させるのではなく。

 未来という不確定事象の最中に斬撃を置くことにこそ真価を発揮するユーベルコード。
「是成は、四天境地・山(シテンキョウチ・ヤマ)。見えぬ斬撃は捉えられぬ。未来は不確定ゆえに誰も識り得ぬ。故にわしの斬撃は」
 届くのだと示すように『マスターデモン』たちを透過するようにして『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』へと放たれた置く斬撃は、その躯体を切り裂き、先決の如き炎を噴出させるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

大町・詩乃
ヒーローズアースの者として此処で倒しますよ!

エリクシルの槍に対しては以下の手段で対抗。
①天候操作で雨を伴う強風を巻き起こして、更に衝撃波・念動力と合わせて槍の軌道を逸らす。
②結界術・高速詠唱で防御壁展開
③オーラ防御を纏って大型化した天耀鏡で盾受け
④第六感で予測して見切り・ダンスで舞うように回避

発動条件を満たして《神域創造》発動。

ムシュフシュを含めた全ての敵に『伏せ!そのまま!』と命令。
動けなくさせる。

ムシュフシュは目立つのですぐに判るでしょう。
神罰・多重詠唱による光と雷の属性攻撃・破魔・全力魔法・高速詠唱・範囲攻撃で生み出した極大の雷を、天からムシュフシュに対して貫通攻撃で撃ち降ろしますよ!



 嘗ての戦いにおいて『ジェスター』と呼ばれるオブリビオンはヒーローズアースにて暗躍していた。その戦いは苛烈を極めたし、猟兵達が勝利したとは言え世界に傷跡を残すものであったことだろう。
 故に、ヒーローズアースの神性たる大町・詩乃(阿斯訶備媛・f17458)は戦場に飛び込むや否や、己に降り注ぐエリクシルの槍を見据える。
「此処で倒しますよ、『ジェスター』! いえ、『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』!」
「その意気はヨシとしましょう! ですが、やれますかな! この『11の怪物』と合体したワタクシを!」
 血潮の如き炎を道化師の体から噴出させながら『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』は笑う。
 迸る力の奔流であるエリクシルのの槍を天より投げ放ちながら、手にした杖からは『マスカレイドの壁』が濁流のように溢れて止まぬのだ。

「ええ、やってみせますとも!」
 詩乃の神力が発露する。
 転校を操作し、戦場を雨伴う狂風でもって巻き起こし、衝撃波と念動力をわあせて迫りくるエリクシルの槍の軌道をそらす。
「それで防げるとデモ!?」
「これだけではありません! 結界、防壁展開! さらに加えて!」
 詩乃の眼前に立ち塞がるは結界による防壁とオーラを得て盾となる鏡。迫りくるエリクシルのの槍の一撃は結界を砕き、オーラすら突き抜けて詩乃へと襲い来る。
 けれど、詩乃の神力は止まらない。
 エリクシルの槍は確かに膨大な数だ。盾で受け止めきれないものがあるのはわかっていた。
 だからこそ、彼女はステップを踏むようにして槍を躱しながら、その瞳をユーベルコードに輝かせる。

「干天の慈雨を以って私はこの地を治めましょう。従う者には恵みを、抗う者には滅びを、それがこの地の定めとなる――神域創造(シンイキソウゾウ)」
 瞬間、戦場は植物を潤す慈雨に満たされる。
 それはこの戦場全体を詩乃が絶対支配権ヲ持つアシカビヒメの神域へと塗り替えるユーベルコード。
 この場において絶対者は詩乃である。
「神性としての力、権能の発露と来ましたか!」
「伏せ! そのまま!」
 瞬間、『マスカレイドの壁』を形成していたマスカレイドたちが一斉に大地に付す。それはあまりにも突拍子もない光景であったことだろう。
 詩乃の発露したユーベルコードは、他者を支配する。
 アシカビヒメの神域とはすなわち彼女の世界。

 世界の表面に立つ以上、彼女の神力の影響を受けずにはいられない。動けぬマスカレイドたちを前に詩乃はゆっくりと踏み出す。
「グッ、クッ……これは、なんともご無体な! 道化師であるワタクシに動くな、とおっしゃられる!」
「ヒーローズアースの神性として、猟兵として、『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』、あなたを討ちます」
 多重詠唱が煌めく。
 神罰を齎す光。雷が満たされ、暗雲の先で明滅する。轟くは、詩乃の神力。編み上げられた光と雷は極大なる神罰となって天より『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』へと降り注ぐ。
 苛烈なる光は戦場を埋め尽くし、その悪辣なる道化師を討滅さんとするのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

夜刀神・鏡介
11の怪物側の目的はいいとして、ジェスターはなぜ怪物を探していたのかね
ま、聞いても答えてくれまいが……結局、何を企んでいても、倒してしまえばそれで終わりだろう

神刀の封印を解除。神気によって身体能力を強化しつつ敵と相対
ヤツが攻撃の為に接近するにはマスカレイドが邪魔になり、強化した速度を活かせない
それが嫌で召喚数を減らすなら、隠密しても気配を探るのは容易くなる
つまり、どちらであっても仕掛けのタイミングは図れる
ハンマーを刀で受け流して、廻・弐の秘剣【金翼閃】を発動

敵全体へ攻撃しつつ斬撃痕で移動を制限。
自分はそれを足場に跳躍する事で、マスカレイドを飛び越えてムシュフシュに接近
斬撃を直接叩き込んでやろう



 エンドブレイカー! 世界において『11の怪物』の存在は長らく不明であった。
 いくつかの『11の怪物』はすでにエンドブレイカーによって打倒されていることは知識として知っていたが、オブリビオン『ジェスター』が何故、オブリビオンになるよりも前からこの世界で『11の怪物』を探し求めていたのかもまた不明であった。
「『11の怪物』は知的生命体を喰らうことを至上命題としている……その目的は理解できる。だが、何故『11の怪物』を『ジェスター』……いや、『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』となったのか、今は」
 夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)は戦場に在りし敵を見据える。
 無数にあふれかえるようにして現れる『マスカレイドの壁』。
 そして、マスターデモンへと姿を変えた漆黒の『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』の威容に彼は神刀の封印を解除し、神気によって身体能力を強化して相対する。

「ムホホッ、それを知られては対策を取られてしまうというものデショウ。カーニバルにはいつだってドキドキとワクワクが必要でしょう? ならば、演目をすべて内容まで詳らかにするのは、あまりにも面白みがないというもの。こういうのをネタバレ禁止というのでアリマショウナ!」
 跳ねるよ様にして『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』の体が飛び、鏡介へと超重力纏うハンマーの一撃を叩き込む。
「ま、聞いても応えてはくれまいと思っていたが……結局、何を企んでいても、倒してしまえばそれで終わりだろう」
「そうとも限らないでショウ! 倒されて初めて発動するような仕掛けやビックリ仰天な事実だってあるやも知れませんヨ! ワタクシ、そういうサプラァーイズができるオブリビオンだと自負しておりますガ!」
 その言葉に鏡介は神刀でハンマーを受け止めながら、力を受け流す。
 どこまで行っても、トリックスターを気取っているというのならば鏡介は、その瞳をユーベルコードに輝く。

 音速を超える斬撃。

 それは雷鳴のように轟く閃光となって『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』に叩き込まれる。
 確かに『マスカレイドの壁』は厄介そのものだ。
 けれど、敵だって『マスカレイドの壁』は壁でしかないのだ。こちらに攻撃する際には、ハンマーの一撃を届かせるために壁を乗り越えなければならない。
 ならばこそ、その瞬間こそが攻撃の好機だった。
「神刀解放。煌めき舞え、金色の翼――廻・弐の秘剣【金翼閃】(カイ・ニノヒケン・キンヨクセン)」
 金色に輝く複数の斬撃波が『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』の体へと刻み込まれる。
 けれど、その煌めく翼のような斬撃痕は、斬撃を終えた後も残っているのだ。

「ムゥッ! カウンターを狙っておりマシタな!」
「当然。仕掛けのタイミングを読むことなど造作もない。そして、その斬撃の後は、しばらく残るから……こうすることもできる」
 あふれる『マスカレイドの壁』。
 されど、その壁を突き抜けるようにして鏡介のはなった斬撃痕は空間に刻まれている。
 その斬撃痕を足場にして跳躍する。
 空に舞い上がった鏡介が神刀を構える。放つ斬撃は、黄金の翼を持って飛翔するかのように『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』に飛来し、その道化師の体へと叩き込まれるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

スミレ・エロイーズ
ジェスター、いえ、ムシュフシュ・ザ・カーニバル
エンドブレイカーに縁深く
さりとて先の戦いの後に覚醒した妾は相対するのも初めて
そんな妾にすら悪業余すことなく伝わっているのですから
余程な存在だったと
ならば見逃す訳にはいきませんこと
妾たちがお相手しますわ

先制攻撃に【スーパーライフベリー】の攻性植物にて迎撃
こちらも数を揃えますわ
戦争は頭数と古来より決まっておりますし?

問題はマスカレイドの壁
とはいえ妾に出来る事は
【黒鉄兵団の紋章】を空中に描き
上から削り
下からは攻性植物を
といった作戦

先程も申し上げましたが戦いは数にて
どうするかと言うとひたすらベリーを植えます
農家の種まきスキルを甘く見ないで頂きたいですわ



 度重なる猟兵のユーベルコードによる打撃は『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』の体を消耗させていた。
 ひび割れた仮面。
 引き裂かれた道化師の肉体。
 いずれもが強敵そのものであったし、またばらまかれるこれまでの悪事道具から生み出されるマスターデモンたちは、『マスカレイドの壁』と共に一斉に猟兵へと迫るのだ。
 その力の脅威は言うまでもない。
「『ジェスター』、いえ、『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』。エンドブレイカーに縁深いと聞きます」
 スミレ・エロイーズ(ミス・ヴァイオレット・f38978)の言葉に『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』は『マスカレイドの壁』に守られながら笑う。
 嘗ては、この世界で。
 そして、この世界から飛び出してヒーローズアースで。
 暗躍するように、飛び跳ねるようにして世界を移動するオブリビオン『ジェスター』。その目的は『11の怪物』を捜し出すことであった。

 そして、その目的は叶えられたと言っても良いだろう。
『11の怪物』、『ムシュフシュ』と合体しているのだ。その力は言うまでもなく強大そのもの。
「ムフッ、ワタクシの名も多少は売れていると考えてよろしいカナ、と! 誇らしげですらアリマスな!」
「よほどの存在だったのでしょうね」
 スミレはエンドブレイカー! 世界において始めからエンドブレイカーであったわけでも、猟兵であったわけでもない。
 ピュアリィである彼女の猟兵への覚醒は、大きな戦いのずっと後だったのだ。
 だが、そんな彼女も伝え聞くところの邪悪。
 悪行を知るところとなった存在からして、その厄介さは捨て置くことはできない。
「妾たちがお相手しますわ」
「いやぁ、申し訳ない。ワタクシもやられるわけにはいかんのです。此処は逃げたい所なので!」
 放たれるマスターデモンたちを前にスミレは押し流される。
 しかし、彼女は自分が何を為せるかを考える。敵は逃げようとしている。ならば、これを阻むしかない。

 だがしかし、逃げたいのであれば、自分を放置すればいいはず。
 なのに先制攻撃に打って出て来たということは、逃げ切れる可能性を少しでも確実なものとしたいからだろう。
 ならば、スミレはマスターデモンたちの一撃を受け止めながら、その瞳をユーベルコードに輝かせる。
 確かに痛烈な一撃だ。
 痛みが走る。けれど、一撃凌げるのならば話は別だ。
「数を揃えるのならば、こちらも。戦争は頭数と古来より決まっておりますし?」
 スーパーライフベリーがスミレの手により大地へと根付く。
 瞬間、それは攻性植物へと変異し、数を増やす。うねる蔦はマスターデモンたちへと絡みつき、スミレは『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』へと『マスカレイドの壁』を押しのけるようにして攻性植物をさらに増やしていく。

「頭数と言っても限度があるのではないデスカナ!」
「先程も申し上げた通りでございますわ。農家の種まきスキルを甘く見ないで頂きたいですわ。厄介でしょう。面倒でしょう。はびこる雑草というのはかくも処理し辛いもの。あなたが逃げるための算段を得たいと思っているのならば、欲しているのは時間」
 ならば、その時間を削ぎ落とすことこそが、スミレの目的である。
 自分が『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』を足止めすれば、確実に仕留める猟兵の力が届くはずなのだ。
 故に植え続けるのだ。
「ムムッ、これは……時間をうばう作戦デスカナ!」
「徒に時間を消耗すれば良いのですわ。此方の意図を汲み取っても、もう遅いですが」
 そう言ってスミレはたおやかに笑い、戦場に満ちる攻性植物がはびこる中心に座し、『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』の時間を奪い続けるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

サタニア・ダイモーン
『11の怪物』?『殺戮道化師』?
知らないな。興味もない。だが、お前の貌は気に入らないな。

各種『魔神の神気』を活性化。戦闘態勢へ。
隠密力・速度を増しても殺気が消せていない。
来ることが分かっていれば対処できる。
ハンマーは高威力そうだが『魔神の刃』で初撃を逸らすことくらいは出来るだろう。
そして初撃を凌げば、もう終わりだ。
『恐怖』?
しているとも、だがそれは動きを鈍らせる理由にはならないな。

さあ、退場の時間だぞ道化。

『魔神術式Ⅵ』を発動。
戦場全体を結界に閉じ込め『マスカレイドの壁』もろともに『ムシュフシュ』を無限に生じるあらゆる守りを貫く神槍で蹂躙しましょう。



 攻性植物が溢れ返る戦場に『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』は歯噛みした。
 確かに猟兵達は強い。
 けれど、逃げおおせることができたのならば、己の目的は、『11の怪物』達の目的は達成されるだろう。
 ならば道化師、トリックスターである自分は逃げなければならない。
 だというのに、それを抑えるようにして猟兵は打撃を与え、攻性植物でもって己の逃走を封じているのだ。
「忌々しいったらないでありますな! こうなれば、尽く滅ぼして行くしかないじゃないであります!」
 漆黒のマスターデモンへと変貌した『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』は苛立つようにしてハンマーを振るう。

 その超重力の一撃は逃走せんとする彼を追うサタニア・ダイモーン(暗黒竜・f39306)を振り払わんと叩きつけられる。
「どうした。殺気が消せていないぞ、『11の怪物』……『殺戮道化師』? だったか。まあ、興味もない」
「なら、放っておいてくださりマセン!?」
「確かにお前のことは知らない。興味もないとは言った。だが」
 サタニアはハンマーの一撃を受けて身をきしませる。魔神の刃でもって受け止め、逸した一撃の後に『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』は『マスカレイドの壁』の奥へと引っ込んでしまった。
 厄介な敵だ。
 伊達にトリックスターを気取っているわけではないようだった。
「お前の貌は気に入らないな」

 サタニアの瞳がユーベルコードに煌めく。
 確かにあの『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』は恐ろしい。気に入らない貌をしていると言ったのは、恐怖の裏返しかもしれない。
 けれど、それはサタニアの足を止める理由にはなっていない。鈍らせることもない。
「恐れているのならば、生命体というのは竦むものなのですがネェ!」
「そうか? そうなのかもしれんが、私には関係のないことだ」
 煌めく瞳をサタニアは向ける。
 己の恐怖の源を絶ち切るためにこそ、彼女は魔神の刃を握りしめる。
 此処まで来て逃がすことはしない。

「ゼノ・ツキウ・キ・ボウョイ・ボリウト」
 戦場ん魔力が広がり、『マスカレイドの壁』ごと『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』を結界の中へと閉じ込める。
 逃しはしない、といったのはこのためだ。
「モウ! またこの類! 嫌になってしまいますね! デスガ、猟兵を倒せば、これは崩れると見ました!」
『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』は反転し、サタニアを撃滅することを選ぶ。
 敵は一人。
 確かに今まで自分に痛烈な打撃を与えてきた猟兵はいた。
 だが、逃げ切れないわけではない。倒せないわけではない。ならば、と踏み込んだ瞬間『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』は違和感を感じる。

「時限式ではあるがな……この神槍は防御無効にして、無限に生じるのだ。どんな守りも無意味だと知れ」
 サタニアの魔神術式 Ⅵ(マジンノセカイ)は、正しく『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』を狙い撃ちにしたかのようなユーベルコードだった。
「だ、ダガ、あなたを倒せば……!」
「無論、その点も抜かりはない。状態異常完全回復、瞬間再生、慈風による回復を同時に行う。いつまで持ちこたえられるか……完全上体のお前だったのならば、持ちこたえられたかもしれん。だが」
 そう、これまで猟兵達は『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』を消耗させてきた。
 消耗した彼に、防御無効の神槍を防ぐ手立てはなく、また持ちこたえることなどできはしなかった。

 これまで紡いできた猟兵達の戦いが、『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』の計算を狂わせ、ついに此処に結実させる。
「さあ、退場の時間だぞ、道化」
 その言葉と共に結界内部に迸る神槍。
 それは『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』を貫き、生み出されるマスカレイドたち霧散させる。
「こ、こんな! コンナところで……!」
 サタニアは見据える。
 時如何なるものも貫く神槍による防ぎようのない嵐を持って、『ムシュフシュ・ザ・カーニバル』が光の中に消える姿を――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年09月08日


挿絵イラスト